(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092770
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】蓄電デバイスの製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
H01G 11/86 20130101AFI20230627BHJP
H01G 11/50 20130101ALI20230627BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20230627BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20230627BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20230627BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20230627BHJP
【FI】
H01G11/86
H01G11/50
H01G13/00 381
H01M10/052
H01M10/058
H01M4/139
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207974
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(71)【出願人】
【識別番号】592152303
【氏名又は名称】株式会社太陽機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 友裕
(72)【発明者】
【氏名】堀込 守
【テーマコード(参考)】
5E078
5E082
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078AB06
5E078AB12
5E078BA26
5E078BB24
5E078BB34
5E078LA08
5E082AB03
5E082LL40
5E082MM22
5H029AJ14
5H029AM07
5H029BJ04
5H029BJ12
5H029CJ03
5H029CJ15
5H029CJ28
5H029CJ30
5H029EJ01
5H029EJ12
5H029HJ03
5H029HJ12
5H050AA19
5H050BA17
5H050FA02
5H050GA03
5H050GA16
5H050GA26
5H050GA27
5H050GA29
5H050HA03
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】製造効率及び製造品質の向上が図られる蓄電デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】蓄電デバイス100の製造方法は、載置工程S2、第1ロールプレス工程S3及び第2ロールプレス工程S4を含む。載置工程S2では正極及び負極の少なくとも一方であるプレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15と重ね合わせて圧着台2に載置する。第1ロールプレス工程S3ではプレドープ対象電極10の幅方向Xの大きさ10aよりも小さいローラ幅31aを有する第1ローラ31によりプレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との重ね合わせ領域15aの一部をロールプレスする。第2ロールプレス工程S3では第1ロールプレス工程S3の開始後に、第2ローラ32によりプレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との重ね合わせ領域15aのうちの少なくとも第1ロールプレス工程S3においてロールプレスされていない領域をロールプレスする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の正極及び負極をセパレータとともに積層してなる積層体をフィルム状の外装体に封入してなる蓄電デバイスの製造方法において、
上記正極及び上記負極の少なくとも一つであるプレドープ対象電極とプレドープ金属箔とを重ね合わせて圧着台に載置する載置工程と、
上記プレドープ対象電極の幅方向の大きさよりも小さいローラ幅を有する第1ローラにより、上記圧着台に載置された上記プレドープ対象電極と上記プレドープ金属箔との重ね合わせ領域の一部をロールプレスする第1ロールプレス工程と、
上記第1ロールプレス工程の開始後に、第2ローラにより、上記圧着台に載置された上記プレドープ対象電極と上記プレドープ金属箔との重ね合わせ領域のうちの少なくとも上記第1ロールプレス工程においてロールプレスされていない領域をロールプレスする第2ロールプレス工程とを含む、蓄電デバイスの製造方法。
【請求項2】
上記第1ロールプレス工程において、上記第1ローラは、該第1ローラの軸心が上記圧着台に載置された上記プレドープ対象電極の幅方向に平行な状態で、上記プレドープ対象電極における幅方向の中央位置を含む領域をロールプレスする、請求項1に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項3】
上記第2ロールプレス工程において、上記第2ローラは、上記プレドープ対象電極の幅方向の大きさと同一以上の大きさのローラ幅を有しており、該第2ローラの軸心が上記圧着台に載置された上記プレドープ対象電極の幅方向と平行な状態で、上記プレドープ対象電極の全領域をロールプレスする、請求項1又は2に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項4】
上記載置工程において、上記プレドープ金属箔を上記圧着台に載置した後、該プレドープ金属箔に重ねて上記プレドープ対象電極を上記圧着台に載置する、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項5】
上記第1ロールプレス工程では、上記プレドープ対象電極における上記幅方向と直交する方向の一方の端部を上記第1ローラによるロールプレスの開始位置とし、他方の端部を上記第1ローラによるロールプレスの終了位置とするとともに、上記第1ローラを上記開始位置から上記終了位置まで進行させて上記ロールプレスを行い、
上記第2ロールプレス工程では、上記第1ローラの進行方向後方側の位置で、上記第2ローラを上記開始位置から上記終了位置まで進行させて上記ロールプレスを行う、請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項6】
