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  • 特開-燃焼プロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092459
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】燃焼プロセス
(51)【国際特許分類】
   F23C 6/04 20060101AFI20230626BHJP
   F23G 5/14 20060101ALI20230626BHJP
   F23N 1/02 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
F23C6/04 301
F23G5/14 F
F23N1/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022173194
(22)【出願日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】21216323
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】グザビエ・パウベル
(72)【発明者】
【氏名】アブー・バ
(72)【発明者】
【氏名】フランク・レーカー
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ケピンスキ
(72)【発明者】
【氏名】モハンド・アミラ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-バティスト・セネシャル
【テーマコード(参考)】
3K003
3K078
3K091
【Fターム(参考)】
3K003AB03
3K003AB06
3K003CA03
3K003CA05
3K078AA02
3K078BA08
3K078BA21
3K078BA22
3K078CA02
3K078CA11
3K078CA21
3K091BB07
3K091BB25
3K091DD02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】主燃焼帯における燃焼及び後燃焼帯における後燃焼が共に最適化される組み合わされた燃焼及び後燃焼プロセスを提供する。
【解決手段】煙道ガスが主燃焼帯10において燃焼によって生成される組み合わされた燃焼及び後燃焼方法であって、煙道ガス17は、主燃焼帯10から排出され、後燃焼帯19内に導入され、そこで煙道ガス17は後燃焼にかけられ、後燃焼帯19から排出される後燃焼されたガス23が得られ、主燃焼帯10から排出される煙道ガス17中の1つ又は複数の可燃性物質の第1のレベル及び/又は後燃焼帯19から排出される後燃焼されたガス23中の1つ又は複数の可燃性物質の第2のレベルが監視され、制御信号が監視レベルに基づいて生成され、後燃焼酸化剤注入率又は後燃焼燃料に対する後燃焼酸化剤の化学量論的過剰量が前記制御信号に応じて調節される方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み合わされた燃焼及び後燃焼方法であって、
a)後燃焼帯(19)について公称の後燃焼運転モードを、
(1)前記後燃焼帯(19)が後燃焼燃料を注入するように装備されていない酸化剤のみ後燃焼帯であるとき、前記後燃焼帯(19)への公称の後燃焼酸化剤注入率を定義し、
(2)又は、前記後燃焼帯(19)が後燃焼酸化剤と後燃焼燃料の両方を注入するように装備されている酸化剤-燃料後燃焼帯であるとき、前記後燃焼帯(19)への公称の後燃焼酸化剤注入率及び公称の後燃焼燃料注入率を用いて定義するステップと、ここで、前記公称の後燃焼酸化剤注入率及び前記公称の後燃焼燃料注入率は、前記後燃焼燃料に対する前記後燃焼酸化剤の公称の化学量論的過剰量を定義するものであり、
b)燃料及び燃焼酸化剤を、それぞれ実際の燃料供給率及び実際の酸化剤供給率で主燃焼帯(10)に供給するステップと、
c)前記主燃焼帯(10)において供給された燃料を供給された前記燃焼酸化剤で燃焼させ、したがって残留可燃性物を含み得る熱及び煙道ガスを生成するステップと、
d)前記主燃焼帯(10)から前記煙道ガスを排出し、排出された前記煙道ガス(17)を前記後燃焼帯(19)内に導入するステップと、
e)前記後燃焼帯(19)内に、
(1)前記後燃焼帯(19)が酸化剤のみ後燃焼帯であるとき、実際の後燃焼酸化剤注入率で後燃焼酸化剤を注入し、後燃焼燃料を注入せず、又は
(2)前記後燃焼帯(19)が酸化剤-燃料後燃焼帯であるとき、実際の後燃焼酸化剤注入率で後燃焼酸化剤を注入し、及び実際の後燃焼燃料注入率で後燃焼燃料を注入するステップと、ここで、前記実際の後燃焼酸化剤注入率及び前記実際の後燃焼燃料注入率は、前記後燃焼燃料に対する後燃焼酸化剤の実際の化学量論的過剰量を定義するものであり、
f)前記後燃焼帯(19)において排出された前記煙道ガス(17)を、
(1)酸化剤のみ後燃焼帯の場合、前記後燃焼酸化剤を用いて後燃焼し、又は
(2)酸化剤-燃料後燃焼帯の場合、後燃焼酸化剤の前記実際の化学量論的過剰量を用いて後燃焼し、
それにより、後燃焼されたガス(23)を生成するステップと、
g)前記後燃焼されたガス(23)を前記後燃焼帯(19)から排出するステップと、
h)前記主燃焼帯(10)から排出される前記煙道ガス(17)中の1つ又は複数の可燃性物質の第1のレベル、及び/又は前記後燃焼帯(19)から排出される前記後燃焼されたガス(23)中の1つ又は複数の可燃性物質の第2のレベルを監視するステップと、
i)ステップh)において監視される前記レベルに基づいて、又は前記レベルの1つ又は両方に基づいて第1の制御信号を生成するステップと、
j)前記第1の制御信号に応じて、
(1)酸化剤のみ後燃焼帯(19)の場合、前記実際の後燃焼酸化剤注入率を調節し、又は
(2)酸化剤-燃料後燃焼帯(19)の場合、前記実際の後燃焼酸化剤注入率及び/又は前記実際の後燃焼燃料注入率を通じて後燃焼酸化剤の前記実際の化学量論的過剰量を調節するステップと
を備える方法。
【請求項2】
前記第1の制御信号が前記第2の監視レベルに基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa)が、
i.前記第2の監視レベルについて上閾値B1upを定義することを備え、
前記第2の監視レベルが前記上閾値B1upを超えたとき、前記生成される第1の制御信号は、ステップj)において、
(1)酸化剤のみ後燃焼帯(19)の場合、前記実際の後燃焼酸化剤流を前記公称の後燃焼酸化剤流より高くし、又は
(2)酸化剤-燃料後燃焼帯(19)の場合、後燃焼酸化剤の前記実際の化学量論的過剰量を後燃焼酸化剤の前記公称の化学量論的過剰量より大きくする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップa)が、
i’.前記第2の監視レベルについて下閾値B1lowを定義すること、並びに/又は
ii’.前記第2の監視レベル及び対応する時間期間ΔtBについて下閾値B2lowを定義することをさらに備え、
前記第2の監視レベルが閾値B1low未満であるか、又は少なくとも時間期間ΔtBの間、下閾値B2low未満のままであるとき、前記生成される第1の制御信号は、ステップj)において、
(1)酸化剤のみ後燃焼帯(19)の場合、前記実際の後燃焼酸化剤流を前記公称の後燃焼酸化剤流に等しくし、又は
(2)酸化剤-燃料後燃焼帯(19)の場合、前記実際の後燃焼酸化剤流及び前記実際の後燃焼燃料流を、それぞれ前記公称の後燃焼酸化剤流及び前記公称の後燃焼燃料流に等しくする、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の制御信号が前記第1の監視レベルに基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)が、
i.前記第1の監視レベルについて上閾値C1upを定義することをさらに備え、
前記第1の監視レベルが前記上閾値C1upを超えたとき、前記生成される第1の制御信号は、ステップj)において、
(1)酸化剤のみ後燃焼帯(19)の場合、前記実際の後燃焼酸化剤流を前記公称の後燃焼酸化剤流より高くし、又は
(2)酸化剤-燃料後燃焼帯(19)の場合、後燃焼酸化剤の前記実際の化学量論的過剰量を後燃焼酸化剤の前記公称の化学量論的過剰量より大きくする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップa)が、
i.前記第1の監視レベルについて下閾値C1lowを定義すること、並びに/又は
ii.前記第1の監視レベル及び対応する時間期間ΔtCについて下閾値C2lowを定義することを備え、
前記第1の監視レベルが閾値C1low未満であるか、又は少なくとも時間期間ΔtCの間、下閾値C2low未満のままであるとき、前記生成される第1の制御信号は、ステップj)において、
(1)酸化剤のみ後燃焼帯(19)の場合、前記実際の後燃焼酸化剤流を前記公称の後燃焼酸化剤流に等しくし、又は
(2)酸化剤-燃料後燃焼帯(19)の場合、前記実際の後燃焼酸化剤流及び前記実際の後燃焼燃料流を、それぞれ前記公称の後燃焼酸化剤流及び前記公称の後燃焼燃料流に等しくする、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の制御信号が、前記第1の監視レベルと前記第2の監視レベルの両方に基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップa)が、
