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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092556
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】プリント基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
H05K3/34 501D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207661
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】明 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】和田 正敬
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB06
5E319AC01
5E319AC12
5E319BB05
5E319CC33
5E319CD29
5E319GG07
(57)【要約】
【課題】電子部品の底面電極と電極用はんだ付け部との間の接触面積を維持しつつ、溶融したはんだのスルーホールへの流れ込みを抑えることができるプリント基板を提供する。
【解決手段】プリント基板10は、基板表面に設けられ、電子部品40の底面に設けられた底面電極41とはんだ17を介して接続する電極用はんだ付け部11と、電極用はんだ付け部11に対して、基板表面を被覆する銅箔14を介して接続され、基板表面と基板裏面とを繋ぐスルーホール13と、基板表面を露出するように形成され、電極用はんだ付け部11から当該電極用はんだ付け部11の外側に向けて、スルーホール13と接触することなく延びるスリット16とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面に設けられ、電子部品の底面に設けられた底面電極とはんだを介して接続する電極用はんだ付け部と、
前記電極用はんだ付け部に対して、前記基板表面を被覆する金属箔を介して接続され、前記基板表面と基板裏面とを繋ぐスルーホールと、
前記基板表面を露出するように形成され、前記電極用はんだ付け部から当該電極用はんだ付け部の外側に向けて、前記スルーホールと接触することなく延びるガス排出溝とを備える
ことを特徴とするプリント基板。
【請求項2】
前記ガス排出溝は、
前記電極用はんだ付け部の角部から前記電子部品の下面角部に向けて、前記スルーホールと接触することなく延びる
ことを特徴とする請求項1記載のプリント基板。
【請求項3】
前記ガス排出溝は、
前記電極用はんだ付け部の角部から前記電子部品の下面角部に向けて、直線的に延びる直線部と、
前記電極用はんだ付け部の角部を跨ぐように形成される屈曲部とを有する
ことを特徴とする請求項2記載のプリント基板。
【請求項4】
前記ガス排出溝は、
前記金属箔と当該金属箔を被覆する被覆部材とを除去することで、前記基板表面を露出するように形成される
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のプリント基板。
【請求項5】
前記電極用はんだ付け部における前記はんだが塗布される表面は、前記底面電極における前記はんだが接触する面よりも小さい
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のプリント基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリント基板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品をプリント基板に実装する場合、はんだ付けを用いることがある。はんだ付けする際には、はんだを加熱し、一旦溶融させてから、冷却させる必要がある。このように、はんだを加熱して溶融させるときには、当該はんだ中に含まれるフラックスからガス(以下、フラックスガスと称す)が発生することがある。
【0003】
そこで、プリント基板には、はんだから発生するフラックスガスを基板外部に排出するためのガス排出構造を備えたものがある。このような、プリント基板のガス排出構造は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-60141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたガス排出構造は、電極用はんだ付け部に、ガス排出用の溝を設けている。電極用はんだ付け部は、電子部品の底面電極がはんだを介して接続されるものである。このとき、電子部品から発せられた熱は、電極用はんだ付け部を介して、基板本体側に伝達される。このため、特許文献1に開示されたガス排出構造においては、電極用はんだ付け部と底面電極との間の接触面積が減少するため、電子部品の放熱性が低下するおそれがある。
