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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092697
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】回収装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/24 20060101AFI20230627BHJP
   F16L 55/40 20060101ALI20230627BHJP
   F16L 55/48 20060101ALI20230627BHJP
   F17D 5/06 20060101ALI20230627BHJP
   E03B 7/00 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
G01M3/24 A
F16L55/40
F16L55/48
F17D5/06
E03B7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207864
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000219358
【氏名又は名称】東亜グラウト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金氏 眞
【テーマコード(参考)】
2G067
3J071
【Fターム(参考)】
2G067AA13
2G067BB26
2G067CC02
2G067DD13
2G067EE08
2G067EE11
3J071AA12
3J071CC19
3J071EE31
3J071EE38
(57)【要約】
【課題】円筒状の検知装置を長手方向が配管の軸方向と並行な状態を保持して捕集する回収装置を提供する。
【解決手段】本管41の内部を液体と共に流通して漏洩を検知する円筒状の検知装置45を回収する回収装置Aであって、可撓性と弾性を有する枠材11からなり拡径した状態では本管の内径よりも僅かに小さい略円形となり窄めた状態では本管に取り付けた立上り管42の内径よりも細くなる枠部材10と、枠部材を端部に取り付けて立上り管から本管に挿入する支持部材20と、枠部材に取り付けられ一方の端部が枠材に接続され枠部材が拡径された状態では配管の内径よりも僅かに小さい径を有する略円形から他方の端部に向けて径が小さくなるように形成され且つ枠部材を窄めたときの長さよりも長い誘導部32と誘導部の他方の端部に接続されると共に先端部分が閉塞され検知装置の長さよりも長い長さと検知装置の長さよりも小さく且つ外径よりも大きい径を有する収納部31とを有する捕集部材30と、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流通する配管に取り付けた該配管よりも細い管から挿入され、該配管の内部を液体と共に流通して液体の漏洩を検知する円筒状に形成された検知装置を回収する回収装置であって、
可撓性と弾性を有する枠材からなり、拡径した状態では液体が流通する配管の内径よりも僅かに小さい径を有する略円形となり、窄めた状態では前記配管に取り付けた細い管の内径よりも細くなるように構成された枠部材と、
前記枠部材を端部に取り付けると共に該枠部材を前記細い管から前記配管に挿入する支持部材と、
前記枠部材に取り付けられ、一方の端部が前記枠部材を構成する枠材に接続され該枠部材が拡径された状態では前記配管の内径よりも僅かに小さい径を有する略円形から他方の端部に向けて径が小さくなるように形成され且つ該枠部材を窄めたときの長さよりも長く形成された誘導部と、該誘導部の他方の端部に接続されると共に先端部分が閉塞され且つ円筒状に形成された検知装置の長さよりも長い長さと該検知装置の長さよりも小さく且つ該検知装置の外径よりも大きい径を有する収納部と、を有する捕集部材と、
を有することを特徴とする回収装置。
【請求項2】
前記捕集部材は、長手方向に配置された縦繊維と、該縦繊維の長手方向複数の位置に独立して配置されると共に該縦繊維を輪状に織り込んだ横繊維と、からなる網状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載した回収装置。
【請求項3】
前記捕集部材は、液体が通過する通過部と液体の通過を阻害する阻害部とを有し、該通過部と阻害部が周方向に交互に配置されていることを特徴とする請求項1に記載した回収装置。
