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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092495
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】ロボット剛直性
(51)【国際特許分類】
   B25J 18/06 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
B25J18/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022198552
(22)【出願日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】2118590.5
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】591005785
【氏名又は名称】ロールス・ロイス・ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】ROLLS-ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ディー・ノートン
(72)【発明者】
【氏名】シン・ドーン
(72)【発明者】
【氏名】ドラゴス・エイ・アクシンテ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS14
3C707BS17
3C707CU07
3C707CY12
3C707HT04
(57)【要約】
【課題】連続体アームロボットのセクションを、膨張可能セクションの手段によって剛直化する手段を提供すること。
【解決手段】器具、複数個の自由度を有する操作可能ロボティックセクションを含む所定の数のセクションを含む先端部セクション、受動芯を含む剛直化セクションであって、膨張可能セクションが上記受動芯を包囲する、剛直化セクション、および膨張可能外方部内への流体を可能とするための弁と、所定の長さのフレキシブル導管を含む受動セクションとを含み、受動セクションの芯および剛直化セクションは、先端部セクションを操作するためのケーブルと、膨張可能外方部に流体を供給するための流体導管とを内包する、連続体アームロボット。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具、複数個の自由度を有する操作可能ロボティックセクションを含む所定の数のセクションを含む先端部セクション、受動芯を含む剛直化セクションであって、膨張可能セクションが前記受動芯を包囲する剛直化セクション、および膨張可能外方部内への流体を可能とするための弁と、所定の長さのフレキシブル導管を含む受動セクションとを含み、前記受動セクションの芯および前記剛直化セクションは、前記先端部セクションを操作するためのケーブルと、前記膨張可能外方部に前記流体を供給するための流体導管とを内包する、連続体アームロボット。
【請求項2】
前記膨張可能セクションは、ゴム、シリコーンゴム、ラテックスゴムなどの弾性材料から作製される、請求項1に記載の連続体アームロボット。
【請求項3】
前記膨張可能セクションは、前記剛直化セクションの前記芯の周りに風船を形成するために接合する、弾性材料の上側層と、弾性材料の下側層とを含む、請求項1に記載の連続体アームロボット。
【請求項4】
前記剛直化セクションは、複数の膨張可能セクションを含む、請求項1に記載の連続体アームロボット。
【請求項5】
前記受動セクションは、複数のフレキシブル管から構築され、前記ケーブルおよび供給管は、前記フレキシブル管を通って延びる、請求項1に記載の連続体アームロボット。
【請求項6】
前記先端部セクションは、所定の長さの6以上の自由度の連続体アームロボットを含む、請求項1に記載の連続体アームロボット。
【請求項7】
締め付け部が、前記膨張可能セクションの形状を調整するために、前記膨張可能セクションの周りに配置される、請求項1に記載の連続体アームロボット。
【請求項8】
前記膨張可能セクションは、前記膨張可能セクションが不均一に拡大するように可能とする、異なる厚さを有する、請求項1に記載の連続体アームロボット。
【請求項9】
請求項1に記載の連続体アームロボットを使用する方法であって、
前記連続体アームロボットをワークピースの空洞内へと、所望される位置設定に前記連続体アームロボットが達するまで挿入するステップと、
前記剛直化セクションを、外方剛直化セクションが適位置に前記連続体アームロボットを保持するまで膨張させるステップと、
前記連続体アームロボットの先端部セクションを使用して、所望されるタスクを実行するステップと、
