IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特開2023-93095案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置
<>
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図1
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図2
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図3
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図4
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図5
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図6
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図7
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図8
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図9
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図10
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図11
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図12
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図13
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図14
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図15
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図16
  • 特開-案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093095
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 32/06 20060101AFI20230627BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
F16C32/06 A
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208505
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 隆史
【テーマコード(参考)】
2C056
3J102
【Fターム(参考)】
2C056EB12
2C056EB36
2C056EC08
2C056EC12
2C056EC30
2C056EC35
2C056EC37
2C056FA13
2C056HA29
3J102AA02
3J102BA07
3J102CA11
3J102CA19
3J102EA02
3J102EA07
3J102FA03
3J102FA05
3J102GA20
(57)【要約】
【課題】可動部の走行精度を高めることができ、かつ、装置全体の軽量化を図ることができる案内装置を提供すること。
【解決手段】案内装置は、基台と、基台上に配置された第1,第2ガイド部材と、第1,第2ガイド部材に沿って移動する可動部と、可動部を移動可能に支持する空気軸受部とを備え、可動部は、可動体と、可動体から下方に延伸し第1ガイド部材を当該第1ガイド部材の幅方向で挟む第1,第2軸受支持部材とを備え、空気軸受部は、可動部を第1ガイド部材に対して幅方向で支持し第1,第2軸受支持部材に配置された第1,第2幅方向空気軸受部と、可動部を第1ガイド部材に対して上下方向で支持し可動体に配置された第1浮上空気軸受部とを含み、可動体は、第1,第2軸受支持部材及び第1浮上空気軸受部の配置位置を含む肉厚部の厚さが、他の部位よりも厚くなるように形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台上において案内方向に延びる第1ガイド部材及び第2ガイド部材と、
前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材に沿って移動する可動部と、
前記可動部を移動可能に支持する空気軸受部と、を備え、
前記可動部は、
前記第1ガイド部材及び第2ガイド部材上に位置する板状の可動体と、
前記可動体から下方に延伸し、前記第1ガイド部材を幅方向で挟む第1軸受支持部材及び第2軸受支持部材と、を備え、
前記空気軸受部は、
前記可動部を前記第1ガイド部材に対して前記幅方向で支持し、前記第1軸受支持部材及び前記第2軸受支持部材にそれぞれ配置された第1幅方向空気軸受部及び第2幅方向空気軸受部と、
前記可動部を前記第1ガイド部材に対して上下方向で支持し、前記可動体に配置された第1浮上空気軸受部と、を含み、
前記可動体は、前記第1軸受支持部材、前記第2軸受支持部材及び前記第1浮上空気軸受部の配置位置を含む肉厚部の厚さが、他の部位の厚さよりも厚くなるように形成されている、
案内装置。
【請求項2】
前記可動部は、
前記可動体から下方に延伸し、前記第2ガイド部材に対して前記第1ガイド部材の反対側に位置するように配置された第3軸受支持部材を備え、
前記第1軸受支持部材は、前記第1ガイド部材に対して前記第2ガイド部材の反対側に位置するように配置され、
前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材は、前記幅方向の外側に向かって互いに離れるように延伸する第1突出部及び第2突出部をそれぞれ含み、
前記空気軸受部は、
前記可動部を前記第2ガイド部材に対して上下方向で支持し、前記可動体に配置された第2浮上空気軸受部と、
前記可動部を前記第1突出部に対して上下方向で支持し、前記可動体及び前記第1軸受支持部材にそれぞれ1つずつ配置された一対の第1上下方向空気軸受部と、
前記可動部を前記第2突出部に対して上下方向で支持し、前記可動体及び前記第3軸受支持部材にそれぞれ1つずつ配置された一対の第2上下方向空気軸受部と、を備え、
前記肉厚部は、
前記第1軸受支持部材、前記第2軸受支持部材、前記第1浮上空気軸受部及び一方の前記第1上下方向空気軸受部の配置位置を含む第1肉厚部と、
前記第3軸受支持部材、前記第2浮上空気軸受部及び一方の前記第2上下方向空気軸受部の配置位置を含む第2肉厚部と、を含む、
請求項1に記載の案内装置。
【請求項3】
前記可動体における前記他の部位には、前記可動体を貫通する可動体抜き穴が形成されている、
請求項1又は2に記載の案内装置。
【請求項4】
前記基台における前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材が配置されていない部位には、前記基台を貫通する基台抜き穴が形成されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の案内装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の案内装置と、
前記可動体の前記肉厚部上に配置された微動機構と、