【請求項4】
前記捕集部材の通過部は斜めに配置された繊維が交差して形成された菱形網目を有する網状に形成され、且つ前記阻害部は、該捕集部材の長手方向に沿って配置された伸縮不能な帯によって構成されていることを特徴とする請求項3に記載した回収装置。
【請求項5】
前記枠部材を構成する枠材は、可撓性と弾性を有する一対の片を対向させると共に一方の端部は前記支持部材に上部ヒンジを介して接続され、他方の端部は下部ヒンジを介して互いに接続して構成され、且つ該下部ヒンジは前記支持部材に沿って配置された補強部材に接続されていることを特徴とする請求項1に記載した回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が流通する配管に取り付けた細い管から挿入し、液体と共に配管の内部を流れる物体を回収するための回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地中には上水道用や工業用水或いは農業用水を含む圧力を持った水が流れる管路が敷設されている。このような管路には、常に路面を走行する車両による振動に応じた力や地盤沈下に伴う力、地震時に於ける管路の敷設方向及び、又は管路の敷設方向に対し交差する方向への力等が作用している。このため、管の継ぎ目に隙間ができたり、管壁にひび割れが生じたりして、流通している水が地中に漏洩する虞がある。例えば、工業用水や農業用水の場合、この水の処理には費用が掛かっており、漏水によって無駄が生じることとなる。
【0003】
このため、地中に敷設された管路に於ける漏水の有無と、漏水位置を調査することが行われる。このような調査を行うために、水が流れる管路の内部に球形の移動体を移動させ、この移動過程で管路内で発生した音を集音して記録すると共に移動位置を検出し、管路に於ける漏れの有無と漏洩位置を検知する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。この検知方法では、例えば圧力を持った水が流れる上水道用の管路に於ける上流側に設けた弁栓部から本管に投入された球形の移動体を、下流側に設けた弁栓部から本管に挿入した捕集部材によって捕集することで回収している。
【0004】
本管内を移動している球形の移動体を回収するために、特許文献2に記載された捕集部材が提案されている。この捕集部材は、可撓性と弾性を有する一対の枠材の上端部及び下端部を互いに回動可能に接続して構成されている。そして、下端部を接続した回動支持部材を上端部を接続した支持部材に対し離隔又は接近させることで、一対の枠材を互いに接近させて縮径して弁栓部を通過し得る太さとし、或いは互いに離隔させて本管の内周に対応し得る略円状としている。このため、本管の内部を移動している球形の移動体を捕集することができ、且つ捕集した移動体を弁栓部を通して回収することができる。
【0005】
上記した球形の移動体は本管の底部を転がって移動するため、底部と転がる際に生じる音がノイズとして記録されてしまい、漏洩部分から生じる音との分離を行うことが必要となるという問題がある。このため、移動体を管路内を流れる液体と略同じ比重とすることで、該移動体と管壁が衝突して音が生じることがないようにした漏洩検知装置が提案されている(例えば特許文献3参照)。この特許文献3に記載された移動体は、円筒状の本体の両端に半球状のキャップを取り付けることでカプセル型に形成されている。
【0006】
更に、管路に生じた漏洩位置をより正確に検知し得るように、移動体の内部に互いに逆方向の指向性を有する複数の集音部材を配置しておき、これらの集音部材によって集音した音データを比較検討し得るようにした検知方法と検知装置が提案されている(例えば、特許文献4、5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5583994号公報(特開2011-196745号)
【特許文献2】特開2017-198296号公報
【特許文献3】特開2018-189411号公報
【特許文献4】特開2019-152450号公報
【特許文献5】特開2021-021665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3~5に記載された検知装置を構成する移動体は、細長い円筒状に形成されており、長さは、本管から回収するための弁栓部の太さよりも大きい。また、特許文献2に記載された捕集部材では捕集すべき移動体が球形なため、円筒状の移動体を捕集し得るような形状を有していない。
【0009】
