(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093020
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】ラベル発行装置およびラベル発行装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/46 20060101AFI20230627BHJP
B65C 9/46 20060101ALI20230627BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B41J29/46 Z
B65C9/46
B41J21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208398
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】上杉 誠
(72)【発明者】
【氏名】細谷 暢
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
3E095
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ04
2C061AS06
2C061AS08
2C061HK02
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
2C061HV01
2C061HV21
2C061HV32
2C187AC05
2C187AD05
2C187AE01
2C187AG08
2C187BF49
2C187BG40
2C187BG42
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2C187HA14
2C187HA28
3E095AA19
3E095CA02
3E095CA03
3E095DA63
3E095DA69
3E095DA76
3E095EA02
3E095EA24
3E095EA34
3E095FA03
3E095FA16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】設定ミスによるラベル印字内容の誤りを防ぐことができるラベル発行装置を得る。
【解決手段】入力された商品情報に基づく項目をラベル用紙に印字する印字手段と、商品情報に特定の情報が含まれている場合に、当該情報に対応する所定の項目が印字される内容に含まれていないことに基づいて、印字手段による印字が実行される前にエラー報知を行う報知手段と、を備えるラベル発行装置。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された商品情報に基づく項目をラベル用紙に印字する印字手段と、
商品情報に特定の情報が含まれている場合に、当該情報に対応する所定の項目が印字される内容に含まれていないことに基づいて、前記印字手段による印字が実行される前にエラー報知を行う報知手段と、
を備えるラベル発行装置。
【請求項2】
前記報知手段は、商品情報に特定の文字列が含まれている場合に、当該文字列に対応する所定の項目が印字される内容に含まれていないことに基づいて、前記印字手段による印字が実行される前にエラー報知を行う、
請求項1に記載のラベル発行装置。
【請求項3】
前記報知手段は、商品情報に所定のトレーサビリティ対象ワードが含まれている場合に、個体識別番号またはロット番号が印字される内容に含まれていないことに基づいて前記エラー報知を行う
請求項1又は2に記載のラベル発行装置。
【請求項4】
前記報知手段は、商品情報に所定のトレーサビリティ除外ワードが含まれている場合に、前記エラー報知を行わない
請求項3に記載のラベル発行装置。
【請求項5】
前記報知手段は、商品情報に所定の原材料名が含まれている場合に、アレルギーに関する項目が印字される内容に含まれていないことに基づいて前記エラー報知を行う、
請求項1から4のいずれか一項に記載のラベル発行装置。
【請求項6】
入力された商品情報に基づく項目をラベル用紙に印字する印字命令と、
商品情報に特定の情報が含まれている場合に、当該情報に対応する所定の項目が印字される内容に含まれていないことに基づいて、前記印字命令による印字が実行される前にエラー報知を行う報知命令と、
