(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092451
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】画像生成装置、画像生成方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20230626BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20230626BHJP
G06Q 50/16 20120101ALI20230626BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/20
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152651
(22)【出願日】2022-09-26
(62)【分割の表示】P 2021206637の分割
【原出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】513248382
【氏名又は名称】横田 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】横田 幸一
【テーマコード(参考)】
5B146
5L049
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DC05
5B146DL02
5B146EC09
5L049CC27
(57)【要約】
【課題】土地に建物を建てたイメージの生成においてグランドラインの設定を可能とし、正確なイメージの生成を可能とする技術を提供する。
【解決手段】画像生成装置1は、所定の建物の三次元画像に係る建物画像を記憶する建物情報記憶部1Aと、所定の土地の三次元画像に係る土地画像を記憶する土地情報記憶部1Bと、所定の土地におけるグランドラインの基準となるGL基準点として、所定のポイントの指定を受け付ける受付手段と、土地画像に建物画像を合成し、合成画像を生成する合成処理部13とを有し、合成処理部13は、指定された所定のポイントの鉛直方向の座標をグランドラインとして土地画像に建物画像を合成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の建物の三次元画像に係る建物画像を記憶する建物情報記憶手段と、
所定の土地の三次元画像に係る土地画像及び当該所定の土地における所定位置ごとの高さに係る情報を記憶する土地情報記憶手段と、
前記所定の土地の三次元画像上において、前記所定の土地におけるグランドラインの基準となるGL基準点として、所定のポイントの指定を受け付ける指定受付手段と、
指定された前記所定のポイントの高さをグランドラインとして前記土地画像に前記建物画像を合成し、合成画像を生成する合成処理手段と、
前記合成画像を画面上に出力する出力手段と、を有する、
画像生成装置。
【請求項2】
前記合成画像について、前記所定の土地と前記所定の建物との間に生じる隙間又は重複箇所に識別効果を付与する識別効果付与手段、をさらに有する、
請求項1記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記合成画像において、前記土地画像と前記建物画像の間に生じる隙間及び/又は重複箇所が編集された前記合成画像を編集画像として出力する出力手段、をさらに有する、
請求項1又は2記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記合成画像に対し、前記土地画像と前記建物画像の間に生じる隙間及び/又は重複箇所を編集する編集手段、をさらに有する、
請求項3記載の画像生成装置。
【請求項5】
指定されたポイントの鉛直方向の座標をグランドラインとして前記土地に前記建物を建てた場合に、建築上の制限をクリアできるか否かを判定する判定手段、をさらに有する、
請求項1乃至4いずれかの項に記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記判定手段は、指定されたポイントの高さをグランドラインとして前記土地に前記建物を建てた場合に、前記土地に固有の高さ制限をクリアできるか否かを判定し、
前記建物情報記憶手段には、前記建物の高さに係る情報が記憶され、
前記土地情報記憶手段には、前記土地に固有の高さ制限に係る情報が記憶されている、
請求項5記載の画像生成装置。
【請求項7】
前記判定手段は、指定されたポイントの鉛直方向の座標をグランドラインとして前記土地に前記建物を建てた場合に、周囲に対する日影制限をクリアできるか否かを判定し、
前記土地情報記憶手段には、前記土地について、周囲に対する日影制限に係る情報が記憶されている、
