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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092693
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 11/24 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
F23D11/24 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207857
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】山田 周平
(72)【発明者】
【氏名】星野 健太
(57)【要約】
【課題】専用部材を用いることなく火炎の安定化を行うことができる燃焼装置を提供する。
【解決手段】内側に燃料噴射用のノズル体2を備える円筒状の整流筒本体3と、整流筒本体3の下流端で連接したバーナ内筒8を備え、整流筒本体3は周壁に複数の第1空気孔10を設けた第1整流筒4と、第1整流筒4の内側に位置し、周壁に第1空気孔10と対となる第2空気孔11を設けた第2整流筒5と、を備え、第2空気孔11はノズル体2と対向する位置に設け、第1空気孔10と第2空気孔11とは貫通して第2空気通路13を形成し、第1空気孔10の孔中心と第2空気孔11の孔中心とが整流筒本体3の周方向に所定距離の間隔を形成するように第1整流筒4と第2整流筒5とを周方向に所定角度回転した位置とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に燃料噴射用のノズル体を備える円筒状の整流筒本体と、
前記整流筒本体の外側に前記整流筒本体との間に第1空気通路を形成するバーナ外筒と、
前記整流筒本体の下流端で連接したバーナ内筒と、
を備え、
さらに前記バーナ外筒の後方または側方に燃焼空気供給用の送風機を備えたものにおいて、
前記整流筒本体は、
周壁に複数の第1空気孔を設けた第1整流筒と、
前記第1整流筒の内側に位置し、周壁に前記第1空気孔と対となる第2空気孔を設けた第2整流筒と、
を備え、
前記第2空気孔は前記ノズル体と対向する位置に設け、
前記第1空気孔と前記第2空気孔とは貫通して前記第1空気通路から前記整流筒本体の内側に連通する第2空気通路を形成し、
前記第1空気孔の孔中心と前記第2空気孔の孔中心とが前記整流筒本体の周方向に所定距離の間隔を形成するように、
前記第1整流筒と前記第2整流筒とを前記周方向に所定角度回転した位置とした
ことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記第2整流筒は、前記第2空気孔より下側で下側に半球状または擂り鉢状に形成された集束部と、下端部は前記ノズル体から噴射された燃料と空気との混合空気の前記バーナ内筒への導入口となる第1開口部と、を備え、
前記第1整流筒は前記第2整流筒の外側に外嵌され、
前記第1整流筒の底部中央の前記第1開口部を臨む位置に、前記ノズル体から噴射された燃料と空気との混合空気の前記バーナ内筒への導入口となる第2開口部と、
前記第1整流筒は、前記第1整流筒の周壁で前記集束部を臨む位置に複数の第3空気孔と、
前記第1整流筒の底部または前記バーナ内筒の前記第1整流筒と接続する面に位置し、放射状に切り欠いた旋回羽根で構成された第1スタビライザと、を備え、
前記第1整流筒の上端は前記バーナ外筒の天板部に接続され、
前記第1整流筒の下端は前記バーナ内筒と連通した
ことを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記第1スタビライザによる旋回方向は、前記第2空気通路から前記整流筒本体に流入した空気が前記ノズル体の周囲に形成する第1の旋回流と逆向きとした
