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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092804
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】台車、台車システム
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/14 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
B62B3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208027
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂井 直人
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050BB03
3D050BB21
3D050CC02
3D050DD03
3D050EE09
3D050EE15
(57)【要約】
【解決課題】簡単にネスティングできる台車を提供する。
【解決手段】台車は、第1脚部と、長手方向に関して前記第1脚部から離間して設けられる第2脚部と、を有する台車本体と、前記第1脚部と前記第2脚部とを連結するように前記長手方向に延びた第1枠体であって、前記第1脚部から外れた位置に1以上の受容部を有する第1枠体と、少なくとも一部が前記第1脚部上に位置した第2枠体と、少なくとも一部が前記第2脚部上に位置した第3枠体であって、前記第1枠体から前記長手方向と交差する方向に突出し、隣接する他の台車の前記受容部のいずれかに少なくとも一部を差し入れ可能な第3枠体と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1脚部と、長手方向に関して前記第1脚部から離間して設けられる第2脚部と、を有する台車本体と、
前記第1脚部と前記第2脚部とを連結するように前記長手方向に延びた第1枠体であって、前記第1脚部から外れた位置に1以上の受容部を有する第1枠体と、
少なくとも一部が前記第1脚部上に位置した第2枠体と、
少なくとも一部が前記第2脚部上に位置した第3枠体であって、前記第1枠体から前記長手方向と交差する方向に突出し、隣接する他の台車の前記受容部のいずれかに少なくとも一部を差し入れ可能な第3枠体と、
を備える台車。
【請求項2】
前記受容部は、前記第2脚部の近傍に設けられる請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記1以上の受容部のそれぞれは、前記第1枠体の高さ方向に関する略全幅に亘って設けられた開口部で構成される請求項1又は請求項2に記載の台車。
【請求項4】
前記第1脚部と前記第2脚部との間に渡された第1位置と、前記第1脚部の近傍で前記台車本体に対して起立した第2位置と、の間で回動可能な台板部を備える請求項1~3のいずれか1項に記載の台車。
【請求項5】
前記第1枠体は、その下端に位置する下枠を有し、
前記第3枠体と前記第2脚部との間には、隣接する他の台車の前記下枠を受容可能な隙間が設けられる請求項1~4のいずれか1項に記載の台車。
【請求項6】
前記第1枠体は、前記長手方向と交差する方向に関する前記第2脚部の端部に対して接続される請求項5に記載の台車。
【請求項7】
前記第1脚部は、前記第2枠体を支持する一対の支柱部を有し、
ブレーキを作動させるブレーキ操作部は、前記第1脚部上に設けられる請求項5又は請求項6に記載の台車。
【請求項8】
前記第1枠体は、その上端に位置する上枠を有し、
前記第3枠体は、その上端に位置する頂枠を有し、前記頂枠の設置高さは、前記上枠の設置高さよりも低い請求項1~7のいずれか1項に記載の台車。
【請求項9】
前記第3枠体の高さ寸法は、前記受容部の高さ寸法の略75%よりも大きい請求項8に記載の台車。
【請求項10】
第1台車と、前記第1台車に対してネスティング可能な第2台車と、を備える台車システムであって、
前記第1台車および前記第2台車のそれぞれは、
第1脚部と、長手方向に関して前記第1脚部から離間して設けられる第2脚部と、を有する台車本体と、
前記第1脚部と前記第2脚部とを連結するように前記長手方向に延びた第1枠体であって、前記第1脚部から外れて位置した第1受容部と、前記第1受容部よりも前記第1脚部側に設けられ前記第1脚部から外れて位置した第2受容部と、を有する第1枠体と、
