(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092794
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】充放電システム、及び、充放電システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/34 20060101AFI20230627BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230627BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230627BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
H02J7/34 J
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J3/38 180
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208012
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】横山 昌央
(72)【発明者】
【氏名】林 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】栗坂 昌克
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB07
5G066HB09
5G066JA02
5G066JB03
5G503AA04
5G503BB02
5G503BB03
5G503CC08
5G503DA05
5G503DA07
5G503DA16
5G503DA17
5G503DA18
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】車両が有する蓄電装置である車両蓄電装置の有効活用を図ることができる充放電システムを提供する。
【解決手段】外部から電力が供給される所定の供給エリア1において、車両50が有する蓄電装置である車両蓄電装置51との間で充放電を行い、供給エリア1内の電力負荷20に電力を供給する充放電システム10であって、車両蓄電装置51に対する充放電を制御する充放電部162を備え、充放電システム10には、電力負荷20に電力を供給する蓄電装置80が接続されており、充放電部162は、車両蓄電装置51から電力を放電し、かつ、当該電力を蓄電装置80に充電する。
【選択図】
図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から電力が供給される所定の供給エリアにおいて、車両が有する蓄電装置である車両蓄電装置との間で充放電を行い、前記供給エリア内の電力負荷に電力を供給する充放電システムであって、
前記車両蓄電装置に対する充放電を制御する充放電部を備え、
前記充放電システムには、前記電力負荷に電力を供給する蓄電装置が接続されており、
前記充放電部は、前記車両蓄電装置から電力を放電し、かつ、当該電力を前記蓄電装置に充電する
充放電システム。
【請求項2】
前記充放電部は、前記充放電システムに接続された発電装置の発電電力が第一閾値以下になったか否かを判断し、前記発電電力が前記第一閾値以下になったと判断した場合に、前記車両蓄電装置から電力を放電し、当該電力を前記蓄電装置に充電する
請求項1に記載の充放電システム。
【請求項3】
前記充放電部は、前記蓄電装置の充電可能電力よりも小さい値を前記第一閾値とし、前記発電電力が前記第一閾値以下になったか否かを判断する
請求項2に記載の充放電システム。
【請求項4】
前記車両蓄電装置に対しては、放電させて前記電力負荷に電力を供給し、前記充放電システムに接続された発電装置から前記蓄電装置に電力を供給する運転モードを第一運転モードとし、
前記車両蓄電装置に対しては、充放電させない、または、放電させて前記電力負荷に電力を供給し、前記発電装置から前記電力負荷に電力を供給する運転モードを第二運転モードとし、
前記車両蓄電装置に対しては、充電させる、または、充放電させず、前記発電装置から前記電力負荷に電力を供給する運転モードを第三運転モードとし、
前記充放電システムは、前記第一運転モード、前記第二運転モード及び前記第三運転モードのうちのいずれかを示す運転情報を取得する取得部をさらに備え、
前記充放電部は、前記取得部が前記運転情報を取得した場合に、前記運転情報で示される運転モードに従った制御を行う
請求項1~3のいずれか一項に記載の充放電システム。
【請求項5】
前記第一運転モードは、前記発電装置から前記蓄電装置に電力を供給し、前記車両蓄電装置から前記電力負荷に電力を供給する第一モードと、前記発電装置から前記蓄電装置に電力を供給し、前記車両蓄電装置から前記電力負荷及び前記蓄電装置に電力を供給する第二モードと、を含み、
前記第二運転モードは、前記車両蓄電装置に対しては充放電させず、前記発電装置から前記電力負荷及び前記蓄電装置に電力を供給する第三モードと、前記発電装置から前記電力負荷に電力を供給し、前記車両蓄電装置から前記電力負荷に電力を供給する第四モードと、を含み、
前記第三運転モードは、前記発電装置から前記電力負荷及び前記車両蓄電装置に電力を供給し、前記車両蓄電装置を充電する第五モードと、前記車両蓄電装置に対しては充放電させず、前記発電装置及び前記蓄電装置から前記電力負荷に電力を供給する第六モードと、を含み、
前記充放電部は、前記取得部が前記第一運転モードを示す運転情報を取得した場合には、前記第一モードまたは前記第二モードに従った制御を行い、前記取得部が前記第二運転モードを示す運転情報を取得した場合には、前記第三モードまたは前記第四モードに従った制御を行い、前記取得部が前記第三運転モードを示す運転情報を取得した場合には、前記第五モードまたは前記第六モードに従った制御を行う
請求項4に記載の充放電システム。
【請求項6】
前記充放電システムは、前記第一運転モード、前記第二運転モード及び前記第三運転モードのうちの少なくとも2つの運転モードを示す情報を表示部に表示する制御部をさらに備え、
前記取得部は、前記表示部に表示された情報で示されるいずれかの運転モードが選択されたことを示す前記運転情報を取得する
請求項4または5に記載の充放電システム。
【請求項7】
前記充放電部は、前記電力負荷の消費電力が、前記充放電システムに接続された発電装置の発電電力よりも大きいか否かを判断し、前記消費電力が前記発電電力よりも大きいと判断した場合に、前記車両蓄電装置から電力を放電し、当該電力を前記電力負荷に供給する
請求項1~6のいずれか一項に記載の充放電システム。
【請求項8】
前記充放電部は、前記車両蓄電装置が前記車両に電力を供給する蓄電装置であるか否かを判断し、前記車両蓄電装置が前記車両に電力を供給する蓄電装置であると判断した場合に、前記車両蓄電装置の残容量を示す値が第二閾値以下になったか否かを判断し、前記車両蓄電装置の残容量を示す値が前記第二閾値以下になったと判断した場合に、前記車両蓄電装置から電力を放電させないように制御する
請求項1~7のいずれか一項に記載の充放電システム。
【請求項9】
前記充放電部は、前記蓄電装置の残容量を示す値が第三閾値以上になったか否かを判断し、前記蓄電装置の残容量を示す値が前記第三閾値以上になったと判断した場合に、前記車両蓄電装置から放電する電力を小さくする、または、前記車両蓄電装置を充電する
請求項1~8のいずれか一項に記載の充放電システム。
【請求項10】
前記充放電部は、所定条件を満たすか否かを判断し、前記所定条件を満たすと判断した場合に、前記車両蓄電装置を充電させないように制御する
請求項1~9のいずれか一項に記載の充放電システム。
【請求項11】
前記充放電部は、前記蓄電装置の残容量を示す値が第四閾値以下になったか否かを判断し、前記蓄電装置の残容量を示す値が前記第四閾値以下になったと判断した場合に、前記車両蓄電装置を充電させないように制御する
請求項10に記載の充放電システム。
【請求項12】
前記充放電部は、電力系統から前記供給エリアに電力が供給されているか否かを判断し、前記電力系統から前記供給エリアに電力が供給されていないと判断した場合に、前記車両蓄電装置を充電させないように制御する
請求項10または11に記載の充放電システム。
【請求項13】
外部から電力が供給される所定の供給エリアにおいて、車両が有する蓄電装置である車両蓄電装置との間で充放電を行い、前記供給エリア内の電力負荷に電力を供給する充放電システムの制御方法であって、
前記充放電システムには、前記電力負荷に電力を供給する蓄電装置が接続されており、
前記車両蓄電装置から電力を放電し、かつ、当該電力を前記蓄電装置に充電する
充放電システムの制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の充放電システムの制御方法に含まれる処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が有する蓄電装置である車両蓄電装置との間で充放電を行う充放電システム、及び、充放電システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が有する蓄電装置である車両蓄電装置との間で充放電を行い、電力負荷に電力を供給する充放電システムが知られている。特許文献1には、電動自動車に搭載されたバッテリ(車両蓄電装置)との間で充放電を行う系統連系システム(充放電システム)において、非常時に当該バッテリから電力負荷に電力が供給される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたような従来の充放電システムにおいて、車両蓄電装置を、災害地の電力負荷への電力供給に活用するような場合、当該災害地の電力負荷が小さいと、車両蓄電装置を当該災害地に長期間留めておくこととなる。この場合、車両蓄電装置を他の災害地で活用することができないという問題が生じる。このため、車両蓄電装置を有効に活用することが望まれる。
【0005】
本発明は、車両が有する蓄電装置である車両蓄電装置の有効活用を図ることができる充放電システム、及び、充放電システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る充放電システムは、外部から電力が供給される所定の供給エリアにおいて、車両が有する蓄電装置である車両蓄電装置との間で充放電を行い、前記供給エリア内の電力負荷に電力を供給する充放電システムであって、前記車両蓄電装置に対する充放電を制御する充放電部を備え、前記充放電システムには、前記電力負荷に電力を供給する蓄電装置が接続されており、前記充放電部は、前記車両蓄電装置から電力を放電し、かつ、当該電力を前記蓄電装置に充電する。
【0007】
