(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092868
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】液体洗浄剤物品
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20230627BHJP
C11D 3/10 20060101ALI20230627BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D3/10
C11D3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208132
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】石塚 智貴
(72)【発明者】
【氏名】志摩 優太
(72)【発明者】
【氏名】中村 達哉
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB03
4H003AB19
4H003AC08
4H003AC09
4H003AC12
4H003BA12
4H003CA18
4H003DA01
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA12
4H003EA16
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB22
4H003EB33
4H003EC01
4H003EC02
4H003EC03
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA04
4H003FA07
4H003FA12
4H003FA16
4H003FA26
4H003FA28
(57)【要約】
【課題】優れた洗浄力を備えながら、経時による水溶性フィルム製容器の脆化が抑制され、良好な触感や外観を維持できる(C)成分を提供する。
【解決手段】水溶性フィルム製の容器に液体洗浄剤組成物が封入された液体洗浄剤物品であって、液体洗浄剤組成物は、(A)成分:界面活性剤、(B)成分:炭酸塩、及び(C)成分を含有し、(B)成分の含有量が、前記液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~5質量%であり、(C)成分は、(C1)成分:グリセリン等、(C2)成分:プロピレングリコール等、及び(C3)成分:ソルビトールから選択される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性フィルム製の容器に液体洗浄剤組成物が封入された液体洗浄剤物品であって、
前記液体洗浄剤組成物は、下記(A)成分、下記(B)成分、並びに下記(C1)成分、(C2)成分、及び(C3)成分から選択される1種以上である(C)成分を含有し、
下記(B)成分の含有量が、前記液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~5質量%である、液体洗浄剤物品。
(A)成分:界面活性剤。
(B)成分:炭酸塩。
(C1)成分:グリセリン、炭素数2~4のアルキレングリコール単位の(ポリ)アルキレングリコールと炭素数1~5のアルカノールからなる(ポリ)アルキレングリコール(モノ又はジ)アルキルエーテル、及び炭素数1~8のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル類からなる群から選択される1種以上。
(C2)成分:プロピレングリコール、及び3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールから選択される1種以上。
(C3)成分:ソルビトール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性フィルム製の容器に液体洗浄剤組成物が封入された液体洗浄剤物品に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料用液体洗剤組成物としては種々のものが提案されている。例えば、特許文献1には、界面活性剤に加えて、炭酸アルカリ金属塩又は炭酸水素アルカリ金属塩と、無機ケイ素化合物を含む衣料用液体洗剤組成物が開示されている。
炭酸アルカリ金属塩等の炭酸塩は、洗浄力を向上させる成分として知られている。
【0003】
一方、水溶性フィルム製の容器に液体洗浄剤組成物が封入された液体洗浄剤物品(いわゆる液体タブレット型洗剤)が知られている(特許文献2)。
液体タブレット型洗剤は、使用者が液体洗浄剤組成物を計量する手間を省けると共に、計量時に液体洗浄剤組成物をこぼしてしまう懸念もない。そのため、衣料等の繊維製品を洗浄する際の利便性の高い液体洗浄剤物品として注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-169439号公報
【特許文献2】特表2008-518861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等は、利便性の高い液体タブレット型洗剤の洗浄力を高めるため、水溶性フィルム製の容器に封入する液体洗浄剤組成物に、炭酸塩を配合することを検討した。ところが、本発明者等が、炭酸ナトリウムを配合した液体洗浄剤組成物をタブレットに成形し保存してみたところ、水溶性フィルムが脆化し、表面に微小なヒビが入って白濁し、ザラつくことが判明した。
そこで、本発明は、優れた洗浄力を備えながら、経時による水溶性フィルム製容器の脆化が抑制され、良好な触感や外観を維持できる液体洗浄剤物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]水溶性フィルム製の容器に液体洗浄剤組成物が封入された液体洗浄剤物品であって、
前記液体洗浄剤組成物は、下記(A)成分、下記(B)成分、並びに下記(C1)成分、(C2)成分、及び(C3)成分から選択される1種以上である(C)成分を含有し、
下記(B)成分の含有量が、前記液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~5質量%である、液体洗浄剤物品。
(A)成分:界面活性剤。
(B)成分:炭酸塩。
(C1)成分:グリセリン、炭素数2~4のアルキレングリコール単位の(ポリ)アルキレングリコールと炭素数1~5のアルカノールからなる(ポリ)アルキレングリコール(モノ又はジ)アルキルエーテル、及び炭素数1~8のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル類からなる群から選択される1種以上。
(C2)成分:プロピレングリコール、及び3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールから選択される1種以上。
(C3)成分:ソルビトール。
【発明の効果】
【0007】
本発明の液体洗浄剤物品は、優れた洗浄力を備えながら、経時による水溶性フィルム製容器の脆化が抑制され、良好な触感や外観を維持できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の液体洗浄剤物品は、水溶性フィルム製の容器に液体洗浄剤組成物が封入されたものである。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、水溶性とは25℃の水300mLに30mm四方の水溶性フィルム試験片を入れ撹拌し、120秒以内に完全に溶解する性質を意味する。
【0009】
[水溶性フィルム]
容器を構成する水溶性フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸もしくはその塩、ポリアミノ酸もしくはペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸とアクリル酸とのコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタンもしくはカラゴム等の天然ゴム類などが挙げられる。これらの材料の中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
【0010】
水溶性フィルムは可塑剤を含有している。可塑剤としては、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,3-ブタンジオールなどの多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類、ポリビニルピロリドンなどのポリビニルアミド類、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのフェノール誘導体、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどのアミド化合物、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコールにエチレンオキサイドを付加した化合物や水などが挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
【0011】
水溶性を向上させる目的には、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンを用いるのが好ましく、特に可塑剤のブリードアウトによるフィルムの水溶性低下を抑制する効果の点から、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンを用いるのが特に好ましい。