少なくとも一部が前記第1脚部上に位置した第2枠体と、
少なくとも一部が前記第2脚部上に位置した第3枠体であって、前記第1枠体から前記長手方向と交差する方向に突出した第3枠体と、
を有し、
前記第1台車の前記第1受容部に対して前記第2台車の前記第3枠体を差し入れた状態で、前記第2台車の前記第1受容部は、前記長手方向に関して前記第1台車の前記第2受容部と重なる台車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネスティング可能な台車に関する。
【背景技術】
【0002】
ネスティング状態に変形できるカゴ台車が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このカゴ台車は、キャスタが取り付けられた第1フレームおよび第2フレームと、第1フレームと第2フレームとの上側に渡された台板と、第1フレームおよび第2フレームに対して起立している後枠と、第1フレーム上で起立している左枠と、第2フレーム上で起立している右枠と、を備える。このカゴ台車は、ネスティング状態にする際に、台板を後枠に重ねるように跳ね上げ、後枠に対して重ねるように左枠および右枠を折り畳み、第1フレームおよび第2フレームを内側に旋回させて「ハ」の字形に配置させる。この状態で、複数のカゴ台車同士を重ね合わせた状態(ネスティング状態)で保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-168896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のカゴ台車において、ネスティング状態にするに際し、ユーザは、台板を後枠に重ねるように跳ね上げ、後枠に対して重ねるように左枠および右枠を折り畳み、第1フレームおよび第2フレームを内側に旋回させて「ハ」の字形に配置させる必要があり、作業が煩雑になっていた。このため、より簡単にネスティングできるカゴ台車に対するニーズがあった。
従って、本発明の目的は、簡単にネスティングできる台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の台車は、第1脚部と、長手方向に関して前記第1脚部から離間して設けられる第2脚部と、を有する台車本体と、
前記第1脚部と前記第2脚部とを連結するように前記長手方向に延びた第1枠体であって、前記第1脚部から外れた位置に1以上の受容部を有する第1枠体と、
少なくとも一部が前記第1脚部上に位置した第2枠体と、
少なくとも一部が前記第2脚部上に位置した第3枠体であって、前記第1枠体から前記長手方向と交差する方向に突出し、隣接する他の台車の前記受容部内に少なくとも一部を差し入れ可能な第3枠体と、
を備える台車。
【0006】
また、本発明(2)の台車は、(1)記載の台車であって、
前記受容部は、前記第2脚部の近傍に設けられる。
【0007】
また、本発明(3)の台車は、(1)又は(2)記載の台車であって、
前記1以上の受容部のそれぞれは、前記第1枠体の高さ方向に関する略全幅に亘って設けられた開口部で構成される。
【0008】
また、本発明(4)の台車は、(1)~(3)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記第1脚部と前記第2脚部との間に渡された第1位置と、前記第1脚部の近傍で前記台車本体に対して起立した第2位置と、の間で回動可能な台板部を備える。
【0009】
また、本発明(5)の台車は、(1)~(4)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記第1枠体は、その下端に位置する下枠を有し、
前記第3枠体と前記第2脚部との間には、隣接する他の台車の前記下枠を受容可能な隙間が設けられる。
【0010】
また、本発明(6)の台車は、(5)に記載の台車であって、
前記第1枠体は、前記長手方向と交差する方向に関する前記第2脚部の端部に対して接続される。
【0011】
また、本発明(7)の台車は、(5)又は(6)に記載の台車であって、
前記第1脚部は、前記第2枠体を支持する一対の支柱部を有し、
ブレーキを作動させるブレーキ操作部は、前記第1脚部上に設けられる。
【0012】
また、本発明(8)の台車は、(1)~(7)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記第1枠体は、その上端に位置する上枠を有し、
前記第3枠体は、その上端に位置する頂枠を有し、前記頂枠の設置高さは、前記上枠の設置高さよりも低い。