をコンピュータに実行させる、ラベル発行装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル発行装置およびラベル発行装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品ラベルにおいては、商品の種類に応じて印字すべき項目が異なっている場合がある。例えば、国産牛等のトレーサビリティ対象商品は、牛の個体識別番号を表示する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商品に関する情報は商品マスタから呼び出される一方、ラベルに印字する項目は商品マスタとは別の操作により設定される場合がある。この場合、印字すべき項目が適切に設定されていないと、たとえ商品マスタに当該項目の情報が登録されていても印字されず、誤ったラベルを発行してしまうおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、設定ミスによるラベル印字内容の誤りを防ぐことができるラベル発行装置を得ることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係るラベル発行装置は、入力された商品情報に基づく項目をラベル用紙に印字する印字手段と、商品情報に特定の情報が含まれている場合に、当該情報に対応する所定の項目が印字される内容に含まれていないことに基づいて、前記印字手段による印字が実行される前にエラー報知を行う報知手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係るラベル発行装置の概略斜視図である。
【
図2】上記ラベル発行装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】上記ラベル発行装置により印刷されるラベルの1例を示す模式図である。
【
図4】表示装置に表示される画面の1例を示す図である。
【
図5】上記ラベル発行装置が印刷データの適否を判定する処理フローの1例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係るラベル発行装置について、図を参照して説明する。
●ラベル発行装置の概要
図1に示されるように、ラベル発行装置1は、少なくともラベルの印刷を行う装置である。ラベルは、例えば商品に貼付される。商品とは、例えばプラスチックフィルム又はプラスチックケースに封入された食品、その他、ラベルが貼付される適宜の品物である。なお、本発明の技術的思想は、
図1および以下に説明する、ラベルの発行、搬送、貼付の機能を有するラベル発行装置に限られず、ラベル発行機能のみを有する装置であってもよい。
【0009】
図1に示すように、ラベル発行装置1は、主として、搬送台101、表示・操作部106、上側ラベル印字貼付部2aおよび下側ラベル印字貼付部2bを備える。
【0010】
搬送台101は、商品を搬送するコンベア等の搬送機構を備える台である。搬送台101の側部にアーム120が起立され、このアーム120にブラケットを介して上側ラベル印字貼付部2aが搬送機構上方に配置されている。
【0011】
表示・操作部106は、作業者がラベル発行装置1に情報を入出力する装置であり、例えばラベル100L(
図3参照)に印刷する印刷情報を受け付ける。表示・操作部106は、搬送台101の側方に起立するアーム120に支持されている。表示・操作部106は、表示装置106aの下方に入力用の本体キー106bが配設されて構成されているが、表示装置および入力装置が一体化してなるタッチパネルディスプレイであってもよい。表示装置106aは、後述する報知部によりエラーを報知する手段の1例である。
【0012】
上側ラベル印字貼付部2aは、ラベル100Lを印字し、印字したラベル100Lを搬送台101上の商品の上面に貼付する機構である。また、下側ラベル印字貼付部2bは、搬送台101の下方に収容され、ラベル100Lを印字し、印字したラベル100Lを搬送台101上の商品の底面に貼付する。上側ラベル印字貼付部2aおよび下側ラベル印字貼付部2bは、略同一の構成であるため、以降の説明においては上側ラベル印字貼付部2aに関して説明し、下側ラベル印字貼付部2bの説明は省略する。
【0013】
上側ラベル印字貼付部2aは、ラベル供給部102、フィード部103、印字部40、読取部50および貼付部60を有する。ラベル100Lは、ラベル供給部102に保持されるラベルロール100Rから引き出され、フィード部103、印字部40、読取部50および貼付部60をこの順に搬送されて、商品に貼付される。
【0014】
ラベル供給部102は、ラベルロール100Rを印字部40へ送出可能に保持する機構である。ラベル供給部102には、ロール状に巻かれたラベルロール100Rが回転可能にセットされている。なお、ラベルロール100Rは、長尺の帯状の台紙上にラベル100Lを一定間隔で仮着させてなるラベル用紙100をロール状に巻回させたものである。すなわち、台紙およびラベル100Lは、ラベル用紙100を構成する。ラベル100Lは、一面側が粘着材の付着した接着面、他面側が印字される印字面を構成しており、接着面を台紙に剥離可能に接着させている。
【0015】
