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特開2023-92411消雪ノズルおよび消雪ノズルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092411
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】消雪ノズルおよび消雪ノズルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E01H 5/00 20060101AFI20230626BHJP
   E01H 3/04 20060101ALI20230626BHJP
   B05B 1/20 20060101ALI20230626BHJP
   B05B 1/32 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
E01H5/00 Z
E01H3/04 A
B05B1/20 101
B05B1/32
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021215556
(22)【出願日】2021-12-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】515071649
【氏名又は名称】株式会社テクノクラート
(72)【発明者】
【氏名】荒 仁
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033AA08
4F033BA04
4F033DA05
4F033EA06
4F033GA04
4F033NA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】消雪ノズル内の流通抵抗が小さい消雪ノズルを得ることと、製作が容易な消雪ノズルの製造方法を提供する。
【解決手段】路面に消雪水を噴出する散水部材3と散水部材が装着されるノズル本体2とよりなる消雪ノズル1であって、ノズル本体は逆円錐形状の空洞部21aよりなる上部21と、地下からの消雪水の流通する導水管16が嵌入する貫通孔22aよりなる下部22とを有し、散水部材は円形平板として裏面3aに凹部4を形成し、凹部4の中央に円筒6aを有する開口6を穿設してなり、散水部材の裏面をノズル本体の上部21の先端に摩擦圧接により接合し、散水部材の開口より流量調整弁9を挿入し、流量調整弁の下端が着座する支持部材12を貫通孔の空洞部への出口端22bに嵌合し、支持部材12の上面に摩擦圧接により短くなるノズル本体の縦方向の長さを流量調整弁の軸長に合致するよう修正する窪み12を設け、窪みに流量調整弁の下端が着座する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に消雪水を噴出する散水部材と、この散水部材が装着されるノズル本体とよりなる消雪ノズルであって、
前記ノズル本体は逆円錐形状の空洞部よりなる上部と、地下からの消雪水の流通する導水管が嵌入する貫通孔よりなる下部とを有し、前記散水部材は円形平板として裏面に凹部を形成し、この凹部の中央に円筒を有する開口を穿設してなり、前記散水部材の前記裏面を前記ノズル本体の前記上部の先端に摩擦圧接により接合し、
前記散水部材の前記開口より流量調整弁を挿入し、この流量調整弁の下端が着座する支持部材を前記貫通孔の前記空洞部への出口端に嵌合し、前記支持部材の上面に摩擦圧接により短くなる前記ノズル本体の縦方向の長さを前記流量調整弁の軸長に合致するよう修正する窪みを設け、この窪みに前記流量調整弁の下端が着座することを特徴とする消雪ノズル。
【請求項2】
円形平板の前記散水部材の外周を前記ノズル本体の前記上部の外側より外方に突出させ、この突出する前記散水部材の外周の裏面に複数の凹状の上部回り止めを形成してなることを特徴とする請求項1に記載の消雪ノズル。
【請求項3】
前記導水管が嵌入する前記ノズル本体の前記下部の外周を切欠き、断面非円形状の下部回り止めを形成することを特徴とする請求項2に記載の消雪ノズル。
【請求項4】
前記凹部の外周となる前記散水部材の前記裏面に環状突出部を形成し、この環状出部に前記ノズル本体の前記上部の先端を摩擦圧接により接合することを特徴とする突請求項1乃至請求項3に記載の消雪ノズル。
【請求項5】
路面に消雪水を噴出させる散水部材と、この散水部材が装着されるノズル本体とよりなる消雪ノズルの製造方法であって、
