(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000924
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】衣服内冷却用送風機、送風機付衣服
(51)【国際特許分類】
F04D 25/08 20060101AFI20221222BHJP
F04D 29/52 20060101ALI20221222BHJP
A41D 13/002 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
F04D25/08 301Z
F04D29/52 B
A41D13/002 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102008
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】516311674
【氏名又は名称】株式会社チロル
(74)【代理人】
【識別番号】100127764
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 泰州
(72)【発明者】
【氏名】穐吉 俊行
【テーマコード(参考)】
3B011
3H130
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AC02
3B011AC03
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC01
3H130BA97A
3H130CA21
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DF07X
3H130DF09X
3H130DJ03X
3H130EA07D
3H130EA07H
3H130EB05A
(57)【要約】
【課題】本発明は、嵩高さが解消された新規な衣服内冷却用送風機、及び前記衣服内冷却用送風機を備えた送風機付衣服を提供することを目的とする。
【解決手段】 バッテリー(B)からの電力供給により回転するモータ2と、前記モータ2の駆動力によって回転する羽根車3と、前記羽根車3の周囲を囲うガード4と、を具備してなり、衣服本体(W)内に外気を送り込むための衣服内冷却用送風機1において、前記ガードの厚さ(T)を40mm以下とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服本体に取り付けられて、前記衣服本体内に外気を送り込むための衣服内冷却用送風機であって、
バッテリーからの電力供給により回転するモータと、
前記モータの駆動力によって回転する羽根車と、
前記羽根車の周囲を囲うガードと、
を具備してなり、
前記ガードの厚さが40mm以下となされたことを特徴とする衣服内冷却用送風機。
【請求項2】
請求項1に記載の衣服内冷却用送風機において、
前記バッテリーの端子を接続するためのコネクタを備えたコネクタボックスが前記ガードの周壁に設けられてなる衣服内冷却用送風機。
【請求項3】
請求項2に記載の衣服内冷却用送風機において、
前記コネクタボックスに備えられたコネクタが前記モータの回転軸と平行になるように配されてなる衣服内冷却用送風機。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の衣服冷却用送風機が衣服本体に取り付けられたことを特徴とする送風機付衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服本体に取り付けられて、前記衣服本体内に外気を送り込むための衣服内冷却用送風機、及び前記衣服内冷却用送風機を備えた送風機付衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、作業服等の衣服(以下、「衣服本体」と称する。)内に外気を供給することによって、前記衣服本体内を冷却する送風機付衣服(冷却衣服)が実用化されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の送風機付衣服は、衣服本体の適宜箇所に開けられた穴に送風機を装着し、前記送風機を介して衣服本体内に外気を送り込む仕組みとなされている。
図6に示すように、前記送風機100としては、モータ2によって複数枚の羽根を有する羽根車3(ファン)を回転させるものが一般的であり、前記モータ2を駆動させるための電力は携帯式のバッテリーからケーブル(C)を介して供給される。
【0005】
又、前記送風機100は、取り扱い上の安全性を担保すべく、前記羽根車3の周囲がガード4にて囲まれた構造となされている。そして、
図7に示すように、前記送風機100を衣服本体(W)に備えると、前記送風機100の嵩の殆どが衣服本体(W)の内方に向かって張り出すため、ごつごつとした使用感が生じていた。
【0006】
ここで、単に前記モータ2を小型化すると共に、前記ガード4につき、その厚さ(前記モータの回転軸に沿う方向の厚さ(T))が薄くなるように設計すれば、前記送風機100の嵩高さを簡単に解消することができるように思われる。しかしながら、前記ガード4には前記ケーブル(C)の端子(C1)を接続するためのコネクタ51を備えたコネクタボックス5を配する必要があるため、前記ガード4の厚さにつき45mm以下に設計することは事実上不可能であった。
【0007】
本発明は前記技術的課題に鑑みて開発されたものであり、嵩高さが解消された新規な衣服内冷却用送風機、及び前記衣服内冷却用送風機を備えた送風機付衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を解決する本発明の衣服内冷却用送風機は、衣服本体に取り付けられて、前記衣服本体内に外気を送り込むための衣服内冷却用送風機であって、バッテリーからの電力供給により回転するモータと、前記モータの駆動力によって回転する羽根車と、前記羽根車の周囲を囲うガードと、を具備してなり、前記ガードの厚さが40mm以下となされたことを特徴とする(以下、「本発明送風機」と称する。)。
【0009】
前記本発明送風機においては、前記バッテリーの端子を接続するためのコネクタを備えたコネクタボックスが前記ガードの周壁に設けられてなるものが好ましい態様となる。
【0010】
前記本発明送風機においては、前記コネクタボックスに備えられたコネクタが前記モータの回転軸と平行になるように配されてなるものが好ましい態様となる。
【0011】
