(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093021
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】画像処理装置、表示装置、車両
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20230627BHJP
B60R 1/20 20220101ALI20230627BHJP
B60R 1/26 20220101ALI20230627BHJP
B60R 1/25 20220101ALI20230627BHJP
B60R 1/29 20220101ALI20230627BHJP
【FI】
H04N7/18 J
H04N7/18 V
B60R1/20 100
B60R1/26
B60R1/25
B60R1/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208399
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田島 英樹
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054CE11
5C054DA09
5C054FA07
5C054FC12
5C054FC15
5C054FE05
5C054FE06
5C054FE07
5C054FE09
5C054FE12
5C054FE21
5C054HA30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両の安全性を向上させるために、車内と車外の状況を同時に把握できる画像を提供する画像処理装置、表示装置及び車両を提供する。
【解決手段】車両10及び路側機20を含んで構成される表示システム1は、車両の内部を撮影した画像である第1画像を生成する車両撮像部130と、車両の周囲の物体の位置を示す位置情報を取得する取得部と、第1画像における物体の位置に対応する位置に物体を示す画像を重畳させる処理部120と、処理部120で作成した画像を表示する表示部140と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内部を撮影した画像である第1画像を生成する第1撮像部と、
前記車両の周囲の物体の位置を示す位置情報を取得する取得部と、
前記第1画像における前記物体の位置に対応する位置に前記物体を示す画像を重畳させる処理部と、を備える
画像処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記第1画像に前記車両の車外と接する部分の輪郭を示す画像を重畳させる、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1撮像部は、前記車両の操縦席に配置され、前記車両の側方を撮影する、
請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前前記第1画像に記車両に対して危険と判断された物体を示す画像のみを重畳させる
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記第1撮像部の撮影領域外に位置する物体のうち、前記車両に対して危険と判断された物体の存在を示す画像を、前記第1画像に重畳させる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記車両と前記物体が所定の距離より近いと判断すると、前記物体は前記車両に対して危険と判断された物体と判断する、
請求項4または5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1撮像部は、前記車両の内部から前記車両の扉を含む領域を撮影する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
車両の内部を撮影した画像である第1画像を生成する第1撮像部と、
前記車両の周囲の物体の位置を示す位置情報を取得する取得部と、
前記第1画像における前記物体の位置に対応する位置に前記物体を示す画像を重畳させる処理部と、
前記処理部で作成した画像を表示する表示部と、を備える
表示装置。
【請求項9】
画像処理装置を搭載する車両であって、
画像処理装置は、
車両の内部を撮影した画像である第1画像を生成する第1撮像部と、
前記車両の周囲の物体の位置を示す位置情報を取得する取得部と、
前記第1画像における前記物体の位置に対応する位置に前記物体を示す画像を重畳させる処理部と、
