(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092393
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】空気調和機および熱交換器
(51)【国際特許分類】
F25B 13/00 20060101AFI20230626BHJP
F25B 39/00 20060101ALI20230626BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230626BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
F25B13/00 R
F25B39/00 C
F25B1/00 304H
F25B1/00 399Y
F28D1/053 A
F25B39/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207611
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲田 昇平
(72)【発明者】
【氏名】廣崎 佑
【テーマコード(参考)】
3L092
3L103
【Fターム(参考)】
3L092AA13
3L092BA12
3L092BA15
3L092BA21
3L092BA23
3L092BA26
3L092EA06
3L092FA26
3L103CC18
3L103CC22
3L103DD32
3L103DD42
(57)【要約】
【課題】冷媒回路を循環する冷媒の量を調整することができ、かつ、冷媒回路に充填される冷媒の量を低減する。
【解決手段】空気調和機1は、圧縮機11と膨張弁15とを接続する第1経路21の途中に設けられる室外熱交換器14と、液溜め部35とを備えている。室外熱交換器14は、外気と冷媒とを熱交換する。液溜め部35は、室外熱交換器14が凝縮器として機能するときに第1経路21のうちの定常時に気相冷媒で満たされる領域に設けられている。液溜め部35は、室外熱交換器14が蒸発器として機能するときに、液相冷媒が溜まる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と膨張弁とを接続する経路の途中に設けられて外気と冷媒とを熱交換する熱交換器と、
前記経路を前記冷媒が流れる向きを切り替える四方弁と、
前記熱交換器が凝縮器として機能するときに前記経路のうちの定常時に気相冷媒で満たされる領域に設けられて前記熱交換器が蒸発器として機能するときに液相冷媒が溜まる冷媒貯留部
とを備える空気調和機。
【請求項2】
前記熱交換器は、前記外気が流れる領域に配置される複数の扁平伝熱管を有し、
前記複数の扁平伝熱管の各々の内部には、前記冷媒が流れる複数の流路が形成される
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記熱交換器は、前記複数の流路のうちの前記圧縮機に接続される側の一端に接続される内部空間が内部に形成されるヘッダをさらに有し、
前記冷媒貯留部は、前記ヘッダに設けられる
請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記冷媒貯留部は、管内容積V1と冷媒液密度ρ1と管内容積V2と冷媒液密度ρ2とを用いて、式:
0.8≦(ρ2・V2)/(ρ1・V1)≦1.2
を満たし、
前記管内容積V1は、前記熱交換器が凝縮器として機能するときに前記経路のうちの液相冷媒で満たされるサブクールパスの容積を示し、
前記冷媒液密度ρ1は、前記熱交換器が凝縮器として機能するときに前記サブクールパスに満たされる冷媒の液密度を示し、
前記管内容積V2は、前記冷媒貯留部の容積を示し、
前記冷媒液密度ρ2は、前記熱交換器が蒸発器として機能するときに前記冷媒貯留部に満たされる冷媒の液密度を示す
請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記経路のうちの前記熱交換器と前記圧縮機とを接続するヘッダ出口管は、前記内部空間のうちの前記式を満たす位置に接続される
請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記ヘッダの内径は、前記式を満たすように、形成される
請求項4または請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記熱交換器が蒸発器として機能するときに、前記冷媒のうちの前記熱交換器から前記圧縮機に流れる蒸発器出口冷媒が蒸発し切らないように前記膨張弁を制御する制御装置
をさらに備える請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記制御装置は、前記熱交換器が蒸発器として機能するときで、前記熱交換器から前記圧縮機に流れる吸入冷媒の吸入過熱度が閾値より大きいときに、前記吸入過熱度が低下するように前記膨張弁を制御する
請求項7に記載の空気調和機。
【請求項9】
室内機と室外機とを循環する他の冷媒と室内の空気とを熱交換する室内熱交換器と、
前記圧縮機と前記膨張弁とを接続する他の経路の途中に設けられて前記冷媒と前記他の冷媒とを熱交換する中間熱交換器
とをさらに備える請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項10】
圧縮機と膨張弁とを接続する経路の途中に設けられて外気と冷媒とを熱交換する熱交換器であり、
