(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092608
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】クッション体、及びクッション体の製造方法
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
A47G9/10 X
A47G9/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207728
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】西村 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】森川 陽亮
【テーマコード(参考)】
3B102
【Fターム(参考)】
3B102AA09
3B102AB07
3B102AB08
3B102AC01
(57)【要約】
【課題】通気性を良好にすることができるクッション体、及びクッション体の製造方法を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るクッション体は、柔軟性素材によって構成されたクッション体1である。クッション体1は、クッション体本体1Aと、クッション体本体1Aの外面に縫い込まれており、クッション体1の突出部10を形成する突出部形成生地12と、を備える。突出部形成生地12によって形成されたクッション体1の突出部10の内側に内容物が収容可能とされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性素材によって構成されたクッション体であって、
クッション体本体と、
前記クッション体本体の外面に縫い込まれており、前記クッション体の突出部を形成する突出部形成生地と、
を備え、
前記突出部形成生地によって形成された前記クッション体の突出部の内側に内容物が収容可能とされている、
クッション体。
【請求項2】
前記突出部形成生地は、複数枚の生地によって構成されている、
請求項1に記載のクッション体。
【請求項3】
平面視において前記クッション体は長方形状とされており、
複数の前記突出部形成生地が、前記クッション体の短手方向の一方側であって且つ前記クッション体の長手方向の両端のそれぞれに配置されている、
請求項1又は2に記載のクッション体。
【請求項4】
前記内容物が中空粒状体である、
請求項1~3のいずれか一項に記載のクッション体。
【請求項5】
柔軟性素材によって構成されたクッション体の製造方法であって、
クッション体本体を形成する工程と、
前記クッション体本体の外面に突出部形成生地を縫い込んで前記クッション体の突出部を形成する工程と、
前記クッション体の突出部の内側に内容物を収容する工程と、
を備えるクッション体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、突出部を有するクッション体、及びクッション体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から突出部を有するクッション体としては種々のものが知られている。登録実用新案第3217333号公報には、マットと枕とが一体成形されたマット一体型枕が記載されている。枕には、仰臥時に使用者の頸部を支えるための凸部と、凸部を挟んでマットとは反対側に位置する凹部とが形成されている。マットの中央縦方向には、上側に高くなった盛り上がり部が形成されている。
【0003】
平面視において、マットは台形状とされており、枕は棒状とされている。枕の凸部は棒状とされている。凸部は両側部と中央部とを有し、両側部の高さは中央部の高さよりも高い。このマット一体型枕では、中央部、及び中央部よりも高い両側部を有する凸部が形成された枕と、マットとが一体成形されているので、全体として異形のクッション体とされている。マット一体型枕は、ジェルとウレタンの混合素材で形成されており、弾性によって、柔軟性と復元力を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したマット一体型枕のように、突出部を有するクッション体はウレタン等の発泡樹脂素材を用いて一体成形によって製造される。このように異形のクッション体は、一体成形によって製造されるので、高い弾性を有するものの固体化されたものとされている。この種のクッション体は中実とされている。従って、通気性がよくないことによって熱がこもりやすいということが起こりうる。
【0006】
