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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092497
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】フォトレジスト下層組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20230626BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/26 511
G03F7/11 502
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022199257
(22)【出願日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】63/292,138
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロウシェン ク
(72)【発明者】
【氏名】アントン チャベス
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋太郎
【テーマコード(参考)】
2H196
2H225
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196KA02
2H196KA18
2H225AE06N
2H225AE13N
2H225AE15N
2H225AM16N
2H225AM79N
2H225AN39N
2H225AN54N
2H225BA01N
(57)【要約】
【課題】 フォトレジスト下層組成物を提供する。
【解決手段】 基板上にフォトレジスト下層組成物を塗布してフォトレジスト下層を得ること;フォトレジスト下層の上にフォトレジスト層を形成すること;フォトレジスト層をパターニングすること;及びパターニングされたフォトレジスト層からフォトレジスト下層にパターンを転写することを含む、パターン形成方法。フォトレジスト下層組成物は、本明細書に記載の式1で表される繰り返し単位を含むポリマーと、本明細書に記載の式2で表される置換基を含む化合物と、溶媒とを含む。
【化1】

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にフォトレジスト下層組成物を塗布してフォトレジスト下層を得ること;
前記フォトレジスト下層の上にフォトレジスト層を形成すること;
前記フォトレジスト層をパターニングすること;及び
前記パターニングされたフォトレジスト層から前記フォトレジスト下層にパターンを転写すること;
を含むパターン形成方法であって、前記フォトレジスト下層組成物が、式1で表される繰り返し単位を含むポリマーと、式2で表される置換基を含む化合物と、溶媒とを含む、方法
【化1】

(式1において、
環Aは、1~4個の独立して置換若しくは無置換の芳香環を有する芳香環基を表し、任意選択的に2つ以上の芳香環は縮合していてもよく、1つ以上の芳香環は、縮合された任意選択的に置換されていてもよいシクロアルキル又は任意選択的に置換されていてもよい縮合ヘテロシクロアルキル、又はこれらの組み合わせを含み、
Yは、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、-O-、-S-、C(O)-、任意選択的に置換されていてもよいアリーレン、又は任意選択的に置換されていてもよいヘテロアリーレン、又はこれらの組み合わせを含む二価の基であり、
oは2~8の整数である);
【化2】

(式2において、
Rは、置換若しくは無置換C1~4アルキレン、-CR-Ar-CH-、又は-Ar-CH-であり、Arは、4~10個の環炭素を有する任意選択的に置換されていてもよいアリーレン又はヘテロアリーレンであり、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ、任意選択的に置換されていてもよいC1~6アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC1~6アルコキシ、又は任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリールであり;
は、水素、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリール、任意選択的に置換されていてもよいC3~8シクロアルキル、又はグリシジルであり;
*は、芳香環系Qの環炭素への連結点であり、芳香環系Qは、Ar又はAr-T-Arであり、
Ar、Ar、及びArは、独立して、4~14個の環炭素を有する置換若しくは無置換の芳香族基を含み、
Tは、存在しないか、-O-、-S-、-C(O)-、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、又は-NR-であり、Rは、水素、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキル、又は任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリールであり;
aは1~8であり、cは、1、2、又は3であり、b+cは2又は3である)。
【請求項2】
前記式1の環Aが式1A又は式1Bで表される、請求項1に記載の方法
【化3】

(式1A及び1Bにおいて、
Aは、CR又はNであり、Rは、水素、ヒドロキシ、任意選択的に置換されていてもよいC1~6アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC1~6アルコキシ、又は任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリールであり;
B環は、1~4個の芳香環を有する縮合芳香族基を表し;
Lは、任意選択的に置換されていてもよい1~3個のC1~4アルキレン、1~3個の-O-、1個又は2個の芳香環を有する任意選択的に置換されていてもよいアリーレン、又はこれらの組み合わせを独立して含む二価の基であり;
各Zは、独立して、式1Aのaが0又は1であり、式1Bのbが0~10の整数である置換基であり;iは2又は3であり;jは、0、1、又は2であり;kは0~6の整数であり、j+kは2以上である)。
【請求項3】
Ar、Ar、及びArが、独立して、置換若しくは無置換フェニル、置換若しくは無置換ナフチル、置換若しくは無置換アントラセニル、置換若しくは無置換ピレニル、置換若しくは無置換ピリジニル、置換若しくは無置換キノリニル、置換若しくは無置換ビフェニレン、置換若しくは無置換トリフェニレン、置換若しくは無置換フルオレニル、又は置換若しくは無置換カルバゾリルであり、これらのそれぞれはグリシジルで任意選択的に置換されていてもよい、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
QがArであり、Arがフェニルであり、RがCHであり、aが1若しくは2であり、cが2である;
QがArであり、Arがグリシジルで置換されたフェニルであり、RがCHであり、aが1若しくは2であり、cが2である;
QがAr-T-Arであり、Ar及びArがフェニルであり、Tがa存在しないか、-O-、-C(O)-、若しくは-CR-であり、Ar及びArのそれぞれについて、aが1若しくは2であり、cが2である;又は
QがAr-T-Arであり、Ar若しくはArがグリシジルで置換されたフェニルであり、Tは存在しないか、-O-、-C(O)-、若しくは-CR-であり、Ar及びArのそれぞれについて、aが1若しくは2であり、cが2であり、
及びRは、独立して、水素、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキル、又は任意選択的に置換されていてもよいフェニルである、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
式1で表される繰り返し単位を含む前記ポリマーが、式3A又は式3Bで表される繰り返し単位を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法
【化4】

(式3A及び3Bにおいて、
W及びWは、独立して、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、-O-、又はこれらの組み合わせであり;
Ar及びArは、独立して、任意選択的に置換されていてもよいC6~14アリーレン、又は任意選択的に置換されていてもよいC3~14ヘテロアリーレンであり;
Zは、存在しないか、O、-S-、-C(O)-、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレンであり;
mは0、1、又は2であり;nは0又は1であり;m+nは1、2、又は3であり;
qは2又は3であり;
r及びsは、独立して、0、1、又は2であり、r+sは2以上である)。
【請求項6】
nが0でありmが1又は2である場合には、W及びWは、独立して、-CR-であり;
Arは、置換若しくは無置換フェニル、置換若しくは無置換ピリジニル、置換若しくは無置換ビフェニル、又は置換若しくは無置換ナフチルであり、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ、任意選択的に置換されていてもよいC1~18アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC1~18アルコキシ、Ar、-CHAr、-OAr、-Arであり、Arは、任意選択的に置換されていてもよいC6~18アリールであり、Rは、任意選択的に置換されていてもよいC1~18アルキル又は任意選択的に置換されていてもよいC1~18アルコキシである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式2で表される置換基を含む前記化合物が以下の化合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法
【化5】

(式中、Tは、請求項1で規定した通りである)。
【請求項8】
ヒドロキシ基を2つ以上有する式1の繰り返し単位を含む前記ポリマー対式2で表される芳香族置換基を含む前記物質の重量比が4:1~1:20の範囲である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
フォトレジスト下層組成物が、式5の化合物、式6の化合物、又はこれらの組み合わせで表される添加剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法
【化6】

(式5において、
AAは、単結合又は二重結合であり、「AA」は、式(5)中の
【化7】

で表される構造を有する部位を意味すると理解されるべきであり;
Xは、単結合、-C(O)-、無置換Cアルキレン、又はヒドロキシ置換Cアルキレンであり;
及びRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~22アルキル、置換若しくは無置換C3~14シクロアルキル、-C(O)OR5a、又はグリシジルであり、R5aは、水素、置換若しくは無置換C1~22アルキル、置換若しくは無置換C1~22ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~14シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~14ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~22アルケニル、置換若しくは無置換C6~24アリール、置換若しくは無置換C7~24アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~24アルキルアリール、又は置換若しくは無置換C3~24ヘテロアリールであり;
は、水素、置換若しくは無置換C6~24アリール、又は置換若しくは無置換
3~24ヘテロアリールであり;
各R及び各Rは、独立して、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~12アリール、又は置換若しくは無置換C1~10ヘテロアリールであり;
aは、2、3、又は4であり;pは、0、1、又は2であり;qは、0、1、2、又は3であり;mは1~6の整数であり;nは0又は1である);
【化8】

(式6において、R、R、p、及びqは、式5で規定した式Rと同じであり、Rは、水素、カルボン酸基又はその誘導体であり、
c及びdは、それぞれ独立して2~5の整数である)。
【請求項10】
フォトレジスト下層組成物が、非ポリマー系ポリフェノール化合物及び熱塩基発生剤を含まない、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
式1で表される繰り返し単位を含むポリマーと、式2で表される置換基を含む化合物と、溶媒とを含む組成物であって、フォトレジスト下層組成物である組成物
【化9】

(式1において、
環Aは、1~4個の置換若しくは無置換の芳香環を有する芳香環系を表し、任意選択的に2つ以上の芳香環は縮合していてもよく、1つ以上の芳香環は、縮合された任意選択的に置換されていてもよいシクロアルキル又は任意選択的に置換されていてもよい縮合ヘテロシクロアルキル、又はこれらの組み合わせを含み、
Yは、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、任意選択的に置換されていてもよい芳香族基、又はこれらの組み合わせを含む二価の連結基であり、
oは2~8の整数である);
【化10】

(式2において、
Rは、置換若しくは無置換C1~4アルキレン、-CR-Ar-CH-、又は-Ar-CH-であり、Arは、4~10個の環炭素を有する任意選択的に置換されていてもよいアリーレン又はヘテロアリーレンであり、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ、任意選択的に置換されていてもよいC1~6アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC1~6アルコキシ、又は任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリールであり;
は、水素、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリール、任意選択的に置換されていてもよいC3~8シクロアルキル、又はグリシジルであり;
*は、芳香環系Qの環炭素への連結点であり、芳香環系Qは、Ar又はAr-T-Arであり、
Ar、Ar、及びArは、独立して、4~14個の環炭素を有する置換若しくは無置換の芳香族基を含み、
Tは、存在しないか、-O-、-S-、-C(O)-、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、又は-NR-であり、Rは、水素、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキル、又は任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリールであり;
aは1~8であり、cは、1、2、又は3であり、b+cは2又は3である)。
【請求項12】
式1で表される繰り返し単位を含む前記ポリマーが、式3A又は式3Bで表される繰り返し単位を含む、請求項11に記載の組成物
【化11】

