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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092713
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】長尺体支持具
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/14 20060101AFI20230627BHJP
   F16L 3/11 20060101ALI20230627BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
F16L3/14 B
F16L3/11
F16B2/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207893
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】391039302
【氏名又は名称】株式会社昭和コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】本郷 善悟
(72)【発明者】
【氏名】津久井 慎
【テーマコード(参考)】
3H023
3J022
【Fターム(参考)】
3H023AA05
3H023AB07
3H023AC04
3H023AD21
3H023AD27
3H023AD31
3J022DA11
3J022EA42
3J022EC17
3J022EC22
3J022GA04
3J022GA12
3J022GB25
(57)【要約】
【課題】 施工途中でのボルト・ナットやバンドの落下の危険性がなく安全性・安定性があり、作業性に優れた長尺体支持具を提供することにある。
【解決手段】 長尺体を支持するために、長尺体を抱持する長尺体配設部20と、長尺体配設部20の両端から延伸する一対の対向する取付部30,40と、を備えた長尺体支持具10Aにあって、一対の取付部30,40は、それぞれボルト50・ナット55を組み込むための穿孔31,41を有し、ナット55と当接する一方の取付部40の穿孔は、ナット55の挿通を可能にする形状の着脱空間42と、ナット55の挿通を不可能にする形状の非着脱空間43とを備えた機能性孔41を形成し、取付部40の可動方向と機能性孔41の孔形状の方向とを一致させた。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺体を支持するために、長尺体を抱持する長尺体配設部と、長尺体配設部の両端から延伸する一対の対向する取付部と、を備えた長尺体支持具にあって、
一対の取付部は、それぞれ締結具を組み込むための穿孔を有し、一方の取付部の穿孔は、ナット又はボルト頭を備えたボルト軸の着脱を可能にする着脱空間と、ナット又はボルト頭を備えたボルト軸の着脱を不可能にする非着脱空間と、を連接させた機能性孔を形成し、
機能性孔を有する取付部の可動方向と機能性孔の孔形状の方向とが一致していることを特徴とした長尺体支持具。
【請求項2】
機能性孔を有する取付部の可動距離と機能性孔の長手方向の長さとが等しいか若しくは機能性孔の長手方向の長さが短いことを特徴とした請求項1記載の長尺体支持具。
【請求項3】
着脱空間と非着脱空間とを取付部の幅方向に連接させた機能性孔を形成することを特徴とした請求項1又は2記載の長尺体支持具。
【請求項4】
着脱空間と非着脱空間とを取付部の延伸方向に連接させた機能性孔を形成することを特徴とした請求項1又は2記載の長尺体支持具。
【請求項5】
機能性孔の着脱空間は、ナット又はボルト頭の挿通を可能にする形状に、非着脱空間は、ナット又はボルト頭の挿通を不可能にする形状に形成されることを特徴とした請求項1から4のいずれかに記載の長尺体支持具。
【請求項6】
機能性孔の着脱空間は、ナット又はボルト頭を備えたボルト軸の着脱を可能にする切欠部で形成されることを特徴とした請求項1から4のいずれかに記載の長尺体支持具。
【請求項7】
