(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092631
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】診断システムおよび診断方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20230627BHJP
G06Q 10/083 20230101ALI20230627BHJP
【FI】
G06Q50/30
G06Q10/08 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207761
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 宙潤
(72)【発明者】
【氏名】五島 代介
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】架装メーカに対して、システム開発を必要とすることなく、荷役車両の状態を自動的に診断するために必要な設定環境を提供する。
【解決手段】診断システム(1)は、通信装置(80)と、通信装置(80)に入力されたセンサの検出情報に基づいて荷役車両(10)の状態を診断する診断部と、診断プラットフォームが構築されたメモリ(102)と、複数のセンサの検出情報に基づいて荷役車両(10)の状態を診断するための判定条件をプラットフォームに登録する登録部を備え、端末装置は、ユーザの操作に応じて、荷役車両(10)の状態を診断するための判定条件を診断プラットフォームに登録し、診断部は、診断プラットフォームに登録された判定条件に基づいた診断情報を出力する(S13)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の状態を診断する診断システムであって、
前記移動体に搭載され、前記移動体に設けられた複数のセンサと通信する通信装置と、
前記通信装置に入力された前記複数のセンサの検出情報に基づいて前記移動体の状態を診断する診断部と、
プラットフォーム管理者によって管理され、前記移動体の状態を診断するための設定を受け付けるプラットフォームが構築されたメモリと、
前記複数のセンサの検出情報に基づいて前記移動体の状態を診断するための判定条件であって、前記プラットフォーム管理者とは異なる、前記移動体または前記移動体のコンポーネントの製造者であるユーザによって決定された判定条件を、前記プラットフォームに登録する登録部と、を備え、
前記診断部は、前記プラットフォームに登録された前記判定条件に基づいた診断情報を出力する、診断システム。
【請求項2】
前記ユーザによって管理される端末装置をさらに備え、
前記登録部は、前記プラットフォームに前記端末装置がアクセスした場合、前記端末装置のユーザの操作に応じて、前記判定条件を前記プラットフォームに登録する、請求項1に記載の診断システム。
【請求項3】
前記診断部と前記登録部と前記メモリとを含む管理装置を備え、
前記通信装置は、ネットワークを介して前記管理装置と通信する、請求項1または請求項2に記載の診断システム。
【請求項4】
前記移動体に搭載される通信基板と、
前記メモリを含む管理装置とをさらに備え、
前記通信基板には、前記通信装置と前記診断部とが搭載され、
前記診断部は、ネットワークを介して前記管理装置と通信し、
前記管理装置は、前記プラットフォームに登録された前記判定条件を前記診断部へ送信し、
前記診断部は、前記管理装置から受信した前記判定条件に基づいた診断情報を出力する、請求項1または請求項2に記載の診断システム。
【請求項5】
前記通信装置には、前記通信装置を識別するための第1識別情報が格納されており、
前記通信装置は、前記複数のセンサの検出情報と前記第1識別情報とを前記診断部へ出力する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の診断システム。
【請求項6】
前記移動体は、車両本体と油圧機器と前記油圧機器以外のコンポーネントとを含む車両により構成され、
前記複数のセンサは、前記油圧機器に取り付けられたセンサと、前記車両本体または前記油圧機器以外のコンポーネントに取り付けられたセンサとを含み、
前記プラットフォーム管理者が前記油圧機器の製造者であり、
前記登録部は、前記油圧機器に取り付けられたセンサの判定条件として前記プラットフォーム管理者によって決定された判定条件を登録し、前記車両本体または前記油圧機器以外のコンポーネントに取り付けられたセンサの判定条件として前記ユーザによって決定された判定条件を登録する、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の診断システム。
【請求項7】
前記プラットフォームは、診断対象毎に前記判定条件と診断名とを入力可能に構成されており、
前記診断部は、前記診断対象に設定された前記判定条件を満たすときに、前記診断対象に設定された前記診断名を出力する、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の診断システム。
【請求項8】
前記プラットフォームは、前記診断対象毎に複数のカテゴリのいずれかを選択可能に構成されており、
前記複数のカテゴリは、第1カテゴリと第2カテゴリとを含み、
前記第1カテゴリは、前記複数のセンサのうち、前記判定条件の設定に用いるセンサの検出情報を第1周期で取得する場合に選択されるカテゴリであり、
前記第2カテゴリは、前記複数のセンサのうち、前記判定条件の設定に用いるセンサの検出情報を前記第1周期よりも長い第2周期で取得する場合に選択されるカテゴリである、請求項7に記載の診断システム。
【請求項9】
前記通信装置は、前記複数のセンサの電気信号をそれぞれ入力する複数のチャネルを備え、
前記複数のチャネルは、第1チャネルおよび第2チャネルを含み、
前記第1チャネルと前記第2チャネルとで、入力電圧範囲および出力分解能のうちの少なくとも1つが異なり、
前記プラットフォームは、前記診断対象毎に前記判定条件を入力するときに、前記複数のセンサのうち前記判定条件に関わるセンサが前記第1チャネルおよび前記第2チャネルのいずれに対応するセンサであるかを指定する操作を受け付けるように構成される、請求項7または請求項8に記載の診断システム。
【請求項10】
前記複数のセンサは、第1センサと第2センサとを含み、
前記プラットフォームは、第1閾値、第2閾値、および第3閾値を入力する操作を受け付けるように構成され、
前記第1閾値は、前記第1センサの検出値が第1条件を満たすことを判定するための値であり、
前記第2閾値は、前記第2センサの検出値が第2条件を満たすことを判定するための値であり、
前記第3閾値は、前記第1条件の継続時間または前記第1条件の成立回数が、前記判定条件を成立させる第3条件を満たすことを判定するための値である、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の診断システム。
【請求項11】
前記ユーザに対して提供する前記プラットフォームのサービスに関する料金を算出する料金算出部をさらに備える、請求項5に記載の診断システム。
【請求項12】
前記プラットフォームは、前記ユーザを識別するための第2識別情報の入力を受け付けるように構成され、
前記登録部は、前記第2識別情報が入力された場合、前記プラットフォームにおいて、前記ユーザに納品された前記通信装置に対応する前記第1識別情報別に前記第2識別情報を登録し、
前記料金算出部は、前記第2識別情報およびサービス単価に基づいて、前記ユーザに対して提供する前記プラットフォームのサービスに関する料金を算出する、請求項11に記載の診断システム。
【請求項13】
移動体の状態を診断する診断方法であって、
前記移動体には、前記移動体に設けられた複数のセンサと通信する通信装置が搭載され、
前記通信装置から前記複数のセンサの検出情報を取得するステップと、
プラットフォーム管理者によって管理され前記移動体の状態を診断するための設定を受け付けるプラットフォームにアクセスするステップと、
前記複数のセンサの検出情報に基づいて前記移動体の状態を診断するための判定条件であって、前記プラットフォーム管理者とは異なる、前記移動体または前記移動体のコンポーネントの製造者であるユーザによって決定された判定条件を前記プラットフォームに登録するステップと、
前記プラットフォームに登録された前記判定条件に基づいた診断情報を出力するステップとを含む、診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、診断システムおよび診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックやフォークリフトなどの荷役車両は、シャーシ(車体)などと称される本体と、ボディなどと称される架装体とに大別することができる。荷役装置、ウィングボディなど、用途に応じた様々な架装体が本体に架装される。たとえば、荷役装置は、油圧ユニットによって荷受台を昇降させる機能を備える。トラックのウィングボディは、箱形の格納部の両側壁を油圧ユニットによって羽のように開放する機能を備える。
【0003】
一般に、荷役車両の本体は車体メーカによって製造される。架装体は油圧ユニットメーカなどによって製造される。車体メーカは、荷役車両の本体を架装メーカに納品する。油圧ユニットメーカは、油圧ユニットまたは油圧ユニットを含む架装体を架装メーカに納品する。架装メーカは、車両の本体に架装体を架装する。これにより、荷役車両が製造される。架装メーカは、荷役車両を運送会社に納品する。架装メーカは、必要に応じて運送会社を訪問し、荷役車両をメンテナンスする。
【0004】
特許文献1には、荷役装置の動力部分である液圧装置の異常を早期に発見し、故障する前に液圧装置を補修することが重要であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液圧装置などの架装体に発生している異常を早期に発見し、荷役車両の利用者に異常の発生を伝えることは重要である。ところで、荷役車両は、移動体としての基本的な性能を発揮する必要がある。このため、荷役車両を利用者に提供する提供者は、走行系の装置を含めて、荷役車両の状態を総合的に診断できる診断サービスを利用者に提供することが望ましい。
【0007】
一般に、荷役車両を含む移動体は、走行系の装置を含む様々な装置で構成されている。それらの装置に取り付けたセンサが出力する信号を利用することにより、移動体を構成する様々な装置の状態を診断できる。車両などの移動体を利用者に提供する提供者は、センサを取り付ける位置、およびセンサの信号に基づいて異常を判定するための条件など、移動体を構成する様々な装置の状態を適切に診断するための自身のノウハウを活かして、より有用な診断システムを開発することを考えるであろう。
【0008】
しかし、診断システムを開発するには、高度のシステム技術および高額な開発費用が必要とされることが多い。提供者の規模は様々であるため、各提供者がセンサに基づいた診断に関するノウハウを有していたとしても、全ての提供者が自身で診断システムを開発することは難しい。
【0009】
本開示の目的は、荷役車両などの移動体を利用者に提供する者に対して、システム開発を必要とすることなく、移動体の状態を自動的に診断するために必要な設定環境を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のある局面に従う診断システムは、移動体の状態を診断する診断システムであって、移動体に搭載され、移動体に設けられた複数のセンサと通信する通信装置と、通信装置に入力された複数のセンサの検出情報に基づいて移動体の状態を診断する診断部と、プラットフォーム管理者によって管理され、移動体の状態を診断するための設定を受け付けるプラットフォームが構築されたメモリと、複数のセンサの検出情報に基づいて移動体の状態を診断するための判定条件であって、プラットフォーム管理者とは異なる、移動体または移動体のコンポーネントの製造者であるユーザによって決定された判定条件を、プラットフォームに登録する登録部と、を備え、診断部は、プラットフォームに登録された判定条件に基づいた診断情報を出力する。
【0011】
本開示のある局面に従う診断方法は、移動体の状態を診断する診断方法であって、移動体には、移動体に設けられた複数のセンサと通信する通信装置が搭載され、通信装置から複数のセンサの検出情報を取得するステップと、プラットフォーム管理者によって管理され移動体の状態を診断するための設定を受け付けるプラットフォームにアクセスするステップと、複数のセンサの検出情報に基づいて移動体の状態を診断するための判定条件であって、プラットフォーム管理者とは異なる、移動体または移動体のコンポーネントの製造者であるユーザによって決定された判定条件をプラットフォームに登録するステップと、プラットフォームに登録された判定条件に基づいた診断情報を出力するステップとを含む。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、荷役車両などの移動体を利用者に提供する者に対して、システム開発を必要とすることなく、移動体の状態を自動的に診断するために必要な設定環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】診断システムの構成を示す図である(実施の形態1)。
【
図2】油圧ユニットが架装された荷役車両を示す図である。
【
図3】管理装置と、運送会社が使用する荷役車両のセンサとの通信を示す図である。
【
図5】通信装置のチャネル構成を説明するための図である。
【
図6】診断プラットフォームにおいて設定可能な診断情報の例を説明するための図である。
【
図7】管理装置と、運送会社が使用する荷役車両と、架装メーカが使用する端末装置との通信を示す図である。
【
図8】管理装置が管理するデータの一例を示す図である。
【
図9】管理装置が車種ID別に管理する診断設定情報の一例を示す図である。
【
図10】診断プラットフォームが提供する診断設定画面を示す図である。
【
図11】診断設定画面において選択可能な診断カテゴリを説明するための図である。
【
図13】油圧ユニットメーカの表示装置にデータ一覧が表示される例を示す図である。
【
図14】油圧ユニットメーカの表示装置に診断サービス要に設定されているユニットIDのデータ一覧が表示される例を示す図である。
【
図15】油圧ユニットメーカの表示装置に架装メーカに対するサービス料が表示される例を示す図である。
【
図16】架装メーカの端末装置にデータ一覧が表示される例を示す図である。
【
図17】架装メーカの表示装置にサービス料が表示される例を示す図である。
【
図18】ユニットID、架装メーカID、および車両登録番号の登録、並びにサービスフラグの設定に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図19】診断設定の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図20】センサ検出情報の収集および診断情報の出力に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図21】診断情報およびサービス料の送信に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図22】診断システムの構成を示す図である(実施の形態2)。
【
図23】管理装置と遠隔装置との通信を示す図である(実施の形態2)。
【
図24】油圧ユニットに設けた通信基板において荷役車両の状態を診断する例を示す図である(実施の形態3)。
【
図25】通信装置において荷役車両の状態を診断する例を示す図である(実施の形態4)。
【
図26】診断システムの構成を示す図である(実施の形態5)。
【
図27】実施の形態5に用いられる通信装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0015】
実施の形態1.
