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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092688
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】経路案内装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20230627BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207852
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石塚 央
(72)【発明者】
【氏名】織田 勇
(72)【発明者】
【氏名】工藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】柏谷 公彦
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC15
2F129CC16
2F129EE02
2F129EE22
2F129EE43
2F129EE52
2F129EE73
2F129HH02
2F129HH20
2F129HH21
2F129HH25
5H181AA01
5H181BB15
5H181FF05
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF24
5H181FF25
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】 経路案内の開始後にも、予め定められた他の複数の経路との混同を回避する案内を行う技術を提供することにある。
【解決手段】
予め定められた複数の経路から選択された一つの経路である選択経路の情報を用いて移動体の進行方向を案内する経路案内部と、選択経路と、複数の経路のうち選択経路を除く経路である非選択経路の夫々と、の間で共通する区間ごとに、該区間の終点となる地点を経路変化点として特定する経路変化点特定部と、移動体の位置を取得する位置取得部と、移動体の位置が経路変化点に接近すると、当該経路変化点における選択経路の進行方向を報知する報知部と、を備える経路案内装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた複数の経路から選択された一つの前記経路である選択経路の情報を用いて移動体の進行方向を案内する経路案内部と、
前記選択経路と、複数の前記経路のうち前記選択経路を除く前記経路である非選択経路の夫々と、の間で共通する区間ごとに、該区間の終点となる地点を経路変化点として特定する経路変化点特定部と、
前記移動体の位置を取得する位置取得部と、
前記移動体の位置が前記経路変化点に接近すると、当該経路変化点における前記選択経路の進行方向を報知する報知部と、
を備える経路案内装置。
【請求項2】
請求項1に記載の経路案内装置であって、
前記報知部は、前記選択経路を識別する情報を併せて報知する、
ことを特徴とする経路案内装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の経路案内装置であって、
予め定められた複数の前記経路の夫々には、所定の識別子が予め付与されており、
前記報知部は、前記選択経路に係る前記識別子を併せて報知する、
ことを特徴とする経路案内装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の経路案内装置であって、
前記報知部は、前記選択経路の目的地あるいは経由地のいずれかを識別する情報を併せて報知する、
ことを特徴とする経路案内装置。
【請求項5】
請求項4に記載の経路案内装置であって、
予め定められた複数の前記経路の夫々には、他の前記経路との差異を識別できる目的地あるいは経由地を識別する所定の地名が予め付与されており、
前記報知部は、前記選択経路の目的地あるいは経由地のいずれかを識別する情報として、前記選択経路の前記地名を報知する、
ことを特徴とする経路案内装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の経路案内装置であって、
前記報知部は、前記選択経路の目的地あるいは経由地のいずれかを識別する情報とともに、共通する前記区間を備える前記非選択経路の目的地あるいは経由地のいずれかを識別する情報を併せて報知する、
ことを特徴とする経路案内装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の経路案内装置であって、
予め定められた複数の前記経路の夫々には、他の前記経路との差異を識別できる目的地あるいは経由地を識別する所定の地名が予め付与されており、
前記報知部は、前記選択経路の前記地名とともに、共通する前記区間を備える前記非選択経路の前記地名を併せて報知する、
ことを特徴とする経路案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路案内装置の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