ことを特徴とする請求項2に記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置に関するものであり、特に灯油等の液体燃焼を使用する燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体燃料を加圧して噴射し、空気と混合して燃焼するガンタイプバーナと称する燃焼装置が知られており、石油給湯機や石油温水暖房機等に広く使用されている。
ガンタイプバーナには、燃料を噴射するノズルの近傍に旋回器を配して、発生した旋回気流によって燃料と空気とが適切に混合され、これにより安定した火炎を発生させようとするものがある。
例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
図6に示した特許文献1のバーナ100は、燃料噴射ノズル108と、ノズル収納内筒111とノズル収納外筒112とからなるノズル収納筒107と、燃焼筒部110とを備える。燃料噴射ノズル108の近傍に配置した旋回空気流発生部材105は、風向板を多数、歯車のように並べて設けられており、図示しない送風機の風を旋回的に付勢してノズル収納筒107に導入するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-41418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ノズル収納筒107内に旋回流を発生させるための構成として、ノズル収納筒107の外側に風向板を複数設けた旋回空気流発生部材105を用いる必要があり、更なる改善の余地があった。
【0006】
本発明はかかる背景を鑑みてなされたものであり、旋回流の発生に風向調整用の部品を必要とせず、燃焼装置を構成する基本部品のみで旋回流の生成を行い、火炎の安定化を行うことができる燃焼装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1では、内側に燃料噴射用のノズル体を備える円筒状の整流筒本体と、前記整流筒本体の外側に前記整流筒本体との間に第1空気通路を形成するバーナ外筒と、前記整流筒本体の下流端で連接したバーナ内筒と、を備え、さらに前記バーナ外筒の後方または側方に燃焼空気供給用の送風機を備えたものにおいて、前記整流筒本体は、周壁に複数の第1空気孔を設けた第1整流筒と、前記第1整流筒の内側に位置し、周壁に前記第1空気孔と対となる第2空気孔を設けた第2整流筒と、を備え、前記第2空気孔は前記ノズル体と対向する位置に設け、前記第1空気孔と前記第2空気孔とは貫通して前記第1空気通路から前記整流筒本体の内側に連通する第2空気通路を形成し、前記第1空気孔の孔中心と前記第2空気孔の孔中心とが前記整流筒本体の周方向に所定距離の間隔を形成するように、前記第1整流筒と前記第2整流筒とを前記周方向に所定角度回転した位置としたことを特徴とした。
【0008】
請求項2では、前記第2整流筒は、前記第2空気孔より下側で下側に半球状または擂り鉢状に形成された集束部と、下端部は前記ノズル体から噴射された燃料と空気との混合空気の前記バーナ内筒への導入口となる第1開口部と、を備え、前記第1整流筒は前記第2整流筒の外側に外嵌され、前記第1整流筒の底部中央の前記第1開口部を臨む位置に、前記ノズル体から噴射された燃料と空気との混合空気の前記バーナ内筒への導入口となる第2開口部と、前記第1整流筒は、前記第1整流筒の周壁で前記集束部を臨む位置に複数の第3空気孔と、前記第1整流筒の底部または前記バーナ内筒の前記第1整流筒と接続する面に位置し、放射状に切り欠いた旋回羽根で構成された第1スタビライザと、を備え、前記第1整流筒の上端は前記バーナ外筒の天板部に接続され、前記第1整流筒の下端は前記バーナ内筒と連通したことを特徴とした。
【0009】
請求項3では、前記第1スタビライザによる旋回方向は、前記第2空気通路から前記整流筒本体に流入した空気が前記ノズル体の周囲に形成する第1の旋回流と逆向きとしたことを特徴とした。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ノズル周辺の旋回流の発生に風向調整用の部品を必要とせず、燃焼装置を構成する基本部品のみで旋回流の生成を行い、火炎の安定化が可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態における燃焼装置の概略構成図