本発明は、このような充放電システムとして実現できるだけでなく、充放電システムの制御方法としても実現できる。本発明は、充放電システムの制御方法に含まれる処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとしても実現でき、当該プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体としても実現できる。当該プログラムは、当該記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができる。本発明は、充放電システムに含まれる処理部を備える集積回路としても実現できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明における充放電システム等によれば、車両が有する蓄電装置である車両蓄電装置の有効活用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る充放電システムを含む遠隔監視システムの概要を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る充放電システムの構成を示す図である。
【
図3】実施の形態に係る充放電システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態に係る第一通信部の機能構成を示すブロック図である。
【
図5A】実施の形態に係る第一運転モードの第一モードを説明する図である。
【
図5B】実施の形態に係る第一運転モードの第二モードを説明する図である。
【
図6A】実施の形態に係る第二運転モードの第三モードを説明する図である。
【
図6B】実施の形態に係る第二運転モードの第四モードを説明する図である。
【
図7A】実施の形態に係る第三運転モードの第五モードを説明する図である。
【
図7B】実施の形態に係る第三運転モードの第六モードを説明する図である。
【
図8A】実施の形態に係るクライアント装置の表示部に表示される情報の一例を示す図である。
【
図8B】実施の形態に係る充放電器の表示部に表示される情報の一例を示す図である。
【
図9】実施の形態に係る充放電システムが行う第1の処理を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態に係る充放電システムが行う第2の処理を示すフローチャートである。
【
図11】実施の形態に係る充放電システムが行う第2の処理を説明する図である。
【
図12】実施の形態に係る充放電システムが行う第3の処理を示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態に係る充放電システムが行う第3の処理を説明する図である。
【
図14】実施の形態に係る充放電システムが行う第4の処理を示すフローチャートである。
【
図15】実施の形態に係る充放電システムが行う第5の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様に係る充放電システムは、外部から電力が供給される所定の供給エリアにおいて、車両が有する蓄電装置である車両蓄電装置との間で充放電を行い、前記供給エリア内の電力負荷に電力を供給する充放電システムであって、前記車両蓄電装置に対する充放電を制御する充放電部を備え、前記充放電システムには、前記電力負荷に電力を供給する蓄電装置が接続されており、前記充放電部は、前記車両蓄電装置から電力を放電し、かつ、当該電力を前記蓄電装置に充電する。
【0011】
これによれば、充放電システムは、車両蓄電装置から電力を放電し、かつ、当該電力を蓄電装置に充電する。このように、車両蓄電装置の電力を蓄電装置に貯めておくことで、車両蓄電装置の電力を比較的短い期間で消費でき、かつ、比較的長い期間、蓄電装置から電力負荷に電力を供給できる。これにより、車両蓄電装置を次の災害地で活用できるように、比較的早期に車両蓄電装置を災害地から離れさせることができる。したがって、充放電システムによれば、車両が有する蓄電装置である車両蓄電装置の有効活用を図ることができる。
【0012】
前記充放電部は、前記充放電システムに接続された発電装置の発電電力が第一閾値以下になったか否かを判断し、前記発電電力が前記第一閾値以下になったと判断した場合に、前記車両蓄電装置から電力を放電し、当該電力を前記蓄電装置に充電してもよい。
【0013】
充放電システムに発電装置が接続されている場合には、発電装置の発電電力が低下すると、電力負荷への電力供給と、蓄電装置への充電ができなくなるおそれがある。このため、充放電システムは、発電装置の発電電力が第一閾値以下になった場合に、車両蓄電装置から電力を放電し、当該電力を蓄電装置に充電する。これにより、車両蓄電装置を次の災害地で活用できるように、比較的早期に車両蓄電装置を災害地から離れさせることができるため、車両蓄電装置の有効活用を図ることができる。
【0014】
前記充放電部は、前記蓄電装置の充電可能電力よりも小さい値を前記第一閾値とし、前記発電電力が前記第一閾値以下になったか否かを判断してもよい。
【0015】
発電装置の発電電力が蓄電装置の充電可能電力よりも小さい場合には、発電装置から蓄電装置に電力を供給しても、蓄電装置の充電可能電力を越えないため、発電装置の発電電力を抑制することなく、車両蓄電装置からも蓄電装置に電力を供給できる。このため、車両蓄電装置から蓄電装置に電力を供給するための発電装置の発電電力の閾値(第一閾値)を、蓄電装置の充電可能電力よりも小さい値とする。これにより、発電装置を効率的に運用しつつ、車両蓄電装置の有効活用を図ることができる。
【0016】
前記車両蓄電装置に対しては、放電させて前記電力負荷に電力を供給し、前記充放電システムに接続された発電装置から前記蓄電装置に電力を供給する運転モードを第一運転モードとし、前記車両蓄電装置に対しては、充放電させない、または、放電させて前記電力負荷に電力を供給し、前記発電装置から前記電力負荷に電力を供給する運転モードを第二運転モードとし、前記車両蓄電装置に対しては、充電させる、または、充放電させず、前記発電装置から前記電力負荷に電力を供給する運転モードを第三運転モードとし、前記充放電システムは、前記第一運転モード、前記第二運転モード及び前記第三運転モードのうちのいずれかを示す運転情報を取得する取得部をさらに備え、前記充放電部は、前記取得部が前記運転情報を取得した場合に、前記運転情報で示される運転モードに従った制御を行ってもよい。
【0017】
これによれば、充放電システムは、第一運転モード、第二運転モード及び第三運転モードのうちのいずれかを示す運転情報を取得した場合に、取得した運転情報で示される運転モードに従った制御を行う。第一運転モードは、車両蓄電装置の電力を優先的に使用する運転モードである。第二運転モードは、発電装置の発電電力を優先的に使用しつつ、車両蓄電装置の電力も使用できれば使用する運転モードである。第三運転モードは、車両蓄電装置の電力は使用しない運転モードである。このように、充放電システムは、用途に合った運転モードを示す運転情報を取得して、当該運転モードに従った制御を行うことで、状況に適した車両蓄電装置の電力の使用がなされる。これにより、車両蓄電装置の有効活用を図ることができる。
【0018】
前記第一運転モードは、前記発電装置から前記蓄電装置に電力を供給し、前記車両蓄電装置から前記電力負荷に電力を供給する第一モードと、前記発電装置から前記蓄電装置に電力を供給し、前記車両蓄電装置から前記電力負荷及び前記蓄電装置に電力を供給する第二モードと、を含み、前記第二運転モードは、前記車両蓄電装置に対しては充放電させず、前記発電装置から前記電力負荷及び前記蓄電装置に電力を供給する第三モードと、前記発電装置から前記電力負荷に電力を供給し、前記車両蓄電装置から前記電力負荷に電力を供給する第四モードと、を含み、前記第三運転モードは、前記発電装置から前記電力負荷及び前記車両蓄電装置に電力を供給し、前記車両蓄電装置を充電する第五モードと、前記車両蓄電装置に対しては充放電させず、前記発電装置及び前記蓄電装置から前記電力負荷に電力を供給する第六モードと、を含み、前記充放電部は、前記取得部が前記第一運転モードを示す運転情報を取得した場合には、前記第一モードまたは前記第二モードに従った制御を行い、前記取得部が前記第二運転モードを示す運転情報を取得した場合には、前記第三モードまたは前記第四モードに従った制御を行い、前記取得部が前記第三運転モードを示す運転情報を取得した場合には、前記第五モードまたは前記第六モードに従った制御を行ってもよい。
【0019】
これによれば、充放電システムは、種々の運転モードのうちから用途に合った運転モードを示す運転情報を取得して、当該運転モードに従った制御を行うことができ、状況に適した車両蓄電装置の電力の使用がなされる。これにより、車両蓄電装置の有効活用を図ることができる。
【0020】
前記充放電システムは、前記第一運転モード、前記第二運転モード及び前記第三運転モードのうちの少なくとも2つの運転モードを示す情報を表示部に表示する制御部をさらに備え、前記取得部は、前記表示部に表示された情報で示されるいずれかの運転モードが選択されたことを示す前記運転情報を取得してもよい。
【0021】
これによれば、充放電システムは、少なくとも2つの運転モードを示す情報を表示部に表示し、いずれかの運転モードが選択されたことを示す運転情報を取得し、取得した運転情報で示される運転モードに従った制御を行う。このように、充放電システムは、ユーザが表示部を介して運転モードを選択した場合に、選択された運転モードに従った制御を行う。これにより、ユーザが状況に適した運転モードを選択することで、状況に適した車両蓄電装置の電力の使用がなされるため、車両蓄電装置の有効活用を図ることができる。
【0022】
前記充放電部は、前記電力負荷の消費電力が、前記充放電システムに接続された発電装置の発電電力よりも大きいか否かを判断し、前記消費電力が前記発電電力よりも大きいと判断した場合に、前記車両蓄電装置から電力を放電し、当該電力を前記電力負荷に供給してもよい。
【0023】
電力負荷の消費電力が発電装置の発電電力以下の場合には、発電装置の発電電力で電力負荷の消費電力を賄えるため、車両蓄電装置から電力負荷に電力を供給すれば、発電装置の発電電力を抑制してしまうおそれがある。このため、充放電システムは、電力負荷の消費電力が発電装置の発電電力よりも大きい場合に、車両蓄電装置から電力負荷に電力を供給する。これにより、発電装置の発電電力を抑制することなく、車両蓄電装置から電力負荷に電力を供給できるため、発電装置を効率的に運用しつつ、車両蓄電装置の有効活用を図ることができる。
【0024】
前記充放電部は、前記車両蓄電装置が前記車両に電力を供給する蓄電装置であるか否かを判断し、前記車両蓄電装置が前記車両に電力を供給する蓄電装置であると判断した場合に、前記車両蓄電装置の残容量を示す値が第二閾値以下になったか否かを判断し、前記車両蓄電装置の残容量を示す値が前記第二閾値以下になったと判断した場合に、前記車両蓄電装置から電力を放電させないように制御してもよい。