<システム構成>
図1は、診断システム1の構成を示す図である。診断システム1は、油圧ユニットメーカ、車両メーカ、架装メーカ、および運送会社の業務フローに関わって機能する。
図1には、これら各メーカまたは会社における業務フローを含めた処理フローがステップ番号と共に示されている。
【0016】
車両メーカは、荷役車両10の車体を製造する。荷役車両10の車体はシャーシとも呼ばれる。車体は、たとえば、座席を含む本体と、ボディとも呼ばれる荷台とを含む。車両メーカは、製造した車体を規模の異なる様々な架装メーカA,B,…に納品する(ステップS1)。
【0017】
油圧ユニットメーカは、架装体の少なくとも一部を構成するユニットの一例となる油圧ユニット14を製造する。油圧ユニットメーカには管理装置100が配置される。油圧ユニットメーカは、製造した油圧ユニット14の一つひとつを管理装置100においてシリアル番号で管理する。このシリアル番号はユニットIDと称される。油圧ユニット14には、ユニットIDが格納された通信装置80が搭載される。ユニットIDによって各々の油圧ユニット14を識別することができる。通信装置80は管理装置100と通信する機能を備える。ユニットIDは第1識別情報の一例である。油圧ユニットメーカは、後述の診断プラットフォームの管理者である。
【0018】
油圧ユニットメーカは、通信装置80が搭載された油圧ユニット14を規模の異なる様々な架装メーカA,B,…に納品する(ステップS2)。
【0019】
架装メーカは、車体に油圧ユニット14を架装する(ステップS3)。これにより、ゲート車、ウイング車、およびフォークリフトなどの様々な種類の荷役車両10が組み立てられる。
図1には、荷役車両10の一例としてゲート車が示されている。
【0020】
架装メーカは、荷役車両10を構成する、油圧ユニット以外の他のコンポーネントであるバッテリユニット、エンジンユニットなどの様々な装置にセンサ40を取り付ける(ステップS4)。架装メーカは、荷役車両10の車種別に必要なセンサ40を必要な箇所に取り付ける。架装メーカは、油圧ユニット14を構成する様々な部品にセンサ40を取り付けてもよい。または、油圧ユニット以外の他のコンポーネントのメーカ自身が、当該コンポーネントに必要なセンサ40を必要な箇所に取り付ける。または、車両メーカが、当該車両に必要なセンサ40を必要な箇所に取り付けてもよい。本実施の形態に関わる診断システム1は、これらのセンサ40が出力する信号に基づいて荷役車両10を構成する様々な装置の状態を診断する。架装メーカやコンポーネントメーカは、自社が保有するノウハウを活かして、センサ40を取り付ける位置を車種別に工夫するであろう。なお、油圧ユニットメーカは、予め油圧ユニット14に様々なセンサ40を取り付けてもよい。以下では、説明を簡単化するため、架装メーカやコンポーネントメーカのことを単に架装メーカと記載して説明している。
【0021】
架装メーカは、通信装置80へセンサ40の配線を接続する(ステップS5)。
【0022】
架装メーカは、組み立てた荷役車両10を規模の異なる様々な運送会社X,Y,…に納品する(ステップS6)。
【0023】
運送会社は、国の機関に対して荷役車両10の登録申請をする。運送会社は、登録申請により発行された車両登録番号を納品元の架装メーカに通知する(ステップS7)。たとえば、運送会社の担当者は、コンピュータを用いて、荷役車両10を特定できる情報と共に車両登録番号を納品元の架装メーカのコンピュータに送信してもよい。
【0024】
架装メーカは、通知された車両登録番号の荷役車両10を対象として、診断サービスを提供するか否かを決定する(ステップS8)。架装メーカは、管理装置100にアクセスすることにより、荷役車両10に取り付けたセンサ40に基づいて、荷役車両10の状態を診断することができる。架装メーカは、診断サービスを提供するか否かを運送会社に納品した複数の荷役車両10毎に決定する。
【0025】
油圧ユニットメーカは、診断サービスを有償で架装メーカに提供する。架装メーカは、診断サービスを利用するため、サービス料を油圧ユニットメーカに支払う必要がある。サービス料は、たとえば、診断サービスを提供する荷役車両10の台数に応じた金額とされている。運送会社に納品した全ての荷役車両10を診断サービスの対象に設定すると、サービス料が高額になる。このため、架装メーカは、取引のある運送会社の諸事情を考慮して、診断サービスを効果的に実施できるよう、対象の荷役車両10を選択する。
【0026】
運送会社に対して診断サービスを提供するか否かの基準は、架装メーカA,B…によって異なるであろう。たとえば、架装メーカAは、運送会社の規模に応じた基準を定めるかもしれない。架装メーカBは、運送会社に対する荷役車両10の売上高または納品台数に応じた基準を定めるかもしれない。
【0027】
架装メーカCは、取引のある複数の運送会社の中で荷役車両10を頻繁に使用する傾向があると思われる運送会社を抽出し、抽出した運送会社に納品した荷役車両10を診断サービスの対象とするかもしれない。一般には、配送業務の受注量の多い運送会社ほど、その頻度が高くなることが予想される。
【0028】
架装メーカDは、取引のある複数の運送会社の中で油圧ユニット14を頻繁に使用する傾向があると思われる運送会社を抽出し、そこに納品した荷役車両10を診断サービスの対象車両とするかもしれない。架装メーカEは、運送会社から診断サービスに関する希望を聞き取り、診断サービスを希望する運送会社に納品した荷役車両10を診断サービスの対象車両とするかもしれない。
【0029】
架装メーカA,B…は、各々の基準に従って、運送会社に納品した荷役車両10を診断サービスの提供対象とするか否かを決定する。もちろん、架装メーカは、運送会社毎にその決定をする必要はない。たとえば、同じ運送会社に納品した複数の荷役車両10のうち、特定の1または2以上の荷役車両10を診断サービスの対象車両としてもよい。
【0030】
診断サービスは、たとえば、一定期間毎に荷役車両10を点検するサービスであってもよい。診断サービスは、一定期間毎に荷役車両10の部品を取り替えるサービスであってもよい。架装メーカは、診断サービスに対して、荷役車両10を用いた配送業務に関する有用な情報を提供するサービスを付加してもよい。
【0031】
架装メーカは、荷役車両10毎に診断サービスの要否を決定した後、油圧ユニットメーカに対して、荷役車両10に関する各種の情報を通知する(ステップS9)。各種の情報には、ユニットID、架装メーカID、車種ID、車両登録番号、運送会社名、および診断サービスの要否が含まれる。たとえば、架装メーカの担当者は、コンピュータを用いて、これらの各種の情報を油圧ユニットメーカのコンピュータに送信してもよい。
【0032】
各種の情報に含まれる架装メーカIDは、架装メーカA,B…を識別するための識別情報である。油圧ユニットメーカは、荷役車両10に紐付いた架装メーカIDにより、油圧ユニット14の取り付けに関わった架装メーカを特定することができる。架装メーカIDは第2識別情報の一例である。
【0033】
各種の情報に含まれる車種IDは、架装メーカが提供する荷役車両10の車種を識別するための識別情報である。架装メーカは、荷役車両10の車種を車種IDで識別する。車種IDは第3識別情報の一例である。
【0034】
油圧ユニットメーカは、架装メーカから通知された各種の情報を管理装置100に登録する(ステップS10)。管理装置100は、プロセッサ101とメモリ102とを含んで構成される。管理装置100は、診断装置の一例である。管理装置100は、サーバを構成する。たとえば、プロセッサ101は、管理者による情報の入力に応じて、各種の情報をメモリ102に登録する。プロセッサ101は、制御装置の一例である。プロセッサ101は、架装メーカのコンピュータからこれらの各種の情報を受信し、受信した各種の情報をメモリ102に登録してもよい。
【0035】
メモリ120には、診断プラットフォームと診断結果通知システムとが構築されている。診断プラットフォームは、荷役車両10の診断に用いる種々の設定をするための環境を架装メーカに対して提供する。診断結果通知システムは、油圧ユニットメーカ、架装メーカ、または運送会社に対して、診断プラットフォームの設定に基づいた各種の診断結果を通知する。
【0036】
架装メーカは、診断プラットフォームを利用して、荷役車両10の車種別に診断の設定を行う(ステップS11)。診断の設定には、診断対象の装置、診断に用いるセンサ40に関する情報、および判定の基準とする閾値などが含まれる。架装メーカは、診断プラットフォームを利用することにより、自社で独自にシステム開発をすることなく、自社のノウハウを活かした診断設定をすることができる。架装メーカは、診断結果通知システムを利用することにより、診断プラットフォームで設定した内容に応じた診断結果の情報を取得できる。以下、診断結果の情報を診断情報と称する。
【0037】
運送会社は、納品された荷役車両10を用いて運送業を営む。運送会社の規模、形態、経営状況などにより、荷役車両10の稼働率、走行距離、荷役車両10に搭載された油圧ユニット14の稼働率などが異なる。荷役車両10に取り付けられたセンサ40は、センサ40の取り付け箇所に応じた様々な情報を検出する。
【0038】
油圧ユニット14に搭載された通信装置80は、インターネットなどのネットワーク50を介して管理装置100と通信する機能を備えている。荷役車両10に取り付けられたセンサ40は、検出した値を通信装置80に送信する。通信装置80は、センサ40の検出情報を管理装置100に送信する(ステップS12)。管理装置100は、センサ40の検出情報をセンサ40が取り付けられた荷役車両10の油圧ユニットID別に収集する。以下、センサ40の検出情報をセンサ検出情報とも称する。
【0039】
管理装置100は、診断サービスの設定がサービス要とされている荷役車両10から送られるセンサ検出情報を収集する。管理装置100は、診断サービスの設定がサービス無にされている荷役車両10から送られるセンサ検出情報を収集しない。センサ検出情報は、荷役車両10毎の診断サービスに利用されるためである。
【0040】
管理装置100は、荷役車両10の診断情報を架装メーカに提供する(ステップS13)。荷役車両10の診断情報は、診断結果通知システムによって架装メーカに提供される。荷役車両10の診断情報は、たとえば、荷役車両10に搭載された油圧ユニット14の故障情報、荷役車両10のバッテリの電圧低下を知らせる情報などを含む。診断情報の種類は、架装メーカの診断設定に応じて異なる。
【0041】
管理装置100が提供する診断情報は、荷役車両10別に生成された情報である。管理装置100は、架装メーカAに対して、架装メーカAに納品された油圧ユニット14に対応する荷役車両10の診断情報を提供する。管理装置100は、架装メーカBに対して、架装メーカBに納品された油圧ユニット14に対応する荷役車両10の診断情報を提供する。
【0042】
管理装置100は、診断サービスの設定がサービス要とされている荷役車両10の診断情報を架装メーカに提供する。管理装置100は、診断サービスの設定がサービス無とされている荷役車両10の診断情報を架装メーカに提供しない。つまり、管理装置100は、架装メーカが診断サービスの対象にした荷役車両10のみを対象にして、診断情報を提供する。
【0043】
管理装置100は、診断情報を架装メーカの端末装置へ送信する。管理装置100は、診断情報を架装メーカの担当者の携帯端末へ送信してもよい。管理装置100は、診断情報を荷役車両10の運送会社に配置された端末装置へ送信してもよい。管理装置100は、診断情報を荷役車両10へ送信してもよい。荷役車両10に、診断情報を受信する通信端末を設置してもよい。管理装置100は、診断情報を対応する荷役車両10のドライバーが所持する携帯端末へ送信してもよい。
【0044】
架装メーカは、診断情報に基づいて、運送会社に納品した荷役車両10の状態を把握する。架装メーカは、荷役車両10の診断情報に応じた対応をとる(ステップS14)。
【0045】
たとえば、架装メーカAは、運送会社Xに納品された荷役車両10の診断情報に基づいて、荷役車両10に架装された油圧ユニット14の駆動回数が基準値を超えていることを把握する。この場合、架装メーカAの作業員が運送会社Xに出向いて油圧ユニット14を点検するかもしれない。たとえば、架装メーカBは、運送会社Yに納品された荷役車両10の診断情報に基づいて、荷役車両10のバッテリ電圧が異常に低下していることを把握する。この場合、架装メーカBの作業員が運送会社Yに出向いてバッテリを点検するかもしれない。
【0046】
架装メーカは、診断プラットフォームおよび診断結果通知システムを利用することによって、付加価値のあるサービスを運送会社に提供できる。その結果、架装メーカは、荷役車両10の売り上げを増加できるメリットがある。
【0047】
油圧ユニットメーカは、診断プラットフォームおよび診断結果通知システムを架装メーカに提供する見返りとして、架装メーカに対してサービス料を請求する(ステップS15)。サービス料は、たとえば、診断サービス要に設定されている荷役車両10の数に応じて異なる。
【0048】
たとえば、架装メーカAが運送会社Xに対して納品した荷役車両50台のうち、40台が診断サービス要に設定され、架装メーカAが運送会社Yに対して納品した荷役車両30台のうち、15台が診断サービス要に設定されていたとする。この場合、油圧ユニットメーカは、55台に相当する金額のサービス料を架装メーカAに請求する。油圧ユニットメーカは、このようにして、架装メーカA,B…に対してサービス料を請求する。