【0006】
また、特許文献1に開示されたガス排出構造に、放熱用のスルーホールを適用した場合、フラックスガスがはんだから噴出するのに伴って、溶融したはんだの一部が、スルーホールに浸入するおそれがある。このように、はんだがスルーホールに浸入すると、当該スルーホールがはんだによって詰まってしまい、電子部品の放熱性を低下させてしまう。
【0007】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、電子部品の底面電極と電極用はんだ付け部との間の接触面積を維持しつつ、溶融したはんだのスルーホールへの流れ込みを抑えることができるプリント基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る装置は、基板表面に設けられ、電子部品の底面に設けられた底面電極とはんだを介して接続する電極用はんだ付け部と、電極用はんだ付け部に対して、基板表面を被覆する金属箔を介して接続され、基板表面と基板裏面とを繋ぐスルーホールと、基板表面を露出するように形成され、電極用はんだ付け部から当該電極用はんだ付け部の外側に向けて、スルーホールと接触することなく延びるガス排出溝とを備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、電子部品の底面電極と電極用はんだ付け部との間の接触面積を維持しつつ、溶融したはんだのスルーホールへの流れ込みを抑えることができる。この結果、本開示に係るプリント基板は、電子部品の放熱性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係るプリント基板の平面図である。
図2図1のA-A矢視断面図である。
図3図2に続く動作図であって、はんだが塗布された状態を示す断面図である。
図4図3に続く動作図であって、電子部品がはんだ付けされた状態を示す断面図である。
図5図1のB-B矢視断面図である。
図6図5に続く動作図であって、はんだが塗布された状態を示す断面図である。
図7図6に続く動作図であって、電子部品がはんだ付けされた状態を示す断面図である。
図8】実施の形態2に係るプリント基板の平面図である。
図9図8のC-C矢視断面図である。
図10図9に続く動作図であって、はんだが塗布された状態を示す断面図である。
図11図10に続く動作図であって、電子部品がはんだ付けされた状態を示す断面図である。
図12】実施の形態3に係るプリント基板の平面図である。
図13図12のD-D矢視断面図である。
図14図13に続く動作図であって、はんだが塗布された状態を示す断面図である。
図15図14に続く動作図であって、電子部品がはんだ付けされた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
実施の形態1に係るプリント基板10について、図1から図7を用いて説明する。
【0013】
図1は、実施の形態1に係るプリント基板10の平面図である。図2は、図1のA-A矢視断面図である。図3は、図2に続く動作図であって、はんだ17が塗布された状態を示す断面図である。図4は、図3に続く動作図であって、電子部品40がはんだ付けされた状態を示す断面図である。図5は、図1のB-B矢視断面図である。図6は、図5に続く動作図であって、はんだ17が塗布された状態を示す断面図である。図7は、図6に続く動作図であって、電子部品40がはんだ付けされた状態を示す断面図である。
【0014】
図1図4図7に示すように、プリント基板10は、表面実装型の電子部品40を備えている。このプリント基板10は、例えば、樹脂材料等の絶縁性を有する材料で形成されている。電子部品40は、はんだ付けよって、プリント基板10の上面に実装される。この電子部品40は、半導体等から構成されている。
【0015】
電子部品40の内部には、底面(図示省略)が形成されており、その底面に対向する下面は、略正方形をなしている。また、電子部品40は、例えば、1つの底面電極41及び複数の端子42を有している。
【0016】
底面電極41は、電子部品40の底面中央部に設けられている。この底面電極41の下面は、略正方形をなしている。また、底面電極41の下面は、電子部品40の底面から露出しており、当該電子部品40の下面と面一になっている。
【0017】
端子42は、電子部品40の底面において、底面電極41の周囲を囲うように設けられている。この端子42の先端は、電子部品40の底面から露出しており、当該電子部品40の下面と面一になっている。
