(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093023
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】電力生成システム、受電モジュール及び給電モジュール
(51)【国際特許分類】
H02J 50/05 20160101AFI20230627BHJP
【FI】
H02J50/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208406
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩川 明実
(72)【発明者】
【氏名】生島 剛
(57)【要約】
【課題】絶縁電線に適用可能で、かつ電力を生成する。
【解決手段】電力生成システム10は、第1モジュール(受電モジュール1)と、第2モジュール(給電モジュール2)と、を備える。第1モジュールは、絶縁電線3に取り付けられる。第2モジュールは、絶縁電線3に接続され、商用周波数よりも高い周波数の電圧である高周波電圧を複数の導体間に印加する。第1モジュールは、複数の電極と、電源回路と、を有する。複数の電極は、絶縁電線3の複数の導体に対してそれぞれ対向するように配置される。電源回路は、複数の電極に接続されている。電源回路は、複数の導体間に印加される上記高周波電圧を含む電圧、及び複数の導体の各々と複数の電極のうち対応する電極との間の静電容量により発生する電気エネルギから、電力を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導体、及び前記複数の導体をそれぞれ覆う複数の絶縁体を含む絶縁電線に取り付けられる第1モジュールと、
前記絶縁電線に接続され、商用周波数よりも高い周波数の電圧である高周波電圧を前記複数の導体間に印加する第2モジュールと、を備え、
前記第1モジュールは、
前記複数の導体に対してそれぞれ対向するように配置される複数の電極と、
前記複数の電極に接続されている電源回路と、を有し、
前記電源回路は、前記複数の導体間に印加される前記高周波電圧を含む電圧、及び前記複数の導体の各々と前記複数の電極のうち対応する電極との間の静電容量により発生する電気エネルギから、電力を生成する、
電力生成システム。
【請求項2】
前記第2モジュールは、前記絶縁電線に印加される商用電源電圧に対して前記高周波電圧を重畳する電圧重畳部を有する、
請求項1に記載の電力生成システム。
【請求項3】
前記電圧重畳部は、前記商用電源電圧に対して間欠的に前記高周波電圧を重畳する、
請求項2に記載の電力生成システム。
【請求項4】
前記電圧重畳部は、前記商用電源電圧の位相に基づいて前記商用電源電圧に前記高周波電圧を重畳する、
請求項2又は3に記載の電力生成システム。
【請求項5】
前記第2モジュールは、
スイッチング素子と、
前記絶縁電線に印加される商用電源電圧が前記高周波電圧となるように前記スイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路と、を有する、
請求項1に記載の電力生成システム。
【請求項6】
前記制御回路は、前記商用電源電圧の位相に基づいて前記スイッチング素子のオン/オフを制御する、
請求項5に記載の電力生成システム。
【請求項7】
主幹ブレーカ及び1以上の分岐ブレーカを含む複数の内部機器を有する分電盤を更に備え、
前記複数の内部機器は、前記第2モジュールを含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の電力生成システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電力生成システムに前記第1モジュールとして用いられる、
受電モジュール。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電力生成システムに前記第2モジュールとして用いられる、
給電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電力生成システム、受電モジュール及び給電モジュールに関し、より詳細には、電力を生成する電力生成システム、電力生成システムが備える受電モジュール、及び電力生成システムが備える給電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、架空電力線のような裸電線からの静電誘導によって電力を生成する電源装置が記載されている。特許文献1に記載の電源装置は、誘導電極と、遮蔽体と、出力部と、を備える。誘導電極は、複数の導体(架空電力線)のうち一の導体近傍に配設される。遮蔽体は、複数の導体のうち他の導体と一の導体との間に配設され、他の導体から発生する電界を誘導電極に対して遮蔽する。出力部は、誘導電極と遮蔽体との間の浮遊静電容量及びインダクタンスによる並列回路の両端から引き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電源装置は、架空電力線のような裸電線を対象としており、VVFケーブルのような絶縁電線に適用することができなかった。
【0005】
