IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社加藤製作所の特許一覧

<>
  • 特開-建設機械のブーム制御装置 図1
  • 特開-建設機械のブーム制御装置 図2
  • 特開-建設機械のブーム制御装置 図3
  • 特開-建設機械のブーム制御装置 図4
  • 特開-建設機械のブーム制御装置 図5
  • 特開-建設機械のブーム制御装置 図6
  • 特開-建設機械のブーム制御装置 図7
  • 特開-建設機械のブーム制御装置 図8
  • 特開-建設機械のブーム制御装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093046
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】建設機械のブーム制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/693 20060101AFI20230627BHJP
   B66C 23/26 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B66C23/693 Z
B66C23/693 H
B66C23/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208445
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】丸山 幸治
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA05
3F205CA03
3F205CB02
3F205CB07
3F205CB11
3F205CB14
3F205JA10
(57)【要約】
【課題】分離可能な前方側部分が後方側部分に取付けられているか否かに対応させて、多段ブームの作動を適切かつ安全に制御し、コードの延設端の接続先を変更する作業が簡略化される建設機械のブーム制御装置を提供すること。
【解決手段】多段ブームでは、ベースブーム部材及び伸縮ブーム部材を備える後方側部分に伸縮ブーム部材を備える前方側部分が分離可能に取付けられる。ブーム制御装置では、コードの延設端は、前方側部分に接続可能であり、検出器は、前方側部分において最も後方段の第1の伸縮ブーム部材の検出対象物を検出する。コードの延設端が後方側部分に接続され、かつ、後方側部分において最も前方段の第2の伸縮ブーム部材に伸縮シリンダーが連結されている状態では、コントローラは、第1の伸縮ブーム部材の検出対象物を検出器が検出していることに基づいて、前方側部分が後方側部分に取付けられていると判定する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最も後方段のベースブーム部材、及び、前記ベースブーム部材に対して長手方向に伸縮可能な複数の伸縮ブーム部材が設けられ、かつ、前記ベースブーム部材及び1つ以上の前記伸縮ブーム部材から形成される後方側部分に1つ以上の前記伸縮ブーム部材から形成される前方側部分が分離可能に取付けられる多段ブームの作動を制御するブーム制御装置であって、
前記後方側部分から延設され、前記前方側部分に延設端が接続可能なコードと、
前記伸縮ブーム部材の1つに選択的に連結可能であり、伸縮作動されることにより連結された前記伸縮ブーム部材を伸長又は収縮させる伸縮シリンダーと、
前記伸縮シリンダーの前記伸縮作動によって前記長手方向に沿って移動し、前記前方側部分において最も後方段の前記伸縮ブーム部材である第1の伸縮ブーム部材に設けられる検出対象物を、近接によって検出する第1の検出器と、
前記コードの前記延設端が前記後方側部分に接続され、かつ、前記後方側部分において最も前方段の前記伸縮ブーム部材である第2の伸縮ブーム部材に前記伸縮シリンダーが連結されている状態において、前記第1の伸縮ブーム部材の前記検出対象物を前記第1の検出器が検出していることに基づいて、前記前方側部分が前記後方側部分に取付けられていると判定するとともに、前記後方側部分に前記前方側部分が取付けられているか否かの判定結果に基づいて、前記多段ブームの伸縮を含む前記多段ブームの前記作動を制御するコントローラと、
を具備するブーム制御装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記コードの前記延設端が前記後方側部分に接続され、かつ、前記第2の伸縮ブーム部材に前記伸縮シリンダーが連結されている状態において、前記第1の伸縮ブーム部材の前記検出対象物を前記第1の検出器が検出していないことに基づいて、前記前方側部分が前記後方側部分から分離されていると判定する、請求項1のブーム制御装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記コードの前記延設端が前記後方側部分に接続されている状態において、前記第1の伸縮ブーム部材を含む前記前方側部分の前記伸縮ブーム部材のいずれかに前記伸縮シリンダーが連結されていることに基づいて、前記前方側部分が前記後方側部分に取付けられていると判定する、請求項1又は2のブーム制御装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記コードの前記延設端が前記前方側部分に接続されていることに基づいて、前記前方側部分が前記後方側部分に取付けられていると判定する、請求項1乃至3のいずれか1項のブーム制御装置。
【請求項5】
前記伸縮シリンダーの前記伸縮作動によって前記長手方向に沿って移動し、前記第1の伸縮ブーム部材の前記検出対象物を含む前記伸縮ブーム部材のそれぞれに設けられる検出対象物を、近接によって検出する第2の検出器であって、前記第1の検出器に対して後方側に離れて配置される第2の検出器をさらに具備し、
前記伸縮シリンダーは、前記第2の検出器が前記伸縮ブーム部材のいずれか1つの前記検出対象物を検出している状態において、前記検出対象物が前記第2の検出器によって検出されている前記伸縮ブーム部材に連結されている、又は、前記長手方向について前記検出対象物が前記第2の検出器によって検出されている前記伸縮ブーム部材に連結可能な位置に位置する、
請求項1乃至4のいずれか1項のブーム制御装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記コードの前記延設端が前記後方側部分に接続されている状態において前記前方側部分が前記後方側部分に取付けられていると判定した場合は、前記前方側部分の前記第1の伸縮ブーム部材が前記多段ブームの最も前方段であるとして、前記多段ブームの前記伸縮を含む前記多段ブームの前記作動を制御する、請求項1乃至5のいずれか1項のブーム制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械において長手方向に伸縮可能な多段ブームの作動を制御するブーム制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、長手方向に伸縮可能な多段ブームを備える建設機械として、クレーンが開示されている。このクレーンでは、多段ブームは、上部旋回体に取付けられる後方側部分と、後方側部分に分離可能に取付けられる前方側部分と、を備える。このように多段ブームにおいて後方側部分から前方側部分が分離可能なクレーンでは、前方側部分が後方側部分に取付けられている状態と前方側部分が後方側部分から分離された状態との間で、多段ブームの段数が異なる。また、多段ブームにおいて後方側部分から前方側部分が分離可能なクレーンでは、前方側部分は、後方側部分から分離された状態で、作業現場等へ搬送される。そして、作業現場において、前方側部分が後方側部分に取付けられ、前方側部分が後方側部分に取付けられた多段ブームを用いて、作業等が行われる。
【0003】
また、特許文献1では、後方側部分に設置されるリールから前方側へ向かってコードが延設される。リールからのコードの延設端(遠位端)は、前方側部分及び後方側部分の一方に選択的に接続可能である。前方側部分の後方側部分への取付ける作業においては、コードの延設端は、後方側部分から取外されるとともに、前方側部分に接続される。一方、前方側部分を後方側部分から分離する作業においては、コードの延設端は、前方側部分から取外されるとともに、後方側部分に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-38072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1のように多段ブームにおいて後方側部分から前方側部分が分離可能な建設機械では、前方側部分が後方側部分に取付けられているか否かに対応して多段ブームの段数が異なるため、前方側部分が後方側部分に取付けられているか否かに対応して、多段ブームの重量及び多段ブームの長手方向についての長さ等が異なる。このため、前方側部分が後方側部分に取付けられているか否かに対応させて、多段ブームを伸縮させる伸縮シリンダーの伸縮を適切に制御し、安全かつ適切に多段ブームの伸縮を制御することが、求められている。そして、前方側部分が後方側部分に取付けられているか否かに対応させて、多段ブームのリアルタイムの作業半径、多段ブームにリアルタイムで掛かっている荷重(実荷重)、及び、多段ブームに掛かる荷重についての限界値(上限値)等を適切に算出し、算出結果に基づいて多段ブームの作動を安全かつ適切に制御することが、求められている。
【0006】
また、後方側部分から前方側部分が分離可能な多段ブームでは、前述のように、後方側部分への前方側部分の取付け、及び、後方側部分からの前方側部分の分離のそれぞれにおいて、コードの延設端の接続先を変更する必要がある。そして、多段ブームが最も収縮した状態でコードの延設端の接続先を変更する等して、コードの延設端の接続先を変更する作業を簡略化することが、求められている。