【0025】
車両蓄電装置が、車両に電力を供給する蓄電装置である場合、車両蓄電装置の残容量が少なくなると、車両蓄電装置が車両に電力を供給できなくなるおそれがあるため、車両の保護のために、車両蓄電装置から放電させ過ぎないのが好ましい。車両蓄電装置の残容量が少なくなると、車両蓄電装置を強制的に充電するように設定されている車両もあり、この場合、車両蓄電装置の有効活用を図ることができない。このため、充放電システムは、車両蓄電装置が車両に電力を供給する蓄電装置であり、かつ、車両蓄電装置の残容量を示す値が第二閾値以下になった場合に、車両蓄電装置から電力を放電させないように制御する。これにより、車両を保護しつつ、車両蓄電装置を強制的に充電することも抑制できるため、車両蓄電装置の有効活用を図ることができる。車両蓄電装置が車両に電力を供給する蓄電装置であるか否かが不明であれば、上記効果を奏することができないが、充放電システムは、車両蓄電装置が車両に電力を供給する蓄電装置であるか否かを判断することができるため、上記効果を発揮できる。
【0026】
前記充放電部は、前記蓄電装置の残容量を示す値が第三閾値以上になったか否かを判断し、前記蓄電装置の残容量を示す値が前記第三閾値以上になったと判断した場合に、前記車両蓄電装置から放電する電力を小さくする、または、前記車両蓄電装置を充電してもよい。
【0027】
蓄電装置が満充電になっても、余剰電力があると、蓄電装置への充電を抑制できない場合がある。蓄電装置が充電され続けると過電圧等の保護機能が発生してしまい、充放電システムが停止する等の不具合が生じるおそれがある。このため、充放電システムは、蓄電装置の残容量を示す値が第三閾値以上になった場合に、車両蓄電装置から放電する電力を小さくする、または、車両蓄電装置を充電する。これにより、蓄電装置が満充電になっても充電され続けるのを抑制し、車両蓄電装置から不要な電力が放電されるのを抑制できるため、車両蓄電装置の有効活用を図ることができる。
【0028】
前記充放電部は、所定条件を満たすか否かを判断し、前記所定条件を満たすと判断した場合に、前記車両蓄電装置を充電させないように制御してもよい。
【0029】
供給エリア内の電力負荷により多くの電力を供給したい場合等に、車両蓄電装置を充電させないケースが所定条件として設定されている場合、充放電システムは、所定条件を満たすと判断した場合に、車両蓄電装置を充電させないように制御する。これにより、車両蓄電装置による電力の消費を抑制できるため、供給エリア内の電力負荷により多くの電力を供給できる。
【0030】
前記充放電部は、前記蓄電装置の残容量を示す値が第四閾値以下になったか否かを判断し、前記蓄電装置の残容量を示す値が前記第四閾値以下になったと判断した場合に、前記車両蓄電装置を充電させないように制御してもよい。
【0031】
蓄電装置の残容量が少なくなった場合に車両蓄電装置を充電させないことで、蓄電装置の残容量がさらに減るのを抑制できる。
【0032】
前記充放電部は、電力系統から前記供給エリアに電力が供給されているか否かを判断し、前記電力系統から前記供給エリアに電力が供給されていないと判断した場合に、前記車両蓄電装置を充電させないように制御してもよい。
【0033】
停電時等の電力系統から供給エリアに電力が供給されない場合に車両蓄電装置を充電させないことで、車両蓄電装置による電力の消費を抑制できるため、供給エリア内の電力負荷により多くの電力を供給できる。
【0034】
本発明の一態様に係る充放電システムの制御方法は、外部から電力が供給される所定の供給エリアにおいて、車両が有する蓄電装置である車両蓄電装置との間で充放電を行い、前記供給エリア内の電力負荷に電力を供給する充放電システムの制御方法であって、前記充放電システムには、前記電力負荷に電力を供給する蓄電装置が接続されており、前記車両蓄電装置から電力を放電し、かつ、当該電力を前記蓄電装置に充電する。
【0035】
これによれば、充放電システムの制御方法では、車両蓄電装置から電力を放電し、かつ、当該電力を蓄電装置に充電する。この充放電システムの制御方法によれば、上述の通り、車両が有する蓄電装置である車両蓄電装置の有効活用を図ることができる。
【0036】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る充放電システム、及び、充放電システムの制御方法等について説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、制御処理、制御処理の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0037】
(実施の形態)
[1 充放電システム10の説明]
まず、充放電システム10についての全般的な説明を行う。
図1は、本実施の形態に係る充放電システム10を含む遠隔監視システムの概要を示す図である。
【0038】
図1に示すように、遠隔監視システム内には、複数(
図1では3つ)の供給エリア1と、供給エリア1の情報を収集可能なサーバ装置30と、供給エリア1の情報を閲覧可能なクライアント装置40と、通信媒体であるネットワークNと、が配置されている。これにより、供給エリア1の情報を、ネットワークN(及びサーバ装置30)を介して、クライアント装置40の表示部41に表示することで、遠隔監視できる構成となっている。
【0039】
供給エリア1は、電力系統からの電力が供給される所定のサイトであり、需要家単位、施設単位または建物(ビル)単位等の所定の領域で区切られる。供給エリア1のそれぞれにおいて、パワーコンディショナ100及び充放電器200を備える充放電システム10、並びに、電力負荷20が配置されており、充放電システム10から電力負荷20へ電力が供給される。電力負荷20は、供給エリア1のそれぞれに配置された建物(事務所等)内の電力消費機器、または、屋外設置の電力消費機器等が消費する電力負荷である。
【0040】
サーバ装置30は、Webサーバ機能を含み、供給エリア1内の充放電システム10から得られる情報を、クライアント装置40からのアクセスに応じて提示する。サーバ装置30は、パーソナルコンピュータ等の汎用のコンピュータシステムがプログラムを実行することによって実現されてもよいし、専用のコンピュータシステムによって実現されてもよい。
【0041】
ネットワークNは、いわゆるインターネットである公衆通信網N1と、所定の移動通信規格による無線通信を実現するキャリアネットワークN2と、を含む。公衆通信網N1は、一般光回線を含み、ネットワークNは、サーバ装置30が接続する専用線を含む。キャリアネットワークN2には基地局BSが含まれ、クライアント装置40は、基地局BSからネットワークNを介したサーバ装置30との通信が可能である。公衆通信網N1にはアクセスポイントAPが接続されており、クライアント装置40は、アクセスポイントAPからネットワークNを介したサーバ装置30との通信が可能である。
【0042】
クライアント装置40は、デスクトップ型若しくはラップトップ型のパーソナルコンピュータであってもよいし、いわゆるスマートフォンまたはタブレット型の通信端末であってもよい。クライアント装置40は、液晶ディスプレイ等の表示部41、キーボード及びマウスまたはタッチパネル等の入力部42、制御部、記憶部(メモリ)、並びに、通信部等を有している。記憶部には、制御部が読み出して実行する、Webブラウザを含むクライアントプログラム等が記憶されている。クライアント装置40のWebブラウザで表示されるログイン画面によりログインしたユーザは、サーバ装置30から提供される、自身が関与するシステムに関する情報にアクセスできる。
【0043】
次に、充放電システム10について詳細に説明する。
図2は、本実施の形態に係る充放電システム10の構成を示す図である。具体的には、
図2は、充放電システム10が備えるパワーコンディショナ100及び充放電器200の構成と、充放電器200に車両50の車両蓄電装置51が接続された状態とを示すイメージ図である。
図3は、本実施の形態に係る充放電システム10の機能構成を示すブロック図である。具体的には、
図3は、供給エリア1内で、充放電システム10が、車両50の車両蓄電装置51、電力系統60、発電装置70、蓄電装置80、及び、電力負荷20に接続された構成を示している。
【0044】
充放電システム10は、外部から電力が供給される所定の供給エリア1において、車両50が有する蓄電装置である車両蓄電装置51との間で充放電を行い、供給エリア1内の電力負荷20に電力を供給するシステムである。上記「外部」とは、車両蓄電装置51以外の電源を指しており、車両蓄電装置51以外であればどのような電源でもよいが、本実施の形態では、電力系統60である。
図2及び
図3に示すように、充放電システム10は、パワーコンディショナ100と、充放電器200とを備えている。
図2では、5つの充放電器200が図示され、
図3では、説明の便宜のため1つの充放電器200しか図示されていないが、充放電システム10が備える充放電器200の数は特に限定されない。充放電システム10が備えるパワーコンディショナ100の数も特に限定されない。
【0045】
つまり、充放電システム10は、
図2に示すように、駐車スペースS1~S5を隣接配置した集中タイプの充放電ステーションに配置されてもよいし、駐車スペースを分散配置(建物の別フロアに配置等)した分散タイプの充放電ステーション(図示せず)に配置されてもよい。
図2では、駐車スペース(S1、S2、・・・)のそれぞれに充放電器200が配置されているが、この形態に限定されず、単一の駐車スペースに、単一の充放電器200が設置されていてもよい。1つの充放電器200に、複数の車両50(複数の車両蓄電装置51)が接続されてもよい。言い換えれば、充放電システム10には、複数の車両50(複数の車両蓄電装置51)が接続されてもよいし、1つの車両50(1つの車両蓄電装置51)しか接続されなくてもよい。充放電システム10が配置される充放電ステーションは、公共駐車場等の公共の場所に設けられてもよいし、企業または個人の敷地内に設けられてもよい。
【0046】
図3に示すように、パワーコンディショナ100は、充放電器200、電力系統60、発電装置70、蓄電装置80、及び、電力負荷20に接続されて、これらと電力のやりとりを行う。つまり、パワーコンディショナ100は、充放電器200、電力系統60、発電装置70及び蓄電装置80から電力の供給を受けたり、充放電器200、電力系統60、蓄電装置80及び電力負荷20に電力を供給したりする。これにより、電力系統60及び発電装置70は、電力負荷20、蓄電装置80及び車両蓄電装置51に電力を供給する。蓄電装置80は、電力負荷20及び車両蓄電装置51に電力を供給する。車両蓄電装置51は、電力負荷20及び蓄電装置80に電力を供給する。
【0047】
