(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092422
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】毛髪ケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20230626BHJP
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A61K 31/355 20060101ALI20230626BHJP
A61K 36/70 20060101ALI20230626BHJP
A61K 36/258 20060101ALI20230626BHJP
A61K 36/82 20060101ALI20230626BHJP
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A61Q 5/06 20060101ALI20230626BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20230626BHJP
A61K 31/7076 20060101ALI20230626BHJP
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A61Q 5/10 20060101ALI20230626BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20230626BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20230626BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q5/00
A61K8/41
A61P17/14
A61K31/455
A61K31/133
A61K31/506
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A61K36/70
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A61K36/82
A61Q5/02
A61Q5/06
A61Q5/12
A61K31/7076
A61Q7/00
A61Q5/10
A23L33/10
A23L33/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022071481
(22)【出願日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0184096
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ビュン-ウ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】サン-フン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ソン-キル・ソン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018MD18
4B018MD23
4B018ME14
4C083AA111
4C083AC072
4C083AC422
4C083AC471
4C083AC532
4C083AC541
4C083AC542
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC782
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4C083AC852
4C083AC861
4C083AC931
4C083AD391
4C083AD531
4C083AD661
4C083BB11
4C083BB53
4C083CC04
4C083CC05
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(57)【要約】
【課題】本発明は、毛髪が抜けることを低減する有効成分を含む脱毛防止及び/または改善用の毛髪ケア組成物に関する。
【解決手段】本発明の脱毛防止及び/または改善用の組成物は、ナイアシン及びデアノールを有効成分として使用して立毛筋を収縮させることによって毛髪が抜けることを低減し、これによって著しく優秀な脱毛防止及び/または改善効果を奏する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイアシン及びデアノールを有効成分として含む脱毛防止または改善用の毛髪ケア組成物。
