(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092526
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】保持治具、封止装置及び封止方法
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20230626BHJP
B65B 51/14 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B65B51/10 P
B65B51/14
【審査請求】有
【請求項の数】34
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204645
(22)【出願日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】63/398,729
(32)【優先日】2022-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/403,474
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/404,011
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/414,147
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/416,735
(32)【優先日】2022-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/427,218
(32)【優先日】2022-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】P 2021207626
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022004024
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022062193
(32)【優先日】2022-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022075520
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】320007734
【氏名又は名称】株式会社KY7
(72)【発明者】
【氏名】林 裕義
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA06
3E094CA03
3E094CA06
3E094DA02
3E094EA08
3E094FA04
3E094GA04
3E094HA11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】保持対象物のサイズ変更に伴う周長差があっても容器と貫通孔の上端縁部とが
接触できる保持治具、封止装置及び封止方法を提供する。
【解決手段】保持治具10は、保持対象物を挿通する貫通孔16が上下方向に形成されており、該貫通孔の上端縁部に前記保持対象物を接触させるように形成した保持体11を備え、前記保持体は、前記貫通孔の少なくとも一部を形成する複数の変位子14を備え、少なくとも一部の前記変位子では、前記変位子が前記変位子に対して定められる変位方向に変位することに伴って、前記貫通孔の周面部に露出したそれぞれの前記変位子の露出領域ERが変動し、前記露出領域が多くなるように前記変位子が移動した状態となる場合に、前記変位子に対して前記露出領域が少ない位置となるように応力が負荷される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持対象物を挿通する貫通孔が上下方向に形成されており、該貫通孔の上端縁部に前記保持対象物を接触させるように形成した保持体を備え、
前記保持体は、前記貫通孔の少なくとも一部を形成する複数の変位子を備え、
少なくとも一部の前記変位子では、前記変位子が前記変位子に対して定められる変位方向に変位することに伴って、前記貫通孔の周面部に露出したそれぞれの前記変位子の露出領域が変動し、
前記露出領域が多くなるように前記変位子が移動した状態となる場合に、前記変位子に対して前記露出領域が少ない位置となるように応力が負荷される、
保持治具。
【請求項2】
隣り合う前記変位子は、それぞれの前記変位子に対して定められる前記変位方向に沿って互いに摺動する、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項3】
前記貫通孔は、複数の前記変位子で形成される、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項4】
複数の前記変位子は、環状に配置される、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項5】
前記保持体は、少なくとも一部の前記変位子の前記変位方向を規制する規制構造を備え、
前記規制構造は、それぞれの前記変位子に対応して設けられ前記変位子を所定方向に案内するガイド部を有し、
前記変位子の前記変位方向は、前記変位子に応じた前記ガイド部に沿った方向である、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項6】
隣り合う前記変位子のうちの一方の前記変位子が前記一方の前記変位子に対応する前記ガイド部に沿って移動する場合に他方の前記変位子に対して押圧力を与え、前記他方の前記変位子が前記押圧力に基づいて前記他方の前記変位子に対応する前記ガイド部に沿って移動する、
請求項5に記載の保持治具。
【請求項7】
前記保持体は、少なくとも1つの前記変位子の変位距離を規制する規制壁部を有し、
前記規制壁部は、前記変位子が所定の位置まで変位した場合に前記変位子に接触する、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項8】
前記保持体は、前記規制壁部に第1の溝部を有し、
前記規制壁部に接触する前記変位子には、前記第1の溝部に対応した位置に第2の溝部が形成されており、
前記第1の溝部と前記第2の溝部に共通しており且つ前記第1の溝部と前記第2の溝部に埋め込まれた規制棒が設けられている、
請求項7に記載の保持治具。
【請求項9】
隣り合う前記変位子は、互いに前記変位子の側面で接触する、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項10】
隣り合う前記変位子が互いに前記上下方向に重なり合うことが避けられている、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項11】
前記貫通孔の前記上端縁部では、隣り合う前記変位子の上面の位置が揃っている、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項12】
べース板をさらに備え、
前記変位子は、前記べース板の板上面に配置され、
前記変位子が、前記べース板の前記板上面を擦り動く、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項13】
前記変位子の下面に前記貫通孔の前記周面部に沿って延出された延出部が形成されている、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項14】
少なくとも前記変位子のうち前記露出領域に対応する部分が、前記貫通孔の前記上端縁部から下方向に向かうにつれて、前記貫通孔の内側に向かって下り傾斜する傾斜面を形成している、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項15】
保護板をさらに備え、
前記保護板は、前記変位子の少なくとも一部を覆う、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項16】
前記保護板の位置を固定するための固定部材が、前記保護板に対して着脱自在に取り付けられており、
前記固定部材が取り外された状態で、前記保護板が、該保護板の厚み方向を法線とする平面方向に変位可能となるように構成されている、
請求項15に記載の保持治具。
【請求項17】
前記保持対象物は、前記貫通孔に接触する第1保持対象物と、前記第1保持対象物の上に搭載される第2保持対象物を有し、
前記上下方向を法線とする平面の面方向を平面方向とした場合に、
前記保持体の上面側には、少なくとも前記第1保持対象物に対する前記第2保持対象物の前記平面方向の位置を規定する位置決め構造が設けられている、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項18】
前記位置決め構造は、前記保持体の上面側に立設された複数のピンを備え、複数の前記ピンは、前記第2保持対象物の前記平面方向の位置を規定し、
それぞれの前記ピンは、前記上下方向に変位可能に構成されている、
請求項17に記載の保持治具。
【請求項19】
前記保持対象物は、本体部と前記本体部の上端に外方向に延びるフランジ部とを有する容器を少なくとも備え、前記フランジ部が前記貫通孔の前記上端縁部に接触する、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項20】
前記保持体は、少なくとも一つの前記変位子を付勢する弾性部材を備え、
前記弾性部材は、前記露出領域が多くなるように前記変位子が移動した状態で、前記変位子に対して前記露出領域が少ない位置となるように応力を負荷する、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項21】
外周部を有し、
前記外周部を取り巻くように緩衝性を有する被覆材が設けられている、、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項22】
前記変位子の下面側に前記変位子の前記変位方向を規制する変位ガイド構造が設けられている、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項23】
前記変位子の上面に溝が形成されている、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項24】
前記変位子の上面の前記溝は、前記変位子の前記変位方向に沿って延びている、
請求項23に記載の保持治具。
【請求項25】
前記変位子の側面のうち、前記貫通孔を形成する面を除く面の少なくとも一部に溝が形成されている、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項26】
前記変位子の上面に段差が形成されている、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか1項に記載の保持治具と、前記保持対象物の上側から前記保持対象物に押圧力を付与する押圧体とを備え、
前記保持治具に前記保持対象物が配置されている状態において前記保持対象物に前記押圧力を付与する場合には、前記押圧体と前記保持治具とが所定距離離れた初期位置から前記保持対象物が押圧される位置まで前記押圧体と前記保持治具との少なくともいずれかが移動し、前記保持対象物の上に前記押圧体が存在し、且つ、前記押圧力が前記保持対象物に対して前記保持対象物の上側から付与される、ことを特徴とする、
封止装置。
【請求項28】
前記保持治具が、前記押圧体に向けて移動する、
請求項27に記載の封止装置。
【請求項29】
前記押圧体が、前記保持治具に向けて移動する、
請求項27に記載の封止装置。
【請求項30】
前記押圧体は押圧面を有し、
前記押圧面は、凹凸面となっている、
請求項27に記載の封止装置。
【請求項31】
前記押圧体を加熱可能な加熱機構を備えた、
請求項27に記載の封止装置。
【請求項32】
前記押圧体と前記保持治具の間にフッ素樹脂シートを設けた、
請求項27に記載の封止装置。
【請求項33】
前記保持対象物は、上側に開口を形成した本体部と前記本体部の上端に外方向に延びるフランジ部とを有する容器を少なくとも備える、
請求項27に記載の封止装置。
【請求項34】
前記本体部の上側の前記開口と前記フランジ部を覆うように前記容器に蓋を配置した状態で、前記押圧体と前記保持治具の間に前記容器と前記蓋を介在させて、前記容器の前記フランジ部の位置で前記蓋を前記容器に接合する、
請求項33に記載の封止装置。
【請求項35】
請求項33に記載の封止装置を用いられ、
前記押圧体と前記保持治具の間に前記容器と前記蓋を介在させた状態で、前記容器の前記フランジ部の位置で前記蓋を前記容器に接合する、封止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持治具、封止装置及び封止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器等を保持対象物としてこれを蓋で封止する封止装置が知られている。封止装置では、特許文献1に示すように、保持対象物を保持治具の貫通孔に挿通させ、保持対象物のうち保持治具の上面に位置する部分を覆うように蓋を配置し、蓋の上側から押圧体を蓋と保持対象物に押し当てて、蓋と保持対象物を接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1に開示されている封止装置では、保持治具のサイズは保持対象物にあわせて搭載されているため、封止しようとする保持対象物のサイズが複数種類存在している場合、サイズにあわせた保持治具を個別に準備することが要請される。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、保持対象物のサイズ変更に伴う周長差があっても容器と貫通孔の上端縁部とが接触できる保持治具、封止装置及び封止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次に示す(1)から(35)を要旨とする。
(1)保持対象物を挿通する貫通孔が上下方向に形成されており、該貫通孔の上端縁部に前記保持対象物を接触させるように形成した保持体を備え、前記保持体は、前記貫通孔の少なくとも一部を形成する複数の変位子を備え、少なくとも一部の前記変位子では、前記変位子が前記変位子に対して定められる変位方向に変位することに伴って、前記貫通孔の周面部に露出したそれぞれの前記変位子の露出領域が変動し、前記露出領域が多くなるように前記変位子が移動した状態となる場合に、前記変位子に対して前記露出領域が少ない位置となるように応力が負荷される、保持治具。
(2)隣り合う前記変位子は、それぞれの前記変位子に対して定められる前記変位方向に沿って互いに摺動する、上記(1)に記載の保持治具。
(3)前記貫通孔は、複数の前記変位子で形成される、上記(1)に記載の保持治具。
(4)複数の前記変位子は、環状に配置される、上記(1)に記載の保持治具。
(5)前記保持体は、少なくとも一部の前記変位子の前記変位方向を規制する規制構造を備え、前記規制構造は、それぞれの前記変位子に対応して設けられ前記変位子を所定方向に案内するガイド部を有し、前記変位子の前記変位方向は、前記変位子に応じた前記ガイド部に沿った方向である、上記(1)に記載の保持治具。
(6)隣り合う前記変位子のうちの一方の前記変位子が前記一方の前記変位子に対応する前記ガイド部に沿って移動する場合に他方の前記変位子に対して押圧力を与え、前記他方の前記変位子が前記押圧力に基づいて前記他方の前記変位子に対応する前記ガイド部に沿って移動する、上記(5)に記載の保持治具。
(7)前記保持体は、少なくとも1つの前記変位子の変位距離を規制する規制壁部を有し、前記規制壁部は、前記変位子が所定の位置まで変位した場合に前記変位子に接触する、上記(1)に記載の保持治具。
(8)前記保持体は、前記規制壁部に第1の溝部を有し、前記規制壁部に接触する前記変位子には、前記第1の溝部に対応した位置に第2の溝部が形成されており、前記第1の溝部と前記第2の溝部に共通しており且つ前記第1の溝部と前記第2の溝部に埋め込まれた規制棒が設けられている、上記(7)に記載の保持治具。
(9)隣り合う前記変位子は、互いに前記変位子の側面で接触する、上記(1)に記載の保持治具。
(10)隣り合う前記変位子が互いに前記上下方向に重なり合うことが避けられている、上記(1)に記載の保持治具。
(11)前記貫通孔の前記上端縁部では、隣り合う前記変位子の上面の位置が揃っている、上記(1)に記載の保持治具。
(12)べース板をさらに備え、前記変位子は、前記べース板の板上面に配置され、前記変位子が、前記べース板の前記板上面を擦り動く、上記(1)に記載の保持治具。
(13)前記変位子の下面に前記貫通孔の前記周面部に沿って延出された延出部が形成されている、上記(1)に記載の保持治具。
(14)少なくとも前記変位子のうち前記露出領域に対応する部分が、前記貫通孔の前記上端縁部から下方向に向かうにつれて、前記貫通孔の内側に向かって下り傾斜する傾斜面を形成している、上記(1)に記載の保持治具。
(15)保護板をさらに備え、前記保護板は、前記変位子の少なくとも一部を覆う、上記(1)に記載の保持治具。
(16)前記保護板の位置を固定するための固定部材が、前記保護板に対して着脱自在に取り付けられており、前記固定部材が取り外された状態で、前記保護板が、該保護板の厚み方向を法線とする平面方向に変位可能となるように構成されている、上記(15)に記載の保持治具。
(17)前記保持対象物は、前記貫通孔に接触する第1保持対象物と、前記第1保持対象物の上に搭載される第2保持対象物を有し、前記上下方向を法線とする平面の面方向を平面方向とした場合に、前記保持体の上面側には、少なくとも前記第1保持対象物に対する前記第2保持対象物の前記平面方向の位置を規定する位置決め構造が設けられている、上記(1)に記載の保持治具。
(18)前記位置決め構造は、前記保持体の上面側に立設された複数のピンを備え、複数の前記ピンは、前記第2保持対象物の前記平面方向の位置を規定し、それぞれの前記ピンは、上下方向に変位可能に構成されている、上記(17)に記載の保持治具。
(19)前記保持対象物は、本体部と前記本体部の上端に外方向に延びるフランジ部とを有する容器を少なくとも備え、前記フランジ部が前記貫通孔の上端縁部に接触する、上記(1)に記載の保持治具。
(20)前記保持体は、少なくとも一つの前記変位子を付勢する弾性部材を備え、前記弾性部材は、前記露出領域が多くなるように前記変位子が移動した状態で、前記変位子に対して前記露出領域が少ない位置となるように応力を負荷する、上記(1)に記載の保持治具。
(21)外周部を有し、前記外周部を取り巻くように緩衝性を有する被覆材が設けられている、上記(1)に記載の保持治具。
(22)前記変位子の下面側に前記変位子の前記変位方向を規制する変位ガイド構造が設けられている、上記(1)に記載の保持治具。
(23)前記変位子の上面に溝が形成されている、上記(1)に記載の保持治具。
(24)前記変位子の上面の前記溝は、前記変位子の前記変位方向に沿って延びている、上記(23)に記載の保持治具。
(25)前記変位子の側面のうち、前記貫通孔を形成する面を除く面の少なくとも一部に溝が形成されている、上記(1)に記載の保持治具。
(26)前記変位子の上面に段差が形成されている、上記(1)に記載の保持治具。
(27)上記(1)から(26)のいずれか1つに記載の保持治具と、前記保持対象物の上側から前記保持対象物に押圧力を付与する押圧体とを備え、前記保持治具に前記保持対象物が配置されている状態において前記保持対象物に前記押圧力を付与する場合には、前記押圧体と前記保持治具とが所定距離離れた初期位置から前記保持対象物が押圧される位置まで前記押圧体と前記保持治具との少なくともいずれかが移動し、前記保持対象物の上に前記押圧体が存在し、且つ、前記押圧力が前記保持対象物に対して前記保持対象物の上側から付与される、ことを特徴とする、封止装置。
(28)前記保持治具が、前記押圧体に向けて移動する、上記(27)に記載の封止装置。
(29)前記押圧体が、前記保持治具に向けて移動する、上記(27)に記載の封止装置。
(30)前記押圧体は押圧面を有し、前記押圧面は、凹凸面となっている、上記(27)に記載の封止装置。
(31)前記押圧体を加熱可能な加熱機構を備えた、上記(27)に記載の封止装置。
(32)前記押圧体と前記保持治具の間にフッ素樹脂シートを設けた、上記(27)に記載の封止装置。
(33)前記保持対象物は、上側に開口を形成した本体部と前記本体部の上端に外方向に延びるフランジ部とを有する容器を少なくとも備える、上記(27)に記載の封止装置。
(34)前記本体部の上側の前記開口と前記フランジ部を覆うように前記容器に蓋を配置した状態で、前記押圧体と前記保持治具の間に前記容器と前記蓋を介在させて、前記容器の前記フランジ部の位置で前記蓋を前記容器に接合する、上記(33)に記載の封止装置。
(35)上記(33)に記載の封止装置を用いられ、前記押圧体と前記保持治具の間に前記容器と前記蓋を介在させた状態で、前記容器の前記フランジ部の位置で前記蓋を前記容器に接合する、封止方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、変位子の変位に伴い貫通孔の周面部を形成する変位子の露出領域が変わり、貫通孔の大きさを変更することができる。したがって、例えば、上端を開口した本体部の上縁部(上端部)にフランジ部を有する容器を保持対象物とした場合において保持対象物としてサイズ(周長;容器の本体部の外周面の長さ)の異なる複数種類の容器(周長差のある複数種類の容器)に対しても、同じ保持治具で容器と貫通孔の上端縁部とが接触でき、貫通孔の上端縁部で容器を支持することができる。
【0008】
本発明の保持治具を用いた封止装置によれば、容器のサイズの違いがあっても保持治具で容器をしっかりと保持することができ、フランジ部を保持治具の貫通孔の上端縁部に接触させた状態を形成することができる。このため容器のフランジ部と容器の本体部の開口を覆うように蓋を配置した状態で、押圧体と保持治具で容器と蓋を挟むことができる。また、このような封止装置を用いた封止方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2のA-A線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4Aは、第1実施形態の変形例1にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
図4Bは、
図4AのB-B線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5Aは、第1実施形態の変形例3にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
図5Bは、
図5AのC-C線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の変形例4にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の変形例5にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8A、
図8Bは、第1実施形態の変形例6にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9Aは、第1実施形態の変形例7にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
図9Bは、第1実施形態の変形例7にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す側面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態にかかる封止装置の一実施例を模式的に示す側面図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態にかかる封止装置の封止機能を説明する図である。
【
図12】
図12Aは、第2実施形態の変形例3にかかる封止装置に用いられる押圧体を模式的に示す図である。
図12Bは、
図12AのD-D線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【
図13】
図13Aは、第2実施形態の変形例4にかかる封止装置を説明するための図である。
図13Bは、第2実施形態の変形例4にかかる封止装置に用いられる吸盤の一実施例について吸盤の中心を通る縦断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態の変形例8にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す斜視図である。
【
図15】
図15Aは、第1実施形態の変形例8にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
図15Bは、第1実施形態の変形例8にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す側面図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態の変形例5にかかる封止装置の一実施例を模式的に示す側面図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態の変形例5にかかる封止装置の封止機能を説明する図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態の変形例7にかかる封止装置の一実施例を模式的に示す側面図である。
【
図20】
図20Aは、第1の実施形態の変形例8にかかる保持治具10の一実施例を示す平面図である。
図20Bは、
図20AのE-E線縦断面の状態を模式的に示す縦断面図である。
【
図21】
図21は、第1の実施形態の変形例8にかかる保持治具の一実施例を示す平面図である。
【
図22】
図22は、第1の実施形態の変形例7にかかる保持治具の一実施例を説明するための平面図である。
【
図23】
図23は、第2の実施形態の変形例6にかかる封止装置の一実施例を示す側面図である。