【0012】
水溶性フィルムに含有させる可塑剤の含有量は、ポリビニルアルコール質量部に対して1~50質量%であることが好ましく、20~40質量%であることがより好ましい。
水溶性フィルムに含有させる可塑剤の含有量が上記好ましい範囲であれば、容器に適度な柔軟性を付与することができる。
【0013】
水溶性フィルムには、必要に応じて無機フィラー(例えば、シリカ、重質、軽質または表面処理された炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ゼオライト、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、マイカ、炭酸マグネシウム、カオリン、ハロイサイト、パイロフィライト、セリサイトなどのクレー、タルクなど)、や着色剤、香料、増量剤、消泡剤、剥離剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、 カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸またはその塩、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどの水溶性高分子等の添加剤を含有させてもよい。
【0014】
水溶性フィルムの市販品としては、例えば、Monosol LLC社(米国インディアナ州メリルビル)によって販売されるような商品名がモノゾルM8310、M8312、M8775、M8630、M7061、M8900等が挙げられる。
【0015】
[液体洗浄剤組成物]
液体洗浄剤組成物は(A)成分、(B)成分、並びに(C)成分を含有する。また、酵素、キレート剤、抗菌剤、酸化防止剤、その他の成分、その他の溶剤を必要に応じて含有することができる。本発明の液体洗浄剤組成物に含有される水は、通常の洗浄剤組成物より少ないことが好ましい。
【0016】
<(A)成分:界面活性剤>
(A)成分としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤などが挙げられる。
(A)成分として、1種の界面活性剤を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
洗浄力がより高まる観点から、(A)成分はノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤を含むことが好ましい。
また、ノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤に加えて、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤及び半極性界面活性剤の1つ以上を併用してもよい。
【0017】
《ノニオン界面活性剤》
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、アルキルフェノール、高級アミン等のアルキレンオキシド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキル(又はアルケニル)アミンオキシド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加体、糖脂肪酸エステル、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド等が挙げられる。本明細書において、高級アミンとは、炭素数8~22のアミンを意味する。
【0018】
ノニオン界面活性剤としては、上記の中でも、皮脂洗浄力に優れ、適切な粘度にし、保存安定性を高める観点から、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が好ましい。
ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤としては、例えば、下記一般式(a1)で表される化合物(以下、「化合物(a1)」ということがある)、下記一般式(a2)で表される化合物(以下、「化合物(a2)」ということがある)が挙げられる。
化合物(a1)は、脂肪酸アルキル(アルケニル)エステルである。
化合物(a2)は、アルコール型ノニオン界面活性剤である。
R11-C(=O)O-[(EO)s/(PO)t]-(EO)u-R12・・・(a1)
R13-O-[(EO)v/(PO)w]-(EO)x-H・・・(a2)
【0019】
一般式(a1)中、R11は炭素数7~22の炭化水素基であり、R12は炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基であり、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し、sはEOの平均繰り返し数を表し、3~20の数であり、tはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数であり、uはEOの平均繰り返し数を表し、0~20の数である。tが1以上である場合、[(EO)s/(PO)t]において、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とは、ランダム重合であってもよいし、ブロック重合であってもよい。
なお、平均繰り返し数は、ガスクロマトグラフィー等によって測定することができる。
【0020】
一般式(a2)中、R13は炭素数7~22の炭化水素基であり、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し、vはEOの平均繰り返し数を表し、3~20の数であり、wはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数であり、xはEOの平均繰り返し数を表し、0~20の数である。wが1以上である場合、[(EO)v/(PO)w]において、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とは、ランダム重合であってもよいし、ブロック重合であってもよい。
なお、平均繰り返し数は、ガスクロマトグラフィー等によって測定することができる。
【0021】
一般式(a1)において、R11の炭化水素基の炭素数は、8~22が好ましく、9~21が好ましく、10~21がより好ましく、11~18がさらに好ましい。R11の炭化水素基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、不飽和結合を有していても有していなくてもよい。
R12におけるアルキル基の炭素数は、1~6であり、1~3が好ましい。
R12におけるアルケニル基の炭素数は、2~6であり、2~3が好ましい。
s+uは3~20が好ましく、5~18がより好ましい。s+uが上記下限値以上であると、原料臭気の劣化を抑制しやすい。s+uが上記上限値以下であると、HLB値を抑制でき、皮脂汚れに対する洗浄性を向上しやすい。
なお、HLB値とは、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す値である。HLB値は0~20までの値をとり、0に近いほど親油性が高く、20に近いほど親水性が高い。
tは0~6の数であり、0~3が好ましい。上記上限値超では、液体洗浄剤の高温下での保存安定性が低下する傾向にある。
【0022】
一般式(a2)において、R13の炭素数は10~22が好ましく、10~20がより好ましく、10~18がさらに好ましい。
R13は直鎖の炭化水素基であってもよく、分岐鎖の第1級の炭化水素基及び直鎖の第2級炭化水素基から選ばれる基であってもよい。
R13が直鎖の炭化水素基である場合、v+xは3~20が好ましく、5~18がより好ましく、6~18がさらに好ましく、7~15が特に好ましい。wは0~6の数であり、0~3が好ましい。
R13が分岐鎖の第1級の炭化水素基及び直鎖の第2級炭化水素基から選ばれる基である場合、v+xは3~18が好ましく、3~8が特に好ましく、wは0が好ましい。
【0023】
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの付加モル数分布は特に限定されない。
付加モル数分布は、ノニオン界面活性剤を製造する際の反応方法によって変動しやすい。例えば、一般的な水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ触媒を用いて、エチレンオキシドやプロピレンオキシドを疎水性原料に付加させた際には、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの付加モル数分布が比較的広い分布となる傾向にある。また、特公平6-15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて、エチレンオキシドやプロピレンオキシドを疎水性原料に付加させた際には、エチレンオキシドやプロピレンオキシドの付加モル数分布が比較的狭い分布となる傾向にある。
【0024】
《アニオン界面活性剤》