【0013】
また、本発明(9)の台車は、(8)に記載の台車であって、
前記第3枠体の高さ寸法は、前記受容部の高さ寸法の略75%よりも大きい。
【0014】
また、本発明(10)の台車システムは、
第1台車と、前記第1台車に対してネスティング可能な第2台車と、を備える台車システムであって、
前記第1台車および前記第2台車のそれぞれは、
第1脚部と、長手方向に関して前記第1脚部から離間して設けられる第2脚部と、を有する台車本体と、
前記第1脚部と前記第2脚部とを連結するように前記長手方向に延びた第1枠体であって、前記第1脚部から外れて位置した第1受容部と、前記第1受容部よりも前記第1脚部側に設けられ前記第1脚部から外れて位置した第2受容部と、を有する第1枠体と、
少なくとも一部が前記第1脚部上に位置した第2枠体と、
少なくとも一部が前記第2脚部上に位置した第3枠体であって、前記第1枠体から前記長手方向と交差する方向に突出した第3枠体と、
を有し、
前記第1台車の前記第1受容部に対して前記第2台車の前記第3枠体を差し入れた状態で、前記第2台車の前記第1受容部は、前記長手方向に関して前記第1台車の前記第2受容部と重なる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡単にネスティング状態に移行できる台車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態の台車を示す斜視図である。
図2図1に示す台車を正面方向から示した正面図である。
図3図1に示す台車を右側面方向から示す右側面図である。
図4図1に示す台車を左側面方向から示した左側面図である。
図5図1に示す台車の台板部を第2位置にした状態を示す斜視図である。
図6図5に示す台車を正面方向から示す正面図である。
図7図6に示す第1台車に対して第2~第4台車をネスティングした状態を示す斜視図である。
図8図7に示すネスティング状態の第1~第4台車を正面方向から示した正面図である。
図9図7に示すネスティング状態の第1~第4台車を上方向から示した平面図である。
図10】第2実施形態の台車を示す正面図である。
図11図10に示す台車を示す斜視図である。
図12】第2実施形態の第1~第4台車をネスティングした状態で上方向から示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図12参照して、本発明の台車(カゴ台車)の実施形態について説明する。本発明の台車は、例えば、商店のバックヤード内に設置されて物品(商品)の在庫をストックするのに用いられるとともに、その状態のまま商店内に売り場の陳列棚の近傍にまで移送されて、物品の品出しにも利用できるものである。或いは、台車は、車両から商店のバックヤードへの物品(商品)の輸送にも利用されるものである。
[第1実施形態]
【0018】
図1図9を参照して、実施形態の台車システム(カゴ台車システム)11について説明する。台車システム11は、複数の台車12(一例として、第1~第4台車12A~12D)を含んでいる。複数の台車12(第1~第4台車12A~12D)同士は、互いに同一形状であるために、ここでは1個の台車12について説明する。
【0019】
図1図5に示すように、台車(カゴ台車)12は、第1脚部13と第2脚部14と第3脚部15とを有する台車本体16と、台車本体16の長手方向Lに沿って延びた第1枠体21と、少なくとも一部が第1脚部13上に位置した第2枠体22と、少なくとも一部が第2脚部14上に位置した第3枠体23と、第1脚部13と第2脚部14とに跨るように横方向に延びた台板部24と、台板部24を起立可能に支持するヒンジ部25と、を備える。ヒンジ部25は、図1に示す第1脚部13と第2脚部14との間に渡された第1位置P1と、図5に示す第1脚部13の近傍で台車本体16に対して起立した第2位置P2と、の間で台板部24を回動可能に支持している。
【0020】
台車本体16は、例えばスチール等の金属材料によって形成されている。図5に示すように、台車本体16は、台車本体16の長手方向Lに延びる方形パイプ状のフレーム31と、フレーム31の一方の端部でフレーム31に固定された第1脚部13と、フレーム31の他方の端部に固定された第2脚部14と、第1脚部13と第2脚部14との間の位置でフレーム31に固定された第3脚部15と、後述する第3キャスタ46に対してブレーキを作動させるブレーキ操作部32と、を有する。
【0021】