前記技術的課題を解決する本発明の送風機付衣服は、前記本発明送風機が衣服本体に取り付けられたことを特徴とする(以下、「本発明衣服」と称する。)。
【発明の効果】
【0012】
本発明送風機によれば嵩高さが解消され、前記本発明送風機が取り付けられた本発明衣服の使用感が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明送風機の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、前記本発明送風機とバッテリーとをケーブルを介して接続する様子を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、前記本発明送風機を断面状態で示す側面図である。
【
図4】
図4は、前記本発明送風機を備えた本発明衣服を内方側から見た正面図である。
【
図5】
図5は、前記本発明衣服に取り付けられた前記本発明送風機を拡大して示す側面図である。
【
図6】
図6は、従来の送風機を示す斜視図(a)と、断面状態で示す側面図(b)である。
【
図7】
図7は、衣服本体に取り付けられた従来の送風機を拡大して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0015】
<本発明送風機1>
図1に、本発明送風機1の一実施形態を示す。前記本発明送風機1は、「モータ(2)」と、前記モータ2の駆動力によって回転する「羽根車(3)」と、前記羽根車3の周囲を囲う「ガード(4)」と、を具備する。
【0016】
‐モータ2‐
前記モータ2は、ローレンツ力(磁場と電流の相互作用)によって発生する力を利用して回転運動を出力する機械要素を意味する。本実施形態においては、前記モータ2として、供給される電力により駆動する市販の模型用電動モータを用いた。
【0017】
‐羽根車3‐
前記羽根車3は、前記モータ2の駆動力(前記モータ2から出力された回転運動)を受けて回転することによって、一定方向に向かう空気の流れを発生させるための機械要素である。
図3に示すように、本実施形態においては、前記羽根車3として、前記羽根車3の回転中心をなすボス31と、前記ボス31を中心として放射状に配された五枚の烏帽子型の羽根32と、を具備してなる七枚羽根ロータを用いた。
【0018】
‐ガード4‐
前記ガード4は、前記羽根車3の周囲を囲うことによって、前記本発明送風機1の使用中の安全性を確保するものである。又、前記ガード4は、前記羽根車3の回転によって発生させた空気の流れを通過させ得る構造をなす必要があることから、少なくとも前記羽根車3の羽根32の表裏面に臨む部分には、メッシュ状、網状、或いは格子状などの開き目が設けられる。本実施形態においては、前記ガード4につき、寸胴の周壁411とドーム状の天井部412とを有するガード本体41、及び、前記ガード本体41の開口部分を覆うガード蓋42の二部材とし、前記ガード本体41の周壁411の内面に設けられた雌ネジと、前記ガード蓋42の外周壁に設けられた雄ネジとを螺合させることによって、前記モータ2及び前記羽根車3の周囲を囲う空間が形成される構造とした。なお、前記モータ2は、前記ガード本体41の中央に固定されている。
【0019】
図2に示すように、前記本発明送風機1はバッテリー(B)からケーブル(C)を介して電力が供給される仕組みとなされている。そのため、前記本発明送風機1には、更に、前記ケーブル(C)の端子(C1)を接続させるためのコネクタ51を備えた「コネクタボックス(5)」が備えられる。
【0020】
‐コネクタボックス5‐
本発明において前記コネクタボックス5は、前記ガード4の周壁411に設けられる。なお、本実施形態においては、前記コネクタボックス5に備えられたコネクタ51につき、前記モータ2の回転軸21と平行になるようにしている。
図3に示すように、前記コネクタ51と前記モータ2とは配線(L)を介して接続されており、本実施形態においては、前記配線(L)につき、前記ガード本体41の天井部412に沿って配された中空の配線ボックス43内に収納させた状態で配した。
【0021】
前記構成を有する本発明送風機1は、前記コネクタボックス5が前記ガード4の周壁411に設けられているため、
図6に示すような従来の送風機100と比較して、前記ガード4におけるガード本体41の天井高を相当低く設計することができる。
【0022】
そのため、前記本発明送風機1では前記ガード4の厚さ(前記モータ2の回転軸21に沿う方向の厚さ(T))につき、従来の送風機100では到底成し得なかった40mm以下(本実施形態においては33.55mm)に設計することが可能となる。
【0023】
<本発明衣服10>
図4に、前記本発明送風機1を備えた本発明衣服10を示す。前記本発明衣服10は、前記本発明送風機1が衣服本体(W)に取り付けられたものである。前記本発明衣服10は、前記本発明送風機1によって前記衣服本体(W)の外部から内部に向かう空気の流れを発生させることによって、外気を前記衣服本体(W)内に送り込み、もって、前記衣服本体(W)内を冷却するものである。本実施形態においては、前記衣服本体(W)の複数個所(二箇所)に穴をあけ、各穴に前記本発明送風機1を取り付けることによって前記本発明衣服10を構築した。
【0024】
図5に示すように、前記構成を有する本発明衣服10は、前記ガード4の厚さ(T)が40mm以下となされた前記本発明送風機1が取り付けられたものであることから、前記衣服本体(W)の内方向へ向かう張り出しが少なくなり、その結果、従来の送風機100を備えた衣服本体(W)に生じていたごつごつとした使用感が緩和されたものとなる。
【0025】
ところで、本実施形態においては前記本発明送風機1の厚さ(T)につき33.55mmに設計しているが、前記本発明送風機1の厚さ(T)が40mm以下(好ましくは30~35mm)であれば前記本発明衣服10の使用感が向上することが確認されている。
【0026】
なお、本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、外気を衣服本体内に供給することによって、前記衣服本体内を冷却する手段として好適に利用される。
【符号の説明】
【0028】
1 本発明送風機(衣服内冷却用送風機)
2 モータ
21 回転軸
3 羽根車
31 ボス
32 羽根
4 ガード
41 ガード本体
411 周壁
412 天井部
42 ガード蓋
43 配線ボックス
5 コネクタボックス
51 コネクタ
10 本発明衣服(送風機付衣服)
100 (従来の)送風機