(式3A及び3Bにおいて、
W及びWは、独立して、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、-O-、又はこれらの組み合わせであり;
Ar及びArは、独立して、任意選択的に置換されていてもよいC6~14アリーレン、又は任意選択的に置換されていてもよいC3~14ヘテロアリーレンであり;
Zは、存在しないか、O、-S-、-C(O)-、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレンであり;
mは0、1、又は2であり;nは0又は1であり;m+nは1、2、又は3であり;
qは2又は3であり;
r及びsは、独立して、0、1、又は2であり、r+sは2以上である)。
【請求項13】
前記フォトレジスト組成物が非ポリマー系ポリフェノール化合物及び熱塩基発生剤を含まない、請求項10又は11に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスの製造に関し、より具体的には、半導体製造において使用するための材料に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト下層組成物は、集積回路製造用の最新のテクノロジーノードにおけるリソグラフィー用のエッチングマスクとして半導体産業で使用されている。これらの組成物は、3層及び4層のフォトレジストの集積化スキームで使用されることが多く、このスキームでは、有機物又はケイ素を含む反射防止コーティングと高い炭素含有量を有するパターン化可能なフォトレジスト膜の層とが最下層、例えば基板上に配置される。
【0003】
スピン-オン-カーボン(SOC)組成物は、半導体産業におけるレジスト下層膜を形成するために使用されており、これは集積回路製造用の最新のテクノロジーノードにおけるリソグラフィー用のエッチングマスクとして使用される。これらの組成物は、3層及び4層のフォトレジストの集積化スキームで使用されることが多く、このスキームでは、有機物又はケイ素を含む反射防止コーティングと高い炭素含有量のSOC材料を有するパターン化可能なフォトレジスト膜の層とが最下層に配置される。
【0004】
理想的なSOC材料は、特定の具体的な特徴を有する必要がある:スピンコーティングプロセスによって基板上にキャストできる必要があり;低いガス放出及び昇華で加熱時に熱硬化する必要があり;良好なスピンボウルの適合性のために一般的な溶剤に溶解する必要があり;フォトレジスト画像化に必要な低い反射率を付与するための反射防止コーティング層と組み合わせて機能する適切なn/kを有する必要があり;例えば過酸化水素/水酸化アンモニウム浴を使用するSC-1プロセスなどの標準的な洗浄プロセス中に浸漬した時の剥離を避けるために、例えば基板などの下層に十分に接着する必要があり;また後続の処理工程中の損傷を回避するように高い熱安定性を有する必要がある。更に、SOC材料は、先進ノードにおける複雑なトポグラフィー設計で材料流動能力(平坦化、PLと呼ばれる)を備えている必要がある。
【0005】
したがって、半導体製造においてますます増大する設計要件を満たすために、下層/基板への許容可能な接着性及び許容可能な平坦化を示す、先進的なSOC組成物及び得られるフォトレジスト下層膜/材料が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,474,054号明細書
【特許文献2】米国特許第4,200,729号明細書
【特許文献3】米国特許第4,251,665号明細書
【特許文献4】米国特許第5,187,019号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】T.W.Green et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley-Interscience,New York,1999
【非特許文献2】McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,North American Edition for the Year 2000
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
基板上にフォトレジスト下層組成物を塗布してフォトレジスト下層を得ること;
フォトレジスト下層の上にフォトレジスト層を形成すること;
フォトレジスト層をパターニングすること;及び
パターニングされたフォトレジスト層からフォトレジスト下層にパターンを転写すること;
を含むパターン形成方法であって、フォトレジスト下層組成物が、式1で表される繰り返し単位を含むポリマーと、式2で表される置換基を含む化合物と、溶媒とを含む方法が提供される:
【化1】

(式1において、
環Aは、1~6個の独立して置換若しくは無置換の芳香環を有する芳香環基を表し、任意選択的に2つ以上の芳香環は縮合していてもよく、1つ以上の芳香環は、縮合された任意選択的に置換されていてもよいシクロアルキル又は任意選択的に置換されていてもよい縮合ヘテロシクロアルキル、又はこれらの組み合わせを含み、
Yは、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、-O-、-S-、C(O)-、1つ若しくは2つの芳香環を有する任意選択的に置換されていてもよいアリーレン、又は1つ若しくは2つの芳香環を有する任意選択的に置換されていてもよいヘテロアリーレン、又はこれらの組み合わせを含む二価の基であり、
oは2~8の整数である);
【化2】