【
図24】
図24は、第2の実施形態の変形例6にかかる封止装置の一実施例を示す正面図である。
【
図25】
図25は、第2の実施形態の変形例6にかかる封止装置の一実施例についての使用状態を説明するための図である。
【
図26】
図26は、第2の実施形態の変形例6にかかる封止装置の一実施例を示す側面図である。
【
図27】
図27は、第2の実施形態の変形例6にかかる封止装置の一実施例を示す正面図である。
【
図29】
図29は、第2の実施形態の変形例9にかかる封止装置の一実施例を示す正面図である。
【
図30】
図30Aは、第1の実施形態の変形例8にかかる保持治具10の一実施例を示す平面図である。
図30Bは、
図30AのE-E線縦断面の状態を模式的に示す縦断面図である。
【
図31】
図31は、第1の実施形態の変形例8にかかる保持治具10の一実施例を示す平面図である。
【
図32】
図32Aは、第1の実施形態の変形例8にかかる保持治具10の一実施例を示す平面図である。
図32Bは、
図32AのG-G線縦断面の状態を模式的に示す縦断面図である。
【
図33】
図33は、第2実施形態の変形例10にかかる封止装置の一実施例を示す側面図である。
【
図34】
図34は、第2の実施形態の変形例10にかかる封止装置の一実施例を示す正面図である。
【
図35】
図35は、第2の実施形態の変形例10にかかる封止装置の一実施例についての保持治具を前後方向に移動させた状態を説明するための図である。
【
図36】
図36は、第1実施形態にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
【
図37】
図37は、第1実施形態にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
【
図38】
図38は、第1実施形態にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
【
図39】
図39は、第1実施形態にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
【
図40】
図40Aは、第1実施形態の変形例8にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
図40Bは、
図40AのH-H線縦断面の状態を模式的に示す平面図である。
図40Cは、第1実施形態の変形例8にかかる保持治具の一実施例における使用時の状態の一例を模式的に示す断面図である。
【
図41】
図41Aは、第1実施形態の変形例8にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
図41Bは、
図41AのI-I線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図41Cは、
図41AのJ-J線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【
図43】
図43Aは、第1実施形態の変形例9にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
図43Bは、第1実施形態の変形例9にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す図である。
【
図44】
図44は、第1実施形態の変形例10にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
【
図45】
図45Aは、第1実施形態の変形例11にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
図45Bは、
図45AのK-K線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【
図46】
図46Aは、第1実施形態の変形例12にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
図46Bは、
図46AのL-L線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図46Cは、
図46AのM-M線縦断面の状態を模式的に示す平断面図である。
【
図47】
図47Aは、第1実施形態の変形例13にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
図47Bは、第1実施形態の変形例13にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す側面図である。
【
図48】
図48Aは、第1実施形態の変形例14にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す平面図である。
図48Bは、第1実施形態の変形例14にかかる保持治具の一実施例を模式的に示す図である。
【
図49】
図49Aは、第1実施形態の変形例15にかかる保持治具の位置実施例を模式的に示す平面図である。
図49Bは、
図49AのN-N線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明にかかる一実施例等について図面を参照しながら説明する。なお、説明は1.第1の実施形態(保持治具)、2.第2の実施形態(封止装置)の順序で行う。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
以下の説明は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容は、説明される実施形態等に限定されるものではない。また、以下の説明において、説明の便宜を考慮して前後、左右、上下等の方向を示すが、本発明の内容はこれらの方向に限定されるものではない。
図1、
図2の例では、Z軸方向を上下方向(上側が+Z方向、下側が-Z方向)、X軸方向を前後方向(前側が+X方向、後ろ側が-X方向)、Y軸方向を左右方向(右側が+Y方向、左側が-Y方向)とし、これに基づき説明を行う。これは、
図3から
図49についても同様である。
【0012】
図1等の各図に示す各層の大きさや厚みの相対的な大小比率は便宜上の記載であり、実際の大小比率を限定するものではない。これらの方向に関する定めや大小比率については、
図2から
図49の各図についても同様である。
【0013】
[1 第1の実施形態]
[1-1 保持治具の構成]
第1の実施形態にかかる保持治具10は、
図1、
図2及び
図3等に示すように、保持体11を有する。保持治具10は、その平面視上、矩形状に形成されているが、これは一例であり、他の形状であることを禁止するものではない。保持治具10の外周形状は、その平面視上、矩形状以外に、円形状、舌片状、楕円形状、多角形状等いずれでもよい。例えば、
図39に示す例では、保持治具10の外周形状は、その平面視上、舌片状に形成されている。
図1、
図2では、説明の便宜上、後述する受け材13と変位子14との間に隙間が生じているように記載されているが、変位子14の変位に伴い隙間が生じた状態が形成される場合、受け材13と変位子14とが接触した状態が形成される場合(隙間がない場合)のいずれも生じうる。このことは、
図4から
図5等についても同様である。
【0014】
(保持対象物)
保持治具10は、保持対象物を保持する用途で使用可能なものである。したがって保持治具10は、いわゆる容器保持具や容器支持具として使用可能な構造体を含む概念である。保持対象物とは、保持治具10で保持される物であり、容器や、容器と蓋を重ねた積層物、容器と蓋の一体物等を例示することができる。保持対象物には、保持治具の貫通孔の上端縁部で保持される物や、保持治具の貫通孔の周面部で保持される物が含まれる。
【0015】
(ベース板)
図1の例では、保持治具10では、ベース板12の上に保持体11を備える。この例では、保持体11は、後述する複数の変位子14と受け材13をベース板12の上面(板上面)に配置している。ただし、このことは、保持治具10がベース板12を備える場合に限定するものではない。保持体11が分解されず、すなわち後述する複数の変位子14の組み合わせが個々に分解されず、変位子14が保持体11から離脱しないようにすることができれば、ベース板12は省略されてもよい。ベース板12の材質は特に限定されないが、金属、プラスチック、木、ガラス、セラミック等特に限定されないが、強度に優れた観点からは、ベース板12は金属製であることが好ましい。ベース板12には、後述する貫通孔16に対応した位置に補助孔17が形成されている。
図1の例では、補助孔17は、貫通孔16の大きさが拡大状態で、保持治具10の平面視上、貫通孔16の周面部16Aの形状におおむね内接する形状に形成されている。貫通孔16の大きさが小さくなるように貫通孔16の大きさが変動するにつれ、保持治具10の平面視上、補助孔17の縁部17Aは貫通孔16の外側に位置するようになる。
【0016】
(保持体)
保持体11は、貫通孔16を有しており、貫通孔16の少なくとも一部を形成する複数の変位子14を有する。
図1の例では、複数の変位子14で貫通孔16が形成される。また、
図1の例では、保持体11は、貫通孔16に向かう方向を内側とした場合に変位子14よりも外側に受け材13を備える。より詳しくは、
図1の例では、保持体11は、複数の変位子14で構成された環状構造体15を備え、さらに環状構造体15の外側に受け材13を備えている。なお、
図1は、保持治具10は、変位子14を非環状に配置されてもよい。また、例えば、保持治具10の一例であり、貫通孔16が変位子14と変位しない非変位部材との組み合わせで構成されてもよい。この例では変位子14は非環状に配置されることになる。
【0017】
(貫通孔)
保持体11の貫通孔16は、後述するように変位子14の変位に応じて大きさを変更できるように形成されている。貫通孔16は、保持対象物Mを通じる機能を有する程度の径を有する。貫通孔16は、周面部16Aと上端縁部16Bを有する。保持対象物Mが、封止装置の説明で
図11を参照しながら後述するように上側を開口させた本体部210と底部220を有し内部に本体部210と底部220で囲まれた空間230を形成し且つ本体部210の上端(上縁部250)側に外側に向かって延び出たフランジ部240を有する容器200である場合、本体部210の外周面210A(容器200の外周面)に対して周面部16Aが向かい合い、フランジ部240に対して上端縁部16Bが向かい合う。なお、フランジ部240は、平坦形状でもカール形状でもよい。以下の説明において容器を用いて説明する場合には、保持対象物が上記したような容器200であり、本体部210の形状が上端から下端に向かって先細りした形状であり、容器200の本体が上面側を開口したものである場合を用いて説明を続ける。なお、上端縁部16Bは、保持治具10に対して容器200をおおむね上下方向に通じることを想定した場合に、貫通孔16の上側の端縁を形成する部分を示す。保持治具10に対して容器200を差し入れる場合には、上端縁部18B側から貫通孔16を貫通するように容器200が差し入れられることが好適である。
【0018】
貫通孔16の大きさは、変位子14の変位に応じて所定の範囲で変更される。貫通孔16の大きさが拡大状態である場合は、予め定められる。拡大状態は、保持対象物Mの大きさや変位子14の配置等の条件に応じて定められた状態として貫通孔16の大きさを大きくした場合の状態である。例えば
図1の例では、変位子14が規制壁部21に接する位置に変位した場合の貫通孔16の大きさとなる。また、貫通孔16の大きさが縮小状態である場合についても、予め定められる。縮小状態は、保持対象物Mの大きさや変位子14の配置等の条件に応じて定められた状態として貫通孔16の大きさを小さくした場合の状態である。例えば後述の変形例1で参照する
図4の例では、後述する弾性部材22が自然長となるまでに変位子14が変位した場合の貫通孔16の大きさとなる。また、例えば、保持対象物Mが、下方向に向かって先細りした形状を有する容器200である場合、保持対象物Mと縮小状態の関係について、容器200の下端の大きさよりもやや大きな大きさが貫通孔16の縮小状態に対応する貫通孔16の大きさに定められてよい。保持対象物Mの大きさと拡大状態の関係について、容器200の上端(フランジ部240を除く)の大きさよりもやや大きな大きさが、貫通孔16の拡大状態に対応する貫通孔16の大きさとして定められてよい。なお、貫通孔16の大きさが変更される場合、変更の前後で互いに相似した形状となるように貫通孔16の大きさが変更されてもよいし、非相似となるように貫通孔16の大きさが変更されてもよい。なお、貫通孔16の大きさが縮小状態となる場合には、貫通孔16の大きさがおおむねゼロになる場合も含まれる。
【0019】
(貫通孔の大小の特定)
貫通孔16の大小は、貫通孔16の中央CT(
図1、
図3においては一点鎖線で示す。
図2においては点で示す)と変位子14の位置を揃え、1つの貫通孔16を前方に配置して他の貫通孔16を後方に配置した状態を想定した場合に、他の貫通孔16が露出している場合には、1つの貫通孔16よりも他の貫通孔16が小さく、1つの貫通孔と他の貫通孔16が一致している場合には、1つの貫通孔16と他の貫通孔16が同じ大きさであり、他の貫通孔16が露出せず且つ1つの貫通孔16に対して同じでもない場合には、1つの貫通孔16よりも他の貫通孔16が大きいものとする。貫通孔16と補助孔17,18との大小については、貫通孔16の最大の内接円の直径と、補助孔17,18の直径の大小で定められるものとする。
【0020】
(変位子)
保持治具10において、
図1、
図2等の例では、複数の変位子14は、環状に配置されている。ここに、環状に配置されているとは、所定位置を基準位置(
図2の例では、貫通孔16の中央CT)とした場合に、基準位置の周囲を取り巻くように配置されている状態を示す。環状に配置されている場合には、基準位置から離れる方向(保持治具10の厚み方向を法線とする面に沿って基準位置から外側に広がる方向)を視線方向とした場合に、隣り合う複数の変位子14がオーバーラップしている場合が含まれるものとする。変位子14とは、外部から押圧力や電気や磁気等の作用を受けて位置の移動や回転などの運動をする物(変位しうる素片)を示す。変位子14としては、移動子や回転子等を例示することができる。移動子は、位置の移動をする有形物である。回転子は、回転移動する有形物である。変位子14は、その少なくとも一部が貫通孔16から認識できるように配置される場合が存在していればよく、貫通孔16の大きさが所定の大きさである場合に貫通孔16に露出しないものが複数の変位子14の一部(いくつか)に存在することが禁止されない。
【0021】
(変位子のレイアウト)
変位子14のレイアウトについては、
図1、
図2等の例では、基準位置から離れる方向を視線方向とした場合に、隣り合う複数の変位子14がオーバーラップしており、また隣り合う変位子14が互いに接触している。そして、環状に配置された変位子14は全体として環状構造体15を形成している。環状構造体15は内側に貫通部(Z軸方向に沿った方向に貫通した部分)が形成されており、この貫通部が貫通孔16となっている。したがって、複数の変位子14が貫通孔16を形成している。ただし、このことは、変位子14の配置が環状とされることで形成された貫通部で貫通孔16を形成している場合に限定するものでない。例えば、
図37に示すように、貫通孔16が変位子14と壁部53で形成されている場合が排除されない。
図37は、第1の実施形態にかかる保持治具10の一実施例を示す平面図である。
図37では、破線で示すように、変位子14が矢印SL方向にスライド移動するにともない露出領域ERの大きさが変動しており、露出領域ERの大きさの変動に応じて貫通孔16の大きさが変動している。
【0022】
また、
図1、
図2の例では、保持体11の平面視上(保持治具10の平面視上)、貫通孔16の形状がおおむね正多角形状(
図2では、正十二角形)となるように複数の変位子14が環状に配置されているが、複数の変位子14の配置(レイアウト)は、この例に限定されない。例えば、
図36に示すように、貫通孔16の形状が長方形に近い形状になるように複数の変位子14が配置されてもよいし、貫通孔16の形状が正多角形以外の多角形となるように複数の変位子14が配置されてもよい。
図36の例では、4つの変位子14が配置されて貫通孔16が矩形状に形成されている。また、この例では、変位子14は保持治具10の平面視上おおむね直角三角形の形状に形成されており、貫通孔16に面した端面側の一辺の長さLBのほうが、この一片とおおむね直角に伸びる一辺の長さLAよりも長くなっている。変位子14が矢印SL方向にスライド移動するにともない露出領域ERの大きさが破線で示すように変動しており、露出領域ERの大きさの変動に応じて貫通孔16の大きさが変動する。また、後述するように変位子14の側面を湾曲形状とした場合には、複数の変位子14で貫通孔16が円形となるように複数の変位子14が配置されてよい。
【0023】
(変位子の露出領域)
変位子14の面(
図1の例では側面14Aのうちの第1の側面14A1)のうち、貫通孔16の周面部16Aを形成する領域は、貫通孔16に向かって露出する露出領域ERとなっている。貫通孔16の大きさに応じて露出領域ERの大きさが定められる。少なくとも一部の変位子14では、変位子14が変位方向Tに変位することに伴って、貫通孔16の周面部16Aに露出した変位子14の露出領域ERが変動する。
図1の例では、貫通孔16の大きさが小さくなるほど、貫通孔16を形成する変位子14の露出領域ERが減少する。また、変位子14の露出領域ERの減少に伴い、変位子14の面のうち隣接する変位子14に接した状態となり隣接する変位子14で被覆される領域(被覆領域CR)は増加する。貫通孔16の大きさが大きくなるほど、変位子14の露出領域ERは増加する。また、変位子14の露出領域ERの増加に伴い、変位子14の面のうち隣接する変位子14で被覆される領域(被覆領域CR)は減少する。このように、保持治具10においては、それぞれの変位子14が変位方向Tに変位することに伴って、貫通孔16の周面部16Aに露出したそれぞれの変位子14の露出領域ERが変動する。なお、
図1は、一例であり、貫通孔16の大きさを変更できれば、一部の変位子14について露出領域ERの大きさが変動しないことを禁止するものではない。
【0024】
(変位子の形状)
図1、
図2等の例では、個々の変位子14の形状は、いずれも平面視上において三角形の形状を有しており、所定の厚みを有する三角板状に形成されている。また、複数の変位子14は、おおむね均一に形成されている。ただし、このことは、変位子14の形状を
図1、
図2等の例に限定するものではない。
図1、
図2等の例は、複数の変位子14の少なくとも一部が他の変位子14に対して異なる形状を有することを禁止するものではない。たとえば、
図38に示すように、貫通孔16を形成する複数の変位子14の形状として、三角形状、台形状、湾曲部を有する形状が存在してもよい。
図38では、変位子14TRPが保持体11の平面視上、台形となっており、変位子14TRPを除く他の変位子14が、保持体11の平面視上、三角形となっている。
【0025】
(変位子の大きさ)
図1、
図2等の例では、複数の変位子14の大きさは、おおむね均一に形成されている。ただし、このことは複数の変位子14のうち少なくとも一部の変位子14の大きさが異なる場合を禁止するものではない。
【0026】
(変位子の材質)
変位子14の材質は特に限定されないが、金属、プラスチック、木、ガラス、セラミック等特に限定されないが、擦り動きに優れた点及び成形容易性に優れる観点からは、変位子14の材質はプラスチックであることが好ましい。変位子14がプラスチック製である場合、変位子14は、緩衝性を備えることが好ましく、この観点からは、変位子14は、多孔質高分子材料で構成されていることが好ましい。多孔質高分子材料は、発泡性高分子材料等を例示することができる。なお、プラスチックは、弾性を有するものでもよいし、弾性の乏しいものでもよい。変位子14が弾性変形容易である場合、変位子14の側面を湾曲形状とされても、複数の変位子14で貫通孔16が円形となるように複数の変位子14が配置されてもスムーズに貫通孔16の大きさが変更可能となる。また、変位子14の強度と擦り動く際の摩擦による摩耗の少なさに優れる観点からは、変位子14の材質は、金属(合金を含む)であることが好ましい。変位子14の材質が金属である場合、変位子14の材質は、具体的に、鉄、銅、アルミニウム、ステンレス等を例示することができる。錆の発生を生じにくくする観点からは、変位子14の材質は、アルミニウム合金やステンレスであることが好ましい。
【0027】
(変位子の変位方向)
図1の例に示す個々の変位子14は、ベース板12の上面(板上面)を摺動する。したがって、変位子14は、ベース板12の面方向(XY平面方向)に変位する。このとき、保持体11の平面視上、変位子14ごとに、変位子14の変位方向Tが予め定められている。変位子14の変位方向Tは、変位子14の形状及び配置に応じて定められる。
図1、
図2の例では、それぞれの変位子14の変位方向Tは、変位子14の底辺140の向きに応じて定められる。この例では、変位子14を形成する三角形の底辺140の延びる方向に沿った方向を変位方向Tとして、変位子14は、変位方向Tに沿って直線的に変位する。このとき、このような方向が変位方向Tとされていることで、後述するように隣り合う変位子14を連動させることができる。
図1の例は、変位子14は、変位方向Tに沿って直線的に変位しているが、変位方向Tは直線的である場合に限定されない。例えば、変位子14は円弧状などの変位をするように構成されていてもよい。なお、変位子14が平面視上、三角形の形状を呈している場合において、底辺140として、
図1、
図2等の例では3つの辺のうち最も短い辺に定められているが、これは説明の便宜上の定めであり、これに限定されるものではない。円弧状の変位をする場合には、変位子14は、ゴム等の弾性的に変形可能な材料を用いられることが好ましい。
【0028】
(隣り合う変位子の連動)
隣り合う変位子14は、上記したように連動している。連動するとは、1つの変位子14の変位に伴いそれに隣接する変位子14も変位することを示すものとする。連動させる構造は特に限定されるものではないが、
図1の例では、隣り合う変位子14の配置構造で実現されている。
図1の例では、隣り合う変位子14が互いにその側面14A(第1の側面14A1)で接触している。そして、隣り合う変位子14のうちの一方の変位子14が他方の変位子14に対して押圧力を与える。この押圧力の作用で他方の変位子14が変位する。
【0029】
図1の例に示す例では、隣り合う変位子14のうちの一方の変位子14がその一方の変位子14に対応する後述するガイド部20に沿って移動する場合に他方の変位子14に対して押圧力を与え、他方の変位子14がその押圧力に基づいてその他方の変位子14に対応するガイド部20に沿って移動する。
図1の例では、一方の変位子14が変位方向Tに沿って移動する際、他方の変位子14に対して、他方の変位子14のガイド部20の延びる方向に対して斜め方向に押圧するように押圧力を作用させることができる。このため、他方の変位子14は一方の変位子14から受けた押圧力によりガイド部20に沿って変位するようになる。なお、ガイド部20に沿って変位する場合は、ガイド部20と変位子14とが接触しながら移動する場合のみに限定されるものではなく、ガイド部20の機能を失わない範囲で、ガイド部20と変位子14とが部分的に接触して移動する場合、一時的にガイド部20と変位子14とが離れる瞬間がある場合が含まれてよい。
【0030】
(隣り合う変位子の摺動)
隣り合う変位子14は、互いに摺動する。このとき、それぞれの変位子14に対して定められる変位方向Tに沿って互いに摺動する。隣り合う変位子14は互いにその側面14A(
図1では第1の側面14A1)で接触しており、それらの側面14Aが互いに擦れ合うように隣り合う変位子14がそれぞれに定められた変位方向Tに沿って変位する。なお、2つの物について摺動するという概念には、2つの物が滑らかに滑り動く場合と、2つの物が摩擦しながら動く場合が含まれる。隣り合う変位子14が摺動する場合には、隣り合う変位子14の間に摩擦力が作用していることが好適である。この場合、隣り合う変位子14の摺動する方向の摩擦力よりも隣り合う変位子14の摺動する方向とは異なる方向への摩擦力が大きいことが好ましい。また、隣り合う変位子14が摺動する場合には、隣り合う変位子14が常に接触した状態で摺動する場合のみならず、隣り合う変位子14が離間する瞬間が存在する場合も含まれる。
【0031】
また、隣り合う変位子14は、
図3に示すように、いずれもベース板12上に配置され、隣り合う変位子14が互いに上下方向に重なり合うことが避けられている。これにより、隣り合う変位子14の厚みを揃えることで、
図1に示すように、貫通孔16の上端縁部16Bに、貫通孔16の周方向に沿った凹凸が形成されることを避けることができる。なお、
図1の例では、貫通孔16の上端縁部16Bでは、隣り合う変位子14の上面14Bの位置が揃っている。このように構成されていることで、後述する封止装置に保持治具10を用いられた場合に、保持治具10における貫通孔16の上端縁部16Bと容器200のフランジ部240との上下方向の接触位置がおおむね均一化し、容器200を後述する押圧体310におおむね同じタイミングで押し当てることができる。
【0032】
(受け材)
図1の例では、保持体11は、環状構造体15の外側に受け材13が設けられている。受け材13は、後述する規制構造19を有する構造体として機能することができる。受け材13は、環状に形成されており、受け材13の外周面13Aは、保持体11の外周面11Aに応じた形状に形成されている。受け材13の内周面13Bは、環状構造体15の外周面15Aに対応した形状に形成されている。受け材13は、ベース板12上に固定されており、受け材13の内周面13Bに向かい合うように環状構造体15が形成されていることで、環状構造体15がベース板12に対して位置ずれすることを抑制することができ、したがって、変位子14がベース板12に対して位置ずれすることを抑制することができる。
【0033】
(受け材の材質)
受け材13の材質は、特に限定されないが、製造容易性の観点からは変位子14と同じ材質であることが好ましい。
【0034】
図1、
