(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092716
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】接続構造
(51)【国際特許分類】
F16B 41/00 20060101AFI20230627BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
F16B41/00 A
F16B5/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207897
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】戸川 拓三
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大輔
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GB01
3J001HA02
3J001JA04
3J001JD22
3J001KA26
(57)【要約】
【課題】ネジ41及び接続体3の被接続体2からの脱落をより確実に防止できる接続構造4を提供する。
【解決手段】被接続体3に内部空間Sを設け、その内部空間Sを形成する第1壁体421に第1ネジ穴を設ける一方、第1壁体421とは内部空間Sを挟んで反対側の壁体である第2壁体422に、前記第1ネジ穴と同軸となるように第2ネジ穴を設けて、この第2ネジ穴にネジ41が締結されるようにする一方、第1ネジ穴421の内部空間側の開口から傾斜面43が形成されるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続体を被接続体に接続するための接続構造であって、
先端からネジ部、胴部及び頭部がこの順で形成され、前記胴部の径より前記ネジ部の呼び径及び前記頭部の径の方が大きいネジと、
前記被接続体に設けられた内部空間と、
該内部空間を形成する壁体の1つである第1壁体を貫通する第1ネジ穴と、
前記第1壁体とは前記内部空間を挟んで反対側の壁体である第2壁体に、前記第1ネジ穴と同軸となるように設けられた第2ネジ穴と、
前記ネジ部は挿通する一方、前記頭部は引っかかるように設定された、前記接続体を貫通する貫通孔と、を備え、
前記ネジを、前記接続体の貫通孔に先端から挿通した後、前記被接続体の第1ネジ穴に螺入して挿通させ、前記第2ネジ穴に締結することによって、該接続体を被接続体に接続するものであり、
前記第1ネジ穴から側方に連続するように設けられた、前記第1壁体を貫通する長孔をさらに備え、
前記長孔の幅寸法が、前記ネジ部の呼び径よりも小さく、かつ、前記胴部の径よりも大きく設定されているとともに、
前記第1壁体の内面において、前記第1ネジ穴の開口から連続して延びる前記長孔の開口が、該第1壁体の外面側に向かって傾斜していることを特徴とする、接続構造。
【請求項2】
前記貫通孔が長孔状をなすものであり、その幅寸法が、前記ネジ部の呼び径よりも大きく、かつ、前記頭部の径よりも小さく設定されている、請求項1記載の前記接続構造。
【請求項3】
前記第1壁体と前記第2壁体との間に挟まれた第3壁体の内面に、前記第1ネジ穴のネジ山から連続し、かつ、該第1ネジ穴の軸方向に延びるように切られたネジ山である、壁面螺合部をさらに備える、請求項1又は2のいずれか記載の前記接続構造。
【請求項4】
前記壁面螺合部が、前記第2ネジ穴のネジ山とも連続している、請求項3記載の前記接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジによって被接続体に接続体が接続される接続構造に関するものであって、該ネジ及び接続体の被接続体からの脱落を防止するためのものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食品機械、包装機械、薬品製造装置などの機械や装置に用いられるネジが振動や衝撃などの影響によって緩むことで、ネジやネジによって接続されていた部材が脱落して、製品に混入してしまう可能性があり、異物混入への対策が求められている。
【0003】
上述した問題への対策としては、特許文献1に示すように、先端から雄ネジ部、首部及び頭部がこの順で形成され、首部の径より雄ネジ部の谷径の方が大きいネジを用いて、装置本体に取り付け部材を接続する接続構造がある。
【0004】
装置本体には、該装置本体の表面に止まり孔が設けられており、該止まり孔には、開口から挿入方向に所定の間隔を空けて第1雌ネジ部と第2雌ネジ部が設けられている。また、取り付け部材には、該取り付け部材を貫通する貫通孔が設けられている。