【0007】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、分離可能な前方側部分が後方側部分に取付けられているか否かに対応させて、多段ブームの作動を適切かつ安全に制御し、コードの延設端の接続先を変更する作業が簡略化される建設機械のブーム制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明のある態様は、最も後方段のベースブーム部材、及び、前記ベースブーム部材に対して長手方向に伸縮可能な複数の伸縮ブーム部材が設けられ、かつ、前記ベースブーム部材及び1つ以上の前記伸縮ブーム部材から形成される後方側部分に1つ以上の前記伸縮ブーム部材から形成される前方側部分が分離可能に取付けられる多段ブームの作動を制御するブーム制御装置であって、前記後方側部分から延設され、前記前方側部分に延設端が接続可能なコードと、前記伸縮ブーム部材の1つに選択的に連結可能であり、伸縮作動されることにより連結された前記伸縮ブーム部材を伸長又は収縮させる伸縮シリンダーと、前記伸縮シリンダーの前記伸縮作動によって前記長手方向に沿って移動し、前記前方側部分において最も後方段の前記伸縮ブーム部材である第1の伸縮ブーム部材に設けられる検出対象物を、近接によって検出する検出器と、前記コードの前記延設端が前記後方側部分に接続され、かつ、前記後方側部分において最も前方段の前記伸縮ブーム部材である第2の伸縮ブーム部材に前記伸縮シリンダーが連結されている状態において、前記第1の伸縮ブーム部材の前記検出対象物を前記検出器が検出していることに基づいて、前記前方側部分が前記後方側部分に取付けられていると判定するとともに、前記後方側部分に前記前方側部分が取付けられているか否かの判定結果に基づいて、前記多段ブームの伸縮を含む前記多段ブームの前記作動を制御するコントローラと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、分離可能な前方側部分が後方側部分に取付けられているか否かに対応させて、多段ブームの作動を適切かつ安全に制御し、コードの延設端の接続先を変更する作業が簡略化される建設機械のブーム制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る多段ブームにおいて、(a)は前方側部分が後方側部分に取付けられた状態を、(b)は前方側部分が後方側部分から分離された状態を、それぞれ示す概略図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る多段ブームにおいて、前方側部分で最も後方段のブーム部材(第1の伸縮ブーム部材)、後方側部分で最も前方段のブーム部材(第2の伸縮ブーム部材)、及び、これらの近傍の構成を、前方側部分で最も後方段のブーム部材に伸縮シリンダーが連結された状態で示す概略図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る多段ブームにおいて、前方側部分で最も後方段のブーム部材(第1の伸縮ブーム部材)、後方側部分で最も前方段のブーム部材(第2の伸縮ブーム部材)、及び、これらの近傍の構成を、後方側部分で最も前方段のブーム部材に伸縮シリンダーが連結された状態で示す概略図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る多段ブームにおいて、(a)は前方側部分が後方側部分に取付けられ、かつ、ブーム部材(伸縮ブーム部材)のそれぞれを最も収縮した状態になる状態を、(b)は(a)から4段目のブーム部材を最も伸長した状態まで伸長させた状態を、(c)は(b)から伸縮シリンダーのシリンダーチューブを3段目のブーム部材に連結させた状態を、(d)は(c)から3段目のブーム部材を所定の伸縮状態まで伸長した状態を、(e)は(d)から3段目のブーム部材への4段目のブーム部材の接続を解除し、かつ、前方側部分を吊上げた状態を、(f)は(e)から3段目のブーム部材を収縮し、かつ、前方側部分を後方側部分から分離した状態を、(g)は(f)から3段目のブーム部材を最も収縮した状態まで収縮させた状態を、それぞれ示す概略図である。
図5図5は、第1の実施形態において、多段ブームの作動を制御するブーム制御装置が設けられるシステムを示す概略図である。
図6図6は、第1の実施形態において、コントローラによる前方側部分と後方側部分との間の取付け状態の判定処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
図7図7は、第1の変形例に係る多段ブームにおいて、検出器(第1の検出器)及びその近傍の構成を、前方側部分を後方側部分へ取付ける作業時に図4(f)の状態から図4(e)の状態までブーム部材(第2の伸縮ブーム部材)を伸長している間のある状態で示す概略図である。
図8図8は、第1の変形例に係る多段ブームにおいて、検出器(第1の検出器)及びその近傍の構成を、図7の状態からブーム部材(第2の伸縮ブーム部材)をさらに伸長した状態で示す概略図である。
図9図9は、第2の変形例に係る多段ブームにおいて、検出器(第1の検出器)、前方側部分で最も後方段のブーム部材(第1の伸縮ブーム部材)、及び、これらの近傍の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、実施形態の1つである第1の実施形態について、説明する。図1(a),(b)は、第1の実施形態の多段ブーム1の構成を示す。図1(a),(b)に示すように、多段ブーム1は、長手方向に沿って延設される。ここで、多段ブーム1では、長手方向の一方側が後方側(矢印C1側)となり、後方側とは反対側が前方側(矢印C2側)となる。図1のような多段ブーム1が設けられるクレーンでは、走行車体(図示しない)上に旋回体(図示しない)が設けられ、旋回体に多段ブーム1の後方端部が取付けられる。多段ブーム1は、旋回体に対して起伏可能であるとともに、旋回体と一緒に走行車体に対して旋回可能である。また、多段ブーム1の前方端部には、ジブ等のアタッチメント(図示しない)を取付け可能である。
【0013】
本実施形態では、多段ブーム1は、後方側部分2及び前方側部分3を備える。前方側部分3は、後方側部分2に対して分離可能に取付けられる。このため、多段ブーム1では、図1(a)に示す前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態、及び、図1(b)に示す前方側部分3が後方側部分2から分離された状態の2つの状態の間で、前方側部分と後方側部分2との間の取付け状態(連結状態)が変化する。
【0014】
本実施形態の多段ブーム1では、後方側部分2は、複数(本実施形態では3つ)のブーム部材B1~B3を備える。ここで、ブーム部材Bi(i=1,2,3)のiは、多段ブーム1における段番を示す。ブーム部材Biのそれぞれは、多段ブーム1の長手方向に沿って延設される。多段ブーム1では、後方側部分2のブーム部材B1の後方端部が旋回体に取付けられる。そして、多段ブーム1では、ブーム部材B1が、最も後方段のベースブーム部材となり、後方側部分2のブーム部材B1が、初段(1段目)となる。そして、多段ブーム1では、後方側部分2のブーム部材B2,B3が、それぞれ2段目、3段目となる。また、後方側部分2では、ブーム部材B2,B3のそれぞれは、ベースブーム部材であるブーム部材B1に対して多段ブーム1の長手方向に伸縮可能な伸縮ブーム部材となる。ブーム部材B2,B3のいずれかが長手方向について伸長又は収縮することにより、多段ブーム1の長手方向に沿った後方側部分2の寸法が変化する。
【0015】
後方側部分2のブーム部材Biの中では、初段のブーム部材B1が最も外側に配置され、ブーム部材B3が最も内側に配置される。そして、後方側部分のブーム部材Biの中では、段番が大きいほど、内側に配置される。また、多段ブーム1では、初段のブーム部材(ベースブーム部材)B1によって後方端が形成される。そして、後方側部分2では、ブーム部材B3によって前方端が形成される。そして、後方側部分2のブーム部材Biの中では、段番が大きいほど、前方端が前方側に位置する。前述のような構成であるため、後方側部分2では、ブーム部材B1は、ブーム部材B2に対して1段だけ後方段となり、ブーム部材B3は、ブーム部材B2に対して1段だけ前方段となる。また、本実施形態では、ブーム部材B3は、後方側部分2において最も前方段のブーム部材Bαとなる。前方側部分3が後方側部分2から分離された状態では、多段ブーム1において、ブーム部材B3(Bα)が最も前方段(最終段)となり、ブーム部材B3が多段ブーム1の前方端を形成する。したがって、前方側部分3が後方側部分2から分離された状態では、多段ブーム1の段数は3段となる。
【0016】
また、本実施形態の多段ブーム1では、前方側部分3は、複数(本実施形態では3つ)のブーム部材B4~B6を備える。ここで、ブーム部材Bj(j=4,5,6)のjは、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた多段ブーム1における段番を示す。前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態では、ブーム部材Bjのそれぞれは、多段ブーム1の長手方向に沿って延設される。前方側部分3は、ブーム部材B4の後方端部が後方側部分2のブーム部材B3(Bα)に接続されることにより、後方側部分2に取付けられる。前方側部分3が後方側部分2に取付けられた多段ブーム1では、ブーム部材B4~B6が、それぞれ4段目、5段目、6段目となる。また、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた多段ブーム1では、ブーム部材Bjのそれぞれは、ベースブーム部材であるブーム部材B1に対して多段ブーム1の長手方向に伸縮可能な伸縮ブーム部材となる。このため、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた多段ブーム1では、ブーム部材B2,B3,Bjのいずれかが長手方向について伸長又は収縮することにより、長手方向に沿った多段ブーム1の寸法が変化する。また、前方側部分3では、ブーム部材B6の前方端部にブームヘッド5が設けられる。
【0017】
前方側部分3が後方側部分2に取付けられた多段ブーム1では、ブーム部材Bi,Bjの中で、初段のブーム部材B1が最も外側に配置され、ブーム部材B6が最も内側に配置される。そして、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態では、ブーム部材Bi,Bjの中で、段番が大きいほど、内側に配置される。また、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた多段ブーム1では、ブーム部材B6のブームヘッド5によって前方端が形成される。そして、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態では、ブーム部材Bi,Bjの中で、段番が大きいほど、前方端が前方側に位置する。前述のような構成であるため、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた多段ブーム1では、ブーム部材B3は、ブーム部材B4に対して1段だけ後方段となり、ブーム部材B5は、ブーム部材B4に対して1段だけ前方段となる。また、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態では、ブーム部材B6は、ブーム部材B5に対して1段だけ前方段となり、多段ブーム1(前方側部分3)において最も前方段(最終段)のブーム部材Bγとなる。したがって、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態では、多段ブーム1の段数は6段となる。また、後方側部分2に取付けられた前方側部分3のブーム部材Bjの中では、ブーム部材B4が最も後方段のブーム部材Bβとなる。
