(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092619
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】クレーンシステム及び工事方法
(51)【国際特許分類】
B66C 23/26 20060101AFI20230627BHJP
B66C 23/28 20060101ALI20230627BHJP
B66C 23/32 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B66C23/26 C
B66C23/28 B
B66C23/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207742
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000154901
【氏名又は名称】株式会社北川鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】野島 昌芳
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA01
3F205AA03
3F205AB01
3F205BA02
3F205CA01
3F205CA09
3F205FA01
3F205GA03
3F205GA07
3F205JA01
3F205JA06
(57)【要約】
【課題】クレーン本体を支持する支持部の構成を工夫することにより、1つのクレーン本体を使用しつつも、種々の用途に対応可能なクレーンシステム等を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、建設用のクレーンシステムが提供される。このクレーンシステムは、クレーン本体と、支持部とを備える。支持部は、クレーン本体を支持可能に構成され、複数の形態又は複数の種類を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設用のクレーンシステムであって、
クレーン本体と、支持部とを備え、
前記支持部は、前記クレーン本体を支持可能に構成され、複数の形態又は複数の種類を有する、もの。
【請求項2】
請求項1に記載のクレーンシステムにおいて、
さらに、カウンタフレームと、カウンタウェイトとを備え、
前記カウンタウェイトは、前記カウンタフレームに設置可能である、もの。
【請求項3】
請求項2に記載のクレーンシステムにおいて、
前記支持部は、前記カウンタフレームが当該支持部に取り付けられず、前記クレーン本体に取り付けられた第1の形態と、前記カウンタフレームが前記クレーン本体から取り外され、当該支持部に取り付けられた第2の形態とを有する、もの。
【請求項4】
請求項3に記載のクレーンシステムにおいて、
前記カウンタフレームは、アーム部と、載置部とを有し、
前記アーム部は、長尺であり、一端部と他端部とを備え、
前記アーム部の前記一端部に前記載置部が接続され、前記他端部に前記クレーン本体に取り付け可能な第1の取付部が設けられ、前記一端部と前記他端部との間に、前記支持部に取り付け可能な第2の取付部が設けられ、
前記載置部は、前記カウンタウェイトを設置可能に構成される、もの。
【請求項5】
請求項4に記載のクレーンシステムにおいて、
前記第1の形態において、前記カウンタフレームは、前記アーム部の前記他端部が前記一端部より上方に位置した状態で、前記第1の取付部を介して前記クレーン本体に取り付けられる、もの。
【請求項6】
請求項3~請求項5のいずれか1項に記載のクレーンシステムにおいて、
前記第2の形態において、前記クレーン本体の旋回が許容される、もの。
【請求項7】
請求項3~請求項6のいずれか1項に記載のクレーンシステムにおいて、
前記第2の形態において、前記クレーン本体により前記カウンタウェイトを前記カウンタフレームから取り外し可能に構成される、もの。
【請求項8】
請求項3~請求項7のいずれか1項に記載のクレーンシステムにおいて、
前記支持部は、マストを有し、
前記マストは、複数の単位マストを長手方向に接続することにより伸長され、前記クレーン本体の高さを調節可能に構成される、もの。
【請求項9】
請求項3~請求項8のいずれか1項に記載のクレーンシステムにおいて、
さらに、基礎構造部を有し、
前記基礎構造部は、前記支持部を支持する、もの。
【請求項10】
請求項3~請求項9のいずれか1項に記載のクレーンシステムにおいて、
建設すべき鉄塔の内側に、前記支持部を位置させた状態で使用される、もの。
【請求項11】
請求項2に記載のクレーンシステムにおいて、
前記支持部は、第1の支持部と第2の支持部との2つの種類を有し、
前記第1の支持部の鉛直方向の長さは、前記第2の支持部の鉛直方向の長さより小さく設計され、
前記クレーン本体は、前記第1の支持部と前記第2の支持部とに取替可能に構成される、もの。
【請求項12】
請求項11に記載のクレーンシステムにおいて、
前記カウンタフレームは、アーム部と、載置部とを有し、
前記アーム部は、長尺であり、一端部と他端部とを備え、
