(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092983
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】溶接トーチおよび溶接装置
(51)【国際特許分類】
B23K 9/29 20060101AFI20230627BHJP
B23K 9/32 20060101ALI20230627BHJP
B23K 31/00 20060101ALI20230627BHJP
G08B 21/12 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B23K9/29 A
B23K9/32 Z
B23K31/00 N
G08B21/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208331
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 主税
【テーマコード(参考)】
4E001
5C086
【Fターム(参考)】
4E001LD13
5C086AA02
5C086BA30
5C086CA01
5C086CA08
5C086CA11
5C086CB11
5C086DA40
5C086FA02
5C086FA11
(57)【要約】
【課題】溶接作業空間内の酸欠リスクを感知する。
【解決手段】溶接トーチ10は、ガスセンサ120と、信号伝送部130とを備える。ガスセンサ120は、溶接トーチ10に設けられ、溶接トーチ10の周囲における酸欠リスクを感知可能である。信号伝送部130は、ガスセンサ120からの出力信号に基づいて対応動作させるために設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接トーチであって、
前記溶接トーチに設けられ、前記溶接トーチの周囲における酸欠リスクを感知可能なガスセンサと、
前記ガスセンサからの出力信号に基づいて対応動作させるための信号伝送部とを備える、溶接トーチ。
【請求項2】
ハンドルをさらに備え、
前記ガスセンサは、前記ハンドルに設けられている、請求項1に記載の溶接トーチ。
【請求項3】
前記ガスセンサは、前記溶接トーチの電気系統から給電されている、請求項1または請求項2に記載の溶接トーチ。
【請求項4】
溶接装置であって、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の溶接トーチと、第1記録部と、第1報知部とを備え、
前記対応動作として、前記第1記録部が前記酸欠リスクに関する状態を記録しつつ前記第1報知部が前記酸欠リスクを報知し、および/または前記溶接装置の動作が停止する、溶接装置。
【請求項5】
第2記録部および第2報知部を含む外部装置へ前記酸欠リスクに関する状態を送信する通信部をさらに備え、
前記対応動作として、前記第2記録部が前記酸欠リスクに関する状態を記録しつつ前記第2報知部が前記酸欠リスクを報知する、請求項4に記載の溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接トーチおよび溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスシールドアーク溶接における溶接監視方法を開示した先行技術文献として、特開昭51-078753号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載されたガスシールドアーク溶接における溶接監視方法においては、溶接部近辺の溶接雰囲気ガスの存在する位置に捕集ノズルを設けて溶接雰囲気ガスを採集する。窒素酸化物連続検出法によって溶接雰囲気ガスに含まれる窒素酸化物濃度が検出され、窒素酸化物濃度に対応する電気信号に変換される。溶接時の窒素酸化物濃度の変化が表示、警報または溶接停止などの報知方法によって監視される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
