(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009277
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】鶏皮串の調理方法
(51)【国際特許分類】
A23L 13/20 20160101AFI20230112BHJP
【FI】
A23L13/20
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184206
(22)【出願日】2022-11-17
(62)【分割の表示】P 2021142777の分割
【原出願日】2017-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】517143089
【氏名又は名称】佐野 直史
(74)【代理人】
【識別番号】100172306
【弁理士】
【氏名又は名称】知念 芳文
(72)【発明者】
【氏名】佐野 直史
【テーマコード(参考)】
4B042
【Fターム(参考)】
4B042AC03
4B042AC04
4B042AC05
4B042AC10
4B042AD24
4B042AE03
4B042AG07
4B042AH04
4B042AK06
4B042AP05
4B042AP30
(57)【要約】
【課題】何本も飽きずに食べられる鶏皮串、及び、一口で食べやすく、鶏皮の油分を落としつつ栄養分は保持したヘルシーな鶏皮串の提供。
【解決手段】鶏皮片2を折り重ねて串3に刺し通し、表面は比較的硬く、中は比較的柔らかく仕上がるように150~250℃の油温と所定の揚げ時間で、揚げ油で揚げた後にタレをつけ、スパイスを付す鶏皮串1の調理方法。一方側の第1の山部2aのそれぞれの頂点の串3からの距離が互いに略等しく、かつ他方側の第2の山部2aのそれぞれの頂点の串3からの距離が互いに略等しくなるように、鶏皮片2を折り重ね、第1の山部2aのそれぞれの頂点と第2の山部2aのそれぞれの頂点との略中心において、隣接する2つの鶏皮片2が当該略中心で互いに接触するように鶏皮片2に串3を刺し通した、鶏皮串1の調理方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚の鶏皮片を一方の面に複数の山部が隣接して形成され、他方の面に1つの山部が形成されるように3回折り曲げて串に刺し通し、鶏皮串を形成する第1工程と、
前記第1工程の後に行われる、前記鶏皮串を揚げ油に浸して加熱する第2工程と、
前記第2工程の後に行われる、加熱した前記鶏皮串にタレをつける第3工程と、
前記第3工程の後に行われる、タレをつけた前記鶏皮串にスパイスを付着させる第4工程と、を備え、
前記第1工程において、前記複数の山部のうち、一方側において隣接して形成された第1の山部のそれぞれの第1の頂点の前記串からの距離が互いに略等しくなるように、前記鶏皮片を折り重ね、
前記第1工程において、折り重ねられた前記鶏皮片の前記第1の山部のそれぞれの前記第1の頂点の前記串からの距離と他方側において形成された第2の山部の第2の頂点の前記串からの距離とが略等しくなるように、当該第1の頂点と当該第2の頂点との略中心において、隣接する2つの前記鶏皮片が当該略中心で互いに接触するように前記鶏皮片に前記串を刺し通し、
前記第2工程において、前記鶏皮片が前記串に近い部位ほどその全体が柔らかく前記串から離れた部位ほどその全体が硬くなるように、前記鶏皮串を150℃~250℃の所定温度の揚げ油に浸して所定時間加熱する鶏皮串の調理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鶏皮串の調理方法に関し、詳しくは、手頃なサイズで食べ易く、何本でも食べられる鶏皮串に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鶏皮を串に通して調理した鶏皮串が知られている。例えば、非特許文献1には、鶏皮を串に刺し、グリルやオーブンで加熱し、塩胡椒などで味付けした鶏皮串が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】クックパッド(https://cookpad.com/recipe/343331)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鶏皮には、タンパク質やコラーゲンを始めとする潤沢な栄養分が含まれ、健康や美容に良いことが知られている。ところが、従来の鶏皮串によると、加熱調理前後に塩胡椒など簡素な調味料を振りかけるのみであったため、すぐに飽きてしまって何本も食べられないという問題があった。
【0005】
また、従来の鶏皮串によると、長い串に多量の鶏皮片が通され、それぞれが串にしっかりと固着しているため、一口で全てを食べきることができなかった。そのため、まず串の先端の鶏皮片を食べ、次にその横にある鶏皮片に齧りつき、何口かに分けて鶏皮片を外しつつ食べる必要がある。このような食べ方の場合、特に、女性や子供など口の小さい者にとって食べ難いという問題があった。
【0006】
ところで、鶏皮は豊富な栄養分を含む一方、肥満など成人病の要因ともなる油分も多量に含んでいる。しかし、従来の鶏皮串の調理方法では、油分を充分に落とすために加熱時間を長くする必要があり、せっかく含まれていた栄養分までが失われてしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、何本食べても飽きが来ず、口の小さい者でも一口で食べることができ、栄養分を保持しつつ油分を充分に落とすことのできる鶏皮串の調理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の鶏皮串の調理方法は、次の工程を有する。