電力系統60は、例えば電力会社が保有する商用電力系統であり、火力発電所等の系統電源61が発電した交流電力が流れる。電力系統60は、当該交流電力をパワーコンディショナ100に供給する。電力系統60は、商用電力系統には限定されず、充放電システム10の外部に設けられた、充放電システム10に電力を供給する電力系統であればよく、商用電力系統に接続されない離島または所定地域に設置された電力系統等でもよい。
【0048】
発電装置70は、供給エリア1内に設置された発電装置であり、太陽光発電設備、風力発電設備、ディーゼル発電機、小型ガスタービン発電機、燃料電池、マイクロ水力発電機、バイナリー発電等の分散型電源設備等である。発電装置70は、発電した電力をパワーコンディショナ100に供給する。
【0049】
蓄電装置80は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電できる電源装置である。蓄電装置80は、パワーコンディショナ100を介して、電力を充電し、かつ、電力を放電する。具体的には、蓄電装置80は、直列及び/または並列に接続された複数の蓄電素子を有している。蓄電素子は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、例えば、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池、キャパシタ、または、固体電解質を用いた電池等であってもよい。蓄電装置80は、車両蓄電装置51のような、車両が有する蓄電装置でもよい。
【0050】
電力負荷20は、供給エリア1内で消費される電力負荷であり、停電等の非常時でも使用される特定負荷21及び22と、通常時に使用される一般負荷23と、を有している。特定負荷21は、事務所等の施設のエレベータまたは業務用空調等で使用される動力負荷であり、特定負荷22は、事務所等の施設の照明またはコンセント等に使用される電灯負荷である。一般負荷23は、特定負荷21及び22以外の電力負荷であり、家電機器または工場で機械を稼動するための負荷等である。
【0051】
パワーコンディショナ100は、第一コンバータ回路110と、第二コンバータ回路120と、双方向インバータ回路130と、切替回路140と、制御部150と、第一通信部160とを備えている。
【0052】
第一コンバータ回路110は、直流電力間の変換を実施する電力変換器(DC/DCコンバータ)であり、発電装置70に接続されて、発電装置70の出力電圧(直流)を昇圧して出力する。第一コンバータ回路110は、昇圧チョッパであってもよい。第二コンバータ回路120は、直流電力間の変換を実施する双方向の電力変換器(双方向のDC/DCコンバータ)であり、蓄電装置80が接続されて、蓄電装置80の放電と充電とを行う。第二コンバータ回路120は、双方向チョッパであってもよい。蓄電装置80は、第二コンバータ回路120を介して、発電装置70からの余剰電力や、電力系統60からの電力を蓄電できる。蓄電装置80は、発電装置70の発電量が不足している場合、放電して、第二コンバータ回路120を介して発電量の不足を補うことができる。双方向インバータ回路130は、直流電力を交流電力に変換する逆変換(インバート)と、交流電力を直流電力に変換する順変換(コンバート)とを選択的に行う、双方向の変換回路である。双方向インバータ回路130は、第一コンバータ回路110、第二コンバータ回路120及び電力系統60に接続されている。
【0053】
切替回路140は、三相の特定負荷21と、変圧器を介して単相の特定負荷22とが接続されており、電力系統60の停電等の非常時に、特定負荷21及び22に電力を供給するために接点を切り替える回路である。切替回路140は、通常時には、電力線に接点Aを接続して、電力系統60からの電力を特定負荷21及び22等に供給可能に構成する。切替回路140は、非常時には、接点Bに切り替えて、発電装置70及び/または蓄電装置80から双方向インバータ回路130を介して特定負荷21及び22に電力を供給可能に構成する。これにより、特定負荷21及び22には、電力系統60の停電時に、発電装置70、蓄電装置80及び充放電器200の少なくとも1つから、バックアップ電力が供給される。
【0054】
制御部150は、パワーコンディショナ100内の各種機器を制御する制御装置である。パワーコンディショナ100は、さらに、電流検出部及び電圧検出部(図示せず)を有している。電流検出部は、例えば貫通型のホールセンサであり、パワーコンディショナ100内の電力線を流れる電流を検出する。電圧検出部は、パワーコンディショナ100内の電力線の電圧を検出する。制御部150は、検出された電流及び電圧に基づいて、当該電力線を出入りする電力(有効電力)及び電力量を算出して取得する機能を有している。制御部150は、電力系統60の受電点に設けられた外部計測器(外部トランスデューサ)62が検出した受電電流及び系統電圧から受電電力を算出する、または、外部計測器62が算出した当該受電電力を取得する機能も有している。このように、制御部150は、充放電システム10と、電力系統60、発電装置70、蓄電装置80及び電力負荷20との間を流れる電流の電力及び電力量を取得可能な構成となっている。制御部150は、蓄電装置80のSOC(State Of Charge)、及び、パワーコンディショナ100と充放電器200との間を流れる電流の電力及び電力量等、上記以外の情報も取得可能に構成されていてもよい。
【0055】
第一通信部160は、ネットワークインターフェースカード(NIC)等の通信基板であり、外部機器との通信を行うことができる。第一通信部160は、制御部150と通信線(図示せず)を介して通信可能に接続されており、制御部150から情報を取得する。第一通信部160は、後述する充放電器200の第二通信部230とも通信線を介してまたは無線通信により通信可能に接続されており、第二通信部230からも情報を取得する。第一通信部160についての詳細な説明は、後述する。
【0056】
パワーコンディショナ100は、幅広い電力負荷に電力供給できる、三相連系蓄電システムであってもよい。例えば、パワーコンディショナ100として、蓄電装置80を一体的に備えた、いわゆる蓄電池付きパワーコンディショナを用いることで、省スペースを図ることができる。
【0057】
充放電器200は、車両50が有する蓄電装置である車両蓄電装置51に接続され、車両蓄電装置51との間で充放電を行う充放電スタンドである。充放電器200は、パワーコンディショナ100を介して電力負荷20にも接続されており、通常時等に、車両蓄電装置51を充電し、非常時等に、車両蓄電装置51を放電させて電力を特定負荷21及び22等の電力負荷20等に供給する。
【0058】
車両50は、電気自動車(EV)、及び、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車(移動体)であり、車両蓄電装置51は、それらに搭載されるバッテリである。車両蓄電装置51は、車両50に電力を供給し、車両50を駆動する蓄電装置(バッテリ)である。車両蓄電装置51は、蓄電装置80と同様に、直列及び/または並列に接続された複数の蓄電素子(リチウムイオン二次電池等)を有している。
【0059】
充放電器200は、充放電ユニット210と、制御部220と、第二通信部230と、入力部240と、表示部250と、を備えている。
【0060】
充放電ユニット210は、交流電力を直流電力に変換する順変換(コンバート)と、直流電力を交流電力に変換する逆変換(インバート)とを選択的に行う、双方向の変換回路である。充放電ユニット210は、パワーコンディショナ100からの交流電力を直流電力に変換し、車両蓄電装置51に供給して車両蓄電装置51を充電する。充放電ユニット210は、車両蓄電装置51から放電された直流電力を交流電力に変換し、パワーコンディショナ100を介して電力負荷20等に供給する。
【0061】
制御部220は、充放電ユニット210に指令を与えることで、充放電ユニット210を制御する。制御部220は、充放電ユニット210の出力に基づいて、車両蓄電装置51の充電時と放電時との電力及び電力量を算出(推定)して取得する機能を有している。さらに、制御部220は、各種情報を表示部250に表示する機能を有している。本実施の形態では、制御部220は、後述する第一運転モード、第二運転モード及び第三運転モードのうちの少なくとも2つの運転モードを示す情報を表示部250に表示する。制御部220は、入力部240を介して、表示部250に表示された情報が選択された場合に、当該選択された情報を第二通信部230に送信する機能も有している。本実施の形態では、制御部220は、表示部250に表示された情報で示されるいずれかの運転モードが選択されたことを示す運転情報を、第二通信部230に送信する。制御部220は、車両蓄電装置51のSOC等を取得して監視する機能を有していてもよい。制御部220は、記憶部(メモリ)等を有していてもよい。
【0062】
第二通信部230は、通信線を介してまたは無線通信により、パワーコンディショナ100の第一通信部160と通信可能な、ネットワークインターフェースカード(NIC)等の通信基板である。第二通信部230は、制御部220から各種情報を取得し、第一通信部160に送信する。具体的には、第二通信部230は、車両蓄電装置51と充放電ユニット210(充放電システム10)との間で充放電される電力及び電力量等を制御部220から取得し、第一通信部160に送信する。このように、本実施の形態では、第一通信部160が親機として機能し、第二通信部230が子機として機能する。
【0063】
図2に示したように充放電システム10に複数の充放電器200が設けられている場合には、複数の充放電器200が有する複数の第二通信部230が、第一通信部160と通信可能に構成されており、当該複数の第二通信部230から第一通信部160に情報が送信される。第二通信部230は、他の充放電器200が有する他の第二通信部230と有線または無線で通信可能に構成され、当該他の第二通信部230から情報を取得した上で、情報を第一通信部160に送信するような構成でもよい。
【0064】
入力部240は、充放電器200に設けられたタッチパネル等の操作部であり、ユーザからの入力を受け付ける。表示部250は、充放電器200に設けられた液晶ディスプレイ等の表示画面であり、各種情報を表示する。表示部250内に入力部240が表示されて、この表示部250内の入力部240がユーザからの入力を受け付けてもよい。
【0065】
[2 第一通信部160の説明]
次に、充放電システム10のパワーコンディショナ100が備える第一通信部160について、詳細に説明する。
図4は、本実施の形態に係る第一通信部160の機能構成を示すブロック図である。
図4は、第一通信部160が、クライアント装置40及び第二通信部230から情報を取得し、第二通信部230に情報を送信する構成を示している。
【0066】
図4に示すように、第一通信部160は、取得部161と、充放電部162と、送信部163と、記憶部164と、を有している。
【0067】