【0049】
架装メーカは、診断サービスを提供する見返りとして、運送会社に対してサービス料を請求する(ステップS16)。サービス料は、たとえば、診断サービス要に設定されている荷役車両10の数に応じて異なる。架装メーカA,B…は、取引のある運送会社に対して請求するサービス料の金額を、それぞれで定めてもよい。
【0050】
<管理装置100のハードウエア構造>
管理装置100のハードウエア構造について説明する。管理装置100は、プロセッサ101とメモリ102とを含む。プロセッサ101は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Multi-Processing Unit)などの演算処理部である。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、管理装置100の処理を実現する。なお、
図1では、管理装置100のプロセッサ101が単数である構成を例示しているが、管理装置100に複数のプロセッサ101が設けられる構成としてもよい。
【0051】
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびフラッシュメモリなどの不揮発性メモリによって実現される。メモリ102は、ステップS9において通知された各種の情報、ステップS12で送信されるセンサ40の検出情報、プロセッサ101によって実行されるプログラム、およびプロセッサ101によって用いられるデータなどを記憶する。プロセッサ101によって実行されるプログラムには、診断プラットフォームおよび診断結果通知システムに関するプログラムが含まれる。
【0052】
なお、メモリ102は、プロセッサ101が可読可能な形式で非一時的にプログラムを記録することができれば、CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリーカード、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disc)、MD(Mini Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリーカードを除く)、光カード、マスクROM、またはEPROMであってもよい。
【0053】
以上、説明したとおり、油圧ユニットメーカは、管理装置100によって診断プラットフォームおよび診断結果通知システムを提供する。管理装置100は、荷役車両10の診断情報を含む各種のデータを管理している。管理装置100は、荷役車両10の1台1台をその荷役車両10に架装された油圧ユニット14のユニットIDで特定する。管理装置100は、荷役車両10を所有する運送会社、および運送会社に対して荷役車両10を納品した架装メーカと関連付けてユニットIDを記憶している。
【0054】
管理装置100は、運送会社が使用する荷役車両10からセンサ40の種類に応じた様々な情報を受信し、受信した情報をユニットID別に記憶する。管理装置100は、架装メーカの要求に応じて、あるいは定期的に、センサ検出情報に基づいて生成した診断情報を架装メーカに提供する。管理装置100は、特に、架装メーカが予めサービス要に設定した荷役車両10を対象にして、診断情報を架装メーカに提供する。
【0055】
<荷役車両10の構成>
図2は、油圧ユニット14が架装された荷役車両10を示す図である。荷役車両10は、荷台11と荷役装置12とを備える。荷役装置12は、荷受台13と、油圧ユニット14とを備える。
図2に示す油圧ユニット14は、たとえば、減圧装置を含む。油圧ユニット14は、荷受台13を昇降させる。他の油圧ユニット14の例として、たとえば、荷役車両10のウイングの開閉に用いる駆動装置を挙げることができる。
【0056】
<管理装置100と荷役車両10のセンサとの通信>
図3は、管理装置100と、運送会社が使用する荷役車両10のセンサ40との通信を示す図である。管理装置100は、たとえば、油圧ユニットメーカによって管理される。荷役車両10は、たとえば、運送会社によって使用される。
【0057】
荷役車両10は、本体20と架装体30とにより構成される。本体20には様々な車体ユニット251,252,253…が搭載される。車体ユニット251,252,253…は、エンジン関連部品、クラッチなどのドライブトレイン関連部品、ステアリング関連部品、サスペンション関連部品、アクセルおよびブレーキ関連部品、外装部品、内装部品、電装部品、エアコンディショナ関連部品、および運転支援システム関連部品などが含まれる。車体ユニット251,252,253…には、必要に応じて架装メーカがセンサ40を取り付ける。
【0058】
架装体30には油圧ユニット14が含まれる。油圧ユニット14は、たとえば、液圧シリンダ141、タンク142、ポンプ143、バルブ144、およびモータ145などの部品を含んで構成される。
【0059】
液圧シリンダ141は、荷役車両10の荷受台13を荷台11の下方に出し入れする機能を備える。タンク142には、鉱物油などの液体が貯留されている。ポンプ143は、タンク142に貯留されている液体を液圧シリンダ141に向けて吐出する。バルブ144は、液体の流れを制御する。モータ145は、ポンプ143を駆動する。これらの部品には、油圧ユニットメーカにより、または架装メーカにより、必要に応じてセンサ40が取り付けられる。たとえば、タンク142から液圧シリンダ141に向けて吐出される液体の圧力を検出するため、センサ40を適切な箇所に取り付けてもよい。モータ145が駆動したことを検出するため、センサ40を適切な箇所に取り付けてもよい。
【0060】
油圧ユニット14は、通信装置80をさらに備える。通信装置80には油圧ユニット14のユニットIDが記憶されている。架装メーカは、本体20の車体ユニット251,252,253…に取り付けたセンサ40の配線を通信装置80に接続する。架装メーカまたは油圧ユニットメーカは、油圧ユニット14に取り付けたセンサ40の配線を通信装置80に接続する。
【0061】
通信装置80は、ネットワーク50を介して管理装置100と通信する。通信装置80は、センサ40の検出情報をユニットIDと共に管理装置100へ送信する。管理装置100には、診断プラットフォームと診断結果通知システムとが構築されている。診断プラットフォームには、診断設定情報と診断情報とが格納される。診断設定情報は、架装メーカが荷役車両10の状態を診断するために設定した情報である。診断設定情報は、架装メーカの車種ID別に診断プラットフォームに格納される。診断情報は、診断設定情報とセンサ検出情報とに基づいて生成された情報である。診断情報は、ユニットID別に診断プラットフォームに格納される。管理装置100は、診断結果通知システムによって診断情報を架装メーカの端末装置などへ送信する。
【0062】
<通信装置80の構成>
図4は、通信装置80の構成を示すブロック図である。通信装置80は、第1チャネル群81、第2チャネル群82、第3チャネル群83、マイクロコンピュータ84、および通信モジュール85を備える。第1チャネル群81、第2チャネル群82、第3チャネル群83には、センサ40の配線が接続される。第1チャネル群81のチャネル数は10である。第2チャネル群82のチャネル数は5である。第3チャネル群83のチャネル数は5である。
【0063】
マイクロコンピュータ84は、第1チャネル群81、第2チャネル群82、第3チャネル群83、および通信モジュール85と接続される。マイクロコンピュータ84にはユニットIDが格納されている。通信モジュール85は、基地局と無線通信するためのアンテナを備え、電波によって情報を外部へ出力する。マイクロコンピュータ84には、管理装置100と通信するためのアドレスが予め格納されている。マイクロコンピュータ84は、第1チャネル群81、第2チャネル群82、および第3チャネル群83から受信したセンサ信号を、通信モジュール85を介してユニットIDと共に管理装置100へ送信する。
【0064】
<通信装置80のチャネル構成>
図5は、通信装置80のチャネル構成を説明するための図である。第1チャネル群81、第2チャネル群82、および第3チャネル群83の仕様は、
図5に示されるとおりである。
【0065】
第1チャネル群81はV1~V10の10チャネルで構成される。第1チャネル群81へ入力可能な電圧の範囲は0V(Volt)~36Vである。第1チャネル群81の出力分解能は0.1V単位である。第1チャネル群81の出力タイミングは0.5秒毎である。
【0066】
第2チャネル群82はV11~V15の5チャネルで構成される。第2チャネル群82へ入力可能な電圧の範囲は0V~36Vである。第2チャネル群82の出力分解能は0.1V単位である。第2チャネル群82の出力タイミングは180秒毎である。
【0067】
第3チャネル群83はV16~V20の5チャネルで構成される。第3チャネル群83へ入力可能な電圧の範囲は0V~5Vである。第3チャネル群83の出力分解能は0.01V単位である。第3チャネル群83の出力タイミングは180秒毎である。
【0068】
したがって、第1チャネル群81および第2チャネル群82へは、センサ40の信号として、36Vまでの電圧を入力することができる。第3チャネル群83へは、センサ40の信号として、36Vより低い5Vまでの電圧を入力することができる。
【0069】
第1チャネル群81および第2チャネル群82に接続したセンサ40の検出情報は、0.1V単位の分解能で特定することができる。第3チャネル群83に接続したセンサ40の検出情報は、0.1Vよりも低い0.01V単位の分解能でより細やかに特定することができる。
【0070】
第1チャネル群81に接続したセンサ40の検出情報は、0.5秒という短い監視期間毎に特定することができる。第2チャネル群82および第3チャネル群83に接続したセンサ40の検出情報は、0.5秒より長い180秒の監視期間で特定することができる。
【0071】
図5に示されるチャネル構成は一例に過ぎず、様々な変形が予定されている。通信装置80のマイクロコンピュータ84は、第1チャネル群81、第2チャネル群82、および第3チャネル群83の仕様の少なくとも一部を変更できる機能を備えてもよい。
【0072】
図6は、診断プラットフォームにおいて設定可能な診断情報の例を説明するための図である。架装メーカは、荷役車両10を構成する各種装置にセンサ40を取り付けた上で、診断プラットフォームにおいてセンサ40に対応する判定条件を設定することによって、荷役車両10の様々な診断情報を入手することができる。
図6には、診断情報のいくつかの例が示されている。
【0073】
検出対象として、
図6には、「圧力」、「温度」、「電圧」、「油面(の高さ)」、「回転」、「時間」、「回数」、および「GPS(Global Positioning System)」が示されている。これらのうち、「GPS」を除く全ては、荷役車両10に取り付けたセンサ40によって検出することができる。
図6に示される「GPS」は、荷役車両10の位置情報を取得することを意味している。すなわち、GPSを利用して取得した荷役車両10の位置情報を、通信装置80を介して管理装置100で収集してもよい。
【0074】
1つのセンサ40の検出情報を利用し、または2つ以上のセンサ40の検出情報を組み合わせて利用することで、架装メーカは、様々な診断情報を生成することができる。診断情報は、たとえば、故障診断情報、異常診断情報、保守診断情報、異常操作履歴、運行および作動履歴に分類される。
【0075】
故障診断情報は、対象の装置が動作しないことを示す。故障診断情報には、電気系統のモータ故障、モータの焼付きによる故障、マグネットスイッチ故障(作動不良)、マグネットスイッチ故障(溶着)、電気系統の電磁弁故障、油圧系統の電磁弁故障、リリーフ弁故障、ポンプ故障、およびバッテリ電圧低下などが含まれる。
【0076】
異常診断情報は、対象の装置が作動するものの、対象の装置に異常が発生していることを示す。異常診断情報には、タンク油面低下、リリーフ弁に関する設定圧警告、バッテリ電圧低下、およびバルブブロックの内部漏れ過多などが含まれる。
【0077】
保守診断情報は、対象の装置の交換を推奨すること、または対象の装置のメンテナンスを推奨することを示す。保守診断情報には、モータブラシの交換時期、コンタクタの交換時期、作動油の交換時期、およびフィルタの交換時期などが含まれる。
【0078】
異常操作履歴は、推奨しない動作の履歴を示す。異常操作履歴には、対象装置が連続して操作される時間に関する異常、モータ温度異常、および対象装置の操作頻度の異常などが含まれる。
【0079】
運行および作動履歴は、対象の荷役車両10の運行履歴および作動履歴を示す。運行および作動履歴には、架装体30の操作記録、対象装置の診断履歴、対象装置の処置履歴、および庫内温度記録などが含まれる。
【0080】
以上、
図6を用いて診断情報の種類および具体例を説明した。診断プラットフォームを利用して診断設定を行う架装メーカは、以上に説明した診断情報の種類および具体例に拘ることなく、独自の基準に従って、様々な診断情報の種類を設定することができる。
【0081】
<管理装置100と荷役車両10と端末装置200との通信>
図7は、管理装置100と、運送会社が使用する荷役車両10と、架装メーカが使用する端末装置200との通信を示す図である。管理装置100と荷役車両10に搭載された通信装置80とは、ネットワーク50を介して通信する。管理装置100と架装メーカの端末装置200とは、ネットワーク50を介して通信する。
【0082】