請求項5又は6記載の画像生成装置。
【請求項8】
前記土地画像には、土地の周囲の画像が含まれる、
請求項1乃至7いずれかの項に記載の画像生成装置。
【請求項9】
前記合成処理手段は、
指定されたポイントの高さに所定の値を加算又は減算した値を基準として、前記土地画像に前記建物画像を合成する、
請求項1乃至8いずれかの項に記載の画像生成装置。
【請求項10】
前記土地画像中に、前記所定のポイントとしてレコメンドするポイントを表示するレコメンド手段、をさらに有する、
請求項1乃至9いずれかの項に記載の画像生成装置。
【請求項11】
前記所定のポイントの高さをグランドラインとして前記所定の土地に前記所定の建物を建てる場合の工事の提案又は見積を業者端末から受け付け、当該工事の提案又は見積を提示する提示手段、をさらに有する、
請求項1乃至10いずれかの項に記載の画像生成装置。
【請求項12】
所定の建物の三次元画像に係る建物画像を記憶する建物情報記憶手段と、
所定の土地の三次元画像に係る土地画像及び当該所定の土地における所定位置ごと高さに係る情報を記憶する土地情報記憶手段と、を有するコンピュータにより、
前記所定の土地の三次元画像上において、前記所定の土地におけるグランドラインの基準となるGL基準点として、所定のポイントの指定を受け付ける指定受付処理と、
指定された前記所定のポイントの高さをグランドラインとして前記土地画像に前記建物画像を合成し、合成画像を生成する合成処理と、
前記合成画像を画面上に出力する出力処理と、を実行する、
画像生成方法。
【請求項13】
所定の建物の三次元画像に係る建物画像を記憶する建物情報記憶手段と、
所定の土地の三次元画像に係る土地画像及び当該所定の土地における所定位置ごとの高さに係る情報を記憶する土地情報記憶手段と、を有するコンピュータに対し、
前記所定の土地の三次元画像上において、前記所定の土地におけるグランドラインの基準となるGL基準点として、所定のポイントの指定を受け付ける指定受付処理と、
指定された前記所定のポイントの高さをグランドラインとして前記土地画像に前記建物画像を合成し、合成画像を生成する合成処理と、
前記合成画像を画面上に出力する出力手段と、を実行させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土地画像に建物画像を合成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の購入を予定して土地を購入する際や、所有する土地に建物を建築する際には、建物の建築イメージを想定して建物を設計したり注文したりするが、不慣れな個人の消費者等では、実際のイメージを正確に認識することが難しい。また、業者としても、実際のイメージを消費者等に提示し、その具体的イメージを把握してもらうのが難しい。そのため、所定の土地に所定の建物を建築した場合の具体的なイメージを正確に認識できるようにしたいという要望があった。
【0003】
この点、例えば特許文献1では、不動産購入検討者が利用する購入検討者端末に接続されて前記購入検討者端末からの要求に応じて前記購入検討者端末に購入候補となる不動産の情報を表示させる不動産情報出力装置であって、前記購入検討者端末から出力された不動産検索用情報を入力する入力部と、前記入力部が入力した前記不動産検索用情報に基づいて、不動産に関する情報を学習した学習結果を用いて、購入候補となり得る複数の土地の土地情報から購入候補となる土地の土地情報を抽出し、抽出した土地情報によって特定される土地に建てることができる建物の建物情報を、購入候補となり得る複数の建物の建物情報から抽出する抽出部と、前記抽出部が抽出した前記土地情報によって特定される土地に、前記抽出部が抽出した前記建物情報によって特定される建物が建っているようにみえる画像を、前記購入候補となる不動産の情報として前記購入検討者端末に表示させる出力制御部とを備える不動産情報出力装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際の土地には起伏があるため、土地上に建物を建てる際にも擁壁の施工や造成工事、あるいは土地の掘削工事が必要となるし、グランドライン(地盤面、「GL」とも称される)をどのように設けるかによってそういった工事の内容や仕上がりは変わってくる。その結果、単に土地の画像に建物の画像を合成しても、実際的なイメージにおいて正確性を欠いている部分があった。
【0006】
