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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092667
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】露光装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/447 20060101AFI20230627BHJP
   B41J 2/45 20060101ALI20230627BHJP
   H04N 1/191 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B41J2/447 101A
B41J2/45
H04N1/191
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207823
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】木田 学武
【テーマコード(参考)】
2C162
5C072
【Fターム(参考)】
2C162AE21
2C162AE28
2C162AE40
2C162AE47
2C162FA04
2C162FA17
2C162FA70
5C072AA03
5C072BA05
5C072DA02
5C072DA21
5C072FA05
5C072XA01
5C072XA04
(57)【要約】
【課題】露光装置においてLEDアレイを搭載した基板をホルダに固定する際に、シリコーン樹脂やUV硬化接着剤を用いたが、硬化するまで固定する治具が必要だったり、基板を改修できないなどの製造過程での問題があった。
【解決手段】LEDアレイ107が配置される載置面103aを有する基板103と、LEDアレイ107からの光を集光するロッドレンズアレイ104と、載置面103aと当接する上部平面102cを有し、基板103とロッドレンズアレイ104とを保持するホルダ102とを有し、上部平面102cと載置面103aとが互いに当接する領域に弱接着性シリコーン樹脂111を塗布する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が配置される載置面を有する基板と、
前記発光素子からの光を集光するレンズと、
前記載置面と当接する当接面を有し、前記基板と前記レンズとを保持するホルダと
を有し、
前記当接面と前記載置面とが互いに当接する領域にシリコーン樹脂を設けたことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記シリコーン樹脂は、前記当接面と前記載置面とを、材料破壊せずに剥離できる弱接着性シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記当接面は、前記基板の短手方向両端部の前記載置面と、前記基板の長手方向において所定の間隔をおいて当接するように配設されたことを特徴とする請求項1又は2記載の露光装置。
【請求項4】
前記当接面は、前記基板の短手方向において対向する位置に配置されたことを特徴とする請求項3記載の露光装置。
【請求項5】
前記当接面は、前記基板の長手方向において交互に千鳥状に配置されたことを特徴とする請求項3記載の露光装置。
【請求項6】
前記シリコーン樹脂は、前記当接面の全領域に設けられたことを特徴とする請求項4又は5記載の露光装置。
【請求項7】
前記基板は、前記載置面に施されたワイヤーボンディングにより前記発光素子と電気的に接続され、前記当接面は、保持される前記基板の前記ワイヤーボンディングと所定の距離以上離間する位置に配置されたことを特徴とする請求項1から6までの何れかに記載の露光装置。
【請求項8】
前記当接面は、前記基板の短手方向両端部の前記載置面と、前記基板の長手方向において略全域で当接するように配設されたことを特徴とする請求項1又は2記載の露光装置。
【請求項9】
前記基板は、前記載置面に施されたワイヤーボンディングにより前記発光素子と電気的に接続され、前記シリコーン樹脂は、保持される前記基板の前記ワイヤーボンディングと所定の距離以上離間する前記当接面上の位置に設けられたことを特徴とする請求項8記載の露光装置。
【請求項10】
前記当接面の表面粗さが、最大高さ30μm以下であることを特徴とする請求項1から9までの何れかに記載の露光装置。
【請求項11】
前記所定の距離が1mmであることを特徴とする請求項7又は9記載の露光装置。
【請求項12】