前記連続体アームロボットの前記剛直化セクションをしぼませるステップと、
前記連続体アームロボットを抜き出すステップと
を含む、方法。
【請求項10】
前記所望されるタスクが実行されると、前記膨張可能セクションは、前記先端部セクションが新しい位置に動かされ得るように、部分的にしぼませられ、第2のタスクが、前記膨張可能セクションがしぼませられる前に、前記ワークピースの新しいセクションに関して実行され得る、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、連続体アームロボットを剛直化する手段に関係する。特に、本開示は、連続体アームロボットのセクション(section)を、膨張可能(inflatable)セクションの手段によって剛直化する手段に関係する。
【背景技術】
【0002】
連続体アームまたはスネークアームロボットは、いくつかの用途において関心が高まっているものである。このことは、上記ロボットが、他のロボティックシステムまたは人間操縦者がたやすく接近し得ない空間内へと操作され得るからである。このことは、器具の端部が正確および容易に位置設定され得るように、いくつかの自由度によって本体を操作する能力に起因する。この位置設定は、アームの各関節が、高い度合の位置的正確性の範囲内へと個々に制御され得るように、ロボットの中の腱を操作するアクチュエータにより制御される。
【0003】
大多数のロボティックアームシステムは、6以下の自由度を有する。しかしながら、タスクが、より大である量の器用さを要するならば、要される自由度の数は増大される。自由度の数におけるこの増大は、アームが、例えば、複雑な構造の補修において、または、最小限に侵襲的な外科手術における使用に対して、限局された区域において動作することができるということを意味する。連続体アームロボットは、2つの主な方針に沿って設計され、第1に、剛性R/U/S(回転/自在/球)関節によって、または、コンプライアント関節によってのいずれかで接続される複数個の剛性リンクセクションからなるスネーク型ロボットが存する。各セクションは、1つまたは複数の断片から組成され、オンボードまたは遠隔作動によって、他のものから独立して制御される。第2に、コンプライアントバックボーンからなる連続体ロボットが存し、そのバックボーンの局所的および大域的変形は、1つまたは複数のアクチュエータにより制御される。
【0004】
上記機能性にもかかわらず、ロボットアームにおいて要される関節の数から結果的に生じる、高度にコンプライアントなロボットの現在の設計に関する問題点が存する。これらの関節の結果として、ロボットアームは、従来型の6自由度ロボットと比較されるときに、低い度合の剛直性という難点がある。この低減される剛直性は、低減される耐荷力もまた結果的に生じさせて、アームが有し得る、そのアームが動作している環境との相互作用を低減する。現在の技術は、このことを、アクチュエータをロックすることによってシステムを「凍結すること」により、または、バックボーンに対する剛直化手段の追加により克服することを目標とする。このことは、より短い長さのロボティックアームに対して奏功し得るが、より長い長さのロボットに関して用いられるとき、アームは、長い片持ち梁のようにふるまい、梁のたわみは、位置および進行の著しい問題を引き起こす。このことは、ロボット、および/または、ロボットが作業している物体を損傷することのおそれのために、そのようなロボットの使用を軽量のタスクに制限する。それゆえに、これらの問題点を克服するための改善された連続体アームロボットシステムに対する要求が存する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様は、器具またはエフェクタ、複数個の自由度を有する操作可能ロボティックセクションを含む所定の数のセクションを含む先端部セクション、受動芯を含む少なくとも1つの剛直化セクションであって、膨張可能セクションが上記受動芯を包囲する、少なくとも1つの剛直化セクション、および膨張可能外方部内への流体を可能とするための弁と、所定の長さのフレキシブル導管を含む受動セクションとを含み、受動セクションの芯および剛直化セクションは、先端部セクションを操作するためのケーブルと、膨張可能外方部に流体を供給するための流体導管とを内包する、連続体アームロボットに関係する。
【0006】
膨張可能セクションは、器具またはエフェクタと、先端部セクションとの間に場所設定され得る。
膨張可能セクションは、先端部セクションにおいて場所設定され得る。
膨張可能セクションは、先端部と、受動セクションとの間に場所設定され得る。
【0007】
複数の膨張可能セクションが存し得る。
膨張可能セクションは、ゴム、シリコーンゴム、ラテックスゴムなどの弾性材料から作製され得る。
膨張可能セクションは、剛直化セクションの芯の周りに風船を形成するために接合する、弾性材料の上側層と、弾性材料の下側層とを含み得る。