i.前記第1の監視レベルについて上閾値C1’upを定義すること、及び
ii.前記第2の監視レベルについて上閾値B1’upを定義することを備え、
前記第1の監視レベルが上閾値C1’upを超えたとき、又は前記第2の監視レベルが上閾値B1’upを超えたとき、前記生成される第1の制御信号は、ステップj)において、
(1)酸化剤のみ後燃焼帯(19)の場合、前記実際の後燃焼酸化剤流を前記公称の後燃焼酸化剤流より高くし、又は
(2)酸化剤-燃料後燃焼帯(19)の場合、後燃焼酸化剤の前記実際の化学量論的過剰量を、後燃焼酸化剤の前記公称の化学量論的過剰量より大きくする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップa)が、
iii.前記第1の監視レベルについて下閾値C1’lowと、前記第2の監視レベルについて下閾値B1’lowとを定義すること、並びに/又は
iv.前記第1の監視レベル及び対応する時間期間ΔtC’について下閾値C2’lowと、前記第2の監視レベル及び対応する時間期間ΔtB’について下閾値B2’lowとを定義することを備え、
前記第1の監視レベルが下閾値C1’low未満であり、前記第2の監視レベルが閾値B1’low未満であるとき、又は前記第1の監視レベルが、少なくとも時間期間ΔtC’の間、下閾値C2’low未満のままであり、前記第2の監視レベルが、少なくとも時間期間ΔtB’の間、下閾値B2’low未満のままであるとき、前記生成される第1の制御信号は、ステップj)において、
(1)酸化剤のみ後燃焼帯(19)の場合、前記実際の後燃焼酸化剤注入率を前記公称の後燃焼酸化剤注入率に等しくし、又は
(2)酸化剤-燃料後燃焼帯(19)の場合、前記実際の後燃焼酸化剤注入率及び前記実際の後燃焼燃料注入率を、それぞれ前記公称の後燃焼酸化剤注入率及び前記公称の後燃焼燃料注入率に等しくする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップa)が、所定の持続時間Δtpcboostを定義することをさらに備え、ステップj)において、期間Δtpcboostの間、
(1)酸化剤のみ後燃焼帯(19)の場合、前記実際の後燃焼酸化剤流が前記公称の後燃焼酸化剤流より高かったとき、又は
(2)酸化剤-燃料後燃焼帯(19)の場合、後燃焼酸化剤の前記実際の化学量論的過剰量が後燃焼酸化剤の前記公称の化学量論的過剰量より大きかったとき、
ステップj)において、
(1)酸化剤のみ後燃焼帯(19)の場合、前記実際の後燃焼酸化剤注入率を前記公称の後燃焼酸化剤注入率に等しくし、又は
(2)酸化剤-燃料後燃焼帯(19)の場合、前記実際の後燃焼酸化剤注入率及び前記実際の後燃焼燃料注入率を、それぞれ前記公称の後燃焼酸化剤注入率及び前記公称の後燃焼燃料注入率に等しくする
第1の制御信号がステップi)で生成される、請求項3、6、又は9に記載の方法。
【請求項12】
ステップa)が、前記主燃焼帯(10)への公称の燃料供給率及び公称の酸化剤供給率で前記主燃焼帯(10)についての公称の主燃焼運転モードを定義することを含み、
ステップi)が、ステップh)において監視される前記第1のレベル及び/又は第2のレベルに基づいて第2の制御信号を生成することを含み、
前記方法は、
前記第2の制御信号に応じて前記主燃焼帯(10)への前記実際の酸化剤供給率及び前記実際の燃料供給率を調節するステップk)をさらに備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ステップi)で、前記第2の制御信号が前記第1の監視レベルに基づいて生成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップa)が、
i.前記第1の監視レベルについて上閾値A1upを定義すること、及び/又は
ii.前記第1の監視レベルの変化率について正の上閾値RA1upを定義することをさらに備え
前記第1の監視レベルが前記上閾値A1upを超えたとき、及び/又は
前記第1の監視レベルが上閾値RA1upより大きい率で増加するとき、
前記生成される第2の制御信号は、ステップk)において、前記実際の酸化剤供給率と前記実際の燃料供給率との比率が前記公称の酸化剤供給率と前記公称の燃料供給率との比率より高くなるように、前記主燃焼帯(10)への前記実際の酸化剤供給率及び前記実際の燃料供給率を調節させる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップa)が、
i.前記第1の監視レベルについて下閾値A1lowを定義すること、並びに/又は
ii.前記第1の監視レベル及び対応する時間期間ΔtAについて下閾値A2lowを定義することを備え
前記第1の監視レベルが下閾値A1low未満であるとき、及び/又は
前記第1の監視レベルが、少なくとも前記時間期間ΔtAの間、下閾値A2low未満のままであるとき、
前記生成される第2の制御信号は、ステップk)において、前記実際の酸化剤供給率及び前記実際の燃料供給率が、それぞれ前記公称の酸化剤供給率及び前記公称の燃料供給率に対応するように、前記主燃焼帯(10)への前記実際の酸化剤供給率及び前記実際の燃料供給率を調節させる、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
ステップi)で、前記第2の制御信号が前記第2の監視レベルに基づいて生成される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
ステップa)が、
i.前記第2の監視レベルについて上閾値D1upを定義することを備え、
前記第2の監視レベルが前記上閾値D1upを超えたとき、前記生成される第2の制御信号は、ステップk)において、前記実際の酸化剤供給率と前記実際の燃料供給率との比率が前記公称の酸化剤供給率と前記公称の燃料供給率との比率より高くなるように、前記主燃焼帯(10)への前記実際の酸化剤供給率及び前記実際の燃料供給率を調節させる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップa)が、
ii.前記第2の監視レベルについて下閾値D1lowを定義すること、並びに/又は
iii.前記第2の監視レベル及び対応する時間期間ΔtDについて下閾値D2lowを定義することをさらに備え、
前記第2の監視レベルが閾値B1low未満であるか、又は少なくとも時間期間ΔtBの間、下閾値B2low未満のままであるとき、前記生成される第2の制御信号は、ステップk)において、前記実際の酸化剤供給率及び前記実際の燃料供給率が、それぞれ前記公称の酸化剤供給率及び前記公称の燃料供給率に対応するように、前記主燃焼帯(10)への前記実際の酸化剤供給率及び前記実際の燃料供給率を調節させる、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼の分野に関する。より詳細には、本発明は、以下主燃焼帯と称される炉の燃焼帯において燃料が酸化剤で燃焼され、前記燃焼帯から排出される煙道ガスが、煙道ガスの流れ方向において主燃焼帯の下流の後燃焼帯において後燃焼にかけられる燃焼プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
主燃焼帯における最大の熱生成のためには、一般に、主燃焼帯内で完全燃焼を達成することが好ましい。その場合、燃焼帯からの煙道ガスには、残留可燃性物がない。
【0003】
主燃焼帯において完全燃焼を達成するためには、燃焼酸化剤を、燃料に対して少なくとも化学量論量で主燃焼帯に供給しなければならない。実際の慣例では、化学量論量に対してわずかに過剰な酸化剤が、完全燃焼を達成するために必要である。非常に過剰な酸化剤も同様に完全燃焼を可能にするが、燃焼を希釈し、したがって火炎温度を低下させる。さらに、酸素富化空気又は酸素が燃焼酸化剤として使用されるとき、非常に過剰な酸化剤は、プロセスへの酸化剤の供給に関連するコストをも増大することになる。
【0004】
実際には、主燃焼帯における完全燃焼は、必ずしも可能とは限らず、望ましくないことさえある。
【0005】
たとえば、あるプロセスの場合、たとえば主燃焼帯内で加熱される装入物の望ましくない酸化を回避するために、炉内還元雰囲気が必要とされる。これは、非鉄金属を溶融するための炉の場合によくある。還元雰囲気が必要とされる場合、過剰な酸素で主燃焼帯を運転することは、明らかに除外される。
【0006】
さらに、廃棄物焼却設備、又は塗装された飲料缶など汚染されたアルミニウムが溶融される2次アルミニウム溶融炉などいくつかのプロセスでは、可燃性物は、少なくとも一部、装入物によって制御されない状態及び量で放出される。その結果、プロセスを通して異なる時点で化学量論量に対応する酸化剤の量を正確に予測することは可能でない。
【0007】
そのような炉における燃焼プロセスを最適化するために、主燃焼帯において装入物によって放出される可燃性物の量の変化を監視し、炉オペレータが主燃焼帯への燃焼酸化剤及び/又は燃料の制御された供給を調整することによってそれに迅速に応答することができるようにする監視方法が提案されている。そのような監視プロセスの例は、ES-A-2201885、ES-A-2207389、EP-A-0949477、WO-A-2010022964、WO-A-2011131880、及び特開2021-025687号に記載されている。
【0008】
これらの方法は、放出される可燃性物の量又は煙道ガス中の残留可燃性物の量の実際の変化に応答するので、そのような残留可燃性物のレベルを低減することを可能にするが、これに限らないが主燃焼帯が還元雰囲気で運転されるとき特に、それらの存在を完全に防止することはできない。
