(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093113
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】設計支援装置、建造物、設計支援方法、及び設計支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20230627BHJP
G06F 30/13 20200101ALI20230627BHJP
G06F 30/12 20200101ALI20230627BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20230627BHJP
E04H 1/02 20060101ALI20230627BHJP
G06F 111/04 20200101ALN20230627BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G06F30/13
G06F30/12
G06Q50/08
E04H1/02 ESW
G06F111:04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208539
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】川上 周造
(72)【発明者】
【氏名】池田 光
(72)【発明者】
【氏名】王 強
【テーマコード(参考)】
2E025
5B146
5L049
【Fターム(参考)】
2E025AA01
5B146AA04
5B146DC05
5B146DE06
5B146DG02
5B146DG07
5B146EA08
5B146FA02
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】空間の多様性と施工の優位性とを両立することができる設計支援装置、建造物、設計支援方法、及び設計支援プログラムを得る。
【解決手段】設計支援装置10は、形状及び容積の少なくとも一方が異なる、互いに連続する複数の空間を区画するフレームであり、かつ、当該複数の空間の少なくとも一部の内部に当該空間を占有するように膨張した中空膨張体が収容されるフレームの設計を支援する設計支援装置10であって、膨張した中空膨張体の容積に関する制約条件を取得する取得部11Aと、取得した制約条件に合致するフレームの形状の候補を導出する導出部11Bと、導出したフレームの形状の候補を視認可能に表示部15に表示する制御を行う表示制御部11Cと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状及び容積の少なくとも一方が異なる、互いに連続する複数の空間を区画するフレームであり、かつ、前記複数の空間の少なくとも一部の内部に当該空間を占有するように膨張した中空膨張体が収容されるフレームの設計を支援する設計支援装置であって、
前記膨張した中空膨張体の容積に関する制約条件を取得する取得部と、
取得した前記制約条件に合致する前記フレームの形状の候補を導出する導出部と、
導出した前記フレームの形状の候補を視認可能に表示部に表示する制御を行う表示制御部と、
を備えた設計支援装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記複数の空間の母点の位置を示す位置情報を更に取得し、
前記導出部は、前記制約条件に合致し、かつ、前記母点の位置を用いたボロノイ分割により得られる空間から、前記フレームの形状の候補を導出する、
請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記制約条件として、前記フレームの傾斜角度の許容範囲、及び前記中空膨張体の物性に関する情報の少なくとも一方を更に取得する、
請求項1又は請求項2に記載の設計支援装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の設計支援装置を用いて設計されたフレームと、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の膨張した中空膨張体と、
を含む建造物。
【請求項5】
形状及び容積の少なくとも一方が異なる、互いに連続する複数の空間を区画するフレームであり、かつ、前記複数の空間の少なくとも一部の内部に当該空間を占有するように膨張した中空膨張体が収容されるフレームの設計を支援する設計支援方法であって、
前記膨張した中空膨張体の容積に関する制約条件を取得し、
取得した前記制約条件に合致する前記フレームの形状の候補を導出し、
導出した前記フレームの形状の候補を視認可能に表示部に表示する制御を行う、
設計支援方法。
【請求項6】
形状及び容積の少なくとも一方が異なる、互いに連続する複数の空間を区画するフレームであり、かつ、前記複数の空間の少なくとも一部の内部に当該空間を占有するように膨張した中空膨張体が収容されるフレームの設計を支援する設計支援プログラムであって、
前記膨張した中空膨張体の容積に関する制約条件を取得し、
取得した前記制約条件に合致する前記フレームの形状の候補を導出し、
導出した前記フレームの形状の候補を視認可能に表示部に表示する制御を行う、