そこで本発明は、土地に建物を建てたイメージの生成においてグランドラインの設定を可能とし、正確なイメージの生成を可能とする技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る画像生成装置は、所定の建物の三次元画像に係る建物画像を記憶する建物情報記憶手段と、所定の土地の三次元画像に係る土地画像を記憶する土地情報記憶手段と、前記所定の土地におけるグランドラインの基準となるGL基準点として、所定のポイントの指定を受け付ける受付手段と、前記土地画像に前記建物画像を合成し、合成画像を生成する合成処理手段と、を有し、前記合成処理手段は、指定された前記所定のポイントの鉛直方向の座標をグランドラインとして、前記土地画像に前記建物画像を合成する。
【0008】
前記合成画像において、前記土地画像と前記建物画像の間に生じる隙間及び/又は重複箇所が編集された前記合成画像を編集画像として出力する出力手段、をさらに有するものとしてもよい。
【0009】
前記合成画像に対し、前記土地画像と前記建物画像の間に生じる隙間及び/又は重複箇所を編集する編集手段、をさらに有するものとしてもよい。
【0010】
指定されたポイントの鉛直方向の座標をグランドラインとして前記土地に前記建物を建てた場合に、建築上の制限をクリアできるか否かを判定する判定手段、をさらに有するものとしてもよい。
【0011】
前記判定手段は、指定されたポイントの鉛直方向の座標をグランドラインとして前記土地に前記建物を建てた場合に、前記土地に固有の高さ制限をクリアできるか否かを判定し、前記建物情報記憶手段には、前記建物の高さに係る情報が記憶され、前記土地情報記憶手段には、前記土地に固有の高さ制限に係る情報が記憶されているものとしてもよい。
【0012】
前記判定手段は、指定されたポイントの鉛直方向の座標をグランドラインとして前記土地に前記建物を建てた場合に、周囲に対する日影制限をクリアできるか否かを判定し、前記土地情報記憶手段には、前記土地について、周囲に対する日影制限に係る情報が記憶されているものとしてもよい。
【0013】
前記土地画像には、土地の周囲の画像が含まれるものとしてもよい。
【0014】
前記合成処理手段は、指定されたポイントの鉛直方向の座標に所定の値を加算又は減算した値を基準として、前記土地画像に前記建物画像を合成するものとしてもよい。
【0015】
前記土地画像中に、前記所定のポイントとしてレコメンドするポイントを表示するレコメンド手段、をさらに有するものとしてもよい。
【0016】
本発明の別の観点に係る画像生成方法は、所定の建物の三次元画像に係る建物画像を記憶する建物情報記憶手段と、所定の土地の三次元画像に係る土地画像を記憶する土地情報記憶手段と、を有するコンピュータにより、前記所定の土地におけるグランドラインの基準となるGL基準点として、所定のポイントの指定を受け付ける受付処理と、前記土地画像に前記建物画像を合成し、合成画像を生成する合成処理と、を実行し、前記合成処理は、指定された前記所定のポイントの鉛直方向の座標をグランドラインとして、前記土地画像に前記建物画像を合成する。
【0017】
本発明の別の観点に係るコンピュータプログラムは、所定の建物の三次元画像に係る建物画像を記憶する建物情報記憶手段と、所定の土地の三次元画像に係る土地画像を記憶する土地情報記憶手段と、を有するコンピュータに対し、前記所定の土地におけるグランドラインの基準となるGL基準点として、所定のポイントの指定を受け付ける受付処理と、前記土地画像に前記建物画像を合成し、合成画像を生成する合成処理と、を実行させ、前記合成処理は、指定された前記所定のポイントの鉛直方向の座標をグランドラインとして、前記土地画像に前記建物画像を合成する。
【0018】
なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、土地に建物を建てたイメージの生成においてグランドラインの設定が可能であり、その結果、正確なイメージの生成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像生成装置が備える機能を示した機能ブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る画像生成装置において、建物情報記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
【
図3】本実施形態に係る画像生成装置において、土地情報記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
【
図4】本実施形態に係る画像生成装置において、制限情報記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
【
図5】本実施形態に係る画像生成装置による処理の流れを示した処理フロー図である。
【
図6】本実施形態に係る画像生成装置による出力画面の一例を示した図である。
【
図7】本実施形態に係る画像生成装置による出力画面の一例を示した図である。
【
図8】本実施形態に係る画像生成装置による出力画面の一例を示した図である。