アニオン界面活性剤としては、例えば直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩(LAS)、α-オレフィンスルホン酸又はその塩(AOS)、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル又はその塩(AS)、ポリオキシアルキレンアルキル(アルケニル)エーテル硫酸エステル又はその塩(AES)、アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩、α-スルホ脂肪酸エステル又はその塩、内部オレフィンスルホン酸又はその塩(IOS)、ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩(HAS)、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸又はその塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アルケニルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アシルアミノカルボン酸又はその塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル又はその塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル又はその塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤などが挙げられる。
アニオン界面活性剤の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
これらのアニオン界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上が組み合わされて用いてもよい。
アニオン界面活性剤としては、LAS、AOS、AS、AESが好ましく、なかでも、洗浄力がより高まる観点から、LAS、AESがより好ましい。液体洗浄剤は少なくともAESを含むことが好ましく、LASとAESの両方を含むことがより好ましい。
【0025】
ポリオキシアルキレンアルキル(アルケニル)エーテル硫酸エステル又はその塩(AES)は、下記一般式(A4)で表される。
R17-O-[(EO)m/(PO)n]-SO3
-M+ ・・・(A4)
(一般式(A4)中、R17は、炭素数8~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又は炭素数8~20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基である。POはオキシプロピレン基である。mはEOの平均繰り返し数を表す0.1以上の数である。nはPOの平均繰り返し数を表す0~6の数である。[(EO)m/(PO)n]は、EOとPOの配列順に限定がないことを示し、M+は対カチオンである。)
【0026】
AESとしては、炭素数10~20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有し、平均1~5モルのアルキレンオキシドが付加されたものが好ましい。上記アルキル基又はアルケニル基の炭素数としては、10~20が好ましく、12~14がより好ましい。特に、炭素数10~20の直鎖のアルキル基が好ましく、炭素数12~14の直鎖のアルキル基がより好ましい。具体的には、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。
【0027】
mは0.1~5が好ましく、0.1~3がより好ましく、0.5~2がさらに好ましく、0.5~1.5が特に好ましい。
nは0~6であり、0~3が好ましく、0がより好ましい。
m+nは0超が好ましく、1~5がより好ましい。
【0028】
nが0でない場合、つまりAESが、EOとPOを有する場合、[(EO)m/(PO)n]においてEOとPOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。また、EOが「R17-O-」に結合してもよいし、POが「R17-O-」に結合してもよい。
EOとPOとをブロック状に配列させる方法としては、例えば、エチレンオキシドを導入した後にプロピレンオキシドを導入する方法、プロピレンオキシドを導入した後にエチレンオキシドを導入する方法、エチレンオキシドを導入した後にプロピレンオキシドを導入し、さらに、エチレンオキシドを導入する方法等が挙げられる。
【0029】
(高級脂肪酸)
「高級脂肪酸」とは、炭素数8~22の脂肪酸である。高級脂肪酸(塩)を含有することで、液体洗浄剤組成物は、すすぎ性を高められる。すすぎ性を高めると、洗浄処理後のすすぎ処理の回数を減らすことができる。
高級脂肪酸(塩)を配合すると、液安定性が低下しやすい。液体洗浄剤組成物のpHを7超にすることで液安定性を高められる。
高級脂肪酸としては、炭素数8~18の鎖状モノカルボン酸が好ましい。
【0030】
高級脂肪酸は、下記一般式(A5)で表される。
R1-COOH・・・(A5)
(式一般(A5)中、R1は炭素数7~17の脂肪族炭化水素基である。)
一般式(A5)中、R1の脂肪族炭化水素基は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。R1としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が好ましい。
R1の炭素数は、7~17であり、11~17が好ましい。R1の炭素数が上記下限値以上であれば、再汚染防止効果が高まる。R1の炭素数が上記上限値以下であれば、水への溶解性が高まる。
【0031】
高級脂肪酸(塩)における塩の形態としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩又はアンモニウム塩等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩又はカリウム塩等が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、カルシウム塩又はマグネシウム塩等が挙げられる。アミン塩としては、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、又はトリエタノールアミン塩等)等が挙げられる。
これらの高級脂肪酸(塩)は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。 また、高級脂肪酸(塩)は、単一鎖長の混合物でもよく、2以上の鎖長の混合物でもよい。
高級脂肪酸(塩)としては、ヤシ脂肪酸又はその塩を含むことが好ましい。
【0032】
《カチオン界面活性剤》
カチオン界面活性剤としては、例えばカプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン又はその塩;パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル3級アミン又はその塩;パルミチン酸ジエタノールアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエタノールアミノプロピルアミド;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等の第4級化物などが挙げられる。
カチオン界面活性剤の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
これらのカチオン界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
《両性界面活性剤》
両性界面活性剤としては、例えばアルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型、リン酸型両性界面活性剤などが挙げられる。
これらの両性界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
《半極性界面活性剤》
半極性界面活性剤としては、例えばアルキルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシドなどが挙げられる。
これらの半極性界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
(A)成分の総含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して40質量%以上であり、45質量%以上が好ましい。また、(A)成分の総含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して75質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。すなわち、(A)成分の総含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して40~75質量%が好ましく、45~70質量%がより好ましい。
(A)成分の総含有量が上記下限値以上であれば、充分な洗浄力が得られる。
【0036】
(A)成分がノニオン界面活性剤を含む場合、ノニオン界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して20~60質量%が好ましく、25~40質量%がより好ましく、25~35質量%が特に好ましい。ノニオン界面活性剤の含有量が上記下限値以上であれば、液体洗浄剤組成物に高い洗浄性能を付与することができる。一方、ノニオン界面活性剤の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物の安定性を確保できる。
【0037】