請求項1から11までの何れかの露光装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に像担持体を露光する露光装置の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の露光装置では、LEDアレイを実装した基板を、例えば、基板の反LED搭載面側に塗布されたシリコーン樹脂によりホルダに固定する構成するものがあった(例えば、特許文献1参照)。また別の例では、基板をホルダにUV硬化接着剤で強固に接着するものがあった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-183945号公報(第8頁、図7
【0004】
【特許文献2】特開2018-1569号公報(第9頁、図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の場合、シリコーン樹脂が硬化するまでの間、治具等により基板をホルダに保持し続ける必要があるため作業性が悪いという問題あり、後者の場合、工程内で不具合があった場合などに、基板を改修できない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による露光装置は、
発光素子が配置される載置面を有する基板と、前記発光素子からの光を集光するレンズと、前記載置面と当接する当接面を有し、前記基板と前記レンズとを保持するホルダとを有し、
前記当接面と前記載置面とが互いに当接する領域にシリコーン樹脂を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の露光装置によれば、基板の載置面とホルダの当接面が密着可能なため、シリコーン樹脂が硬化するまで治具等により基板をホルダに保持し続ける必要がなく、また基板とホルダを再分離することが可能なため、製造時の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による露光装置を備えた実施の形態1の画像形成装置を、正面からみた要部構成を概略的に示す要部構成図である。
図2】露光装置としてのLEDヘッドを斜め上方からみた要部斜視図である。
図3】LEDヘッドを斜め下方からみた要部斜視図である。
図4】、LEDヘッドの断面を示す斜視図で、(a)は、その長手方向(Y軸方向)の中央部で切断されたLEDヘッドの斜視図であり、(b)は、その断部の部分拡大図であり、(c)は、(b)の点線囲み部を更に拡大した部分拡大図である。
図5】基板当接凸部の説明に供する図で、基板及び絶縁フィルムを配置する前の断部近傍の要部斜視図である。
図6】基板当接凸部の説明に供する図で、基板及び絶縁フィルムを配置する前のホルダの部分平面図である。
図7】LEDヘッドの長手方向中央部における、基板当接凸部が形成された位置での断面図である。
図8】LEDヘッドの作製方法の説明に供する図である。
図9】変形例1の説明に供する図であり、(a)は、LEDアレイ及びLEDアレイと基板とを電気的に接続するワイヤーボンディングを実装した基板を、LEDアレイを配置した側を上にしてみた斜視図であり、(b)は変形例1のホルダの部分平面図である。
図10】変形例2の説明に供する図であり、変形例2のホルダの部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本発明による露光装置を備えた実施の形態1の画像形成装置を、正面からみた要部構成を概略的に示す要部構成図である。
【0010】
画像形成装置11は、例えば、電子写真カラープリンタとしての構成を備え、独立した4つの画像形成ユニット12K、12Y、12M、12C(特に区別する必要がない場合は単に画像形成ユニット12と称す場合がある)が、記録媒体としての記録用紙30の搬送方向(矢印A方向)に沿って上流側から順に配設されている。画像形成ユニット12Kはブラック(K)の画像を形成し、画像形成ユニット12Yはイエロー(Y)の画像を形成し、画像形成ユニット12Mはマゼンタ(M)の画像を形成し、画像形成ユニット12Cはシアン(C)の画像を形成する。なお、記録媒体として、記録用紙30の他に、OHP用紙、封筒、複写紙、特殊紙等を使用することができる。
【0011】
画像形成ユニット12Kには、感光体ドラム13K、感光体ドラム13Kの表面を均一に帯電する帯電ローラ14K、感光体ドラム13Kの表面に形成された静電潜像に、図示しない現像剤としてのトナーを付着させ、トナー像を形成する現像ローラ16K、現像ローラ16Kに圧接させたトナー供給ローラ18K、転写後の感光体ドラム13Kに付着する残留トナーを除去する残留トナー除去ブレード27Kとが配置されている。同様にして、画像形成ユニット12Yには、感光体ドラム13Y、帯電ローラ14Y、現像ローラ16Y、トナー供給ローラ18Y、及び残留トナー除去ブレード27Yが配置され、画像形成ユニット12Mには、感光体ドラム13M、帯電ローラ14M、現像ローラ16M、トナー供給ローラ18M、及び残留トナー除去ブレード27Mが配置され、画像形成ユニット12Cには、感光体ドラム13C、帯電ローラ14C、現像ローラ16C、トナー供給ローラ18C、及び残留トナー除去ブレード27Cが配置されている。