前記ノズル本体の上部を逆円錐形状の空洞部になるよう成形し、前記ノズル本体の下部に前記導水管を嵌入される貫通孔を設け、
前記散水部材を円形平板として裏面に凹部と、この凹部の中央に円筒を有する開口とを成形し、
前記開口より前記空洞部内に挿入される流量調整弁の下端が着座する支持部材を前記貫通孔の出口端に嵌合し、
そして、前記ノズル本体を摩擦圧接装置の可動チャック台に装着するとともに、前記散水部材を固定チャック台に装着し、前記ノズル本体を回転させながら先端を前記凹部の外周となる前記散水部材の裏面に摩擦圧接し、前記摩擦圧接装置に有する光センサにより実測した前記可動チャック台の移動量を計測し、この計測した移動量に基づき、前記支持部材の上面に摩擦圧接により短くなる前記ノズル本体の縦方向の長さを前記流量調整弁の軸長に合致するよう修正する窪みを切削ドリル装置のドリルにより形成し、前記流量調整弁を前記開口に螺合して前記流量調整弁の下端を前記窪みに着座させることを特徴とする消雪ノズルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、路面に積雪した雪を消雪するため路面や駐車場に埋設する消雪ノズルおよび消雪ノズルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路や駐車場などに消雪を目的として路面に埋設されるものとして、下部に地下水が給水される流通路を有し、内部に弁機構を設け、上部に噴出孔を設けた散水ノズルが知られている。
この種の散水ノズルは、上部に開口を有する消雪ノズル本体と、消雪水の噴出孔を有する蓋体と別々にして、大きな開口を形成して消雪ノズルを鋳造により製作されている(特許文献1)。
【0003】
この場合、消雪ノズル本体の開口の大きさを蓋体の外径に合わせると、開口が小さくなり消雪ノズル本体の内壁面が複雑に変化すると、鋳造が壁面の肉厚にバラツキができるなどの欠点があり、また、消雪ノズル本体の開口を大きくすると、蓋体との結合工程が複雑で多工程になりコスト高になるという問題点が生じる。しかも、消雪ノズルを製作する鋳造方法となるロストワックスは、近年では環境に問題があるとして採用を禁止されるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-31405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、構造を簡単にして消雪ノズル内の流通抵抗が小さい消雪ノズルを得ることができ、製造が容易な消雪ノズルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0007】
請求項1に記載の発明は、路面に消雪水を噴出する散水部材と、この散水部材が装着されるノズル本体とよりなる消雪ノズルであって、
前記ノズル本体は逆円錐形状の空洞部よりなる上部と、地下からの消雪水の流通する導水管が嵌入する貫通孔よりなる下部とを有し、前記散水部材は円形平板として裏面に凹部を形成し、この凹部の中央に円筒を有する開口を穿設してなり、前記散水部材の前記裏面を前記ノズル本体の前記上部の先端に摩擦圧接により接合し、
前記散水部材の前記開口より流量調整弁を挿入し、この流量調整弁の下端が着座する支持部材を前記貫通孔の前記空洞部への出口端に嵌合し、前記支持部材の上面に摩擦圧接により短くなる前記ノズル本体の縦方向の長さを前記流量調整弁の軸長に合致するよう修正する窪みを設け、この窪みに前記流量調整弁の下端が着座することを特徴とする消雪ノズルである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、円形平板の前記散水部材の外周を前記ノズル本体の前記上部の外側より外方に突出させ、この突出する前記散水部材の外周の裏面に複数の凹状の上部回り止めを形成してなることを特徴とする請求項1に記載の消雪ノズルである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記導水管が嵌入する前記ノズル本体の前記下部の外周を切欠き、断面非円形状の下部回り止めを形成することを特徴とする請求項2に記載の消雪ノズルである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記凹部の外周となる前記散水部材の前記裏面に環状突出部を形成し、この環状出部に前記ノズル本体の前記上部の先端を摩擦圧接により接合することを特徴とする突請求項1乃至請求項3に記載の消雪ノズルである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、路面に消雪水を噴出させる散水部材と、この散水部材が装着されるノズル本体とよりなる消雪ノズルの製造方法であって、