【0009】
残留可燃性物を大気中に吹き飛ばすことは、環境上の理由でしばしば許されない。さらに、プロセスから残留可燃性物を排出することは、すべての可燃性物が完全に燃やされてしまえば生成されたはずの熱エネルギーの損失にも相当する。
【0010】
これらの理由で、煙道ガスが大気中に放出される前に煙道ガス中に存在する残留可燃性物が後燃焼酸化剤で完全に、又は実質的に完全に燃焼される後燃焼器(post combustor)を使用することがますます一般的になっている。
【0011】
煙道ガスの後燃焼は、後燃焼酸化剤だけを後燃焼器内に注入することによって、又は後燃焼燃料に対する後燃焼酸化剤の化学量論的過剰量と共に後燃焼酸化剤及び後燃焼燃料を後燃焼器内に注入することによって達成され得る。後燃焼酸化剤と後燃焼燃料の両方を後燃焼器内に注入することは、残留可燃性物が煙道ガス中に比較的低い濃度で存在するとき、また、後燃焼器内への後燃焼燃料の注入が、残留可燃性物を発火させ燃やすように温度を上昇させるために必要とされるとき特に有用である。
【0012】
後燃焼器は、後燃焼によって生成される熱エネルギーを回収及び利用するためのエネルギー回収手段を備えることが有利である。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、最適化された後燃焼を用いた、そのような組み合わされた燃焼及び後燃焼プロセスを提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、主燃焼帯における燃焼及び後燃焼帯における後燃焼が共に最適化される組み合わされた燃焼及び後燃焼プロセスを提供することである。
【0015】
さらに、本発明は、マルチステップの組み合わされた燃焼及び後燃焼方法を提案する。
【0016】
一般説明
以下「ステップa)」と称される本発明の方法の第1のステップでは、公称の後燃焼運転モードが後燃焼帯について定義される。後燃焼帯が酸化剤のみ後燃焼帯、すなわち後燃焼燃料を注入するように装備又は調節されておらず、後燃焼酸化剤を注入するためだけに装備又は調節される後燃焼帯であるとき、定義される公称の後燃焼運転モードは、後燃焼帯への公称の後燃焼酸化剤注入率を示す。
【0017】
一方、後燃焼帯が酸化剤-燃料後燃焼帯、すなわち後燃焼酸化剤と後燃焼燃料の両方を注入するように装備又は調節されている後燃焼帯であるとき、公称の後燃焼運転モードは、後燃焼帯への公称の後燃焼酸化剤注入率及び公称の後燃焼燃料注入率を共に示す。公称の後燃焼酸化剤注入率及び公称の後燃焼燃料注入率は、後燃焼燃料に対する後燃焼酸化剤の公称の化学量論的過剰量が定義されるようなものである。
【0018】
以下、ステップb)と称される本発明の方法のさらなるステップでは、燃料及び燃焼酸化剤が主燃焼帯に供給される。ステップb)で燃料が主燃焼帯に供給される率は、「実際の燃料供給率」と称され、燃焼酸化剤が主燃焼帯に供給される率は、「実際の酸化剤供給率」と称される。
【0019】
ステップc)では、このように供給される燃料(すなわち、実際の燃料供給率で主燃焼帯に供給される燃料)は、主燃焼帯内で、供給される酸化剤(すなわち、実際の酸化剤供給率で主燃焼帯に供給される酸化剤)で燃焼され、それにより熱及び煙道ガスが生成される。前述のように、前記煙道ガスは、残留可燃性物を含み得る。
【0020】
方法のステップd)では、煙道ガスは、主燃焼帯から排出され、後燃焼帯内に導入される。
【0021】
ステップe)では、排出された煙道ガスの後燃焼に必要な酸化剤(「後燃焼酸化剤」と称される)、又は後燃焼燃料に対する後燃焼酸化剤の化学量論的過剰量を伴う後燃焼酸化剤及び燃料の組合せ(後者は「後燃焼燃料」と称される)が、前記後燃焼帯内に導入される。
【0022】
したがって、前記ステップe)では、後燃焼帯が酸化剤のみ後燃焼帯であるとき、後燃焼酸化剤は、実際の後燃焼酸化剤注入率で後燃焼帯内に注入され、後燃焼燃料は注入されない。
【0023】
後燃焼帯が酸化剤-燃料後燃焼帯であるとき、後燃焼酸化剤と後燃焼燃料の両方がステップe)において後燃焼帯内に注入される。後燃焼酸化剤は、実際の後燃焼酸化剤注入率で注入され、後燃焼燃料は、実際の後燃焼燃料注入率で注入される。実際の後燃焼酸化剤注入率及び実際の後燃焼燃料注入率は合わせて、後燃焼燃料に対する後燃焼酸化剤の実際の化学量論的過剰量を定義し、後燃焼酸化剤の前記実際の化学量論的過剰量は、後燃焼燃料の燃焼のために使用されず、したがって後燃焼帯内で煙道ガスの残留可燃性物の燃焼のために使用可能である。
【0024】
ステップf)では、排出された煙道ガスは、後燃焼酸化剤、又は後燃焼酸化剤の過剰量と共に前記後燃焼帯において後燃焼にかけられる。前記後燃焼中には、主燃焼帯から排出される煙道ガス中に存在する残留可燃性物が燃焼され、後燃焼されたガスをもたらす。
【0025】
ステップg)では、このように後燃焼されたガスは、後燃焼帯から排出される。
【0026】
本発明による方法のステップh)では、主燃焼帯から排出される煙道ガス中の1つ若しくは複数の可燃性物質の第1のレベル、及び/又は後燃焼帯から排出される後燃焼されたガス中の1つ若しくは複数の可燃性物質の第2のレベルが監視される。
【0027】
そのすぐ後に、ステップi)で、ステップh)において監視される(第1又は第2の)レベルに基づいて、又はステップh)において監視される第1のレベルと第2のレベルの1つ若しくは両方に基づいて、第1の制御信号が生成される。
【0028】
ステップj)では、後燃焼帯における後燃焼が調節される。
【0029】
後燃焼帯が酸化剤のみ後燃焼帯であるとき、後燃焼帯内への実際の後燃焼酸化剤注入率は、ステップj)において、第1の制御信号に応じて調節される。
【0030】
後燃焼帯が酸化剤-燃料後燃焼帯であるとき、後燃焼酸化剤の実際の化学量論的過剰量は、ステップj)において、実際の後燃焼酸化剤注入率及び/又は実際の後燃焼燃料注入率を通じて第1の制御信号に応じて調節される。
【0031】
第1の制御信号は、後燃焼を調節する目的でこのように生成される。これが達成される限り、第1の制御信号の性質(デジタル(電子的)又はアナログ(空気式など))又は値は重要でない。
【0032】
ステップh)における監視は、対応するガス流中の単一の可燃性物質の監視、又は前記ガス流中の複数の可燃性物質の監視であってよい。そのような可燃性物質の例は、H、CO、及びVOC(揮発性有機化合物)である。ガス流中のこれらの可燃性物質を監視するための様々なセンサが市販されている。監視されることになる1つ又は複数の物質は、主燃焼帯において行われるプロセスのタイプ、及び煙道ガスから排出される煙道ガス中に存在し得る可燃性物質のタイプ及びレベルに応じて選択されることになる。これに関する本質的な点は、監視される可燃性の1つ又は複数の物質のレベルが容易に迅速に測定可能でなければならず、主燃焼(排出された煙道ガスが監視されるとき)、又は後燃焼(後燃焼されたガスが監視されるとき)の完全性の明らかな標示又は不完全性のレベルを提供しなければならないことである。監視されることになる1つ又は複数の物質はまた、環境規制に応じて、特に後燃焼されたガス中の前記1つ又は複数の物質のレベルが前記環境規制によって課される制限値未満にとどまることを確実にするために選択され得る。
【0033】
監視は、ガス流中の1つ又は複数の物質のレベルが、たとえばその場で、すなわちガス流それ自体の中で又はサンプリングを通じて、測定される直接監視であってよい。監視は、たとえばEP-A-2561295に記載されているように、たとえば空隙を介して、又は監視されるガス内への空気若しくは酸素など酸化剤の制御された注入を通じて、ガス流中の1つ又は複数の可燃性物質が酸化剤と制御されて接触させられるとき生成される火炎の強度など、1つ又は複数の可燃性物質のレベルに相関される特性が測定される、1つ又は複数の物質の間接的な監視であってもよい。1つ又は複数の可燃性物質のレベルに相関される特性を介した間接的な監視は、たとえばES-A-2201885、ES-A-2207389、及びWO-A-2006117336に記載されているように、監視ガス流中の1つ又は複数の可燃性物質がそのような酸化剤と制御されて接触させられるときの、監視されるガスにおける温度又は温度変化若しくは発展に基づいてもよい。
【0034】
燃焼煙道ガスは、頻繁に、高温で主燃焼帯から排出される。その場合、前記煙道ガスは、著しい量の残留熱を含む。さらに、排出された煙道ガス中の可燃性物質の後燃焼も熱を生成する。したがって、後燃焼帯内及び/又はその下流に熱回収設備が設けられ得ることが有利である。前記熱回収設備によって回収された熱エネルギーは、たとえば、主燃焼帯及び/若しくは後燃焼帯の上流で燃料及び/若しくは酸化剤を予熱するための、主燃焼帯に供給される装入物を加熱若しくは乾燥するための、蒸気を生成するための、又は機械的動力若しくは電力を生成するための、熱源として使用され得る。
【0035】
後燃焼されたガス中の可燃性物質のレベルに基づく後燃焼調節
本方法の一実施形態によれば、ステップh)は、後燃焼帯から排出される後燃焼されたガス中の1つ又は複数の可燃性物質の、第2のレベルと称されるレベルの監視を含み、第1の制御信号は、ステップi)において、前記第2の監視レベル(「信号B」又は「レベルB」とも称される)に基づいて生成される。
【0036】
その場合、ステップa)は、前記第2の監視レベルについて上閾値B1upを定義することを含み得る。後燃焼されたガス中の残留可燃性物の第2の監視レベルが上閾値B1upを超えたとき、ステップi)において生成される第1の制御信号は、ステップj)において、
1)酸化剤のみ後燃焼帯の場合、公称の後燃焼酸化剤流より高くなるように実際の後燃焼酸化剤流を調節させ、又は