本開示の目的は、絶縁電線に適用可能で、かつ電力を生成することが可能な電力生成システム、受電モジュール及び給電モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電力生成システムは、第1モジュールと、第2モジュールと、を備える。前記第1モジュールは、絶縁電線に取り付けられる。前記絶縁電線は、複数の導体、及び前記複数の導体をそれぞれ覆う複数の絶縁体を含む。前記第2モジュールは、前記絶縁電線に接続され、商用周波数よりも高い周波数の電圧である高周波電圧を前記複数の導体間に印加する。前記第1モジュールは、複数の電極と、電源回路と、を有する。前記複数の電極は、前記複数の導体に対してそれぞれ対向するように配置される。前記電源回路は、前記複数の電極に接続されている。前記電源回路は、前記複数の導体間に印加される前記高周波電圧を含む電圧、及び前記複数の導体の各々と前記複数の電極のうち対応する電極との間の静電容量により発生する電気エネルギから、電力を生成する。
【0007】
本開示の一態様に係る受電モジュールは、前記電力生成システムに前記第1モジュールとして用いられる。
【0008】
本開示の一態様に係る給電モジュールは、前記電力生成システムに前記第2モジュールとして用いられる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る電力生成システム、受電モジュール及び給電モジュールによれば、絶縁電線に適用可能で、かつ電力を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電力生成システムの構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る受電モジュールの構成図である。
【
図3】
図3は、同上の受電モジュールが絶縁電線に取り付けられた状態の斜視図である。
【
図4】
図4Aは、同上の受電モジュールが取り付けられる絶縁電線に印加される商用電源電圧の波形図である。
図4Bは、同上の受電モジュールが取り付けられる絶縁電線に印加される商用電源電圧に高周波電圧を重畳させた場合の波形図である。
【
図5】
図5は、同上の受電モジュールの筐体を開いた状態の平面図である。
【
図6】
図6は、同上の受電モジュールの断面図である。
【
図7】
図7A~
図7Cは、同上の受電モジュールが取り付けられる絶縁電線のバリエーションを示す模式図である。
【
図8】
図8は、実施形態の変形例2に係る給電モジュールのブロック図である。
【
図9】
図9は、実施形態の変形例2に係る受電モジュールが取り付けられる絶縁電線に印加される商用電源電圧の特定期間において商用電源電圧を特定周波数でスイッチングした場合の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る電力生成システム、受電モジュール及び給電モジュールについて、図面を参照して説明する。以下の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
(実施形態)
(1)概要
本実施形態に係る電力生成システム10は、
図1に示すように、例えば、施設100内に設けられている分電盤4に適用され、分電盤4から引き出される絶縁電線3に受電モジュール1を取り付けることで、受電モジュール1において電力を生成するシステムである。施設100は、例えば、分電盤4が設置されている建物であって、戸建住宅又は集合住宅の各住戸のような住宅、或いは、事務所、店舗、工場又は介護施設のような非住宅である。本実施形態では、施設100が戸建住宅である場合を例に説明する。
【0013】
電力生成システム10は、
図1に示すように、第1モジュール(モジュール)としての複数(図示例では6つ)の受電モジュール1と、第2モジュールとしての給電モジュール2と、を備える。また、電力生成システム10は、外部装置としての通信アダプタ5を更に備える。
【0014】
受電モジュール1は、
図3に示すように、絶縁電線3に取り付けられる。絶縁電線3は、例えば、屋内電気配線用のVVF(ビニル絶縁ビニルシース平形)ケーブルであって、複数(図示例では2つ)の導体31と、複数(図示例では2つ)の絶縁体32と、を含む。複数の絶縁体32は、複数の導体31をそれぞれ覆う。
【0015】
受電モジュール1は、
図2に示すように、複数(図示例では2つ)の電極11と、電源回路12と、を備える。複数の電極11は、複数の導体31に対してそれぞれ対向するように配置される。電源回路12は、複数の電極11に接続されている。電源回路12は、複数の導体31間に印加される高周波電圧を含む電圧、及び複数の導体31の各々と複数の電極11のうち対応する電極11との間の静電容量C1,C2により発生する電気エネルギから、電力を生成する。
【0016】
給電モジュール2は、
図1に示すように、絶縁電線3に接続されている。給電モジュール2は、商用周波数よりも高い周波数の電圧である高周波電圧を複数の導体31間に印加する。
【0017】
通信アダプタ5は、受電モジュール1と通信する。
【0018】
絶縁電線3に取り付けられた受電モジュール1では、絶縁電線3の各導体31と対応する電極11との間に静電容量C1,C2が発生し、複数の導体31間に印加される商用電源電圧と静電容量C1,C2とで電気エネルギが発生する。この電気エネルギによる電流i1(
図2参照)が複数の電極11を介して電源回路12に入力され、電源回路12において電力が生成される。すなわち、本実施形態に係る電力生成システム10によれば、絶縁電線3に適用可能で、かつ電力を生成することが可能となる。
【0019】
また、本実施形態に係る電力生成システム10では、給電モジュール2にて、絶縁電線3に高周波電圧を印加させている。これにより、各導体31と対応する電極11との間に発生する静電容量C1,C2を大きくすることが可能となり、その結果、電源回路12で生成される電力についても大きくすることが可能となる。
