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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092494
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】連続体ロボット剛直化
(51)【国際特許分類】
   B25J 17/00 20060101AFI20230626BHJP
   B25J 18/06 20060101ALI20230626BHJP
   A61B 34/30 20160101ALI20230626BHJP
【FI】
B25J17/00 L
B25J18/06
A61B34/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022198549
(22)【出願日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】2118623.4
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】591005785
【氏名又は名称】ロールス・ロイス・ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】ROLLS-ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ディー・ノートン
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ・ルッソ
(72)【発明者】
【氏名】シン・ドーン
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS27
3C707AS35
3C707BS17
3C707HS27
3C707HT11
3C707JT04
3C707JU12
3C707KS34
(57)【要約】
【課題】ロボティックシステムの、そのロボティックシステムにかけられる外部および内部荷重に対する、剛直性および反作用を改善する手段を提供すること。
【解決手段】フレキシブルロボットのための剛性リンクであって、中空芯を有する剛性リンク本体を含み、近位端と遠位端とを有する少なくとも2つのアームを設けられ、アームは、剛性リンク本体に接続され、アームは、アームの近位端および遠位端が剛性リンク本体に近接して位置設定される閉じられた構成と、アームの遠位端が剛性リンクの本体から離れて位置設定されるようにアームが動かされる開いた構成との間で展開可能である、剛性リンク。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルロボットのための剛性リンクであって、中空芯を有する剛性リンク本体を含み、近位端と遠位端とを有する少なくとも2つのアームが設けられ、前記アームは、前記剛性リンク本体に接続され、前記アームは、前記アームの前記近位端および前記遠位端が前記剛性リンク本体に近接して位置設定される閉じられた構成と、前記アームの前記遠位端が前記剛性リンクの前記本体から離れて位置設定されるように前記アームが動かされる開いた構成との間で展開可能である、剛性リンク。
【請求項2】
前記アームの前記近位端は、前記剛性リンクの前記本体に旋回可能に接続される、請求項1に記載の剛性リンク。
【請求項3】
前記アームは、弾性性質を有するテンドリルであり、展開されるときに湾曲するように形状設定され得る、請求項1に記載の剛性リンク。
【請求項4】
前記剛性リンクの前記本体は、前記アームの部分を、前記アームの長さに沿って収納するように形状設定される、請求項1に記載の剛性リンク。
【請求項5】
前記アームは、前記剛性リンク本体の前記中空芯に平行な軸に直角に伸張可能である、請求項1に記載の剛性リンク。
【請求項6】
前記アームは、モータ、腱、またはリニアアクチュエータにより作動させられる、請求項1に記載の剛性リンク。
【請求項7】
前記フレキシブルロボットは、連続体アームロボットである、請求項1に記載の剛性リンク。
【請求項8】
前記アームは、個々に制御可能である、請求項1に記載の剛性リンク。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の剛性リンクを有するフレキシブルアームロボットを動作させる方法であって、