2)酸化剤-燃料後燃焼帯の場合、後燃焼酸化剤の公称の化学量論的過剰量より大きくなるように後燃焼酸化剤の実際の化学量論的過剰量を調節させる。
【0037】
以下では、この後燃焼運転モード(上記の1)及び2)に記載)は、「ブーストされた後燃焼」運転モードと称される。
【0038】
代替として、又は上記との組合せで、ステップa)は、第2の監視レベル(信号B)の変化率について正の上閾値RB1upを定義することを含み得る。変化率は、監視される物質の監視レベルの単位時間当たりの増加又は減少に対応する。変化は、1つ又は複数の可燃性物質の監視レベルの増加の場合、正であり、前記監視レベルの減少の場合、負である。監視レベルが一定であるとき、変化はゼロ(0)である。したがって、正の上閾値RB1upは、第2の監視レベルの増加(時間単位当たり)についての上閾値に対応する。
【0039】
第2の監視レベルが上閾値RB1upより大きい率で増加するとき、ステップi)において生成される第1の制御信号は、ステップj)において、ブーストされた後燃焼運転モードで後燃焼帯を動作させる。
【0040】
WO-A-2010/022964に記載されているように、第1の監視レベルの増加率に応答することは、後燃焼されたガス中の可燃性物質のレベルにおける顕著なピークに対してより効率的な応答を可能にする。
【0041】
また、先に示されているように、1つ又は複数の可燃性物質のレベルの監視は、ガス流中の1つ又は複数の物質のレベルが測定される直接監視であっても、1つ又は複数の可燃性物質のレベルに相関される特性が測定される間接的な監視であってもよい。後者の場合には、測定された相関特性の変化率を、監視レベルの変化率についての閾値RB1upに対応する相関特性の変化についての閾値と比較することによって、監視レベルの変化率を閾値RB1upと比較することが可能である。
【0042】
後燃焼を調節するための複数の基準、特に閾値B1up及びRB1upを組み合わせることが有用となり得る。
【0043】
ブーストされた後燃焼運転モードでは、後燃焼されたガスがより高いレベルの可燃性物質を含むとき、より多くの後燃焼酸化剤が、排出された煙道ガスの後燃焼に使用可能となり、したがって、公称の後燃焼モードの場合の後燃焼より、後燃焼帯における排出された煙道ガスのより完全な後燃焼が確保される。
【0044】
後燃焼酸化剤の上記の公称の流れ、又は後燃焼酸化剤の上記の公称の過剰量を後燃焼燃料に注入することは、一般に、望ましい/必要とされるレベルの後燃焼を得るために、及び後燃焼されたガス中の残留可燃性物の濃度を制限するためにこれが必要なときだけ経済的に正当化される。
【0045】
したがって、前記ブーストされた後燃焼運転モードの過程で、監視レベルが、後燃焼されたガス中の可燃性物質の「通常」レベルに戻るとき、後燃焼帯における後燃焼は、公称の後燃焼運転モードに戻らなければならない。
【0046】
一実施形態によれば、ステップa)は、ブーストされた後燃焼運転の、すなわちブーストされた後燃焼運転の開始と公称の後燃焼運転への戻りとの間の時間の、所定の持続時間Δtpcboostを定義することを含み得る。換言すれば、そのような実施形態によれば、後燃焼帯が、期間Δtpcboostの間、ブーストされた後燃焼運転であったとき、ステップi)で第1の制御信号は、ステップj)において以下となるように生成される。
【0047】
1)酸化剤のみ後燃焼帯の場合、実際の後燃焼酸化剤流が公称の後燃焼酸化剤流に等しくなるように調節され、又は
2)実際の後燃焼酸化剤流及び実際の後燃焼燃料流が、それぞれ公称の後燃焼酸化剤流及び公称の後燃焼燃料流に等しくなるように調節される。
【0048】
換言すれば、そのとき後燃焼は、公称の後燃焼運転モードで運転される。
【0049】
後燃焼帯の運転における不安定性(すなわち、頻繁な切り替え)を回避するために、そのような実施形態の場合、ステップa)において、公称の後燃焼運転への後燃焼帯の戻りと、ステップj)による後燃焼の次の調節との間の所定の持続時間Δtpclagを定義することも有用となり得、ここで、持続時間Δtpclagは、典型的には、Δtpcboostの持続時間の整数分の一にすぎない。実際には、8~20秒、好ましくは8~12秒の持続時間Δtpclagが有用であるとわかっている。
【0050】
ブーストされた後燃焼運転の所定の持続時間Δtpcboostを用いる実施形態は、特に、十分理解されているプロセス、特に、主燃焼帯からの煙道ガスが1つ又は複数の可燃性物質のピークを示すことが知られており、前記ピークの持続時間がおおよそ知られており、ステップa)において定義される持続時間Δtpcboostは、前記知られているおおよその持続時間に応じて、たとえば前記知られているおおよその持続時間以上で選択されるプロセスに使用され得る。ピークのおおよその持続時間は、同じ主燃焼帯及びプロセス、又は組み合わされた主燃焼帯及び後燃焼帯及びプロセスの、より前の監視結果から知られ得、より前の監視結果は、そのような主燃焼若しくは組み合わされた主燃焼及び後燃焼帯及びプロセス、又はそれらの組合せのシミュレーション結果を通じて、1つ若しくは複数の主燃焼帯及びプロセス並びに/又は組み合わされた主燃焼帯及び後燃焼帯若しくはプロセスから得られる。
【0051】
代替の実施形態によれば、ステップa)は、第2の監視レベルについて、すなわち後燃焼されたガス中の可燃性物質の監視レベルについて、B1low≦B1upである下閾値B1lowを定義することを備える。第2の監視レベルが前記下閾値B1low未満であるとき、ステップi)において生成される第1の制御信号は、ステップj)において以下のようになる。
【0052】
1)酸化剤のみ後燃焼帯の場合、実際の後燃焼酸化剤流が公称の後燃焼酸化剤流に等しくなるように調節され、又は
2)実際の後燃焼酸化剤流及び実際の後燃焼燃料流が、それぞれ公称の後燃焼酸化剤流及び公称の後燃焼燃料流に等しくなるように調節される。
【0053】
すなわち、その結果、後燃焼は、公称の後燃焼運転モードで運転される。
【0054】
代替として、又は上記の実施形態との組合せで、ステップa)は、第2の監視レベルについての下閾値B2low及び対応する時間期間ΔtBを定義することを含み得、ここで、B2low≦B1upである。
【0055】
第2の監視レベルが、少なくとも時間期間ΔtBの間、下閾値B2low未満のままであるとき、この場合も、ステップi)において生成される第1の制御信号は、ステップj)において後燃焼が公称の後燃焼運転モードで動作するように調節されるようなものとなる。
【0056】
したがって、下閾値B1lowを定義することは、後燃焼されたガス中の可燃性物質の監視レベルが十分に低いレベル(B1low未満)に降下したとき後燃焼が公称の後燃焼モードに戻るための機構を提供する。下閾値B2low及び対応する時間期間ΔtBを定義することは、後燃焼されたガス中の可燃性物質の監視レベルが一貫して(すなわち、少なくともΔtBの間)十分に低い(B2low未満)ままであったとき、後燃焼が公称の後燃焼モードに戻るための機構を提供する。後者の特徴は、この基準を期間ΔtBにわたって適用することが後燃焼調節の安定性を増大するという点で、後燃焼されたガス中の可燃性物質の監視レベルが頻繁に変わる傾向があるプロセスにとって特に興味深いものである。2つの選択肢が組み合わされたときには、B1lowは、通常、B2lowより低く選択される。
【0057】
B1low又はB2lowは、B1upと等しくてもよい。その場合、後燃焼は、第2の監視レベルが閾値B1upより高いとき、後燃焼がブーストされた後燃焼運転モードで調節され、第2の監視レベルが閾値B1up未満であるか、又は少なくともΔtBの持続時間の間、閾値B1up未満のままであるとき、後燃焼が公称の後燃焼運転モードで調節されるという原理に従って調節される。
【0058】
依然として効果的な調節を提供しながら、ブーストされた後燃焼運転モードから公称の後燃焼運転モードへの切り替えの頻度を低減するために、B1low又はB2lowは、B1up未満、すなわちB1low,B2low<B1upで選択され得る。
【0059】
後燃焼されたガス中の可燃性物質の監視レベルに基づいて後燃焼が調節される本発明による方法は、主燃焼帯において行われる変態プロセス(溶融又は焼結プロセスなど)の効率又は生産性が前記主燃焼帯を離れる煙道ガスの組成の制御より優先する主燃焼プロセスを含めて、広範な主燃焼プロセスにとって有用である。このように調節される後燃焼は、可燃性物質の環境への排出を実質的に削減、さらには解消し、一方、さらなるエネルギー回収を可能にする。
【0060】
後燃焼されたガス中の可燃性物質の監視レベルに基づく後燃焼の調節は、後燃焼帯の上流で主燃焼帯から排出される煙道ガス中の1つ又は複数の可燃性物質のレベルを監視することが実際的でないとき特に有用である。これは、たとえば、主燃焼帯及び後燃焼帯が同じ反応器内に位置し、たとえば主燃焼帯が反応器の底部に位置し、後燃焼帯が主燃焼帯の上方で反応器の上部近くに位置する場合であり得る。
【0061】
煙道ガス中の可燃性物質のレベルに基づく後燃焼調節
ステップj)において後燃焼を調節するために使用される第1の制御信号は、ステップi)において、主燃焼帯から、及び後燃焼帯の上流で排出される煙道ガス中の1つ又は複数の可燃性物質の第1の監視レベル(レベルC)に基づいて生成されてもよい。
【0062】
排出された煙道ガス中の1つ又は複数の可燃性物質の第1のレベルのそのような監視は、排出された煙道ガスが主燃焼帯から後燃焼帯へこれらの2つの燃焼帯を接続するガスダクトを介して流れるとき容易に実現され得る。
【0063】