【請求項2】
前記有効成分の含量が、組成物の総重量に対して0.001~12重量%である、請求項1に記載の脱毛防止または改善用の毛髪ケア組成物。
【請求項3】
前記ナイアシンとデアノールとの重量比が、1:0.1~1:10(ナイアシン:デアノール)である、請求項1に記載の脱毛防止または改善用の毛髪ケア組成物。
【請求項4】
立毛筋を収縮させることで毛髪が抜けることを低減する、請求項1に記載の脱毛防止または改善用の毛髪ケア組成物。
【請求項5】
医薬組成物、医薬部外品用の組成物、化粧料組成物または健康機能食品組成物である、請求項1に記載の脱毛防止または改善用の毛髪ケア組成物。
【請求項6】
デクスパンテノール、サリチル酸、アデノシン、ミノキシジル、ナイアシンアミド、エスシン、L-メントール、何首烏抽出物、高麗人参抽出物、緑茶抽出物、カフェイン、ビオチン、ジンクピリチオン及びトコフェロールからなる群より選択されるいずれか一つ以上をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の脱毛防止または改善用の毛髪ケア組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の脱毛防止または改善用の毛髪ケア組成物を含む、毛髪または頭皮用製品。
【請求項8】
発毛剤、頭皮クレンジング剤、頭皮スケーリング剤、頭皮マッサージ剤、頭皮ケア剤、洗浄剤、シャンプー、トニック、ヘアコンディショナー、ヘアローション、ゲル、パック、クリーム、エッセンス、パウダー、スプレー、オイル、石けん、軟膏、ヘアスタイリング剤、染毛剤及びパーマ剤からなる群より選択される、請求項7に記載の毛髪または頭皮用製品。
【請求項9】
ナイアシン及びデアノールを有効成分として含む頭皮かゆみ緩和用の毛髪ケア組成物。
【請求項10】
ナイアシン及びデアノールを有効成分として含む頭皮トラブル改善用の毛髪ケア組成物。
【請求項11】
ナイアシン及びデアノールを有効成分として含む頭皮皮脂低減用の毛髪ケア組成物。
【請求項12】
ナイアシン及びデアノールを有効成分として含む頭皮刺激緩和用の毛髪ケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱毛防止及び/または脱毛改善用の毛髪ケア組成物に関する。
本出願は、2021年12月21日出願の韓国特許出願第10-2021-0184096号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
最近、美容に対する関心がますます高まるにつれ、毛髪も重要な部分を占めている。毛髪は、皮膚の表面で産生され、細く角化した構造物である。これは、外部衝撃に対するクッションの役割と共に、直射日光、寒冷、摩擦、危険などの外部刺激から人体を保護し、身体に有害なヒ素、水銀、亜鉛などの重金属を体外へ排出するように機能し、現代には、装飾などの美容的な面においても強調されている。しかし、食生活の変化や内外的ストレスの増加などの多様な原因によって脱毛を訴える人が増加しつつある。脱毛は、遺伝的要因が最も主な原因として作用すると知られているが、前述したように社会的ストレスの増加、環境汚染、頻繁なパーマとヘアカラー及び正しくない頭皮管理も脱毛の原因として挙げられている。
【0003】
人体の頭皮の毛髪は、約10~15万本程度であり、各々の毛髪は互いに独立的な成長周期を有する。発生初期の毛嚢では、β-カテニンの作用で基底層上皮細胞によってプラコード(placode)が形成される。形成されたプラコードから信号を受けた真皮線維芽細胞が皮膚凝縮物(dermal condensate)を形成する。それと共にプラコードは、真皮方向へ成長、陥入して皮膚凝縮物と合わせられて一次毛芽(primary hair germ)を形成する。毛芽を形成した上皮細胞は、発生する真皮方向へ長く成長し、多層からなる長い棒状の構造物である毛杭(hair peg)を形成すると共に、皮膚凝縮物は球状の毛乳頭(dermal papilla)に形成される。毛杭の先は次第に厚くなって毛球(hair bulb)が形成され、毛球は、毛乳頭を囲む形態になって毛嚢が完成され、毛嚢内部の上皮細胞が分化して毛髪が生成される。
【0004】