このため、特許文献2に記載された捕集部材を利用して特許文献3~5に記載された移動体を捕集しようとすると、移動体の先端が網に接触したときに、管路を横断(移動体が管路の軸と交差)するように回転してしまうという問題が生じた。この場合、移動体の長手方向の寸法が弁栓部の径よりも大きいため、捕集部材を弁栓部から引き出そうとしたとき、回転した移動体が弁栓部と本管との接続部に干渉して該弁栓部を通過できなくなってしまうという問題が生じた。
【0010】
本発明の目的は、円筒状の検知装置であっても、長手方向が配管の軸方向と並行な状態を保持して捕集することができ、且つ確実に細い管を通過させて回収することができる回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る代表的な回収装置は、液体が流通する配管に取り付けた該配管よりも細い管から挿入され、該配管の内部を液体と共に流通して液体の漏洩を検知する円筒状に形成された検知装置を回収する回収装置であって、可撓性と弾性を有する枠材からなり、拡径した状態では液体が流通する配管の内径よりも僅かに小さい径を有する略円形となり、窄めた状態では前記配管に取り付けた細い管の内径よりも細くなるように構成された枠部材と、前記枠部材を端部に取り付けると共に該枠部材を前記細い管から前記配管に挿入する支持部材と、前記枠部材に取り付けられ、一方の端部が前記枠部材を構成する枠材に接続され該枠部材が拡径された状態では前記配管の内径よりも僅かに小さい径を有する略円形から他方の端部に向けて径が小さくなるように形成され且つ該枠部材を窄めたときの長さよりも長く形成された誘導部と、該誘導部の他方の端部に接続されると共に先端部分が閉塞され且つ円筒状に形成された検知装置の長さよりも長い長さと該検知装置の長さよりも小さく且つ該検知装置の外径よりも大きい径を有する収納部と、を有する捕集部材と、を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る回収装置では、枠部材に取り付けた捕集部材によって、液体と共に配管内を移動した検知装置を捕集したとき、捕集した検知装置の長手方向を配管の軸方と並行に保持することができる。また、捕集した検知装置を細い管を通す際に、この検知装置が細い管と配管との接続部位に干渉することがなく、円滑に回収することができる。
【0013】
即ち、枠部材に取り付けた捕集部材が、誘導部と、該誘導部に連続した収容部を有する。この収容部が、回収すべき検知装置の長さよりも長く検知装置の長さよりも小さく且つ外径よりも大きいため、検知装置が容部に収容されたとき、長手方向が配管の軸方向に対し並行な状態を保持することができる。
【0014】
特に、誘導部が枠部材と収容部との間に配置されているため、配管の内部を液体と共に移動した検知装置は誘導部に誘導されて収容部に移動することができる。そして、誘導部が枠部材を窄めたときの長さよりも長く形成されているため、細い管を通して回収装置を配管から離脱させる際に、収容部に収容された検知装置は端部が窄んだ枠部材の枠材に干渉することのない位置を保持することができる。このため、収容部に収容された検知装置が細い管と配管との接続部に干渉することなく、円滑に細い管を通過して離脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】検知装置を捕集した後に枠部材を折り畳んで引き上げる際の状態の回収装置の正面図と側面図である。
図2】枠部材が開いた状態の回収装置の正面図と側面図である。
図3】捕集部材の構成を説明する図である。
図4】捕集部材の他の例を説明する図である。
図5】液体が流れる配管の内部で検知装置を捕集する状態を説明する図である。
図6】検知部材を捕集した後細い管を通して回収する際の状態を説明する図である。
図7】本管に於ける漏洩部を検知する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る回収装置の構成について説明する。本発明に係る回収装置は、配管(以下「本管」という)の内部を流れる液体と共に移動し、この移動過程で集音して記録し得るように構成された円筒状の検知装置を回収するための装置である。回収装置は、本管に取り付けた細い管(例えば弁栓部、以下「立上り管」という)を通して該本管に挿入され、本管内を移動した検知装置を捕集した後、立上り管を通して外部に回収し得るように構成されている。
【0017】
本発明に於いて、本管内を流れる液体としては、圧力の作用によって流れるものであれば良く、例えば上水や農業用水或いは工業用水などを対象としている。しかし、このような液体にのみ限定するものではなく、油類系のものであっても適用することが可能である。