【
図9】本実施形態に係る画像生成装置による出力画面の一例を示した図である。
【
図10】本実施形態に係る画像生成装置による出力画面の一例を示した図である。
【
図11】本実施形態に係る画像生成装置による出力画面の一例を示した図である。
【
図12】本実施形態に係る画像生成装置による出力画面の一例を示した図である。
【
図13】本実施形態に係る画像生成装置による出力画面の一例を示した図である。
【
図14】本実施形態に係る画像生成装置による出力画面の一例を示した図である。
【
図15】本実施形態に係る画像生成装置による出力画面の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
●概要
図1に示す本発明の実施形態に係る画像生成装置1は、所定の土地と所定の建物の三次元画像を合成することにより、当該所定の土地に当該所定の建物を建てた場合のイメージを具体的に把握できるようにする装置である。ユーザは、この画像生成装置1により、所定の土地にどのような建物がどのような形で建てられるのか、あるいは所定の土地に所望の建物を思ったように建てられるのかといったことを具体的なイメージをもって理解することができる。
【0022】
特に、本実施形態では、土地に建物を建てたイメージの生成において、グランドラインの設定が可能となっている。グランドラインとは、「地盤面(地盤の計画高さ)」あるいは「GL」とも称されるものであり、このグランドラインの設定に基づいて建物の鉛直方向の位置が決まり、その設定如何によって土地上に建物を建築した際の建物の周辺地面に対する高さが変わってくる。ユーザは、土地上の任意のポイントをグランドラインの基準となるGL基準点として指定することができ、画像生成装置1は、ユーザによって指定されたポイントをGL基準点として建物を建てた場合のイメージを生成する。
【0023】
●機能構成
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る画像生成装置1は、所謂コンピュータ等によって実現され、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブといったハードウェア資源、CPUが実行するコンピュータプログラム等のソフトウェア資源により、建物情報記憶部1A、土地情報記憶部1B、制限情報記憶部1C、地図情報記憶部1D、オプションパーツ記憶部1E、抽出処理部11、判定処理部12、合成処理部13、編集処理部14、入出力部15からなる機能ブロックを構成する。
【0024】
建物情報記憶部1Aは、建物に関する建物情報を記憶した記憶部である。この建物情報記憶部1Aに情報が記憶されている建物は、実際に建築された建物であるかどうかにかかわらず、建築業者によって建築可能な建物である。
【0025】
この建物情報記憶部1Aには例えば、
図2に示されるように、建物を識別する建物IDごとに、基本情報、間取り、及び建物画像が記憶されている。ただし、これらの情報はいずれも一例であって、建物の評価価格や種別など、建物を評価したり把握したりすることのできる情報を適宜に含めることができる。
【0026】
基本情報は、延床面積、建築面積、高さなど、建物の仕様に関する情報によって構成され、建物を把握したり、後述する判定処理部12による処理において建物の高さ制限や日影制限などを判定したりする際に必要又は有用な情報等が適宜に含まれる。
【0027】
間取りは、例えば所定のデータ形式の二次元画像からなる間取り図として記憶されており、参照することによって、各部屋の配置や広さなどを把握できる。
建物画像は、建物の三次元画像であり、土地の三次元画像(土地画像)と合成することによって、土地上に建物を建てた場合のイメージを立体的且つ直感的に把握できる。この建物画像を、所定の土地の土地画像、及び当該土地画像に含まれる周辺環境を表す三次元画像と合成することで、所定の土地とそこに建築された建物の三次元画像が生成される。
なお、三次元の建物画像には、建物の外観のみならず、建物の内観が含まれていてもよく、内観の三次元画像を参照することにより、建物の内部の間取り等を三次元的に把握することができる。
【0028】
土地情報記憶部1Bは、建物が建築される土地に関する土地情報を記憶した記憶部である。この土地情報は、不動産の所有者や不動産業者等によって登録されたり更新されたりする。
【0029】
この土地情報記憶部1Bには例えば、
図3に示されるように、土地を識別する土地IDごとに、基本情報、座標、及び土地画像が記憶されている。ただし、これらの情報はいずれも一例であって、土地の接道状況や評価価格、周辺の住民の人口や年齢層、近隣の商業施設といった土地の周辺情報など、土地を把握することのできる情報を適宜に含めることができる。
【0030】