閉鎖された空間において溶接作業をする場合、作業空間内が、酸欠リスクが存在する状態になる可能性がある。特許文献1に記載されたガスシールドアーク溶接における溶接監視方法は、溶接部近辺の溶接雰囲気ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を検出して、シールドガスのシールド効果の低下を検出するものであり、溶接作業空間内の酸欠リスクを感知するものではない。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、溶接作業空間内の酸欠リスクを感知することができる、溶接トーチおよび溶接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく溶接トーチは、ガスセンサと、信号伝送部とを備える。ガスセンサは、溶接トーチに設けられ、溶接トーチの周囲における酸欠リスクを感知可能である。信号伝送部は、ガスセンサからの出力信号に基づいて対応動作させるために設けられる。
【0007】
これにより、溶接作業空間内の溶接トーチの周囲における酸欠リスクを感知することができる。
【0008】
本発明の一形態における溶接トーチは、ハンドルをさらに備える。ガスセンサは、ハンドルに設けられている。
【0009】
これにより、溶接作業者に近い位置での酸欠リスクを感知することができる。
【0010】
本発明の一形態においては、ガスセンサは、溶接トーチの電気系統から給電されている。
【0011】
これにより、ガスセンサへの給電経路を別途設ける必要がない。
【0012】
本発明に基づく溶接装置は、上記溶接トーチと、第1記録部と、第1報知部とを備える。対応動作として、第1記録部が酸欠リスクに関する状態を記録しつつ第1報知部が酸欠リスクを報知し、および/または溶接装置の動作が停止する。
【0013】
これにより、酸欠リスクが感知された際に、酸欠リスクに関する状態を環境記録として残し、酸欠リスクを溶接作業者に知らせ、かつ溶接作業を強制停止することができる。
【0014】
本発明に基づく溶接装置は、通信部をさらに備える。通信部は、第2記録部および第2報知部を含む外部装置へ酸欠リスクに関する状態を送信する。対応動作として、第2記録部が酸欠リスクに関する状態を記録しつつ第2報知部が酸欠リスクを報知する。
【0015】
これにより、酸欠リスクが感知された際に、溶接作業場所から離れた位置に配置された外部装置に対応動作をさせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、溶接作業空間内の酸欠リスクを感知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る溶接装置の構成を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係る溶接装置のガスセンサにより感知された酸欠リスクの出力信号に関わる電気的接続を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係る溶接トーチの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態に係る溶接トーチおよび溶接装置について図面を参照して説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0019】
本明細書において、「酸欠リスクが存在する状態」とは、空気中の酸素が消費されて酸素濃度が低下した状態、空気中の酸素以外の気体の割合が増加して空気中に存在する酸素の割合が低下した状態、または、一酸化炭素などの酸欠を引き起こしうるガス成分濃度が増加した状態をいう。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態に係る溶接装置の構成を示す概略図である。
図2は、本発明の一実施の形態に係る溶接装置のガスセンサにより感知された酸欠リスクの出力信号に関わる電気的接続を示すブロック図である。なお、
図2における各構成の接続関係を示す実線は、電力を供給するための給電配線およびガスセンサの出力信号を送受信するための信号配線のうち、信号配線の接続系統を示している。
【0021】
まず、本発明の一実施の形態に係る溶接装置の構造について説明する。
図1および
図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る溶接装置1は、溶接トーチ10と、ワイヤ供給部20と、電源部30と、第1記録部40と、通信部50とを備える。
図1に示すように、本実施の形態に係る溶接装置1は、ガスボンベ4と、トーチケーブル11と、電力伝送線21と、信号線22と、ガス配管23とをさらに備える。
【0022】