(A)成分がアニオン界面活性剤を含む場合、アニオン界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~40質量%が好ましく、10~35質量%がより好ましく、15~30質量%がさらに好ましい。アニオン界面活性剤の含有量が上記下限値以上であれば、タンパク洗浄力を確保できる。アニオン界面活性剤の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物の安定性を確保できる。
【0038】
アニオン界面活性剤がLASを含む場合、LASの含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~30質量%が好ましく、5~25質量%がより好ましく、10~20質量%がさらに好ましい。LASの含有量が上記下限値以上であれば、衣類の再汚染を防ぐ。LASの含有量が上記上限値以下であれば、配合安定性を確保できる。
アニオン界面活性剤がAESを含む場合、AESの含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。AESの含有量が上記下限値以上であれば、皮脂洗浄力を確保できる。AESの含有量が上記上限値以下であれば、外観安定性を確保できる。
【0039】
(A)成分が高級脂肪酸(塩)を含む場合、高級脂肪酸(塩)の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましく、2~5質量%がさらに好ましい。高級脂肪酸(塩)の含有量が上記下限値以上であると、すすぎ性をより高められる。高級脂肪酸(塩)の含有量が上記上限値以下であると液安定性をより高められる。
【0040】
(A)成分はノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を併用するのが好ましい。
ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤の合計含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、35~70質量%が好ましく、40~60質量%がより好ましい。
ノニオン界面活性剤/アニオン界面活性剤で表される質量比(以下、「ノニオン/アニオン比」ともいう。)は0.7以上が好ましく、1以上がより好ましく、1.2以上がさらに好ましい。また、ノニオン/アニオン比は、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、2以下が特に好ましい。すなわち、ノニオン/アニオン比は、0.7以上が好ましく、1~10が好ましく、1.2~5がより好ましく、1.2~2がさらに好ましい。ノニオン/アニオン比が上記下限値超であれば、皮脂洗浄力を確保できる。
【0041】
(A)成分がカチオン界面活性剤を含む場合、カチオン界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
(A)成分が両性界面活性剤を含む場合、両性界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
(A)成分が半極性界面活性剤を含む場合、半極性界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
【0042】
<(B)成分:炭酸塩>
炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの複塩(セスキ炭酸ナトリウム)、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩が挙げられる。
炭酸塩としては、液体洗剤の洗浄力をより高められることから、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましく、炭酸ナトリウムがより好ましい。炭酸塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
炭酸塩の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.1~5質量%であり、0.5~2.5質量%が好ましく、0.8~2.0質量%がより好ましく、1.0~1.5質量%がさらに好ましい。炭酸塩の含有量が上記下限値以上であると液体洗剤の洗浄力をより向上でき、炭酸塩の含有量が上記上限値以下であると、液体洗剤安定性が良好であり、水溶性フィルムの脆化、白化も生じにくい。
【0044】
<(C)成分>
本発明における液体洗浄剤物品は、液体洗浄剤組成物が(C)成分を含む。(C)成分を含有することにより、経時による水溶性フィルム製容器の脆化が抑制され、良好な触感や外観を維持できる。
【0045】
(C)成分は、下記(C1)成分、(C2)成分、及び(C3)成分から選択される1種以上である。
(C1)成分:グリセリン、炭素数2~4のアルキレングリコール単位の(ポリ)アルキレングリコールと炭素数1~5のアルカノールからなる(ポリ)アルキレングリコール(モノ又はジ)アルキルエーテル、及び炭素数1~8のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル類からなる群から選択される1種以上。
(C2)成分:プロピレングリコール、及び3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールから選択される1種以上。
(C3)成分:ソルビトール。
【0046】
(C1)成分である炭素数2~4のアルキレングリコール単位の(ポリ)アルキレングリコールと炭素数1~5のアルカノールからなる(ポリ)アルキレングリコール(モノ又はジ)アルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノールなどが挙げられる。
【0047】
(C1)成分である炭素数1~8のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル類としては、1,3-ジメチルグリセリルエーテル、エチルグリセリルエーテル、1,3-ジエチルグリセリルエーテル、トリエチルグリセリルエーテル、ペンチルグリセリルエーテル、オクチルグリセリルエーテル、又は2-エチルヘキシルグリセリルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。
【0048】
(C)成分の総含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して25~45質量%が好ましく、30~42質量%がより好ましく、35~40質量%がさらに好ましい。
(C)成分の総含有量が上記好ましい下限値以上であれば、水溶性フィルムの脆化が抑制されるため、液体洗浄剤包装体として壊れにくく、また水溶性フィルムの溶解性も向上する。
一方、上記好ましい上限値超としても、それに見合う脆化の改善効果は見られないので、経済的に不利である。また、上記好ましい上限値以下とすることにより、水溶性フィルム製の容器の軟化が進行し過ぎず、外観や触感を保ちやすい。
【0049】
(C1)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~15質量%が好ましく、3~10質量%がより好ましく、5~8質量%がさらに好ましい。
(C)成分の総含有量に対する(C1)成分の含有量の比[(C1)/(C)]は、0.02~0.6が好ましく、0.07~0.3がより好ましく、0.12~0.23がさらに好ましい。
(C1)成分の含有量又は(C)成分の総含有量に対する比が上記好ましい下限値以上であれば水溶性フィルムの脆化が抑制される。
(C1)成分の含有量又は(C)成分の総含有量に対する比が上記好ましい上限値以下であれば水溶性フィルム製の容器の軟化が進行し過ぎず、外観や触感を保ちやすい。
【0050】
(C2)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して5~30質量%が好ましく、10~28質量%がより好ましく、15~25質量%がさらに好ましい。
(C)成分の総含有量に対する(C2)成分の含有量の比[(C2)/(C)]は、0.3~0.7が好ましく、0.4~0.7がより好ましく、0.4~0.6がさらに好ましい。
(C2)成分の含有量又は(C)成分の総含有量に対する比が上記好ましい下限値以上であれば外観安定性及び良好な流動性を担保でき、水溶性フィルムの脆化が抑制される。
(C2)成分の含有量又は(C)成分の総含有量に対する比が上記好ましい上限値以下であれば水溶性フィルム製の容器の軟化が進行し過ぎず、外観や触感を保ちやすい。
【0051】
(C3)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~15質量%が好ましく、3~12質量%がより好ましく、5~10質量%がさらに好ましい。
(C)成分の総含有量に対する(C3)成分の含有量の比[(C3)/(C)]は、0.02~0.6が好ましく、0.07~0.4がより好ましく、0.12~0.29がさらに好ましい。
(C3)成分の含有量又は(C)成分の総含有量に対する比が上記好ましい下限値以上であれば水溶性フィルムの脆化が抑制される。
(C3)成分の含有量又は(C)成分の総含有量に対する比が上記好ましい上限値以下であれば水溶性フィルム製の容器の軟化が進行し過ぎず、外観や触感を保ちやすい。また低温安定性が良好となる。
【0052】