【0018】
多段ブーム1の内部には、伸縮シリンダー(ブーム伸縮シリンダー)10が配置される。伸縮シリンダー10は、シリンダーロッド11及びシリンダーチューブ12を備える。シリンダーロッド11は、連結ピン等の連結部材15を介して、ベースブーム部材である初段のブーム部材B1に連結される。シリンダーチューブ12がシリンダーロッド11に対して多段ブーム1の長手方向に沿って移動することにより、伸縮シリンダー10が多段ブーム1の長手方向について伸長又は収縮し、伸縮作動される。また、シリンダーチューブ12においてシリンダーロッド11側の端部、すなわち、シリンダーチューブ12の後方端部には、グリップピン等の連結部材16が設けられる。伸縮シリンダー10が伸長又は収縮することにより、連結部材16は、シリンダーチューブ12と一緒に、シリンダーロッド11及び連結部材15に対して、多段ブーム1の長手方向に沿って移動可能である。
【0019】
また、伸縮ブーム部材であるブーム部材B2,B3,Bjのそれぞれの後方端部には、連結部材16と係合可能な係合穴Hが形成される。以下の説明では、ブーム部材B2に形成される係合穴をH2と示す等、段番kのブーム部材Bkに形成される係合穴をHkと示す。前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態では、多段ブーム1がいずれの伸縮状態であっても、係合穴H2,H3,Hjは、互いに対して長手方向にずれて位置し、後方側から係合穴H2,H3,H4,H5,H6の順に配置される。前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態では、係合穴H2,H3,Hjのいずれか1つに選択的に係合可能である。このため、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態では、シリンダーチューブ12は、連結部材16を間に介して、後方側部分2のブーム部材(伸縮ブーム部材)B2,B3及び前方側部分3のブーム部材(伸縮ブーム部材)Bjのいずれか1つに選択的に連結可能である。また、前方側部分3が後方側部分2から分離された状態では、多段ブーム1がいずれの伸縮状態であっても、係合穴H2,H3は、互いに対して長手方向にずれて位置し、後方側から係合穴H2,H3の順に配置される。前方側部分3が後方側部分2から分離された状態では、係合穴H2,H3のいずれか1つに選択的に係合可能である。このため、前方側部分3が後方側部分2から分離された状態では、シリンダーチューブ12は、連結部材16を間に介して、後方側部分2のブーム部材(伸縮ブーム部材)B2,B3のいずれか1つに選択的に連結可能である。
【0020】
前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態では、シリンダーチューブ12がブーム部材B2,B3,Bjのいずれか1つに連結された状態で伸縮シリンダー10を伸長又は収縮することにより、シリンダーチューブ12が連結されたブーム部材(B2,B3,Bjの対応する1つ)が、ブーム部材B1に対して多段ブーム1の長手方向について伸長又は収縮する。これにより、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた多段ブーム1において、長手方向についての多段ブーム1の長さ(寸法)が、変化する。ここで、図1(a)の状態では、シリンダーチューブ12は、ブーム部材B6に連結され、伸縮シリンダー10が伸長又は収縮することにより、ブーム部材B6がブーム部材B1に対して伸縮可能となる。また、図1(a)は、ブーム部材(伸縮ブーム部材)B2,B3,Bjのそれぞれが最も収縮した状態(伸長率0%の状態)を示す。なお、ブーム部材B2,B3,Bjのいずれか1つを伸長又は収縮する際には、伸長又は収縮するブーム部材(B2,B3,Bjの対応する1つ)にシリンダーチューブ12を前述のように連結するとともに、伸長又は収縮するブーム部材(B2,B3,Bjの対応する1つ)の1段後方段のブーム部材に対するロックピン(図示しない)による接続を解除する。
【0021】
前方側部分3が後方側部分2から分離された状態では、シリンダーチューブ12がブーム部材B2,B3のいずれか1つに連結された状態で伸縮シリンダー10を伸長又は収縮することにより、シリンダーチューブ12が連結されたブーム部材(B2,B3の対応する1つ)が、ブーム部材B1に対して多段ブーム1の長手方向について伸長又は収縮する。これにより、後方側部分2のみから形成される多段ブーム1において、長手方向についての多段ブーム1の長さ(寸法)が、変化する。ここで、図1(b)の状態では、シリンダーチューブ12は、ブーム部材B3に連結され、伸縮シリンダー10が伸長又は収縮することにより、ブーム部材B3がブーム部材B1に対して伸縮可能となる。また、図1(b)は、ブーム部材(伸縮ブーム部材)B2,B3のそれぞれが最も収縮した状態(伸長率0%の状態)を示す。なお、ブーム部材B2,B3のいずれか1つを伸長又は収縮する際には、伸長又は収縮するブーム部材(B2,B3の対応する1つ)にシリンダーチューブ12を前述のように連結するとともに、伸長又は収縮するブーム部材(B2,B3の対応する1つ)の1段後方段のブーム部材に対するロックピンによる接続を解除する。
【0022】
本実施形態では、後方側部分2のブーム部材(ベースブーム部材)B1にリール21が設置される。多段ブーム1では、後方側部分2のリール21から前方側へ向かって、コード22が延設される。コード22では、リール21からの延設端に、すなわち、リール21に対して遠位端に、コネクタ23が設けられる。前方側部分3が後方側部分2に取付けられた多段ブーム1では、コード22のコネクタ23(延設端)は、前方側部分3のブーム部材B6のブームヘッド5に接続可能である。また、前方側部分3が後方側部分2から分離された多段ブーム1では、コード22のコネクタ23(延設端)は、後方側部分2のブーム部材B3に接続可能である。なお、前方側部分3が後方側部分2から分離された多段ブーム1では、後方側部分2において、コード22のコネクタ23が、ブーム部材B3の代わりに、ブーム部材B1,B2のいずれか一方に接続可能であってもよい。前述のように、本実施形態では、リール21からのコード22の延設端(遠位端)は、前方側部分3及び後方側部分2の一方に選択的に接続可能である。
【0023】
図2及び図3は、前方側部分3において最も後方段のブーム部材(第1の伸縮ブーム部材)Bβ、後方側部分2において最も前方段のブーム部材(第2の伸縮ブーム部材)Bα、及び、これらの近傍の構成を示す。図2及び図3のそれぞれでは、多段ブーム1の長手方向に対して平行又は略平行な断面が示される。また、図2では、前方側部分3において最も後方段のブーム部材B4(Bβ)に伸縮シリンダー10のシリンダーチューブ12が連結された状態が示され、ブーム部材B4は、最も収縮した状態(伸長率が0%の状態)で示される。そして、図3では、後方側部分2において最も前方段のブーム部材B3(Bα)に伸縮シリンダー10のシリンダーチューブ12が連結された状態が示され、ブーム部材B4は、最も伸長した状態(伸長率が100%の状態)で示される。
【0024】
図2及び図3等に示すように、本実施形態の多段ブーム1には、2つの検出器17,18が設けられる。検出器17,18のそれぞれは、伸縮シリンダー10のシリンダーチューブ12に設置される。伸縮シリンダー10が伸縮作動によって伸長又は収縮することにより、検出器17,18のそれぞれは、シリンダーチューブ12及び連結部材16と一緒に、シリンダーロッド11及び連結部材15に対して、多段ブーム1の長手方向に沿って移動する。検出器(第1の検出器)17は、連結部材16に対して前方側に配置され、伸縮シリンダー10のシリンダーチューブ12において伸縮ブーム部材に連結される連結位置に対して前方側に配置される。検出器(第2の検出器)18は、長手方向について、連結部材16に対してずれていない又はほとんどずれていない。このため、検出器18は、検出器17に対して後方側に離れて配置される。なお、検出器17,18の間の長手方向についての離間寸法、すなわち、連結部材16と検出器17との間の長手方向についての離間寸法は、ブーム部材B4(Bβ)の所定の伸縮状態におけるブーム部材B3(Bα)の係合穴H3(Hα)とブーム部材B4(Bβ)の係合穴H4(Hβ)との間の長手方向についての離間寸法と、同一又は略同一になる。図2及び図3等の一例では、検出器17,18の間の長手方向についての離間寸法は、ブーム部材B4が最も伸長した状態(伸長率100%の状態)における係合穴H3,H4の間の長手方向についての離間寸法と、同一又は略同一になる。
【0025】
また、伸縮ブーム部材であるブーム部材B2,B3,Bjのそれぞれの後方端部には、検出器18の検出対象物として検出プレートDが設けられる。ブーム部材B2,B3,Bjのそれぞれでは、検出プレートDは、長手方向について、係合穴Hに対してずれていない又はほとんどずれていない。以下の説明では、ブーム部材B2に設けられる検出プレートをD2と示す等、段番kのブーム部材Bkに設けられる検出プレートをDkと示す。前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態では、多段ブーム1がいずれの伸縮状態であっても、検出プレートD2,D3,Djは、互いに対して長手方向にずれて位置し、後方側から検出プレートD2,D3,D4,D5,D6の順に配置される。また、前方側部分3が後方側部分2から分離された状態では、多段ブーム1がいずれの伸縮状態であっても、検出プレートD2,D3は、互いに対して長手方向にずれて位置し、後方側から検出プレートD2,D3の順に配置される。
【0026】