フィード部103は、モータによって駆動回転するローラであって、ラベルロール100Rからラベル用紙100を引き出すと共に、所定の搬送路を介して、引き出した台紙およびラベル用紙100を印字部40へ送り出す。
【0016】
図1および
図2に示すように、印字部40は、サーマルヘッド41と、サーマルヘッド41と対向した位置に配置されたプラテンローラとで構成されている。
【0017】
サーマルヘッド41は、フィード部103を構成するローラおよびプラテンローラの駆動回転によって送り出されたラベル用紙100上のラベル100Lに印字する。サーマルヘッド41は、発熱体を選択的に発熱させることで印字を施す。印字は、シフトレジスタから供給される1ドットライン分のデータを、ラベル用紙100を1ドットライン分ずつプラテンローラで移動させながら行われる。サーマルヘッド41およびプラテンローラとの間の空隙から、ラベル100Lが台紙に接着された状態で排出される。印字部40およびサーマルヘッド41は、印字手段の例である。
【0018】
プラテンローラは、サーマルヘッド41と対向する位置に設けられ、ラベル100Lをサーマルヘッド41に向けて押圧する。
ラベルロール100Rを移動させるプラテンローラおよびフィード部103を構成するローラの駆動部としては、
図2に示すステッピングモータ43を採用することができる。
【0019】
読取部50は、印字部40から送出されたラベル100Lを適宜検出するラベル検出センサ51を有する。ラベル検出センサ51は、例えばラインセンサである。ラベル検出センサ51は、筐体端部に近接又はわずかに離間した所定の読取領域の情報を読み取ることができる。読取領域は例えばラベル検出センサ51の下方に形成されている。ラベル検出センサ51は、読取領域においてラベル100Lに印字された印刷情報を読み取り、CPU31に伝達する。ラベル100Lの検出結果に応じて、次のラベル発行の可否が判定され、印字部40の駆動および停止などの動作が制御されてもよい。
【0020】
図1に示す貼付部60は、台紙から剥離したラベル100Lの印字面、すなわちラベル検出センサ51が読み取った面を吸引して吸着し、ラベル100Lを保持すると共に、当該保持したラベル100Lを接着面から商品に押し付けることにより、商品にラベル100Lを貼り付ける。貼付部60は、エアーシリンダ、エアーシリンダの駆動力によって上下動する支持部材、支持部材から吊り下げられた複数本のロッド状のラベル吸着ユニット、およびラベル100Lを吸着して保持するラベル保持面などを有する。貼付部60が収容されるケースには、ケース内の空気を吸いだす排気装置、例えばファンが取り付けられ、これによってラベル保持面に開設した通孔に負圧が発生し、吸着力が作用するように構成されている。この吸着力は、ラベル吸着ユニットに設けた吸着手段に加えて、印字されたラベル100Lをラベル保持面の下面に吸着保持するための補助吸着力として作用する。
【0021】
ラベル吸着ユニットは、例えば搬送方向前後左右に移動可能なマニピュレータになっていてもよい。ラベル吸着ユニットは、ラベル100Lの吸着後に被搬送物上まで搬送し、被搬送物に貼付してもよい。
【0022】
上述に示すように、ラベル検出センサ51は、サーマルヘッド41と、ラベル吸着ユニットおよびラベル保持面との間に配設されている。この構成によれば、ラベル100Lの印字後であって商品への貼付前に印刷内容を検査でき、商品を効率的に生産することができる。
【0023】
●制御装置の構成
図2は、実施形態に係るラベル発行装置1の制御装置30の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、ラベル発行装置1の制御装置30は、CPU(Central Processing Unit)31、フラッシュメモリ32、RAM(Random Access Memory)33、表示・操作部106及びインターフェース回路35を備える。制御装置30は、インターフェース回路35を介して、サーマルヘッド41、ステッピングモータ43、ラベル検出センサ51に接続されている。
【0024】
CPU31は、中央演算装置であり、フラッシュメモリ32に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、ラベル発行装置1の動作を統括制御する。フラッシュメモリ32は、CPU31の補助記憶装置であって、プログラムをはじめとしてCPU31が利用する各種の情報を記憶する。
【0025】
RAM33は、CPU31の主記憶装置である。また、RAM33は、一時的にデータを呼び出して処理するためのワークエリアである。RAM33は、電源オフ時も前記ファイルを保持するようにバッテリーでバックアップされている。
【0026】