前記微動機構上に配置されたワーク保持テーブルと、を備える、
ワーク搬送ステージ。
【請求項6】
請求項4に記載の案内装置と、
前記可動体の前記肉厚部上に配置された微動機構と、
前記微動機構上に配置されたワーク保持テーブルと、を備える、
ワーク搬送ステージ。
【請求項7】
請求項5に記載のワーク搬送ステージと、
前記基台上に配置されたガントリーと、
前記ガントリーに配置され、前記ワーク保持テーブルに保持された印刷対象物にインクを吐出するインクジェットヘッドと、備える、
インクジェット印刷装置。
【請求項8】
請求項6に記載のワーク搬送ステージと、
前記基台上に配置されたガントリーと、
前記ガントリーに配置され、前記ワーク保持テーブルに保持された印刷対象物にインクを吐出するインクジェットヘッドと、備えるインクジェット印刷装置であって、
前記インクジェット印刷装置全体を囲むブースと、
温度調節された気体を前記ブースで囲まれた領域内の上方から下方へ流す空調機と、
前記空調機により流された気体を前記基台抜き穴を介して回収する回収部と、を更に備える、
インクジェット印刷装置。
【請求項9】
互いに独立的に前記気体の温度を設定可能な複数の前記空調機が、前記案内方向に並ぶように配置されている、
請求項8に記載のインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット印刷装置を用いてデバイスを製造する方法が注目されている。インクジェット印刷装置は、液滴吐出を行う複数のノズルを有し、ノズルと印刷対象物との位置関係を制御しながらノズルから液滴を吐出することで、印刷対象物に液滴を塗布する。
【0003】
この種のインクジェット印刷装置の1つとして、複数のラインヘッドを備える印刷装置が知られている。各ラインヘッドは、印刷対象物の幅方向に並設された複数のインクジェットヘッドを備える。各インクジェットヘッドは、複数の吐出口を有する液滴吐出ヘッドである。このような複数のラインヘッドを、主走査方向と同一水平面内で直交する方向である副走査方向に並べて配置することで、幅の大きい印刷対象物に対して、1度の搬送工程で、インクを一括で塗布することができる。更に、副走査方向に複数のインクジェットヘッドが並設された複数のラインヘッドを、主走査方向にも並べて配置することで、例えば色が異なるなどの複数種のインクを、1度の搬送工程の間に一括で印刷対象物に塗布することができる。このような構成によれば、例えば、G4サイズ(680mm×880mm)以上の大型の印刷対象物に対しても、1度の搬送工程で複数種のインクを一括で塗布できるので、印刷対象物にインクを塗布するタクトの低減が可能になる。更に、インク塗布後の乾燥条件等を均一にしやすいために、例えばインク膜厚を均一に制御できるなどの印刷プロセス上の利点がある。
【0004】
しかしながら、近年、生産性の向上のため、印刷対象物の更なる大型化が求められている。一方、ディスプレイパネルの高精細化の要求も強くなっており、その結果、求められる印刷位置の精度は益々高まっている。そのため、大型でありながら、走行精度が高いワーク搬送ステージが必要となっている。その要求に応える1つの構成として、空気軸受を有する案内装置を使用したワーク搬送ステージがある。図17に示されるように、案内装置900は、基台901と、ガイド部材902と、可動部903とを備える。基台901の左右方向(図17における左右方向)両側には、それぞれ可動部903の案内方向(図17における前後方向)に延びるガイド部材902が固定されている。可動部903を構成する可動体904の左右方向両側には、それぞれ軸受け支持部材905が固定されている。各軸受け支持部材905は、各ガイド部材902の外側(右側のガイド部材902の右側、左側のガイド部材902の左側)に位置する水平方向静圧空気軸受906と、各ガイド部材902の下側に位置する下側静圧空気軸受907とを支持するように構成されている。可動部903における各下側静圧空気軸受907に対応する位置には、それぞれ上側静圧空気軸受908が配置されている。
【0005】
しかしながら、図17に示されるような案内装置900において、可動部903の走行再現性を高めるためには、各静圧空気軸受906,907,908の軸受け剛性を高める必要がある。このような軸受け剛性を高めるには、静圧空気軸受の軸受隙間(各静圧空気軸受906,907,908と、ガイド部材902における各静圧空気軸受906,907,908と対向する部位との隙間)を数μm~十数μm程度に保つ必要がある。一方、可動部903が大きくなり2本のガイド部材902の距離が遠くなると、ガイド部材902の熱膨張などの影響により、各ガイド部材902の側面に対向して配置された水平方向静圧空気軸受906の軸受隙間を、精密に保つことが困難となるおそれがある。例えば、軸受隙間が無くなってしまい、水平方向静圧空気軸受906が破損するおそれがある。そこで、このような問題を解決する方法が検討されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
特許文献1に記載の案内装置において、基台上の基準面には、可動部の案内方向に延びる1本のガイド部材が固定されている。可動部の可動体の下側には、ガイド部材の両側面にそれぞれ対向する2つの対向部が固定されている。2つの対向部におけるガイド部材の各側面に対向する位置には、水平方向静圧空気軸受が配置されている。更に、可動体の下側には、2つの対向部と並ぶように、第2対向部が固定されている。2つの対向部のうち外側の対向部(第2対向部から遠い側の対向部)の下面と、第2対向部の下面とには、それぞれ上下方向静圧空気軸受が配置されている。更に、外側の対向部の外側(もう1つの対向部(内側の対向部)が存在しない側)と、第2対向部の外側(内側の対向部が存在しない側)とには、それぞれ非接触状態で可動体を基台に向けて吸引する吸引力発生手段が配置されている。このような構成により、ガイド部材の両側面にそれぞれ対向する水平方向静圧空気軸受の距離を小さく保つことができるので、ガイド部材の熱膨張の影響を受けにくくなり、ワーク搬送ステージが大型化しても軸受隙間を精密に保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4270192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のような構成によれば、基台の基準面におけるガイド部材を取り付ける部位以外に、上下方向静圧空気軸受と対向する部位についても、当該部位上を上下方向静圧空気軸受が通過するために高精度な平面が必要であり、基台に軽量化用の抜き穴を形成することができない。更に、基台の両側に吸引力発生手段を設置するスペースが必要になるため、平面視における基台の面積が大きくなる。
【0009】
また、可動体が薄いと、可動体に垂線周りのモーメントが加わった時に、可動体における対向部が固定された部位が変形し、可動部の走行精度が低くなるおそれがある。このような問題を解決するために、可動体を厚くして、当該可動体のモーメント剛性を高くすることが考えられるが、可動部が重くなり、その重量を支えるために基台も厚くする必要がある。
【0010】
特許文献1に記載のような構成では、上述されたように、基台に抜き穴を形成しにくいことと、基台の面積が大きくなることと合わせて、案内装置全体が重くなることに伴い設置場所の耐荷重を高くする必要があり、建屋のコストアップに繋がるという問題があった。
【0011】