管理装置100は、様々な情報を表示する表示装置150と接続されている。表示装置150を含んで管理装置100を構成してもよい。
【0083】
管理装置100は、取得部111と、算出部112と、送信部113と、出力部114と、格納部115とを概念的に備える。取得部111、算出部112、送信部113、および格納部115は、
図1に示したプロセッサ101およびメモリ102によって実現される。出力部114は、たとえば、表示装置150に対して表示情報を出力する表示インターフェイスにより構成される。プロセッサ101は、出力部114に対して様々な情報を出力する。
【0084】
運送会社X,Y…は、架装メーカA,B…から納品された荷役車両10を用いて物品を配送する。荷役車両10の油圧ユニット14には通信装置80が設けられている。通信装置80は、ユニットIDと共にセンサ検出情報を管理装置100に送信する。管理装置100は、ユニットIDおよびセンサ検出情報を受信する。
【0085】
取得部111は、ユニットIDと共にセンサ検出情報を取得する。取得部111は、格納部115に、センサ検出情報をユニットID別に格納する。格納部115には、架装メーカが診断プラットフォームを利用して設定した診断設定情報が格納されている。算出部112は、センサ検出情報および診断設定情報に基づいて、荷役車両10の診断情報をユニットID別に算出する。これにより、架装メーカに対して提供するための様々な診断情報が生成される。算出された診断情報はユニットID別に格納部115に格納される。
【0086】
格納部115には、架装メーカ向けのサービス料単価αと、運送会社向けのサービス料単価βとが格納されている。管理装置100の管理者がサービス料単価αおよびサービス料単価βを適宜設定できるよう、管理装置100を設計することが望ましい。
【0087】
架装メーカ向けのサービス料単価αは、架装メーカ別に異ならせてもよい。同様に、運送会社向けのサービス料単価βは、運送会社別に異ならせてもよい。この場合、管理装置100の管理者がサービス料単価αを架装メーカ別に設定できるよう、管理装置100を設計することが望ましい。同様に、管理装置100の管理者がサービス料単価αを架装メーカ別に設定できるよう、管理装置100を設計することが望ましい。
【0088】
算出部112は、架装メーカ向けのサービス料単価αを用いて架装メーカA,B…別に診断サービスのサービス料を算出する。算出部112は、運送会社向けのサービス料単価βを用いて運送会社X,Y…別に診断サービスのサービス料を算出する。
【0089】
架装メーカ向けのサービス料は、油圧ユニットメーカが架装メーカに納品した油圧ユニット14(より具体的には通信装置80)の数に対して、架装メーカ向けのサービス料単価αを乗じることによって算出される。ただし、サービス料の算出の対象となる油圧ユニット14は、ユニットIDが診断サービス要に対応しているものに限られる。
【0090】
運送会社向けのサービス料は、架装メーカが運送会社に納品した荷役車両10の数に対して、運送会社向けのサービス料単価βを乗じることによって算出される。ただし、サービス料の算出の対象となる荷役車両10は、荷役車両10に対応するユニットIDが診断サービス要に対応しているものに限られる。
【0091】
算出部112により算出された架装メーカ向けのサービス料および運送会社向けのサービス料は、格納部115に格納される。
【0092】
送信部113は、格納部115に格納された診断情報およびサービス料を架装メーカに送信する。このとき、送信部113は、架装メーカ別に診断情報およびサービス料を送信する。
【0093】
たとえば、送信部113は、油圧ユニットメーカが架装メーカAに納品した油圧ユニット14のユニットIDに対応する診断情報を架装メーカAに送信する。送信部113は、油圧ユニットメーカが架装メーカBに納品した油圧ユニット14のユニットIDに対応する診断情報を架装メーカBに送信する。ただし、送信部113から架装メーカへは、診断サービス要に設定されているユニットIDに対応する診断情報のみが送信される。
【0094】
架装メーカAが運送会社Xと運送会社Yとに荷役車両10を納品している場合、送信部113は、架装メーカA向けのサービス料と、運送会社X向けのサービス料と、運送会社Y向けのサービス料とを架装メーカAに送信する。ここで、運送会社X向けのサービス料は、架装メーカAが運送会社Xに対して請求すべき料金である。同様に、運送会社Y向けのサービス料は、架装メーカAが運送会社Yに対して請求すべき料金である。
【0095】
架装メーカの端末装置200は、送信部113から送信された情報を受信し、受信した情報を表示する。架装メーカの担当者は、端末装置200に表示された診断情報に基づいて、診断サービスの対象とされた荷役車両10の状態を把握することができる。架装メーカの担当者は、端末装置200に表示されたサービス料を見ることにより、油圧ユニットメーカに対して支払うべきサービス料と、取引のある運送会社に対して請求すべきサービス料とを把握することができる。
【0096】
管理装置100に接続された表示装置150には、格納部115に格納された各種の情報が表示される。たとえば、管理装置100は、管理者の指示に対応する各種の情報を表示装置150に表示する。各種の情報には、診断情報、架装メーカ向けのサービス料、および運送会社向けのサービス料などが含まれる。
【0097】
<管理装置100が管理するデータ>
図8は、管理装置100が管理するデータの一例を示す図である。特に、
図8には、ユニットIDと関連付けて管理装置100に記憶されるデータが示されている。
【0098】
管理装置100は、架装メーカID、車種ID、車両登録番号、および運送会社名と対応付けてユニットIDを記憶している。ユニットIDはユニークな番号とされている。管理装置100は、ユニットIDにより、油圧ユニット14の一つひとつを識別できる。油圧ユニット14は、荷役車両10に架装される。油圧ユニット14に搭載され通信装置80には、ユニットIDが格納されている。したがって、管理装置100は、ユニットIDにより荷役車両10の一つひとつを識別できる。
【0099】
管理装置100は、架装メーカIDにより、油圧ユニット14の納品先を特定することができる。管理装置100は、車種IDにより、ユニットID別に荷役車両10の車種を特定することができる。管理装置100は、車両登録番号により、油圧ユニット14が取り付けられた荷役車両10を特定することができる。管理装置100は、運送会社名により、荷役車両10の納品先を特定することができる。
【0100】
管理装置100は、架装メーカIDに含まれるアルファベットによって架装メーカを識別することができる。たとえば、Aは、架装メーカAに対応し、Bは、架装メーカBに対応する。アルファベットの右の4桁の数字は、架装メーカにおいてそれぞれの油圧ユニット14を識別するための数字である。架装メーカを識別するという目的のみのためであれば、この数字はなくてもよい。
図8に示されるデータには、架装メーカIDに対応する架装メーカ名が含まれている。A社、およびB社がそれに該当する。
【0101】
管理装置100は、車種IDに含まれるアルファベットによって架装メーカを識別し、車種IDに含まれる数字によって架装メーカの車種を識別することができる。たとえば、Acは、架装メーカAに対応し、Bcは、架装メーカBに対応する。アルファベットの右の4桁の数字は、架装メーカ別の車種に対応する数字である。
【0102】
図8に示されるデータには、ユニットIDと関連付いたサービスフラグが含まれる。サービスフラグは、診断サービスの有無を識別するためのフラグである。
図8に示されるデータでは、ユニットIDの0000001~0000005,0000007,0000008に対応するサービスフラグがONに設定されている。これは、対応するユニットIDによって識別される荷役車両10が、診断サービスの対象であることを意味する。
図8に示されるデータでは、ユニットIDの0000006,0000009,00000010に対応するサービスフラグがOFFに設定されている。これは、対応するユニットIDによって識別される荷役車両10が、診断サービスの対象でないことを意味する。
【0103】
管理装置100は、管理者の指示入力に従ってサービスフラグをONまたはOFFに設定する。
【0104】
図8に示されるデータには、診断情報が含まれる。管理装置100は、サービスフラグがONに設定されているユニットIDを対象にして診断情報を生成する。管理装置100は、サービスフラグがOFFに設定されているユニットIDを対象にしては、診断情報を生成しない。
図8において、「No Service」との記載は、管理装置100が診断情報を生成しないことを意味する。
【0105】
なお、
図8は、管理装置100が診断情報を生成する前の状態のデータを示している。このため、診断情報の具体的な内容は
図8に示されていない。診断情報の具体例については、既に言及済みのため、ここではその説明を繰り返さない。
【0106】
<車種ID別に管理される診断設定情報>
図9は、管理装置100が車種ID別に管理する診断設定情報の一例を示す図である。
図9に示されるように、管理装置100は、車種ID別に診断設定情報を記憶している。たとえば、管理装置100は、車種IDの「Ac0001」に対応して、「診断種類1(名称任意設定)」を記憶している。なお、「名称任意設定」の部分には、設定の際に架装メーカAが任意に入力した文字が表示される。たとえば、架装メーカAは、「名称任意設定」の部分に車種の名称を入力してもよい。管理装置100は、「診断種類1(名称任意設定)」をラベルにして、そのラベルに対応する詳細な設定データをメモリ102内に格納している。
【0107】
<診断設定画面>
図10は、診断プラットフォームが提供する診断設定画面210を示す図である。
図11は、診断設定画面210において選択可能な診断カテゴリを説明するための図である。診断プラットフォームは、各架装メーカに対して、診断設定をする環境を提供する。たとえば、
図10には、架装メーカAの端末装置200に表示される診断設定画面210が示されている。診断設定画面210には、車種ID別に診断設定をすることができる複数の設定シート211が表示される。設定シート211には、架装メーカの担当者の操作に応じて、荷役車両10の状態を診断するための判定条件が登録される。
【0108】
設定シート211の先頭には、診断種類の名称を入力する欄が存在する。この欄には、架装メーカが任意の名称を入力することができる。この名称は、
図9に示された「診断種類1(名称任意設定)」に反映される。既に説明したとおり、たとえば、架装メーカは、この欄に車種の名称を入力することができる。
【0109】
設定シート211の先頭には、車種IDを入力する欄が設けられる。架装メーカの担当者は、この欄に設定シート211の設定の対象となる車種IDを入力する。診断プラットフォームでは、この欄に入力された車種IDに基づいて、設定を適用する荷役車両10を特定する。
【0110】
具体的には、管理装置100は、荷役車両10からセンサ検出情報およびユニットIDを受信したとき、ユニットIDに対応して記憶している車種IDを特定する。管理装置100は、車種IDに対応する診断設定を読み出す。管理装置100は、読み出した診断設定に基づいて、受信したセンサ検出情報を処理する。これにより、設定シート211に設定された設定が対応する車種の荷役車両10の診断に適用される。
【0111】
設定シート211は、診断カテゴリを選択する欄(診断カテゴリ)、診断名を入力する欄(診断名)、診断に用いるセンサ40のチャネルを指定する欄(第1センサ、第2センサ…)、チャネルに対応する閾値を指定する欄(第1センサ閾値、第2センサ閾値…)、時間を指定する欄(時間)、診断対象を入力する欄(診断)、および診断回数を入力する欄(診断回数)を含む。設定シート211では、診断に用いる判定条件を行毎に入力することができる。
【0112】
診断カテゴリを選択する欄では、作動時診断、監視診断、および回数診断などが選択される。ここで、
図11を参照して、診断カテゴリを説明する。作動時診断では、比較的、短い周期(たとえば、0.5sec)のセンシングによって診断対象を診断する。作動時診断には、
図5に示される第1チャネル群81のチャネルが用いられる。監視診断では、比較的、長い周期(たとえば、180sec)のセンシングによって診断対象を診断する。監視診断には、
図5に示される第2チャネル群82または第3チャネル群83のチャネルが用いられる。
【0113】
作動時診断は、センサ40の検出値が比較的、短い時間継続して閾値を超えた段階で、診断名に該当する事象が発生したと診断する場合に選択されるであろう。監視診断は、センサ40の検出値が比較的、長い時間継続して閾値を超えたときに診断名に該当する事象が発生したと診断する場合に選択されるであろう。
図10に示される時間の欄には、それぞれの時間の長さが入力される。
【0114】
図11に示されるように、回数診断は、センシングによって事象が検出された回数を対象とする。たとえば、
図10では、診断名「CCC交換時期」の行が回数診断のカテゴリに分類されている。診断対象の欄には「DD作動」と入力されている。診断回数の欄には「100回」と入力されている。したがって、診断名「CCC交換時期」は、「DDという装置が作動する」という事象が検出された回数が、100回に達したことを判定条件として、「CCC」という装置の交換時期であると診断することに対応する。回数診断の行には、センサ40のチャネル、閾値、および時間を入力する必要がない。
【0115】