【0008】
膨張可能セクションは、剛直化セクションの円板に取り付けられる把持セクションを含む密閉機構を有する近位端セクションおよび遠位端セクションを特徴としてもち得るものであり、把持セクションは、膨張可能セクション支持体の把持セクションと結合し、膨張可能セクション支持体は、弾性材料の上側層にリンクし、端部セクションは、さらには、把持機構に対して近位に伸張する、および、内方弾性膜に接続される、傾斜セクションを特徴としてもち、傾斜セクションは、外方弾性層が、膨張させられた状態においてではないときに、傾斜セクションにより形成される凹部の中にあるように、上側弾性層がくぼみの中にあることを可能とする。
【0009】
剛直化セクションは、複数の膨張可能セクションを含み得る。
流体の程合いは、連続体アームロボットが、異なる場所に動かされ得る、または操作され得るように、膨張可能セクションの中で制御され得る。
【0010】
受動セクションは、複数のフレキシブル管から構築され得るものであり、ケーブルおよび供給管は、フレキシブル管を通って延びる。
先端部セクションは、所定の長さの6以上の自由度の連続体アームロボットを含み得る。
【0011】
締め付け部が、膨張可能セクションの形状を調整するために、膨張可能セクションの周りに配置され得る。
締め付け部は、テープ、金属製構造、あばら状骨組(ribbing)、および/または帯のうちの任意のものからなり得る。
【0012】
膨張可能セクションは、その膨張可能セクションが不均一に拡大するように可能とする、異なる厚さを有し得る。
膨張可能セクションは、剛直化セクションの剛直性を制御するために、液体または気体によって満たされ得る。
膨張可能セクションは、水または液体窒素によって満たされ得る。
【0013】
本開示の第2の態様によれば、上で述べられたような連続体アームロボットを使用する方法であって、
連続体アームロボットをワークピースの空洞内へと、所望される位置設定にその連続体アームロボットが達するまで挿入するステップと、
剛直化セクションを、外方剛直化セクションが適位置に連続体アームロボットを保持するまで膨張させるステップと、
連続体アームロボットの先端部セクションを使用して、所望されるタスクを実行するステップと、
連続体アームロボットの剛直化セクションをしぼませるステップと、
連続体アームロボットを抜き出すステップと
を含む、方法が提供される。
【0014】
所望されるタスクが実行されると、膨張可能セクションは、先端部が新しい位置に動かされ得るように、部分的にしぼませられ得るものであり、第2のタスクが、膨張可能セクションがしぼませられる前に、ワークピースの新しいセクションに関して実行され得る。
【0015】
当業者は、相互に排他的な場合を除いて、上述の態様のうちの任意の1つとの関係において説明される特徴は、任意の他の態様に準用され得るということを理解することになる。さらにまた、相互に排他的な場合を除いて、本明細書において説明される任意の特徴は、任意の態様に適用され、および/または、本明細書において説明される任意の他の特徴と組み合わされ得る。
実施形態が、次に、図を参照して、単に例として説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1a図1aは、連続体アームロボットの切取内部図の従来技術例を示す図である。
図1b図1bは、連続体アームロボットの関節の例を示す図である。
図2】本開示による連続体アームロボットの使用の例を示す図である。
図3】本開示の連続体アームロボットの動作のフローチャートを示す図である。
図4図4aは、作業空間内への連続体アームロボットの、そのロボットの展開されない状態における挿入の画像を示す図である。図4bは、連続体アームロボットの、そのロボットの展開された状態における例を示す図である。
図5】本開示の連続体アームロボットの断面視図を示す図である。
図6図6aは、本開示の連続体アームロボットの剛直化セクションの大写し視図を示す図である。図6bは、連続体アームロボットの膨張可能セクションの遠位端の大写し視図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の態様および実施形態が、次に、添付する図を参照して論考されることになる。さらなる態様および実施形態が、当業者に明らかであることになる。
【0018】