本開示は、可動部の走行精度を高めることができ、かつ、装置全体の軽量化を図ることができる案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の案内装置は、基台と、前記基台上において案内方向に延びる第1ガイド部材及び第2ガイド部材と、前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材に沿って移動する可動部と、前記可動部を移動可能に支持する空気軸受部と、を備え、前記可動部は、前記第1ガイド部材及び第2ガイド部材上に位置する板状の可動体と、前記可動体から下方に延伸し、前記第1ガイド部材を幅方向で挟む第1軸受支持部材及び第2軸受支持部材と、を備え、前記空気軸受部は、前記可動部を前記第1ガイド部材に対して前記幅方向で支持し、前記第1軸受支持部材及び前記第2軸受支持部材にそれぞれ配置された第1幅方向空気軸受部及び第2幅方向空気軸受部と、前記可動部を前記第1ガイド部材に対して上下方向で支持し、前記可動体に配置された第1浮上空気軸受部と、を含み、前記可動体は、前記第1軸受支持部材、前記第2軸受支持部材及び前記第1浮上空気軸受部の配置位置を含む肉厚部の厚さが、他の部位の厚さよりも厚くなるように形成されている。
【0013】
本開示のワーク搬送ステージは、上述された案内装置と、前記可動体の前記肉厚部上に配置された微動機構と、前記微動機構上に配置されたワーク保持テーブルと、を備える。
【0014】
本開示のインクジェット印刷装置は、上述されたワーク搬送ステージと、前記基台上に配置されたガントリーと、前記ガントリーに配置され、前記ワーク保持テーブルに保持された印刷対象物にインクを吐出するインクジェットヘッドと、備える。
【発明の効果】
【0015】
本開示の案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置によれば、可動部の走行精度を高めることができ、かつ、装置全体の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る案内装置の正面図
図2図1のA-A線に沿う断面図
図3】第1実施形態に係る案内装置を構成する可動部の側面図
図4】第1実施形態に係る可動部を斜め下から見たときの斜視図
図5】第1実施形態に係る案内装置の側面図
図6】第1実施形態に係る案内装置の平面図
図7】第1実施形態に係る可動部を構成する可動体を斜め下から見たときの斜視図
図8】比較例の可動部における可動体の厚さが均一で薄い場合の変形状態を説明する図
図9】第2実施形態に係るインクジェット印刷装置の側面図
図10】第2実施形態に係るインクジェット印刷装置の正面図
図11】第2実施形態に係るインクジェット印刷装置の平面図
図12図9のB-B線に沿う断面図
図13】第2実施形態に係るディスプレイパネルの平面図
図14】第2実施形態に係るインクジェット印刷装置とインクジェット印刷装置を温度制御するための温調ブースを示す平面図
図15】第2実施形態に係るインクジェット印刷装置とインクジェット印刷装置を温度制御するための温調ブースを示す側面図
図16】変形例に係る案内装置の正面図
図17】従来の案内装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態]
以下、本開示の実施形態ついて、図を参照しながら説明する。
【0018】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態について説明する。図1は、案内装置の正面図である。図2は、図1のA-A線に沿う断面図である。図3は、案内装置を構成する可動部の側面図である。図4は、可動部を斜め下から見たときの斜視図である。図5は、案内装置の側面図である。図6は、案内装置の平面図である。図7は、可動部を構成する可動体を斜め下から見たときの斜視図である。図8は、比較例の可動部における可動体の厚さが均一で薄い場合の変形状態を説明する図である。
【0019】
図1に示されるように、案内装置100は、基台3と、左ガイド部材6L及び右ガイド部材6Rと、可動部20と、空気軸受部24と、を備える。左ガイド部材6L及び右ガイド部材6Rは、それぞれ本開示の第1ガイド部材及び第2ガイド部材の一例である。左ガイド部材6L及び右ガイド部材6Rは、基台3上に案内方向に延びるように配置されている。可動部20は、左ガイド部材6L及び右ガイド部材6Rに沿って移動する。空気軸受部24は、可動部20を移動可能に支持する。なお、上述された案内方向は、可動部20が移動する方向であって、図1図8に示されるX軸の正負方向である。以下に説明される幅方向は、案内方向に対して直交し、かつ、水平面に平行な方向であって、図1図8に示されるY軸の正負方向である。上方向は、鉛直上方向であって、図1図8に示されるZ軸の正方向である。下方向は、上方向の反対方向であって、Z軸の負方向である。左方向は、案内方向の一方向側(X軸の負方向側)から案内装置100を見たときの左方向であり、Y軸の正方向である。右方向は、左方向の反対方向であって、Y軸の負方向である。以下、案内装置100の各構成の詳細について説明する。
【0020】
基台3は、長辺に沿う方向が案内方向と平行な長方形板状(図5参照)に形成されている。基台3の上面には、左ガイド部材6L及び右ガイド部材6Rが固定されている。左ガイド部材6Lは、基台3上面の左端部に固定され、右ガイド部材6Rは、基台3上面の右端部に固定されている。左ガイド部材6L及び右ガイド部材6Rは、幅方向の外側に向かって互いに離れるように延伸する左ガイド突出部6LP及び右ガイド突出部6RPをそれぞれ含む。左ガイド突出部6LP及び右ガイド突出部6RPは、それぞれ本開示の第1突出部及び第2突出部の一例である。左ガイド突出部6LPは、左ガイド部材6Lの左側面の上部に形成されている。右ガイド突出部6RPは、右ガイド部材6Rの右側面の上部に形成されている。
【0021】
図1図4に示されるように、可動部20は、四角板状の可動体21を備える。可動体21の下面(下側の主面)には、それぞれ2つずつの左空気軸受支持部材22Lと、内側空気軸受支持部材23と、右空気軸受支持部材22Rとが固定されている。左空気軸受支持部材22L、内側空気軸受支持部材23及び右空気軸受支持部材22Rは、それぞれ本開示の第1軸受支持部材、第2軸受支持部材及び第3軸受支持部材の一例である。左空気軸受支持部材22L、内側空気軸受支持部材23及び右空気軸受支持部材22Rは、それぞれ1つずつの左空気軸受支持部材22L、内側空気軸受支持部材23及び右空気軸受支持部材22Rを1つの組とした場合、2つの組が案内方向に並ぶように固定されている。当該2つの組は、それぞれ可動体21における案内方向の両端部に1組ずつ位置するように固定されている。左空気軸受支持部材22Lは、左ガイド部材6Lの左側に位置している。左空気軸受支持部材22Lは、可動体21の左端部から下方に延伸する左垂直部221Lと、左垂直部221Lの下端から右方に延伸する左水平部222Lとを備える。内側空気軸受支持部材23は、左ガイド部材6Lの右側に位置している。内側空気軸受支持部材23は、下方に延伸するように形成されている。右空気軸受支持部材22Rは、右ガイド部材6Rの右側に位置している。右空気軸受支持部材22Rは、可動体21の右端部から下方に延伸する右垂直部221Rと、右垂直部221Rの下端から左方に延伸する右水平部222Rとを備える。
【0022】