印字部40は、CPU31等とサーマルヘッド41およびステッピングモータ43とが制御装置30のインターフェース回路35を介して接続されて構成される。読取部50は、CPU31等とラベル検出センサ51とがインターフェース回路35を介して接続されて構成される。貼付部60は、CPU31等とエアーシリンダとがインターフェース回路35を介して接続されて構成される。制御装置30は、印字部40、読取部50および貼付部60の制御を合わせて行っているが、印字部40、読取部50および貼付部60をそれぞれ制御する制御装置が設けられていてもよい。
【0027】
印字部40は、制御装置30によって設定された印刷情報に基づく文字、図形又は記号等をラベル100Lに印刷する。印刷情報は、二値化データとしてRAM33に記憶されている。
【0028】
読取部50は、ラベル100Lに印刷された印刷文字をラベル検出センサ51によって読み取り、CPU31において画像処理を施すことによってスキャン画像を生成し、スキャン画像に応じたスキャン情報を生成する。
●ラベル発行装置の機能ブロック
ラベル発行装置1では、CPU31などの演算装置、CPU31によって実行されるコンピュータプログラム、RAM33やROM(Read Only Memory)等の内部メモリ等により、少なくとも、記憶部、商品情報呼出部、フォーマット呼出部、報知部、印字制御部の各機能ブロックが構成されている。
【0029】
記憶部は、ラベル検出センサ51で読み込んだスキャン画像、スキャン画像から生成された印刷結果の二値化データ(二値データを数値として記憶した情報)、印刷情報とスキャン情報との比較結果(一致率や滲み率などの情報)、およびこれらの情報に対するログ(印刷日時やプリンタ番号、印刷対象の品名やフォーマット名等)等を記憶している。また、記憶部には、印刷データをドットデータに展開するドット展開部、ラベルフォーマットファイルから1つのフォーマットデータを呼び出して記憶する呼出フォーマット部、商品データ等を呼び出して記憶する呼出商品部等がある。さらに、記憶部には、ラベル印刷の印字のフォーマットが設定されたラベルフォーマットファイル、ラベル印刷用の各種商品情報が設定された商品情報ファイル等が記憶されている。
【0030】
また、記憶部は、印字される商品に対して選択されている印字フォーマットが適切か否かを判断する契機となる特定の情報を記憶している。特定の情報は、1又は複数登録されていてよく、例えば、トレーサビリティの対象となる商品を検出するための対象ワードである。トレーサビリティ対象ワードは、例えば「国産牛」、「和牛」、「常陸牛」又は「神戸牛」等である。トレーサビリティ対象ワードは、作業者により登録可能となっている。また、「国産」又は「国内産」と「牛」を別々に記憶していてもよい。特定の情報は、特定の文字列として格納されていてよい。また、特定の情報は、文字列に限られず、商品マスタに含まれる各項目の情報、所定のフラグ又は条件等であってもよい。記憶部は、当該所定のフラグ又は条件と、トレーサビリティの対象となるか否かの情報とを対応付けるテーブルを別途記憶していてもよい。
なお、記憶部は、参照される情報を商品マスタとしてあらかじめ記憶する構成であってもよいし、上位サーバと通信を行い、上位サーバに記憶されている商品マスタ等の情報源から所定の情報を取得し、一時的に記憶する構成であってもよい。
【0031】
特定の文字列は、アレルギーの記載を要する商品を検出するための対象ワードであってもよい。この場合、対象ワードは、「小麦」や「そば」といった、アレルギー物質の名称であってもよいし、「パン」等の、アレルギー物質を使用している蓋然性の高い品名であってもよい。また、記憶部は、特定の文字列とアレルギー物質とを対応付けて記憶していてもよい。例えば、「からあげ」に対して「小麦」、「ポテトサラダ」に対して「乳」「卵」「小麦」が対応付けられていてもよい。記憶部は、商品登録時に、商品名および原材料から含有される蓋然性の高いアレルギー物質を抽出し、当該アレルギー物質をあらかじめ商品情報に付加して格納してもよい。
【0032】
記憶部は、上述の特定の文字列とは異なる除外ワードをあらかじめ記憶していてもよい。除外ワードは、対象ワードが含まれている場合であっても、印字フォーマットの適否処理から除外する条件となる文字列である。除外ワードは、トレーサビリティ対象ワードやアレルギーの記載に関する対象ワードといった、対象ワードの種別に対応付けられて記憶されている。すなわち、トレーサビリティ対象ワードに対応付けられる除外ワードと、アレルギーの記載に関する対象ワードに対応付けられる除外ワードとは、それぞれ独立して記憶される。トレーサビリティ対象ワードと対応付けられる除外ワードは、例えば「ミンチ」又は「ひき肉」等である。この構成によれば、トレーサビリティの対象となる商品をより正確に検出できる。
【0033】
商品情報呼出部は、ラベルへの印字に使用する商品情報を、記憶部又は上位サーバから呼び出す機能部である。商品情報は、例えば商品マスタに基づいて形成される情報であり、商品の識別情報ごとに、商品名、産地、トレーサビリティ対象の情報を表す個体識別番号またはロット番号、価格又は単価等の情報が、項目と紐付けられて格納されている。商品情報呼出部により呼び出される商品情報は、商品情報ファイルに一時的に格納される。