図1aは、連続体アームロボットの切取内部図の従来技術例を示す。従来技術の連続体アームロボットは、永続的に統合され、アクチュエータパック102から外に伸張する、連続体アームロボット部分101を含む。アクチュエータパック102は、複数の独立したアクチュエータ103を内包する。これらのアクチュエータは、連続体アーム101を通って延びる腱の中の張力を調節するために使用される。腱は、アームの中の関節と関連付けられ、これらの関節の各々は、関節と関連付けられる腱の緊張または弛緩に応答して動くように設計される。腱のこの緊張または弛緩は、それゆえに、関節の収縮または伸張を引き起こし、そのことは、連続体アームが曲がることを可能とする。アクチュエータパックは、検査されることになる構成要素の近くに位置設定される、レールまたは支持体104上に位置設定されることを示される。アクチュエータは、さらには、アクチュエータに給電および対処するために使用される、複数の電力および信号ケーブル105を設けられる。アクチュエータの並びを横断する個々の信号は、連続体アーム101が指図され得るように、関節の制御をもたらす。連続体アームの動きを制御するために、および、所望されるタスクを実行するために、アクチュエータにリンクされるコンピューティングデバイスを伴う操縦者に対する必要性がさらには存するということが、図1においては示されない。連続体アームはアクチュエータパックへと永続的に統合されるので、異なる器具が要されるならば、そのことは、アクチュエータを含む完全形の連続体アームロボットシステムの使用を要する。従来技術のアクチュエータに接続されるコンピューティングデバイスは、連続体アームが制御されることを可能とする、ロボットに対する必須のオペレーティングソフトウェア、および、ジョイスティックなどの制御入力部を特徴としてもつ、ラップトップコンピュータなどの任意の適したコンピューティングシステムであり得る。
【0019】
図1bは、連続体アームロボットの関節の例を示す。アームは、関節ごとに少なくとも2つのケーブルを要する、複数個の関節を含む。例えば、関節ごとに4つの腱を各々が有する、3つの関節を有するシステムは、駆動するための12個のアクチュエータを要することになる。関節の数を増大するためには、アクチュエータの数が増大されることを必要とし、さもなければ、関節ごとの腱の数が低減されることを必要とする。強調表示される関節106、107、108は、3つの次元において動くように操作され得る。上記関節は、関節106および108が、アームの中心に相対的に同じ平面において屈曲することができるようになり得るものであり、一方で、関節107が動くことができる平面が、関節106および108に対して90°だけずらされるように構成される。これは、交互の関節角度のこの繰り返す構成を通り、それらの各々が、異なる直交平面における動きを結果的に生じさせ、これによりアームが3つの次元において操作されることを可能とする、である。アームの中の各関節は、それらの関節が屈曲することができる量に対する限度を有し、この限度は、アームの設計、および、使用される材料により規定される。各関節における屈曲の限度は、最小曲げ半径などの特性、および、関節の中で結果的に生じる変化を引き起こすために要されるトルクに対する所要量を設定する。関節が動くことを、および、同じ長さの他のロボティックアームとの比較においてアームの低い剛直性を結果的に生じさせる関節の動きの容易さを可能とするのは、関節における空間の存在である。このことは、スネーク型ロボティックマニピュレータの構造的挙動が、荷重のもとでの片持ち梁の梁にたとえられ得るからであり、このことは、システムが、1つの端部において、作動パックを伴う基部に固定され、アームの残部が、他の接触の点なしに、環境を通って進行するために使用されるからである。この状況において、スネーク型ロボットの本体および/または先端部に付与される、そのスネーク型ロボット自体の重量を含む、あらゆる荷重が、理想的な位置からの著しいたわみを負わせる。アームの端部において、連続体アームが適位置にあると1つまたは複数の機能を実行するように設計される器具または探触子が位置設定される。連続体アームロボットの頭部は、操縦者が、頭部が構成要素内へと挿入されている際にその頭部を視認すること、および、頭部がその頭部のタスクを実行する際にその頭部を制御することができるように、光学システムをしばしば設けられる。光学システムは、さらには度々、照明システムに結合される。器具に対する制御ケーブル、照明システムに対する電力コネクタ、および光学ケーブルは、普通、連続体アームの中の関節の中心を通って延びることができる。このことは、何らかの潜在的な損傷からケーブルを保護することの利益を有する。
【0020】