前記外気が流れる領域に配置されて前記冷媒が流れる複数の流路が各々の内部に形成される複数の扁平伝熱管と、
冷媒貯留部とを備え、
前記冷媒貯留部は、冷媒が前記圧縮機から前記複数の流路を介して前記膨張弁に供給されるときに前記冷媒貯留部の内部が気相冷媒に満たされるように、かつ、冷媒が前記膨張弁から前記複数の流路を介して前記圧縮機に供給されるときに液相冷媒が前記冷媒貯留部の内部に溜まるように、前記複数の扁平伝熱管と前記圧縮機との間に設けられる
熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、空気調和機および熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
冷媒回路を循環する冷媒の量を空調運転の運転状態に応じて調整する空気調和機が知られている(特許文献1)。このような空気調和機は、冷媒回路にレシーバタンクが設けられる。レシーバタンクは凝縮器で凝縮された液冷媒を貯留することで、運転状態の変化に応じて蒸発器で必要とされる液冷媒量の変動を吸収し、冷媒回路を循環する冷媒の量を適切に調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような空気調和機は、レシーバタンクに貯留される冷媒の量を考慮して、冷媒回路に冷媒を多めに充填する必要があり、冷媒回路に充填される冷媒の総量が増加するという問題がある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、運転状態の変化に応じて冷媒回路を循環する冷媒の量を調整することができ、かつ、冷媒回路に充填される冷媒の量を低減する空気調和機および熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による空気調和機は、圧縮機と膨張弁とを接続する経路の途中に設けられて外気と冷媒とを熱交換する熱交換器と、前記熱交換器が凝縮器として機能するときに前記経路のうちの定常時に気相冷媒で満たされる領域に設けられて前記熱交換器が蒸発器として機能するときに液相冷媒が溜まる冷媒貯留部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
開示の空気調和機および熱交換器は、冷媒回路を循環する冷媒の量を調整することができ、かつ、冷媒回路に充填される冷媒の量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1の空気調和機を示す回路図である。
【
図2】
図2は、実施例1の空気調和機の室外熱交換器を示す正面図である。
【
図3】
図3は、実施例1の空気調和機を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施例2の空気調和機の室外熱交換器を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる空気調和機について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例0010】
[空気調和機]
図1は、実施例1の空気調和機1を示す回路図である。空気調和機1は、水回路2と冷媒回路3とを備えている。水回路2は、熱媒体(以下の説明では水)が循環する流路が形成され、室内熱交換器5と中間熱交換器6とポンプ7とを備えている。室内熱交換器5は、ポンプ7に接続され、中間熱交換器6に接続されている。中間熱交換器6は、ポンプ7に接続されている。ポンプ7は、中間熱交換器6から供給される水を、室内熱交換器5に供給する。なお、水回路2を循環する熱媒体は不凍液等の水以外の流体でも良い。
【0011】
冷媒回路3は、冷媒が循環する流路が形成され、圧縮機11と四方弁12と室外熱交換器14と膨張弁15とを備え、吸入管16と吐出管17とを備えている。圧縮機11は、吸入管16から供給される低圧気相冷媒を圧縮し、低圧気相冷媒が圧縮されることにより生成された高圧気相冷媒を吐出管17に吐出する。四方弁12は、第1接続口121と第2接続口122と第3接続口123と第4接続口124とを備えている。第1接続口121は、吸入管16を介して圧縮機11に接続されている。第2接続口122は、吐出管17を介して圧縮機11に接続されている。第3接続口123は、室外熱交換器14に接続されている。第4接続口124は、中間熱交換器6に接続されている。四方弁12は、暖房モードまたは冷房モードに切り替えられる。四方弁12は、暖房モードに切り替えられているときに、第2接続口122を第4接続口124に接続し、第3接続口123を第1接続口121に接続する。四方弁12は、冷房モードに切り替えられているときに、第2接続口122を第3接続口123に接続し、第4接続口124を第1接続口121に接続する。
【0012】
室外熱交換器14は、膨張弁15に接続されている。中間熱交換器6は、膨張弁15に接続されている。冷媒回路3がこのように形成されることにより、冷媒回路3には、第1経路21と第2経路22とが形成される。第1経路21は、室外熱交換器14を経由して膨張弁15と四方弁12とを接続する流路である。すなわち、室外熱交換器14は、第1経路21の途中に設けられている。第2経路22は、中間熱交換器6を経由して膨張弁15と四方弁12とを接続する流路である。すなわち、中間熱交換器6は、第2経路22の途中に設けられている。四方弁12が冷房モードに切り替えられているとき、四方弁12を介して吐出管17と第1経路21とが接続され、四方弁12を介して吸入管16と第2経路22とが接続される。四方弁12が暖房モードに切り替えられているとき、四方弁12を介して吐出管17と第2経路22とが接続され、四方弁12を介して吸入管16と第1経路21とが接続される。