図4に示すように、フレーム31は、第1脚部13上で第1枠体21に対向する第1側面に、第1緩衝材(第1バンパー)33を有する。図5に示すように、フレーム31は、第2脚部14上で前記第1側面とは反対側の第2側面に第2緩衝材(第2バンパー)34を有する。第1緩衝材33および第2緩衝材34は、合成ゴムや合成樹脂等の弾性体で構成されている。
【0022】
図5に示すように、第1脚部13は、長手方向Lと交差する方向(一例として、長手方向Lと直交する方向)に延びた細長い箱状に形成されている。第1脚部13は、一対の第1キャスタ35を有している。一対の第1キャスタ35のそれぞれは、いわゆる自在キャスタであり、水平面内で任意の角度に旋回可能に構成されている。
【0023】
図4図5に示すように、第1脚部13は、細長い箱状をなした第1脚部本体36と、第2枠体22を中央で支持する第1支柱部37と、第2枠体22を端部で支持する第2支柱部38と、ヒンジ部25に接続され第1支柱部37に対してスライド移動可能に第1支柱部37内に収められたスライド軸41と、スライド軸41と一体に設けられスライド軸41の下方へのスライド移動に伴い第1脚部本体36から下方に突出する突出部42と、を有する。一対の第1キャスタ35は、突出部42の下面に固定されている。
【0024】
図2に示すように、第2脚部14は、長手方向Lに関して第1脚部13から離間して設けられている。第2脚部14は、長手方向Lと交差する方向(一例として、長手方向Lと直交する方向)に延びた細長い箱状に形成されている。第2脚部14は、一対の第2キャスタ43を有している。一対の第2キャスタ43のそれぞれは、いわゆる自在キャスタであり、水平面内で任意の角度に旋回可能に構成されている。
【0025】
図3図5に示すように、第2脚部14は、第3枠体23を支持する第3支柱部44を有する。第3支柱部44は、長手方向Lと交差する方向(一例として、長手方向Lと直交する方向)に関する第2脚部14の端部に設けられている。第3支柱部44は、第3枠体23およびそれに連なる第1枠体21と第2脚部14とを接続している。
【0026】
図4図5図6に示すように、ブレーキ操作部32は、第1脚部13の上側に設置されたブレーキ操作部本体45と、フレーム31内に通された図示しないワイヤと、を有する。利用者がブレーキ操作部本体45のペダル45Aを押し下げることで、第3キャスタ46に対してブレーキを作動させることができる。ペダル45Aの押し下げを解除することで、第3キャスタ46に対するブレーキを解除できる。
【0027】
図5に示すように、第3脚部15は、第1脚部13と第2脚部14との中間位置に設けられている。第3脚部15は、長手方向Lと交差する方向(一例として、長手方向Lと直交する方向)に延びた細長い箱状に形成されている。第3脚部15は、一対の第3キャスタ46を有している。一対の第3キャスタ46のそれぞれは、いわゆる固定式キャスタであり、台車本体16の長手方向Lに沿う方向にのみ車輪が回転するように固定的に設けられている。また、台車12は、いわゆる天秤台車といわれるものであり、第1キャスタ35および第2キャスタ43の設置位置が第3キャスタ46の設置位置よりも高い位置に設定されている。このため、通常の使用状態では、第1キャスタ35と第3キャスタ46とが接地しているか、或いは、第2キャスタ43と第3キャスタ46とが設置している状態であり、第1キャスタ35と第2キャスタ43とが同時に接地しないような構造になっている。
【0028】
台板部24は、例えば、合成樹脂材料によって厚手の板状に形成されている。図1に示すように、台板部24は、第1位置P1において、第1脚部13、第2脚部14、および第3脚部15の上側に亘るように設けられている。なお、台板部24を設けることは任意であり、第2枠体22の横木部26と第3枠体23の横木部26との間に棚板を設置することで、台板部24を省略しても当然によい。
【0029】
図1図2に示すように、第1枠体21は、格子枠状に形成されている。第1枠体21は、第2枠体22を介して第1脚部13と接続され、且つ第3枠体23を介して第2脚部14と接続される。このため、第1枠体21は、第1脚部13と第2脚部14とを連結している。第1枠体21は、上端に位置する上枠21Aと、下端に位置する下枠21Bと、第1脚部13から外れた位置に設けられた第1~第3受容部51~53と、第1脚部13側に設けられた格子状の保持部54と、を有する。
【0030】
図2に示すように、第1受容部51は、第2脚部14の近傍に設けられている。第1受容部51は、第1枠体21の高さ方向に関する略全幅に亘って設けられた縦長の開口部で構成される。第1受容部51は、第2脚部14の近傍に設けられている。
【0031】