(C2)成分と(C3)成分の合計量に対する(C1)成分の含有量の比[(C1)/((C2)+(C3))]は、0.05~1が好ましく、0.1~0.5がより好ましく、0.1~0.3が特に好ましい。[(C1)/((C2)+(C3))]がこの範囲であると、水溶性フィルムの脆化が抑制され、また、水溶性フィルム製の容器の軟化が進行し過ぎず、外観や触感を保ちやすい。
【0053】
本発明の効果を損なわない範囲で、上記(C)成分以外の可塑剤として機能する他の成分を含んでいてもよい。
可塑剤として機能する他の成分としては、2-メチル―1,3―プロパンジオール、メタノール、ジグリセロール、1,4-ブタンジオール、尿素が挙げられる。
【0054】
<配合比>
(A)成分の質量に対する(B)成分の質量の比[(B)/(A)]は、0.01~0.1が好ましく、0.02~0.06がより好ましい。上記範囲内とすることで液体製剤の安定性に優れる。
(A)成分の質量に対する(C)成分の質量の比[(C)/(A)]は、0.2~0.8が好ましく、0.3~0.7がより好ましい。上記範囲内とすることで液体製剤の安定性、及び流動性に優れる。
(C)成分の質量に対する(B)成分の質量の比[(B)/(C)]は、0.01~0.15が好ましく、0.03~0.1がより好ましい。上記範囲内とすることで水溶性フィルム製容器としての触感に優れる。
(C)成分の質量に対する(A)成分の質量の比[(A)/(C)]は、1.0~5.0が好ましく、1.5~3.0より好ましい。上記範囲内とすることで液体製剤としての安定性、及び水溶性フィルム製容器としての触感に優れる。
(B)成分の質量に対する(C)成分の質量の比[(C)/(B)]は、8.0~40.0が好ましく、10.0~35.0がより好ましい。上記範囲内とすることで経時による水溶性フィルム製容器の脆化が抑制され、良好な触感や外観を得ることができる。
【0055】
<酵素>
本発明における液体洗浄剤組成物は、酵素を含んでもよい。
酵素としては、例えばプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼなどが挙げられる。
酵素は、一般に、酵素を含有する製剤(酵素製剤)として市販されている。液体洗浄剤を調製する際、通常、酵素は酵素製剤の形態で配合される。
【0056】
《プロテアーゼ》
プロテアーゼとしては、セリンプロテアーゼのように、分子内にセリン、ヒスチジン、及びアスパラギン酸を有するプロテアーゼが好ましい。
プロテアーゼを含有する酵素製剤(プロテアーゼ製剤)は市販されている。液体洗浄剤を調製する際、プロテアーゼは、通常、このプロテアーゼ製剤を用いて配合される。
プロテアーゼ製剤としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Savinase16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Everlase 16L、Everlase 16L TypeEX、Everlase Ultra 16L、Esperase 8L、Alcalase 2.5L、Alcalase Ultra 2.5L、Liquanase 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Coronase 48L Progress Uno 100L;ジェネンコア社から入手できる商品名Purafect L、Purafect OX、Properase Lなどが挙げられる。
中でも、Everlase 16L、Alcalase 2.5L、Coronase 48L、Progress Uno 100Lが好ましく、Progress Uno 100Lがより好ましい。
プロテアーゼの含有量は、酵素製剤として、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~5.0質量%であることが好ましく、1.0~3.0質量%であることがより好ましい。
【0057】
《アミラーゼ》
α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、α-グルコシターゼ、グルコアミラーゼ;デンプンやグリコーゲン等のα-1,6結合を加水分解するグルコアミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、アミロ-1,6グルコシターゼ/4-αグルカノトランスフェラーゼ、オリゴ-1,6-グルコシターゼ等が好ましい。
アミラーゼを含有する酵素製剤(アミラーゼ製剤)は市販されている。液体洗浄剤を調製する際、アミラーゼは、通常、このアミラーゼ製剤を用いて配合される。
アミラーゼ製剤としては、例えば、ターマミルウルトラ(Termamyl Ultra)300L、デュラミル(Duramyl)16L、ステインザイム(Stainzyme)12L、プロモザイム(Promozyme)200L、アンプリファイプライム(Amplify Prime)100L、Medley(登録商標)Core210L(プロテアーゼとアミラーゼとの混合酵素。以上、商品名;ノボザイムズ社製);マキサミル(Maxamyl)(商品名、ジェネンコア社製)、プルラナーゼアマノ(商品名、天野製薬社製)、DB-250(商品名、Aerobacter aerogenes ATCC9621由来のプルラナーゼ、クルード又は結晶化品、生化学工業社製)等が挙げられる。
中でも、デュラミル16L、ステインザイム12L、ターマミルウルトラ300L、アンプリファイプライム100L(以上、商品名;ノボザイムズ社製)が好ましく、アンプリファイプライム100Lがより好ましい。
アミラーゼの含有量は、酵素製剤として、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0,05~3質量%であることが好ましく、0.1~1質量%であることがより好ましい。
【0058】
《リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ》
リパーゼ製剤としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Lipex 100L、Lipolase 100Lなどが挙げられる。
セルラーゼ製剤としては、例えば、ケアザイム4500L(商品名、ノボザイムズ社製)、ケアザイムプレミアム4500L(商品名、ノボザイムズ社製)、エンドラーゼ5000L(商品名、ノボザイムズ社製)、セルクリーン4500T(商品名、ノボザイムズ社製)、Medley Glow 200L(商品名、ノボザイムズ社製)などが挙げられる。
マンナナーゼ製剤としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Mannaway 4L等が挙げられる。
これらの酵素製剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
プロテアーゼ及びアミラーゼ以外の酵素の総含有量は、酵素製剤として、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~1.5質量%であることが好ましく、0.1~1.0質量%であることがより好ましい。
【0059】
<キレート剤(金属封鎖剤)>
本発明における液体洗浄剤組成物は、金属イオンにキレートできるキレート剤を含んでもよい。
キレート剤としては有機キレート剤が挙げられ、具体的には、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、グルコン酸、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、メチルグリシンジ酢酸3ナトリウム、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、エタンヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキシメチレンスルホン酸等の有機ホスホン酸誘導体またはそれらの塩などが挙げられる。
これらの中でも、クエン酸、メチルグリシンジ酢酸3ナトリウムが低温安定性の観点からより好ましい。キレート剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】
<抗菌剤>
本発明における液体洗浄剤組成物は抗菌剤を含んでもよい。抗菌剤を含有することで、抗菌性能を付与することができる。
抗菌剤としては、公知の第4級アンモニウム塩、フェノール誘導体又はジフェニル化合物が挙げられる。抗菌剤としては、例えば、塩化アルキル(炭素数12~16)トリメチルアンモニウム、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール(慣用名:トリクロサン)、5-クロロ-2-(4-クロロフェノキシ)フェノール(慣用名:ダイクロサン)等が挙げられる。
抗菌剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.05~5.0質量%が好ましい。抗菌剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0061】
<酸化防止剤>
本発明における液体洗浄剤組成物は酸化防止剤を含んでもよい。酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)(住友化学株式会社製、商品名:SUMILZER BHT-R)、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等挙げられる。これらの酸化防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~3質量%が好ましい。
