(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092767
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】害虫忌避製品
(51)【国際特許分類】
A01N 31/06 20060101AFI20230627BHJP
A01N 47/16 20060101ALI20230627BHJP
A01N 37/18 20060101ALI20230627BHJP
A01N 37/46 20060101ALI20230627BHJP
A01P 17/00 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
A01N31/06
A01N47/16 A
A01N37/18 Z
A01N37/46
A01P17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207968
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000207584
【氏名又は名称】大日本除蟲菊株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田丸 友裕
(72)【発明者】
【氏名】三好 一史
(72)【発明者】
【氏名】下方 宏文
(72)【発明者】
【氏名】中山 幸治
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC06
4H011BA01
4H011BB04
4H011BB06
4H011BB13
4H011BC03
4H011BC19
4H011DA13
4H011DA21
4H011DB05
4H011DE16
4H011DH10
(57)【要約】
【課題】本発明は、害虫忌避組成物が、本体の少なくとも一部又は全部が透明なポリエチレンテレフタレート製容器に充填された害虫忌避製品において、ポリエチレンテレフタレート製容器の脆化を抑制し、さらに、内容液の視認性にも優れる害虫忌避製品を提供する。
【解決手段】 害虫忌避組成物が、本体の少なくとも一部又は全部が透明なポリエチレンテレフタレート製容器に充填された害虫忌避製品であり、 前記害虫忌避組成物は(A)イカリジン、ディート、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、及びp-メンタン-3,8-ジオールからなる群より選択される1種又は2種以上を含有し、前記容器の光透過性が、波長700nmにおける光透過率が5~95%である害虫忌避製品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
害虫忌避組成物が、本体の少なくとも一部又は全部が透明なポリエチレンテレフタレート製容器に充填された害虫忌避製品であり、
前記害虫忌避組成物は
(A)イカリジン、ディート、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、及びp-メンタン-3,8-ジオールからなる群より選択される1種又は2種以上を含有し、
前記容器の光透過性が、波長700nmにおける光透過率が5~95%である害虫忌避製品。
【請求項2】
前記容器は着色されている請求項1に記載の害虫忌避製品。
【請求項3】
前記(A)成分の含有量が、害虫忌避組成物全量に対して1.0~30.0w/v%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の害虫忌避製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫忌避製品に関する。
【背景技術】
【0002】
透明なプラスチック樹脂ボトルやガラス瓶などの容器に充填された製品は、缶や非透明なプラスチック樹脂ボトルに比べて、内容液の色や残量が外観上視認できるというメリットがある。そのため、飲料、香料や各種内容液を収容するために用いられている(特許文献1、2)。
【0003】
中でもポリエチレンテレフタレート(PET)製の透明容器は、耐熱性や耐寒性、強度に優れ、さらに審美性に優れることから、飲料や日用品の分野において広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-94119号公報
【特許文献2】特開2020-117256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、内容液の種類によっては、ポリエチレンテレフタレート製容器に内容液が付着した際に、クレーズ(白い変色)やクラック(割れ)等の脆化を生じることが知られており、この現象はポリエチレンテレフタレート製容器の性能や審美性の低下を招き、さらには、内容液の視認性の低下も招くおそれがあった。
【0006】
本発明は、害虫忌避組成物が、本体の少なくとも一部又は全部が透明なポリエチレンテレフタレート製容器に充填された害虫忌避製品において、ポリエチレンテレフタレート製容器の脆化を抑制し、さらに、内容液の視認性にも優れる害虫忌避製品を提供することを目的とする。