前記ノズル本体の上部を逆円錐形状の空洞部になるよう成形し、前記ノズル本体の下部に前記導水管を嵌入される貫通孔を設け、
前記散水部材を円形平板として裏面に凹部と、この凹部の中央に円筒を有する開口とを成形し、
前記開口より前記空洞部内に挿入される流量調整弁の下端が着座する支持部材を前記貫通孔の出口端に嵌合し、
そして、前記ノズル本体を摩擦圧接装置の可動チャック台に装着するとともに、前記散水部材を固定チャック台に装着し、前記ノズル本体を回転させながら先端を前記凹部の外周となる前記散水部材の裏面に摩擦圧接し、前記摩擦圧接装置に有する光センサにより実測した前記可動チャック台の移動量を計測し、この計測した移動量に基づき、前記支持部材の上面に摩擦圧接により短くなる前記ノズル本体の縦方向の長さを前記流量調整弁の軸長に合致するよう修正する窪みを切削ドリル装置のドリルにより形成し、前記流量調整弁を前記開口に螺合して前記流量調整弁の下端を前記窪みに着座させることを特徴とする消雪ノズルの製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0013】
請求項1に記載の発明では、路面に消雪水を噴出する散水部材と、この散水部材が装着されるノズル本体とよりなる消雪ノズルであって、
前記ノズル本体は逆円錐形状の空洞部よりなる上部と、地下からの消雪水の流通する導水管が嵌入する貫通孔よりなる下部とを有し、前記散水部材は円形平板として裏面に凹部を形成し、この凹部の中央に円筒を有する開口を穿設してなり、前記散水部材の前記裏面を前記ノズル本体の前記上部の先端に摩擦圧接により接合し、
前記散水部材の前記開口より流量調整弁を挿入し、この流量調整弁の下端が着座する支持部材を前記貫通孔の前記空洞部への出口端に嵌合し、前記支持部材の上面に摩擦圧接により短くなる前記ノズル本体の縦方向の長さを前記流量調整弁の軸長に合致するよう修正する窪みを設け、この窪みに前記流量調整弁の下端が着座するので、前記ノズル本体と前記散水部材とが簡単に一体化でき消雪ノズルの製造が容易になり、しかも、前記ノズル本体を前記散水部材に摩擦圧接により接合しても、流量調整弁の形状変更がなく軸長を維持した状態で前記ノズル本体に前記流量調整弁を組付けることができ、流量調整弁の着座精度を確保され、消雪水が流量調整弁以外の周囲より漏れ流れることがなく調整された消雪水を路面に噴出できる。また、前記散水部材の前記裏面の中央に前記凹部を設けることにより、前記散水孔までの流路の容積が広くなり、この凹部に前記ノズル本体2の前記上部の先端内側にできる摩擦圧接によるバリが突出しも、消雪水の流通抵抗にならなく勢いよく噴水孔から路面に噴出にできる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、円形平板の前記散水部材の外周を前記ノズル本体の前記上部の外側より外方に突出させ、この突出する前記散水部材の外周の裏面に複数の凹状の上部回り止めを形成してなるので、前記散水部材に走行車両のタイヤが乗り上げてタイヤが左右しても、前記散水部材の回動が阻止され、前記散水部材に接合される前記ノズル本体も回動しなくなる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、前記導水管が嵌入する前記ノズル本体の前記下部の外周を切欠き、断面非円形状の下部回り止めを形成するので、前記散水部材の前記上部回り止め部との上下で回り止めでき、コンクリートブロック内での消雪ノズルの回動に対する抵抗が大きくなり、確実にコンクリートブロック内に固定できる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、前記凹部の外周となる前記散水部材の前記裏面に環状突出部を形成し、この環状出部に前記ノズル本体の前記上部の先端を摩擦圧接により接合するので、前記ノズル本体の前記上部の先端の圧接のための移動が大きくでき、散水部材に対する接合力が増し前記ノズル本体と前記散水部材との一体化が確実になり、しかも、前記散水部材の板厚が摩擦接合による溶融によって薄くなることがなく前記散水部材の強度は低下しない。
