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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093036
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】水性眉用化粧料及び眉用化粧品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20230627BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230627BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/81
A61Q1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208427
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 優子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC102
4C083AC122
4C083AD072
4C083AD092
4C083CC11
4C083DD23
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】 眉毛が逆立つほどの状態を維持できるセット力及びキープ力を有しながらも、速乾性に優れ、自然な仕上がりを得ることができる水性眉用化粧料及び眉用化粧品を提供すること。
【解決手段】 水性眉用化粧料は、(A)粘土鉱物と、(B)皮膜形成性ポリマーエマルションと、(C)水と、を含み、(A)成分の含有量が、水性眉用化粧料の全量を基準として、5~20質量%であり、(B)成分は、ポリマーのガラス転移温度が-20℃以上であり、(C)成分の含有量が、水性眉用化粧料の全量を基準として、30質量%以上である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)粘土鉱物と、(B)皮膜形成性ポリマーエマルションと、(C)水と、を含む水性眉用化粧料であって、
前記(A)成分の含有量が、水性眉用化粧料の全量を基準として、5~20質量%であり、
前記(B)成分は、ポリマーのガラス転移温度が-20℃以上であり、
前記(C)成分の含有量が、水性眉用化粧料の全量を基準として、30質量%以上である、水性眉用化粧料。
【請求項2】
前記(A)成分として、(A1)4質量%水溶液としたときの25℃における粘度が5000mPa・s以上である粘土鉱物を含み、
前記(A1)成分の含有量が、前記(A)成分の全量を基準として、10質量%以上である、請求項1に記載の水性眉用化粧料。
【請求項3】
前記(B)成分の含有量が、水性眉用化粧料の全量を基準として、固形分換算で0.3~5.0質量%である、請求項1又は2に記載の水性眉用化粧料。
【請求項4】
前記(A)成分の含有量と前記(B)成分の固形分換算での含有量との質量比[(A)/(B)]が、1.8以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性眉用化粧料。
【請求項5】
容器に収容された請求項1~4のいずれか一項に記載の水性眉用化粧料と、コイル状又はコーム状の塗布体を有する塗布具と、を備える、眉用化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性眉用化粧料及び眉用化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
眉のメイクアップとして、眉の色を変えるカラーリングや、眉毛の流れを整える或いはボリュームアップさせるなどのスタイリングが行われている。このようなメイクアップには、通常、液状又はゲル状の眉用化粧料が利用されており、コイル状(スクリュー状)若しくはコーム状の塗布体を有する塗布具を用いて化粧料を眉毛に塗ることで、カラーリングやスタイリングを行うことができる。
【0003】
液状又はゲル状の眉用化粧料は、速乾性の点で、水系のものが多く利用されており、スタイリング効果を与える成分として水性ポリマー等の皮膜形成剤が配合されている(例えば、下記特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-287523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、眉のメイクアップは多様化しており、例えば、ソープブローなどの手法によって、逆立つほど眉毛を立ち上げるメイクが知られている。このようなメイクにおいては、眉毛を逆立つ状態で固定する力(セット力)と固定された状態を保つ力(キープ力)とが要求される。