上記第1ローラ及び上記第2ローラは移送ユニットに設けられているとともに、該移送ユニットは上記プレドープ金属箔を把持可能な第1把持部と、上記プレドープ対象電極を把持可能な第2把持部とを有しており、
上記載置工程において、上記第1把持部によって把持された上記プレドープ金属箔を上記圧着台まで移動して載置する動作と、上記圧着台に載置された前回の上記第1ロールプレス工程及び上記第2ロールプレス工程で形成された上記プレドープ対象電極と上記プレドープ金属箔との圧着体を上記第2把持部により把持して上記圧着台から取り除く動作とを並行して行う、請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項7】
上記第1ロールプレス工程及び上記第2ロールプレス工程において上記第1ローラ及び上記第2ローラでロールプレスする動作と、上記第1把持部を次回の載置工程で使用する上記プレドープ金属箔の上方に位置させて当該プレドープ金属箔を把持可能な状態にする動作とを並行して行う、請求項6に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項8】
シート状の正極及び負極をセパレータとともに積層してなる積層体をフィルム状の外装体に封入してなる蓄電デバイスの製造装置において、
上記正極及び上記負極の少なくとも一つであるプレドープ対象電極とプレドープ金属箔とが重ね合わされた状態で載置される圧着台と、
上記プレドープ対象電極の幅方向の大きさよりも小さいローラ幅を有し、上記圧着台に載置された上記プレドープ対象電極と上記プレドープ金属箔との重ね合わせ領域の一部をロールプレスするように構成された第1ローラと、
上記圧着台に載置された上記プレドープ対象電極と上記プレドープ金属箔との重ね合わせ領域のうちの少なくとも上記第1ローラによりロールプレスされなかった領域をロールプレスするように構成された第2ローラとを備える、蓄電デバイスの製造装置。
【請求項9】
上記第1ローラは、上記圧着台に載置された上記プレドープ対象電極の幅方向における中央位置上に位置するとともに、上記第1ローラの軸心が上記圧着台に載置された上記プレドープ対象電極の幅方向に平行となるように構成されている、請求項8に記載の蓄電デバイスの製造装置。
【請求項10】
上記第2ローラは、上記プレドープ対象電極の幅方向の大きさと同一以上の大きさのローラ幅を有しており、該第2ローラの軸心が上記圧着台に載置された上記プレドープ対象電極の幅方向と平行となるように構成されている、請求項8又は9に記載の蓄電デバイスの製造装置。
【請求項11】
上記プレドープ対象電極における上記幅方向と直交する方向の一方の端部から他方の端部に向かう正方向及び逆方向に往復移動可能であって、上記第1ローラを保持するとともに上記第1ローラの上記逆方向側の位置に上記第2ローラを保持する移送ユニットを備え、
上記移送ユニットを上記正方向に移動することにより、上記第1ローラ及び上記第2ローラによる上記ロールプレスを順次行うように構成されている、請求項8~10のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの製造装置。
【請求項12】
上記移送ユニットよりも上記正方向側の位置に設けられた、上記プレドープ金属箔を供給するプレドープ金属箔供給部と、
上記移送ユニットよりも上記逆方向側の位置に設けられた、上記プレドープ対象電極を供給するプレドープ対象電極供給部と、
を備え、
上記移送ユニットは、上記第1ローラ及び上記第2ローラよりも上記正方向側の位置に上記プレドープ金属箔を把持可能に構成された第1把持部を備えるとともに、上記第1ローラ及び上記第2ローラよりも上記逆方向側の位置に上記プレドープ対象電極を把持可能に構成された第2把持部を備える、請求項11に記載の蓄電デバイスの製造装置。
【請求項13】
上記圧着台は硬質樹脂からなる、請求項8~12のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの製造装置。
【請求項14】
上記圧着台と該圧着台が設置される圧着台設置部との間には弾性部材が設けられている、請求項8~13のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイスの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状の正極及び負極をセパレータとともに積層した積層体を電解液とともにフィルム状の外装体に封入して形成される蓄電デバイスの製造工程において、積層体にプレドープ金属箔を設けて、電解液の注液と同時にプレドープ金属箔から金属イオンを電解液に溶解させて電極にプレドープすることが行われている。例えば、特許文献1には、積層体を構成する一部の負極にプレドープ金属箔をロールプレスすることにより圧着してプレドープを行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の方法では、ロールプレスのプレス面は負極の全幅以上の大きさを有しており、プレドープ金属箔を負極に重ねた状態で、負極の一端から反対側の他端に亘って一回のロールプレスを行うことにより、プレドープ金属箔の全域を負極に圧着している。そのため、プレドープ金属箔と負極との間に気泡が生じやすく、これはプレドープ金属箔の中央領域において顕著である。プレドープ金属箔と負極との間に気泡が生じると、プレドープ処理において、当該気泡により電極への金属イオンのプレドープが阻害されるため、プレドープを十分に行うことができなかったり、プレドープ処理に長時間を要したりする場合があり、製造効率の低下を招く。また、このような気泡が生じた部位では、プレドープ金属箔と負極との接着力が低いため、プレドープ処理の前にプレドープ金属箔が剥離したり脱落したりして、製造品質を低下させるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、製造効率及び製造品質の向上が図られる蓄電デバイスの製造方法及び製造装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、シート状の正極及び負極をセパレータとともに積層してなる積層体をフィルム状の外装体に封入してなる蓄電デバイスの製造方法において、
上記正極及び上記負極の少なくとも一つであるプレドープ対象電極とプレドープ金属箔とを重ね合わせて圧着台に載置する載置工程と、
上記プレドープ対象電極の幅方向の大きさよりも小さいローラ幅を有する第1ローラにより、上記圧着台に載置された上記プレドープ対象電極と上記プレドープ金属箔との重ね合わせ領域の一部をロールプレスする第1ロールプレス工程と、