【0034】
フォーマット呼出部は、ラベルへの印字に使用するラベルフォーマットデータを、記憶部から呼び出す機能部である。ラベルフォーマットデータは、商品情報のうち印刷する印刷項目およびラベル上の印刷位置を規定するデータである。後述する印字制御部は、フォーマット呼出部により呼び出されたラベルフォーマットデータに規定されている印刷項目を商品情報から参照し、当該情報を、印刷位置に配置することで、印刷データを生成する。フォーマット呼出部により呼び出されるラベルフォーマットデータは、ラベルフォーマットファイルに一時的に格納される。
【0035】
図3は、ラベル発行装置1により発行されるラベル100Lの1例である。ラベル100Lには、ラベルフォーマットデータにおいて、商品名称欄L1、個体識別番号欄L2、単価欄L3、内容量欄L4、価格欄L5、加工日・賞味期限欄L6、バーコード欄L7が配置される。なお、賞味期限欄L6には、消費期限を表示する消費期限欄が配置されていてもよい。ラベルフォーマットデータは、各欄に展開すべき商品情報の項目に関する情報を含んでおり、例えば個体識別番号欄L2には、商品情報のうち個体識別番号の項目に含まれる情報が展開される。また、ラベルフォーマットデータは、各欄の字体およびフォントサイズ等の表示態様の情報を含んでおり、印字制御部は、当該表示態様に基づいて印刷データに商品情報を反映する。すなわち、印字制御部は、商品情報のうち、ラベルフォーマットデータにおいて指定された項目に格納される情報を印刷データに展開するものであり、仮に商品情報の所定の項目に情報が格納されていたとしても、ラベルフォーマットデータにおいて当該項目が規定されていない場合には、印刷データに反映されないものとなっている。
【0036】
報知部は、選択されている商品情報に適用されるラベルフォーマットデータの適否を判定する。報知部は、商品情報に特定の情報が含まれている場合に、適否処理を実行する。適否処理として、報知部は、情報に対応する所定の項目が、印字される内容に含まれているか判定し、印字される内容に含まれていない場合に、ラベルフォーマットが不適切であると判定する。報知部は、ラベルフォーマットデータを参照し、ラベルフォーマットデータに規定されている印刷項目に、当該情報に対応する所定の項目が含まれているか否かを判定する。特定の情報の例として、商品名称、個体識別番号、単価、内容量、価格、加工日・賞味期限、消費期限、バーコード等がある。各特定の情報には、対応する項目が紐づけられている。したがって、報知部は、例えば、商品情報に商品名称が含まれている場合に、対応する所定の項目として「商品情報欄」が印刷項目に含まれているか否かを判定する。なお、特定の情報と紐づけられる項目は、当該特定の情報を反映する欄には限られず、異なる情報が反映される欄の有無を判定してもよい。
【0037】
また、特定の情報は、文字列であってもよい。例えば、報知部は、商品情報に文字列として所定のトレーサビリティ対象ワードが含まれている場合に、個体識別番号又はロット番号が印刷項目に含まれているか否かを判定する。この場合、報知部は、商品情報のうち商品名、産地表示、宣伝フレーズ等の1又は複数の項目の内容を検索対象として、トレーサビリティ対象ワードが含まれているかを検出してもよい。また、報知部は、所定の複数のトレーサビリティ対象ワードがいずれも商品情報に含まれている場合に、印刷項目の適否を判定してもよい。複数のトレーサビリティ対象ワードが適否処理の条件となる例としては、産地表示に国内の地名が格納されているとともに、商品名に「牛」が含まれている場合等がある。「牛」が含まれている商品名の例として「牛フィレ肉」又は「牛モモ肉」がある。「牛フィレ肉」および「牛モモ肉」がトレーサビリティ対象ワードとして記憶されていてもよい。
【0038】
報知部は、商品情報に特定の文字列が含まれている場合に、当該文字列に対応する所定の項目が印字される内容に含まれていないことに基づいてエラーの報知を行う。より具体的には、例えば、報知部は、商品情報に「国産牛」が含まれているにも関わらず、ラベルフォーマットデータに個体識別番号又はロット番号が含まれない場合、エラーの報知を行う。エラーメッセージとしては「トレーサビリティチェックエラー」である旨、ラベル印字に含まれる特定の文字列の表示、およびトレーサビリティ情報が印字されていない旨が表示される。また、トレーサビリティの設定を確認するよう案内が表示される。また、警告オーバーライドの手段として、トレーサビリティ情報が印字されていないにも関わらずラベルを強制的に発行する場合、パスワードの入力を求める表示を行ってもよい。
【0039】