前記フレキシブルアームロボットをワークピースの空洞内へと、所望される位置設定に前記フレキシブルアームロボットが達するまで挿入するステップと、
前記剛性リンクセクションの前記アームを、前記アームの閉じられた位置から、前記アームの開いた位置に展開するステップと、
前記フレキシブルアームロボットの先端部セクションを使用して、所望されるタスクを実行するステップと、
前記剛性リンクセクションの前記アームを、前記アームの開いた位置から、前記アームの閉じられた位置に退避させるステップと、
前記フレキシブルアームロボットを抜き出すステップと
を含む、方法。
【請求項10】
前記剛性リンクセクションの前記アームを退避させる前記ステップの後、前記フレキシブルアームロボットは、再度位置設定され、前記アームは、前記アームが再び退避させられる前にさらなるタスクを実行するために展開される、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フレキシブルアームロボットを剛直化する手段に関係する。特に、本開示は、剛性リンクの芯から伸張するコンプライアントテンドリル(compliant tendril)の手段によって、フレキシブルアームロボットのセクション(section)を剛直化する手段に関係する。
【背景技術】
【0002】
連続体アームまたはスネークアームロボットは、いくつかの用途において関心が高まっているものである。このことは、上記ロボットが、他のロボティックシステムまたは人間操縦者がたやすく接近し得ない空間内へと操作され得るからである。このことは、端部器具が正確および容易に位置設定され得るように、いくつかの自由度によって本体を操作する能力に起因する。この位置設定は、アームの各関節が、高い度合の位置的正確性の範囲内へと個々に制御され得るように、ロボットの中の腱を操作するアクチュエータにより制御される。
【0003】
大多数のロボティックアームシステムは、6以下の自由度を有する。しかしながら、タスクが、より大である量の器用さを要するならば、要される自由度の数は増大される。自由度の数におけるこの増大は、アームが、例えば、複雑な構造の補修において、または、最小限に侵襲的な外科手術における使用に対して、限局された区域において動作することができるということを意味する。連続体アームロボットは、2つの主な方針に沿って設計され、第1に、剛性R/U/S(回転/自在/球)関節によって、または、コンプライアント関節によってのいずれかで接続される複数個の剛性リンクセクションからなるスネーク型ロボットが存する。各セクションは、1つまたは複数の断片から組成され、オンボードまたは遠隔作動によって、他のものから独立して制御される。第2に、コンプライアントバックボーンからなる連続体ロボットが存し、そのバックボーンの局所的および大域的変形は、1つまたは複数のアクチュエータにより制御される。
【0004】
上記機能性にもかかわらず、ロボットアームにおいて要される関節の数から結果的に生じる、高度にコンプライアントなロボットの現在の設計に関する問題点が存する。これらの関節の結果として、ロボットアームは、従来型の6自由度ロボットと比較されるときに、低い度合の剛直性という難点がある。この低減される剛直性は、低減された負荷容量もまた結果的に生じさせて、アームが、中でそのアームが動作している環境と有し得る相互作用を低減する。現在の技術は、このことを、アクチュエータをロックすることによってシステムを「凍結すること」により、または、バックボーンに対する剛直化手段の追加により克服することを目標とする。このことは、より短い長さのロボティックアームに対して奏功し得るが、より長い長さのロボットに関して用いられるとき、アームは、長い片持ち梁の梁のようにふるまい、梁のたわみは、位置および進行の著しい問題を引き起こす。このことは、ロボット、および/または、ロボットが作業を行っている物体を損傷することのおそれのために、そのようなロボットの使用を軽量のタスクに制限する。それゆえに、これらの問題点を克服するための改善された連続体アームロボットシステムに対する要求が存する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、フレキシブルロボットのための剛性リンクであって、中空芯を有する剛性リンク本体を含み、近位端と遠位端とを有する少なくとも2つのアームを設けられ、アームは、剛性リンク本体に接続され、アームは、アームの近位端および遠位端が剛性リンク本体に近接して位置設定される閉じられた構成と、アームの遠位端が剛性リンクの本体から離れて位置設定されるようにアームが動かされる開いた構成との間で展開可能である、剛性リンクが提供される。