【0006】
しかしながら、上記の要求を満たしつつ自然な仕上がりを得ることができる眉用化粧料は実現されていない。従来の眉用化粧料では、上述したメイクで要求されるセット力及びキープ力を得ることは難しく、セット力及びキープ力を高めようとした場合、速乾性が損なわれる傾向や、自然な仕上がりが得られにくくなる傾向にある。例えば、水性ポリマー等の皮膜形成剤を高配合した水性化粧料では、塗布してから乾燥するまでにべたつきを感じやすく、乾燥後にはごわつき感が強くなる。また、セットする過程においてコーム状の塗布具で梳くことを繰り返すと、眉毛が白っぽくなるフレーキングの発生や眉毛同士が束状に固定されることによって、不自然な仕上がりになりやすい。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、眉毛が逆立つほどの状態を維持できるセット力及びキープ力を有しながらも、速乾性に優れ、自然な仕上がりを得ることができる水性眉用化粧料及び眉用化粧品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、(A)粘土鉱物と、(B)皮膜形成性ポリマーエマルションと、(C)水と、を含む水性眉用化粧料であって、(A)成分の含有量が、水性眉用化粧料の全量を基準として、5~20質量%であり、(B)成分は、ポリマーのガラス転移温度が-20℃以上であり、(C)成分の含有量が、水性眉用化粧料の全量を基準として、30質量%以上である、水性眉用化粧料を提供する。
【0009】
本発明の水性眉用化粧料は、上記構成を有することにより、眉毛が逆立つほどの状態を維持できるセット力及びキープ力を有しながらも、速乾性に優れ、なおかつ、塗布具を使用した際に眉毛が白っぽくなることや眉毛同士がくっつくことを抑制することができ、自然な仕上がりを得ることができる。
【0010】
このような効果が得られる理由について本発明者らは以下のとおり推察する。特定の皮膜形成性ポリマーエマルションが含まれる水性化粧料に特定量の粘土鉱物が配合されることにより、塗布時においては、粘土鉱物を介して水が素早く放出され、塗膜がべたつくことなく乾燥し、上述した皮膜形成剤に起因する眉毛のごわつき、白化及び束状の固定を抑制しつつ高いセット力及びキープ力を得ることができたと考えられる。
【0011】
ところで、アイブロウメイクの方法の一つとして、アイブロウペンシルのようなペンシル型のアイブロウ化粧料と、スタイリング効果を有する液状又はゲル状の眉用化粧料とを併用して、カラーリングとスタイリングとを行うことがある。この場合、スタイリングが崩れないように、アイブロウペンシルを用いた後に眉用化粧料を眉毛に塗布していた。これに対し、本発明の水性眉用化粧料によれば、眉毛を高いセット力で且つ柔軟に仕上げることができることから、スタイリングした眉毛をペンシル型のアイブロウ化粧料で描いてもスタイリングが崩れにくい。そのため、本発明の水性眉用化粧料は、メイクの順番を問わず使用することができることから、アイブロウメイクの仕上げ調整がしやすいという利点も有する。
【0012】
本発明の水性眉用化粧料は、(A)成分として、(A1)4質量%水溶液としたときの25℃における粘度が5000mPa・s以上である粘土鉱物を含み、(A1)成分の含有量が、(A)成分の全量を基準として、10質量%以上であってもよい。
【0013】
また、(B)成分の含有量が、水性眉用化粧料の全量を基準として、固形分換算で0.3~5.0質量%であってもよい。
【0014】
更に、(A)成分の含有量と(B)成分の固形分換算での含有量との質量比[(A)/(B)]が、1.8以上であってもよい。
【0015】
本発明はまた、容器に収容された本発明の水性眉用化粧料と、コイル状又はコーム状の塗布体を有する塗布具と、を備える、眉用化粧品を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、眉毛が逆立つほどの状態を維持できるセット力及びキープ力を有しながらも、速乾性に優れ、自然な仕上がりを得ることができる水性眉用化粧料及び眉用化粧品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態の水性眉用化粧料は、(A)粘土鉱物(以下、(A)成分という場合もある)、と、(B)ポリマーのガラス転移温度が-20℃以上である皮膜形成性ポリマーエマルション(以下、(B)成分という場合もある)と、(C)水(以下、(C)成分という場合もある)と、を含む。