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記の構成が優れた効果を奏することを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記に掲げる害虫忌避製品を提供する。
(1)害虫忌避組成物が、本体の少なくとも一部又は全部が透明なポリエチレンテレフタレート製容器に充填された害虫忌避製品であり、
前記害虫忌避組成物は
(A)イカリジン、ディート、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、及びp-メンタン-3,8-ジオールからなる群より選択される1種又は2種以上を含有し、
前記容器の光透過性が、波長700nmにおける光透過率が5~95%である害虫忌避製品。
(2)前記容器は着色されている(1)に記載の害虫忌避製品。
(3)前記(A)成分の含有量が、害虫忌避組成物全量に対して1.0~30.0w/v%であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の害虫忌避製品。
【0009】
本発明により、害虫忌避組成物が、本体の少なくとも一部又は全部が透明なポリエチレンテレフタレート製容器に充填された害虫忌避製品において、ポリエチレンテレフタレート製容器の脆化を抑制し、さらに、内容液の視認性にも優れる害虫忌避製品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の害虫忌避製品について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態は本発明を具現化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、本明細書において、含有量の単位「w/v%」は、「g/100ml」と同義である。なお、本明細書における範囲を示す表記「~」がある場合は、上限と下限を含有するものとする。
【0011】
[害虫忌避製品]
本発明の害虫忌避製品は、害虫忌避組成物が、本体の少なくとも一部又は全部が透明なポリエチレンテレフタレート製容器に充填された害虫忌避製品であり、
前記害虫忌避組成物は
(A)イカリジン、ディート、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、及びp-メンタン-3,8-ジオールからなる群より選択される1種又は2種以上を含有し、
前記容器の光透過性が、波長700nmにおける光透過率が5~95%である害虫忌避製品である。
【0012】
[害虫忌避組成物]
本発明の害虫忌避組成物は、(A)イカリジン、ディート、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、及びp-メンタン-3,8-ジオールからなる
群より選択される1種又は2種以上を含有するものである。
【0013】
((A)成分)
本発明に用いられる(A)成分は、(A)イカリジン、ディート、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、及びp-メンタン-3,8-ジオールからなる群より選択される1種又は2種以上が挙げられ、(A)イカリジン又はディートであることが好ましい。不斉炭素に基づく光学異性体や二重結合に基づく幾何異性体が存在する場合、それらの各々や任意の混合物も本発明の(A)成分に包含される。
【0014】
前記(A)成分は害虫忌避効果を奏する。害虫忌避組成物全量に対する(A)成分の含有量は、特に限定されないが、1.0~30.0w/v%であることが好ましく、3.0~20.0w/v%であることがより好ましく、5.0~15.0w/v%であることがさらに好ましい。
【0015】
((B)有機溶剤)
本発明の害虫忌避組成物は、(B)有機溶剤を含有することが好ましい。かかる(B)有機溶剤としては、特に限定されないが、エタノール、イソプロパノール、フェノキシエタノール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等が挙げられ、中でも、エタノールが好ましい。害虫忌避組成物全量に対する(B)成分の含有量は、特に限定されないが、10.0~90.0w/v%であることが好ましく、20.0~80.0w/v%であることがより好ましく、30.0~70.0w/v%であることがさらに好ましい。
【0016】
((C)水)
本発明の害虫忌避組成物は、(C)水を含有することが好ましい。かかる(C)水としては、イオン交換水や逆浸透膜水等の精製水や、通常の水道水や工業用水、海洋深層水等が挙げられ、硬水、軟水は問わない。害虫忌避組成物全量に対する(C)成分の含有量は、特に限定されないが、5.0~65.0w/v%であることが好ましく、10.0~55.0w/v%であることがより好ましく、20.0~45.0w/v%であることがさらに好ましい。
【0017】
((D)ヒアルロン酸又はヒアルロン酸塩)