記憶部164は、取得部161が取得するデータ等、充放電部162が制御を行うために必要なデータ等を記憶しているメモリである。記憶部164には、運転情報164aと、閾値情報164bとが記憶されている。運転情報164aは、複数の運転モード(本実施の形態では、第一運転モード、第二運転モード及び第三運転モードの3つの運転モード)のうちのいずれかの運転モードを示す情報を含む。閾値情報164bは、第一閾値、第二閾値及び第三閾値を示す情報を含む。記憶部164において、これらのデータに変更があった場合には、これらのデータが都度更新されるが、これらのデータが蓄積されてもよい。以下に、第一運転モード、第二運転モード及び第三運転モード、並びに、第一閾値、第二閾値及び第三閾値について、詳細に説明する。
【0068】
図5A及び
図5Bは、本実施の形態に係る第一運転モードを説明する図である。具体的には、
図5Aは、第一運転モードのうちの第一モードを示し、
図5Bは、第一運転モードのうちの第二モードを示している。
図6A及び
図6Bは、本実施の形態に係る第二運転モードを説明する図である。具体的には、
図6Aは、第二運転モードのうちの第三モードを示し、
図6Bは、第二運転モードのうちの第四モードを示している。
図7A及び
図7Bは、本実施の形態に係る第三運転モードを説明する図である。具体的には、
図7Aは、第三運転モードのうちの第五モードを示し、
図7Bは、第三運転モードのうちの第六モードを示している。
【0069】
第一運転モード、第二運転モード及び第三運転モードは、取得部161が取得し、充放電部162が実行する運転モードである。第一運転モード、第二運転モード及び第三運転モードは、いずれも、外部(電力系統60)からの電力の供給が停止した場合(系統停電時、災害時)における運転モードである。
【0070】
図5A及び
図5Bに示すように、第一運転モードは、車両50が有する車両蓄電装置51に対しては、放電させて電力負荷20に電力を供給し、充放電システム10に接続された発電装置70から蓄電装置80に電力を供給する運転モードである。第一運転モードは、第一モードと、第二モードとを含んでいる。第一モードは、
図5Aに示すように、発電装置70から蓄電装置80に電力を供給し、車両蓄電装置51から電力負荷20に電力を供給する運転モードである。第二モードは、
図5Bに示すように、発電装置70から蓄電装置80に電力を供給し、車両蓄電装置51から電力負荷20及び蓄電装置80に電力を供給する運転モードである。第一モードは、発電装置70が発電した電力に余剰がある場合の運転モードであり、第二モードは、発電装置70が発電した電力に余剰がない場合の運転モードである。第一運転モードでは、車両蓄電装置51から蓄電装置80に電力を供給するため、パワーコンディショナ100からは、電力負荷20に電力を供給しない。
【0071】
このように、第一運転モードは、車両蓄電装置51の電力を優先的に使用し、かつ、発電装置70が発電した電力は蓄電装置80に供給する運転モードである。第一運転モードでは、電力を使用する優先度は、車両蓄電装置51が最も高く、次に発電装置70が高く、蓄電装置80が最も低い。第一運転モードは、災害時に、車両蓄電装置51を次の災害地で活用できるように、比較的早期に車両蓄電装置51の電力を使用して車両蓄電装置51を災害地から離れさせるための運転モードである。
【0072】
図6A及び
図6Bに示すように、第二運転モードは、車両蓄電装置51に対しては、充放電させない、または、放電させて電力負荷20に電力を供給し、発電装置70から電力負荷20に電力を供給する運転モードである。第二運転モードは、第三モードと、第四モードとを含んでいる。第三モードは、
図6Aに示すように、車両蓄電装置51に対しては充放電させず、発電装置70から電力負荷20及び蓄電装置80に電力を供給する運転モードである。第四モードは、
図6Bに示すように、発電装置70から電力負荷20に電力を供給し、車両蓄電装置51から電力負荷20に電力を供給する運転モードである。第三モードは、発電装置70が発電した電力に余剰がある場合の運転モードであり、第四モードは、発電装置70が発電した電力に余剰がない場合の運転モードである。第二運転モードでは、発電装置70が発電した電力の余剰分は、蓄電装置80に供給し、車両蓄電装置51からは蓄電装置80に電力を供給しない。
【0073】
このように、第二運転モードは、発電装置70の発電電力を優先的に使用しつつ、車両蓄電装置51の電力も使用できれば使用する運転モードである。第二運転モードでは、電力を使用する優先度は、発電装置70が最も高く、次に車両蓄電装置51が高く、蓄電装置80が最も低い。第二運転モードは、災害時でも、車両蓄電装置51を事業用に使用する可能性がある場合に、車両蓄電装置51の電力を早期には使用しない運転モードである。
【0074】
図7A及び
図7Bに示すように、第三運転モードは、車両蓄電装置51に対しては、充電させる、または、充放電させず、発電装置70から電力負荷20に電力を供給する運転モードである。第三運転モードは、第五モードと、第六モードとを含んでいる。第五モードは、
図7Aに示すように、発電装置70から電力負荷20及び車両蓄電装置51に電力を供給し、車両蓄電装置51を充電する運転モードである。第六モードは、
図7Bに示すように、車両蓄電装置51に対しては充放電させず、発電装置70及び蓄電装置80から電力負荷20に電力を供給する運転モードである。第五モードは、発電装置70が発電した電力に余剰がある場合の運転モードであり、第六モードは、発電装置70が発電した電力に余剰がない場合の運転モードである。第三運転モードでは、車両蓄電装置51からは電力を供給しない(放電しない)。
【0075】
このように、第三運転モードは、車両蓄電装置51の電力は使用せず、むしろ車両蓄電装置51を充電する運転モードである。第三運転モードでは、電力を使用する優先度は、発電装置70が最も高く、次に蓄電装置80が高く、車両蓄電装置51が最も低い。第三運転モードは、災害時に、車両蓄電装置51を充電することなく災害地へ派遣するために、車両蓄電装置51の電力を使用しない運転モードである。
【0076】
第一閾値は、発電装置70の発電電力の大きさと比較するための閾値(電力値)であり、本実施の形態では、蓄電装置80の充電可能電力よりも小さい値である。蓄電装置80の充電可能電力とは、蓄電装置80に充電可能な最大の電力である。蓄電装置80の充電可能電力としては、蓄電装置80の定格電力(一定値)が採用されてもよいし、時間の経過に応じて適宜変更されてもよい。第一閾値は、一定値が予め設定されてもよいし、蓄電装置80の充電可能電力の値等に応じて適宜変更されてもよい。
【0077】
第二閾値は、車両蓄電装置51の残容量の大きさと比較するための閾値である。車両蓄電装置51の残容量とは、車両蓄電装置51に充電されている電気容量である。車両蓄電装置51の残容量を示す指標としてSOCを用いることができるため、本実施の形態では、第二閾値は、車両蓄電装置51のSOCの大きさと比較するための閾値(%)である。
【0078】
第三閾値は、蓄電装置80の残容量の大きさと比較するための閾値である。蓄電装置80の残容量とは、蓄電装置80に充電されている電気容量である。蓄電装置80の残容量を示す指標としてSOCまたは電圧値を用いることができるため、本実施の形態では、第三閾値は、蓄電装置80のSOCまたは電圧値の大きさと比較するための閾値(%またはV)である。
【0079】
図4に戻り、取得部161は、充放電部162が制御を行うために必要な各種情報を取得する。具体的には、取得部161は、第一運転モード、第二運転モード及び第三運転モードのうちのいずれかを示す運転情報(第一運転情報43及び第二運転情報231)を取得する。さらに具体的には、取得部161は、クライアント装置40の表示部41に表示された情報で示されるいずれかの運転モードが選択されたことを示す運転情報(第一運転情報43)を取得する。取得部161は、充放電器200の表示部250に表示された情報で示されるいずれかの運転モードが選択されたことを示す運転情報(第二運転情報231)を取得する。本実施の形態では、取得部161は、初期設定時等に第一運転情報43を取得し、以降は、災害時等に、ユーザからの指示に基づいて第二運転情報231を適宜取得する構成となっている。この取得部161が運転情報を取得する処理について、以下に詳細に説明する。
【0080】
図8Aは、本実施の形態に係るクライアント装置40の表示部41に表示される情報の一例を示す図である。
図8Bは、本実施の形態に係る充放電器200の表示部250に表示される情報の一例を示す図である。
【0081】
図8Aに示すように、クライアント装置40の表示部41には、「第一運転モード」、「第二運転モード」及び「第三運転モード」の3つの運転モードが表示される。このように、表示部41には、いずれかの運転モードを選択するための選択画面が表示される。当該選択画面は、クライアント装置40に事前に設定されることで表示部41に表示されてもよいが、本実施の形態では、第一通信部160(充放電部162)からクライアント装置40への指示により表示部41に表示される。つまり、第一通信部160(充放電部162)は、第一運転モード、第二運転モード及び第三運転モードのうちの少なくとも2つ(本実施の形態では、3つ)の運転モードを示す情報を表示部41に表示する。
【0082】
この表示部41の選択画面に表示されたいずれかの運転モードを、ユーザが入力部42により選択することで、クライアント装置40は、表示部41に表示された情報で示されるいずれかの運転モードが選択されたことを示す第一運転情報43を、取得部161に送信する。ユーザが「第一運転モード」を選択した場合には、クライアント装置40は、「第一運転モード」が選択されたことを示す第一運転情報43を、取得部161に送信する。これにより、取得部161は、クライアント装置40から、第一運転モード、第二運転モード及び第三運転モードのうちのいずれかを示す(いずれかの運転モードが選択されたことを示す)第一運転情報43を取得する。
【0083】
図8Bに示すように、充放電器200の表示部250には、「充電」、「放電」及び「おまかせ」の3つの運転モードが表示される。「充電」は、車両蓄電装置51の電力を使用する優先度が最も低い(車両蓄電装置51の電力は使用せず、むしろ車両蓄電装置51を充電する)第三運転モードを示している。「放電」は、車両蓄電装置51の電力を使用する優先度が最も高い(車両蓄電装置51の電力を優先的に使用する)第一運転モードを示している。「おまかせ」は、初期設定時の運転モード(第一運転情報43で示される、第一運転モード、第二運転モード及び第三運転モードのうちのいずれかの運転モード)を示している。本実施の形態では、「おまかせ」は、第二運転モードを示している。
【0084】
このように、表示部250には、いずれかの運転モードを選択するための選択画面が表示される。当該選択画面は、充放電器200に事前に設定されることで表示部250に表示されてもよいが、本実施の形態では、制御部220からの指示により表示部250に表示される。つまり、制御部220は、第一運転モード、第二運転モード及び第三運転モードのうちの少なくとも2つ(本実施の形態では、3つ)の運転モードを示す情報を表示部250に表示する。