基本情報は、住所、敷地面積など、土地の所在や広さなどの情報によって構成され、土地を把握したり、後述する判定処理部12による処理において建物の高さ制限や日影制限などを判定したりする際に必要又は有用な情報等が適宜に含まれる。
土地情報は、建ぺい率、容積率、敷地面積、土地形状など、土地に関する情報によって構成される。
【0031】
座標は、土地の所定位置ごとの座標を示す情報である。この座標は、三次元座標として構成され、この座標の情報を参照することによって、土地上の所定位置の高さ(標高)を把握したり、土地の境界線あるいは形状を把握したりできる。
土地画像は、土地の三次元画像であり、建物の三次元画像と合成することによって、土地上に建物を建てた場合のイメージを立体的且つ直感的に把握できる。
【0032】
なお、この土地情報には、三次元画像からなる土地画像に対応した二次元の土地画像が記憶されている。二次元の土地画像は例えば、地図上において所定の土地の形状や広さを二次元で把握可能な画像として構成される。
また、土地IDによって識別される所定の土地の三次元画像のほか、周辺画像として、当該所定の土地の周囲あるいは周辺の三次元画像が含まれていてもよい。この周辺画像は、所定の土地画像とは別に構成されたものであってもよいし、土地画像の一部を構成するものであってもよい。これにより、建物と土地の画像を合成した合成画像において、建物を建てた際の周りの状況を的確に把握できる。また、所定の土地の周囲あるいは周辺に隣家等の建物がある場合、周辺画像には当該隣家の内部や窓などの画像が含まれていてもよい。
【0033】
制限情報記憶部1Cは、所定の土地上に所定の建物を建築する際の法的あるいは物理的な制限に係る制限情報を記憶した記憶部である。制限上は、土地ごと、あるいは土地が存する地域によって固有な情報である。
【0034】
この制限情報記憶部1Cには例えば、
図4に示されるように、土地を識別する土地IDごとに、建ぺい率、容積率、高さ制限、道路斜線制限、隣地斜線、北側斜線、日影規制などの制限事由を判定するための基準情報が記憶されている。ただし、これらの情報はいずれも一例であって、所定の土地上に建物を建築する際の制限事由の判断基準となる情報を適宜に含めることができる。
【0035】
この制限情報記憶部1Cを参照することにより、所定の土地上に所定の建物を建築するに際にして法的あるいは物理的な制限を受けるかどうかを判定することができる。
【0036】
地図情報記憶部1Dは、土地情報記憶部1Bに記憶されている土地の所在や土地形状を視覚的に認識できる地図を記憶した記憶部である。この地図は、例えば二次元の地図画像によって構成され、この土地画像では、所定の土地の区画や隣地との境界、さらには土地の平面形状を把握できるようになっていてる。
【0037】
この地図情報記憶部1Dを参照することにより、所定の土地の所在や周囲を把握することができる。また、後述のとおり、所定の土地の区画や平面形状があらわされた地図画像において、縮尺を合わせた建物の二次元画像かなる間取り図を重畳させることで、所定の土地に建物が収まるか否か、さらには建物がどのような向きで収まるか否かといったことを把握できる。
【0038】
オプションパーツ記憶部1Eは、土地画像に建物画像を合成した合成画像において表示する三次元画像からなるオプションパーツを記憶した記憶部である。
オプションパーツは、土地上に建物を建てた際の実際的イメージを掴むのに役立つものであればよく、例えば、植栽、門柱、擁壁、柵、倉庫、車などであり、それぞれについても様々な種類あるいはデザインのものが用意されていてもよい。
なお、オプションパーツ記憶部1Eは、三次元画像のほかに当該三次元画像に対応する二次元画像も登録されており、二次元で表示された土地上に当該二次元画像からなるオプションパーツを配置し、オプションパーツの配置を決定できるようになっている。
【0039】
抽出処理部11は、各情報記憶部を参照して所定の情報を抽出する処理を実行する。例えば、判定処理部12による処理に際して、建物情報記憶部1A、土地情報記憶部1B、及び制限情報記憶部1Cから所定の情報を抽出し、これを判定処理部12に提供する。
【0040】
判定処理部12は、ユーザが選択した所定の土地に所定の建物が法令あるいは物理的な制限にかかわらず建築可能か否か、即ち建築における制限をクリアできるかどうかを判定する判定処理を実行する。判定処理においては、ユーザから、所定の土地と当該所定の土地上に建築することを希望する所定の建物の選択、当該所定の土地における建物の配置場所や配置の向き、及び当該所定の建物を建築する場合のグランドライン(地盤面)の指定を受け付け、これらの情報を判定処理に用いる。
【0041】
具体的な処理においては、判定する項目ごとに必要な情報を建物情報記憶部1A、土地情報記憶部1B、及び制限情報記憶部1Cから抽出し、建ぺい率、容積率、高さ制限、道路斜線制限、隣地斜線、北側斜線、日影規制などの基準と対比すべき数値を適宜に算出して当該数値と比較する。
