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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092824
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】情報処理装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20230627BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20230627BHJP
   H05K 7/20 20060101ALN20230627BHJP
【FI】
G06F1/20 D
G06F1/20 B
G06F1/26
H05K7/20 J
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208059
(22)【出願日】2021-12-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-19
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】中村 厚喜
(72)【発明者】
【氏名】上村 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】祁 儀頴
(72)【発明者】
【氏名】柴山 和哉
【テーマコード(参考)】
5B011
5E322
【Fターム(参考)】
5B011DA01
5B011DC06
5B011EA02
5B011GG05
5B011GG11
5B011LL02
5E322AB10
5E322BA01
5E322BB03
5E322BB05
5E322BC03
(57)【要約】
【課題】より確実に温度と電力制御モードに基づく検索インデックス処理を制御する。
【解決手段】データ管理部はデータファイルごとに検索インデックスを対応付けて記憶し、放熱ファンの動作状態を示す動作情報に基づいて前記検索インデックスを生成または更新する処理である検索インデックス処理を実行し、温度センサは温度を検出し、動作情報通知部はプロセッサの電力制御モードおよび前記温度に基づいて前記放熱ファンの疑似的な動作状態を示す動作情報を定め、当該動作情報を前記データ管理部に通知する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データファイルごとに検索インデックスを対応付けて記憶し、
放熱ファンの動作状態を示す動作情報に基づいて前記検索インデックスを生成または更新する処理である検索インデックス処理を実行するデータ管理部と、
温度を検出する温度センサと、
プロセッサの電力制御モードおよび前記温度に基づいて前記放熱ファンの疑似的な動作状態を示す動作情報を定め、当該動作情報を前記データ管理部に通知する動作情報通知部と、を備える
情報処理装置。
【請求項2】
前記データ管理部は、
前記放熱ファンの動作状態が活発なほど、低くなるように前記検索インデックス処理に対する優先度を定める
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記データ管理部は、
前記放熱ファンの動作状態が所定の動作状態の基準値よりも活発なとき、前記検索インデックス処理に対する優先度を、所定の基準優先度よりも低い低優先度と定め、
前記放熱ファンの動作状態が所定の動作状態の基準値よりも活発でないとき、前記検索インデックス処理に対する優先度として、前記基準優先度に定める、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
電力制御部を備え、
前記プロセッサは、定格電力が異なる複数段階の電力制御モードをとることを可能とし、
前記電力制御部は、前記プロセッサの消費電力に基づいて前記複数段階の電力制御モードから1段階の電力制御モードを定める
請求項2または請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
動作情報通知部は、
前記温度が所定の基準温度を超えるとき、または、前記複数段階の電力制御モードから1段階の電力制御モードを定める自動設定モードが選択されるとき、前記疑似的な動作状態を示す動作情報を前記データ管理部に通知する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記動作情報は、前記放熱ファンの回転速度を示す
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
データファイルごとに検索インデックスを対応付けて記憶するデータ管理部と、
温度を検出する温度センサと、を備える情報処理装置における制御方法であって、
データ管理部が、放熱ファンの動作状態を示す動作情報に基づいて前記検索インデックスを生成または更新する処理である検索インデックス処理を実行するデータ管理ステップと、
動作情報通知部が、プロセッサの電力制御モードおよび前記温度に対応する疑似的な動作情報を定め、当該動作情報を前記データ管理部に通知するステップと、を実行する
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および制御方法に関し、例えば、データファイルの検索に関する。
【背景技術】
【0002】
PC(Personal Computer)などの情報処理装置は、一般に複数のデータファイルを記憶した記憶部を備え、指示されたデータ項目に応じたデータファイルを検索する。データ項目として1個または複数個のキーワードが用いられる。データファイルの検索において、検索インデックスが用いられる。検索インデックスは、データ項目ごとにデータファイル、もしくは、その一部分の所在を示す情報を示す。検索インデックスを用いることで、記憶部に逐一アクセスすることが避けられるため、データファイルの検索が高速化される。
【0003】
他方、情報処理装置は、動作に伴いデータファイルに異動が生じる。異動には、新たなデータファイルの生成、既存のデータファイルの消去、既存のデータファイルの更新などがある。所望のデータファイルの迅速に検索するためには、理想的には常に検索インデックスを更新することが期待される。一般に、検索インデックスの更新における消費電力は多くなりがちである。消費電力が予期せずに増加するため、電池の寿命が短くなる原因になりうる。また、消費電力の増加に伴い温度が上昇するため、放熱ファンの回転速度を高くして放熱を促進することがある。この回転速度の増加も消費電力を増加させる要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011-523152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、放熱ファンの回転速度が高くなるとき検索インデックス処理を停止させて放熱ファンの停止を促し、回転速度が低くなるとき検索インデックス処理を再開して放熱ファンの動作を再開することが考えられる。他方、情報処理装置は、温度制御部を備え、自装置の温度が高くなるとき放熱ファンを動作させ、温度が低くなるときには、放熱ファンの動作を停止することも考えられる。その場合には、温度上昇による放熱ファンの動作、放熱ファンの動作による温度低下、温度低下による放熱ファンの停止、放熱ファンの停止による温度上昇という一連の事象が繰り返される可能性がある。この繰り返しにより、放熱ファンの回転速度が振動するとユーザに不快感を与えるおそれがある。