前記処理部で作成した画像を表示する表示部と、を備える
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、表示装置および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、近年、車両の安全性を向上させるべく、車両周辺を撮影して描画する装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の画像描画装置には、車内画像に車外画像を重畳させることで、運転者に、車外画像と車内画像における当該車外画像の重畳位置とを同時に視認させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来技術では、車内画像上に車外画像を重畳させて、1つのディスプレイに表示されていた。
【0006】
上記のような従来技術の課題に鑑みてなされた本開示の目的は、車両の安全性を向上させるために、車内と車外の状況を同時に把握できる画像を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態にかかる画像処理装置は、車両の内部を撮影した画像である第1画像を生成する第1撮像部と、前記車両の周囲の物体の位置を示す位置情報を取得する取得部と、前記第1画像における前記物体の位置に対応する位置に前記物体を示す画像を重畳させる処理部と、を備える。
【0008】
また、本開示の一実施形態にかかる表示装置は、車両の内部を撮影した画像である第1画像を生成する第1撮像部と、前記車両の周囲の物体の位置を示す位置情報を取得する取得部と、前記第1画像における前記物体の位置に対応する位置に前記物体を示す画像を重畳させる処理部と、前記処理部で作成した画像を表示する表示部と、を備える。
【0009】
また、本開示の一実施形態にかかる車両は、画像処理装置を搭載する車両であって、車両の内部を撮影した画像である第1画像を生成する第1撮像部と、前記車両の周囲の物体の位置を示す位置情報を取得する取得部と、前記第1画像における前記物体の位置に対応する位置に前記物体を示す画像を重畳させる処理部と、前記処理部で作成した画像を表示する表示部と、を含む表示装置を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一実施形態によれば、車内からは視認できない死角に存在する障害物の情報を含んだ、車両の周辺画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態における、表示システムの概略構成の例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態における、表示システムの処理手順の例を示すフローチャートである。
【
図3】本実施形態における、車両撮像部の車両の内部での取り付け位置の例を説明する図である。
【
図4】路側機撮像部の撮影領域の例を説明する平面図である。
【
図5】第1車両撮像部で撮影した画像に車両の輪郭及びアイコン画像を重畳させた画像の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。以下の図面に示す構成要素において、同じ構成要素には同じ符号をつける。
【0013】
本発明を備えた表示システム1の本実施形態について、
図1を参照して説明する。本実施形態の表示システム1は、車両10及び路側機20を含んで構成される。車両10及び路側機20は、通信ケーブル、無線ネットワーク等を介して接続されて情報を送受信する。本実施形態では、車両10と路側機20は、無線で通信されるものとする。
【0014】
図1において、各機能ブロックを結ぶ線は、制御信号又は通信される情報の流れを示す。機能ブロック間の通信は有線通信であってもよく、無線通信であってもよい。
【0015】
車両10は、車両通信部110、処理部120、車両撮像部130、表示部140を含んで構成される。
【0016】
車両10は例えば、自動車、産業車両、鉄道車両、生活車両、および滑走路を走行する固定翼機等を含んでよい。自動車は、例えば乗用車、トラック、バス、二輪車、およびトロリーバス等を含んでよい。産業車両は、例えば農業および建設向けの産業車両等を含んでよい。産業車両は、例えばフォークリフトおよびゴルフカート等を含んでよい。農業向けの産業車両は、例えばトラクター、耕耘機、移植機、バインダー、コンバイン、および芝刈り機等を含んでよい。建設向けの産業車両は、例えばブルドーザー、スクレーバー、ショベルカー、クレーン車、ダンプカー、およびロードローラ等を含んでよい。車両10は、人力で走行するものを含んでよい。