第2受容部52は、第1受容部51に隣接して設けられている。第2受容部52は、第1受容部51よりも第1脚部13側に設けられている。第2受容部52は、第1枠体21の高さ方向に関する略全幅に亘って設けられた縦長の開口部で構成される。
【0032】
第3受容部53は、第2受容部52に隣接して設けられている。第3受容部53は、第2受容部52よりも第1脚部13側に設けられている。第3受容部53は、第1枠体21の高さ方向に関する略全幅に亘って設けられた縦長の開口部で構成される。なお、第1受容部51から第3受容部53の高さは、すべて同一である。
【0033】
図1図2図4に示すように、第2枠体22は、少なくとも一部が第1脚部13上に位置していることが好ましい。本実施形態において、第2枠体22は、その全体が第1脚部13上に位置している。第2枠体22は、長手方向Lと交差する方向(一例として、長手方向Lと直交する方向)に延びている。第2枠体22は、起立した第2位置P2で台板部24を保持するホルダ59を有する。第2枠体22は、横方向に延びる横木部26を互いに高さ違いになるように複数有する。第2枠体22は、第1枠体21と接続するための第1接続部55を有する。第2枠体22は、第1支柱部37と第2支柱部38との2か所で第1脚部13に支持されている。
【0034】
図1図3に示すように、第3枠体23は、少なくとも一部が第2脚部14上に位置していることが好ましい。本実施形態において、第3枠体23は、その全体が第2脚部14上に位置している。第3枠体23は、長手方向Lと交差する方向(一例として、長手方向Lと直交する方向)に延びている。このため、第3枠体23は、長手方向Lに延びる第1枠体21から、長手方向Lと交差する方向(一例として、長手方向Lと直交する方向)に突出すると言い換えられる。第3枠体23は、横方向に延びる横木部26を互いに高さ違いになるように複数有する。第2枠体22の横木部26と、第3枠体23の横木部26との間に、1以上の棚板を設置して、その上に物品(商品)を載置してもよい。第3枠体23は、第1枠体21と接続するための第2接続部61を有する。
【0035】
第3枠体23は、第3支柱部44でのみ支持されている。第3枠体23は、ネスティング時に隣接する他の台車12の受容部(第1受容部51、第2受容部52、第3受容部53)内に少なくとも一部又は全部を差し入れ可能である。
【0036】
第3枠体23は、その上端に位置する頂枠23Aを有する。頂枠23Aの設置高さは、第1枠体21の上枠21Aの設置高さよりも若干低い高さで設定されている。このため、ネスティング時に第3枠体23の頂枠23Aが第1枠体21の上枠21Aと干渉しないようになっている。
【0037】
第3枠体23の高さは、第1受容部51から第3受容部53の高さよりも小さく、且つ、第1受容部51から第3受容部53の高さの略75%よりも大きく設定されている。なお、図2において、保持部54に示した矢印Aの寸法は、第1受容部51から第3受容部53の高さの略75%に相当する。
【0038】
図1図3に示すように、台車12は、第2脚部14と第3枠体23との間に、隙間56を有している。隙間56は、第3支柱部44から遠ざかる方向に向けて開口している。隙間56は、ネスティング時に隣接する他の台車12の第1枠体21の下枠21Bを受容可能である。
【0039】
続いて、図1図5図9を参照して、本実施形態の台車12を他の同形の台車12にネスティングする際の作業工程について説明する。
【0040】
利用者は、台車12を他の台車12にネスティングするに際し、台板部24を図1に示す第1位置P1から、図5に示す第2位置P2に回動させる。これによって、ネスティングしている台車12の台板部24同士が干渉してしまうことが防止される。
【0041】
台板部24を第1位置P1から第2位置P2に移動させると、ヒンジ部25がスライド軸41を下方に押し下げる。これによって、第1脚部13の突出部42が下方に突出する。これによって、台車12は、図6に示すように、第1キャスタ35と第2キャスタ43とで支持され、第3キャスタ46を地面から浮かせることができる。このため、固定式のキャスタである第3キャスタ46がネスティング作業の邪魔になってしまうことがない。
【0042】
以下の説明では、便宜上、他の台車からネスティングを受ける台車を第1台車12Aとし、第1台車12Aに対して第3枠体23を差し入れてネスティングを行う台車を第2台車12Bとする。同様に、第2台車12Bに第3枠体23を差し入れてネスティングを行う台車を第3台車12Cとし、第3台車12Cに第3枠体23を差し入れてネスティングを行う台車を第4台車12Dとする。これら各台車の形態は同一である。ネスティングに先立ち、第1台車12Aから第4台車12Dのいずれについても、台板部24を第1位置P1から第2位置P2に移動しておく。