【0013】
空気調和機1は、室外機24と室内機25とをさらに備えている。室外機24は、屋外に設置されている。室外機24の内部には、圧縮機11と四方弁12と室外熱交換器14と膨張弁15と中間熱交換器6とポンプ7とが配置されている。室内機25は、空気調和機1により冷暖房される室内に設置されている。室内機25の内部には、室内熱交換器5が配置されている。
【0014】
図2は、実施例1の空気調和機1の室外熱交換器14を示す正面図である。室外熱交換器14は、流出入ヘッダ31(ヘッダ)と折返しヘッダ32と複数の扁平伝熱管33と複数のフィン34と液溜め部35(冷媒貯留部)とヘッダ出口管36とを備えている。流出入ヘッダ31は、概ね管状に形成されている。流出入ヘッダ31は、室外熱交換器14が設置されたときに、鉛直方向に概ね平行である上下方向39に平行である直線に沿うように配置されている。流出入ヘッダ31の内部には、下側空間37と上側空間38とが形成されている。下側空間37は、流出入ヘッダ31の内部の下部に配置され、流出入ヘッダ31の外部から隔離されている。下側空間37は、冷媒配管41を介して膨張弁15に接続されている。上側空間38は、下側空間37の上に配置され、流出入ヘッダ31の外部と下側空間37とから隔離されている。
【0015】
ヘッダ出口管36は、管状に形成され、ヘッダ出口管36の内部には、流路が形成されている。ヘッダ出口管36は、内部の流路が上側空間38に接続されるように、流出入ヘッダ31を貫通し、流出入ヘッダ31に固定されている。上側空間38は、ヘッダ出口管36を介して四方弁12に接続されている。
【0016】
折返しヘッダ32は、管状に形成され、上下方向39に平行である直線に沿うように、かつ、流出入ヘッダ31の上下方向39における端部の位置が折返しヘッダ32の上下方向39における端部の位置と等しくなるように、配置されている。折返しヘッダ32の内部には、折返しヘッダ32の外部から隔離される内部空間43が形成されている。
【0017】
複数の扁平伝熱管33は、それぞれ、直線状の帯状に形成されている。複数の扁平伝熱管33の各々の内部には、複数の流路が形成されている。複数の扁平伝熱管33は、流出入ヘッダ31と折返しヘッダ32との間に配置され、予め定められた間隔をあけて上下方向39に積層されている。複数の扁平伝熱管33がそれぞれ沿う複数の直線は、互いに平行であり、上下方向39に垂直である。
【0018】
複数の扁平伝熱管33は、複数の第1扁平伝熱管44と複数の第2扁平伝熱管45とを含んでいる。複数の第1扁平伝熱管44の一方の端は、複数の第1扁平伝熱管44の内部の複数の流路が流出入ヘッダ31の下側空間37に接続されるように、流出入ヘッダ31に接合されている。複数の第1扁平伝熱管44の他方の端は、複数の第1扁平伝熱管44の内部の複数の流路が折返しヘッダ32の内部空間に接続されるように、折返しヘッダ32に接合されている。複数の第2扁平伝熱管45は、複数の第1扁平伝熱管44の上に配置されている。複数の第2扁平伝熱管45の一方の端は、複数の第2扁平伝熱管45の内部の複数の流路が折返しヘッダ32の内部空間に接続されるように、折返しヘッダ32に接合されている。複数の第2扁平伝熱管45の他方の端は、複数の第2扁平伝熱管45の内部の複数の流路が流出入ヘッダ31の上側空間38に接続されるように、流出入ヘッダ31に接合されている。
【0019】
複数のフィン34は、それぞれ、平板状に形成されている。複数のフィン34は、複数の扁平伝熱管33がそれぞれ沿う複数の直線に垂直である複数の平面にそれぞれ沿うように、配置されている。複数のフィン34は、それぞれ、複数のフィン34が複数の扁平伝熱管33に熱的に接続されるように、複数の扁平伝熱管33に接合され、複数の扁平伝熱管33に固定されている。
【0020】
液溜め部35の内部には、冷媒貯留空間46が形成されている。液溜め部35は、冷媒貯留空間46が流出入ヘッダ31の上側空間38の下部に接続されるように配置され、流出入ヘッダ31に固定されている。液溜め部35は、冷房運転時において、冷媒が空気と熱交換を行う複数の第2扁平伝熱管45よりも冷媒流れの上流側に位置する。液溜め部35は、図示されていない断熱材を備えても良い。断熱材を備えることにより、冷媒貯留空間46に貯留される冷媒が外気と熱交換しないように、冷媒貯留空間46と液溜め部35の外部とを断熱することができる。
【0021】
室外機24は、図示されていない室外ファンを備えている。室外ファンは、複数のフィン34の隙間と複数の扁平伝熱管33の隙間とに外気が流通するように、外気を送風する。室外ファンにより外気が流れる流通方向は、上下方向39に垂直であり、かつ、複数の扁平伝熱管33がそれぞれ沿う複数の直線に垂直であり、すなわち、複数のフィン34がそれぞれ沿う複数の平面に概ね平行である。
【0022】
図3は、実施例1の空気調和機1を示すブロック図である。空気調和機1は、制御装置51をさらに備えている。制御装置51は、コンピュータであり、図示されていない記憶装置52とCPU53(Central Processing Unit)とを備えている。記憶装置52は、制御装置51にインストールされるコンピュータプログラムを記憶し、CPU53により利用される情報を記憶する。CPU53は、制御装置51にインストールされるコンピュータプログラムを実行することにより、情報処理し、記憶装置52を制御する。
【0023】