空気軸受部24は、可動部20を移動可能に支持する。空気軸受部24は、それぞれ2つずつの左幅方向空気軸受部25Lと、右幅方向空気軸受部25Rと、左浮上空気軸受部26Lと、右浮上空気軸受部26Rと、を備える。空気軸受部24は、それぞれ2組ずつの一対の左上下方向空気軸受部27Lと、一対の右上下方向空気軸受部27Rと、を更に備える。左幅方向空気軸受部25L、右幅方向空気軸受部25R、左浮上空気軸受部26L、右浮上空気軸受部26R、左上下方向空気軸受部27L及び右上下方向空気軸受部27Rは、それぞれ静圧空気軸受により構成されている。左幅方向空気軸受部25L及び右幅方向空気軸受部25Rは、それぞれ本開示の第1幅方向空気軸受部及び第2幅方向空気軸受部の一例である。左浮上空気軸受部26L及び右浮上空気軸受部26Rは、それぞれ本開示の第1浮上空気軸受部及び第2浮上空気軸受部の一例である。左上下方向空気軸受部27L及び右上下方向空気軸受部27Rは、それぞれ本開示の第1上下方向空気軸受部及び第2上下方向空気軸受部の一例である。左幅方向空気軸受部25L、右幅方向空気軸受部25R、左浮上空気軸受部26L、右浮上空気軸受部26R、左上下方向空気軸受部27L及び右上下方向空気軸受部27Rは、それぞれ1つずつの左幅方向空気軸受部25L、右幅方向空気軸受部25R、左浮上空気軸受部26L及び右浮上空気軸受部26Rと、それぞれ一対ずつの左上下方向空気軸受部27L及び右上下方向空気軸受部27Rとを1つの組とした場合、2つの組が案内方向に並ぶように配置されている。
【0023】
左幅方向空気軸受部25L及び右幅方向空気軸受部25Rは、それぞれ左空気軸受支持部材22L及び内側空気軸受支持部材23における、左ガイド部材6Lの両側面にそれぞれ対向する部位に配置されている。具体的に、左幅方向空気軸受部25Lは、左ガイド突出部6LPの左側面に対向するように、左空気軸受支持部材22Lの左垂直部221Lに配置されている。右幅方向空気軸受部25Rは、左ガイド部材6Lの右側面に対向するように、内側空気軸受支持部材23に配置されている。左幅方向空気軸受部25L及び右幅方向空気軸受部25Rは、左ガイド部材6Lの左右両側面との隙間(軸受隙間)が数μm~十数μmとなるように配置されている。左幅方向空気軸受部25L及び右幅方向空気軸受部25Rは、可動部20の重量を受けておらず、可動部20を左ガイド部材6Lに対して非接触で幅方向に支持する。左幅方向空気軸受部25L及び右幅方向空気軸受部25Rは、左ガイド部材6Lに対する可動部20の幅方向の位置を合わせる。
【0024】
左浮上空気軸受部26L及び右浮上空気軸受部26Rは、可動体21の下面に配置されている。左浮上空気軸受部26L及び右浮上空気軸受部26Rは、左ガイド部材6L及び右ガイド部材6Rのそれぞれの上面に対向する部位に配置されている。左浮上空気軸受部26L及び右浮上空気軸受部26Rは、左ガイド部材6L及び右ガイド部材6Rのそれぞれの上面との隙間(軸受隙間)が数μm~十数μmとなるように配置され、可動体21を左ガイド部材6L及び右ガイド部材6Rのそれぞれに対して上下方向で支持する。左浮上空気軸受部26L及び右浮上空気軸受部26Rは、可動体21の重量を受けている。なお、以下の説明において、それぞれ2つずつの左浮上空気軸受部26L及び右浮上空気軸受部26Rを、まとめて浮上空気軸受部26と言う場合がある。
【0025】
一対の左上下方向空気軸受部27Lのうち一方の左上下方向空気軸受部27Lは、可動体21の下面に配置され、他方の左上下方向空気軸受部27Lは、左空気軸受支持部材22Lの左水平部222Lの上面に配置されている。一対の左上下方向空気軸受部27Lは、それぞれ左ガイド突出部6LPの上面及び下面との隙間(軸受隙間)が数μm~十数μmとなるように配置されている。一対の左上下方向空気軸受部27Lは、可動部20の重量を受けておらず、可動部20を左ガイド突出部6LPに対して非接触で上下方向に支持する。一対の左上下方向空気軸受部27Lは、左ガイド突出部6LPに対する可動部20の上下方向の位置を合わせる。なお、以下の説明において、左ガイド突出部6LPの上側に位置する左上下方向空気軸受部27Lを上側の左上下方向空気軸受部27Laと言い、左ガイド突出部6LPの下側に位置する左上下方向空気軸受部27Lを下側の左上下方向空気軸受部27Lbと言う場合がある。
【0026】
一対の右上下方向空気軸受部27Rのうち一方の右上下方向空気軸受部27Rは、可動体21の下面に配置され、他方の右上下方向空気軸受部27Rは、右空気軸受支持部材22Rの右水平部222Rの上面に配置されている。一対の右上下方向空気軸受部27Rは、それぞれ右ガイド突出部6RPの上面及び下面との隙間(軸受隙間)が数μm~十数μmとなるように配置されている。一対の右上下方向空気軸受部27Rは、可動部20の重量を受けておらず、可動部20を右ガイド突出部6RPに対して非接触で上下方向に支持する。一対の右上下方向空気軸受部27Rは、右ガイド突出部6RPに対する可動部20の上下方向の位置を合わせる。なお、以下の説明において、右ガイド突出部6RPの上側に位置する右上下方向空気軸受部27Rを上側の右上下方向空気軸受部27Raと言い、右ガイド突出部6RPの下側に位置する右上下方向空気軸受部27Rを下側の右上下方向空気軸受部27Rbと言う場合がある。
【0027】
なお、可動体21の材料として、加工時の精度の出しやすさと軽量化のために花崗岩(グラナイト)が使用され、上述された静圧空気軸受として、ステンレス製の多孔質タイプの静圧空気軸受が使用されることが好ましい。
【0028】
図2図4に示されるように、可動体21の下面における四角板状の四隅に、空気軸受部24を構成する静圧空気軸受が配置されている。案内方向に並ぶ左浮上空気軸受部26L、右浮上空気軸受部26R、左上下方向空気軸受部27L及び右上下方向空気軸受部27Rは、可動部20の案内方向のピッチング剛性を高くする機能を有する。案内方向に並ぶ左幅方向空気軸受部25L及び右幅方向空気軸受部25Rは、可動部20の案内方向のヨーイング剛性を高くする機能を有する。
【0029】
可動体21は、各静圧空気軸受が配置された四隅に対応する部位の板厚が、四隅以外の略十字状の部位の板厚よりも厚くなるように形成されている。可動体21は、静圧空気軸受が配置された肉厚部21Aと、肉厚部21Aよりも薄い肉薄部21Bとを備えると言うこともできる。以下の説明において、四隅の肉厚部21Aのうち、左側に位置する2つの肉厚部21Aを左肉厚部21Aaと言い、右側に位置する2つの肉厚部21Aを右肉厚部21Abと言う場合がある。左肉厚部21Aa及び右肉厚部21Abは、それぞれ本開示の第1肉厚部及び第2肉厚部の一例である。2つの左肉厚部21Aaには、それぞれ1つずつの左空気軸受支持部材22L、内側空気軸受支持部材23、左浮上空気軸受部26L及び上側の左上下方向空気軸受部27Laが配置されている。2つの右肉厚部21Abには、それぞれ1つずつの右空気軸受支持部材22R、右浮上空気軸受部26R及び上側の右上下方向空気軸受部27Raが配置されている。このように、可動体21に肉厚部21Aよりも薄い肉薄部21Bを設けることにより、可動体21の軽量化を図ることができる。
【0030】
可動体21における四角板状の四辺にそれぞれ対応する部位には、可動体21のXY平面上で中心に向かって凹む凹部21Cが形成されている。凹部21Cは、各辺に対応する部位の中央に形成されている。このように、可動体21に凹部21Cを形成することにより、可動体21の更なる軽量化を図ることができる。つまり、可動体21において、肉厚部が配置されているX軸及びY軸上の長さは、肉薄部のみが配置されているX軸及びY軸上の長さより、長い。
【0031】
肉薄部21Bにおける2つの左肉厚部21Aaの間の部位及び2つの右肉厚部21Abの間の部位には、それぞれ可動体21を貫通する可動体抜き穴21Dが形成されている。このように、可動体21に可動体抜き穴21Dを形成することにより、可動体21の更なる軽量化を図ることができる。なお、可動体抜き穴21Dの形状及び個数は、図2に示す形状及び個数に限らず、任意に設計すればよい。
【0032】