【0043】
図6図9に示すように、ネスティングを行う際には、第1台車12Aの第1受容部51に対して、第2台車12Bの第3枠体23を差し入れるようにする。これによって、図7図9に示すように、第1台車12Aの第2枠体22および第1脚部13の外側に第2台車12Bの第2枠体22および第1脚部13が重なるように位置する。これと同時に、第1台車12Aの第1枠体21の外側に第2台車12Bの第1枠体21が重なり、第1台車12Aのフレーム31に第2台車12Bのフレーム31が重なり、第1台車12Aの第2脚部14と第3脚部15との間の位置に第2台車12Bの第2脚部14が差し入れられる。第1台車12Aのフレーム31と第2台車12Bのフレーム31とは、第1台車12Aの第1緩衝材33と第2台車12Bの第2緩衝材34とによって緩衝される。このため、第1台車12Aのフレーム31と第2台車12Bのフレーム31とが勢いよく衝突して、両台車12が破損してしまうことが防止される。
【0044】
この状態において、図8に示すように、第1台車12Aと第2台車12Bとを正面視で見たときには、第1台車12Aの第2受容部52は、第2台車12Bの第1受容部51と重なり、第1台車12Aの第3受容部53は、第2台車12Bの第2受容部52と重なっている。
【0045】
続いて、このように第1台車12Aにネスティングされた第2台車12Bに対して、さらに第3台車12Cをネスティングするには、第1台車12Aの第2受容部52と第2台車12Bの第1受容部51とに対して、第3台車12Cの第3枠体23を差し入れるようにする。これによって、図7図9に示すように、第2台車12Bの第2枠体22および第1脚部13の外側に第3台車12Cの第2枠体22および第1脚部13が重なるように位置する。これと同時に、第2台車12Bの第1枠体21の外側に第3台車12Cの第1枠体21が重なり、第2台車12Bのフレーム31に第3台車12Cのフレーム31が重なり、第2台車12Aの第2脚部14と第3脚部15との間の位置に第3台車12Bの第2脚部14が差し入れられる。第2台車12Bのフレーム31と第3台車12Cのフレーム31とは、第2台車12Bの第1緩衝材33と第3台車12Cの第2緩衝材34とによって緩衝される。
【0046】
この状態において、図8に示すように、第1台車12Aから第3台車12Cを正面視で見たときには、第1台車12Aの第3受容部53は、第2台車12Bの第2受容部52と、第3台車12Cの第3受容部53と、に重なり、第2台車12Bの第2受容部52は、第3台車12Cの第1受容部51と重なっている。
【0047】
さらに、このように第2台車12Bにネスティングされた第3台車12Cに対して、第4台車12Dをネスティングするには、第1台車12Aの第3受容部53と第2台車12Bの第2受容部52と第3台車12Cの第1受容部51とに対して、第4台車12Dの第3枠体23を差し入れるようにする。これによって、図7図9に示すように、第3台車12Cの第2枠体22および第1脚部13の外側に第4台車12Dの第2枠体22および第1脚部13が重なるように位置する。これと同時に、第3台車12Cの第1枠体21の外側に第4台車12Dの第1枠体21が重なり、第3台車12Cのフレーム31に第4台車12Dのフレーム31が重なり、第3台車12Cの第2脚部14と第3脚部15との間の位置に第4台車12Dの第2脚部14が差し入れられる。第3台車12Cのフレーム31と第4台車12Dのフレーム31とは、第3台車12Cの第1緩衝材33と第4台車12Dの第2緩衝材34とによって緩衝される。以上により、第1台車12Aに対して第2台車12Bから第4台車12Dをネスティングさせる作業を完了する。
【0048】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。台車12は、第1脚部13と、長手方向Lに関して第1脚部13から離間して設けられる第2脚部14と、を有する台車本体16と、第1脚部13と第2脚部14とを連結するように長手方向Lに延びた第1枠体21であって、第1脚部13から外れた位置に1以上の受容部を有する第1枠体21と、少なくとも一部が第1脚部13上に位置した第2枠体22と、少なくとも一部が第2脚部14上に位置した第3枠体23であって、第1枠体21から長手方向Lと交差する方向に突出し、隣接する他の台車12の前記受容部のいずれかに少なくとも一部を差し入れ可能な第3枠体23と、を備える。