制御装置51は、圧縮機11と四方弁12と膨張弁15とを制御する。制御装置51にインストールされるコンピュータプログラムは、制御装置51に複数の機能をそれぞれ実現させる複数のコンピュータプログラムを含んでいる。制御装置51は、その複数の機能として、四方弁切替手段54と回転数制御手段55と開度制御手段56とを備えている。
【0024】
四方弁切替手段54は、空気調和機1が冷房運転するときに、四方弁12が冷房モードに切り替わるように、四方弁12を制御する。四方弁切替手段54は、空気調和機1が暖房運転するときに、四方弁12が暖房モードに切り替わるように、四方弁12を制御する。回転数制御手段55は、ユーザにより設定された設定温度と、室内の室温との温度差に基づいて回転数を算出し、その算出された回転数に圧縮機11の回転数が等しくなるように、圧縮機11を制御する。
【0025】
開度制御手段56は、圧縮機11の回転数等に基づいて算出された目標吐出温度に、圧縮機11から吐出される冷媒の吐出温度が等しくなるように、膨張弁15の開度を制御する。開度制御手段56は、さらに、室外熱交換器14が蒸発器として機能するときで、かつ、圧縮機11に供給される吸入冷媒の過熱度が、予め定められた閾値より大きいときに、吸入冷媒の過熱度が閾値より小さくなるように、膨張弁15の開度が大きくなるように制御する。吸入冷媒の過熱度が高いときに、室外熱交換器14の出口の冷媒貯留空間46を通過する冷媒が過熱状態(気相状態)になることがある。閾値は、室外熱交換器14から圧縮機11までの間の経路での冷媒の温度変化をも考慮に入れて、室外熱交換器14の出口において冷媒が過熱状態にならないで気液二相状態になるように、設定されている。
【0026】
空気調和機1が実行する動作は、冷房運転と暖房運転とを含んでいる。
[冷房運転]
四方弁12は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、制御装置51に制御されることにより、冷房モードに切り替えられる。制御装置51は、室内の室温との温度差に基づいて回転数を算出し、圧縮機11を制御することにより、吸入管16を介して供給された低圧気相冷媒を圧縮する。低圧気相冷媒は、圧縮機11により圧縮されることにより、高圧気相冷媒に状態変化する。圧縮機11は、高圧気相冷媒を吐出管17に吐出する。四方弁12は、冷房モードに切り替えられていることにより、吐出管17に吐出された高圧気相冷媒を室外熱交換器14に供給する。
【0027】
四方弁12から室外熱交換器14に供給された高圧気相冷媒は、ヘッダ出口管36を介して流出入ヘッダ31の上側空間38に供給される。このとき、流出入ヘッダ31の上側空間38は、空気調和機1が冷房運転を実行するときにおいて、定常時に高圧気相冷媒に満たされている。
【0028】
上側空間38に供給された高圧気相冷媒は、複数の第2扁平伝熱管45の複数の流路を流れ、折返しヘッダ32の内部空間43を下降して、複数の第1扁平伝熱管44の複数の流路を流れる。室外熱交換器14は、高圧気相冷媒が複数の第1扁平伝熱管44の複数の流路と複数の第2扁平伝熱管45の複数の流路とを流れることにより、高圧気相冷媒と外気とを熱交換し、高圧気相冷媒を冷却し、外気を加熱する。高圧気相冷媒は、冷却されることにより、過冷却状態の高圧液相冷媒に状態変化する。高圧気相冷媒から状態変化した高圧液相冷媒は、流出入ヘッダ31の下側空間37に供給される。室外熱交換器14は、下側空間37に供給された高圧液相冷媒を、冷媒配管41を介して膨張弁15に供給する。すなわち、室外熱交換器14は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、凝縮器として機能する。このため、流出入ヘッダ31の下側空間37と、冷媒配管41の内部に形成される流路とは、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、高圧液相冷媒に満たされている。
【0029】
制御装置51は、圧縮機11の回転数等に基づいて目標吐出温度を算出し、圧縮機11から吐出される冷媒の吐出温度が目標吐出温度に等しくなるように膨張弁15の開度を調整する。膨張弁15は、開度が調整されることにより、室外熱交換器14から中間熱交換器6に流れる冷媒の流量を調節し、室外熱交換器14から供給された高圧液相冷媒を減圧する。高圧液相冷媒は、減圧されることにより、湿り度が高い状態の低圧気液二相冷媒に変化する。膨張弁15から流出した低圧気液二相冷媒は中間熱交換器6に供給される。
【0030】
中間熱交換器6は、冷房運転時において、膨張弁15から流出した低圧気液二相冷媒と、水回路2を循環する水とを熱交換することにより、水を冷却し、低圧気液二相冷媒を加熱する。低圧気液二相冷媒は、中間熱交換器6により加熱されることにより、低圧気相冷媒に変化する。すなわち、中間熱交換器6は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、蒸発器として機能する。中間熱交換器6から流出した低圧気相冷媒は四方弁12に供給される。四方弁12に供給された低圧気相冷媒は、四方弁12が冷房モードに切り替えられていることにより、吸入管16を介して圧縮機11に供給される。
【0031】
ポンプ7は、水回路2に水を循環させる。その結果、中間熱交換器6により冷却された水は室内熱交換器5に供給される。室内熱交換器5は、ポンプ7から供給された水と、室内機25が設置された室内の空気とを熱交換することにより、水を加熱し、室内の空気を冷却する。加熱された水は、水回路2を循環することにより、中間熱交換器6に供給される。室内機25は、室内熱交換器5が室内の空気を冷却することにより、室内を冷房する。