後燃焼されたガス中の可燃性物質の第2の監視レベルに基づく後燃焼の調節に関する上記の異なる実施形態は、同じようにして、第1の監視レベルに基づく後燃焼調節に適用することができる。
【0064】
したがって、ステップa)は、前記第1の監視レベルについての上閾値C1upを定義することをさらに備え得る。第1の監視レベルが上閾値C1upを超えたとき、ステップi)で、ステップj)において、ブーストされた後燃焼運転モードで後燃焼を調節させる第1の制御信号が生成される。
【0065】
代替として、又は上記との組合せで、ステップa)は、第1の監視レベル(レベルC)の変化率についての正の上閾値RC1upを定義することを含み得る。正の上閾値RC1upは、第1の監視レベルの時間単位当たりの増加についての上閾値に対応する。
【0066】
第1の監視レベルが上閾値RC1upより大きい率で増加するとき、ステップi)において生成される第1の制御信号は、ステップj)において、ブーストされた後燃焼運転モードで後燃焼帯を動作させる。
【0067】
ブーストされた後燃焼運転モードから公称の後燃焼運転モードへの戻りについては、ステップa)は、すでに上述したように、ブーストされた後燃焼運転の所定の持続時間Δtpcboostを定義することを含み得る。後燃焼帯が、期間Δtpcboostの間、ブーストされた後燃焼運転であったとき、ステップi)で、ステップj)において公称の後燃焼運転モードで後燃焼帯を動作させる第1の制御信号が生成される。
【0068】
代替として、後燃焼帯における後燃焼は、前記ブーストされた後燃焼運転モードの過程で監視レベルが1つ又は複数の可燃性物質の「通常」レベルに戻るとき、公称の後燃焼運転モードに戻されてよい。
【0069】
さらに、ステップa)は、
i)第1の監視レベルについて下閾値C1lowを定義すること、及び/又は
ii)第1の監視レベル及び対応する時間期間ΔtCについて下閾値C2lowを定義することを備え得る。
【0070】
第1の監視レベルが閾値C1low未満であるか、又は少なくとも時間期間ΔtCの間、下閾値C2low未満のままであるとき、ステップi)において生成される第1の制御信号は、ステップj)において、公称の後燃焼運転モードで動作するように、後燃焼を調節させる。
【0071】
閾値B1low、B2low、ΔtB、B1up、及びRB1upに関する上記の解説は、必要に応じて変更を加えて、C1low、C2low、ΔtC、C1up、及びRC1upに当てはまる。
【0072】
排出された煙道ガス中の可燃性物質の監視レベルに基づく後燃焼の調節は、主燃焼及び後燃焼の組み合わされたプロセスの少なくともいくつかの段階の間、後燃焼されたガス中の監視される可燃性物質のレベルが非常に低く、監視方法及び/又は装置の感度が、監視される可燃性物質のレベルの正確な検出を可能にするには不十分であり、その結果、前記段階中、後燃焼の正確な調節が可能でないとき特に有用である。
【0073】
後燃焼されたガス中の可燃性物質の監視レベルに基づく調節に比べて、排出された煙道ガス中の可燃性物質の監視レベルに基づく後燃焼の調節は、後燃焼帯を離れるのではなく後燃焼帯に入るガス流に調節が基づいているという点で、より迅速な応答を可能にするという利点をも有する。
【0074】
煙道ガス中及び後燃焼されたガス中の可燃性物質のレベルに基づく後燃焼調節
ステップi)で、後燃焼帯の上流での排出された煙道ガス中の1つ又は複数の可燃性物質の第1の監視レベル(レベルC)と、後燃焼されたガス中の1つ又は複数の可燃性物質の第2の監視レベル(レベルB)との両方に基づいてステップj)において後燃焼を調節するために使用される第1の制御信号を生成することによって、2つの上記の可能性及びその利点を組み合わせることも可能である。
【0075】
その場合、ステップa)は、たとえば、
i)排出された煙道ガス中の1つ又は複数の可燃性物質の第1の監視レベルについて上閾値C1’upを定義すること、及び
ii)後燃焼されたガス中の1つ又は複数の物質第2の監視レベルについて上閾値B1’upを定義することを備え得ることが有用である。
【0076】
第1の監視レベルが上閾値C1’upを超えたとき、又は第2の監視レベルが上閾値B1’upを超えたとき、ステップi)において生成される第1の制御信号は、後燃焼調節ステップj)において、ブーストされた後燃焼運転モードで後燃焼を動作させる。
【0077】
公称の後燃焼運転モードへの戻りを調節するために、ステップa)は、
i)排出された煙道ガス中の1つ又は複数の可燃性物質の第1の監視レベルについて下閾値C1’lowを、及び後燃焼されたガス中の1つ又は複数の可燃性物質の第2の監視レベルについて下閾値B1’lowを定義すること、並びに/又は
ii)第1の監視レベル及び対応する時間期間ΔtC’について下閾値C2’lowを、並びに第2の監視レベル及び対応する時間期間ΔtB’について下閾値B2’lowを定義することをも含み得る。
【0078】
第1の監視レベルが下閾値C1’low未満であり、第2の監視レベルが閾値B1’low未満であるとき、又は第1の監視レベルが、少なくとも時間期間ΔtC’の間、下閾値C2’low未満のままであり、第2の監視レベルが、少なくとも時間期間ΔtB’の間、下閾値B2’low未満のままであるとき、生成される第1の制御信号は、ステップj)において、公称の後燃焼運転モードで動作するように、後燃焼を調節させる。
【0079】
この場合も閾値B1low、B2low、ΔtB、及びB1upに関する上記の解説は、必要に応じて変更を加えて、C1’low、C2’low、ΔtC’、及びC1’up、並びにB1’low、B2’low、ΔtB’、及びB1’upに当てはまる。
【0080】
公称の後燃焼運転への戻りを調節するために、第1の監視レベルについての下閾値C1’lowを第2の監視レベルについての下閾値B2’low及び対応する時間期間ΔtB’と組み合わせること、又は後燃焼されたガス中の1つ又は複数の可燃性物質の第2の監視レベルについての下閾値B1’lowを第1の監視レベルについての下閾値C2’low及び対応する時間期間ΔtC’と組み合わせることも技術的に可能である。
【0081】
後燃焼が煙道ガス中と後燃焼されたガス中の両方の可燃性物質のレベルに基づいて調節されるとき、当然ながら、ステップa)で、ブーストされた後燃焼運転の所定の持続時間Δtpcboostを定義することも可能であり、それにより、後燃焼帯が、期間Δtpcboostの間、ブーストされた後燃焼運転であったとき、ステップi)で、ステップj)において公称の後燃焼運転モードで後燃焼帯を動作させる第1の制御信号が生成される。
【0082】
そのとき、ステップa)は、公称の後燃焼運転への後燃焼帯の戻りと、ステップj)による後燃焼の次の調節との間の所定の持続時間Δtpclagを定義することを含んでもよい。
【0083】
後燃焼の調節は、主燃焼のいずれの調節からも独立して行われてよい。
【0084】
上記の実施形態のいずれかによる後燃焼の調節は、煙道ガスが生成される主燃焼帯における主燃焼の調節と組み合わされてもよい。特に、後燃焼の調節は、主燃焼によって生成される煙道ガス中の可燃性物質のレベルを制限するように主燃焼の調節と組み合わされてよいことが有利である。
【0085】
その場合、本発明による方法のステップa)は、主燃焼帯への公称の燃料供給率及び公称の酸化剤供給率で主燃焼帯についての公称の主燃焼運転モードを定義することを含み得、一方、本方法のステップi)は、ステップh)において監視される第1のレベル(レベルC)及び/又は第2のレベル(レベルB)に基づいて第2の制御信号を生成することをさらに含む。そのとき、本方法は、生成された第2の制御信号に応じて主燃焼帯への実際の酸化剤供給率及び実際の燃料供給率を調節するステップk)をも備える。
【0086】
煙道ガス中の可燃性物質のレベルに基づく主燃焼調節
そのような一実施形態によれば、主燃焼を調節するための第2の制御信号は、ステップk)で、主燃焼帯から排出される煙道ガス中の1つ又は複数の残留可燃性物質の第1の監視レベル(レベルC)に基づいて生成される。
【0087】
そのような場合、ステップa)は、第1の監視レベル(レベルC)について上閾値A1upを定義することをさらに備え得る。第1の監視レベルが前記上閾値A1upを超えたとき、ステップi)において生成される第2の制御信号は、ステップk)において、実際の酸化剤供給率と実際の燃料供給率との比率が公称の酸化剤供給率と公称の燃料供給率との比率より高くなり、それにより、たとえば炉内で処理されている装入物内に存在する可燃性物の燃焼のために主燃焼帯において追加の酸素を使用可能にするように、主燃焼帯への実際の酸化剤供給率及び実際の燃料供給率を調節させる。その結果、煙道ガスと共に主燃焼帯から排出され残留可燃性物質の量が低減される。
【0088】
以下では、主燃焼帯における主燃焼のそのような運転は、「ブーストされた主燃焼」運転モードと称される。
【0089】
代替として、又は上記との組合せで、ステップa)は、第1の監視レベル(レベルC)の変化率について正の上閾値RA1upを定義することを含み得る。変化率は、たとえばppm/秒で表される監視される物質の監視レベルの単位時間当たりの増加又は減少に対応する。変化率は、増加の場合、正であり、減少の場合、負である。監視レベルが一定であるとき、変化率はゼロ(0)である。したがって、正の上閾値RA1upは、第1の監視レベルの増加(時間単位当たり)についての上閾値に対応する。
【0090】
第1の監視レベルが上閾値RA1upより大きい率で増加するとき、ステップi)において生成される第2の制御信号は、ステップk)において、ブーストされた主燃焼運転モードで主燃焼帯を動作させる。
【0091】