前記アーム部の前記一端部に前記載置部が接続され、前記他端部に前記クレーン本体に取り付ける取付部が設けられ、
前記載置部は、前記カウンタウェイトを設置可能に構成される、もの。
【請求項13】
請求項12に記載のクレーンシステムにおいて、
前記クレーン本体を前記第1の支持部に接続した状態で、前記カウンタフレームは、前記アーム部が鉛直方向に対して略直交するように、前記取付部を介して前記クレーン本体に取り付けられる、もの。
【請求項14】
請求項11~請求項13のいずれか1項に記載のクレーンシステムにおいて、
さらに、基礎構造部を有し、
前記基礎構造部は、前記第1の支持部を支持する、もの。
【請求項15】
請求項11~請求項14のいずれか1項に記載のクレーンシステムにおいて、
前記第2の支持部は、マストを有し、
前記マストは、複数の単位マストを長手方向に接続することにより伸長され、前記クレーン本体の高さを調節可能に構成される、もの。
【請求項16】
請求項15に記載のクレーンシステムにおいて、
建設すべき鉄塔の内側に、前記第2の支持部を位置させた状態で使用される、もの。
【請求項17】
請求項2~請求項16のいずれか1項に記載のクレーンシステムにおいて、
前記クレーン本体は、旋回フレームと取付構造とを有し、
前記取付構造は、前記旋回フレームに対して着脱自在に構成され、前記カウンタフレームを取付可能である、もの。
【請求項18】
請求項2~請求項17のいずれか1項に記載のクレーンシステムにおいて、
前記クレーン本体は、ジブと、コンプレッションロッドと、テンションロッドとを有し、
前記テンションロッドは、前記コンプレッションロッドを介して前記ジブと反対側に配置され、
前記テンションロッドの座屈強度が、前記カウンタフレームに応じて大きく設定されている、もの。
【請求項19】
クレーンシステムを用いた工事方法であって、
前記クレーンシステムは、クレーン本体と、支持部とを備え、
前記支持部は、前記クレーン本体を支持可能に構成され、複数の形態又は複数の種類を有し、
前記支持部の形態を変更しつつ、又は、種類の異なる前記支持部に取り替えつつ、前記クレーン本体を操作して工事を進行する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンシステム及び工事方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄塔を建設する際には、まず、建設すべき鉄塔の外側の位置に低床式クレーンを配置して、鉄塔の基礎工事を行う。その後、鉄塔の中央となる位置に、クライミング式クレーンを配置して、鉄塔の構成部品を搬送するとともに組み立てることにより鉄塔を建設する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、鉄塔を建設する場所は、狭隘で搬送経路も厳しい場所が多い。このため、資材の搬送には、例えば、ヘリコプターやモノレールが利用されることもある。
したがって、1つの鉄塔の建設において、2台のクレーンを搬送し、組み立てを行うのは非効率である。また、クレーンを2台設置するための基礎工事も、2台分行う必要もある。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、クレーン本体を支持する支持部の構成を工夫することにより、1つのクレーン本体を使用しつつも、種々の用途に対応可能なクレーンシステム等を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、建設用のクレーンシステムが提供される。このクレーンシステムは、クレーン本体と、支持部とを備える。支持部は、クレーン本体を支持可能に構成され、複数の形態又は複数の種類を有する。
【0007】
このような態様によれば、1つのクレーン本体を使用しつつも、種々の用途に対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】クレーンシステムの第1実施形態を示す模式図である。
【
図2】クレーンシステムの第1実施形態を示す模式図である。
【
図3】クレーンシステムの第1実施形態を示す模式図である。
【
図4】クレーンシステムの第1実施形態を示す模式図である。
【
図5】クレーンシステムの第1実施形態を示す模式図である。
【
図6】バランス機構をクレーン本体に取り付けるための取付構造を示す模式図である。
【
図7】コンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図8】クレーンシステムの第2実施形態を示す模式図である。
【
図9】クレーンシステムの第2実施形態を示す模式図である。
【
図10】クレーンシステムの第2実施形態を示す模式図である。
【
図11】クレーンシステムの第2実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
<第1実施形態>
まず、本発明のクレーンシステムの第1実施形態について説明する。
1A.全体構成
1A.1 基本構成
まず、第1本実施形態に係るクレーンシステム1Aの基本構成を説明する。
図1~
図5は、それぞれクレーンシステムの第1実施形態を示す模式図である。