上記第1ロールプレス工程の開始後に、第2ローラにより、上記圧着台に載置された上記プレドープ対象電極と上記プレドープ金属箔との重ね合わせ領域のうちの少なくとも上記第1ロールプレス工程においてロールプレスされていない領域をロールプレスする第2ロールプレス工程とを含む、蓄電デバイスの製造方法にある。
【0007】
また、本発明の他の一態様は、シート状の正極及び負極をセパレータとともに積層してなる積層体をフィルム状の外装体に封入してなる蓄電デバイスの製造装置において、
上記正極及び上記負極の少なくとも一つであるプレドープ対象電極とプレドープ金属箔とが重ね合わされた状態で載置される圧着台と、
上記プレドープ対象電極の幅方向の大きさよりも小さいローラ幅を有し、上記圧着台に載置された上記プレドープ対象電極と上記プレドープ金属箔との重ね合わせ領域の一部をロールプレスするように構成された第1ローラと、
上記圧着台に載置された上記プレドープ対象電極と上記プレドープ金属箔との重ね合わせ領域のうちの少なくとも上記第1ローラによりロールプレスされなかった領域をロールプレスするように構成された第2ローラとを備える、蓄電デバイスの製造装置にある。
【発明の効果】
【0008】
上記一態様における蓄電デバイスの製造方法では、プレドープ対象電極とプレドープ金属箔とを圧着する際に、まず、プレドープ対象電極の幅方向の大きさよりも小さいローラ幅を有する第1ローラによって、プレドープ対象電極とプレドープ金属箔との重ね合わせ領域の一部をロールプレスする。そして、当該第1ローラによるロールプレスの開始後に、第2ローラにより、プレドープ対象電極とプレドープ金属箔との重ね合わせ領域のうちの少なくとも第1ローラによりロールプレスされなかった領域をロールプレスする。このように、まず、第1段階目のロールプレスとして、ローラ幅の小さい第1ロールによって上記重ね合わせ領域の一部をロールプレスするため、プレドープ対象電極とプレドープ金属箔との間に存在する空気を外方に押し出しながら圧着しやすくなっている。その後、第2段階目のロールプレスとして、上記重ね合わせ領域のうちの少なくとも圧着されていない領域をロールプレスすることで、上記重ね合わせ領域の全体を圧着することができる。これにより、一段階のロールプレス操作で重ね合わせ領域の全体を圧着する従来方式に比べて、プレドープ対象電極とプレドープ金属箔との間に存在する気体を外方に押し出しやすくなるため、両者の間に気泡が生じることを抑制することができる。その結果、後のプレドープ処理において、プレドープ金属箔から電解液に溶出した金属イオンがプレドープ対象電極にプレドープされることを阻害する気泡が低減されるため、プレドープ処理を効率よく行うことができ、製造効率の向上を図ることができる。また、上記気泡の発生が抑制されることで、プレドープ対象電極とプレドープ金属箔との接着力が高まり、プレドープ処理の前にプレドープ金属箔が剥離したり脱落したりすることが抑制され、製造品質の向上が図られる。
【0009】
上記他の一態様における蓄電デバイスの製造装置では、上記一態様における蓄電デバイスの製造方法による蓄電デバイスの製造を実現することができ、製造効率及び製造品質の向上を図ることができる。
【0010】
以上のごとく、上記態様によれば、製造効率及び製造品質の向上が図られる蓄電デバイスの製造方法及び製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1における、(a)蓄電デバイスの斜視図、(b)同図(a)のIb-Ib線位置での断面概念図。
【
図2】実施形態1における、蓄電デバイスの製造装置の側面概念図。
【
図3】実施形態1における、蓄電デバイスの製造装置の上面概念図。
【
図4】実施形態1における、蓄電デバイスの製造方法のフロー図。
【
図5】(a)~(d)実施形態1における、蓄電デバイスの製造方法を説明する側面概念図。
【
図6】(a)~(c)実施形態1における、蓄電デバイスの製造方法を説明する他の側面概念図。
【
図7】(a)~(c)実施形態1における、蓄電デバイスの製造方法を説明する側面概念図。
【
図8】(a)~(c)実施形態1における、蓄電デバイスの製造方法を説明するための圧着台の上面概念図。
【
図9】(a)~(c)実施形態1における、蓄電デバイスの製造方法を説明する他の側面概念図。
【
図10】(a)~(c)実施形態1における、蓄電デバイスの製造方法を説明するための圧着台の他の上面概念図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
蓄電デバイスの製造方法及び製造装置の実施形態について、
図1~
図8を用いて説明する。
まず、本実施形態における蓄電デバイス100は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、積層体101をフィルム状の外装体102に封入して構成される。積層体101は図示しないシート状の正極及び負極をセパレータとともに積層してなる。本実施形態では、蓄電デバイス100はキャパシタや二次電池などを含むものであって、蓄電デバイス100として、活物質が塗工された金属製の集電箔からなる複数の正極と複数の負極がセパレータを介在させて交互に積層されるとともに、負極にリチウムイオンがプレドープされた積層体101を、リチウム塩を電解質とする電解液とともに外装体102に封止してなるリチウムイオンキャパシタを採用している。
図1(a)に示すように、蓄電デバイス100の外形は扁平な四角形状をなしており、上方の端部に一対の集電タブ103を備える。一対の集電タブ103は、図示しないが、積層体101を構成する正極と負極にそれぞれ接続されている。
【0013】
次に、本実施形態の蓄電デバイス100の製造装置1について説明する。
図2及び
図3に示すように、蓄電デバイス100の製造装置1(以下「製造装置1」ともいう)は、圧着台2、移送ユニット3、プレドープ金属箔供給部4、プレドープ対象電極供給部5を備える。
【0014】
図7(a)及び
図8(a)に示すように、圧着台2には、プレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15とが重ね合わされた状態で載置される。プレドープ対象電極10は、積層体101において積層される複数の正極及び負極の少なくともいずれか一つである。本実施形態では、複数の負極のうちの6枚に一つがプレドープ対象電極10となる。当該プレドープ対象電極10は、
図8(a)に示すように、平面視矩形のシート状をなしている。また、本実施形態では、プレドープ金属箔15はリチウム箔(Li箔)であって、
図8(a)に示すように、プレドープ対象電極10よりも若干小さい外形を有するシート状をなしている。なお、各図において、プレドープ対象電極10及びプレドープ金属箔15の厚さは実際よりも大きく示しており、実際はプレドープ対象電極10及びプレドープ金属箔15ともにその厚さは各図に示すよりも十分に小さい。