【0006】
他方、ユーザが迅速な検索を期待する場合には、相応の電力を割り当てて検索インデックスが最新化されることが望ましい。また、放熱ファンの動作状況が回転速度で指示される場合には、共通の回転速度であっても放熱ファンの機種による冷却能力または騒音量の差異のため、直ちに複数の機種の放熱ファンを備える情報処理装置に適用できないこともあった。かかる温度制御や放熱ファンの動作を伴う制御は、放熱ファンを有しない情報処理装置には適用できない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、本発明の一態様に係る情報処理装置は、データファイルごとに検索インデックスを対応付けて記憶し、放熱ファンの動作状態を示す動作情報に基づいて前記検索インデックスを生成または更新する処理である検索インデックス処理を実行するデータ管理部と、温度を検出する温度センサと、プロセッサの電力制御モードおよび前記温度に基づいて前記放熱ファンの疑似的な動作状態を示す動作情報を定め、当該動作情報を前記データ管理部に通知する動作情報通知部と、を備える。
【0008】
上記の情報処理装置において、前記データ管理部は、前記放熱ファンの動作状態が活発なほど、低くなるように前記検索インデックス処理に対する優先度を定めてもよい。
【0009】
上記の情報処理装置において、前記データ管理部は、前記放熱ファンの動作状態が所定の動作状態の基準値よりも活発なとき、前記検索インデックス処理に対する優先度を、所定の基準優先度よりも低い低優先度と定め、前記放熱ファンの動作状態が所定の動作状態の基準値よりも活発でないとき、前記検索インデックス処理に対する優先度として、前記基準優先度に定めてもよい。
【0010】
上記の情報処理装置は、電力制御部を備え、前記プロセッサは、定格電力が異なる複数段階の電力制御モードをとることを可能とし、前記電力制御部は、前記プロセッサの消費電力に基づいて前記複数段階の電力制御モードから1段階の電力制御モードを定めてもよい。
【0011】
上記の情報処理装置において、動作情報通知部は、前記温度が所定の基準温度を超えるとき、または、前記複数段階の電力制御モードから1段階の電力制御モードを定める自動設定モードが選択されるとき、前記疑似的な動作状態を示す動作情報を前記データ管理部に通知してもよい。
【0012】
上記の情報処理装置において、前記動作情報は、前記放熱ファンの回転速度を示してもよい。
【0013】
本発明の第2態様に係る制御方法は、データファイルごとに検索インデックスを対応付けて記憶するデータ管理部と、温度を検出する温度センサと、を備える情報処理装置における制御方法であって、データ管理部が、放熱ファンの動作状態を示す動作情報に基づいて前記検索インデックスを生成または更新する処理である検索インデックス処理を実行するデータ管理ステップと、動作情報通知部が、プロセッサの電力制御モードおよび前記温度に対応する疑似的な動作情報を定め、当該動作情報を前記データ管理部に通知するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によれば、より確実に温度と電力制御モードに基づく検索インデックス処理を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示す平面図である。
図2】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。
図3】本実施形態に係る情報処理装置の機能構成例を示す概略ブロック図である。
図4】本実施形態に係る電力制御テーブルの例を示す図である。
図5】本実施形態に係るモード遷移テーブルの例を示す図である。
図6】本実施形態に係る設定画面の例を示す図である。
図7】本実施形態に係る回転速度制御テーブルの例を示す図である。
図8】本実施形態に係る検索インデックス処理の実行制御の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。まず、本実施形態に係る情報処理装置1の内部構成例について説明する。以下の説明では、主に情報処理装置1がPCである場合を例にする。情報処理装置1は、ノートブック型、デスクトップ型を問わず、いかなる形態のPCであってもよい。情報処理装置1は、PCに限られず、タブレット端末装置、スマートフォン、などとして構成されてもよい。
【0017】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成例を示す平面図である。図1は、情報処理装置1の筐体BDの内部を模式的に示す。筐体BDの内部には、マザーボードMB、記憶媒体23、オーディオシステム24、バッテリ34および冷却部35が配置されている。
マザーボードMBには、プロセッサ11、ビデオサブシステム13、チップセット21、BIOS(Basic Input Output System)メモリ22、エンベデッドコントローラ31および電源回路33が設置されている。
【0018】
冷却部35は、放熱ファン351、ヒートパイプ352および温度センサ353を備える。放熱ファン351とヒートパイプ352は、熱拡散装置の例である。
放熱ファン351は、フィン(羽)を回転させるモータを備え、吸気口81から空気を筐体BD内に流入させる。流入された空気はヒートパイプ352と熱交換されたうえで、排気口83から筐体BDの外に排出される。放熱ファン351の動作は、温度センサ353が測定した温度に基づいて放熱制御部220(後述)により制御されてもよい。
【0019】
ヒートパイプ352は、金属により形成された管と、当該管の内部に封入された作動流体およびウィックとを有する熱伝達部材である。管の材質としては、銅またはアルミニウムなどを用いることができる。作動流体としては、水などを用いることができる。ウィックとしては、多孔質材などを用いることができる。ウィックには、液相の作動流体に毛管力を発生させる細孔が形成されている。
ヒートパイプ352は蒸発部および凝縮部を有する。ヒートパイプ352の蒸発部は例えばプロセッサ11において発生した熱を取り入れることができるように、プロセッサ11に近接または当接するようにして設けられる。ヒートパイプ352の凝縮部は、放熱ファン351の近傍において備えられる。
【0020】
ヒートパイプ352の蒸発部では、プロセッサが発した熱を受け取ることにより作動流体を蒸発させる。蒸発部では、作動流体の蒸発により圧力が高まるため、気相の作動流体が凝縮部に向けて移動する。凝縮部では、放熱ファン351によって生じる気流により、作動流体の熱が奪われる。作動流体の熱を奪った気流は、排気口83から筐体BDの外部に排出される。