【0032】
[暖房運転]
四方弁12は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、制御装置51に制御されることにより、暖房モードに切り替えられる。制御装置51は、ユーザにより設定された設定温度と、室内の室温との温度差に基づいて回転数を算出し、圧縮機11を制御することにより、吸入管16を介して供給された低圧気相冷媒を圧縮する。低圧気相冷媒は、圧縮機11により圧縮されることにより、高圧気相冷媒に状態変化する。圧縮機11は、高圧気相冷媒を吐出管17に吐出する。四方弁12に供給された高圧気相冷媒は、四方弁12が暖房モードに切り替えられていることにより、中間熱交換器6に供給される。
【0033】
中間熱交換器6は、四方弁12から供給された高圧気相冷媒と、水回路2を循環する水とを熱交換することにより、水を加熱し、高圧気相冷媒を冷却する。高圧気相冷媒は、中間熱交換器6により冷却されることにより、過冷却状態の高圧液相冷媒に変化する。中間熱交換器6から流出した高圧液相冷媒は膨張弁15に供給される。
【0034】
制御装置51は、圧縮機11の回転数等に基づいて目標吐出温度を算出し、圧縮機11から吐出される冷媒の吐出温度が目標吐出温度に等しくなるように、膨張弁15を制御する。制御装置51は、さらに、圧縮機11に供給される吸入冷媒の過熱度が、予め定められた閾値より大きいときに、吸入冷媒の過熱度が閾値より小さくなるように膨張弁15の開度を調整する。膨張弁15は、開度が調整されることにより、中間熱交換器6から室外熱交換器14に流れる冷媒の流量を調節し、中間熱交換器6から供給された高圧液相冷媒を減圧する。高圧液相冷媒は、減圧することにより、湿り度が高い状態の低圧気液二相冷媒に変化する。膨張弁15から流出した低圧気液二相冷媒は室外熱交換器14に供給される。
【0035】
膨張弁15から室外熱交換器14に供給された低圧気液二相冷媒は、流出入ヘッダ31の下側空間37に供給される。下側空間37に供給された低圧気液二相冷媒は、複数の第1扁平伝熱管44の複数の流路を流れ、折返しヘッダ32の内部空間43を介して、複数の第2扁平伝熱管45の複数の流路を流れる。室外熱交換器14は、低圧気液二相冷媒が複数の第1扁平伝熱管44の複数の流路と複数の第2扁平伝熱管45の複数の流路とを流れることにより、低圧気液二相冷媒と外気とを熱交換し、低圧気液二相冷媒を加熱し、外気を冷却する。圧縮機11に供給される低圧気相冷媒の過熱度が閾値より大きいときに膨張弁15の開度が大きくなるように調整されることにより、室外熱交換器14に供給される低圧気液二相冷媒は、室外熱交換器14の出口で冷媒が過熱状態にならないような状態になる。このため、低圧気液二相冷媒は、加熱されることにより、室外熱交換器14に供給された低圧気液二相冷媒より湿り度が低い状態の低圧気液二相冷媒に状態変化する。
【0036】
湿り度が低い状態の低圧気液二相冷媒は、流出入ヘッダ31の上側空間38に供給される。上側空間38に供給された低圧気液二相冷媒は、上部に接続されるヘッダ出口管36に向けて流れるが、重力の影響を大きく受ける液相冷媒が上側空間38で流速が低下することにより、上側空間38で低圧気相冷媒と液相冷媒とに分離される。室外熱交換器14は、上側空間38で分離された低圧気相冷媒を、ヘッダ出口管36を介して四方弁12に供給する。すなわち、室外熱交換器14は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、蒸発器として機能する。
【0037】
四方弁12を暖房モードに切り替えることにより、室外熱交換器14から供給された低圧気相冷媒は吸入管16に供給され、吸入管16を介して低圧気相冷媒は圧縮機11に供給される。上側空間38で分離された液相冷媒は、上側空間38を下降し、上側空間38の下部に貯留され、さらに、上側空間38から液溜め部35の冷媒貯留空間46に供給され、冷媒貯留空間46に貯留される。
【0038】
ポンプ7は、水回路2に水を循環させる。その結果、中間熱交換器6により加熱された水は室内熱交換器5に供給される。室内熱交換器5は、ポンプ7から供給された水と、室内機25が設置された室内の空気とを熱交換することにより、水を冷却し、室内の空気を加熱する。冷却された水は、水回路2を循環することにより、中間熱交換器6に供給される。室内機25は、室内熱交換器5が室内の空気を加熱することにより、室内を暖房する。
【0039】
空気調和機1は、冷房運転時に、管内容積が大きい室外熱交換器14に液相冷媒が流れることにより、冷媒回路3を循環する冷媒が不足する傾向がある。空気調和機1は、暖房運転時に、管内容積が比較的小さい中間熱交換器6に液相冷媒が流れることにより、冷媒回路3を循環する冷媒が過多になる傾向がある。
【0040】
比較例の空気調和機は、既述の実施例1の空気調和機1の液溜め部35が省略され、中間熱交換器6と膨張弁15との間にレシーバタンクが設けられている。比較例の空気調和機は、暖房運転時に、レシーバタンクに液相冷媒が流れ、レシーバタンクに液相冷媒が貯留されることにより、冷媒回路3を循環する冷媒が過多になることを防止することができる。比較例の空気調和機は、冷房運転時にレシーバタンクに気液二相冷媒が流れ、暖房運転時にレシーバタンクに貯留された液相冷媒が、密度が小さい気液二相冷媒に置き換わることにより、冷媒回路3を循環する冷媒を増加させ、冷媒回路3に冷媒が不足することを防止することができる。しかしながら、比較例の空気調和機は、冷房運転時にレシーバタンクに気液二相冷媒が流れていることにより、気液二相冷媒のうちの液相冷媒がレシーバタンクに多く貯留されることがあり、冷媒回路3の冷媒を増加させることができず、冷媒回路3を循環する冷媒が不足することを解消できないことがある。