例えば、建物の高さ制限について判定処理を実行する場合には、まずユーザによる所定の土地と所定の建物の選択に基づき、当該所定の建物の高さ、当該所定の土地における高さ制限に係る情報を取得する。そして、当該所定の土地に当該所定の建物を建てた場合に当該所定の土地に固有の高さ制限をクリアできるか否かを判定する。
また、日影規制について判定処理を実行する場合には、合成画像について、法令で定められている位置に日照の起点を設定して生じる日影や、日照の時間変化に伴う日影時間をなどを算出し、所定の規制をクリアできるか否かを判定する。
なお、判定処理部12による判定処理は、制限情報記憶部1Cに登録されている項目すべてについて実行されてもよいし、いずれか任意のものについてのみ実行されてもよい。
【0042】
合成処理部13は、土地画像に建物画像を合成し、合成画像を生成する。
この合成処理部13による画像の合成処理では、土地画像に対する建物画像の鉛直方向及び水平方向の位置が調整される。
【0043】
鉛直方向については、所定の土地上においてユーザによりGL基準点として指定された所定のポイントの鉛直方向の座標をグランドラインとして、土地画像に建物画像を合成する。即ち、実際の土地には、起伏がある場合があり、その場合にどこをグランドラインとするかによって、建物の実際的な高さや、造成あるいは擁壁工事の要否や内容が変わってくる。この点、所定の土地上においてGL基準点となるポイントの指定を受けることにより、それがいずれのポイントであればどのように建物が建つのかを把握できる。なお、所定のポイントの鉛直方向の座標は、土地情報記憶部1Bを参照することによって取得できる。
【0044】
水平方向については、予め所定の土地に対して所定の建物をどのような位置及び向きで配置するかの情報をユーザから取得しておき、かかる情報を反映する。土地に対する建物の位置や向きに係る情報は、例えば、土地と建物の間取りの二次元画像をユーザに対して示し、ユーザによって建物の間取りの二次元画像を任意の位置及び向きで土地の二次元画像上に配置してもらうことによって取得できる。
【0045】
このように生成された合成画像は、Ajax(エイジャックス)等を用いて画面上に出力され、ユーザは適宜の操作によって、合成画像を様々な角度等から確認し、建物が土地上にどのように建つのかを把握できる。
【0046】
編集処理部14は、合成画像において、土地画像と他店の画像の間に生じる隙間及び/又は重複箇所を編集する処理を実行する。即ち、所定の土地上において指定された所定のポイントをグランドラインとして土地画像に建物画像を合成すると、土地に起伏がある場合には、建物の基礎と土地の間に隙間が生じたり、建物画像中の建物の基礎が土地画像中の土地にめり込んだ重複箇所が生じたりする。編集処理部14は、このような隙間や重複箇所について、隙間に擁壁や造成の画像をはめるように編集したり、重複箇所の土地部分を掘削するようにしたりすることにより、合成画像を実際の施工又は工事が行われた状態の編集画像にする。
なお、合成処理において用いられる擁壁や造成のための画像は例えば、オプションパーツ記憶部1Eに記憶されており、所望の種類のものをユーザが選択できるようになっていてもよいし、編集処理部14が予め設定等されているものを選択して使うようになっていてもよい。
【0047】
入出力部15は、データの入出力を可能とする機能部であって、キーボードやマウス、マイクといったデータ入力手段、ディスプレイやスピーカといった出力手段、あるいは入力手段と出力手段を一体的に構成するタッチパネルディスプレイ等によって実現される。
【0048】
なお、本実施形態にかかわらず、インターネット等のネットワークにより、画像生成装置1を他のパーソナルコンピュータや携帯型データ通信端末等の所定の端末と通信可能に構成し、データの入出力のみを当該所定の端末上で実行させることもできる。
【実施例0049】
実施例1に係る画像生成装置1によって実行される処理の流れと画面の一例について
図5乃至
図11を参照して説明する。
まず、画像生成装置1は地図情報記憶部1Dを参照して、合成画像を生成する対象となる所定の土地を地図により表示させる(S101)。
図6は、所定の土地の地図をあらわした画面の一例である。所定の土地の区画が区画表示枠G10(本例では破線で示されている)によって中央に表示され、当該所定の土地の周辺の道路や土地が合わせて表示されている。
【0050】
ユーザは、地図上に示された所定の土地上に、所定の建物の間取り画像を配置する(S102)。