(式2において、
Rは、置換若しくは無置換C1~4アルキレン、-CR-Ar-CH-、又は-Ar-CH-であり、Arは、4~10個の環炭素を有する任意選択的に置換されていてもよいアリーレン又はヘテロアリーレンであり、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ、任意選択的に置換されていてもよいC1~6アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC1~6アルコキシ、又は任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリールであり;
は、水素、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリール、任意選択的に置換されていてもよいC3~8シクロアルキル、又はグリシジルであり;
*は、芳香環系Qの環炭素への連結点であり、芳香環系Qは、Ar又はAr-T-Arであり、
Ar、Ar、及びArは、独立して、4~14個の環炭素を有する置換若しくは無置換の芳香族基を含み、
Tは、存在しないか、-O-、-S-、-C(O)-、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、又は-NR-であり、Rは、水素、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキル、又は任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリールであり;
aは1~8であり、cは、1、2、又は3であり、b+cは2又は3である)。
【0009】
また、フォトレジスト下層組成物が非ポリマー系ポリフェノール化合物及び熱塩基発生剤を含まない、上記組成物も提供される。
【0010】
また、基板上に配置された上記フォトレジスト下層組成物の層と、フォトレジスト下層組成物の層の上に配置されたフォトレジスト層と、を含む基板も提供される。
【0011】
また、本明細書に記載の式1で表される繰り返し単位を含むポリマーと、本明細書に記載の式2で表される置換基を含む化合物と、溶媒とを含むフォトレジスト下層組成物も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示的な実施形態がこれから詳細に言及され、それらの例が本記載で例示される。これに関連して、本例示的な実施形態は、異なる形態を有し得、本明細書に明記される記載に限定されると解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態は、本記載の態様を説明するために、図に言及することによって、以下に記載されるにすぎない。本明細書で用いる場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上の全ての組み合わせを包含する。「の少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先行する場合、要素の全リストを修飾し、リストの個々の要素を修飾しない。
【0013】
本明細書で用いるところでは、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。本明細書で開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、独立して、互いに合体できる。接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数形及び複数形の両方を含み、それによってその用語の少なくとも1つを含むことを意図する。「任意選択の」又は「任意選択的に」は、その後に記載される事象又は状況が起こり得るか又は起こり得ないこと、及びその記載は、事象が起こる場合及び事象が起こらない場合を含むことを意味する。用語「第1」、「第2」等は、本明細書では、順番、量、又は重要性を意味せず、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために用いられる。要素が別の要素「上」にあると言われる場合、それは、他の要素と直接に接触し得るか、又は介在要素がそれらの間に存在し得る。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あると言われる場合、介在要素は、存在しない。態様の記載される成分、要素、制限、及び/又は特徴は、様々な態様では任意の適切な方法で組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【0014】
別に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書において定義されるものなどの、用語は、関連技術分野及び本開示との関連でそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが更に理解されるであろう。
【0015】
本明細書で用いる場合、用語「炭化水素基」は、示される場合に1つ以上の置換基で任意選択的に置換された、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの水素原子とを有する有機化合物を意味し;「アルキル基」は、明記された数の炭素原子を有し、且つ1の価数を有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素を意味し;「アルキレン基」は、2の価数を有するアルキル基を意味し;「ヒドロキシアルキル基」は、少なくとも1つのヒドロキシル基(-OH)で置換されたアルキル基を意味し;「アルコキシ基」は、「アルキル-O-」を意味し;「カルボン酸基」は、式「-C(=O)-OH」を有する基を意味し;「シクロアルキル基」は、全ての環構成原子が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価基を意味し;「シクロアルキレン基」は、2の価数を有するシクロアルキル基を意味し;「アルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を意味し;「アルケノキシ基」は、「アルケニル-O-」を意味し;「アルケニレン基」は、少なくとも2の価数を有するアルケニル基を意味し;「シクロアルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有するシクロアルキル基を意味し;「アルキニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する一価炭化水素基を意味し;「芳香族基」という用語は、文献で、特にIUPAC19で定義される芳香族性の従来の概念を意味し、環に炭素原子を含み、任意選択的に環の炭素原子の代わりにN、O、及びSから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子を任意選択的に含み得る単環式又は多環式芳香環系を意味し;「アリール基」は、芳香環の中に炭素原子のみが含まれる一価の芳香族単環式又は多環式基を意味し、これは少なくとも1つのシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に縮合した芳香環を有する基を含んでいてよく;「アリーレン基」は、少なくとも2の価数を有するアリール基を意味し;「アルキルアリール基」は、アルキル基で置換されているアリール基を意味し;「アリールアルキル基」は、アリール基で置換されているアルキル基を意味し;「アリールオキシ基」は、「アリール-O-」を意味し;「アリールチオ基」は、「アリール-S-」を意味する。
【0016】
接頭辞「ヘテロ」は、化合物又は基が、炭素原子の代わりに、ヘテロ原子である少なくとも1つの環構成原子(例えば、1、2、3、又は4つ以上のヘテロ原子)を含むことを意味し、この場合、ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O、S、Si、又はPから選択され、「ヘテロ原子含有基」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基を指し、「ヘテロアルキル基」は、炭素原子の代わりに1~4のヘテロ原子を有するアルキル基を指し、「ヘテロシクロアルキル基」は、炭素原子の代わりに1つ以上のN、O、又はS原子を有するシクロアルキル基を指し、「ヘテロシクロアルキレン基」は、少なくとも2の価数を有するヘテロシクロアルキル基を指し、「ヘテロアリール基」は、炭素原子の代わりに、環構成原子として1つ以上のN、O、又はS原子を有する1~3の別個の又は縮合した環を有するアリール基を指し、「ヘテロアリーレン基」は、少なくとも2の価数を有するヘテロアリール基を指す。
【0017】
記号「*」は、結合部位(即ち連結点)を表す。
【0018】
「置換された」又は「置換基」は、指定された原子の通常の価数を超えないという条件で、基上の少なくとも1つの水素原子が別の基で置き換えられていることを意味する。置換基がオキソ(すなわち、=O)である場合、炭素原子上の2個の水素が置き換えられている。2つ以上の置換基又は変数の組み合わせが許容される。例えば、用語「置換された」は、2、3、又は4個の同じ又は異なる置換基を有する言及された炭化水素部位を指す場合がある。「置換」位置に存在し得る例示的な基としては、ニトロ(-NO)、シアノ(-CN)、ヒドロキシル(-OH)、オキソ(=O)、アミノ(-NH)、モノ-又はジ-(C1~6)アルキルアミノ、アルカノイル(アシルなどのC2~6アルカノイル基など)、ホルミル(-C(=O)H)、カルボン酸又はそのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、C2~6アルキルエステル(-C(=O)O-アルキル又は-OC(=O)-アルキル)、C7~13アリールエステル(-C(=O)O-アリール又は-OC(=O)-アリール)、アミド-(C(=O)NR、式中、Rは水素又はC1~6アルキルである)、カルボキサミド(-CHC(=O)NR、式中、Rは水素又はC1~6アルキルである)、ハロゲン、チオール(-SH)、C1~6アルキルチオ(-S-アルキル)、チオシアノ(-SCN)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど、それぞれの環は、置換又は無置換芳香族)を有するC6~12アリール、1~3個の分離した環又は縮合環と6~18個の環炭素原子とを有するC7~19アリールアルキル、1~3個の分離した環又は縮合環と6~18個の環炭素原子とを有するアリールアルコキシ、C7~12アルキルアリール、C4~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(=O)-アルキル)、C6~12アリールスルホニル(-S(=O)-アリール)、又はトシル(CHSO-)が挙げられるが、これらに限定されない。基が置換されている場合、炭素原子の示されている数は、任意の置換基の炭素原子を除いた、基における炭素原子の総数である。例えば、基-CHCHCNは、シアノ基で置換されたCアルキル基である。
【0019】
本明細書において使用される「ポリマー」及び「ポリマー状の」という用語は、1種以上の繰り返し単位を含むポリマー系材料を指し、繰り返し単位は互いに同じであっても又は異なっていてもよい。したがって、本発明の開示されるポリマー及びポリマー系材料は、本明細書では「ポリマー」又は「コポリマー」と言うことができる。「ポリマー」及び「ポリマー状」という用語は、オリゴマーを更に含むことが更に理解されるべきである。本明細書において、それぞれの1種以上の異なる繰り返し単位は、ポリマー系材料中に少なくとも2回存在する。言い換えると、1種の繰り返し単位を含むポリマー系材料は、2つ以上の量で存在する第1の繰り返し単位を含み、例えば、2種の繰り返し単位を含むポリマー系材料は、2つ以上の量で存在する第1の繰り返し単位と、2つ以上の量で存在する第2の繰り返し単位とを含む。
【0020】
本明細書において、別途定義されない限り「二価連結基」は、-O-、-S-、-Te-、-Se-、-C(O)-、-N(R)-、-S(O)-、-S(O)-、-C(S)-、-C(Te)-、-C(Se)-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキレン、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む二価の基を指し、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールである。より典型的には、二価の連結基は、-O-、-S-、-C(O)-、-N(R’)-、-S(O)-、-S(O)-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキレン、又はこれらの組み合わせを含み、R’は、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールである。
【0021】
様々なパターン転写及びエッチングプロセスの間に下にある基板を保護するために、有機下層膜を使用することができる。多くの場合、これらの膜は、無機基板(例えばTiN)上に直接キャストされ硬化される。これらの場合、下層膜は、膜がない場合に損傷を与える処理条件から基板を保護するために、後続の全ての処理工程中に基板に十分に接着していることが望ましい。1つの一般的に使用される処理工程は、SC-1として知られるウェットエッチングプロセスであり、これは基板を過酸化水素/水酸化アンモニウム浴の中に浸漬することを含む。基板に十分に接着されていない下層膜は、それらが浸漬されている間に層間剥離し、下にある無機基板を露出させて損傷を生じさせる可能性がある。後述するSC1耐性評価を参照のこと。
【0022】
下層又は基板が様々なピッチ、様々なライン/スペースパターン、及び/又は様々なトレンチ深さを含む場合、下層膜は、膜に比較的平坦な上面を提供するのに十分な平坦化特性を有することも望ましい。後述するPLの評価を参照のこと。
【0023】
一実施形態では、基板上の膜の層、すなわちフォトレジスト下層を形成するために下層又は基板に塗布することができる組成物が提供される。一態様では、フォトレジスト下層組成物は、後述するように、式1で表される繰り返し単位、例えば式1A又は式1Bの繰り返し単位を含むポリマーと、式2で表される置換基を含む化合物と、溶媒とを含む。
【0024】
一実施形態では、パターンを形成する方法が提供され、この方法は、
基板上にフォトレジスト下層組成物を塗布してフォトレジスト下層を得ること;
フォトレジスト下層の上にフォトレジスト層を形成すること;
フォトレジスト層をパターニングすること;及び
パターニングされたフォトレジスト層からフォトレジスト下層にパターンを転写すること;
を含むパターン形成方法であって、フォトレジスト下層組成物が、式1で表される繰り返し単位を含むポリマーと、式2で表される置換基を含む化合物と、溶媒とを含む方法が提供される:
【化3】

(式1において、
環Aは、1~6個の独立して置換若しくは無置換の芳香環を有する芳香環基を表し、任意選択的に2つ以上の芳香環は縮合していてもよく、1つ以上の芳香環は、縮合された任意選択的に置換されていてもよいシクロアルキル又は任意選択的に置換されていてもよい縮合ヘテロシクロアルキル、又はこれらの組み合わせを含み、
Yは、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、-O-、-S-、C(O)-、1つ若しくは2つの芳香環を有する任意選択的に置換されていてもよいアリーレン、又は1つ若しくは2つの芳香環を有する任意選択的に置換されていてもよいヘテロアリーレン、又はこれらの組み合わせを含む二価の基であり、
oは2~8の整数である);
【化4】

(式2において、
Rは、置換若しくは無置換C1~4アルキレン、-CR-Ar-CH-、又は-Ar-CH-であり、Arは、4~10個の環炭素を有する任意選択的に置換されていてもよいアリーレン又はヘテロアリーレンであり、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ、任意選択的に置換されていてもよいC1~6アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC1~6アルコキシ、又は任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリールであり;
は、水素、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリール、任意選択的に置換されていてもよいC3~8シクロアルキル、又はグリシジルであり;
*は、芳香環系Qの環炭素への連結点であり、芳香環系Qは、Ar又はAr-T-Arであり、
Ar、Ar、及びArは、独立して、4~14個の環炭素を有する置換若しくは無置換の芳香族基を含み、
Tは、存在しないか、-O-、-S-、-C(O)-、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、又は-NR-であり、Rは、水素、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキル、又は任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリールであり;
aは1~8であり、cは、1、2、又は3であり、b+cは2又は3である)。
【0025】
環Aは、1~4個の独立して置換若しくは無置換である芳香環を有する芳香族基を表し、oは2~8の整数、好ましくは2~4の整数である。環Aが2つ以上の芳香環を含む場合、芳香環の2つ以上は、単結合又は二価連結基によって結合することができ、又は芳香環の2つ以上は縮合芳香環とすることができる。或いは、環Aの芳香環の2つ以上を二価の基によって結合することができ、残りの芳香環を縮合芳香環とすることができる。一態様では、二価連結基は、単結合、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、-O-、又は-C(O)-を含むことができる。上述したように、環Aは単環式であっても多環式であってもよい。基が多環式である場合、環又は環基は縮合(ナフチル、アントラセニル、ピレニルなど)、直接結合(ビフェニルなど)、ヘテロ原子によって架橋(トリフェニルアミノ又はジフェニレンエーテルなど)されていてもよい。一実施形態では、多環式芳香族基は、縮合環と直接結合している環との組み合わせ(2つのナフチレンの結合など)を含み得る。
【0026】
一態様では、環Aは、5~20個の環炭素、又は5~14個の環炭素を有する芳香族基であってよく、任意選択的には、N、O、又はSから選択される1~4個の環ヘテロ原子を含み得る。
【0027】
環Aは、2~8個のヒドロキシ基を含む。環Aの任意の1つ以上の環炭素が、本明細書に記載の通りに置換されていてもよいことが更に理解される。例えば、環Aの1~10個の環炭素が置換されていてもよい。
【0028】
一態様では、例示的な置換基のリストとしては、限定するものではないが、置換若しくは無置換C1~18アルキル、置換若しくは無置換C1~18アルコキシ、置換若しくは無置換C1~18ハロアルキル、置換若しくは無置換C3~8シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~8ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~18アルケニル、置換若しくは無置換C2~18アルキニル、置換若しくは無置換C6~14アリール、置換若しくは無置換C6~18アリールオキシ、置換若しくは無置換C7~14アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~14アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~14ヘテロアリール、ハロゲン、-CN、-NO、-CO(Rは、H、-OH、又はC1~6アルキルである)が挙げられる。
【0029】
一態様では、環Aは、式1A又は式1Bで表すことができる:
【化5】