図2は、本開示による連続体アームロボットの例を示す。この例において、連続体アーム201は、検査または修理されることになる物体の空洞202内へと挿入される。連続体アームロボット201は、ロボットが適位置へと操作されることを可能とするための可動関節を有する、いくつかのセクションを内包する。アクチュエータに最も近く、連続体アームの頭部から最も遠い連続体アームセクションは、受動セクション203である。受動セクションは、フレキシブルである、ならびに、制御腱と電力およびデバイス供給部とが通って進むことを可能とし、一方で、それらの制御腱と電力およびデバイス供給部とを保護する、非制御可能セクションである。連続体アームロボットの中間部セクションは、膨張可能セクション204からなる。本例の膨張可能セクションは、3つの膨張可能システムを含むが、連続体アームロボットは、任意の適した数の膨張するシステムを内包し得る。膨張するシステムは、連続体アームロボットの外方表面から伸張し、検査されることになる物体の表面壁に接触するように拡大する。風船は、壁208との接触区域を有し、その接触区域を通して、膨張可能セクションの膨張は、作業空間または空洞202の壁に力を与える。膨張するシステムの存在は、連続体アームロボットを、作業されている物体の空洞の中心において位置設定し、このことは、膨張可能セクションが、アームを位置設定するために使用される空洞の壁の外側における力を創出するからである。しかしながら、膨張システムの性質に依存して、連続体アームセクションは、膨張可能システムが支持する任意のところにおいて位置設定され得る。能動セクション205は、アクチュエータの近くで連続体アームロボットの頭部において位置設定され、または、連続体アームロボットの頭部である。連続体アームロボットは、作業されている物体の目標の検査区域207を検査することができるエンドエフェクタ206を有する。膨張可能システムは、ゴム、シリコーンゴム、ラテックスゴム、または、当業者に明らかであることになる任意の他の適した材料などの弾性材料から作製され得る。膨張する機構のサイズは、能動的に制御され得るものであり、このことは、連続体ロボットの作業条件が、小さいサイズ空洞に出入することであれ、大きい空洞における動作であれ、ロボットシステムがこの作業条件に適合することを可能とする。
【0021】
膨張可能セクションが受動セクションと能動セクションとの中間にあることに関して上で示されたが、膨張可能セクションは、さらには、能動セクションにおいて配置され得る。このことは、膨張可能セクションを特徴としてもつようにセクションを分離することにより、または、能動セクションの周りに膨張可能セクションを配置することにより行われ得る。代替として、膨張可能セクションは、能動セクションとエンドエフェクタとの間に配置され得る。これらの事例において、膨張可能セクションは、エフェクタを動作の間適所に保持するために、そのエフェクタが適位置にあると膨張させられ得る。
【0022】
使用中、連続体ロボットが挿入されるとき、膨張するシステムは、それらの膨張するシステムの自然のサイズにおけるものであり、すなわち、膨張するシステムの外方直径は、連続体ロボットの総体的な直径と同じであるように設計されるということである。このことは、所望される位置への連続体ロボットの容易な進行を可能にする。しかしながら、膨張可能セクションは、連続体ロボットの直径から小さい距離だけ伸張することがあり、このことは、膨張可能セクションが能動セクションの周りを動く場合に当てはまることになる。動作段階において、膨張するシステムのサイズは、膨張するシステムの外方表面と内方表面との間の体積内へと、空気、水、および/または油などの流体をポンプで送り込むことにより、体積を膨張させることにより、能動的に調整される。このことに対する流体は、スネークの中心における導管内の、または、その導管の外側のいずれかでの管を通して供給され得る。センサが、膨張可能セクションが正しく膨張させられるかどうかを決定するために使用され得る。このことは、圧力センサの使用によって行われ得る。適切なパラメータ設計および材料選択によって、膨張するシステムは、限局された管/出入空洞の中で連続体ロボットを固定することができる。この固定が、エンドエフェクタの剛直性を改善し、かくして、そのエンドエフェクタの多用性および正確性を増大する。加えて、膨張するシステムの使用は、さらには、連続体ロボットが、異なる形状を伴う限局された環境に適合することを可能とするための良好な解決策をもたらし得る。さらにまた、膨張するシステムの使用は、連続体アームロボットの動作に有益であり、なぜならば、その使用は、ロボットアームが、エンドエフェクタが使用中である間にそのロボットアームが動き得ないように、適位置に固着させられることを可能とするからである。連続体アームが適位置に保持されることに起因して、そのことは、通常段階における連続体ロボットの寸法が最小化され得るということを意味する。このことは、ロボティックアームへの力に対抗するために、より大である強度および抵抗を生み出すために、ロボットのサイズを増大することを必要としないからである。動作の間に連続体ロボットと室/壁との間の接触をもたらすことは、システムの中の片持ち梁の長さの影響を減少し、それゆえに、そのことは、システム剛直性を増大することの効果を有する。膨張システムを膨張させる、およびしぼませる能力は、システムが、異なる場所において、高い信頼性で、および、繰り返し使用され得るということを意味し、なぜならば、ロボットは、安全に、空洞内へと挿入される、および、空洞から除去され得るからである。