WO-A-2010/022964に記載されているように、第1の監視レベルの増加率に応答することは、排出された煙道ガスの組成の変化に対するより迅速でより効率的な応答、及び主燃焼運転モードの調整を可能にする。
【0092】
先に示されているように、監視レベルに相関される特性が測定及び監視される間接的な監視もまた可能である。
【0093】
両方の前記基準を組み合わせること、すなわち、閾値A1up及びRA1upを組み合わせることが好ましい。
【0094】
後燃焼帯において行われる後燃焼の調節に関してすでに記載されているように、ステップa)は、ブーストされた主燃焼運転の、すなわちブーストされた主燃焼運転の開始と公称の主燃焼運転への戻りとの間の時間の、所定の持続時間Δtmcboostを定義することを含み得る。そのような実施形態によれば、主燃焼帯が、Δtmcboostの期間の間、ブーストされた主燃焼運転であったとき、ステップi)で、その時点でステップh)において監視されるレベルにかかわらず、ステップk)において公称の主燃焼運転モードで主燃焼帯を動作させる第2の制御信号が生成される。
【0095】
主燃焼帯の運転における不安定性(すなわち、過度に頻繁な切り替え)を回避するために、そのような実施形態の場合、ステップa)において、公称の主燃焼運転への主燃焼帯の戻りと、ステップk)による主燃焼の次の調節との間の所定の持続時間Δtmclagを定義することも有用となり得る。持続時間Δtmclagは、典型的には、Δtmcboostの持続時間の整数分の一にすぎない。Δtmclagは、たとえば、8~20秒、好ましくは8~12秒であり得る。
【0096】
ブーストされた主燃焼運転の所定の持続時間Δtmcboostを用いる実施形態は、十分理解されているプロセス、特に主燃焼帯からの煙道ガスが1つ又は複数の可燃性物質のピークを示すことが知られており、前記ピークの持続時間がおおよそ知られており、ステップa)において定義される持続時間Δtmcboostは、前記知られているおおよその持続時間に応じて、たとえば前記知られているおおよそのピーク持続時間以上で選択されるプロセスにとって特に有用である。
【0097】
所定の持続時間Δtpcboostに関する先の解説は、必要に応じて変更を加えて、持続時間Δtmcboostに適用され得る。
【0098】
後燃焼帯において行われる後燃焼の調節に関してやはりすでに記載されているように、主燃焼は、監視レベルが「通常」値に戻るとき公称の主燃焼運転モードに戻されてよい。
【0099】
さらに、主燃焼が第1の監視レベルに応じて調節されるとき、ステップa)は、
i.第1の監視レベルについて下閾値A1lowを定義すること、並びに/又は
ii.第1の監視レベル及び対応する時間期間ΔtAについて下閾値A2lowを定義することをも含み得、
ここで、閾値A1low又は閾値A2lowが閾値A1upとの組合せで使用されるときには、A1low又はA2low≦A1up、好ましくはA1low又はA2low<A1upである。
【0100】
第1の監視レベルが下閾値A1low未満であるとき、及び/又は第1の監視レベルが、少なくとも時間期間ΔtAの間、下閾値A2low未満のままであるとき、ステップi)において生成される第2の制御信号は、ステップk)において、実際の酸化剤供給率及び実際の燃料供給率がそれぞれ公称の酸化剤供給率及び公称の燃料供給率に対応するように、主燃焼帯への実際の酸化剤供給率及び実際の燃料供給率を調節させる。換言すれば、そのとき、生成された第2の制御信号は、公称の主燃焼運転モードで主燃焼帯を動作させる。
【0101】
後燃焼されたガス中の可燃性物質のレベルに基づく主燃焼調節
先に示されているように、後燃焼帯の上流で排出された煙道ガス中の1つ又は複数の可燃性物質を監視することは、必ずしも容易に実行可能とは限らない。
【0102】
しかし、主燃焼の調節はまた、第2の監視レベルに基づいて、すなわち後燃焼帯から排出される後燃焼されたガス中の1つ又は複数の可燃性物質の監視レベルに基づいて可能である。
【0103】
さらに、第2の制御信号は、ステップi)で、第2の監視レベル(レベルB)に基づいて生成され得る。
【0104】
特に、そのときステップa)は、第2の監視レベルについて、すなわち、後燃焼されたガス中の1つ又は複数の可燃性物質の監視レベルについて上閾値D1upを定義することを備え得る。
【0105】
第2の監視レベルが上閾値D1upを超えたとき、ステップi)において生成される第2の制御信号は、ステップk)において、ブーストされた主燃焼運転モードで主燃焼帯を動作させる。
【0106】
公称の主燃焼運転モードへの戻りについては、ステップa)は、ブーストされた主燃焼運転の、すなわち、ブーストされた主燃焼運転の開始と公称の主燃焼運転への戻りとの間の時間の、所定の持続時間Δtmcboostを定義することを含み得る。そのような実施形態によれば、主燃焼帯が、Δtmcboostの期間の間、ブーストされた主燃焼運転であったとき、ステップi)で、その時点でステップh)において監視されるレベルにかかわらず、ステップk)において公称の主燃焼運転モードで主燃焼帯を動作させる第2の制御信号が生成される。
【0107】
すでに説明したように、ステップa)はそのとき、公称の主燃焼運転への主燃焼帯の戻りと、ステップk)による主燃焼の次の調節との間の所定の持続時間Δtmclagを定義することをも含み得る。
【0108】
代替として、ステップa)は、
i.第2の監視レベルについて下閾値D1lowを定義すること、及び/又は
ii.第2の監視レベル及び対応する時間期間ΔtDについて下閾値D2lowを定義することを含み得、
D1low又はD2low≦D1up、好ましくはD1low又はD2low<D1upである。
【0109】
第2の監視レベルが閾値D1low未満であるか、又は少なくとも時間期間ΔtDの間、下閾値D2low未満のままであるとき、ステップi)において生成される第2の制御信号は、ステップk)において公称の主燃焼運転モードで主燃焼帯を動作させる。
【0110】
本方法が後燃焼と主燃焼の調節の両方を備え、第1の制御信号及び第2の制御信号が同じ監視レベルに基づくとき、場合によっては、それぞれのブーストされた運転モードに切り替えるために、並びに主燃焼と後燃焼の両方についてそれぞれの公称の運転モードに切り替えるために、同じ基準を使用することが可能になり得る。その場合、単一の制御信号が第1の制御信号と第2の制御信号の両方として使用されてよい。
【0111】
ステップa)において定義される公称の運転モードは、本発明により提案されているフィードバック/フィードフォワード調節なしに、対応する燃焼帯(後燃焼帯又は主燃焼帯)における燃焼の運転モードに対応する。
【0112】
したがって、「公称の」という用語は、たとえば「目標の流量」又は「設定された流量」という表現で当業者によって使用される「目標の」又は「設定された」又は「事前設定された」という用語と同義である。
【0113】
したがって、公称の運転モード及び対応する公称のパラメータは、熟練の燃焼炉オペレータによって、プロセスの性質/タイプ/パラメータ(たとえば、焼却、溶融、蒸気生産など)及び本発明による方法が適用される機器(主燃焼機器と後燃焼機器の両方)に応じて確立される。
【0114】
したがって、公称の主燃焼運転モードは、主燃焼帯が位置する炉、その中で行われるプロセスの性質、及び炉の生産率に依存する。後燃焼帯は主燃焼帯において生成される煙道ガスを受け取るので、公称の後燃焼運転モードは、主燃焼帯から排出される煙道ガスの性質又は特性及び体積に依存し、次に、主燃焼帯が位置する炉に、またその中で行われるプロセスの性質に依存する。大気中の排出に関する特定の環境目標又は規制もまた、公称の後燃焼モードを定義するとき考慮されなければならないことがある。
【0115】
公称の運転モード及び対応する公称のパラメータは、たとえば、装入物又は生産されることになる産物、燃焼熱生産率、全体的な生産率などの意図的な変更なしに連続的に運転される炉内で、経時的に一定であり得る。
【0116】
また、公称の運転モード及び対応する公称のパラメータは、たとえば、生産率の変更、又は炉内に導入される装入物、炉中で行われるプロセス、若しくはそれによって生産されることになる産物の性質の変更により、経時的に変わり得る。
【0117】
特に、バッチ又は半バッチプロセスの場合、公称の運転モード及び対応する公称のパラメータはまた、各バッチについて1サイクルで周期的に経時的に変わり得る。そのようなバッチプロセスの一例は、炉内に導入される各バッチが加熱段階、溶融段階、及び精錬段階、又は溶融段階を含む前記段階の少なくとも2つを受けるバッチ溶融プロセスである。
【0118】
したがって、ステップa)において当業者によって定義される公称の後燃焼運転モードは、広く変わり得る。そのような広範な運転モードに適しており有益であることが、本発明による方法の特に有利な点である。
【0119】
後燃焼帯において後燃焼にかけられるガスが主燃焼帯から排出される煙道ガスであることを考えると、後燃焼がブーストされた後燃焼運転モードで、又は公称の後燃焼運転モードで動作するように調節されなければならないか否かは、結局、主燃焼帯において行われる主燃焼に依存し、これは、第1の制御信号を生成するために使用される監視レベルにかかわりない。
【0120】
そのため、本発明による方法が、後燃焼を調節するためのステップj)と、主燃焼を調節するためのステップk)の両方を備え、後燃焼と主燃焼の両方が、対応するブーストされた運転モードで動作しているとき、条件が満たされたとき主燃焼モードが先にその公称の運転モードに戻るように、また、その後でのみ、この場合も条件が満たされたとき後燃焼がその公称の運転モードに戻ることが可能になるように、ステップi)において第1の制御信号及び第2の制御信号を生成することが賢明である。