【0062】
<その他の成分>
本発明における液体洗浄剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記成分以外に、必要に応じて、液体洗浄剤に通常用いられる成分(その他の成分)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば酵素安定化剤、ハイドロトロープ剤、pH調整剤、漂白剤、移染防止剤、蛍光増白剤、ソイルリリース剤、分散剤、消泡剤、構造粘性付与剤、シリコーン等の風合い向上剤、防腐剤、香料、パール剤、乳濁化剤、着色剤として汎用の色素又は顔料などが挙げられる。
【0063】
酵素安定化剤としては、例えばホウ酸、ホウ砂、ギ酸又はその塩、安息香酸、乳酸又はその塩、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等のカルシウム塩類などが挙げられる。
これらの酵素安定化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酵素安定化剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~2質量%が好ましく、0.1~1.5質量%がより好ましい。
【0064】
ハイドロトロープ剤としては、例えばパラトルエンスルホン酸又はその塩、クメンスルホン酸又はその塩、安息香酸塩、尿素などが挙げられる。
これらのハイドロトロープ剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ハイドロトロープ剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~15質量%が好ましい。
【0065】
pH調整剤としては、例えば無機酸(塩酸、硫酸、リン酸等)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等)、アンモニアなどが挙げられる。
これらのpH調整剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
漂白剤としては、過酸化水素などが挙げられる。
漂白剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~10質量%が好ましい。
【0067】
蛍光増白剤としては、例えば4,4’-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム塩等のビフェニル型の蛍光増白剤;4,4’-ビス((4-アミノ-6-モルホリノ-1,3,5-トリアジニル-2)アミノ)スチルベン-2,2’-ジスルホン酸塩等のスチルベン型の蛍光増白剤などが挙げられる。
これらの蛍光増白剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。蛍光増白剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~10質量%が好ましい。
【0068】
ソイルリリース剤(SR剤)としては、例えばアルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも一種の繰り返し単位、並びにオキシアルキレン単位を有するポリマーが挙げられる。このようなポリマーとしては、例えば国際公開第2017/142012号に記載されているものが挙げられる。ソイルリリース剤の市販品としては、例えばクラリアント社製の商品名「TexCare SRN -170」などが挙げられる。
【0069】
また、ソイルリリース剤としては、ポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体等の高分子が挙げられる。
ポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体としては、例えば国際公開第2017/142012号や特表2017-514967号公報に記載されているものが挙げられる。市販品としては、例えばBASF社製の商品名「Sokalan HP20」などが挙げられる。
【0070】
また、ソイルリリース剤としては、特開2019-90057号公報に記載されているカチオン化セルロースが挙げられる。
これらのソイルリリース剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ソイルリリース剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~20質量%が好ましい。
【0071】
分散剤としては、例えばポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、高分子ポリカルボン酸またはそれらの塩等が挙げられる。
これらの分散剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
分散剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~5質量%が好ましい。
【0072】
消泡剤としては、例えば脂肪酸エステルなどが挙げられる。脂肪酸エステルとして具体的には、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル(別称:イソオクチル酸2-エチルヘキシル、2H08)などが挙げられる。
これらの消泡剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
消泡剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~5質量%が好ましい。
【0073】
構造粘性付与剤は、液体洗浄剤組成物に構造粘性を付与するものである。液体洗浄剤組成物は、構造粘性付与剤を含有することで、機能性付与粒子の分散性を向上し、保存安定性をより高めやすい。
構造粘性付与剤としては、アクリル系ポリマー、分子量が100以上であり分子内にウレア基を有する化合物、トリグリセリドが挙げられる。
【0074】
アクリル系ポリマーとしては、具体的には、特開2017-222789号公報記載の(E)成分が挙げられる。市販品としては、架橋タイプのものとして、Lubrizol社製の「Carbopol Aqua30」、「Carbopol Aqua SF-1」、「Carbopol EZ-4」、DOW社製の「ACUSOL 830」等が挙げられる。非架橋タイプのものとして、Lubrizol社製の「Novethix HC200」等が挙げられる。アクリル系ポリマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0075】
分子量が100以上であり、分子内にウレア基を有する化合物としては、具体的には、特開2018-59096号公報記載の(B)成分が挙げられる。市販品としては、例えば、ビッグケミー社のBYK-410、BYK-411、BYK-420、BYK-425、BYK-428、BYK-7411ES、BYK-7420ET、BYK-D410等が挙げられる。分子量が100以上であり、分子内にウレア基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0076】
トリグリセリドとしては、具体的には、国際公開第2014/171476号公報記載の(B1)成分が挙げられる。市販品としては、日油株式会社製の「カスターワックスAフレーク」(商品名)等が挙げられる。トリグリセリドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0077】
構造粘性付与剤としては、アクリル系ポリマー、トリグリセリドが好ましく、アクリル系ポリマーがより好ましい。
構造粘性付与剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.1~5質量%が好ましく、0.5~2.5質量%がより好ましい。構造粘性付与剤の含有量が上記下限値以上であると、液体洗浄剤組成物の液体安定性を向上しやすい。構造粘性付与剤の含有量が上記上限値以下であると、増粘が抑制され、液体洗浄剤組成物の保存安定性をより良好に維持できる。
【0078】
風合い向上剤としては、例えばジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーンなどが挙げられる。これらのシリコーンとしては、例えばオイル型、オイルコンパウンド型、溶液型、エマルション型、自己乳化型等が挙げられる。
これらの風合い向上剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。風合い向上剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~20質量%が好ましい。
【0079】
防腐剤としては、例えばダウ・ケミカル社製の商品名「ケーソンCG」、ソー・ジャパン社製の商品名「アクチサイドMBS」、クラリアント社製の商品名「NIPACIDE BIT 20」などが挙げられる。
これらの防腐剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
防腐剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.001~1質量%が好ましい。
【0080】