本開示は、通気性を良好にすることができるクッション体、及びクッション体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るクッション体は、柔軟性素材によって構成されたクッション体である。クッション体は、クッション体本体と、クッション体本体の外面に縫い込まれており、クッション体の突出部を形成する突出部形成生地と、を備える。突出部形成生地によって形成されたクッション体の突出部の内側に内容物が収容可能とされている。
【0008】
このクッション体では、柔軟性素材によって構成されたクッション体の突出部を形成する突出部形成生地がクッション体本体の外面に縫い込まれている。突出部形成生地は、クッション体の突出部を形成するために設けられ、クッション体本体の外面に縫い込まれた状態でクッション体の突出部を形成する。この突出部の内側には内容物が収容可能とされている。従って、突出部は中空とされており、中空とされた部分に内容物が収容可能とされているので、クッション体の突出部における通気性を良好にすることができる。すなわち、中実で固体化されたクッション体とは異なり、内部に空気を流通できるので、通気性が良好なクッション体とすることができる。更に、このクッション体の突出部は、突出部形成生地がクッション体本体の外面に縫い込まれて形成されている。従って、突出部に外力が加わった場合でも、突出部としての形状を維持することができる。
【0009】
突出部形成生地は、複数枚の生地によって構成されていてもよい。この場合、複数枚の生地の貼り合わせによって突出部を形成できるので、生地の形状を簡易にすることができる。そして、突出部としての形状をより確実に維持することができる。
【0010】
平面視においてクッション体は長方形状とされていてもよい。複数の突出部形成生地が、クッション体の短手方向の一方側であって且つクッション体の長手方向の両端のそれぞれに配置されていてもよい。これにより、クッション体が枕である場合に、首が載せられる部分の両側のそれぞれに突出部を形成することが可能である。従って、クッション体の使用者が横向き寝をしたときにおける首と枕との間に形成される隙間を突出部によって埋めることが可能となるので、横向き寝をしたときにおける寝心地を良好にすることができる。
【0011】
内容物が中空粒状体であってもよい。この場合、突出部の内側に中空粒状体が収容されるので、突出部の形状を維持できると共に突出部の通気性を良好にすることができる。
【0012】
本開示に係るクッション体の製造方法は、柔軟性素材によって構成されたクッション体の製造方法である。クッション体の製造方法は、クッション体本体を形成する工程と、クッション体本体の外面に突出部形成生地を縫い込んでクッション体の突出部を形成する工程と、クッション体の突出部の内側に内容物を収容する工程と、を備える。
【0013】
このクッション体の製造方法では、柔軟性素材によって構成されたクッション体の突出部を形成する突出部形成生地をクッション体本体の外面に縫い込む。クッション体本体の外面に縫い込まれた突出部形成生地によりクッション体の突出部が形成され、この突出部の内側に内容物が収容される。従って、突出部は中空とされており、中空とされた部分に内容物が収容可能とされているので、前述したクッション体と同様、突出部における通気性を良好にすることができる。更に、突出部形成生地がクッション体本体の外面に縫い込まれることによって突出部が形成される。従って、突出部に外力が加わった場合でも、突出部としての形状を維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、通気性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係るクッション体の一例としての枕を示す平面図である。
【
図3】
図2の枕の側地を開放した状態を示す図である。
【
図4】
図2の枕に収容される高さ調整シートを示す図である。
【
図5】実施形態に係るクッション体の突出部を示す図である。
【
図6】
図5とは異なる方向から見た突出部を示す図である。
【
図7】(a)及び(b)は、実施形態に係るクッション体の製造方法の工程を説明するための図である。
【
図8】第1変形例に係るクッション体を示す斜視図である。
【
図9】(a)及び(b)のそれぞれは、
図8のクッション体の突出部を示す斜視図である。
【
図10】(a)は、第2変形例に係るクッション体を示す斜視図である。(b)は、
図10(a)のクッション体の突出部を示す図である。
【
図11】(a)は、第3変形例に係るクッション体を示す斜視図である。(b)は、第4変形例に係るクッション体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るクッション体、及びクッション体の製造方法の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0017】