【0018】
(A)成分は、含水ケイ酸塩、層状ケイ酸塩又は含水層状ケイ酸塩等の鉱物を用いることができ、通常の化粧料に用いられるものであれば、天然物、合成物問わず制限なく用いることができる。
【0019】
(A)成分は、ヘクトライト、サポナイト、スチーブンサイト、ハイデライト、モンモリロナイト、ノントロナイト、ベントナイト等のスメクタイト属粘土鉱物、カオリナイト等のカオリン属粘土鉱物であってもよい。
【0020】
(A)成分は、不純物が少ない点で、精製物又は合成物を用いることができ、例えば、合成スメクタイト、精製ベントナイトなどを用いてもよい。このような粘土鉱物を用いることで、化粧料の透明性を高めることが容易となる。
【0021】
合成スメクタイトとしては、フッ素ヘクトライト、ヘクトライト、サポナイト、スチーブンサイトを用いることができる。これらは、ケイ酸(Al/Mg)、ケイ酸(Na/Mg)、ケイ酸(Li/Mg/Na)、クオタニウム-18ヘクトライトなどの表示名称で示される。
【0022】
(A)成分は、スメクトン、クニピア(以上、クニミネ工業社製、商品名)、ラポナイト(ロックウッド アディティブズ社製、商品名)、ASP(以上、BASF社製、商品名)などの市販品を用いてもよい。
【0023】
本実施形態の水性眉用化粧料は、セット力を向上させる観点から、(A)成分として、(A1)水に4質量%の濃度で分散したときの25℃における粘度が5000mPa・s以上である粘土鉱物を含むことができる。また、本実施形態の水性眉用化粧料は、べたつきを更に抑制し、自然な仕上がりを得つつ、キープ力を更に向上させる観点から、(A)成分として、(A2)水に4質量%の濃度で分散したときの25℃における粘度が1mPa・s以上5000mPa・s未満である粘土鉱物を含むことができる。
【0024】
なお、上記の粘度は、粘土鉱物を水に4質量%の濃度で撹拌分散して24時間経過した25℃の試料について、下記の条件で測定した値を意味する。
粘度計:ブルックフィールド型粘度計(BM型)
5~50mPa・s:BLアダプタ、回転数12rpm
50~500mPa・s:ローターNo.1、回転数12rpm
200~2500mPa・s:ローターNo.2、回転数12rpm
1000~10000mPa・s:ローターNo.3、回転数12rpm
10000mPa・s以上:BHアダプタ、ローターNo.6、回転数10rpm
【0025】
本実施形態の水性眉用化粧料は、セット力の観点から、(A1)成分として、上記粘度が5000~50000mPa・sである粘土鉱物を含んでいてもよく、上記粘度が5500~40000mPa・sである粘土鉱物を含んでいてもよく、上記粘度が6000~30000mPa・sである粘土鉱物を含んでいてもよい。
【0026】
(A1)成分は、べたつきの少なさと速乾性の観点から、合成スメクタイトであってもよい。
【0027】
本実施形態の水性眉用化粧料は、速乾性の観点から、(A2)成分として、上記粘度が1~4500mPa・sである粘土鉱物を含んでいてもよく、上記粘度が50~4000mPa・sである粘土鉱物を含んでいてもよく、上記粘度が100~3000mPa・sである粘土鉱物を含んでいてもよい。
【0028】
(A2)成分は、自然な仕上がりと速乾性の観点から、ベントナイトであってもよい。
【0029】
(A1)成分の含有量は、速乾性及び自然な仕上がりが得られやすくなる点で、(A)成分の全量を基準として、10質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよく、40質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよい。
【0030】
(A2)成分の含有量は、化粧料全量基準で、0.1~20質量%であってもよく、0.5~15質量%であってもよく、1~10質量%であってもよい。
【0031】
(A)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、(A1)成分及び(A2)成分についても、それぞれ1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
本実施形態の水性眉用化粧料は、(A)成分として、(A1)成分及び(A2)成分を含んでいてもよい。この場合、(A1)成分と(A2)成分との配合比(A1)/(A2)は、べたつきがない使用性を得やすくする観点から、1/100~100/1であってもよく、自然な仕上がりと速乾性の観点から、1/9~100/1であってもよく、3/7~50/1であってもよく、1/1~10/1であってもよい。