【0018】
これに対して、プリント基板10は、電極用はんだ付け部11、端子用パッド12、スルーホール13、銅箔14、ソルダーレジスト15、及び、スリット16を有している。電極用はんだ付け部11、端子用パッド12、銅箔14、ソルダーレジスト15、及び、スリット16は、電子部品40を実装するためのプリント基板10の表面(基板表面)に設けられている。
【0019】
電極用はんだ付け部11には、電子部品40の底面電極41が、はんだ17を介して、電気的に接合されている。電極用はんだ付け部11の表面は、略正方形をなしており、底面電極41の下面と略同じ大きさに形成されている。このため、電極用はんだ付け部11の表面と底面電極41の下面とは、互いに一致して接合される。なお、電極用はんだ付け部11は、例えば、銅等の導電性を有する金属材料で形成されている。また、はんだ17は、例えば、クリームはんだである。
【0020】
端子用パッド12には、電子部品40の端子42が、はんだ17を介して、電気的に接合されている。端子用パッド12は、電極用はんだ付け部11の周囲を囲うように設けられている。各端子用パッド12の表面には、各端子42の先端が、はんだ付けよってそれぞれ接合される。なお、端子用パッド12は、例えば、銅等の導電性を有する金属材料で形成されている。
【0021】
スルーホール13は、プリント基板10を厚さ方向に貫通する、放熱用の孔である。即ち、スルーホール13は、プリント基板10において、表面と裏面(基板裏面)とを繋ぐ孔である。スルーホール13の一端は、プリント基板10の表面に開口している。一方、スルーホール13の他端は、プリント基板10の裏面に開口している。なお、プリント基板10の裏面とは、電子部品40の実装面となる表面の反対側に位置する面のことである。
【0022】
スルーホール13は、電極用はんだ付け部11の周囲を囲むように設けられている。また、スルーホール13は、銅等の導電性を有する金属材料で形成されている。このため、詳細については後述するが、スルーホール13は、プリント基板10の表面側の熱を、当該プリント基板10の裏面側に伝達させることができる。
【0023】
銅箔14は、プリント基板10における電極用はんだ付け部11と端子用パッド12との間の表面を被覆している。この銅箔14は、スルーホール13の一端と接続し、且つ、当該スルーホール13の一端の周囲を囲むように設けられている。また、銅箔14は、電極用はんだ付け部11の各辺と接続し、且つ、当該電極用はんだ付け部11の周囲を囲むように設けられている。即ち、電極用はんだ付け部11とスルーホール13とは、銅箔14を介して、熱的に接続されている。なお、プリント基板10においては、熱伝導性を有する、金属箔となる銅箔14に替えて、他の熱伝導性部材となる金属箔を設けても構わない。
【0024】
ソルダーレジスト15は、電極用はんだ付け部11及び端子用パッド12を避けるようにして、プリント基板10の表面、スルーホール13の周囲、及び、銅箔14を被覆している。なお、被覆部材となるソルダーレジスト15は、例えば、樹脂材料等の絶縁性を有する材料で形成されている。
【0025】
スリット16は、はんだ17中から発生するフラックスガスの基板外部へのガス排出溝である。このスリット16は、電極用はんだ付け部11の外周面から、当該電極用はんだ付け部11の外側に向けて延びている。
【0026】
具体的には、スリット16は、電極用はんだ付け部11の角部11aから、この角部11aと対向する電子部品40の下面角部43に向けて、直線状に延びている。また、スリット16は、プリント基板10の表面を露出するように形成されている。更に、スリット16は、スルーホール13と接触することなく形成されている。このような、スリット16は、例えば、プリント基板10の表面を被覆する銅箔14及びソルダーレジスト15を除去することで、形成可能となっている。
【0027】
なお、図1においては、スリット16が電極用はんだ付け部11における全ての角部11aに対応して4つ設けられているが、当該スリット16は、少なくとも1つの角部11aに対応して、設けられていれば良い。また、図1においては、スリット16は、角部11aから延びて、下面角部43には到達していないが、角部11aから下面角部43まで延びるもの、又は、角部11aから延びて、下面角部43を超えるものでも構わない。
【0028】