長尺体配設部に長尺体を仮設置できる長尺体収容部を備えることを特徴とした請求項1から6のいずれかに記載の長尺体支持具。
【請求項8】
長尺体配設部が複数部材を連結部で連結することからなり、当該連結部が可動機能を備えることで一対の取付部が相対変位することを特徴とした請求項1から7のいずれかに記載の長尺体支持具。
【請求項9】
連結部はリベット継手又はボルト・ナットで締結されることを特徴とした請求項8記載の長尺体支持具。
【請求項10】
連結部は被挿入孔と挿入突起との連結からなることを特徴とした請求項8記載の長尺体支持具。
【請求項11】
長尺体配設部が連結部を有しないバンド体からなることを特徴とした請求項1から7のいずれかに記載の長尺体支持具。
【請求項12】
ボルト・ナットで締結された一対の取付部における機能性孔の可動を規制する規制部を有することを特徴とした請求項1から11のいずれかに記載の長尺体支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、長尺体を支持するために、長尺体を抱持する長尺体配設部と、長尺体配設部の両端から延伸する一対の対向する取付部と、を備えた長尺体支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記長尺体支持具としては、まず、特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1に開示された長尺体支持具は、バンド1に配管を配設した後、ボルト6・ナット7を組んで締結する。
そのため、以下のような課題があった。
(1)施工途中でボルト6・ナット7の落下のおそれがある。
(2)施工途中でタンバックル4からバンド1の落下のおそれがある。
【0003】
そこで、特許文献1に開示された長尺体支持具の課題を解決するものとして、特許文献2に開示された長尺体支持具が発明された。
特許文献2に開示された長尺体支持具は、バンド2への配管の配設前に予めボルト6・ナット8を組んである。そして、配管の配設後にナット8を係脱挿通孔部7Bから挿通し、ナット8の係止挿通孔部7Aの位置に合わせた後にボルト6・ナット8を締結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭51-163523号公報
【特許文献2】特開平11-201332号公報
【特許文献3】特開2000-130643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2によれば、確かに、バンド2への配管の配設前に予めボルト6・ナット8を組んであるので、特許文献1に開示された長尺体支持具のような施工途中でのボルト・ナットやバンドの落下という課題は解決できるかもしれない。
【0006】
しかし、特許文献2に開示された長尺体支持具には、次のような課題が生じている。
(1)ナット8を係脱挿通孔部7Bに挿通させるために、ボルト6・ナット8を下方に傾ける必要があるが、長尺体支持具の自重や配設された配管の重量によりボルト6・ナット8を下方に傾けるのは困難である(図12を参照)。
(2)このため、配管を担ぎ、ボルト6に加わる重量を除去した後に、ボルト6・ナット8を下方に傾ける必要があった。
【0007】
これに対して、特許文献3では保持部材9に形成される窓9aを、架設される配管Pの軸芯と平行な水平方向に沿って横向き姿勢で形成するとともに、仮止め手段Bの第1係止孔10及び第2係止孔11を窓9aと同様に横向き姿勢で連通形成することで、上記課題を解決しようとしている(特許文献3段落[0026]及び図8図9を参照)。
【0008】
しかし、この取付作業は、吊りボルト1に固定された取付け基材3に対して、バンド4全体を配管Pと共に左右方向に移動操作させることにより、ボルト5の軸部5aが仮止め手段Bの第2係止孔11内に係入して、バンド4の開動が阻止されるとあるが(特許文献3段落[0030]を参照)、配管Pに1の取付け具を取り付けるだけならいざしらず、複数の取付け具を取り付ける場合には、このような取付作業は極めて困難であると思われる。
【0009】