香料としては、例えば1996年化学工業日報社刊、印藤元一著「合成香料 化学と商品知識」;1969年MONTCLAIR,N.J.刊、STEFFEN ARCTANDER著「Perfume and Flavor Chemicals」等に記載のものが挙げられる。より具体的には、合成香料、動物もしくは植物からの天然香料、天然香料及び/又は合成香料を含む調合香料や、例えば特開2002-146399号公報に記載の香料成分などが挙げられる。
香料は、高分子化合物で形成されたカプセルに内包されたカプセル香料として、配合されてもよい。
香料は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上を併用してもよい。
香料の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~2質量%が好ましい。
【0081】
乳濁剤としては、ポリスチレンエマルション、ポリ酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられ、通常、固形分30~50質量%のエマルションが好適に用いられる。具体例としては、ポリスチレンエマルション(サイデン化学社製:商品名サイビノールRPX-196 PE-3、固形分40質量%)等が挙げられる。
乳濁剤の配合量、すなわち、液体洗浄剤組成物100質量%中の乳濁剤の含有量は、0.01~0.5質量%が好ましい。
【0082】
着色剤としては、例えばキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、キノリン系色素、ピレン系色素などが挙げられる。なお、本明細書において、下記の「C.I.」は、カラーインデックスの略である。各色素の構造は「法定色素ハンドブック」(日本化粧品工業連絡会編)、染料便覧(有機合成化学協会編)に記載されている。
キノン系色素としては、例えばC.I.Solvent Blue 63(C.I.ソルベント ブルー 63、青色403号)、ミリケン社製のLiquitint Blue HP、Liquitint Blue BL,Liquitint Blue MC等の商品名が挙げられる。
トリフェニルメタン系色素としては、例えば緑色3号(C.I.42053)等が挙げられる。
キノリン系色素としては、例えば黄色203号(C.I.Acid Yellow 3)、ミリケン社製のLiquitint YELLOW SY等が挙げられる。
色素の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~100質量ppmが好ましい。
【0083】
<溶剤>
本発明における液体洗浄剤組成物は、溶剤として機能する水及び(C)成分に加えて、(C)成分以外の有機溶剤を、その他の溶剤として使用してもよい。
水の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して20質量%未満であることが好ましく、0質量%超10質量%以下がより好ましく、1~9質量%がさらに好ましく、3~9質量%が特に好ましく、5~8質量%が最も好ましい。
【0084】
水の含有量が上記好ましい上限値以下であることにより、容器を構成する水溶性フィルムが破れて充填が不可能になる事態を回避できる。水の含有量が上記好ましい下限値以上であることにより、容器に充填する際に必要な流動性を確保しやすい。
本発明における液体洗浄剤組成物は、水の含有量が通常の洗浄剤組成物より少なくとも、水の代替として(C)成分を用いることで粘度の著しい増大(ゲル化)を抑えるため流動性に優れる。
【0085】
(C)成分以外の有機溶剤としては、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、ベンジルアルコール等のアルカノール類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等の炭素数2~3のアルキレングリコール単位を有する(ポリ)アルキレングリコールの芳香族エーテル類、が挙げられる。
【0086】
本発明の液体洗浄剤組成物が、前記(C)成分以外の有機溶剤を含有する場合、(C)成分以外の有機溶剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.1~10質量%が好ましく、2~5質量%がより好ましい。(C)成分以外の有機溶剤の含有量が上記下限値以上であれば、液安定性のさらなる向上が図れる。
【0087】
<物性>
《pH》
液体洗浄剤組成物の25℃におけるpHは7.0~9.5が好ましく、7.5~9.0が好ましく、8.0~8.5がより好ましい。pHが上記範囲の下限値以上であれば良好な洗浄性能を発現する。上限値以下であれば良好な触感や外観を保ちやすい。
液体洗浄剤組成物のpHは、必要に応じて、pH調整剤を添加することにより調整できる。本明細書におけるpHは、測定対象を25℃とし、pHメーター(東亜ディーケーケー社製、製品名「HM-30G」)により測定される値である。
【0088】
《粘度》
液体洗浄剤組成物の25℃における粘度は10~1000mPa・sが好ましく、10~500mPa・sがより好ましく、10~300mPa・sがさらに好ましい。
液体洗浄剤組成物の粘度は、B型粘度計を用い、下記条件で測定した値である。
(測定条件)
・ローター:2番ローター。
・回転数:60rpm。
・測定温度:25℃。
・粘度の読み取り:ローターの回転開始30秒後。
【0089】
[製造方法]
液体洗浄剤物品は、例えば、平面視四角形の凹部が複数形成された金型を用い、以下のようにして製造される。
水溶性フィルムを、前記凹部の開口部を塞ぐように配置する。凹部内を減圧し、凹部に水溶性フィルムを引き込んで、上面が開口した収容部を形成する。1つの収容部の大きさは、20~30mL程度である。
次いで、液体洗浄剤組成物を、前記収容部に充填する。その後、濡らした別の水溶性フィルムを、収容部の開口部を塞ぐように配置して封じる。その後、個々に切り出すことによって、液体洗浄剤組成物が水溶性フィルム製の容器に充填された液体洗浄剤包装体を得ることができる。
【0090】
液体洗浄剤組成物は、従来公知の液体洗浄剤組成物の製造方法に準じて製造することができる。例えば、水の一部に、pH調整剤を除く各成分を加えて混合した後、必要に応じてpH調整剤を添加してpHを調整した後、水の残部を加えて全体量を100質量%とすることにより製造できる。
【0091】
[使用方法]
本発明の液体洗浄剤物品は、衣料用洗浄剤として用いた場合、従来のように洗剤を計り取る必要がなく、1個の液体洗浄剤物品を洗濯槽に投入するだけでよい。そのため、簡便性、利便性が高い。
【実施例0092】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0093】
[使用原料]
本実施例において使用した原料は、下記の通りである。
【0094】
<水溶性フィルム>
・ポリビニルアルコール製水溶性フィルム、商品名「M8312」、Monosol LLC社製。
・ポリビニルアルコール製水溶性フィルム、商品名「M8775」、Monosol LLC社製。
【0095】
<(A)成分:界面活性剤>
・AE(7EO):天然アルコールに7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。上記一般式(a2)中、R13=炭素数12のアルキル基及び炭素数14のアルキル基、v=7、w=0、x=0。下記合成方法により合成されたもの。
【0096】
・MEE:脂肪酸メチルエステルエトキシレート(脂肪酸の炭素数12~14、EOの平均付加モル数15)、上記一般式(a1)中、R11=炭素数11のアルキル基及び炭素数13のアルキル基、R12=メチル基、s=15、t=0、u=0。下記合成方法により合成されたもの。
【0097】
・LMAO:炭素数12及び14の天然アルコール(第1級アルコール)に15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(ポリオキシエチレンアルキルエーテル(LMAO))。下記合成方法により合成されたもの。
・ソフタノール70:炭素数12~14の第2級アルコールに、7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(株式会社日本触媒製、商品名「ソフタノール70」)
【0098】
・AES(2EO):ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩(EOの平均付加モル数2)。商品名「ASCO 24-2/70」、AK Chemtech社製。
・LAS:炭素数10~14のアルキル基を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名「ライポン(登録商標)LH-200」。
・ヤシ脂肪酸:商品名「椰子脂肪酸」、P.T.Musim Mas社製。
【0099】
《MEEの合成方法》
特開2000-144179号公報に記載の合成方法に準じ、以下のようにして合成した。
組成が2.5MgO・Al2O3・wH2Oである水酸化アルミナ・マグネシウム(、協和化学工業株式会社製、商品名「キョーワード300」)を600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して、焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒を得た。焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5N水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル280gと、ミリスチン酸メチルエステル70gとを4Lオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、温度を180℃、圧力を0.3MPaに維持しつつ、エチレンオキシド1052gを導入し、撹拌しながら反応させた。