【0018】
本実施例に係る回収装置Aの説明に先立って、図7により、本管41の内部に投入された検知装置45によって漏洩部43を検知する手順について簡単に説明する。本管41には、該本管41よりも細い立上り管42が複数設置されている。本管41は目的の液体が流れており、液体やこの液体の利用目的などの条件によって最適な径に設定されている。また、立上り管42は、本管41の内部を流れる液体を排出し或いは空気を排出するための弁が取り付けられるものであり、75mm程度の径の管を用いるのが一般的である。
【0019】
検知装置45は両端部が半球状の蓋体によって被われた円筒状に形成されており、上流側の立上り管42から本管41の内部に投入され、該本管41内を流れる液体と共に下流側に向けて移動する。この検知装置45の内部には、液体を通して伝達された音を集音するマイクロフォン、集音した音を記録する記録装置、検知装置45の移動過程を記録するための加速度計、ジャイロ、これらの部材によって得たデータを記録した時刻を管理する時計などが収容されている。
【0020】
検知装置45は、内部に前述したような種々の機材を収容しているため、全長は立上り管42の径よりも大きくなっている。また、検知装置45は本管41の内部を流れる液体の比重と等しい比重となるように、容積、重量などが調整されている。
【0021】
目的の配管41に対する漏洩検知を開始した後、配管41に於ける予め設定された立上り管42を通して後述する回収装置Aを配管41に挿入しておく。そして、検知装置45が液体と共に移動して回収装置Aに到達した後、立上り管42を通過させて本管41から回収する。検知装置45を回収した後、記録されている音、この音が発生した時刻、加速度計のデータなどのデータ類をとりだすことで、本管41に於ける漏洩部43の有無、位置などを検知することが可能である。
【0022】
以下、本実施例に係る回収装置Aについて説明する。回収装置Aは、一対の枠材11からなる枠部材10と、この枠部材10を下端部20aに取り付ける支持部材20と、収納部31と誘導部32を有し枠部材10に取り付けられる捕集部材30と、を有して構成されている。
【0023】
枠部材10は、支持部材20に取り付けられると共に捕集部材30を取り付けるものであり、可撓性と弾性を有する一対の枠材11を有している。一対の枠材11の一方側の端部(上端部)は、夫々支持部材20の下端部20aに該支持部材20に対し僅かに傾斜した状態で回動可能に構成された回動片21に取り付けられている。このため、夫々の枠材11は支持部材20に対し回動可能に取り付けられている。また、一対の枠材11の他方側の端部(下端部)は夫々蝶番12に取り付けられている。
【0024】
枠部材10は、枠材11の上端部が回動片21に、下端部が蝶番12に取り付けられることで、自由状態では拡径する方向に僅かに湾曲している。そして、下端部である蝶番12を支持部材20の下端部20aに接近させる方向の力を作用させたとき拡径する。従って、枠材11の長さを、回収装置Aを利用すべき目的の本管41の径に対応(円周長の略1/2)させることで、枠部材10を本管41の内周面に対向させて円形に拡径させることが可能である。枠部材10が円形に拡径したときの直径は限定するものではなく、本管41の内径に対応させて200mm~1200mmの間で適宜設定されている。
【0025】
枠部材10を構成する枠材11の材質や構造は特に限定するものではなく、可撓性と弾性を有し、対象となる液体との間で相互に悪影響を生じることのないものであれば利用することが可能である。このような材質としてはステンレス鋼やバネ鋼などの金属や合成樹脂がある。また形状としては板材や棒材などがある。特に、棒材を用いる場合、1本である必要はなく、液体の流れ方向に沿って複数本を並べて構成しても良い。
【0026】
枠材11として利用する材質や形状は、後述する捕集部材30を取り付ける際の構造を考慮して選択することが好ましい。
【0027】
支持部材20は予め設定された径と長さを有するパイプ状に形成されている。支持部材20として用いるパイプの長さは特に限定するものではなく、操作性を考慮した値であることが好ましい。そして、立上り管42の長さが長いような場合、上端部20bに単位長さの延長管25を継ぎ足すことが可能なように構成しておくことが好ましい、
【0028】