【0017】
請求項5に記載の発明では、路面に消雪水を噴出させる散水部材と、この散水部材が装着されるノズル本体とよりなる消雪ノズルの製造方法であって、
前記ノズル本体の上部を逆円錐形状の空洞部になるよう成形し、前記ノズル本体の下部に前記導水管を嵌入される貫通孔を設け、
前記散水部材を円形平板として裏面に凹部と、この凹部の中央に円筒を有する開口とを成形し、
前記開口より前記空洞部内に挿入される流量調整弁の下端が着座する支持部材を前記貫通孔の出口端に嵌合し、
そして、前記ノズル本体を摩擦圧接装置の可動チャック台に装着するとともに、前記散水部材を固定チャック台に装着し、前記ノズル本体を回転させながら先端を前記凹部の外周となる前記散水部材の裏面に摩擦圧接し、前記摩擦圧接装置に有する光センサにより実測した前記可動チャック台の移動量を計測し、この計測した移動量に基づき、前記支持部材の上面に摩擦圧接により短くなる前記ノズル本体の縦方向の長さを前記流量調整弁の軸長に合致するよう修正する窪みを切削ドリル装置のドリルにより形成し、前記流量調整弁を前記開口に螺合して前記流量調整弁の下端を前記窪みに着座させるので、前記流量調整弁の形状変更がなく軸長を維持した状態で前記流量調整弁を精度よく前記ノズル本体に組付けることができ、路面に消雪水を噴出させる散水部材と前記ノズル本体とが簡単に一体化でき、消雪ノズルの製造が易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明における第1の実施の形態を示す断面図。
図2図1におけるA-A線に沿う断面図。
図3図1におけるB-B線に沿う断面図。
図4】この発明における散水部材の製造方法を示す説明図。
図5】この発明におけるノズル本体の製造方法を示す説明図。
図6】この発明における消雪ノズルの製造方法を示す説明図。
図7】この発明における散水部材の第2の実施の形態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の消雪ノズルおよび消雪ノズルの製造方法の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明にこれは限定されない。
【0020】
この発明の消雪ノズルおよび消雪ノズルの製造方法について、第1の実施の形態を図1乃至図6に基づいて説明する。図1は路面に埋設されるコンクリートブロック上面に対して面一に設置される消雪ノズル1の全体を示すものである。
【0021】
この消雪ノズル1は路面に消雪水を噴出させる散水部材3と、この散水部材3が装着されるノズル本体2と、路面に噴出する消雪水を制御する流量調整弁9とよりなる。
【0022】
前記散水部材3は、図4に示すように鍛造成形した円形平板よりなり、前記散水部材3の裏面3aの平坦面に凹部4と、外周の前記裏面3aの複数個所に上部回り止め8を形成し(a参照)、されに前記凹部4の中央に円筒6aを有する開口6を設け(b参照)、前記開口6の前記円筒6aの先端内周に雄ネジ6bを螺設するとともに、前記散水部材3の表面3bより前記凹部4に連通する複数の噴水孔7を穿設する(c参照)。
【0023】
一方、前記ノズル本体2は、図5に示すようにステンレス棒材を鍛造金型のパンチPとダイDにより中央に逆円錐形状の空洞部21aを有する前記上部21と、前記上部21に繋がる円筒形状の下部22とよりなる(a参照)。
【0024】
前記ノズル本体2の前記下部22には導水管16を嵌入する貫通孔22aを設け、この貫通孔22aの前記空洞部21aへの出口端22bに段部22cを形成し(b参照)、前記段部22cに前記散水部材3の前記開口6より前記空洞部21a内に挿入される前記流量調整弁9の下端が着座する支持部材12を嵌合する(c参照)。
【0025】
前記支持部材12には前記導水管17からの消雪水を前記流量調整弁9に流入させる流通孔12bを穿設し、前記支持部材12の外周と前記貫通孔22aの前記空洞部21aへの前記出口端22bとの間に大径Oリング13を介在し、この大径Oリング13によりシールされ、地下からの消雪水は前記流通孔12bより前記流量調整弁9にのみ流通する。
【0026】
前記ノズル本体2と前記散水部材3とは図6(a)に示すように摩擦圧接装置17により、前記ノズル本体2を回転させながら前記ノズル本体2の前記上部21の先端を前記散水部材3の前記裏面3aに圧接させ、これにより生じる摩擦熱で圧接面が溶融し、前記ノズル本2が前記散水材部3に接合される。この際、前記ノズル本体2の前記上部21の先端の外周にバリができ、前記上部21の先端外側のバリは削除され、前記上部21の先端内側のバリは前記凹部4に突出する。