また、報知部は、商品情報に所定の原材料名が含まれている場合に、アレルギーに関する項目が印字される内容に含まれていないことに基づいてエラー報知を行うものとしてもよい。例えば、報知部は、商品情報に「からあげ」が含まれているにも関わらず、アレルギーの項目が含まれない場合、エラーの報知を行ってもよい。報知部は適否判定の種別に応じて異なる商品情報の項目を参照してもよく、例えばトレーサビリティに関する適否判定においては商品名および産地を参照する一方、アレルギーに関する適否判定においては、商品名および原材料を参照するものとしてもよい。
【0040】
報知部は、商品情報に特定の文字列が含まれている場合に、当該文字列に対応するアレルギー物質が、含有されているものとして印字されるか判定し、印字されない場合にエラーの報知を行ってもよい。例えば、報知部は、商品情報に所定の原材料名が含まれている場合に、当該原材料名に対応して設定されたアレルギー物質が印字される内容に含まれていないことに基づいてエラー報知を行う。例えば、報知部は、商品情報に「からあげ」が含まれているにも関わらず、「小麦」が含まれているものとして印字されていない場合、エラーを報知してもよい。アレルギー物質の表示態様は、含有されているアレルギー物質の名称を印字する態様の他、アイコンで表示する態様や、表示されうるすべてのアレルギー物質を列挙した上で、含有されているアレルギー物質を強調表示する態様であってもよい。
【0041】
さらに、報知部は、商品情報に賞味期限を設定すべき所定の文字列が含まれている場合に、賞味期限が印字されるか判定し、印字されない場合にエラーの報知を行ってもよい。また、報知部は、商品情報に消費期限を設定すべき所定の文字列が含まれている場合に、消費期限が印字されるか判定し、印字されない場合にエラーの報知を行ってもよい。この構成によれば、消費期限と賞味期限とを誤って印字するのを防止できる。この場合、報知部は、消費期限又は賞味期限が、過去の日付又は上限設定値を超える未来の日付になっていないか判定してもよい。
【0042】
さらにまた、報知部は、値段又は本体価格とバーコードとの対応関係が誤っているか判定してもよい。この場合例えば、報知部はバーコードに含まれるJANコードから価格を抽出し、抽出された価格が値段又は本体価格となっているかを判定してもよい。さらにまた、報知部は、製造日を抽出し、過去の日付となっていないか、又は上限設定値を超える未来の日付になっていないか判定してもよい。
【0043】
報知部は、商品情報に所定の除外ワードが含まれている場合に、ラベルフォーマットデータの適否判定を行わない。また、報知部は、商品情報に除外ワードが含まれている場合、エラー報知を行わない。なお、この場合、報知部は、適否判定を行った上でエラー報知を行わないものとしてもよい。例えば、商品名に「国産牛」が含まれていたとしても、挽肉である場合、法制度上トレーサビリティの表示対象ではないためである。この構成によれば、所定の法制度により正確に準拠し、エラー報知を適切に行うことができる。
【0044】
報知部は、商品情報に所定の除外ワードが含まれている場合にラベルフォーマットデータの適否判定を行い、ラベルフォーマットデータに個体識別番号又はロット番号が含まれている場合を検出してもよい。報知部は、当該検出が行われた場合にエラーを通知してもよい。エラーの通知態様としては、トレーサビリティ情報が印字されている旨の通知等を適宜行ってよい。また、当該検出が行われた場合には、適宜の機能部を介して、ラベルフォーマットデータから個体識別番号又はロット番号の項目を除いたデータで印字が行われるようにしてもよい。さらに、ラベルフォーマットデータから個体識別番号又はロット番号の項目を除いたデータで印字する場合であって、台紙を有さない所謂ライナレスラベルに印字する場合には、個体識別番号又はロット番号の項目を除いた分だけ他の印字領域を移動させ、ラベル長を短くして印字してもよい。
【0045】
報知部は、ラベルフォーマットデータにおける各印刷項目の文字サイズを参照し、文字サイズが所定以上で表示される内容について適否判定を行ってもよい。
【0046】
報知部は、商品情報とラベルフォーマットデータに基づいて生成される印刷データが展開されたドットデータを参照し、ドットデータを画像認識することにより、文字列に対応する所定の項目が当該ドットデータに含まれているか否かを判定してもよい。この構成によれば、ラベルフォーマットデータの印刷項目の記載様式に関わらず、ラベルに実際に印字されるデータを印字前に確実に判定することができる。また、この構成によれば、印刷データを生成する装置がラベル発行装置と別体で構成され、本発明に係るラベル発行装置が印刷データ又はドットデータを受け取りラベルに印字する、所謂汎用プリンタであっても、印字しようとする内容の適否を印字前に判定することができる。
【0047】