支持部材20の下端部20aに配置された案内部材22は、検知装置45を捕集部材30によって捕集した後、枠部材10、捕集部材30を本管41から引き出す際に、枠部材10の枠材11が本管41と立上り管42との接合部位に引っかることのないように案内するものである。このため、案内部材22は立上り管42の径に対応させた寸法を有するテーパ状の案内片22aを有している。
【0029】
案内部材22の下端側には捕集部材30を監視する水中カメラ23が取り付けられており、この水中カメラ23の映像はケーブル23aを通して陸上に設けた図示しない制御部に設けられたモニターに表示されると共に記録される。尚、23bは水中カメラ23の保護カバーである。このように、水中カメラ23を配置することによって、本管41の内部に挿入された捕集部材30の挙動を監視することが可能であり、該捕集部材30に検知装置45が捕集されたか否かを確認することが可能である。
【0030】
本管41の内部に挿入された枠部材10、捕集部材30には液体の流れによって下流方向への力が作用し、この力を枠部材10が受けることになる。このため、支持部材20の内部に棒状の補強部材24を挿通しておき、下端部を枠部材20の下端部に配置された蝶番12に当接し得るようにしておくことが好ましい。このように構成することによって、捕集部材30を取り付けた枠部材10を本管41の内部で拡径したときに生じる流れる液体による負荷に対抗することが可能となる。
【0031】
捕集部材30は枠部材10に取り付けられて、配管41の内部を移動する検知装置45を捕集するものである。捕集部材30は、検知装置45を収容する収容部31と、一方の端部が収容部31に接続され他方の端部が枠部材10の枠材11に接続した誘導部32と、を有して構成されている。収容部31と誘導部32からなる捕集部材30の全長を特に限定するものではないが、対象となる本管41の内径の2倍~3倍の範囲に設定されていることが好ましい。
【0032】
収容部31は、検知装置45の長さよりも長い長さと、該検知装置45の長さよりも小さく且つ外径よりも大きい径を有している。このため、本管41の内部を液体と共に移動している検知装置45を捕集したとき、配管41の軸心と略並行した状態で収容することが可能である。収容部31の形状を限定するものではない。しかし、前記した寸法の範囲内において、略円筒状であるか或いは角度の小さいテーパ上であることが好ましい。
【0033】
誘導部32は、枠部材10から収容部31にかけて径が小さくなるテーパ状に形成されている。このため、本管41の内部を液体と共に移動している検知装置45を、円滑に収容部31に誘導することが可能である。また、誘導部32は、枠部材10を窄めたときの長さよりも長く形成されている。このため、検知装置45を捕集した後、立上り管42を通過する際には、検知装置45を収容した収容部31を枠部材10の蝶番12よりも下方に位置させることが可能となり、この結果、捕集部材30の立上管42の円滑な通過が可能となる。
【0034】
捕集部材30は図3に示すように、略円筒状の収容部31と円錐状の誘導部32が接続された形状を有している。しかし、同図のように、収容部31と誘導部32が接続部分で急に角度の変化が生じることは必ずしも好ましいことではなく、両者の接続部位が緩やかな角度からなる曲線状であって良い。
【0035】
捕集部材30は、検知装置45を回収するに際し、本管41に挿入されたとき流れる液体によって下流方向に付勢されるため、液体による付勢にも関わらず該液体の流れを阻害することのないように構成されることが必要となる。このため、捕集部材30は網状に構成されていることが好ましい。
【0036】
網を構成する繊維は長手方向への引張力が作用した場合でも繊維自体が伸びる虞はない。しかし、網が菱形の網目を有する錐状に形成されている場合、液体の流れに伴う力や流入した検知部材の力が作用したとき、錐の長手方向の寸法が大きくなり、錐の径が小さくなるような変形が生じることがある(以下「捕集部材30の伸び、或いは形状の伸び、又は伸び」という)。また、検知装置が網に衝突したとき、この網が局部的に横方向に延びるような変形が生じることがある。
【0037】
捕集部材30に形状の伸びが生じた場合、誘導部32に入り込んだ検知装置45が円滑に収容部31に誘導されない虞がある。このため、捕集部材30は液体の流れや検知装置45を捕集したときに作用する力によって伸びが生じることがないように構成されていることが必要である。
【0038】