(式1A及び1Bにおいて、
Aは、CR又はNであり、Rは、水素、ヒドロキシ、任意選択的に置換されていてもよいC1~6アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC1~6アルコキシ、又は任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリールであり;
B環は、1~4個の芳香環を有する縮合芳香族基を表し;
Lは、任意選択的に置換されていてもよい1~3個のC1~4アルキレン、1~3個の-O-、1個又は2個の芳香環を有する任意選択的に置換されていてもよいアリーレン、又はこれらの組み合わせを独立して含む二価の基であり;
各Zは、独立して、式1Aのaが0又は1であり、式1Bのbが0~10の整数である置換基であり;
iは2又は3であり;jは、0、1、又は2であり;kは0~6の整数であり、j+kは2以上である)。
【0030】
式2で表される置換基を含む化合物は芳香環系Qを含み、Qは、Ar又はAr-T-Arであり、Tは上記式2で定義した通りである。一態様では、Tは、存在しないか、-O-、又は任意選択的に置換されていてもよい-CH-である。
【0031】
一態様では、Ar、Ar、及びArは、独立して、置換若しくは無置換フェニル、置換若しくは無置換ナフチル、置換若しくは無置換アントラセニル、置換若しくは無置換ピレニル、置換若しくは無置換ピリジニル、置換若しくは無置換キノリニル、置換若しくは無置換ビフェニレン、置換若しくは無置換トリフェニレン、置換若しくは無置換フルオレニル、又は置換若しくは無置換カルバゾリルであり、これらのそれぞれは、グリシジルで任意選択的に置換されていてもよい。
【0032】
一態様では、式2で表される置換基を含む化合物は、以下の化合物のうちの1つにより表される
【化6】

(式中、kは、1、2、3、又は4であり、各hは、0、1、又は2であり;
Tは、存在しないか、O、S、-C(O)-、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、又は-NR-であり、Rは、H、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキル、又は任意選択的に置換されていてもよいC6~10アリールである)。
【0033】
一態様では、式2で表される置換基を含む化合物は、以下の通りに表される:
QはArであり、Arはフェニルであり、RはCHであり、aは1若しくは2であり、cは2である;
QはArであり、Arはグリシジルで置換されたフェニルであり、RはCHであり、aは1若しくは2であり、cは2である;
QはAr-T-Arであり、Ar及びArはフェニルであり、Tはa存在しないか、-O-、-C(O)-、若しくは-CR-であり、Ar及びArのそれぞれについて、aは1若しくは2であり、cは2である;又は
QはAr-T-Arであり、Ar若しくはArはグリシジルで置換されたフェニルであり、Tは存在しないか、-O-、-C(O)-、若しくは-CR-であり、Ar及びArのそれぞれについて、aは1若しくは2であり、cは2であり、
及びRは、独立して、水素、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキル、又は任意選択的に置換されていてもよいフェニルである。
【0034】
一態様では、式2で表される置換基を含む化合物は、以下の化合物のうちの1つによって表され、これらの中で、Tは、存在しないか、O、S、-C(O)-、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、又は-NR-であり、Rは、H、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキル、又は任意選択的に置換されていてもよいC6~10アリールである。
【化7】
【0035】
一態様では、式1の繰り返し単位は、以下の少なくとも1つで表される:
【化8】

(式中、
Dは、-CR-であり、R及びRは、独立して、水素、任意選択的に置換されていてもよいC1~18アルキル、任意選択的なC6~22アリール、又は任意選択的なC3~22ヘテロアリールであり、uは0~3の整数であり、vは0~3の整数であり、u+v=2以上である)。
【0036】
一態様では、式1の繰り返し単位は、式3A又は式3Bで表される;
【化9】

(式3A及び3Bにおいて、
W及びWは、独立して、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、-O-、又はこれらの組み合わせであり;
Ar及びArは、独立して、任意選択的に置換されていてもよいC6~14アリーレン、又は任意選択的に置換されていてもよいC3~14ヘテロアリーレンであり;
Zは、存在しないか、O、-S-、-C(O)-、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレンであり;
mは0、1、又は2であり;nは0又は1であり;qは2又は3であり;r及びsは、独立して、0、1、又は2であり、r+sは2以上である)。
【0037】
一態様では、式3A又は式3Bの繰り返し単位は、nが0でありmが1又は2である場合には、W及びWは、独立して-CR-であり、Arは、置換若しくは無置換フェニル、置換若しくは無置換ピリジニル、置換若しくは無置換ビフェニル、又は置換若しくは無置換ナフチルであり、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ、任意選択的に置換されていてもよいC1~18アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC1~18アルコキシ、Ar、-CHAr、-OAr、-Arであり、Arは、任意選択的に置換されていてもよいC6~18アリールであり、Rは、任意選択的に置換されていてもよいC1~18アルキル又は任意選択的に置換されていてもよいC1~18アルコキシである。
【0038】
一態様では、式3A又は式3Bの繰り返し単位は、以下の式のうちの少なくとも1つで表される:
【化10】
【0039】
式1Aの例示的な繰り返し単位は、以下のうちの1つ以上を含み得る:
【化11】

【化12】
【0040】
式1、式1A、又は式1Bのうちの少なくとも1つの繰り返し単位を有するポリマーは、1つ以上のヒドロキシ基を含むペンダント基を有する繰り返し単位も含み得る。例えば、1つ以上のヒドロキシ基を含むペンダント基を有する繰り返し単位は、1~4個のヒドロキシ基、好ましくは1~3個のヒドロキシ基、より典型的には1個又は2個のヒドロキシ基を含み得る。いくつかの態様では、ポリマーは、1つ以上のヒドロキシ基を含むペンダント基を有する2種以上の異なる繰り返し単位を含み得る。
【0041】
1つ以上のヒドロキシ基を含むペンダント基を有する繰り返し単位を提供するための別の例示的なモノマーには、以下の式4のN-ヒドロキシアリールマレイミドモノマーが含まれる。
【化13】

(式4において、
Arは、ヒドロキシ置換C6~30アリール基、ヒドロキシ置換C3~30ヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせであり、それぞれ任意に置換されていてもよい)。Arが単一のヒドロキシル基を含むか、又は複数のヒドロキシル基を含むことが望ましい場合がある。
【0042】
N-ヒドロキシアリールマレイミドモノマーの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:
【化14】
【0043】
式1、式1A、式1B、式3A、又は式3Bで表される繰り返し単位を含むポリマーは、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として10~100モルパーセント(mol%)、20~90mol%、又は20~70mol%の量でポリマー中に存在する。
【0044】
式1、式1A、式1B、式3A、又は式3Bで表される繰り返し単位を含むポリマーは、組成物の総固形分を基準として5~95重量パーセント(重量%)の量で、より典型的には、組成物の総固形分を基準として15~85重量%、20~60重量%、又は25~50重量%の量で、組成物、例えばフォトレジスト下層組成物中に存在する。本明細書で使用される組成物の「総固形分」は、溶媒を除いた組成物の全材料及び成分を指す。
【0045】
上述したように、組成物、例えばレジスト下層組成物は、式2で表される置換基を含む化合物(以降「式2の化合物」という)を更に含む。式2の化合物は、組成物の総固形分を基準として5~95重量%の量で組成物中に存在する。例えば、式2の化合物は、組成物の総固形分を基準として、20~80重量%、30~80重量%、40~80重量%、又は50~75重量%の量で組成物中に存在する。
【0046】
ヒドロキシ基を2つ以上有する式1の繰り返し単位を含むポリマー対式2で表される芳香族置換基を含む化合物の重量比に関し、ポリマー対化合物の重量比は、4:1~1:20の範囲である。ポリマー対化合物の例示的な重量比には、限定するものではないが、3:1、2:1、1:1、1:1.5、1:2、1:3、1:4、1:6、又は1:10が含まれる。例えば、ポリマー対化合物の重量比は、2:1~1:4、1:1~1:4、又は1:1.2~1:4の範囲である。
【0047】
一態様では、式1、式1A、式1B、式3A、又は式3Bで表される繰り返し単位を含むポリマーは、1,000~100,000グラム/モル(g/mol)、3,000~60,000g/molの重量平均分子量(M)、又は500~100,000g/molの数平均分子量(M)を有し得る。分子量(M又はM)は、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって適切に決定される。式1、式1A、式1B、式3A、又は式3Bで表される繰り返し単位を含む例示的なポリマーは、1,000~20,000g/mol、2,000~12,000g/mol、又は2,000~8,000g/molの重量平均分子量を有し得る。
【0048】
一態様では、式1、式1A、式1B、式3A、又は式3Bで表される繰り返し単位を含む例示的なポリマーは、1,000~8,000g/molの重量平均分子量と、2:1~1:4又は1:1~1:4の範囲のポリマー対化合物の重量比とを有し得る。
【0049】
組成物、例えばフォトレジスト下層組成物は、フェノール密度を高めるために複数のフェノール性ヒドロキシ基を有する添加剤も含み得る。添加剤は、基板への更に改善された接着性を得るために、又は得られる下層膜の機械的特性を更に向上させるために、フォトレジスト下層組成物において使用することができる。添加剤の複数のフェノール性ヒドロキシ基は、特に膜と基板を過酸化水素/水酸化アンモニウム(SC-1)浴に沈めたときに、下層膜の基板への接着性を高めると考えられる。
【0050】
本発明の一態様によれば、式1、式1A、式1B、式3A、又は式3Bで表される繰り返し単位を含むポリマーと、式2で表される置換基を含む化合物と、添加剤とを含むフォトレジスト下層組成物が提供される。添加剤は、下記式5の化合物、下記式6の化合物、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【化15】
【0051】
式5において、AA、X、R、R、Y、a、及びn
AAは、単結合又は二重結合であり、「AA」は、式(5)中の
【化16】