【0012】
各トナー供給ローラ18K、18Y、18M、18C(特に区別する必要がない場合は単にトナー供給ローラ18と称す場合がある)は、画像形成ユニット12本体に対して着脱可能に装着された、それぞれ対応するトナーカートリッジ20K、20Y、20M、20C(特に区別する必要がない場合は単にトナーカートリッジ20と称す場合がある)から供給された各色のトナーを対応する現像ローラ16K、16Y、16M、16C(特に区別する必要がない場合は単に現像ローラ16と称す場合がある)に供給するローラである。各現像ローラ16K、16Y、16M、16Cには、それぞれ対応する現像ブレード19K、19Y、19M、19C(特に区別する必要がない場合は単に現像ブレード19と称す場合がある)が圧接されている。現像ブレード19は、現像ローラ16上において、トナー供給ローラ18から供給されたトナーを薄層化するものである。尚、ここでは、トナーカートリッジ20は、画像形成ユニット12本体に対して着脱自在に装着されるものとしたが、一体的に形成されていてもよい。
【0013】
各画像形成ユニット12K、12Y、12M、12Cにおける、感光体ドラム13K、13Y、13M、13C(特に区別する必要がない場合は単に感光体ドラム13と称す場合がある)の上方には、それぞれ対応するLEDヘッド15K、15Y、15M、15C(特に区別する必要がない場合は単にLEDヘッド15と称す場合がある)が、感光体ドラム13K、13Y、13M、13Cと対向する位置に着脱自在に配設されている。各LEDヘッド15は、対応する色の画像データに従って、感光体ドラム13を露光し、静電潜像を形成する。尚、LEDヘッド15については後で詳しく説明する。
【0014】
4つの画像形成ユニット12の各感光体ドラム13の下方には、転写ユニット21が配設されている。転写ユニット21は、転写ローラ17K、17Y、17M、17C(特に区別する必要がない場合は単に転写ローラ17と称す場合がある)と、転写ベルト駆動ローラ21a及び転写ベルト従動ローラ21bによって、張架した状態で図1中の矢印A方向へ走行可能に配設された転写ベルト26を備えている。各転写ローラ17は、転写ベルト26を介してそれぞれ対応する感光体ドラム13に圧接して配置され、このニップ部において記録用紙30をトナーと逆の極性に帯電させ、対応する感光体ドラム13に形成された各色のトナー像を順次記録用紙30に重ねて転写する。
【0015】
画像形成装置11の下部には、転写ベルト26に用紙を供給するための給紙機構が配設されている。給紙機構は、ホッピングローラ22、レジストローラ対23、用紙収容カセット24、及びこの用紙収容カセット24内の用紙の色を測色する用紙色測色部25等を備えている。
【0016】
更に、転写ベルト26による記録用紙30の排出側には、定着器28が設けられている。定着器28は、加熱ローラ及びバックアップローラを有し、記録用紙30上に転写されたトナーを加圧、加熱することによって定着させる装置であり、この排出側には、用紙ガイド31に沿って配置された図示しない排出ローラ及び用紙スタッカ部29等が設けられている。
【0017】
尚、図1中のX、Y、Zの各軸は、記録用紙30が画像形成ユニット12K、12Y、12M、12Cを通過する際の搬送方向にX軸をとり、感光体ドラム13K、13Y、13M、13Cの回転軸方向にY軸をとり、これら両軸と直交する方向にZ軸をとっている。また、後述する他の図においてX、Y、Zの各軸が示される場合、これらの軸方向は、共通する方向を示すものとする。即ち、各図のXYZ軸は、各図の描写部分が、図1に示す画像形成装置11を構成する際の配置方向を示している。またここでは、Z軸が略鉛直方向となるように配置されるものとする。
【0018】
以上のように構成された画像形成装置11における印刷動作について説明する。先ず、用紙収容カセット24内の記録用紙30は、ホッピングローラ22によって繰り出され、レジストローラ対23へ送られて斜行が矯正され、続いてレジストローラ対23から転写ベルト26に送られ、この転写ベルト26の走行に伴って、画像形成ユニット12K、12Y、12M、12Cへと順次搬送される。
【0019】