本開示に係るクッション体は、柔軟性素材によって構成されている。「柔軟性素材」とは、身体が載せられて荷重を受けたときに変形するクッション性素材を示している。本開示に係るクッション体は、クッション体本体を備える。「クッション体本体」とは、クッション体の本体であり、クッション体本体のみでもクッション体としての機能を発揮する部分を示している。
【0018】
本開示に係るクッション体は、クッション体の突出部を形成する突出部形成生地を備える。「突出部」は、クッション体の突出部以外の場所から突出した部分を示している。「突出部形成生地」は、クッション体の突出部を形成するための生地を示している。クッション体の突出部の内側には内容物が収容可能とされている。「内容物」は、クッション体の内部に収容される物を示しており、例えば、パイプ材等の中空内容物、そば殻、アズキ若しくはヒノキ等の中実内容物、又は、わた等の柔軟性内容物であってもよい。
【0019】
図1は、実施形態に係るクッション体1を示す平面図である。
図2は、クッション体1の底面図である。
図1及び
図2に示されるように、実施形態に係るクッション体1は、クッション体1の長手方向D1に沿って延びる長辺1b、及び長手方向D1に交差する短手方向D2に延びる短辺1cを有する枕である。
【0020】
クッション体1は、長辺1bと、長手方向D1に沿って並ぶ一対の短辺1cとを有する。クッション体1は、平面視におけるクッション体1の中心Cから見て長辺1bとは反対側に位置する凸部1dを有する。平面視において、凸部1dは、クッション体1の短手方向D2の外側に突出している。例えば、凸部1dは、クッション体1の長手方向D1の中央を含む領域に設けられる。凸部1dは、例えば、平面視において丸みを帯びている。
【0021】
クッション体1は、短手方向D2の一方側であって且つ長手方向D1の両端のそれぞれに突出部10を有する。突出部10は、短辺1cの端部からクッション体1の長手方向D1の外側に張り出す張り出し部10bと、張り出し部10bの短辺1cとは反対側に位置する頂部10cと、頂部10cから凸部1dまで延びる延在部10dとを有する。突出部10については後に詳述する。
【0022】
クッション体1は、使用者の後頭部が載せられる中央部2と、中央部2の長手方向D1の両側のそれぞれに位置しており使用者の側頭部が載せられる両側部3とを有する。中央部2は、中心Cから見て凸部1dとは反対側に位置する第1中央部2bと、第1中央部2b及び凸部1dの間に位置する第2中央部2cとを有する。
【0023】
第1中央部2bは使用者の頭頂部が載せられる部分に相当し、第2中央部2cは使用者の後頭部が載せられる部分に相当する。例えば、第1中央部2bの面積は第2中央部2cの面積よりも広い。凸部1dは、使用者の首が載せられる部分に相当する。第1中央部2bと第2中央部2cとの境界線B1、及び第2中央部2cと凸部1dとの境界線B2、のそれぞれには縫製が施されている。例えば、境界線B1及び境界線B2は長手方向D1に沿って延在しており、境界線B1の長さは境界線B2の長さよりも長い。境界線B1及び境界線B2のそれぞれには立体マチが設けられている。
【0024】
両側部3と中央部2との境界線B3は、クッション体1の突出部10とは反対側の隅部1fから長手方向D1及び短手方向D2の双方に傾斜する方向に延在している。両側部3は、例えば、メッシュ素材によって構成されている。この場合、両側部3への横向き寝時における使用者の側頭部への通気性を良好にすることができる。
【0025】
例えば、突出部10の外縁は、張り出し部10b、頂部10c及び延在部10dの他、凸部1dとの境界である第1境界部10fと、中央部2との境界である第2境界部10gと、両側部3の境界である第3境界部10hとを有する。第1境界部10f、第2境界部10g及び第3境界部10hは、平面視におけるクッション体1の中心Cに向かって突出するように湾曲している。
【0026】
第1境界部10fは、延在部10dの頂部10cとは反対側の端部から長手方向D1の中央側且つ短手方向D2の中央側に湾曲している。第2境界部10gは、長手方向D1の中央側且つ短手方向D2の中央側に突出するように湾曲している。第3境界部10hは、第2境界部10gと張り出し部10bとを互いに接続している。例えば、平面視において、両側部3は三角形状を呈する。両側部3は、短辺1c、境界線B3及び第3境界部10hによって画成されている。
【0027】
クッション体1は、下方に向けられる下面部4を有する。クッション体1が敷き寝具に載せられて使用されるときに下面部4は当該敷き寝具に接触する。下面部4は、例えば、メッシュ素材によって構成されている。例えば、下面部4は凸部1dの下部に位置する凸部4bを有し、凸部4bは長手方向D1の中央において短手方向D2の外側に突出している。
【0028】
下面部4は、下面部4において突出すると共に長手方向D1に沿って延びる突出部4cを有し、突出部4cを介して開閉可能とされている。
図3は、下面部4が開放された状態を示す図である。
図2及び