診断名の欄には、任意の診断名称が入力される。たとえば、診断対象の荷役車両10を構成する一装置名を「AAA」としたとき、架装メーカの担当者は、「AAA故障」、「AAA異常」、および「AAA交換時期」などの任意の診断名称を診断名の欄に入力することができる。
【0116】
診断に用いるセンサ40のチャネルおよび閾値を指定する欄は、各行に複数設けられる。
図10には、チャネルおよび閾値を指定する欄の一部が示されている。たとえば、第1センサの欄と第1センサ閾値の欄とが対応する。第2センサの欄と第2センサ閾値の欄とが対応する。第3センサの欄と第3センサ閾値の欄とが対応する。各センサの欄には、通信装置80のチャネルが入力される。各センサ閾値の欄には、対応するセンサ40の検出値を判定する閾値が入力される。
【0117】
架装メーカの担当者は、診断に用いるセンサ40のチャネルとして、1つのチャネルのみを入力してもよく、複数のチャネルを入力してもよい。たとえば、
図10の「AAA故障」の行には、V1チャネルのみが入力されている。
図10の「BBB異常」の行には、V2およびV3のチャネルが入力されている。たとえば、V2およびV3のチャネルが入力されている場合、V2に対応するセンサ40の検出値が閾値10(Volt)を超え、かつ、V3に対応するセンサ40の検出値が閾値20(Volt)を超えた場合に、診断対象の事象が発生したと判断するための判定条件が満たされる。
【0118】
設定シート211において、架装メーカの担当者は、複数のセンサのうちから、第1センサ、第2センサ、…を順に設定することができる。診断プラットフォームは、設定シート211において、第1センサ閾値、第2センサ閾値…を入力する操作を受け付ける。たとえば、第1センサ閾値は、第1センサの検出値が第1条件を満たすことを判定するための値である。たとえば、第2センサ閾値は、第2センサの検出値が第2条件を満たすことを判定するための値である。設定シート211において、「時間」は、第1条件または第2条件の継続時間が、予め定めた判定条件を成立させる第3条件を満たすことを判定するための値である。また、設定シート211において、「診断回数」は、第1条件または第2条件の成立回数が、予め定めた判定条件を成立させる第3条件を満たすことを判定するための値である。
【0119】
架装メーカの担当者は、必要な車種の数に応じた枚数の設定シート211を用いて、車種毎に診断設定を行う。これにより、車種別の診断設定情報が診断プラットフォームに登録される。
【0120】
<診断情報画面>
図12は、診断情報画面220を示す図である。架装メーカの担当者は、端末装置200を用いて管理装置100にアクセスする。その後、架装メーカの担当者は、診断情報を取得したい荷役車両10を指定する。これにより、端末装置200には、
図12に示されるような診断情報画面220が表示される。
【0121】
診断情報画面220には、基本情報および診断詳細情報が表示される。さらに、診断情報画面220には、付加情報が1つまたは複数表示される。
図12では、付加情報の一例として、バッテリ電圧および油圧ユニット作動回数が示されている。
【0122】
基本情報の欄には、荷役車両10を所有する運送会社名、車両登録番号、ユニットID,架装メーカID、および車両位置が表示される。車両位置は、GPSを利用して特定される。
【0123】
診断詳細情報の欄には、診断の種類、診断内容(診断名)、診断日時、対応状況、および対応日時が表示される。架装メーカの担当者は、診断情報画面220を見ることにより、対象の荷役車両10の過去の診断内容および現在の診断内容などを把握することができる。
【0124】
<データ一覧の表示例(管理装置100)>
管理装置100は、管理者の指示入力に応じて、
図8に示されるデータを表示装置150に表示する。
図13を用いて、その例を説明する。
【0125】
図13は、油圧ユニットメーカの表示装置150にデータ一覧が表示される例を示す図である。管理者が管理装置100に所定の指示を入力することにより、
図13に示されるように、データ一覧151が表示装置150の画面に表示される。データ一覧151には、
図8を用いて説明した各種のデータが含まれる。表示装置150の画面には、さらに、詳細ボタン153とサービス料金ボタン154とが含まれる。
【0126】
詳細ボタン153をマウスなどでクリックすると、対応するユニットIDで特定される荷役車両10の診断情報が画面に表示される。詳細ボタン153のクリック操作が受け付けられた場合、
図12を用いて説明した診断情報画面220と同様の画面が表示装置150に表示される。ここでは、詳細ボタン153のクリック操作が受け付けられた場合に表示される画面のより詳細な説明を省略する。なお、「No Service」は、対応するユニットIDが診断サービスの対象外であることを示す。サービス料金ボタン154をマウスなどでクリックすると、対応するユニットIDに関するサービス料金が画面に表示される。この画面については、後に詳細に説明する。
【0127】
<データ一覧の表示例(診断サービス要)>
図14は、油圧ユニットメーカの表示装置150に診断サービス要に設定されているユニットIDのデータ一覧152が表示される例を示す図である。管理者が管理装置100に所定の指示を入力することにより、
図14に示されるように、診断サービス要に設定されているユニットIDのデータ一覧152が表示装置150の画面に表示される。
図14に示される画面には、
図13に示される画面と同様に、詳細ボタン153とサービス料金ボタン154とが含まれる。
【0128】
<架装メーカに対するサービス料の表示>
図15は、油圧ユニットメーカの表示装置150に架装メーカに対するサービス料が表示される例を示す図である。たとえば、管理者は、
図13に示される画面においてサービス料金ボタン154をクリックする。すると、
図15に示されるように、画面の下方に架装メーカに対するサービス料155が表示される。
【0129】
サービス料155には、油圧ユニットメーカが取引のある架装メーカ別に料金が表示される。
図15に示される画面には、A社およびB社に対するサービス料金が表示されている。データ一覧151によれば、油圧ユニットメーカはA社に対して7つの油圧ユニット14を納品している。このうち、サービスフラグがONに設定されている油圧ユニット14の数は6つである。また、データ一覧151によれば、油圧ユニットメーカはB社に対して3つの油圧ユニット14を納品している。このうち、サービスフラグがONに設定されている油圧ユニット14の数は1つである。
【0130】
したがって、サービス料155には、A社に対してサービスを提供しているユニットIDの数が6であることが示され、B社に対してサービスを提供しているユニットIDの数が1であることが示されている。さらに、サービス料155には、ID数に対してサービス料単価αを乗じることによって算出されるサービス料金がA社およびB社別に示されている。
【0131】
油圧ユニットメーカの管理者は、サービス料155の表示を見ることによって、A社に対するサービス料の請求額と、B社に請求するサービス料の請求額とを特定できる。
【0132】
<データ一覧の表示例(端末装置200)>
図16は、架装メーカの端末装置200にデータ一覧201が表示される例を示す図である。特に、
図16には、架装メーカA社の端末装置200にデータ一覧201が表示される例が示されている。架装メーカAの端末装置200は、ネットワーク50を介して管理装置100と接続されている。架装メーカAの端末装置200は、油圧ユニットメーカから納品された油圧ユニット14に関する様々な情報を管理装置100から受信する。端末装置200は、管理装置100から受信した情報を
図16に示されるように表示する。
【0133】
データ一覧201には、架装メーカA社が油圧ユニットメーカから購入した油圧ユニット14のユニットID、およびユニットIDに関連付いた様々な情報が含まれる。ユニットIDに関連付いた様々な情報には、ユニットIDに対応する架装メーカID、車種ID、運送会社名、荷役車両10の車両登録番号、サービスフラグの設定、および診断情報が含まれる。
【0134】
図16に示されるデータ一覧201においては、最も左の列に運送会社名が並んでいる。しかし、端末装置200は、架装メーカの担当者の操作に応じて、各列に配置するデータの位置を変更してもよい。
【0135】
架装メーカの担当者は、
図16に示される画面を確認することにより、診断サービスを提供している荷役車両10を運送会社別に特定することができる。
【0136】
表示装置150の画面には、さらに、詳細ボタン203とサービス料金ボタン204とが含まれる。
【0137】
詳細ボタン203をマウスなどでクリックすると、対応するユニットIDの診断情報が画面に表示される。その画面の詳細については、
図12を用いて既に説明した。なお、「No Service」は、対応するユニットIDが診断サービスの対象外であることを示す。サービス料金ボタン204をマウスなどでクリックすると、対応するユニットIDに関するサービス料金が画面に表示される。
【0138】
<サービス料の表示(端末装置200)>
図17は、架装メーカの端末装置200にサービス料が表示される例を示す図である。たとえば、架装メーカの担当者は、
図16に示される画面においてサービス料金ボタン204をクリックする。すると、
図17に示されるように、画面の下方にサービス料205とサービス料206とが表示される。
【0139】
サービス料205は、架装メーカが油圧ユニットメーカから請求されるサービス料である。データ一覧201によれば、A社は油圧ユニットメーカから油圧ユニット14を7つ購入している。このうち、サービスフラグがONに設定されている油圧ユニット14の数は6つである。
【0140】
したがって、サービス料205には、A社が油圧ユニットメーカのサービスを受けているユニットIDの数が6であることが示されている。さらに、サービス料205には、ID数に対してサービス料単価αを乗じることによって算出されるサービス料金が示されている。
【0141】
サービス料206は、架装メーカが運送会社に請求することのできるサービス料である。データ一覧201によれば、架装メーカA社は運送会社X社に対して5台の荷役車両10を納品している。データ一覧201によれば、架装メーカA社が運送会社X社に対して納品したいずれの荷役車両10も診断サービスの対象とされていることがわかる。
【0142】
データ一覧201によれば、架装メーカA社は運送会社Y社に対して2台の荷役車両10を納品している。データ一覧201によれば、架装メーカA社が運送会社Y社に対して納品した2台の荷役車両10のうち、1台が診断サービスの対象とされていることがわかる。
【0143】
したがって、サービス料206には、X社に対してサービスを提供しているユニットIDの数が5であり、Y社に対してサービスを提供しているユニットIDの数が1であることが示されている。さらに、サービス料206には、ID数に対してサービス料単価βを乗じることによって算出されるサービス料金がX社およびY社別に示されている。
【0144】
架装メーカの担当者は、サービス料206の表示を見ることによって、X社に請求することのできるサービス料と、Y社に請求することのできるサービス料とを特定できる。
【0145】
図18は、ユニットID、架装メーカID、および車両登録番号の登録、並びにサービスフラグの設定に関する処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに基づく処理は、管理装置100により実行される。
【0146】
はじめに、管理装置100は、ユニットIDが入力されたか否かを判定する(ステップS101)。ユニットIDの入力がない場合、管理装置100は、ステップS103に処理を進める。ユニットIDが入力された場合、管理装置100は入力された新たなユニットIDを登録する(ステップS102)。たとえば、管理装置100は入力されたユニットIDをメモリ102に格納することにより、ユニットIDをメモリ102に登録する。
【0147】
管理装置100は、キーボードからのユニットIDの入力を受け付けてもよい。管理装置100は、記録媒体に記録された複数のID、またはネットワークを介して受信した複数のIDを一括して登録してもよい。
【0148】
次に、管理装置100は、ユニットIDに紐付ける架装メーカIDが入力されたか否かを判定する(ステップS103)。架装メーカIDの入力がない場合、管理装置100は、ステップS105に処理を進める。ユニットIDに紐付ける架装メーカIDが入力された場合、管理装置100は入力された架装メーカIDを、対応するユニットIDに紐付けてメモリ102に登録する(ステップS104)。
【0149】
次に、管理装置100は、ユニットIDに紐付ける車種IDが入力されたか否かを判定する(ステップS105)。車種IDの入力がない場合、管理装置100は、ステップS107に処理を進める。ユニットIDに紐付ける車種IDが入力された場合、管理装置100は入力された車種IDを、対応するユニットIDに紐付けてメモリ102に登録する(ステップS106)。
【0150】
次に、管理装置100は、ユニットIDに紐付ける車両登録番号が入力されたか否かを判定する(ステップS107)。車両登録番号の入力がない場合、管理装置100は、ステップS109に処理を進める。ユニットIDに紐付ける車両登録番号が入力された場合、管理装置100は入力された車両登録番号を、対応するユニットIDに紐付けてメモリ102に登録する(ステップS108)。
【0151】