処理をコンピュータに実行させるための設計支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援装置、建造物、設計支援方法、及び設計支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物等の建造物の設計を支援することができる技術として、以下の技術があった。
【0003】
特許文献1には、より効果的に建物の利用者間のコミュニケーションを活性化することのできる建物の空間を設計することができるようにすることを目的とした建物空間設計支援装置が開示されている。
【0004】
この建物空間設計支援装置は、空間設計の対象となる建物に用途の異なる3以上の領域を設ける場合、前記領域の数及び前記建物の外形を含む建物関連情報を受け付ける受付部を備えている。また、この建物空間設計支援装置は、前記受付部によって受け付けられた建物関連情報に基づいて、少なくとも1つの領域が、隣接する他の用途の複数の領域と直接出入り可能に接続されるように前記3以上の領域の形状及び位置を決定する決定部を備えている。そして、この建物空間設計支援装置は、前記決定部によって決定された前記領域の形状及び位置を視認可能に表示する表示部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、現在の建造物は、一度建設してしまうと、その外観や内観を変更することが容易ではない。その一方で、建造物が建設されている空間に対する多様性が求められており、その外観及び内観を、環境条件等に応じて容易に変更することができるようにしたいとの要望がある。
【0007】
また、意匠的な観点で、建造物に対して複雑な構造が要求される場合があるが、構造を複雑にするほど、施工が容易ではなくなる。このため、複雑な構造の建造物であっても、できるだけ施工を容易にする、施工の優位性が求められる。
【0008】
従って、現在、建造物に対して、空間の多様性と施工の優位性との両立が求められる場合がある。
【0009】
これに対し、特許文献1に記載の技術は、利用者間のコミュニケーションを活性化することを目的としたものであり、空間の多様性及び施工の優位性については考慮されていない。このため、特許文献1に記載の技術では、空間の多様性と施工の優位性とを両立することができない、という問題点があった。
【0010】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、空間の多様性と施工の優位性とを両立することができる設計支援装置、建造物、設計支援方法、及び設計支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の本発明に係る設計支援装置は、形状及び容積の少なくとも一方が異なる、互いに連続する複数の空間を区画するフレームであり、かつ、前記複数の空間の少なくとも一部の内部に当該空間を占有するように膨張した中空膨張体が収容されるフレームの設計を支援する設計支援装置であって、前記膨張した中空膨張体の容積に関する制約条件を取得する取得部と、取得した前記制約条件に合致する前記フレームの形状の候補を導出する導出部と、導出した前記フレームの形状の候補を視認可能に表示部に表示する制御を行う表示制御部と、を備える。
【0012】
請求項1に記載の本発明に係る設計支援装置によれば、形状及び容積の少なくとも一方が異なる、互いに連続する複数の空間を区画するフレームであり、かつ、当該複数の空間の少なくとも一部の内部に当該空間を占有するように膨張した中空膨張体が収容されるフレームの設計を支援するにあたり、上記膨張した中空膨張体の容積に関する制約条件を取得し、取得した制約条件に合致するフレームの形状の候補を導出し、導出したフレームの形状の候補を視認可能に表示部に表示する制御を行う。従って、この設計支援装置を用いて設計されたフレームでは、中空膨張体の収容の有無や、中空膨張体の膨張の程度によって外観や内観を容易に変更することができる。また、この設計支援装置を用いて設計されたフレームは、中空膨張体の容積に関する制約条件によって制約されているため、当該制約条件による制約を受けていない場合に比較して、施工が容易なものとなる。この結果、この設計支援装置によれば、空間の多様性と施工の優位性とを両立することができる。
【0013】
請求項2に記載の本発明に係る設計支援装置は、請求項1に記載の設計支援装置であって、前記取得部が、前記複数の空間の母点の位置を示す位置情報を更に取得し、前記導出部が、前記制約条件に合致し、かつ、前記母点の位置を用いたボロノイ分割により得られる空間から、前記フレームの形状の候補を導出する。
【0014】
請求項2に記載の本発明に係る設計支援装置によれば、上記複数の空間の母点の位置を示す位置情報を更に取得し、上記制約条件に合致し、かつ、上記母点の位置を用いたボロノイ分割により得られる空間から、フレームの形状の候補を導出することで、簡易、かつ、美しいフレームの設計を支援することができる。
【0015】
請求項3に記載の本発明に係る設計支援装置は、請求項1又は請求項2に記載の設計支援装置であって、前記取得部が、前記制約条件として、前記フレームの傾斜角度の許容範囲、及び前記中空膨張体の物性に関する情報の少なくとも一方を更に取得する。