図6は、バランス機構をクレーン本体に取り付けるための取付構造を示す模式図である。
また、以下の説明では、鉛直上方を単に「上方」又は「上側」と、鉛直下方を単に「下方」又は「下側」とも記載する。
【0014】
クレーンシステム1Aは、建造物の高さの増加に伴ってそれ自身の機構によってクライミングが可能なものである。
図1に示されるように、クレーンシステム1Aは、マスト2と、クレーン本体3と、ベースマスト4と、ベースフレーム(基礎構造部)5とを備える。換言すると、クレーンシステム1Aは、ベースフレーム5の上にマスト2及びベースマスト4を有し、その頂部にクレーン本体3が設置されている。本実施形態では、マスト2及びベースマスト4により、クレーン本体3を支持可能な支持部が構成される。
【0015】
(マスト2)
マスト2は、クレーン本体3を支持するように構成される。マスト2は、複数の単位マスト21を長手方向に接続することにより組み立てられて伸長される。特に、クレーンシステム1Aにおいては、マスト2は、接続する単位マスト21の数を変更することにより、クレーン本体3の高さを建造中の建造物の高さに合わせて調節可能に構成されている。
各単位マスト21は、例えば、四角筒状をなしている。単位マスト21の4つの側面には、それぞれ長手方向に沿って、複数(図示の構成では、4つ)の楕円形状の貫通孔が設けられている。
【0016】
(クレーン本体3)
クレーン本体3は、旋回体31と、ジブ32と、巻上ウィンチ33と、巻上ロープ34と、フック35とを備えている。旋回体31は、マスト2の頂部に設けた旋回ベアリング(図示せず)に回転自在に支持される。ジブ32は、旋回体31に支持され、前後に延在するとともに、起伏可能に構成されている。巻上ウィンチ33は、旋回体31に固定され、巻上ロープ34を巻上又は巻下可能に構成されている。巻上ロープ34の先端には、フック35が設けられている。
【0017】
(ベースマスト4)
ベースマスト4は、マスト2の下側の部分を支持するものであり、ベースフレーム5に対してボルト(図示せず)等を用いて強固に固定されている。
本実施形態では、ベースマスト4は、鉛直方向(高さ方向)に延びる4本の支柱41と、支柱41同士を連結する複数のビーム42とにより、直方体状の枠体として構成されている。
ベースマスト4の内側には、マスト2の下側の部分及び単位マスト21を収容可能な収容空間40が形成されている。また、収容空間40には、マスト2の鉛直方向への移動を許容するが、水平方向への移動を規制する複数のローラ(図示せず)が設けられている。
【0018】
(ベースフレーム5)
ベースフレーム5は、マスト2及びベースマスト4(支持部)を支持するフレーム本体51と、4本の脚部52とを備える。
各図には、クレーンシステム1Aが、山岳地域のような傾斜地に配置される例が示されている。そして、4本の脚部52のうち、紙面手前側及び奥側の脚部52は水平方向に延設され、紙面右側及び左側の脚部52は傾斜面に対応して傾斜して延設されている。
【0019】
クレーンシステム1Aは、さらに、マスト昇降機構6及びバランス機構7を備える。
(マスト昇降機構6)
マスト昇降機構6は、
図1に示されるように、ロープウィンチ61と、ワイヤロープ62と、シーブ63と、固定部64とを有する。
ロープウィンチ61は、ベースフレーム5上に固定されている。このロープウィンチ61には、ワイヤロープ62の基端側(一端側)が巻回されている。
【0020】
シーブ63は、ベースマスト4の上側に回転可能に設けられている。
ワイヤロープ62は、シーブ63に巻装された後、収容空間40側に引き込まれ、その先端部(他端部)は、固定部64を介してマスト2(下方に位置する所定の単位マスト21)に固定されている。
かかる構成によれば、ロープウィンチ61によりワイヤロープ62を巻き取ることにより、マスト2を鉛直方向に上昇させることができる。
【0021】
(バランス機構7)
バランス機構7は、クレーン本体3のジブ32が延在する側と逆側に設けられ、クレーンシステム1A(クライミング式クレーン)全体の均衡を保って、転倒を防止する機能を有する。
このバランス機構7は、カウンタフレーム71と、カウンタフレーム71に設置可能なカウンタウェイト72とを備える。カウンタウェイト72の全体での重量を変更することにより、クレーンシステム1Aのバランスを保持することができる。
【0022】
ここで、クレーン本体3の旋回体31は、
図6に示されるように、旋回フレーム311と取付構造312とを有する。そして、旋回フレーム311にジブ32及び巻上ウィンチ33が取り付けられている。
旋回フレーム311は、その平面視において、例えば、完成した鉄塔における内部の開口部を通過可能に1辺が1600mmの矩形状(正方形状)とコンパクトにしている。
旋回フレーム311の外枠3111には、ジブ32の延在する側と逆側に2つの貫通孔3112が形成されている。
【0023】
取付構造312は、取付板3121と、取付板3121の端部に接続されたボルト部3122と、ボルト部3122に螺合するナット3123とを有する。