で表される構造を有する部位を表すと理解されるべきであり;
Xは、単結合、-C(O)-、無置換Cアルキレン、又はヒドロキシ置換Cアルキレンである。「ヒドロキシ置換Cアルキレン」は、ヒドロキシ以外の基で更に置換されていないことが理解されるべきである。例えば、Xは、-C(O)-又は無置換Cアルキレンであってよく;
及びRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、-C(O)OR5a、又はグリシジルであり、R5aは、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールである。典型的には、R及びRは水素であってよい。
は、水素、置換若しくは無置換C6~60アリール、又は置換若しくは無置換C1~60ヘテロアリールである。nが0である場合、酸素原子は、基Yに直接結合して-O-Yで表される部分構造を形成することが理解されるべきである。いくつかの態様では、nは0であり、Yは水素である。別の態様では、nは1であり、Yは、置換若しくは無置換C6~30アリール、好ましくは2つ以上のヒドロキシ基、例えば2、3、又は4個のヒドロキシ基、典型的には2~3個のヒドロキシ基で置換されたC6~30アリールであり、C6~30アリール基は、任意選択的には、ヒドロキシではない1つ以上の置換基で更に置換されていてもよく、
各Rは、独立して、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~12アリール、又は置換若しくは無置換C1~10ヘテロアリールであり;各Rは、独立して、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~12アリール、又は置換若しくは無置換C1~10ヘテロアリールであり;
aは、2、3、又は4、典型的には2又は3であり;bは、2、3、4、又は5、好ましくは2、3、又は4であり;pは、0、1、又は2、典型的には0又は1であり;qは、0、1、2、又は3、典型的には0又は1であり;mは1~6の整数、典型的には1、2、又は3であり;nは0又は1である。
【0052】
いくつかの態様では、式5の添加剤は、式5A、式5B、又はこれらの組み合わせから選択される化合物によって表すことができる:
【化17】

(式5A又は式5Bにおいて、
は、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~12アリール、又は置換若しくは無置換C1~10ヘテロアリールであり;
は、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~12アリール、又は置換若しくは無置換C1~10ヘテロアリールである)。
【0053】
式5の例示的な添加剤は、以下から選択される1種以上の化合物を含み得る:
【化18】
【0054】
いくつかの態様では、化合物は式6で表される。
【化19】
【0055】
式6において、R及びRは式5で規定したRと同じであり、Rは、水素、カルボン酸基若しくはその誘導体、又は-C(O)OR5bであってよく、好ましくはカルボン酸基若しくはその誘導体であってよい。本明細書で使用される「カルボン酸若しくはその誘導体」は、カルボン酸(-COOH)又は式-COOのカルボン酸誘導体を指し、Mは、カチオン性の有機基又は無機基、例えばアルキルアンモニウムカチオンであり;
c及びdは、それぞれ独立して2~5の整数、典型的には2、3、又は4であり;pは、0、1、又は2、典型的には0又は1であり;qは、0、1、2、又は3、典型的には0又は1である。
【0056】
いくつかの態様では、式6の添加剤は、式6a、式6B、又はこれらの組み合わせの化合物によって表すことができる:
【化20】

(式6A又は式6Bにおいて;
は、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~12アリール、又は置換若しくは無置換C1~10ヘテロアリールであり;
は、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~12アリール、又は置換若しくは無置換C1~10ヘテロアリールであり;
各Rは、式6について定義したものと同じである)。
【0057】
式6の例示的な添加剤は、以下から選択される1つ以上の化合物を含み得る:
【化21】
【0058】
添加剤は、フォトレジスト下層組成物の総固形分を基準として、0.1~20重量%、典型的には1~20重量%又は5~20重量%の量でフォトレジスト下層組成物に含まれ得る。
【0059】
組成物、例えばフォトレジスト下層組成物は、熱開裂可能な保護基又は酸開裂可能な保護基に結合した窒素原子を含む添加剤も含み得る。その場合、そのような添加剤は、当該技術分野では熱塩基発生化合物又は熱塩基発生ポリマーと呼ばれる。開裂可能な保護基は、典型的には組成物の硬化中に開裂し、露出した窒素原子は、特に膜及び基板が過酸化水素/水酸化アンモニウム(SC-1)浴の中に沈められたときに、下層膜の基板への接着を強化することができる。
【0060】
一実施形態では、熱塩基発生化合物又は熱塩基発生ポリマーは、保護されたアミノ基を含み、これは一級又は二級アミノ部位から誘導することができる。熱、酸、又はそれらの組み合わせによって除去可能(切断可能)であることを条件として、様々なアミン保護基が本発明での使用に適している。アミン保護基は、100~250℃を含む75~350℃の温度などで熱的に切断可能である。
【0061】
本発明において有用な適切なアミン保護基としては、9-フルオレニルメチルカルバメート、t-ブチルカルバメート、及びベンジルカルバメートなどのカルバメート;アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、及びp-トルエンスルホンアミドなどのアミド;ベンジルアミン;トリフェニルメチルアミン(トリチルアミン);及びベンジリデンアミンが挙げられる。そのようなアミン保護基、それらの形成、及びそれらの除去は、当該技術分野で周知である。例えば、(非特許文献1)を参照のこと。
【0062】
一実施形態では、熱塩基発生化合物は、式7で表される。一実施形態では、熱塩基ポリマーは、式8のモノマーに由来する繰り返し単位を含むことができる。或いは、本明細書に記載の組成物は、式7の化合物と式8のモノマーから誘導されるポリマーとの組み合わせを含むことができる。
【化22】
【0063】
式7及び8において、XはC又はSであり、XがCである場合にはpは1であり、XがSである場合にはpは2である。典型的には、XはCである。
【0064】
式7及び8において、Z、Z、L、及びLは、それぞれ独立して、単結合又は二価の連結基である。例えば、Z、Z、L、及びLは、それぞれ独立して、単結合であるか、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、-O-、-C(O)-、-N(R4a)-、-S-、又は-S(O)-のうちの1つ以上を含む二価の連結基であってよく、R4aは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキルであってよい。好ましくは、Z及びZはそれぞれ独立して-O-である。
【0065】
式7及び8において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、又は置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリールであってよい。任意選択的には、RとRは二価の連結基を介して一緒に環を形成していてもよい。
【0066】
式7及び8において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、-OR4c、又は-N(R4d)(R4e)であってよく、R4c、R4d、及びR4eは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、又は置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリールである。任意選択的には、式8において、RとRは、二価の連結基、例えば二価の連結基を介して一緒に環を形成していてもよい。
【0067】
式8において、Pは重合性基である。典型的には、重合性基は、カルボキシル、チオール、アミノ、エポキシ、アルコキシ、アミド、ビニル、又はこれらの組み合わせから選択することができる。
【0068】
添加剤は、組成物の総固形分を基準として、0.1~20重量%、典型的には1~20重量%又は5~20重量%の量で組成物に含まれ得る。
【0069】
一実施形態では、パターン、例えば半導体デバイスのパターンを形成する方法が説明される。この方法は、
基板上にフォトレジスト下層組成物を塗布してフォトレジスト下層を得ること;
フォトレジスト下層の上にフォトレジスト層を形成すること;
フォトレジスト層をパターニングすること;及び
パターニングされたフォトレジスト層からフォトレジスト下層にパターンを転写すること;
を含み、フォトレジスト下層組成物は、式1で表される繰り返し単位を含むポリマーと、式2で表される置換基を含む化合物と、溶媒とを含む:
【化23】

(式1において、
環Aは、1~6個の独立して置換若しくは無置換の芳香環を有する芳香環基を表し、任意選択的に2つ以上の芳香環は縮合していてもよく、1つ以上の芳香環は、縮合された任意選択的に置換されていてもよいシクロアルキル又は任意選択的に置換されていてもよい縮合ヘテロシクロアルキル、又はこれらの組み合わせを含み、
Yは、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、-O-、-S-、C(O)-、1つ若しくは2つの芳香環を有する任意選択的に置換されていてもよいアリーレン、又は1つ若しくは2つの芳香環を有する任意選択的に置換されていてもよいヘテロアリーレン、又はこれらの組み合わせを含む二価の基であり、
oは2~8の整数である);
【化24】