図2等の例では受け材13は一つの部材で形成されているが、複数の部分に分割された分割体を組み合わせた組み合わせ構造体で受け材13が形成されてもよい(図示しない)。
【0035】
(規制構造)
保持体11は、規制構造19を備える。規制構造19は、変位方向Tを規制する構造(変位方向規制構造)である。規制構造19は、少なくとも一部の変位子14の変位方向Tを規制する。規制構造19は、
図1、
図2に示す例では、ガイド部20を有している。
図1、
図2の例では、ガイド部20は、受け材13に形成されている。この例に示すガイド部20は、変位子14が第1の位置から第2の位置まで直線的な変位となるように変位方向Tを規制する。
【0036】
(第1の位置及び第2の位置)
第1の位置は、
図2に示すように、貫通孔16の大きさが予め定められた拡大状態になっている場合に定められる変位子14の位置(例えば、
図2において実線で示された変位子14の位置)である。第2の位置は、貫通孔16の大きさが予め定められた縮小状態になっている場合に定められる変位子14の位置(例えば、
図2において破線で示された変位子14の位置)である。なお、規制構造19がガイド部20を有する場合は、規制構造19の一実施例であり、規制構造19はこれに限定されない。第1の実施形態の説明では、説明の便宜上、規制構造19が、ガイド部20を有する構造である場合を例として説明を続ける。
【0037】
(ガイド部)
ガイド部20は、少なくとも一部の変位子14に対して設けられていればよく、
図1の例では、変位子14ごとに設けられている。ガイド部20は、変位子14の変位方向を限定するように変位子14の動きを規制する。
図1、
図2の例では、ガイド部20は、それぞれの変位子14に対応して設けられ変位子14を所定方向に案内する。ガイド部20は、受け材13のうち変位子14の一側面(底辺140の位置に形成された第2の側面14A2)に向き合うガイド壁部23で形成される。ガイド部20は、変位子14の変位方向Tがその変位子14に対応するガイド部20のガイド壁部23の壁面に沿った方向となるように、変位子14の移動を案内する。
図1、
図2の例では、ガイド部20を形成するガイド壁部23の壁面方向と、変位子14の形状となる三角形の底辺の延びる方向(第2の側面14A2の面方向)とが揃えられている。この例では、隣り合う変位子14の底辺の向き(第2の側面14A2の面方向)が異なっているため、それぞれの変位子14に対応するガイド壁部23の壁面方向も互いに異なっている。ガイド部20の長さは、変位子14の変位範囲(変位子14の位置が第1の位置から第2の位置に変位するまで移動した場合における変位子14の移動範囲)におおむね揃っているか、変位範囲よりも大きいことが好ましい。なお、
図1の例は、ガイド部20の一例であり、変位子14の変位方向Tを規制できれば、ガイド部20の構成は限定されない。
【0038】
(規制壁部)
保持体11は、
図1、
図2の例に示すように、少なくとも1つの変位子14の変位距離を規制する規制壁部21を有することが好ましい。規制壁部21は、変位子14が所定の位置まで変位した場合に変位子14に接触する壁面21Aを有する。例えば、規制壁部21は、変位子14が、第1の位置まで変位方向Tに移動した場合に、変位子14の第1の側面14A1が規制壁部21の壁面21Aに接触し、第2の位置に向かう方向とは逆向きに第1の位置からさらに変位方向Tに移動することが規制される。したがって、規制壁部21は、変位子14の変位距離を規制する。
【0039】
図1、
図2の例では、規制壁部21は、受け材13に形成されており、規制壁部21の端縁をガイド部20の端縁と共有している。規制壁部21の壁面21Aとガイド部20のガイド壁部23の壁面のなす角が鋭角となっている。この例において、受け材13は、保持部材の平面視上、変位子14ごとに規制壁部21とガイド壁部23とを形成するおおむねV字型の壁部24を形成している。そして、V字型の壁部24が、変位子14の配置に対応するように環状に並ぶように形成されている。なお、
図1、
図2の例では、規制壁部21の端縁とガイド部20の端縁の位置に、受け材13の平面視上、C字型に湾曲した湾曲壁面部25が形成されている。湾曲壁面部25により、規制壁部21の端縁とガイド部20の端縁の位置に変位子14の角(頂点141)が接触することを避けることができる。
【0040】
[1-2 作用及び効果]
第1の実施形態によれば、変位子14の変位に伴い貫通孔16の周面部16Aを形成する変位子14の露出領域ERが変わり、貫通孔16の大きさを変更することができる。保持対象物Mとしてサイズの異なる複数種類の容器200に対しても、同じ保持治具10で容器200と貫通孔16の上端縁部16Bとが接触でき、貫通孔16の上端縁部16Bで容器200を支持することができる。
【0041】
また、第1の実施形態の保持治具10によれば、変位子14の変位に伴い貫通孔16の大きさを変動できることで、容器200の本体部210の大きさ自体に変動がある場合に対応することができる。
【0042】
例えば、保持対象物Mが容器200であり、その容器200が、上側を開口させた本体部210と底部220を有し内部に空間230を形成しており且つ本体部210の上端側に外側に向かって延び出たフランジ部240を有する場合、保持治具10は、保持対象物Mを貫通孔16で保持したとき、本体部210の外周面210A(容器200の外周面)に対して周面部16Aが向かい合い、フランジ部240に対して上端縁部16Bが向かい合う。本体部210の外周面210Aの形状が下側に向かって先細りしたテーパー状である場合、本体部210の横断面の大きさについては、フランジ部240の近傍の大きさよりも、本体部210の下側部(底部220に近い部分)の大きさのほうが小さい。保持治具10の貫通孔16の内側に容器200を配置し、保持治具10を上方向に移動させた場合、本体部210の外周面210Aの大きさが、保持治具10の貫通孔16が縮小状態となる場合の貫通孔16の大きさよりも小さいうちは、保持治具10のみが上方向に引き上げられる。やがて、本体部210の外周面210Aの大きさが、保持治具10の貫通孔16が縮小状態となる場合の貫通孔16の大きさに一致すると、保持治具10の貫通孔16と本体部210の外周面210Aが接触する。容器200の重さが所定の重さ以上であると、保持治具10は、容器200の本体部210に接触しながらも容器200の本体部210に対して上方向に摺動する。このとき、容器200は、保持治具10とともに上方向に移動してもよいし、移動しなくてもよい。保持治具は、容器200の本体部210に接触しながらも上方向に擦り動きながら、容器200の本体部210の大きさに応じた変位子14の変位により貫通孔16の大きさが変更される(拡大する)。そして、保持治具10が上方向に移動する最中に、保持治具10の貫通孔16の上端縁部16Bが容器200のフランジ部240に接触すると、保持治具10は、容器200を保持して容器200とともに上方向に移動する。このように、保持治具10によれば、貫通孔16の大きさが変動できることで、容器200の本体部210の大きさ自体に変動がある場合にも保持治具10の上端縁部16Bをフランジ部240に接触させた状態とすることができる。
【0043】
次に第1の実施形態の変形例について述べる。なお、以下に述べる変形例は、矛盾しない限り、相互に組み合わせられてもよい。例えば、変形例1と変形例3とを組み合わせてもよい。
【0044】
[1-3 変形例]
(変形例1)
第1の実施形態にかかる保持治具10においては、
図4A、
図4Bに示すように、保持体11は、少なくとも1つの変位子14を付勢する弾性部材22を備えてもよい。この実施形態を、第1の実施形態の変形例1と称呼する。
図4Aは、第1の実施形態の変形例1にかかる保持治具10の一実施例を示す平面図である。
図4Bは、
図4AのB-B線縦断面の状態を示す断面図である。
【0045】
(弾性部材)
図4Aに示す保持部材においては、環状に配置された変位子14から選ばれた複数の変位子14(
図4Aでは3つの変位子14)のそれぞれについて、変位子14に対応する規制壁部21の壁面21Aにおける内側領域の所定位置から奥方に向かって穿かれた穴部26が形成されている。そして、その穴部26に弾性部材22が配置されている。
【0046】
図4Aの例では、弾性部材22の配置数は、保持部材において3つ配置されているが、これは一例であり、少なくとも1つ配置されていればよい。また、弾性部材22の配置位置も特に限定されるものではない。
【0047】
(弾性部材の材質)
弾性部材22としては、
図4Bに示すように、巻きばねが採用されている。ただし、これは、弾性部材22の一例であり、弾性部材22としては、ばねの他にも、ゴム、ウレタン等を採用されてよい。また、弾性部材22は、これらの組み合わせであってもよい。また、弾性部材22に替えて磁石の組み合わせが用いられることも禁止されない。
【0048】
(作用及び効果)
第1の実施形態の変形例1においては、変位子14が第1の位置に配置されている場合、弾性部材22は、変位子14を第2の位置に向けて変位させるように矢印P方向に変位子14を付勢する(変位子14を規制壁部21から離れる方向に押し出す)。したがって、露出領域ERが増加した状態(貫通孔16の大きさが大きくなる状態)である場合には、弾性部材22は、露出領域ERが減少した状態(貫通孔16の大きさが小さくなる状態)となるように変位子14を付勢する。変位子14が第2の位置に配置されている場合には、弾性部材22の長さは自然長となっており、変位子14は弾性部材22からの押圧力が解除された状態となる。したがって、露出領域ERが減少した状態である場合には、変位子14は、弾性部材22から受けていた付勢力から解放される。すなわち、変位子14は規制壁部21から離れる方向に押し出す力を受ける状態から解放される。このように、弾性部材22は、貫通孔16の周面部16Aに露出したそれぞれの変位子14の露出領域ERが増加した場合に露出領域ERが減少するように変位子14を付勢する。そして、弾性部材22による付勢により、容器200の大きさに貫通孔16の大きさを追従させることができる。
【0049】
第1の実施形態の変形例1の保持治具10によれば、貫通孔16に容器200を配置した際に、容器200の本体部210の外周面210Aが変位子14を第2の位置から変位させて容器200が貫通孔16をおし広げても、容器200を貫通孔16から取り除くことで弾性部材22の復元力に伴い変位子14の位置を第2の位置に戻すことができる。
【0050】
(変形例2)
第1の実施形態にかかる保持治具10においては、保持体11は、少なくとも1つの変位子14の移動を制御する制御機構を備えてもよい。制御機構は、機械的な構造であっても、電気的な構造であってもよい。機械的な構造としては、ギアによる変位子14の移動の制御構造を例示することができる(図示しない)。また、電気的な構造としては、磁力の電気的制御による変位子14の移動の制御構造を例示することができる(図示しない)。
【0051】
(変形例3)
第1の実施形態にかかる保持治具10においては、
図5A、
図5Bに示すように、保持体11は、規制壁部21に第1の溝部27を有し、その規制壁部21に接触する変位子14に、第1の溝部27に対応した位置に第2の溝部28が形成されていてもよい。この場合、
図5A、
図5Bに示すように、第1の溝部27と第2の溝部28に共通しており且つ第1の溝部27と第2の溝部28に埋め込まれた規制棒29が設けられる。この実施形態を、第1の実施形態の変形例3と称呼する。
図5Aは、第1の実施形態の変形例3にかかる保持治具10の一実施例を示す平面図である。
図5Bは、
図5AのC-C線縦断面の状態を示す断面図である。
【0052】
(第1の溝部と第2の溝部)
図5Aに示す保持部材においては、環状に配置された変位子14から選ばれた複数の変位子14(
図5Aでは変位子14の配列方向に沿って1つおきに6個の変位子14)のそれぞれについて、第1の溝部27は、それぞれの変位子14に対応する規制壁部21の壁面21Aにおける上端の所定位置から受け材13の上面13Cに沿って壁面21Aから離れる方向に上面13Cの内側領域に向かって延びている。
【0053】
第2の溝部28は、それぞれの変位子14の側面14A(第1の側面14A1)における上端の所定位置から変位子14の上面14Bの内側領域に向かって延びている。壁面21Aにおける第1の溝部27の位置と側面14Aにおける第2の溝部28の位置が向かいあう位置となっており、第2の溝部28の溝底部28Aと第1の溝部27の溝底部27Aの位置がおおむね一致している。
【0054】
図5Aの例では、第1の溝部27の延びる方向は、第2の溝部28の延びる方向に一致している。また、第1の溝部27と第2の溝部28の延びる方向は、いずれもその第2の溝部28を形成した変位子14の変位方向Tに一致している(
図4の例では、第2の溝部28の延びる方向と、変位子14の底辺140の延びる方向が揃っている)。
【0055】
(規制棒)
第1の溝部27と第2の溝部28には、規制棒29が埋め込まれている。規制棒29は、第1の溝部27と第2の溝部28に共通したものとなっている。規制棒29の材質は特に限定されるものではないが、変位子14の位置を安定化させるためには、規制棒29は剛性を有するものであることが好ましい。この観点からは、規制棒29は金属製であることが好ましい。規制棒29は、第1の溝部27と第2の溝部28に共通する部材であれば、棒状態とは異なる部材であってもよい。例えば、規制棒29として使用可能な部材として、湾曲状の部材や、板状の部材が用いられてもよい。
【0056】
(作用及び効果)
第1の実施形態の変形例1においては、第1の溝部27と第2の溝部28と規制棒29を有していることで、変位子14の側面14Aと規制壁部21の壁面21Aとの向かい合う位置が、規制壁部21の壁面21Aの面方向にずれにくくなる。
【0057】
(変形例4)
第1の実施形態にかかる保持治具10においては、
図6に示すように、保持体11は、貫通孔16の周面部16Aが傾斜面30を形成していてもよい。この実施形態を第1の実施形態の変形例4と称呼する。
図6は、第1の実施形態の変形例4にかかる保持治具10の一実施例を説明するための断面図である。
図6は、貫通孔16の中央CTを通過する断面図である。なお、
図6においては、説明の便宜上、断面図においては、断面の位置に現れる部分のみを示し、その他の断面の位置から外れた部分についての記載を省略している。このことは
図7、
図8A、
図8Bについても同様であるものとする。変位子14のうち露出領域ERに対応する部分が貫通孔16の周面部16Aを形成することから、第1の実施形態の変形例4は、少なくとも変位子14のうち露出領域ERに対応する部分が傾斜面(露出領域ERの傾斜面は貫通孔16の周面部の傾斜面となる)を形成していることで実現することができる。
【0058】
(周面部の傾斜面)
傾斜面30は、貫通孔16の上端縁部16Bから下方向に向かうにつれて、貫通孔16の内側に向かって(
図6の例では中央CTに向かって)下り傾斜している。周面部16Aの傾斜面30の傾斜角度αは、特に限定されないが、上記したように保持対象物Mが容器200であり、容器200の本体が下方向に向かって先細りした形状を有する場合には、本体の先細りした形状に対応した傾斜となるように傾斜面30の傾斜角度αが定められていることが好適である。
【0059】
第1の実施形態の変形例4によれば、所定の傾斜角度αを有する傾斜面30が周面部16Aに形成されていることで、容器200の傾斜を避けた状態で容器200の本体部210の外周面210Aが貫通孔16の周面部16Aにフィットされやすくなり、保持治具10に対して容器200を傾斜させた状態で容器200が保持治具10に保持される状態が形成されにくくなる。容器200の傾斜とは、
図11に示す容器200の中心BCT(
図11においては容器200の中心BCTを一点鎖線で示す)が上下方向(Z軸方向)に対して傾斜していることを示す。
【0060】
(変形例5)
第1の実施形態にかかる保持治具10においては、
図7に示すように、保持体11は、貫通孔16の上端縁部16Bに突起31が設けられてもよい。この実施形態を第1の実施形態の変形例5と称呼する。
図7は、第1の実施形態の変形例5にかかる保持治具10の一実施例を説明するための断面図である。
図7は、貫通孔16の中央を通過する断面図である。変位子14が貫通孔16を形成することから、第1の実施形態の変形例5は、変位子14の上面14Bに突起を形成していることで実現することができる。
【0061】
図1等の例では変位子14のうち露出領域ERに対応する部分が貫通孔16の周面部16Aを形成することから、第1の実施形態の変形例5は、変位子14のうち露出領域ERに対応する部分の上端の位置で上面14Bに突起が形成されていることで、変位子14の上面14Bのうち貫通孔16の上端縁部16Bに対応した位置に突起31を形成することができる(すなわち、変位子14の上面14Bの所定位置に形成された突起が貫通孔16の上端縁部16Bの突起31に対応する)。
【0062】
第1の実施形態の変形例5によれば、変位子14の上面の所定位置に突起が形成されることで、貫通孔16の上端縁部16Bに突起31が設けられた状態を形成できる。そして、保持治具10が貫通孔16の上端縁部16Bに突起31を有していることで、後述する封止装置300において保持治具10と押圧体310との間で容器200と蓋290に押圧力が負荷された場合に、保持治具10の突起31と押圧体310との間の位置に押圧力の作用を集中させることができ、容器200と蓋290に対して局所的に強い力を及ぼすことができる。
【0063】
(変形例6)
第1の実施形態にかかる保持治具10においては、
図8A、
図8Bに示すように、保持体11は、変位子14の下面14Cに貫通孔16の周面部16Aに沿って延出された延出部32が形成されていてもよい。この実施形態を第1の実施形態の変形例6と称呼する。
図8A、
図8Bは、第1の実施形態の変形例6にかかる保持治具10の一実施例を説明するための断面図である。
図8A、
図8Bは、貫通孔16の中央CTを通過する断面図である。
【0064】
(延出部)
延出部32は、変位子14の側面14Aの下端縁と含む下面14Cの所定部分から側面14Aに沿って下方向に延び出た部分で構成されている。変位子14の側面14Aの下端縁のうち延出部32が形成されている位置は、変位子14の側面14Aのうち少なくとも貫通孔16の周面部16Aを形成する位置、すなわち露出領域ERを形成する位置であり、その位置から下方向に延び出た部分として延出部32が形成される。
【0065】
なお、ベース板12の補助孔17については、
図8A、
図8Bに示すように、延出部32が形成された部分を避けて形成されており、補助孔17の大きさは、貫通孔16よりも大きくなっている。
【0066】
第1の実施形態の変形例6によれば、貫通孔16に延出部32が形成されていることで、容器200と貫通孔16の周面部16Aとの接触面積を拡大することが可能となり、容器200を保持治具10に安定的に保持させることが容易となる。
【0067】
ただし、保持対象物Mが容器200である場合において、容器200が、その本体部210が下方向に向かって先細りした形状を有する場合には、貫通孔16に延出部32が形成されていることで、保持治具10に対して容器200を傾斜した状態で容器200が保持治具10に保持される状態のほうが、接触面積が拡大しやすくなることも考えられる。そこで、第1の実施形態の変形例6は、上記した第1の実施形態の変形例4を組み合わせられていることが好ましい。この場合、
図8Bに示すように、貫通孔16の周面部16Aが傾斜面30となっており、保持体11は、変位子14の下面14Cに周面部16Aの傾斜面30に沿って延出された延出部32が形成されることとなる。この場合、容器200の傾斜を避けた状態で容器200の本体部210を貫通孔16の周面部16Aにさらにフィットさせやすくなる。
【0068】
(変形例7)
第1の実施形態にかかる保持治具10においては、
図9A、
図9Bに示すように、保持体11の上面11Bの少なくとも一部を覆うように、保護板33が設けられていてもよい。この場合、保護板33は、変位子14の上面14Bの少なくとも一部を覆うことが好ましい。この実施形態を第1の実施形態の変形例7と称呼する。
図9Aは、第1の実施形態の変形例7にかかる保持治具10の一実施例を説明するための平面図である。
図9Bは、第1の実施形態の変形例7にかかる保持治具10の一実施例を説明するための側面図である。
【0069】
(保護板)
保護板は、保持体11の上面11B側を保護する。保護板33には、ベース板12と同様に、補助孔18が設けられており、
図9Aの例では、
図9Bに示すように、保護板33の補助孔18とベース板12の補助孔17の間の位置に貫通孔16が形成されている。保護板33の補助孔18の大きさは、貫通孔16の大きさが拡大状態である場合の貫通孔16の大きさよりも大きいことが好適である。これにより、保護板33の補助孔18の内側に変位子14の上面14Bの少なくとも一部が露出するようになるため、貫通孔16の上端縁部16Bを露出させた状態が形成され、保持対象物Mがフランジ部240を有する容器200の場合に、容器200のフランジ部240を貫通孔16の上端縁部16Bに確実に接触させることができる。
【0070】
保護板33の材質は、特に限定されないが、剛性を強める観点からは、金属であることが好ましい。
【0071】
(固定部材)
保護板33に対しては、保護板33の位置を固定する固定部材38が、
図22に示すように、前記保護板に対して着脱自在に取り付けられていることが好ましい。
図22の例では、着脱自在な固定部材38として、第1固定部材38Aが設けられている。
図22は、第1の実施形態の変形例7にかかる保持治具10の一実施例を説明するための平面図である。第1固定部材38Aは、4隅のうち3か所に設けられている。残り1箇所ついては、第2固定部材38Bが、設けられている。この第2固定部材38Bは、第1固定部材38Aのように容易に着脱できるように設けられていないことが好適である。第1固定部材38Aとしては、着脱自在に取り付け可能なネジ等を例示することができる。第2固定部材38Bとしては、カシメ止めを行うためのリベット等を例示することができる。
【0072】
なお、この場合、保護板33は、保持体11の上面側で保持体11に接着されていないことが好ましい。このような場合、固定部材38が取り外された状態で、保護板33が、保護板33の厚み方向を法線とする平面方向に変位可能となるように構成されるようになる。
図22の例では、第1固定部材38Aが取り外された状態で、保護板33が、保護板33の厚み方向を法線とする平面方向に、第2固定部材38Bを中心とした回転変位可能(
図22中、保護板33の回転方向について、矢印SL方向で示す)となるように構成される。
【0073】
(変形例8)
第1の実施形態にかかる保持治具10においては、
図14に示すように、位置決め構造35が設けられていてもよい。この実施形態を第1の実施形態の変形例8と称呼する。
図14は、第1の実施形態の変形例8にかかる保持治具10の一実施例を説明するための斜視図である。
【0074】
(位置決め構造)
位置決め構造35は、保持治具10の貫通孔16に接触する保持対象物を第1保持対象物とした場合に、第1保持対象物の上側(
図14においては+Z方向側)で第1保持対象物の上側に搭載される(第1保持対象物の上に重なり合う場合を含む)第2保持対象物の位置(平面方向の位置)を規定する機能を有する構造である。この場合、保持対象物Mは、第1保持対象物と第2保持対象物を有するようになる。なお、第2保持対象物の平面方向の位置とは、保持治具10の厚み方向(
図14においてはZ軸方向)を法線とする平面(
図14ではXY平面)の面方向を示すものとする。
【0075】
位置決め構造35の位置は特に限定されないが、
図14の例では、保持体11に位置決め構造35が設けられている。
図14の例では、位置決め構造35は、複数の凸片34の組み合わせで構成されている。凸片34は、変位子14の上面14Bから上方向に立ち上がるように設けられている。凸片34の立ち上がり方向は、真上方向でもよいし、斜め上方向でもよい。
図14の例では、凸片34の立ち上がり方向は、貫通孔16の中央から離れる方向(外側方向)に向けてやや斜め上方向に立ち上がる方向となっている。
【0076】
凸片34は、第2保持対象物を第1保持対象物に重ねた場合に、第2保持対象物の大きさに応じて矢印K1方向に広がることができることが好ましい。この場合、様々な寸法の第2保持対象物について、第1保持対象物に対する第2保持対象物の位置を規定することが容易となる。これは、例えば凸片34が、金属やプラスチックなど可撓性を有する材料で構成されていることで実現することができる。耐熱性の観点からは、凸片34は金属製であることが好ましい。これは
図15等を用いて後述するスライド部材36についても同様である。
図14では、凸片34は針金状の金属部材で形成されている。ただし、これらは一例であり、凸片34の材質及び形状を限定するものではない。
【0077】
また、凸片34は、立ち上がり方向に沿って(
図14においては矢印K2方向に沿って)進退可能に構成されていることが好ましい。進退可能とは、進出状態と退出状態とを形成することが可能であることを示す。進出状態とは、凸片34が変位子14の上面14Bからさらに上側の延び出た状態を示す。退出状態とは、凸片34が変位子14の上面14Bからさらに下側に沈み込んだ状態を示す。これは、例えば、凸片34の基端側の位置で変位子14に孔を穿設し、孔の内部に弾性材料を配置して、弾性材料と凸片34を接続し、凸片34の伸縮に応じて進出状態と退出状態が形成されるようにすることで、具体的に実現することができる。
【0078】
(位置決め構造の他例)
(他の例1)
図14では、位置決め構造35が変位子14に設けられていたが、位置決め構造35が設けられる位置及び構造はこれに限定されない。例えば、既述した第1の実施形態の変形例7に示すように、保持治具10が保護板33を有している場合には、
図15A、
図15Bに示すように、保護板33の上面側に位置決め構造35が設けられていてもよい。このような位置決め構造35を他の例1と称呼する場合がある。
図15Aは、第1の実施形態の変形例8にかかる保持治具10の一実施例を説明するための平面図である。
図15Bは、第1の実施形態の変形例8にかかる保持治具10の一実施例を説明するための側面図(
図15Aに示す保持治具10の側面図)である。
図15A、
図15Bに例示された位置決め構造35は、他の例1の一実施例であり、他の例1の内容は、