検出器(第2の検出器)18は、検出対象物である検出プレートD2,D3,Djのそれぞれを近接によって検出する。検出器18では、検出プレートD2,D3,Djのある1つを検出している状態において、検出している検出プレートとは別の検出プレートは、検出されない。すなわち、検出器18では、複数の検出プレートが同時に検出されることはない。図2及び図3の一例では、検出器18は、近接センサとして赤外線センサが複数設けられ、複数の赤外線センサのそれぞれは、赤外線を出射する。この場合、検出器18では、赤外線センサのそれぞれは、検出プレートD2,D3,Djの対応する1つで反射した赤外線を受取ることにより、赤外線を反射した対応する検出プレートを検出する。また、図2及び図3の一例では、検出プレートD2,D3,Djごとに、検出器18において反射した赤外線を受取る赤外線センサが異なる。このため、検出器18においていずれの赤外線センサが赤外線を受取ったかに基づいて、検出プレートD2,D3,Djの中の検出した1つを特定可能である。なお、検出器18に設けられる近接センサは、赤外線センサに限るものではなく、磁気センサ等であってもよい。
【0027】
伸縮シリンダー10(シリンダーチューブ12)は、検出器18が検出対象物である検出プレートD2,D3,Djのいずれか1つを検出している状態において、検出プレートが検出器18によって検出されている伸縮ブーム部材(B2,B3,Bjの対応する1つ)に連結されている、又は、長手方向について検出プレートが検出器18によって検出されている伸縮ブーム部材(B2,B3,Bjの対応する1つ)に連結可能な位置及びその近傍に位置する。図2の状態では、伸縮シリンダー10は、前方側部分3において最も後方段のブーム部材(第1の伸縮ブーム部材)Bβに連結され、検出器18は、ブーム部材Bβ(B4)に設けられる検出プレートDβ(D4)を検出している。そして、図3の状態では、伸縮シリンダー10は、後方側部分2において最も前方段のブーム部材(第2の伸縮ブーム部材)Bαに連結され、検出器18は、ブーム部材Bα(B3)に設けられる検出プレートDα(D3)を検出している。
【0028】
検出器(第1の検出器)17は、前方側部分3において最も後方段のブーム部材(第1の伸縮ブーム部材)Bβであるブーム部材B4に設けられる検出プレートD4(Dα)を、検出対象物として検出する。検出器17は、検出プレートD4を近接によって検出する近接センサ等を備える。検出プレートD4以外の検出プレートは、検出器17が近接しても、検出器17によって検出されない。図2及び図3の一例では、検出器17は、赤外線センサを近接センサとして備え、検出プレートD4で反射した赤外線を赤外線センサが受取ることにより、検出プレートD4を検出する。なお、検出器17に設けられる近接センサは、磁気センサ等の赤外線センサ以外の近接センサであってもよい。また、前方側部分3が後方側部分2に取付けられ、かつ、検出器18がブーム部材B3(Bα)の検出プレートD3(Dα)を検出している状態では、ブーム部材B4(Bβ)の前述の所定の伸縮状態において、検出器17が検出プレートD4(Dβ)を検出する。図2及び図3等の一例では、前方側部分3が後方側部分2に取付けられ、かつ、検出器18がブーム部材B3の検出プレートD3を検出している状態において、ブーム部材B4が最も伸長した状態(伸長率100%の状態)である場合に、検出器17が検出プレートD4を検出する。
【0029】
また、前方側部分3において最も後方段のブーム部材B4(Bβ)の後方端部には、ロックピンR4(Rβ)が設けられる。ブーム部材B4では、ロックピンR4(Rβ)は、長手方向について、係合穴H4(Hβ)及び検出プレートD4(Dβ)に対してずれていない又はほとんどずれていない。また、後方側部分において最も前方段のブーム部材B3(Bα)には、ロック穴Eb3(Ebα),Ef3(Efα)を含むロックピンR4が係合可能な複数のロック穴が形成される。ブーム部材B3では、ロック穴Eb3は、後方端部に位置し、ロック穴Ef3は、ロック穴Eb3に対して前方側に位置する。ロックピンR4は、ロック穴Eb3,Ef3を含む複数のロック穴のいずれか1つに選択的に連結可能である。
【0030】
ブーム部材B4(Bβ)が最も収縮した状態(伸長率0%の状態)において、ロックピンR4は、ブーム部材B3のロック穴Eb3に係合可能である。また、ブーム部材B4が前述の所定の伸縮状態において、図2及び図3等の一例では、ブーム部材B4(Bβ)が最も伸長した状態(伸長率100%の状態)において、ロックピンR4は、ブーム部材B3のロック穴Ef3に係合可能である。なお、ブーム部材B4が伸長又は収縮している状態では、ロックピンR4は、ロック穴Eb3,Ef3のいずれとも係合していない。また、前方側部分3は、ロックピンR4がロック穴Eb3,Ef3のいずれとも係合していない状態で、後方側部分2から分離される。
【0031】
次に、後方側部分2から前方側部分3を分離する作業について、図4(a)~(g)を用いて説明する。後方側部分2から前方側部分3を分離する作業では、まず、図4(a)に示すように、ブーム部材(伸縮ブーム部材)B2,B3,Bjのそれぞれを、最も収縮した状態(伸長率0%の状態)にする。この際、コード22のコネクタ23(延設端)は、前方側部分3において最も前方段のブーム部材Bγであるブーム部材B6に接続される。そして、連結部材16をブーム部材B4(Bβ)の係合穴H4(Hβ)に係合させ、伸縮シリンダー10のシリンダーチューブ12を、前方側部分3において最も後方段のブーム部材(第1の伸縮ブーム部材)Bβであるブーム部材B4に、連結部材16を間に介して連結する。そして、伸縮ブーム部材であるブーム部材B2,B3,Bjのそれぞれが最も収縮し、かつ、ブーム部材B4(Bβ)にシリンダーチューブ12が連結された状態において、コード22のコネクタ23(延設端)を、前方側部分3のブーム部材B6から取外すとともに、後方側部分2のブーム部材B3等に接続する。すなわち、コネクタ23を、図4(a)の実線で示す位置から取外し、図4(a)の破線で示す位置に接続する。
【0032】
そして、図4(b)に示すように、シリンダーチューブ12がブーム部材B4に連結され、かつ、コード22の延設端が後方側部分2に接続された状態で伸縮シリンダー10を伸長し、ブーム部材B4を最も伸長した状態(伸長率100%の状態)まで伸長する。この際、ロックピンR4(Rβ)がロック穴Eb3(Ebα),Ef3(Efα)を含むブーム部材B3のロック穴のいずれとも係合していない状態で伸縮シリンダー10を伸長させ、ブーム部材B4を伸長する。そして、ブーム部材B4が最も伸長した状態になると、ロックピンR4をロック穴Ef3に係合し、ブーム部材B4をブーム部材B3に連結する。また、ブーム部材B4へのシリンダーチューブ12の連結を解除する。そして、図4(c)に示すように、シリンダーチューブ12がブーム部材B2,B3,Bjのいずれとも連結していない状態でシリンダーチューブ12を収縮させた後、連結部材16をブーム部材B3(Bα)の係合穴H3(Hα)に係合させ、伸縮シリンダー10のシリンダーチューブ12を、後方側部分2において最も前方段のブーム部材(第2の伸縮ブーム部材)Bαであるブーム部材B3に、連結部材16を間に介して連結する。
【0033】
そして、図4(d)に示すように、シリンダーチューブ12がブーム部材B3に連結された状態で伸縮シリンダー10を伸長し、ブーム部材B3を伸長率50%の状態等の所定の伸縮状態まで伸長する。この際、ブーム部材B3のブーム部材B2に対するロックピンによる接続を解除した状態で、伸縮シリンダー10を伸長し、ブーム部材B3を伸長する。これにより、前方側部分3において最も後方段のブーム部材(第1の伸縮ブーム部材)Bβであるブーム部材B4は、最も伸長した状態になり、後方側部分2において最も前方段のブーム部材(第2の伸縮ブーム部材)Bαであるブーム部材B3は、所定の伸縮状態になる。ブーム部材B3が所定の伸縮状態になることにより、ブーム部材B4をブーム部材B3に接続するロックピンR4(Rβ)、及び、ロックピンR4が係合しているロック穴Ef3(Efα)は、ブーム部材B2の前方端より前方側に位置する状態になり、露出する。そして、図4(e)に示すように、ブーム部材B3,B4のそれぞれが図4(d)に示す伸縮状態になる状態において、ブーム部材B3へのブーム部材B4のロックピンR4による接続を強制的に解除するとともに、多段ブーム1が設けられるクレーンとは別のクレーンで、前方側部分3(ブーム部材Bj)を鉛直上側へ吊上げる。
【0034】
そして、図4(f)に示すように、前方側部分3が吊上げられた状態で、伸縮シリンダー10を収縮する。この際、シリンダーチューブ12がブーム部材B3に連結されているため、伸縮シリンダー10の収縮に対応して、ブーム部材B3(Bα)が所定の伸縮状態(例えば伸長率50%の状態)から収縮する。ブーム部材B3が所定の伸縮状態から収縮することにより、前方側部分3が後方側部分2から分離される。なお、図4(f)では、ブーム部材B3は、所定の収縮状態から収縮した状態で示され、例えば、伸長率が15%の状態で示される。そして、図4(g)に示すように、伸縮シリンダー10をさらに収縮させ、ブーム部材B3を最も収縮した状態(伸長率0%の状態)まで収縮することにより、前方側部分3を後方側部分2から分離する作業が完了する。
【0035】
なお、後方側部分2へ前方側部分3を取付ける作業は、後方側部分2から前方側部分3を分離する作業とは逆の手順で行われる。すなわち、後方側部分2から前方側部分3を分離する作業では、図4(a),図4(b),…,図4(f),図4(g)の順に多段ブーム1の状態が変化するのに対し、後方側部分2へ前方側部分3を取付ける作業では、図4(g),図4(f),…,図4(b),図4(a)の順に多段ブーム1の状態が変化する。また、後方側部分2へ前方側部分3を取付ける作業では、図4(a)の状態まで多段ブーム1を変化させてから、コード22のコネクタ23(延設端)を、後方側部分2のブーム部材B3等から取外すとともに、前方側部分3のブーム部材B6に接続する。すなわち、伸縮ブーム部材であるブーム部材B2,B3,Bjのそれぞれが最も収縮し、かつ、ブーム部材B4(Bβ)にシリンダーチューブ12が連結された状態において、コネクタ23を、図4(a)の破線で示す位置から取外し、図4(a)の実線で示す位置に接続する。
【0036】
図5は、多段ブーム1の伸縮を含む多段ブーム1の作動を制御するブーム制御装置20が設けられるシステムを示す。図5に示すように、ブーム制御装置20は、リール21からの延設端(遠位端)にコネクタ23が設けられる前述のコード22を備えるとともに、前述の伸縮シリンダー10及び検出器17,18を備える。また、ブーム制御装置20は、コントローラ25を備える。コントローラ25は、プロセッサ及び記憶媒体を備え、プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application specific integrated circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を備える集積回路又は回路構成(circuitry)等である。プロセッサは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。プロセッサでの処理は、プロセッサ又は記憶媒体に記憶されたプログラムに従って行われる。また、記憶媒体には、プロセッサで用いられる処理プログラム、及び、プロセッサでの演算で用いられるパラメータ、関数及びテーブル等が記憶される。