【0020】
本実施形態では、受電モジュール1が第1モジュールを構成し、給電モジュール2が第2モジュールを構成している。すなわち、受電モジュール1は、電力生成システム10に第1モジュールとして用いられる。また、給電モジュール2は、電力生成システム10に第2モジュールとして用いられる。
【0021】
(2)詳細
本実施形態に係る電力生成システム10は、上述したように、分電盤4に適用される。すなわち、電力生成システム10は、受電モジュール1、給電モジュール2及び通信アダプタ5に加えて、分電盤4を更に備える。
【0022】
(2.1)分電盤
分電盤4は、
図1に示すように、複数の内部機器40を有する。複数の内部機器40は、主幹ブレーカ41と、複数の分岐ブレーカ42と、給電モジュール2と、通信アダプタ5と、を含む。
【0023】
(2.1.1)主幹ブレーカ
主幹ブレーカ41は、例えば、3極の中性線欠相保護機能付きの漏電遮断器である。主幹ブレーカ41の入力側(電源側)の3つの入力端子は、単相3線の配電方式における、第1電圧線、第2電圧線及び中性線に一対一かつ電気的に接続されている。また、主幹ブレーカ41の出力側(負荷側)の3つの出力端子は、第1導電バー、第2導電バー及び第3導電バーに一対一かつ電気的に接続されている。第1導電バーは第1電圧線と導通し、第2導電バーは第2電圧線と導通し、第3導電バーは中性線と導通する。
【0024】
(2.1.2)分岐ブレーカ
複数の分岐ブレーカ42の各々は、例えば、過電流引き外し装置を備えた回路遮断器である。各分岐ブレーカ42の入力側(電源側)の2つの入力端子は、第1導電バー及び第2導電バーのいずれかと第3導電バーとに一対一かつ電気的に接続されている。この場合、各分岐ブレーカ42には、実効値100Vの交流電圧が供給される。なお、1以上の分岐ブレーカ42の2つの入力端子は、第1導電バー及び第2導電バーに一対一かつ電気的に接続されていてもよい。この場合、1以上の分岐ブレーカ42には、実効値200Vの交流電圧が供給される。
【0025】
各分岐ブレーカ42の出力側(負荷側)の2つの端子は、屋内配線用の絶縁電線3を介して配線器具102に電気的に接続されている。配線器具102は、例えば、屋内の壁に埋め込み配設されたコンセント、及び屋内の天井に設けられた引掛シーリングボディを含む。各配線器具102には、1以上の負荷101が接続される。
図1では、各配線器具102には、1つの負荷101が接続されている。負荷101は、例えば、洗濯機、冷蔵庫、テレビジョン受信機、照明器具等の電気機器である。なお、電磁調理器及び浴室乾燥機のような負荷101は、配線器具102を介さずに分岐ブレーカ42の出力端子に直接接続される場合もある。
【0026】
(2.1.3)通信アダプタ
通信アダプタ5は、
図1に示すように、第1通信部51と、第2通信部52と、計測部53と、制御部54と、を有する。通信アダプタ5は、上述の主幹ブレーカ41及び複数の分岐ブレーカ42と共に分電盤4のボックス43に収容される。
【0027】
第1通信部51は、例えば、920MHz帯の特定小電力無線局に準拠した特定小電力無線モジュールを有する。第1通信部51は、図示しないHEMS(Home Energy Management System)との間で特定小電力無線通信を行う。なお、第1通信部51は、特定小電力無線モジュールに代えて、100BASE-T又は1000BASE-Tのような有線LANの規格に準拠したネットワークコントローラ(集積回路)を有していてもよい。この場合、第1通信部51は、LANケーブル及びルータを介して、HEMSコントローラとの間で有線通信を行う。
【0028】
第2通信部52は、例えば、BLE(Bluetooth[登録商標] Low Energy)に準拠した無線通信を行うように構成されている。第2通信部52は、後述の受電モジュール1の通信回路14との間で無線通信を行う。なお、第2通信部52は、無線LANの規格(例えば、IEEE802.11b/g/n)、ZIG Bee(登録商標)に準拠した無線通信又は赤外線通信等を行うように構成されていてもよい。
【0029】
計測部53は、主幹ブレーカ41を流れる主幹電流、及び各分岐ブレーカ42を流れる分岐電流をそれぞれ計測する。また、計測部53は、計測した主幹電流及び各分岐電流に基づいて、主幹ブレーカ41を含む主幹回路の消費電力、及び各分岐ブレーカ42を含む各分岐回路の消費電力をそれぞれ算出する。
【0030】
制御部54は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムにより実現され得る。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、制御部54として機能する。プログラムは、ここでは制御部54のメモリに予め記録されているが、例えば、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよいし、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。制御部54は、上述の第1通信部51、第2通信部52及び計測部53を各別に制御する。
【0031】
本実施形態では、上述したように、通信アダプタ5が外部装置を構成する。すなわち、電力生成システム10は、後述するモジュールとしての受電モジュール1と、外部装置としての通信アダプタ5と、を備える。通信アダプタ5は、受電モジュール1と通信する。