そこで、本願発明者は、上記課題を解決すべく鋭意試験・研究を行い、施工途中でのボルト・ナットやバンドの落下の危険性がなく安全性・安定性があり、作業性に優れた長尺体支持具を提供すべく、本願発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明は、長尺体を支持するために、長尺体を抱持する長尺体配設部と、長尺体配設部の両端から延伸する一対の対向する取付部と、を備えた長尺体支持具にあって、一対の取付部は、それぞれ締結具を組み込むための穿孔を有し、一方の取付部の穿孔は、ナット又はボルト頭を備えたボルト軸の着脱を可能にする着脱空間と、ナット又はボルト頭を備えたボルト軸の着脱を不可能にする非着脱空間と、を連接させた機能性孔を形成し、機能性孔を有する取付部の可動方向と機能性孔の孔形状の方向とが一致していることを特徴としたものである。
ここで、「機能性孔の孔形状の方向」とは、着脱空間から非着脱空間への方向である。
第2の発明は、機能性孔を有する取付部の可動距離と機能性孔の長手方向の長さとが等しいか若しくは機能性孔の長手方向の長さが短いことを特徴とした同長尺体支持具である。
第3の発明は、着脱空間と非着脱空間とを取付部の幅方向(横向き)に連接させた機能性孔を形成することを特徴とした同長尺体支持具である。
第4の発明は、着脱空間と非着脱空間とを取付部の延伸方向(縦向き)に連接させた機能性孔を形成することを特徴とした同長尺体支持具である。
第5の発明は、機能性孔の着脱空間が、ナット又はボルト頭の挿通を可能にする形状に、非着脱空間は、ナット又はボルト頭の挿通を不可能にする形状に形成されることを特徴とした同長尺体支持具である。
第6の発明は、機能性孔の着脱空間が、ナット又はボルト頭を備えたボルト軸の着脱を可能にする切欠部で形成されることを特徴とした同長尺体支持具である。
第7の発明は、長尺体配設部に長尺体を仮設置できる長尺体収容部を備えることを特徴とした同長尺体支持具である。
第8の発明は、長尺体配設部が複数部材を連結部で連結することからなり、当該連結部が可動機能を備えることで一対の取付部が相対変位することを特徴とした同長尺体支持具である。
第9の発明は、連結部がリベット継手又はボルト・ナットで締結されること(蝶番式バンド)を特徴とした同長尺体支持具である。
第10の発明は、連結部が被挿入孔と挿入突起との連結からなることを特徴とした同長尺体支持具である。
第11の発明は、長尺体配設部が連結部を有しないバンド体からなること(提灯式バンド)を特徴とした同長尺体支持具である。
第12の発明は、ボルト・ナットで締結された一対の取付部における機能性孔の可動を規制する規制部を有することを特徴とした同長尺体支持具である。
【発明の効果】
【0011】
上記した本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)締結具が組み込まれる一対の取付部の一方に、ナット又はボルト頭を備えたボルト軸の着脱を可能にする着脱空間とナット又はボルト頭を備えたボルト軸の着脱を不可能にする非着脱空間とを連接させた機能性孔を形成し、機能性孔を有する取付部の可動方向と機能性孔の孔形状の方向とが一致していることで、締結具を機能性孔の着脱空間から挿着して非着脱空間で締結するまでが極めてスムーズに行える。
(2)また、機能性孔を有する取付部の可動距離と機能性孔の長手方向の長さとが等しいか若しくは機能性孔の長手方向の長さが短いことで、締結具を機能性孔の着脱空間から挿着して非着脱空間で締結するまでがよりスムーズに行える。
(3)さらに、長尺体配設部が複数部材を連結部で連結することからなり、当該連結部が可動機能を備えることで一対の取付部が相対変化しやすくなり、締結具を機能性孔の着脱空間から挿着して非着脱空間で締結するまでが確実にスムーズに行える。
(4)その結果、ボルトとナットを組んだまま配管を長尺体配設部(バンド)に配設し、ボルト・ナットを締結する一連の作業が安全に安定して、迅速に実施できる。
(5)すなわち、特許文献2に開示された長尺体支持具のように、配管を担ぎボルト・ナットを傾けなくても、一方の取付部を機能性孔の孔形状の方向(横向き又は縦向き)へ可動させるだけで(一対の取付部が相対変位する場合も含む)、ボルト・ナットをそのままの状態で機能性孔に挿着し(着脱空間)、そこからスライドさせて係止できる(非着脱空間)。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本願発明に係る長尺体支持具の第1実施形態を示す説明図(1)。