次に、案内装置100全体の構成を説明する。図5及び図6に示されるように、ガイド部材6は、その全長に亘って基台3に支持されている。本開示の案内装置100において、全ての静圧空気軸受の案内面として、ガイド部材6の表面を使用し、基台3の表面を使用しない。したがって、基台3において平面性を必要とする部位は、ガイド部材6を支持する部位のみとなる。そのため、基台3のガイド部材6を支持する部位以外の部位に、案内装置100の軽量化のための基台抜き穴3Aを形成することができる。なお、基台抜き穴3Aの形状及び個数は、図6に示す形状及び個数に限らず、任意に設計すればよい。
【0033】
以上の構成により、可動部20をガイド部材6に対して空気軸受部24で支持することによって、可動部20を非接触で摺動することができる。なお、ガイド部材6、基台3の材料として、加工精度の出しやすさと軽量化のために花崗岩が使用されることが好ましい。
【0034】
次に、可動体21の構成の一例について説明する。図7に示されるように、可動体21は、静圧空気軸受が配置された肉厚部21Aと、静圧空気軸受が配置されていない薄い肉薄部21Bとを備える。可動体21は、4つの凹部21Cを更に備える。可動体21の主面の最大サイズを2200mm(左右方向)×2140mm(案内方向)、肉厚部21Aの板厚を185mm、肉薄部21Bの板厚を150mmとした。左右方向に並ぶ2つの凹部21Cの底部間の長さを2000mm、案内方向に並ぶ2つの凹部21Cの底部間の長さを1940mmにすることにより、可動体21の軽量化が図られている。更に、φ310mmの可動体抜き穴21Dが2ヵ所に形成されることにより、可動体21の更なる軽量化が図られている。これらの軽量化対策により、主面のサイズが2200mm×2140mmであって、全面均一な板厚150mmの可動体よりも、可動体21の軽量化が図られている。
【0035】
次に、可動体21における静圧空気軸受が配置される部位のみに、肉厚部21Aを設ける理由について説明する。図8には、比較例の可動部90が示されている。比較例の可動部90は、可動体91の形状のみが第1実施形態の可動部20と異なる。具体的に、可動体91は、全体が均一な板厚の四角板状に形成されている。可動体91の主面のサイズは、第1実施形態の可動体21と同じ2200mm×2140mmである。可動体91の板厚は、第1実施形態の可動体21の肉薄部21Bと同じ150mmである。つまり、可動体91は、肉厚部21A、凹部21C及び可動体抜き穴21Dが形成されていない点で、第1実施形態の可動体21の形状と異なる。
【0036】
一方、可動体91に配置される構成要素は、第1実施形態の可動体21と同じである。可動体91の下面には、左空気軸受支持部材22Lと、内側空気軸受支持部材23と、右空気軸受支持部材22Rとが固定されている。可動体91の下面、左空気軸受支持部材22L、内側空気軸受支持部材23及び右空気軸受支持部材22Rには、上述された左幅方向空気軸受部25Lと、右幅方向空気軸受部25Rと、左浮上空気軸受部26Lと、右浮上空気軸受部26Rと、左上下方向空気軸受部27Lと、右上下方向空気軸受部27Rとが、第1実施形態と同じ位置に配置されている。
【0037】
以上の構成を有する第1実施形態及び比較例の可動部90において、各静圧空気軸受における対向する平面との隙間(軸受隙間)が数μm~十数μmに調整されており、軸受によって発生する静圧力は、例えば、側方空気軸受25では、1個当たり約8000Nになる。そのため、図8に示される比較例の可動体91のように、静圧空気軸受の配置部位が薄くなっていると(静圧空気軸受が配置されていない部位と同じ厚さになっていると)、左幅方向空気軸受部25L及び右幅方向空気軸受部25Rの静圧力により、左空気軸受支持部材22L及び内側空気軸受支持部材23の下端が互いに離れるように、可動体91が変形するおそれがある。この変形により、左幅方向空気軸受部25L及び右幅方向空気軸受部25Rと左ガイド部材6Lとの間の軸受隙間が、変形しいてない場合の軸受隙間の約2倍の大きさに広がり、当該軸受隙間の拡大によって軸受剛性が低下してしまう。
【0038】
軸受隙間の拡大を防ぐ方法として、静圧空気軸受に静圧を加える前の状態で、軸受隙間をより小さく調整しておく方法が考えられる。しかし、このような方法でも、可動体91にヨーイング方向の負荷が加わった際には、可動体91の剛性の低さによる変形に伴い、可動体91は、ヨーイング方向に微小量回転してしまう。つまり、可動体91に加わるヨーイング方向のモーメントにより生じるヨーイング方向の回転量は、左幅方向空気軸受部25L及び右幅方向空気軸受部25Rの剛性で決まる回転量と、可動体91の剛性で決まる回転量との両方によって決まることになる。
【0039】
上述された回転量を小さく抑えて可動体の走行再現性を高めるために、可動体の板厚を厚くして、可動体の変形量を小さくする方法が考えられる。しかし、このような方法では、可動体自体の重量が増える。また、可動体の重量を支えるためのガイド部材6を太くして剛性を高める必要があるため、ガイド部材6の重量が増える。更に、重量が増えた可動体及びガイド部材6の両方を支えるために、基台3も厚くして剛性を高める必要がある。その結果、案内装置全体の重量が増えてしまい、案内装置を設置する床の耐荷重も増やす必要が生じて、建屋の建設コストが増えてしまう。
【0040】
このような課題に対し、第1実施形態の可動体21は、静圧空気軸受が配置された肉厚部21Aが厚く、それ以外の肉薄部21Bが薄くなっているため、可動体21自体の軽量化を図ることができる。その上、左幅方向空気軸受部25L及び右幅方向空気軸受部25Rがそれぞれ配置された左空気軸受支持部材22L及び内側空気軸受支持部材23が左肉厚部21Aaに固定されているため、左幅方向空気軸受部25L及び右幅方向空気軸受部25Rの支持構造の剛性が高まり、可動体21のヨーイング方向のモーメントに対するヨーイング剛性を高めることができる。したがって、可動部20の走行精度を高めることができるまた、可動体21を軽量化できるため、ガイド部材6及び基台3の重量を増やす必要が無くなり、案内装置100全体の重量の増加を抑えることができ、案内装置100を設置する床の耐荷重も低く抑えることができる。
【0041】
また、可動体21の静圧空気軸受の配置部位以外の部位を肉薄部21Bにすることには、更に別の効果がある。ガイド部材6の平らな上面により構成される軌道面には、各部材の精密な加工と調整を行っても若干の平面ズレが残ってしまう。その平面ズレが残った軌道面に対して、可動体21の下面に配置された左幅方向空気軸受部25L、右幅方向空気軸受部25R、左浮上空気軸受部26L、右浮上空気軸受部26R、左上下方向空気軸受部27L及び右上下方向空気軸受部27Rを、設計通りに数μm~十数μmの軸受隙間を設けてガイド部材6に対向させるためには、可動体21の静圧空気軸受の配置部位以外の部位が柔軟に変形する方が好ましい。可動体全体の板厚を厚くして可動体の剛性を高めると、可動体の下面が軌道面の平面ズレに追従できなくなる。この場合、一部の静圧空気軸受とガイド部材6との軸受隙間が設計寸法を維持できなくなってしまい、設計通りの軸受け性能を出せなくなってしまう。第1実施形態の可動体21に肉厚部21Aと比べて変形しやすい肉薄部21Bを設けているため、上述された平面ズレが発生しても、肉薄部21Bの変形により可動体21の下面を軌道面の平面ズレに追従させることができ、いずれの静圧空気軸受においても、設計通りの性能を引き出すことができる。