毛髪成長周期は3段階で構成され、毛髪が最も活発に成長する成長期(anagen stage)、毛髪の退化が始まる退行期(catagen stage)及び毛髪の成長が止まるか、または休息に入る休止期(telogen stage)に分類される。具体的には、成長期は3~6年、退行期は2~3週、休止期は3~4ヶ月程度の期間を有し、全体毛髪における比重は各々、約88%、1%、11%であって、概して維持期間と比例する傾向を示す。成長期は、毛乳頭の毛母細胞が迅速に有糸分裂をする時期であって、ケラチンが生成されて毛髪が成長する。その次、退行期になると、成長速度が遅くなり、細胞分裂が止まる。なお、退行期には、毛嚢が徐々に収縮して毛乳頭が委縮することによって毛根が押されて棍毛の脱落が起こる。退行期に新しい毛髪が生える場合、新しく生えた毛髪が既存の毛髪を押し、休止期と重なって新しい成長期(new anagen)が始まることもある。
【0005】
脱毛には多様な様相があるが、生体周期によって区分すると、成長期脱毛症及び休止期脱毛症に分けられる。成長期脱毛症(Anagen Effluvium)は、成長期に速やかに代謝して分裂する毛乳頭の細胞が、抗がん剤などの細胞毒性製剤によって影響を受けて発生し得る。抗がん剤は、癌細胞のように速やかに代謝する細胞を死滅させる作用をするため、成長期の毛母細胞のように速やかに分裂する細胞も共に影響を受けるようになる。これによって、代謝が遅くなった休止期の毛髪がそのまま残り、全体毛髪の約10%の毛髪のみが残る状態になり得る。このような成長期脱毛症は、外部毒性刺激源が除去されると、元に戻る。
【0006】
休止期脱毛症は、外部刺激によって成長期の毛髪が休止期へ転換されて元の約11%程度である休止期の毛髪の割合が増加することである。このような休止期脱毛症は、出産、疾病、頻繁なヘアスタイリングによって誘発され得る。特に、日常生活で髪の手入れなどの外力によって成長期の毛髪が休止期に転換されて誘発される脱毛は、毛髪の量が減少することを感じる多数の中高年がよく経験する問題である。
【0007】
一般的な1日の抜け毛の本数は、50本から150本程度であるが、このような毛髪は一日中に徐々に抜けることではなく、多くの場合、髪を洗って手入れをする過程で加えられた外力によって脱落する。このように日常で加えられる外力による抜け毛を低減することだけでも脱毛防止に役に立つ。
【0008】
現在まで知られている脱毛防止製品には、有効成分として、血行促進、毛根機能強化、頭皮保湿効果、ふけ防止効果、抗酸化効果、毛髪成長期延長効果または男性ホルモン作用抑制などを目的とする成分などが含まれている。即ち、脱毛を改善するための既存の方式は、頭皮に栄養を供給するか、または毛髪の生体周期を調節するなどの方式で毛髪が再び生えるようにすることに焦点を合わせている。しかし、発毛に焦点が合わせられた既存の脱毛防止製品は、外力によって髪の毛が抜ける問題を解決できない。そこで、髪の毛の抜けを効果的に低減することができる毛髪ケア組成物の開発が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、立毛筋の収縮を用いて毛髪が抜けることを低減し、これによって脱毛を防止及び/または改善することができる毛髪ケア組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、従来の脱毛治療剤が外部環境またはストレスなどによる一時的な毛髪抜けの問題を解決できない問題を解決するために鋭意研究した結果、本発明者は、ナイアシン(niacin)及びデアノール(deanol)を含む毛髪ケア組成物を頭皮に適用すると、驚くべきことに立毛筋(arrector pili muscle)が収縮することで優秀な毛髪抜けの低減効果が発生し、これによって卓越な脱毛防止及び/または改善効果がもたらされることを見出した。
【0011】
本発明は、ナイアシン及びデアノールを有効成分として含む脱毛防止及び/または改善用の毛髪ケア組成物を提供する。ナイアシン及びデアノールの組合せによって毛髪抜けの低減に著しいシナジー効果が発生する。さらには、毛髪抜けの低減効果は、長期的な使用によってさらに優秀な脱毛防止及び/または改善効果をもたらす。
【0012】
本発明の一面で、ナイアシンは、NIACR1(niacin receptor 1)、NIACR2などのGタンパク質受容体を活性化させて立毛筋の収縮を誘導することができる。また、デアノールはアセチルコリンの前駆体として末梢組織の血中アセチルコリン濃度を増加させて立毛筋を収縮させることができる。前記ナイアシンとデアノールとは受容体が相異なるため、相異なるメカニズムによって立毛筋を収縮させてシナジー効果を発生させることができる。前記ナイアシンの収縮効果が直接的かつ瞬間的であり、前記デアノールの収縮効果は、間接的かつ長期的であることから、シナジー効果が高い。
【0013】