図2】本願発明に係る長尺体支持具の第1実施形態を示す説明図(2)。
図3】本願発明に係る長尺体支持具の第1実施形態を示す説明図(3)。
図4】本願発明に係る長尺体支持具の第2実施形態を示す説明図(1)。
図5】本願発明に係る長尺体支持具の第2実施形態を示す説明図(2)。
図6】本願発明に係る長尺体支持具の第3実施形態を示す説明図(1)。
図7】本願発明に係る長尺体支持具の第3実施形態を示す説明図(2)。
図8】本願発明に係る長尺体支持具の第4実施形態を示す説明図。
図9】本願発明に係る長尺体支持具の第5実施形態を示す説明図。
図10】本願発明に係る長尺体支持具の第6実施形態を示す説明図。
図11】本願発明に係る長尺体支持具の第7実施形態を示す説明図。
図12】従来技術(特許文献2)の課題を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1図3は、本願発明に係る吊り長尺体支持具の第1実施形態を示す説明図である。
図1に示すように、長尺体支持具10Aは、配管やケーブルなどの長尺体80を支持するために、躯体90から垂下される吊部材70と接続するタンバックル75に取り付けるものであって、長尺体を抱持する長尺体配設部20と、長尺体配設部20の両端から延伸する一対の対向する取付部30,40と、を備える。
【0014】
長尺体配設部20は、湾曲状のバンド体21,22を連結部25で回動自在に連結してなるものである。
ここで、この連結部25は、バンド体21に対してバンド体22が長尺体の配設方向(長手方向)へ可動できるように連結されている。
【0015】
すなわち、図1に図示する長尺体支持具10Aは、長尺体配設部20の連結部25をリベット継手26で締結していることに特徴がある。
詳しくは、連結部25を構成するバンド体21とバンド体22の端部を円筒状の管23,管24に加工し、ここにリベット継手26を貫通させて蝶番を構成する。但し、管23と管24,24の間に遊び(間隙)を設けることで、リベット継手26の軸上を管23ががスライド可能になる。しかも、リベット継手26(の軸)の円柱形状と管23,24の円筒状との組み合わせによって、そのスライドが極めてスムーズなものとなる。その結果、連結部25をリベット継手26で締結することで、バンド体21に対してバンド体22が取付部30,40の幅方向へ確実にスライドできるように連結される。
【0016】
そして、一対の取付部30,40は、それぞれ締結具であるボルト50・ナット55を組み込むための穿孔を有する。一方の取付部30には、ボルト50のボルト軸52を挿通できるだけの穿孔31が形成されている。もう一方のナット55と当接する取付部40には、ナット55の挿通を可能にする形状の着脱空間42と、ナット55の挿通を不可能にする形状の非着脱空間43と、を連接して備えた機能性孔41が形成されている。なお、図示では、機能性孔41は分銅型或いはひょうたん型に形成されているが、これに限られるものではない。
【0017】
ここで、この機能性孔41の孔形状の方向(着脱空間42と非着脱空間43の連接する方向)と取付部40の可動方向は一致している。また、取付部40の可動距離と機能性孔41の長手方向(連接方向)の長さとの関係は、取付部40の可動距離=機能性孔41の長手方向(連接方向)の長さ、若しくは、取付部40の可動距離>機能性孔41の長手方向(連接方向)の長さ、となっている(他の実施形態においても同じ)。
【0018】