図2】本発明の第1の実施形態における燃焼装置の要部拡大図
図3】本発明の第1の実施形態における燃焼装置のAーA端面図
図4】本発明の第1の実施形態における燃焼装置のB矢視図
図5】本発明の第2の実施形態における燃焼装置の要部拡大図
図6】従来技術の燃焼装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明にかかる燃焼装置1の第1の実施形態を図1から図4を参照して説明する。なお、各図において、共通する構成要素や同種の構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。
【0013】
図1図2に示すように、1は第1の実施形態の圧力噴霧式の燃焼装置1で、下部に設けられた熱交換器21を加熱するもので、バーナ外筒7内にバーナ本体20が下向きに配されている。
【0014】
バーナ本体20は、下向きに燃料噴射を行う燃料噴射用のノズル体2と、ノズル体2を中心に備えた円筒状の整流筒本体3と、整流筒本体3の下流端で連接したバーナ内筒8と、図示しない点火プラグを備えている。
【0015】
ノズル体2と整流筒本体3とはバーナ外筒7の天板部16に固定される。
バーナ本体20の後方に燃焼空気供給用の送風機9と、バーナ内筒8の燃焼ガス下流方向に熱交換器21が備わる。
ノズル体2は天板部16を貫通し、バーナ外筒7の外側に備えた図示しない燃料ポンプに接続される。
【0016】
バーナ外筒7とバーナ本体20の間に第1空気通路6を備える。
【0017】
整流筒本体3は二重構造になっており、第2整流筒5と、第2整流筒5の外側に外嵌される第1整流筒4とを備える。
【0018】
第2整流筒5は、第2整流筒5の周壁51におけるノズル体2の周壁と対向する位置に複数の第2空気孔11と、第2空気孔11より下側で下側に擂り鉢状に形成された集束部18と、下端部にノズル体2から噴射された燃料と空気との混合空気のバーナ内筒8への導入口となる第1開口部14と、を備えている。
【0019】
第1整流筒4は、第1整流筒4の周壁41に第2空気孔11と対となるように複数の第1空気孔10が備えられており、第1空気孔10と第2空気孔11とは貫通して第1空気通路6から整流筒本体3の内側に連通して一次空気を供給する第2空気通路13を形成する。
【0020】
また、第1整流筒4は、第1整流筒4の底部中央の第1開口部14を臨む位置に、ノズル体2から噴射された燃料と空気との混合空気のバーナ内筒8への導入口となる第2開口部17と、第1整流筒4の周壁41で集束部18を臨む位置に複数の第3空気孔12と、を備える。
さらに、第1整流筒4は、第1整流筒4の底部に位置し、第3空気孔12を経由してバーナ内筒8に二次空気を供給する放射状に切り欠いた旋回羽根で構成された第1スタビライザ15を第2開口部17の外周に備えている。
【0021】
図3は、第1の実施形態の燃焼装置1のAーA端面図である。
第1整流筒4と第2整流筒5との位置関係は、第1空気孔10の孔中心と第2空気孔11の孔中心とが整流筒本体3の周方向に所定距離の間隔を形成するように、周方向の水平面内で所定角度回転した位置関係とした。
これによって、全ての第2空気通路13の実質的な中心軸は、ノズル体2の中心軸に垂直な平面上でノズル体2の中心軸と交わらない方向となり、ノズル体2の中心軸線とねじれの関係が形成される。第2空気通路13の実質的な中心軸は、好ましくは、ノズル体2の周壁に接する方向である。
これにより、ノズル体2の周辺に第2空気通路13を通過した空気の旋回流を形成できるものである。
【0022】
図4は、第1の実施形態の燃焼装置1のB矢視図である。
第1スタビライザ15は、第1スタビライザ15による第2の旋回流の旋回方向が、第2空気通路13から整流筒本体3に流入した空気がノズル体2の周囲に形成する第1の旋回流と逆向きとなるように形成してある。
【0023】
次に、第1の実施形態の燃焼装置1の燃焼動作について説明する。
送風機9により第1空気通路6に送風された空気のうち一部は、第1空気孔10と第2空気孔11とを備える第2空気通路13を通過して整流筒本体3の内部に一次空気として送風される。