【0016】
請求項3に記載の本発明に係る設計支援装置によれば、上記制約条件として、フレームの傾斜角度の許容範囲、及び中空膨張体の物性に関する情報の少なくとも一方を更に取得することで、取得した制約条件に応じた効果的なフレームの設計を支援することができる。
【0017】
請求項4に記載の本発明に係る建造物は、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の設計支援装置を用いて設計されたフレームと、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の膨張した中空膨張体と、を含む。
【0018】
請求項4に記載の本発明に係る建造物によれば、本発明に係る設計支援装置を用いて設計されたフレームを含むため、当該設計支援装置と同様に、空間の多様性と施工の優位性とを両立することができる。
【0019】
請求項5に記載の本発明に係る設計支援方法は、形状及び容積の少なくとも一方が異なる、互いに連続する複数の空間を区画するフレームであり、かつ、前記複数の空間の少なくとも一部の内部に当該空間を占有するように膨張した中空膨張体が収容されるフレームの設計を支援する設計支援方法であって、前記膨張した中空膨張体の容積に関する制約条件を取得し、取得した前記制約条件に合致する前記フレームの形状の候補を導出し、導出した前記フレームの形状の候補を視認可能に表示部に表示する制御を行う。
【0020】
請求項5に記載の本発明に係る設計支援方法によれば、形状及び容積の少なくとも一方が異なる、互いに連続する複数の空間を区画するフレームであり、かつ、当該複数の空間の少なくとも一部の内部に当該空間を占有するように膨張した中空膨張体が収容されるフレームの設計を支援するにあたり、上記膨張した中空膨張体の容積に関する制約条件を取得し、取得した制約条件に合致するフレームの形状の候補を導出し、導出したフレームの形状の候補を視認可能に表示部に表示する制御を行うことで、空間の多様性と施工の優位性とを両立することができる。
【0021】
請求項6に記載の本発明に係る設計支援プログラムは、形状及び容積の少なくとも一方が異なる、互いに連続する複数の空間を区画するフレームであり、かつ、前記複数の空間の少なくとも一部の内部に当該空間を占有するように膨張した中空膨張体が収容されるフレームの設計を支援する設計支援プログラムであって、前記膨張した中空膨張体の容積に関する制約条件を取得し、取得した前記制約条件に合致する前記フレームの形状の候補を導出し、導出した前記フレームの形状の候補を視認可能に表示部に表示する制御を行う、処理をコンピュータに実行させる。
【0022】
請求項6に記載の本発明に係る設計支援プログラムによれば、形状及び容積の少なくとも一方が異なる、互いに連続する複数の空間を区画するフレームであり、かつ、当該複数の空間の少なくとも一部の内部に当該空間を占有するように膨張した中空膨張体が収容されるフレームの設計を支援するにあたり、上記膨張した中空膨張体の容積に関する制約条件を取得し、取得した制約条件に合致するフレームの形状の候補を導出し、導出したフレームの形状の候補を視認可能に表示部に表示する制御を行うことで、空間の多様性と施工の優位性とを両立することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、空間の多様性と施工の優位性とを両立することができる
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施形態に係る設計支援装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る設計支援装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る建造物関連情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図4】実施形態に係るボロノイ分割の説明に供する平面図である。
【
図5】実施形態に係るボロノイ分割による各領域のレイアウト結果の一例を示す平面図である。
【
図6】実施形態に係る設計支援処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る初期情報入力画面の構成の一例を示す正面図である。
【
図8】実施形態に係るボロノイ分割による各領域の形状及び位置の候補の絞り込みの説明に供するグラフである。
【
図9】実施形態に係る1次候補提示画面の構成の一例を示す正面図である。
【
図10】実施形態に係る2次候補提示画面の構成の一例を示す正面図である。
【
図11】実施形態に係る中空膨張体の適用形態の一例を示す模式図である。
【
図12】実施形態に係る建造物の一例を示す斜視図である。
【
図13】実施形態に係る設計支援装置を用いた設計における優劣の説明に供する図であり、空間の多様性が低く、施工の優位性が高い場合のボロノイ分割の状況の一例を示す概略図である。
【
図14】実施形態に係る設計支援装置を用いた設計における優劣の説明に供する図であり、空間の多様性が高く、施工の優位性が低い場合のボロノイ分割の状況の一例を示す概略図である。
【