図7は、所定の土地上に所定の建物の間取り画像G20を配置した状態の画面の一例である。画面上において、所定の建物の間取り画像G20は、ユーザによる操作が可能なオブジェクトとして用意されており、当該ユーザによる操作に応じて上下左右に移動させたり、回転させたりすることができるようになっている。これにより、ユーザは、各居室等がどの方角に向くのか、あるいは道路に面するのかといったことを間取りで把握できる。
【0051】
なお、ユーザの操作に応じて、所定の建物の間取り画像G20が所定の土地の区画(区画表示枠G10)からはみ出るなど、建築不能な状態に配置された場合にはエラーメッセージ等を報知するようにしてもよい。
また、所定の建物の間取り画像G20は、建物情報記憶部1Aに記憶されている情報に基づいて一覧的に提示された複数の間取り画像の中から、ユーザによって選択されたものであってもい。この場合において、ユーザに提示される建物の間取り画像は、所定の土地に建築可能な建物についてのもののみによって構成されるようにしてもよい。また、ユーザが費用や間取り構成によって所望の間取りを絞り込めるような検索フォームを設けるようにしてもよい。
【0052】
間取り画像G20の配置の際には適宜、オプションパーツを配置することができる(S103)。
画像生成装置1は例えば、オプションパーツ記憶部1Eを参照して、オプションパーツを選択可能にユーザに提示する。
図11は、オプションパーツG21を配置した状態を示している。即ち、ユーザは、間取り画像G20と同様に、所定の土地上の任意の位置に所望のオプションパーツG21を配置でき、これにより例えば、間取り画像G20として配置された建物の脇の空いたスペースに車のオブジェクトを配置したり、隣家との間に樹木のオブジェクトを配置したりすることができる。
【0053】
また、オプションパーツG21として、建物と土地の間に適宜に設けられる擁壁を選択できるようになっていてもよい。即ち、
図9を参照して後述するように、合成処理部13によって土地画像と建物画像の合成をした結果、隙間G41が生じた場合に、この隙間G41を埋める擁壁をオプションパーツG21として選択できるようになっていてもよい。
【0054】
間取りの配置が決まると、ユーザは、所定の土地におけるGL基準点として、所定のポイントを指定する(S104)。
図8は、ユーザが所定の土地においてGL基準点となるポイントを指定する際の画面の一例である。この画面では、建物情報記憶部1Aや土地情報記憶部1Bに記憶されているデータに基づき、所定の土地の土地画像G30や当該所定の土地の周辺環境が三次元で表示されている。
【0055】
ユーザは、GL基準点を指定するためのカーソルG31を操作して、所定の土地上の任意の位置をGL基準点となるポイントPに指定する。
なお、ユーザによるカーソルG31の操作に関して、ユーザによってカーソルG31が合わせられた土地画像G30上の任意の地点について、土地情報記憶部1Bを参照して、当該地点の高さを示す数値を表示するようにしてもよい。
【0056】
画像生成装置1は、ユーザによってGL基準点となるポイントPが指定されると、合成処理部13により合成画像を生成する(S105)。
図9は、所定の土地の土地画像G30に所定の建物の建物画像G40を合成した合成画像をあわらした画面の一例である。
合成画像の生成においては、建物情報記憶部1A及び土地情報記憶部1Bから、間取り画像G20に対応する所定の建物の建物画像G40と、区画表示枠G10に対応する所定の土地の土地画像G30が抽出される。そして、ユーザによって指定されたポイントPをGL基準点として、抽出された建物画像G40の鉛直方向の位置を設定する。また、ユーザによって配置された間取り画像G20の位置や向きに応じて、土地画像G30上における建物画像G40の水平方向の位置や向きを設定する。
【0057】
図9の例では、所定の土地に起伏がある結果、ユーザによって指定されたポイントPをGL基準点とすると、所定の建物の基礎と土地の間に隙間G41が生じるとともに、所定の建物の基礎が土地に食い込んだ重複箇所G42が生じることがわかる。なお、隙間G41や重複箇所G42には陰影や色、破線等、当該箇所の識別を容易とする識別効果を付与してもよい。
【0058】
編集処理部14は、合成画像において生じた隙間G41や重複箇所G42を編集する(S106)。
図10は、編集処理部14によって編集された合成画像の一例である。合成画像を編集して得られた編集画像上では、土地画像G30と建物画像G40の間の隙間G41に擁壁G43が設けられ、重複箇所G42の土地が掘削されている。
なお、擁壁G43は、オプションパーツ記憶部1Eから抽出されたものであるところ、これは編集処理部14が予め決められているものを抽出して用いたものであってもよいし、ユーザが間取り画像G20の配置の際に選択したものを用いたものであってもよい。
【0059】