【0042】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。図9は、インクジェット印刷装置の側面図である。図10は、インクジェット印刷装置の正面図である。図11は、インクジェット印刷装置の平面図である。図12は、図9のB-B線に沿う断面図である。図13は、ディスプレイパネルの平面図である。図14は、インクジェット印刷装置とインクジェット印刷装置を温度制御するための温調ブースを示す平面図である。図15は、インクジェット印刷装置とインクジェット印刷装置を温度制御するための温調ブースを示す側面図である。
【0043】
まず、本開示の案内装置100を備えたインクジェット印刷装置1の構成について説明する。図9図11に示されるように、インクジェット印刷装置1に設けられた案内装置100は、第1実施形態の案内装置100と同様の構成を有し、基台3と、ガイド部材6と、可動部20を備える。
【0044】
インクジェット印刷装置1は、基台3を下から支える架台2を備える。可動体21の上面には、2台の第1微動機構12と、2台の第2微動機構13と、1台の第3微動機構14とが搭載されている。2台の第1微動機構12は、平面視の可動体21における2本の対角線のうち一方の対角線上に搭載されている。2台の第2微動機構13は、上記2本の対角線のうち他方の対角線上に搭載されている。各第1微動機構12及び各第2微動機構13は、ガイド部材6と、左浮上空気軸受部26L又は右浮上空気軸受部26Rとの直上にそれぞれ搭載されている。第3微動機構14は、可動体21の上面中央に搭載されている。第1,第2,第3微動機構12,13,14の上には、ワーク保持テーブル15が搭載されている。ワーク保持テーブル15は、その上面において、印刷対象物のディスプレイパネル7を吸着保持できるように構成されている。
【0045】
各第1微動機構12は、Y軸方向(左右方向)に駆動する不図示の駆動機構を備える。この駆動機構は、不図示の基板アライメント制御部によって位置決め制御されるようになっている。更に、第1微動機構12は、X軸方向(案内方向)に移動可能な不図示の摺動機構と、Z軸回りに回転可能な不図示の回転摺動機構とを備える。各第2微動機構13は、X軸方向及びY軸方向に自由に移動可能な不図示の摺動機構と、Z軸回りに回転可能な不図示の回転摺動機構とを備える。第3微動機構14は、Y軸方向にのみ移動可能な摺動機構と、Z軸回りに回転可能な不図示の回転摺動機構とを備える。
【0046】
第1微動機構12と、基板アライメント制御部と、第2微動機構13と、第3微動機構14と、ワーク保持テーブル15とは、基板アライメント機構10を構成する。基板アライメント機構10は、ワーク保持テーブル15をY軸方向及びZ軸回りの回転方向に位置決めする。可動部20と、基板アライメント機構10とは、ワーク搬送ステージ30を構成する。
【0047】
可動体21の下面には、リニアモータ可動子52が固定されている。基台3の上面には、案内方向に延びるリニアモータ固定バー4が固定されている。リニアモータ固定バー4は、ガイド部材6と平行になるようにように形成されている。リニアモータ固定バー4の上には、案内方向に延びるリニアモータ固定子51が固定されている。リニアモータ固定子51と、リニアモータ可動子52とは、リニアモータ50を構成する。リニアモータ50は、基台3に対して可動部20を案内方向に移動させる。
【0048】
リニアモータ固定バー4の側面には、リニアスケール本体61が固定されている。可動体21の下面には、読み取りヘッドブラケット63を介してリニアスケール読み取りヘッド62が固定されている。リニアスケール本体61と、リニアスケール読み取りヘッド62とは、リニアスケール60を構成する。リニアスケール60は、基台3上における可動部20の位置を検出する。
【0049】
リニアモータ50とリニアスケール60とは、不図示のステージ制御部によってフィードバック制御される。
【0050】
なお、リニアモータ50のY軸方向の固定位置は、ワーク搬送ステージ30の重心とリニアモータ可動子52の駆動点とを一致させることが好ましい。このような構成により、ワーク搬送ステージ30の加減速時に、当該ワーク搬送ステージ30に加わるZ軸回りのモーメントを無くすることができる。リニアモータ50のZ軸方向の固定位置は、ワーク搬送ステージ30の重心とリニアモータ可動子52の駆動点とを可能な限り近づけることが好ましい。このような構成により、ワーク搬送ステージ30の加減速時に、当該ワーク搬送ステージ30に加わるY軸回りのモーメントを抑えることができる。
【0051】
図10図12に示されるように、基台3における案内方向の中央には、2つのガントリーベース42が設置されている。各ガントリーベース42は、案内方向と平行な両側部に設置されている。2つのガントリーベース42の上には、当該ガントリーベース42を繋ぐように、第1ガントリー41aと、第2ガントリー41bと、が搭載されている。
【0052】
第1ガントリー41aにおける案内方向の一方側の側面には、液滴位置計測カメラ43が搭載され、反対側の側面には、赤インクを吐出する第1ヘッドユニット40Rが搭載されている。第2ガントリーにおける前記一方側の側面には、緑インクを吐出する第2ヘッドユニット40Gが搭載され、反対側の側面には、青インクを吐出する第3ヘッドユニット40Bが搭載されている。第1,第2,第3ヘッドユニット40R,40G,40Bには、それぞれ複数個の不図示のインクジェットヘッドが搭載されている。各インクジェットヘッドは、不図示の吐出制御部により、リニアスケール60の位置に応じて液滴の吐出が制御される。吐出制御部は、各インクジェットヘッドの1ノズル毎に吐出タイミングを調整することができるように構成されている。このような構成により、ディスプレイパネル7上への液滴の滴下位置を、1ノズル毎に調整することができる。
【0053】
なお、第1ガントリー41a又は第2ガントリー41bに搭載される、第1,第2,第3ヘッドユニット40R,40G,40B及び液滴位置計測カメラ43は、それぞれ数100kg~1000kg程度と重い。このため、ワーク搬送ステージ30が加減速する際には、加減速時の反力がインクジェット印刷装置1全体に加わり、インクジェット印刷装置1全体がX軸方向に微小に振動する。この微小な振動により、第1ガントリー41a及び第2ガントリー41bがX軸方向に数μm揺り動かされて、印刷位置精度が低下することが判明した。そこで、第2実施形態のインクジェット印刷装置1では、第1ガントリー41a及び第2ガントリー41bの脚部を、下方へ向かうにしたがってX軸方向の幅が大きくなるよう形成することで、上記問題を解決した。
【0054】
次に、印刷対象物のディスプレイパネル7について説明する。図13に示されるように、ディスプレイパネル7の基板7P上の四隅には、塗布位置を位置決めするためのアライメントマーク7mが形成されている。基板7P上の中央には、画素を区分けする隔壁のバンク7Lが形成されている。アライメントマーク7m及びバンク7Lは、撥水性の隔壁を形成する材料により形成されている。バンク7Lは、赤色画素7Rと、緑色画素7Gと、青色画素7Bとを形成する。基板7Pとしては、主面のサイズが2200mm×2300mm、厚さが0.5mmのガラス板を例示することができる。
【0055】
次に、以上のように構成されたインクジェット印刷装置1の動作について説明する。まず、ステージ制御部は、ワーク搬送ステージ30を図9に実線で示されるワーク搬入位置30aに位置決めする。この後、不図示のワーク搬送機構を用いて、ディスプレイパネル7をワーク保持テーブル15の上に載置し、ワーク保持テーブル15でディスプレイパネル7を吸着して固定する。
【0056】
次に、固定されたディスプレイパネル7の四隅のアライメントマーク7mを不図示のアライメントカメラで観察して、予め定められた目標位置からのズレ量を計測する。この計測結果に基づいて、基板アライメント制御部は、基板アライメント機構10を動作させて、ディスプレイパネル7を目標位置に位置決めする。ディスプレイパネル7の位置決めが完了すると、ステージ制御部は、ワーク搬送ステージ30を図9に二点鎖線で示される印刷待機位置30bへ移動させて位置決めする。