ボルト部3122を貫通孔3112に挿通し、ナット3123をボルト部3122に螺合させ、締め付けることにより、取付板3121を旋回フレーム311に固定することができる。一方、この状態から、ナット3123を緩め、ボルト部3122から取り外して、ボルト部3122を貫通孔3112から引き抜くことにより、取付板3121を旋回フレーム311から離脱させることができる。すなわち、取付構造312は、旋回フレーム311に対して着脱自在に構成される。
【0024】
この取付構造312には、バランス機構7のカウンタフレーム71を取付可能である。
カウンタフレーム71は、長尺のアーム部711と、このアーム部711の一端部に接続された載置部712とを有する。この載置部712は、カウンタウェイト72を設置可能に構成されている。
アーム部711は、その他端部にクレーン本体3の取付構造312(取付板3121)に取り付け可能な第1の取付部7111が設けられ、一端部と他端部との間(長手方向の途中)に、ベースマスト4(支持部)に取り付け可能な第2の取付部7112が設けられている。
【0025】
第1の取付部7111及び第2の取付部7112は、それぞれ取付板3121と同様の形状を有し、アーム部711と一体的に形成されている。
また、ベースマスト4の鉛直方向の途中にも、取付板3121と同様の形状を有する取付部411が支柱41と一体的に形成されている。
第1の取付部7111は、例えば、ボルト及びナット、取付ピン等により取付構造312の取付板3121に取り付けられる。また、第2の取付部7112も、例えば、ボルト及びナット、取付ピン等によりベースマスト4の取付部411に取り付けられる。
【0026】
かかる構成により、本実施形態の支持部は、カウンタフレーム71がベースマスト4(取付部411)に取り付けられず、クレーン本体3(旋回フレーム311)に取り付けられた第1の形態(
図1参照)と、カウンタフレーム71がクレーン本体3から取り外され、ベースマスト4に取り付けられた第2の形態(
図4参照)との2つの形態を有する。
第1の形態において、カウンタフレーム71は、アーム部711の第1の取付部7111(他端部)が載置部712(一端部)より上方に位置した状態で、第1の取付部7111を介してクレーン本体3に取り付けられる。この場合、載置部712が地面に近くなるため、載置部712へのカウンタウェイト72の着脱作業がし易い。特に、図示のように、傾斜面での作業の場合、作業性がより高まる。
【0027】
第1の形態においては、カウンタフレーム71がクレーン本体3に取り付けられており、さらに、ワイヤロープ73によりクレーン本体3に牽引されているため、クレーン本体3の旋回は許容されない。
具体的には、クレーン本体3は、旋回フレーム311上に立設されたコンプレッションロッド36及びテンションロッド37を備えている。
テンションロッド37は、コンプレッションロッド36を介してジブ32と反対側に配置され、それらの下端部が旋回フレーム311の縁部に離間して配置され、上端部同士が接続されている。
【0028】
コンプレッションロッド36及びテンションロッド37の上端部には、カウンタフレーム71に固定されたワイヤロープ73が接続されている。また、カウンタフレーム71(カウンタウェイト72)は、テンションロッド37に対して、コンプレッションロッド36と反対側に位置している。
このため、テンションロッド37には、カウンタフレーム71(カウンタウェイト72)による圧縮応力が作用する。そこで、本実施形態では、テンションロッド37の座屈強度が、カウンタフレーム71(カウンタウェイト72)に応じて大きく設定されている。これにより、クレーン本体3全体の機械的強度を十分に確保することができる。また、一般的なクレーンのテンションロッドは引張荷重を負担するもので、圧縮荷重は負担しない。
座屈強度の増大は、例えば、構成部品の材料の選択、構成部品のサイズの選択等により行うことができる。
【0029】
一方、第2の形態においては、カウンタフレーム71がクレーン本体3から取り外されており、クレーン本体3の旋回が許容される。
このため、第2の形態においては、
図4に示されるように、ジブ32が左側を向くように(
図1の状態から180°程度で)クレーン本体3を旋回すれば、クレーン本体3によりカウンタウェイト72をカウンタフレーム71から取り外し可能とすることができる。かかる構成によれば、クレーン等の別途の機構を要せず、安全かつ簡便にカウンタウェイト72のカウンタフレーム71への着脱を行うことができる。
【0030】
本実施形態のクレーンシステム1Aでは、支持部が第2の形態において、クレーン本体3の高床化が行われる。すなわち、クレーンシステム1Aをクライミング式クレーンとして使用することができる。
クレーン本体3の高床化を行うために、クレーンシステム1Aは、
図5に示されるように、さらに、単位マスト引込機構80と、単位マスト起立機構85とを備えている。
なお、単位マスト引込機構80は、ベースマスト4(支持部)に着脱自在に構成することができる。
【0031】
(単位マスト引込機構80)
単位マスト引込機構80は、ホイストで構成され、単位マスト21を吊り下げて搬送する。これにより、単位マスト引込機構80は、吊り下げられた単位マスト21をベースマスト4に対して接近及び離間させることができる。