【0037】
コントローラ25は、多段ブーム1を構成している伸縮ブーム部材のそれぞれの伸縮についての履歴を示す情報を、取得する。例えば、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態では、コントローラ25は、ブーム部材(伸縮ブーム部材)B2,B3,Bjのそれぞれの伸縮についての履歴を取得し、ブーム部材B2,B3,Bjのそれぞれのリアルタイムの伸縮状態(伸長率等)を示す情報を取得する。同様に、前方側部分3が後方側部分2から分離された状態では、コントローラ25は、ブーム部材(伸縮ブーム部材)B2,B3のそれぞれの伸縮についての履歴を取得し、ブーム部材B2,B3のそれぞれのリアルタイムの伸縮状態(伸長率等)を示す情報を取得する。伸縮ブーム部材のそれぞれの伸縮についての履歴は、伸縮ブーム部材のそれぞれとの伸縮シリンダー10のシリンダーチューブ12の連結状態についての履歴、長手方向についての多段ブーム1の長さについての履歴、及び、伸縮シリンダー10の伸縮についての履歴等に基づいて、算出可能である。また、ユーザインタフェース(図示しない)等では、多段ブーム1の伸縮を含む多段ブーム1の作動に関する操作指令が、作業者等によって入力可能である。コントローラ25は、ユーザインタフェース等で入力された操作指令を取得する。
【0038】
また、コントローラ25は、コード22のコネクタ23(延設端)の接続先について判定する。コード22の延設端の接続先を判定する第1の例では、コントローラ25は、コネクタ23の接続先に装着される機器と通信可能であり、コネクタ23の接続先に装着される機器に関連する情報を、機器からコード22を介して伝達される信号等に基づいて、取得する。例えば、コネクタ23(延設端)が前方側部分3に接続された状態では、コントローラ25は、ブーム部材B6(Bγ)のブームヘッド5に装着される機器と通信可能となり、コネクタ23が後方側部分2接続された状態では、コントローラ25は、後方側部分2に装着される機器と通信可能となる。コントローラ25が通信可能になる機器としては、ブームヘッド5からフックを吊下げるロープの過巻きを検知するスイッチ、及び、多段ブーム1の対地角等の多段ブーム1に関連するパラメータを検知するセンサ等が、挙げられる。
【0039】
第1の例では、コントローラ25は、コード22を介して伝達される信号等を含むコード22を通して伝達される情報等に基づいて、コード22のコネクタ23(延設端)の接続について判定する。例えば、コントローラ25には、コネクタ23の接続先に装着される機器のアドレスが、シリアル通信によって、コード22を介して伝達される。この場合、前方側部分3に装着される機器、及び、後方側部分2に装着される機器では、互いに対して異なる固有のアドレスが、設定される。そして、コントローラ25は、コード22を介して伝達される機器のアドレスに基づいて、コネクタ23の接続先が前方側部分3及び後方側部分2のいずれであるかを判定する。
【0040】
また、第1の例では、コード22の延設端が前方側部分3に接続される状態において、コード22の延設端が後方側部分2に接続される状態とは、機器からの信号のコード22における伝達経路が異なってもよい。この場合、コントローラ25は、伝達される信号のコード22における伝達経路に基づいて、コネクタ23の接続先が前方側部分3及び後方側部分2のいずれであるかを判定する。また、第1の例では、機器のアドレスが取得されない等の機器からの信号がコード22を介して伝達されないことに基づいて、コントローラ25は、コード22の断線又は機器の故障等に起因してコード22の延設端の接続先について検出不良が発生したと判定する。
【0041】
また、第2の例では、後方側部分2に前述した機器は装着されず、コード22のコネクタ23が後方側部分2に接続された状態では、コントローラ25は、コード22を介しての通信は行わない。この場合、機器のアドレスが取得されない等のコード22を介して信号が伝達されないことに基づいて、コントローラ25は、コード22のコネクタ23の接続先が後方側部分であると判定する。本一例でも、コード22の延設端が前方側部分3に接続された場合は、前方側部分3に装着された機器からの信号が、コード22を介してコントローラ25に伝達される。そして、コントローラ25は、取得した機器のアドレス、又は、コード22における信号の伝達経路等に基づいて、コード22の延設端の接続先が前方側部分3であるか否かを判定する。前述した第1の例及び第2の例等では、コントローラ25は、コード22を介して伝達される信号の有無、コード22を介して伝達される機器のアドレス、及び、コード22を通して伝達される信号のコード22における伝達経路のいずれかに基づいて、コード22のコネクタ23(延設端)の接続(接続先)について判定する。
【0042】
コード22の延設端の接続先を判定する第3の例では、長手方向についての多段ブーム1の長さを計測するブーム長計測部が、コントローラ25及びコード22によって構成される。この場合、コントローラ25は、リール21(後方側部分2)から延設端までのコード22の延設長についての計測結果を取得する。コントローラ25等は、コード22の延設長についての計測結果に基づいて、長手方向についての多段ブーム1の長さを算出する。なお、コード22の延設端(コネクタ23)が前方側部分3に接続される状態では、伸縮ブーム部材のそれぞれについての前述の伸縮履歴(伸縮ブーム部材のそれぞれの伸縮状態)が同一であっても、コード22の延設端が後方側部分2に接続される状態とは、リール21から延設端までのコード22の延設長が異なる。すなわち、コード22の延設端の接続先に対応させて、コード22の延設長が変化する。
【0043】
第3の例では、コントローラ25は、コード22の前述の延設長についての計測結果、及び、後方側部分2のブーム部材(伸縮ブーム部材)B2,B3及び後方側部分2に取付けられた前方側部分3のブーム部材(伸縮ブーム部材)Bjのそれぞれの伸縮について履歴に基づいて、コード22の延設端の接続について判定する。すなわち、コード22の延設長、及び、2段目及び2段目より前方段のブーム部材B2,B3,Bjのそれぞれの伸縮の履歴(例えば伸長率の履歴)に基づいて、コード22の延設端の接続先について、判定される。
【0044】
例えば、ブーム部材(伸縮ブーム部材)のそれぞれの伸縮の履歴として、3段目の伸長率が50%、かつ、3段目以外の段番の伸長率が0%であることを示す情報を、コントローラ25が取得したとする。この際、コード22の延設長の計測値が値L1と同一又は略同一である場合は、コントローラ25は、コード22の延設端の接続先が後方側部分2(ブーム部材B3)であると判定する。なお、図4(d)及び図4(e)等の状態において、コード22の延設長は、値L1と同一又は略同一となる。そして、コード22の延設長が値L1より大きい値L2と同一又は略同一である場合は、コントローラ25は、コード22の延設端の接続先が前方側部分3(ブーム部材B6)であると判定する。また、第3の例では、ブーム部材(伸縮ブーム部材)のそれぞれの伸縮の履歴として前述の情報とは異なる情報をコントローラ25が取得した場合も、同様にして、コントローラ25は、コード22の延設長の計測結果に基づいて、コード22の延設端の接続(接続先)について判定する。
【0045】
コントローラ25は、コード22の延設端の接続(接続先)について、第1の例及び第2の例等の機器からコード22を介して伝達される情報に基づいた判定、及び、第3の例等のコードの延設長に基づいた判定の両方を行ってもよい。この場合、2つの判定について、判定結果の優先順位が設定される。そして、2つの判定において判定結果が異なる場合は、コントローラ25は、判定結果の優先順位が高い一方の判定結果を、コード22の延設端の接続(接続先)についての判定結果として用いる。2つの判定が行われることにより、2つの判定の一方においてコード22の延設端の接続先について検出不良が発生しても、2つの判定の他方によって、コード22の延設端の接続先が適切に判定される。
【0046】
コントローラ25は、検出器18での検出対象物である検出プレートD2,D3,Djの検出結果を取得するとともに、検出器17での検出対象物である検出プレートD4(Dβ)の検出結果を取得する。また、コントローラ25は、検出器18での検出結果等に基づいて、ブーム部材(伸縮ブーム部材)B2,B3,Bjのそれぞれと伸縮シリンダー10のシリンダーチューブ12との連結について判定する。ブーム部材B2,B3,Bjのそれぞれとシリンダーチューブ12との連結について判定では、シリンダーチューブ12がブーム部材B2,B3,Bjのいずれかに連結されているか否かが判定されるとともに、シリンダーチューブ12がブーム部材B2,B3,Bjのいずれかに連結されている場合は、シリンダーチューブ12がブーム部材B2,B3,Bjのいずれに連結されているかが判定される。
【0047】
また、ブーム部材B2,B3,Bjのそれぞれとシリンダーチューブ12との連結についての判定では、検出器18での検出結果に加えて、連結部材16の作動についての履歴、伸縮シリンダー10の伸縮についての履歴、及び、長手方向についての多段ブーム1の長さについての履歴等のいずれか1つ以上を用いて、判定が行われる。ある一例では、コントローラ25は、伸縮シリンダー10を伸長又は収縮している状態において、段番kのブーム部材Bkの検出プレートDkを検出器18が経時的に継続して検出していることに基づいて、伸縮シリンダー10がブーム部材(伸縮ブーム部材)Bkに連結されていると判定する。また、別のある一例では、コントローラ25は、段番kのブーム部材Bkの検出プレートDkを検出器18が検出し、かつ、ブーム部材Bkの係合穴Hkと係合する状態に連結部材16が作動されていることに基づいて、伸縮シリンダー10がブーム部材(伸縮ブーム部材)Bkに連結されていると判定する。
【0048】
コントローラ25は、コード22の延設端(コネクタ23)の接続(接続先)についての判定結果、ブーム部材(伸縮ブーム部材)B2,B3,Bjのそれぞれへの伸縮シリンダー10のシリンダーチューブ12の連結についての判定結果、及び、検出器(第1の検出器)17での検出プレートDβ(D4)の検出結果に基づいて、前方側部分3と後方側部分2との間の取付け状態(連結状態)について判定する。この際、前方側部分3が後方側部分2に取付けられているか否かが判定され、図1(a)のように前方側部分3が後方側部分に取付けられた状態、及び、図1(b)のように前方側部分3が後方側部分2から分離された状態のいずれであるかが、判定される。