【0023】
上述の膨張するシステム連続体アームロボットの作業原理が、図3において示される。第1のステップ301は、器具をその器具の作業位置に指向することになる、連続体アームロボットを空洞内へと挿入することである。このことを行う間、剛直化セクションは、それらの剛直化セクションの自然のサイズにおける、すなわち、風船の膨張を伴わないものである。このことは、連続体アームロボットが室/空洞内へと容易に挿入され得るということを意味する。長い受動セクションの使用は、膨張システムが、連続体アームロボットの頭部の近くに位置設定されることを可能とする。そのことが望ましいならば、受動セクションは、さらには、連続体アームロボットと空洞との間の接触を最小化するために、膨張システムを特徴としてもち得る。第2のステップ302において、連続体アームロボットの先端部または頭部が、その先端部または頭部の所望される位置における適所であると、膨張システムは活動化され得る。このことを行うために、空気/流体が、剛直化膨張機構内へとポンプで送り込まれる。膨張システムの拡大は、膨張システムの外方壁が空洞の壁と接触する原因であった。空洞の壁と接触する膨張システムの外方壁の圧力および摩擦は、空洞の中で連続体ロボットを固定またはロックすることの効果を有する。第3のステップ303において、膨張するセクションが膨張させられ、連続体アームロボットが空洞の中で安固に位置設定されるので、先端部セクションは、その先端部セクションの所望されるタスクを実行することができる。膨張するシステムの使用は、システムの剛直性を増大し、ロボットアームが、膨張するシステムの存在なしにそのロボットアームが実行することができることになるより大である範囲のタスクを実行することを可能とする。第4のステップ304において、ロボット頭部により遂行された動作が完了されると、膨張するシステムはしぼまされ得る。しぼませは、風船から空気または流体を排出することにより遂行され、このことは、空気の事例において弁を解放すること、または代替として、膨張するシステムを満たすために使用される空気もしくは流体を外にポンプで送り出すことのいずれかにより行われる。このことは、膨張システムの風船を、それらの風船の自然のサイズに至るまで戻るように縮小する。連続体アームロボットは、かくして、そのロボットが挿入されたときにそうであったのと同じ状態にある。第5のステップ305は、空洞からの連続体アームロボットの抜き出しである。このことは、連続体アームロボットが、空洞内へとそのロボットが挿入された際の状態に戻されたので可能であり、それゆえに、ロボットは、そのロボットが進入した際に通った同じ口、例えば、ガスタービンエンジンにおける検査孔を抜け出ることができる。
【0024】
図4aは、構成要素403の中の空洞402内への連続体アームロボット401の挿入の図を示す。連続体アームロボットは、アクチュエータ頭部404と、膨張可能セクション405と、受動セクション406とを有する。連続体アームロボットは、出入口407を通して空洞内へと挿入されている。画像において、膨張可能セクションは膨張させられておらず、そのため、連続体アームロボットの先端部の強度は、連続体アームロボットの関節およびセクションの強度によりもたらされる。そのような状態において、アクチュエータの端部の荷重または能力における限度が存する。図4bは、連続体アームロボットの、そのロボットの展開された状態における例を示す。この状態において、膨張可能セクション405は、この膨張可能セクション405の外方セクションが空洞の壁と接触するように膨張させられている。この状態において、膨張可能セクションは、空洞への力を起こすことができ、その力が、代わってさらには、膨張可能セクションを通って進む、連続体アームロボットへの力をもたらす。かくして、展開された状態における連続体アームロボットの膨張可能セクションは、剛直化機構として働く。適所におけるこの膨張可能セクションによって、連続体アームロボットの剛直性は増大され、そのため、ロボットの、端部、または、端部におけるアクチュエータに付与され得る荷重が増大される。その結果、ロボットは、同じサイズに対する増大される荷重能力を有する。それゆえに、このことは、能力を増大するように働く。
【0025】