【0033】
本実施形態の水性眉用化粧料は、自然な仕上がりと速乾性の観点から、(A)成分として、5500~40000mPa・sの粘土鉱物(A1-1)と、50~4000mPa・sの粘土鉱物(A2-1)とを、質量比(A1-1)/(A2-1)が1/1~10/1となる割合で含んでいてもよく、6000~30000mPa・sの粘土鉱物(A1-2)と、100~3000mPa・sの粘土鉱物(A2-2)とを、質量比(A1-2)/(A2-2)が1/1~10/1となる割合で含んでいてもよい。
【0034】
水性眉用化粧料における(A)成分の含有量は、十分なセット力、キープ力及び速乾性、並びに、自然な仕上がりを得る観点から、5~20質量%であってもよく、5.5~18質量%であってもよく、6~15質量%であってもよい。
【0035】
(B)成分に含まれるポリマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルモノマーを構成単位として含む水に不溶の重合体若しくは共重合体が挙げられる。共重合体の構成単位としては、酢酸ビニルモノマー、スチレンモノマーなどが挙げられる。共重合体の場合、ランダム共重合体であっても、グラフト共重合体であっても、ブロック共重合体であっても、コア・シェル型共重合体であってもよい。
【0036】
(B)成分の具体例としては、アクリル酸アルキル共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体エマルション等が挙げられる。なお、ここでいうアクリル酸アルキルには、メタクリル酸アルキルも包含される。(B)成分は、水を媒体とし、固形分濃度が30~60質量%のものを用いることができる。
【0037】
ポリマーのガラス転移温度は、十分なセット力、キープ力及び速乾性、並びに、自然な仕上がりを得る観点から、-20℃以上であり、-15℃以上であってもよく、0℃以上であってもよく、自然な仕上がりと、塗布後のペンシルの描きやすさの観点から、50℃以下であってもよく、45℃以下であってもよい。なお、ポリマーのガラス転移温度は、DSC測定によって求められる。
【0038】
(B)成分のエマルション粒子径は、十分なセット力、キープ力及び速乾性、並びに、自然な仕上がりを得る観点から、10~150nmであってもよく、10~100nmであってもよい。また、(B)成分のエマルション粒子径が30~90nmであると、水性眉用化粧料を重ね塗りした場合であっても白くなりにくい。なお、エマルション粒子径は、動的光散乱式粒度分布計(例えば、堀場製作所社製、LB-550)により測定される。
【0039】
(B)成分は、「DAITOSOL 3000SLPN」、「DAITOSOL 3000VP3」、「DAITOSOL 4000SJT」、「DAITOSOL 5000AD」(以上、大東化成工業社製、商品名)、「ヨドゾールGH800」、「ヨドゾールGH800F」(以上、アクゾノーベル社製、商品名)、「COVACRYL MS11「(SENSIENT社製、商品名)などの市販品を用いることができる。
【0040】
(B)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
水性眉用化粧料における(B)成分の含有量は、十分なセット力、キープ力及び速乾性、並びに、自然な仕上がりを得る観点から、化粧料の全量を基準として、固形分濃度換算で、0.3~5.0質量%であってもよく、0.5~4.0質量%であってもよく、1.0~3.0質量%であってもよい。
【0042】
本実施形態の水性眉用化粧料において、(A)成分の含有量と(B)成分の固形分換算での含有量との質量比[(A)/(B)]は、1.8以上であってもよく、2.0以上であってもよく、2.5以上であってもよく、25以下であってもよく、20以下であってもよく、16以下であってもよい。
【0043】
(C)成分である水の含有量は、化粧料の全量を基準として、30質量%以上であるが、速乾性の観点から、40~90質量%であってもよく、50~80質量%であってもよい。
【0044】
本実施形態の水性眉用化粧料は、水以外に、エタノール等の炭素数1~5の低級アルコールが更に含まれていてもよい。この場合、低級アルコールの含有量は、化粧料の全量を基準として、1~10質量%であってもよく、3~7質量%であってもよい。
【0045】
本実施形態の水性眉用化粧料は、カラーリング効果を得る観点から、色材を含んでいてもよい。色材としては、着色顔料、水溶性染料、光輝性粉体が挙げられる。色材は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0046】