そして、図2に図示するように、一対の取付部30,40は、長尺体配設部20の連結部25がバンド体21,22を可動するように連結しているため、機能性孔41の孔形状の方向へ相対変位可能となっている。そうすることで、長尺体支持具10Aは、まず機能性孔41の着脱空間42をナット55に合わせてナット55を挿通し、次に取付部40を可動させてナット55(ボルト軸52)を機能性孔41の非着脱空間43に移動させることができる。この時、一方の取付部30の穿孔31ともう一方の取付部40の機能性孔41の着脱空間42とが同一軸上にあるため(図2中図)、ボルト50・ナット55を傾けることなく挿入できる。また、機能性孔41をスライドさせて、穿孔31と非着脱空間43とが同一軸上で配置できるため(図2右図)、その後にボルト50・ナット55を締結できる。なお、図示では、着脱空間42に挿通するのはナット55にしているが、ボルト頭51を挿通するようにしてもよい(他の実施形態においても同じ)。
【0019】
また、図2左図に図示するように、長尺体支持具10Aは、長尺体配設部20の連結部25を中心部分からずらして、オフセットしていることに特徴がある。
これにより、長尺体の仮設置が可能になる。また、長尺体の荷重を直接的に受ける最下部に連結部25がないので、連結部25の可動及び取付部40の可動がスムーズになる。
【0020】
さらに、図3に図示するように、機能性孔41の着脱空間42を切欠部で形成し、機能性孔41を切り欠いた形状の切欠孔としてもよい。このようにすることで、この切欠部からナット55を備えたボルト軸52を挿入できるからである。
【0021】
また、図1に図示する第1実施形態の長尺体支持具10Aにおいて、規制部35が機能性孔41に当接することで、一対の取付部30,40の相対変位が規制されている。このため、ボルト50・ナット55によって締結された取付部30,40では、機能性孔41の着脱空間42がナット41への移動を規制されて、ナット41が着脱空間42から外れることは無くなる。
【0022】
図4図5は、本願発明に係る吊り長尺体支持具の第2実施形態を示す説明図である。
図4に図示する第2実施形態の長尺体支持具10Bが、第1実施形態の長尺体支持具10Aと異なる点は、一対の取付部30,40による機能性孔41の孔形状の方向への相対変位である。図5に図示するように、長尺体配設部20の連結部25は、バンド体21に対してバンド体22が取付部の幅方向(長尺体の配設方向)へスライドできるように連結されているのではなく、バンド体21に対してバンド体22が回転するように連結されている。図5では、蝶番での連結の場合に、バンド体22の蝶番構造に大きなクリアランスを設けて、バンド体22が回転する余地を与えている。これによって、複雑な構造を設けることなく、第1実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。この時、図示する機能性孔41は、バンド体22の回転方向とその連接方向を一にするので、図2に図示する第1実施形態の機能性孔(着脱空間42と非着脱空間43が横一列に連接する)と異なり、図5の下図に図示するように斜め方向に延びる(着脱空間42と非着脱空間43が斜め方向に連接する)。
【0023】
図6図7は、本願発明に係る吊り長尺体支持具の第3実施形態を示す説明図である。
図6に図示する第3実施形態の長尺体支持具10Cが、第1実施形態の長尺体支持具10Aや第2実施形態の長尺体支持具10Bと異なる点は、一対の取付部30,40の相対変位の方向である。長尺体支持具10Cは、一対の取付部30,40の相対変位の方向を取付部30,40の延伸方向にしている。これに伴って、機能性孔41の孔形状も取付部30,40の延伸方向になっている。これによって、第1実施形態や第2実施形態と同様に、ナット55を移動させる方向と取付部40の可動する方向が同じであるため、ボルト50・ナット55を傾けることなく、スムーズにボルト50・ナット55を締結できる。
【0024】
但し、図7に図示するように、一対の取付部30,40の相対変位の方向が取付部30,40の延伸方向である場合、バンド体22は直線的に相対変位するのではなく、回転を伴いながら相対変位することに特徴がある。
【0025】
図8は、本願発明に係る吊り長尺体支持具の第4実施形態を示す説明図である。
図8に図示する第4実施形態の長尺体支持具10Dは、長尺体配設部20の連結部25が被挿入孔と挿入突起との連結(=組式バンド構造)からなることに特徴がある。