本発明の一面で、本発明の脱毛防止及び/または改善用の毛髪ケア組成物に含まれるナイアシン及びデアノールを含む有効成分の総含量は、組成物の総重量に対して0.001~12重量%、望ましくは0.01~7重量%、より望ましくは0.1~5重量%であり得る。前記有効成分の総含量が組成物の総重量に対して0.001重量%未満の場合には、脱毛防止及び/または改善効果が微々たるものになり、12重量%超過の場合には、剤形の安定性が落ちて望ましくない。
【0014】
本発明の一面で、前記ナイアシンは、組成物の総重量に対して0.001~10重量%、望ましくは0.01~5重量%、より望ましくは0.1~3重量%含まれ得る。前記デアノールは、組成物の総重量に対して0.001~10重量%、望ましくは0.01~5重量%、より望ましくは0.1~3重量%含まれ得る。本発明では、ナイアシンまたはデアノールが各々前記含量範囲にあるときに、毛髪抜けの低減効能が遥かに優秀であることを実験により確認した。
【0015】
本発明の一面で、前記ナイアシン及びデアノールの重量比は、1:0.1~1:10、望ましくは1:0.5~1:8、より望ましくは1:0.8~1:5(ナイアシン:デアノール)であり得る。前記ナイアシン及びデアノールの混合物が前記特定の重量比に組み合わせられる場合、毛髪抜けの低減効果が大幅優秀になる。
【0016】
本発明の一面で、前記脱毛防止及び/または改善用の毛髪ケア組成物は、ナイアシン及びデアノールを含んでいない対照群に対して、毛髪抜けの低減効果が20%以上、望ましくは23%以上、より望ましくは25%以上、さらに優秀に現われ得る。
【0017】
本発明の一面で、前記脱毛防止及び/または改善用の毛髪ケア組成物は、既存の脱毛緩和有効成分と組み合わせて使用すると、脱毛防止及び/または改善効果をさらに高めることができる。既存の脱毛緩和有効成分の作用メカニズムに加え、前記ナイアシン及びデアノールが立毛筋を収縮させることで、脱毛防止及び/または改善に相乗効果を奏し得る。前記既存の脱毛緩和有効成分は、デクスパンテノール、サリチル酸、アデノシン、ミノキシジル、ナイアシンアミド、エスシン、L-メントール、何首烏抽出物、高麗人参抽出物、緑茶抽出物、カフェイン、ビオチン、ジンクピリチオン及びトコフェロールからなる群より選択されるいずれか一つ以上であり得るが、これらに制限されるものではない。
【0018】
本発明の一面で、前記脱毛防止及び/または改善用の毛髪ケア組成物は、医薬組成物、医薬部外品用の組成物、化粧料組成物または健康機能食品組成物として使用され得る。本発明の組成物は、通常皮膚に適用可能な如何なる形態にも剤形化できるが、望ましくは、皮膚外用剤の形態に剤形化できる。本発明の組成物は、例えば、液状、クリーム状、ペースト状または固状など、皮膚に適用可能な剤形に製造することができる。
【0019】
本発明の剤形が液状である場合には、担体成分として、溶媒、可溶化剤または乳濁化剤などが使われ得、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルなどが使われ得る。
【0020】
本発明の剤形が、ペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、でん粉、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが使われ得る。
【0021】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーである場合には、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケートまたはポリアミドパウダーなどが用いられ得る。特に、スプレー剤形である場合には、追加的に、クロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルなどの推進体を含み得る。
【0022】
本発明の組成物は、前記有効成分の外に皮膚に適用可能な外用剤に通常使用される成分を含み得る。例えば、水、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、キレート剤、殺菌剤、酸化防止剤、防腐剤、色素及び顔料などからなる群より選択される一つ以上の添加剤をさらに含み得る。
【0023】
なお、本発明は、前記脱毛防止及び/または改善用の毛髪ケア組成物を含む毛髪または頭皮用製品を提供する。前記毛髪または頭皮用製品は、発毛剤、頭皮クレンジング剤、頭皮スケーリング剤、頭皮マッサージ剤、頭皮ケア剤、洗浄剤、シャンプー、トニック、ヘアコンディショナー、ヘアローション、ゲル、パック、クリーム、エッセンス、パウダー、スプレー、オイル、石けん、軟膏、ヘアスタイリング剤、染毛剤及びパーマ剤からなる群より選択されるいずれか一つであり得るが、これらに限定されない。本発明の一面で、前記脱毛防止及び/または改善用の毛髪ケア組成物は、シャンプーまたはトリートメント剤形に製造され得る(実施例1~4)。