着色顔料としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、カーボンブラック、酸化コバルト、酸化クロム、群青、紺青、酸化亜鉛等の無機性着色顔料、赤色228号、赤色226号、青色404号、赤色202号、黄色4号アルミニウムレーキ等の有機性着色顔料、カルミン等の天然色素が挙げられる。水溶性染料としては、赤色227号、青色1号、黄色4号、黄色5号等の有機性染料、ベニバナ等の天然色素などが挙げられる。光輝性粉体としては、酸化チタン被覆マイカ(雲母チタン)、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン酸化鉄被覆ガラス末、アルミニウムパウダー等が挙げられる。
【0047】
本実施形態の水性眉用化粧料は、色材の配合量が、化粧料の全量を基準として、1%未満、0.5%未満、0.2%未満、又は0.1%未満であってもよい。この場合、水性眉用化粧料を、透明タイプの眉用スタイリング剤として用いることができる。また、本実施形態の水性眉用化粧料によれば、眉毛を高いセット力で且つ柔軟に仕上げることができることから、スタイリングした眉毛をペンシル型のアイブロウ化粧料で描いてもスタイリングが崩れにくい(換言すれば、塗布後のペンシルでの描きやすさに優れる)。これにより、必要に応じて、スタイリング後に、アイブロウペンシル等でカラーリングすることができる。
【0048】
本実施形態の水性眉用化粧料は、ボリュームアップ効果を得る観点から、繊維を含むことができる。繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維等が挙げられる。繊維の長さは特に制限されないが、一般的には、0.1~10mmが好ましく、0.3~7mmがより好ましい。繊維の太さは、一般的には0.1~25テックス(以下、単に「T」と示す。)が好ましく、0.3~20Tがより好ましい。繊維の断面の形状は特に限定されない。これらの繊維は材質、太さ、長さの異なる1種又は2種以上を用いることができる。
【0049】
本実施形態の水性眉用化粧料には、上記の各成分の他に通常化粧品に使用される他の成分、例えば、界面活性剤、(B)成分以外の皮膜形成剤、上述した顔料や繊維以外の粉体成分、保湿剤、粘度調整剤、防腐剤、pH調整剤、キレート剤、紫外線吸収剤、ビタミン類、美容成分、酸化防止剤、香料等を必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0050】
速乾性の観点から、本実施形態の水性眉用化粧料は、多糖類増粘剤の含有量が、化粧料の全量を基準として、1質量%以下、0.5質量%以下、0.3質量%以下、又は0.1質量%以下であってもよく、多糖類増粘剤を含んでいなくてもよい。本実施形態の水性眉用化粧料によれば、多糖類増粘剤が配合されていない場合であっても、分離又は沈殿を十分に抑制できることから、べたつきやすい多糖類増粘剤の配合量を制限することにより、速乾性と保存安定性とを両立することができる。
【0051】
本実施形態の水性眉用化粧料は、十分な速乾性を有することから、揮発性成分(但し、水を除く)の含有量が、化粧料の全量を基準として、10質量%以下、7質量%以下、又は5質量%以下であってもよく、揮発性成分(但し、水を除く)を含んでいなくてもよい。
【0052】
本実施形態の水性眉用化粧料は、保存安定性の観点から、油性成分の含有量が、5質量%以下、又は1質量%以下であってもよい。
【0053】
本実施形態の水性眉用化粧料は、セット力と自然な仕上がりの観点から、稠度が0.2~1.2Nであってもよく、0.3~0.9Nであってもよい。なお、化粧料の稠度は、以下の測定方法により求められる。
【0054】
<稠度の測定方法>
化粧料を容量30mLのスクリューカップに充填し、25℃にて一晩(24時間)放置した測定用サンプルを用意する。この測定用サンプルについて、FUDOHレオメーター RT-2002D・D((株)レオテック製)を用い、25℃にて、感圧軸10φ球形、針入速度6cm/min、針入深度10mmで稠度を測定する。
【0055】
本実施形態の水性眉用化粧料は、上述した(A)成分、(B)成分、(C)成分、必要に応じてその他の成分を、溶解又は分散し、均一に攪拌・混合することにより製造することができる。攪拌・混合は、例えば、ディスパーを用いることができる。
【0056】