【0057】
その後、ステージ制御部は、ワーク搬送ステージ30を一定速度(第2実施形態では、300mm/秒)でワーク搬入位置30aへ移動させる。一定速度で移動中のリニアスケール60の計測結果は、不図示の吐出制御部に送られる。吐出制御部は、第1,第2,第3ヘッドユニット40R,40G,40Bにそれぞれに搭載された不図示のインクジェットヘッドへ吐出信号を出力し、狙った位置に液滴を滴下させる。その結果、ディスプレイパネル7の赤色画素7Rには赤インクが、緑色画素7Gには緑インクが、青色画素7Bには青インクがそれぞれ滴下される。
【0058】
なお、インクジェットヘッドの各ノズルの吐出角度癖などによって、狙った位置に液滴を滴下できない場合がある。この場合、ディスプレイパネル7の代わりに、不図示の滴下位置計測用ガラス基板に対して滴下位置計測パターンを印刷し、液滴位置計測カメラ43で滴下位置の目標位置からのズレ量を計測する。その計測結果を吐出制御部へ送り、ノズル毎に吐出タイミングを補正することで、印刷方向(X方向)の位置ズレを補正する。このようにして、ディスプレイパネル7の各画素に対して正確に液滴を滴下することができる。
【0059】
なお、可動体21上には、5台の微動機構(2台の第1微動機構12、2台の第2微動機構13及び1台の第3微動機構14)の重量と、ワーク保持テーブル15の重量とが加わる。この加わる重量は、第2実施形態の場合、約1300kgに相当する。可動体21に加わる約1300kgの重量のうち、四隅の微動機構(2台の第1微動機構12及び2台の第2微動機構13)の位置に加わる重量は、約1100kgとなり、加わる全重量の約85パーセントに相当する。残りの15パーセントの重量は、可動体21の中央の第3微動機構の位置に加わる。
【0060】
上述されたように、第1微動機構12及び第2微動機構13は、ガイド部材6と、左浮上空気軸受部26L又は右浮上空気軸受部26Rとの直上に位置している。このため、ワーク搬送ステージ30は、可動体21に搭載される部材の全重量の85パーセントが浮上空気軸受部26に直接的に加わり、残りの15パーセントが可動体21を介して間接的に浮上空気軸受部26に加わるように、構成されている。
【0061】
また、可動体21は、四隅の静圧空気軸受の配置部位近傍のみの板厚が厚く、それ以外の板厚が薄くなっているため、四隅の浮上空気軸受部26が2本のガイド部材6の上面が形成する平面に追従しやすくなっている。
【0062】
更に、可動体21上の部材の殆どの重量が4箇所の浮上空気軸受部26の直上に加わっているため、浮上空気軸受部26がガイド部材6の上面に平行に対向しやすくなり、浮上空気軸受部26が有する最大限の性能を引き出すことができる。
【0063】
また、浮上空気軸受部26は、ガイド部材6により支持されている。ガイド部材6は、基台3を介して、それぞれ当該ガイド部材6の直下に配置されたレベリングブロック5、架台2及びアジャスターフット8により支持され、当該ガイド部材6の直下において、ガイド部材6のレベル調整を行うことができるように構成されている。このような構成により、ガイド部材6の上面の平面出しがしやすくなると同時に、基台3におけるガイド部材6の直下以外の部位に、多数の基台抜き穴3Aを形成することができる。更に、架台2におけるガイド部材6の直下以外の部位に、鋼管を通さずに空間を形成することができる。このように、基台抜き穴3A及び空間を形成することにより、インクジェット印刷装置1全体の軽量化を図ることができる。また、ガイド部材6の周辺部分に、基台抜き穴3Aを上から下へ通過する清浄化された空気の流れ(ダウンフロー)を形成することにより、インクジェット印刷装置1全体の清浄度を高めることができ、パーティクルによる印刷不良の発生を抑えることができる。更に、基台抜き穴3Aを上から下へ通過する温度制御された空気の流れを形成することにより、インクジェット印刷装置1全体の温度を一定に保つことができ、熱膨張による印刷位置のズレを抑えることができる。
【0064】
上述された熱膨張による印刷位置のズレを抑えることができる具体的なインクジェット印刷装置1の構成について説明する。図14及び図15に示されるように、インクジェット印刷装置1は、その周囲がブース71により取り囲まれている。ブース71の天井には、第1空調機73aと、第2空調機73bと、第3空調機73cとが固定されている。第1空調機73aは、ワーク搬入位置30aの上方に配置されている。第3空調機73cは、印刷待機位置30bの上方に配置されている。第2空調機73bは、第1空調機73a及び第3空調機73cの間の位置であって、第1ガントリー41a及び第2ガントリー41bの上方に配置されている。
【0065】
ブース71に3台の空調機73a,73b,73cを配置することにより、ブース71内を第1温調領域72a、第2温調領域72b、第3温調領域72cの3つ領域に分けて、それぞれの温調領域72a,72b,72cに独立的に温度設定された空気を吹き降ろすことができる。吹き降ろされた空気は、インクジェット印刷装置1の周囲及び基台3の基台抜き穴3Aと架台2の隙間を通過し、不図示のリターンダクトで回収されて再び各空調機73a,73b,73cへ戻される。リターンダクトは、本開示の回収部の一例である。なお、架台2のフレームに吸い込み口を設けて、リターンダクトとして利用することもできる。
【0066】
次に、ブース71内を3つの温調領域72a,72b,72cに分けた理由について説明する。インクジェット印刷装置1には、複数の発熱箇所が存在する。複数の発熱箇所のうち最も発熱量が大きい箇所は、ヘッドユニットである。ヘッドユニット内のインクジェットヘッド制御部材が発熱する。このため、インクジェット印刷装置1の第1,第2ガントリー41a,41bの周囲は、他の箇所に比べて温度が上がりやすい。したがって、インクジェット印刷装置1へ吹き降ろす空気の温度を全領域で一律に同じにすると、発熱量が大きい第1,第2ガントリー41a,41bの周辺の温度が、他の箇所と比べて高くなってしまう。その結果、第1,第2ガントリー41a,41bの下を通過するワーク保持テーブル15の温度も、通過する頻度に応じて変化してしまう。例えば、ワーク保持テーブル15がワーク搬入位置30aに停止し続けていた直後のワーク保持テーブル15の温度に比べて、定常的に第1,第2ガントリー41a,41bの下を通過して印刷を繰り返しているときのワーク保持テーブル15の温度は高くなる。ワーク保持テーブル15の温度が上昇すると、その上に吸着されているディスプレイパネル7の温度も上昇して、ディスプレイパネル7が熱膨張により伸びてしまう。ディスプレイパネル7が伸びると、狙いの画素の位置に印刷することができなくなる。
【0067】
第2実施形態では、第2空調機73bの温度設定を第1空調機73a、第3空調機73cに比べて低くすることにより、インクジェット印刷装置1の第1ガントリー41aと第2ガントリー41bの周辺の温度を、ワーク搬入位置30a、印刷待機位置30bの温度と同程度に調整する。このような構成により、印刷頻度の多少に関係なく、ワーク保持テーブル15の温度を一定温度に保つことができる。したがって、印刷頻度に影響されることなく、いつでもディスプレイパネル7の狙いの画素の位置に印刷することができる。
【0068】