捕集部材30の伸びを防ぐ手段は特に限定するものではなく、例えば、図3に示すように、収容部31、誘導部32の網目を、捕集部材30の長手方向に沿って縦方向に配置された縦繊維と、この縦繊維を輪状に織り込んだ横繊維と、からなる矩形状とすることで良い。また、図4に示すように、捕集部材30の長手方向に沿って伸縮不能な帯を配置することでも良い。この場合、帯としては薄いシート状のもの、或いは布であって、不透水性又は低透水性であることが好ましい。
【0039】
捕集部材30の長手方向に伸縮不能な帯を配置して伸びを防ぐように構成した場合、この帯の配置部分が液体の通過を疎外し同時に誘導部32を外側に拡げる力が作用する。このため、菱形の網を使用する場合(図4参照)、捕集部材30を製作する段階で、網を縦方向と横方向に広げた状態で帯に接合することで、更なる伸びを小さくすることが可能となる。
【0040】
上記の如く捕集部材30に、液体が容易に通過し得る網からなる通過部34と、帯からなる液体の通過を阻害する阻害部35(帯35)を周方向に交互に配置し、両者を縫合などの手段で一体化しておくことが好ましい。捕集部材30に於ける帯35の配置数は枠部材10が拡径したときの寸法に対応させて4本~6本程度であることが好ましく、誘導部32の表面積に於ける比率は1/4~1/2の範囲であることが好ましい。捕集部材30をこのように構成することによって、液体の円滑な流れを実現することが可能である。このように構成された捕集部材30では、液体の流れによる力や検知部材45が収容されたときの力が作用しても、形状の伸びが生じることがない。
【0041】
捕集部材30を枠部材10に取り付ける構造は特に限定するものではなく、枠部材10の枠材11に充分な強さで取り付けることが可能な構造であれば良い。このような構造として例えば、本実施例では誘導部32の端部にファスナー33を取り付けると共に枠部材10にもファスナーを取り付けている。しかし、紐を利用して取り付けても良いことは当然である。
【0042】
上記の如く構成された回収装置Aでは、図5に示すように、本管41の予め設定された立上り管42に、枠部材10を窄めた状態で本管41に挿入し、蝶番12を本管41の手部に押し付けることで拡径する。そして、枠部材10の拡径に伴って、捕集部材30が液体と共に下流側に広がって、検知装置45を捕集するための準備が終了する。
【0043】
検知装置45は、前述したように、本管41の上流側に形成された立上り管42から該本管41に投入され、本管41の内部を流れる液体と共に下流方向に移動しつつ、液体を介して伝達された音を記録する。そして、予め設定された位置に配置されている回収装置Aの捕集部材30に流入し、誘導部32を下流側に移動して収容部31に収容される。検知装置45が捕集部材30に流入して収容部31に収容される状況は水中カメラ23によって監視されている。
【0044】
検知装置45が捕集部材30の収容部31に収容されたことを水中カメラ23によって確認した後、回収部材Aを立上り管42を通して取り出す。このとき、支持部材20が立上り管42の中心からずれていたとしても、案内部材22の案内片22aが本管41に対する立上り管42の取付部分に接触して支持部材20が立上り管42の中心方向に移動するように案内する。このため、枠部材10は円滑に立上り管42に案内される。
【0045】
支持部材20を抜き出すのに伴って、枠部材10は窄まれ、捕集部材30の収容部31に収容された検知装置45は蝶番12の下方に垂れ下がる(図1参照)。そして、誘導部32が窄まれた枠部材10よりも長く形成されているため、捕集された検知部材45が立上り管42に干渉することなく、円滑に通過することが可能である。
【0046】
検知装置45を本管41から回収した後、該検知装置45に収容されている機器類を取り出して各種データを検討することで、本管41に於ける漏水部43の位置を検知することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る回収装置は、各種の液体が圧力下で流れている配管の漏洩を検知しるための検知装置を回収する際に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
A 回収装置
10 枠部材
11 枠材
12 蝶番
20 支持部材
20a 下端部
20b 上端部
21 回動片
22 案内部材
22a 案内片
23 水中カメラ
23a ケーブル
23b 保護カバー
24 補強部材
25 延長管
30 捕集部材
31 収納部
32 誘導部
33 ファスナー
34 通過部
35 阻害部(帯)
41 本管
42 立上り管
43 漏洩部
45 検知装置
47 線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7