「出発地点から目的地までの複数の誘導経路を探索する経路探索手段と、道路地図データ上に探索された複数の誘導経路を表示する誘導経路表示手段と、表示された複数の誘導経路の中から共通する誘導経路以外の誘導経路を映し出す差分領域を抽出する抽出手段と、抽出された差分領域を拡大して表示する拡大表示手段と、を有するナビゲーション装置」に係る技術が、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-281341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような技術は、誘導経路の探索時に、複数の候補がある場合に差分を表示することができるが、経路案内の開始後には通常の経路案内を行うものである。
【0005】
本発明の目的は、経路案内の開始後にも、予め定められた他の複数の経路との混同を回避する案内を行う技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。上記課題を解決すべく、本発明に係る経路案内装置は、予め定められた複数の経路から選択された一つの経路である選択経路の情報を用いて移動体の進行方向を案内する経路案内部と、前記選択経路と、前記複数の経路のうち前記選択経路を除く経路である非選択経路の夫々と、の間で共通する区間ごとに、該区間の終点となる地点を経路変化点として特定する経路変化点特定部と、前記移動体の位置を取得する位置取得部と、前記移動体の位置が前記経路変化点に接近すると、当該経路変化点における前記選択経路の進行方向を報知する報知部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、経路案内の開始後にも、予め定められた他の複数の経路との混同を回避する案内を行うことが可能となる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】経路案内装置の構成例を示す図である。
図2】経路情報のデータ構造の例を示す図である。
図3】案内パターン情報のデータ構造の例を示す図である。
図4】追加報知情報のデータ構造の例を示す図である。
図5】情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図6】経路変化点特定処理の処理フローの例を示す図である。
図7】追加案内生成処理の処理フローの例を示す図である。
図8】経路変化点案内処理の処理フローの例を示す図である。
図9】報知情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る経路案内装置について、図面を参照して説明する。なお、図1図9は、本発明に係る経路案内装置の全ての構成を示すものではなく、理解容易のため、適宜、構成の一部を省略して描いている。以下の実施形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0010】
また、以下の実施形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0011】
さらに、以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0012】
同様に、以下の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0013】
以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0014】
また、以下の説明では、「ストレージ装置」は、記憶デバイスの一例であるHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)等の永続記憶デバイスでよい。
【0015】
また、以下の説明では、「記憶部」は、メモリとストレージ装置のうちメモリかまたはメモリとストレージ装置の両方であってもよい。
【0016】
また、以下の説明では、「処理部」または「プロセッサー」は、一つ以上のプロセッサーデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサーデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサーデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサーデバイスでもよい。
【0017】
また、以下の説明では、「yyy部」または「yyy手段」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサーによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサーによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサーの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサーあるいはそのプロセッサーを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0018】
また、以下の説明では、「プログラム」や「処理部」を主語として処理を説明する場合には、プログラムや処理部を主語として説明された処理は、プロセッサーあるいはそのプロセッサーを有する装置が行う処理としてもよい。また、二つ以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0019】