【0027】
前記支持部材12の上面には、図6(b)に示すように摩擦圧接により短くなる前記ノズル本体2の縦方向の長さを前記流量調整弁9の軸長に合致するよう修正する窪み12aを切削ドリル装置20により形成する。
【0028】
前記散水部材3の前記開口6より前記ノズル本体2の前記空洞部2内に挿入され、下端が前記窪み12aに着座する前記流量調整弁9は、前記開口6の前記円筒6aに螺設した前記雄ネジ6bに螺合する弁筒9aと、この弁筒9aに回動可能に挿入された弁棒9bとよりなる。なお、符号10は小径Oリングである。
【0029】
前記弁筒9aには径方向に開口した横孔9cを前記弁棒9bにより、前記横孔9cから前記空洞部21aに流出する消雪水を制御する。前記弁棒9bは上端に設けた操作溝9dを工具により回し、前記横孔9cの開度を変化させるとともに、前記弁棒9bが前記横孔9cを完全に塞いで止水するように構成している。なお、符号11は着脱可能な埋栓である。
【0030】
前記散水部材3の外径を前記ノズル本体2の上部21の先端外径より大きくし、これにより前記散水部材3の外周が前記ノズル本体2の前記上部21の外側より外方に突出し、この突出する前記散水部材3の外周の前記裏面3aに複数の凹状の上部回り止め8を形成し、路面のコンクリートブロック内に埋設した前記消雪ノズル1の回動を阻止する。
【0031】
また、前記上部回り止め8に対し、前記導水管16が接続される前記下部22の外周を切欠いて断面非円形状の下部回り止め14を形成し、路面の直下に埋設される前記散水部材3の回動を阻止する上部回り止め8とともにコンクリートブロック内に埋設した前記ノズル本体2の回動を確実に阻止する。
【0032】
さらに、前記導水管16が接続される前記下部22には、切削加工により凹状の上下位置決め15を穿設し、この上下位置決め15により前記消雪ノズル1を前記コンクリートブロック内に埋設する際、前記消雪ノズル1の上下の位置ずれが生じなくなり、前記コンクリートブロックの上面と面一にできるとともに、前記消雪ノズル1の抜け止めとして機能する。
【0033】
さらに、図4乃至図6により消雪ノズル1の製造方法を説明する。まず、図4に示すように円形平板を鍛造により前記散水部材3の裏面3aの平坦面に凹部4と、外周の前記裏面3aの複数個所に凹状の上部回り止め8を形成し(a参照)、さらに、前記凹部4の中央に円筒6aを有する開口6を形成し(b参照)。この鍛造成形の後、前記開口6の前記円筒6aの先端内周に雄ネジ6bを螺設するとともに、前記散水部材3の表面3bより前記凹部4に連通する複数の噴水孔6を穿設する(c参照)。
【0034】
一方、図5に示すように前記ノズル本体2を鍛造金型のパンチPとダイDにより中央に逆円錐形状の空洞部21aを有する前記上部21と、前記上部21に繋がる円筒形状の下部22とよりなるノズル本体2を鍛造成形する(a参照)。
【0035】
前記ノズル本体2の前記下部22には導水管16を嵌入される貫通孔22aを設け、この貫通孔22aの前記空洞部21aへの出口端22bに段部22cを形成する(b参照)。
【0036】
そして、前記段部22cに前記散水部材3の前記開口6より前記空洞部21a内に挿入される前記流量調整弁9の下端が着座する支持部材12を嵌合する(c参照)。
【0037】
次に、図6に示すように前記散水部材3を摩擦溶接装置17の固定チャック台17bに、前記ノズル本体2を可動チャック台17aに装着し、前記ノズル本体2を回転させながら前記ノズル本体2の前記上部21の先端を前記散水部材3の前記裏面3aに圧接させ、これにより生じる摩擦熱で圧接面が溶融し、前記散水部材3に前記ノズル本体2が接合される(a参照)。
【0038】
前記摩擦圧接装置17には、前記可動チャック台17aに光を発する発光素子18aと、前記固定チャック台17bの反射面18cより反射して戻ってきた光を受光する受光素子18bとよりなる光センサ18を備え、前記可動チャック台17aの移動の開始前および移動の完了後において前記光センサ18によって前記発光素子18aの発光から前記受光素子18bの受光までの所要時間を計測し、これを制御部19にて演算して前記可動チャック台17aの移動距離をメモリーに記憶させる。
【0039】