図15】実施形態に係る設計支援装置を用いた設計における優劣の説明に供する図であり、空間の多様性及び施工の優位性が両立する場合のボロノイ分割の状況の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0026】
まず、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る設計支援装置10の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る設計支援装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。また、
図2は、本実施形態に係る設計支援装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。なお、設計支援装置10の例としては、パーソナルコンピュータ及びサーバコンピュータ等の情報処理装置が挙げられる。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係る設計支援装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、キーボードとマウス等の入力部14、液晶ディスプレイ等の表示部15、媒体読み書き装置(R/W)16、及び通信インタフェース(I/F)部18を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、入力部14、表示部15、媒体読み書き装置16、及び通信I/F部18はバスBを介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0028】
記憶部13はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、設計支援プログラム13Aが記憶されている。設計支援プログラム13Aは、当該プログラム13Aが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの当該プログラム13Aの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶(インストール)される。CPU11は、設計支援プログラム13Aを記憶部13から読み出してメモリ12に展開し、設計支援プログラム13Aが有するプロセスを順次実行する。
【0029】
また、記憶部13には、建造物関連情報データベース13Bが記憶される。建造物関連情報データベース13Bについては、詳細を後述する。
【0030】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る設計支援装置10の機能的な構成について説明する。
図2に示すように、設計支援装置10は、取得部11A、導出部11B、及び表示制御部11Cを含む。設計支援装置10のCPU11が設計支援プログラム13Aを実行することで、取得部11A、導出部11B、及び表示制御部11Cとして機能する。
【0031】
本実施形態に係る設計支援装置10は、形状及び容積の双方が異なる、互いに連続する複数の空間を区画するフレームであり、かつ、当該複数の空間の少なくとも一部の内部に当該空間を占有するように膨張した中空膨張体が収容されるフレームの設計を支援するものである。なお、ここでいう「占有」とは、対応する空間を区画するフレームにより仮想的に形成される、当該空間の全ての仮想壁面に接する状態を意味する。
【0032】
このように、本実施形態では、上記フレームとして、形状及び容積の双方が異なるものを適用しているが、これに限るものではない。例えば、形状及び容積の何れか一方のみが異なるものを上記フレームとして適用する形態としてもよい。また、本実施形態では、上記中空膨張体として、適正な大きさに膨張した状態での物性を示す値が予め定められた値とされ、かつ、ゴムによって構成された風船を適用しているが、これに限るものではない。例えば、伸縮性を有するビニール製の袋体等を中空膨張体として適用する形態としてもよい。特に、本実施形態では、上記物性を示す値として弾性率(ヤング率)を適用しているが、これに限るものではない。例えば、中空膨張体の表面の硬度を、上記物性を示す値として適用する形態としてもよい。
【0033】
そして、本実施形態に係る取得部11Aは、膨張した中空膨張体の容積に関する制約条件を取得する。特に、本実施形態に係る取得部11Aは、上記制約条件として、フレームの傾斜角度の許容範囲、及び中空膨張体の物性に関する情報の双方を更に取得する。
【0034】
このように、本実施形態では、上記制約条件として、フレームの傾斜角度の許容範囲及び中空膨張体の物性に関する情報の双方を取得しているが、これに限るものではない。例えば、フレームの傾斜角度の許容範囲及び中空膨張体の物性に関する情報の何れか一方のみを上記制約条件として取得する形態としてもよい。
【0035】
また、本実施形態に係る導出部11Bは、取得部11Aによって取得された制約条件に合致するフレームの形状の候補を導出する。そして、本実施形態に係る表示制御部11Cは、導出部11Bによって導出されたフレームの形状の候補を視認可能に表示部15に表示する制御を行う。
【0036】