凝縮部において熱を奪われた作動流体は、凝縮して液相となる。液相となった作動流体は、ウィックに形成された細孔を通じて、毛管力によって蒸発部に向けて流動する。蒸発部に到達した液相の差動流体は、再びプロセッサ11から熱を受け取って蒸発する。以降は、上記の現象が繰り返される。
このようにして、ヒートパイプ352を備える冷却部35によりプロセッサ11を冷却することができる。
【0021】
温度センサ353は、温度を検出し、検出した温度を示す温度信号をエンベデッドコントローラ31に出力する。温度センサ353は、ヒートパイプ352の蒸発部に相当する部位の温度を検出することができる位置に設けられる。温度センサ353が検出する温度は、概ねプロセッサ11の温度に相当する。
【0022】
次に、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成例について説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。
情報処理装置1は、プロセッサ11と、メインメモリ12と、ビデオサブシステム13と、ディスプレイ14と、チップセット21と、BIOSメモリ22と、記憶媒体23と、オーディオシステム24と、WLANカード25と、USBコネクタ26と、エンベデッドコントローラ31と、入力部32と、電源回路33と、バッテリ34と、冷却部35(放熱ファン351、温度センサ353を含む)とを備える。
【0023】
プロセッサ11は、ソフトウェア(プログラム)に記述された命令で指示される種々の演算処理を実行する。プロセッサ11が実行する処理には、ディスプレイ14への表示情報に表示させる処理(典型的には、文字、図形、模様などの描画処理)が含まれる。プロセッサ11には、例えば、1個または複数のCPUが含まれる。プロセッサ11には、1個または複数のGPU(Graphic Processing Unit)が含まれてもよい。1個のCPUは、GPUと同一のコアに形成されてもよいし、別個のコアで形成されてもよい。CPUは、情報処理装置1全体の動作を制御する。CPUは、例えば、OS、BIOS、アプリケーションプログラム(本願では、「アプリ」と呼ぶこともある)など、ソフトウェアに基づく処理を実行する。なお、ソフトウェアに記述された命令で指示される処理を実行することを、「ソフトウェアを実行する」と呼ぶことがある。GPUは、主に実時間画像処理、その他の並列演算処理を担うプロセッサである。GPUは、CPUの負荷を分担することがある。
【0024】
メインメモリ12は、プロセッサ11の実行プログラムの読み込み領域として、または、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。実行プログラムには、OS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリ等が含まれる。
【0025】
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムであり、ビデオコントローラを含む。ビデオコントローラは、プロセッサ11からの描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込むとともに、ビデオメモリからこの描画情報を読み出して、ディスプレイ14に表示情報を示す表示データとして出力する。プロセッサ11にGPUが含まれる場合には、そのGPUがビデオサブシステム13として機能してもよい。その場合には、ビデオサブシステム13は、プロセッサ11と一体に構成されてもよい。
【0026】
ディスプレイ14は、ビデオサブシステム13から出力された描画データ(表示データ)に基づく表示画面を表示する。ディスプレイ14は、例えば、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OLED:Organic Electro-Luminescence)、液晶ディスプレイなどのいずれであってもよい。
【0027】
チップセット21は、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)バスなどのコントローラを備えており複数のデバイスが接続される。例えば、複数のデバイスとして、後述するBIOSメモリ22と、記憶媒体23と、オーディオシステム24と、WLANカード25と、USBコネクタ26と、エンベデッドコントローラ31とが含まれる。
【0028】
BIOSメモリ22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable ProgrammableRead Only Memory)やフラッシュROMなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。BIOSメモリ22は、BIOSおよびエンベデッドコントローラ31などを制御するためのシステムファームウェアなどを記憶する。
【0029】
記憶媒体23は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid Stage Drive)、などを含んで構成される。例えば、記憶媒体23は、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリおよび各種データを記憶する。
【0030】
オーディオシステム24は、マイクロホンとスピーカ(図示せず)が接続され、音声データの記録、再生および出力を行う。なお、マイクロホンとスピーカは、例えば、情報処理装置1に内蔵されてもよいし、情報処理装置1とは別体であってもよい。
【0031】
WLAN(Wireless Local Area Network)カード25は、ワイヤレス(無線)LANにより、ネットワークに接続して、データ通信を行う。WLANカード25は、例えば、ネットワークからのデータを受信した際に、データを受信したことを示すイベントトリガを発生する。
USBコネクタ26は、USBを利用した周辺機器類を接続するためのコネクタである。
【0032】
入力部32は、例えば、キーボードや、タッチパッドなど、ユーザの操作による外力を検出し、検出した外力に応じた操作信号をエンベデッドコントローラ31に出力する入力デバイスを備える。入力部32は、ディスプレイ14(図1)に重畳したタッチセンサとして構成されてもよい。
【0033】
電源回路33は、例えば、DC/DCコンバータ、充放電ユニット、AC/DCアダプタなどを備える。例えば、電源回路33は、ACアダプタ(図示せず)などの外部電源から供給される電力の交流電力の電圧、または、バッテリ34から供給される直流電力の電圧を、情報処理装置1を動作させるために必要な複数種類の電圧に変換する。また、電源回路33は、エンベデッドコントローラ31からの制御に基づいて、情報処理装置1の各部に電力を供給し、電力供給部として機能する。
【0034】