【0005】
従って、ネジを、取り付け部材の貫通孔に先端から挿入した後、装置本体の止まり孔に挿入し、第1雌ネジ部に螺合して挿通させ、第2雌ネジ部に締結することによって、取り付け部材を装置本体に接続することができる。
【0006】
こうすることで、振動や衝撃の影響によってネジが緩んだとしても、雄ネジ部は、第2雌ネジ部から外れた後、第1雌ネジ部には螺合せず、第1雌ネジ部と第2雌ネジ部の間に留まり続ける。そして、この状態では、雄ネジ部が第1雌ネジ部に自然に螺合する可能性は低く、ネジ及び取り付け部材が装置本体から脱落することを防止できる。
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、雄ネジ部は、第1雌ネジ部と第2雌ネジ部の間に留まり続けると、さらなる振動や衝撃によって第1雌ネジ部に螺合する可能性がある。そのような状態で振動や衝撃が加わると、再びネジが緩み始め、雄ネジ部が第1雌ネジ部から外れ、ネジ及び取り付け部材が装置本体から脱落してしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、ネジ及び接続体の被接続体からの脱落をより確実に防止できる接続構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係る接続構造は、接続体を被接続体に接続するための接続構造であって、先端からネジ部、胴部及び頭部がこの順で形成され、前記胴部の径より前記頭部の径及び前記ネジ部の呼び径の方が大きいネジと、前記被接続体に設けられた内部空間と、該内部空間を形成する壁体の1つである第1壁体を貫通する第1ネジ穴と、前記第1壁体とは前記内部空間を挟んで反対側の壁体である第2壁体に、前記第1ネジ穴と同軸となるように設けられた第2ネジ穴と、
前記ネジ部は挿通する一方、前記頭部は引っかかるように設定された、前記接続体を貫通する貫通孔と、を備え、前記ネジを、前記接続体の貫通孔に先端から挿通した後、前記被接続体の第1ネジ穴に螺入して挿通させ、前記第2ネジ穴に締結することによって、該接続体を被接続体に接続するものであり、前記第1ネジ穴から側方に連続するように設けられた、前記第1壁体を貫通する長孔をさらに備え、前記長孔の幅寸法が、前記ネジ部の呼び径よりも小さく、かつ、前記胴部の径よりも大きく設定されているとともに、前記第1壁体の内面において、前記第1ネジ穴の開口から連続して延びる前記長孔の開口が、該第1壁体の外面側に向かって傾斜していることを特徴とする。
【0011】
このような構成であれば、貫通孔はネジのネジ部は挿通するが頭部は引っかかるように設定されており、また、長孔はその幅寸法がネジの胴部は挿通するがネジ部は引っかかるように設定されており、ネジは胴部が長孔に挿通した状態で長孔の長手方向に動くことができるので、ネジは、第2ネジ穴から外れた場合、ネジ部が長孔に引っかかった状態で、長孔開口の傾斜に沿って長孔を長手方向に滑り、第1ネジ穴の軸から離れた位置へ移動する。これにより、ネジが第1ネジ穴の軸から離れた位置に移動した場合、ネジ部は長孔に引っかかったままとなり、ネジの被接続体からの脱落をより確実に防止できる。またこの時、ネジが挿通している接続体の被接続体からの脱落もより確実に防止できる。さらに、移動したネジがその位置から再び第1ネジ穴の軸上に移動し、第1ネジ穴と螺合することはない。
【0012】
前記貫通孔が長孔状をなすものであり、その幅寸法が、前記ネジ部の呼び径よりも大きく、かつ、前記頭部の径よりも小さく設定されていることが好ましい。
このような構成であれば、ネジは胴部が貫通孔に挿通した状態で貫通孔の長手方向に動くことができるので、ネジは、第2ネジ穴から外れた場合、接続体とは独立に第1ネジ穴の軸から離れた位置に移動する。これにより、本発明に係る接続構造を複数適用し、かつ、それらの間で接続体を共有する場合に、特定箇所の接続構造においてネジが第2ネジ穴から外れると、他の接続構造によって接続体が固定されたままであっても、当該箇所のネジを第1ネジ穴の軸から離れた位置に移動させることができ、当該箇所におけるネジの被接続体からの脱落をより確実に防止することができる。
【0013】
前記第1壁体と前記第2壁体との間に挟まれた第3壁体の内面に、前記第1ネジ穴のネジ山から連続し、かつ、該第1ネジ穴の軸方向に延びるように切られたネジ山である、壁面螺合部をさらに備えることが好ましい。