【0085】
この表示部250の選択画面に表示されたいずれかの運転モードを、ユーザが入力部240により選択することで、制御部220は、表示部250に表示された情報で示されるいずれかの運転モードが選択されたことを示す第二運転情報231を、第二通信部230に送信する。ユーザが「放電」を選択した場合には、制御部220は、「放電」、つまり、「第一運転モード」が選択されたことを示す第二運転情報231を、第二通信部230に送信する。第二通信部230は、制御部220から受け取った第二運転情報231を、取得部161に送信する。これにより、取得部161は、第二通信部230から、第一運転モード、第二運転モード及び第三運転モードのうちのいずれかを示す(いずれかの運転モードが選択されたことを示す)第二運転情報231を取得する。
【0086】
図4に戻り、取得部161は、取得した運転情報を、記憶部164に書き込んで記憶させる。具体的には、取得部161は、取得した第一運転情報43及び第二運転情報231を、記憶部164に記憶されている運転情報164aに書き込んで運転情報164aを更新する。さらに、取得部161は、発電装置70の発電電力、電力負荷20の消費電力、車両蓄電装置51が車両50に電力を供給する蓄電装置であることを示す情報、車両蓄電装置51の残容量を示す情報(SOC等)、及び、蓄電装置80の残容量を示す情報(SOCまたは電圧値等)等も取得する。取得部161は、これらの情報を、制御部150及び第二通信部230等から取得し、必要に応じて記憶部164に書き込んで記憶させる。
【0087】
充放電部162は、車両蓄電装置51に対する充放電を制御する。具体的には、充放電部162は、車両蓄電装置51から電力を放電し、かつ、当該電力を蓄電装置80に充電したり、車両蓄電装置51から電力を放電し、かつ、当該電力を電力負荷20に供給したりする。さらに、充放電部162は、車両蓄電装置51から放電する電力を小さくしたり、車両蓄電装置51から電力を放電させないように制御したり、車両蓄電装置51を充電したりする。充放電部162は、送信部163を介して第二通信部230に信号を送信し、制御部220及び充放電ユニット210を介して、車両蓄電装置51に対する充放電を制御する。充放電部162は、送信部163を介して制御部150等に信号を送信し、種々の制御を行う機能も有している。充放電部162は、送信部163を介してクライアント装置40に信号を送信し、種々の制御を行う機能を有していてもよい。
【0088】
送信部163は、種々の信号(情報)を、有線または無線により他の処理部に送信する。上述の通り、送信部163は、充放電部162からの信号を第二通信部230に送信したり、制御部150等に送信したりする。送信部163は、充放電部162からの信号をクライアント装置40に送信してもよい。
【0089】
[3 充放電システム10の処理フローの説明]
次に、充放電システム10が行う処理(充放電システム10の制御方法)について、説明する。具体的には、充放電システム10のパワーコンディショナ100が備える第一通信部160(特に、充放電部162)が行う種々の処理について、説明する。
【0090】
[3.1 第1の処理]
図9は、本実施の形態に係る充放電システム10が行う第1の処理を示すフローチャートである。
図9は、充放電システム10のパワーコンディショナ100が備える第一通信部160の充放電部162が、運転モードに従って制御を行う処理(第1の処理と称する)を示している。
【0091】
図9に示すように、まず、充放電部162は、取得部161が運転情報を取得したか否かを判断する(S102)。充放電部162は、取得部161が運転情報を取得したと判断した場合に(S102でYES)、運転情報で示される運転モードに従った制御を行う(S104)。
【0092】
上述の通り、初期設定時等において、クライアント装置40の表示部41に表示されたいずれかの運転モードをユーザが選択することで、クライアント装置40は、第一運転情報43を取得部161に送信し、取得部161は第一運転情報43を取得する。同様に、災害時等において、充放電器200の表示部250に表示されたいずれかの運転モードをユーザが選択すると、制御部220は第二運転情報231を、第二通信部230等を介して取得部161に送信し、取得部161は第二運転情報231を取得する。このように、取得部161が運転情報(第一運転情報43または第二運転情報231)を取得した場合に、充放電部162は、取得部161が運転情報を取得したと判断する。充放電部162は、取得部161が第一運転情報43を取得したと判断した場合には、第一運転情報43で示される運転モードに従った制御を行う。充放電部162は、取得部161が第二運転情報231を取得したと判断した場合には、第二運転情報231で示される運転モードに従った制御を行う。
【0093】
具体的には、取得部161は、運転情報(第一運転情報43または第二運転情報231)を取得した場合に、取得した運転情報を、記憶部164に記憶されている運転情報164aに書き込むとともに、運転情報を取得したことを示す信号を充放電部162に送信する。充放電部162は、取得部161から当該信号を受信した場合に、取得部161が運転情報を取得したと判断し、記憶部164に記憶されている運転情報164aを参照して、取得部161が取得した運転情報を読み出す。これにより、充放電部162は、読み出した運転情報(第一運転情報43または第二運転情報231)で示される運転モードに従った制御を行う。
【0094】
つまり、充放電部162は、取得部161が第一運転モードを示す運転情報を取得した場合には、第一モードまたは第二モードに従った制御を行う。充放電部162は、取得部161が第二運転モードを示す運転情報を取得した場合には、第三モードまたは第四モードに従った制御を行う。充放電部162は、取得部161が第三運転モードを示す運転情報を取得した場合には、第五モードまたは第六モードに従った制御を行う。
【0095】
以上のようにして、充放電システムの制御方法における充放電システム10(充放電部162)が行う第1の処理は、終了する。
【0096】
[3.2 第2の処理]
図10は、本実施の形態に係る充放電システム10が行う第2の処理を示すフローチャートである。
図10は、充放電システム10のパワーコンディショナ100が備える第一通信部160の充放電部162が、車両蓄電装置51から電力を放電し、かつ、当該電力を蓄電装置80に充電する処理(第2の処理と称する)を示している。
図11は、本実施の形態に係る充放電システム10が行う第2の処理を説明する図である。
図11の(a)は、第2の処理が行われる前の状態を示し、
図11の(b)は、第2の処理が行われている状態を示している。
【0097】
図10に示すように、まず、充放電部162は、充放電システム10に接続された発電装置70の発電電力が、第一閾値以下になったか否かを判断する(S202)。上述の通り、本実施の形態では、第一閾値は、蓄電装置80の充電可能電力よりも小さい値である。このため、充放電部162は、蓄電装置80の充電可能電力よりも小さい値を第一閾値とし、発電装置70の発電電力が第一閾値以下になったか否かを判断する。
【0098】
具体的には、充放電部162は、記憶部164に記憶されている閾値情報164bを参照して、第一閾値を読み出す。発電装置70の発電電力は取得部161が取得しているため、充放電部162は、発電装置70の発電電力を取得部161から取得し、読み出した第一閾値と比較して、発電装置70の発電電力が第一閾値以下になったか否かを判断する。
【0099】
充放電部162は、発電装置70の発電電力が第一閾値以下になったと判断した場合に(S202でYES)、車両蓄電装置51から電力を放電し、当該電力を蓄電装置80に充電する(S204)。
【0100】
具体的には、
図11の(a)に示すように、発電装置70の発電電力が大きい(第一閾値よりも大きい)場合には、発電装置70から蓄電装置80に電力を供給しても余剰の電力が生じるため、電力負荷20へ電力を供給するのが好ましい。このため、発電装置70からは、電力負荷20、または、電力負荷20及び蓄電装置80に電力が供給される。この場合、車両蓄電装置51から蓄電装置80に電力を供給しようとすると、発電装置70から電力負荷20への電流の流れとは逆に電流を流す必要があるため、車両蓄電装置51から蓄電装置80には電力を供給できない。このため、車両蓄電装置51からは、電力負荷20に電力を供給するか、車両蓄電装置51からは放電しないこととなる。このように、充放電部162は、発電装置70の発電電力が大きい(第一閾値よりも大きい)場合には、第二運転モードでの制御を行う。
【0101】
これに対し、
図11の(b)に示すように、発電装置70の発電電力が小さくなった(第一閾値以下になった)場合には、発電装置70から蓄電装置80に電力を供給しても、蓄電装置80にまだ電力を供給できる。このため、車両蓄電装置51から蓄電装置80に電力を供給する。この場合、発電装置70から電力負荷20には電力を供給できないため、車両蓄電装置51から電力負荷20に電力を供給することとなる。このように、充放電部162は、発電装置70の発電電力が小さくなった(第一閾値以下になった)場合には、第二運転モードでの制御から第一運転モードでの制御へ切り替える。
【0102】
以上のようにして、充放電システムの制御方法における充放電システム10(充放電部162)が行う第2の処理は、終了する。
【0103】
[3.3 第3の処理]
図12は、本実施の形態に係る充放電システム10が行う第3の処理を示すフローチャートである。
図12は、充放電システム10のパワーコンディショナ100が備える第一通信部160の充放電部162が、車両蓄電装置51から電力を放電し、かつ、当該電力を電力負荷20に供給する処理(第3の処理と称する)を示している。
図13は、本実施の形態に係る充放電システム10が行う第3の処理を説明する図である。
図13の(a)は、第3の処理が行われる前の状態を示し、
図13の(b)は、第3の処理が行われている状態を示している。
【0104】
図12に示すように、まず、充放電部162は、電力負荷20の消費電力が、充放電システム10に接続された発電装置70の発電電力よりも大きいか否かを判断する(S302)。電力負荷20の消費電力及び発電装置70の発電電力は取得部161が取得しているため、充放電部162は、当該消費電力と当該発電電力とを取得部161から取得し、当該消費電力と当該発電電力とを比較して、当該消費電力が当該発電電力よりも大きいか否かを判断する。
【0105】
充放電部162は、電力負荷20の消費電力が発電装置70の発電電力よりも大きいと判断した場合に(S302でYES)、車両蓄電装置51から電力を放電し、当該電力を電力負荷20に供給する(S304)。
【0106】
具体的には、