バッテリ34は、例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池を備える。バッテリ34は、情報処理装置1に外部電源から電力が供給されている場合に、電源回路33を経由して充電される。バッテリ34は、情報処理装置1に外部電源から電力が供給されていない場合に、電源回路33を経由して蓄積した電力を情報処理装置1の動作電力として供給する。
【0035】
エンベデッドコントローラ(EC:Embedded Controller)31は、情報処理装置1のシステムの状態に関わらず、各種デバイス(周辺装置やセンサ等)を監視して制御するワンチップマイコン(One-Chip Microcomputer)である。エンベデッドコントローラ31は、CPU、ROM、RAM、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマおよびデジタル入出力端子(図示せず)を備える。エンベデッドコントローラ31のデジタル入出力端子には、例えば、入力部32、電源回路33、放熱ファン351などが接続されており、エンベデッドコントローラ31は、これらの動作を制御可能とされている。
また、エンベデッドコントローラ31は、チップセット21を経由してプロセッサ11の各種制御パラメータ(例えば、制限電力、クロック周波数、等)の設定、変更等を行ってもよい。この処理によっても、プロセッサ11の消費電力が制御されうる。
【0036】
情報処理装置1は、ハードウェアとソフトウェアを含んで構成されるコンピュータシステムを備える電子機器とみなすこともできる。コンピュータシステムをなすハードウェアには、少なくともプロセッサ11、メインメモリ12、ビデオサブシステム13、チップセット21およびエンベデッドコントローラ31が含まれる。コンピュータシステムをなすソフトウェアには、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティなどの各種プログラムとそれらの動作パラメータ等を格納したデータなどが含まれる。
【0037】
次に、本実施形態に係る情報処理装置1の機能構成例について説明する。図3は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能構成例を示す概略ブロック図である。
情報処理装置1は、データ管理部110と、電力制御部120と、動作情報通知部210と、放熱制御部220と、を備える。プロセッサ11は、例えば、OS、各種サービス/ユーティリティなどのプログラムに記述された指令で示される処理を実行して、データ管理部110と、電力制御部120の機能を実現する。エンベデッドコントローラ31とチップセット21のいずれか一方、または、両方は、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティなどのプログラムに記述された指令で示される処理を実行して、動作情報通知部210と放熱制御部220の機能を実現する。
【0038】
データ管理部110は、各種のデータを、データファイルごとに検索インデックス(検索インデックス)を対応付けて記憶する。検索インデックスは、例えば、データファイルごとに、ファイル名を示す文字列、および、そのデータファイルが格納された位置を示すアドレスを含んで構成される。
データ管理部110は、インデックス処理部112とデータ記憶部114を備える。データ記憶部114は、他の機能部(例えば、入力部32、アプリケーション実行部(図示せず))からファイル名の一部または全部を示すファイル参照要求が入力されるとき、検索インデックスを参照して、そのファイル名に関連付けられたアドレスを特定する。データ記憶部114は、特定したアドレスを示すアドレス情報をファイル参照要求に対する応答(返り値)として、その他の機能部に出力する。よって、ファイル参照要求の入力の都度、データファイルを検索する場合よりも、他の機能部からのデータファイルの参照を効率化することができる。なお、検索インデックスの形式、作成、更新の手法については、公知の手法、例えば、特開2011-22933号公報、特表2011-523152号公報、などに記載された手法を用いることができる。
【0039】
理想的には、インデックス処理部112は、データファイルに異動が生じる都度、検索インデックスを作成または更新すること(本願では、「検索インデックス処理」(search indexing)と総称する)が望ましい。異動とは、新たなデータファイルの生成、ファイル名の一部または全部の変更、データファイルに格納されるデータの一部または全部の消去、データファイルに格納されるデータの追加、各1個のデータファイルに属する複数の断片化されたデータの集約などがある。しかしながら、検索インデックス処理にかかる消費電力は、プロセッサ11の処理能力と比較して無視できない。特に消費電力が小さい電力制御モードでは、ユーザが実行を指示したアプリについて実行に支障が生ずることもある。
【0040】
そこで、インデックス処理部112には、検索インデックス処理に係る優先度を、他のプログラムの実行よりも優先するか否かを放熱ファン351の動作状態に応じて判定する。より具体的には、インデックス処理部112には、動作情報通知部から放熱ファン351の動作状態として回転速度を示す動作情報が入力され、回転速度が所定の基準回転速度以下となるか否かを判定する。基準回転速度は、回転速度の基準値に相当する。インデックス処理部112は、動作情報が示す回転速度が少ないほど高くなるように検索インデックス処理に対する優先度を定める。インデックス処理部112は、例えば、検索インデックス処理に対する優先度として所定の基準優先度に定める。基準優先度は、優先度の基準値に相当する。インデックス処理部112は、動作情報が示す回転速度が基準回転速度よりも大きいとき、検索インデックス処理に対する優先度として低優先度に定める。低優先度は、基準優先度よりも低い所定の優先度に相当する。これにより、プロセッサ11の処理量が多いために放熱のために放熱ファン351の回転速度が大きい状況ほど、検索インデックス処理の停止が促される。
【0041】
電力制御部120は、プロセッサ11の消費電力と温度センサ353が検出した温度に基づいて、プロセッサ11の消費電力を制御する。
一般に、プロセッサ11の消費電力が大きいほど処理能力が高くなり、発熱量が多くなる。プロセッサ11の処理能力の制御パラメータには、第1制限電力と第2制限電力が含まれる。第1制限電力は、定格電力に相当するパラメータであり、PL1(Power Limit 1)または長時間制限電力(Long Term Power Limit)と呼ばれることがある。定格電力は、消費電力の移動平均値が一時的にこの値を超えることを許容するが、定常的に(例えば、数秒~数十秒以上継続して)この値を超えることを制限するための閾値である。移動平均における窓長(消費電力の移動平均に係る観測期間)は、典型的には、例えば、1~10s程度である。第2制限電力は、消費電力の移動平均値が、この値を越えることを制限するための閾値である。第2制限電力は、最大電力に相当するパラメータであり、PL2(Power Limit 2)または短時間制限電力(Short Term Power Limit)と呼ばれることがある。第2制限電力は、プロセッサ11の消費電力の上限に相当する。電力制御部120には、電力制御モードごとの制御パラメータを示す電力制御テーブルが記憶される。電力制御テーブルの具体例については、後述する。