従って、プリント基板10においては、上述した構成をなすことにより、電子部品40から発せられた熱は、底面電極41に伝わった後、はんだ17を介して、電極用はんだ付け部11に伝わる。次いで、電極用はんだ付け部11に伝わった熱は、銅箔14を通じて、スルーホール13の一端に伝わる。次いで、スルーホール13の一端に伝わった熱は、当該スルーホール13を長さ方向に沿って伝わった後、その他端に伝わる。そして、スルーホール13の他端に伝わった熱は、空気中に放出される。このとき、プリント基板10においては、その裏面に金属箔を被覆しており、スルーホール13の他端に伝わった熱を、その金属箔に伝達させても良い。このように、プリント基板10においては、電子部品40から発せられた熱が、当該プリント基板10の表面側から裏面側に伝達されることで、電子部品40からの放熱を行っている。
【0029】
次に、プリント基板10の表面に対する電子部品40の実装方法について、図1から図7を用いて説明する。
【0030】
先ず、図1図2図5に示すように、電極用はんだ付け部11、端子用パッド12、及び、スルーホール13を備えたプリント基板10の表面に、銅箔14が被覆される。このとき、銅箔14は、電極用はんだ付け部11とスルーホール13とを繋ぐように形成される。このため、電極用はんだ付け部11とスルーホール13とは、熱的に接続される。
【0031】
次いで、銅箔14が被覆されたプリント基板10の表面にソルダーレジスト15が更に被覆される。このとき、ソルダーレジスト15は、電極用はんだ付け部11及び端子用パッド12を避けるようにして、プリント基板10の表面、スルーホール13の周囲、及び、銅箔14を被覆する。
【0032】
次いで、銅箔14及びソルダーレジスト15が被覆されたプリント基板10の表面に、スリット16が形成される。このとき、スリット16は、電極用はんだ付け部11の角部11aから、当該電極用はんだ付け部11の外側に向けて延びるように、直線的に形成される。このスリット16は、銅箔14及びソルダーレジスト15を除去して、プリント基板10の表面を露出させることで、形成される。
【0033】
次いで、図3及び図6に示すように、プリント基板10に設けられる電極用はんだ付け部11の表面及び端子用パッド12の表面に対して、はんだ17が塗布される。このとき、電極用はんだ付け部11の表面及び端子用パッド12の表面の各周囲には、メタルマスク(図示省略)が施されている。このメタルマスクは、はんだ17の塗布完了後に、除去される。なお、メタルマスクの塗布範囲は、例えば、スルーホール13の一端開口面、銅箔14の表面、ソルダーレジスト15の表面、及び、スリット16の開口端面を含む範囲である。
【0034】
次いで、図4及び図7に示すように、電子部品40の底面電極41が、はんだ17を介して、電極用はんだ付け部11に搭載される。また、電子部品40の端子42が、はんだ17を介して、端子用パッド12に搭載される。
【0035】
次いで、はんだ17を介して電子部品40が搭載されたプリント基板10は、リフロー炉等の加熱設備に投入されて、加熱される。このため、はんだ17は、加熱されることで、一旦溶融する。
【0036】
次いで、加熱されたプリント基板10は、加熱設備から取り出され、冷却される。プリント基板10に対する冷却は、例えば、自然冷却である。このため、はんだ17は、冷却されることで、固化する。この結果、電子部品40の底面電極41は、電極用はんだ付け部11にはんだ付けされる。また、電子部品40の端子42は、端子用パッド12にはんだ付けされる。
【0037】
ここで、はんだ17が加熱されて溶融する場合、当該はんだ17の内部に含まれるフラックスから、フラックスガスが発生することがある。このフラックスガスには、例えば、はんだ17の表面近傍で発生するもの、又は、はんだ17の内部で発生するものがある。このように、はんだ17で発生したフラックスガスは、その内部で発生したものは、ボイドとして留まるものもあるが、当該はんだ17からその外部に噴出する場合がある。
【0038】
電極用はんだ付け部11と底面電極41との間に介在されるはんだ17の必要量は、比較的多く、そのはんだ17から噴出するフラックスガスの排出量も多くなる。そして、そのはんだ17からフラックスガスが噴出すると、溶融したはんだ17の一部が、その噴出したフラックスガスの勢いに押されて、スルーホール13の内部に流れ込むおそれがある。このように、スルーホール13の内部に、溶融したはんだ17の一部が流れ込んでしまうと、電子部品40の放熱性が低下してしまう。
【0039】
これに対して、プリント基板10は、そのフラックスガスを基板外部に排出するためのスリット16を備えている。このスリット16は、はんだ17が塗布される電極用はんだ付け部11の外周面から当該電極用はんだ付け部11の外側に向けて延びているため、はんだ17から発生したフラックスガスを、容易に基板外部に向けて排出することができる。
【0040】
また、スリット16は、スルーホール13と接触しないように形成されているため、仮に、溶融したはんだ17が、噴出したフラックスガスの勢いに押されて、スリット16内を流れても、スルーホール13の内部に流れ込むことはない。