【0024】
また、本発明は、ナイアシン及びデアノールを有効成分として含む頭皮かゆみ緩和用の毛髪ケア組成物、頭皮トラブル改善用の毛髪ケア組成物、頭皮皮脂低減用の毛髪ケア組成物または頭皮刺激緩和用の毛髪ケア組成物を提供する。本発明の実験例3の官能評価結果を見れば、本発明の毛髪ケア組成物は、脱毛防止効果のみならず、頭皮かゆみの緩和、頭皮トラブルの改善、頭皮皮脂の低減及び頭皮刺激緩和の効果も遥かに優秀である。
【0025】
本発明の脱毛防止及び/または改善用の組成物は、望ましくは、皮膚に直接塗布するか、または散布するなどの経皮投与の方法で使われ得る。
【0026】
また、本発明は、ナイアシン及びデアノールを有効成分として含む脱毛防止及び/または改善用の毛髪ケア組成物を脱毛予防及び/または改善が必要な患者(subject)に投与するか、または患者の頭皮または毛髪に塗布する段階を含む脱毛防止及び/または改善方法を提供する。
【0027】
本発明において使用される用語、「投与」は、任意の適切な方法で本発明の組成物を導入することを意味する。本発明の組成物の投与経路は、目的とする組織に到達可能であれば、任意の一般的な経路によっても投与可能である。望ましくは、経皮投与可能であり、その中でも局所塗布が最も望ましい。本発明の組成物の適用回数は、処方、必要または所望に応じて決定可能である。
【0028】
本発明の脱毛防止及び/または改善用の組成物の使用量は、年齢、病変の程度などの個人差や剤形によって適切に調節でき、通常、1日1回ないし数回、適量を頭皮に塗布し、一週間~数ヶ月間使用することが望ましい。本発明の実験例1~4では、脱毛防止及び/または改善用のシャンプー及びトリートメント組成物を塗布時点から3分後に洗って使用し、その結果、脱毛防止及び/または改善効果が優秀に現われることを確認した。
【0029】
本発明に記載した全ての成分は、望ましくは、韓国、中国、アメリカ、ヨーロッパ、日本などの関連法規、規範(例えば、化粧品安全基準などに関する規定(韓国)、化粧品安全技術規範(中国)、食品公典(韓国)、食品添加物公典(韓国)または健康機能食品公典(韓国)などで規定した最大使用値を超過しない。即ち、望ましくは、本発明による医薬組成物、医薬部外品用の組成物、化粧料組成物または健康機能食品組成物は、各国の関連法規、規範で許容する含量の限度で本発明による成分を含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明の脱毛防止及び/または改善用の毛髪ケア組成物は、頭皮に塗布する場合、立毛筋を収縮させて毛髪の抜けを低減し、これによって脱毛を防止する効果が著しく優秀である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実験例2において、実施例4の毛髪抜けの低減率を既製品と比較した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は他の多様な形態に変更可能であり、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は本発明が属する分野において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【実施例0033】
実施例の組成物の製造
下記の表1に示したシャンプー処方及び表2に示したトリートメント処方に基づき、通常の方法によってシャンプー組成物及びコンディショナー組成物を製造した。比較例1~4及び実施例1~4の有効成分は、下記の表3に示した処方によって各々相違に含めた。また、比較例1~4及び実施例1~4は、各々の有効成分を該当の含量で含むシャンプー組成物及びトリートメント組成物に製造した。具体的には、ポリマーを添加した後、界面活性剤を順次に投入して溶解し、EDTA・4Na及び含水クエン酸を添加してpHを中和した。その他の成分として、防腐剤、香料、分散剤、粘度調節剤及びpH調節剤を添加した。
【0034】
【0035】
【0036】
実験例1:実施例の組成物の毛髪抜け低減効果の検証
脱毛または毛髪の抜けに悩む20人の被験者を募集し、シャンプーとスタイリング時に脱落した毛髪を集計して評価を行った。具体的には、決められた評価室の排水口に網を設置し、シャンプー及びトリートメントを使用して各自が普段に髪を洗う方式で使用するようにした。但し、有効成分が伝達される時間を統一するために、塗布時点から3分後に洗うようにし、これはシャンプーとトリートメントに同一に適用した。