そして、前記散水部材3が接合された前記ノズル本体2を切削ドリル装置20に装着し、前記切削ドリル装置20のドリル20aを前記散水部材3の前記開口6より挿入し、前記摩擦圧接において前記光センサ18により実測して求め前記制御部19に記憶した移動距離に基づき、前記切削ドリル装置20の前記ドリル20aを移動させて前記貫通孔22aの出口端22bに嵌合した前記支持部材12の上面に前記窪み12aを切削する(b参照)。
【0040】
このように、摩擦圧接により前記ノズル本体2の縦方向に短くなるが、前記ノズル本体2の縦方向の長さを修正するための前記窪み12aを前記支持部材12の上面に切削形成し、前記開口6より挿入する前記流量調整弁9を前記円筒6aの前記雄ネジ6bに螺合し、前記流量調整弁9の下端を前記支持部材12の上面の前記窪み12aに確実に着座する(c参照)。
【0041】
以上の製造方法によると、摩擦圧接により前記散水部材3と前記ノズル本体2とが簡単に一体化ができ、前記消雪ノズル1の製造が容易になり、しかも、摩擦圧接により前記ノズル本体2の縦方向が短くなっても、前記流量調整弁9の軸長が変わるような形状にすることなく前記ノズル本体3に前記流量調整弁9を組み込むことができる。
【0042】
また、前記散水部材3の前記裏面3aの中央に前記凹部4を設けることにより、前記散水孔7の入口までの流路の容積が広くでき、前記上部21の先端内側よりバリが突出しても、これが前記空洞部21aからの消雪水の流通抵抗にならなく、前記散水孔7までの消雪水の流通が円滑になる。
【0043】
さらに、前記散水部材3における第2の実施の形態を図7に基づいて説明する。この実施の形態において第1の実施の形態と同じ構成は同一の符号を付す。
【0044】
この実施の形態では、鍛造成形により前記散水部材3の前記裏面3aの前記凹部4の直径以上の内径よりなる環状突出部5を形成するとともに、前記散水部材3の外周の前記裏面3aの複数個所に凹状の前記上部回り止め8を形成する(a参照)。
【0045】
そして、第1の実施の形態の散水部材3と同じように、前記凹部4の中心に前記円筒6aを有する前記開口6を設け(b参照)、さらに前記散水部材3の上面より前記凹部4に連通する複数の前記噴水孔7を穿設し、前記開口6の前記円筒6aの先端内周に雄ネジ6bを螺設する(c参照)。
【0046】
これにより、前記ノズル本体2に対して前記散水部材3の摩擦圧接が容易になり、前記ノズル本体2の上部21の先端の圧接のための移動が大きくでき、散水部材3に対する接合力が増し前記ノズル本体2と前記散水部材3との一体化が確実になり、しかも、前記散水部材3の板厚が摩擦接合による溶融によって薄くなることがなく前記散水部材3の強度は低下しない。
【0047】
以上の消雪ノズル1に構成において、前記散水部材3は鍛造成形した円形平板よりなり、前記ノズル本体2は逆円錐形状の前記空洞部21aよりなる前記上部21と、地下からの消雪水の流通する前記導水管が16接続される前記下部22とを有し、
前記ノズル本体2の前記下部22に前記導水管16を嵌入する前記貫通孔22aを設け、前記ノズル本体2の前記上部21の先端に前記散水部材3を摩擦圧接により接合し、前記散水部材3の中央に穿設する前記開口4より前記流量調整弁7を挿入し、この流量調整弁7の下端を前記貫通孔22aの前記空洞部21aへの開口端の内周壁に嵌合する前記支持部材10に着座させ、前記支持部材10の上面に摩擦圧接により生じる前記ノズル本体2の軸方向の長さを修正するための前記窪み11を設けることにより、前記散水部材3の前記ノズル本体2への一体化が簡単になり、しかも、前記ノズル本体2を前記散水部材3に摩擦圧接により接合しても、前記流量調整弁9の形状変更がなく軸長を維持した状態で前記ノズル本体2に前記流量調整弁9を組付けることができ、前記流量調整弁9の着座精度を確保され、消雪水が前記流量調整弁9以外の周囲より漏れ流れることがなく調整された消雪水を路面に噴出できる。また、前記散水部材3の前記裏面3aの中央に前記凹部4を設けることにより、前記散水孔7までの流路の容積が広くなり、この凹部4に前記ノズル本体2の前記上部21の先端内側にできる摩擦圧接によるバリが突出しも、消雪水の流通抵抗にならなく勢いよく前記噴水孔7から路面に噴出にできる。
【0048】
また、円形平板の前記散水部材3の外周を前記ノズル本体2の前記上部21の外側より外方に突出させ、この突出する前記散水部材3の外周の前記裏面3bに複数の凹状の前記上部回り止め8を形成してなることにより、走行車両のタイヤが前記散水部材3に乗り上げてタイヤが左右動しても、前記散水部材3の回動が阻止される。