次に、管理装置100は、ユニットIDに対してサービス要の入力があったか否かを判定する(ステップS109)。より具体的には、管理装置100は、ユニットIDを指定する入力と、そのユニットIDに対するサービスフラグのOFFをONにすることを指示する入力とを受け付けたか否かを判定する。たとえば、サービスフラグの初期設定はOFFである。ステップS109では、初期設定をONにする入力を受け付けたか否かが判定される。
【0152】
管理装置100は、このような入力がない場合、ステップS111に処理を進める。管理装置100は、このような入力があった場合、対応するユニットIDのサービスフラグをOFFからONに変更する(ステップS110)。
【0153】
次に、管理装置100は、サービスの要否を変更する入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS111)。より具体的には、管理装置100は、サービスフラグの設定を変更する入力があったか否かを判定する。この入力には設定の変更対象となるユニットIDが含まれる。
【0154】
管理装置100は、このような入力がない場合、本フローチャートに基づく処理を終える。管理装置100は、このような入力があった場合、対応するユニットIDのサービスフラグを入力の指定に応じて変更し(ステップS112)、処理を終える。
【0155】
以上、説明したフローチャートに基づく処理が管理装置100によって実行されることにより、管理装置100のメモリ102には、
図8に示される各種の情報がユニットID別に格納される。
【0156】
図19は、診断設定の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに基づく処理は、管理装置100および端末装置200により実行される。
【0157】
はじめに、端末装置200は、診断設定の要求を生成し、生成した診断設定の要求を管理装置100へ送信する(ステップS251)。診断設定の要求は、架装メーカの担当者が端末装置200を操作することによって生成される。診断設定の要求には、架装メーカIDおよびパスワードが含まれる。架装メーカの担当者は、
図10に示された設定シート211を用いて新規に診断設定をする場合と、既に作成済みの診断設定を修正する場合とがある。既に作成済みの診断設定を修正する場合、架装メーカの担当者は、診断設定の要求に、架装メーカIDおよびパスワードに加えて、車種IDを含める。
【0158】
管理装置100は、診断設定の要求を受信したか否かを判定する(ステップS201)。診断設定の要求を受信していない場合、管理装置100は、本フローチャートに基づく処理を終了する。診断設定の要求を受けた場合、管理装置100は、診断設定の要求に含まれるパスワードが正しいか否かを判定する(ステップS202)。管理装置100は架装メーカID別にパスワードを管理している。管理装置100は、パスワードが正しくない場合、本フローチャートに基づく処理を終える。
【0159】
管理装置100は、パスワードが正しい場合、新規に診断設定をすることが要求されているか否かを判定する(ステップS203)。管理装置100は、新規に診断設定をすることが要求されている場合、新規の診断設定データを生成する(ステップS204)。次に、管理装置100は、生成した診断設定データを端末装置200へ送信する(ステップS205)。これにより、端末装置200には、
図10に示される診断設定画面210が表示される。
【0160】
次に、端末装置200は、担当者が診断設定を入力する操作を受け付ける(ステップS252)。管理装置100は、端末装置200から設定完了情報を受信したか否かを判定する(ステップS206)。管理装置100は、設定完了情報を受信するまで、ステップS206の処理を継続する。やがて、端末装置200において診断設定を入力する操作が終わる。すると、担当者は、端末装置200において設定完了操作を行う。端末装置200は、設定完了操作を受け付けると、管理装置100へ設定完了情報を送信する(ステップS253)。管理装置100は、設定完了情報を受信すると、入力された診断設定をメモリ102に登録し、処理を終える(ステップS207)。これにより、新規の診断設定が作成される。
【0161】
管理装置100は、作成済みの診断設定を修正することが要求されている場合、ステップS203において、NOと判定する。この場合、管理装置100は、診断設定の要求に含まれる車種IDを用いて、修正対象の診断設定データをメモリ102から読出す(ステップS208)。次に、管理装置100は、読み出した診断設定データを端末装置200へ送信する(ステップS205)。
【0162】
端末装置200は、新規に診断設定を作成する場合と同様に、担当者が診断設定を入力する操作を受け付ける(ステップS252)。管理装置100は、端末装置200から設定完了情報を受信したか否かを判定する(ステップS206)。管理装置100は、設定完了情報を受信するまで、ステップS206の処理を継続する。やがて、端末装置200において診断設定を入力する操作(設定を更新する操作)が終わる。すると、担当者は、端末装置200において設定完了操作を行う。端末装置200は、設定完了操作を受け付けると、管理装置100へ設定完了情報を送信する(ステップS253)。管理装置100は、設定完了情報を受信すると、入力された診断設定をメモリ102に登録し、処理を終える(ステップS207)。これにより、診断設定が更新される。
【0163】
以上、説明したフローチャートによって、判定条件をプラットフォームに登録する登録部が構成される。登録部が機能することにより、架装メーカの担当者は、移動体(移動体に搭載されている部品など)の状態を診断するための判定条件を決定して、端末装置200を操作し、判定条件を設定することができる。あるいは、架装メーカの担当者は、移動体の状態を診断するための判定条件を決定して、プラットフォーム管理者である油圧ユニットメーカに電子メール等を理由して通知し、油圧ユニットメーカが端末装置を操作して、判定条件を設定しても良い。ここで、複数のセンサ40のうち、
図3に示される油圧ユニット14側に配置されたセンサ40については、油圧ユニットメーカの担当者が、判定条件を決定して、診断設定をすることができるように構成してもよい。油圧ユニットの判定条件は、架装メーカよりも油圧ユニットメーカの方がノウハウを保有しているからである。この場合、たとえば、油圧ユニットメーカの担当者が操作可能な端末装置を管理装置100に接続することが考えられる。油圧ユニットメーカの担当者は、端末装置を操作して、油圧ユニット14側に配置されたセンサ40に関する診断設定を行う。このような構成により、油圧機器に取り付けられたセンサの判定条件としてプラットフォーム管理者(油圧ユニットメーカの担当者)によって決定された判定条件を登録し、本体または油圧機器以外のコンポーネントに取り付けられたセンサの判定条件としてユーザ(架装メーカ担当者やコンポーネントメーカ担当者など)によって決定された判定条件を登録する登録部が構成される。なお、油圧ユニットメーカの担当者は、管理装置100を直接操作して、油圧ユニット14側に配置されたセンサ40の診断設定をしてもよい。
【0164】
図20は、センサ検出情報の収集および診断情報の出力に関する処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに基づく処理は、管理装置100により実行される。
【0165】
はじめに、管理装置100は、荷役車両10の通信装置80からセンサ検出情報およびユニットIDを受信する(ステップS301)。
【0166】
次に、管理装置100は、ユニットIDに対応するサービスフラグを確認する(ステップS302)。次に、管理装置100は、ステップS302における確認に基づいて、ユニットIDに対応する荷役車両10は診断サービスを提供する対象であるか否かを判定する(ステップS303)。
【0167】
管理装置100は、ユニットIDに対応する荷役車両10が診断サービスを提供する対象でない場合、処理を終える。その結果、そのユニットIDに対応するセンサ検出情報は管理装置100によって収集されない。
【0168】
管理装置100は、ユニットIDに対応する荷役車両10が診断サービスを提供する対象であるか否かにかかわらず、センサ検出情報をユニットID別に収集してもよい。この場合、管理装置100は、診断サービスを提供する対象でない荷役車両10の診断情報を架装メーカの端末装置200に提供しないように制限することが望ましい。
【0169】
管理装置100は、ユニットIDに対応する荷役車両10が診断サービスを提供する対象である場合、取得したセンサ検出情報をユニットID別に収集する(ステップS304)。次に、管理装置100は、ユニットIDに対応する車種IDをメモリ102から読出す(ステップS305)。次に、管理装置100は、車種IDに対応する診断設定をメモリ102から読み出す(ステップS306)。次に、管理装置100は、読み出した診断設定およびセンサ検出情報に基づいて、診断情報を生成する(ステップS307)。換言すると、管理装置100は、取得したセンサ検出情報を診断設定に基づいて判定し、診断設定に応じた診断情報を生成する。次に、管理装置100は、生成した診断情報をユニットID別にメモリ102に格納する(ステップS308)。
【0170】
次に、管理装置100は、生成した診断情報を出力する(ステップS309)。たとえば、管理装置100は、診断情報を表示装置150に出力する。管理装置100は、診断情報をネットワーク50経由で架装メーカの端末装置200に出力してもよい。管理装置100は、診断情報をネットワーク50経由で架装メーカの担当者の携帯端末などに出力してもよい。
【0171】
次に、管理装置100は、データの一覧を出力することを指示する入力があったか否かを判定する(ステップS310)。管理装置100の管理者は、データの一覧の出力を指示するコマンドをキーボードなどから入力する。この場合、管理装置100は、ステップS310においてYESと判断する。
【0172】
管理装置100は、データの一覧を出力することを指示する入力があった場合、ユニットIDのデータ一覧を出力する(ステップS311)。出力されたデータ一覧は、たとえば、表示装置150に対して
図14に示される態様で表示される。管理装置100は、データ一覧をプリンタに出力してもよい。
【0173】
次に、管理装置100は、サービスフラグONのデータを出力することを指示する入力があったか否かを判定する(ステップS312)。管理装置100の管理者は、サービスフラグONのデータの出力を指示するコマンドをキーボードなどから入力する。この場合、管理装置100は、ステップS312においてYESと判断する。
【0174】
管理装置100は、サービスフラグONのデータを出力することを指示する入力があった場合、サービスフラグONのユニットIDのデータを選択し、選択したデータを出力する(ステップS313)。出力されたデータは、たとえば、表示装置150に対して
図15に示される態様で表示される。管理装置100は、このようなデータをプリンタに出力してもよい。
【0175】
管理装置100は、ステップS313にてデータを出力した後、またはステップS310およびステップS312のいずれかにおいてにてNOと判断した後、本フローチャートに基づく処理を終える。
【0176】
図21は、診断情報およびサービス料の送信に関する処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに基づく処理は、管理装置100により実行される。
【0177】
はじめに、管理装置100は、架装メーカの端末装置200から一覧情報の要求を受信したか否かを判定する(ステップS401)。一覧情報の要求には、架装メーカIDおよびパスワードが含まれる。
【0178】
一覧情報の要求を受信していない場合、管理装置100は、本フローチャートに基づく処理を終了する。一覧情報の要求を受信した場合、管理装置100は、一覧情報の要求に含まれるパスワードが正しいか否かを判定する(ステップS402)。管理装置100は、パスワードが正しくない場合、本フローチャートに基づく処理を終える。
【0179】
管理装置100は、パスワードが正しい場合、要求のあった架装メーカに対応してメモリ102に格納している一覧情報を端末装置200に送信する(ステップS403)。これにより、端末装置200には、たとえば、
図16に示されるデータ一覧201が表示される。データ一覧には詳細ボタン203とサービス料金ボタン204とが含まれる。
【0180】
次に、管理装置100は、詳細ボタン203の操作情報を受信したか否かを判定する(ステップS404)。端末装置200に表示された詳細ボタン203がクリックされた場合、詳細ボタン203の操作情報が端末装置200から管理装置100に送信される。
【0181】
管理装置100は、詳細ボタン203の操作情報を受信していない場合、ステップS406に処理を進める。管理装置100は、詳細ボタン203の操作情報を受信した場合、操作された詳細ボタン203に対応するユニットIDの診断情報を端末装置200に送信する(ステップS405)。これにより、端末装置200には、たとえば、
図12に示される診断情報画面220が表示される。
【0182】
架装メーカの担当者は、端末装置200の画面を見ることにより、選択した荷役車両10の診断情報を確認することができる。架装メーカの担当者は、診断情報を参考にして、対象の荷役車両10のメンテナンスに向かうか否かを検討することができる。
【0183】