単位マスト引込機構80は、
図5に示されるように、単位マスト21を長手方向の途中で吊り下げるので、単位マスト21を自然に水平方向に対して傾斜した状態とし、この状態で搬送可能に構成されている。
【0032】
(単位マスト起立機構85)
単位マスト起立機構85は、単位マスト引込機構80により搬送された単位マスト21を受け入れる第1の位置(
図5参照)と、単位マスト21を起立した状態とする第2の位置とに回動可能に構成されている。
そして、単位マスト起立機構85は、第1の位置において水平方向に対して傾斜し、単位マスト21を傾斜した状態で受け入れることができる。
【0033】
1A.2 工事を管理するコンピュータ9
続いて、コンピュータ9について説明する。
図7は、コンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0034】
本実施形態では、
図1~
図5に示されるように、クレーン本体3が動作する際や、単位マスト21を継ぎ足して高床化する際に、コンピュータ9が使用されている。
コンピュータ9は、例えばクレーン本体3に搭載され、工事の進捗や工程を管理するように構成されている。コンピュータ9は、例えば、専用の制御装置であり、
図7に示されるように、通信部91と、記憶部92と、制御部93とを有し、これらの構成要素が通信バス90を介して電気的に接続されている。各構成要素についてさらに説明する。
【0035】
通信部91は、コンピュータ9から種々の電気信号を外部の構成要素に送信可能に構成されている。また、通信部91は、外部の構成要素からコンピュータ9への種々の電気信号を受信可能に構成されている。さらに好ましくは、通信部91がネットワーク通信機能を有し、これによりインターネット等のネットワークを介して、外部機器との間で種々の情報を通信可能に実施してもよい。例えば、通信部91は、クレーンシステム1Aの一部に設けられたセンサ(図示せず)から、現在の高度に関するデータを取得するとよい。
【0036】
記憶部92は、上述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部93によって実行されるクレーンシステム1Aに係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部92は、制御部93によって実行されるクレーンシステム1Aに係る種々のプログラムや変数等を記憶している。特に好ましくは、クレーンシステム1Aを用いて行う工事計画に関する情報が記憶されている。
【0037】
制御部93は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部93は、記憶部92に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、クレーンシステム1Aに係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部92に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部93によって具体的に実現される。なお、制御部93は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部93を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0038】
本実施形態では、制御部93は、予め記憶部92に記憶された専用プログラムに基づいて、工事の進捗を管理している。また、制御部93は、通信部91が取得した現在の高度に関する情報と、記憶部92に記憶された工事計画に関する情報とに基づいて、必要なマスト2の高さを見積もることができる。
【0039】
2A.クレーンシステム1Aを用いた工事方法
次に、上述のクレーンシステム1Aを用いた工事方法について説明する。
まず、
図1に示されるように、建設すべき鉄塔Tの中心位置に、支持部が第1の形態であるクレーンシステム1Aを組み立てる。すなわち、クレーンシステム1Aは、建設すべき鉄塔Tの内側に、支持部を位置させた状態で使用される。
この状態では、カウンタフレーム71は、第1の取付部7111及び取付板3121を介して、クレーン本体3の旋回フレーム311に取り付けられている。また、載置部712が地面に接近して位置するため、カウンタウェイト72を載置部712に着脱させ易い。
【0040】
次に、
図2に示されるように、クレーン本体3を使用して、クレーンシステム1Aの周囲に鉄塔基礎Bを造る。
このとき、鉄塔基礎Bと載置部712の端部とをチェンブロックCBを介して接続する。
次に、
図3に示されるように、ワイヤロープ73を取り外すとともに、チェンブロックCBによる引張力を徐々に緩める。これにより、カウンタフレーム71がベースマスト4(支持部)に接近する。
その後、第2の取付部7112をベースマスト4の取付部411に取り付ける。この状態では、カウンタフレーム71は、クレーン本体3の旋回フレーム311とベースマスト4との双方に取り付けられた状態(第3の形態)となる。
【0041】
次に、