このような構成であれば、第1ネジ穴のネジ山と壁面螺合部のネジ山はその軸方向に連続しているので、ネジは、第2ネジ穴から外れた場合、壁面螺合部と螺合しない限り、第1ネジ穴とも螺合しない。これにより、ネジが第1ネジ穴と螺合する可能性を低くすることができる。
【0014】
前記壁面螺合部が、前記第2ネジ穴のネジ山とも連続していることが好ましい。
このような構成であれば、壁面螺合部のネジ山は第2ネジ穴のネジ山とも連続しているので、ネジは、第2ネジ穴から外れた場合、壁面螺合部ならびに第1ネジ穴とさらに螺合しにくくなる。これにより、ネジが第1ネジ穴と螺合する可能性をより低くすることができる。
【発明の効果】
【0015】
このようにした本発明によれば、ネジ及び接続体の被接続体からの脱落をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る接続構造を複数用いた装置を模式的に示す断面図。
【
図2】同実施形態に係る接続構造のネジを示す模式図。
【
図3】同実施形態に係る接続構造を複数適用した装置において、一部の接続構造のネジが第2ネジ穴から外れた場合の様子を模式的に示す断面図。
【
図4】同実施形態に係る接続構造において、ネジが第2ネジ穴から外れた状態を模式的に示すA-A’線断面図。
【
図5】同実施形態に係る接続構造を複数適用した装置において、全ての接続構造のネジが第2ネジ穴から外れた場合の様子を模式的に示す断面図。
【
図6】変形実施形態に係る、貫通孔が丸孔状をなす接続構造を適用した装置を模式的に示す断面図。
【
図7】変形実施形態に係る、壁面螺合部が第1ネジ穴のネジ山とのみ連続している接続構造を適用した装置を模式的に示す断面図。
【
図8】変形実施形態に係る、壁面螺合部が設けられていない接続構造を適用した装置を模式的に示す断面図。
【
図9】変形実施形態に係る、第1ネジ穴が傾斜面の中腹に開口するように設けられた接続構造を適用した装置を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施形態に係る接続構造を複数適用した装置について図面を参照して説明する。
【0018】
<装置構成>
本実施形態に係る装置100は、例えば、被検査体の表面検査等に用いられる検査用照明装置であり、光源であるLED等が内蔵された被接続体である本体2と、接続体であるカバー体3とを備え、これら本体2及びカバー体3を以下に述べる接続構造4を用いて接続したものである。
【0019】
この接続構造4は、
図1に示すように、ネジ41と、前記本体2に設けられた内部空間Sと、該内部空間Sを形成する壁体42の1つである第1壁体421を貫通する第1ネジ穴44と、前記第1壁体421とは前記内部空間Sを挟んで反対側の壁体である第2壁体422に設けられた第2ネジ穴45と、前記カバー体3を貫通する貫通孔43と、を備え、前記ネジ41を、前記カバー体3の貫通孔43に先端から挿通した後、前記本体2の第1ネジ穴44に螺入して挿通させ、前記第2ネジ穴45に締結することによって、該カバー体3を前記本体2に接続するものである。
【0020】
ネジ41は、
図2に示すように先端からネジ部411、胴部412及び頭部413がこの順で形成されており、胴部412の径よりネジ部411の呼び径及び頭部413の径の方が大きく設定されたものである。
【0021】
内部空間Sは、本体2におけるカバー体3が取り付けられる外面に沿って設けられたものであり、
図1に示すように、少なくとも4つの壁体によって囲まれたものである。4つの壁体とは、カバー体3の外面を形成する第1壁体421と、この第1壁体421に対し内部空間Sを挟んで反対側の壁体である第2壁体422と、その両側方に設けられた第3壁体423及び第4壁体424である。
【0022】
第1ネジ穴44は、ネジ部411が螺合可能なものであり、ここでは第1壁体421を貫通するように設けられている。
【0023】
第2ネジ穴45は、ネジ部411が螺合可能な止まり孔であり、ここでは第1ネジ穴44の軸4Aと同軸となるように第2壁体422に設けられている。
【0024】
貫通孔43は、カバー体3における第1ネジ穴44に対応する位置に設けられており、本実施形態では長孔状をなしている。ここでは、その幅寸法がネジ部411の呼び径及び胴部412の径よりも大きく、かつ、頭部413の径よりも小さくなるように設定されている。すなわち、貫通孔43は、ネジ41を挿通する場合に、ネジ部411及び胴部412は挿通できるが、頭部413が引っかかるように設定されている。
【0025】
しかして、本発明に係る接続構造4は、壁面螺合部46と、長孔47と、傾斜面48とをさらに備えている。
【0026】