【0042】
電力制御部120は、消費電力の移動平均値が定格電力以下となるようにプロセッサ11の消費電力を制御する。電力制御部120は、プロセッサ11の消費電力を監視し、消費電力が定格電力を超える時間が所定の基準継続時間τ(例えば、0.2~1秒)以上継続するとき、消費電力の移動平均値が定格電力以下となるまでプロセッサ11の消費電力を減少させる。一般に、プロセッサ11の消費電力は、動作電圧が高いほど高くなり、クロック周波数が高いほど高くなり、または、スロットリング率が高いほど高くなる。電力制御部120は、動作電圧、クロック周波数およびスロットリング率のいずれか1項目、または、いずれかの組み合わせをプロセッサ11に設定することで、プロセッサ11の消費電力を制御できる。スロットリング率とは、所定の周期ごとに動作状態と停止状態を交互に切り替える場合(スロットリング、間欠動作)における、その周期における動作状態の期間の比率(デューティ比)に相当する。
電力制御部120は、TCC(Thermal Control Circuit;温度制御回路)を備えてもよい。TCCは、温度センサ353から入力される温度信号に示される温度を監視する。TCCは、負荷が増加して検出された温度が所定の目標温度よりも上昇するときに、動作周波数および動作電圧の低下や、間欠動作を行って温度の上昇を抑制するように動作を制御する。目標温度は、電力制御モードごとに予め定義されてもよい。TCCは、電力制御部120において定められる電力制御モードに対応する目標温度を温度制御に用いてもよい。
【0043】
電力制御部120は、プロセッサ11の電力制御モードとして、予め設定された複数段階の電力制御モードのうち1段階の電力制御モードを選択してもよいし、操作に応じて指示された1段階の電力制御モードを採用してもよい。複数段階の電力制御モードのうち、1段階の電力制御モードを選択する動作態様を自動設定モード(Auto mode)と呼ぶことがある。電力制御モードは、プロセッサ11の電力制御特性に相当し、制御パラメータをもって定義される。即ち、複数の電力制御モード間で第1制限電力と第2制限電力の組が異なる。より第1制限電力が大きい電力制御モードに対しては、より大きい第2制限電力が設定されてもよい。プロセッサ11は、電力制御部120が選択した電力制御モードに係る制御パラメータに従って動作する。本実施形態では、自動設定モードは、ユーザの操作に応じた選択対象になる点で、電力制御モードの一環として扱われることがある。
【0044】
電力制御部120は、例えば、入力部32から入力される操作信号で指示される電力制御モードを特定し、特定した電力制御モードに従って、プロセッサ11を動作させる。電力制御部120は、所定の設定画面をディスプレイ14に表示させてもよい。電力制御部120は、例えば、設定画面を示す表示データをディスプレイ14に出力する。設定画面は、複数の電力制御モードのうち1通りの選択を案内する画面である。設定画面には、自動設定モードが案内されてもよい。電力制御部120は、入力部32から自動設定モードを示す操作信号が入力されるとき、自動設定モードのもとで、プロセッサ11の消費電力の変化傾向に基づいてプロセッサ11の電力制御モードを定める。電力制御部120には、予め自動設定モードが設定されてもよい。
【0045】
自動設定モードでは、電力制御部120は、プロセッサ11の消費電力が、現在の電力制御モードよりも第1制限電力がより大きい上位の電力制御モードへの遷移条件(本願では、「格上げ条件」と呼ぶことがある)を満足するとき、現在の電力制御モードを、遷移先とする上位の電力制御モードに変更する。
電力制御部120は、プロセッサ11の消費電力が、現在の電力制御モードよりも第1制限電力がより小さい下位の電力制御モードへの遷移条件(本願では、「格下げ条件」と呼ぶことがある)を満足するとき、プロセッサ11の電力制御モードを、遷移先とする下位の電力制御モードに変更する。
【0046】
電力制御部120には、遷移先とする電力制御モードへの遷移条件を示すモード遷移テーブルを予め記憶させておく。電力制御部120は、モード遷移テーブルを参照して、その時点までのプロセッサ11の消費電力が満足する遷移条件を特定する。なお、プロセッサ11の消費電力が複数の遷移条件を満足する場合、電力制御部120は、格下げ条件よりも、格上げ条件を優先して採用する。複数の格上げ条件を満足する場合、電力制御部120は、現在の電力制御モードよりも1段階上位の電力制御モードを遷移先とする格上げ条件を、他の格上げ条件よりも優先して選択する。ここで、上位の電力制御モードとは、第1制限電力(定格電力)がより多い電力制御モードを意味する。複数の格下げ条件を満足する場合、電力制御部120は、現在の電力制御モードよりも1段階下位の電力制御モードを遷移先とする格下げ条件を他の格下げ条件よりも優先して選択する。下位の電力制御モードとは、第1制限電力(定格電力)がより少ない電力制御モードを意味する。
電力制御部120は、定めた電力制御モードを示す電力制御モード情報を動作情報通知部210と放熱制御部に出力する。一度に電力制御モード情報で通知される電力制御モードは、複数段階の電力制御モードのいずれかであり、自動設定モードは通知対象とならなくてもよい。
【0047】
動作情報通知部210には、電力制御部120から電力制御モード情報が入力され、温度センサ353から温度信号が入力される。動作情報通知部210は、入力される電力制御モード情報で示される電力制御モードと温度信号で示される温度に基づいて疑似的な(ダミー)放熱ファン351の動作状態を示す動作情報を生成する。「疑似的」とは、現実の放熱ファン351の動作状態でないことを意味する。但し、疑似的な動作状態であっても、偶然に現実の動作状態と等しくなること、または、近似することもありうる。
【0048】
動作情報通知部210には、動作状態の一例として、所定の温度範囲ごとに放熱ファン351の回転速度と関連付けてなる回転速度制御テーブルを予め設定しておいてもよい。動作情報通知部210は、入力される温度信号が示す温度が所定の基準温度を超えるとき、または、設定される電力制御モードが所定の基準電力制御モード(例えば、低騒音モード(Q))より上位の電力制御モード(例えば、バランスモード(B)、高性能モード(P))に変更されるとき、その温度に対応する回転速度を定める。動作情報通知部210は、定めた回転速度を示す動作情報をデータ管理部110に出力する。
【0049】