図3に示されるように、下面部4は、例えば、袋状とされており、突出部4cを介して開閉可能とされている。例えば、下面部4は、突出部4cの内側に位置するファスナー4dを有し、ファスナー4dを介して開閉可能とされている。
【0029】
図1~
図3に示されるように、境界線B1において第1中央部2bの内部空間と第2中央部2cの内部空間とは分断されている。しかしながら、境界線B2において第2中央部2cの内部空間と凸部1dの内部空間とは分断されていない。境界線B3において、第1中央部2bの内部空間と両側部3の内部空間とは分離されていない。しかしながら、第1境界部10f、第2境界部10g及び第3境界部10hにおいて、突出部10の内部空間は、クッション体1の突出部10以外の部分(凸部1d、中央部2及び両側部3)の内部空間とは分断されている。
【0030】
下面部4の内部には、第1中央部2bの裏側部分(下側部分)である中央裏側部6と、凸部1dの裏側部分である凸部裏側部7と、突出部10の裏側部分である突出部裏側部11とが設けられる。例えば、中央裏側部6の内側は、第1中央部2bの内側、及び両側部3の内側に連通している。凸部裏側部7の内側は、第2中央部2cの内側、及び凸部1dの内側に連通している。突出部裏側部11の内側は、突出部10の内側に連通している。
【0031】
すなわち、クッション体1は、第1中央部2bの内側、及び両側部3の内側に位置する第1内部空間S1と、第2中央部2cの内側、及び凸部1dの内側に位置する第2内部空間S2と、長手方向D1の一方側の突出部10の内側に位置する第3内部空間S3と、長手方向D1の他方側の突出部10の内側に位置する第4内部空間S4とを有する。中央裏側部6、凸部裏側部7及び突出部裏側部11のそれぞれはファスナー8を有する。
【0032】
例えば、クッション体1は4本のファスナー8を有し、各ファスナー8は第1内部空間S1、第2内部空間S2、第3内部空間S3及び第4内部空間S4のそれぞれを開閉する。第1内部空間S1、第2内部空間S2、第3内部空間S3及び第4内部空間S4のそれぞれには内容物9を収容可能とされている。
【0033】
内容物9は、例えば、中空とされた中空粒状体である。具体例として、内容物9は、パイプ材又はビーズである。一例として、内容物9は、筒状を成すポリエチレン製のパイプ材であってもよい。しかしながら、内容物9は、例えば、中実粒状体であってもよい。中実粒状体としては、例えば、そば殻、ヒノキ又はアズキ等が挙げられる。
【0034】
更に、内容物9は、ポリエステル製の粒綿を含む綿(わた)、ウレタン又は羽毛を含む柔軟性素材であってもよい。このように、第1内部空間S1、第2内部空間S2、第3内部空間S3及び第4内部空間S4には、ファスナー8を開閉することによって種々の内容物9を出し入れすることが可能である。
【0035】
袋状とされた下面部4の内部には、例えば、クッション体1の高さを調整する高さ調整シートTを出し入れ可能とされている。
図4は、高さ調整シートTを示す図である。
図3及び
図4に示されるように、例えば、平面視における高さ調整シートTの形状は、平面視におけるクッション体1の形状と相似形状とされている。高さ調整シートTは、例えば、ウレタン又は固綿によって構成されている。
【0036】
以下では、本実施形態に係る突出部10の周辺の構成について説明する。
図5は、突出部10を示す斜視図である。
図6は、突出部10及び両側部3を示す図である。
図1、
図5及び
図6に示されるように、両側部3は、中央部2から下面部4まで延在している。両側部3の一部は、クッション体1の長手方向D1の両端に位置する側面を構成している。
【0037】
クッション体1は、クッション体1の突出部10を形成する突出部形成生地12を備える。突出部形成生地12は、凸部1d、中央部2及び両側部3によって構成されたクッション体本体1Aの外面に縫い込まれている。本実施形態では、突出部形成生地12は、凸部1d、中央部2及び両側部3の外面に縫い込まれている。突出部形成生地12の内側には内容物9が収容されている。
【0038】
突出部形成生地12は、上方に向けられる第1生地13と、短手方向D2に向けられる第2生地14と、長手方向D1に向けられる第3生地15とによって構成されている。第1生地13は、例えば、楕円の長軸に沿った一方の端部を長軸方向に沿って突き出る尖った頂部10cに変形した形状(涙形)とされている。
【0039】
例えば、頂部10cは、平面視における突出部10の隅部において斜め上方に突出する。この場合、クッション体1に頭を載せて使用者が横向き寝をしたときに首とクッション体1との隙間を埋めることができるので、首を保護して横向き寝時における寝心地を良好にすることができる。
【0040】