【0032】
(2.1.4)給電モジュール
給電モジュール2は、
図1に示すように、主幹ブレーカ41の出力側の導電バーに接続されている。給電モジュール2は、電圧重畳部21を有する。電圧重畳部21は、絶縁電線3に重畳される商用電源電圧(例えば、60Hz、100V)に対して高周波電圧を印加する。高周波電圧は、商用電源電圧の周波数である商用周波数よりも高い周波数の電圧である。
図4Aは、絶縁電線3に印加される商用電源電圧の波形図であり、
図4Bは、商用電源電圧に高周波電圧を重畳した波形図である。一例として、電圧重畳部21は、2MHz、1Vの高周波電圧を商用電源電圧に重畳する。
【0033】
電圧重畳部21は、例えば、10秒間隔で間欠的に高周波電圧を商用電源電圧に重畳する。これにより、電圧重畳部21が連続して高周波電圧を商用電源電圧に重畳する場合と比較して、電圧重畳部21の消費電力を抑制することが可能となる。ここで、電圧重畳部21が高周波電圧を商用電源電圧に重畳するタイミングは、後述のセンサ回路13が施設100内の情報(例えば、温度情報、湿度情報)をセンシングするタイミングを含んでいることが好ましい。
【0034】
また、電圧重畳部21は、商用電源電圧の位相に基づいて商用電源電圧に高周波電圧を重畳することが好ましい。例えば、商用電源電圧がゼロクロスのタイミングで高周波電圧を重畳した場合、負荷101への影響が最大となり、負荷101の誤動作が生じる可能性がある。したがって、電圧重畳部21は、
図4Bに示すように、例えば、商用電源電圧の位相が90°±10°の範囲(商用電源電圧の振幅の最大値を含む所定範囲)で商用電源電圧に高周波電圧を重畳することが好ましい。これにより、商用電源電圧に重畳させた高周波電圧による負荷101への影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0035】
本実施形態では、給電モジュール2が第2モジュールを構成しており、電力生成システム10の第2モジュールとして用いられる。
【0036】
(2.2)受電モジュール
受電モジュール1は、
図2に示すように、複数(図示例では2つ)の電極11と、電源回路12と、センサ回路13と、通信回路14と、を有する。また、受電モジュール1は、
図3、
図5及び
図6に示すように、筐体15を更に備える。受電モジュール1は、
図3に示すように、絶縁電線3に取り付けられる。本実施形態では、受電モジュール1が第1モジュール(モジュール)を構成しており、電力生成システムの第1モジュール1として用いられる。
【0037】
(2.2.1)電極
複数の電極11は、
図2に示すように、後述の絶縁電線3の複数の導体31に対してそれぞれ対向するように配置される。複数の電極11の各々は、
図2に示すように、円弧状に形成されている。より詳細には、複数の電極11の各々は、受電モジュール1が絶縁電線3に取り付けられた状態で、絶縁電線3の外形に沿った形状である。さらに、本実施形態では、複数の電極11は、受電モジュール1の筐体15が絶縁電線3に取り付けられた状態で、絶縁電線3に密着する(
図6参照)。また、複数の電極11の各々は、
図3及び
図5に示すように、絶縁電線3の長手方向に沿った方向である第1方向D1に沿って長尺である。第1方向D1における複数の電極11の各々の長さは、後述の密着部材6の長さよりも短く、かつ筐体15の長さよりも短い。複数の電極11は、電源回路12の入力端に電気的に接続されている。
【0038】
(2.2.2)電源回路
電源回路12は、
図2に示すように、複数の電極11に電気的に接続されている。電源回路12は、後述のセンサ回路13及び通信回路14の動作電源を生成する。電源回路12は、コンデンサと、昇圧回路と、平滑回路と、を含む。電源回路12では、複数の電極11を介してコンデンサに電力が蓄積され、コンデンサの両端電圧が昇圧回路の最低動作電圧以上になると、昇圧回路がコンデンサの両端電圧よりも高い電圧の昇圧電力を生成する。さらに、電源回路12では、昇圧回路で生成された昇圧電力を平滑回路により平滑し、センサ回路13及び通信回路14に供給する。
【0039】
(2.2.3)センサ回路
センサ回路13は、施設100内の情報をセンシングする。ここで、「情報をセンシングする」とは、施設100内の温度、湿度等の物理量を検出(計測)することを意味する。施設100内の情報は、例えば、室内温度及び室内湿度である。すなわち、センサ回路13は、室内温度を検出する温度センサ、及び室内湿度を検出する湿度センサを含む。センサ回路13は、上述の電源回路12から電力が供給され、この電力によって動作する。なお、施設100内の情報は、上述の室内温度及び室内湿度に限らず、施設100内の情報であれば他の情報であってもよい。
【0040】
(2.2.4)通信回路
通信回路14は、例えば、外部装置としての通信アダプタ5の第2通信部52(
図1参照)との間で無線通信を行う。通信回路14は、例えば、BLEに準拠した無線通信を行うように構成されている。通信回路14は、上述の電源回路12から電力が供給され、この電力によって動作する。なお、通信回路14についても、無線LANの規格(例えば、IEEE802.11b/g/n)、ZIG Bee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)に準拠した無線通信又は赤外線通信等を行うように構成されていてもよい。
【0041】
(2.2.5)筐体