当該一次空気は、ノズル体2の周囲に第1の旋回流を形成し、ノズル体2を冷却する。
ノズル体2から噴射された油滴は、第1の旋回流を形成する一次空気と混合空気を成し、図示しない点火プラグの放電により着火し、第1開口部14と第2開口部17と第3開口部22を通過して、バーナ内筒8に下向きの火炎を形成する。
【0024】
一方、送風機9により第1空気通路6に送風された空気のうち一部は、第3空気孔12を通過し、第1スタビライザ15を経由して二次空気としてバーナ内筒8内で第2の旋回流を形成する。
第1の旋回流と第1の旋回流と旋回方向が逆方向の第2の旋回流とによって、バーナ内筒8に形成された火炎は、二次空気との混合が促進され、不完全燃焼による一酸化炭素と煤の発生が抑制されるものである。
【0025】
第1の実施形態の燃焼装置1が従来技術と相違する点は、従来技術のバーナ100の旋回空気流発生部材105を必要とせず、すなわち、旋回流の発生に風向調整用の部品を必要とせず、ゆえに、燃焼装置1を構成する基本部品である第1整流筒4と第2整流筒5とによって旋回流の生成を行える点である。
【0026】
第1空気通路6から第2空気通路13を通過して整流筒本体3に流入した空気は、ノズル体2の周囲に第1の旋回流を形成する。これにより、ノズル体2の表面で均一で強い熱伝導が促進され、ノズル体2の冷却を効果的に促進することができるものである。
さらに、ノズル体2から噴射された油滴が、近傍の第1の旋回流に巻き込まれ、旋回しながら初期火炎からの熱を得て、油滴の気化が促進されてスムーズに火炎を形成することができるため、着火性が向上するものである。
【0027】
また、第1スタビライザ15は、第1スタビライザ15による第2の旋回流の旋回方向が、第2空気通路13から整流筒本体3に流入した空気がノズル体2の周囲に形成する第1の旋回流と逆向きとした。これにより、ノズル体2の周囲に形成された第1の旋回流が、整流筒本体3からバーナ内筒8に吹き出したとき、第1スタビライザ15による第2の旋回流の旋回方向と逆の方向になるため、整流筒本体3からバーナ内筒8へ吹き出した火炎は、第1スタビライザ15からの二次空気によって衝突拡散され、燃焼に必要な空気を火炎の中心部まで供給でき、火炎と二次空気との混合が促進され、不完全燃焼による一酸化炭素と煤の発生を抑制でき、火炎の安定燃焼が行えるものである。
【0028】
図5は、第2の実施形態の燃焼装置1である。
第1整流筒4は、第1整流筒4の底部中央の第1開口部14を臨む位置に、ノズル体2から噴射された燃料と空気との混合空気のバーナ内筒8への導入口となる第2開口部17と、第1整流筒4の周壁41で集束部18を臨む位置に複数の第3空気孔12と、を備える。
バーナ内筒8の第1整流筒4と接続する面に、第1整流筒4の底部中央の第1開口部14を臨む位置に、ノズル体2から噴射された燃料と空気との混合空気のバーナ内筒8への導入口となる第3開口部22とを備え、さらに、第3空気孔12と第2開口部17を経由してバーナ内筒8に二次空気を供給する放射状に切り欠いた旋回羽根で構成された第1スタビライザ15を第3開口部22の外周に備えている。
これにより、第1の実施形態と同様の効果を奏するものである。
【0029】
なお、第1および第2の実施形態で、第2整流筒5は、下側に擂り鉢状に形成された集束部18を備えているとして説明したが、第2整流筒5は、下側に半球状に形成された集束部18を備えているものでもよいものである。
【0030】
なお、燃焼空気供給用の送風機9は、バーナ本体20の後方に備えたとして説明したが、バーナ本体20の側方に備えてもよいものである。
【0031】
なお、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1 :燃焼装置
2 :ノズル体
3 :整流筒本体
4 :第1整流筒
5 :第2整流筒
6 :第1空気通路
7 :バーナ外筒
8 :バーナ内筒
9 :送風機
10:第1空気孔
11:第2空気孔
12:第3空気孔
14:第1開口部
15:第1スタビライザ
16:天板部
17:第2開口部
18:集束部
図1
図2
図3
図4
図5
図6