本発明の害虫忌避組成物は、(D)ヒアルロン酸又はヒアルロン酸塩を含有することが好ましく、ヒアルロン酸塩を含有することがより好ましい。本発明におけるヒアルロン酸塩とは、ヒアルロン酸のナトリウム塩、リン酸塩もしくはカルシウム塩等の製剤的に許容可能な塩であり、(D)成分として、ヒアルロン酸ナトリウムを含有することが好ましい。害虫忌避組成物全量に対する(D)成分の含有量は、特に限定されないが、0.0001~0.2w/v%であることが好ましく、0.0005~0.15w/v%であることがより好ましく、0.0007~0.1w/v%であることがさらに好ましい。
【0018】
(その他成分)
また、本発明の効果を阻害しない限り、本発明の害虫忌避組成物には、(A)~(D)成分以外に、その他成分が適宜配合されていても良い。一例を挙げると、その他成分は、前記(A)成分以外の他の害虫忌避成分、pH調整剤、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ブチルヒドロキシトルエン等の抗酸化剤、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸等の安定化剤、タルクや珪酸等の無機粉体、殺菌剤(防黴剤)、精油、消臭剤、芳香剤(香料)、色素、感触付与剤、UV吸収抑制剤等が挙げられる。
【0019】
他の害虫忌避成分としては、フェノトリン、ジブチルフタレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、p-ジクロロベンゼン、ジ-n-ブチルサクシネート、カプリン酸ジエチルアミド、n-プロピルアセトアニリド等が挙げられる。
【0020】
pH調整剤としては、限定はされないが、クエン酸、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエタノールアミン、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
【0021】
ノニオン系界面剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(POEアルキルエーテル)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(POEアルキルフェニルエーテル)、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル(POE高級脂肪酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(POEソルビタン脂肪酸エステル)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(POEグリセリン脂肪酸エステル)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(POEPOPアルキルエーテル)、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0022】
精油としては、例えば、ハッカ油、ラベンダー油、ローズ油、ゼラニウム油、ユーカリ油、レモン油、レモングラス油、イランイラン油、スペアミント油、ローズマリー油、ベルガモット油、シトロネラ油、オレンジ油、ラバンジン油、パチュリ油、シダーウッド油、ジャスミン油、プチグレン油、レモンユーカリ油、グレープフルーツ油、ライム油、ウイキョウ油、パインオイル、カミツレ油、チョウジ油、シナモン油及びテレビン油等の精油が挙げられる。これらの中でも、ハッカ油、ユーカリ油、ラベンダー油およびベルガモット油からなる群より選択される1種又は2種以上が好ましい。
【0023】
(pH)
本発明の害虫忌避組成物は、成分の安定性、皮膚や粘膜に対する低刺激性の観点から、pH4.0~9.0の液性を備えていることが好ましい。より好ましくはpH4.5~9.0であり、さらに好ましくはpH5.0~9.0、とりわけ好ましくはpH5.5~8.0の弱酸性又は中性である。害虫忌避組成物のpHは、20℃において、市販のpHメーター(例えばメトラトレド製、Seven2Go(登録商標)型等)を使用して測定できる。なお、害虫忌避組成物が水を含有しない場合、前記害虫忌避組成物を精製水で20倍希釈して測定した値をpHとする。
【0024】
(容器)
本発明の害虫忌避製品において、前記害虫忌避組成物が充填されるのは、本体の少なくとも一部又は全部が、透明(光透過性)なポリエチレンテレフタレート製容器であり、前記容器の光透過性が、波長700nmにおける光透過率が5~95%であり、好ましくは波長700nmにおける光透過率が10~90%であり、より好ましくは波長700nmにおける光透過率が35~90%である。本発明では、容器の光透過性が、波長700nmにおける光透過率が5~95%であることにより、ポリエチレンテレフタレート製容器の脆化を抑制し、さらに、内容液の視認性にも優れたものとなる。ここで、本体とは、内容物である害虫忌避組成物の収容部を指す。光透過率の測定器としては、例えば、島津製作所製の紫外可視分光光度計(UV-1800)等が挙げられる。なお、本発明において、ポリエチレンテレフタレート製容器というときの「製」とは、主にポリエチレンテレフタレート樹脂を含む容器を意味し、必ずしも全てが同じ樹脂からなるものでなくても良い。
【0025】
容器の厚みは、適宜選択でき、限定はされないが、0.02~0.2mmが好ましく、0.03~0.15mmがより好ましい。