図15A,
図15Bに限定されるものではない。
【0079】
図15A、
図15Bに示す保持治具10では、保護板33の上面側(+Z方向側)で、貫通孔16の周囲の所定位置に、スライド部材36とレール37の組み合わせが複数組設けられている。スライド部材36は、レール37から上方向に立ち上がった凸状に形成されており、スライド部材36の下側でレール37に取り付けられている。スライド部材36は、レール37のレール面に沿ってスライド移動可能に構成されている。レール37は、保護板33上に固定されている。レール37のスライド方向(
図15A、
図15Bにおいて矢印K3に沿った方向)の両端は、スライド部材36が抜け出ることを抑制されるように構成されることが好ましい。具体的には、例えば、レール37の両端が閉鎖されていることが好ましい。この場合、スライド部材36の移動範囲を規制することが容易となる。このように構成されている場合においても、様々な寸法の第2保持対象物について、第1保持対象物に対する第2保持対象物の位置を規定することが容易となる。スライド部材36は、貫通孔16の中心方向に向かってバネや緩衝材などの弾性部材等で付勢されていることが好ましい。この場合、複数のスライド部材36が弾性部材で繋がっていてもよいし、個々のスライド部材36に対して弾性部材が繋がっていてもよい。
【0080】
(他の例2)
図15A、
図15Bでは、位置決め構造35の全体が保護板33の上の領域に設けられていたが、位置決め構造35が設けられる位置及び構造はこれに限定されない。
図20A、
図20B等に示すように、スライド部材36が、保護板33から貫通孔16の上側縁部18Bの位置まで延び出るように構成されていてもよい。このような位置決め構造35の例を他の例2と称呼する場合がある。
図20Aは、第1の実施形態の変形例8にかかる保持治具10の一実施例を示す平面図である。
図20Bは、
図20AのE-E線縦断面の状態を模式的に示す縦断面図である。
図20A、
図20Bに例示された位置決め構造35は、他の例2の一実施例であり、他の例2の内容は、
図20A,
図20Bに限定されるものではない。
【0081】
図20A、
図20Bの例に示す保持治具10では、
図15に示す例と同様に、位置決め構造35は、レール37とスライド部材36を備える。スライド部材36は、貫通孔16に近い方の端面部(内端面部36B)が傾斜面を有しており、内端面部36Bの上端部36Cから下端部36Aに向かって下り傾斜する。なお、内端面部36Bの下端部36A側には、変位子14に向かって下垂れした下垂部41が形成されている。下垂部41の下端が下端部36Aとなっている。下端部36Aと変位子14の上面14Bとの間に隙間が存在する場合、隙間の大きさは、保持対象物Mの厚みより小さいことが好ましい。下端部36Aと変位子14の上面14B(貫通孔16の上端縁部16B)との離間距離は、できるかぎりゼロに近いことが好ましい。ただし、このことは、下端部36Aと変位子14の上面14Bとの間に隙間が生じることを規制しない。上端部36Cは、保持治具10の平面視上、第1保持対象物及び第2保持対象物のいずれよりも外側に位置するように形成されていることが好適である。
【0082】
スライド部材36には、スライド部材36を貫通孔16の内側方向(
図20Aの例では中央CTに向かう方向)に付勢する付勢構造40が設けられていることが好ましい。付勢構造40としては、
図20Bに示すように弾性部材39を例示することができる。なお、
図20Aについては、説明の便宜上、弾性部材39の記載を省略している。弾性部材39は、ばね、ゴム等を例示することができる。
【0083】
付勢構造40は、
図20A、
図20Bの例に限定されない。例えば、
図21に示すように構成されてもよい。
図21は、第1の実施形態の変形例8にかかる保持治具10の一実施例を示す平面図である。この例では、貫通孔16の周方向に隣り合う2つのスライド部材36が弾性部材39で繋げられている。この場合においても、弾性部材39の弾性力の作用で、スライド部材36を貫通孔16の内側方向に付勢することができる。
【0084】
【0085】
図30A、
図30Bの例に示す保持治具10では、保護板33の上面側(+Z方向側)に位置決め構造35が設けられている。位置決め構造35は、複数の回転部材43を備える。この例に示す保持治具10では、回転部材43に応じて支軸42を備えられている。また、この例に示す保持治具10では、保護板33の上の領域に、支軸42を配置させている。支軸42は、回転部材43を支えている。この例では、支軸42は、支軸42の上端側の部分で構成される頭部47から回転部材43の軸受け48の孔部48Aを貫通し、保護板33に到達する構造となっている。
図30A、
図30Bの例では、支軸42は、保護板33に固定されている。支軸42の先端42A側(-Z方向側)の所定部分が保護板33に進出しており、支軸42のうち保護板33に進出した部分が、保護板33に固定されている。このとき、支軸42のうち保護板33に進出した部分を保護板33に固定する方法は、特に限定されない。例えば、支軸42の先端(下端)から所定の位置(上側に向かった所定の位置)までの外周面の部分にネジ構造を形成して(いわゆる半ネジ)、保護板33にネジ構造を形成した部分の少なくとも一部を螺合させることで支軸42のうち保護板33に進出した部分が保護板33に固定されてよい。
【0086】
(回転部材)
図30A、
図30Bの例では、回転部材43は、支軸42を軸として回転可能になっている。また、回転部材43は、上下に貫通した孔部48Aを有する軸受け48と、軸受け48の外周面の上端側の所定位置に繋がっており且つ軸受け48から離れる方向に延び出たアーム44と、アーム44の先端部44Aから下垂するピン45を有する。回転部材43の配置は、前述した第2保持対象物の位置を規定する機能を発揮できれば特に限定されない。
図30Aの例では、貫通孔16の外側で隣り合うように2つの回転部材の組み合わせが2組(回転部材43Aと回転部材43Bの組み合わせ、及び回転部材43Cと回転部材43Dの組み合わせ)(すなわち4つの回転部材43)配置されている。1組の回転部材43の組み合わせ(回転部材43Aと回転部材43Bの組み合わせ)と他の1組の回転部材43の組み合わせ(回転部材43Cと回転部材43Dの組み合わせ)は、貫通孔16の外周に沿った位置において貫通孔16の中央CTを挟んで反対側の位置(
図30Aの例では、-X方向側と+X方向側)となるように配置されている。それぞれの回転部材43、43の組み合わせは、一方の回転部材43の回転方向K4と他方の回転部材43の回転方向K4が互い逆向きになるように構成されている。例えば、回転部材43Aと回転部材43Bの組み合わせを例とすると、回転部材43Aが+K4方向に回転すると回転部材43Bが-K4方向に回転する。回転部材43Aが-K4方向に回転すると回転部材43Bが+K4方向に回転する。これにより、回転部材43Aと回転部材43Bは、それぞれのピン45が互いに近づくように回転することができ、また、それぞれのピン45が互い遠ざかるように回転することができる。回転方向K4が互い逆向きになるような回転動作を行うことができる点は、回転部材43Cと回転部材43Dの組み合わせについても同様である。
【0087】
(ギア)
回転方向K4が互い逆向きになるような回転動作を行うための構造は、特に限定されない。
図30Aの例では、ギア46,46のかみ合い構造によって実現されている。例えば、回転部材43A、43Bの組み合わせを例とした場合に、回転部材43Aの軸受け48の下端側にギア46が固定されており、回転部材43Bの軸受け48の下端側にもギア46が固定されている。回転部材43A、43Bに配置されたギア46、46がかみ合うことで、互いに逆向きに回転するように構成される。ギア46の構成は、回転部材43Cと回転部材43Dの組み合わせについても同様である。
【0088】
回転部材43においては、ピン45が設けられているが、ピン45の下端(先端45A)は、保護板33の上面よりも下側且つ変位子14の上面14Bよりもやや上側に位置していることが好適である。
【0089】
また、ピン45は、アーム44との接続部分から先端45Aに向かって中央CTに向かって斜め下方向に延び出ているが、これは一例である。例えば、ピン45は、鉛直下向きに延び出ていてもよい。また、ピン45は、部分的又は全体に屈曲又は湾曲していてもよい。
【0090】
(アームの回転範囲)
回転部材43におけるアーム44の回転範囲(矢印K3方向に沿った回動角度の最大値)は特に限定されない。例えば、保持治具10の平面視上、ピン45の先端45Aが保護板33の補助孔18の形成領域内に収まる範囲となる範囲でアーム44の回転範囲が定められてもよい。また、ピン45の先端45Aが保護板33の補助孔18の形成領域外に出るような範囲でアーム44の回転範囲が定められてもよい。アーム44の先端部44Aが最も中央CTに近づいた位置となった場合におけるアーム44の位置は、特に限定されない。
図30A、
図31、
図32A等の例では、回転部材43,43の組み合わせごとに位置決めがなされている。例えば、回転部材43Aのアーム44と回転部材43Bのアーム44の位置決めについては、前述した第2保持対象物を第1保持対象物の上側に配置する際に、回転部材43Aのアーム44と回転部材43Bのアーム44が第2保持対象物の大きさに応じてそれぞれ+K4方向、-K4方向に沿った方向に回転できるように、回転部材43Aのアーム44と回転部材43Bのアーム44の位置決めがなされている。なお、
図30A、
図31、
図32A等の例では、第1保持対象物を貫通孔16の上端縁部16Bで保持する場合についても、回転部材43Aのアーム44と回転部材43Bのアーム44は、第1保持対象物の大きさに応じてそれぞれ+K4方向、-K4方向に沿った方向に回転できる。アーム44の位置決めは、回転部材43Cのアーム44と回転部材43Dのアーム44についても同様である。
【0091】
回転部材43は、アーム44の先端部44Aが貫通孔16の中央CTに近づく方向に回転するように、付勢されていることが好ましい。この場合、第1保持対象物及び第2保持対象物を保持治具10で保持した場合に、アーム44の先端部44Aが貫通孔16の中央CTから遠ざかるように回転部材43が回転しても、第1保持対象物及び第2保持対象物を保持治具10から取り除かれることで、回転部材43は、アーム44の先端部44Aが貫通孔16の中央CTに近づく方向に回転し、おおむね元の位置に戻ることができる。
【0092】
(逃げ部)
ピン45の先端45Aが保護板33の補助孔18の形成領域外に出るような範囲でアーム44の回転範囲が定められている場合には、
図31、
図32A等に示すような逃げ部49が形成されていることが好ましい。この場合、ピン45の先端45Aが保護板33の上面よりも下側に位置していたとしても、回転部材43の回転に伴ってピン45の先端45Aが保護板33に衝突してしまう虞を避けることができる。
図31、
図32Aの例では、逃げ部49は、保持治具10の平面視上、円弧状の切り込み部で形成されているが、これは一例であり、逃げ部49の構造はこのような例に限定されるものではない。また、逃げ部49の大きさは、第1保持対象物や第2保持対象物の大きさ等の条件に応じて適宜定められよい。
【0093】
(延出部)
位置決め構造35には、
図32A、
図32Bの例に示すように、回転部材43に支軸42から離れる方向に延び出た延出部として第1延出部50と第2延出部51とが設けられていることが好ましい。
図32A等の例では、第1延出部50と第2延出部51は、ギア46の外周端に形成されており、ギア46の歯よりも外側に突出した部分となっている。第1延出部50は、後述する突部材410に接触した場合にアーム44の先端部44Aが貫通孔16の中央CTから離れる方向に回転するような位置に形成されている。第2延出部51は、アーム44の先端部44Aが貫通孔16の中央CTに近づく方向に回転する場合に、回転規制部材52に接触するような位置に形成されている。したがって回転規制部材52は、第2延出部51に接触できるような位置に配置されている。回転部材43のアーム44の先端部44Aが貫通孔16の中央CTに近づく方向に回転する場合に、回転部材43の回転は第2延出部51と回転規制部材52との接触する位置で停止することができる。
図32Aの例では、第1延出部50と第2延出部51は、回転部材43B、43Dに設けられており、回転部材43A、43Cはギア46の動きを介して回転部材43B、43Dの回転動作に連動するため、回転部材43A、43Cの回転範囲は回転部材43B、43Dの回転の規制に応じて規制される。
【0094】
(他の例3の位置決め構造の作動機構)
上記他の例3に説明した位置決め構造35を有する保持治具10によれば、保持治具10に第1保持対象物を配置した場合に、回転部材43、43の組み合わせを構成するそれぞれの回転部材43は、互いのピン45の位置が離れるように互いに逆向きに回転する。例えば、回転部材43Aのピン45が+K4方向に回転し、回転部材43Bのピン45が-K4方向に回転する。また、回転部材43Cのピン45が+K4方向に回転し、回転部材43Dのピン45が-K4方向に回転する。
図30A、
図31及び
図32A等の例では、回転部材43,43の組み合わせにおいて回転部材43はギア46で連動するため、第1保持対象物の外径に応じた位置でそれぞれの回転部材は同時に停止する。
【0095】
そして第1保持対象物の上側に第2保持対象物を配置すると、複数の回転部材(
図30A、
図31及び
図32A等の例では回転部材43A、43B、43C、43D)に設けられた複数のピン45によって第1保持対象物のおおむね直上の位置に誘導される。こうして、他の例3に説明した位置決め構造35を有する保持治具10によれば、位置決め構造35が回転部材を有することによって第2保持対象物の位置決めを実現することができる。
【0096】
なお、変形例8で説明した位置決め構造35は、保持治具10とは異なる保持治具に適用されてもよい。例えば、保持治具として、保持治具10と異なり、貫通孔の径が特定の径に定められているもの(定径タイプと呼ぶ)を準備し、定径タイプの保持治具に対して位置決め構造35が設けられていてもよい。
【0097】
(他の例4)
位置決め構造35は、
図40A及び
図40Bに示すような構造を有してもよい。このような位置決め構造35の例を他の例4と称呼する場合がある。
図40Aは、第1の実施形態の変形例8にかかる保持治具10の一実施例を示す平面図である。
図40Bは、
図40AのH-H線縦断面の状態を模式的に示す縦断面図である。
図40A、
図40Bに例示された位置決め構造35は、他の例4の一実施例であり、他の例4の構成は、
図40A、
図40Bに示す例に限定されるものではない。なお、
図40に示す変形例10にかかる保持治具10の例では、受け材13が省略されているがこれは一例である。
図40B、
図40Cにおいて、符号71は、受け材13の省略に応じて生じる隙間空間である。
【0098】
(ピン)
図40A、
図40Bの例に示す保持治具10では、ここに示す例では、保持体11に位置決め構造35が設けられている。
図40Aの例では、位置決め構造35は、複数のピン55の組み合わせを有する。ピン55は、柱状に形成されており、ピン55の長手方向がおおむね保持体11の上下方向に沿うように配置されていることが好ましい。ただし、これは一例であり、ピン55の長手方向は、上下方向に沿う方向でもよいし、上下方向に対して斜めの方向でもよい。また、保持体11の平面視上、ピン55は、変位子14の上面14B内の所定位置に配置されており、変位子14とともに変位する。また、ピン55は、上端55Aが変位子14の上面14Bよりも上側に位置することができるように配置されている。なお、ピン55は、それぞれが同じ長さとなるように形成してもよいし、異なる長さとなるように形成しても良い。
【0099】
(出し入れ口)
位置決め構造35では、変位子14は、ピン55の上端55A側の所定部分を上下に挿通させる出し入れ口57となる開口が形成されている。出し入れ口57の大きさは、おおむねピン55の外周面の大きさよりもやや大きい寸法に形成されている。ピン55は、出し入れ口57から上下方向に変位となっている。
【0100】
(取付穴)
位置決め構造35では、変位子14は、変位子14の下面14Cの所定位置に、後述する受け部材60を取り付けるための取付穴58が設けられている。
【0101】
(受け部材)
位置決め構造35では、受け部材60が設けられている。受け部材60が取付穴58にはめ込まれている。また、
図40の例では、受け部材60は、固定部材59で変位子14に固定されている。固定部材59としては、ネジ等を例示することができる。受け部材60は、その上面を開口させ且つその開口から内部に(奥方に向かって)空間61を形成した形状に形成されている。保持体11の平面視上、受け部材60の開口62が出し入れ口57に位置している。
【0102】
(上下動機構)
他の例4では、ピン55の上下動を行う上下動機構が設けられている。上下動機構は、特に限定されるものではないが、構造の簡易性の観点からは、ピン55を上方向に付勢力を付与する付勢構造(ピン用付勢構造63と称呼することがある)が採用されていることが好ましい。ピン用付勢構造63としては、ピン55に付勢力を作用させることができる構造であれば特に限定されないが、
図40に示すような構造を例示することができる。ピン用付勢構造63は、下方向の押圧力によってピン55が下方向に押し下げられた後、押圧力が解除された場合に、ピン55が上方向に移動するように構成されたものを例示することができる。
図40Bに示す例では、ピン用付勢構造63は、弾性部材56を有する。弾性部材56は、ピン55の下端55Bと受け部材60の空間61の底面64との間に配置されており、弾性部材56の下端が、底面64上に配置され、弾性部材56の上端が、ピン55の下端に配置されている。弾性部材56としては、
図40Bの例では巻きバネ等のバネ材が用いられているが、これは一例である。弾性部材56は、ピン55が下方向に押し下げられた状態で、上方向にピン55を付勢する。
【0103】
他の例4によれば、第2保持対象物を配置すると複数のピン55で第2保持対象物の一が定められる。例えば、第2保持対象物が蓋である場合、蓋の外周縁がピン55に接触して、ピン55の位置に応じて蓋の位置が定められる。また、他の例4によれば、ピン55に対して下方向に押圧力が負荷された場合に、
図40Cに示すように下方向(
図40Bにおいて矢印FD方向)に押し下げられることができる。
図40Cは、ピン55が下方向に押し下げられた状態の例を示す断面図である。ピン55が下方向に押し下げられた状態では弾性部材56からピン55に対して上方向に応力が付与されており、ピン55に対して下方向に負荷された押圧力が取り除かれた場合、弾性部材56からピン55に付与された上方向の付勢力により、ピン55が上方向に押し上げられる。したがって他の例4によれば、保持治具を設けた後述するシーリング装置において、押圧体が第2保持対象物を第1保持対象物に押しあてるように押圧体と保持治具との離間距離が近づけようとする場合に、ピン55が下方向に押し下げられることができるため、ピン55が押圧体と保持治具10との接近を邪魔してしまう虞を抑制することができる。
【0104】
(上側移動規制構造)
他の例4においては、ピン55が上方向に押し上げられる場合に、
図42Aに示すように、ピン55が押し上げられる上限位置を規定する上側移動規制構造67が設けられてもよい。
図42では、上側移動規制構造67は、ピン55の下端側にピン55の長手方向を視線方向として外側方向に広がる鍔部65を形成し、鍔部65の外径と受け部材60の開口62の径を出し入れ口57の径よりも大きくすることで庇部66を形成することで構成される。このような上側移動規制構造67によれば、ピン55が上方向に押し上げられても、ピン55の鍔部65が出し入れ口57の下側で変位子14の下面14Cのうち庇部66に接触した状態となると、ピン55の上方向への変位が停止する。
【0105】
(他の例5)
位置決め構造35では、
図41A、
図41B及び
図41Cに示すような構造を有してもよい。このような位置決め構造35の例を他の例5と称呼する場合がある。
図41Aは、第1の実施形態の変形例8にかかる保持治具10の一実施例を示す平面図である。
図41Bは、
図41AのI-I線縦断面の状態を模式的に示す縦断面図である。
図41Cは、
図41CのJ-J線縦断面の状態を模式的に示す縦断面図である。
図41A、
図41B、及び
図41Cに例示された位置決め構造35は、他の例5の一実施例であり、他の例5の構成は、
図41A、
図41B、及び
図41Cに示す例に限定されるものではない。なお、
図41に示す変形例10にかかる保持治具10の例では、受け材13が省略されているがこれは一例である。
図41Bにおいて、符号71は、受け材13の省略に応じて生じる隙間空間である。
【0106】
図41A、
図41B、及び
図41Cの例に示す保持治具10では、保持体11に位置決め構造35が設けられている。
図41の例では、位置決め構造35は、他の例4と同様に、複数のピン55の組み合わせ、受け部材60及び弾性部材56を有する。ピン55の形状は、他の例4と同様でよいため、説明を省略する。他の例5では、他の例4と同様に、保持体11の平面視上、ピン55は、変位子14の上面14B内の所定位置に、上下方向に変位可能に配置されている。
【0107】
(出し入れ用貫通孔)
位置決め構造35では、変位子14は、ピン55の上端55A側の所定部分を上下に挿通させる出し入れ口57を形成する出し入れ用貫通孔(第1の出し入れ用貫通孔68)が形成されている。第1の出し入れ用貫通孔68は、保持体11の平面視上、長形状に形成された、いわゆる長孔状となっており、
図41の例では面取り長方形状に形成されている。第1の出し入れ用貫通孔68の長手方向は、変位子の変位方向に整合していることが好ましい。この場合、変位子14の変位が生じても変位子14に連動してピン55が移動することを抑制することができる。
【0108】
また、位置決め構造35では、ベース板12においてもピン55を上下に挿通させる出し入れ口57を形成する出し入れ用貫通孔(第2の出し入れ用貫通孔69)が形成されている。保持体11の平面視上、第2の出し入れ用貫通孔69は、第1の出し入れ用貫通孔68に対しておおむね重なる位置となるように位置合わせされている。ピン55は、第1の出し入れ用貫通孔68及び第2の出し入れ用貫通孔69の両方を挿通した状態で上下方向に変位可能となるように取付られている。
【0109】
(受け部材)
位置決め構造35では、受け部材60が設けられている。受け部材60は、第4の例でも示すように、その上面を開口させ且つその開口62から内部に(奥方に向かって)空間61を形成した形状に形成されている。保持体11の平面視上、受け部材60の開口62が第2の出し入れ用貫通孔69の位置におおむね重なり合うような位置となるように受け部材60が位置あわせされている。受け部材60は、ベース板12の底面に取り付けられている。また、
図40の例では、受け部材60は、固定部材59でベース板12に固定されている。固定部材59としては、ネジ等を例示することができる。
【0110】
(上下動機構)
他の例5では、ピン55の上下動を行う上下動機構が設けられている。他の例5における上下動機構は、他の例4と同様に構成されてよい。すなわち、他の例5における上下動機構は、ピン55を上方向に付勢力を付与するピン用付勢構造63が採用されていることが好ましい。
図41B、
図41Cに示す例では、ピン用付勢構造63は、弾性部材56を有する。弾性部材56は、ピン55の下端55Bと受け部材60の空間61の底面64との間に配置されており、弾性部材56の下端が、底面64上に配置され、弾性部材56の上端が、ピン55の下端55Bに配置されている。弾性部材56としては、
図40Bの例では巻きバネ等のバネ材が用いられているが、これは一例である。弾性部材56は、ピン55が下方向に押し下げられた状態で、上方向にピン55を付勢する(上方向に応力を負荷する)。したがって、
図41に示すように、ピン用付勢構造63は、下方向の押圧力によってピン55が下方向に押し下げられた後、押圧力が解除された場合に、ピン55が上方向に移動するように構成される。
【0111】
他の例5によれば、第2保持対象物を配置すると複数のピン55で第2保持対象物の一が定められる。例えば、第2保持対象物が蓋である場合、蓋の外周縁がピン55に接触して、ピン55の位置に応じて蓋の位置が定められる。
【0112】
(上側移動規制構造)
他の例5においては、ピン55が上方向に押し上げられる場合に、
図42Bに示すように、ピン55が押し上げられる上限位置を規定する上側移動規制構造67が設けられてもよい。
図42では、上側移動規制構造67は、ピン55の下端55B側にピン55の長手方向を視線方向として外側方向に広がる鍔部65を形成し、さらに庇部70を形成することで構成される。他の例5における庇部70は、鍔部65の外径と受け部材60の開口62の径を出し入れ口57のうちの第2の出し入れ用貫通孔69の径よりも大きくすることで、ベース板12の底面に形成される。このような上側移動規制構造67によれば、ピン55が上方向に押し上げられても、ピン55の鍔部65が第2の出し入れ用貫通孔69の下側でベース板12の底面の庇部70に対応した部分に接触した状態となると、ピン55の上方向への変位が停止する。
【0113】
(変形例9)
第1の実施形態にかかる保持治具10においては、
図43A、
図43Bに示すように、弾性部材72を変位子14に取り付けた構成を備えてもよい。このような形態を、第1の実施形態の変形例9と称呼する。
図43Aは、第1の実施形態の変形例9にかかる保持治具10の一実施例を示す平面図である。
図43Bは、ベース板12の上面12A上に配置された変位子14に弾性部材72を取り付ける構造の一実施例を模式的に説明するための要部を示す図である。
【0114】
図43A、
図43Bに示す変形例9にかかる保持治具10の例では、受け材13が省略されているが、これは一例である。また、ここに示す一例では、隣り合う変位子14に対して向かい合う面(互いに接する可能性がある面)(第1の側面14A1)を除く面(第2の側面14A2)の所定位置に掛け止め部材73が設けられている。
図43の例では、変位子14のうち底辺140に対応する部分の面(第2の側面14A2)に掛け止め部材73が設けられている。掛け止め部材73の形状は、
図43の例では、頭部73Aと胴部73Bを有するネジ状に形成されている。また、弾性部材72は両端に取り付け部として例えば