一方、各画像形成ユニット12において、感光体ドラム13の表面は、帯電ローラ14(特に区別する必要がない場合は単に帯電ローラ14と称す場合がある)によって帯電された後、対応するLEDヘッド15によって露光され、この露光によって表面に静電潜像が形成される。静電潜像が形成された部分には、現像ローラ16上で薄層化されたトナーが静電的に付着されて対応する色のトナー像が形成される。各感光体ドラム13に形成されたトナー像は、対応する転写ローラ17によって記録用紙30に順次重ねて転写され、記録用紙30上にカラーのトナー像を形成する。転写後に、各感光体ドラム13上に残留したトナーは、残留トナー除去ブレード27によって除去される。
【0020】
カラーのトナー像が形成された記録用紙30は、定着器28に送られる。この定着器28において、カラーのトナー像が記録用紙30に定着され、カラー画像が形成される。カラー画像が形成された記録用紙30は、図示しない排出ローラによって用紙ガイド31に沿って搬送され、用紙スタッカ部29へ排出される。以上のような過程を経て、カラー画像が記録用紙30上に形成される。尚、転写ベルト26上に付着する残留トナーは、ベルトクリーニングブレード32によって掻き取られてベルトクリーナ容器33内に収容される。
【0021】
次にLEDヘッド15の構成について更に説明する。
【0022】
図2は、露光装置としてのLEDヘッド15を斜め上方からみた要部斜視図であり、図3は、同じくLEDヘッド15を斜め下方からみた要部斜視図である。図4は、LEDヘッド15の断面を示す斜視図で、同図(a)は、その長手方向(Y軸方向)の中央部で切断されたLEDヘッド15の斜視図であり、同図(b)は、その断部の部分拡大図であり、同図(c)は、同図(b)の点線囲み部を更に拡大した部分拡大図である。
【0023】
尚、図4に示すLEDヘッド15において、矢印B方向(Y軸のマイナス方向)からみて、LEDヘッド15の前後、左右、上下の方向を特定する場合がある。
【0024】
これらの図に示すように、LEDヘッド15は、主にホルダ102、基板103、ロッドレンズアレイ104、絶縁フィルム105から構成されている。ホルダ102は、液晶ポリマーの射出成形で作製され、上方(Z軸+方向)が開いて、断面コ字状の直方体の箱形状をし、下方底部の幅方向(X軸方向)の中央部には、長手方向(Y軸方向)に延在するスリット102aが形成されている。ホルダ102の左側壁部102L及び右側壁部102Rの内側には、基板当接凸部102bが形成されている。
【0025】
図5図6は、この基板当接凸部102bの説明に供する図で、図5は、基板103及び絶縁フィルム105を配置する前の断部近傍の要部斜視図であり、図6は、基板103及び絶縁フィルム105を配置する前のホルダ102の部分平面図である。
【0026】
これ等の各図に示すように、基板当接凸部102bは、スリット102aの両側に、長手方向において略等間隔に対向して複数配設されている。各基板当接凸部102bの当接面としての上部平面102cは、その表面粗さの最大高さが30um以下程度であることが望ましい。
【0027】
基板103は、長手方向に延在する略長方形状のFR-4等のプリント基板であり、その載置面103aに複数の発光素子を長手方向に配列したLEDアレイ107を備え、図示しない電子部品、コネクタ108等が実装されている。LEDアレイ107と基板103は、その載置面103aに施されたワイヤーボンディング109によって電気的に接続される。
【0028】
基板103は、ホルダ102の上方から挿入され、各基板当接凸部102bの上部平面102cにその載置面103aが当接して位置決めされる。載置面103aの、上部平面102cに当接する箇所の表面粗さは、最大高さが30um以下程度であることが望ましい。
【0029】
基板当接凸部102bの上部平面102cには、シリコーン樹脂としての弱接着性シリコーン樹脂111が塗布されており、弱接着性シリコーン樹脂111を押しつぶすように基板103が上部平面102cに当接している。弱接着性シリコーン樹脂111は、引張せん断接着強さが2.0MPa以下程度の接着強度であり、基板103を基板当接凸部102bの上部平面102cから剥離する際に、材料破壊を起こさない接着強度を持つ。
【0030】
弱接着性シリコーン樹脂111は、常温で硬化する特性を持つことが望ましく、例えば、信越化学工業株式会社のKE-3446-Wがある。また、弱接着性シリコーン樹脂111は、弱接着性、常温硬化の特性を持つ別の樹脂に置き換えてもよい。ここで、常温とは、例えば環境温度が15℃~35℃である。
【0031】
ホルダ102のスリット102aに嵌入したレンズとしてのロッドレンズアレイ104は、図示しない接着剤により、光が入射される上端面104aとLEDアレイ107の表面との距離が、ロッドレンズアレイ104の特性上最適となる位置でホルダ102に固着され、LEDアレイ107から放射される光を収束する収束レンズとして機能する。ホルダ102内への光及び異物の進入を防止するために、ホルダ102とロッドレンズアレイ104との隙間は、封止シリコーン樹脂106によって封止される。