【0037】
シャンプーとトリートメントの使用を終えた後、網にかかった毛髪の本数を集計した。その後、タオル及びドライヤーを使用して濡れた毛髪を乾かし、ブラッシングを30回行い、その過程で脱落した毛髪も全て集計した総毛髪数を比較した。評価は、各実験群当たり3回を行った。対照群は、前記表1及び表2の組成によって製造されたシャンプー及びトリートメントを使用した。実施例の有効成分は、下記の表3に示した組成である。表3では、各実施例の毛髪抜けの低減率を、対照群に対して毛髪の抜けが低減した割合として百分率(%)で表した。
【0038】
ナイアシン及びデアノールが組み合わせられた場合のシナジー効果を確認するために、下記コルビー(Colby)の式を適用した予測値(コルビー値)と、実測値とを、表3に整理して比較した。
【0039】
コルビー式:E=(A+B)-(A×B/100)、E:予測値、A:有効成分Aの薬効、B:有効成分Bの薬効、A+B:相加効果。実測値が予測値より大きい場合に、シナジー効果が存在すると判断する。
【0040】
【0041】
前記表3に示した結果において、比較例1~4との比較から、ナイアシンまたはデアノールは、立毛筋を収縮させることで毛髪が抜けることを低減する効果を奏することが分かる。さらに、実施例1~4から、ナイアシン及びデアノールの組合せによる毛髪抜けの低減効果が、各々を単独で使用した場合に比べて著しく優秀であり、シナジー効果を奏することを確認することができる。
【0042】
実験例2:毛髪抜けの低減効果の比較評価
既存の毛髪抜けの低減効果を奏することが知られている既製品との対比により効果を確認するために、実施例4と、既製品とを、毛髪抜けの低減率について比較した(
図1)。既製品は、脱毛症状緩和シャンプーであり、脱毛緩和の有効成分として、カフェイン、サリチル酸ナトリウム、メントール、ビオチン、高麗人参全草抽出物、トコフェロール、パンテノール、ナイアシンアミド及びβ-カロチンを含んでいる。
【0043】
実験例1と同様の方法で、脱毛または毛髪の抜けに悩む20人の被験者を募集し、シャンプー及びスタイリング時に脱落した毛髪を全て集計して比較評価した。
図1に示した評価結果を見れば、実施例4の毛髪抜けの程度は、既製品に比べて著しく低く、実施例4の毛髪抜けの低減効果が優秀であることを確認することができる。
【0044】
実験例3:実施例4の毛髪抜けの官能評価
脱毛または毛髪が抜けることに悩む30人の被験者を募集し、実施例4のシャンプー及びトリートメント組成物を使用した後、毛髪抜けの低減効果を体感できるかについて官能評価を行い、その結果を表4に示した。各々のアンケートに対する回答は、表5に示した基準によって点数化した。前記回答として「全くそう思わない」と「あまりそう思わない」を否定的な回答とし、「ややそう思う」と「とてもそう思う」を肯定的な回答として分類し、各々の割合を計算して表4に示した。表4に示した結果から、実施例4のシャンプー及びトリートメント組成物を使用する場合、脱毛緩和、かゆみ緩和、トラブル改善、頭皮皮脂低減及び頭皮刺激緩和の効果が優秀であることを確認することができる。
【0045】
【0046】
【0047】
実験例4:既存の脱毛緩和成分との組合せによる脱毛防止の官能評価
本発明の毛髪ケア組成物の有効成分を、既存の脱毛緩和有効成分と組み合わせて使用する場合の効果を評価するために官能評価を行った。
【0048】
既存の脱毛緩和有効成分としては、食薬庁で認証された脱毛緩和用の機能性化粧品の有効成分の組合せであるデクスパンテノール0.2%、サリチル酸0.25%及びL-メントール0.3%を使用した。組合せによる使用例では、実施例4の有効成分に加えて、前記既存の脱毛緩和有効成分を組み合わせて使用して製造した。また、本実験例において、有効成分を含まない剤形を対照群として製造した。
【0049】
【0050】
脱毛または毛髪が抜けることに悩む45人の男女被験者を募集し、各グループ当たり15人ずつ前記製造方法によって製造されたシャンプー及びトリートメントを3ヶ月間使用するようにした。被験者から下記の表7に示した項目に対する回答を集計し、表8にその結果を示した。
【0051】
【0052】
【0053】
表8に示した結果において、実施例4と比較して、組合せによる使用例の毛髪抜けの低減及び脱毛防止の効果がさらに優秀であることから、既存の脱毛防止有効成分に加えて、ナイアシン及びデアノールを組み合わせて使用して立毛筋を収縮させることにより、脱毛防止の効果がさらに高まることを確認することができる。