【0017】
車両通信部110は、路側機20と通信可能な通信モジュール又は通信デバイスであってよい。車両通信部110は、路側機20から取得した車両10の周囲の情報を処理部120へ送信する。
【0018】
処理部120は、検知部121、危険度推定部122、画像処理部123を含んで構成される。検知部121、危険度推定部122、画像処理部123は図示しない記録媒体に記録されるソフトウェアで構成されてよい。
【0019】
検知部121は、路側機20から取得した情報を基に、所定の物体30を認識して物体30の種類を判断する。路側機20から取得した情報とは、例えば、所定の物体30を含む車両10の周囲の画像、物体30の位置、物体30の移動速度、物体30の進行方向等であってよい。物体30の種類とは、例えば、人、自動車、自転車、バイク等であってよい。検知部121は、車両10の周囲の画像から、物体30の位置、物体30の移動速度、物体30の進行方向等を検出しても良い。
【0020】
危険度推定部122は、物体30が車両10にとって危険か否かを判断する。危険度推定部122は、路側機20から取得した物体30の位置、移動速度および移動方向と、車
両10の移動速度および移動方向により、物体30の危険度を算出してよい。危険度は、物体30が存在する位置で推定してよい。また、危険度は、検知部121で判断した物体30の種類に応じて変化させてよい。危険度推定部122は、危険度が所定の閾値以上の物体30を車両10にとって危険であると判断してよい。危険度推定部122は、例えば、車両10と物体30が所定の距離より近いと判断すると、危険度が高いと判断してよい。危険度推定部122は、例えば、物体30の進行方向が車両10へ向かう方向である判断すると、危険度が高いと判断してよい。危険度推定部122は、例えば、物体30の移動速度が所定の速度以上である判断すると、危険度が高いと判断してよい。所定の速度とは、例えば車両10の速度であってよいし、予め設定した特定の速度であってもよい。所定の速度は、物体30の種類に応じて設定してもよい。
【0021】
画像処理部112は、車両撮像部130で車両10の内部を撮影した画像である第1画像に、車両10の車外と接する部分の輪郭を示す輪郭画像40を重畳させる。輪郭画像40は、車両撮像部130の撮影領域内に存在する車両10の車体の輪郭を示す画像である。輪郭画像40は車両10の外観を表すものであってよい。画像処理部112は、第1画像に輪郭画像40を重畳させることで、運転席から目視できない車両10の車体と物体30との位置関係が把握しやすくなる。
【0022】
画像処理部112は、危険度推定部122で危険と判断された物体30の位置が、第1画像上のどこの位置に対応するか算出する。画像処理部112は、路側機20から取得した物体30の位置が、第1画像上のどの位置に対応するか算出する。
【0023】
画像処理部112は、第1画像における物体30の位置に対応する位置に物体30を示す障害物画像31を重畳させる。第1画像における物体30の位置に対応する位置とは、車両10の車内の者が車両10の車体を透かして見た場合に、車両撮像部130から見えるであろう位置であってよい。障害物画像31は、例えば、路側機撮像部220で撮影された画像の一部や、検知部121で判断した物体30の種類に応じたアイコンを含んでよい。障害物画像31は、例えば、アイコンを四角形や立方体の画像等で囲んだ画像でもよい。四角形や立方体の画像等で障害物画像31を囲むことで、第1画像において物体30の位置又は存在が把握しやすくなり、車両10と物体30との位置関係を直感的に把握しやすくなる。障害物画像31は、車両10の運転者が物体30の存在を認識しやすい表示であればよい。障害物画像31は、例えば、第1画像と同化しない色で表示されてよい。障害物画像31は、例えば、第1画像における表示位置の色と異なる色で表示されてよい。第1画像における車内の映像の色合いを変えて、障害物画像31とのコントラストを高くしても良い。障害物画像31は、危険度推定部122で判断した危険度に応じて色を変化してよい。障害物画像31は、例えば、車両10又は物体30の移動による危険度の変化に応じて色が変化してよい。障害物画像31と輪郭画像40は、車両10の運転者が区別しうる形態で表示されてよい。画像処理部123は、画像50を生成する。画像50は、第1画像に障害物画像31と輪郭画像40を重畳した画像であってよい。画像処理部123で作成した画像50は、表示部140に送信される。
【0024】