筐体15は、例えば、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂又はPBT(Polybutylene Terephthalate)樹脂のような合成樹脂による成形品である。筐体15は、
図3に示すように、例えば、直方体状である。筐体15は、2つの分割筐体151,152を有する。2つの分割筐体151,152は、円弧状に形成された連結体153によって互いに開閉可能に連結されている。以下、2つの分割筐体151,152の一方を第1分割筐体151、他方を第2分割筐体152と称する場合もある。
【0042】
第1分割筐体151は、
図5及び
図6に示すように、第1方向D1及び第2方向D2の両方に直交する第3方向D3における一面(
図6の右面)に第1凹部155が設けられた矩形の箱状である。第1凹部155は、第1方向D1からの平面視において半楕円形状である。
【0043】
ここで、第2方向D2は、絶縁電線3の長手方向である第1方向D1に交差(直交)する方向であって、絶縁電線3の複数の導体31が並ぶ方向と交差(直交)する方向である。また、第3方向D3は、上述したように、第1方向D1及び第2方向D2の両方に交差(直交)する方向であって、複数の導体31が並ぶ方向である。
【0044】
第2分割筐体152は、第1分割筐体151と同様、第3方向D3における一面(
図6の左面)に第2凹部156が設けられた矩形の箱状である。第2凹部156は、第1方向D1からの平面視において半楕円形状である。また、第2分割筐体152は、結合板154を有する。結合板154は、第2方向D2からの平面視において矩形状である。
図6に示すように、絶縁電線3に筐体15が取り付けられた状態では、第3方向D3(
図6の左右方向)において結合板154の一部(先端部)が第1分割筐体151側に突出している。このため、絶縁電線3に筐体15が取り付けられた状態では、結合板154により第2分割筐体152に対する第1分割筐体151の移動(回転)が規制される。その結果、絶縁電線3に筐体15が取り付けられた状態を保持することが可能となる。
【0045】
また、結合板154には、
図6に示すように、溝1541が設けられている。溝1541は、結合板154の厚さ方向(
図6の上下方向)に沿って矩形状に凹設されている。
図6に示すように、絶縁電線3に筐体15が取り付けられた状態で、工具(例えば、マイナスドライバ)の先端部を溝1541に差し込み、工具の基端部(先端部とは反対側の端部)が筐体15に近づくように工具を移動させる。これにより、結合板154の先端部を筐体15から離れる向き(
図6の上向き)に変形させることが可能となり、結合板154の先端部を変形させた状態で第2分割筐体152に対して第1分割筐体151を回転させる。その結果、絶縁電線3から受電モジュール1を取り外すことが可能となる。
【0046】
すなわち、2つの分割筐体151,152は、絶縁電線3の長手方向である第1方向D1に交差する第2方向D2における一端部(
図6の下端部)において互いに開閉可能に連結されている。また、2つの分割筐体151,152は、第2方向D2における他端部(
図6の上端部)において互いに結合される。
【0047】
ここで、筐体15が絶縁電線3に取り付けられた状態では、
図6に示すように、第1分割筐体151の第1凹部155と第2分割筐体152の第2凹部156とで、第1方向D1からの平面視において、楕円形状の保持部150が構成される。保持部150は、
図6に示すように、絶縁電線3の外形(シース33の外形)に沿った形状を有する。すなわち、筐体15は、絶縁電線3の外形に沿った保持部150を有する。そして、上述の複数の電極11は、
図6に示すように、保持部150における絶縁電線3との対向面1551,1561(
図5参照)に沿って配置されている。
【0048】
(2.3)絶縁電線
絶縁電線3は、例えば、施設100内の負荷101に電力を供給する電源線である。絶縁電線3は、例えば、屋内電気配線用のVVFケーブルである。絶縁電線3は、
図2及び
図3に示すように、複数(図示例では2つ)の導体31と、複数(図示例では2つ)の絶縁体32と、シース33と、を含む。
【0049】
複数の導体31の各々は、例えば、単線又は撚り線からなる銅線である。複数の絶縁体32の各々は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)を材料とし、複数の導体31のうち対応する導体31を覆っている。シース33は、絶縁体32と同様、ポリ塩化ビニルを材料とし、複数の絶縁体32を覆っている。すなわち、絶縁電線3では、複数の導体31が二重の絶縁物(絶縁体32及びシース33)により覆われている。シース33の断面形状は、
図2及び
図3に示すように、絶縁電線3の長手方向である第1方向D1から見て、第3方向D3を長径とする楕円形状である。本実施形態では、60Hz、100Vの交流電圧(商用電源電圧)が複数の導体31間に印加される。
【0050】
ここで、本実施形態に係る受電モジュール1は、
図5及び
図6に示すように、複数(図示例では2つ)の密着部材6を更に備える。複数の密着部材6は、例えば、ゴムのような弾性材料からなり、筐体15の第1凹部155及び第2凹部156の形状に沿った円弧状である(
図6参照)。複数の密着部材6の各々は、
図6に示すように、第3方向D3(
図6の左右方向)において、複数の電極11のうち対応する電極11と、第1凹部155の対向面1551又は第2凹部156の対向面1561との間に設けられている。対向面1551は、第1凹部155における絶縁電線3との対向面である。対向面1561は、第2凹部156における絶縁電線3との対向面である。