なお、編集処理部14による編集処理は、一旦、合成処理部13によって生成された合成画像をユーザに対して出力した後、これに続くユーザの指示に基づいて実行することもできるし、当該合成画像をユーザに対して出力することなく実行することもできる。また、隙間G41を埋めるオプションパーツとしての擁壁G43の選択や、重複箇所G42の掘削如何の選択については、合成画像を一旦ユーザに対して出力した際に、当該ユーザから受け付けるようにしてもよい。
【0060】
図12は、編集画像の他の一例を示している。この
図12に示される編集画像は、
図11に示した、二次元の画像をもとに生成されたものである。
この例では、建物画像に対し、上記した擁壁G43よりも高さのある擁壁G43が配置され、さらにオプションパーツG21を三次元化させた樹木G44が配置されている。これは、S103の処理においてユーザが選択的に配置したものを反映している。なお、樹木G44等のオプションパーツG21の三次元画像についても、合成処理部13によって三次元画像として表示される際には、ユーザによって指定されたポイントPをGL基準点として、オプションパーツG21の三次元画像の鉛直方向の位置を設定する。
【0061】
なお、上述した処理S104において、ユーザがGL基準点を設定する場合には、ユーザが指定したポイントから所定の高さだけ高い位置あるいは低い位置にGL基準点を設定できるようになっていてもよい。例えば、指定したポイントよりも1m高くするといった具体的な数値入力による設定が可能であってもよい。
この結果、建築における制限をクリアできる場合には、上記したS105以降の処理に進む。なお、この場合に、制限をクリアできる旨のメッセージをユーザに対して提示するようにしてもよい。
なお、本例において、判定処理部12による判定は、制限情報記憶部1Cに記憶されている項目全てについて実行されるものであってもよいし、その一部、あるいはユーザが任意に指定したものについて実行されるものであってもよい。
また、判定処理部12による判定処理の結果にかかわらず、合成画像の生成(S105)、さらには合成画像の編集(S106)の処理に進むこともできる。この場合には、合成画像や編集画像の出力画面において、建築における制限をクリアできていない旨のメッセージを通知するようにしてもよい。また、判定処理を行う項目が複数に及ぶ場合には、いずれの項目において制限を受けるのかが分かるようにするとよい。
また、判定処理部12による判定処理の実行タイミングについて、合成画像の生成(S105)を実行した後、あるいは合成画像の編集(S106)を実行した後に、自動的にあるいはユーザによる指示に応じて実行されるものであってもよい。
以上の本実施形態に係る画像生成装置1によれば、土地に建物を建てたイメージの生成においてグランドラインの設定が可能であり、その結果、正確なイメージの生成が可能となる。
ここで、レコメンドの基準は例えば、土地の造成や掘削といったコストに基づいた評価、隣家からの視線又は目線に基づいた評価による。レコメンドされるポイントは評価内容によっても変わり得るため、ユーザが重視する評価の種類の指定を受け付け、指定された種類の評価に応じてレコメンドされるポイントをユーザに提示するようにしてもよい。また、所定の土地上における評価は、地点ごとの情報として予め土地情報記憶部1Bに登録しておいたものであってもよいし、ユーザによる土地の選択に応じて所定のアルゴリズムに則って演算したものであってもよい。例えば、所定のポイントをGL基準点とした場合に、必要な土地の造成や掘削、残土の発生などの工事量を算出し、それに単価を乗じることでコストを算出できる。
また、ポイントのレコメンドにおいては、土地の造成や掘削等の工事を専門とする業者から提案を受け、これをユーザに提示するようにしてもよい。即ち、そのような業者が利用する業者端末に対し、所定の建物と所定の土地の情報をデータとして提供し、当該データに基づいた検討結果としてのポイントのレコメンドに係る情報を業者端末から受け付け、これをユーザに提示する。この際、業者端末からはポイントのレコメンドのみならず、工事内容の提案や見積、納期、工事期間、着工予定、完了予定といった情報を合わせて受け付けてユーザに提示するようにしてもい。
以上のような画像生成装置1による処理結果をウェブサイト上に出力できるようにすれば、そのようなウェブサイトは、不動産に関わる様々なプレイヤーが参加するプラットフォームを実現できる。そして、このようなプラットフォームサイトでは、不動産の実際的な需要や供給に係る情報、専門的な知見に基づいた活用方法など、各種のデータを蓄積でき、当該蓄積したデータはデータサイエンス上も有用である。即ち、蓄積したデータに基づいた複合データ分析などによって、これまでにない、あるいは気づきにくい不動産の活用方法などを見出すことができ、さらには所定の不動産に関わるプレイヤーに限られない社会全体とっても有益な知見を引き出すようなアプローチも期待できる。