車両撮像部130は、車両10の内部を撮影する。車両撮像部130は、第1画像を処理部120に送信する。車両撮像部130は、車両10の運転席の前方に設置されてよい。車両撮像部130は、車両10の運転席の後方又は側方を撮影するように設置されてよい。車両撮像部130は、運転席からの車両10の内部を撮影することで、運転席から車両10の内部の後方及び側方を見たような第1画像を撮影することが可能である。第1画像に、障害物画像31及び輪郭画像40を重畳させた画像50は、運転席から見た車両10と物体30の位置関係となるため、車両10の周囲の状況を把握しやすくなる。
【0025】
表示部140は、画像処理部123で作成された画像50を処理部120から取得する
。表示部140は、例えば、ディスプレイなどの表示機器を含んでよい。表示部140は、処理部120から取得した画像50を表示させる。表示部140は、例えば、車両10のダッシュボードやピロー等に設けられてよい。
【0026】
路側機20は、路側機通信部210、路側機撮像部220を含んで構成される。
【0027】
路側機20は、V2I(Vehicle to Infrastructure)に位
置づけられ、交差点の信号情報や周囲情報の収集および配信等を通じて人と車両の協調制御を行う装置である。路側機20は、交差点の近傍にある電柱や信号機に取り付けられてよい。路側機20は、交差点の近傍に存在する車両10の周囲を撮影してよい。
【0028】
路側機20は、路側機20と通信可能なシステムが搭載された車両と通信ネットワーク等を介して情報の送受信を行ってよい。信号情報は、交差点に設置されている信号機の位置の座標情報および信号機で表示されている色の情報等を含んでよい。周囲情報は、路側機20の周囲に関する情報を含んでよい。
【0029】
路側機通信部210は、複数の路側機20の周囲の情報のうち少なくともいずれか1つを車両通信部110に送信する。路側機20の周囲の情報は、路側機撮像部220で撮影した画像である第2画像、路側機撮像部220が撮像する領域に位置する物体30の位置、物体30の進行速度、物体30の進行方向、物体30の種類等を含んでよい。
【0030】
路側機撮像部220は、路側機20に設置され、路側機20の周囲を撮像して第2画像を取得する。路側機撮像部220は、道路上の所定の領域を撮影するように設置される。本実施形態では、車両通信部110は車両10の周囲の情報を路側機20から取得しているが、この例には限られない。例えば、車両間で通信可能なシステムが搭載された車両が、車両10の周囲を撮影又は測定して、複数の車両10の周囲の情報のうち少なくともいずれか1つを車両通信部110に送信してよい。例えば、車両10が車両10と同等の機能を有する他の車両の周囲を撮影又は測定して、当該他の車両の周囲の情報のうち少なくともいずれか1つを当該他の車両に含まれる車両通信部110に送信してよい。
【0031】
本実施形態の表示システム1における処理手順について、
図2を参照して説明する。
【0032】
まず、車両撮像部130は、撮影した第1画像を処理部120へ送信する(ステップS1)。
【0033】
車両通信部110は、路側機20から取得した車両10の周囲の情報を処理部120へ送信する(ステップS2)。
【0034】
処理部120は、ステップS2で取得した車両10の周囲の情報から、車両10の周囲に物体30が存在するか否かを判断する(ステップS3)。
【0035】
ステップS3で物体30が存在しないと判断された場合、ステップS9へ進む。ステップS9の内容は後述する。ステップS3で物体30が存在すると判断された場合、処理部120は、物体30の種類を判断する(ステップS4)。
【0036】
処理部120は、車両10に対して物体30が危険か否かを判断する(ステップS5)。
【0037】
ステップS5で物体30は危険ではないと判断された場合、ステップS9へ進む。ステップS5で物体30が危険であると判断された場合、処理部120は、物体30が車両撮
像部130の撮影領域の死角領域内に存在するか否かを判断する(ステップS6)。死角領域とは、車体によって遮られることで、車両撮像部130が撮影する画像には映りこまない領域であってよい。
【0038】
ステップS6で物体30が車両撮像部130の死角領域内に存在しないと判断された場合、ステップS9へ進む。ステップS6で物体30が車両撮像部130の死角領域内に存在すると判断された場合、処理部120は、ステップS5で危険と判断した物体30の位置が第1画像上のどの位置に対応するか算出する(ステップS7)。
【0039】