溶接トーチ10は、アークを発生させて被加工物2を溶接する部分である。溶接トーチ10は、溶接装置1の一端に配置されている。溶接トーチ10は、溶接トーチ10の先端から突出する図示しないワイヤの先端と被加工物2との間にアークを発生させる。溶接トーチ10は、シールドガスを噴出しつつ、ワイヤおよび被加工物2をアークの熱によって溶融させることにより溶接する。
【0023】
シールドガスは、ガスボンベ4から供給される。具体的には、ガスボンベ4のシールドガスは、電源部30およびワイヤ供給部20間に設けられているガス配管23からトーチケーブル11内を通じて溶接トーチ10の先端に供給される。
【0024】
ワイヤ供給部20は、溶接トーチ10に図示しないワイヤを供給する。ワイヤ供給部20から溶接トーチ10にワイヤが供給されることによって、溶接トーチ10の先端に配置されている図示しないチップ部からワイヤが突出する。
【0025】
トーチケーブル11は、溶接トーチ10とワイヤ供給部20とを接続するケーブルである。トーチケーブル11は、ワイヤを供給するための配管、シールドガスを供給するための配管、溶接トーチ10への給電配線および電源部30と信号を送受信するための信号配線を含んでいる。本実施の形態におけるトーチケーブル11の電気系統ESは、上記の給電配線および信号配線を含んでいる。
【0026】
電源部30は、溶接するための電力をワイヤ供給部20を介して溶接トーチ10に供給する。電源部30は、電源ケーブルによって1次側電源3に接続され、溶接トーチ10に給電可能である。
【0027】
電源部30の電力を供給する出力端子は、電力伝送線21によりワイヤ供給部20および被加工物2に接続されている。具体的には、電源部30の一方の出力端子は、電力伝送線21aを介してワイヤ供給部20に接続されている。電源部30の他方の出力端子は、電力伝送線21bを介して被加工物2に接続されている。信号線22は、ワイヤ供給部20と電源部30とを接続して電気信号を送受信するために設けられている。
【0028】
図2に示すように、電源部30は、制御部31を含む。制御部31は、電源部30の出力、シールドガスの流量またはワイヤの送り速度などを制御する。
【0029】
第1記録部40は、後述するガスセンサ120によって感知された酸欠リスクに関する状態を記録する。第1記録部40は、電源部30における制御部31と接続されている。なお、第1記録部40は、無線機能を有し、無線によって制御部31と通信可能に構成されていてもよい。また、第1記録部40は、溶接トーチ10、ワイヤ供給部20および電源部30のいずれかに設けられていてもよい。さらに、後述する通信部50を介して、ネットワーク上に設けられていてもよい。
【0030】
通信部50は、電気的に接続された外部装置5と通信可能である。通信部50は、たとえば、ルータである。通信部50は、LANケーブルによって外部装置5と接続されている。これにより、溶接装置1は、通信部50を介して外部装置5と通信可能に接続されている。なお、通信部50は、無線機能を有し、無線によって外部装置5と通信可能に構成されていてもよい。
【0031】
外部装置5は、たとえば、サーバである。外部装置5は、第2記録部51と、第2報知部52とを含む。なお、外部装置5は、サーバに限定されず、他の溶接装置であってもよい。
【0032】
第2記録部51は、後述するガスセンサ120によって感知された酸欠リスクに関する状態を記録する。第2記録部51は、通信部50と接続されている。なお、第2記録部51は、無線機能を有し、無線によって通信部50と通信可能に構成されていてもよい。第2報知部52は、後述するガスセンサ120の出力信号に基づいて酸欠リスクを報知する。第2報知部52は、たとえば、警告音を発するスピーカである。
【0033】
次に、本発明の一実施の形態に係る溶接トーチの詳細な構成について説明する。
図3は、本発明の一実施の形態に係る溶接トーチの構成を示す斜視図である。
【0034】
図2および
図3に示すように、溶接トーチ10は、ノズル100と、ハンドル110と、ガスセンサ120と、信号伝送部130と、制御基板140と、第1報知部150とを含む。
【0035】
図3に示すように、ノズル100は、先端からワイヤが突出し、ワイヤ周囲にシールドガスが噴射される部分である。シールドガスは、たとえば、アルゴンガスである。なお、シールドガスは、アルゴンガスに限定されず、炭酸ガスまたはヘリウムガスなどの他の不活性ガスであってもよい。
【0036】
ハンドル110は、溶接作業において溶接トーチ10を操作するための部分である。ハンドル110は、ノズル100の後端側に配置されている。ハンドル110は、把持部111と、ボタン112とを有する。
【0037】