図4に示されるように、第1の取付部7111を、取付板3121(取付構造312)ごとクレーン本体3の旋回フレーム311から取り外す。
このとき、カウンタウェイト72の重心CGが、第2の取付部7112の取付部411への取付位置より外側に位置しているため、第2の取付部7112を中心として、載置部712はベースマスト4に接触するまで回動し、一方、第1の取付部7111はクレーン本体3の旋回フレーム311から離間する。この状態で、クレーン本体3の旋回が許容されるようになる。
【0042】
次に、
図4に示されるように、カウンタウェイト72を、クレーン本体3で吊り下げて載置部712から地面に下ろすことができる。また、同様にして、カウンタフレーム71自体も、クレーン本体3で吊り下げて、地面に下ろすことができる。
その後、
図5に示されるように、転倒防止用のワイヤロープWを介して、ベースマスト4(支持部)を鉄塔基礎Bに固定する。
次に、鉄塔Tの建設が進むにつれて鉄塔Tが高層化するため、これに合わせて適宜マスト2を継ぎ足していくこととなる。そのため、必要なマスト2の高さを、コンピュータ9を用いて適宜見積もる。
【0043】
このとき、上述したマスト2の高さが基準値を超えているかを検討し、超えていない場合は、見積もった高さとなるようにマスト2を継ぎ足して、工事を継続する。
まず、マスト昇降機構6により、クレーン本体3を支持するマスト2を、クレーン本体3ごと上方に移動させる。
次いで、単位マスト引込機構80により単位マスト21を搬送し、単位マスト起立機構85によりマスト2の下方に起立した状態で配置する。
【0044】
その後、マスト2の下端部と単位マスト21の上端部とを、例えば、ボルト及びナット(不図示)等で接続する。これにより、マスト2の長さを延ばして、クレーン本体3を高床化することができる。その後、建造中の鉄塔Tに対して、クレーンシステム1Aを用いて工事を進行させる。
一方、クレーン本体3を低床化する際には、上述したのと逆の工程を行って、マスト2を順次単位マスト21に分解するようにすればよい。
【0045】
ここで、鉄塔Tの建設完了後は、
図6に示されるように、旋回フレーム311と鉄塔Tの最上部との間には、十分なサイズの隙間が存在しない。本実施形態では、取付構造312を旋回フレーム311から取り外すことができるため、旋回フレーム311から外側に突出する部材が存在しない。
このため、クレーン本体3の低床化(逆クライミング)に際して、旋回フレーム311と鉄塔Tとが干渉することがなく、その作業を円滑に行うことができる。
【0046】
以上のように、第1実施形態では、支持部の形態を変更しつつ、クレーン本体3を操作して工事を進行する。
このため、1つの鉄塔Tを建設するために、1つのクレーン本体を使用しつつ、狭小地域や山岳地域のように、多くの資材等を搬入するのが困難な地域であっても、鉄塔Tを確実に建設することができ、その建設計画の選択の幅を広げることもできる。
また、基礎工事を必要とする固定式の複数のクレーンを準備する必要がないので、鉄塔Tの建設コストの削減にも寄与する。
【0047】
<第2実施形態>
次に、本発明のクレーンシステムの第2実施形態について説明する。ただし、第1実施形態と同様の事項いついては、その説明を省略し、相違点を中心に説明する。
1B.全体構成
図8~
図11は、それぞれクレーンシステムの第2実施形態を示す模式図である。
第2実施形態のクレーンシステム1Bでは、クレーン本体3を支持する支持部が2つの種類を有すること、及び、工事方法が異なること以外は、上記第1実施形態のクレーンシステム1Aと同様である。
【0048】
第2実施形態の支持部は、
図9に示されるように、第1の支持部10と第2の支持部20とを有する。
第1の支持部10の高さ(鉛直方向の長さ)は、第2の支持部20の高さ(鉛直方向の長さ)より小さく設計されている。そして、クレーン本体3は、第1の支持部10と第2の支持部20とに取替可能に構成されている。
したがって、本実施形態では、クレーン本体3を第1の支持部10に取り付けたクレーンは、低床式クレーンとして使用され、クレーン本体3を第2の支持部20に取り付けたクレーンは、高床式クレーンとして使用される。
【0049】
特に、第2の支持部20は、マスト2を有し、このマスト2は、複数の単位マスト21を長手方向に接続することにより伸長され、クレーン本体3の高さを調節可能に構成されている。すなわち、高床式クレーンは、クライミング式クレーンとして使用される。
また、第1の支持部10は、単位マスト21より高さが低い(鉛直方向の長さが小さい)低背マスト2'を有している。低背マスト2'の高さは、特に限定されないが、1500~2300mm程度とされる。
低床式クレーンは、建設すべき鉄塔Tの外側に配置され、例えば、鉄塔Tの基礎部分を造る作業や、第2の支持部20を組み立てる作業等を行うのに使用される。
【0050】
低床式クレーンには、バランス機構7が取り付けられている。このバランス機構7は、カウンタフレーム71と、カウンタフレーム71に設置可能なカウンタウェイト72とを備える。
カウンタフレーム71と、長尺のアーム部711と、このアーム部711の一端部に接続された載置部712とを有する。この載置部712は、カウンタウェイト72を設置可能に構成されている。