【0032】
ホルダ102の前後方向(Y軸方向)の両端部には、図3に示すように、このLEDヘッド15を画像形成ユニット12に装着する際に、左右前後(X軸-Y軸)方向で位置決めするための貫通孔102dと、高さ(Z軸)方向で位置決めするためのカム機構102eが配設されている。またホルダ102は、他の材料、例えば樹脂等を用い、他の製法、例えば切削等によって作製しても良い。
【0033】
図7は、LEDヘッド15の長手方向中央部における、基板当接凸部102bが形成された位置での断面図である。同図に示すように、基板当接凸部102bの上部平面102cに基板103の載置面103aが当接すると、上部平面102cに塗布された弱接着性シリコーン樹脂111が内側にはみ出す。
【0034】
このはみ出した弱接着性シリコーン樹脂111が、基板103の載置面103aに施されたワイヤーボンディング109に干渉してしまうと、ホルダ102から基板103を剥離する際にワイヤーボンディング109が断線する可能性がある。このため、弱接着性シリコーン樹脂111を塗布する基板当接凸部102bの張り出し部からワイヤーボンディング109までの距離Lは、1mm以上あることが望ましい。
【0035】
絶縁フィルム105は、PET等の絶縁性のフィルムであり、基板103を静電気放電及び異物の侵入から保護する。このため封止シリコーン樹脂112は、基板103から所定距離上方の離間した位置で絶縁フィルム105を保持し、且つ絶縁フィルム105とホルダ102との隙間を封止するように塗布される。
【0036】
次に、LEDヘッド15の作製方法を説明し、基板103が、ホルダ102内でどのように保持されているのかを説明する。図8は、LEDヘッド15の作製方法の説明に供する図である。
【0037】
先ず、ロッドレンズアレイ104をホルダ102に、前記したようにLEDアレイ107からの距離が最適になる位置で図示しない接着剤で固定し、ホルダとロッドレンズアレイの隙間を封止シリコーン樹脂106で封止する。次に図8に示すように、基板当接凸部102bの上部平面102cに、ディスペンサーノズル150を使用して弱接着性シリコーン樹脂111を塗布し、基板103をホルダ102内に挿入し、弱接着性シリコーン樹脂111を押しつぶすようにその載置面103aを基板当接凸部102bの上部平面102cに当接させる。
【0038】
弱接着性シリコーン樹脂111は硬化前の液状であり、基板当接凸部102bの上部平面102c及び基板103の載置面103aの、この上部平面102cに対向する部分の表面粗さが最大高さ30um以下程度であって平坦度が高いため、ホルダ102と基板103の面の微細な凹凸にシリコーン樹脂が充填される。
【0039】
ホルダ102と基板103とがシリコーン樹脂を介して密着することで分子間力が働き、シリコーン樹脂が硬化する前でも基板103とホルダ102が当接した状態で弱く固定される。この状態で、絶縁フィルム105を基板103の上方に配置し、周囲を封止シリコーン樹脂112で封止し、硬化するまで放置する。
【0040】
以上のように、本実施の形態のLEDヘッド15では、その製造過程で、ホルダ102と基板103とが、弱接着性シリコーン樹脂111を介して密着されるために分子間力により、弱接着性シリコーン樹脂111が硬化する前でも当接した状態で弱く固定されため、弱接着性シリコーン樹脂111が硬化するまでそのまま放置することが可能となる。
【0041】
(変形例1)
図9は、変形例1の説明に供する図であり、同図(a)は、LEDアレイ107及びLEDアレイ107と基板103とを電気的に接続するワイヤーボンディング109を実装した基板103を、LEDアレイ107を配置した載置面103aを上にしてみた斜視図であり、同図(b)は変形例1のホルダ202の部分平面図である。
【0042】
図9(a)に示すように、ここでの基板103では、ワイヤーボンディング109が、長手方向(Y軸方向)に延在するLEDアレイ107の両側に、複数本ずつ交互に配設されているものとする。このような場合、基板103が同図(b)に示すホルダ202に載置される際に、基板103の、ホルダ202の基板当接凸部102bの上部平面102cに当接する当接部とその周囲も含めた当接領域155(同図中に点線で囲んだ領域)が、ワイヤーボンディング109が配設された部分から離間していることが望ましい。
【0043】
このため、変形例1のホルダ202では、基板103が載置された際に、基板当接凸部102bの上部平面102cが、基板103の各当接領域155に対向するように、同図(b)に示すように左側壁部102L及び右側壁部102Rの各内部には、長手方向において、交互に千鳥状に基板当接凸部102bが形成されている。
【0044】