第2生地14は、長手方向D1、及びクッション体1の高さ方向D3に沿って延在している。高さ方向D3は、長手方向D1及び短手方向D2の双方に交差する方向であり、敷き寝具等にクッション体1を置いたときにおけるクッション体1の高さ方向に相当する。第2生地14は、第2生地14の長手方向D1の端部において高さ方向D3に沿って並ぶ一対の突部14bと、一対の突部14bの間において高さ方向D3に延在すると共に第2生地14の長手方向D1の中央側に突出するように湾曲するくびれ部14cとを有する。第2生地14のくびれ部14cの一部(下部)は両側部3に縫い込まれており、長手方向D1に延びる第2生地14の下辺14dは下面部4に縫い込まれている。
【0041】
第3生地15は、例えば、三角形状を呈する。第3生地15の一部は、両側部3に縫い込まれている。例えば、第3生地15は、両側部3に縫い込まれる第1辺15bと、第1生地13に縫い込まれる第2辺15cと、第2生地14に縫い込まれる第3辺15dとを有する。
【0042】
次に、本実施形態に係るクッション体1の製造方法の例について説明する。
図7(a)及び
図7(b)は、クッション体1の製造方法の一工程を模式的に示す図である。まず、クッション体本体1Aを形成する。本実施形態では、凸部1d、中央部2及び両側部3を縫い合わせてクッション体本体1Aを作製する。また、突出部形成生地12を用意する(突出部形成生地を用意する工程)。本実施形態では、第1生地13、第2生地14及び第3生地15を作製する。そして、第1生地13、第2生地14及び第3生地15を縫い合わせて突出部形成生地12を作製する。
【0043】
クッション体本体1Aの外面に突出部形成生地12を縫い込み、クッション体1の突出部10を形成する(突出部を形成する工程)。その後、突出部10の裏側に位置する突出部裏側部11のファスナー8(
図4参照)を開けて突出部10の内側に内容物9を収容する(内容物を収容する工程)。その後、本実施形態に係るクッション体1の製造方法の一連の工程が完了する。
【0044】
次に、本実施形態に係るクッション体1、及びクッション体1の製造方法から得られる作用効果について説明する。
図1、
図5及び
図6に示されるように、クッション体1では、柔軟性素材によって構成されたクッション体1の突出部10を形成する突出部形成生地12がクッション体本体1Aの外面に縫い込まれている。突出部形成生地12は、クッション体1の突出部10を形成するために設けられ、クッション体本体1Aの外面に縫い込まれた状態でクッション体1の突出部10を形成する。突出部10の内側には内容物9が収容可能とされている。従って、突出部10は中空とされており、中空とされた部分に内容物9が収容可能とされているので、クッション体1の突出部10における通気性を良好にすることができる。
【0045】
すなわち、中実で固体化されたモールドウレタン製のクッション体とは異なり、内部に空気を流通できるので、突出部10の形状を維持しつつ通気性が良好なクッション体1とすることができる。更に、クッション体1の突出部10は、突出部形成生地12がクッション体本体1Aの外面に縫い込まれて形成されている。従って、突出部10に外力が加わった場合でも、突出部10としての形状を維持することができる。
【0046】
本実施形態において、突出部形成生地12は、複数枚の生地(第1生地13、第2生地14及び第3生地15)によって構成されている。従って、複数枚の生地の貼り合わせによって突出部10を形成できるので、生地の形状を簡易にすることができる。そして、突出部10としての形状をより確実に維持することができる。
【0047】
本実施形態では、平面視においてクッション体1は長方形状とされている。複数の突出部形成生地12が、クッション体1の短手方向D2の一方側であって且つクッション体1の長手方向D1の両端のそれぞれに配置されている。これにより、枕である本実施形態のクッション体1において、首が載せられる部分の両側のそれぞれに突出部10を形成することが可能である。従って、クッション体1の使用者が横向き寝をしたときにおける首と枕との間に形成される隙間を突出部10によって埋めることが可能となるので、横向き寝をしたときにおける寝心地を良好にすることができる。
【0048】
内容物9が中空粒状体であってもよい。この場合、突出部10の内側に中空粒状体が収容されるので、突出部10の形状を維持できると共に突出部10の通気性を良好にすることができる。
【0049】
次に、第1変形例に係るクッション体21について
図8を参照しながら説明する。以下では、種々の変形例について説明する。後述する各変形例に係るクッション体の一部の構成は、前述したクッション体1の一部の構成と重複するため、重複部分の説明を適宜省略する。
【0050】
図8に示されるように、クッション体21は、クッション体本体21Aと、クッション体本体21Aの外面21bに縫い込まれる突出部形成生地22とを備える。クッション体21は一対の突出部形成生地22を備えており、一対の突出部形成生地22の間にクッション体本体21Aが設けられる。
【0051】