把持部111は、溶接トーチ10を操作するために把持される部分である。ボタン112は、把持部111の先端側に位置している。ボタン112が押下されることにより、ノズル100からシールドガスが噴射され、ワイヤ供給部20からノズル100へ給電されつつワイヤが供給される。
【0038】
ガスセンサ120は、溶接トーチ10に設けられている。本実施の形態におけるガスセンサ120は、ハンドル110に設けられている。具体的には、ガスセンサ120は、ハンドル110の後端部分に設けられている。なお、ガスセンサ120は、ハンドル110のノズル100側に設けられていてもよい。ガスセンサ120は、作業者がハンドル110を把持する際に、ガスセンサ120を手で塞ぐことがなく、かつ、作業者寄りの位置に設けられることが望ましい。また、ガスセンサ120は、ハンドル110に配置される構成に限定されず、ハンドル110から見てノズル100とは反対側に位置するトーチケーブル11上に配置されていてもよい。
【0039】
ガスセンサ120は、溶接トーチ10の周囲における酸欠リスクを感知可能である。本実施の形態におけるガスセンサ120は、たとえば、酸素濃度の低下を検出する。本実施の形態におけるガスセンサ120の酸素濃度を検出する方式は、ガルバニ電池式、ジルコニア式、磁気式またはレーザ分光式などを用いることができる。このように、ガスセンサ120の酸素濃度を検出する方式は、限定されない。
【0040】
また、ガスセンサ120は、たとえば、二酸化炭素またはアルゴンなどの他の成分濃度を検出し、検出された成分濃度の増加量から酸素濃度の低下量を算出してもよい。さらに、ガスセンサ120は、たとえば、一酸化炭素などの酸欠を引き起こしうるガス成分濃度の増加を検出してもよい。ガスセンサ120は、溶接装置1が動作している間のみ動作していてもよいし、溶接装置1の動作状態に関係なく、継続して動作してもよい。
【0041】
ガスセンサ120は、溶接トーチ10の電気系統ESから給電されている。本実施の形態におけるガスセンサ120は、1次側電源3から電源部30、ワイヤ供給部20およびトーチケーブル11を通じて溶接トーチ10へ給電された電力が、溶接トーチ10内に配置された給電配線により制御基板140を介して給電される。これにより、ガスセンサ120に電力を供給するための電源を別途配置する必要がない。なお、ガスセンサ120の酸素濃度を検出する方式がガルバニ電池式の場合、センサ内部の電気化学反応が自発的に起こることにより、ガスセンサ120の駆動用の電力を供給する必要はない。
【0042】
図2に示すように、信号伝送部130は、ガスセンサ120から制御基板140までの信号を伝送する部分である。信号伝送部130は、ガスセンサ120からの出力信号に基づいて溶接トーチ10に対応動作させるために設けられている。なお、信号伝送部130におけるガスセンサ120の出力信号を制御基板140へ送信する構成は、有線であってもよいし、無線であってもよい。有線で送信する場合は、信号伝送部130は信号線であり、無線で送信する場合は、信号伝送部130は無線通信部である。
【0043】
制御基板140は、ガスセンサ120の出力信号を受信する。制御基板140は、ガスセンサ120からの出力信号に対応して、制御基板140と電気的に接続された第1報知部150に信号を出力する。なお、制御基板140は、溶接トーチ10に配置されているが、この構成に限定されず、電源部30に配置されていてもよい。この場合は、制御基板140は、制御部31の一部を構成する。
【0044】
図3に示すように、第1報知部150は、ハンドル110のノズル100側に設けられている。第1報知部150は、ガスセンサ120の出力信号に基づいて制御基板140から出力された信号によって酸欠リスクを報知する。第1報知部150は、たとえば、警告音を発するスピーカである。なお、第1報知部150は、溶接トーチ10、ワイヤ供給部20および電源部30のいずれに設けられていてもよいし、独立して設けられていてもよい。また、通信部50を介して、ネットワーク上に設けられていてもよい。
【0045】
なお、溶接トーチ10には、表示部が設けられていてもよい。表示部は、ガスセンサ120の出力信号に基づいて制御基板140から出力された信号によって酸欠リスクを報知する表示をする。表示部は、たとえば、画面にガスセンサ120により感知された酸欠リスクを表示する。表示部は、画面表示に限定されず、警告灯を点灯させるなどの他の方法によって酸欠リスクを報知する表示をしてもよい。
【0046】