また、以下の説明では、「経路案内装置」は、一つ以上の物理的な計算機(例えば、カーナビゲーション装置等の車載器、車両制御装置、サーバー装置、データセンター)で構成されたシステムでもよいし、物理的な計算リソース群(例えば、クラウド基盤)上に実現されたシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)でもよい。経路案内装置が音声情報を「出力する」ことは、経路案内装置が有するいずれかの発音するデバイス(スピーカー等)に音声情報を発音させることであってもよい。
【0020】
また、「経路作成装置」についても、一つ以上の物理的な計算機(例えば、カーナビゲーション装置等の車載器、車両制御装置、サーバー装置、パーソナルコンピュータ装置)で構成されたシステムでもよいし、物理的な計算リソース群(例えば、クラウド基盤)上に実現されたシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)でもよい。
【0021】
[実施形態1]本実施形態では、車両に搭載された経路案内装置100における実施例を示す。しかし、経路案内装置100は、車両に限られず、ボート、フェリー等を含む移動体であれば適用できることはいうまでもない。また、経路案内装置100は、車両制御装置等の情報処理装置や、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、あるいは各種IT(Information Technology)機器、さらにはゲーム機等においても適用することもできる。
【0022】
図1は、経路案内装置の構成例を示す図である。経路案内装置100は、少なくとも、処理部110と、記憶部120と、を有する。その他、経路案内装置100は、入力部131と、表示出力部132と、音声出力部133と、外部メディア管理部134と、を有する。処理部110には、入力制御部111と、表示部112と、音声制御部113と、経路案内部114と、経路変化点特定部115と、位置取得部116と、報知部117と、が含まれる。記憶部120には、経路情報121と、案内パターン情報122と、追加報知情報123と、が格納されている。
【0023】
図2は、経路情報のデータ構造の例を示す図である。経路情報121では、経路ID121aごとに、発ノード121bと、通行リンク121cと、着ノード121dと、案内地点121eと、案内パターン121fと、が対応付けられて格納される。経路ID121aには、経路を一意に識別する識別子が格納される。なお、本実施形態における経路とは、予め定められ、複数存在する道順をいう。なお、道順とは、所定の出発地点から到着地点までを連続して結ぶ走行道路・航路を特定する情報である。例えば、路線バスにおいては、予め定められた路線ごとに、出発地点から到着地点までを結ぶ固定的な走行道路の道順が含まれており、各路線が経路といえる。当然に、路線バスに限られず、シャトルバス、高速バス、水上バス、フェリー等についても同様の特性を備えるものであれば経路が存在するといえる。これらのいずれの経路も、通行規制がなされない限りにおいては、渋滞等の変動要素に左右されずに固定的な道順で走行・航行する。
【0024】
そして、経路IDごとに、地図上の所定の地点をノードとして、ノード間の道路等をリンクとして模式化した道順の情報を備える。道順は、細分化すると、一方向への移動を示す場合に出発する発ノードと、通行する通行リンクと、到着する着ノードを1セットとしてこれを連続的に繋げる(着ノードを次の移動の発ノードとする)ことで示すことができる。このような道順は、最小のセットの連続として発ノード121b、通行リンク121c、着ノード121dに格納される。
【0025】
案内地点121eは、何らかの経路案内を行う場合には、その案内を行う基準地点を特定する情報である。基本的には、移動体が案内地点121eに示される地点の所定距離内に接近すると、経路の案内がなされる。しかし、案内地点121eが設定されていない場合には、当該通行リンクの通行時には経路の案内がなされないことを示す。
【0026】
案内パターン121fは、案内地点121eが設定されている場合に、経路案内を行う出力の定型パターンを特定する情報である。例えば、T字路において右折を案内するパターンや、十字路において直進を案内するパターン、あるいは高速道路等の高架道路の入り口で高架道路に乗る車線を案内するパターン等、所定の表示や音声が案内パターンとして予め設けられ、案内地点121eにおいて出力する案内パターンを特定する情報が案内パターン121fに格納される。
【0027】
図3は、案内パターン情報のデータ構造の例を示す図である。案内パターン情報122では、案内パターン122aごとに、表示画面122bと、出力音声122cと、構成122dと、が対応付けられて格納される。表示画面122bおよび出力音声122cは、案内に用いる出力情報であり、それぞれ経路案内装置100において表示、発話される。構成122dは、当該案内パターンが想定する道路・航路の主に形状的特徴を説明するテキスト情報である。
【0028】
図4は、追加報知情報のデータ構造の例を示す図である。追加報知情報123は、経路に固定的に含まれる案内情報に加えて、他の経路との識別のために必要となる追加案内のための報知情報である。追加報知情報123には、報知位置123aと、案内パターン(画面)123bと、追加音声123cと、変数123dと、が対応付けて含まれる。報知位置123aは、追加案内を報知する位置を特定する情報であり、例えばいずれかのノードを特定する情報である。案内パターン(画面)123bは、報知の際に表示する画面の画像やオブジェクトを特定する情報である。