【0026】
容器は、無色でも着色されていても良く、ラメが入っていても良い。中でも、容器が着色されているものが好ましい。容器が着色されている場合、容器の色は特に限定されないが、緑色、青色、紫色、桃色、赤色、黄色に着色されているものが好ましい。
【0027】
また、容器の一部又は全部がフィルム等で覆われていてもよい。例えば、内容表示用ラベル・印刷部分は不透明あるいは半透明でそれ以外の部分が透明な容器や、看視窓程度の大きさの透明部分のみを有する不透明容器など、内容物が視認できる透明部分が存在する限りにおいて透明領域については特に限定されない。
【0028】
使用される容器の形状は、適宜選択でき、限定はされないが、円柱、四角柱、多角柱、三角柱あるいは一部に凸部や凹部を有する略円柱状のもの等いずれでも良く、スポイドタイプ、ディスペンサータイプ、スプレータイプ、ボトルタイプ等が挙げられる。限定はされないが、特にアクチュエータ付きポンプタイプ容器又はエアゾールタイプ容器が好ましい。本発明の害虫忌避組成物は、例えば、(A)~(D)成分、及び必要に応じてその他成分のいずれか又は複数を配合混合し、さらに必要に応じてその他の溶媒や通常使用される基剤等を配合することによって、液状にし、ポンプタイプ容器又はエアゾールタイプ容器に充填された害虫忌避製品であることが特に好ましい。ポンプタイプ容器では、液状の害虫忌避組成物が収容部に充填され、バルブ機能やポンプ機能を併せ持つアクチュエータによって開口を閉止されることで害虫忌避製品を製造できる。エアゾールタイプ容器では、液状の害虫忌避組成物は噴射剤と共に収容部に充填され、バルブ機構を含むアクチュエータによって開口を閉止されることで害虫忌避製品を製造できる。
【0029】
(ポンプタイプ容器におけるアクチュエータ)
アクチュエータは、容器の収容部の開口を閉止すると共に、収容部内に収容される害虫忌避組成物を噴射するための部材である。アクチュエータは、収容される害虫忌避組成物を取り出すためのバルブ機構と、バルブ機構を作動するためのステム機構と、ステム機構と連動し、バルブ機構によって取り出された害虫忌避組成物を噴射するための噴口が形成されている。また、噴射部材は、典型的には、使用者に操作されるプッシュダウン部又はトリガー部を有する。
【0030】
本発明の一態様においては、使用者によってプッシュダウン部又はトリガー部を操作されることにより、ステム機構及びバルブ機構が作動し、容器から害虫忌避組成物を取り出して、噴射部材の噴口から噴射することができる。
【0031】
アクチュエータの形状は、特に限定されないが、トリガー部を備えたトリガータイプ、プッシュダウン部を備えたフィンガーポンプタイプ等が挙げられる。これらのアクチュエータの噴口の大きさは、一例をあげると、直径0.05~1.0mmであり、噴口は1つでも複数でも良い。ディップチューブの内径は、一例を挙げると、1~10mmであり、1~5mmが好ましい。1回噴射当たりの噴射量は、例えば0.05~3.0mLであり、0.05~1.5mLが好ましい。蓄圧式ポンプの場合、1秒当たりの噴射量は、例えば0.1~5.0gである。
【0032】
このような態様においては、容器に害虫忌避組成物を充填し、アクチュエータによって容器の開口を閉止することによって、組成物を噴射する害虫忌避製品が製造できる。
【0033】
(エアゾールタイプ容器におけるアクチュエータ)
アクチュエータは、容器の収容部の開口を閉止すると共に、収容部内に充填される害虫忌避組成物を噴射するための部材である。アクチュエータは、収容される害虫忌避組成物を取り出すためのバルブ機構と、バルブ機構を作動するためのステム機構と、ステム機構と連動し、バルブ機構によって取り出された害虫忌避組成物を噴射するための噴口が形成されている。また、噴射部材は、典型的には、使用者に操作されるプッシュダウン部又はトリガー部を有する。
【0034】
本発明の一態様においては、使用者によってプッシュダウン部又はトリガー部を操作されることにより、ステム機構及びバルブ機構が作動し、収容部と外部とが連通する。これにより、収容部内の害虫忌避組成物及び噴射剤は、容器内と外部との圧力差に従って容器から取り出され、噴射部材の噴口から噴射することができる。
【0035】
アクチュエータの形状は、特に限定されないが、トリガー部を備えたトリガータイプ、プッシュダウン部を備えたプッシュボタンタイプ等が挙げられる。これらのアクチュエータの噴口の大きさは、一例をあげると、直径0.05~1.0mmであり、噴口は1つでも複数でもよい。1秒あたりの噴射量は、例えば、0.1~5gである。
【0036】
(噴射剤)
噴射剤は、エアゾールタイプ製品を製造する際に、害虫忌避組成物と共に容器に加圧充填される内容物である。噴射剤は、アクチュエータが作動されることにより、害虫忌避組成物と共に噴射される。その際、噴射剤は、害虫忌避組成物を噴射する際の推進力を付与すると共に、害虫忌避組成物を微細化する。
【0037】