また、第2実施形態では、ワーク搬入位置30aと印刷待機位置30bのそれぞれの上方に、第1空調機73aと第3空調機73cが配置されている。インクジェット印刷装置1の周辺の機器配置等により、第1空調機73aと第3空調機73cを同一温度に設定した場合でもブース71の中に温度ムラが生じることがある。そのような場合に、第1空調機73aと第3空調機73cを異なる温度設定にすることで、その温度ムラを解消することができる。
【0069】
以上のように、可動体21の静圧空気軸受近傍の板厚を厚くし、それ以外の部位の板厚を薄くすることと、可動体21上に搭載する部材の重量の大半が、ガイド部材6の直上に配置された4つの浮上空気軸受部26に加わるようにすることとにより、各静圧空気軸受の最大限の性能を発揮させることができる。更に、このような構成により、基台3の広範囲に基台抜き穴3Aを形成することができ、インクジェット印刷装置1を軽量化できることに加えて、基台3を支える架台2においてもガイド部材6の直下以外の部位に大きな空間を形成することができ、インクジェット印刷装置1の周辺だけでなく内部の空気の流れも良好にすることができる。その結果、インクジェット印刷装置1の清浄度と、温度調整の精度とを高めることができる。更に、ヨーイング剛性を高めることによる走行精度の高精度化を図ることができると共に、軽量でありながら印刷対象物のディスプレイパネル7に対していつでも位置精度の高い印刷ができるインクジェット印刷装置1を提供することができる。
【0070】
[実施形態の変形例]
本開示は、これまでに説明した実施形態に示されたものに限られないことはいうまでもなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の変形を加えることができる。また、上記実施形態及び以下に示される変形例は、正常に機能する限り、どのように組み合わせても良い。
【0071】
例えば、第1実施形態において、可動体21に、それぞれ一対ずつの左上下方向空気軸受部27L及び右上下方向空気軸受部27Rが配置されているが、可動体21自体が大型で自重が重い場合、その自重と浮上空気軸受部26とのバランスだけで静圧空気軸受の剛性を確保できるため、図16に示されるように、左上下方向空気軸受部27L及び右上下方向空気軸受部27Rを配置しなくても良い。同様に、第2実施形態においても、ワーク搬送ステージ30自体が大型で自重が重い場合には、その自重と浮上空気軸受部26とのバランスだけで静圧空気軸受の剛性を確保できるため、左上下方向空気軸受部27L及び右上下方向空気軸受部27Rを配置しなくても良い。
【0072】
また、右肉厚部21Abについては左肉厚部21Aaと同様の厚さにしなくても良く、例えば肉薄部21Bと同じでも構わない。第1,第2実施形態のように右肉厚部21Abを左肉厚部21Aaと同じに厚さにするメリットは、左浮上空気軸受部26Lの取り付け面と、右浮上空気軸受部26Rの取り付け面とを同時研削加工することによって正確に同一平面に揃えることが出来て、その結果、対向する左ガイド部材6Lと右ガイド部材6Rも同一高さにすれば良くなり、左ガイド部材6Lと右ガイド部材6Rについても同時研削加工することによって正確に同一高さに加工できる点にある。
【0073】
第1,第2実施形態において、可動体21の下面に、それぞれ独立的に構成された左浮上空気軸受部26L、右浮上空気軸受部26R、上側の左上下方向空気軸受部27La及び上側の右上下方向空気軸受部27Raが配置されているが、左浮上空気軸受部26L及び上側の左上下方向空気軸受部27Laの軸受性能を有する1つの静圧空気軸受と、右浮上空気軸受部26R及び上側の右上下方向空気軸受部27Raの軸受性能を有する1つの静圧空気軸受とを配置しても良い。また、各静圧空気軸受を、それぞれ複数ずつの静圧空気軸受により構成しても良い。
【0074】
第2実施形態において、第1微動機構12及び第2微動機構13をX軸方向、Y軸方向及びZ軸回りの回転方向に移動可能な機構にすると共に、第3微動機構14をY軸方向及びZ軸回りの回転方向に移動可能な機構としたが、第1,第2,第3微動機構12,13,14をそれぞれZ軸回りに45°回転させた状態に配置しても良い。
【0075】
第2実施形態において、例えば2台の第1微動機構12のうち、1台の第1微動機構12のX軸方向の摺動機構を無くすことにより、ワーク保持テーブル15をY軸方向及びZ軸回りに移動させることができる。この場合、可動体21の中央に第3微動機構14を配置しなくても良い。
【0076】
第2実施形態において、1回の走査で印刷するようにしているが、必要に応じて複数走査の繰り返しで印刷しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本開示の案内装置、ワーク搬送ステージ及びインクジェット印刷装置は、大型の印刷対象物にインク等を塗布する装置に有効であり、有機ELの発光体、ホール輸送層、又は電子輸送層の印刷、或いは、カラーフィルターの印刷等における大型の印刷対象物に、効率良くインク等の材料を塗布する装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 インクジェット印刷装置
2 架台
3,901 基台
3A 基台抜き穴
4 リニアモータ固定バー
5 レベリングブロック
6,902 ガイド部材
6L 左ガイド部材(第1ガイド部材)
6R 右ガイド部材(第2ガイド部材)
6LP 左ガイド突出部(第1突出部)
6RP 右ガイド突出部(第2突出部)
7 ディスプレイパネル
7B 青色画素
7P 基板
7G 緑色画素
7L バンク
7m アライメントマーク
7R 赤色画素
8 アジャスターフット
10 基板アライメント機構
12 第1微動機構
13 第2微動機構
14 第3微動機構
15 ワーク保持テーブル
20,90,903 可動部
21,91,904 可動体
21A 肉厚部
21Aa 左肉厚部(第1肉厚部)
21Ab 右肉厚部(第2肉厚部)
21B 肉薄部
21C 凹部
21D 可動体抜き穴
22L 左空気軸受支持部材(第1軸受支持部材)
22R 右空気軸受支持部材(第3軸受支持部材)
23 内側空気軸受支持部材(第2軸受支持部材)
24 空気軸受部
25L 左幅方向空気軸受部(第1幅方向空気軸受部)
25R 右幅方向空気軸受部(第2幅方向空気軸受部)
26 浮上空気軸受部
26L 左浮上空気軸受部(第1浮上空気軸受部)
26R 右浮上空気軸受部(第2浮上空気軸受部)
27L 左上下方向空気軸受部(第1上下方向空気軸受部)
27La 上側の左上下方向空気軸受部(第1上下方向空気軸受部)
27Lb 下側の左上下方向空気軸受部(第1上下方向空気軸受部)
27R 右上下方向空気軸受部(第2上下方向空気軸受部)
27Ra 上側の右上下方向空気軸受部(第2上下方向空気軸受部)
27Rb 下側の右上下方向空気軸受部(第2上下方向空気軸受部)
30 ワーク搬送ステージ
30a ワーク搬入位置
30b 印刷待機位置
40B 第3ヘッドユニット
40G 第2ヘッドユニット
40R 第1ヘッドユニット
41a 第1ガントリー
41b 第2ガントリー
42 ガントリーベース
43 液滴位置計測カメラ
50 リニアモータ
51 リニアモータ固定子
52 リニアモータ可動子
60 リニアスケール
61 リニアスケール本体
62 リニアスケール読み取りヘッド
63 読み取りヘッドブラケット
71 ブース
72a 第1温調領域
72b 第2温調領域
72c 第3温調領域
73a 第1空調機
73b 第2空調機
73c 第3空調機
100,900 案内装置
221L 左垂直部
222L 左水平部
221R 右垂直部
222R 右水平部
905 軸受け支持部材
906 水平方向静圧空気軸受
907 下側静圧空気軸受
908 上側静圧空気軸受
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17