【0015】
図2及び
図3に示すように、圧着台2は平面視矩形の板状をなしており、上面及び下面は平面状となっている。
図2に示すように、圧着台2は圧着台設置部20上に設けられており、圧着台2と圧着台設置部20との間には弾性部材21が設けられている。なお、圧着台設置部20はL型アングル形状をなしており、
図3に示すように、製造装置1の筐体の一部である立壁1aに固定されている。圧着台2の材質は限定されないが、硬質樹脂からなることが好ましい。プレドープ金属箔15が圧着台2の上面に直接載置される場合において、後述の各ロールプレス工程S3、S4におけるロールプレスによってプレドープ金属箔15が圧着台2の上面に貼り付くことが防止され、プレドープ対象電極10からプレドープ金属箔15が剥離することが防止される。当該硬質樹脂の材質は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エラストマー、天然ゴム、合成ゴムなどを例示することができ、中でも、プレドープ金属箔15としてのLi箔との接着性が比較的低いポリプロピレンであることがより好ましい。
【0016】
弾性部材21の材質は弾性を有するものであればよく、本実施形態では、シリコンゴムを採用している。プレドープ対象電極10の厚さムラによりプレドープ対象電極10の平面性が低い場合があるが、このような場合でも、弾性部材21を設けることにより、後述の第1ローラ31及び第2ローラ32による各ロールプレスにおいて、第1ローラ31及び第2ローラ32の押圧に基づいてプレドープ対象電極10の平面性に合わせて圧着台2を介して弾性部材21が弾性変形することできる。その結果、第1ローラ31及び第2ローラ32とプレドープ対象電極10との当たり精度を高く維持することができる。なお、図示しないが、圧着台2には、圧着台2の上面に開口した複数の吸引部が所定間隔で設けられており、当該吸引部によって圧着台2の上面に載置されたプレドープ金属箔15を吸着させることで、プレドープ金属箔15を圧着台2の上面に固定することができる。なお、本実施形態では、
図8(a)に示すように圧着台2に載置されたプレドープ対象電極10の幅方向をXとし、
図7(a)に示すように厚さ方向をYとし、X方向及びY方向に直交する方向を
図8(a)に示すようにZとする。
【0017】
図2及び
図3に示すように、移送ユニット3は、第1ローラ31、第2ローラ32、第1把持部33、第2把持部34を有する。移送ユニット3は、ガイドレール35に沿って、Z方向の両方向Z1、Z2に往復移動可能となっている。なお、ガイドレール35は、
図3に示すように、製造装置1の筐体の一部である立壁1aに固定されている。
【0018】
図2及び
図3に示すように、第1ローラ31は円筒状のローラである。
図8(a)に示すように、第1ローラ31のローラ幅31aは、プレドープ対象電極10の幅方向Xの大きさ10aよりも小さくなっている。第1ローラ31のローラ幅31aは、例えば、プレドープ対象電極10の幅方向Xの大きさ10aの10~30%とすることができる。本実施形態では、プレドープ対象電極10の幅方向Xの大きさ10aを120mmとし、第1ローラ31のローラ幅31aを20mmとしている。第1ローラ31の直径は限定されないが、本実施形態では40mmとしている。そして、第1ローラ31の軸心31bは、プレドープ対象電極10の幅方向Xに平行となるように構成されている。第1ローラ31は、圧着台2に載置されたプレドープ対象電極10の幅方向Xにおける中央位置10b上に位置するように構成されており、本実施形態では、中央位置10b上に第1ローラ31の中心位置31cが位置するように構成されている。第1ローラ31の材質は限定されず、圧着台2の材質と同様とすることができる。
【0019】
図2及び
図3に示すように、第2ローラ32は、円筒状のローラである。
図8(a)に示すように、第2ローラ32のローラ幅32aは、第1ローラ31のローラ幅31aより大きくなっている。本実施形態では、第2ローラ32のローラ幅32aは、プレドープ対象電極10の幅方向Xの大きさ10a以上の大きさであって、130mmとしている。第2ローラ32の直径は限定されないが、本実施形態では、第1ローラ31と同様に40mmとしている。そして、第2ローラ32の軸心32bはプレドープ対象電極10の幅方向Xに平行となるとともに、プレドープ対象電極10の中央位置10b上に第2ローラ32の中心位置32cが位置するように構成されている。なお、第2ローラ32の材質も限定されず、第1ローラ31と同様に圧着台2の材質と同様とすることができる。
【0020】
第1ローラ31及び第2ローラ32は、図示しない加圧機構により、圧着台2に向けて加圧可能に構成されている。第1ローラ31における加圧荷重と第2ローラ32における加圧荷重とは個別に設定することができ、両者の加圧荷重は異なっていてもよいし、同じであってもよい。なお、本実施形態では、第1ローラ31における加圧荷重を第2ローラ32における加圧荷重よりも小さくしており、具体的には、第1ローラ31における単位面積荷重は0.125~1.2N/mm
2程度とし、第2ローラ32における単位面積荷重は1.4~1.85N/mm
2程度としている。そして、本実施形態では、
図7(b)及び
図7(c)に示すように、第1ローラ31及び第2ローラ32は、図示しない加圧機構により圧着台2に向けてそれぞれ押圧された状態でZ方向の両方向Z1、Z2に移動可能に構成されている。なお、Z方向において、当該Z1方向を正方向というとともに、Z1方向と反対側のZ2方向を逆方向というものとする。本実施形態では、第2ローラ32は、第1ローラ31よりも正方向Z1側に位置している。
【0021】
図2及び
図3に示すように、第1把持部33は第1ローラ31及び第2ローラ32よりも正方向Z1側の位置に設けられている。第1把持部33は、プレドープ金属箔15を把持可能に構成されている。本実施形態では、第1把持部33は吸引部によりプレドープ金属箔15を吸着して把持するように構成されている。
【0022】
図2及び
図3に示すように、第2把持部34は第1ローラ31及び第2ローラ32よりも逆方向Z2側の位置に設けられている。第2把持部34は、プレドープ対象電極10を把持可能に構成されている。本実施形態では、第2把持部34は第1把持部33と同様に、吸引部によりプレドープ対象電極10を吸着して把持するように構成されている。
【0023】
図2及び