噴射剤は、特に限定されないが、一例をあげると、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン等の液化石油ガス(LPG)、ノルマルペンタン、イソペンタン、ジメチルエーテル(DME)、及びトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン、トランス-2,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン、HFO1234ze等のハイドロフルオロオレフィン等の液化ガス、並びに窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素、及び圧縮空気等の圧縮ガスが挙げられる。上記の噴射剤は、単独又は混合状態で使用することができ、液化ガス及び圧縮ガスは、併用されてもよい。
【0038】
噴射剤として、液化ガスが使用される場合、液化ガスの充填量は特に限定されない。一例を挙げると、液化ガスの充填量は、害虫忌避組成物及び噴射剤の合計に対し、20~80容量%である。また、液化ガスの充填量は、25℃におけるエアゾール容器内の圧力が0.1~0.7MPaとなる量であることが好ましい。
【0039】
噴射剤として圧縮ガスが使用される場合、圧縮ガスの充填量は特に限定されない。一例を挙げると、圧縮ガスの充填量は、25℃におけるエアゾール容器内の圧力が0.1~1.0MPaとなる量であることが好ましい。
【0040】
本明細書における害虫としては、限定はされないが、特には、蚊(蚊成虫を含む)、ブユ、サシバエ、イエバエ、マダニ、ナンキンムシ、アブ等の衛生害虫に加え、ユスリカ、チョウバエ等の不快害虫も含まれる。
【0041】
本発明の害虫忌避製品は、用途等に応じて1日あたり1回から数回に分けて、害虫忌避製品として公知あるいは慣用されている用法・用量にて使用することができる。すなわち、肌に直接適用又は服の上からの適用が可能である。場合により、マスクの上からの使用も可能な場合もある。持続時間は任意であるが、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3時間以上とすることができる。
【0042】
また、本発明の害虫忌避製品は、大人から子どもまで使用することも可能である。例えば、(A)成分として、イカリジンを選択することで、6か月未満の乳児を含む小児に用いられる為の害虫忌避製品とすることも可能である。さらに、6か月以上2歳未満の年齢の小児には、1日1回又は2回以上の使用、2歳以上12歳未満の小児に、1日1~3回、又は3回以上の使用が可能である。実質的に1日の回数の厳密な制限がなく使用することができる。
【実施例0043】
以下、実施例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0044】
[製造例]
以下に記載の手順によって実施例1~6、比較例1~2の害虫忌避製品を製造した(害虫忌避組成物の処方や容器の特徴は表1にも記載する)。なお、表1において、IR3535は、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステルを表わし、PMDはp-メンタン-3,8-ジオールを表わし、DPGMEはジプロピレングリコールメチルエーテルを表わすものとする。
【0045】
(A)イカリジン5.0g(5.0w/v%)、(B)エタノール50.0g(50w/v%)に(C)水を残分(バランス)混合し、全量100mLの害虫忌避組成物を調製した。本組成物を紫色に着色されている透明なポリエチレンテレフタレート製容器(波長700nmにおける光透過率88%、全体が透明、容器の厚み0.05mm)に充填し、プッシュダウン式のアクチュエータを装着して、実施例1の害虫忌避製品を得た。
【0046】
(A)ディート5.0g(5.0w/v%)、(B)エタノール50.0g(50w/v%)に(C)水を残分(バランス)混合し、全量100mLの害虫忌避組成物を調製した。本組成物を紫色に着色されている透明なポリエチレンテレフタレート製容器(波長700nmにおける光透過率88%、全体が透明、容器の厚み0.05mm)に充填し、プッシュダウン式のアクチュエータを装着して、実施例2の害虫忌避製品を得た。
【0047】
(A)3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル(表1においてIR3535と記載)5.0g(5.0w/v%)、(B)エタノール50.0g(50w/v%)に(C)水を残分(バランス)混合し、全量100mLの害虫忌避組成物を調製した。本組成物を紫色に着色されている透明なポリエチレンテレフタレート製容器(波長700nmにおける光透過率88%、全体が透明、容器の厚み0.05mm)に充填し、プッシュダウン式のアクチュエータを装着して、実施例3の害虫忌避製品を得た。
【0048】
(A)p-メンタン-3,8-ジオール(表1においてPMDと記載)5.0g(5.0w/v%)、(B)エタノール50.0g(50w/v%)に(C)水を残分(バランス)混合し、全量100mLの害虫忌避組成物を調製した。本組成物を紫色に着色されている透明なポリエチレンテレフタレート製容器(波長700nmにおける光透過率88%、全体が透明、容器の厚み0.05mm)に充填し、プッシュダウン式のアクチュエータを装着して、実施例4の害虫忌避製品を得た。
【0049】