壁面螺合部46は、第3壁体423の内面に、第1ネジ穴44及び第2ネジ穴45のネジ山から連続し、かつ、軸4A方向に延びるように切られたネジ山である。この壁面螺合部46は、第1ネジ穴44及び第2ネジ穴45のネジ山から連続しているので、ネジ41は、該壁面螺合部46と螺合した状態でなければ第1ネジ穴44及び第2ネジ穴45とも螺合しない。
【0027】
長孔47は、第1ネジ穴44から側方に連続しており、第1壁体421を貫通するように設けられている。この長孔47は、その幅寸法がネジ部411の呼び径よりも小さく、かつ、胴部412の径よりも大きく設定されている。すなわち、長孔47は、締結状態からネジ41が緩み第2ネジ穴45から外れた場合に、ネジ部411が引っかかるように設定されている。
【0028】
傾斜面48は、第1壁体421の内面において、第1ネジ穴44の開口から連続して延びる長孔47の開口が、該第1壁体421の外面側に向かって傾斜するように設けられている。この傾斜面48は、第3壁体423から離れるほど第1壁体421に近づく方向に傾斜し、かつ、本実施形態では第1ネジ穴44の開口位置において第2壁体422と最も近くなるように設定されている。
【0029】
そして、本実施形態では装置100が上記の接続構造4を複数備えており、少なくとも2つ以上の接続構造4がカバー体3を共有している。
【0030】
<設定及び動作>
このように構成した装置100の設定や動作について説明する。
【0031】
初めに、ネジ41を第2ネジ穴45に締結するまでの流れを説明する。
【0032】
まず、ネジ41を先端から貫通孔43に挿通させる。この時、長孔状をなす貫通孔43の幅寸法はネジ部411の呼び径よりも大きく、かつ、頭部413の径よりも小さく設定されているので、ネジ部411及び胴部412のみが挿通し、頭部413は引っかかった状態となる。
【0033】
次に、この状態でネジ41を第1ネジ穴44に螺入して挿通するまでねじ込む。
【0034】
すると、ネジ41は第1ネジ穴44のネジ山と連続し、かつ、軸4A方向に延びるように設けられた壁面螺合部46のネジ山とも螺合するので、ネジ41をさらにねじ込んでいく。
【0035】
最後に、壁面螺合部46のネジ山は第2ネジ穴45のネジ山とも連続しているので、ネジ41をそのまま第2ネジ穴45に螺入してねじ込むことで締結が完了する。ここで、頭部413は貫通孔43に引っかかった状態であるので、締結することで頭部413によってカバー体3が本体2に押し付けられて固定される。そして、これを以てカバー体3が本体2に接続される。
【0036】
次に、ネジ41が第2ネジ穴45から外れた場合に、ネジ41及びカバー体3の脱落を防止するまでの流れを説明する。
【0037】
まず、一部の接続構造4のみでネジ41が第2ネジ穴45から外れた場合について
図3を参照しながら説明する。
【0038】
ここで、
図4は、
図3においてネジ41が第2ネジ穴45から外れた状態の接続構造4をA-A’線に従って見た場合の断面図である。この図から、壁面螺合部46が第3壁体423の内面に切られており、第1ネジ穴44と同軸かつ同径であること、ならびに、長孔47が第1ネジ穴44から側方に連続するように設けられていることが分かる。
【0039】
ネジ41は、振動や衝撃によって第2ネジ穴45から外れると、胴部412が貫通孔43及び長孔47に挿通し、ネジ部411が長孔47に引っかかった状態となる。これは、長孔47の幅寸法が胴部412の径よりも大きく、かつ、ネジ部411の呼び径よりも小さく設定されているためである。またこの時、ネジ41が第1ネジ穴44と螺合する可能性は十分低い。なぜなら、第1ネジ穴44と螺合するには、壁面螺合部46とも螺合する必要があるからである。
【0040】
続いて、ネジ41はネジ部411が長孔47に引っかかった状態で傾斜面48に沿って、長孔47の長手方向に滑り、軸4Aから離れた位置に移動する。この時、カバー体3は他の接続構造4によって本体2に固定されているが、貫通孔43が長孔状をなしているため、接続構造4ごとに独立してネジ41の移動が可能となっている。
【0041】
これにより、ネジ41が再び軸4A上に戻って第1ネジ穴44に螺合することはなく、また、ネジ部411が長孔47に引っかかっているので、ネジ41が本体2から脱落する可能性は低くなる。
【0042】
次に、全ての接続構造4でネジ41が第2ネジ穴45から外れた場合について
図5を参照しながら説明する。
【0043】
まず、全てのネジ41が振動や衝撃によって第2ネジ穴45から外れると、一部のネジ41が外れた場合と同様に、胴部412が貫通孔43及び長孔47に挿通し、ネジ部411は長孔47に引っかかった状態となる。またこの時、上述したように壁面螺合部46が設けられていることによって、ネジ41が第1ネジ穴44と螺合する可能性は十分低い。