本実施形態の水性眉用化粧料は、例えば、コイル状又はコーム状の塗布体を有する塗布具を用いて眉毛に塗布することにより、スタイリング効果、必要に応じて更にカラーリング効果を得ることができ、眉毛のメイクアップを行うことができる。本実施形態の水性眉用化粧料は、アイブロウジェル、アイブロウマスカラとして用いることができる。
【0057】
本実施形態の眉用化粧品は、容器に収容された本実施形態の水性眉用化粧料と、コイル状又はコーム状の塗布体を有する塗布具と、を備えるものであってもよい。
【0058】
コイル状又はコーム状の塗布体としては、巻線ブラシ、コーム、筆毛が挙げられる。
【実施例0059】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】
<水性眉用化粧料の製造>
(実施例1~19、比較例1~6)
表1~4に示される各成分を同表中に示す割合(質量%)で、ディスパーにて混合し、水性眉用化粧料をそれぞれ得た。なお、表中、ポリマーエマルションの値は固形分の配合量を示す。また、表中、微量とは、1質量%以下を意味する。
【0061】
なお、表1~4に示される各成分は、下記に示すものを使用した。
合成スメクタイト-1:「スメクトンSA」(商品名、クニミネ工業社製、合成サポナイト)、粘度20500mPa・s
合成スメクタイト-2:「スメクトンST」(商品名、クニミネ工業製、合成スチーブンサイト)、粘度6650mPa・s
ベントナイト-1:「クニピアG」(商品名、クニミネ工業社製、精製ベントナイト)、粘度1300mPa・s
皮膜形成性ポリマーエマルション-1:「DAITOSOL 3000SLPN」(商品名、大東化成工業社製、アクリレーツコポリマー、Tg37℃、エマルション粒子径50nm)
皮膜形成性ポリマーエマルション-2:「DAITOSOL 3000VP3」(商品名、大東化成工業社製、アクリレーツコポリマー、Tg25℃、エマルション粒子径20nm)
皮膜形成性ポリマーエマルション-3:「DAITOSOL 4000SJT」(商品名、大東化成工業社製、アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマー、Tg-13℃、エマルション粒子径60nm)
皮膜形成性ポリマーエマルション-4:「DAITOSOL 5000AD」(商品名、大東化成工業社製、アクリレーツコポリマー、Tg-14℃、エマルション粒子径140nm)
皮膜形成性ポリマーエマルション-5:「DAITOSOL 5500GM」(商品名、大東化成工業社製、アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマー、Tg-67℃、エマルション粒子径160nm)
PVP:PVP K-90(商品名、Ashland Specialty Ingredients社製、ポリビニルピロリドン)
【0062】
粘土鉱物の粘度は、粘土鉱物を水に4質量%の濃度で撹拌分散して24時間経過した25℃の試料について、下記の条件で測定した。
粘度計:ブルックフィールド型粘度計(BM型)
5~50mPa・s:BLアダプタ、回転数12rpm
50~500mPa・s:ローターNo.1、回転数12rpm
200~2500mPa・s:ローターNo.2、回転数12rpm
1000~10000mPa・s:ローターNo.3、回転数12rpm
10000mPa・s以上:BHアダプタ、ローターNo.6、回転数10rpm
【0063】
<水性眉用化粧料の評価>
上記で得られた水性眉用化粧料について、下記の評価方法に従って、セット力、速乾性、自然な仕上がり(項目1:ごわつきのなさ)、自然な仕上がり(項目2:白くならない、眉毛同士がくっつかない)、キープ力、塗布後のペンシルでの描きやすさを評価した。
【0064】
<評価方法>
眉毛の長さが1cm以上のパネラー5名に、実施例及び比較例の化粧料の使用テストを行ってもらい、上記の評価項目の観点から評価してもらった。なお、使用テストでは、化粧料をブラシによって塗布し、眉毛が逆立つようなスタイリングとした。また、自然な仕上がりの項目2及び塗布後のペンシルでの描きやすさについては、各化粧料をマスカラボトルに充填し、ブラシで20回塗布したあと、完全に乾かしてから評価した。キープ力については、塗布後2時間経過したときの眉毛の状態を評価した。
【0065】
評価は、下記の評価基準に従って5段階評価を行いサンプル毎に評点を付し、更に全パネラーの評点の平均点を下記の判定基準に従って判定した。
[評点:評価基準]
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良

[判定基準(評点の平均点)]
◎:4以上
○:3以上4未満
△:2以上3未満