図13の(a)に示すように、電力負荷20の消費電力が発電装置70の発電電力以下の場合には、発電装置70からの発電電力だけで電力負荷20の消費電力の全量を賄えるため、車両蓄電装置51から電力負荷20に電力を供給する必要がない。このため、発電装置70からは、電力負荷20及び蓄電装置80に電力が供給され、車両蓄電装置51からは電力負荷20に電力は供給されない(放電されない)。このように、充放電部162は、電力負荷20の消費電力が発電装置70の発電電力以下の場合には、第二運転モードの第三モードでの制御を行う。
【0107】
これに対し、
図13の(b)に示すように、電力負荷20の消費電力が発電装置70の発電電力よりも大きくなった場合には、発電装置70からの発電電力だけでは電力負荷20の消費電力の全量を賄えない。このため、発電装置70から電力負荷20に電力を供給し、かつ、車両蓄電装置51からも電力負荷20に電力を供給することとなる。このように、充放電部162は、電力負荷20の消費電力が発電装置70の発電電力よりも大きくなった場合には、第二運転モードにおける、第三モードでの制御から第四モードでの制御へ切り替える。
【0108】
以上のようにして、充放電システムの制御方法における充放電システム10(充放電部162)が行う第3の処理は、終了する。
【0109】
[3.4 第4の処理]
図14は、本実施の形態に係る充放電システム10が行う第4の処理を示すフローチャートである。
図14は、充放電システム10のパワーコンディショナ100が備える第一通信部160の充放電部162が、車両蓄電装置51から電力を放電させないように制御する処理(第4の処理と称する)を示している。
【0110】
図14に示すように、まず、充放電部162は、車両蓄電装置51が車両50に電力を供給する蓄電装置であるか否かを判断する(S402)。充放電部162は、車両蓄電装置51が車両50に電力を供給する蓄電装置ではないと判断した場合には(S402でNO)、処理を終了する。充放電部162は、車両蓄電装置51が車両50に電力を供給する蓄電装置であると判断した場合に(S402でYES)、車両蓄電装置51の残容量を示す値が第二閾値以下になったか否かを判断する(S404)。充放電部162は、車両蓄電装置51の残容量を示す値が第二閾値以下になったと判断した場合に(S404でYES)、車両蓄電装置51から電力を放電させないように制御する(S406)。
【0111】
本実施の形態では、車両蓄電装置51が車両50に電力を供給する蓄電装置である場合、車両蓄電装置51には、車両50に固有のSOCの下限値が設定されている。この車両蓄電装置51が充放電器200に接続されると、車両50に固有のSOCの下限値が、車両50から充放電器200に通信で送信されてくる。このため、充放電部162は、当該SOCの下限値が充放電器200に送信されたか否かを判断することで、車両蓄電装置51が車両50に電力を供給する蓄電装置であるか否かを判断できる。具体的には、充放電部162は、当該SOCの下限値が送信されたことを示す情報を第二通信部230から取得した場合に、車両蓄電装置51が車両50に電力を供給する蓄電装置であると判断する。
【0112】
充放電部162は、車両蓄電装置51が車両50に電力を供給する蓄電装置であると判断した場合には、記憶部164に記憶されている閾値情報164bを参照して、第二閾値を読み出す。車両蓄電装置51の残容量を示す値(SOC等)は取得部161が第二通信部230を介して取得しているため、充放電部162は、当該情報を取得部161から取得し、読み出した第二閾値と比較して、車両蓄電装置51の残容量を示す値が第二閾値以下になったか否かを判断する。
【0113】
本実施の形態では、車両蓄電装置51は、放電中にSOCの下限値に到達すると、強制的に充電が開始されるように設定されている。このため、当該SOCの下限値に+αのオフセット値を加えた値を、第二閾値として設定する。充放電部162は、車両蓄電装置51の残容量を示す値(SOC)が第二閾値以下になったと判断した場合に、車両蓄電装置51から電力を放電させないように制御する。これにより、車両蓄電装置51が、放電中に第二閾値に到達すると、車両蓄電装置51の放電が停止されてSOCの下限値に到達するのが抑制されるため、強制的に充電が開始されるのが抑制される。この際、充放電部162は、車両蓄電装置51を充放電器200から切り離すことなく、車両蓄電装置51を充電するように制御してもよい。
【0114】
以上のようにして、充放電システムの制御方法における充放電システム10(充放電部162)が行う第4の処理は、終了する。
【0115】
[3.5 第5の処理]
図15は、本実施の形態に係る充放電システム10が行う第5の処理を示すフローチャートである。
図15は、充放電システム10のパワーコンディショナ100が備える第一通信部160の充放電部162が、車両蓄電装置51から放電する電力を小さくする、または、車両蓄電装置51を充電する処理(第5の処理と称する)を示している。
【0116】
図15に示すように、まず、充放電部162は、蓄電装置80の残容量を示す値が第三閾値以上になったか否かを判断する(S502)。充放電部162は、蓄電装置80の残容量を示す値が第三閾値以上になったと判断した場合に(S502でYES)、車両蓄電装置51から放電する電力を小さくする、または、車両蓄電装置51を充電する(S504)。
【0117】
本実施の形態では、充放電部162は、蓄電装置80の残容量を示す値が第三閾値以上になったか否かの判断を、蓄電装置80のSOCまたは電圧の値を用いて行う。つまり、第三閾値が蓄電装置80のSOCに対応して設定された場合には、充放電部162は、蓄電装置80のSOCが第三閾値以上になったか否かを判断する。第三閾値が蓄電装置80の電圧に対応して設定された場合には、充放電部162は、蓄電装置80の電圧が第三閾値以上になったか否かを判断する。充放電部162は、蓄電装置80のSOCまたは電圧が第三閾値以上になったと判断した場合に、車両蓄電装置51から放電する電力を小さくする、または、車両蓄電装置51を充電する。
【0118】
特に、蓄電装置80の電圧は、発電装置70の垂下制御にも用いられている。このため、充放電部162は、蓄電装置80の電圧が増加して発電装置70の垂下制御がなされる前(蓄電装置80の残容量を示す値が第三閾値以上になる前)に、車両蓄電装置51から放電する電力を小さくするのが好ましい。したがって、充放電部162は、蓄電装置80の電圧が第三閾値以上になったと判断した場合に、車両蓄電装置51から放電する電力を小さくする、または、車両蓄電装置51を充電して、蓄電装置80の電圧上昇を抑制する。本実施の形態では、充放電部162は、蓄電装置80の電圧が増加するほど、車両蓄電装置51から放電する電力を小さい値に変更したり、車両蓄電装置51を充電する電力を大きい値に変更する。ただし、充放電部162は、車両蓄電装置51の満充電付近では、車両50を保護するために、車両蓄電装置51を充電する電力を小さくする。
【0119】
以上のようにして、充放電システムの制御方法における充放電システム10(充放電部162)が行う第5の処理は、終了する。
【0120】
供給エリア1内の電力負荷20により多くの電力を供給したい場合等に、車両蓄電装置51を充電させないケースが所定条件として設定されている場合、充放電システム10は、所定条件を満たすと判断した場合に、車両蓄電装置51を充電させないように制御してもよい。つまり、充放電部162は、所定条件を満たすか否かを判断し、当該所定条件を満たすと判断した場合に、車両蓄電装置51を充電させないように制御してもよい。これにより、車両蓄電装置51による電力の消費を抑制できるため、供給エリア1内の電力負荷20により多くの電力を供給できる。
【0121】
当該所定条件は、本実施の形態では、ユーザによって予め設定されるが、充放電システム10が状況に応じて当該所定条件を設定してもよい。充放電システム10は、設定された所定条件を、ユーザの指示によって、または、自動的に変更(更新)してもよい。当該所定条件は、記憶部164に記憶される。当該所定条件としては、種々のものが適用可能であるが、以下に具体例を例示する。
【0122】
停電時等に自立運転を行うか否かは蓄電装置80の残容量で決定するため、蓄電装置80の残容量が少ない場合に車両蓄電装置51を充電すると、蓄電装置80から電力を取られて自立運転が止まるおそれがある。このため、充放電部162は、蓄電装置80の残容量を示す値が第四閾値以下になったか否か(上記所定条件の一例)を判断し、当該値が第四閾値以下になったと判断した場合に、車両蓄電装置51を充電させないように制御してもよい。第四閾値の定義については、第三閾値と同様であるため、詳細な説明は省略する。充放電部162は、蓄電装置80の残容量を示す値が第四閾値以下になったと判断した場合には、車両蓄電装置51の残容量が少ない状態で車両蓄電装置51が充放電器200に接続されても、車両蓄電装置51を充電させないように制御してもよい。
【0123】
充放電部162は、自立運転時は、車両蓄電装置51を充電させない制御を行ってもよい。つまり、充放電部162は、電力系統60から供給エリア1に電力が供給されているか否か(上記所定条件の他の一例)を判断し、電力系統60から供給エリア1に電力が供給されていないと判断した場合に、車両蓄電装置51を充電させないように制御してもよい。これにより、停電時等の電力系統60から供給エリア1に電力が供給されない場合に車両蓄電装置51を充電させないことで、車両蓄電装置51による電力の消費を抑制できる。したがって、自立運転時に、車両蓄電装置51が充放電システム10の負荷にならないため、電力負荷20により多くの電力を供給できる。充放電部162は、停電が解消されて通常時に戻った際に、車両蓄電装置51を充電するように切り替える機能を有していてもよい。
【0124】
[4 効果の説明]
以上のように、本実施の形態に係る充放電システム10は、車両蓄電装置51から電力を放電し、かつ、当該電力を蓄電装置80に充電する。このように、車両蓄電装置51の電力を蓄電装置80に貯めておくことで、車両蓄電装置51の電力を比較的短い期間で消費でき、かつ、比較的長い期間、蓄電装置80から電力負荷20に電力を供給できる。これにより、車両蓄電装置51を次の災害地で活用できるように、比較的早期に車両蓄電装置51を災害地から離れさせることができる。したがって、充放電システム10によれば、車両50が有する蓄電装置である車両蓄電装置51の有効活用を図ることができる。
【0125】
充放電システム10に発電装置70が接続されている場合には、発電装置70の発電電力が低下すると、電力負荷20への電力供給と、蓄電装置80への充電ができなくなるおそれがある。このため、充放電システム10は、発電装置70の発電電力が第一閾値以下になった場合に、車両蓄電装置51から電力を放電し、当該電力を蓄電装置80に充電する。これにより、車両蓄電装置51を次の災害地で活用できるように、比較的早期に車両蓄電装置51を災害地から離れさせることができるため、車両蓄電装置51の有効活用を図ることができる。