放熱制御部220は、予め設定された温度と放熱ファン351の回転速度との対応関係を用いて温度センサ353から入力される温度信号に示される温度に基づいて放熱ファン351の回転速度を定める。放熱制御部220は、主に放熱ファン351の動作を制御する点で、プロセッサ11を制御対象とするTCCとは別個である。放熱制御部220には、複数段階の放熱ファン351の回転速度と動作温度を対応付けて示す温度制御テーブル(図示せず)を予め設定しておく。動作温度は、対応付けづけられた回転速度での動作開始を放熱ファン351に指示する温度である。この回転速度は、現実の回転速度の目標値である点で、動作情報通知部210において定まる回転速度とは別個である。放熱制御部220は、その時点における電力制御モードにおいて、温度が上昇傾向にあり、ある段階の動作温度を超えるとき、その段階の動作温度に対応する回転速度を定める。
但し、回転速度は、その回転速度で運転して生じうる騒音レベルが所定の騒音レベルを超えないようにする。放熱制御部220は、電力制御部120から入力される電力制御モード情報に示される電力制御モードに対応する騒音レベルに対応する回転速度の上限を予め設定しておき、上記の温度制御テーブルを用いて定めた回転速度が上限を超える場合には、放熱制御部220は、その回転速度を上限に定める。
【0050】
放熱制御部220は、その時点における電力制御モードにおいて、温度が低下傾向にあり、ある段階の動作温度よりも所定の低下幅(例えば、2~3[°C])だけ低い温度を下回るとき、その段階の動作温度よりも1段階低い段階の動作温度に対応する回転速度を定める。放熱制御部220は、定めた回転速度での動作を示す駆動制御信号を放熱ファン351に出力する。なお、1段階低い段階の動作温度に対応する出力ない場合、つまり、第0段階の動作量が定まる場合には、放熱制御部220は、停止と判定し、停止を示す駆動制御信号を放熱ファン351に出力する。
【0051】
次に、本実施形態に係る電力制御テーブルの例について説明する。図4は、本実施形態に係る電力制御テーブルの例を示す図である。図4に例示される電力制御テーブルは、3段階の電力制御モードとして、低騒音モード(Q)、バランスモード(B)および高性能モード(P)のそれぞれについて制御パラメータを示す。電力制御部120は、電力制御テーブルを参照し、定めた電力制御モードに対応する制御パラメータを特定することができる。例示される制御パラメータには、上記の第1制限電力PL1と第2制限電力PL2の他、騒音上限と目標温度が含まれる。
【0052】
低騒音モード(Q)は、電力の節約または放熱ファン351の動作による騒音レベルの低減を重視した電力制御モードである。低騒音モード(Q)に係る目標温度はTEMq、騒音上限はSNDq、第1制限電力PL1は、PL1q、第2制限電力PL2は、PL2qと設定されている。
バランスモード(B)は、電力の節約または騒音レベルの低減とプロセッサ11の性能とのバランスを重視した電力制御モードである。バランスモード(B)に係る目標温度はTEMb、騒音上限はSNDb、第1制限電力PL1は、PL1b、第2制限電力PL2は、PL2bと設定されている。
高性能モード(P)は、プロセッサ11の性能を重視した電力制御モードである。高性能モード(P)に係る目標温度はTEMp、騒音上限はSNDp、第1制限電力PL1は、PL1p、第2制限電力PL2は、PL2pと設定されている。
【0053】
目標温度は、第1制限電力が多い電力制御モードほど高くなる。具体的には、TEMq<TEMb<TEMpとなる。
騒音上限は、第1制限電力が多い電力制御モードほど高くなる。具体的には、SNDq<SNDb<SNDpとなる。
第2制限電力は、第1制限電力が多い電力制御モードほど多くなる。具体的には、PL2q<PL2b<PL2pとなる。
【0054】
次に、本実施形態に係るモード遷移テーブルの例について説明する。図5は、本実施形態に係るモード遷移テーブルの例を示す図である。図5に例示されるモード遷移テーブルは、遷移条件として、高性能モード(P)への格上げ条件、バランスモード(B)への格上げ条件、低騒音モード(Q)への格下げ条件、バランスモード(B)への格下げ条件が記述されている。遷移条件は、消費電力の状態と継続時間で定義されている。格上げ条件とは、より定格電力が多い上位の電力制御モードへの遷移条件を指す。格下げ条件とは、より低悪電力が少ない下位の電力制御モードへの遷移条件を指す。例えば、第2行に記述の高性能モード(P)への格上げ条件として、消費電力の状態としてプロセッサ11の消費電力の移動平均値Powerが消費電力の基準値SP23以上となる状態が継続時間T23以上継続することが示される。
高性能モード(P)への格上げ条件に係る基準値SP23は、バランスモード(B)への格上げ条件に係る基準値SP12より大きい実数値となる。基準値SP23は、バランスモード(B)での定格電力PL1bより大きい実数値となりうる。基準値SP12は、低騒音モード(Q)での定格電力PL1qより大きい実数値となりうる。継続時間T23は、継続時間T12と共通であってもよいし、独立であってもよい。
【0055】
低騒音モード(Q)への格下げ条件に係る基準値SP21は、バランスモード(B)への格下げ条件に係る基準値SP32より小さい実数値となる。基準値SP21は、低騒音モード(Q)での定格電力PL1qより小さい実数値となりうる。基準値SP32は、バランスモード(B)での定格電力PL1bより小さい実数値となりうる。継続時間T21は、継続時間T32と共通であってもよいし、独立であってもよい。継続時間T23、12を、それぞれT32、T21よりも短くすることで、電力制御モードの格下げよりも格上げが促されるため、性能の発揮が重視される場合に好適である。継続時間T23、12を、それぞれT32、T21よりも長くすることで、電力制御モードの格上げよりも格下げが促されるため、消費電力の節約が重視される場合に好適である。モード設定部204は、例えば、交流電力が供給されず、直流電力が供給される場合には、交流電力が供給されない場合よりも、継続時間T23、12が、それぞれT32、T21よりも相対的に長くなるように定めてもよい。
【0056】
次に、設定画面の例について説明する。図6は、本実施形態に係る設定画面の例を示す図である。例示される設定画面は、低騒音モード(Q)、自動設定モード、高性能モード(P)のいずれかを操作入力に応じて指示するための画面である。設定画面は、一例としてスライダバーを有し、操作に応じて指示されるポインタの位置が左端、中央、右端である場合に、それぞれ低騒音モード(Q;電池寿命重視)、自動設定モード、高性能モード(P;性能重視)が選択される。図示の例は、自動設定モードが選択されている状態を示す。自動設定モードは、プロセッサ11の消費電力に応じて予め設定された複数段階の電力制御モード(この例では、低騒音モード(Q)、バランスモード(B)、高性能モード(P))から1通りの電力制御モードを定める制御モードである。
【0057】
次に、本実施形態に係るモード遷移テーブルの例について説明する。図6は、本実施形態に係るモード遷移テーブルの例を示す図である。図5に例示されるモード遷移テーブルは、遷移条件として、高性能モード(P)への格上げ条件、バランスモード(B)への格上げ条件、低騒音モード(Q)への格下げ条件、バランスモード(B)への格下げ条件が記述されている。遷移条件は、消費電力の状態と継続時間で定義されている。例えば、第2行に記述の高性能モード(P)への格上げ条件として、消費電力の状態としてプロセッサ11の消費電力の移動平均値Powerが消費電力の基準値SP23以上となる状態が継続時間T23以上継続することが示される。