【0006】
アームは、個々に制御され得る。
アームは、個々に展開可能であり得る。
アームは、それらのアームが、アームの遠位端とフレキシブルロボット本体との間の異なる距離を有するように開かれ得る。
【0007】
アームの近位端は、剛性リンクの本体に旋回可能に接続され得る。
アームは、弾性性質を有するテンドリルであり得るものであり、展開されるときに湾曲するように形状設定され得る。
テンドリルは、ニチノールから形成され、そのテンドリルの長さに沿って切欠きを設けられ得る。
【0008】
剛性リンクの本体は、アームの部分を、それらのアームの長さに沿って収納するように形状設定され得る。
アームは、剛性リンク本体の中空芯に平行な軸に直角に伸張可能であり得る。
アームは、折り畳み折り紙構造から形成され得る。
アームは、モータ、腱、またはリニアアクチュエータにより作動させられ得る。
アームは、センサを設けられ得る。
アームの端部は、それらの端部が作業空間を損傷しないようにコンプライアントであり得る。
センサは、アームと、フレキシブルロボットが動作している作業空間との間で付与される力を決定するために使用され得る。
【0009】
フレキシブルロボットは、連続体アームロボットであり得る。
剛性リンクは、連続体ロボットの本体内へと組み込まれ得る。
剛性リンクは、連続体アームロボットの外側本体の周りに位置設定され得る。
【0010】
本開示の第2の態様によれば、先の請求項のいずれか一項に記載のフレキシブルアームロボットを動作させる方法であって、
フレキシブルアームロボットをワークピースの空洞内へと、所望される位置設定にそのフレキシブルアームロボットが達するまで挿入するステップと、
剛性リンクセクションのアームを、それらのアームの閉じられた位置から、それらのアームの開いた位置に展開するステップと、
フレキシブルアームロボットの先端部セクションを使用して、所望されるタスクを実行するステップと、
剛性リンクセクションのアームを、それらのアームの開いた位置から、それらのアームの閉じられた位置に退避させるステップと、
フレキシブルアームロボットを抜き出すステップと
を含む、方法が提供される。
【0011】
剛性リンクセクションのアームを退避させるステップの後、フレキシブルアームロボットは、再度位置設定され得るものであり、アームは、アームが再び退避させられる前にさらなるタスクを実行するために展開される。
【0012】
当業者は、相互に排他的な場合を除いて、上述の態様のうちの任意の1つとの関係において説明される特徴は、任意の他の態様に準用され得るということを察知することになる。さらにまた、相互に排他的な場合を除いて、本明細書において説明される任意の特徴は、任意の態様に適用され、および/または、本明細書において説明される任意の他の特徴と組み合わされ得る。
実施形態が、今から、図を参照して、単に例として説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1a図1aは、連続体アームロボットの切取内部図の従来技術例を示す図である。
図1b図1bは、連続体アームロボットの関節の例を示す図である。
図2】従来技術および本開示による連続体アームロボットのたわみの例を示す図である。
図3】本開示による連続体アームロボットシステムのための剛性リンクの外形を示す図である。
図4】本開示による連続体アームロボットシステムのための剛性リンクの代替的外形を示す図である。
図5図5aは、テンドリルアームの、その閉じられた構成における外形を示す図である。図5bは、テンドリルアームの、その開いた構成における例を示す図である。
図6】本開示による連続体アームロボットシステムのための剛性リンクの代替的外形を示す図である。
図7】本開示による連続体アームロボットの動作のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の態様および実施形態が、今から、付随する図を参照して論考されることになる。さらなる態様および実施形態が、当業者に明らかであることになる。
【0015】