図43A、
図43Bには環状部74A、74Bが設けられており、弾性部材72の一方端側の環状部74Aが掛け止め部材73に掛け止めされている。環状部74A、74Bは、一例であり、弾性部材72を変位子に取り付けることができる構造であれば特に限定されない。また、
図43A、
図43Bには、弾性部材72として、巻きバネ等のバネ材が例示されている。ベース板12の所定位置にも掛け止め部材75が設けられており、弾性部材72の他方端側の環状部74Bが掛け止め部材75に掛け止めされている。
図43の例では、ベース板12の上の掛け止め部材75の位置は、
図43Aの破線で示すように貫通孔16が広がるように変位子14が変位した場合に、弾性部材72が延ばされるような位置に定められる。この場合、貫通孔16が拡がるように変位子14が変位する(
図43Aの例では、中央CTの位置から離れるように変位子14が移動する)に伴って、弾性部材72が延ばされ、弾性部材72に復元力(元の長さに戻ろうとする力)が生じ、変位子14に対して貫通孔16が狭まるように(貫通孔16が拡がる前の状態に対応した位置に変位子14が戻るように)、弾性部材72から変位子14に対して応力が負荷される。
【0115】
(変形例10)
第1の実施形態の変形例9にかかる保持治具10においては、
図44に示すように、弾性部材72を変位子14に取り付けた位置とベース板12の上の掛け止め部材75の位置は、貫通孔16が広がるように変位子14が変位した場合に、弾性部材72が縮められるような位置に定められてもよい。このような形態を、第1の実施形態の変形例10と称呼する。
図44は、第1の実施形態の変形例10にかかる保持治具10の一実施例を示す平面図である。この場合、
図44の破線で示すように、貫通孔16が広がるように変位子14が変位するに伴って、弾性部材72が縮められ、それに伴い弾性部材の復元力が生じ、変位子14に対して貫通孔16が狭まるように、弾性部材72から変位子14に応力が負荷される。なお、
図44に示す変形例10にかかる保持治具10の例では、受け材13が省略されているがこれは一例である。
【0116】
(変形例11)
第1の実施形態の変形例7にかかる保持治具10においては、
図45A、
図45Bに示すように、変位子14の上面14Bにおける保護板33の補助孔18の内側に露出した露出領域内に段差77が形成されてもよい。このような形態を第1の実施形態の変形例11と称呼する。
図45Aは、第1の実施形態の変形例11にかかる保持治具10の一実施例を模式的に示す平面図である。
図45Bは、
図45AのK-K線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【0117】
変形例7にかかる保持治具10においては、変位子14の上面14Bに段差77が形成され、段差77を境界として変位子14の上面14Bが、段差77の下側部78の領域AR1と段差77の上側部79の領域AR2に区分されている。変位子14のうち段差77の下側に対応する部分である下側部78にあたる上面14Bの部分(領域AR1の部分)の位置は、保護板33の下面33B(底面)位置よりも下側の位置となっている。また、変形例7にかかる保持治具10においては、
図45A、
図45Bに示すように、変位子14のうち段差77の上側に対応する部分である上側部79にあたる上面14Bの部分(領域AR2の部分)の位置が、保護板33の下面33B(底面)位置よりも上側の位置となっている。このような段差77が設けられていることで、変位子14が貫通孔16を広げるように変位した場合(
図45Aにおいて、例えば破線で示す変位子14の位置から実線で示す変位子14の位置に矢印FH方向に変位した場合)に、変位子14の段差77が保護板33の内側面33Cに接触する位置で変位子14の変位を停止させることができ、貫通孔16の大きさの上限を規定することができる。また、変位子14の上側部79の上面14Bの位置は、保護板33の上面33Aの位置におおむね揃えられていることが好ましい。
【0118】
保持治具10の平面視上、段差77は、補助孔18の縁形状に整合するような形状に形成されていることが好ましい。
【0119】
また、ベース板12には上面12A側における変位子14よりも外側の所定位置に、保護板33を固定するためのボス孔81を有するボス部80が立設されている。保護板33は、ボス部80の上面80Aに支えられるように配置されている。ボス部80は、保護板33とベース板12との間の距離を確保するスペーサとして機能することができる。保護板33にはボス部80に対応する位置に固定部材82を挿通するための孔部83が設けられている。ネジ等の固定部材82は、孔部83を挿通し、ボス孔81に嵌めこまれている。変位子14のうち下側部78に対応する部分の少なくとも一部は、
図45Bに示すように、保護板33とベース板12との間に挟まれており、変位子14が上下方向に移動すること(上下方向にぐらつくこと)が規制される。
【0120】
なお、
図45A、
図45Bに示す変形例11にかかる保持治具10の例では、受け材13が省略されているがこれは一例である。
【0121】
(変形例12)
第1の実施形態の変形例7にかかる保持治具10においては、
図46A、
図46B及び
図46Cに示すように、変位子14の下面14C側に変位子14の変位方向を規制する変位ガイド構造85が設けられてもよい。このような形態を第1の実施形態の変形例12と称呼する。
図46Aは、第1の実施形態の変形例12にかかる保持治具10の一実施例を模式的に示す平面図である。
図46Bは、
図46AのL-L線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図46Cは、
図46AのM-M線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図46Aにおいて、矢印FH方向に沿って変位子14が外側方向に(
図46Aにおいて中央CTから離れる方向に)変位した場合の変位子14の例を破線で示す。また、
図46Cにおいて、矢印FH方向に沿って変位子14が外側方向に(
図46Aにおいて中央CTから離れる方向に)変位した場合の変位子14の例を破線で示す。
【0122】
(変位ガイド構造)
変位ガイド構造85は、ベース板12に設けられた長孔部86と、変位子14の下面14C側に設けられた脚部87を有する。長孔部86は、その長手方向が変位子14の変位方向(
図46A、
図46Cの例では、矢印FHの方向(この方向は変位子14ごとに特定される))におおむね揃えられているように形成されていることが好ましい。脚部87は、長孔部86に対応した位置に複数の脚材88を有しており、複数の脚材88は、おおむね長孔部86の長手方向に沿って並べられている。
図46Bの例では、2つの脚材88が長孔部86の長手方向に沿って並べられている。脚材88の形状は長孔部86の長手方向に沿って変位可能であれば特に限定されないが、
図46Aから
図46Cの例では脚材88は、柱状体に形成されている胴部88Bを有し、胴部88Bの下端に鍔部88Aを形成している。脚材88の上端側は、変位子14に固定されている。
図46Aから
図46Cの例では、脚材88の胴部88Bには、その上端から下側に向かった所定の部分にネジ溝が形成されている。また、変位子14の下面14C(底面)には、胴部88Bのうちネジ溝の形成部分の少なくとも一部が嵌めつけられている(螺合されている)。変位ガイド構造85が設けられている場合、脚部87は長孔部86内の空間を、
図46Cに示すように矢印FH方向に変位することができ、変位子14の変位をこの方向に規制することができるようになる。
【0123】
(リング材)
脚部87は、胴部88Bの周囲を周回するように配置されたリング材89が設けられていることが好ましい。リング材89は脚材88の鍔部88Aと変位子14の下面14Cとの間に配置されている。また、リング材89は胴部88Bの周囲で回転可能に設けられている。このようなリング材89が設けられている場合、脚部87は長孔部86内の空間をよりなめらかに、
図46Cに示すように矢印FH方向に変位することができることができるようになる。
【0124】
(変形例13)
第1の実施形態の変形例7にかかる保持治具10においては、
図47A、
図47Bに示すように、保持治具10の外周部10Aを取り巻き且つ外周部10Aを被覆するように緩衝性を有する被覆材90(外周被覆材)が設けられてもよい。このような形態を第1の実施形態の変形例13と称呼する。
図47A、
図47Bは、第1の実施形態の変形例13にかかる保持治具10の一実施例を模式的に示すそれぞれ平面図、側面図である。
【0125】
第1の実施形態の変形例13にかかる保持治具10では、被覆材90の材質は、緩衝性を有するものであれば特に限定されないが、ゴム材、シリコン材、ウレタン材等を例示することができる。
図47A等にも示すように、被覆材90は、保持治具10の外周部10A及び保持治具10の上面側(
図47Aの例では保護板33の上面33A)の端縁からやや上面の内側(保持治具10の平面視上における内側)の所定位置まで被覆していることが好ましい。また、被覆材90は、さらに保持治具10の下面側(
図47Aの例ではベース板12の下面12B)の端縁からやや下面の内側(保持治具10の平面視上における内側)の所定位置まで被覆していることが好ましい。なお、保持治具10においては、被覆材90は、保護板33とベース板12に接触し、変位子14には非接触となるように設けられている。このため、被覆材90が、変位子14の変位を妨げる虞が低減されている。
【0126】
変形例13にかかる保持治具10によれば、被覆材90が設けられていることで、保持治具10が落下して他の物に接触した場合に他の物を傷つける虞をより低減することができ、また、保持治具10の破損の虞を低減することができる。変形例13にかかる保持治具10によれば、保持治具10を運搬する場合等においても、保持治具10の破損の虞を低減することができる。
【0127】
(変形例14)
第1の実施形態にかかる保持治具10においては、
図48A、
図48Bに示すように、変位子14の少なくとも一部について、変位子14に溝92が設けられてもよい。このような形態を第1の実施形態の変形例14と称呼する。
図48Aは、第1の実施形態の変形例14にかかる保持治具10の一実施例を模式的に示すそれぞれ平面図である。
図48Bは、ベース板12の上面12Aに変位子14を配置した状態の一実施例を模式的に示す図である。
【0128】
(溝)
第1の実施形態の変形例14にかかる保持治具10においては、変位子14には、側面14A、上面14B及び下面14Cの少なくとも一つの面の少なくとも一部に、溝92が形成されている。
【0129】
図48A、
図48Bの例では、変位子14の上面14Bに溝92として第1の溝93が形成されている。第1の溝93は、上面14Bのうち貫通孔16の上端縁部16Bに対応する部分から外れた部分に形成されていることが好ましい。上端縁部16Bに汚れ物質が付着しても汚れ物質を外側に流れやすくする観点からは、第1の溝93の長手方向が変位子14の変位方向に沿って延びていることが好ましい。
【0130】
また、
図48A、
図48Bの例では、変位子14の側面14Aに溝92として第2の溝94が形成されている。変位子14の側面14Aには、なだらかに凸状に湾曲した凸状山形部95が上下方向に複数並ぶように形成され、隣り合う凸状山形部95の間に第2の溝部が形成されていることが好ましい。この場合、第2の溝94は、側面14Aにおいて横方向に延びる横溝として形成されている。また、側面14Aのうち貫通孔16を形成する面には第2の溝94の形成が避けられていることが好ましい。
【0131】
(変形例15)
第1の実施形態の変形例7にかかる保持治具10では、保持体11の上面11Bの少なくとも一部を覆うように、保護板33が設けられていていた。このような第1の実施形態の変形例7にかかる保持治具10においては、
図49A、
図49Bに示すように、保護板33の所定の位置に、保護板33の厚み方向(
図49A、
図49Bでは上下方向)に保護板33を貫通する小貫通部96が設けられてもよい。このような形態を、第1の実施形態の変形例15と称呼する。
図49Aは、第1の実施形態の変形例14にかかる保持治具10の一実施例を示す平面図である。
図49Bは、第1の実施形態の変形例14にかかる保持治具10の一実施例を示す平面図である。なお、
図49A、
図49Bの例では、受け材13が省略されているがこれは一例である。
図49Bにおいて、符号71は、受け材13の省略に応じて生じる隙間空間である。
【0132】
(小貫通部)
小貫通部96は、保護板33を貫通する部分であり且つ1つの変位子よりも開口サイズが小さい部分となっている。小貫通部96について1つの変位子よりも開口サイズが小さいとは、保持治具10の平面視上、小貫通部96から変位子14の上面14Bが完全に露出することがない程度に小貫通部96の大きさが小さいことを示す。少なくとも一部の小貫通部96は、保持治具10の平面視上、変位子14の上面14Bの少なくとも一部に重なりあうことができるような位置に配置されている。また、小貫通部96のレイアウトは、保持治具10の平面視上、配置された全ての変位子14が少なくとも一つの小貫通部96を介して変位子14の上面14Bの少なくとも一部を上方に露出させることができるようなレイアウトであることが好ましい。小貫通部96は、
図49Aの例では円孔として形成されているが、これは一例である。小貫通部96は、非円形状の孔でもよいし、スリット状に形成されてもよい。保持治具10が小貫通部96を備えることで、保持治具10の内部で変位子14に汚れが付着しても、水などの洗浄液を保持治具10の上面側から注ぐことで小貫通部96を通って変位子14の上面14Bに洗浄液等を流れ込ませることができ、変位子14を効果的に洗浄することができる。
【0133】
(目隠し板)
第1の実施形態の変形例15にかかる保持治具10においては、小貫通部96を上面側から覆う目隠し板97が設けられていることが好ましい。目隠し板97は、保護板33に対して取り外し自在に設けられていることが好ましい。このような目隠し板97が設けられていることで、保持治具10の上面からゴミなどが小貫通部96に落下する虞を抑制することができる。目隠し板97の材質は特に限定されないが、軽量性の観点からはプラスチックが好ましく、強度の観点からは金属材料が好ましい。また、目隠し板97の形状は、小貫通部96を覆うことができるような形状であれば特に限定されないないが、保護板33に対して相対的に保護板33の面方向に位置ずれ等の移動が生じにくいようにする観点からは、
図49A、
図49Bに示すように、おおむね保護板33の形状と同様の形状であることが好ましい。
【0134】
次に、第2の実施形態について述べる。第2の実施形態は、第1の実施形態で説明した保持治具10を用いた封止装置300である。
【0135】
[2 第2の実施形態]
[2-1 封止装置の構成]
第2の実施形態にかかる封止装置300は、
図10に示すように、押圧体310と、第1の実施形態で説明した保持治具10と、を備える。
図10は、第2の実施形態にかかる封止装置の一実施例を示す側面図である。なお、
図10では、説明の便宜上、変位子14やベース板12等の記載を省略する。
【0136】
封止装置300は、押圧体310と保持治具10を支持する支持体320を有し、支持体320には、保持治具10を上下させる上下運動機構(
図10において矢印F方向に移動させる運動機構)が設けられている(
図10には図示しない)。上下運動機構は、例えば、押圧体310に関して後述する
図28A等に示すようなギアとラックの組み合わせ構造などを例示することができる。ギアの動きは、
図28A等のようにレバーの動きによって制御されてもよいし、モーター等で制御されてもよい。保持治具10は、連結材330を介して支持体320の上下運動機構に繋がっている。連結材330の材質は、保持治具10を十分に支持できるものであれば特に限定されないが、金属等の剛性を有するものでることが好適である。保持治具10は、押圧体310から所定距離下側(-F方向側)に離れた所定位置(下側位置)を初期状態の位置として、押圧体に向けて、押圧体に対して上側(+F方向側)に近づいた所定位置(上側位置)まで移動する。下側位置と上側位置は、保持対象物Mの内容等に応じて予め定められてよい。
【0137】
図10の例に示す押圧体310は、保持治具10の直上に位置しており、支持体320の上方側で支持体320に固定されている。押圧体310は、加熱機構を設けられていてもよい。この場合、封止装置300は、ヒートシール装置として機能する。押圧体310は、押圧面310Aを有しており、押圧面310Aが保持治具10に向かい合う。そして保持対象物Mは、押圧面310Aと保持治具10との間で押圧力を受ける。このとき押圧体310が加熱機構を有している場合には、保持対象物Mを加熱することができる。加熱機構は、押圧体310を加熱可能なものであればよい。例えば、加熱機構としてはヒーター等を例示することができる。また、押圧面310Aの形状は特に限定されない。
図10の例では、押圧面310Aは平面状に形成されている。ただし、
図10は、一例であり、押圧体310の形状や押圧面310Aの形状を限定するものではない。
【0138】
(封止機能)
封止装置300は、次に示すように封止機能を実現することができる。なお、保持対象物Mが、本体部210と本体部210の上縁部250に外方向に延びるフランジ部240とを有する容器200である場合を例として、
図11を参照しつつ、封止機能の説明を続ける。なお、容器200は、
図11に示すように、本体部210の形状が上端から下端に向かって先細りした形状であり、容器200の本体部210が上端側に開口260を形成し、本体部210と底部220で囲まれた空間230をしたものである場合を例とする。このことは後述する作用及び効果の説明についても同様である。
【0139】
容器200の本体部210が保持治具10の貫通孔16に配置される。このとき保持治具10は、下側位置(
図11において位置N1)に配置されている。次に、保持治具10が下側位置から上側位置(
図11において位置N3)に向かって+F方向に移動する。移動の途中で、容器200の本体部210の外周面210Aが保持治具10の貫通孔16に接触しても、本体部210の外周面210Aの大きさにあわせて貫通孔16の大きさを大きくすることができる。容器200の重量が重い場合には、保持治具10が上方向へ移動することにあわせて、保持治具10の貫通孔16の大きさが徐々に大きくなりながら、貫通孔16の周面部16Aが容器200の外周面210Aの上を摺動する。保持治具10が容器200のフランジ部240と接触する位置(
図11において位置N2)に到達したことを契機として、容器200は保持治具10に支持された状態で、容器200と保持治具10が一体的に上方向に移動する。
【0140】
容器200においては本体部210の上面の開口260(及び空間230)と前記フランジ部240を覆うように容器200に蓋290が配置される。蓋290は、紙製の蓋でもよいし、プラスチック製の蓋でもよい。また、容器200の上に蓋290が配置されるタイミングは特に限定されない。容器200を封止装置300に配置した時点でもよいし、容器200が保持治具10とともに上方向に移動されているタイミングでもよい。ただし、保持治具10が上側位置で押圧体310から押圧力を受ける前のタイミングで、本体部210の上側の開口260とフランジ部240を覆うように容器200に蓋290が配置される。
【0141】
封止装置においては、本体部210の上側の開口260とフランジ部240を覆うように容器200に蓋290が配置された状態で、保持治具10が上側位置に到達する。そして、押圧体310と保持治具10の間に容器200と蓋290を介在させて、容器200のフランジ部240の位置で蓋290と容器200とが押圧される。このとき、必要に応じて蓋と容器200とが加熱される。こうして蓋290と容器200が接合される。
【0142】
[2-2 作用及び効果]
第2の実施形態にかかる封止装置300は、第1の実施形態で説明した保持治具10が用いられている。したがって、第2の実施形態によれば、保持対象物Mが上端にフランジ部240を有する容器200である場合、容器200のサイズの違いがあっても保持治具10で容器200をしっかりと保持することができ、フランジ部240を保持治具10の貫通孔16の上端縁部16Bに接触させた状態を形成することができる。このため容器200のフランジ部240と開口260を覆うように蓋290を配置した状態で、押圧体と保持治具10で容器200と蓋290を挟み込むことができる。
【0143】
第2の実施形態にかかる封止装置300が、
図10、
図11に示すように保持治具10を容器200の下端側に配置し、保持治具10を容器200の上端側に向かって上昇させるように制御された場合、容器200の本体部210の外周面210Aの大きさが、均一でなくても、外周面210Aの大きさに合わせて貫通孔16の大きさを変更することができるため容器200の本体部210の外周面210Aに沿って保持治具10をスライド移動させることができる。
【0144】
次に第2の実施形態の変形例について述べる。
【0145】
[2-3 変形例]
(変形例1)
第2の実施形態にかかる封止装置300においては、押圧体310が固定されていたが、押圧体310は、上下動可能となるように構成されていてもよい。この実施形態を第2の実施形態の変形例1と称呼する。第2の実施形態の変形例1は、支持体320に押圧体310を上下動させる上下運動機構を設け、この上下運動機構に対して押圧体310を接続することで実現することができる。第2の実施形態の変形例1では、保持治具10は、固定されていてもよいし、上記したように上下動可能に構成されていてもよい。
【0146】
(上下運動構造)
上下運動構造は、ギアとラックの組み合わせ構造等を例示することができる。組み合わせ構造としては、後述する
図28Aに示すような構造を例示することができる。ギアはモーター等に接続され、電気的に駆動制御されてよい。ラックは、ギアの回転動作に伴い上下運動を行う。ラックは、押圧体310に接続されており、ラックの上下動に伴って押圧体310も上下動するように構成される。ギアがモーター等で駆動する場合、上下運動構造を駆動させる動力源は、電力を例示することができ、この場合には上下運動構造が電気的に制御される。
【0147】
(変形例2)
第2の実施形態にかかる封止装置300においては、保持治具10は上下動可能に構成されていたが、上下方向を法線方向とする面に沿った方向(面方向)に移動可能に構成されてもよい(図示しない)。
【0148】
(変形例3)
第2の実施形態にかかる封止装置300においては、
図12A、
図12Bに示すように、押圧体310の押圧面310Aは、凹凸面となっていてもよい。この実施形態を第2の実施形態の変形例3と称呼する。
図12Aは、第2の実施形態の変形例3にかかる封止装置300に用いられる押圧体310の一実施例を示す図である。
図12Bは、
図12AのD-D線縦断面を模式的に示す断面図である。
【0149】
押圧体310には、
図12A、
図12Bに示すように押圧面310Aの外周端350から同心状に複数の凸部360が形成されており、隣り合う凸部360の間に凹部361が形成されている。これにより押圧面310Aは、凹凸面を形成している。なお、
図12A、
図12Bの例では、押圧面に3つの凸部360が形成されているが、これは、一例であり、2つ以下または4つ以上の凸部360が形成されてもよい。また、
図12Aの例では、押圧体310が、その平面視上において円形状に形成されており、
図12Bに示すように、外周端350から中心MPに向かう所定の部分を肉厚部311としている。肉厚部311は、押圧体310の中心MPの位置での厚みよりも厚みの厚い部分として定められる。そして凸部360は、押圧面310Aのうち肉厚部311に対応した領域に形成されている。押圧体310が保持対象物Mに接した場合には、押圧体310は、肉厚部311で保持対象物Mを押圧する。押圧面310Aに凹凸面が形成されており、
図12Aに示すように肉厚部311に凸部360が形成されていることで、押圧体310から保持対象物Mに付加される押圧力を凸部360に集中させることができ、より強い力を押圧体310から保持対象物Mに対して作用させることができる。
【0150】
(変形例4)
第2の実施形態にかかる封止装置300においては、
図13A、
図13Bに示すように、上下動規制構造が設けられてもよい。この実施形態を第2の実施形態の変形例4と称呼する。
図13Aは、第2の実施形態の変形例4にかかる封止装置300の一実施例を示す図である。
図13Bは、第2の実施形態の変形例4のかかる封止装置300の一実施例に用いられる上下動規制構造の一実施例の要部を模式的に示す断面図である。
【0151】
(上下動規制構造)
上下動規制構造は、保持治具10で保持しようとする保持対象物の上下方向への移動を規制する構造である。上下動規制構造は特に限定されるものではないが、
図13Aの例では、上下動規制構造は、保持治具10の下方側に配置された吸盤を有する。以下、上下動規制構造が吸盤を有する場合を例として、第2の実施形態の変形例4の説明を続ける。
【0152】
吸盤は、
図13Aに示すように、支持体320に取り付けられている。
図13に示す支持体320は、台座部320Aと台座部320Aから上方向に立ち上がる立壁部320Bと、立壁部320Bの上端から台座部320Aに向かい合うように形成された上面部320Cを有しており、上面部320Cで押圧体310を接続させている。立壁部320Bに対して保持治具10を上下動可能に接続させている。吸盤370は、その吸着面370Aが上方向を向くように台座部320Aに取り付けられており、
図13Aに示す状態では、吸着面370Aの直上に保持治具10の貫通孔16が位置している。第2の実施形態の変形例4にかかる封止装置300によれば、容器200を貫通孔16内に挿通した場合に、容器200の底部220の外面が吸着面370Aに吸着される。この吸着力の作用により、容器200の重さによらず、容器200の位置を固定した状態で、保持治具10を容器200の本体部210の外周面上を擦るように上方向に移動させることが容易となる。
【0153】
(減圧制御構造)