【0051】
複数の密着部材6は、
図6に示すように、受電モジュール1の筐体15が絶縁電線3に取り付けられた状態で、絶縁電線3に複数の電極11を密着させる。これにより、各電極11と対応する導体31との間に発生する静電容量C1,C2を大きくすることが可能となり、その結果、電源回路12で生成される電力を大きくすることが可能となる。
【0052】
(3)受電モジュールの特性
次に、受電モジュール1の特性について説明する。
【0053】
受電モジュール1では、上述したように、複数の電極11の各々は、複数の導体31のうち対応する導体31、つまり一方向(第3方向D3)において対向している導体31との間に静電容量C1,C2が発生する。ここで、複数の導体31と電源回路12とを接続する導線の抵抗値をRcとし、複数の導体31間に印加される電圧をVsとする。この場合、抵抗値Rcは(1)式に基づいて算出される。
【0054】
【0055】
そして、電源回路12に流れ込む電流i1は、(2)式に基づいて算出される。
【0056】
【0057】
(2)式に示す電流i1が電源回路12のコンデンサに流れることで、コンデンサに電力が蓄積される。そして、上述したように、コンデンサの両端電圧が昇圧回路の最低動作電圧以上になると、昇圧回路がコンデンサの両端電圧よりも高い電圧の昇圧電力を生成し、さらに昇圧回路で生成された昇圧電力を平滑回路により平滑する。電源回路12は、平滑回路で平滑された電力(直流電力)をセンサ回路13及び通信回路14に供給する。
【0058】
このように、電源回路12は、絶縁電線3の複数の導体31間に印加される電圧と、複数の導体31の各々と複数の電極11のうち対応する電極11との間の静電容量C1,C2により発生する電気エネルギから、センサ回路13及び通信回路14に供給する電力を生成する。すなわち、本実施形態に係る受電モジュール1によれば、絶縁電線3に適用可能で、かつ電力を生成することが可能となる。
【0059】
ところで、本実施形態に係る電力生成システム10では、上述したように、絶縁電線3に印加される商用電源電圧に対して高周波電圧を重畳させている。これにより、絶縁電線3に商用電源電圧のみを印加する場合に比べて、電源回路12に出力される電流i1の電流値を大きくすることが可能となる。例えば、2MHz、1Vの高周波電圧を商用電源電圧に重畳させた場合、電流i1の電流値を300倍程度まで大きくすることが可能となる。すなわち、本実施形態に係る電力生成システム10では、複数の導体31間に印加される電圧は、上述の高周波電圧を含む電圧であり、より詳細には、商用電源電圧に高周波電圧を重畳させた電圧である。
【0060】
(4)効果
実施形態に係る電力生成システム10では、受電モジュール1が絶縁電線3に取り付けられた状態において、
図2及び
図6に示すように、各電極11と対応する導体31とが対向している。これにより、各電極11と対応する導体31との間に静電容量C1,C2が発生する。そして、電源回路12は、複数の導体31間に印加される電圧Vs、及び静電容量C1,C2により発生する電気エネルギから、電力を生成している。すなわち、本実施形態に係る電力生成システム10によれば、絶縁電線3に適用可能で、かつ電力を生成することが可能となる。
【0061】
また、実施形態に係る電力生成システム10では、給電モジュール2にて、絶縁電線3に高周波電圧を印加させている。これにより、各導体31と対応する電極11との間に発生する静電容量C1,C2を大きくすることが可能となり、その結果、電源回路12で生成される電力についても大きくすることが可能となる。
【0062】
また、実施形態に係る電力生成システム10では、電圧重畳部21は、絶縁電線3に印加される商用電源電圧に対して高周波電圧を重畳している。これにより、各導体31と対応する電極11との間に発生する静電容量C1,C2を大きくすることが可能となり、その結果、電源回路12で生成される電力についても大きくすることが可能となる。
【0063】
また、実施形態に係る電力生成システム10では、電圧重畳部21は、商用電源電圧に対して間欠的に高周波電圧を重畳している。これにより、電圧重畳部21の消費電力を抑制することが可能となる。
【0064】
また、実施形態に係る電力生成システム10では、電圧重畳部21は、商用電源電圧の位相に基づいて商用電源電圧に高周波電圧を重畳している。これにより、高周波電圧による負荷101への影響を抑制することが可能となる。
【0065】
また、実施形態に係る電力生成システム10では、分電盤4は、主幹ブレーカ41、1以上の分岐ブレーカ42及び給電モジュール2を含む複数の内部機器40を有している。これにより、分岐ブレーカ(42)を含む各分岐回路に対してほぼ均等に高周波電圧を重畳することが可能となる。
【0066】
(5)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0067】
(5.1)変形例1
上述の実施形態では、絶縁電線3がVVFケーブルであるが、絶縁電線3はVVFケーブルに限らず、例えば、VCTF(ビニルキャブタイヤ)ケーブルであってもよい。絶縁電線3は、
図7Aに示すように、複数(図示例では2つ)の導体31と、複数(図示例では2つ)の絶縁体32と、シース33と、を含む。シース33は、絶縁電線3の長手方向(
図7Aの紙面に垂直な方向)からの平面視において円形である。この場合、複数の電極11の各々は、
図7Aに示すように、複数の導体31のうち対応する導体31と対向するように、シース33の外形に沿って配置される。