【0041】
空気調和機1は、暖房運転が実行されるときに、密度が大きい液相冷媒が液溜め部35に貯留することにより、冷媒回路3を循環する冷媒が過多になることを防止することができる。空気調和機1は、冷房運転が実行されるときに、液溜め部35が気相冷媒で満たされ、暖房運転時に液溜め部35に貯留された液相冷媒が、密度が小さい気相冷媒に置き換わることにより、冷媒回路3を循環する冷媒を増加させ、冷媒回路3に冷媒が不足することを防止することができる。すなわち、空気調和機1は、冷房運転時に液溜め部35に液相冷媒が貯留されることがないことにより、比較例の空気調和機に比較して、冷房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒をより確実に増加させることができ、冷房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒が不足することをより確実に防止することができる。空気調和機1は、さらに、冷房運転時に液溜め部35に液相冷媒が貯留されることがないことにより、冷房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒が不足することを見込んで、余分な冷媒を冷媒回路3に充填する必要がなく、冷媒回路3に充填される冷媒の量を低減することができる。
【0042】
中間熱交換器6は、熱媒体である水と、冷媒とを熱交換する。水は空気と比較して熱伝導率が高いため、中間熱交換器6のうちの冷媒が流れる流路の管内容積が比較的小さくてもよい。このため、中間熱交換器6は、中間熱交換器6のうちの冷媒が流れる流路の管内容積が比較的小さくなるように、形成されている。これに対して、室外熱交換器14は、気体である外気と、冷媒とを熱交換する。空気は水より熱伝導率が低いため、室外熱交換器14のうちの冷媒が流れる流路の伝熱面積を比較的大きくする。冷媒が流れる流路の伝熱面積を大きくしつつ流路抵抗の増大を抑制するため、室外熱交換器14は、室外熱交換器14のうちの冷媒が流れる流路の管内容積が、中間熱交換器6のうちの冷媒が流れる流路の管内容積より大きくなるように、形成されている。第1経路21の管内容積は、室外熱交換器14の冷媒の流路の管内容積が中間熱交換器6の冷媒の流路の管内容積より大きいことにより、第2経路22の管内容積より大きい。
【0043】
第1経路21は、サブクールパスを含んでいる。サブクールパスは、第1経路21のうちの室外熱交換器14が凝縮器として機能するときに液相冷媒で満たされる領域である。すなわち、サブクールパスは、流出入ヘッダ31の下側空間37と、冷媒配管41の内部に形成される流路とを含んでいる。このとき、液溜め部35は、管内容積V1と冷媒液密度ρ1と管内容積V2と冷媒液密度ρ2とを用いて、次の(1)式が満たされるように形成されている。0.8≦(ρ2・V2)/(ρ1・V1)≦1.2…(1)ここで、管内容積V1は、サブクールパスの容積を示している。冷媒液密度ρ1は、室外熱交換器14が凝縮器として機能するときに、サブクールパスに満たされる冷媒の液密度を示している。管内容積V2は、液溜め部35の容積を示し、液溜め部35の冷媒貯留空間46の容積を示している。冷媒液密度ρ2は、室外熱交換器14が蒸発器として機能するときに、液溜め部35の冷媒貯留空間46に満たされる冷媒の液密度を示している。空気調和機1は、冷房運転時にサブクールパスに密度が大きい液相冷媒が滞留することにより、冷房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒が不足する傾向があり、冷房運転時にサブクールパスに滞留していた液相冷媒が暖房運転時に冷媒回路3を循環することにより、暖房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒が過多になる傾向がある。空気調和機1は、暖房運転時に液溜め部35に密度が大きい液相冷媒が貯留されることにより、暖房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒が過多になることを防止し、暖房運転時に液溜め部35に貯留されていた液相冷媒が冷房運転時に冷媒回路3を循環することにより、冷房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒が不足することを防止することができる。すなわち、冷房運転時にサブクールパスに滞留する冷媒と概ね同量の冷媒が暖房運転時に液溜め部35に貯留されるときに、冷媒回路3には、冷房運転が実行されるときでも、暖房運転が実行されるときでも、冷媒の過不足がないように冷媒が適切に循環する。このため、空気調和機1は、液溜め部35とサブクールパスとが(1)式が満たされるように形成されていることにより、冷房運転が実行されるときでも、暖房運転が実行されるときでも、冷媒回路3を循環する冷媒の量を適切な量に調整することができる。
【0044】
[実施例1の空気調和機1の効果]