図1aは、連続体アームロボットの切取内部図の従来技術例を示す。従来技術連続体アームロボットは、永続的に統合され、アクチュエータパック102から外に伸張する、連続体アームロボット部分101を含む。アクチュエータパック102は、複数の独立したアクチュエータ103を内包する。これらのアクチュエータは、連続体アーム101を通って延びる腱の中の張力を調節するために使用される。腱は、アームの中の関節と関連付けられ、これらの関節の各々は、関節と関連付けられる腱の緊張または弛緩に応答して動くように設計される。腱のこの緊張または弛緩は、それゆえに、関節の収縮または伸張を引き起こし、そのことは、連続体アームが曲がることを可能とする。アクチュエータパックは、検査されることになる構成要素に近く位置設定される、レールまたは支持体104上に位置設定されることを示される。アクチュエータは、さらには、アクチュエータに給電および対処するために使用される、複数の電力および信号ケーブル105を設けられる。アクチュエータの並びを横断する個々の信号は、連続体アーム101が指図され得るように、関節の制御をもたらす。連続体アームの動きを制御するために、および、所望されるタスクを実行するために、アクチュエータにリンクされるコンピューティングデバイスを伴う操縦者に対する必要性がさらには存するということが、図1においては示されない。連続体アームはアクチュエータパックへと永続的に統合されるので、異なる器具が要されるならば、そのことは、アクチュエータを含む完全形の連続体アームロボットシステムの使用を要する。従来技術アクチュエータに接続されるコンピューティングデバイスは、連続体アームが制御されることを可能とする、ロボットに対する必須のオペレーティングソフトウェア、および、ジョイスティックなどの制御入力部を特徴としてもつ、ラップトップコンピュータなどの任意の適したコンピューティングシステムであり得る。
【0016】
図1bは、連続体アームロボットの関節の例を示す。アームは、関節ごとに少なくとも2つのケーブルを要する、複数個の関節を含む。例えば、関節ごとに4つの腱を各々が有する、3つの関節を有するシステムは、駆動するための12個のアクチュエータを要することになる。関節の数を増大するためには、アクチュエータの数が増大されることを必要とし、さもなければ、関節ごとの腱の数が低減されることを必要とする。強調表示される関節106、107、108は、3つの次元において動くように操作される能をもつ。上記関節は、関節106および108が、アームの中心に相対的に同じ平面において屈曲することができる能をもち、一方で、関節107が動くことができる平面が、関節106および108に対して90°だけずらされるように構成される。アームが3つの次元において操作されることを可能とするのは、徹底して、交互の関節角度であって、それらの各々が、異なる直交平面における動きを結果的に生じさせる、交互の関節角度のこの繰り返す構成である。アームの中の各関節は、それらの関節が屈曲することができる量に対する限度を有し、この限度は、アームの設計、および、使用される材料により規定される。各関節における屈曲の限度は、最小曲げ半径などの特性、および、関節の中で結果的に生じる変化を引き起こすために要されるトルクに対する所要量を設定する。関節が動くことを、および、同じ長さの他のロボティックアームとの比較においてアームの低い剛直性を結果的に生じさせる関節の動きの容易さを可能とするのは、関節における空間の存在である。このことは、スネーク型ロボティックマニピュレータの構造的挙動が、荷重のもとでの片持ち梁の梁にたとえられ得るからであり、このことは、システムが、1つの端部において、作動パックを伴う基部に固定され、アームの残部が、他の接触の点なしに、環境を通って進行するために使用されるからである。この状況において、スネーク型ロボットの本体および/または先端部に付与される、そのスネーク型ロボット自体の重量を含む、あらゆる荷重が、理想的な位置からの著しいたわみを負わせる。アームの端部において、連続体アームが適位置にあると1つまたは複数の機能を実行するように設計される器具または探触子が位置設定される。連続体アームロボットの頭部は、操縦者が、頭部を視認することを、その頭部が構成要素内へと挿入されている際に行うこと、および、頭部を制御することを、その頭部がその頭部のタスクを実行する際に行うことができるように、光学システムをしばしば設けられる。光学システムは、さらには度々、照明システムに結合される。器具に対する制御ケーブル、照明システムに対する電力コネクタ、および光学ケーブルは、普通、連続体アームの中の関節の中心を通って延びることができる。このことは、何らかの潜在的な損傷からケーブルを保護することの利益を有する。