【0049】
しかも、前記導水管16が嵌入する前記ノズル本体2の前記下部22の外周を切欠き断面非円形状の前記下部回り止め14を形成することにより、前記散水部材3の前記上部回り止め8との上下で回り止めができ、コンクリートブロック内での前記消雪ノズル1の回動に対する抵抗が大きくなり、確実にコンクリートブロック内に固定できる。
【0050】
前記凹部4の外周となる前記散水部材3の前記裏面3aに前記環状突出部5を形成し、この環状突出部5に前記ノズル本体2の前記上部21の先端を摩擦圧接により接合するので、前記ノズル本体2の上部21の先端の圧接のための移動が大きくでき、散水部材3に対する接合力が増し前記ノズル本体2と前記散水部材3との一体化が確実になり、しかも、前記散水部材3の板厚が摩擦接合による溶融によって薄くなることがなく前記散水部材3の強度は低下しない。
【0051】
さらに、消雪ノズル1の製造方法において、前記ノズル本体2の前記上部21を逆円錐形状の前記空洞部21aになるよう成形し、前記ノズル本体2の下部に前記導水管16を嵌入される前記貫通孔を22a設け、
前記散水部材3を円形平板として裏面に前記凹部4と、この凹部4の中央に前記円筒6aを有する前記開口6とを成形し、
前記開口6より前記空洞部2a内に挿入される前記流量調整弁9の下端が着座する前記支持部材12を前記貫通孔22aの前記出口端22bに嵌合し、
そして、前記ノズル本体2を前記摩擦圧接装置17の可動チャック台17aに、前記散水部材3を固定チャック台17bに装着し、前記ノズル本体2を回転させながら先端を前記凹部4の外周となる前記散水部材3の前記裏面3aに摩擦圧接し、前記摩擦圧接装置17に有する前記光センサ18により実測した前記可動チャック台17aの移動量を計測し、この計測した移動量に基づき、前記支持部材12の上面に摩擦圧接により短くなる前記ノズル本体2の縦方向の長さを前記流量調整弁9の軸長に合致するよう修正する前記窪み12aを前記切削ドリル装置20の前記ドリル20aにより形成し、前記流量調整弁9を前記開口6に螺合して前記流量調整弁9の下端を前記窪み12aに着座させるので、容前記流量調整弁9の形状変更がなく軸長を維持した状態で精度よく前記ノズル本体2に組付けることができ、路面に消雪水を噴出させる前記散水部材3と前記ノズル本体2とが簡単に一体化でき、前記消雪ノズル1の製造が易になる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
この発明は、構造を簡単にして消雪ノズル内の流通抵抗のない消雪ノズルで、製造が容易な消雪ノズルの製造方法である。
【符号の説明】
【0053】
1 消雪ノズル
2 ノズル本体
21 上部
21a 空洞部
22 下部
22a 貫通孔
22b 出口端
22c 段部
3 散水部材
3a 裏面
3b 表面
4 凹部
5 環状突出部
6 開口
6a 円筒
6b 雄ネジ
7 噴水孔
8 上部回り止め
9 流量調整弁
9a 弁筒
9b 弁棒
9c 横孔
9d 操作溝
10 小径Oリング
11 埋栓
12 支持部材
12a 窪み
12b 流通孔
13 大径Oリング
14 下部回り止め
15 上下位置決め
16 導水管
17 摩擦圧接装置
17a 可動チャック台
17b 固定チャック台
18 光センサ
18a 発光素子
18b 受光素子
18c 反射板
19 制御部
20 切削ドリル装置
20a ドリル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に消雪水を噴出する散水部材と、この散水部材が装着されるノズル本体とよりなる消雪ノズルであって、
前記ノズル本体は逆円錐形状の空洞部よりなる上部と、地下からの消雪水の流通する導水管が嵌入する貫通孔よりなる下部とを有し、前記散水部材は円形平板として裏面に凹部を形成し、この凹部の中央に円筒を有する開口を穿設してなり、前記散水部材の前記裏面を前記ノズル本体の前記上部の先端に摩擦圧接により接合し、
前記散水部材の前記開口より流量調整弁を挿入し、この流量調整弁の下端が着座する支持部材を前記貫通孔の前記空洞部への出口端に嵌合し、前記支持部材の上面に摩擦圧接により短くなる前記ノズル本体の縦方向の長さを前記流量調整弁の軸長に合致するよう修正する窪みを設け、この窪みに前記流量調整弁の下端が着座することを特徴とする消雪ノズル。
【請求項2】