(A)イカリジン5.0g(5.0w/v%)、(B)エタノール50.0g(50w/v%)に(C)水を残分(バランス)混合し、全量100mLの害虫忌避組成物を調製した。本組成物を桃色に着色されている透明なポリエチレンテレフタレート製容器(波長700nmにおける光透過率45%、全体が透明、容器の厚み0.1mm)に充填し、プッシュダウン式のアクチュエータを装着して、実施例5の害虫忌避製品を得た。
【0050】
(A)イカリジン5.0g(5.0w/v%)、(B)エタノール50.0g(50w/v%)に(C)水を残分(バランス)混合し、全量100mLの害虫忌避組成物を調製した。本組成物を緑色に着色されている透明なポリエチレンテレフタレート製容器(波長700nmにおける光透過率28%、全体が透明、容器の厚み0.05mm)に充填し、プッシュダウン式のアクチュエータを装着して、実施例6の害虫忌避製品を得た。
【0051】
(A)ディート10.0g(10.0w/v%)、(B)エタノール50.0g(50w/v%)、(D)ヒアルロン酸ナトリウム0.002g(0.002w/v%)に(C)水を残分(バランス)混合し、全量100mLの害虫忌避組成物を調製した。本組成物を紫色に着色されている透明なポリエチレンテレフタレート製容器(波長700nmにおける光透過率88%、全体が透明、容器の厚み0.05mm)に充填し、プッシュダウン式のアクチュエータを装着して、実施例7の害虫忌避製品を得た。
【0052】
(A)イカリジン15.0g(15.0w/v%)、(B)エタノール50.0g(50w/v%)、(D)ヒアルロン酸ナトリウム0.001g(0.001w/v%)に(C)水を残分(バランス)混合し、全量100mLの害虫忌避組成物を調製した。本組成物を紫色に着色されている透明なポリエチレンテレフタレート製容器(波長700nmにおける光透過率88%、全体が透明、容器の厚み0.05mm)に充填し、プッシュダウン式のアクチュエータを装着して、実施例8の害虫忌避製品を得た。
【0053】
(A)イカリジン15.0g(15.0w/v%)、(B)エタノール50.0g(50w/v%)、(D)ヒアルロン酸ナトリウム0.001g(0.001w/v%)に(C)水を残分(バランス)混合し、全量100mLの害虫忌避組成物を調製した。本組成物を緑色に着色されている透明なポリエチレンテレフタレート製容器(波長700nmにおける光透過率28%、全体が透明、容器の厚み0.05mm)に充填し、プッシュダウン式のアクチュエータを装着して、実施例9の害虫忌避製品を得た。
【0054】
(A)ディート5.0g(5.0w/v%)、(B)エタノール50.0g(50w/v%)に(C)水を残分(バランス)混合し、全量100mLの害虫忌避組成物を調製した。本組成物を黒色の半透明なポリエチレンテレフタレート製容器(波長700nmにおける光透過率2%、容器の厚み0.1mm)に充填し、プッシュダウン式のアクチュエータを装着して、比較例1の害虫忌避製品を得た。
【0055】
(A)ディート5.0g(5.0w/v%)、(B)エタノール30.0g(30w/v%)及びジプロピレングリコールメチルエーテル(表1においてDPGMEと記載)20.0g(20w/v%)に(C)水を残分(バランス)混合し、全量100mLの害虫忌避組成物を調製した。本組成物を無色透明なポリエチレンテレフタレート製容器(波長700nmにおける光透過率100%、全体が透明、容器の厚み0.05mm)に充填し、プッシュダウン式のアクチュエータを装着して、比較例2の害虫忌避製品を得た。
【0056】
(脆化性(脆化抑制効果)の評価)
実施例1~9及び比較例1~2の害虫忌避製品を、それぞれ40℃において7日間静置後、容器本体の内部の様子を5名のパネラーがそれぞれ目視で観察した。そして、下記基準により、脆化性(脆化抑制効果)の程度を以下の基準で評価し、5名のパネラー全員で協議により決定した。この試験結果は、表1に記載する。
[評価基準]
〇:クレーズ(白い変色)が発生していない。
×:少数のクレーズが発生している。
【0057】
(液視認性の評価)
実施例1~9及び比較例1~2の害虫忌避製品を、それぞれ40℃において7日間静置後、5名のパネラーがそれぞれ目視で液量を観察し、以下の基準で評価し、5名のパネラー全員で協議により決定した。この試験結果は、表1に記載する。
[評価基準]
◎:はっきりと液量が分かる
〇:よく見ると液量が分かる
×:液量が分かりにくい
【0058】
【0059】
試験の結果、 害虫忌避組成物が、本体の少なくとも一部又は全部が透明なポリエチレンテレフタレート製容器に充填された害虫忌避製品であり、前記害虫忌避組成物は(A)イカリジン、ディート、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、及びp-メンタン-3,8-ジオールからなる群より選択される1種又は2種以上を含有し、前記容器の光透過性が、波長700nmにおける光透過率が5~95%である実施例1~9は、ポリエチレンテレフタレート製容器の脆化を抑制し、さらに、内容液の視認性にも優れるものであることが分かった。中でも、波長700nmにおける光透過率が35~90%である実施例1~5、及び7~8は内容液の視認性において、より優れたものであることが分かった。