処理部120は、ステップS1で取得した第1画像における、ステップS7で算出した位置に対応する位置に障害物画像31を重畳させる(ステップS8)。障害物画像31は、処理部120が判断した物体30の種類に応じて選択されたアイコンであってよい。障害物画像31の種類は、処理部120が判断した物体30の危険度に応じて変化させてよい。障害物画像31の表示形態は、処理部120が判断した物体30の危険度に応じて変化させてよい。
【0040】
処理部120は、第1画像に車両10の輪郭を示す輪郭画像40を重畳させる(ステップS9)。
【0041】
処理部120は、第1画像に障害物画像31および輪郭画像40の少なくともいずれか1つを重畳させた画像50を表示部140に送信する。表示部140は、処理部120から受信した画像50を表示機器に表示させる(ステップS10)。
【0042】
車両10の内部における車両撮像部130の取り付け位置を、
図3を参照して説明する。
【0043】
本実施形態で説明する車両10は運転席が車両10の進行方向に対して右側に配置されている。車両10の運転席は車両10の進行方向に対して左側に配置されてもよい。車両撮像部130は、運転席の前方に取り付けられてよい。車両撮像部130は、運転席の前方から車内の後方及び側方を撮影するように取り付けられてよい。車両撮像部130は、運転席の前方のフロントガラスの上部に配置されてよい。車両撮像部130は、運転席の前方の天井に配置されてよい。車両撮像部130は、運転者が運転席から車両10の後方及び側方を見た視点と似た視点の第1画像を撮影してよい。車両撮像部130は、運転席から車両内部の後方又は側方を見た第1画像を撮影できればよく、車両撮像部130の取り付け位置は本実施形態で開示した取り付け位置に限られない。
【0044】
車両撮像部130は、第1車両撮像部131及び第2車両撮像部132を含んで構成される。
【0045】
第1車両撮像部131は第1の方向D1を撮像する。第1車両撮像部131は、第1の方向D1を撮影した第1車両画像を処理部120に送信する。第1の方向D1は、第1車両撮像部131の光軸の向く方向である。本実施形態において、第1の方向D1は、車両10の進行方向に対して後側方である。後側方は、右後側方であってよいし、左後側方であってよい。右後側方は、車両10の進行方向に対して右側の後側方である。また、左後側方は、車両10の進行方向に対して左側の後側方である。本実施形態の説明において、第1の方向D1は左後側方であるものとする。第1車両撮像部131は、第1の方向D1を撮影した第1車両画像の画像データを処理部120に送信する。
【0046】
第2車両撮像部132は第2の方向D2を撮影する。第2車両撮像部132は、第2の方向D2を撮影した第2車両画像を処理部120に送信する。第2の方向D2は、第2撮
像装置12の光軸の向く方向である。第1の方向D1と第2の方向D2は、異なる方向である。第2の方向D2は、車両10の進行方向に対して後側方であって、左右方向において第1の方向D1と反対の向きである。本実施形態の説明において、第2の方向D2は、右後側方であるものとする。第2の方向D2は、左右方向において第1の方向D1と対称であってよいが、これに限られない。
【0047】
路側機撮像部220の撮影領域の例を示す平面図を、
図4を参照して説明する。
【0048】
平面図は、歩道60a、60b、60c、60dを備えた交差点である。歩道60a、60b、60c、60dの位置は、路側機20に予め登録されていてよい。路側機20は、歩道60aに設けられた電柱、ポール等に設置されてよい。路側機20は、歩道60aに限らず任意の場所に設置されてよい。路側機撮像部220は、歩道及び車道等を含むように撮影してよい。路側機撮像部220は、車両10を含むように撮影してよい。路側機撮像部220は、車両10の進行方向の左側に位置する物体30を含むように撮影してよい。
【0049】
図4で示した状況の場合に表示部140で表示される、第1車両撮像部131で撮影した画像に障害物画像31及び輪郭画像40を重畳させた画像50を、
図5を参照して説明する。
【0050】
画像50は、例えば、
図5に示すように、第1車両撮像部131で撮影した第1画像に、検知部121で検知した物体30の種類に応じた障害物画像31を重畳させたアイコンであってよい。障害物画像31は、例えば、物体30の種類に応じたアイコンの外側を立方体等で囲んだような画像であってよい。物体30が複数ある場合、障害物画像31は、画像50上に複数重畳されてよい。
【0051】
障害物画像31は、車両10によって死角が発生している死角領域に存在する物体のうち、危険であると判断された物体30に対応する画像である。第1画像における障害物画像31の表示位置は、路側機撮像部220によって撮影された物体30の位置に対応する。言い換えると、障害物画像31の表示位置は、車両10の車体を透かして死角領域を見た場合に、車両撮像部130から見えるであろう位置に対応する。