アーム部711は、その他端部にクレーン本体3の取付構造312(取付板3121)に取り付ける取付部7111が設けられている。
【0051】
そして、本実施形態では、低床式クレーンが低背マスト2'を有しているので、クレーン本体3を第1の支持部10に接続した状態で、カウンタフレーム71は、
図8及び
図9に示されるように、アーム部711が鉛直方向に対して略直交する(略水平方向に延在する)ように、取付部7111を介してクレーン本体3に取り付けられる。図示のような傾斜面での作業の場合、載置部712が地面に近くなるため、載置部712へのカウンタウェイト72の着脱作業がし易くなる。
なお、本明細書中において、「鉛直方向に対して略直交する」とは、鉛直方向に対して厳密に直交する(90°をなす)場合に限定されず、若干(±2~3°程度)の誤差を含む概念である。
特に、従来の低床式クレーンでは、低背マスト2'が設けられることがない。このため、傾斜面での作業の際に、バランス機構7を取り付けようとすると、カウンタフレーム71(アーム部711)を傾斜した状態で旋回フレーム311に固定する必要があり、取り付け機構が複雑になり易い。
【0052】
また、第1の支持部10は、さらに、ベースフレーム(基礎構造部)5を有する。
ベースフレーム5は、マスト2及びベースマスト4(第1の支持部)を支持するフレーム本体51と、4本の脚部52とを備える。
各図には、クレーンシステム1Bが、山岳地域のような傾斜地に配置される例が示されている。そして、4本の脚部52のうち、紙面手前側及び奥側の脚部52は水平方向に延設され、紙面右側及び左側の脚部52は傾斜面に対応して傾斜して延設されている。
一方、第2の支持部20は、平面視で十字状のベースフレーム5'を有し、平坦に整地された地面に配置される。なお、この位置は、建設すべき鉄塔Tの中心位置である。
【0053】
2B.クレーンシステム1Bを用いた工事方法
次に、上述のクレーンシステム1Bを用いた工事方法について説明する。
まず、
図8に示されるように、建設すべき鉄塔Tの外側の位置に、第1の支持部10を有するクレーンシステム1B(低床式クレーン)を組み立てる。
この状態では、カウンタフレーム71は、取付部7111及び取付板3121を介して、クレーン本体3の旋回フレーム311に取り付けられている。また、載置部712が地面に接近して位置するため、カウンタウェイト72を載置部712に着脱させ易い。
【0054】
次に、
図9に示されるように、クレーン本体3を使用して、建設すべき鉄塔Tに対応する位置に鉄塔基礎Bを造る。
次に、クレーン本体3を使用して、建設すべき鉄塔Tの中心位置に、第2の支持部20を組み立てる。また、このとき、転倒防止用のワイヤロープWを介して、ベースマスト4(第2の支持部20)を鉄塔基礎Bに固定する。すなわち、クレーンシステム1B(高床式クレーン)は、建設すべき鉄塔Tの内側に、第2の支持部20を位置させた状態で使用される。
【0055】
その後、
図10に示されるように、例えば、移動式の別のクレーン(図示せず)等を使用して、低床式クレーンを解体して、クレーン本体3を第1の支持部10から第2の支持部20に移設する。このとき、バランス機構7をクレーン本体3から取り外す。
次に、
図11に示されるように、鉄塔Tの建設が進むにつれて鉄塔Tが高層化するため、これに合わせて適宜マスト2を継ぎ足して、クレーン本体3を高床化する。
【0056】
以上のように、第2実施形態では、種類の異なる支持部(第1の支持部10又は第2の支持部20)に取り替えつつ、クレーン本体3を操作して工事を進行する。
このため、1つの鉄塔Tを建設するために、1つのクレーン本体を使用しつつ、狭小地域や山岳地域のように、多くの資材等を搬入するのが困難な地域であっても、鉄塔Tを確実に建設することができ、その建設計画の選択の幅を広げることもできる。
また、単一のクレーン本体3を長期間使用することができるので、鉄塔Tの建設コストの削減にも寄与する。
【0057】
3.その他
本実施形態に係るクレーンシステム1A、1Bを、次のような態様で実施してもよい。
(1)本実施形態では、クレーンシステム1A、1Bを、傾斜地で使用する例を示したが、平坦地で使用してもよい。
(2)本実施形態では、クレーンシステム1A、1Bを鉄塔Tを建設する例を示したが、鉄塔T以外の建造物の建設に使用してもよい。
【0058】
(3)第1実施形態において、支持部の形態は3つ以上でもよい。第2実施形態において、支持部は、3つ以上の異なる種類を有していてもよい。
(4)本実施形態では、マスト昇降機構6は、ワイヤロープ62を備えたワイヤロープ式で構成しているが、これに限らず、シリンダ方式、ジャッキ方式、又はそれらを組み合わせた方式で構成してもよい。
【0059】
(5)本実施形態では、単位マスト引込機構80は、ホイストで構成されているが、これに限らず、クレーン本体3であってもよい。具体的には、クレーン本体3のフック35によって、単位マスト21を引っ掛けて搬送することができる。
(6)本実施形態では、コンピュータ9による判断によって、クレーン本体3の高床化するか否かを決定しているが、かかる判断及び決定を、ユーザがマニュアルで実施してもよい。