【0058】
次に、本実施形態に係る回転速度制御テーブルの例について説明する。図7は、本実施形態に係る回転速度制御テーブルの例を示す図である。図7に例示される回転速度制御テーブルでは、所定の温度範囲ごとに放熱ファン351の回転速度を示す。図示の例では、4段階の温度範囲のそれぞれに異なる回転速度が対応付けられている。温度範囲として、TP1未満、TP1以上TP2未満、TP2以上TP3未満、TP3以上のそれぞれに、回転速度としてRPM0、RPM1、RPM2、RPM3が対応付けられている。回転速度は、RPM0、RPM1、RPM2、RPM3の順に高くなり、RPM3が最も高い。第0段階の回転速度に相当するRMP0は、0であってもよい。例えば、動作情報通知部210は、より定格電力の大きい電力制御モードに変更されるとき、または、温度センサ353が測定した温度Tempが所定の基準温度よりも高くなるとき、その温度TempがTP1以上TP2未満である場合には、放熱ファン351の回転速度をRPM1と定めることができる。そして、動作情報通知部210は、定めた回転速度RMP1を示す動作情報を電力制御部120に通知する。なお、放熱制御部220は、温度と回転速度との関係を示す情報として、図7に例示のものと同様の構成を有する回転速度制御テーブルを参照して、温度センサ353が測定した温度に対応する回転速度を定め、定めた回転速度で動作するように放熱ファン351を制御してもよい。
【0059】
次に、本実施形態に係る検索インデックス処理の実行制御の例について説明する。図8は、本実施形態に係る検索インデックス処理の実行制御の例を示すフローチャートである。
(ステップS102)動作情報通知部210は、温度センサ353が検出した温度が所定の基準温度よりも高いか否かを判定する。基準温度より高いと判定するとき(ステップS102 YES)、ステップS108の処理に進む。基準温度以下と判定するとき(ステップS102 NO)、ステップS104の処理に進む。
(ステップS104)動作情報通知部210は、電力制御部120から電力制御モードが指示されるか否かを判定する。指示されたと判定するとき(ステップS104 YES)、ステップS106の処理に進む。指示されていないと判定するとき(ステップS104 NO)、ステップS102の処理に戻る。
(ステップS106)動作情報通知部210は、指示された電力制御モードが自動設定モードであるか否かを判定する。自動設定モードと判定するとき(ステップS106 YES)、ステップS108の処理に進む。自動設定モードでないと判定するとき(ステップS106 NO)、ステップS114の処理に進む。
【0060】
(ステップS108)動作情報通知部210は、回転速度制御テーブルを参照して、温度センサ353が検出した温度に対応する回転速度を定める。動作情報通知部210は、定めた回転速度を示す動作情報をデータ管理部110に通知する。
(ステップS110)データ管理部110は、動作情報通知部210から通知された動作情報に示される回転速度が所定の基準回転速度よりも高いか否かを判定する。基準回転速度よりも高いと判定するとき(ステップS110 YES)、ステップS112の処理に進む。基準回転速度以下と判定するとき(ステップS110 NO)、ステップS114の処理に進む。
(ステップS112)データ管理部110は、検索インデックス処理に対する優先度を所定の基準優先度よりも低い低優先度に設定する。プロセッサ11は、より高い優先度が設定された処理ほど優先して実行するため、優先度が基準優先度である場合よりも検索インデックス処理の停止が促される。その後、ステップS102の処理に戻る。
(ステップS114)データ管理部110は、検索インデックス処理に対する優先度を基準優先度に設定する。その後、ステップS102の処理に戻る。
【0061】
以上に説明したように、本実施形態に係る情報処理装置1は、データファイルごとに検索インデックスを対応付けて記憶し、放熱ファンの動作状態を示す動作情報に基づいて前記検索インデックスを生成または更新する処理である検索インデックス処理を実行するデータ管理部110と、温度を検出する温度センサ353と、プロセッサ11の電力制御モードおよび前記温度に基づいて放熱ファン351の疑似的な動作状態を示す動作情報を定め、当該動作情報をデータ管理部110に通知する動作情報通知部210と、を備える。
この構成によれば、現実の放熱ファン351の動作状態によらず、プロセッサ11の電力制御モードと検出された温度に基づいて定めた疑似的な動作状態に基づいて検索インデックス処理が実行される。そのため、放熱ファン351の動作に影響を与えずに、より確実に温度と電力制御モードに応じて検索インデックス処理を制御することができる。また、放熱ファン351を有しない情報処理装置1に対しても当該検索インデックス処理の制御が実現される。
【0062】
データ管理部110は、放熱ファン351の動作状態が活発なほど、低くなるように検索インデックス処理に対する優先度を定めてもよい。
この構成によれば、通知される放熱ファン351の動作状態が活発なほど、検索インデックス処理に対する優先度が低くなる。そのため、温度上昇時において疑似的に活発な動作状態を通知されるとき検索インデックス処理をより確実に停止させ、発熱量を低減することができる。
【0063】
データ管理部110は、放熱ファン351の動作状態が所定の動作状態の基準値よりも活発なとき、検索インデックス処理に対する優先度を、所定の基準優先度よりも低い低優先度と定め、放熱ファン351の動作状態が所定の動作状態の基準値よりも活発でないとき、検索インデックス処理に対する優先度として、基準優先度に定めてもよい。
この構成によれば、通知される放熱ファン351の動作状態が所定の動作状態の基準値よりも活発か否かにより、検索インデックス処理に対する優先度を低優先度とするか基準優先度とするかが定まる。そのため、温度上昇時において疑似的に活発な動作状態を通知されることで、検索インデックス処理の優先度が低くすることで発熱量を低減することができる。
【0064】
情報処理装置1は、電力制御部120を備え、プロセッサ11は、定格電力が異なる複数段階の電力制御モード(例えば、低騒音モード(Q)、バランスモード(B)、高性能モード(P))をとることを可能とし、電力制御部120は、プロセッサ11の消費電力に基づいて複数段階の電力制御モードから1段階の電力制御モードを定めてもよい。
この構成によれば、プロセッサ11の消費電力に応じて複数段階の電力制御モードから選択される電力制御モードに応じて検索インデックス処理の有無が、現実の放熱ファンの351の動作状態に直ちに依存しない。そのため、放熱ファン351の動作状態の意図しない変動を抑制することができる。
【0065】
動作情報通知部210は、温度が所定の基準温度を超えるとき、または、複数段階の電力制御モードから1段階の電力制御モードを定める自動設定モードが選択されるとき、疑似的な動作状態を示す動作情報をデータ管理部110に通知してもよい。