詳しくは、連結部25を構成するバンド体21とバンド体22の端部に挿入孔28と被挿入突起27をそれぞれ形成し、これら被挿入孔27と挿入突起28を組み合わせることで、組式の連結部を構成する。但し、被挿入孔27と挿入突起28に遊び(間隙)を設けることで、被挿入孔27と挿入突起28が互いにスライド可能になる。その結果、連結部25を被挿入孔27と挿入突起28との連結にすることで、バンド体21に対してバンド体22が取付部30,40の幅方向へスライドできるように連結される。
【0026】
図9は、本願発明に係る吊り長尺体支持具の第5実施形態を示す説明図である。
第4実施形態までは、一対の取付部30,40を相対変位させるために、長尺体配設部20の連結部25にあえて可動機能をもたせたものとなっている。これに対し、第5実施形態の長尺体支持具10Eでは、大きなクリアランスを設けていない蝶番式バンドを長尺体配設部20としたことに特徴がある。
【0027】
長尺体配設部20が既存の蝶番式バンドからなるものであっても、取付部40は蝶番構造となっている連結部によって多少の可動範囲がある。この可動範囲の方向と、機能性孔41の孔形状の方向(着脱空間42と非着脱空間43の連接する方向)とを一致させた。
これによって、取付部40を可動させて、ナット55を着脱空間42に挿通させ、次に非着脱空間43へ移動させることが可能になる。
また、取付部40の可動範囲の方向の他に、取付部40の可動範囲の距離を、機能性孔41の長手方向(連接方向)の長さと等しくするか若しくは長くすることで、ボルト50・ナット55との締結をより確実にスムーズに行える。
【0028】
なお、長尺体支持具10Eのように、長尺体配設部20に大きなクリアランスを設けていない場合であっても、機能性孔41の長手方向の長さを短くすることや、締結具であるボルト50を横に向けることで、ボルト50・ナット55を組んだままでの締結具による取付部30,40の締結が可能になる。
【0029】
図10は、本願発明に係る吊り長尺体支持具の第6実施形態を示す説明図である。
図10に図示する長尺体支持具10Fの長尺体配設部20は提灯式バンドであり、連結部を有しない1のバンド体からなるものである。しかし、バンド体には弾性があるので、取付部40に多少の可動範囲がある。そこで、第5実施形態と同様にこの可動範囲を利用して、可動範囲の方向と、機能性孔41の孔形状の方向(着脱空間42と非着脱空間43の連接する方向)とを一致させた。これによって、第5実施形態と同じことが実現できた。
【0030】
図11は、本願発明に係る吊り長尺体支持具の第7実施形態を示す説明図である。
図11に図示する第7実施形態の長尺体支持具10Gは、排水管などの横走り管を固定する金具で一般的にレベルバンドと呼ばれるものである。
長尺体支持具10Gの上部バンド60は、左右両端部側にそれぞれ穿孔を有し、右端部側が機能性孔61、左端部側が調整孔65となっている。機能性孔61はベース67に設けられた全ネジ68のナット69の挿通を可能にする着脱空間62とナット69の挿通を不可能にする非着脱空間63とを連接して備える。一方、調整孔65は、機能性孔61の連接方向に延びる長孔となっている。
このような機能性孔61と調整孔65を備えることで、着脱空間62にナット69を挿通させ、その後上部バンド60をスライドさせてナット69を非着脱空間63に位置させれば、長尺体支持具10Gは、全ネジ68にナット69を取り付けたままでも上部バンド60をベース67に取り付け、下部バンド64と締結できる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本願発明に係る吊り長尺体支持具は、配管やケーブルなどの長尺体を支持する支持具に広く利用できるものであり、「支持具」という名称にかかわらず長尺体を支持する支持材に利用できる。
【符号の説明】
【0032】
(第1実施形態)
10A 長尺体支持具
20 長尺体配設部
21 バンド体
22 バンド体
25 連結部
30 取付部
31 穿孔
35 規制部
40 取付部
41 穿孔(機能性孔)
42 着脱空間
43 非着脱空間
50 ボルト
51 ボルト頭
52 ボルト軸
55 ナット
70 吊部材
75 タンバックル
80 長尺体
90 躯体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12