(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092408
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】歩行の機能と姿勢を回復改善し、中腰の踏ん張る力を高める方法
(51)【国際特許分類】
A61H 3/00 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
A61H3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021215553
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】595044328
【氏名又は名称】池田 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】池田 俊幸
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA08
4C046AA22
4C046AA42
4C046AA49
4C046BB08
4C046BB09
4C046CC01
4C046DD06
4C046DD39
4C046DD41
(57)【要約】
【課題】脳血管障害や脊椎の変形老化が原因で尖足麻痺に、あるいは、膝の変形で擦り足歩行になった人に、発症前の正常歩行を回復する実用性の高い方法を提供する。
【解決手段】足首を固定しないでも尖足麻痺患者の尖足位に戻ろうとする強力な抵抗力に耐えて足関節を背屈位に保つ機能を備えた運動補助具を、基本、両下肢に装着するだけの簡便な方法で発症前の歩行形態を再現、脳の運動神経回路の回復を促して歩行機能と姿勢の改善に繋げる運動器機能向上の方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足首を固定しないでも尖足麻痺患者の尖足位に戻ろうとする強力な抵抗力に耐えて足関節を背屈位に保つ機能を備えた運動補助具を、基本、両下肢に装着するだけの簡便な方法で脚の踏ん張る力を高めて発症前の歩行形態を再現、脳の運動神経回路の回復を促して歩行機能と姿勢を改善しつつ、中腰での腰砕けと膝折れの防止に繋げる運動器機能向上の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足首を固定しない仕様でも片麻痺や脊柱管狭窄症などに起因する尖足麻痺患者の尖足位に戻ろうとする強力な抵抗力に耐えて、足関節を背屈位に保つ機能を備えた運動補助具を、基本、両脚に装着することで発症前の歩行形態を再現して脳の運動神経回路の回復を促し歩行の機能と姿勢を改善、中腰での踏ん張る力を高める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の補装具としては脳血管障害による尖足麻痺患者の場合、足首をプラスチック、あるいは、靴と金属が一体となった装具で固定する、また、脊柱管狭窄症では腰部コルセット、変形性膝関節症では膝を固定するサポーターがあった。また、片麻痺患者の症状固定の壁を越える治療法として機械によって脳に信号を送ることで発症前の動きを再現して機能回復に繋げるBMI療法が先端技術として注目を集めている。踏ん張る力を高めて腰の負担を軽減する方法としては介護や運送業向けのロボットスーツが開発されている。
【先行技術文献】
【非特許文献1】田村式義肢制作工業所 https://www.tamurashiki-gishi.com/
【非特許文献2】湘南ロボケアセンター株式会社 http://www.robocare.jp/shonan/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
足首を固定する仕様の装具では片麻痺特有のぶん回し歩行が改善されず、発症後半年経過した時点でこの先は症状の回復が見込めないとする症状固定の壁が解決されずに来た。また、BMI療法は大がかりな設備と高度な技術が必要となるため広く汎用化されるには課題があった。さらには、腰部コルセットはかがんだ時に痛い、金具のついた膝サポーターは窮屈などの理由で継続使用されないケースが多かった。また、ロボットスーツは装着が困難、膝折れ現象の対策が不十分などの課題があった。
【課題を解決するための手段】
【発明の効果】
【0004】
本出願に当たり足首を固定しない仕様の装具と従来の装具の効果を比較証検証する目的で当院の患者さんを対象に、また、福祉施設の機能訓練士に依頼して数十例のモニターを実施した。その結果、3年前の脊椎硬膜下血腫で通常歩行もままならなかった人が小走り出来る様になる。30年前の交通事故で脳の高次脳機能障害を来たし千鳥足歩行で左右に大きくふらつきながら歩いていた人が真っ直ぐ歩けるようになった。片麻痺の患者が足首を固定しないでもしっかり歩けるようになった。膝を曲げ背中を丸めて歩いていた脊柱管狭窄症や変形性膝関節症の患者が背筋を伸ばして歩けるようになるなど、ほぼ全員に歩行の改善がみられた。そして、モニターの皆様が口を揃えて言ったことは、脚の踏ん張りが利いて足腰が安定して階段の上り下りも安心出来るであった。ところが、装具の効果は装着時だけに止まらず、装具を外した後も発症前の正常歩行に近い歩き方が持続した症例が多数名確認された。
脚の踏ん張り利くようになったメカニズムについては、弾性体が機能不全に陥った足首を背屈位に上げる前頸骨筋などの筋肉を代用したと、また、装具を外した後も発症前の正常歩行に近い歩き方が持続した理由については、関節を固定しない仕様の装具を装着して発症前の歩き方を実体験したことが引き金となって脳の神経回路に好適作用が生まれ、前述のBMI療法と同様の効果が発生したと考えられる。
つまり、装着して歩くだけの簡便かつこれまでになかった新しい歩行機能改善方法であり、本方法が医療現場などに広く普及した場合には、尖足麻痺患者の自立支援に革新的な進展がみられるものと推察される。
そして、本法で活用した装具を装着した時の効果は歩行改善だけでなく、中腰で物を持ち上げる際に足腰で踏ん張る力が増強されることも判明した。よって、例えば、介護士が車椅子移乗などの際に腰が砕けや膝が折れて利用者と一緒に転ぶ、あるいは、支えきれずに落としてしまうなどの事故発生頻度軽減、階段での踏み外し対策用途にも活かされる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】 装具を両脚に装着した姿を斜めから見た図である
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について従来の装具の課題を解決する手段を説明する。従来、脳血管障害に起因する尖足麻痺の患者に対しては足首をプラスチック、あるいは靴と金属が一体となった装具で固定して足首の下垂防ぐ装具が定番として汎用されていたが、この仕様の装具では患側肢をぶん回しの歩行を余儀なくされる為、腰や健側の股関節、膝、足首などに大きな負荷が掛かり軟骨がすり減って機能不全が早まる、あるいは、半年経過でこれ以上の回復は見込めないとされる症状固定の課題が解消されず、患者の自立した生活の妨げになっていた。また、運動神経回路の回復が証明されたBMI療法では、コンピューターなどの大がかりな装置と高い操作技術が必要であり、広く普及する為には多くの課題が残されているのが現状である。
そこで、本方法では両下肢に足首を固定しない運動補助具を装着するだけの簡便な方法で、発症前の正常歩行を再現して失われた脳の運動神経回路の回復を促すもので、尖足麻痺患者に対し症状固定の壁を越えた実用性の高い歩行機能の回復法を提供する。また、国内だけでも約4千万人いるとされる脊柱管狭窄症や変形性膝関節症患者に多くみられ、つまずき転倒リスクが高い前傾姿勢の擦り足歩行の改善にも繋がるもので、転倒から要介護、更には寝たきりになる事例が後を絶たない状況にあって、国や自治体の福祉費用、家族の介護負担軽減が期待出来る。
更には、老々介護や介護士の高齢化に伴う介護事故発生頻度の増加を抑える、あるいは死亡事故にも繋がる階段の踏み外し対策用途にも活用出来るなど、国が抱える課題の解消と人々の幸せな暮らしの創造に繋がる発明である。
【符号の説明】
【0007】
1 サポーター
2 脛当てパッド
3 張力調整ストッパー
4 締め付けベルト
5 弾性連結体
6 フック
7 連結リング