実施例1の空気調和機1は、室外熱交換器14と液溜め部35とを備えている。室外熱交換器14は、圧縮機11と膨張弁15とを接続する第1経路21の途中に設けられて外気と冷媒とを熱交換する。液溜め部35は、室外熱交換器14が凝縮器として機能するときに第1経路21のうちの定常時に気相冷媒で満たされる領域に設けられている。液溜め部35は、室外熱交換器14が蒸発器として機能するときにその領域のうちの液相冷媒で満たされる領域に設けられている。液溜め部35は、室外熱交換器14が蒸発器として機能するときに、液相冷媒が溜まる。なお、定常時とは、圧縮機起動直後の様に圧縮機11から吐出される冷媒の状態が安定していない状態を除く運転を指す。
【0045】
実施例1の空気調和機1は、室外熱交換器14が蒸発器として機能するときに、液溜め部35に液相冷媒が溜まる。さらに、室外熱交換器14が凝縮器として機能するときに、液溜め部35が気相冷媒で満たされる。すなわち、実施例1の空気調和機1は、冷房運転時に液溜め部35に液相冷媒が貯留されることがなく、冷房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒の量を増加させることができ、冷房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒が不足することを防止することができる。実施例1の空気調和機1は、さらに、冷房運転時に液溜め部35に液相冷媒が貯留されることがないことにより、冷房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒が不足することを見込んで、余分な冷媒を冷媒回路3に充填する必要がなく、冷媒回路3に充填される冷媒の量を低減することができる。
【0046】
また、実施例1の空気調和機1の室外熱交換器14は、外気が流れる領域に配置される複数の扁平伝熱管33を備えている。複数の扁平伝熱管33の各々の内部には、冷媒が流れる複数の流路が形成されている。このため、室外熱交換器14の管内容積は、比較的小さい。実施例1の空気調和機1は、室外熱交換器14の管内容積が小さいことにより、冷媒回路3の管内容積を低減することができ、冷媒回路3を循環する冷媒の量を低減することができる。実施例1の空気調和機1は、冷媒回路3を循環する冷媒の量が小さいことにより、液溜め部35の容積を小さくすることができ、冷媒回路3に充填される冷媒の量を低減することができる。
【0047】
また、実施例1の空気調和機1の液溜め部35は、管内容積V1と冷媒液密度ρ1と管内容積V2と冷媒液密度ρ2とを用いて、(1)式を満たしている。
0.8≦(ρ2・V2)/(ρ1・V1)≦1.2…(1)
ここで、管内容積V1は、室外熱交換器14が凝縮器として機能するときに、第1経路21のうちの液相冷媒で満たされるサブクールパスの容積を示している。冷媒液密度ρ1は、室外熱交換器14が凝縮器として機能するときにサブクールパスに満たされる冷媒の液密度を示している。管内容積V2は、液溜め部35の容積を示している。冷媒液密度ρ2は、室外熱交換器14が蒸発器として機能するときに、液溜め部35に満たされる冷媒の液密度を示している。空気調和機1は、冷房運転時にサブクールパスに密度が大きい液相冷媒が滞留することにより、冷房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒が不足する傾向があり、冷房運転時にサブクールパスに滞留していた液相冷媒が暖房運転時に冷媒回路3を循環することにより、暖房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒が過多になる傾向がある。実施例1の空気調和機1は、暖房運転時に液溜め部35に密度が大きい液相冷媒が貯留されることにより、暖房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒が過多になることを防止し、暖房運転時に液溜め部35に貯留されていた液相冷媒が冷房運転時に冷媒回路3を循環することにより、冷房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒が不足することを防止することができる。すなわち、冷房運転時にサブクールパスに滞留する冷媒と概ね同量の冷媒が暖房運転時に液溜め部35に貯留されるときに、冷媒回路3には、冷房運転が実行されるときでも、暖房運転が実行されるときでも、冷媒の過不足がないように冷媒が適切に循環する。このため、実施例1の空気調和機1は、液溜め部35とサブクールパスとが(1)式が満たされるように形成されていることにより、冷房運転が実行されるときでも、暖房運転が実行されるときでも、冷媒回路3を循環する冷媒の量を適切な量に調整することができる。
【0048】
また、実施例1の空気調和機1は、室外熱交換器14が蒸発器として機能するときに、室外熱交換器14から圧縮機11に流れる室外熱交換器14出口冷媒が蒸発し切らないように、膨張弁15を制御する制御装置51をさらに備えている。また、実施例1の空気調和機1の制御装置51は、室外熱交換器14が蒸発器として機能するときで、室外熱交換器14から圧縮機11に流れる吸入冷媒の吸入過熱度が閾値より大きいときに、吸入過熱度が低下するように膨張弁15を制御する。実施例1の空気調和機1は、暖房運転時に液溜め部35に液相冷媒をより確実に貯留させることができ、暖房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒が過多になることをより確実に防止することができる。
【0049】