以下、本発明の一実施の形態に係る溶接トーチに設けられたガスセンサの動作およびガスセンサからの出力信号に基づく対応動作について説明する。
【0047】
ガスセンサ120は、溶接作業空間内の溶接トーチ10の周囲における酸欠リスクを感知する。本実施の形態におけるガスセンサ120は、溶接作業空間内の溶接トーチ10の周囲における酸素濃度の低下を検出する。
【0048】
本実施の形態に係る溶接トーチ10の対応動作として、第1記録部40が酸欠リスクに関する状態を記録しつつ第1報知部150が酸欠リスクを報知し、および/または溶接装置1の動作が停止する。具体的には、ガスセンサ120によって閾値を超えた酸素濃度の低下が検出された場合、第1記録部40が電源部30における制御部31から出力信号を受けて酸素濃度を記録する。第1報知部150は、酸素濃度が閾値を超えて低下したことを示す警告音を報知する。さらに、当該検出信号を受信した電源部30の制御部31により、電源部30の出力を停止し、ワイヤ供給部20によるワイヤの供給を停止し、およびシールドガスの供給を停止することによって、溶接装置1の動作が停止する。
【0049】
通信部50が、信号伝送部130によって伝送された上記検出信号を外部装置5に送信することにより、外部装置5に対応動作させてもよい。この場合、上記検出信号を受信した外部装置5の処理信号に基づいて、第2記録部51が酸欠リスクに関する状態を記録し、第2報知部52から酸欠リスクが報知される。また、溶接装置1をネットワークを通じて遠隔監視している場合には、当該遠隔監視者に対しても酸欠リスクの報知が行なわれてもよい。
【0050】
なお、ガスセンサ120によって取得された酸欠リスクに関する酸素濃度などの情報は、蓄積されてデータベース化されていてもよい。これにより、溶接作業空間内の、作業環境記録を残すことができる。
【0051】
本発明の一実施の形態に係る溶接トーチ10においては、溶接トーチ10にガスセンサ120を設けることによって、溶接作業空間内の溶接トーチ10の周囲における酸欠リスクを感知することができる。
【0052】
本発明の一実施の形態に係る溶接トーチ10においては、ハンドル110にガスセンサ120を設けることによって、溶接作業者に近い位置での酸欠リスクを感知することができる。
【0053】
本発明の一実施の形態に係る溶接トーチ10においては、溶接トーチ10の電気系統ESからガスセンサ120に給電されることによって、ガスセンサ120への給電経路を別途設ける必要がない。
【0054】
本発明の一実施の形態に係る溶接装置1においては、第1記録部40および第1報知部150を備えることによって、対応動作として、酸欠リスクが感知された際に、酸欠リスクに関する状態を環境記録として残し、酸欠リスクを溶接作業者に知らせ、かつ溶接作業を強制停止することができる。
【0055】
本発明の一実施の形態に係る溶接装置1においては、外部装置5に酸欠リスクに関する状態を送信する通信部50を備えることによって、酸欠リスクが感知された際に、溶接作業場所から離れた位置に配置された外部装置5に対応動作をさせることができる。
【0056】
なお、本発明の一実施の形態に係る溶接トーチ10および溶接装置1においては、MIG(Metal Inert Gas)溶接について例示したが、本発明の適用はMIG溶接用の溶接装置に限定されない。本発明は、MAG(Metal Active Gas)溶接またはTIG(Tungsten Inert Gas)溶接などの他のアーク溶接においても適用することができる。
【0057】
また、本発明の一実施の形態に係る溶接トーチ10および溶接装置1においては、作業者がハンドル110を把持して溶接トーチ10を操作する態様について例示したが、本発明の適用は作業者が溶接トーチ10を操作する態様に限定されず、溶接作業空間内に作業者が存在しつつ溶接トーチ10の操作が自動化された態様においても適用することができる。
【0058】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではない。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。上述した実施の形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 溶接装置、5 外部装置、10 溶接トーチ、40 第1記録部、50 通信部、51 第2記録部、52 第2報知部、110 ハンドル、120 ガスセンサ、130 信号伝送部、150 第1報知部、ES 電気系統。