この構成によれば、温度が所定の基準温度を超えるとき、または、複数段階の電力制御モードから1段階の電力制御モードを定める自動設定モードが選択されるときが、疑似的な動作状態を示す動作情報をデータ管理部110に通知する契機となる。そのため、動作情報の通知、通知された動作情報に基づく検索インデックスに対する優先度の変更に係る処理が、必要なときに限られるため、情報処理装置1の負荷を低減することができる。
【0066】
動作情報は、放熱ファン351の回転速度を示してもよい。
この構成により、放熱ファン351の動作状態が定量的に表されるので、データ管理部110は、定量的に検索インデックス処理に対する優先度を設定することができる。
【0067】
なお、上記の処理に係る各種の設計事項は、例示したものに限られず、プロセッサの処理能力、個数、筐体の大きさなどの種々な要件に応じて異なってもよい。設計事項には、例えば、回転速度制御テーブル、モード遷移テーブルにおける温度区分、段階数、電力制御モードの段階数、個々の設定値などが含まれる。また、疑似的か現実的かを問わず、放熱ファン351の動作状態を示す指標値は、回転速度に限られず、騒音レベル、消費電力などで表されてもよい。放熱ファン351の動作状態の活性、つまり、活発な度合いは、2段階に限られず、3段階以上のいずれかであってもよいし、任意の実数値で表されてもよい。検索インデックス処理に対する優先度は、基準優先度と低優先度の2段階に限らず、3段階以上のいずれかに設定されてもよい。また、複数種類の要素値間の関係は、必ずしもデータテーブルを用いて表されていなくてもよく、所定の関数を用いて表されてもよい。
動作情報通知部210は、ステップS102における基準温度として、例えば、放熱ファン351を回転させるか否かを判定するための温度の基準値、例えば、図7に例示されるTP1を用いてもよい。
【0068】
なお、検索インデックス処理は、バックグラウンド処理の一部として実行されうる。バックグラウンド処理は、入力部32からの操作信号の入力とディスプレイ14への表示データの提示を必ずしも要しない。そこで、データ管理部110は、インデックス処理をメンテナンスタスクとして実行してもよい。メンテナンスタスクは、情報処理装置1がユーザにより使用されない、または、ユーザによる使用が稀な所定の時間帯に実行される処理である。データ管理部110は、メンテナンスタスクとするインデックス処理に対する優先度として、通常のタスクとするインデックス処理に対する優先度よりも高い優先度を設定してもよい。
【0069】
また、電源回路33に外部電源からの電力である外部電力(主に、交流電力)が供給されない場合には、バッテリ34から供給される直流電力が消費される。そこで、データ管理部110は、メンテナンスタスクとするインデックス処理に対する優先度として、外部電力が供給されない場合には、外部電力が供給される場合よりも低くなるように設定してもよい。データ管理部110は、電源回路33から通知される外部電力の供給の有無を示す電力供給情報に基づいて、外部電力の供給の有無を判定することができる。これにより、インデックス処理が実行される可能性が低くなるので、消費電力が全体として節約される。
また、情報処理装置1において、放熱制御部220と冷却部35が省略されてもよい。
【0070】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0071】
1…情報処理装置、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…ビデオサブシステム、14…ディスプレイ、21…チップセット、22…BIOSメモリ、23…記憶媒体、24…オーディオシステム、25…WLANカード、26…USBコネクタ、31…エンベデッドコントローラ、32…入力部、33…電源回路、34…バッテリ、35…冷却部、110…データ管理部、112…インデックス処理部、114…データ記憶部、120…電力制御部、210…動作情報通知部、220…放熱制御部、351…放熱ファン、352…ヒートパイプ、353…温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データファイルごとに検索インデックスを対応付けて記憶し、
放熱ファンの動作状態を示す動作情報に基づいて前記検索インデックスを生成または更新する処理である検索インデックス処理を実行するデータ管理部と、
温度を検出する温度センサと、
プロセッサの電力制御モードおよび前記温度に基づいて前記放熱ファンの動作状態を示す動作情報を、当該温度に基づく前記放熱ファンの動作状態の目標値とは別個に定め、当該動作情報を前記データ管理部に通知する動作情報通知部と、を備える
情報処理装置。
【請求項2】
前記データ管理部は、
前記放熱ファンの動作状態が活発なほど、低くなるように前記検索インデックス処理に対する優先度を定める
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記データ管理部は、
前記放熱ファンの動作状態が所定の動作状態の基準値よりも活発なとき、前記検索インデックス処理に対する優先度を、所定の基準優先度よりも低い低優先度と定め、
前記放熱ファンの動作状態が所定の動作状態の基準値よりも活発でないとき、前記検索インデックス処理に対する優先度として、前記基準優先度に定める、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
電力制御部を備え、
前記プロセッサは、定格電力が異なる複数段階の電力制御モードをとることを可能とし、
前記電力制御部は、前記プロセッサの消費電力に基づいて前記複数段階の電力制御モードから1段階の電力制御モードを定める
請求項2または請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
動作情報通知部は、
前記温度が所定の基準温度を超えるとき、または、前記複数段階の電力制御モードから1段階の電力制御モードを定める自動設定モードが選択されるとき、前記放熱ファンの動作状態の目標値とは別個の動作情報を前記データ管理部に通知する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記動作情報は、前記放熱ファンの回転速度を示す
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
データファイルごとに検索インデックスを対応付けて記憶するデータ管理部と、
温度を検出する温度センサと、を備える情報処理装置における制御方法であって、
前記データ管理部が、放熱ファンの動作状態を示す動作情報に基づいて前記検索インデックスを生成または更新する処理である検索インデックス処理を実行するステップと、
動作情報通知部が、プロセッサの電力制御モードおよび前記温度に基づいて前記放熱ファンの動作状態を示す動作情報を、当該温度に基づく前記放熱ファンの動作状態の目標値とは別個に定め、当該動作情報を前記データ管理部に通知するステップと、を実行する
制御方法。