一例として、クッション体本体21Aは直方体状を呈する。クッション体本体21Aは、表裏一対に設けられる主面21cと、主面21cに交差する方向を向く4つの側面21dとを有する。突出部形成生地22は、4つの側面21dのうちの2つの側面21dに縫い込まれている。
【0052】
図9(a)は、突出部形成生地22を示す斜視図である。
図8及び
図9(a)に示されるように、突出部形成生地22は、第1生地23と、第1生地23に縫い合わされる第2生地24と、第1生地23及び第2生地24に縫い合わされる第3生地25とによって構成されている。
【0053】
例えば、第1生地23は三角形状を呈する。第2生地24は、第1生地23に縫い込まれる第1辺24bと、第3生地25に縫い込まれる第2辺24cと、クッション体本体21Aに縫い込まれる第3辺24dとを有する。第3生地25は、第1生地23に縫い込まれる第1辺25bと、第2生地24に縫い込まれる第2辺25cと、クッション体本体21Aに縫い込まれる第3辺25dとを有する。例えば、第2生地24及び第3生地25は互いに対称となる形状とされている。
【0054】
以上のように構成された第1生地23、第2生地24及び第3生地25が互いに縫い合わされることによって突出部形成生地22が形成される。突出部形成生地22がクッション体本体21Aの外面21bに縫い込まれることによってクッション体21の突出部21Bが形成される。
【0055】
第1生地23、第2生地24及び第3生地25のいずれかには、例えば、ファスナー26が設けられている。
図9(a)では、第2生地24にファスナー26が設けられた例を示している。ファスナー26を開放することによって突出部形成生地22の内側に内容物9を収容することが可能となる。
【0056】
以上、第1変形例に係るクッション体21では、突出部形成生地22がクッション体本体21Aの外面21bに縫い込まれており、突出部形成生地22によって形成された突出部21Bの内側には内容物9が収容可能とされている。従って、前述したクッション体1と同様、クッション体21の形状を維持しつつクッション体21における通気性を良好にすることができる。
【0057】
なお、第1変形例では、突出部形成生地22が第1生地23、第2生地24及び第3生地25という3枚の生地によって構成されていた。しかしながら、突出部形成生地22に代えて、第2生地24と第3生地25が一体として形成された第4生地27と、第1生地23という2枚の生地によって構成された突出部形成生地22Aが用いられてもよい。
【0058】
第2変形例に係るクッション体31について
図10(a)及び
図10(b)を参照しながら説明する。
図10(a)に示されるように、クッション体31は、クッション体本体31Aと、クッション体本体31Aの外面31bに縫い込まれた突出部形成生地32とを備える。
【0059】
突出部形成生地32は、クッション体31において鋭角状に突出する突出部31Bを形成している。例えば、クッション体本体31Aは矩形状部31cと矩形状部31cに連続する台形状部31dとを有し、台形状部31dの斜辺に相当する部分に突出部形成生地32が縫い込まれている。
【0060】
突出部形成生地32は、1つの角部が丸みを帯びた三角形状を呈する2枚の生地33によって構成されている。2枚の生地33の形状は、例えば、互いに同一である。生地33は、クッション体本体31Aに縫い込まれる第1辺33bと、他の生地33に縫い込まれる第2辺33cとを有する。
【0061】
突出部形成生地32では、2枚の生地33が互いに縫い合わされることによって袋状に形成され、袋状に形成された開口の部分(一対の第1辺33bの部分)がクッション体本体31Aに縫い込まれる。また、一対の生地33のうちの一方にファスナー36が設けられており、ファスナー36を開放することによって突出部形成生地32の内側に内容物9を収容することが可能である。
【0062】
第3変形例に係るクッション体41について
図11(a)を参照しながら説明する。
図11(a)に示されるように、クッション体41は、直方体状のクッション体本体41Aと、クッション体本体41Aから斜め上方に突出する突出部41Bを形成する突出部形成生地42とを備える。
【0063】
例えば、クッション体本体41Aは、身体が乗せられる主面41cと、主面41cとは交差する方向を向く側面41dとを有する。突出部41Bは、例えば、主面41cから斜め上方に突出する蝶形状を呈する。突出部形成生地42は、突出部41Bの主面41cに縫い込まれる第1生地43と、第1生地43及びクッション体41の側面41d及び下面(主面41cとは反対側を向く面)に縫い込まれる第2生地44とによって構成されている。
【0064】
例えば、第2生地44にはファスナー46が設けられており、ファスナー46を開放することによって突出部形成生地42の内側に内容物9を収容することが可能である。なお、