【0049】
図6は、コントローラ25による前方側部分3と後方側部分2との間の取付け状態の判定処理の一例を示す。図6の判定処理は、コントローラ25が多段ブーム1の作動を制御している間において、経時的に繰返し行われる。図6の判定処理を開始すると、コントローラ25は、コード22のコネクタ23(延設端)が前方側部分3に接続されているか否かを判定する(S101)。コネクタ23の接続先については、第1の例乃至第3の例を含む前述した例のいずれかと同様にして、判定される。コネクタ23が前方側部分3に接続されている場合は(S101-Yes)、コントローラ25は、前方側部分3が後方側部分に取付けられていると判定する(S102)。この場合、ブーム部材B6(Bγ)が多段ブーム1において最も前方段であると判定され、多段ブーム1は6段であると判定される。コネクタ23が前方側部分3に接続されていない場合は(S101-No)、コントローラ25は、コード22のコネクタ23(延設端)が後方側部分2に接続されているか否かを判定する(S103)。
【0050】
コネクタ23が後方側部分2に接続されている場合は(S103-Yes)、コントローラ25は、伸縮シリンダー10のシリンダーチューブ12が伸縮ブーム部材(ブーム部材B2,B3,Bj)のいずれかに連結されているか否かを判定する(S104)。そして、シリンダーチューブ12が伸縮ブーム部材のいずれにも連結されていない場合は(S104-No)、コントローラ25は、前方側部分3と後方側部分2との間の取付け状態について判定を行うことなく、処理が終了する。この場合、前方側部分3と後方側部分2との間の取付け状態について、前回の判定結果が維持される。一方、シリンダーチューブ12が伸縮ブーム部材のいずれかに連結されている場合は(S104-Yes)、コントローラ25は、前方側部分3のブーム部材B4~B6のいずれかがシリンダーチューブ12の連結先であるか否かを判定する(S105)。シリンダーチューブ12の連結先がブーム部材B4~B6のいずれかである場合は(S105-Yes)、コントローラ25は、前方側部分3が後方側部分2に取付けられていると判定する(S106)。ただし、この場合、前方側部分3はブーム部材B4~B6から形成されるが、コントローラ25は、ブーム部材B4(Bβ)が多段ブーム1の最も前方段であると判定する(S107)。したがって、多段ブーム1は4段であると判定される。
【0051】
シリンダーチューブ12の連結先がブーム部材B4~B6以外の場合は(S105-No)、コントローラ25は、後方側部分2において最も前方段のブーム部材B3(Bα)がシリンダーチューブ12の連結先であるか否かを判定する(S108)。シリンダーチューブ12の連結先がブーム部材B3(Bα)である場合は(S108-Yes)、コントローラ25は、検出器(第1の検出器)17が検出プレートD4(Dβ)を検出しているか否かを判定する(S109)。検出器17が検出プレートD4を検出している場合は(S109-Yes)、コントローラ25は、前方側部分3が後方側部分2に取付けられていると判定するとともに(S106)、ブーム部材B4(Bβ)が多段ブーム1の最も前方段であると判定する(S107)。一方、検出器17が検出プレートD4を検出していない場合は(S109-No)、コントローラ25は、前方側部分3が後方側部分2から分離されていると判定する(S110)。この場合、ブーム部材B3(Bα)が、多段ブーム1において最も前方段であると判定され、多段ブーム1は3段であると判定される。
【0052】
また、S108においてシリンダーチューブ12の連結先がブーム部材B3(Bα)でない場合は(S108-No)、コントローラ25は、シリンダーチューブ12の連結先がブーム部材B2であると判定する。すなわち、後方側部分2においてブーム部材B3(Bα)より後方段の伸縮ブーム部材にブーム部材が連結されていると判定する。そして、コントローラ25は、前方側部分3が後方側部分2から分離されていると判定する(S110)。また、S103においてコネクタ23が後方側部分2に接続されていない場合は(S103-No)、コントローラ25は、コード22のコネクタ23の接続先について検出不良が発生したと判定する(S111)。
【0053】
なお、ある一例では、S101においてコネクタ23が前方側部分3に接続されていない場合に(S101-No)、コントローラ25は、S103の処理を行うことなく、S104の処理を行う。この場合、S101においてコネクタ23が前方側部分3に接続されていない場合は(S101-No)、コントローラ25は、コネクタ23の接続先が後方側部分2であると判定する。また、別のある一例では、S105においてシリンダーチューブ12の連結先がブーム部材B4~B6以外の場合に(S105-No)、コントローラ25は、S108の処理を行うことなく、S109の処理を行う。この場合、S105においてシリンダーチューブ12の連結先がブーム部材B4~B6以外の場合は(S105-No)、コントローラ25は、シリンダーチューブ12の連結先がブーム部材B3(Bα)であると判定する。
【0054】
コントローラ25は、後方側部分2に前方側部分3が取付けられているか否かの判定結果に基づいて、多段ブーム1の伸縮を含む多段ブーム1の作動を制御する。また、コントローラ25は、ブーム部材(伸縮ブーム部材)B2,B3,Bjのいずれが多段ブーム1の最も前方段になるかについての判定結果、すなわち、多段ブーム1の段数についての判定結果に基づいて、多段ブーム1の作動を制御する。ここで、後方側部分2への前方側部分3の取付け状態(連結状態)、及び、多段ブーム1の段数等に対応して、多段ブーム1の重量及び多段ブーム1の長手方向についての長さ等が異なる。このため、コントローラ25は、後方側部分2への前方側部分3のリアルタイムの取付け状態等に対応させて、多段ブーム1の伸縮を含む多段ブーム1の作動を制御する。なお、多段ブーム1の作動の制御は、後方側部分2への前方側部分3の取付け状態の判定結果、及び、多段ブーム1の段数についての判定結果に加え、伸縮ブーム部材のそれぞれの伸縮についての履歴を示す情報、及び、多段ブーム1の作動に関する操作指令等に基づいて、行われる。
【0055】
図5等に示すように、コントローラ25は、伸縮シリンダー10の伸縮、すなわち、伸縮シリンダー10の作動等を制御することにより、多段ブーム1の伸縮を制御する。コントローラ25は、伸縮シリンダー10の作動の制御、すなわち、多段ブーム1の伸縮の制御において、後方側部分2への前方側部分3の取付け状態についての判定結果、及び、多段ブーム1の段数についての判定結果に対応させて、伸縮シリンダー10を伸縮させる伸縮範囲を設定する。そして、コントローラ25は、設定した伸縮範囲の範囲内でのみ伸縮シリンダー10が伸縮する状態に、伸縮シリンダー10の作動を制御する。設定される伸縮シリンダー10の伸縮範囲は、後方側部分2への前方側部分3の取付け状態についての判定結果、及び、多段ブーム1の段数についての判定結果に対応して、異なる。すなわち、前方側部分3が後方側部分2に取付けられていると判定した場合は、前方側部分3が後方側部分2から分離されていると判定した場合とは、設定される伸縮シリンダー10の伸縮範囲が異なる。そして、多段ブーム1が4段であると判定した場合は、多段ブーム1が6段であると判定した場合とは、設定される伸縮シリンダー10の伸縮範囲が異なる。
【0056】
前方側部分3が後方側部分2に取付けられ、かつ、ブーム部材B6(Bγ)が多段ブーム1の最も前方段である(多段ブーム1が6段である)と判定された場合、シリンダーチューブ12(連結部材16)がブーム部材B2,B3,Bjのいずれにも連結されていない状態では、伸縮シリンダー10の伸縮範囲、すなわち、連結部材16が多段ブーム1の長手方向に移動可能な範囲として、シリンダーチューブ12がブーム部材B2に連結可能な位置とシリンダーチューブ12がブーム部材B6に連結可能な位置との間の範囲が、設定される。例えば、図1(a)のようにブーム部材(伸縮ブーム部材)B2,B3,Bjのそれぞれが最も収縮した状態(伸長率0%の状態)では、シリンダーチューブ12がブーム部材B2,B3,Bjのいずれにも連結されていない状態での伸縮シリンダー10の伸縮範囲として、範囲δaが設定される。
【0057】
また、前方側部分3が後方側部分2に取付けられ、かつ、ブーム部材B4(Bβ)が多段ブーム1の最も前方段であると判定された場合、シリンダーチューブ12(連結部材16)がブーム部材B2,B3,Bjのいずれにも連結されていない状態では、伸縮シリンダー10の伸縮範囲(連結部材16が多段ブーム1の長手方向に移動可能な範囲)として、シリンダーチューブ12がブーム部材B2に連結可能な位置とシリンダーチューブ12がブーム部材B4に連結可能な位置との間の範囲が、設定される。例えば、図1(a)のようにブーム部材(伸縮ブーム部材)B2,B3,Bjのそれぞれが最も収縮した状態では、シリンダーチューブ12がブーム部材B2,B3,Bjのいずれにも連結されていない状態での伸縮シリンダー10の伸縮範囲として、範囲δbが設定される。
【0058】
そして、前方側部分3が後方側部分2から分離されると判定された場合、シリンダーチューブ12(連結部材16)がブーム部材B2,B3のいずれにも連結されていない状態では、伸縮シリンダー10の伸縮範囲として、シリンダーチューブ12がブーム部材B2に連結可能な位置とシリンダーチューブ12がブーム部材B3に連結可能な位置との間の範囲が、設定される。例えば、図1(b)のようにブーム部材(伸縮ブーム部材)B2,B3のそれぞれが最も収縮した状態では、シリンダーチューブ12がブーム部材B2,B3のいずれにも連結されていない状態での伸縮シリンダー10の伸縮範囲として、範囲δcが設定される。
【0059】
また、図5等に示すように、多段ブーム1の作動を制御するコントローラ25は、ブーム起伏シリンダー(デリックシリンダー)の作動を制御することにより、多段ブーム1の起伏を制御する。多段ブーム1の伸縮及び起伏等を含む多段ブーム1の作動の制御においては、コントローラ25は、多段ブーム1のリアルタイムの作業半径を算出し、多段ブーム1がクレーンの周辺の障害物と干渉しない状態に多段ブーム1の伸縮及び起伏等を制御する。また、コントローラ25は、吊荷等によって多段ブーム1にリアルタイムで掛かっている荷重(実荷重)等を算出するとともに、多段ブーム1に掛かる荷重についての限界値(上限値)を算出及び設定する。そして、コントローラ25は、リアルタイムの荷重と限界値との差が閾値以下になると警告等をするとともに、リアルタイムの荷重が限界値を超えると多段ブーム1の伸縮及び起伏等を含む多段ブーム1の作動を強制停止させる。
【0060】