【0029】
案内パターン(画面)123bには、例えば、他の経路との差異を識別できる目的地あるいは経由地を識別する所定の地名が含まれる案内標示等、追加で案内すべき情報を表示する画面情報等が含まれる。追加音声123cは、報知の際に発話する言語音声(スピーチ)や効果音(ビープ音やチャイム等)を特定する情報である。そして、変数123dは、追加音声123cにおいて変数として示されたメタ文字を置換する情報である。例えば、変数123dに「[経路ID]選択された経路ID」とある場合には、追加音声123cに含まれる発話「経路[経路ID]右折してください」の[経路ID]に相当する部分を、経路案内中の経路の経路IDに置換されて発話される情報となる。
【0030】
図1の説明に戻る。入力制御部111は、操作ボタン等に対する入力を検知する。具体的には、入力制御部111は、利用者による入力、主にタッチパネルによるタッチ入力を検出し、入力された座標、入力種類(タップ、ロングタップ、フリック、ピンチ等)を特定する。あるいは、入力制御部111は、利用者によるハードウェアボタン(例えば、音量の多寡を操作するためのボタン)の入力を受け付ける。表示部112は、表示画面を構成する。音声制御部113は、音声情報(言語音声、効果音、音楽等を含む)を構成する。
【0031】
経路案内部114は、予め定められた複数の経路から選択された一つの経路である選択経路の情報を用いて移動体の進行方向を案内する。なお、予め定められた複数の経路とは、路線バスや水上バスであれば路線に相当する。また、単一の経路しかない場合であっても、便宜上複数の経路と表現することがある。
【0032】
経路変化点特定部115は、選択経路と、複数の経路のうち選択経路を除く経路である非選択経路の夫々と、の間で共通する区間ごとに、該区間の終点となる地点を経路変化点として特定する。なお、経路変化点特定部115は、選択経路と、複数の経路のうち選択経路を除く経路である非選択経路の夫々と、の間で共通する区間が複数ある場合にも、経路変化点特定部115は、すべての共通の区間について経路変化点として特定する。
【0033】
また、経路変化点特定部115は、経路変化点において選択経路を識別する情報を併せて報知するための表示情報、音声出力情報を生成する。より具体的には、予め定められた複数の経路の夫々には、所定の識別子が予め付与されており、経路変化点特定部115は、選択経路に係る識別子を併せて報知する画面情報および音声案内情報を生成する。
【0034】
また、経路変化点特定部115は、経路変化点において選択経路の目的地あるいは経由地のいずれかを識別する情報を併せて報知するための表示情報、音声出力情報を生成する。より具体的には、予め定められた複数の経路の夫々には、他の経路との差異を識別できる目的地あるいは経由地を識別する所定の地名(走行する地域を中心とする地名、あるいは地名と方面の合わさったもの。〇〇方面等。路線バスにおいては経由する××停留所方面、 △△バスターミナル方面や□□車庫方面等。)が予め付与されており、経路変化点特定部115は、選択経路の目的地あるいは経由地のいずれかを識別する情報として、選択経路の地名を報知する画面情報および音声案内情報を生成する。
【0035】
また、予め定められた複数の経路の夫々に、他の経路との差異を識別できる目的地あるいは経由地を識別する情報(例えば、所定の地名)が予め付与されている場合において、経路変化点特定部115は、選択経路の目的地あるいは経由地のいずれかを識別する情報とともに、共通する区間を備える非選択経路の目的地あるいは経由地のいずれかを識別する情報を併せて報知するための表示情報、音声出力情報を生成する。より具体的には、予め定められた複数の経路の夫々に、他の経路との差異を識別できる目的地あるいは経由地を識別する所定の地名が予め付与されている場合において、経路変化点特定部115は、選択経路の地名とともに、共通する区間を備える非選択経路の地名を併せて報知する画面情報および音声案内情報を生成する。
【0036】
位置取得部116は、経路案内装置100が搭載された移動体の位置を取得する。
【0037】
報知部117は、移動体の位置が経路変化点に接近すると、当該経路変化点における選択経路の進行方向を報知する。なお、報知部117は、選択経路を識別する情報を併せて報知するようにしてもよい。より具体的には、予め定められた複数の経路の夫々には、所定の識別子が予め付与されており、報知部117は、選択経路に係る識別子を併せて報知するようにしてもよい。
【0038】
また、報知部117は、選択経路の目的地あるいは経由地のいずれかを識別する情報を併せて報知するようにしてもよい。より具体的には、予め定められた複数の経路の夫々には、他の経路との差異を識別できる目的地あるいは経由地を識別する所定の地名が予め付与されており、報知部117は、選択経路の目的地あるいは経由地のいずれかを識別する情報として、選択経路の地名を報知するようにしてもよい。
【0039】