【0060】
(7)さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記クレーンシステムにおいて、さらに、カウンタフレームと、カウンタウェイトとを備え、前記カウンタウェイトは、前記カウンタフレームに設置可能である、もの。
前記クレーンシステムにおいて、前記支持部は、前記カウンタフレームが当該支持部に取り付けられず、前記クレーン本体に取り付けられた第1の形態と、前記カウンタフレームが前記クレーン本体から取り外され、当該支持部に取り付けられた第2の形態とを有する、もの。
前記クレーンシステムにおいて、前記カウンタフレームは、アーム部と、載置部とを有し、前記アーム部は、長尺であり、一端部と他端部とを備え、前記アーム部の前記一端部に前記載置部が接続され、前記他端部に前記クレーン本体に取り付け可能な第1の取付部が設けられ、前記一端部と前記他端部との間に、前記支持部に取り付け可能な第2の取付部が設けられ、前記載置部は、前記カウンタウェイトを設置可能に構成される、もの。
前記クレーンシステムにおいて、前記第1の形態において、前記カウンタフレームは、前記アーム部の前記他端部が前記一端部より上方に位置した状態で、前記第1の取付部を介して前記クレーン本体に取り付けられる、もの。
前記クレーンシステムにおいて、前記第2の形態において、前記クレーン本体の旋回が許容される、もの。
前記クレーンシステムにおいて、前記第2の形態において、前記クレーン本体により前記カウンタウェイトを前記カウンタフレームから取り外し可能に構成される、もの。
前記クレーンシステムにおいて、前記支持部は、マストを有し、前記マストは、複数の単位マストを長手方向に接続することにより伸長され、前記クレーン本体の高さを調節可能に構成される、もの。
前記クレーンシステムにおいて、さらに、基礎構造部を有し、前記基礎構造部は、前記支持部を支持する、もの。
前記クレーンシステムにおいて、建設すべき鉄塔の内側に、前記支持部を位置させた状態で使用される、もの。
前記クレーンシステムにおいて、前記支持部は、第1の支持部と第2の支持部との2つの種類を有し、前記第1の支持部の鉛直方向の長さは、前記第2の支持部の鉛直方向の長さより小さく設計され、前記クレーン本体は、前記第1の支持部と前記第2の支持部とに取替可能に構成される、もの。
前記クレーンシステムにおいて、前記カウンタフレームは、アーム部と、載置部とを有し、前記アーム部は、長尺であり、一端部と他端部とを備え、前記アーム部の前記一端部に前記載置部が接続され、前記他端部に前記クレーン本体に取り付ける取付部が設けられ、前記載置部は、前記カウンタウェイトを設置可能に構成される、もの。
前記クレーンシステムにおいて、前記クレーン本体を前記第1の支持部に接続した状態で、前記カウンタフレームは、前記アーム部が鉛直方向に対して略直交するように、前記取付部を介して前記クレーン本体に取り付けられる、もの。
前記クレーンシステムにおいて、さらに、基礎構造部を有し、前記基礎構造部は、前記第1の支持部を支持する、もの。
前記クレーンシステムにおいて、前記第2の支持部は、マストを有し、前記マストは、複数の単位マストを長手方向に接続することにより伸長され、前記クレーン本体の高さを調節可能に構成される、もの。
前記クレーンシステムにおいて、建設すべき鉄塔の内側に、前記第2の支持部を位置させた状態で使用される、もの。
前記クレーンシステムにおいて、前記クレーン本体は、旋回フレームと取付構造とを有し、前記取付構造は、前記旋回フレームに対して着脱自在に構成され、前記カウンタフレームを取付可能である、もの。
前記クレーンシステムにおいて、前記クレーン本体は、ジブと、コンプレッションロッドと、テンションロッドとを有し、前記テンションロッドは、前記コンプレッションロッドを介して前記ジブと反対側に配置され、前記テンションロッドの座屈強度が、前記カウンタフレームに応じて大きく設定されている、もの。
クレーンシステムを用いた工事方法であって、前記クレーンシステムは、クレーン本体と、支持部とを備え、前記支持部は、前記クレーン本体を支持可能に構成され、複数の形態又は複数の種類を有し、前記支持部の形態を変更しつつ、又は、種類の異なる前記支持部に取り替えつつ、前記クレーン本体を操作して工事を進行する、方法。
もちろん、この限りではない。
【0061】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0062】
1A、1B:クレーンシステム
2 :マスト
21 :単位マスト
2' :低背マスト
3 :クレーン本体
31 :旋回体
311 :旋回フレーム
312 :取付構造
32 :ジブ
33 :巻上ウィンチ
34 :巻上ロープ
35 :フック
36 :コンプレッションロッド
37 :テンションロッド
4 :ベースマスト
411 :取付部
7 :バランス機構
71 :カウンタフレーム
711 :アーム部
7111 :第1の取付部(取付部)
7112 :第2の取付部
712 :載置部
72 :カウンタウェイト
73 :ワイヤロープ
B :鉄塔基礎
CB :チェンブロック
CG :重心
T :鉄塔
W :ワイヤロープ