(式2において、
Rは、置換若しくは無置換C1~4アルキレン、-CR-Ar-CH-、又は-Ar-CH-であり、Arは、4~10個の環炭素を有する任意選択的に置換されていてもよいアリーレン又はヘテロアリーレンであり、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ、任意選択的に置換されていてもよいC1~6アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC1~6アルコキシ、又は任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリールであり;
は、水素、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリール、任意選択的に置換されていてもよいC3~8シクロアルキル、又はグリシジルであり;
*は、芳香環系Qの環炭素への連結点であり、芳香環系Qは、Ar又はAr-T-Arであり、
Ar、Ar、及びArは、独立して、4~14個の環炭素を有する置換若しくは無置換の芳香族基を含み、
Tは、存在しないか、-O-、-S-、-C(O)-、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン、又は-NR-であり、Rは、水素、任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキル、又は任意選択的に置換されていてもよいC6~12アリールであり;
aは1~8であり、cは、1、2、又は3であり、b+cは2又は3である)。
【0070】
更に、上で調製されたフォトレジスト下層組成物は、非ポリマー系ポリフェノール化合物及び熱塩基発生剤を含まない。当業者によって理解されるように、それぞれ、非ポリマー系ポリフェノール化合物への言及は上記式5及び式6の添加剤化合物を含み、熱塩基発生剤への言及は上記式7の化合物及び上記式8のポリマーを含む。
【0071】
本発明の好適なポリマーは、当業者によって容易に理解される、本出願の実施例に記載される手順に基づいて及び手順から類推して容易に調製することができる。例えば、本明細書で記載される繰り返し単位に対応する1つ以上のモノマーは、適切な溶剤及び開始剤を使用して組み合わせられるか又は別々に供給され、反応器中で重合され得る。モノマー組成物は、溶剤、重合開始剤、硬化触媒(すなわち酸触媒)等などの添加剤を更に含み得る。例えば、ポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長での活性化放射線での照射、又はそれらの組み合わせなどの、任意の好適な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得られ得る。
【0072】
フォトレジスト下層組成物は、上で記載されたポリマーに加えて1種以上のポリマー(「追加のポリマー」)を更に含み得る。例えば、フォトレジスト下層組成物は、上で記載されたような、しかし組成が異なる追加のポリマーを更に含んでいてもよい。追加的に、或いは代わりに、1種以上の追加のポリマーは、当該技術分野で周知のもの、例えば、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリエステル、ポリノルボルネン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリフェノール、ノボラック、スチレンポリマー、ポリビニルアルコール、これらのコポリマー、及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0073】
いくつかの態様では、フォトレジスト下層組成物は、例えばフォトレジスト下層組成物が表面に塗布された後に、フォトレジスト下層組成物の硬化を助けるために、1種以上の硬化剤を更に含み得る。硬化剤は、基板の表面のフォトレジスト下層組成物の硬化を引き起こす任意の成分である。
【0074】
光酸発生剤(PAG)化合物及び/又は熱酸発生剤(TAG)化合物などの酸発生剤化合物をフォトレジスト下層組成物中に含めることが有益である場合がある。好ましい硬化剤は、熱酸発生剤(TAG)である。
【0075】
適切なPAGは、化学的に増幅されたフォトレジストの分野で知られており、例えば、以下を含む:オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム;N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン。そのようなPAGの1つ以上を使用することができる。
【0076】
TAG化合物は、熱にさらされると酸を放出する任意の化合物である。例示的な熱酸発生剤には、アミンブロック化強酸、例えば、アミンブロック化ドデシルベンゼンスルホン酸などのアミンブロック化スルホン酸が含まれるが、これらに限定されない。特定の光酸発生剤が加熱時に酸を遊離することができ、熱酸発生剤として機能し得ることも又当業者によって十分理解されるであろう。
【0077】
適切なTAG化合物には、例えば、2-ニトロベンジルトシレート、2,4-ジニトロベンジルトシレート、2,6-ジニトロベンジルトシレート、4-ニトロベンジルトシレートなどのニトロベンジルトシレート;2-トリフルオロメチル-6-ニトロベンジル4-クロロベンゼンスルホネート、2-トリフルオロメチル-6-ニトロベンジル4-ニトロベンゼンスルホネートなどのベンゼンスルホネート;フェニル,4-メトキシベンゼンスルホネートなどのフェノールスルホネートエステル;10-カンファースルホン酸、トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩などの、有機酸のアルキルアンモニウム塩;及び特定のオニウム塩が含まれ得る。(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)及び(特許文献4)に開示されているものなどの、様々な芳香族(アントラセン、ナフタレン、又はベンゼン誘導体)スルホン酸アミン塩をTAGとして用いることができる。TAGの例としては、NACURE、CDX、及びK-PUREの名称で、例えば、NACURE 5225、CDX-2168E、K-PURE2678及びKPURE2700としてKing Industries,Norwalk,Conn.USAによって販売されているものが挙げられる。そのようなTAGの1つ以上を使用することができる。
【0078】
本組成物において有用なそのような硬化剤の量は、例えば、フォトレジスト下層組成物の総固形分を基準として0~10重量%超、典型的には0~3重量%超であってよい。
【0079】
いくつかの態様では、フォトレジスト下層組成物は光酸発生剤を含まない。したがって、これらの実施形態では、フォトレジスト下層組成物は、PAG化合物及び/又はポリマーPAGを実質的に含まなくてもよく、例えば、PAG化合物又はポリマーPAGを含まなくてもよい。
【0080】
フォトレジスト下層組成物は、1種以上の架橋剤、例えば非エポキシ架橋剤を含む架橋剤を更に含み得る。そのような架橋剤が、フォトレジスト下層組成物中の官能基と反応することができる少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの部位を有することを条件として、任意の適切な架橋剤を本コーティング組成物で更に使用することができる。例示的な架橋剤としては、ノボラック樹脂、メラミン化合物、グアナミン化合物、イソシアネート含有化合物、ベンゾシクロブテン、ベンゾオキサジン等を挙げることができ、典型的には、メチロール、C10アルコキシメチル、及びC10アシルオキシメチルから選択される2個以上、より典型的には3個以上の置換基を有する前述したもののいずれかを挙げることができる。適切な架橋剤の例としては以下に示すものが挙げられる:
【化25】
【0081】
追加的な架橋剤は当該技術分野において周知であり、様々な供給元から市販されている。本コーティング組成物において有用なそのような追加的な架橋剤の量は、例えば、コーティング組成物の総固形分を基準として0重量%より多く30重量%まで、好ましくは0重量%より多く10重量%までの範囲であってよい。
【0082】
フォトレジスト下層組成物は、例えば、界面活性剤、酸化防止剤など、又はそれらの組み合わせを含む1種以上の任意選択的な添加剤を含み得る。存在する場合、各任意選択的な添加剤は、フォトレジスト下層組成物の総固形分を基準として0.01~10重量%などの少量で、フォトレジスト下層組成物で使用され得る。
【0083】
典型的な界面活性剤としては、両親媒性性質を示すものが挙げられる。これは、それらが同時に親水性及び疎水性の両方であってもよいことを意味する。両親媒性界面活性剤は、水に対して強い親和性を有する、親水性の頭部基と、親有機性で水をはじく、長い疎水性の尾部とを有する。好適な界面活性剤は、イオン性(すなわち、アニオン性、カチオン性)又は非イオン性であってもよい。界面活性剤の更なる例としては、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、及びフルオロケミカル界面活性剤が挙げられる。好適な非イオン界面活性剤としては、TRITON X-114、X-100、X-45、X-15などのオクチル及びノニルフェノールエトキシレート並びにTERGITOL TMN-6(The Dow Chemical Company,Midland,Mich.USA)などの分岐状第二級アルコールエトキシレートが挙げられるが、それらに限定されない。もっと更なる例示的な界面活性剤としては、アルコール(第一級及び第二級)エトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール-co-プロピレングリコール)、又はGlen Rock,N.J.のManufacturers Confectioners Publishing Co.によって出版された(非特許文献2)に開示されている他の界面活性剤が挙げられる。アセチレンジオール誘導体である非イオン界面活性剤もまた好適であり得る。そのような界面活性剤は、Allentown,Pa.のAir Products及びChemicals,Inc.から商業的に入手可能であり、SURFYNOL及びDYNOLの商品名で販売されている。追加の好適な界面活性剤としては、トリブロックEO-PO-EOコポリマーPLURONIC 25R2、L121、L123、L31、L81、L101、及びP123(BASF,Inc.)などの他の高分子化合物が挙げられる。
【0084】
酸化防止剤は、フォトレジスト下層組成物中の有機材料の酸化を防ぐか又は最小限にするために添加することができる。好適な酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、有機酸誘導体からなる酸化防止剤、硫黄含有酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、アミン-アルデヒド縮合物からなる酸化防止剤及びアミン-ケトン縮合物からなる酸化防止剤が挙げられる。フェノール系酸化防止剤の例としては、1-オキシ-3-メチル-4-イソプロピルベンゼン、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、ブチル.ヒドロキシアニソール、2-(1-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2-メチル-4,6-ジノニルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-α-ジメチルアミノ-p-クレゾール、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチル.アニリノ)2,4-ビス.オクチル-チオ~1,3,5-トリアジン、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチル.フェニル)プロピオネート、オクチル化フェノール、アラルキル置換フェノール、アルキル化p-クレゾール及びヒンダードフェノールなどの置換フェノール;4,4’-ビスフェノール、4,4’-メチレン-ビス(ジメチル-4,6-フェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-メチレン-ビス-(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(6-α-メチル-ベンジル-p-クレゾール)、メチレン架橋多価アルキルフェノール、4,4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ-(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチル.ジフェニルメタン、アルキル化ビスフェノール、ヒンダードビスフェノール、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、及びテトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのビス-、トリス-及びポリ-フェノールが挙げられる。好適な酸化防止剤は、商業的に入手可能であり、例えば、Irganox(商標)酸化防止剤(Ciba Specialty Chemicals Corp.)である。