また、予め定められた複数の経路の夫々に、他の経路との差異を識別できる目的地あるいは経由地を識別する情報(例えば、所定の地名)が予め付与されている場合において、報知部117は、選択経路の目的地あるいは経由地のいずれかを識別する情報とともに、共通する区間を備える非選択経路の目的地あるいは経由地のいずれかを識別する情報を併せて報知するようにしてもよい。より具体的には、予め定められた複数の経路の夫々に、他の経路との差異を識別できる目的地あるいは経由地を識別する所定の地名が予め付与されている場合において、報知部117は、選択経路の地名とともに、共通する区間を備える非選択経路の地名を併せて報知するようにしてもよい。
【0040】
入力部131は、操作ボタンやタッチパネル等の外部からの入力を受け付けると、入力制御部111に入力情報を受け渡す。表示出力部132は、表示部112が構成した表示画面の表示を制御する。音声出力部133は、音声制御部113が構成した音声情報(言語音声、効果音、音楽等を含む)の出力を制御する。外部メディア管理部134は、可搬性のある記憶部としての記憶メディア50(典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD、SSD、NVMEドライブ、又は、SCMでよい。)に対する読み取りを行い、読み取った情報に応じて経路情報121、案内パターン情報122を更新する。
【0041】
経路作成装置200は、少なくとも、処理部210と、記憶部220と、を有する。その他、経路作成装置200は、入力部231と、表示出力部232と、を有する。処理部210には、入力制御部211と、表示部212と、経路編集部213と、が含まれる。記憶部220には、経路情報221と、案内パターン情報222と、が格納されている。
【0042】
このうち、経路情報221は、図2に示す経路情報121と同様のデータ構造を備え、経路案内装置100の経路情報121の更新データを格納する。また、案内パターン情報222は、図3に示す案内パターン情報122と同様のデータ構造を備え、経路案内装置100の案内パターン情報122の更新データを格納する。
【0043】
入力制御部211は、操作ボタン等に対する入力を検知する。具体的には、入力制御部211は、利用者による入力、主にタッチパネルによるタッチ入力、あるいは、キーボードやマウスの入力を受け付ける。表示部212は、表示画面を構成する。経路編集部213は、経路を予め定めるための経路情報221と、案内パターン情報222と、の情報を作成・編集する機能、記憶メディア50に作成・編集した経路情報221と、案内パターン情報222と、を書き込む機能を提供する。
【0044】
なお、経路作成装置200は、経路案内装置100とは異なる装置であってもよいし、同体の装置であってもよい。
【0045】
昨今では、路線バスや水上バス等の公共交通機関や、シャトルバスや高速バス等の交通網が発達し、複雑化しつつあり、これらを実現する移動体および運転者等のメンテナンスや配属の仕組みも複雑化している。運転者は、一つの路線に限られず、日替わりで複数の路線を運転する場合もあり、そのため似た経路を走行する路線や他の路線との共通の区間のある路線を走行する場合には進行方向の誤判断も起こり易くなりつつある。
【0046】
以上を鑑みて、経路案内装置100では、予め定められた複数の経路から選択された一つの経路である選択経路の情報を用いて移動体の進行方向を案内しつつ、選択経路と、複選択経路を除く経路である非選択経路の夫々と、の間で分岐する先が異なる地点に接近すると、選択経路の進行方向を報知することで、進行方向の誤判断を回避する案内を行う。通常のカーナビゲーション装置では、経路案内の開始前に経路を探索する場合には複数の経路を比較可能に示すものもあるが、経路案内が開始されてからは経路は単一であることもあり他の経路との差異に基づき案内するものはない。
【0047】
図5は、経路案内装置のハードウェア構成例を示す図である。経路案内装置100は、プロセッサー(例えば、CPU:Central Processing Unit、あるいはGPU:Graphics Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)等のメモリ102と、ハードディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)やSSD(Solid State Drive)などのストレージ装置103と、ネットワークを介した通信の接続を行うインターフェースを担う通信装置104と、ディスプレイ105と、タッチパネル106と、GPS(Global Positioning System)107と、記憶メディアリーダー108と、これらを互いに接続するバスと、を備えた一般的な情報処理装置により実現できる。なお、GPS107は、これに限られず、測位が可能なデバイスであればよい。例えば、Glonass(Global Navigation Satellite System)、みちびき、Galileo、北斗等の衛星測位システムを用いるデバイスであればよい。
【0048】
上記した処理部110の各機能部、すなわち入力制御部111と、表示部112と、音声制御部113と、経路案内部114と、経路変化点特定部115と、位置取得部116と、報知部117とは、プロセッサー101が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、メモリ102またはストレージ装置103には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。そして、そのプログラムは、実行時にメモリ102にロードされ、プロセッサー101に処理を行わせる。