【0049】
この構成によれば、隣接する他の台車12の受容部内に第3枠体23の少なくとも一部を差し入れることで、この台車12を他の台車12に対してネスティングすることができる。その際、第2枠体22や第3枠体23を折り畳んだり、第1脚部13および第2脚部14の設置角度を変更したりする必要がない。このため、従来の台車12に比して、ネスティング時の形態変更の作業を不要にして、利用者の利便性を向上できる。
【0050】
前記受容部は、第2脚部14の近傍に設けられる。この構成によれば、他の台車12に対してこの台車12をネスティングさせる際に、他の台車12に対するオーバーラップ長をできるだけ長くすることができる。これによって、高密度で台車12同士をネスティングさせることができ、不使用時の台車12を省スペースで保管することができる。
【0051】
前記1以上の受容部のそれぞれは、第1枠体21の高さ方向に関する略全幅に亘って設けられた開口部で構成される。
【0052】
この構成によれば、受容部に受け入れることが可能な第3枠体23の高さを第1枠体21の高さと略同等かそれよりも若干小さい高さにすることができる。これによって、第3枠体23の高さを第1枠体21に比して同等の高さに維持することができ、台車12に載置した荷物が第3枠体23側から荷崩れしてしまう危険性を防止できる。また上記構成によれば、第3枠体23を高さ方向に関して連続した1つの部材として形成でき、第3枠体23を高さ方向に分離された複数の部材として形成することを要しない。これによって、第3枠体23の構造を簡略化して、台車12の製造コストを低減できる。
【0053】
第1脚部13と第2脚部14との間に渡された第1位置P1と、第1脚部13の近傍で台車本体16に対して起立した第2位置P2と、の間で回動可能な台板部24を備える。
【0054】
この構成によれば、第2位置P2において台板部24を第1脚部13の近傍で起立させることができるため、台板部24がネスティング時における受容部に対する第3枠体23の差し入れ作業の邪魔になってしまうことがない。また、ネスティングの際には、台板部24を第2位置P2に移動させることで足り、他の変形作業を特段要しない。このため、利用者の利便性を向上できる。
【0055】
第1枠体21は、その下端に位置する下枠21Bを有し、第3枠体23と第2脚部14との間には、隣接する他の台車12の下枠21Bを受容可能な隙間56が設けられる。
【0056】
この構成によれば、他の台車12に対してこの台車12をネスティングさせる際に、下枠21Bが第2脚部14と干渉してしまうことを防止できる。これによって、ネスティングがうまくいかないといった不具合を生じることを防止できる。
【0057】
第1枠体21は、長手方向Lと交差する方向に関する第2脚部14の端部に対して接続される。
【0058】
この構成によれば、第3枠体23と第2脚部14との間の隙間56を、長手方向Lと交差する方向に関して大きな寸法で形成できる。これによって、長手方向Lと交差する方向に関して、他の台車12に対するオーバーラップ長をできるだけ長くすることができる。これによって、高密度で台車12同士をネスティングさせることができ、不使用時の台車12を省スペースで保管することができる。
【0059】
第1脚部13は、第2枠体22を支持する一対の支柱部を有し、ブレーキを作動させるブレーキ操作部32は、第1脚部13上に設けられる。
【0060】
一般に、台車をトラックに積み込んで商品等を輸送する際に、ドライバーは、ブレーキ操作部32を荷台の出入口側(トラックの後側)に配置するように台車12を荷台に載置する。台車12を荷台内の所定の位置に配置した後に、ドライバーは、ブレーキ操作部32を操作して台車12にブレーキをかける。そして、必要に応じて、ラッシングベルト等を用いて荷台に対して台車12を固定する。一般に、ラッシングベルトは、荷台の前方から固定対象である台車12の後側の枠体に巻き掛けられる。
【0061】
上記の構成によれば、ブレーキ操作部32を一対の支柱部を有する第1脚部13上に設けているために、トラック輸送時にラッシングベルトが掛けられる第2枠体22を一対の支柱部で強固に支持できる。これによって、トラック輸送時に第2枠体22が高負荷によって破損してしまう不具合を生じることを防止できる。
【0062】
第1枠体21は、その上端に位置する上枠21Aを有し、第3枠体23は、その上端に位置する頂枠23Aを有し、頂枠23Aの設置高さは、上枠21Aの設置高さよりも低い。
【0063】