図3に示すように、プレドープ金属箔15を供給するプレドープ金属箔供給部4は、圧着台2よりも正方向Z1側の位置に設けられている。そして、プレドープ金属箔供給部4は、Li箔ロール41、引き出し部42、切断部43及び中間台44を有する。Li箔ロール41は、Li箔がロール状に巻き取られたものである。引き出し部42は駆動制御された一対のローラからなり、Li箔ロール41から所定長さのLi箔を引き出すことができる。切断部43は引き出されたLi箔を切断する。切断されたLi箔はプレドープ金属箔15として中間台44に載置される。なお、中間台44は中間台設置部40上に設けられている。中間台設置部40はL型アングル形状をなしており、
図3に示すように、製造装置1の筐体の一部である立壁1aに固定されている。
【0024】
図2及び
図3に示すように、プレドープ対象電極10を供給するプレドープ対象電極供給部5は、圧着台2よりも逆方向Z2側に設けられている。本実施形態では、プレドープ対象電極供給部5は、載置部51が装着された円盤形状のステージ52と該ステージ52の中心に接続された軸53とを有し、ステージ52が軸53を中心に回転可能に構成されたインデックステーブルにより構成されている。そして、プレドープ対象電極供給部5は、
図3に示すように、載置部51として第1載置部51aと第2載置部51bとを有し、ステージ52が180度回転することにより、軸53に対して第1載置部51aが正方向Z1側に位置するとともに第2載置部51bが逆方向Z2側に位置する第1ポジションと、軸53に対して第2載置部51bが正方向Z1側に位置するとともに第1載置部51aが逆方向Z2側に位置する第2ポジションとを切替可能に構成されている。なお、載置部51a、51bはいずれもステージ52に対して着脱可能なマガジン形態となっている。
【0025】
次に、本実施形態における蓄電デバイス100の製造方法について、以下に詳述する。
図4に示すように、本実施形態における当該蓄電デバイス100の製造方法は、前工程S1、載置工程S2、第1ロールプレス工程S3、第2ロールプレス工程S4、積層配置工程S5、判定工程S6及び後工程S7を含む。
【0026】
図4に示す前工程S1では、プレドープ対象電極10及びプレドープ金属箔15を用意する。
図5(a)に示すように、プレドープ金属箔15は、プレドープ金属箔供給部4により中間台44に載置される。プレドープ対象電極10は、プレドープ対象電極供給部5における第1ポジションに位置する第2載置部51bに載置される。
【0027】
そして、
図4に示す載置工程S2に進み、
図5(b)に示すように、移送ユニット3が正方向Z1側の端の位置において、中間台44に載置されたプレドープ金属箔15を第1把持部33によって把持する。これとともに、前回の第1ロールプレス工程S3及び第2ロールプレス工程S4において形成されて圧着台2に載置されたプレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との圧着体16を、第2把持部34によって把持する。その後、矢印P1で示すように、移送ユニット3を逆方向Z2に移動する。
【0028】
続いて、
図5(c)に示すように、移送ユニット3は逆方向Z2側の端の位置において、第1把持部33によって把持されたプレドープ金属箔15を圧着台2に載置するとともに、第2把持部34によって把持された圧着体16をプレドープ対象電極供給部5の第1載置部51aに載置する。そして、プレドープ対象電極供給部5のステージ52が回転することにより、第1載置部51a及び第2載置部51bが
図5(c)に示す第1ポジションから、
図5(d)に示す第2ポジションに変更されて、プレドープ対象電極10が正方向Z1側に移動し、圧着体16が逆方向Z2側に移動することとなる。これとともに、
図5(d)に示すように、プレドープ金属箔供給部4により、次回用いられるプレドープ金属箔151が供給されて中間台44に載置される。
【0029】
その後、
図6(a)に示すように、第2把持部34により、正方向Z1側に移動してきた第2載置部51b上のプレドープ対象電極10を把持して、矢印P2で示すように、移送ユニット3を正方向Z1に移動し、
図6(b)に示すように、移送ユニット3を正方向Z1側の端に位置させる。これとともに、プレドープ対象電極供給部5において逆方向Z2側に移動された圧着体16が載置された第1載置部51aをプレドープ対象電極供給部5から取り外す。
【0030】
一方、
図6(b)に示すように、第2把持部34により把持されたプレドープ対象電極10は、
図6(c)に示すように、圧着台2に載置されたプレドープ金属箔15の上に重ねて載置される。そして、
図8(a)に示すように、本実施形態では、プレドープ金属箔15とプレドープ対象電極10とが圧着台2に載置された状態において、プレドープ金属箔15の全域がプレドープ対象電極10に覆われている。そのため、プレドープ金属箔15の全域がプレドープ金属箔15とプレドープ対象電極10との重なり領域15aとなっている。また、
図6(c)に示すように、プレドープ対象電極供給部5では、次回使用されるプレドープ対象電極110が載置された第1載置部51aがステージ52に装着される。これにより、載置工程S2を終了する。
【0031】
載置工程S2を終了した後、
図4に示す第1の並列処理である第1ロールプレス工程S3に進み、続いて第2ロールプレス工程S4に進む。まず、第1ロールプレス工程S3及び第2ロールプレス工程S4の概略について説明する。第1ロールプレス工程S3では、
図7(a)に示すように、まず、圧着台2に載置されたプレドープ対象電極10よりも正方向Z1側の位置において、第1ローラ31及び第2ローラ32を圧着台2側に下降させる。そして、第1ローラ31及び第2ローラ32をそれぞれ所定の加圧荷重で圧着台2側に加圧した状態で、矢印P3で示すように、移送ユニット3を逆方向Z2に移動する。これにより、
図7(b)に示すように、第1ローラ31により圧着台2に載置されたプレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15とをロールプレスして両者を圧着して第1ロールプレス工程S3を実施し、第2ローラ32により両者をロールプレスして圧着して第2ロールプレス工程S4を実施する。
【0032】
第1ロールプレス工程S3及び第2ロールプレス工程S4の詳細について、
図7~
図10を参照しながら説明する。まず、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、移送ユニット3を矢印P3の通り逆方向Z2に移動することにより、
図8(a)に示すように圧着台2側に押圧された第1ローラ31がプレドープ対象電極10の正方向Z1側の端部11に当接することにより、第1ロールプレス工程S3を開始する。すなわち、移送ユニット3を第1ローラ31が端部11に当接するように移動した位置が第1ローラ31によるロールプレスの開始位置となる。移送ユニット3をさらに逆方向Z2に移動することにより、