【0041】
更に、スリット16は、電極用はんだ付け部11の外周面に接触するだけであって、当該電極用はんだ付け部11を切り欠く又は通過するものではない。このため、スリット16は、電極用はんだ付け部11と底面電極41との間の接触面積を最大限に維持することができるので、電子部品40の放熱性の低下を抑えることができる。
【0042】
以上、実施の形態1に係るプリント基板10は、基板表面に設けられ、電子部品40の底面に設けられた底面電極41とはんだ17を介して接続する電極用はんだ付け部11と、電極用はんだ付け部11に対して、基板表面を被覆する銅箔14を介して接続され、基板表面と基板裏面とを繋ぐスルーホール13と、基板表面を露出するように形成され、電極用はんだ付け部11から当該電極用はんだ付け部11の外側に向けて、スルーホール13と接触することなく延びるスリット16とを備える。このため、プリント基板10は、電子部品40の底面電極41と電極用はんだ付け部11との間の接触面積を維持しつつ、溶融したはんだ17のスルーホール13への流れ込みを抑えることができる。この結果、本開示に係るプリント基板10は、電子部品40の放熱性の低下を抑制することができる。
【0043】
プリント基板10においては、スリット16は、電極用はんだ付け部11の角部11aから電子部品40の下面角部43に向けて、スルーホール13と接触することなく延びる。このため、プリント基板10は、スルーホール13が設置されていない領域に、スリット16を容易に設けることができる。
【0044】
プリント基板10においては、スリット16は、銅箔14と当該銅箔14を被覆するソルダーレジスト15とを除去することで、基板表面を露出するように形成される。このため、プリント基板10は、スリット16を容易に形成することができる。
【0045】
実施の形態2.
実施の形態2に係るプリント基板20について、図8から図11を用いて説明する。なお、上述した実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
図8は、実施の形態2に係るプリント基板20の平面図である。図9は、図8のC-C矢視断面図である。図10は、図9に続く動作図であって、はんだ17が塗布された状態を示す断面図である。図11は、図10に続く動作図であって、電子部品40がはんだ付けされた状態を示す断面図である。
【0047】
図8に示すように、実施の形態2に係るプリント基板20は、実施の形態1に係るプリント基板10のスリット16に替えて、スリット26を備えている。
【0048】
図8から図11に示すように、スリット26は、はんだ17から発生するフラックスガスの基板外部へのガス排出溝である。このスリット26は、電極用はんだ付け部11の外周面から、当該電極用はんだ付け部11の外側に向けて延びている。また、スリット26は、プリント基板20の表面を露出するように形成されている。
【0049】
具体的には、スリット26は、直線部26a及び屈曲部26bを有している。直線部26aは、電極用はんだ付け部11の角部11aから、この角部11aと対向する電子部品40の下面角部43に向けて、直線状に延びている。また、直線部26aは、スルーホール13と接触することなく形成されている。屈曲部26bは、電極用はんだ付け部11の角部11aを跨ぐような、屈曲した形状になっている。屈曲部26bの折り曲げ部は、直線部26aの基端と接続している。このため、直線部26aと屈曲部26bとは、互いに連通している。このような、スリット26は、例えば、プリント基板10の表面を被覆する銅箔14及びソルダーレジスト15を除去することで、形成可能となっている。
【0050】
従って、スリット26は、直線部26a及び屈曲部26bを有することで、直線部26aによって、はんだ17から発生したフラックスガスを、容易に基板外部に向けてT排出することができ、屈曲部26bによって、電極用はんだ付け部11の外周面に対する接触面積を増やすことができる。このため、スリット26は、はんだ17から発生したフラックスガスを捕集し易くなり、当該フラックスガスを効率的に基板外部に向けて排出することができる。
【0051】
以上、実施の形態2に係るプリント基板20においては、スリット26は、電極用はんだ付け部11の角部11aから電子部品40の下面角部43に向けて、直線的に延びる直線部26aと、電極用はんだ付け部11の角部11aを跨ぐように形成される屈曲部26bとを有する。このため、プリント基板20は、はんだ17から発生したフラックスガスを捕集し易くなり、当該フラックスガスを効率的に基板外部に向けて排出することができる。
【0052】
実施の形態3.