少なくとも1枚の鶏皮片を一方の面に複数の山部が隣接して形成され、他方の面に1つの山部が形成されるように3回折り曲げて串に刺し通し、鶏皮串を形成する第1工程と、前記第1工程の後に行われる、前記鶏皮串を揚げ油に浸して加熱する第2工程と、前記第2工程の後に行われる、加熱した前記鶏皮串にタレをつける第3工程と、前記第3工程の後に行われる、タレをつけた前記鶏皮串にスパイスを付着させる第4工程と、を備え、前記第1工程において、前記複数の山部のうち、一方側において隣接して形成された第1の山部のそれぞれの第1の頂点の前記串からの距離が互いに略等しくなるように、前記鶏皮片を折り重ね、前記第1工程において、折り重ねられた前記鶏皮片の前記第1の山部のそれぞれの前記第1の頂点の前記串からの距離と他方側において形成された第2の山部の第2の頂点の前記串からの距離とが略等しくなるように、当該第1の頂点と当該第2の頂点との略中心において、隣接する2つの前記鶏皮片が当該略中心で互いに接触するように前記鶏皮片に前記串を刺し通し、前記第2工程において、前記鶏皮片が前記串に近い部位ほどその全体が柔らかく前記串から離れた部位ほどその全体が硬くなるように、前記鶏皮串を150℃~250℃の所定温度の揚げ油に浸して所定時間加熱する鶏皮串の調理方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の鶏皮串によれば、タレとスパイスの調和により格別の旨味が生じ、飽きずに何本でも食べられるという優れた効果を奏する。また、串の長さと一本あたりの鶏皮の総質量を調整することで、一口で食べ易くなるという効果がある。さらに、前記鶏皮の総質量に見合った揚げ油の温度と揚げ時間を採用することで、栄養分を保持しつつ油分を充分に落としたヘルシーな鶏皮串を調理できるという顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による鶏皮串を示す斜視図である。
【
図3】串通しした鶏皮串を油揚げする工程を示す説明図である。
【
図4】油揚げした鶏皮串にタレを付す工程を示す説明図である。
【
図5】タレを付した鶏皮串にスパイスを付す工程を示す説明図である。
【
図6】本発明の他の実施形態による鶏皮串を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この実施形態の鶏皮串1は、串3と、鶏皮片2と、タレ4と、スパイス5から構成されている。鶏皮片2は少なくとも1回、通常複数回折り曲げて串3に通されている。鶏皮串1の表面にはタレが刷毛塗りされている。スパイス5はタレ4に重ねて適量付されている。また、鶏皮の部位としては、鶏の首周りの部位が好適であるが、モモ等の他の部位を使用しても良い。
【0012】
タレ4は、甘辛いタレが好ましく、スパイス5は大豆や高麗人蔘を含むものが望ましい。なお、スパイス5は、塩分は含まない方が良い。
【0013】
串3の長さは85mm~135mm、より好ましくは、115mm~125mmである。一口で容易に食べることができる点で、串の長さが135mmよりも長くなると、口の小さな者が一口で食べ難くなるという不都合があるからである。また、一本の串3に通す鶏皮片2の総質量は15g~30gが好ましく、より好ましくは、18g~22gである。鶏皮片2の枚数は、複数枚使用しても良いし、
図6に示すように1枚を幾重にも折り曲げて使用しても良い。
【0014】
以上の構成の鶏皮串1の調理方法を
図2~5に基づいて説明する。まず、
図2(a)に示すように、串3の持ち手部3bを持ち、先端3aを矢印のように鶏皮片2に複数回潜らせて刺し通し、
図2(b)に示すように、串3の上で鶏皮片2を折り重ねて、山部2aおよび谷部2bを含む鶏皮串1を形成する。このとき、一本の串3に通す鶏皮片2の総質量は15g~30g、より好ましくは、18g~22gである。
【0015】
次に、
図3(a)に示すように、鶏皮串1を加熱した揚げ油11へ浸す。そして、鶏皮串1を加熱した後に揚げ油11から引き上げる。このときの油温および揚げ時間は、
図3(b)に示すように、鶏皮片2が串3から離れた部位2xほど硬く、その内側部位2yほど柔らかく、串周辺の部位2zでさらに柔らかくなるような油温および時間に調整する。具体的には、鶏皮串1を浸す揚げ油11の温度は150℃~250℃、より好ましくは200℃~220℃である。また、鶏皮串1を揚げ油11に浸して加熱する時間は、60秒から180秒、より好ましくは、120秒~150秒である。鶏皮串1を150℃未満の揚げ油11で60秒より短い時間で揚げると、鶏皮片2の油分を充分に落とすことができない。一方、鶏皮串1を250℃超の揚げ油11で180秒より長い時間をかけて揚げると、鶏皮片2に含まれていた栄養分が失われてしまう。
【0016】
図4に示すように、鶏皮串1を揚げ油11で加熱した後は、刷毛12でタレ4を塗ってゆく。このとき、刷毛12で鶏皮片2の山部2aを押圧し、タレ4を鶏皮片2の谷部2bまで行き渡らせる。なお、鶏皮片2の両面にタレ4を刷毛塗りするのが好ましい。
【0017】
続いて、タレを刷毛塗りした鶏皮串1へ、
図5に示すようにスパイス5を振りかけ、鶏皮串1へスパイス5を付着させる。なお、鶏皮片2の両面にスパイス5を振りかけるのが好ましい。
【0018】
以上の方法で調理された鶏皮串1によれば、甘辛いタレ4とスパイス5が調和し、口の中で格別の旨味を生じさせるため、飽きずに何本でも食べられるという優れた効果を奏する。
【0019】
また、一般的に焼き物用の串の長さは150mmであるところ、本願発明の串は85mm~135mmであり、通す鶏皮片2の総質量も15g~30gと少ないため、女性や子供のように口の小さい者でも一口で食べられるという効果がある。
【0020】
さらに、前記質量の鶏皮片2を串3から離れた部位ほど硬く、串3に近い部位ほど柔らかくなるように油温および揚げ時間を調整して揚げるため、鶏皮片2の油分を短時間で落とし、一方で鶏皮片2特有の栄養分やコラーゲンを鶏皮片2の内部に閉じ込めることができるという効果がある。また、この調理法では、鶏皮片2を折り重ねて串3に通すことで、串3に近い部分が柔らかく仕上がるため、串抜けが良く食べやすいという効果もある。
【0021】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、鶏皮片の形状や調理手順を適宜変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 鶏皮串
2 鶏皮片
3 串
4 タレ
5 スパイス
11 揚げ油
12 刷毛