図8(a)~(c)に示すように、中央位置10bを含むプレドープ対象電極10の中央領域が、プレドープ対象電極10の端部11から反対側の端部12に向けて、第1ローラ31により順次ロールプレスされる。そして、
図8(c)に示すように、第1ローラ31がプレドープ対象電極10の逆方向Z2側の端部12に到達することにより、第1ロールプレス工程S3を終了する。すなわち、移送ユニット3を第1ローラ31が端部12に当接するように移動した位置が第1ローラ31によるロールプレスの終了位置となる。
【0033】
一方、
図8(b)に示すように、圧着台2側に押圧された第2ローラ32がプレドープ対象電極10の端部11に当接することにより、第2ロールプレス工程S4を開始する。すなわち、移送ユニット3を第2ローラ32が端部11に当接するように移動した位置が第2ローラ32によるロールプレスの開始位置となる。したがって、移送ユニット3を第2ローラ32によるロールプレスの開始位置に移動させたタイミングでは、第1ローラ31は端部12に到達していない。そのため、第2ロールプレス工程S4は、第1ロールプレス工程S3の開始後であって第1ロールプレス工程S3の終了前に開始されることとなる。そして、移送ユニット3をさらに逆方向Z2に移動することにより、
図8(b)及び
図8(c)に示すように、重ね合わせ領域15aのうちの第1ローラ31によりロールプレスされなかった領域を含んだプレドープ対象電極10の全域が、プレドープ対象電極10の端部11から反対側の端部12に向けて、第2ローラ32により順次ロールプレスされる。なお、第1ローラ31は、
図8(c)に示すように、プレドープ対象電極10の端部12に到達した後、移送ユニット3がさらに逆方向Z2に移動して
図10(a)に示すように第2ローラ32が端部12に到達するまでの間に、
図7(c)に示すように上昇させる。
【0034】
そして、
図10(a)に示すように第2ローラ32がプレドープ対象電極10の端部12に到達すると、
図7(c)に示すように第2ローラ32を圧着台2に向けて加圧した状態を維持したまま、移送ユニット3を矢印P4で示すように反対向きの正方向Z1に向けて移動する。これにより、
図9(a)及び(b)、
図10(a)~(c)に示すように、プレドープ対象電極10の全域が、プレドープ対象電極10の端部12から反対側の端部11に向けて、第2ローラ32により順次ロールプレスされる。そして、
図10(c)に示すように、第2ローラ32が再度プレドープ対象電極10の端部11に到達することにより、第2ロールプレス工程S4を終了する。すなわち、移送ユニット3を第2ローラ32がプレドープ対象電極10の端部11から反対側の端部12までの間を一往復して再度端部11に当接するように戻ってきた位置が第2ローラ32によるロールプレスの終了位置となる。これにより、本実施形態では、第2ロールプレス工程S4において第2ローラ32によってプレドープ対象電極10の全域が端部11から反対側の端部12に亘って一往復分、すなわち、2回ロールプレスされることとなる。
【0035】
図7(c)に示すように、第1ロールプレス工程S3及び第2ロールプレス工程S4において、第1ローラ31及び第2ローラ32とプレドープ対象電極10とは互いに線接触することとなる。そのため、第1ローラ31及び第2ローラ32に替えてプレートを用いて面接触の状態で加圧する場合に比べて、第1ローラ31及び第2ローラ32に対する加圧荷重が比較的小さい値であっても、プレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15とを圧着するのに十分な加圧力を得ることができる。そして、
図9(b)に示すように、第2ロールプレス工程S4が終了することにより、圧着台2上にプレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との圧着体16が形成される。
【0036】
さらに、
図9(b)及び(c)に示すように、第2ロールプレス工程S4の終了後、移送ユニット3を正方向Z1側の端の位置まで移動させるとともに第2ローラ32を上昇させることにより、
図5(a)に示す状態と同様となる。これにより、移送ユニット3は、第1把持部33を中間台44の上方に位置させて、中間台44に載置された次回用いられるプレドープ金属箔151を把持可能な状態とするように動作する。すなわち、第1ロールプレス工程S3及び第2ロールプレス工程S4では、上述の第1ローラ31及び第2ローラ32によるロールプレスと並行して、第1把持部33を次回用いられるプレドープ金属箔151を把持する把持位置に向けて移動させる動作が行われることとなる。これにより、第1ロールプレス工程S3及び第2ロールプレス工程S4からなる第1の並列処理を終了する。
【0037】
一方、載置工程S2を終了後、
図4に示す第2の並列処理である積層配置工程S5では、プレドープ対象電極供給部5から取り外された第1載置部51aに載置された圧着体16と、図示しないセパレータ及び正極と、プレドープ金属箔15が圧着されていない負極とを順次積層し、当該工程を終了する。
【0038】
そして、第1及び第2の並列処理の後、
図4に示す判定工程S6に進み、
図1に示す積層体101を構成するのに必要な数の圧着体16、セパレータ、正極及び負極が積層されたか否かを判定する。当該判定は、図示しないカウンタにより積層数をカウントして取得し、図示しない判定部により当該積層数と予め設定された必要積層数とを比較することにより行うことができる。判定工程S6において圧着体16、セパレータ、正極及び負極が必要数積層されていないと判定された場合は、判定工程S6のNoに進み、再度載置工程S2以降を行う。
【0039】
一方、
図4に示す判定工程S6において、圧着体16、セパレータ、正極及び負極が必要数積層されたと判定された場合は、判定工程S6のYesに進み、後工程S7を行う。後工程S7では、必要数積層された圧着体16、セパレータ、正極及び負極から積層体101を作成し、リチウム塩を電解質とする電解液とともに外装体102内に封止する。その後、プレドープ処理を行い、プレドープ対象電極10に圧着されたプレドープ金属箔15としてのLi箔から外装体102内の電解液にリチウムイオンを溶出させて、プレドープ対象電極10である負極にプレドープする。プレドープ処理後、初回充放電を行い、外装体102内からガス抜きした後、再封止をして品質確認を行うことにより蓄電デバイス100としてのリチウムイオンキャパシタを完成させ、当該フローを終了する。
【0040】
次に、本実施形態の蓄電デバイス100の製造方法における作用効果について、詳述する。