【0126】
発電装置70の発電電力が蓄電装置80の充電可能電力よりも小さい場合には、発電装置70から蓄電装置80に電力を供給しても、蓄電装置80の充電可能電力を越えないため、発電装置70の発電電力を抑制することなく、車両蓄電装置51からも蓄電装置80に電力を供給できる。このため、車両蓄電装置51から蓄電装置80に電力を供給するための発電装置70の発電電力の閾値(第一閾値)を、蓄電装置80の充電可能電力よりも小さい値とする。これにより、発電装置70を効率的に運用しつつ、車両蓄電装置51の有効活用を図ることができる。
【0127】
充放電システム10は、第一運転モード、第二運転モード及び第三運転モードのうちのいずれかを示す運転情報(第一運転情報43または第二運転情報231)を取得した場合に、取得した運転情報で示される運転モードに従った制御を行う。第一運転モードは、車両蓄電装置51の電力を優先的に使用する運転モードである。第二運転モードは、発電装置70の発電電力を優先的に使用しつつ、車両蓄電装置51の電力も使用できれば使用する運転モードである。第三運転モードは、車両蓄電装置51の電力は使用しない運転モードである。このように、充放電システム10は、用途に合った運転モードを示す運転情報を取得して、当該運転モードに従った制御を行うことで、状況に適した車両蓄電装置51の電力の使用がなされる。これにより、車両蓄電装置51の有効活用を図ることができる。
【0128】
充放電システム10は、種々の運転モードのうちから用途に合った運転モードを示す運転情報を取得して、当該運転モードに従った制御を行うことができ、状況に適した車両蓄電装置51の電力の使用がなされる。これにより、車両蓄電装置51の有効活用を図ることができる。
【0129】
充放電システム10は、少なくとも2つの運転モードを示す情報を表示部250(または表示部41)に表示し、いずれかの運転モードが選択されたことを示す運転情報を取得し、取得した運転情報で示される運転モードに従った制御を行う。このように、充放電システム10は、ユーザが表示部250(または表示部41)を介して運転モードを選択した場合に、選択された運転モードに従った制御を行う。これにより、ユーザが状況に適した運転モードを選択することで、状況に適した車両蓄電装置51の電力の使用がなされるため、車両蓄電装置51の有効活用を図ることができる。
【0130】
電力負荷20の消費電力が発電装置70の発電電力以下の場合には、発電装置70の発電電力で電力負荷20の消費電力を賄えるため、車両蓄電装置51から電力負荷20に電力を供給すれば、発電装置70の発電電力を抑制してしまうおそれがある。このため、充放電システム10は、電力負荷20の消費電力が発電装置70の発電電力よりも大きい場合に、車両蓄電装置51から電力負荷20に電力を供給する。これにより、発電装置70の発電電力を抑制することなく、車両蓄電装置51から電力負荷20に電力を供給できるため、発電装置70を効率的に運用しつつ、車両蓄電装置51の有効活用を図ることができる。
【0131】
車両蓄電装置51は、車両50に電力を供給する蓄電装置であるため、車両蓄電装置51の残容量が少なくなると、車両蓄電装置51が車両50に電力を供給できなくなるおそれがある。このため、車両50の保護のために、車両蓄電装置51から放電させ過ぎないのが好ましい。車両蓄電装置51の残容量が少なくなると、車両蓄電装置51を強制的に充電するように設定されている車両50もあり、この場合、車両蓄電装置51の有効活用を図ることができない。このため、充放電システム10は、車両蓄電装置51が車両50に電力を供給する蓄電装置であり、かつ、車両蓄電装置51の残容量を示す値が第二閾値以下になった場合に、車両蓄電装置51から電力を放電させないように制御する。これにより、車両50を保護しつつ、車両蓄電装置51を強制的に充電することも抑制できるため、車両蓄電装置51の有効活用を図ることができる。車両蓄電装置51が車両50に電力を供給する蓄電装置であるか否かが不明であれば、上記効果を奏することができないが、充放電システム10は、車両蓄電装置51が車両50に電力を供給する蓄電装置であるか否かを判断することができるため、上記効果を発揮できる。
【0132】
特に、車両50に電力を供給して車両50を駆動する車両蓄電装置51には、車両50に固有のSOCの下限値が設定されている場合がある。この場合、車両蓄電装置51が放電中にSOCの下限値に到達すると強制的に車両蓄電装置51への充電が開始されてしまい、車両蓄電装置51の有効活用を図ることができない。しかし、車両蓄電装置51のSOCの下限値は車両50に依存するため、固定値を設定できない。SOCの下限値を10%(固定値)に設定した場合、SOCの下限値の設定が15%の車両50の場合には、SOCの下限値が15%に到達すると車両蓄電装置51が強制的に充電されてしまう。充放電システム10は、車両50に固有のSOCの下限値は通信で送信されてくるため、車両50に固有のSOCの下限値に+αのオフセット値を加えた値を、第二閾値として設定する。これにより、車両50に固有のSOCの下限値の設定にかかわらず、車両蓄電装置51が強制的に充電されるSOCに到達するのを抑制できる。
【0133】
蓄電装置80が満充電になっても、余剰電力があると、蓄電装置80への充電を抑制できない場合がある。蓄電装置80が充電され続けると過電圧等の保護機能が発生してしまい、充放電システム10が停止する等の不具合が生じるおそれがある。このため、充放電システム10は、蓄電装置80の残容量を示す値が第三閾値以上になった場合に、車両蓄電装置51から放電する電力を小さくする、または、車両蓄電装置51を充電する。これにより、蓄電装置80が満充電になっても充電され続けるのを抑制し、車両蓄電装置51から不要な電力が放電されるのを抑制できるため、車両蓄電装置51の有効活用を図ることができる。
【0134】
充放電システム10の制御方法では、車両蓄電装置51から電力を放電し、かつ、当該電力を蓄電装置80に充電する。この充放電システム10の制御方法によれば、上述の通り、車両50が有する蓄電装置である車両蓄電装置51の有効活用を図ることができる。
【0135】
[5 変形例の説明]
以上、本実施の形態に係る充放電システム10及びその制御方法について説明したが、本発明は、上記実施の形態には限定されない。今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0136】
上記実施の形態では、車両蓄電装置51は、EV等の車両50に搭載されて、車両50に電力を供給し、車両50を駆動する蓄電装置(バッテリ)であることとしたが、これには限定されない。車両蓄電装置51は、ガソリン車等の車両50に運搬される蓄電装置(コンテナに積載されたバッテリ等)であってもよい。
【0137】
上記実施の形態において、第一通信部160が有する機能を、第二通信部230が有していてもよいし、その他の充放電システム10内の機器、または、充放電システム10外の機器(サーバ装置30またはクライアント装置40等)が有していてもよい。
【0138】
上記実施の形態では、充放電システム10には、発電装置70が接続されることとしたが、発電装置70が接続されていなくてもよい。
【0139】
上記実施の形態において、充放電システム10のパワーコンディショナ100及び充放電器200が一体化されていてもよい。パワーコンディショナ100の内部に充放電器200の機能が内蔵されてもよいし、充放電器200の内部にパワーコンディショナ100の機能が内蔵されてもよい。
【0140】
上記実施の形態では、第一通信部160は、記憶部164を有していることとしたが、記憶部164を有しておらず、外部の記録媒体に情報を記憶させて、当該記録媒体から情報を取得してもよい。
【0141】
上記実施の形態では、表示部41に、「第一運転モード」、「第二運転モード」及び「第三運転モード」の3つの運転モードを示す情報が表示されることとしたが、いずれか2つの運転モードを示す情報しか表示されなくてもよい。表示部41に、第一運転モードの「第一モード」及び「第二モード」、第二運転モードの「第三モード」及び「第四モード」、並びに、第三運転モードの「第五モード」及び「第六モード」の6つの運転モードを示す情報が表示される等、4つ以上の運転モードを示す情報が表示されてもよい。表示部41に表示される運転モードを示す情報は、どのような文字で表示されてもよいし、記号または図形等で表示されてもよい。表示部250に表示される運転モードを示す情報についても同様である。
【0142】
本発明は、充放電システム10及び充放電システム10の制御方法として実現できるだけでなく、充放電システム10の制御方法に含まれる処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとしても実現できる。つまり、充放電システム10の第一通信部160が備える各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。本発明は、当該プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標)Disc)、半導体メモリとしても実現できる。当該プログラムは、当該記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができる。本発明は、充放電システム10に含まれる処理部を備える集積回路としても実現できる。つまり、
図4に示した充放電システム10の第一通信部160の各機能ブロックは、集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。このように、充放電システム10の第一通信部160は、各構成要素が、専用のハードウェアで構成されてもよいし、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0143】
上記実施の形態及びその変形例における任意の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明は、車両が有する蓄電装置との間で充放電を行う充放電システム等に適用できる。
【符号の説明】
【0145】
1 供給エリア
10 充放電システム
20 電力負荷
21、22 特定負荷
23 一般負荷
30 サーバ装置
40 クライアント装置
41、250 表示部
42、240 入力部
43 第一運転情報
50 車両
51 車両蓄電装置
60 電力系統
61 系統電源
62 外部計測器
70 発電装置
80 蓄電装置
100 パワーコンディショナ
110 第一コンバータ回路
120 第二コンバータ回路
130 双方向インバータ回路
140 切替回路
150、220 制御部
160 第一通信部
161 取得部
162 充放電部
163 送信部
164 記憶部
164a 運転情報
164b 閾値情報
200 充放電器
210 充放電ユニット
230 第二通信部
231 第二運転情報