【0085】
フォトレジスト下層組成物は溶剤を含む。溶剤成分は、単一溶剤であってもよく、或いは2種以上の別個の溶剤の混合物を含んでいてもよい。好適には、複数の溶剤のそれぞれは、互いに混和性であり得る。適切な溶剤としては、例えば、1種以上のオキシイソ酪酸エステル、特にメチル-2-ヒドロキシイソ酪酸、2-ヒドロキシイソ酪酸、及び乳酸エチル;1種以上のグリコールエーテル、特に2-メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル;エーテル部位とヒドロキシ部位の両方を有する1種以上の溶剤、特にメトキシブタノール、エトキシブタノール、メトキシプロパノール、及びエトキシプロパノール;1種以上のアルキルエステル、特にメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、並びに1種以上の二塩基性エステルなどの他の溶剤;並びに/又は1種以上のプロピレンカーボネート及びガンマブチロラクトンなどの他の溶剤が挙げられる。
【0086】
フォトレジスト下層組成物の望まれる総固形分は、所望の最終層厚さなどの因子に依存するであろう。典型的には、フォトレジスト下層組成物の総固形分は、コーティング組成物の総重量を基準として、0.1~20重量%、例えば0.1~10重量%、より典型的には、0.11~5重量%であってよい。
【0087】
フォトレジスト下層組成物は、公知の手順に従って作製することができる。例えば、フォトレジスト下層組成物は、第1の材料と、第2の材料と、添加剤と、溶剤と、任意の任意選択的な成分とを任意の順序で混ぜ合わせることによって調製することができる。フォトレジスト下層組成物は、そのままで使用することができ、或いは基板上にコートする前に精製又は希釈を行うこともできる。精製は、例えば、遠心分離、濾過、蒸留、デカンテーション、蒸発、イオン交換ビーズでの処理等の1つ以上を含み得る。
【0088】
本発明のパターン形成方法は、基板上にフォトレジスト下層組成物の層を塗布すること;塗布されたフォトレジスト下層組成物を硬化させて、コーティングされた下層を形成すること;及びコーティングされた下層の上にフォトレジスト層を形成すること;を含む。この方法は、フォトレジスト層を活性化放射にパターン状に露光する工程;及び露光されたフォトレジスト層を現像してレジストレリーフ像を得る工程;を更に含み得る。いくつかの態様では、方法は、フォトレジスト層を形成する前に、コーティングされた下層の上にケイ素含有層、有機反射防止コーティング層、又はそれらの組み合わせを形成することを更に含み得る。いくつかの態様では、方法は、露光されたフォトレジスト層を現像した後、且つコーティングされた下層にパターンを転写する工程の前に、ケイ素含有層、有機反射防止コーティング層、又はこれらの組み合わせにパターンを転写する工程を更に含み得る。
【0089】
多種多様の基板がパターン形成方法において使用され得、電子デバイス基板が典型的である。適切な基板としては、例えば、マルチチップモジュールなどのパッケージング基板、フラットパネルディスプレー基板、集積回路基板、有機発光ダイオード(OLED)などの発光ダイオード(LED)用の基板、半導体ウェハー、多結晶シリコン基板等が挙げられる。適切な基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレー、光集積回路、及びLEDの製造において使用されるものなどのウェハーの形態にあり得る。本明細書で使用される場合、用語「半導体ウェハー」は、シングルチップウェハー、マルチプルチップウェハー、様々なレベルのためのパッケージ、又ははんだ接続を必要とする他のアセンブリなどの、「電子デバイス基板」、「半導体基板」、「半導体デバイス」、及び様々なレベルの相互接続のための様々なパッケージを包含することを意図する。そのような基板は、任意の好適なサイズであってもよい。典型的なウェハー基板直径は、200mm~300mmであるが、より小さい及びより大きい直径を有するウェハーが、本発明に従って好適に用いられ得る。本明細書で使用される場合、用語「半導体基板」には、半導体デバイスの有効部分又は動作可能部分を任意選択で含み得る1つ以上の半導体層又は構造物を有する任意の基板が含まれる。半導体デバイスは、少なくとも1つのマイクロ電子デバイスがその上にバッチ製造されたか又は製造されつつある半導体基板を意味する。
【0090】
基板は、典型的には、シリコン、ポリシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン-タングステン、ニッケル、銅、及び金の1つ以上から構成される。基板は、1つ又はそれ以上の層及びパターン化形体を含み得る。層は、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、このような金属の合金、窒化物又はケイ化物、ドープされたアモルファスシリコン又はドープされたポリシリコンの層などの1つ以上の導電層、酸化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、又は金属酸化物の層などの1つ以上の誘電体層、単結晶シリコンなどの半導体層、及びこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの態様では、基板は窒化チタンを含む。層は、様々な技術、例えば、プラズマ強化CVD(PECVD)、低圧CVD(LPCVD)又はエピタキシャル成長などの化学蒸着(CVD)、スパッタリング又は蒸発などの物理蒸着(PVD)、或いは電気めっきなどによって形成することができる。
【0091】
本発明のある種のパターン形成方法においては、ハードマスク層、例えば、スピン-オン-カーボン(SOC)、無定形炭素、若しくは金属ハードマスク層、窒化ケイ素(SiN)層、酸化ケイ素(SiO)層、若しくはオキシ窒化ケイ素(SiON)層などのCVD層、有機若しくは無機BARC層、又はそれらの組み合わせなどの1つ以上のリソグラフィー層を、本発明のフォトレジスト下層を形成する前に基板の上層上に提供することが望ましくあり得る。そのような層は、本発明のフォトレジスト下層組成物の層及びフォトレジスト層と一緒に、リソグラフィー材料スタックを形成する。本発明のパターン形成方法において使用され得る典型的なリソグラフィースタックとしては、例えば、下記:SOC層/下層/フォトレジスト層;SOC層/SiON層/下層/フォトレジスト層;SOC層/SiARC層/下層/フォトレジスト層;SOC層/金属ハードマスク層/下層/フォトレジスト層;無定形炭素層/下層/フォトレジスト層;及び無定形炭素層/SiON層/下層/フォトレジスト層が挙げられる。
【0092】
本明細書で使用される「フォトレジスト下層」は、基板とフォトレジスト層との間に(すなわち「基板の上に」)配置される1つ以上の層を指すことが理解される。したがって、本発明のコーティングされた下層(すなわちフォトレジスト下層組成物の層)は、フォトレジスト下層として単独で使用することができ、或いは本発明のコーティングされた下層(すなわちフォトレジスト下層組成物の層)は、本明細書に記載のものなどの他の下層と組み合わせて使用することができる。
【0093】
フォトレジスト下層組成物は、スピンコーティング、スロットダイコーティング、ドクターブレーディング、カーテンコーティング、ローラーコーティング、噴霧コーティング、浸漬コーティング等などの、任意の好適な手段によって基板上にコートされ得る。半導体ウェハーの場合には、スピンコーティングが好ましい。典型的なスピンコーティング方法において、本組成物は、基板上に縮合ポリマーの所望の層を得るために15~90秒の期間500~4000回転毎分(rpm)の速度で回転している基板に塗布される。コートされる層の厚さが、スピン速度、並びに組成物の固形分を変えることによって調整され得ることは、当業者によって十分理解するであろう。フォトレジスト下層組成物から形成される下層は、典型的には、1~50ナノメートル(nm)、より典型的には1~10nmの乾燥層厚さを有する。
【0094】
コーティングされたフォトレジスト下層組成物は、あらゆる溶剤及び他の比較的揮発性の成分を除去するために、比較的低い温度で任意選択的にソフトベークされる。典型的には、基板は、150℃以下、好ましくは60~125℃、より好ましくは90~115℃の温度でベークされる。ベーキング時間は、典型的には、10秒~10分、好ましくは30秒~5分、より好ましくは6~90秒である。基板がウェハーである場合、そのようなベーキング工程は、ウェハーをホットプレート上で加熱することによって行われ得る。そのようなソフトベーキング工程は、コーティング層の硬化の一環として行われ得るか、又は全く省略され得る。
【0095】
フォトレジスト下層組成物は、次いで、コーティングされた下層を形成するために硬化させられる。コーティング組成物は、コーティングされた下層膜が、下層上に形成される別の下層構成要素又はフォトレジスト層と混ざらないように、或いは最小限しか混ざらないように十分に硬化させる必要がある。コーティング組成物は、空気などの酸素含有雰囲気中で、又は窒素などの不活性雰囲気中で、且つ硬化したコーティング層を得るのに十分な、加熱などの条件下で硬化することができる。この硬化工程は、好ましくは、ホットプレート型装置上で行われるが、オーブン硬化が、同等の結果を得るために用いられ得る。典型的には、硬化は、150℃以上、好ましくは150~450℃の温度で行われ得る。硬化温度は180℃以上、更により好ましくは200℃以上、更に一層好ましくは200~400℃であることがより好ましい。硬化時間は、典型的には10秒~10分、好ましくは30秒~5分、より好ましくは45秒~2分、更により好ましくは45~90秒である。任意選択で、傾斜又は多段階硬化プロセスが用いられ得る。傾斜ベークは、典型的には、比較的低い(例えば、周囲)温度で始まり、温度は、より高い標的温度まで一定の又は変動する傾斜速度で上げられる。多段階硬化プロセスは、2つ以上の温度平坦域、典型的には、より低いベーク温度での第1段階及びより高い温度での1つ以上の追加の段階での硬化を含む。このような傾斜又は多段階硬化プロセスのための条件は、当業者に公知であり、先行のソフトベークプロセスの省略を可能にし得る。
【0096】
塗布されたフォトレジスト下層組成物の硬化後に、フォトレジスト層がコーティングされた下層上に形成される。上述したように、他の介在する層は、コーティングされた下層とオーバーコートされたフォトレジスト層との間に設けられ得る。いくつかの態様では、方法は、フォトレジスト層を形成する前に、コーティングされた下層の上にケイ素含有層、有機反射防止コーティング層、又はそれらの組み合わせを形成することを更に含み得る。
【0097】
多種多様のフォトレジストを本発明の方法において適切に使用することができ、典型的にはこれはポジティブトーン材料である。使用される具体的なフォトレジストは、使用される露光波長に依存し、通常、酸感受性マトリックスポリマーと、光酸発生剤などの光活性成分と、溶剤と、任意選択の追加の成分とを含む。好適なフォトレジストは、当業者に公知であり、市販の、例えば、DuPont Electronics & Imaging製のUV(商標)及びEPIC(商標)製品系統の様々なフォトレジスト材料である。フォトレジストは、下層組成物に関連して上に記載されたような公知のコーティング技術によって基板に塗布することができ、スピンコーティングが典型的である。フォトレジスト層についての典型的な厚さは、10~300nmである。フォトレジスト層は、典型的には次に、層中の溶媒含有量を最小限にするためにソフトベークされ、それによって不粘着性コーティングを形成し、基板への層の接着性を改善する。ソフトベークは、ホットプレート上で又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。典型的なソフトベークは、70~150℃の温度、及び30~90秒の時間で行われる。
【0098】