報知部は、印字部による印字が実行される前にエラーの報知を行う。報知部は、商品情報呼出部が商品情報を呼び出した場合に、ラベルフォーマットファイルに格納されているラベルフォーマットデータの適否を判定し、エラーの報知を行う。また、報知部は、フォーマット呼出部がラベルフォーマットデータを呼び出した場合に、当該ラベルフォーマットデータの適否を判定してもよい。また、報知部は、記憶部に一時的に格納されるラベルフォーマットファイルおよび商品情報ファイルのいずれかに変更が生じたことを契機に適否を判定し、エラーの報知を行ってもよい。報知部は、ラベルフォーマットデータ又は商品情報が編集された場合に、適否を判定し、エラーの報知を行ってもよい。商品情報の編集は、例えば産地の変更等が考えられる。
【0048】
仮に誤ったフォーマットにより個体識別番号又はロット番号が印字されずに貼付された場合には、正しいラベルを再貼付する作業が発生するところ、どの商品がどの個体識別番号又はロット番号なのか不明確になり、正しいラベルを再貼付することが不可能になるおそれがある。正しい個体識別番号又はロット番号が不明となった結果、最悪の場合には、トレーサビリティ対象とならない商品、例えば加工肉に加工するといった対応を取らざるを得なくなり、その損失は莫大である。これに対し、本願発明にかかるラベル発行装置の構成によれば、ラベルの印字に使用される商品情報又はラベルフォーマットデータが変更された場合に、確実に適否判定およびエラーの報知を行うことができる。また、印字されたラベルを判定して報知する構成に比べて、誤ったラベルを1枚も発行することなくエラーが報知されるため、ラベル用紙を節約することができる。また、誤ったラベルが1枚も発行されないため、十分確認しない作業者や、ラベルの適否判断ができない作業者が、誤ったラベルを貼付してしまうのを防止できる。
【0049】
●画面例
図4は、表示装置106a又は有線もしくは無線により接続される適宜の表示装置に表示されるラベル発行画面G1の1例である。同図に示すように、ラベル発行画面G1には、価格欄G11、商品情報欄G12、発行操作欄G13、状態表示欄G14等が表示されている。また、ラベル発行画面G1の左下部には、ラベルの発行総数、ラベルの発行数、発行方法、コンテナの識別情報、規定内容量、内容量の重さの上限および下限等の情報が表示されているとともに、これらの設定の変更を受け付ける設定欄G15が設けられている。
【0050】
価格欄G11は、内容量欄G11a、値段欄G11b、を有する。内容量欄G11aは、呼び出されている商品の内容量が表示されている。値段欄G11bは、当該商品の値段が表示されている。
【0051】
商品情報欄G12は、商品名、配達便、品番、店番、消費期限、および製造日等の商品情報が表示されている。
【0052】
ラベルを発行する商品の商品情報は、品番を直接入力して呼び出す、あらかじめ記憶されている商品リストを参照して選択する、現在表示されている商品の前後の品番を呼び出す、プリセットキーで呼び出す、等の入力態様がある。また、商品の分類が合わせて記憶されており、商品の分類又は小分類から呼び出してもよい。さらに、各種セール時期などに応じてあらかじめ登録されるグループ(「ライン」ともいう。)を選択することで、当該ラインに属する商品の呼出が可能であってもよい。
【0053】
さらにまた、商品情報は、値付およびラベル発行を行った商品の履歴から呼び出してもよい。ここで、日付選択画面から日付を選択することで、選択した日付が最終値付け日となる品名を抽出できる構成であってもよい。このとき、日付選択画面とは別に、「今日の作業」とのアイコンを押下することで、当日にラベルを発行した商品の履歴を表示できるようになっていてもよい。さらにまた、語句による検索により呼び出してもよい。さらにまた、ラベル発行回数又は商品情報の呼出回数が多い商品を、回数が多い順に表示させ、当該表示の中から商品が選択可能であってもよい。さらにまた、商品のバーコードをスキャンすることで、当該商品の情報の呼出が可能であってもよい。
【0054】
図4のラベル発行画面G1は、ラベルの発行が停止されている状態を示しており、キー操作が受け付けられる状態になっている。設定欄G15の各領域を押下すると、領域に表示されている内容に対応する設定画面に遷移する。
【0055】
設定欄G15には、トレース設定欄G15aが設けられている。トレース設定欄G15aは、ラベルフォーマットデータに、トレーサビリティに関する情報が含まれているか否かを示す欄であり、同図においては個体識別番号が含まれていることを示す「個体」との表示がなされている。なお、個体識別番号に代えてロット番号が含まれている場合には、「個体」に代えて「ロット」と表示される。なお、個体識別番号とロット番号の双方が印字されるものとしてもよい。
【0056】