得られた反応液を80℃に冷却し、水159gと、濾過助剤として活性白土及び珪藻土をそれぞれ5gとを添加し混合した後、触媒を濾別してMEEを得た。
【0100】
・LMAO:炭素数12及び14の天然アルコール(第1級アルコール)に15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(ポリオキシエチレンアルキルエーテル(LMAO))。下記合成方法により合成されたもの。
【0101】
《LMAOの合成方法》
プロクター・アンド・ギャンブル社製のCO-1214(商品名)861.2gと、30質量%NaOH水溶液2.0gとを耐圧型反応容器内に仕込み、該反応容器内を窒素置換した。次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水した後、温度を160℃まで昇温した。次いで、反応液を撹拌しながら、エチレンオキシド(ガス状)760.6gを反応液中に徐々に加えた。この時、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調節しながら、エチレンオキシドを吹き込み管で加えた。
エチレンオキシドの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応のエチレンオキシドを留去した。
次に、温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p-トルエンスルホン酸を加えて中和し、LMAOを得た。
【0102】
《AE(7EO)の合成方法》
エチレンオキシド(ガス状)の使用量を760.6gから355.0gに変更した以外は、AE(15EO)と同様にしてAE(7EO)を得た。
【0103】
<(B)成分:炭酸塩>
・炭酸ナトリウム:商品名「ソーダ灰」、住友商事ケミカル株式会社製。
・炭酸水素ナトリウム:商品名「Sodium Bicarbonate」、OCI社製。
【0104】
<(C)成分:可塑剤>
・グリセリン:商品名「グリセリン」、LG Houshold & Healthcare。
・プロピレングリコール:商品名「Propylene glycol Industry PG-I」、SKC製。
・ソルビトール:商品名「D-Sorbitol」、PAIK KWANG Industrial社製。
【0105】
<酵素>
・酵素1:プロテアーゼ/アミラーゼ製剤、商品名「Medley Core 210L」ノボザイムズ社製。
・酵素2:セルラーゼ製剤、商品名「Medley Glow 200L」ノボザイムズ社製。
【0106】
<キレート剤(金属封鎖剤)>
・クエン酸:商品名「Citric Acid」、Jthus社製。
<酸化防止剤>
・亜硫酸ナトリウム:商品名「Sodium Sulfite, Anhydrous」、Poohung Photo Chemical社製。
【0107】
<香料>
・香料1:TEA Tree Floral Fragrance、商品名「TEA TREE FLORAL」、symrise社製。
・香料2:シトロネラ油、商品名「Citronella java oil」、ETERIS Enterprise PTE社製。
・香料3:シンナムアルデヒド、商品名「Cinnamic Aldehyde」、Shanghai Pu-jie Fragrance社製。
・香料4:特開2002-146399号公報の表11~18に記載の香料組成物A。
【0108】
<色素>
・色素1:黄色染料、商品名「LIQUITINT YELLOW SY」、Milliken社製。
・色素2:青色染料、商品名「LIQUITINT BLUE HP」、Milliken社製。
・色素3:緑色染料、商品名「LIQUITINT YELLOW SY」と商品名「LIQUITINT GLACIER BLUE MC」の混合色素(混合比4:1)、Milliken社製。
【0109】
<その他>
・パラトルエンスルホン酸:ハイドロトロープ剤(協和発酵キリン社製、商品名「PTS酸」)
・乳酸ナトリウム:酵素安定化剤(武蔵野化学研究所社製、商品名「乳酸ソーダ60E」)。
・MEA(pH調整剤):商品名「モノエタノールアミン」、MIWON Chemical社製。
・抗菌剤:5-クロロ-2-(4-クロロフェノキシ)フェノール(慣用名:ダイクロサン)(BASF社製、商品名「Tinosan HP100」)。
・SR剤:HP20(ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド付加体(BASF株式会社製、商品名「HP20」))又はSRN-170(ポリエチレングリコールとジメチルテレフタラートの重縮合体(クラリアント株式会社製、商品名「TexCare SRN-170C」)。
・水:商品名「精製水」、関東化学社製。
【0110】
[実施例1~21、比較例1~3]
<洗浄剤組成物の調製>
500mLのビーカーに、表1~4の配合量に従い、水の一部と他の成分全体を投入し、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.製)で充分に攪拌した。
次いで、25℃でのpHが7.0になるように、モノエタノールアミンを適量添加した後、炭酸ナトリウムを添加し、その後のpH調整はせず、全体量が100質量%になるように水を加えて、液体洗浄剤組成物を得た。
【0111】
<液体洗浄剤物品1の製造>
表1~4に記載した水溶性フィルム原反を、55mm×90mmのフィルム片としたものを2枚用意し、それらを重ね合わせて3辺をヒートシールし袋状の収容部を形成した。
次いで、各例の液体洗浄剤組成物の30gを、封をしていない最後の一辺から前記収容部に充填した。その後、最後の1辺の封をして液体洗浄剤物品1を得た。
【0112】
<液体洗浄剤物品2の製造>
金型としては、平面視四角形の凹部(縦45mm、横45mm、深さ12mm)が複数形成された金型を用いた。
表1~4に記載した水溶性フィルム原反を、金型の凹部の開口部を塞ぐように配置し、凹部内を減圧し、凹部に水溶性フィルムを引き込んで、上面が開口した収容部を形成した。
次いで、各例の液体洗浄剤組成物の20gを、前記収容部に充填した。その後、濡らした別の水溶性フィルムを、収容部の開口部を塞ぐように配置して封じた。
その後、個々に切り出すことによって、液体洗浄剤組成物が水溶性フィルム製の容器に充填された各例の液体洗浄剤物品2を得た。
【0113】
[評価]
<洗浄力評価>
全自動洗濯機(東芝社製、製品名:AW-8V2(W))に、15℃の水道水60Lを入れた。各例の液体洗浄剤物品2(20g)を入れ、人工汚垢布5枚を1枚の肌シャツ(BVD製)に縫い合わせた肌シャツ6枚と、浴比15倍となるよう肌シャツを入れ、汚垢布を縫い付けた肌シャツは洗濯機の底、下部、中間部、上部に位置するように被洗物を洗濯機に入れた。前記全自動洗濯機の標準コースにより、洗浄10分間、すすぎ1回、脱水3分間を順次行う洗浄操作1回行った後、風乾した。
【0114】
洗浄前後の人工汚垢布について、日本電色社製の色差計(製品名:SE200型)で測定し、洗浄率(%)を以下の式で算出し、30枚(5×6)枚の平均を平均洗浄率(%)とした。
洗浄率(%)=(汚垢布のK/S-洗浄布のK/S)/(汚染布のK/S-未汚染布のK/S)×100
【0115】
上記数式中、汚染布とは洗浄前の上記の各汚垢布を意味し、洗浄布とは上記の各汚垢布を洗浄した後の布を意味し、未汚垢布とは、汚れを付着させていない元の白布(原布)を意味する。また、Kは吸光係数、Sは散乱係数を表す。
平均洗浄率(%)に基づいて、下記評価基準で各汚れに対する洗浄力を評価し、◎又は○であれば合格とした。各例の評価結果を表1~4に示す。
【0116】
《評価基準》
◎:平均洗浄率60%以上。
○:平均洗浄率55%以上60%未満。
△:平均洗浄率50%以上55%未満。
×:平均洗浄率50%未満。
【0117】
<フィルムの触感(脆化)評価>
各例の液体洗浄剤物品2を、40℃、20%RHの条件下で1ヶ月保存した後の外観及び触感について、パネル10人が、下記の採点基準に従って官能評価した。10人の採点の平均点に基づき、下記評価基準で触感(脆化)を評価し、○又は△であれば合格とした。各例の評価結果を表1~4に示す。
【0118】
《採点基準》
1点:外観上白濁し、触った際にザラツキを感じる。又は、外観上見窄らしく、触った際に柔らかく脆弱。
2点:外観上白濁はないが、触った際にややザラツキを感じる。
3点:外観上白濁も触った際のザラツキを感じない。
【0119】
《評価基準》
〇:採点の平均点が2.5点以上。
△:採点の平均点が2.0点~2.5点未満。
×:採点の平均点が2.0点未満。
【0120】
<液体洗浄剤物品としての外観評価>
各例の液体洗浄剤物品2を、40℃、20%RHの条件下で1ヶ月保存した後の物品の中身の外観について、パネル1人が、下記の評価基準に従って官能評価し、○であれば合格とした。各例の評価結果を表1~4に示す。
【0121】
《評価基準》
〇:外観上、白濁がない。
×:外観上、白濁が見られる。
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
表1~3に示すように実施例1~21では、いずれも良好な洗浄力が得られた。また、保存後の外観や触感も良好であった。
これに対して、表4に示すように、(B)成分を入れない比較例1は洗浄力に劣っていた。また、(B)成分を過剰に入れた比較例2は、保存後の外観や触感に劣っていた。