【0068】
また、絶縁電線3は、例えば、NNFF(クロロプレンゴム絶縁平形)コードであってもよい。絶縁電線3は、
図7Bに示すように、複数(図示例では2つ)の導体31と、複数(図示例では2つ)の絶縁体32と、を含む。複数の絶縁体32の各々は、絶縁電線3の長手方向(
図7Bの紙面に垂直な方向)からの平面視において楕円形状である。この場合、複数の電極11の各々は、
図7Bに示すように、複数の導体31のうち対応する導体31と対向するように、複数の絶縁体32のうち対応する絶縁体32の外形に沿って配置される。
【0069】
また、絶縁電線3は、例えば、VFF(ビニル平形)ケーブルであってもよい。絶縁電線3は、
図7Cに示すように、複数(図示例では2つ)の導体31と、複数(図示例では2つ)の絶縁体32と、を含む。複数の絶縁体32の各々は、絶縁電線3の長手方向(
図7Cの紙面に垂直な方向)からの平面視において楕円形状である。この場合、複数の電極11の各々は、
図7Cに示すように、複数の導体31のうち対応する導体31と対向するように、複数の絶縁体32のうち対応する絶縁体32の外形に沿って配置される。
【0070】
(5.2)変形例2
上述の実施形態では、給電モジュール2が電圧重畳部21を有しており、電圧重畳部21が商用電源電圧に対して高周波電圧を重畳することにより、電源回路12で生成される電力を大きくしている。これに対して、
図8に示すように、給電モジュール2Aは、スイッチング素子22と、制御回路23と、を有していてもよい。以下、変形例2に係る給電モジュール2Aについて、
図8及び
図9を参照して説明する。
【0071】
変形例2に係る給電モジュール2Aは、
図8に示すように、スイッチング素子22と、制御回路23と、を有する。スイッチング素子22は、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)のような半導体スイッチである。スイッチング素子22は、例えば、Nチャネル型のMOSFETであるが、Pチャネル型のMOSFETであってもよい。スイッチング素子22は、主幹ブレーカ41の出力側と各分岐ブレーカ42の入力側との間の電路に挿入されており、スイッチング素子22をオン/オフすることにより絶縁電線3に印加される商用電源電圧をオン/オフすることが可能となる。
【0072】
制御回路23は、スイッチング素子22のオン/オフを制御する。より詳細には、制御回路23は、例えば、2MHzのスイッチング周波数でスイッチング素子22のオン/オフを制御する。これにより、スイッチング素子22を高速にスイッチングさせている期間において、絶縁電線3に印加される商用電源電圧を高周波電圧にすることが可能となる。すなわち、制御回路23は、絶縁電線3に印加される商用電源電圧が高周波電圧となるようにスイッチング素子22のオン/オフを制御する。これにより、絶縁電線3に印加される商用電源電圧に対してスイッチング動作を行わない場合に比べて、電源回路12に出力される電流i1の電流値を大きくすることが可能となる。例えば、2MHz、100Vの高周波電圧を絶縁電線3に印加させた場合、電流i1の電流値を30000倍程度まで大きくすることが可能となる。
【0073】
ここで、制御回路23は、絶縁電線3に印加される商用電源電圧の位相に基づいてスイッチング素子22のオン/オフを制御する。より詳細には、制御回路23は、
図9に示すように、商用電源電圧の位相が90°±10°となる範囲(
図9のハッチングで示す範囲)において、2MHzのスイッチング周波数でスイッチング素子22をオン/オフする。これにより、複数の分岐ブレーカ42にそれぞれ接続されている複数の負荷101に電力を供給しつつ、スイッチングによる負荷101への影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0074】
変形例2では、絶縁電線3は、商用電源電圧が印加される電源線であるが、絶縁電線3は専用線であってもよい。専用線の末端は開放されていることが好ましい。この場合、専用線からなる絶縁電線3に受電モジュール1を取り付けることで、受電モジュール1において電力を生成することが可能となる。
【0075】
(5.3)その他の変形例
以下、その他の変形例を列挙する。
【0076】
上述の実施形態では、絶縁電線3に印加される商用電源電圧が60Hz、100Vであるが、商用電源電圧は60Hz、100Vに限らず、例えば、50Hz、100Vであってもよい。さらに、商用電源電圧は、例えば、50Hz、200Vであってもよいし、60Hz、200Vであってもよい。
【0077】
上述の実施形態では、各電極11の形状が円弧状であるが、各電極11の形状は円弧状に限らず、例えば、平板状であってもよい。また、複数の電極11の個数は2つに限らず、例えば、3つであってもよい。この場合、導体31の個数も3つであって、複数の電極11と複数の導体31とが一対一に対応していることが好ましい。
【0078】
上述の実施形態では、絶縁電線3の導体31の個数が2つであるが、導体31の個数は2つに限らず、例えば、3つであってもよい。この場合、絶縁体32の個数も3つであって、複数の導体31と複数の絶縁体32とが一対一に対応していることが好ましい。
【0079】
上述の実施形態では、筐体15が直方体状であるが、筐体15は直方体状に限らず、保持部150を有する構造であれば球状であってもよい。
【0080】
上述の実施形態では、分電盤4は、内部機器40として、複数の分岐ブレーカ42を有しているが、分電盤4は、1つの分岐ブレーカ42を有していてもよい。