【0121】
ブーストされた主燃焼運転モードから公称の主燃焼運転モードへ主燃焼が戻ること、すなわち主燃焼のための酸素の使用可能性が減少することにより、主燃焼帯から排出される煙道ガス中の残留物質のレベルが再び上昇し、したがって前記排出された煙道ガスの効果的な後燃焼のために追加の酸素を必要とする場合、この手法は、後燃焼がブーストされた後燃焼運転モードのままであることを可能にし、それにより後燃焼されたガス中の可燃性物質のレベルを許容されるレベルで維持する。これは、適用可能な排出基準を守るために特に重要である。主燃焼帯が公称の運転に戻った後、排出された煙道ガス中の残留可燃性物質の監視レベルが低いままであるときのみ、次に後燃焼帯がその公称の運転モードに戻ることを可能にされる。
【0122】
そのような実施形態は、当然ながら、主燃焼帯及び後燃焼帯をそれらのそれぞれの公称の運転モードに切り替えるための基準の、対応する選択を必要とする。
【0123】
したがって、後燃焼(ステップj)の調節と主燃焼(ステップk)の調節の両方を用いる本発明の実施形態では、主燃焼と後燃焼の両方がブーストされた運転モードであり、どちらもそれらのそれぞれの公称の運転モードに切り替えるための基準を満たすとき、
・ 最初にステップk)に従って主燃焼帯を公称の主燃焼運転モードに切り替え、
・ その後、ラグ時間期間Δtlagの間、待ち、
・ ラグ時間期間Δtlagの終了時、後燃焼帯を公称の後燃焼運転モードに切り替えるための基準が依然として満たされるとき、ステップj)に従って後燃焼帯を公称の後燃焼運転モードに切り替えることが有利となり得る。
【0124】
そのとき、ラグ時間期間Δtlagも同様に、本発明による方法のステップa)で定義される。
【0125】
ステップa)では、ラグ時間期間Δtlagは、主燃焼帯を離れる煙道ガスの組成に対する、主燃焼帯がその公称の運転モードに戻ることの効果が、ステップj)において後燃焼を調節するために使用される第1の制御信号を生成するために使用される監視レベルによって反映されるように定義される。したがって、ラグ時間期間Δtlagの長さは、主燃焼帯が位置する炉の性質、その中で行われるプロセスの性質、及び燃焼帯を離れる煙道ガスが監視が行われる点に達するために必要とされる時間の長さを考慮して定義される。
【0126】
本発明及びその利点は、以下の例において図を参照して示されている。
【図面の簡単な説明】
【0127】
図1】後燃焼器を備える工業炉の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0128】
図は、スクラップアルミニウムがアルミニウム缶上の塗料及びラッカ並びに油など可燃性汚染物質で汚染されていることがある、スクラップアルミニウムを溶融するための炉など炉10を示す。
【0129】
炉10は、中に主燃焼帯を画定し、主燃焼帯は、酸化剤と共に燃料の燃焼によって加熱され、「主燃焼」と称される。
【0130】
さらに、炉10は、燃料源13及び酸化剤源14に流体連結された1つ又は複数のバーナ12(1つだけバーナが示されているが、複数のバーナが存在し得る)を備える。酸化剤源14によって供給される酸化剤は、酸素富化空気又は酸素など酸素豊富な酸化剤(すなわち、周囲空気のものより高い酸素含有量を有する酸化剤)であることが好ましい。
【0131】
燃料及び酸化剤は、制御された状態で、すなわち調節された流量で、1つ又は複数のバーナ12に供給される。炉10内での酸化剤を用いた燃料の主燃焼は、炉10の主燃焼帯内で熱及び燃焼ガスを生成する。(前記主燃焼は、火炎11によって概略的に表されているが、前記燃焼は、複数の火炎又は無炎燃焼の形態にあってよい)。
【0132】
燃料と酸化剤の両方を注入するバーナ12の代わりに、又はそれと組み合わせて、燃料及び酸化剤は、たとえば多段燃焼又は無炎燃焼のために、主燃焼帯に別々に供給されてもよい。
【0133】
主燃焼帯において溶融されることになるスクラップアルミニウムの装入物15の場合、酸化によるアルミニウム金属の損失を制限するように、装入物15の上方では、還元雰囲気16が望ましい。したがって、化学量論量未満の酸化剤(燃料の量に比べて)がバーナ12に供給される。その結果、炉10から排出される煙道ガス17は、可燃性物質を含む。
【0134】
汚染されたアルミニウムの装入物15が加熱されるとき、可燃性汚染物質もまた、一般に、装入物15によって、主燃焼帯の雰囲気16内に制御されない状態で、すなわち放出される可燃物の量のピーク及び下降を伴って放出される。前記放出される可燃性汚染物質は、煙道ガス17中の可燃性物質のレベルに寄与する。
【0135】
他の炉は、主燃焼帯において中性(すなわち、酸化も還元もない雰囲気)で、又は酸化雰囲気で動作する。そのような場合、主燃焼帯からの煙道ガス中の可燃性物質のレベルのベースラインは、典型的には、ゼロ又はほぼゼロであり、一方、排出された煙道ガス中に時々可燃性物質のピークが観察され得る。
【0136】
本発明による方法のステップa)では、公称の主燃焼運転モードは、主燃焼帯について、そのバーナ12を介した主燃焼帯への対応する公称の燃料供給率及び対応する公称の酸化剤供給率を用いて定義される。
【0137】
たとえば、バッチスクラップアルミニウム溶融プロセスの場合、炉の運転は、固体装入物15がアルミニウム溶融温度に加熱される初期加熱段階と、固体装入物15が次第に溶融される溶融段階と、溶融された装入物15が精錬され、次いでその出湯温度で維持される精錬段階とを備え得る。各段階について、炉10への一定の又は発展する公称の燃料供給率及び公称の酸化剤供給率が定義される。上述のように、アルミニウム装入物15の酸化を回避するために、特にプロセスの溶融及び精錬段階中(溶融された装入物がより酸化しやすいため)、公称の酸化剤供給率は、公称の燃料供給率に対して準化学量論的に保たれ得る。
【0138】
炉10の主燃焼帯から排出された煙道ガス17は、導管18を介して後燃焼器/後燃焼帯19に輸送される。排出された煙道ガス17中に存在する可燃性物質を燃焼させるために、後燃焼燃料に対する後燃焼酸化剤の制御された化学量論的過剰量と共に、後燃焼酸化剤及び後燃焼燃料が、制御された状態で(すなわち、調節された流量で)後燃焼帯19内に注入される。このように得られた後燃焼されたガス23は、後燃焼帯19から排出される。
【0139】
示されている実施形態では、後燃焼器19は、バーナ20と、別個の後燃焼酸化剤インジェクタ25とを備える。後燃焼燃料は、後燃焼酸化剤の化学量論量と共にバーナ20に供給される。後燃焼器19内で後燃焼酸化剤の化学量論的過剰量(後燃焼燃料に比べて)を提供するように、追加の後燃焼酸化剤がインジェクタ25に供給される。この場合も、1つだけの後燃焼バーナ20及び1つのインジェクタ25が示されているが、後燃焼器19は、複数のバーナ20及び/又は複数のインジェクタ25を備えてよい。複数のインジェクタ25の使用は、後燃焼器19に入る煙道ガス17と後燃焼酸化剤の化学量論的過剰量のよく混じった混合を確保するために特に有用となり得る。
【0140】
示されている実施形態では、後燃焼帯19は、煙道ガス17が輸送される導管18によって主燃焼帯から分離されている。他の実施形態では、主燃焼帯及び後燃焼帯は、同じ筐体の異なる部分に位置してよく、筐体の主燃焼帯において生成される煙道ガスは、前記筐体の後燃焼帯に移動する。その場合、後燃焼帯は、生成された煙道ガスの自然な上昇気流から利益を得るように、主燃焼帯の上方に位置することが有利である。
【0141】
示されている例では、導管18内の排出された煙道ガス17中の、H、CO、及び/又はVOCなど可燃性物質のレベルは、センサ21を使用して決定される。
【0142】
示されている実施形態では、センサ21は、同時係属の特許出願EP21152977に記載されているセンサである。前記センサ及びその動作の前記同時係属の特許出願における開示は、参照により本明細書に組み込まれる。弁103は、センサ21に供給される、酸化剤源14からの酸化剤の流れを制御する。
【0143】
煙道ガス17中の可燃性物質のレベルを監視するための他のセンサ並びに監視装置及び方法が市販されており、本発明の文脈において使用されてよい。
【0144】
センサ21によって検出される排出された煙道ガス17中の可燃性物質のレベルは、中央制御ユニット22に送信され、そこに記憶された参照値と比較される。前記参照値は、バッチプロセスの所与の段階に存在すると通常予想されるはずの煙道ガス17中の可燃性物質のレベル、並びに炉10のバーナ12への実際の酸化剤供給率及び燃料供給率を含む運転パラメータに対応する。
【0145】
制御ユニット22による前記比較により、煙道ガス17中の可燃性物質の検出レベルが参照レベルより著しく高いことが明らかであるとき、これは、主燃焼帯における装入物15による可燃物の放出におけるピークを示す。
【0146】
センサ21によって検出された煙道ガス17中の可燃性物質のレベルは、たとえば、制御ユニット22によって、煙道ガス17中の可燃性物質の検出レベルがやはりステップa)において定義される上閾値A1upより高いとき参照値より著しく高いと考えられ、ここで、閾値A1upは、参照値より大きい。
【0147】
その場合、制御ユニット22は、バーナ12への実際の酸化剤供給率と実際の燃料供給率との比率が公称の酸化剤供給率と公称の燃料供給率との比率を超えるブーストされた主燃焼運転モードで炉が運転されるように、主燃料コントローラ101及び主酸化剤コントローラ102を調節する、「第2の制御信号」と称される制御信号を生成する。このようにして、装入物15の上方に酸化雰囲気16を生成することなく、前記主燃焼帯内で放出された可燃性物を燃焼させるために、より多くの酸素が主燃焼帯内で使用可能にされる。