ここで、多段ブーム1のリアルタイムの作業半径は、長手方向についての多段ブーム1の長さ等に基づいて算出され、多段ブーム1にリアルタイムで掛かっている荷重(実荷重)、及び、多段ブーム1に掛かる荷重の限界値は、長手方向についての多段ブーム1の長さ、及び、多段ブーム1の重量等に基づいて算出される。このため、算出される多段ブーム1のリアルタイムの作業半径及び荷重(実荷重)、及び、設定される多段ブーム1の荷重についての限界値は、後方側部分2への前方側部分3の取付け状態についての判定結果、及び、多段ブーム1の段数についての判定結果に対応して、異なる。すなわち、前方側部分3が後方側部分2に取付けられていると判定した場合は、前方側部分3が後方側部分2から分離されていると判定した場合とは、多段ブーム1のリアルタイムの作業半径及び荷重のそれぞれについての算出結果、及び、設定される多段ブーム1の荷重についての限界値等が異なる。そして、多段ブーム1が4段であると判定した場合は、多段ブーム1が6段であると判定した場合とは、多段ブーム1のリアルタイムの作業半径及び荷重のそれぞれについての算出結果、及び、設定される多段ブーム1の荷重についての限界値等が異なる。
【0061】
本実施形態では、前方側部分3の後方側部分2への取付け状態の判定において、図6に示す処理が行われる。このため、前方側部分3を後方側部分2から分離する作業では、コントローラ25は、以下のように判定及び処理を行う。すなわち、図4(a)の状態において、コード22のコネクタ23(延設端)が前方側部分3に接続されている(コネクタ23が実線で示す位置に接続されている)状態では、コントローラ25は、S101-Yesと判定する。そして、コントローラ25は、S102において、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態であると判定し、ブーム部材B6(Bγ)が多段ブーム1において最も前方段であると判定する。
【0062】
そして、図4(a)の状態において、コード22のコネクタ23(延設端)の接続先を後方側部分2(破線で示す位置)に変更すると、コントローラ25は、S101-No、S103-Yes、S104-Yes、S105-Yesと順に判定する。そして、コントローラ25は、S106において、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態であると判定し、S107において、ブーム部材B4(Bβ)が多段ブーム1において最も前方段であると判定する。そして、図4(b)の状態までブーム部材B4を伸長した後、ブーム部材B4へのシリンダーチューブ12の連結を解除するまでは、コントローラ25は、S101-No、S103-Yes、S104-Yes、S105-Yesと順に判定し、前方側部分3の後方側部分2への取付け状態についてS106、S107のように判定する。
【0063】
そして、ブーム部材B4(Bβ)へのシリンダーチューブ12の連結を解除すると、図4(c)の状態においてブーム部材B3(Bα)へシリンダーチューブ12を連結するまでは、コントローラ25は、S101-No、S103-Yes、S104-Noと順に判定する。このため、コントローラ25は、前方側部分3と後方側部分2との間の取付け状態について判定を行わない。したがって、図4(c)の状態においてブーム部材B3(Bα)へシリンダーチューブ12を連結するまでは、前方側部分3が後方側部分2に取付けられ、かつ、ブーム部材B4(Bβ)が多段ブーム1において最も前方段であるという判定結果が、維持される。
【0064】
そして、図4(c)の状態においてブーム部材B3(Bα)へシリンダーチューブ12が連結されると、コントローラ25は、S101-No、S103-Yes、S104-Yes、S105-No、S108-Yesと順に判定する。そして、図4(c)の状態では、検出器(第1の検出器)17は、検出プレートD4(Dβ)を検出しているため、コントローラ25は、S109-Yesと判定する。そして、コントローラ25は、S106において、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態であると判定し、S107において、ブーム部材B4(Bβ)が多段ブーム1において最も前方段であると判定する。そして、図4(d)、図4(e)の順に多段ブーム1の状態を変化させ、図4(f)のように前方側部分3が後方側部分2から分離されるまでは、コントローラ25は、S101-No、S103-Yes、S104-Yes、S105-No、S108-Yes、S109-Yesと順に判定し、前方側部分3の後方側部分2への取付け状態についてS106、S107のように判定する。
【0065】
そして、図4(f)の状態において前方側部分3が後方側部分2から分離されると、検出器17は、検出プレートD4(Dβ)を検出しなくなる。このため、コントローラ25は、S101-No、S103-Yes、S104-Yes、S105-No、S108-Yes、S109-Noと順に判定する。そして、コントローラ25は、S110において、前方側部分3が後方側部分2から分離された状態であると判定し、ブーム部材B3(Bα)が多段ブーム1において最も前方段であると判定する。そして、図4(g)の状態までブーム部材B3を収縮させている間、及び、図4(g)の状態においても、コントローラ25は、S101-No、S103-Yes、S104-Yes、S105-No、S108-Yes、S109-Noと順に判定し、前方側部分3の後方側部分2への取付け状態についてS110のように判定する。
【0066】
前方側部分3を後方側部分2に取付ける作業でも、図4(a)~(g)の状態のそれぞれにおいて、コントローラ25は、前方側部分3を後方側部分2から分離する作業と同様にして、前方側部分3の後方側部分2への取付け状態について判定する。したがって、図4(g)の状態から図4(e)の状態において前方側部分3が後方側部分2に取付けられるまでは、コントローラ25は、S101-No、S103-Yes、S104-Yes、S105-No、S108-Yes、S109-Noと順に判定し、前方側部分3の後方側部分2への取付け状態についてS110のように判定する。そして、前方側部分3が後方側部分に取付けられてから図4(c)においてブーム部材B3(Bα)へのシリンダーチューブ12の連結が解除されるまでは、コントローラ25は、S101-No、S103-Yes、S104-Yes、S105-No、S108-Yes、S109-Yesと順に判定し、前方側部分3の後方側部分2への取付け状態についてS106、S107のように判定する。
【0067】
そして、ブーム部材B3(Bα)へのシリンダーチューブ12の連結を解除した後、図4(b)の状態まで伸縮シリンダー10を伸長している状態では、コントローラ25は、S101-No、S103-Yes、S104-Noと順に判定する。したがって、前方側部分3が後方側部分2に取付けられ、かつ、ブーム部材B4(Bβ)が多段ブーム1において最も前方段であるという判定結果が、維持される。そして、図4(b)の状態においてブーム部材B4(Bβ)へシリンダーチューブ12を連結すると、コントローラ25は、S101-No、S103-Yes、S104-Yes、S105-Yesと順に判定し、前方側部分3の後方側部分2への取付け状態についてS106、S107のように判定する。そして、図4(a)の状態において、コード22のコネクタ23(延設端)の接続先を前方側部分3(実線で示す位置)に変更すると、コントローラ25は、S101-Yesと判定し、前方側部分3の後方側部分2への取付け状態についてS102のように判定する。
【0068】
本実施形態では、コード22の延設端が後方側部分2に接続され、かつ、後方側部分2において最も前方段のブーム部材Bα(B3)に伸縮シリンダー10が連結されている状態において、前方側部分3において最も後方段のブーム部材Bβ(B4)の検出プレート(検出対象物)Dβを検出器17が検出していることに基づいて、コントローラ25は、前方側部分3が後方側部分2に取付けられていると判定する。このため、図4(a)の状態等の多段ブーム1が最も収縮した状態でコード22の延設端の接続先を変更しても、後方側部分2への前方側部分3の取付け作業、及び、後方側部分2からの前方側部分3の分離作業のそれぞれにおいて、前方側部分3が後方側部分2へ取付けられているか否かが適切に判定される。
【0069】
また、本実施形態では、コード22の延設端が後方側部分2に接続され、かつ、ブーム部材Bα(B3)に伸縮シリンダー10が連結されている状態において、ブーム部材Bβ(B4)の検出プレートDβを検出器17が検出していないことに基づいて、コントローラ25は、前方側部分3が後方側部分2から分離されていると判定する。そして、コード22の延設端が後方側部分2に接続されている状態において、ブーム部材Bβ(B4)を含む前方側部分3の伸縮ブーム部材B4~B6のいずれかに伸縮シリンダー10が連結されていることに基づいて、コントローラ25は、前方側部分3が後方側部分2に取付けられていると判定する。さらに、コード22の延設端が前方側部分3に接続されていることに基づいて、コントローラ25は、前方側部分3が後方側部分2に取付けられていると判定する。これにより、多段ブーム1が最も収縮した状態でコード22の延設端の接続先を変更しても、後方側部分2への前方側部分3の取付け作業、及び、後方側部分2からの前方側部分3の分離作業のそれぞれにおいて、前方側部分3が後方側部分2へ取付けられているか否かがさらに適切に判定される。
【0070】
本実施形態では、コントローラ25は、後方側部分2への前方側部分3の取付け状態についての判定結果に基づいて、多段ブーム1の伸縮を含む多段ブーム1の作動を制御する。本実施形態では、前述のように後方側部分2への前方側部分3の取付け状態について適切に判定される。このため、適切に判定された判定結果に基づいて多段ブーム1の作動が制御されることにより、前方側部分3が後方側部分2に取付けられているか否かに対応させて、多段ブーム1の作動が適切かつ安全に制御される。
【0071】
また、本実施形態では、コード22の延設端が後方側部分2に接続されている状態において前方側部分3が後方側部分に取付けられていると判定した場合は、コントローラ25は、前方側部分3において最も後方段のブーム部材Bβ(B4)が多段ブーム1の最も前方段であるとして、多段ブーム1の作動を制御する。すなわち、多段ブーム1がβ段(本実施形態では4段)であると判定して、コントローラ25は、多段ブーム1の作動を制御する。これにより、前方側部分3における伸縮ブーム部材の数が判定不可能な場合でも、すなわち、前方側部分3が後方側部分2に取付けられた状態での多段ブーム1の段数が判定不可能な場合でも、多段ブーム1の作動が適切かつ安全に制御される。