次に、管理装置100は、サービス料金ボタン204の操作情報を受信したか否かを判定する(ステップS406)。端末装置200に表示されたサービス料金ボタン204がクリックされた場合、サービス料金ボタン204の操作情報が端末装置200から管理装置100に送信される。
【0184】
管理装置100は、サービス料金ボタン204の操作情報を受信していない場合、本フローチャートに基づく処理を終える。管理装置100は、サービス料金ボタン204の操作情報を受信した場合、架装メーカが取引のある運送会社別にサービス料を算出する(ステップS407)。ここで算出されるサービス料は、架装メーカが運送会社に対して請求することのできるサービス料である。さらに、管理装置100は、架装メーカに対するサービス料を算出する(ステップS408)。ここで算出されるサービス料は、架装メーカが油圧ユニットメーカから請求されるサービス料である。
【0185】
次に、管理装置100は、ステップS407およびステップS408において算出したサービス料を端末装置200へ送信し(ステップS409)、本フローチャートに基づく処理を終える。これにより、端末装置200には、
図17に示したサービス料205とサービス料206とが表示される。
【0186】
架装メーカの担当者は、端末装置200の画面を見ることにより、架装メーカが油圧ユニットメーカから請求されるサービス料と、架装メーカが運送会社に対して請求することのできるサービス料とを特定することができる。
【0187】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、油圧ユニットメーカは、架装メーカおよび運送会社に対して、付加価値の高い診断サービスを提供することができる。ここで、油圧ユニットメーカが本実施の形態に係る総合的な診断サービスを提供することによるメリットをより詳細に説明する。
【0188】
油圧ユニットメーカは、油圧ユニット14に関する技術的な多くのノウハウを有する。そこで、油圧ユニットメーカは、油圧ユニット14の状態を診断するサービスを有償で架装メーカあるいは運送会社に提供することが考えられる。しかし、油圧ユニット14は、荷役車両10を構成する多くの装置のうちの1つでしかない。油圧ユニットメーカは、診断サービスの対象を、荷役車両10を構成する多数の装置にまで広げることで、より付加価値の高い診断サービスを架装メーカなどに提供することができる。
【0189】
ところが、油圧ユニットメーカは、荷役車両10を構成する全ての装置の状態を診断できる技術的なノウハウを必ずしも有している訳でない。荷役車両10の本体に関する技術的なノウハウの多くは、油圧ユニットメーカよりも架装メーカまたは油圧ユニットメーカ以外のコンポーネントメーカが有している場合が多い。したがって、架装メーカまたはコンポーネントメーカは、自社の荷役車両10の状態を診断するシステムを独自で開発することができれば、運送会社に対して付加価値の高い診断サービスを提供できるかもしれない。架装メーカまたはコンポーネントメーカは、荷役車両10の様々な装置の適切な箇所にセンサ40を取り付け、自社のノウハウを活かして、センサ40の検出情報の判定条件を工夫することにより、荷役車両10を構成する様々な装置の状態を適切に診断できるであろう。
【0190】
しかし、架装メーカまたはコンポーネントメーカの規模は様々である。診断サービスを開発できる技術力および開発資金を全ての架装メーカまたはコンポーネントメーカが備えている訳ではない。むしろ、中規模あるいは小規模の多くの架装メーカまたはコンポーネントメーカは、そのような技術力および開発資金を有していない可能性がある。したがって、架装メーカまたはコンポーネントメーカがセンサ40を取り付ける位置および判定条件に関するノウハウを有していたとしても、ノウハウを活かした診断システムを架装メーカが独自で開発することは難しい。
【0191】
そこで、本実施の形態では、油圧ユニットメーカが、架装メーカまたはコンポーネントメーカに対して自社のノウハウを活かして荷役車両10を診断できる診断プラットフォームを提供する。本実施の形態では、油圧ユニット14のユニットIDを、架装メーカまたはコンポーネントメーカ、運送メーカ、荷役車両10、および荷役車両10の車種と紐付けて管理することにより、診断サービスの提供に必要な情報を特定できる点に特徴を有する。
【0192】
本実施の形態において、油圧ユニットメーカは、架装メーカまたはコンポーネントメーカに対して、センサ40の検出情報を取得する通信装置80と、システムエンジニアを雇用することなく診断設定をすることができる診断プラットフォームとを提供する。
【0193】
本実施の形態によれば、架装メーカに対して、架装メーカがシステム開発を必要とすることなく、荷役車両10の状態を自動的に診断するために必要な設定環境を提供することができる。このため、架装メーカは、システム設計ノウハウがなくとも、自社のノウハウに基づいた診断設定をすることが可能となる。
【0194】
本実施の形態では、油圧ユニットメーカは、架装メーカに対して、通信装置80の料金が付加された油圧ユニット14の料金と、診断サービスのサービス料とを請求することができる。その結果、油圧ユニットメーカは、架装メーカに対して、通信装置80が搭載されていない油圧ユニットを納品する場合と比較して、収益を向上させることができる。なお、通信装置80と管理装置100との間の通信費用に関しては、診断サービスの料金に含ませてもよく、診断サービスの料金と別に、油圧ユニットメーカが架装メーカに請求してもよい。
【0195】
本実施の形態では、移動体の一例として、荷役車両10を挙げた。しかし、移動体は、荷役車両10に限られない。荷役車両10を除く一般車両を診断の対象としてもよい。この場合、一般車両に搭載される何らかのユニットに対して、ユニットIDが格納された通信装置80を搭載すればよい。あるいは、ユニットIDが格納された通信装置80のみを提供するようにしてもよい。
【0196】
本実施の形態によれば、運送会社に納品した荷役車両10が診断サービスの対象であるか否かを特定できる情報が架装メーカに提供される。このため、運送会社に納品した荷役車両10が診断サービスの対象であるか否かを架装メーカが判断する負担を軽減できる。
【0197】
さらに、本実施の形態によれば、サービスフラグを荷役車両10別に任意に設定することができる。このため、架装メーカは、運送会社に対して納品した全ての荷役車両10を診断サービスの対象とする必要がない。このため、架装メーカは、諸事情を考慮して、診断サービスの対象となる荷役車両10の数を抑えることができる。このため、架装メーカは、油圧ユニットメーカに支払うサービス料を適切な額に抑えることができる。
【0198】
また、本実施の形態によれば、架装メーカに対して、運送会社毎のサービス料金が提供されるため、架装メーカが運送会社毎にサービス料金を管理する負担を軽減できる。
【0199】
このように、本実施の形態によれば、荷役車両10の納品先に対して、質の高いサービスを提供できながらも、サービスの提供に関する情報を管理する負担を軽減できる。
【0200】
実施の形態2.
次に、実施の形態2を説明する。
図22は、実施の形態2に関わる診断システム2の構成を示す図である。
図23は、実施の形態2に関わる管理装置300と遠隔装置500との通信を示す図である。実施の形態2においては、実施の形態1の管理装置100に変えて、管理装置300が設けられる。管理装置300は、インターネットなどを介して遠隔装置500と通信する。
【0201】
実施の形態1においては、ユニットIDおよびユニットIDと紐付いた各種の情報が管理装置100のメモリ102に格納される。一方、実施の形態2においては、ユニットIDおよびユニットIDと紐付いた各種の情報が遠隔装置500に格納される。
【0202】
図23に示されるように、管理装置300は、プロセッサ301とメモリ302と通信インターフェイス303と表示インターフェイス304とを備える。管理装置300は、通信インターフェイス303によって遠隔装置500と通信する。管理装置300と遠隔装置500とは
図22に示されるネットワーク50を介して通信してもよく、他のネットワークを介して通信してもよい。管理装置300は、表示インターフェイス304によって表示装置150と接続される。表示装置150を含んで管理装置300を構成してもよい。
【0203】
遠隔装置500は、データを格納するためのメモリ502を備える。
【0204】
図23に示されるように、管理装置300は、遠隔装置500に対して各種の情報をメモリ502に格納することを指令する。各種の情報には、ユニットID、架装メーカID、車種ID、車両登録番号、運送会社名、およびサービスの要否を示す情報が含まれる。サービスの要否を示す情報は、サービスフラグである。
【0205】
より具体的には、管理装置300は、
図18のステップS102,ステップS104,ステップS106,ステップS108の登録処理に応じた情報の格納を遠隔装置500に指令する。さらに、管理装置300は、サービスフラグの設定に関わるステップS110,ステップS112の処理を遠隔装置500に指令する。これらの指令は、管理装置300の通信インターフェイス303から遠隔装置500に送信される。
【0206】
図22に示されるとおり、荷役車両10のセンサ40の検出情報は、ネットワーク50を介して、遠隔装置500に送信される。
【0207】
遠隔装置500は、管理装置300の指令に基づいて各種の情報をユニットID別にメモリ502に格納する。遠隔装置500は、荷役車両10のセンサ40の検出情報をユニットID別に収集する。遠隔装置500は、管理装置300の指令に基づいて、診断情報を生成する。
【0208】
管理装置300は、実施の形態1と同様に表示装置150に接続される。管理装置300は、管理者の指示入力に応じて、ユニットID別に格納された各種の情報の送信を遠隔装置500に要求する。管理装置300は、遠隔装置500から受信した各種の情報を表示装置150に表示する。これにより、管理装置300に接続された表示装置150には、
図13~
図15に示されるとおりの情報が表示される。管理装置300は、遠隔装置500から受信した各種の情報を架装メーカの端末装置200に送信する。これにより、端末装置200には、
図10、
図12、
図16、および
図17に示されるとおりの情報が表示される。
【0209】
このように、実施の形態2は、ユニットIDに関連する情報を遠隔装置500に格納する点で、実施の形態1と異なる。その他の点では、実施の形態2は実施の形態1と同様である。
【0210】
実施の形態2によれば、ユニットIDに関連する情報を格納するために必要な大容量のメモリを管理装置300に設ける必要がない。このため、管理装置300の低コスト化を図ることができる。なお、遠隔装置500を複数設けてもよい。管理装置300は、複数の遠隔装置500に対して情報を分散して格納してもよい。
【0211】
実施の形態3.
図24を用いて実施の形態3を説明する。
図24は、油圧ユニット14に設けた通信基板400において荷役車両10の状態を診断する例を示す図である。
図24に示されるように、油圧ユニット14には通信基板400が設けられる。通信基板400には、通信装置80と、制御装置の一例となるマイクロコンピュータ104とが搭載される。マイクロコンピュータ104は、管理装置100から受信した診断プログラムに基づいて荷役車両10の状態を診断する。
【0212】
マイクロコンピュータ104は、診断部97と、診断プログラムを格納するメモリ96とを備える。通信装置90は、第1実施の形態と同様の構成を備える。
【0213】
管理装置100は、荷役車両10の車種IDに対応する診断設定情報を記憶している。通信装置80は、ユニットIDを含むプログラム要求を管理装置100へ送信する。管理装置100は、ユニットIDに基づいて、通信装置80が搭載された荷役車両10の車種IDを特定する。管理装置100は、通信装置80へ車種IDに対応する診断設定情報を含む診断プログラムを送信する。
【0214】
通信装置80は、受信した診断プログラムをマイクロコンピュータ104に送信する。マイクロコンピュータ104は、受信した診断プログラムをメモリ96に格納する。通信装置80には、センサ40が接続される。センサ40は、
図3に示される構成と同様に荷役車両10の本体20および架装体30に取り付けられる。
図24では、本体20および架装体30の図示を省略している。
【0215】
通信装置80は、第1チャネル群81、第2チャネル群82、および第3チャネル群83からセンサ40の検出情報を受信する。通信装置80は、受信したセンサ40の検出情報をマイクロコンピュータ104へ送信する。マイクロコンピュータ104に含まれる診断部97は、受信したセンサ40の検出情報およびメモリ96に格納された診断プログラムに基づいて荷役車両10の状態を診断する。診断部97は、診断の結果を示す診断情報を生成する。診断部97は、生成した診断情報を通信装置80へ送信する。通信装置80は、診断情報およびユニットIDを管理装置100へ送信する。管理装置100は、受信した診断情報をユニットIDに対応する領域へ格納する。管理装置100は、診断結果通知システムを利用して、診断情報を対応する架装メーカの端末装置200へ送信する。
【0216】
図24に示されるように、荷役車両10には診断情報を表示するための表示装置15を搭載してもよい。この場合、マイクロコンピュータ104は、診断情報を表示装置15へ送信する。たとえば、荷役車両10のドライバーは、表示装置15を見ることによって、荷役車両10の状態を早期に把握することができる。
【0217】
実施の形態4.