吸盤370には減圧制御構造が設けられていてもよい。減圧制御構造は、吸盤370の吸着面370Aと外部とを繋ぐ長孔371と長孔371の途中に設けられて長孔371の通気状態を制御するバルブ372を有する。長孔371は、吸着面370Aの中央から台座部320Aに繋がっている。バルブ372が長孔371の通気を塞いだ状態(バルブ372が閉じた状態)で容器200が吸着面370A上に配置されると、吸盤370で容器200が固定される。そして、バルブ372が開くと、容器200と吸盤370の固定が解除される。第2の実施形態の変形例4にかかる封止装置300によれば、容器200の固定状態を制御することができる。なお、吸盤370と容器200の固定状態の解除は、バルブ372を開いた場合にのみに限定されない。吸盤370の柔らかさ等の物性に応じて吸盤370の吸着性自体が調整されていることで吸盤370と容器200の固定状態の解除が可能となっていてもよい。例えば、保持治具10が容器200の本体部210の外周面上を擦り動くときには、吸着力が作用して容器200の上下方向の位置が固定され、保持治具10が容器200のフランジ部240に接触したことを契機として、保持治具10による容器200の引き上げ力の作用で、吸盤370による吸着力が引き上げ力よりも弱いために、容器200と吸盤370との吸着が解除されてもよい。
【0154】
(変形例5)
第2の実施形態の変形例1では、押圧体310の上下方向の変位を可能とする上下動運動構造を設けられていた。そして、上下運動構造の動力源として電気を用いる場合が例示された。第2の実施形態の変形例1においては、上下運動構造の動力源は電気に限定されない。
図16に示すように、上下運動構造392が電気とは異なる物理力を動力源として駆動するように構成されてもよい。この実施形態を、第2の実施形態の変形例5と称呼する。
図16は、第2の実施形態の変形例5にかかる封止装置の一実施例を示す側面図である。なお、
図16では、
図10と同様に、説明の便宜上、変位子14やベース板12等の記載を省略する。このことは、
図17、
図18についても同様である。
【0155】
封止装置300は、押圧体310と保持治具10を支持する支持体320を有している。
図16に示す支持体320は、台座部320Aと台座部320Aから上方向に立ち上がる立壁部320Bとを有している。
図17、
図18、
図23から
図27についても同様である。
図16の例では、支持体320には、保持治具10を上下させる上下運動機構は省略されている。保持治具10は、連結材330を介して支持体320に繋がっている。したがって、保持治具10は、おおむね上下方向に移動せず、連結材330を介して支持体320に繋がった状態で固定されている。ただし、このことは、保持治具10が上下動しない場合に限定するものではない。封止装置300がいわゆる手動式の封止装置である場合でも、保持治具10が上下動してもよい。なお、第2の実施形態の変形例5のみならず、封止装置300において保持治具10を上下動させる場合には、保持治具10の動力源については、押圧体310と同様に、電気とは異なる物理力とされても電気等を用いてもいずれでもよい。なお、
図16の例では、連結材330は、支持体320の立壁部320Bに接続されているがこれは一例であり、
図23から
図27等に示すように、連結材330が支持体の台座部320Aに接続されてよい。
【0156】
(上下運動構造の動力源)
図16の例では、上下運動構造392の動力源が、非電力としての物理力となっており、物理力としては、使用者の手からの力等の人力を例示することができる。この場合、封止装置300は、いわゆる手動式の封止装置となる。
【0157】
(上下運動構造)
上下運動構造392は、レバー390と移動制御構造391を有している。移動制御構造391は、レバー390と押圧体310に接続されており、レバー390による矢印Q方向の動きに応じて押圧体310を矢印F方向に移動させるように構成されている。移動制御構造391は、各種のギアの組み合わせ構造等で構成することができる。レバー390は支点部390Aを回転軸として、Q方向に回転運動可能に構成されている。移動制御構造391としては、例えば
図28A、
図28Bに示すようなギア393と、ギア393にかみ合うラック394とを備えた機構(歯車構造)を例示することができる。
図28A、
図28Bは、移動制御構造391の一実施例における要部を示す図である。ギア393は、ギア393の回転軸となる支軸389に繋がり、支軸389はレバー390の支点部390Aに繋がっている。ラック394は、押圧体310に繋がっている。
図28A、
図28Bの例では、ラック394が支持材385として機能する。ただし、このことは、押圧体310を支持する支持材385とラック394が異なる部材であることを禁止するものではない。また、
図16の例では、押圧体310は、
図28Bに示すようにラック394の側部に繋がっているが、これは一例であり、
図28Aでも示すようにラック394の下端部で押圧体310に繋がっていてもよい。
図23から
図27等を参照して後述する押圧体310では、ラック394の下端部で押圧体310に繋がっていている。また、
図28Bに示すように、ラック394と押圧体310は直接的につながっていてもよいし(接合されてもよいし)、
図28Aに示すように、連結材388を介してラック394と押圧体310が繋がっていてもよい。連結材388の材質は、前述した連結材330と同様でよい。なお、
図28A、
図28Bにおいては、説明の便宜上、レバー390を破線で示す。レバー390をQ方向に回転すると、ギア393がQG方向に回転し、ラック394がF方向に変位する。例えば、
図28の例では、ギア393が-QG方向に回転するとラック394が-F方向に移動し、押圧体310が-F方向に変位する。ギア393の回転方向が+QC方向となると、押圧体310が+F方向に変位する。
【0158】
上下運動構造392は、バネなどの弾性材料を用いてレバーが+Q方向に移動した状態を非押圧時状態とするように構成されていることが好ましい。非押圧時状態とは、押圧体310で保持対象物を押圧していない状態を示すものとする。これにより、使用者がレバー390を押し下げることで(-Q方向に変位させることで)、押圧体310が連動して下方向(-F方向)に移動し、使用者がレバー390を離すことで、レバー390が+Q方向に変位し、押圧体310がそれに連動して上方向(+F方向)に移動することが容易となる。
【0159】
(封止機能)
封止装置300は、次に示すように封止機能を実現することができる。なお、保持対象物Mが、
図11と同様に、容器200である場合を例として、
図17を参照しつつ、封止機能の説明を続ける。
【0160】
容器200の本体部210が保持治具10の貫通孔16に配置される。容器200は、保持治具10が容器200のフランジ部240と接触する位置(
図11において位置N2)に到達するまで押し込まれる。このとき、貫通孔16の大きさが容器200の大きさ(外周面の横断面の大きさ)よりも小さければ、貫通孔16の大きさが容器200の大きさに応じて広げられる。
【0161】
容器200においては本体部210の上面の開口260(及び空間230)と前記フランジ部240を覆うように容器200に蓋290が配置される。
【0162】
封止装置においては、本体部210の上側の開口260とフランジ部240を覆うように容器200に蓋290が配置された状態で、押圧体310と保持治具10の間に容器200と蓋290を介在させて、レバー390が下方向(-Q方向)に下げられ、これに伴い押圧体310が-F方向に変位する。そして、押圧体310と保持治具10の間で、容器200のフランジ部240の位置で蓋290と容器200とが押圧される。このとき、必要に応じて蓋と容器200とが加熱される。こうして蓋290と容器200が接合される。レバー390が+Q方向に上げられ、これにともない押圧体310が上方向(+F方向)に変位する。そして、蓋290を接合した容器200が取り出される。
【0163】
図16に示す変形例5では、押圧体が上下運動構造に対して横側に(
図16では、+X方向側)に配置されていたが、上下運動構造と押圧体の配置はこれに限定されない。
図20に示すように、上下運動構造の下側に押圧体が配置されてもよい。
【0164】
(変形例6)
第2の実施形態の変形例5においては、
図23に示すように、押圧体310は、上下方向(
図23においては矢印F方向)に移動するのみならず前後方向(
図23においては矢印J方向)に移動可能に構成されていてもよい。変形例5における、このような実施形態を、第2の実施形態の変形例6と称呼する。
図23は、第2の実施形態の変形例6にかかる封止装置の一実施例を示す図である。
【0165】
(前後方向移動構造)
第2の実施形態の変形例6にかかる封止装置300は、前後方向移動構造400を備える。
図23の例では、前後方向移動構造400は、
図24に示すようにスライド部材401とレール402の組み合わせで構成されている。
図24は、
図23の例に示す封止装置300の正面図である。スライド部材401は、上下運動構造392の移動制御構造391の外装部となるハウジング398の側面398Bに取り付けられており、レール402にはまりあっている。
【0166】
(押圧体の変位)
図23の例に示す封止装置300では、
図25に示すように押圧体310は、前後方向(矢印J方向)及び上下方向(矢印F方向)に変位(移動)することができる。
図25は、
図23に示す封止装置300における押圧体310の変位を説明するための図である。
図25では、+J方向に上下運動構造392を移動させた状態(押圧体310が貫通孔16の直上に位置した状態)(前側配置状態)を実線で記載し、上下運動構造392を-J方向に移動した状態(後側配置状態)を破線で記載している。また、押圧体310を+F方向に移動させた状態についても破線で記載している。
【0167】
図25に示すように、使用者がレバー390を把持して矢印J方向に力を付加することで、スライド部材401がレール402に沿って矢印J方向に変位する。これに伴い、上下運動構造392が-J方向側の位置から矢印J方向に沿って+J方向に移動する。上下運動構造392の移動に伴い、押圧体310も移動する。このとき、押圧体310は、保持治具10の貫通孔16の直上の位置まで移動可能となっている。これは、
図23の例ではレール402の長さや位置を調整することで実現することができる。
【0168】
図25の例では、前後方向移動構造400で、押圧体310が貫通孔16の真上に到達した状態で、レバー390を矢印Q方向に回転させることで、押圧体310が-F方向に移動する。これにより、
図11の例でも説明したように、押圧体310で、貫通孔16に保持された保持対象物Mを押圧することができる(
図25においては図示しない)。
【0169】
(効果)
第2の実施形態の変形例6にかかる封止装置300によれば、押圧体310が前後方向に移動可能に構成されていることで、後側配置状態では、貫通孔16の直上に押圧体310が存在しない状態となり、貫通孔16の容器200等の保持対象物Mを容易にセットすることができる。特に、貫通孔16の容器200等の保持対象物Mをセットするために上下方向に押圧体310と貫通孔16との距離を離すための構造を設ける必要性を抑制することができる。したがって、第2の実施形態の変形例6にかかる封止装置300によれば、上下方向の大きさを抑えることができる。
【0170】
また、押圧体310が前後方向に移動可能に構成されていることで、使用者が手で貫通孔16の容器200等の保持対象物Mをセットするような場合に、使用者の手と押圧体310とが接触する可能性を効果的に抑制することができる。
【0171】
(変形例6の別例1)
図23に示す例では、前後方向の移動は、スライド部材とレールに沿った移動であったがこれは一例であり、前後方向への移動を実現できる構造であれば、前後方向移動構造400の構成は特に限定されない。例えば、前後方向移動構造400は、
図26に示すように構成されてもよい。
図26は、第2の実施形態の変形例6にかかる封止装置の他の一実施例(別例1)を示す図である。
【0172】
図26に示す封止装置300においては、前後方向移動構造400は、回転柱体403と、回転柱体を回転可能な状態で固定する固定部材404との組み合わせで構成されている。回転柱体403は、その下端を台座部320Aに固定部材404で固定されており、台座部320Aに取り付けられた固定部材404と軸として回転可能に構成されている。回転柱体403は、その上端を移動制御構造391の外装部となるハウジング398の側面398Bに固定部材404で固定されている。回転柱体403は、側面398Bに取り付けられた固定部材404を軸とした回転可能に構成されている。なお、
図26の例では、回転柱体403は、複数設けられており、回転柱体403が同時に回転可能となるように位置決めされている。
【0173】
図26に示す封止装置300の例では、回転柱体403が回転することに伴い、上下運動構造392が矢印J方向に変位する。このとき、上下運動構造392は、矢印F方向にも変位されてよい。
図26の例では、上下運動構造392は、-J方向側の位置を起点として+J方向側の位置に向かって矢印J方向に変位する間の所定位置まで、矢印+F方向に変位し、さらに+J方向側の位置に向かって矢印J方向に変位するにつれて、矢印-F方向に変位する。押圧体310についても上下運動構造392の移動に合わせて移動する。そして前後方向移動構造400で、押圧体310が貫通孔16の真上に到達した状態で、レバー390を矢印Q方向に回転させることで、押圧体310が-F方向に移動する。
【0174】
(変形例6の別例2)
第2実施形態の変形例6の別例1にかかる封止装置300においては、
図27に示すように、前後方向移動構造400は、上下運動構造392と押圧体310の前後方向(矢印J方向)の移動に伴い、押圧体310が貫通孔16の真上に到達した状態で、押圧体310の押圧面310Aが起点位置(
図27において位置S1)よりも下側に位置するように構成されていてもよい。
図27は、第2の実施形態の変形例6にかかる封止装置の他の一実施例(別例2)を示す図である。なお、起点位置とは、上下運動構造392が-J方向側の位置に配置された状態(後側配置状態と呼ぶ)における押圧体310の押圧面310Aの位置を示す。また、押圧体310が貫通孔16の真上に到達した状態は、
図27の例では、前後方向移動構造400で上下運動構造392と押圧体310を+J方向に移動させた状態となっており、この状態を前側配置状態と呼ぶ。前側配置状態における押圧面310Aの位置は、
図27において位置S2を用いて示されている。
【0175】
別例2の封止装置300に示すような前後方向移動構造400は、別例1と同様に、回転柱体403と固定部材404を有することが構成することができる。なお、
図27の例では、回転柱体403の回転範囲を規制する規制部材405が設けられている。
【0176】
図27に示す封止装置300の例では、回転柱体403が回転することに伴い、上下運動構造392が矢印J方向に変位する。このとき、上下運動構造392は、-F方向にも変位する。
図26の例では、後側配置状態から前側配置状態に移行するに伴い、上下運動構造392は、矢印J方向に移動しながら、矢印-F方向に変位する。これにともない、押圧体310も矢印J方向に移動しながら、矢印-F方向に変位することが可能となる。別例2にかかる封止装置300においては、前後方向移動構造400は、押圧体310を前後方向の移動と上下方向の移動を同時に実現する構造となっている。前後方向移動構造400で、押圧体310が貫通孔16の真上に到達した状態で、レバー390を矢印Q方向に回転させることで、押圧体310が-F方向に移動する。
【0177】
なお、上下運動構造392が
図28Aに示すようなギア393とラック394の組み合わせ構造である場合、後側配置状態から前側配置状態に移行する際に、レバー390が下方向の力を作用されることが好ましい。これにより、前側配置状態において、押圧体310の位置をより低くする(保持治具10に近づける)ことができる。なお、この場合、前後方向移動構造400で、押圧体310が貫通孔16の真上に到達した状態で、押圧体310の押圧面310Aが保持治具10の上面近傍に位置してもよい。
【0178】
なお、変形例6に示す前後方向移動構造400は、変形例5にかかる封止装置300に搭載されている場合に限定されない。例えば、前後方向移動構造は、
図10等を用いて上記した第2の実施形態や、第2の実施形態の変形例1から4等に適用されてよい。
【0179】
(弾性部材)
図23から
図27の例に示すように、上下運動構造392では、
図23の例に示すように、バネなどの弾性部材386を用いてレバーが+Q方向に移動した状態を非押圧時状態とするように構成されていることが好適である。非押圧時状態とは、押圧体310で保持対象物を押圧していない状態を示すものとする。これにより、使用者がレバー390を押し下げることで(-Q方向に変位させることで)、押圧体310が連動して下方向(-F方向)に移動し、使用者がレバー390を離すことで、レバー390が+Q方向に変位し、押圧体310がそれに連動して上方向(+F方向)に移動することが容易となる。なお、
図23の例では、押圧体310を接合される支持材385の上端側が、上下運動構造392のハウジング398の上面398Aよりも上側に延びており、支持材385の上端側にストッパ387が設けられている。弾性部材386は、ストッパ387とハウジング398の間に配置されている。
図23では、弾性部材386としてコイルバネが採用されており、支持材385の外周面をとりまくように配置されている。
図23の例では、使用者がレバー390を押し下げることで弾性部材386が圧縮された場合、押圧体310は-F方向に変位する。使用者がレバー390を開放することで弾性部材386の復元力が作用し、押圧体310は+F方向に変位する。ただし、ここに説明したことは、一例であり、弾性部材386の配置、材質等を限定するものではない。
【0180】
(変形例7)
第2の実施形態にかかる封止装置300は、押圧体310と保持治具10を支持体320に固定している場合に限定されない。封止装置300は、
図19A、
図19Bに示すように、押圧体310を備えた押圧装置と、保持治具を備えた保持装置の組み合わせで構成されていてもよい。この実施形態を第2の実施形態の変形例6と称呼する。
図19Aは、第2の実施形態の変形例6にかかる封止装置における押圧装置の一実施例を示す図である。
図19Bは、第2の実施形態の変形例6にかかる封止装置における保持装置の一実施例を示す図である。なお、
図19Bでは、説明の便宜上、変位子14やベース板12等の記載を省略する。
【0181】
(押圧装置)
図19Aの例では、押圧装置は、押圧体310と、押圧体310を取り付けられた支持柄380と、支持柄380に繋がる把持体381を備える。
【0182】
(保持装置)
図19Bの例では、保持装置は、保持治具10と、固定台382と、連結材330とを備える。保持治具10は、連結材330に繋がっており、連結材330は、固定台382に固定されている。これにより、保持治具10は、固定台382に固定された状態となっている。
【0183】
(変形例8)
第2の実施形態にかかる封止装置300は、
図18に示すように、押圧体310の押圧面310Aと保持治具の間にフッ素樹脂シート395を設けてもよい。この実施形態を第2の実施形態の変形例7と称呼する。
図18は、第2の実施形態の変形例7にかかる封止装置の一実施例を示す図である。
【0184】
(フッ素樹脂シート)
フッ素樹脂シート395は、フッ素原子を含む樹脂材料から成形されたシートを示す。フッ素原子を含む樹脂材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)などを例示することができる。
【0185】
フッ素樹脂シート374は、押圧体310の押圧面310Aの前面を覆うように配置されていることが好ましい。この場合、押圧体310の押圧面310Aにゴミ等が付着しにくくなる。また、フッ素樹脂シート374にもゴミ等が付着しにくいため、保持対象物Mにゴミが移る虞も低減される。また、押圧面310Aとフッ素樹脂シート395との間に隙間396が形成されていることが好ましい。この場合において押圧体310に加熱機構が設けられている場合に、フッ素樹脂シート395にゴミが万が一付着しても、ゴミが燃焼して、フッ素樹脂シート395にゴミの燃焼物が付着し、保持対象物Mにゴミの燃焼物が移る虞も低減される。
【0186】
(シート送り機構)
第2の実施形態の変形例7にかかる封止装置300においては、
図18の例に示すように、フッ素樹脂シート374を送り出すシート送り機構が設けられていることが好ましい。
図18の例では、シート送り機構は、第1ローラ397Aと第2ローラ397Bを有する。第1ローラは、未使用のフッ素樹脂シート374が巻かれており、必要に応じてフッ素樹脂シート374が矢印U方向に送り出される。第2ローラは、使用済のフッ素樹脂シート374が巻き取られるローラとなっている。なお、未使用のフッ素樹脂シート374とは、押圧体310の押圧面310Aの前面側に配置された状態となったことのないシートを示す。使用済のフッ素樹脂シート374とは、押圧体310の押圧面310Aの前面側に配置された状態となったシートを示す。
【0187】
シート送り機構が設けられていることで、フッ素樹脂シート374のうち押圧面310Aの前面側に配置されたものを、必要に応じて未使用のフッ素樹脂シート374とすることができる。
【0188】
なお、
図18では、
図10に示す封止装置300についてフッ素樹脂シート395を設けた場合が例示されているが、これは一例である。例えば、第2の実施形態の変形例5や変形例6に対して、
図18で示したようにフッ素樹脂シート395が設けられてもよい。
【0189】
(変形例9)
第2の実施形態にかかる封止装置300においては、
図29に示すように、押圧体310の周囲を覆うカバー体406が設けられてもよい。この実施形態を第2の実施形態の変形例9と称呼する。
図29は、第2の実施形態の変形例9にかかる封止装置の一実施例を示す正面図である。
【0190】
なお、
図29では、第2の実施形態の変形例6の別例1にかかる封止装置300を例として、カバー体406を設けた場合を示しているが、これは一例である。カバー体406は、カバー体406がない場合において押圧体310のうち使用者から見える部分を少なくとも覆うように設けられる。
図30の例では、カバー体406は、押圧体310のうち少なくとも封止装置300の正面側を隠蔽するように配置されている。カバー体406の材質は特に限定されないが、金属など剛性を有する材質であることが好ましい。
【0191】
(変形例10)
第2の実施形態にかかる封止装置300においては、
図33から
図35に示すように、保持治具10が位置決め構造35を有し、且つ位置決め構造35が上記第1の実施形態における変形例8の他の例3で示した構造を有しており、さらに第1延出部50を有する場合(
図32A、
図32B等で例示した構造を位置決め構造35が有する場合)においては、位置決め構造35の第1延出部50に接触する突部材410を有してもよい。
図33から
図35は、位置決め構造35が上記第1の実施形態における変形例8の他の例3で示した構造(
図32A、
図32Bで例示した構造)を有する場合における、封止装置300の一実施例を説明するための図である。
図33は、第2の実施形態の変形例10にかかる封止装置300を側面から見た状態を模式的に示すための側面図である。ただし、
図33では、説明の便宜上、+X方向側の側壁部320Dの記載及び、位置決め構造35の記載を省略している。また、
図33において、保持治具10が後側位置に移動された状態について、保持治具10を実線で示し、保持治具10が前側位置に移動された状態については保持治具10を破線で示す。
図34は、第2の実施形態の変形例10にかかる封止装置300を側面から見た状態を模式的に示すための正面図となっている。
図35は、第2の実施形態の変形例10にかかる封止装置300を上側から下側に向かう方向を視線方向とした場合に、ガイドレール412に沿って保持治具10が移動する状態を模式的に示すための部分平面図となっている。
【0192】
図33から
図35の例に示す封止装置300では、押圧体310は、第2の実施形態の変形例1にも説明したように上下方向(矢印F方向)の移動可能となるように構成されている。封止装置300は、支持体320を有している。
図30に示す支持体320は、台座部320Aと台座部320Aから上方向に立ち上がる立壁部320Bとを有している。なお、
図33、
図34に示す符号411は、押圧体310を支持する支持材を示す。封止装置300には、例えば第2の実施形態の変形例1で説明したような上下運動機構(図示しない)が設けられており、支持材411が上下運動構造に接続されることで、押圧体310の上下運動を実現することができる。
【0193】
図31の例では、立壁部320Bから前方(+Y方向)に向かって2つの側壁部320D、320Dを有しており、それぞれの側壁部320D、320Dは互いに向かい合う。また、側壁部320Dの内面側(側壁部320D、320Dの面のうち互いに向き合う面側)には、ガイドレール412が設けられている。ガイドレール412は、前後方向に延びている。そして、
図31の例では、ガイドレール412の上に保持治具10が配置されている。そして、保持治具10は、ガイドレール412の延びる方向に沿って前後方向(
図33、
図35の例ではY方向)に移動可能となるように構成されている。側壁部320Dには、ガイドレール412の上側に突部材410が設けられている。突部材410の上下方向の位置は、保持治具10の上面よりもやや上側の位置とされている。また、突部材410の突出長さ(側壁部310Dから内側方向に延び出た距離(
図34においてはX軸方向に沿った長さ))は、位置決め構造35のギア46に設けられた第1延出部50に接触できる長さとなっている。突部材410の前後方向の位置は、
図35に示すように保持治具10が前方位置から後方位置に移動する場合(保持治具10が+Y方向側から-Y方向側に向かって移動する場合)に、突部材410と第1延出部50との接触を生じるような位置となっている。
【0194】
このように突部材410が設けられていることで、
図35に示すように、保持治具10が前方向に引き出された場合には、突部材410と第1延出部50との接触が解除されて、回転部材43のアーム44の先端部44A(及びピン45)が中央CTに近づく方向に回転できる。すなわち