【0017】
図2は、コンプライアントロボティックデバイスへの荷重がけの影響に関する問題点の例を示す。この例において、連続体アームロボットは、所望される作業空間内へと伸張する。コンプライアントロボットは、典型的には、いくつかの可動リンクであって、それらの間に関節を各々が有する、いくつかの可動リンクからなる操作可能先端部と、先端部、および、端部における器具により要されるケーブルを搬送するフレキシブルコネクタとからなる。フレキシブルコネクタは、これらのケーブルおよびコンプライアント先端部を、作業空間の中の所望される位置へと供給するための搬送体として働き、この位置は、先端部セクションおよび器具を制御するために使用されるアクチュエータがあるところから、距離において数メートルであり得る。スネーク型ロボティックマニピュレータの構造的挙動は、荷重のもとでの片持ち梁の梁の構造的挙動にたとえられ得るものであり、なぜならば、システムは、1つの端部において、作動パック、電力供給部、および/または制御ユニットを伴う基部に固定され、他の接触の点なしに、環境を通って進行することになっているからである。図2は、動作の理想化された例を示す。この例において、ロボットは、理想的な直線的な構成201を有し、スネーク型ロボットの本体および/または先端部に付与される、そのスネーク型ロボット自体の重量を含む、あらゆる荷重が、理想的な位置201からの著しいたわみおよび乖離202を負わせる。本開示において、補助機構204の追加が、空洞の壁などの、作業空間環境との1つまたは複数の接触の点205を追加するために使用される。これらの接触点の使用によって、連続体アームロボットのたわみを低減することが可能である。このことは、付帯的な接触の点の効果が、片持ち梁の長さを低減するように働くからである。かくして、システムは、理想的な構成201に、より近い、より釣り合いをとられた構成203を獲得する。それゆえに、このことは、連続体アームロボットおよびエンドエフェクタのより正確な位置設定を、それが、より信頼性の高い作業構成を生み出すように可能とする。さらにまた、接触の点は、それらの点の反作用力によって、先端部への荷重を支持し得るものであり、かくして、ロボットが、より卓越した侵入的な介入治療および補修技法を実行することを可能にする。この付帯的な接触の点は、それゆえに、そのような連続体アームロボットを使用して実行され得るタスクの数を増大することにより、ロボットの有用性を増大するように働く。
【0018】
図3は、本開示によるコンプライアントロボットのセクションの例を示す。図は、連続体ロボット上へと、その連続体ロボットの強度を増大するために追加され得る、追加的なモジュールの例を示す。強化特徴部は、剛性リンク301からなり、その剛性リンク301は、その剛性リンク301が、既存のコンプライアントロボットの本体の周りに、そのロボットを強化するために合わせられ得るように、中空芯302を有する。この剛性リンク機構は、アーム303の対を有することを示され、それらのアーム303は、アームが剛性リンクの本体に沿って保持される「閉じられた」構成304から、アームが剛性リンクから適切な距離だけ動かされた「開いた」構成305に駆動され得る。アームは、一体で制御され得る。代替法として、アームは、個々に制御され得る。このことは、アームが個々に展開可能であることを可能とする。閉じられた構成から、開いた構成へのアームの動きは、強化特徴部が、作業空間の環境との接触の点を創出することを可能とする。アームは、任意の適した角度に開き得る。そのため、アームは、それらのアームが、コンプライアントロボットの本体から、変動する距離だけ伸張するように制御され得る。アームが個々に展開可能であるならば、アームのうちの一方が閉じられたままであり、他方が開いているということ、または代替法として、アームが、作業空間に、より良好に合うように、異なる角度に開かれるということが、作業環境に依存する実情であり得る。アームは、関節306の使用によって剛性リンクに接続され得るものであり、それらの関節306は、両方が、剛性回転もしくは等価関節、またはコンプライアント関節であり得る。