図25を用いて実施の形態4を説明する。
図25は、通信装置90において荷役車両10の状態を診断する例を示す図である。実施の形態4では、実施の形態3として説明したメモリ96および診断部97が通信装置90に設けられている。すなわち、通信装置90のマイクロコンピュータ94は、実施の形態3として説明した診断部97の機能を備える。
【0218】
通信装置90は、ユニットIDを含むプログラム要求を管理装置100へ送信する。管理装置100は、ユニットIDに基づいて、通信装置90が搭載された荷役車両10の車種IDを特定する。管理装置100は、通信装置90へ車種IDに対応する診断設定情報を含む診断プログラムを送信する。
【0219】
通信装置90のマイクロコンピュータ94は、受信した診断プログラムをメモリ96に格納する。第1チャネル群81、第2チャネル群82、および第3チャネル群83には、センサ40が接続される。センサ40は、
図3に示される構成と同様に荷役車両10の本体20および架装体30に取り付けられる。
図25では、本体20および架装体30の図示を省略している。
【0220】
マイクロコンピュータ94は、第1チャネル群81、第2チャネル群82、および第3チャネル群83からセンサ40の検出情報を受信する。マイクロコンピュータ94に含まれる診断部97は、受信したセンサ40の検出情報およびメモリ96に格納された診断プログラムに基づいて荷役車両10の状態を診断する。診断部97は、診断の結果を示す診断情報を生成する。診断部97は、診断情報およびユニットIDを管理装置100へ送信する。管理装置100は、受信した診断情報をユニットIDに対応する領域へ格納する。管理装置100は、診断結果通知システムを利用して、診断情報を対応する架装メーカの端末装置200へ送信する。
【0221】
実施の形態4では、実施の形態3と同様に、診断情報を表示するための表示装置15を荷役車両10に搭載してもよい。この場合、診断部97は、診断情報を表示装置15へ送信する。
【0222】
実施の形態5.
図26および
図27を用いて実施の形態5を説明する。
図26は、実施の形態5に関わる診断システム3の構成を示す図である。
図27は、実施の形態5に用いられる通信装置95の構成を示すブロック図である。
【0223】
実施の形態5に用いられる通信装置95は、ユニットIDに代えて通信装置IDを格納する。
図27に示されるように、通信装置95のマイクロコンピュータ84には、通信装置IDが格納されている。通信モジュール85は、センサ40のセンサ信号を、通信モジュール85を介して通信装置IDと共に管理装置100へ送信する。なお、通信装置IDに加えてユニットIDをマイクロコンピュータ84に格納してもよい。
【0224】
実施の形態5に関わる診断システム3は、ユニットIDに代えて、通信装置IDを用いて、実施の形態1~4として説明した種々の機能を実現する。たとえば、
図26には、架装メーカが油圧ユニットメーカに対して通知する各種の情報に、ユニットIDに代えて通信装置IDが含まれることが示されている(ステップS9)。
【0225】
実施の形態5において、管理装置100は、架装メーカID、車種ID、車両登録番号、および運送会社名と対応付けて通信装置IDを記憶する。管理装置100は、センサ検出情報をセンサ40が取り付けられた荷役車両10の通信装置ID別に収集する。管理装置100は、センサ検出情報および診断設定情報に基づいて、荷役車両10の診断情報を通信装置ID別に算出する。実施の形態5においては、実施の形態1~4を説明した際のユニットIDの機能が通信装置IDによって置き換えられる。たとえば、
図18に示されるフローチャートでは、ユニットIDと紐付けて各種の情報を登録しているが、実施の形態5では、通信装置IDと紐付けて各種の情報が登録される。通信装置IDは、実施の形態5において、第1識別情報の一例に該当する。
【0226】
[態様]
上記した実施の形態およびその変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0227】
管理装置100のプロセッサ101は、通信装置に入力された複数のセンサの検出情報に基づいて移動体の状態を診断する診断部の一例である。油圧ユニットメーカは、プラットフォーム管理者の一例である。架装メーカまたは油圧ユニットメーカ以外のコンポーネントメーカは、プラットフォーム管理者とは異なる、車両10または車両10のコンポーネントの製造者であるユーザの一例である。S407~S408により、料金算出部の一例が示される。
図19に示されるフローチャートは、判定条件をプラットフォームに登録する登録部の一例である。
【0228】
(第1項)一態様に係る診断システムは、移動体の状態を診断する診断システムであって、移動体に搭載され、移動体に設けられた複数のセンサと通信する通信装置と、通信装置に入力された複数のセンサの検出情報に基づいて移動体の状態を診断する診断部と、プラットフォーム管理者によって管理され、移動体の状態を診断するための設定を受け付けるプラットフォームが構築されたメモリと、複数のセンサの検出情報に基づいて移動体の状態を診断するための判定条件であって、プラットフォーム管理者とは異なる、移動体または移動体のコンポーネントの製造者であるユーザによって決定された判定条件を、プラットフォームに登録する登録部と、を備え、診断部は、プラットフォームに登録された判定条件に基づいた診断情報を出力する。
【0229】
第1項に記載の管理装置によれば、荷役車両などの移動体を利用者に提供する者に対して、システム開発を必要とすることなく、移動体の状態を診断可能な環境を提供することができる。
【0230】
(第2項)第1項に記載の診断システムにおいて、ユーザによって管理される端末装置をさらに備え、登録部は、プラットフォームに端末装置がアクセスした場合、端末装置のユーザの操作に応じて、判定条件をプラットフォームに登録する。
【0231】
第2項に記載の診断システムによれば、端末装置のユーザの要望に応じた判定条件を登録することができる。
【0232】
(第3項)第1項または第2項に記載の診断システムにおいて、診断部と登録部とメモリとを含む管理装置を備え、通信装置は、ネットワークを介して管理装置と通信する。
【0233】
第3項に記載の診断システムによれば、荷役車両などの移動体を利用者に提供する者に対して、システム開発を必要とすることなく、移動体の状態を自動的に診断するために必要な設定環境を提供することができる。
【0234】
(第4項)第1項に記載の診断システムにおいて、移動体に搭載される通信基板と、メモリを含む管理装置とをさらに備え、通信基板には、通信装置と診断部が搭載され、診断部は、ネットワークを介して管理装置と通信し、管理装置は、プラットフォームに登録された判定条件を診断部へ送信し、診断部は、管理装置から受信した判定条件に基づいた診断情報を出力する。
【0235】
第4項に記載の診断システムによれば、移動体自身において移動体の状態を診断することができる。
【0236】
(第5項)第1項~第3項のいずれか1項に記載の診断システムにおいて、通信装置には、通信装置を識別するための第1識別情報が格納されており、通信装置は、複数のセンサの検出情報と第1識別情報とを診断部へ出力する。
【0237】
第5項に記載の診断システムによれば、診断部は、複数のセンサの検出情報が出力された車両を第1識別情報によって特定することができる。
【0238】
(第6項)第1項~第5項のいずれか1項に記載の診断システムにおいて、移動体は、車両本体と油圧機器と油圧機器以外のコンポーネントとを含む車両により構成され、複数のセンサは、油圧機器に取り付けられたセンサと、本体または油圧機器以外のコンポーネントに取り付けられたセンサとを含み、プラットフォーム管理者が油圧機器の製造者であり、登録部は、油圧機器に取り付けられたセンサの判定条件としてプラットフォーム管理者によって決定された判定条件を登録し、車両本体または油圧機器以外のコンポーネントに取り付けられたセンサの判定条件としてユーザによって決定された判定条件を登録する。
【0239】
第6項に記載の診断システムによれば、プラットフォーム管理者によって決定された判定条件とユーザによって決定された判定条件とを登録内容に反映させることができる。
【0240】
(第7項)第1項~第6項のいずれか1項に記載の診断システムにおいて、プラットフォームは、診断対象毎に判定条件と診断名とを入力可能に構成されており、診断部は、診断対象に設定された判定条件を満たすときに、診断対象に設定された診断名を出力する。
【0241】
第7項に記載の診断システムによれば、診断内容を特定することができる。
【0242】
(第8項)第7項に記載の診断システムにおいて、プラットフォームは、診断対象毎に複数のカテゴリのいずれかを選択可能に構成されており、複数のカテゴリは、第1カテゴリと第2カテゴリとを含み、第1カテゴリは、複数のセンサのうち、判定条件の設定に用いるセンサの検出情報を第1周期で取得する場合に選択されるカテゴリであり、第2カテゴリは、複数のセンサのうち、判定条件の設定に用いるセンサの検出情報を第1周期よりも長い第2周期で取得する場合に選択されるカテゴリである。
【0243】
第8項に記載の診断システムによれば、診断対象に応じて、センサ情報の適切な周期を選択することができる。
【0244】
(第9項)第7項または第8項に記載の診断システムにおいて、通信装置は、複数のセンサの電気信号をそれぞれ入力する複数のチャネルを備え、複数のチャネルは、第1チャネルおよび第2チャネルを含み、第1チャネルと第2チャネルとで、入力電圧範囲および出力分解能のうちの少なくとも1つが異なり、プラットフォームは、診断対象毎に判定条件を入力するときに、複数のセンサのうち判定条件に関わるセンサが第1チャネルおよび第2チャネルのいずれに対応するセンサであるかを指定する操作を受け付けるように構成される。
【0245】
第9項に記載の診断システムによれば、診断対象に応じて、適切なチャネルを選択することができる。
【0246】
(第10項)第1項~第9項のいずれか1項に記載の診断システムにおいて、複数のセンサは、第1センサと第2センサとを含み、プラットフォームは、第1閾値、第2閾値、および第3閾値を入力する操作を受け付けるように構成され、第1閾値は、第1センサの検出値が第1条件を満たすことを判定するための値であり、第2閾値は、第2センサの検出値が第2条件を満たすことを判定するための値であり、第3閾値は、第1条件の継続時間または第1条件の成立回数が、判定条件を成立させる第3条件を満たすことを判定するための値である。
【0247】
第10項に記載の診断システムによれば、診断対象に応じて、適切な判定条件を設定することができる。
【0248】
(第11項)第5項に記載の診断システムにおいて、ユーザに対して提供するプラットフォームのサービスに関する料金を算出する料金算出部をさらに備える。
【0249】
第11項に記載の診断システムによれば、ユーザに対して提供するプラットフォームのサービスに関する料金を特定することができる。
【0250】
(第12項)第11項に記載の診断システムにおいて、プラットフォームは、ユーザを識別するための第2識別情報の入力を受け付けるように構成され、登録部は、第2識別情報が入力された場合、プラットフォームにおいて、ユーザに納品された通信装置に対応する第1識別情報別に第2識別情報を登録し、料金算出部は、第2識別情報およびサービス単価に基づいて、ユーザに対して提供するプラットフォームのサービスに関する料金を算出する。
【0251】
第12項に記載の診断システムによれば、プラットフォームのサービスに関する料金の支払いをユーザ毎に請求することができる。
【0252】
(第13項)他の態様に係る診断方法は、移動体の状態を診断する診断方法であって、移動体には、移動体に設けられた複数のセンサと通信する通信装置が搭載され、通信装置から複数のセンサの検出情報を取得するステップと、プラットフォーム管理者によって管理され移動体の状態を診断するための設定を受け付けるプラットフォームにアクセスするステップと、複数のセンサの検出情報に基づいて移動体の状態を診断するための判定条件であって、プラットフォーム管理者とは異なる、移動体または移動体のコンポーネントの製造者であるユーザによって決定された判定条件をプラットフォームに登録するステップと、プラットフォームに登録された判定条件に基づいた診断情報を出力するステップとを含む。
【0253】
第13項に記載の診断方法によれば、荷役車両などの移動体を利用者に提供する者に対して、システム開発を必要とすることなく、移動体の状態を自動的に診断するために必要な設定環境を提供することができる。
【0254】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0255】
1,2 診断システム、10 荷役車両、11 荷台、12 荷役装置、13 荷受台、14 油圧ユニット、15,150 表示装置、20 本体、30 架装体、40 センサ、50 通信網、80,90,95 通信装置、81 第1チャネル群、82 第2チャネル群、83 第3チャネル群、84,94,104 マイクロコンピュータ、85 通信モジュール、96 メモリ、97 診断部、100,300 管理装置、101,301 プロセッサ、102,148,302,502 メモリ、111 取得部、112 算出部、113 送信部、114 出力部、115 格納部、141 液圧シリンダ、142 タンク、143 ポンプ、144 バルブ、145 モータ、146 圧力センサ、147 モータセンサ、151,152,201 データ一覧、153,203 詳細ボタン、154,204 サービス料金ボタン、155,205,206 サービス料、200 端末、210 診断設定画面、220 診断情報画面、251~253 車体ユニット、303 通信インターフェイス、304 表示インターフェイス、400 通信基板、500 遠隔装置。