円形平板の前記散水部材の外周を前記ノズル本体の前記上部の外側より外方に突出させ、この突出する前記散水部材の外周の裏面に複数の凹状の上部回り止めを形成してなることを特徴とする請求項1に記載の消雪ノズル。
【請求項3】
前記導水管が嵌入する前記ノズル本体の前記下部の外周を切欠き、断面非円形状の下部回り止めを形成することを特徴とする請求項2に記載の消雪ノズル。
【請求項4】
前記凹部の外周となる前記散水部材の前記裏面に環状突出部を形成し、この環状出部に前記ノズル本体の前記上部の先端を摩擦圧接により接合することを特徴とする突請求項1乃至請求項3に記載の消雪ノズル。
【請求項5】
路面に消雪水を噴出させる散水部材と、この散水部材が装着されるノズル本体とよりなる消雪ノズルの製造方法であって、
前記ノズル本体の上部を逆円錐形状の空洞部になるよう成形し、前記ノズル本体の下部に導水管を嵌入される貫通孔を設け、
前記散水部材を円形平板として裏面に凹部と、この凹部の中央に円筒を有する開口とを成形し、
前記開口より前記空洞部内に挿入される流量調整弁の下端が着座する支持部材を前記貫通孔の出口端に嵌合し、
そして、前記ノズル本体を摩擦圧接装置の可動チャック台に装着するとともに、前記散水部材を固定チャック台に装着し、前記ノズル本体を回転させながら先端を前記凹部の外周となる前記散水部材の裏面に摩擦圧接し、前記摩擦圧接装置に有する光センサにより実測した前記可動チャック台の移動量を計測し、この計測した移動量に基づき、前記支持部材の上面に摩擦圧接により短くなる前記ノズル本体の縦方向の長さを前記流量調整弁の軸長に合致するよう修正する窪みを切削ドリル装置のドリルにより形成し、前記流量調整弁を前記開口に螺合して前記流量調整弁の下端を前記窪みに着座させることを特徴とする消雪ノズルの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項5に記載の発明は、路面に消雪水を噴出させる散水部材と、この散水部材が装着されるノズル本体とよりなる消雪ノズルの製造方法であって、
前記ノズル本体の上部を逆円錐形状の空洞部になるよう成形し、前記ノズル本体の下部に導水管を嵌入される貫通孔を設け、
前記散水部材を円形平板として裏面に凹部と、この凹部の中央に円筒を有する開口とを成形し、
前記開口より前記空洞部内に挿入される流量調整弁の下端が着座する支持部材を前記貫通孔の出口端に嵌合し、
そして、前記ノズル本体を摩擦圧接装置の可動チャック台に装着するとともに、前記散水部材を固定チャック台に装着し、前記ノズル本体を回転させながら先端を前記凹部の外周となる前記散水部材の裏面に摩擦圧接し、前記摩擦圧接装置に有する光センサにより実測した前記可動チャック台の移動量を計測し、この計測した移動量に基づき、前記支持部材の上面に摩擦圧接により短くなる前記ノズル本体の縦方向の長さを前記流量調整弁の軸長に合致するよう修正する窪みを切削ドリル装置のドリルにより形成し、前記流量調整弁を前記開口に螺合して前記流量調整弁の下端を前記窪みに着座させることを特徴とする消雪ノズルの製造方法である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
請求項5に記載の発明では、路面に消雪水を噴出させる散水部材と、この散水部材が装着されるノズル本体とよりなる消雪ノズルの製造方法であって、
前記ノズル本体の上部を逆円錐形状の空洞部になるよう成形し、前記ノズル本体の下部に導水管を嵌入される貫通孔を設け、
前記散水部材を円形平板として裏面に凹部と、この凹部の中央に円筒を有する開口とを成形し、
前記開口より前記空洞部内に挿入される流量調整弁の下端が着座する支持部材を前記貫通孔の出口端に嵌合し、
そして、前記ノズル本体を摩擦圧接装置の可動チャック台に装着するとともに、前記散水部材を固定チャック台に装着し、前記ノズル本体を回転させながら先端を前記凹部の外周となる前記散水部材の裏面に摩擦圧接し、前記摩擦圧接装置に有する光センサにより実測した前記可動チャック台の移動量を計測し、この計測した移動量に基づき、前記支持部材の上面に摩擦圧接により短くなる前記ノズル本体の縦方向の長さを前記流量調整弁の軸長に合致するよう修正する窪みを切削ドリル装置のドリルにより形成し、前記流量調整弁を前記開口に螺合して前記流量調整弁の下端を前記窪みに着座させるので、前記流量調整弁の形状変更がなく軸長を維持した状態で前記流量調整弁を精度よく前記ノズル本体に組付けることができ、路面に消雪水を噴出させる散水部材と前記ノズル本体とが簡単に一体化でき、消雪ノズルの製造が易になる。