本実施形態の蓄電デバイス100の製造方法では、プレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15とを圧着する際に、まず、プレドープ対象電極10の幅方向Xの大きさ10aよりも小さいローラ幅31aを有する第1ローラ31によって、プレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との重ね合わせ領域15aの一部をロールプレスする。そして、当該第1ローラ31によるロールプレスの開始後に、第2ローラ32により、プレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との重ね合わせ領域15aのうちの少なくとも第1ローラ31によりロールプレスされなかった領域をロールプレスする。このように、まず、第1段階目のロールプレスとして、ローラ幅31aの小さい第1ローラ31によってプレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との重ね合わせ領域15aの一部をロールプレスすることにより、プレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との間に存在する空気を外方に押し出しながら両者を圧着しやすくなっている。その後、第2段階目のロールプレスとして、重ね合わせ領域15aのうちの少なくとも圧着されていない領域をロールプレスすることで、重ね合わせ領域15a全体を圧着することができる。これにより、一段階のロールプレス操作で重ね合わせ領域15aの全領域を圧着する従来方式に比べて、プレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との間に存在する気体を外方に押し出しやすくなりに両者の間に気泡が生じることを抑制することができる。その結果、後のプレドープ処理において、プレドープ金属箔15から電解液に溶出した金属イオンがプレドープ対象電極10にプレドープされることを阻害する気泡が低減されるため、プレドープ処理を効率よく行うことができ、製造効率の向上を図ることができる。また、上記気泡の発生が抑制されることで、プレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との接着性が高まり、プレドープ処理の前にプレドープ金属箔15が剥離したり脱落したりすることが抑制され、製造品質の向上が図られる。
【0041】
さらに、本実施形態における蓄電デバイス100の製造方法では、第1ロールプレス工程S3において、第1ローラ31は、第1ローラ31の軸心31bが圧着台2に載置されたプレドープ対象電極10の幅方向Xに平行な状態で、プレドープ対象電極10における幅方向Xの中央位置10bを含む領域をロールプレスする。これにより、プレドープ対象電極10の中央領域はプレドープ金属箔15との間に気泡が生じやすいが、第1ロールプレス工程S3において、上述の通り第1ローラ31によってロールプレスすることにより、当該中央領域においてプレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との間の空気を外方に押し出しながら両者を圧着することができるため、プレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との間に気泡が生じることを一層抑制することができ、製造効率及び製造品質の向上を一層図ることができる。
【0042】
また、本実施形態における蓄電デバイス100の製造方法では、第2ロールプレス工程S4において、第2ローラ32はプレドープ対象電極10の幅方向Xの大きさ10aと同一以上の大きさのローラ幅32aを有しており、第2ローラ32の軸心32bが圧着台2に載置されたプレドープ対象電極10の幅方向Xと平行な状態で、プレドープ対象電極10の全領域をロールプレスする。これにより、プレドープ対象電極10の全領域において、プレドープ金属箔15との間の空気を外方に押し出しながら両者を圧着することができるため、製造効率及び製造品質の向上を一層図ることができる。
【0043】
また、本実施形態における蓄電デバイス100の製造方法では、載置工程S2において、プレドープ金属箔15を圧着台2に載置した後、プレドープ金属箔15に重ねてプレドープ対象電極10を圧着台2に載置する。これにより、第1ロールプレス工程S3及び第2ロールプレス工程S4において、プレドープ金属箔15が第1ローラ31及び第2ローラ32に直接接することがないため、プレドープ金属箔15が第1ローラ31及び第2ローラ32に付着してプレドープ対象電極10から剥離することが防止され、製造品質の向上が図られる。
【0044】
また、本実施形態における蓄電デバイス100の製造方法において、第1ロールプレス工程S3では、プレドープ対象電極10における幅方向Xと直交する方向の一方の端部11を第1ローラによるロールプレスの開始位置とし、他方の端部12を第1ローラ31によるロールプレスの終了位置とするとともに、第1ローラ31を上記開始位置から上記終了位置まで進行させて上記ロールプレスを行う。そして、第2ロールプレス工程S4では、第1ローラ31の進行方向後方である逆方向Z2側の位置で、第2ローラ32を上記開始位置から上記終了位置まで進行させてロールプレスを行う。これにより、第1ロールプレス工程S3におけるロールプレスの開始後かつ終了前に第2ロールプレス工程S4におけるロールプレスを開始できるため、両工程S3、S4の一部を並行して行うことができ、製造効率が向上する。また、第1ローラ31と第2ローラ32とが同一方向にロールプレスすることになるため、第1ロールプレス工程S3で形成されたプレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との一部圧着体が、第2ロールプレス工程S4において圧着台2上で位置ズレしたり、一部圧着体の圧着台2への吸着が解除されたりすることを防止できる。なお、本実施形態では、第2ロールプレス工程S4において、第2ローラ32を上記開始位置から上記終了位置まで進行させてロールプレスを行った後、さらに第2ローラ32を上記終了位置から上記開始位置に戻すように進行させてロールプレスを行う。これにより、プレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との間の空気を一層取り除くことができるため、製造品質の向上を一層図ることができる。
【0045】
また、本実施形態における蓄電デバイス100の製造方法では、第1ローラ31及び第2ローラ32は移送ユニット3に設けられているとともに、移送ユニット3はプレドープ金属箔15を把持可能な第1把持部33と、プレドープ対象電極10を把持可能な第2把持部34とを有している。そして、載置工程S2において、第1把持部33によって把持されたプレドープ金属箔15を圧着台2まで移動して載置する動作と、圧着台2に載置された前回の第1ロールプレス工程S3及び第2ロールプレス工程S4で形成されたプレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との圧着体16を第2把持部34により把持して圧着台2から取り除く動作とを並行して行う。これにより、動作の効率化が図られ製造効率の向上が一層図られる。