図5は、本開示の連続体アームロボットの断面視図を示す。図は、本開示の連続体ロボットの3つの別々のセクションにおける、より近い外観を示す。この図において、連続体アームロボットの本体は、3つの独立したセクションから構築され、それらのセクションの各々は、それらのセクション自体の機能を有する。このセクションは、制御が存しない、ロボットのフレキシブルな長さである、受動セクション501からなる。受動セクションは、作業区域内への連続体ロボットの容易な搬送を保証するための適した剛直性を有する。受動セクションは、その受動セクションが、先端部により要されるような作動ケーブルと他の送出可能管およびパイプとを、ならびに、膨張する機構により要される流体を供給するための導管を支持する能力をもつように設計される。受動セクションは、連続体アームロボットが、要される区域に接近し得ることを可能とするために、任意の適した長さであり得る。剛直化セクション502は、受動セクション501と先端部セクション503との間にある。この例において、剛直化セクションもまた受動的であり、なぜならば、連続体ロボットの上記セクションはアクチュエータにより操作されないからである。このセクションを包囲しているのは、単一または複数個のいずれかの膨張可能セクションである。これらの膨張可能セクションは、その領域において連続体アームセクションの周りに伸張する外皮からなる。外皮は、密閉されるセクションが空洞の壁に接して支持するために膨張させられ得るように、上記連続体アームセクションの周りに、その密閉されるセクションを形成しなければならない。外皮は、風船を膨張させるために使用される流体からの圧力のもとで変形することができる、ただし同時に、でこぼこな表面にその外皮が引っ掛かる場合にその外皮が破れないように、十分に強い、および、引き裂きに抵抗力のある、材料から作製されなければならない。ロボティックセクションは、風船内へと、および、風船から外に、流体を供給および除去するための入口および/または出口を有する。連続体ロボットの最終のセクションは先端部セクションであり、この先端部セクションは、この例においては6つの自由度を有する連続体ロボットのセクションである、ロボットの制御可能セクションである。先端部セクションの端部は、遂行されることを要される作業および工程に依存して、アクチュエータまたは器具を有し得る。先端部セクションは、要されるタスクを実行するために、任意の適した長さであり、その先端部セクションの中に任意の適した数の可動セクションを有し得る。
【0026】
総体的な連続体ロボットが検査孔を通して室内へと送出され得るということを確実にするために、剛直化セクションは、そのロボットが空間内へと操作されることを可能とするのに十分にフレキシブルであるべきである。それゆえに、複数個のバックボーンと、膨張可能構造からなる剛直化機構とを組み合わせる構造が使用される。そのような要求は、バックボーンのいくつかの円板セクションを覆う超弾性被膜の2つの層から構築される薄い剛直化機構を利用して達成され得る。かくして、剛直化セクションは、従来型の連続体ロボットと同じ特性を有し得るが、空洞を満たすために直径を増大し、かくして、ロボットの剛直性を増大するために、流体を能動的にポンプで送り込まれ得る。このことの詳細な例が、図6aにおいて示され、その図6aは、本開示の連続体アームロボットの剛直化セクションの大写し視図を示す。連続体アームロボットの剛直化セクション601の中に、空洞作業区域内への挿入のために、連続体ロボットを送出および支持するために、必須の剛直性およびフレキシビリティをもたらすために、いくつかの円板602および603が存する。このセクションは、アクチュエータに相対的に2つの端部、近位端604および遠位端605へと分けられる。これらの端部は、膨張可能セクションを支持し、その膨張可能セクションを連続体ロボットに固着させる。剛直化セクション上に設けられる膨張可能セクションのうちの1つまたは複数が存し得る。図6bは、連続体アームロボットの膨張可能セクションの遠位端の大写し視図を示す。端部は、膨張可能セクションを支持するために、膨張可能物に対する密閉機構を内包する。この密閉機構は、連続体ロボットの剛直化セクションの円板に取り付けられる把持セクション606を含む。この把持セクションは、膨張可能セクション支持体と結合する。膨張可能セクション支持体は、膨張可能風船セクションにリンクするように設計されるが、その膨張可能風船セクションを、剛直化セクションの円板に直接的にリンクすることより緩い結合をもたらす。しかしながら、当業者が理解することになるように、風船を円板に直接的に結合することを含む、剛直化セクションの膨張可能風船が剛直化セクション本体に結合され得る、いくつかの手立てが存する。膨張可能セクション支持体は、風船の外方層を形成する超弾性膜607に結合される。端部セクションは、把持機構に対して近位に伸張する傾斜セクションを特徴としてもつ。傾斜セクションは、アームの直径を増大することなく、超弾性層が支持体セクションの円板の周りにあることを可能とし、このことは、アームの直径におけるいかなる変化も、連続体アームロボットの接近可能性を低減し、さらには、空洞の縁部に引っ掛かり得るセクションをもたらすからである。傾斜セクションに結合されるのが、剛直化セクションの内方セクション風船を形成する超弾性材料の下側層608である。