【0148】
一実施形態によれば、所定の持続時間Δtmcboost後、主燃料コントローラ101がバーナ12への実際の燃料供給率を公称の燃料供給率に対応させるように、また主酸化剤コントローラ102がバーナ12への実際の酸化剤供給率を公称の酸化剤供給率に対応させるように、異なる第2の制御信号が発せられる。
【0149】
代替として、公称の主燃焼への戻りは、センサ21によって検出される排出された煙道ガス17中の可燃性物質のレベルに基づいてよい。たとえば、中央制御ユニット22による比較において、センサ21による排出された煙道ガス17中の可燃性物質の検出レベルが中央制御ユニット22に記憶された参照値に実質的に等しいか、さらにはそれより低いとき、制御ユニット22は、上記のようにして炉10内の主燃焼を公称の主燃焼運転モードに戻す第2の制御信号を生成する。
【0150】
主燃焼の上記の調節は、炉10を離れる煙道ガス17中の可燃性物質のレベルをある制限内に保つことができるが、排出された煙道ガス17中の可燃性物質の検出レベルの、大気中への放出という問題をそれ自体解決しない。
【0151】
この問題は、排出された煙道ガス17を後燃焼帯19における後燃焼にかけることによって対処される。
【0152】
後燃焼帯19に入る煙道ガス17の温度、並びに煙道ガス17中の可燃性物質の性質及び濃度が、可燃性物質の発火を保証するようなものであるとき、たとえば、インジェクタ25を介して後燃焼帯19内に後燃焼酸化剤だけを注入することによって煙道ガス17の後燃焼を達成することができる。
【0153】
多くの場合、後燃焼帯19において永続的な後燃焼火炎を生み出すために、後燃焼酸化剤と後燃焼燃料の両方が後燃焼帯19内に注入されることになる。そのとき、煙道ガス17中の可燃性物質の後燃焼は、後燃焼帯19において、後燃焼燃料に対する後燃焼酸化剤の化学量論的過剰量によって達成される。示されている実施形態では、後燃焼燃料及び後燃焼酸化剤の対応する化学量論量は、バーナ20に供給され、一方、煙道ガスの後燃焼のための後燃焼酸化剤の過剰量は、インジェクタ25によって後燃焼帯19内に注入される。
【0154】
本発明による方法のステップa)では、公称の後燃焼運転モードは、後燃焼帯19について、対応する公称の後燃焼酸化剤注入率及び公称の後燃焼燃料注入率を用いて定義される。合計の公称の後燃焼酸化剤注入率及び公称の後燃焼燃料注入率、また特にこれら2つの比率が、炉10内のバッチプロセスの段階及びパラメータを考えて、また、たとえば環境規制によって課される、大気中に放出されることになるガス中の可燃性物質レベルに対する制限を念頭に置いて、排出された煙道ガス17が後燃焼器/後燃焼帯19に入るとき通常有するはずの温度及び組成に基づいて定義される。換言すれば、公称の後燃焼酸化剤及び燃料注入率は、後燃焼により、炉10の運転の所与の段階で通常予想されるレベルで、煙道ガス17中の可燃性物質の効果的な抑制をもたらすことになるようなものである。
【0155】
示されている実施形態では、「第1の制御信号」と称されるさらなる制御信号が、制御ユニット22によって、センサ21によって検出される排出された煙道ガス17中の可燃性物質のレベルと中央制御ユニット22に記憶された参照値との上記比較に基づいて生成される。前記第1の制御信号は第1の流量コントローラ104に送られ、第1の流量コントローラ104は、インジェクタ25への後燃焼酸化剤の過剰量を調節する。
【0156】
後燃焼バーナ20への後燃焼燃料の流れ、及び後燃焼酸化剤の対応する化学量論的流れは、それぞれコントローラ106及びコントローラ105によって調節される。
【0157】
制御ユニット22による比較により、煙道ガス17中の可燃性物質の検出レベルが、たとえば検出レベルをステップa)において定義された上閾値レベルC1upと比較することによって参照値より著しく高いことが明らかであるとき、制御ユニット22は、実際の合計の後燃焼酸化剤注入率と実際の後燃焼燃料注入率との比率が合計の公称の後燃焼酸化剤注入率と公称の後燃焼燃料注入率との比率より高くなるように、第1の流量コントローラ104に、インジェクタ25への後燃焼酸化剤の過剰量を、公称の後燃焼運転モード中、後燃焼酸化剤の過剰量より高い後燃焼酸化剤のブーストされた過剰量に増加させる第1の制御信号を生成する。このようにして、格別に使用可能な後燃焼酸化剤が、排出された煙道ガス17中に存在する可燃性物質のピークを後燃焼するために使用可能にされる。(ブーストされた後燃焼運転モード)。
【0158】
後燃焼を調節するための「著しく高い」レベルについての基準(C1upなど)は、主燃焼を調節するための「著しく高い」レベルについての基準(A1upなど)と同じであっても異なってもよい。
【0159】
中央制御ユニット22による比較において、センサ21によって検出される排出された煙道ガス17中の可燃性物質のレベルが、中央制御ユニット22に記憶された対応する参照値に実質的に等しいか、さらにはそれより低く、この場合も主燃焼の調節及び後燃焼の調節に関する「実質的に等しい」について同じ又は異なる基準が適用され得るとき、制御ユニット22によって生成される第1の制御信号は、後燃焼帯19内に注入される後燃焼酸化剤の実際の化学量論的過剰量が後燃焼酸化剤の公称の化学量論的過剰量に対応するように、第2の流量コントローラ104にインジェクタ25への実際の後燃焼酸化剤注入率を調節させる(バーナ20への実際の後燃焼燃料流及びバーナ20への実際の後燃焼酸化剤流は、やはり第1の制御信号に基づいて、それぞれコントローラ106及び105によって、バーナ20への実際の後燃焼燃料流が公称の後燃焼燃料流量に対応するように、またバーナ20への後燃焼酸化剤流が前記実際の/公称の後燃焼燃料流と化学量論的であるように調節される)。
【0160】
示されている実施形態では、第1のセンサ21と同じタイプの第2のセンサ24が後燃焼器19の排気内に存在し、後燃焼帯19を離れる後燃焼されたガス23中の1つ又は複数の可燃性物質のレベルを監視する点で、後燃焼帯19における後燃焼の制御のために、格別な安全が提供されている。
【0161】
後燃焼されたガス23中の可燃性物質の前記レベルについての上閾値B1upは、ステップa)で決定されており、前記上閾値B1upは、後燃焼されたガス23中の監視される可燃性物質のレベルについての参照値より高い。前記参照値は、バッチプロセスの所与の段階に存在すると通常予想されるはずの後燃焼されたガス23中の可燃性物質のレベル、並びに主燃焼帯の、及び後燃焼帯の運転パラメータに対応する。
【0162】
また、上閾値B1upは、地元の環境規制によって許される前記可燃性物質の最大のレベルに多くとも等しく、好ましくはそれ未満である。
【0163】
制御ユニット22は、第2のセンサ24によって検出されたレベルを上閾値B1upと比較し、第2のセンサ24によって検出されたレベルが閾値B1upより高いとき、制御ユニット22は、上記のようにブーストされた後燃焼運転で後燃焼帯19を動作させる第1の制御信号を生成し、これは、第1のセンサ21によって検出されたレベルにかかわりない。
【0164】
同様に、第1のセンサ21によって検出されたレベルが閾値レベルC1upより高いときには、中央制御ユニット22は、第1のセンサ24によって検出されたレベルにかかわらず、ブーストされた後燃焼運転で後燃焼帯19を動作させる第1の制御信号を生成する。
【0165】
第1のセンサ21によって検出されたレベルと第2のセンサ24によって検出されたレベルの両方が、中央制御ユニット22に記憶された対応する参照値に実質的に等しいか、さらにはそれより低いときのみ、制御ユニット22は第1の制御信号を生成し、それに基づいてコントローラ104、105、及び106は、後燃焼帯19への後燃焼燃料流及び合計の後燃焼酸化剤流をそれぞれの公称の流量に対応するように調節し、それにより、上記のように、後燃焼燃料及び酸化剤の化学量論的流れがバーナ20に供給され、一方、後燃焼酸化剤の化学量論的過剰量がインジェクタ25に供給される。
【0166】
中央制御ユニット22の使用が示されているが、本発明による方法は、検出値を参照値と比較するために、並びに/又は燃料及び/若しくは酸化剤供給を調節するために、PLCなどを使用する分散型又はモジュール式のシステムで実装されてもよいことを理解されたい。
【0167】
上記の実施形態は、後燃焼されたガス中の可燃性物質のレベルの、したがって大気中に放出されがちな可燃性物質のレベルの最大の制御を提供する。
【0168】
後燃焼されたガス中の可燃性物質の抑制があまり重要でないとき、たとえばセンサ21及び24の1つによって検出された可燃性物質のレベルだけに基づいて、あまり精巧でない制御システムが後燃焼のために使用されてよい。
【符号の説明】
【0169】
10 炉
11 火炎
12 炉10のバーナ
13 燃料源
14 酸化剤源
15 装入物
16 炉10内の雰囲気
17 排出された煙道ガス
18 煙道ガス導管
19 後燃焼器/後燃焼帯
20 後燃焼器19のバーナ
21 第1のセンサ
22 中央制御ユニット
23 後燃焼されたガス
24 第2のセンサ
25 後燃焼器19の酸化剤インジェクタ
101 バーナ12への燃料流のコントローラ
102 バーナ12への酸化剤流のコントローラ
103 第1のセンサ21への酸化剤流のコントローラ
104 インジェクタ25への酸化剤流のコントローラ
105 バーナ20への酸化剤流のコントローラ
106 バーナ20への燃料流のコントローラ
107 第2のセンサ24への酸化剤流のコントローラ
図1
【外国語明細書】