【0046】
また、本実施形態における蓄電デバイス100の製造方法では、第1ロールプレス工程S3及び第2ロールプレス工程S4において第1ローラ31及び第2ローラ32でロールプレスする動作と、第1把持部33を次回の載置工程S2で使用するプレドープ金属箔151の上方に位置させてプレドープ金属箔151を把持可能な状態にする動作とを並行して行う。これにより、動作の効率化が図られて製造効率の向上が一層図られる。
【0047】
そして、本実施形態における蓄電デバイス100の製造装置1によれば、上述の製造方法による蓄電デバイス100の製造を実現することができ、上述の通り、製造効率及び製造品質の向上を図ることができる。
【0048】
そして、本実施形態における蓄電デバイス100の製造装置1では、第1ローラ31は、圧着台2に載置されたプレドープ対象電極10の幅方向Xにおける中央位置10b上に位置するとともに、第1ローラ31の軸心31bが圧着台2に載置されたプレドープ対象電極10の幅方向Xに平行となるように構成されている。これにより、気泡が生じやすいプレドープ対象電極10の中央領域を、第1ローラ31によるロールプレスによって圧着することができるため、プレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との間に気泡が生じることを一層抑制することができ、製造効率及び製造品質の向上を一層図ることができる。
【0049】
また、本実施形態における蓄電デバイス100の製造装置1によれば、第2ローラ32は、プレドープ対象電極10の幅方向Xの大きさ10aと同一以上の大きさのローラ幅32aを有しており、第2ローラ32の軸心32bが圧着台2に載置されたプレドープ対象電極10の幅方向Xと平行となるように構成されている。これにより、第2ローラ32によるロールプレスによって、プレドープ対象電極10の全領域において、プレドープ金属箔15との間の空気を外方に押し出しながら両者を圧着することができるため、製造効率及び製造品質の向上を一層図ることができる。
【0050】
また、本実施形態における蓄電デバイス100の製造装置1によれば、プレドープ対象電極10における幅方向Xと直交する方向Zの一方の端部11から他方の端部12に向かう正方向Z1及び逆方向Z2に往復移動可能であって、第1ローラ31を保持するとともに第1ローラ31の正方向Z1側の位置に第2ローラ32を保持する移送ユニット3を備える。そして、移送ユニット3を逆方向Z2に移動した後、正方向Z1に移動することにより、第1ローラ31及び第2ローラ32によるロールプレスを順次行うように構成されている。これにより、第1ローラ31によるロールプレスの開始後かつ終了前に第2ローラ32によるロールプレスを開始できるため、両者のロールプレスの一部を並行して行うことができ、製造効率が向上する。また、移送ユニット3を逆方向Z2に移動する際に第1ローラ31と第2ローラ32とによって同一方向にロールプレスすることができるため、第1ローラ31のロールプレスにより形成されたプレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との一部圧着体が、第2ローラ32によるロールプレスの際に圧着台2上で位置ズレしたり、一部圧着体の圧着台2への吸着が解除されたりすることを防止できる。
【0051】
また、本実施形態における蓄電デバイス100の製造装置1によれば、移送ユニット3よりも正方向Z1側の位置に設けられた、プレドープ金属箔15を供給するプレドープ金属箔供給部4と、移送ユニット3よりも逆方向Z2側の位置に設けられた、プレドープ対象電極10を供給するプレドープ対象電極供給部5とを備える。そして、移送ユニット3は、第1ローラ31及び第2ローラ32よりも正方向Z1側の位置にプレドープ金属箔15を把持可能に構成された第1把持部33を備えるとともに、第1ローラ31及び第2ローラ32よりも逆方向Z2側の位置にプレドープ対象電極10を把持可能に構成された第2把持部34を備える。これにより、第1把持部33によってプレドープ金属箔15を把持した状態から、移送ユニット3を逆方向Z2に向けて圧着台2まで移動してプレドープ金属箔15を圧着台2に載置する動作と、圧着台2に載置されている前回形成されたプレドープ対象電極10とプレドープ金属箔15との圧着体16を第2把持部34により把持して圧着台2から取り除く動作とを並行して行うことができ、動作の効率化が図られ製造効率の向上が一層図られる。さらに、移送ユニット3において、第1ローラ31及び第2ローラ32でロールプレスする動作と、第1把持部33により次回使用するプレドープ金属箔151を把持可能な状態にする動作とを並行して行うことができるため、移送ユニット3の動作を効率化でき、製造効率の向上が一層図られる。
【0052】
また、本実施形態における蓄電デバイス100の製造装置1では、圧着台2は、硬質樹脂からなる。これにより、プレドープ金属箔15が圧着台2の上面に直接載置される場合において、第1ローラ31及び第2ローラ32によるロールプレスの際に、プレドープ金属箔15が圧着台2の上面に貼り付ことが防止され、プレドープ対象電極10からプレドープ金属箔15が剥離することを防止することができ、製造品質の向上が図られる。
【0053】
また、本実施形態における蓄電デバイス100の製造装置1では、圧着台2と圧着台2が設置される圧着台設置部20との間には弾性部材21が設けられている。これにより、第1ローラ31及び第2ローラ32によるロールプレスの際に、第1ローラ31及び第2ローラ32の押圧に基づいてプレドープ対象電極10の形状(平面性)に合わせて圧着台2を介して弾性部材21が弾性変形することできる。その結果、第1ローラ31及び第2ローラ32とプレドープ対象電極10との当たり精度を高く維持することができ、製造品質の向上が図られる。
【0054】
以上のごとく、本実施態様によれば、製造効率及び製造品質の向上が図られる蓄電デバイス100の製造方法及び製造装置1を提供することができる。
【0055】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1:蓄電デバイスの製造装置、2:圧着台、3:移送ユニット、4:プレドープ金属箔供給部、5:プレドープ対象電極供給部、10:プレドープ対象電極、15:プレドープ金属箔、15a:重なり領域、20:圧着台設置部、21:弾性部材、31:第1ローラ、32:第2ローラ、33:第1把持部、34:第2把持部、100:蓄電デバイス、101:積層体、102:外装体