例えば、当接領域155の縁まで、基板当接凸部102bの上部平面102cが及ぶと想定した場合、当接領域155とワイヤーボンディング109の最短距離が1mm以上となるようにすることが望ましい。
【0045】
以上のように形成されるため、変形例1のLEDヘッド15では、当接領域155が、ワイヤーボンディング109が配設された部分から離間しているため、基板当接凸部102bの上部平面102cに基板103が当接し、上部平面102cに塗布された弱接着性シリコーン樹脂111(図8参照)が内側にはみ出し際に、基板103に配設されたワイヤーボンディング109に干渉するのを避けることが出来る。
【0046】
(変形例2)
図10は、変形例2の説明に供する図であり、変形例2のホルダ252の部分平面図である。
【0047】
変形例2のホルダ252では、左側壁部102L及び右側壁部102Rの内側に、例えば変形例1での図9(b)に示すような基板当接凸部102bの代わりに、長手方向(Y軸方向)に延在して、その上部平面252cに基板103を載置する段部252bが形成されている。
【0048】
従って、このホルダ252に、例えば図9(a)に示す基板103を装着する場合には、当接面としての上部平面252cの、ワイヤーボンディング109が配設された部分から離間している当接領域155に対向する塗布領域156内に弱接着性シリコーン樹脂111(図8参照)を塗布する。
【0049】
この場合、当接領域155の縁まで、塗布された弱接着性シリコーン樹脂111が及ぶと想定した場合、当接領域155とワイヤーボンディング109の最短距離が1mm以上となるようにすることが望ましい。
【0050】
以上のように形成されるため、変形例2のLEDヘッド15では、弱接着性シリコーン樹脂111が塗布される部分が、ワイヤーボンディング109が配設された部分から離間しているため、段部252bの上部平面252cに基板103が当接し、上部平面252cに塗布された弱接着性シリコーン樹脂111が内側にはみ出し際に、基板103に配設されたワイヤーボンディング109に干渉するのを避けることが出来る。
【0051】
以上のように、本実施の形態のLEDヘッド15によれば、その製造過程で、ホルダ102と基板103とが、弱接着性シリコーン樹脂111を介して密着されるために分子間力により、弱接着性シリコーン樹脂111が硬化する前でも当接した状態で弱く固定されため、弱接着性シリコーン樹脂111が硬化するまでそのまま放置することが可能となる。従って、付勢治具がなくても基板をホルダ当接部に固定でき、作業性が改善する。
【0052】
また、弱接着性シリコーン樹脂は材料破壊を起こさない接着強さであるので、基板103とホルダ102、202,252を分離でき、UV硬化接着剤等で強固に接着する場合と比較して改修性が改善する。更に、弱接着性シリコーン樹脂111がワイヤーボンディング109に対して干渉することがないため、基板103をホルダ102、202,252から剥離するなどの改修時等に基板103の破損を防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本実施の形態では画像形成装置としてカラープリンタを用いて説明したが、単色プリンタ、複写機、FAX、更にこれらを複合させた複合機等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
11 画像形成装置、 12 画像形成ユニット、 13 感光体ドラム、 14 帯電ローラ、 15 LEDヘッド、 16 現像ローラ、 17 転写ローラ、 18 トナー供給ローラ、 19 現像ブレード、 20 トナーカートリッジ、 21a 転写ベルト駆動ローラ、 21b 転写ベルト従動ローラ、 22 ホッピングローラ、 23 レジストローラ対、 24 用紙収容カセット、 25 用紙色測色部、 26 転写ベルト、 27 残留トナー除去ブレード、 28 定着器、 29 用紙スタッカ部、 30 記録用紙、 31 用紙ガイド、 32 ベルトクリーニングブレード、 33 ベルトクリーナ容器、 102 ホルダ、 102L 左側壁部、 102R 右側壁部、 102a スリット、 102b 基板当接凸部、 102c 上部平面、 102d 貫通孔、 102e カム機構、 103 基板、 103a 載置面、 104 ロッドレンズアレイ、 105 絶縁フィルム、 106 封止シリコーン樹脂、 107 LEDアレイ、 108 コネクタ、 109 ワイヤーボンディング、 111 弱接着性シリコーン樹脂、 112 封止シリコーン樹脂、 150 ディスペンサーノズル、 155 当接領域、 156 塗布領域、 202 ホルダ、 252 ホルダ、 252b 段部、 252c 上部平面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10