【0072】
例えば、コントローラ25は、前方側部分3の後方側部分2への取付け状態についての判定結果、及び、多段ブーム1の段数についての判定結果等に基づいて、前述した伸縮シリンダー10の伸縮範囲を設定する。これにより、伸縮シリンダー10の伸縮範囲として、前方側部分3の後方側部分2へのリアルタイムの取付け状態、及び、多段ブーム1の段数についての判定結果等に対応した範囲が、適切に設定される。このため、設定された伸縮範囲の範囲内で伸縮シリンダー10が伸縮する状態に伸縮シリンダー10の作動が制御されることにより、伸縮シリンダー10の作動が適切に制御され、多段ブーム1の伸縮が適切に制御される。伸縮シリンダー10の作動及び多段ブーム1の伸縮が適切に制御されることにより、伸縮シリンダー10が適正な伸縮範囲を超えて過度に伸長すること等が有効に防止される。これにより、シリンダーチューブ12がシリンダーガイドから抜けたり、シリンダーチューブ12の前方端がブームヘッド5と干渉したりすることが、有効に防止される。
【0073】
また、コントローラ25は、前方側部分3の後方側部分2への取付け状態についての判定結果、及び、多段ブーム1の段数についての判定結果等に基づいて、長手方向についての多段ブーム1の長さ、及び、多段ブーム1の重量等を取得し、多段ブーム1のリアルタイムの作業半径、多段ブーム1にリアルタイムで掛かっている荷重(実荷重)、及び、多段ブーム1に掛かる荷重についての限界値(上限値)を算出する。このため、多段ブーム1の作業半径、多段ブーム1の荷重(実荷重)、及び、多段ブーム1の荷重についての限界値として、前方側部分3の後方側部分2へのリアルタイムの取付け状態、及び、多段ブーム1の段数についての判定結果に対応した値が、適切に算出される。このため、算出した多段ブーム1の作業半径に基づいて多段ブーム1の伸縮及び起伏等を制御することにより、クレーンの周辺の障害物との多段ブーム1の干渉が、有効に防止される。また、算出した多段ブーム1の荷重、及び、多段ブーム1の荷重についての限界値に基づいて多段ブーム1の作動を制御することにより、前方側部分3の後方側部分2へのリアルタイムの取付け状態等に対応させて、適切に警告が行われ、多段ブーム1の作動が適切に強制停止される。これにより、クレーンが転倒し易い姿勢になること等が、有効に防止される。
【0074】
また、本実施形態では、後方側部分2への前方側部分3の取付け作業、及び、後方側部分2からの前方側部分3の分離作業のそれぞれにおいて、多段ブーム1が最も収縮した状態でコード22の延設端の接続先を変更可能となる。これにより、コード22の延設端の接続先を変更する作業が、簡略化される。また、多段ブーム1が最も収縮した状態でコード22の延設端の接続先を変更可能となることにより、コード22の延設端の接続先を変更する作業において、作業効率及び安全性が向上する。
【0075】
(変形例)
なお、第1の変形例では、前方側部分3を後方側部分2へ取付ける作業において、コントローラ25は、ブーム部材Bβ(B4)のロックピンRβ(R4)がブーム部材Bα(B3)のロック穴Efα(Ef3)に係合可能であるか否かを判定する。前方側部分3の後方側部分2への取付けでは、図4(f)のように多段ブーム1が設けられるクレーンとは別のクレーンで前方側部分3(ブーム部材Bj)を鉛直上側へ吊上げた状態で、ブーム部材Bα(B3)を伸長する。そして、図4(e)のように、ロックピンRβ(R4)がロック穴Efα(Ef3)に係合可能になるまで、ブーム部材Bα(B3)を伸長させる。図7及び図8は、図4(f)の状態から図4(e)の状態までブーム部材(第2の伸縮ブーム部材)Bαを伸長している間における、検出器(第1の検出器)17の位置の変化を示す。図4(f)の状態から図4(e)の状態までブーム部材Bαの伸長によって、検出器17は、図7に示す位置まで前方側へ移動する。そして、図7の状態からブーム部材Bαをさらに伸長すると、検出器17は、図8に示す位置までさらに前方側へ移動する。
【0076】
検出器17が図8に示す位置まで前方側へ移動することにより、検出器17は、検出プレートDβ(D4)の検出を開始する。このため、図8に示す位置まで検出器17が移動した時点が、検出器17による検出プレートDβの検出開始時点となる。ただし、図8の状態では、ブーム部材Bβ(B4)のロックピンRβ(R4)がブーム部材Bα(B3)のロック穴Efα(Ef3)と係合不可能である。図8の状態から伸縮シリンダー10をさらに伸長し、図3に示す位置まで検出器17が前方側に移動することにより、ロックピンRβ(R4)がロック穴Efα(Ef3)に係合可能となる。本変形例では、コントローラ25は、検出器17による検出プレートDβの検出開始時点(図8の状態)における伸縮シリンダー10の長さを基準長さYrefとして取得する。また、コントローラ25は、基準長さYrefからの伸縮シリンダー10の伸長量ΔYを検出する。
【0077】
また、本変形例では、図8の状態等において検出器17が検出プレートDβ(D4)の検出を開始すると、コントローラ25は、基準長さYrefからの伸縮シリンダー10の伸長量ΔYが下限値ΔYmin以上かつ上限値ΔYmax以下の所定の範囲であるか否かを判定する。そして、伸長量ΔYが所定の範囲内である場合は、コントローラ25は、ロックピンRβ(R4)がロック穴Efα(Ef3)に係合可能であると判定し、ユーザインタフェース(図示しない)等を介して、ロックピンRβがロック穴Efαに係合可能であることを告知する。一方、伸長量ΔYが所定の範囲から外れている場合は、コントローラ25は、ロックピンRβ(R4)がロック穴Efα(Ef3)と係合不可能であると判定し、ユーザインタフェース等を介して、ロックピンRβがロック穴Efαと係合不可能であることを告知する。
【0078】
本変形例でも、前述の実施形態等と同様にして、前方側部分3の後方側部分2への取付け状態について判定される。このため、前述の実施形態等と同様に、多段ブーム1が最も収縮した状態でコード22の延設端の接続先を変更しても、前方側部分3が後方側部分2へ取付けられているか否かが適切に判定される。したがって、前方側部分3が後方側部分2に取付けられているか否かに対応させて、多段ブーム1の作動が適切かつ安全に制御されるとともに、コード22の延設端の接続先を変更する作業が簡略化される。
【0079】
また、本変形例では、コントローラ25は、ブーム部材Bβ(B4)のロックピンRβ(R4)がブーム部材Bα(B3)のロック穴Efα(Ef3)と係合可能であるか否かを判定するとともに、判定結果を告知する。このため、前方側部分3を後方側部分2へ取付ける作業において、ロックピンRβ(R4)とロック穴Efα(Ef3)との位置調整を行い易くなる。これにより、前方側部分3を後方側部分2へ取付ける作業において、作業効率が向上する。
【0080】
また、図9に示す第2の変形例では、前方側部分3において最も後方段のブーム部材(第1の伸縮ブーム部材)Bβに検出プレートDβ(D4)に加えて、検出プレートPが、検出器17による検出対象物として設けられる。検出プレートPは、多段ブーム1の長手方向について、検出プレートDβに対してずれていない又はほとんどずれていない。ただし、検出器17による検出プレートPの検出範囲は、検出器17による検出プレートDβ(D4)の検出範囲に比べて小さく、検出器17による検出プレートDβ(D4)の検出範囲内に含まれる。したがって、検出器17は、検出プレートPを検出している状態において、検出プレートDβも検出している。すなわち、検出器17が検出プレートDβを検出することなく検出プレートPのみを検出する状態には、ならない。
【0081】
本変形例では、検出器17が検出プレートDβ(D4)を検出している状態において、コントローラ25は、検出器17が検出プレートPを検出しているか否かを判定する。そして、検出プレートPを検出している場合は、コントローラ25は、ロックピンRβ(R4)がロック穴Efα(Ef3)に係合可能であると判定する。一方、検出プレートPを検出していない場合は、コントローラ25は、ロックピンRβ(R4)がロック穴Efα(Ef3)と係合不可能であると判定する。本変形例でも、コントローラ25は、ロックピンRβ(R4)とロック穴Efα(Ef3)との係合についての判定結果を、ユーザインタフェース等を介して告知する。本変形例でも、ロックピンRβ(R4)とロック穴Efα(Ef3)との係合について判定及び告知されるため、前述の第1の変形例と同様の作用及び効果を奏する。
【0082】
また、前述の実施形態等では、後方側部分2は、1つのベースブーム部材(B1)及び2つの伸縮ブーム部材(B2,B3)から形成されるが、後方側部分2は、1つのベースブーム部材及び1つ以上の伸縮ブーム部材を備えればよい。また、前述の実施形態等では、前方側部分3が3つの伸縮ブーム部材(B4~B6)から形成されるが、前方側部分3は、1つ以上の伸縮ブーム部材を備えればよい。これらの場合も、前述の実施形態等と同様にして、前方側部分3と後方側部分2との間の取付け状態(連結状態)が、判定される。したがって、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0083】
また、後方側部分2には、2種類以上の前方側部分のいずれか1種類が選択的に取付け可能であってもよい。この場合も、前方側部分のいずれか1種類を後方側部分2に取付ける作業、及び、後方側部分2に取付けられている前方側部分を後方側部分2から分離する作業のそれぞれにおいて、前述の実施形態等と同様にして、前方側部分が後方側部分2へ取付けられているか否かが、判定される。したがって、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。なお、2種類以上の前方側部分のいずれか1種類が選択的に後方側部分2に取付け可能な場合、2種類以上の前方側部分は、設けられるブーム部材(伸縮ブーム部材)の数、長手方向についての長さ、及び、重量等の1つ以上が互いに対して異なる。すなわち、2種類以上の前方側部分では、長手方向についての長さ、及び、重量等の1つ以上が互いに対して異なれば、設けられるブーム部材(伸縮ブーム部材)の数が互いに対して同一であってもよい。
【0084】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0085】
1…多段ブーム、2…後方側部分、3…前方側部分、10…伸縮シリンダー、12…シリンダーチューブ、17…検出器(第1の検出器)、18…検出器(第2の検出器)、20…ブーム制御装置、22…コード、23…コネクタ、25…コントローラ、Bi,Bj…ブーム部材、Dk…検出プレート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9