図35の例においては、回転部材43B、43Dは、+K4方向に回転でき、回転部材43A、43Cは、-K4方向に回転できる。そして、保持治具10に第1保持対象物及び第2保持対象物がセットされ、保持治具10が後方向に移動させられた場合には、突部材410と第1延出部50とが接触した状態となり、回転部材43のアーム44の先端部44A(及びピン45)が中央CTから離れる方向に回転する。すなわち
図35の例においては、回転部材43B、43Dは、-K4方向に回転し、回転部材43A、43Cは、+K4方向に回転する。このとき、保持治具10に第1保持対象物及び第2保持対象物がセットされた際に第2保持対象物が第1保持対象物に対してやや浮いた位置に配置された場合にあっても、より確実に第2保持対象物を第1保持対象物に接触した状態を形成することができる。さらに、保持治具10が後方向に移動させられた状態で押圧体310が下方向に移動した場合において、回転部材43が押圧体310に接触することを抑制することも可能となる。
【0195】
図33から
図35の例に示す封止装置300では、押圧体310は前後方向の移動が規制されており、保持治具10が前後方向に移動していたが、これは一例である。第2の実施形態の変型例10の封止装置300においては、第1延出部50と突部材410が設けられていれば、押圧体310及び保持治具10のいずれもが前後方向に移動可能となっていてもよいし、押圧体310が前後方向に移動可能に構成され、保持治具10の前後方向の移動が規制されていてもよい。第2の実施形態にかかる変形例10において、押圧体310が前後方向する場合、突部材410は押圧体310の移動に伴って移動するように構成されていることが好適である。これは、例えば、押圧体310の周面から突部材410が下垂するように設けられていることで実現することができる。このように構成されている場合において、突部材410は押圧体310の移動に伴って移動し、保持治具10の第1延出部50に接触すると、上記したように回転部材43のアーム44の先端部44A(及びピン45)が中央CTから離れる方向に回転するようになる。
【0196】
次に、第3の実施形態について述べる。第3の実施形態は、第1の実施形態で説明した保持治具10を用いた蓋体付き容器の製造方法である。
【0197】
[3 第3の実施形態]
保持治具10を用いた蓋体付き容器の製造方法は、次に示す封止方法を有する。
【0198】
(封止方法)
蓋体付き容器の製造方法においては、第2の実施形態に示す封止装置300(保持治具10を設けた封止装置300)に容器200がセットされる。封止工程が適用される前または同時に、押圧体と保持治具の間に、容器の上側に蓋を介在させる。
【0199】
(封止工程)
封止工程では、押圧体と保持治具の間に容器と蓋を介在させた状態で、容器のフランジ部の位置で蓋が容器に接合される。これは、封止装置300が上記したように封止機能を発揮することで実現することができる。
【0200】
以上、本発明にかかる保持治具、封止装置及び封止方法について詳細に説明したが、上記に説明したものは本発明に係る保持治具、封止装置及び封止方法を例示したに過ぎず、本発明は、これらに限定されるものではない。したがって、本発明には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更されたものが含まれる。また、上記した種々の態様は、それぞれ別個に適用して用いることも可能であり、またそれぞれの態様における構成を適宜組み合わせて用いることも可能である。
【0201】
本発明は、下記の技術的思想を包含する。
(A1)保持対象物を挿通する貫通孔が上下方向に形成されており、該貫通孔の上端縁部に前記保持対象物を接触させるように形成した保持体を備え、前記保持体は、前記貫通孔の少なくとも一部を形成する複数の変位子を備え、少なくとも一部の前記変位子では、前記変位子が前記変位子に対して定められる変位方向に変位することに伴って、前記貫通孔の周面部に露出したそれぞれの前記変位子の露出領域が変動し、前記露出領域が多くなるように前記変位子が移動した状態となる場合に、前記変位子に対して前記露出領域が少ない位置となるように応力が負荷される、保持治具。
(A2)隣り合う前記変位子は、それぞれの前記変位子に対して定められる前記変位方向に沿って互いに摺動する、上記(A1)に記載の保持治具。
(A3)前記貫通孔は、複数の前記変位子で形成される、上記(A1)または(A2)に記載の保持治具。
(A4)複数の前記変位子は、環状に配置される、上記(A1)から(A3)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A5)前記保持体は、少なくとも一部の前記変位子の前記変位方向を規制する規制構造を備え、前記規制構造は、それぞれの前記変位子に対応して設けられ前記変位子を所定方向に案内するガイド部を有し、前記変位子の前記変位方向は、前記変位子に応じた前記ガイド部に沿った方向である、上記(A1)から(A4)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A6)隣り合う前記変位子のうちの一方の前記変位子が前記一方の前記変位子に対応する前記ガイド部に沿って移動する場合に他方の前記変位子に対して押圧力を与え、前記他方の前記変位子が前記押圧力に基づいて前記他方の前記変位子に対応する前記ガイド部に沿って移動する、上記(A5)に記載の保持治具。
(A7)前記保持体は、少なくとも1つの前記変位子の変位距離を規制する規制壁部を有し、前記規制壁部は、前記変位子が所定の位置まで変位した場合に前記変位子に接触する、上記(A1)から(A6)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A8)前記保持体は、前記規制壁部に第1の溝部を有し、前記規制壁部に接触する前記変位子には、前記第1の溝部に対応した位置に第2の溝部が形成されており、前記第1の溝部と前記第2の溝部に共通しており且つ前記第1の溝部と前記第2の溝部に埋め込まれた規制棒が設けられている、上記(A7)に記載の保持治具。
(A9)隣り合う前記変位子は、互いに前記変位子の側面で接触する、上記(A1)から(A8)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A10)隣り合う前記変位子が互いに前記上下方向に重なり合うことが避けられている、上記(A1)から(A9)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A11)前記貫通孔の前記上端縁部では、隣り合う前記変位子の上面の位置が揃っている、上記(A1)から(A10)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A12)べース板をさらに備え、前記変位子は、前記べース板の板上面に配置され、前記変位子が、前記べース板の前記板上面を擦り動く、上記(A1)から(A11)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A13)前記変位子の下面に前記貫通孔の前記周面部に沿って延出された延出部が形成されている、上記(A1)から(A12)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A14)少なくとも前記変位子のうち前記露出領域に対応する部分が、前記貫通孔の前記上端縁部から下方向に向かうにつれて、前記貫通孔の内側に向かって下り傾斜する傾斜面を形成している、上記(A1)から(A13)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A15)保護板をさらに備え、前記保護板は、前記変位子の少なくとも一部を覆う、上記(A1)から(A14)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A16)前記保護板の位置を固定するための固定部材が、前記保護板に対して着脱自在に取り付けられており、前記固定部材が取り外された状態で、前記保護板が、該保護板の厚み方向を法線とする平面方向に変位可能となるように構成されている、上記(A15)に記載の保持治具。
(A17)前記保持対象物は、前記貫通孔に接触する第1保持対象物と、前記第1保持対象物の上に搭載される第2保持対象物を有し、前記上下方向を法線とする平面の面方向を平面方向とした場合に、前記保持体の上面側には、少なくとも前記第1保持対象物に対する前記第2保持対象物の前記平面方向の位置を規定する位置決め構造が設けられている、上記(A1)から(A16)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A18)前記位置決め構造は、前記保持体の上面側に立設された複数のピンを備え、複数の前記ピンは、前記第2保持対象物の前記平面方向の位置を規定し、それぞれの前記ピンは、上下方向に変位可能に構成されている、上記(A17)に記載の保持治具。
(A19)前記保持対象物は、本体部と前記本体部の上端に外方向に延びるフランジ部とを有する容器を少なくとも備え、前記フランジ部が前記貫通孔の上端縁部に接触する、上記(A1)から(A18)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A20)前記保持体は、少なくとも一つの前記変位子を付勢する弾性部材を備え、前記弾性部材は、前記露出領域が多くなるように前記変位子が移動した状態で、前記変位子に対して前記露出領域が少ない位置となるように応力を負荷する、上記(A1)から(A19)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A21)外周部を有し、前記外周部を取り巻くように緩衝性を有する被覆材が設けられている、、上記(A1)から(A20)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A22)前記変位子の下面側に前記変位子の前記変位方向を規制する変位ガイド構造が設けられている、上記(A1)から(A21)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A23)前記変位子の上面に溝が形成されている、上記(A1)から(A22)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A24)前記変位子の上面の前記溝は、前記変位子の前記変位方向に沿って延びている、上記(A23)に記載の保持治具。
(A25)前記変位子の側面のうち、前記貫通孔を形成する面を除く面の少なくとも一部に溝が形成されている、上記(A1)から(A24)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A26)前記変位子の上面に段差が形成されている、上記(A1)から(A25)のいずれか1つに記載の保持治具。
(A27)上記(A1)から(A26)のいずれか1つに記載の保持治具と、前記保持対象物の上側から前記保持対象物に押圧力を付与する押圧体とを備え、前記保持治具に前記保持対象物が配置されている状態において前記保持対象物に前記押圧力を付与する場合には、前記押圧体と前記保持治具とが所定距離離れた初期位置から前記保持対象物が押圧される位置まで前記押圧体と前記保持治具との少なくともいずれかが移動し、前記保持対象物の上に前記押圧体が存在し、且つ、前記押圧力が前記保持対象物に対して前記保持対象物の上側から付与される、ことを特徴とする、封止装置。
(A28)前記保持治具が、前記押圧体に向けて移動する、上記(A27)に記載の封止装置。
(A29)前記押圧体が、前記保持治具に向けて移動する、上記(A27)または(A28)に記載の封止装置。
(A30)前記押圧体は押圧面を有し、前記押圧面は、凹凸面となっている、上記(A27)から(A29)のいずれか1つに記載の封止装置。
(A31)前記押圧体を加熱可能な加熱機構を備えた、上記(A27)から(A30)のいずれか1つに記載の封止装置。
(A32)前記押圧体と前記保持治具の間にフッ素樹脂シートを設けた、上記(A27)から(A31)のいずれか1つに記載の封止装置。
(A33)前記保持対象物は、上側に開口を形成した本体部と前記本体部の上端に外方向に延びるフランジ部とを有する容器を少なくとも備える、上記(A27)から(A32)のいずれか1つに記載の封止装置。
(A34)前記本体部の上側の前記開口と前記フランジ部を覆うように前記容器に蓋を配置した状態で、前記押圧体と前記保持治具の間に前記容器と前記蓋を介在させて、前記容器の前記フランジ部の位置で前記蓋を前記容器に接合する、上記(A33)に記載の封止装置。
(A35)上記(A33)に記載の封止装置を用いられ、前記押圧体と前記保持治具の間に前記容器と前記蓋を介在させた状態で、前記容器の前記フランジ部の位置で前記蓋を前記容器に接合する、封止方法。
【0202】
また、本発明は、下記の技術的思想を包含すると解釈することができる。
(B1)保持対象物を挿通する貫通孔が上下方向に形成されており、該貫通孔の上端縁部に前記保持対象物を接触させるように形成した保持体を備え、前記保持体は、前記貫通孔の少なくとも一部を形成する複数の変位子と、少なくとも一つの前記変位子を付勢する弾性部材とを備え、少なくとも一部の前記変位子では、前記変位子が前記変位子に対して定められる変位方向に変位することに伴って、前記貫通孔の周面部に露出したそれぞれの前記変位子の露出領域が変動し、前記弾性部材は、前記露出領域が少ない位置となるように前記変位子を付勢する、保持治具。
(B2)隣り合う前記変位子は、それぞれの前記変位子に対して定められる前記変位方向に沿って互いに摺動する、上記(B1)に記載の保持治具。
(B3)前記貫通孔は、複数の前記変位子で形成される、上記(B1)又は(B2)に記載の保持治具。
(B4)複数の前記変位子は、環状に配置される、上記(B1)から(B3)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B5)前記保持体は、少なくとも一部の前記変位子の前記変位方向を規制する規制構造を備え、前記規制構造は、それぞれの前記変位子に対応して設けられ前記変位子を所定方向に案内するガイド部を有し、前記変位子の前記変位方向は、前記変位子に応じた前記ガイド部に沿った方向である、上記(B1)から(B4)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B6)隣り合う前記変位子のうちの一方の前記変位子が前記一方の前記変位子に対応する前記ガイド部に沿って移動する場合に他方の前記変位子に対して押圧力を与え、前記他方の前記変位子が前記押圧力に基づいて前記他方の前記変位子に対応する前記ガイド部に沿って移動する、上記(B5)に記載の保持治具。
(B7)前記保持体は、少なくとも1つの前記変位子の変位距離を規制する規制壁部を有し、前記規制壁部は、前記変位子が所定の位置まで変位した場合に前記変位子に接触する、上記(B1)から(B6)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B8)前記保持体は、前記規制壁部に第1の溝部を有し、前記規制壁部に接触する前記変位子には、前記第1の溝部に対応した位置に第2の溝部が形成されており、前記第1の溝部と前記第2の溝部に共通しており且つ前記第1の溝部と前記第2の溝部に埋め込まれた規制棒が設けられている、上記(B7)に記載の保持治具。
(B9)隣り合う前記変位子は、互いに前記変位子の側面で接触する、上記(B1)から(B8)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B10)隣り合う前記変位子が互いに上下方向に重なり合うことが避けられている、上記(B1)から(B9)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B11)前記貫通孔の前記上端縁部では、隣り合う前記変位子の上面の位置が揃っている、上記(B1)から(B10)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B12)べース板をさらに備え、前記変位子は、前記べース板の板上面に配置され、前記変位子が、前記べース板の前記板上面を擦り動く、上記(B1)から(B11)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B13)前記変位子の下面に前記貫通孔の前記周面部に沿って延出された延出部が形成されている、上記(B1)から(B12)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B14)少なくとも前記変位子のうち前記露出領域に対応する部分が、前記貫通孔の前記上端縁部から下方向に向かうにつれて、前記貫通孔の内側に向かって下り傾斜する傾斜面を形成している、上記(B1)から(B13)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B15)保護板をさらに備え、前記保護板は、前記変位子の少なくとも一部を覆う、上記(B1)から(B14)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B16)前記保護板の位置を固定するための固定部材が、前記保護板に対して着脱自在に取り付けられており、前記固定部材が取り外された状態で、前記保護板が、該保護板の厚み方向を法線とする平面方向に変位可能となるように構成されている、上記(B15)に記載の保持治具。
(B17)前記保持対象物は、前記貫通孔に接触する第1保持対象物と、前記第1保持対象物の上に搭載される第2保持対象物を有し、前記上下方向を法線とする平面の面方向を平面方向とした場合に、前記保持体の上面側には、少なくとも前記第1保持対象物に対する前記第2保持対象物の前記平面方向の位置を規定する位置決め構造が設けられている、上記(B1)から(B16)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B18)前記位置決め構造は、前記保持体の上面側に立設された複数のピンを備え、複数の前記ピンは、前記第2保持対象物の前記平面方向の位置を規定し、それぞれの前記ピンは、上下方向に変位可能に構成されている、上記(B17)に記載の保持治具。
(B19)前記保持対象物は、本体部と前記本体部の上端に外方向に延びるフランジ部とを有する容器を少なくとも備え、前記フランジ部が前記貫通孔の上端縁部に接触する、上記(B1)から(B18)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B20)前記保持体は、少なくとも一つの前記変位子を付勢する弾性部材を備え、前記弾性部材は、前記露出領域が多くなるように前記変位子が移動した状態で、前記変位子に対して前記露出領域が少ない位置となるように応力を負荷する、上記(B1)から(B19)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B21)外周部を有し、前記外周部を取り巻くように緩衝性を有する被覆材が設けられている、上記(B1)から(B20)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B22)前記変位子の下面側に前記変位子の前記変位方向を規制する変位ガイド構造が設けられている、上記(B1)から(B21)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B23)前記変位子の上面に溝が形成されている、上記(B1)から(B22)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B24)前記変位子の上面の前記溝は、前記変位子の前記変位方向に沿って延びている、上記(B23)に記載の保持治具。
(B25)前記変位子の側面のうち、前記貫通孔を形成する面を除く面の少なくとも一部に溝が形成されている、上記(B1)から(B24)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B26)前記変位子の上面に段差が形成されている、上記(B1)から(B25)のいずれか1つに記載の保持治具。
(B27)上記(B1)から(B26)のいずれか1つに記載の保持治具と、前記保持対象物の上側から前記保持対象物に押圧力を付与する押圧体とを備え、前記保持治具に前記保持対象物が配置されている状態において前記保持対象物に前記押圧力を付与する場合には、前記押圧体と前記保持治具とが所定距離離れた初期位置から前記保持対象物が押圧される位置まで前記押圧体と前記保持治具との少なくともいずれかが移動し、前記保持対象物の上に前記押圧体が存在し、且つ、前記押圧力が前記保持対象物に対して前記保持対象物の上側から付与される、ことを特徴とする、封止装置。
(B28)前記保持治具が、前記押圧体に向けて移動する、上記(B27)に記載の封止装置。
(B29)前記押圧体が、前記保持治具に向けて移動する、上記(B27)または(B28)に記載の封止装置。
(B30)前記押圧体は押圧面を有し、前記押圧面は、凹凸面となっている、上記(B27)から(B29)のいずれか1つに記載の封止装置。
(B31)前記押圧体を加熱可能な加熱機構を備えた、上記(B27)から(B30)のいずれか1つに記載の封止装置。
(B32)前記押圧体と前記保持治具の間にフッ素樹脂シートを設けた、上記(B27)から(B31)のいずれか1つに記載の封止装置。
(B33)前記保持対象物は、上側に開口を形成した本体部と前記本体部の上端に外方向に延びるフランジ部とを有する容器を少なくとも備える、上記(B27)から(B32)のいずれか1つに記載の封止装置。
(B34)前記本体部の上側の前記開口と前記フランジ部を覆うように前記容器に蓋を配置した状態で、前記押圧体と前記保持治具の間に前記容器と前記蓋を介在させて、前記容器の前記フランジ部の位置で前記蓋を前記容器に接合する、上記(B33)に記載の封止装置。
(B35)上記(B33)に記載の封止装置を用いられ、前記押圧体と前記保持治具の間に前記容器と前記蓋を介在させた状態で、前記容器の前記フランジ部の位置で前記蓋を前記容器に接合する、封止方法。
【0203】
さらに、本発明は、下記の技術的思想をも包含すると解釈することができる。
(C1)保持対象物を挿通する貫通孔が上下方向に形成されており、該貫通孔の上端縁部に前記保持対象物を接触させるように形成した保持体を備え、前記保持体は、前記貫通孔の少なくとも一部を形成する複数の変位子を備え、複数の前記変位子は、環状に配置されており、少なくとも一部の前記変位子では、前記保持対象物の大きさに応じて前記変位子が前記変位子に対して定められる変位方向に変位することに伴って、前記貫通孔の周面部に露出したそれぞれの前記変位子の露出領域が変動し、前記保持対象物によって前記貫通孔をおし広げられることが可能となるように構成されている、保持治具。
(C2)隣り合う前記変位子は、それぞれの前記変位子に対して定められる前記変位方向に沿って互いに摺動する、上記(C1)に記載の保持治具。
(C3)前記貫通孔は、複数の前記変位子で形成される、上記(C1)又は(C2)に記載の保持治具。
(C4)前記保持体は、少なくとも一部の前記変位子の前記変位方向を規制する規制構造を備え、前記規制構造は、それぞれの前記変位子に対応して設けられ前記変位子を所定方向に案内するガイド部を有し、前記変位子の前記変位方向は、前記変位子に応じた前記ガイド部に沿った方向である、上記(C1)から(C3)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C5)隣り合う前記変位子のうちの一方の前記変位子が前記一方の前記変位子に対応する前記ガイド部に沿って移動する場合に他方の前記変位子に対して押圧力を与え、前記他方の前記変位子が前記押圧力に基づいて前記他方の前記変位子に対応する前記ガイド部に沿って移動する、上記(C4)に記載の保持治具。
(C6)前記保持体は、少なくとも1つの前記変位子の変位距離を規制する規制壁部を有し、前記規制壁部は、前記変位子が所定の位置まで変位した場合に前記変位子に接触する、上記(C1)から(C5)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C7)前記保持体は、前記規制壁部に第1の溝部を有し、前記規制壁部に接触する前記変位子には、前記第1の溝部に対応した位置に第2の溝部が形成されており、前記第1の溝部と前記第2の溝部に共通しており且つ前記第1の溝部と前記第2の溝部に埋め込まれた規制棒が設けられている、上記(C6)に記載の保持治具。
(C8)隣り合う前記変位子は、互いに前記変位子の側面で接触する、上記(C1)から(C7)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C9)隣り合う前記変位子が互いに上下方向に重なり合うことが避けられている、上記(C1)から(C8)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C10)前記貫通孔の前記上端縁部では、隣り合う前記変位子の上面の位置が揃っている、上記(C1)から(C9)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C11)べース板をさらに備え、前記変位子は、前記べース板の板上面に配置され、前記変位子が、前記べース板の前記板上面を擦り動く、上記(C1)から(C10)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C12)前記変位子の下面に前記貫通孔の前記周面部に沿って延出された延出部が形成されている、上記(C1)から(C11)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C13)少なくとも前記変位子のうち前記露出領域に対応する部分が、前記貫通孔の前記上端縁部から下方向に向かうにつれて、前記貫通孔の内側に向かって下り傾斜する傾斜面を形成している、上記(C1)から(C12)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C14)保護板をさらに備え、前記保護板は、前記変位子の少なくとも一部を覆う、上記(C1)から(C13)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C15)前記保護板の位置を固定するための固定部材が、前記保護板に対して着脱自在に取り付けられており、前記固定部材が取り外された状態で、前記保護板が、該保護板の厚み方向を法線とする平面方向に変位可能となるように構成されている、上記(C14)に記載の保持治具。