また、設定欄G15には、使用ラベラ設定欄G15bが設けられている。使用ラベラ設定欄G15bは、ラベル発行装置1に複数のラベル発行機構(以降、「ラベラ」ともいう。)が含まれている場合に、いずれの機構でラベルを発行するかを設定・表示する欄である。同図においては、ラベルは第1ラベラで発行され、第2ラベラおよび第3ラベラでは発行されないことが表示されている。ラベルを発行するラベラは、例えば配送先店舗の情報に対応づけられて記憶されていて、配送先店舗の設定が作業者により変更されると、発行するラベラが自動で切り替わる。フォーマット呼出部は、ラベラごとに設定するラベルフォーマットデータを設定する。報知部は、発行されるラベラに設定されているラベルフォーマットデータの適否を判定する。
【0057】
●処理フロー
図5を用いて、ラベル100Lに印刷される内容に基づいて印字可否を判定する処理フローの1例について説明する。
【0058】
まず、ラベル発行装置1により、商品マスタの呼出を行う(ステップS11)。次いで、印字フォーマットの呼出を行う(ステップS12)。次いで、商品情報に対象ワード、例えばトレーサビリティ対象となっているワードが含まれるか否かを判定する(ステップS13)。商品情報に対象ワードが含まれていない場合、印字を許可する(ステップS14)。
【0059】
ステップS13において商品情報に対象ワードが含まれる場合、商品情報に除外ワードが含まれるか否かを判定する(ステップS15)。商品情報に除外ワードが含まれている場合、印字を許可する(ステップS16)。
【0060】
ステップS15において除外ワードが含まれていない場合、印字内容に所定項目が含まれているか否かを判定する(ステップS17)。所定項目は、例えば個体識別番号又はロット番号である。所定項目が含まれている場合、印字を許可する
(ステップS18)。ステップS17において、所定項目が含まれていないと判定される場合、エラーを報知する(ステップS19)。
このような構成によれば、設定ミスによるラベル印字内容の誤りを防ぐことができる。
【0061】
●実施形態総括
本発明は、ラベル発行装置およびラベル発行装置の制御プログラムに関する。
【0062】
商品ラベルにおいては、商品の種類に応じて印字すべき項目が異なっている場合がある。例えば、国産牛等のトレーサビリティ対象商品は、牛の個体識別番号を表示する必要がある。
【0063】
特許文献1として、特許5293285号公報がある。
【0064】
商品に関する情報は商品マスタから呼び出される一方、ラベルに印字する項目は商品マスタとは別の操作により設定される場合がある。この場合、印字すべき項目が適切に設定されていないと、たとえ商品マスタに当該項目の情報が登録されていても印字されず、誤ったラベルを発行してしまうおそれがある。
【0065】
そこで本発明は、設定ミスによるラベル印字内容の誤りを防ぐことができるラベル発行装置を得ることを目的の一つとする。
【0066】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係るラベル発行装置は、入力された商品情報に基づく項目をラベル用紙に印字する印字手段と、商品情報に特定の情報が含まれている場合に、当該情報に対応する所定の項目が印字される内容に含まれていないことに基づいて、前記印字手段による印字が実行される前にエラー報知を行う報知手段と、を備える。
【0067】
前記報知手段は、商品情報に特定の文字列が含まれている場合に、当該文字列に対応する所定の項目が印字される内容に含まれていないことに基づいて、前記印字手段による印字が実行される前にエラー報知を行うものとしてもよい。
【0068】
前記報知手段は、商品情報に所定のトレーサビリティ対象ワードが含まれている場合に、個体識別番号またはロット番号が印字される内容に含まれていないことに基づいて前記エラー報知を行うものとしてもよい。
【0069】
前記報知手段は、商品情報に所定のトレーサビリティ除外ワードが含まれている場合に、前記エラー報知を行わないものとしてもよい。
【0070】
前記報知手段は、商品情報に所定の原材料名が含まれている場合に、アレルギーに関する項目が印字される内容に含まれていないことに基づいて前記エラー報知を行うものとしてもよい。
【0071】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係るラベル発行装置の制御プログラムは、入力された商品情報に基づく項目をラベル用紙に印字する印字命令と、商品情報に特定の情報が含まれている場合に、当該情報に対応する所定の項目が印字される内容に含まれていないことに基づいて、前記印字命令による印字が実行される前にエラー報知を行う報知命令と、をコンピュータに実行させる。
【0072】
本発明によれば、設定ミスによるラベル印字内容の誤りを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0073】
1 :ラベル発行装置
2a :上側ラベル印字貼付部
2b :下側ラベル印字貼付部
40 :印字部(印字手段)
50 :読取部
100 :ラベル用紙
100L :ラベル
G1 :ラベル発行画面