アームの動きは、関節のケーブル動作により、または、当業者に明らかであることになる任意の他の適した機構によって駆動され得る。例えば、このことは、電子アクチュエータの使用による、または、形状記憶合金などの、1つの構成と別のものとの間で遷移することができる材料の使用によるものであり得る。アームは、位置設定の助けとなるように、それらのアーム上にセンサを有し得る。センサは、圧力センサであり得る。圧力センサは、所定の力が及ぼされるとアームがそれ以上開かないように、制御機構にフィードバックを提供し得る。この強化特徴部は、連続体アームロボットに対する付加物追加として示されているが、この強化特徴部を、コンプライアントロボットの本体内へと追加することがさらには可能であり、このことは、受動セクションにおける、および/または、受動セクションと能動コンプライアントセクションとの間の接合点におけるものであり得る。このことは、剛性リンクの本体およびアームが、能動および受動コンプライアントセクションと同じ直径を有するように作製され得るという利点を有し、そのため、作業区域内へのロボットの挿入または除去時の、引っ掛け、または、ロボットにかぎ裂きをつくることに関する問題点の機会を最小化する。しかしながら、システムが、図3において示されるものなどの付加物ユニットであるならば、強化特徴部の外部表面は、その強化特徴部が、既存のロボットとの平滑な直径遷移を有することにより、引っ掛けること、または、かぎ裂きをつくることの機会を最小化するように形状設定され得る。端部またはアームは、さらには、それらのアームの開いた状態において、それらのアームが作業空間の表面を損傷しないようにコンプライアントであり得る。剛性リンク上のアームは、さらには、異なる長さおよび/または厚さのものであり得る。ロボットの長さに沿って位置設定される複数個の剛性リンクセクションがさらには存し得る。そのような事例において、アームは、ロボットに足場を設ける、すなわち、作業空間の表面からロボットを持ち上げるように1つの側のアームを開くように使用され得る。2つ以上の剛性リンクを使用するならば、アームは、アームの各々に関して、異なる長さおよび/または厚さであり得る。
【0019】
図4は、本開示による剛性リンクに対する代替的実施形態を示す。この例において、剛性リンクを包囲する複数のアームが存する。これらのアームは、個々に制御され得る。代替法として、それらのアームは、一体で制御され、または、制御されるように一体に結合され得る。図3において示される例においてのように、剛性リンクは、その剛性リンクが、既存のロボットの外側の周りに合わせられ得る、または、新しいコンプライアントロボットの、そのコンプライアントロボットの構造の中の新しい関節もしくはリンクとしての、部品として使用され得るように、中空芯を有する。いずれの事例においても、剛性リンクのうちの1つまたは複数は、ロボットの長さに沿って、そのロボットがそのロボット自体を支持することを可能とするように、適した点において設けられ得る。コンプライアントロボットの中の2つ以上の支持構造を使用するならば、リンクの各々は、各々が別々に活動化および非活動化され得るように、独立して対処され得る。同様に、例の任意のものにおいて、アームは、さらには、それらのアームが個々に展開され退避させられるように、個々に活動化され得る。この手立てにおいて、アームの展開は、中でシステムが作業しているワークピース空洞に適するように構成され得る。図4は、スネーク型断片またはセクションに取り付けられる複数のアームの存在を示す。この図において、剛性リンク401は、中空芯402を有し、いくつものアームを埋め込むように設計される。この事例において、アームは、さらには用いられ得る剛性アームよりむしろ、コンプライアントテンドリルとして示される。図4は、セクションに沿った「閉じられた」構成403において、および、「開いた」構成404においての両方で、これらのテンドリルを示す。剛性リンクは、テンドリルがあるところがへこみの中であるように、退避させられた状態におけるときのテンドリルが、それらのテンドリルがコンプライアントロボットの直径を甚だしく増大しないように、剛性リンク上のくぼみの中にあるように構築され、このことは、それゆえに、ロボットの挿入または除去時の、剛性リンクの引っ掛けること、または、かぎ裂きをつくることの機会を低減する。
【0020】