×:2未満
【0066】
<稠度の測定>
上記で得られた水性眉用化粧料を、容量30mLのスクリューカップに充填し、25℃にて一晩(24時間)放置した測定用サンプルを用意した。この測定用サンプルについて、FUDOHレオメーター RT-2002D・D((株)レオテック製)を用い、25℃にて、感圧軸10φ球形、針入速度6cm/min、針入深度10mmで稠度を測定した。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
(実施例20:水性眉用化粧料(色材入り))
(成分) (配合割合(質量%))
1. 皮膜形成性ポリマーエマルション-1 1.5
2. 合成スメクタイト-1 6.0
3. 黒酸化鉄 2.0
4. ベンガラ 2.0
5. 黄酸化鉄 1.0
6. エタノール 5.0
7. 1,3-ブチレングリコール 3.0
8. 防腐剤 微量
9. 精製水 残余

上記成分の詳細は、すでに上述したものと同様である。
【0072】
<製法>
成分1~9をディスパーにて混合し、水性眉用化粧料を得た。
【0073】
<評価>
得られた水性眉用化粧料について、上記同様の評価を行ったところ、セット力が「◎」、速乾性が「◎」、自然な仕上がり(項目1)が「◎」、自然な仕上がり(項目2)が「◎」、キープ力が「◎」、塗布後のペンシルでの描きやすさが「◎」の評価であった。また、化粧料の25℃における稠度は、0.5Nであった。
【0074】
(実施例21:水性眉用化粧料(色材入り))
(成分) (配合割合(質量%))
1. 皮膜形成性ポリマーエマルション-1 1.5
2. 合成スメクタイト-1 5.0
3. ベントナイト-2 5.0
4. 黒酸化鉄 2.0
5. ベンガラ 2.0
6. 黄酸化鉄 1.0
7. エタノール 5.0
8. シリカ 3.0
9. 1,3-ブチレングリコール 3.0
10.防腐剤 微量
11.精製水 残余

上記成分の詳細は、以下に示す成分以外はすでに上述したものと同様である。
ベントナイト-2:「4444 ALBAGEL PREMIUM NF B.C.」(商品名、クニミネ工業社製、ベントナイト)、粘度240mPa・s
【0075】
<製法>
成分1~11をディスパーにて混合し、水性眉用化粧料を得た。
【0076】
<評価>
得られた水性眉用化粧料について、上記同様の評価を行ったところ、セット力が「◎」、速乾性が「◎」、自然な仕上がり(項目1)が「◎」、自然な仕上がり(項目2)が「◎」、キープ力が「◎」、塗布後のペンシルでの描きやすさが「◎」の評価であった。また、化粧料の25℃における稠度は、0.5Nであった。
【0077】
(実施例22:水性眉用化粧料(色材入り))
(成分) (配合割合(質量%))
1. 皮膜形成性ポリマーエマルション-1 1.5
2. ベントナイト-2 18.0
3. 黒酸化鉄 2.0
4. ベンガラ 2.0
5. 黄酸化鉄 1.0
6. エタノール 5.0
7. 1,3-ブチレングリコール 3.0
8. 防腐剤 微量
9. 精製水 残余

上記成分の詳細は、すでに上述したものと同様である。
【0078】
<製法>
成分1~9をディスパーにて混合し、水性眉用化粧料を得た。
【0079】
<評価>
得られた水性眉用化粧料について、上記同様の評価を行ったところ、セット力が「◎」、速乾性が「〇」、自然な仕上がり(項目1)が「〇」、自然な仕上がり(項目2)が「〇」、キープ力が「◎」、塗布後のペンシルでの描きやすさが「◎」の評価であった。また、化粧料の25℃における稠度は、0.7Nであった。
【0080】
(実施例23:水性眉用化粧料(色材入り))
(成分) (配合割合(質量%))
1. 皮膜形成性ポリマーエマルション-1 1.5
2. 合成スメクタイト-1 5.0
3. カオリナイト 5.0
4. 黒酸化鉄 2.0
5. ベンガラ 2.0
6. 黄酸化鉄 1.0
7. エタノール 5.0
8. 1,3-ブチレングリコール 3.0
9. 防腐剤 微量
10.精製水 残余

上記成分の詳細は、以下に示す成分以外はすでに上述したものと同様である。
カオリナイト:「ASP-400」(商品名、BASF社製、カオリナイト)、粘度2mPa・s
【0081】
<製法>
成分1~10をディスパーにて混合し、水性眉用化粧料を得た。
【0082】
<評価>
得られた水性眉用化粧料について、上記同様の評価を行ったところ、セット力が「◎」、速乾性が「◎」、自然な仕上がり(項目1)が「◎」、自然な仕上がり(項目2)が「◎」、キープ力が「◎」、塗布後のペンシルでの描きやすさが「◎」の評価であった。また、化粧料の25℃における稠度は、0.5Nであった。