【0027】
先端部セクションは、その先端部セクションに取り付けられる、所定の数の器具およびまたはアクチュエータを有し得る。連続体アームロボットの受動セクションおよび剛直化セクションの両方の本体に沿って進むことを要される、それら自体の制御部を要する、器具またはアクチュエータに加えて、先端部セクションの6自由度操作に対して要されるアクチュエータの制御ケーブルがさらには存する。それゆえに、受動および剛直化セクションの設計は、それらのセクションが、連続体アームロボットの総体的な直径を増大することなく、これらのケーブルの供給を可能とするための通り道を有するように、注意深い設計を要する。このことを行う手段は、受動セクションにおいて、いくつかのリンクされるフレキシブシル棒を使用することであり得るものであり、棒の端部における関節が、フレキシブルバックボーンを形成するために接続するフレキシブル関節になる。本開示の図6aおよびbにおいて示されるような剛直化セクションにおいて、長いフレキシブル棒は、このセクションの中心においてすべての必須のケーブルを内包する、空気流体通り道により置換される。
【0028】
システムの利点は、風船壁の厚さが、拡大の最適な程合い、および構造的完全性をもたらすように仕立てられ得るということである。より厚い壁は、より少なく拡大するが、作業環境の中で穿刺することに対してはより少なく敏感であるということが知られている。風船の厚さを仕立てることが、さらには可能であり得る。かくして、風船の厚さは、非対称の拡大をもたらすように、その風船の長さの全域で調整され得る。例えば、1つの縁部における、より厚い壁は、風船がU形状において拡大することを引き起こすことになり、このことは、中に連続体アームロボットが挿入される空洞の形状と整合するために使用され得る。そのため、空洞に合うように膨張可能セクションを仕立てることが可能である。風船の形状を制御するための代替的手立ては、締め付け部の使用である。これらの締め付け部は、非対称の拡大をもたらすように、風船構造の外側に配置され得る。締め付け部は、当業者に明らかであることになるような、任意の適した構造または性質のものであり得るものであり、このことは、厚いテープ、金属製構造、あばら状骨組、または帯の使用を含み得る。剛直化セクションの剛直性を調整することのさらなる手立ては、拡大輪郭および構造的完全性が最適化されるように、異なる気体または流体を使用してそれらの剛直化セクションを拡大することであり得る。例えば、風船は、風船が空気によって満たされる場合より大である剛直性をもたらすように、水で満たされ得る。代替として、風船は、環境の中での高められた剛直性をもたらすように、液体窒素または他の機構を使用して過冷却され得る。ロボットの機能性を増大するために、構造の剛直性は、空気流量および圧力を能動的に調整することにより、環境内で制御され得る。そのため、環境内でのロボットの動きが制御され得る。例えば、風船は、ロボットがエンジン内へといっそうさらに展開されることを可能とするために、わずかにしぼませられ得るものであり、これらの風船は、次いで、補修を必要とする損傷に相対的に正しい場所に器具があるときに、再膨張させられ得る。
【0029】
本発明は、上で説明された実施形態に制限されず、様々な修正および改良が、本明細書において説明される概念から逸脱することなくなされ得るということが理解されることになる。相互に排他的な場合を除いて、特徴のうちの任意のものは、別々に、または、任意の他の特徴と組み合わせて用いられ得るものであり、本開示は、本明細書において説明される1つまたは複数の特徴の、すべての組み合わせおよび副組み合わせに広がり、それらのすべての組み合わせおよび副組み合わせを含む。
【符号の説明】
【0030】
101 連続体アームロボット部分、連続体アーム
102 アクチュエータパック
103 アクチュエータ
104 レールまたは支持体
105 電力および信号ケーブル
106 関節
107 関節
108 関節
201 連続体アーム、連続体アームロボット
202 空洞
203 受動セクション
204 膨張可能セクション
205 能動セクション
206 エンドエフェクタ
207 検査区域
208 壁
401 連続体アームロボット
402 空洞
403 構成要素
404 アクチュエータ頭部
405 膨張可能セクション
406 受動セクション
407 出入口
501 受動セクション
502 剛直化セクション
503 先端部セクション
601 剛直化セクション
602 円板
603 円板
604 近位端
605 遠位端
606 把持セクション
607 超弾性膜
608 下側層
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】