図5aおよび5bは、図4において示されるようなデバイスの例において使用されるテンドリルアームの、それらのアームの閉じられた構成および開いた構成それぞれにおける例を示す。テンドリルは、使用者により制御され得る形状を有するコンプライアント機構を形成する。そのため、それらのテンドリルは、支持体として働くように十二分に活動化することができないことがある、およびそのため、そのような強い保持をもたらさない、剛性アームにまさって有利である。この例におけるコンプライアントテンドリル機構501は、弾性的挙動を有する管の側に切欠き502を配置することにより実行される。そのような棒の例は、ニチノールの使用によって創出され得る。切欠きは、それらの切欠きがテンドリルを湾曲(503)させ得るように、棒が形状において変形させられることを可能とする。テンドリルの中の湾曲部は、そのテンドリルを通して腱または等価機構を延ばすことにより引き起こされ得る。この機構によって、図5aにおいて示される構成、および、図5bにおいて示される構成において示されるように、テンドリルの形状を、そのテンドリルの湾曲部を修正することにより制御することが可能である。テンドリルは、すべてが同じサイズであり得る。代替法として、それらのテンドリルは、異なる長さおよび/または厚さのものであり得る。
【0021】
図6は、本開示による別の例を示す。この例において、アームは、拡大可能な足場から構築される。足場は、ロボット601の本体内へと退避(602)させられる能をもつ。ロボットが適位置にあるとき、操縦者は、複数または1つのアームを始動させることを、展開されるように、および、そのアームが作業空間604の壁と接触することができるようにそれらのアームが展開(603)されるという程度まで行う。タスクが完了されてしまうと、アームは、本体内へと戻るように取り込まれる。どちらも、展開において、アームの足場は、アクチュエータケーブルの使用によって、または、電子アクチュエータなどの電子システムの使用によってのいずれかで拡大する。論考されるように、展開は、足場における関節を拡大することを、その足場が、より大である体積を占め、そのため、内へとロボットが挿入される空洞の壁と係合することができるように行う。上述の他の例と同様に、センサが、折り畳み構造の開きの程度を決定するために使用され得る。さらには、軟質のコンプライアントパッドが、作業空間に対する損傷を防止するために、遠位端上で使用され得る。折り畳み機構は、図6における例などの折り紙機構であり得る。そのような事例における、構成602においてのようにロボット本体内へと折り畳めること、および、構成603においてのように、環境と接触している様態になるように、折り畳みを解き伸張することができる機構。
【0022】
上述は、連続体アームロボットの見地において説明されているが、原理は、任意の適したフレキシブルロボット、例えば、コンプライアント、ボロスコープ、連続体アームに適用可能である。例えば、アームは、ボロスコーピング工程の間、適位置に頭部を保持するために、または、フレキシブルロボットの本体を、そのロボットが動作している収容部の側部から離れるように維持するために使用され得る。
【0023】
図7は、本開示によるコンプライアント/フレキシブルアームロボットの動作のフローチャートを示す。第1のステップ701において、ロボットは、ワークピース空洞内へと挿入される。この挿入は、作業空間の中の任意の適した出入口または孔を通したものであり得る。第2のステップ702において、フレキシブルアームロボットが適位置にあると、1つまたは複数のアームは、フレキシブルアームロボットがロボットのアームにより支持されるように、それらのアームが空洞の壁に触れるように、操縦者により伸張され得る。第3のステップ703において、ロボットは、要される所望されるタスクを実行する。第4のステップ704において、タスクが完了されると、ロボットのアームは退避させられる。第5のステップ705において、ロボットは、ワークピースの空洞から除去される。
【0024】