【0049】
経路情報121、案内パターン情報122、追加報知情報123は、メモリ102またはストレージ装置103により実現される。
【0050】
図6は、経路変化点特定処理の処理フローの例を示す図である。経路変化点特定処理は経路案内装置100が操作可能に起動すると、開始される。本実施形態では、経路案内装置100は、移動体に搭載される装置のため、操作可能に起動するのは、搭載される移動体のアクセサリ電源がONとなるタイミング(ACC_ON)である。
【0051】
まず、経路案内部114は、経路の選択を受け付ける(ステップS001)。具体的には、経路案内部114は、選択可能な経路を複数、経路情報121から読み出す。そして、表示部112は、読み出された複数の経路を所定のレイアウトに従って選択可能に表示する画面を生成する。そして、入力制御部111は、経路の選択を受け付ける。
【0052】
そして、経路変化点特定部115は、非選択経路を抽出する(ステップS002)。具体的には、経路変化点特定部115は、ステップS001において選択可能な経路として表示された経路のうち、ステップS001において選択を受け付けた経路を選択経路として、選択経路を除く経路を非選択経路として特定する。
【0053】
そして、経路変化点特定部115は、非選択経路ごとに、後述するステップS004~ステップS006の処理を実施する(ステップS003、ステップS007)。
【0054】
そして、経路変化点特定部115は、選択経路との一致区間を特定する(ステップS004)。具体的には、経路変化点特定部115は、対象の非選択経路ごとに、選択経路と重複する発ノード、通過リンク、着ノードの組の一つまたは連続する部分を一致区間としてゼロあるいは1以上特定する。
【0055】
そして、経路変化点特定部115は、一致区間が1以上あったか判定する(ステップS005)。一致区間が1以上なかった場合(ステップS005にて「No」の場合)には、経路変化点特定部115は、制御をステップS007に進める。
【0056】
一致区間が1以上あった場合(ステップS005にて「Yes」の場合)には、経路変化点特定部115は、後述する追加案内処理を開始させる(ステップS006)。
【0057】
以上が、経路変化点特定処理の流れである。経路変化点特定処理によれば、選択経路について、予め定められた他の複数の経路との混同が起きやすい地点として経路変化点の有無を検出することができる。
【0058】
図7は、追加案内生成処理の処理フローの例を示す図である。追加案内生成処理は経路変化点特定処理において開始される。
【0059】
まず、経路変化点特定部115は、特定された一致区間が対象の非選択経路に複数含まれる場合には一致区間ごとに、後述するステップS102~ステップS105の処理を実施する(ステップS101、ステップS106)。
【0060】
経路変化点特定部115は、対象の一致区間の最後の共通のノードを経路変化点として特定する(ステップS102)。具体的には、経路変化点特定部115は、対象の一致区間の連続する共通するリンクのうち最後尾のリンクを特定し、該リンクの着ノードを経路変化点として特定する。すなわち、経路変化点特定部115は、非選択経路との分岐点を経路変化点として特定する。
【0061】
そして、経路変化点特定部115は、経路変化点での分岐先の方向を特定する(ステップS103)。具体的には、経路変化点特定部115は、経路変化点において、選択経路の進行方向として、右左折直進の別と、車線変更を要する分岐の場合には進行する車線と、を特定する。
【0062】
そして、経路変化点特定部115は、経路変化点での案内パターンを特定する(ステップS104)。具体的には、経路変化点特定部115は、経路変化点において、選択経路の進行方向および進行車線を示すのに適切な道路形状の案内パターンを案内パターン情報122から読み出し特定する。例えば、経路変化点特定部115は、経路変化点の道路形状と、進行方向と、が一致する案内パターンを案内パターン情報122の構成122dから特定する。なお、特筆すべき例として、高速道路を走行中には、経路変化点特定部115は、経路変化点においても、当該経路変化点における進行方向に限らず、高速道路から退出する出口の名称等を表示することで高速道路から退出する経路ではないことを示す案内パターンを特定するようにしてもよい。
【0063】
そして、経路変化点特定部115は、経路変化点の座標と案内パターンを追加報知情報123として格納する(ステップS105)。具体的には、経路変化点特定部115は、ステップS102にて特定した経路変化点の座標と、ステップS104にて特定した案内パターンとを、それぞれ報知位置123aおよび案内パターン(画面)123bとして格納し、追加音声123cを進行方向に応じて人工知能等の既存のアルゴリズムを利用して自動生成し、変数123dに変数の定義を追加する。
【0064】
以上が、追加案内生成処理の流れである。追加案内生成処理によれば、一致区間ごとに、その終端を経路変化点として特定し、該経路変化点において行う追加案内の情報を生成することができる。
【0065】
図8は、経路変化点案内処理の処理フローの例を示す図である。経路変化点案内処理は、経路案内部114による経路案内が開始されると、間欠的に(所定秒毎あるいは所定時刻、例えば5秒毎あるいは毎分5秒刻みで)開始される。
【0066】
まず、位置取得部116は、位置情報を取得する(ステップS201)。具体的には、位置取得部116は、GPS107を用いて座標を取得する。