【0081】
上述の実施形態では、給電モジュール2は、主幹ブレーカ41の出力側と各分岐ブレーカ32の入力側との間の電路に接続されている。これに対して、給電モジュール2は、例えば、配線器具102及び負荷101が接続されていない分岐ブレーカ42の出力側に接続されていてもよい。
【0082】
上述の実施形態では、電力生成システム10が通信アダプタ5を備えているが、通信アダプタ5については省略されてもよい。すなわち、本実施形態に係る電力生成システム(モジュールシステム)10は、第1モジュールとしての受電モジュール1と、第2モジュールとしての給電モジュール2と、を備えていればよい。
【0083】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0084】
第1の態様に係る電力生成システム(10)は、第1モジュール(1)と、第2モジュール(2)と、を備える。第1モジュール(1)は、絶縁電線(3)に取り付けられる。絶縁電線(3)は、複数の導体(31)、及び複数の導体(31)をそれぞれ覆う複数の絶縁体(32)を含む。第2モジュール(2)は、絶縁電線(3)に接続され、商用周波数よりも高い周波数の電圧である高周波電圧を複数の導体(31)間に印加する。第1モジュール(1)は、複数の電極(11)と、電源回路(12)と、を備える。複数の電極(11)は、複数の導体(31)に対してそれぞれ対向するように配置される。電源回路(12)は、複数の電極(11)に接続されている。電源回路(12)は、複数の導体(31)間に印加される上記高周波電圧を含む電圧、及び複数の導体(31)の各々と複数の電極(11)のうち対応する電極(11)との間の静電容量により発生する電気エネルギから、電力を生成する。
【0085】
この態様によれば、絶縁電線(3)に適用可能で、かつ電力を生成することが可能となる。また、この態様によれば、電源回路(12)で生成される電力を大きくすることが可能となる。
【0086】
第2の態様に係る電力生成システム(10)では、第1の態様において、第2モジュール(2)は、電圧重畳部(21)を有する。電圧重畳部(21)は、絶縁電線(3)に印加される商用電源電圧に対して高周波電圧を重畳する。
【0087】
この態様によれば、第1モジュール(1)で生成される電力を大きくすることが可能となる。
【0088】
第3の態様に係る電力生成システム(10)では、第2の態様において、電圧重畳部(21)は、商用電源電圧に対して間欠的に高周波電圧を重畳する。
【0089】
この態様によれば、第2モジュール(2)の消費電力を抑制することが可能となる。
【0090】
第4の態様に係る電力生成システム(10)では、第2又は第3の態様において、電圧重畳部(21)は、商用電源電圧の位相に基づいて商用電源電圧に高周波電圧を重畳する。
【0091】
この態様によれば、高周波電圧による負荷(101)への影響を抑制することが可能となる。
【0092】
第5の態様に係る電力生成システム(10)では、第1の態様において、第2モジュール(2)は、スイッチング素子(22)と、制御回路(23)と、を有する。制御回路(23)は、絶縁電線(3)に印加される商用電源電圧が高周波電圧となるようにスイッチング素子(22)のオン/オフを制御する。
【0093】
この態様によれば、第1モジュール(1)で生成される電力を大きくすることが可能となる。
【0094】
第6の態様に係る電力生成システム(10)では、第5の態様において、制御回路(23)は、商用電源電圧の位相に基づいてスイッチング素子(22)のオン/オフを制御する。
【0095】
この態様によれば、高周波電圧による負荷(101)への影響を抑制することが可能となる。
【0096】
第7の態様に係る電力生成システム(10)は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、分電盤(4)を更に備える。分電盤(4)は、主幹ブレーカ(41)及び1以上の分岐ブレーカ(42)を含む複数の内部機器(40)を有する。複数の内部機器(40)は、第2モジュール(2)を含む。
【0097】
この態様によれば、分岐ブレーカ(42)を含む各分岐回路に対してほぼ均等に高周波電圧を重畳することが可能となる。
【0098】
第8の態様に係る受電モジュール(1)は、第1~第7の態様のいずれか1つの電力生成システム(10)に第1モジュール(1)として用いられる。
【0099】
この態様によれば、絶縁電線(3)に適用可能で、かつ電力を生成することが可能となる。また、この態様によれば、電源回路(12)で生成される電力を大きくすることが可能となる。
【0100】
第9の態様に係る給電モジュール(2)は、第1~第7の態様のいずれか1つの電力生成システム(10)に第2モジュール(2)として用いられる。
【0101】
この態様によれば、絶縁電線(3)に適用可能で、かつ電力を生成することが可能となる。また、この態様によれば、電源回路(12)で生成される電力を大きくすることが可能となる。
【0102】
第2~第7の態様に係る構成については、電力生成システム(10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 受電モジュール(第1モジュール)
2 給電モジュール(第2モジュール)
3 絶縁電線
4 分電盤
10 電力生成システム
11 電極
12 電源回路
21 電圧重畳部
22 スイッチング素子
23 制御回路
31 導体
32 絶縁体
40 内部機器
41 主幹ブレーカ
42 分岐ブレーカ