【0044】
続いて、ネジ41はネジ部411が長孔47に引っかかった状態で傾斜面48に沿って、長孔47の長手方向に滑り、軸4Aから離れた位置に移動する。この時、全ての接続構造4でネジ41が第2ネジ穴45から外れているので、本体2とカバー体3との接続は解除されているが、貫通孔43に頭部413が引っかかっているため、カバー体3は脱落せずにネジ41とともに移動する。
【0045】
これにより、上述したようにネジ41が再び軸4A上に戻り、第1ネジ穴44に螺合することはなく、また、ネジ部411が長孔47に引っかかっているので、ネジ41が本体2から脱落する可能性は低くなり、同時にカバー体3が脱落する可能性も低くなる。
【0046】
<本実施形態の効果>
このように構成された本実施形態に係る装置100によれば、振動や衝撃によってネジ41が第2ネジ穴45から外れた場合、ネジ41が傾斜面48に沿って軸4Aから離れた位置へ移動し、その位置から軸4A上に戻ることはないので、第1ネジ穴44と螺合することはない。また、頭部413が貫通孔43に引っかかっているので、本体2とカバー体3との接続が解除されても、カバー体3はネジ41に支持されて脱落しない。
その結果、ネジ41及びカバー体3の本体2からの脱落をより確実に防止することができる。
【0047】
<本発明の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0048】
前記実施形態では、貫通孔43が長孔状をなすものであったが、
図6に示すように丸孔状をなすものであってもよい。ここで、装置100に接続構造4が複数適用されている場合に、一部の接続構造4のみでネジ41が第2ネジ穴45から外れると、カバー体3が他の接続構造4によって本体2に接続された状態では、ネジ41が長孔47の長手方向に移動できず、軸4A上に留まってしまう。しかしながら、本発明においてネジ41が軸4A上に留まることは、ネジ41及びカバー体3の本体2からの脱落を防止する上で避ける必要がある。従って、本実施形態を適用する場合には、装置100に対して、単一の接続構造4のみが適用された構成とする。
【0049】
前記実施形態では、壁面螺合部46が第1ネジ穴44のネジ山及び第2ネジ穴45のネジ山の両方と連続していたが、
図7に示すように第1ネジ穴44のネジ山とのみ連続していてもよい。この場合であっても、第2ネジ穴45から外れたネジ41は、壁面螺合部46と螺合しない限り、第1ネジ穴44とも螺合しない。また、傾斜面48が設けられているので、ネジ41は該傾斜面48に沿って長孔47の長手方向に移動し、軸4A上に戻ることはない。従って、このような構造にしても、ネジ41及びカバー体3の本体2からの脱落を十分に防止することができる。
【0050】
さらに、
図8に示すように壁面螺合部46が設けられていなくてもよい。この場合であっても、第2ネジ穴45から外れたネジ41は、該傾斜面48に沿って長孔47の長手方向に移動し、軸4A上に戻ることはない。従って、このような構造にしても、ネジ41及びカバー体3の本体2からの脱落を十分に防止することができる。
【0051】
前記実施形態では、傾斜面48が第1ネジ穴44の開口位置において第2壁体422と最も近くなるように設定されているが、
図9に示すように第1ネジ穴の開口位置が傾斜面48の中腹に設けられていてもよい。この場合であっても、第2ネジ穴45から外れたネジ41は、該傾斜面48に沿って長孔47の長手方向に移動し、軸4A上に戻ることはない。従って、このような構造にしても、ネジ41及びカバー体3の本体2からの脱落を十分に防止することができる。
【0052】
その他、本発明は前記実施形態に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【0053】
また、本発明は照明装置に限らず、ネジによって接続体を被接続体へ接続する接続構造を必要とする種々の装置に対しても適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
100・・・装置
2 ・・・本体(被接続体)
3 ・・・カバー体(接続体)
4 ・・・接続構造
41 ・・・ネジ
411・・・ネジ部
412・・・胴部
413・・・頭部
421・・・第1壁体
422・・・第2壁体
423・・・第3壁体
43 ・・・貫通孔
44 ・・・第1ネジ穴
45 ・・・第2ネジ穴
46 ・・・壁面螺合部
47 ・・・長孔
48 ・・・傾斜面
S ・・・内部空間