また、実施例1の空気調和機1は、室内熱交換器5と中間熱交換器6とをさらに備えている。室内熱交換器5は、室内機25と室外機24とを循環する水と室内の空気とを熱交換する。中間熱交換器6は、冷媒と水とを熱交換する。冷媒を水と熱交換する熱交換器は、冷媒を空気と熱交換する熱交換器と比較して管内容積が小さいため、室外熱交換器14のうちの冷媒が流れる管内容積は、中間熱交換器6のうちの冷媒が流れる管内容積より大きい。すなわち、冷房運転と暖房運転との必要冷媒量の差が顕著になるため、本発明による効果の恩恵が大きい。一方、水回路2を用いず、冷媒回路3における中間熱交換器6を室内熱交換器5に置き換えて、室内熱交換器5において冷媒と空気とを直接熱交換させるようにしても良い。
【0050】
ところで、既述の実施例1の空気調和機1の液溜め部35とサブクールパスとは、(1)式が満たされるように形成されているが、必ずしも(1)式が満たされなくてもよい。実施例1の空気調和機1は、(1)式が満たされない場合でも、液溜め部35に液相冷媒を貯留したりしなかったりすることにより、冷媒回路3を循環する冷媒の量を調整することができ、かつ、冷媒回路3に充填される冷媒の量を低減することができる。なお、液溜め部35は、(2)式が満たされるように、形成されてもよい。
0.9≦(ρ2・V2)/(ρ1・V1)≦1.1…(2)
冷房運転時にサブクールパスに滞留する冷媒と概ね同量の冷媒が暖房運転時に液溜め部35に貯留されるときに、冷媒回路3には、冷房運転が実行されるときでも、暖房運転が実行されるときでも、冷媒の過不足がないように冷媒が適切に循環する。このため、空気調和機1は、(2)式が満たされるときに、(2)式が満たされない場合より、冷媒回路3を循環する冷媒の量をより適切な量に調整することができる。空気調和機1は、さらに、(ρ2・V2)/(ρ1・V1)の値が1.0であるときに、(ρ2・V2)/(ρ1・V1)の値が1.0と異なる場合より、冷媒回路3を循環する冷媒の量をより適切な量に調整することができる。
【0051】
ところで、既述の実施例1の空気調和機1は、暖房運転が実行されるときに高圧液相冷媒が貯留される液溜め部35が室外熱交換器14に設けられているが、液溜め部35と異なる冷媒貯留部に置換されてもよい。冷媒貯留部としては、室外熱交換器14と四方弁12とを接続する流路の途中に設けられている冷媒タンクが例示される。このような冷媒タンクが設けられている場合でも、空気調和機1は、冷媒回路3を循環する冷媒の量を調整することができ、かつ、冷媒回路3に充填される冷媒の量を低減することができる。
ヘッダ出口管36は、ヘッダ出口管36の内部の流路が上側空間38の上部に接続されるように、流出入ヘッダ31を貫通し、流出入ヘッダ31に固定されている。流出入ヘッダ31の内部には、冷媒貯留空間62(冷媒貯留部)がさらに形成されている。冷媒貯留空間62は、流出入ヘッダ31の上側空間38のうちのヘッダ出口管36に接続された部位より下側の空間である。このため、冷媒貯留空間62の容積は、流出入ヘッダ31の内径が変化すると変化し、流出入ヘッダ31のうちのヘッダ出口管36が接合される位置が変化すると変化する。たとえば、冷媒貯留空間62の容積は、流出入ヘッダ31の内径が大きいほど大きくなり、流出入ヘッダ31のうちのヘッダ出口管36が接合される位置が高いほど大きくなる。
実施例2の空気調和機は、既述の実施例1の空気調和機1と同様に、冷房運転と暖房運転とを実行する。冷媒貯留空間62は、管内容積V3と冷媒液密度ρ3とを用いて、(3)式が満たされるように形成されている。
0.8≦(ρ3・V3)/(ρ1・V1)≦1.2…(3)
ここで、管内容積V3は、冷媒貯留空間62の容積を示している。冷媒液密度ρ3は、室外熱交換器61が蒸発器として機能するときに、冷媒貯留空間62に満たされる冷媒の密度を示している。たとえば、流出入ヘッダ31の内径と、流出入ヘッダ31のうちのヘッダ出口管36が接合される位置とは、(3)式が満たされるように設計されている。
実施例2の空気調和機は、実施例1の空気調和機1と同様に、室外熱交換器61が蒸発器として機能するときに、冷媒貯留空間62に液相冷媒が溜まることにより、冷媒回路3を循環する冷媒が過多になることを防止することができる。実施例2の空気調和機は、さらに、室外熱交換器61が凝縮器として機能するときに、冷媒貯留空間62が気相冷媒で満たされることにより、冷媒回路3を循環する冷媒が不足することを防止することができる。実施例2の空気調和機は、さらに、冷房運転時に冷媒貯留空間62に液相冷媒が貯留されることがないことにより、冷房運転時に冷媒回路3を循環する冷媒が不足することを見込んで、余分な冷媒を冷媒回路3に充填する必要がなく、冷媒回路3に充填される冷媒の量を低減することができる。冷房運転時にサブクールパスに滞留する冷媒と概ね同量の冷媒が暖房運転時に冷媒貯留空間62に貯留されるときに、冷媒回路3には、冷房運転が実行されるときでも、暖房運転が実行されるときでも、冷媒の過不足がないように冷媒が適切に循環する。このため、実施例2の空気調和機は、さらに、(3)式が満たされることにより、実施例1の空気調和機1と同様に、冷房運転が実行されるときでも、暖房運転が実行されるときでも、冷媒回路3を循環する冷媒の量を適切な量に調整することができる。
ところで、既述の実施例2の空気調和機の冷媒貯留空間62とサブクールパスとは、(3)式が満たされるように形成されているが、必ずしも(3)式が満たされなくてもよい。実施例2の空気調和機は、(3)式が満たされない場合でも、冷媒貯留空間62に冷媒を貯留したりしなかったりすることにより、冷媒回路3を循環する冷媒の量を調整することができ、かつ、冷媒回路3に充填される冷媒の量を低減することができる。
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。