フォトレジスト層は、次に、露光領域と非露光領域との間で溶解性の差を生じさせるためにフォトマスクを通して活性化放射線に露光される。組成物のために活性化する放射線にフォトレジスト組成物を露光することへの本明細書での言及は、放射線がフォトレジスト組成物に潜像を形成できることを示す。フォトマスクは、活性化放射線によって、それぞれ、露光される及び露光されないレジスト層の領域に対応する光学的に透過性領域及び光学的に不透過性領域を有する。露光波長は、典型的には、400nm未満、より典型的には、248nm(KrF)、193nm(ArF)、又はEUV波長(例えば13.5nm)などの、300nm未満である。好ましい態様において、露光波長は193nm又はEUV波長である。露光エネルギーは、例えば露光ツール及び感光性組成物の成分に応じて、典型的には、1平方センチメートル当たり10~100ミリジュール(mJ/cm)である。
【0099】
フォトレジスト層の露光後に、後露光ベーク(PEB)が典型的には行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができる。PEBは、典型的には、70~150℃の温度、及び30~90秒の時間で行われる。それにより、極性が切り替えられた領域と切り替えられていない領域(それぞれ露光領域及び非露光領域に対応する)との間の境界によって規定される潜像が形成される。フォトレジスト層は、次に、層の露光領域を除去するために現像され、パターン形成されたフォトレジスト層を形成する非露光領域を残す。現像液は、典型的には、水性のアルカリ性現像液、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液、典型的には0.26規定(N)(2.38重量%)のTMAH溶液などの水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液である。現像液は、公知の技術、例えば、スピンコーティング又はパドルコーティングによって塗布され得る。
【0100】
フォトレジスト層のパターンは、エッチングされる各層にとって適切なガス種を使用するプラズマエッチングによるなどの適切なエッチング技術によって、コーティングされた下層を含む1つ以上の下層に、及び基板に転写することができる。層の数及び関係している材料に応じて、パターン転写は、異なるエッチングガスを使用する複数のエッチング工程を含み得る。リソグラフィースタック中のパターン形成されたフォトレジスト層、コーティングされた下層、及び他の任意選択の層は、従来技術を用いて基板へのパターン転写後に除去され得る。任意選択的に、スタックの層の1つ以上は、下層へのパターン転写後に及び基板へのパターン転写前に除去され得るか、又はパターン転写中に及び基板へのパターン転写前に消費され得る。例えば、ケイ素含有層、有機反射防止コーティング層などのうちの1つ以上へのパターン転写は、露光されたフォトレジスト層が現像された後、且つコーティングされた下層へのパターン転写の前に行われ得る。基板は、次いで、電子デバイスを形成するために当該技術分野で公知の方法に従って更に処理される。
【0101】
基板上の本発明のフォトレジスト下層組成物の層と、フォトレジスト下層組成物の層上に配置されたフォトレジスト層とを含むコーティングされた基板も提供される。本明細書で用いる場合、用語「硬化した層」は、組成物が基板上に配置され、その後コーティング層又は膜を形成するために硬化させられた後のフォトレジスト下層組成物から誘導された層を言う。言い換えれば、フォトレジスト下層組成物の硬化は、フォトレジスト下層組成物から誘導された硬化した層を形成する。
【0102】
更に別の態様は、本発明のフォトレジスト下層組成物から得られるコーティングされた下層を含む層状物品を提供する。一実施形態では、層状物品は、基板と、基板上に配置されたコーティングされた下層と、コーティングされた下層の上に配置されたフォトレジスト層とを含み得る。
【0103】
本発明のフォトレジスト下層組成物から作製されたコーティングされた下層を含むフォトレジスト下層は、優れたフォトスピード及び改善されたパターン崩壊を示す。本発明の好ましいフォトレジスト下層組成物は、結果として、様々な半導体製造プロセスにおいて有用な場合がある。
【0104】
本発明のコンセプトは、非限定的であることを意図する、以下の実施例によって更に例示される。本明細書で使用される化合物及び試薬は、手順が以下に与えられている場合を除いて、市販されている。
【実施例0105】
(GPC)=2,290g/molである、当該技術分野でカテコールノボラック(A1-CN)と呼ばれる実施例A-1は、市販のものを入手した。
【0106】
合成実施例A2:
【化26】
【0107】
カテコール(14.98g)及び1,4-ベンゼンジメタノール(17.64g)をプロピレングリコールメチルエーテル(70mL)に溶解した。メタンスルホン酸(1.30g)を添加し、溶液を120℃に8時間加熱した。次いで、溶液を室温まで冷却し、1Lの70%水/30%メタノール(v/v)混合物中に析出させた。液体をデカンテーションし、ポリマーを50mLのテトラヒドロフランに再度溶解し、500mLのヘプタン中に析出させた。液体をデカンテーションし、ポリマーを50℃で一晩真空乾燥し、23.11gのポリマーA-2を得た。Mw(GPCによる):3069g/mol。
【0108】
合成実施例A3:
【化27】
【0109】
カテコール(15.00g)及び4,4’-オキシビス[(メトキシメチル)ベンゼン](17.59g)をプロピレングリコールメチルエーテル(70mL)に溶解した。メタンスルホン酸(1.96g)を添加し、溶液を120℃に26時間加熱した。次いで、溶液を室温まで冷却し、1Lの水の中に析出させた。液体をデカンテーションし、溶液を50mLのテトラヒドロフランに再度溶解し、500mLの水の中に析出させた。液体をデカンテーションし、溶液を50mLのテトラヒドロフランに再度溶解し、500mLの水の中に析出させた。液体をデカンテーションし、ポリマーを50℃で一晩真空乾燥し、23.80gのポリマーA-3を得た。Mw(GPCによる):2549g/mol。
【0110】
合成実施例A4:
【化28】
【0111】
ピロガロール(10.03g)及び1,4-ベンゼンジメタノール(10.21g)をプロピレングリコールメチルエーテル(40mL)に溶解した。メタンスルホン酸(0.76g)を添加し、溶液を120℃に8時間加熱した。次いで、溶液を室温まで冷却し、1Lの70%水/30%メタノール(v/v)混合物中に析出させた。液体をデカンテーションし、ポリマーを50℃で一晩真空乾燥し、11.89gのポリマーA-4を得た。Mw(GPCによる):3754g/mol。
【0112】
合成実施例A5:
【化29】
【0113】
カテコール(5.01g)及び4,4’-ビフェニルジメタノール(6.49g)をプロピレングリコールメチルエーテル(25mL)に溶解した。メタンスルホン酸(0.44g)を添加し、溶液を120℃に8時間加熱した。次いで、溶液を室温まで冷却し、1Lの70%水/30%メタノール(v/v)混合物中に析出させた。液体をデカンテーションし、ポリマーを50mLのテトラヒドロフランに再度溶解し、1Lの50%水/50%メタノール(v/v)の中に析出させた。液体をデカンテーションし、ポリマーを50℃で一晩真空乾燥し、6.44gのポリマーA-5を得た。Mw(GPCによる):4365g/mol。
【0114】
化合物X-PHSは、Mw(GPCによる)=4,299g/molの市販のものを入手した。X-PHS=ポリ(ヒドロキシスチレン)。
【化30】
【0115】
参考のために化合物A1~A6を下に示す。
【化31】
【0116】
式2で表される置換基を含むB-エポキシ化合物の例示的な一覧、及び比較C-エポキシ化合物の例示的な一覧を以下に示す。B-エポキシ化合物及びC-エポキシ化合物は、当該技術分野で公知の手順に従って調製される。
【化32】
【0117】
下層組成物の調製
実施例1~7及び比較例1~6のための下層組成物配合物は、表1の成分を示されている相対質量で混合することによって調製した。
【0118】
【表1】
【0119】
耐溶剤剥離性の評価
表1の各組成物を、ACT-8 Clean Track(Tokyo Electron Co.)上で、1500rpmでそれぞれの200mmのシリコンウェハー上にスピンコーティングし、次いで215℃で60秒間硬化させて膜を形成した。初期の膜厚は、Therma-Wave OptiProbe(商標)計測ツールを使用して測定した。次いで、PGMEA剥離剤を各膜に90秒間適用した後、剥離後、105℃で60秒間ベークした。各膜の厚さを再度測定して、失われた膜の厚さの量を決定した。PGMEA剥離剤との接触前と後の膜の厚さの差を、ウェハーに残っている膜の厚さのパーセント(%膜残存率)として表2に示す。この値は、ポリマー層の架橋の度合いを示している。
【0120】
【表2】
【0121】
表2から分かるように、GMAのC1エポキシ、及びアミノエポキシド、例えばB1又はB2を除いて、非ポリマーエポキシドは、完全には耐剥離性を有さず(比較例5~8を参照)、フォトレジストの下層としての使用が不可能である。N-エポキシドを用いた全ての実施例は完全に耐剥離性を有している。比較例1~4も有望な耐剥離性を示すものの、以下で示すように、これらの比較組成物は著しく劣る平坦化能力を示す。更に、比較例2は、SC1耐性の評価ができなかった(以下を参照)。
【0122】
SC1耐性の評価
表1の各組成物を、ラボスピンコーターで1500rpmで9nmのTiNコーティングされた欠陥テンプレートクーポン(1×1インチ)上にスピンコーティングし、次いで215℃で60秒間硬化させて、厚さ900Åの膜を形成した。これらの膜を、1:1:5(H:NHOH:HO)の180グラムの50℃のSC1浴で試験し、5、8、及び11分後に目視で予測した。
【0123】
【表3】
【0124】
表3から分かるように、実施例1~6はそれぞれ比較例2と比較して長い剥離発生までの時間を示す。比較例2は5分後に部分的な膜劣化を有し、比較例9は5分後に完全に剥離し、比較例1は8分後に完全に剥離する。対照的に、実施例4及び6は8分後に部分的な劣化を示し、実施例1は11分後に劣化を示し、実施例2、3、及び5はSC1浴中で11分後であっても全て元の状態の膜である。比較例3及び4は良好なSC1性能を示すものの、比較例は相対的に不十分な平坦化性能を有する(表4を参照)。
【0125】
PLの評価
平坦化特性を決定するために、本発明のフォトレジスト下層組成物を評価した。テンプレートは100nmのSiOの膜厚、様々なピッチ及びパターンを有しており、ダイサイズは1cm×1cmであった。各ダイは、100nmの孤立したステップパターンで始まり、2000μmの非パターンオープンエリアが続き、45nm/90nm~2μm/5μmのピッチのトレンチを被覆する様々なライン/スペースパターンが続いた。平坦化性能を判断するために最初のステップパターンを使用した。テンプレートクーポンを、本組成物でクーポンをコートする前に脱水ベークとして150℃で60秒間ベークした。各フォトレジスト下層組成物を、スピンコーター及び1500rpm+/-200rpmのスピン速度を使用してテンプレートクーポン上にコーティングした。目標膜厚は、硬化後に100nmであり、組成物希釈をそれに応じて調節して硬化後にほぼ目標の膜厚を得た。ウェハーを240℃のホットプレート上に60秒間置くことにより、膜を硬化させた。ステップ全体の膜の平面化品質は、KLA Tencor P-7触針式表面形状測定器によって評価した。
【0126】
表4において、平坦化品質は、以下のように定義される:
孤立ステップ領域:Aは15マイクロメートル(μm)より大きい材料の流れの遷移幅を示し、Bは10~15μmの材料の流れの遷移幅を示し、Cは10μm未満の材料の流れの遷移幅を示す。
局在領域:Aは25ナノメートル(nm)未満の高さの変化を示し、Bは25~35nmの高さの変化を示し、Cは35nmを超える高さの変化を示す。数値が小さいほど平坦化性能が優れていることを示す。したがって、Aは最も優れた平坦化を表し、次がBであり、Cは最も低い平坦化性能を表す。したがって、実施例1、2、3、及び6は、それぞれ比較例1~4及び9と比較して改善された平坦化を実証する。
【0127】
【表4】
【0128】
本開示は、実用的で例示的な実施形態であると現在考えられるものと併せて記載されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、むしろ添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正及び等価の構成を包含することを意図することが理解されるべきである。
【外国語明細書】