【0052】
画像処理部123は、障害物画像31の表示形態を、危険度に応じて変化させてよい。表示形態の変化は、例えば、色、透過率、彩度、明度、大きさ等の変化、および、点滅、移動などの動的な表示方法の変化としてよい。画像処理部123は、障害物画像31を、危険度に応じて異なる色で表示させてよい。
【0053】
画像処理部123は、例えば、障害物画像31と輪郭画像40との位置関係が把握しやすいような画像50を作成してよい。例えば、障害物画像31の外側を囲う立方体もしくは四角形のうち最も車両10に近く、路面と近い直線を直線31aとする。輪郭画像40を構成する輪郭線のうち最も路面に近い直線を直線40aとする。直線31aと直線40aとが平行になるように、画像50に表示されてよい。画像50において直線31aと直線40aは、路面からの高さが同じであってよい。
【0054】
図5において、例えば、危険度推定部122で危険度が高いと推定された物体30を示す障害物画像31は赤色で表示してよい。危険度推定部122で障害物画像31が赤色で示される物体30の危険度より低いと推定された場合、物体30の位置に重畳させる障害物画像31は黄色で表示してよい。危険度推定部122で障害物画像31が黄色で示される物体30の危険度より低いと推定された場合、物体30の位置に重畳させる障害物画像31は青色で表示してよい。処理部は、例えば、車両撮像部130の撮影領域の外に車両
10にとって危険と判断された物体30が存在することを示す画像を第1画像に重畳させてよい。車両撮像部130の撮影領域の外に車両10にとって危険と判断された物体30が存在することを示す画像とは、撮影領域の外から物体30が車両10へ移動する方向を示す矢印等であってよい。当該画像、第1画像の物体30が存在する方向に対応する右端又は左端に表示されてよい。
【0055】
以上のように、本開示にかかる表示システム1は、上記の構成によって、車両10の車体によって死角が発生する領域に、死角が発生する領域の情報を含んだ車両10の周囲情報を車両10の運転者に提供することができる。車両10の車体によって死角が発生する領域とは、車両10のドア等によって運転席から目視することが出来ない領域である。
【0056】
車両撮像部130は、例えば、運転席の後方や側方が撮影できる位置に取り付けてよい。運転者は、表示システム1によって、死角が発生する領域の車外の状況を把握することができる。例えば、車両が交差点を左折する際に、車両10と接触する可能性がある物体30が存在する場合、表示システム1を用いることで、車体によって発生する死角に位置する物体30を認識できるため、物体30を巻き込んで左折するような事故を防ぐことか出来る。
【0057】
例えば、バスに車両撮像部130を取り付けた場合、車両撮像部130は、運転席から車両10の乗降口とその近傍が含まれる領域が撮影できる位置に取り付けてよい。車両撮像部130は、例えば、バスの乗降口が撮影できる位置に取り付けてよい。運転者は、表示システム1によって、バスの乗降口付近の車内状況と車外状況を同時に把握することができる。例えば、バスから車外に降りる乗客と接触する可能性がある自転車等の物体30が存在する場合、表示システム1を用いることで、車体によって発生する死角に位置する物体30を認識できる。したがってバスの運転手は、バスから下りる乗客に対して車外にいる物体30について警告を発することで、物体30との接触事故を防ぐことか出来る。
【0058】
本開示の実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行されるプログラム又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0059】
表示装置140は、例えば、車両10の内部に設置されるに限られない。車両10を遠隔操作される場所に設置され、遠隔操作を支援するものであってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 表示システム
10 車両
20 路側機
30 物体
31 障害物画像
40 輪郭画像
50 画像
60a、60b、60c、60d 歩道
110 車両通信部
120 処理部
121 検知部
122 危険度推定部
123 画像処理部
130 車両撮像部
131 第1車両撮像部
132 第2車両撮像部
140 表示部
210 路側機通信部
220 路側機撮像部
D1 第1の方向
D2 第2の方向