この構成によれば、他の台車12に対してこの台車12をネスティングさせる際に、頂枠23Aが上枠21Aと干渉してしまうことを防止できる。これによって、ネスティングがうまくいかないといった不具合を生じることを防止できる。
【0064】
第3枠体23の高さ寸法は、前記受容部の高さ寸法の略75%よりも大きい。
【0065】
この構成によれば、第3枠体23の高さ寸法を十分に大きな寸法で形成することができる。これによって、第3枠体23の高さを第1枠体21に比して略同等の高さに維持することができ、台車12に載置した荷物が第3枠体23側から荷崩れしてしまう危険性を防止できる。
【0066】
台車システム11は、第1台車12Aと、第1台車12Aに対してネスティング可能な第2台車12Bと、を備える台車システム11であって、第1台車12Aおよび第2台車12Bのそれぞれは、第1脚部13と、長手方向Lに関して第1脚部13から離間して設けられる第2脚部14と、を有する台車本体16と、第1脚部13と第2脚部14とを連結するように長手方向Lに延びた第1枠体21であって、第1脚部13から外れて位置した第1受容部51と、第1受容部51よりも第1脚部13側に設けられ第1脚部13から外れて位置した第2受容部52と、を有する第1枠体21と、少なくとも一部が第1脚部13上に位置した第2枠体22と、少なくとも一部が第2脚部14上に位置した第3枠体23であって、第1枠体21から長手方向Lと交差する方向に突出した第3枠体23と、を有し、第1台車12Aの第1受容部51に対して第2台車12Bの第3枠体23を差し入れた状態で、第2台車12Bの第1受容部51は、長手方向Lに関して第1台車12Aの第2受容部52と重なる。
【0067】
この構成によれば、第1台車12Aに対して第2台車12Bをネスティングさせた状態において、第2台車12Bの第1受容部51および第1台車12Aの第2受容部52に対して同形のさらに別の台車12の第3枠体23を差し入れるように、別の台車12をネスティングさせることができる。これによって、台車12を高密度に配置して、不使用時の台車12を省スペースで保管することができる。
【0068】
以下の実施形態では、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
[第2実施形態]
【0069】
図10図12を参照して、第2実施形態の台車(カゴ台車)について説明する。本実施形態の台車12は、第1実施形態の台車12と左右対称形に形成されている。
【0070】
すなわち、第1実施形態では、図2に示すように、右側から第1受容部51、第2受容部52、第3受容部53の順でそれらが横並びに設けられているが、本実施形態では、図10に示すように、左側から第1受容部51、第2受容部52、第3受容部53の順でそれらが横並びに設けられている。
続いて、図10図12を参照して、本実施形態の台車12を他の同形の台車12にネスティングする際の作業工程について説明する。
【0071】
利用者は、台車12を他の台車12にネスティングするに際し、台板部24を図10図11に示す第2位置P2に回動させる。これによって、ネスティングしている台車12の台板部24同士が干渉してしまうことが防止される。
【0072】
台板部24を第1位置P1から第2位置P2に移動させると、ヒンジ部25がスライド軸41を下方に押し下げる。これによって、第1脚部13の突出部42が下方に突出する。これによって、台車12は、図10に示すように、第1キャスタ35と第2キャスタ43とで支持され、第3キャスタ46を地面から浮かせることができる。
【0073】
それ以降の手順については、図12に示すように、第1実施形態と左右対称である以外は同様に、第1台車12Aに対して第2台車12Bをネスティングし、第2台車12Bに対して第3台車12Cをネスティングし、第3台車12Cに対して第4台車12Dをネスティングするというように、順番に行って実現できる。
【0074】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。また、上記実施形態同士を適宜に組み合わせて発明を実現することも当然にできる。
【符号の説明】
【0075】
11 台車
11 台車システム
12 台車
13 第1脚部
14 第2脚部
L 長手方向
21 第1枠体
21A 上枠
21B 下枠
22 第2枠体
23 第3枠体
23A 頂枠
24 台板部
P1 第1位置
P2 第2位置
44 第3支柱部
51 第1受容部
52 第2受容部
53 第3受容部
59 ホルダ
56 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12