実施の形態3に係るプリント基板30について、図12から図15を用いて説明する。なお、上述した実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
図12は、実施の形態3に係るプリント基板30の平面図である。図13は、図12のD-D矢視断面図である。図14は、図13に続く動作図であって、はんだ17が塗布された状態を示す断面図である。図15は、図14に続く動作図であって、電子部品40Aがはんだ付けされた状態を示す断面図である。
【0054】
図12に示すように、実施の形態3に係るプリント基板30は、実施の形態1に係る電極用はんだ付け部11及び電子部品40に替えて、電極用はんだ付け部31及び電子部品40Aを備えている。
【0055】
図12から図15に示すように、電子部品40Aは、底面電極41A及び端子42を有している。このとき、底面電極41Aの下面の大きさは、比較的大きいため、当該底面電極41Aと端子42との間の距離は、短くなっている。
【0056】
ここで、底面電極41Aの下面の大きさに対応して、電極用はんだ付け部を設けてしまうと、当該電極用はんだ付け部の周囲を囲うように形成される銅箔14の被覆面積は、小さくなってしまう。このため、放熱用のスルーホール13を所定の位置に設けることが困難となる。
【0057】
そこで、プリント基板30は、小さい電極用はんだ付け部31を備えている。即ち、電極用はんだ付け部31の表面の面積は、底面電極41Aの下面の面積よりも小さくなっている。このため、銅箔14の被覆面積が広がり、スルーホール13を所定の位置に設けることができる。
【0058】
このように、プリント基板30においては、電子部品40Aの底面電極41Aの大きさが大きくなる場合でも、電極用はんだ付け部31の表面の面積を、その底面電極41Aの下面の面積よりも小さくすることで、銅箔14の被覆面積を確保することができる。このため、プリント基板30は、スルーホール13を所定の位置に設けることができる。
【0059】
また、電極用はんだ付け部31が底面電極41Aよりも小さくなるものの、スリット16は、その電極用はんだ付け部31の角部31aから電子部品40Aの下面角部43に向けて、スルーホール13と接触することなく延びている。このため、プリント基板30には、溶融したはんだ17のスルーホール13への流れ込みを抑えることができる。
【0060】
以上、実施の形態3に係るプリント基板30においては、電極用はんだ付け部31におけるはんだ17が塗布される表面は、底面電極41Aにおけるはんだ17が接触する下面よりも小さい。このため、プリント基板30は、電子部品40Aの下面が電極用はんだ付け部31の表面よりも大きくなる場合でも、銅箔14の被覆面積を確保して、スルーホール13を所定の位置に設けることができる。
【0061】
なお、本開示は、その開示の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、或いは、各実施の形態における任意の構成要素の変形、若しくは、各実施の形態における任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0062】
10,20,30 プリント基板、11,31 電極用はんだ付け部、11a,31a 角部、12 端子用パッド、13 スルーホール、14 銅箔、15 ソルダーレジスト、16 スリット、17 はんだ、26 スリット、26a 直線部、26b 屈曲部、40,40A 電子部品、41,41A 底面電極、42 端子、43 下面角部。
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