図11(a)では、クッション体本体41Aの片側に突出部形成生地42が縫い込まれている例を示しているが、クッション体本体41Aの両側に突出部形成生地42が縫い込まれていてもよい。
【0065】
第4変形例に係るクッション体51について
図11(b)を参照しながら説明する。クッション体51は、クッション体本体51Aと、クッション体本体51Aの外面51bに縫製された突出部形成生地52とを備える。突出部形成生地52は、1枚の生地53によって構成されている。
【0066】
例えば、生地53は、扇形状とされており、円錐状に丸められた状態でクッション体本体51Aに縫い込まれている。生地53は、丸められた生地53同士が縫い合わされる第1辺53bと、クッション体本体51Aに縫い込まれる第2辺53cとを有する。第1辺53bは直線状とされており、第2辺53cは円弧状とされている。
【0067】
例えば、突出部形成生地52の内側の空間と、クッション体本体51Aの内側の空間とは互いに連通している。例えば、クッション体本体51Aにはファスナー56が設けられており、ファスナー56を開閉することによってクッション体本体51Aの内側、及び突出部形成生地52の内側に内容物9を収容することが可能である。以上、種々の変形例に係るクッション体について説明したが、これらの変形例に係るクッション体からも前述したクッション体1と同様の作用効果が得られる。
【0068】
以上、本開示に係るクッション体の実施形態及び種々の変形例について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態又は変形例に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、クッション体の各部の形状、大きさ、材料、数及び配置態様、並びに、クッション体の製造方法の工程の内容及び順序は、前述した要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0069】
例えば、前述の実施形態では第1生地13、第2生地14及び第3生地15という3枚の生地によって突出部形成生地12が構成される例について説明し、前述の変形例では1枚の生地53によって突出部形成生地52が構成される例について説明した。このように突出部形成生地が構成する生地の枚数は、1枚、2枚、3枚又は4枚以上であってもよく適宜変更可能である。
【0070】
前述の実施形態では、枕であるクッション体1について説明した。しかしながら、本開示に係るクッション体は、枕以外のものであってもよい。例えば、クッション体は、クッション、座布団、敷き布団若しくはマットレス等の敷き寝具、又は、掛け寝具等であってもよい。
【0071】
前述の実施形態では、突出部10を形成する突出部形成生地12がクッション体本体1Aに縫い込まれてクッション体1が製造される例について説明した。しかしながら、既存のクッション体に後付で突出部形成生地が縫い込まれてもよい。この場合も上記と同様の効果が得られる。また、前述では、実施形態及び第1~第4変形例に係るクッション体について説明した。これらのクッション体の一部を他の形態(変形例)に組み合わせてもよい。このように、実施形態及び第1~第4変形例に係るクッション体を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0072】
1,21,31,41,51…クッション体、1b…長辺、1c…短辺、1d…凸部、1f…隅部、2…中央部、2b…第1中央部、2c…第2中央部、3…両側部、4…下面部、4b…凸部、4c…突出部、4d…ファスナー、6…中央裏側部、7…凸部裏側部、8…ファスナー、9…内容物、10…突出部、10b…張り出し部、10c…頂部、10d…延在部、10f…第1境界部、10g…第2境界部、10h…第3境界部、11…突出部裏側部、12,22,22A,32,42,52…突出部形成生地、13…第1生地、14…第2生地、14b…突部、14c…くびれ部、14d…下辺、15…第3生地、15b…第1辺、15c…第2辺、15d…第3辺、21b…外面、21B…突出部、21c…主面、21d…側面、23…第1生地、24…第2生地、24b…第1辺、24c…第2辺、24d…第3辺、25…第3生地、25b…第1辺、25c…第2辺、25d…第3辺、26…ファスナー、27…第4生地、31b…外面、31B…突出部、31c…矩形状部、31d…台形状部、33…生地、33b…第1辺、33c…第2辺、36…ファスナー、41B…突出部、41c…主面、41d…側面、43…第1生地、44…第2生地、46…ファスナー、51b…外面、53…生地、53b…第1辺、53c…第2辺、56…ファスナー、B1,B2,B3…境界線、C…中心、D1…長手方向、D2…短手方向、D3…高さ方向、S1…第1内部空間、S2…第2内部空間、S3…第3内部空間、S4…第4内部空間、T…高さ調整シート。