【0067】
そして、報知部117は、いずれかの報知位置に接近したか否か判定する(ステップS202)。具体的には、報知部117は、追加報知情報123の報知位置123aを参照して、ステップS201にて取得した位置の進行方向上の最も近い報知位置までの距離を特定し、所定距離内(例えば、100m以内)であれば接近したと判定する。いずれの報知位置にも接近していない場合(ステップS202にて「No」の場合)には、報知部117は、経路変化点案内処理を終了させる。
【0068】
いずれかの報知位置に接近した場合(ステップS202にて「Yes」の場合)には、報知部117は、接近している報知位置のうち、次に通過する位置に関する報知情報を出力する(ステップS203)。具体的には、報知部117は、ステップS201にて取得した位置の進行方向上の最も近い報知位置に関する報知情報すなわち案内パターン(画面)123bと、追加音声123cと、変数123dとを追加報知情報123から読み出して、変数123dを特定して音声制御部113に追加音声123cに合成させ、出力させる。また、案内パターン(画面)123bについても、報知部117は、表示部112に変数を合成して重畳させる表示画面を生成させ、出力させる。
【0069】
以上が、経路変化点案内処理の流れである。経路変化点案内処理によれば、報知位置に接近すると、追加案内情報を出力することができるため、経路の案内を行うことができる。
【0070】
図9は、報知情報の表示例を示す図である。報知情報の表示例としては、経路変化点における交差点案内画面300が挙げられる。交差点案内画面300には、画面の左側に停車する停留所と停留所の出発時刻をアイコン310により示す停留所情報と、画面の右側に追加報知情報123から読み出されて構成された報知情報と、が表示される。
【0071】
報知情報には、進行方向を示す画像情報に加えて、経路変化点における進行方向を示すメッセージ320と、選択経路を識別する所定の識別子を示す識別子表示321と、選択経路の目的地あるいは経由地のいずれかを識別する目的地あるいは経由地を識別する所定の地名を示す選択経路方面表示322と、共通の区間を備える非選択経路の目的地あるいは経由地を識別する所定の地名を示す非選択経路方面表示323と、が含まれて表示される。
【0072】
メッセージ320には、例えば、「国道17号線 〇〇交差点 右折」のように、進行方向を示すテキストメッセージが表示される。識別子表示321には、例えば、路線バスの路線を特定する文字列「XX系統」が表示される。選択経路方面表示322には、例えば、選択経路の経由地名を含む「B経由方面XX系統」(XX系統は選択経路)が表示され、共通の区間を備える非選択経路の目的地あるいは経由地を識別する所定の地名を示す非選択経路方面表示323には、例えば、一致区間を含む非選択経路の経由地名を含む「A経由方面YY系統」(YY系統は非選択経路)が表示される。すなわち、交差点案内画面300には、選択経路に応じて、紛らわしい他の非選択経路との差異が間違い易い経路変化点において適時に表示されるため、運転者は瞬時に進行方向を把握し、かつ経路間違いの発生しにくい表現による地名を理解することができるため、誤進行を回避できる。
【0073】
以上が、本発明に係る実施形態の例である。本実施形態に係る経路案内装置100によれば、経路案内の開始後にも、予め定められた他の複数の経路との混同を回避する案内を行うことができる。
【0074】
ただし、本発明は、上記の実施形態に制限されない。上記の実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、図9に示す報知情報の表示の変形例 として、経路変化点における進行方向を示すメッセージ320、識別子表示321および進行方向を示す矢印と共に表示するものとして示されている選択経路方面表示322および非選択経路方面表示323の表示の両方を省略しても良いし、非選択経路方面表示323の表示を省略して選択経路方面表示322のみを表示するようにしても良い。
【0075】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサーがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。そのような構成であれば、各処理部は処理手段と言い換えることが可能である。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0076】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0077】
50:記憶メディア、100:経路案内装置、110:処理部、111:入力制御部、112:表示部、113:音声制御部、114:経路案内部、115:経路変化点特定部、116:位置取得部、117:報知部、120:記憶部、121:経路情報、122:案内パターン情報、123:追加報知情報、131:入力部、132:表示出力部、133:音声出力部、134:外部メディア管理部、200:経路作成装置、210:処理部、211:入力制御部、212:表示部、213:経路編集部、220:記憶部、221:経路情報、222:案内パターン情報、231:入力部、232:表示出力部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9