インサイチュロボティックス(in-situ robotics)の固定化および制御のための、上述で説明された機構は、スネーク型本体の中心軸の周りに、均一に、または、そうでなくのいずれかで分布させられ得る。論考されるように、この機構は、組み立て局面の間に本体内へと組み込まれること、または、システムに対する追っての追加として追加導入されることのいずれかが行われ得る。均一な分布の使用は、全般的な、および/または未知の外部荷重に対する改善された釣り合いを生み出し得るものであり、その均一な分布は、それゆえに、環境が軸対称性を有することを知られているときに、より効果的であり得る(例えば、円筒管状器官における介入治療のためのロボット)。他方で、不均一な分布は、荷重が優先方向により特徴付けられる状勢において、性能を改善するために使用され得る(例えば、知られている押し出し方向を伴う、エンドエフェクタ器具により生成されるスネーク先端部への反作用力の釣り合いをとる)。それゆえに、どの設計かの選定は、所望される使用、および/または、内へとロボットがタスクを実行するために挿入される環境に依存的であることになる。上述で論考されたように、例の任意のものに対する作動の手段は、狭い空間の中での線形または回転変位を生成することができる、任意の種類のモータ、アクチュエータ、またはデバイスを含み得る。この型の駆動装置は、例えば、後に続く、空気圧技術、油圧技術、リニア/回転モータ、電磁石、圧電、形状記憶合金、その他…のうちの任意のものから選択され得る。
【0025】
本開示の主な用途は、ロボティックシステムの、そのロボティックシステムにかけられる外部および内部荷重に対する、剛直性および反作用を改善することである。しかしながら、本開示の使用は、固定化に制限されず、なぜならば、折り畳み可能な補助機構は、さらには、運動制御を改善するために、または、それらの補助機構自体による運動(例えば、這行運動)を生成するために使用され得るからである。
【0026】
本発明は、追加的な剛直性をもたらすために、既存のスネークロボティックもしくはフレキシブルアームロボティックプラットフォームに、または、新しいロボットの構造の中に取り付けられ得る機構を説明する。そのような剛直化機構は、修理器具(粉砕ボールなど)が先端部において著しい反作用力をもたらし得るシナリオにおいて鍵であり、このことは、その機構が、ロボットがより大である荷重がけを維持することを可能とするからである。この機構の使用は、ロボットが、工程の間、適位置においてそのロボット自体をロックするために、包囲する環境に対して、そのロボット自体を利用するということを意味する。代替法として、アームは、動きの所定の軸の中でロボットの動きを制限するように、ロボットを制約するために使用され得る。そのことは、それゆえに、頭部により実行されている機械的タスクの結果としての反動的な力に打ち勝つための手段をもたらし得る。このことの例は、ロボットが、ガスタービンエンジン燃焼室セクションの中の検査孔内へと挿入され、機械加工工程が、先端部セクションに接続される器具により実行され得るように、ロボットが、燃焼タイルに対して、そのロボット自体を利用し得るということである。デバイスのアームは、引き続いて、デバイスが再度位置設定されることを可能とするために退避させられ、または、動作が完了された後に退避させられ得る。
【0027】
本発明は、上述で説明された実施形態に制限されず、様々な修正および改善が、本明細書において説明される概念から逸脱することなくなされ得るということが理解されることになる。相互に排他的な場合を除いて、特徴のうちの任意のものは、別々に、または、任意の他の特徴と組み合わせて用いられ得るものであり、本開示は、本明細書において説明される1つまたは複数の特徴の、すべての組み合わせおよび副組み合わせに広がり、それらのすべての組み合わせおよび副組み合わせを含む。
【符号の説明】
【0028】
101 連続体アームロボット部分、連続体アーム
102 アクチュエータパック
103 アクチュエータ
104 レールまたは支持体
105 電力および信号ケーブル
106 関節
107 関節
108 関節
201 理想的な直線的な構成、理想的な位置、理想的な構成
202 たわみおよび乖離
203 より釣り合いをとられた構成
204 補助機構
205 接触の点
301 剛性リンク
302 中空芯
303 アーム
304 「閉じられた」構成
305 「開いた」構成
306 関節
401 剛性リンク
402 中空芯
403 「閉じられた」構成
404 「開いた」構成
501 コンプライアントテンドリル機構
502 切欠き
503 湾曲
601 ロボット
602 退避、構成
603 展開、構成
604 作業空間
701 第1のステップ
702 第2のステップ
703 第3のステップ
704 第4のステップ
705 第5のステップ
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】