(C16)前記保持対象物は、前記貫通孔に接触する第1保持対象物と、前記第1保持対象物の上に搭載される第2保持対象物を有し、前記上下方向を法線とする平面の面方向を平面方向とした場合に、前記保持体の上面側には、少なくとも前記第1保持対象物に対する前記第2保持対象物の前記平面方向の位置を規定する位置決め構造が設けられている、上記(C1)から(C15)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C17)前記位置決め構造は、前記保持体の上面側に立設された複数のピンを備え、複数の前記ピンは、前記第2保持対象物の前記平面方向の位置を規定し、それぞれの前記ピンは、上下方向に変位可能に構成されている、上記(C16)に記載の保持治具。
(C18)前記保持対象物は、本体部と前記本体部の上端に外方向に延びるフランジ部とを有する容器を少なくとも備え、前記フランジ部が貫通孔の上端縁部に接触する、上記(C1)から(C17)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C19)前記保持体は、少なくとも一つの前記変位子を付勢する弾性部材を備え、前記弾性部材は、前記露出領域が多くなるように前記変位子が移動した状態で、前記変位子に対して前記露出領域が少ない位置となるように応力を負荷する、上記(C1)から(C18)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C20)外周部を有し、前記外周部を取り巻くように緩衝性を有する被覆材が設けられている、上記(C1)から(C19)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C21)前記変位子の下面側に前記変位子の前記変位方向を規制する変位ガイド構造が設けられている、上記(C1)から(C20)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C22)前記変位子の上面に溝が形成されている、上記(C1)から(C21)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C23)前記変位子の上面の前記溝は、前記変位子の前記変位方向に沿って延びている、上記(C22)に記載の保持治具。
(C24)前記変位子の側面のうち、前記貫通孔を形成する面を除く面の少なくとも一部に溝が形成されている、上記(C1)から(C23)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C25)前記変位子の上面に段差が形成されている、上記(C1)から(C24)のいずれか1つに記載の保持治具。
(C26)上記(C1)から(C25)のいずれか1つに記載の保持治具と、前記保持対象物の上側から前記保持対象物に押圧力を付与する押圧体とを備え、前記保持治具に前記保持対象物が配置されている状態において前記保持対象物に前記押圧力を付与する場合には、前記押圧体と前記保持治具とが所定距離離れた初期位置から前記保持対象物が押圧される位置まで前記押圧体と前記保持治具との少なくともいずれかが移動し、前記保持対象物の上に前記押圧体が存在し、且つ、前記押圧力が前記保持対象物に対して前記保持対象物の上側から付与される、ことを特徴とする、封止装置。
(C27)前記保持治具が、前記押圧体に向けて移動する、上記(C26)に記載の封止装置。
(C28)前記押圧体が、前記保持治具に向けて移動する、上記(C26)又は(C27)に記載の封止装置。
(C29)前記押圧体は押圧面を有し、前記押圧面は、凹凸面となっている、上記(C26)から(C28)のいずれか1つに記載の封止装置。
(C30)前記押圧体を加熱可能な加熱機構を備えた、上記(C26)から(C29)のいずれか1つに記載の封止装置。
(C31)前記押圧体と前記保持治具の間にフッ素樹脂シートを設けた、上記(C26)から(C30)のいずれか1つに記載の封止装置。
(C32)前記保持対象物は、上側に開口を形成した本体部と前記本体部の上端に外方向に延びるフランジ部とを有する容器を少なくとも備える、上記(C26)から(C31)のいずれか1つに記載の封止装置。
(C33)前記本体部の上側の前記開口と前記フランジ部を覆うように前記容器に蓋を配置した状態で、前記押圧体と前記保持治具の間に前記容器と前記蓋を介在させて、前記容器の前記フランジ部の位置で前記蓋を前記容器に接合する、上記(C32)に記載の封止装置。
(C34)上記(C32)に記載の封止装置を用いられ、前記押圧体と前記保持治具の間に前記容器と前記蓋を介在させた状態で、前記容器の前記フランジ部の位置で前記蓋を前記容器に接合する、封止方法。
【符号の説明】
【0204】
10 :保持治具
10A :外周部
11 :保持体
11A :外周面
11B :上面
12 :ベース板
12A :上面
12B :下面
13 :受け材
13A :外周面
13B :内周面
13C :上面
14 :変位子
14A :側面
14A1 :第1の側面
14A2 :第2の側面
14B :上面
14C :下面
14TRP :変位子
15 :環状構造体
15A :外周面
16 :貫通孔
16A :周面部
16B :上端縁部
17 :補助孔
17A :縁部
18 :補助孔
18B :上側縁部
19 :規制構造
20 :ガイド部
21 :規制壁部
21A :壁面
22 :弾性部材
23 :ガイド壁部
24 :壁部
25 :湾曲壁面部
26 :穴部
27 :第1の溝部
27A :溝底部
28 :第2の溝部
28A :溝底部
29 :規制棒
30 :傾斜面
31 :突起
32 :延出部
33 :保護板
33A :上面
33B :下面
33C :内側面
34 :凸片
35 :位置決め構造
36 :スライド部材
36A :下端部
36B :内端面部
36C :上端部
37 :レール
38 :固定部材
38A :第1固定部材
38B :第2固定部材
39 :弾性部材
40 :付勢構造
41 :下垂部
42 :支軸
42A :先端
43 :回転部材
43A :回転部材
43B :回転部材
43C :回転部材
43D :回転部材
44 :アーム
44A :先端部
45 :ピン
45A :先端
46 :ギア
47 :頭部
48 :軸受け
48A :孔部
49 :逃げ部
50 :第1延出部
51 :第2延出部
52 :回転規制部材
53 :壁部
55 :ピン
55A :上端
55B :下端
56 :弾性部材
57 :出し入れ口
58 :取付穴
59 :固定部材
60 :受け部材
61 :空間
62 :開口
63 :ピン用付勢構造
64 :底面
65 :鍔部
66 :庇部
67 :上側移動規制構造
68 :第1の出し入れ用貫通孔
69 :第2の出し入れ用貫通孔
70 :庇部
72 :弾性部材
73 :掛け止め部材
73A :頭部
73B :胴部
74A :環状部
74B :環状部
75 :掛け止め部材
77 :段差
78 :下側部
79 :上側部
80 :ボス部
80A :上面
81 :ボス孔
82 :固定部材
83 :孔部
85 :変位ガイド構造
86 :長孔部
87 :脚部
88 :脚材
88A :鍔部
88B :胴部
89 :リング材
90 :被覆材
92 :溝
93 :第1の溝
94 :第2の溝
95 :凸状山形部
140 :底辺
141 :頂点
200 :容器
210 :本体部
210A :外周面
220 :底部
230 :空間
240 :フランジ部
250 :上縁部
260 :開口
290 :蓋
300 :封止装置
310 :押圧体
310A :押圧面
310D :側壁部
311 :肉厚部
320 :支持体
320A :台座部
320B :立壁部
320C :上面部
320D :側壁部
330 :連結材
350 :外周端
360 :凸部
361 :凹部
370 :吸盤
370A :吸着面
371 :長孔
372 :バルブ
374 :フッ素樹脂シート
380 :支持柄
381 :把持体
382 :固定台
385 :支持材
386 :弾性部材
387 :ストッパ
388 :連結材
389 :支軸
390 :レバー
390A :支点部
391 :移動制御構造
392 :上下運動構造
393 :ギア
394 :ラック
395 :フッ素樹脂シート
396 :隙間
397A :第1ローラ
397B :第2ローラ
398 :ハウジング
398A :上面
398B :側面
400 :方向移動構造
401 :スライド部材
402 :レール
403 :回転柱体
404 :固定部材
405 :規制部材
406 :カバー体
410 :突部材
411 :支持材
412 :ガイドレール
AR1 :領域
AR2 :領域
BCT :中心
CR :被覆領域
CT :中央
ER :露出領域
F :矢印
FD :矢印
FH :矢印
J :矢印
K1 :矢印
K2 :矢印
K3 :矢印
K4 :回転方向
M :保持対象物
MP :中心
P :矢印
Q :矢印
SL :矢印
T :変位方向
U :矢印
α :傾斜角度
【手続補正書】
【提出日】2023-05-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持対象物を挿通する貫通孔が上下方向に形成されており、該貫通孔の上端縁部に前記保持対象物を接触させるように形成した保持体を備え、
前記保持体は、前記貫通孔の少なくとも一部を形成する複数の変位子と、伸縮可能であり且つ少なくとも一つの前記変位子を付勢する弾性部材とを備え、
少なくとも一部の前記変位子では、前記変位子が前記変位子に対して定められる変位方向に変位することに伴って、前記貫通孔の周面部に露出したそれぞれの前記変位子の露出領域が変動し、
前記露出領域が多くなるように前記変位子が移動した状態となる場合に、前記変位子に対して前記露出領域が少ない位置となるように前記弾性部材の伸縮に応じた応力が負荷され、
隣り合う前記変位子では、該隣り合う前記変位子の互いに向かい合う面の向きを維持しながら、前記応力に応じて前記変位子の全体が他前記変位方向にスライド移動する、
保持治具。
【請求項2】
隣り合う前記変位子は、それぞれの前記変位子に対して定められる前記変位方向に沿って互いに摺動する、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項3】
前記貫通孔は、複数の前記変位子で形成される、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項4】
複数の前記変位子は、環状に配置される、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項5】
前記保持体は、少なくとも一部の前記変位子の前記変位方向を規制する規制構造を備え、
前記規制構造は、それぞれの前記変位子に対応して設けられ前記変位子を所定方向に案内するガイド部を有し、
前記変位子の前記変位方向は、前記変位子に応じた前記ガイド部に沿った方向である、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項6】
隣り合う前記変位子のうちの一方の前記変位子が前記一方の前記変位子に対応する前記ガイド部に沿って移動する場合に他方の前記変位子に対して押圧力を与え、前記他方の前記変位子が前記押圧力に基づいて前記他方の前記変位子に対応する前記ガイド部に沿って移動する、
請求項5に記載の保持治具。
【請求項7】
前記保持体は、少なくとも1つの前記変位子の変位距離を規制する規制壁部を有し、
前記規制壁部は、前記変位子が所定の位置まで変位した場合に前記変位子に接触する、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項8】
前記保持体は、前記規制壁部に第1の溝部を有し、
前記規制壁部に接触する前記変位子には、前記第1の溝部に対応した位置に第2の溝部が形成されており、
前記第1の溝部と前記第2の溝部に共通しており且つ前記第1の溝部と前記第2の溝部に埋め込まれた規制棒が設けられている、
請求項7に記載の保持治具。
【請求項9】
隣り合う前記変位子は、互いに前記変位子の側面で接触する、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項10】
隣り合う前記変位子が互いに前記上下方向に重なり合うことが避けられている、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項11】
前記貫通孔の前記上端縁部では、隣り合う前記変位子の上面の位置が揃っている、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項12】
べース板をさらに備え、
前記変位子は、前記べース板の板上面に配置され、
前記変位子が、前記べース板の前記板上面を擦り動く、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項13】
前記変位子の下面に前記貫通孔の前記周面部に沿って延出された延出部が形成されている、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項14】
少なくとも前記変位子のうち前記露出領域に対応する部分が、前記貫通孔の前記上端縁部から下方向に向かうにつれて、前記貫通孔の内側に向かって下り傾斜する傾斜面を形成している、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項15】
保護板をさらに備え、
前記保護板は、前記変位子の少なくとも一部を覆う、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項16】
前記保護板の位置を固定するための固定部材が、前記保護板に対して着脱自在に取り付けられており、
前記固定部材が取り外された状態で、前記保護板が、該保護板の厚み方向を法線とする平面方向に変位可能となるように構成されている、
請求項15に記載の保持治具。
【請求項17】
前記保持対象物は、前記貫通孔に接触する第1保持対象物と、前記第1保持対象物の上に搭載される第2保持対象物を有し、
前記上下方向を法線とする平面の面方向を平面方向とした場合に、
前記保持体の上面側には、少なくとも前記第1保持対象物に対する前記第2保持対象物の前記平面方向の位置を規定する位置決め構造が設けられている、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項18】
前記位置決め構造は、前記保持体の上面側に立設された複数のピンを備え、複数の前記ピンは、前記第2保持対象物の前記平面方向の位置を規定し、
それぞれの前記ピンは、前記上下方向に変位可能に構成されている、
請求項17に記載の保持治具。
【請求項19】
前記保持対象物は、本体部と前記本体部の上端に外方向に延びるフランジ部とを有する容器を少なくとも備え、前記フランジ部が前記貫通孔の前記上端縁部に接触する、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項20】
前記弾性部材は、前記露出領域が多くなるように前記変位子が移動した状態で、前記変位子に対して前記露出領域が少ない位置となるように応力を負荷する、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項21】
外周部を有し、
前記外周部を取り巻くように緩衝性を有する被覆材が設けられている、、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項22】
前記変位子の下面側に前記変位子の前記変位方向を規制する変位ガイド構造が設けられている、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項23】
前記変位子の上面に溝が形成されている、前記溝は、前記変位子の前記変位方向に沿って延び、かつ前記貫通孔の上端縁部に対応する部分から外れた部分に形成されている、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項24】
前記変位子の側面のうち、前記貫通孔を形成する面を除く面の少なくとも一部に溝が形成されている、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項25】
保護板をさらに備え、
前記保護板は、前記変位子の少なくとも一部を覆っており、
前記保護板は、前記貫通孔を露出させるように形成された補助孔を有し、
前記変位子の上面に段差が形成されており、
前記段差は、前記保護板の前記補助孔の内側に露出し、且つ、前記段差の上面が前記保護板の下面の位置よりも上側に位置している、
請求項1に記載の保持治具。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか1項に記載の保持治具と、前記保持対象物の上側から前記保持対象物に押圧力を付与する押圧体とを備え、
前記保持治具に前記保持対象物が配置されている状態において前記保持対象物に前記押圧力を付与する場合には、前記押圧体と前記保持治具とが所定距離離れた初期位置から前記保持対象物が押圧される位置まで前記押圧体と前記保持治具との少なくともいずれかが移動し、前記保持対象物の上に前記押圧体が存在し、且つ、前記押圧力が前記保持対象物に対して前記保持対象物の上側から付与される、ことを特徴とする、
封止装置。
【請求項27】
前記保持治具が、前記押圧体に向けて移動する、
請求項26に記載の封止装置。
【請求項28】
前記押圧体が、前記保持治具に向けて移動する、
請求項26に記載の封止装置。
【請求項29】
前記押圧体は押圧面を有し、
前記押圧面は、凹凸面となっている、
請求項26に記載の封止装置。
【請求項30】
前記押圧体を加熱可能な加熱機構を備えた、
請求項26に記載の封止装置。
【請求項31】
前記押圧体と前記保持治具の間にフッ素樹脂シートを設けた、
請求項26に記載の封止装置。
【請求項32】
前記保持対象物は、上側に開口を形成した本体部と前記本体部の上端に外方向に延びるフランジ部とを有する容器を少なくとも備える、
請求項26に記載の封止装置。
【請求項33】
前記本体部の上側の前記開口と前記フランジ部を覆うように前記容器に蓋を配置した状態で、前記押圧体と前記保持治具の間に前記容器と前記蓋を介在させて、前記容器の前記フランジ部の位置で前記蓋を前記容器に接合する、
請求項32に記載の封止装置。
【請求項34】
請求項32に記載の封止装置を用いられ、
前記押圧体と前記保持治具の間に前記容器と前記蓋を介在させた状態で、前記容器の前記フランジ部の位置で前記蓋を前記容器に接合する、封止方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、次に示す(1)から(35)を要旨とする。
(1)保持対象物を挿通する貫通孔が上下方向に形成されており、該貫通孔の上端縁部に前記保持対象物を接触させるように形成した保持体を備え、前記保持体は、前記貫通孔の少なくとも一部を形成する複数の変位子と、伸縮可能であり且つ少なくとも一つの前記変位子を付勢する弾性部材とを備え、少なくとも一部の前記変位子では、前記変位子が前記変位子に対して定められる変位方向に変位することに伴って、前記貫通孔の周面部に露出したそれぞれの前記変位子の露出領域が変動し、前記露出領域が多くなるように前記変位子が移動した状態となる場合に、前記変位子に対して前記露出領域が少ない位置となるように前記弾性部材の伸縮に応じた応力が負荷され、隣り合う前記変位子では、該隣り合う前記変位子の互いに向かい合う面の向きを維持しながら、前記応力に応じて前記変位子の全体が他前記変位方向にスライド移動する、保持治具。
(2)隣り合う前記変位子は、それぞれの前記変位子に対して定められる前記変位方向に沿って互いに摺動する、上記(1)に記載の保持治具。
(3)前記貫通孔は、複数の前記変位子で形成される、上記(1)に記載の保持治具。
(4)複数の前記変位子は、環状に配置される、上記(1)に記載の保持治具。
(5)前記保持体は、少なくとも一部の前記変位子の前記変位方向を規制する規制構造を備え、前記規制構造は、それぞれの前記変位子に対応して設けられ前記変位子を所定方向に案内するガイド部を有し、前記変位子の前記変位方向は、前記変位子に応じた前記ガイド部に沿った方向である、上記(1)に記載の保持治具。
(6)隣り合う前記変位子のうちの一方の前記変位子が前記一方の前記変位子に対応する前記ガイド部に沿って移動する場合に他方の前記変位子に対して押圧力を与え、前記他方の前記変位子が前記押圧力に基づいて前記他方の前記変位子に対応する前記ガイド部に沿って移動する、上記(5)に記載の保持治具。
(7)前記保持体は、少なくとも1つの前記変位子の変位距離を規制する規制壁部を有し、前記規制壁部は、前記変位子が所定の位置まで変位した場合に前記変位子に接触する、上記(1)に記載の保持治具。
(8)前記保持体は、前記規制壁部に第1の溝部を有し、前記規制壁部に接触する前記変位子には、前記第1の溝部に対応した位置に第2の溝部が形成されており、前記第1の溝部と前記第2の溝部に共通しており且つ前記第1の溝部と前記第2の溝部に埋め込まれた規制棒が設けられている、上記(7)に記載の保持治具。
(9)隣り合う前記変位子は、互いに前記変位子の側面で接触する、上記(1)に記載の保持治具。
(10)隣り合う前記変位子が互いに前記上下方向に重なり合うことが避けられている、上記(1)に記載の保持治具。
(11)前記貫通孔の前記上端縁部では、隣り合う前記変位子の上面の位置が揃っている、上記(1)に記載の保持治具。
(12)べース板をさらに備え、前記変位子は、前記べース板の板上面に配置され、前記変位子が、前記べース板の前記板上面を擦り動く、上記(1)に記載の保持治具。
(13)前記変位子の下面に前記貫通孔の前記周面部に沿って延出された延出部が形成されている、上記(1)に記載の保持治具。
(14)少なくとも前記変位子のうち前記露出領域に対応する部分が、前記貫通孔の前記上端縁部から下方向に向かうにつれて、前記貫通孔の内側に向かって下り傾斜する傾斜面を形成している、上記(1)に記載の保持治具。
(15)保護板をさらに備え、前記保護板は、前記変位子の少なくとも一部を覆う、上記(1)に記載の保持治具。
(16)前記保護板の位置を固定するための固定部材が、前記保護板に対して着脱自在に取り付けられており、前記固定部材が取り外された状態で、前記保護板が、該保護板の厚み方向を法線とする平面方向に変位可能となるように構成されている、上記(15)に記載の保持治具。
(17)前記保持対象物は、前記貫通孔に接触する第1保持対象物と、前記第1保持対象物の上に搭載される第2保持対象物を有し、前記上下方向を法線とする平面の面方向を平面方向とした場合に、前記保持体の上面側には、少なくとも前記第1保持対象物に対する前記第2保持対象物の前記平面方向の位置を規定する位置決め構造が設けられている、上記(1)に記載の保持治具。
(18)前記位置決め構造は、前記保持体の上面側に立設された複数のピンを備え、複数の前記ピンは、前記第2保持対象物の前記平面方向の位置を規定し、それぞれの前記ピンは、上下方向に変位可能に構成されている、上記(17)に記載の保持治具。
(19)前記保持対象物は、本体部と前記本体部の上端に外方向に延びるフランジ部とを有する容器を少なくとも備え、前記フランジ部が前記貫通孔の上端縁部に接触する、上記(1)に記載の保持治具。
(20)前記保持体は、少なくとも一つの前記変位子を付勢する弾性部材を備え、前記弾性部材は、前記露出領域が多くなるように前記変位子が移動した状態で、前記変位子に対して前記露出領域が少ない位置となるように応力を負荷する、上記(1)に記載の保持治具。
(21)外周部を有し、前記外周部を取り巻くように緩衝性を有する被覆材が設けられている、上記(1)に記載の保持治具。
(22)前記変位子の下面側に前記変位子の前記変位方向を規制する変位ガイド構造が設けられている、上記(1)に記載の保持治具。
(23)前記変位子の上面に溝が形成されている、前記溝は、前記変位子の前記変位方向に沿って延び、かつ前記貫通孔の上端縁部に対応する部分から外れた部分に形成されている、上記(1)に記載の保持治具。
(24)前記変位子の側面のうち、前記貫通孔を形成する面を除く面の少なくとも一部に溝が形成されている、上記(1)に記載の保持治具。
(25)保護板をさらに備え、前記保護板は、前記変位子の少なくとも一部を覆っており、前記保護板は、前記貫通孔を露出させるように形成された補助孔を有し、前記変位子の上面に段差が形成されており、前記段差は、前記保護板の前記補助孔の内側に露出し、且つ、前記段差の上面が前記保護板の下面の位置よりも上側に位置している、上記(1)に記載の保持治具。
(26)上記(1)から(25)のいずれか1項に記載の保持治具と、前記保持対象物の上側から前記保持対象物に押圧力を付与する押圧体とを備え、前記保持治具に前記保持対象物が配置されている状態において前記保持対象物に前記押圧力を付与する場合には、前記押圧体と前記保持治具とが所定距離離れた初期位置から前記保持対象物が押圧される位置まで前記押圧体と前記保持治具との少なくともいずれかが移動し、前記保持対象物の上に前記押圧体が存在し、且つ、前記押圧力が前記保持対象物に対して前記保持対象物の上側から付与される、ことを特徴とする、封止装置。
(27)前記保持治具が、前記押圧体に向けて移動する、上記(26)に記載の封止装置。
(28)前記押圧体が、前記保持治具に向けて移動する、上記(26)に記載の封止装置。
(29)前記押圧体は押圧面を有し、前記押圧面は、凹凸面となっている、上記(26)に記載の封止装置。
(30)前記押圧体を加熱可能な加熱機構を備えた、上記(26)に記載の封止装置。
(31)前記押圧体と前記保持治具の間にフッ素樹脂シートを設けた、上記(26)に記載の封止装置。
(32)前記保持対象物は、上側に開口を形成した本体部と前記本体部の上端に外方向に延びるフランジ部とを有する容器を少なくとも備える、上記(26)に記載の封止装置。
(33)前記本体部の上側の前記開口と前記フランジ部を覆うように前記容器に蓋を配置した状態で、前記押圧体と前記保持治具の間に前記容器と前記蓋を介在させて、前記容器の前記フランジ部の位置で前記蓋を前記容器に接合する、上記(32)に記載の封止装置。
(34)上記(32)に記載の封止装置を用いられ、前記押圧体と前記保持治具の間に前記容器と前記蓋を介在させた状態で、前記容器の前記フランジ部の位置で前記蓋を前記容器に接合する、封止方法。