ここで、本実施形態に係る取得部11Aは、上記複数の空間の母点の位置を示す位置情報を更に取得し、本実施形態に係る導出部11Bは、上記制約条件に合致し、かつ、上記母点の位置を用いたボロノイ(Voronoi)分割により得られる空間から、フレームの形状の候補を導出する。
【0037】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る建造物関連情報データベース13Bについて説明する。
図3は、本実施形態に係る建造物関連情報データベース13Bの構成の一例を示す模式図である。
【0038】
図3に示すように、本実施形態に係る建造物関連情報データベース13Bは、建造物ID(Identification)、外形情報、母点位置、建造物全体の要求条件、各領域の要求条件、及び設計結果の各情報が関連付けられて記憶される。
【0039】
上記建造物IDは、各建造物を識別するための情報であり、上記外形情報は、対応する建造物の外形を示す情報であり、上記母点位置は、対応する領域(上記空間に相当。)の母点の位置を示す位置情報である。また、上記建造物全体の要求条件は、対応する建造物全体に対して要求される条件を示す情報であり、上記各領域の要求条件は、対応する領域に要求される条件を示す情報である。
【0040】
例えば、建造物全体の要求条件には、建造物全体の延床面積が含まれる。また、各領域の要求条件には、各領域に収容される中空膨張体の容積の種類、ボロノイ分割によって得られる領域間の境界面(ボロノイ面)の角度(上述した傾斜角度に相当し、以下、「傾斜角度」という。)の許容範囲、及び当該中空膨張体の弾性率の許容範囲が含まれる。そして、上記設計結果は、設計支援装置10を用いて最終的に得られた設計結果を示す情報である。
【0041】
なお、本実施形態では、上記外形情報として、予め定められた3次元CAD(Computer Aided Design)ソフトウェアを用いて作成された、対応する建造物の全体的な外形を示すモデル(以下、「外形モデル」という。)を適用している。なお、本実施形態では、上記3次元CADソフトウェアとして、ライノセラス(Rhinoceros)(登録商標)を適用しているが、これに限らない。例えば、レビット(Revit)(登録商標)等の他のソフトウェアを上記3次元CADソフトウェアとして適用する形態としてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、上記母点位置を、対応する外形モデルに予め定められた原点位置を原点(0,0,0)とした、対応する建造物の正面視幅方向であるX方向、奥行き方向であるY方向、及び高さ方向であるZ方向の3次元の位置座標(X,Y,Z)として表す。
【0043】
更に、本実施形態では、上記各領域の要求条件として、各領域で共通の条件を適用しているが、これに限るものではない。例えば、各領域の各々別に要求条件を設定する形態としてもよいし、建造物を、何れも1以上の領域を含むグループに区分し、当該区分毎に共通の条件を上記各領域の要求条件として適用する形態としてもよい。
【0044】
次に、
図4~
図5を参照して、本実施形態で適用しているボロノイ分割を用いた空間設計について説明する。
図4は、本実施形態に係るボロノイ分割の説明に供する平面図である。また、
図5は、本実施形態に係るボロノイ分割による各領域のレイアウト結果の一例を示す平面図である。
【0045】
本実施形態に係る設計支援装置10では、建造物の内部の空間を、高さ方向も含めた3次元の方向にボロノイ分割によって分割することで、当該建造物におけるフレームの各領域を生成している。
【0046】
通常、平面におけるボロノイ分割では、一例として
図4に示すように、隣接する母点を結ぶ直線の垂直二等分線をボロノイ境界として領域を分割する。これを建造物内部の空間設計に適用することで、一例として
図5に示すように、一つの母点を内部の略中央部に含み、かつ、ボロノイ境界を境界線とした領域に分割することができる。なお、説明の便宜上、
図5では、平面(高さ方向を除く2次元面)に対してボロノイ分割を適用した場合について例示しているが、実際の3次元空間でボロノイ分割を適用する場合には、上記垂直二等分線を垂直二等分面に置き換えて適用する。
【0047】
ボロノイ分割を用いて建造物の空間設計を行うことにより、従来の各領域が平面視矩形状とされて接続される場合に比較して、より多くの空間で各領域を直接接続することができる結果、より施工の優位性を得ることができる建造物の空間設計を行うことができる。
【0048】
次に、
図6~
図10を参照して、本実施形態に係る設計支援装置10の作用を説明する。ユーザによって設計支援プログラム13Aの実行を開始する指示入力が入力部14を介して行われた場合に、設計支援装置10のCPU11が当該設計支援プログラム13Aを実行することにより、
図6に示す設計支援処理が実行される。
図6は、本実施形態に係る設計支援処理の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、錯綜を回避するために、建造物関連情報データベース13Bにおける、各建造物に関する建造物ID及び外形情報の各情報が登録済みである場合について説明する。
【0049】
図6のステップ100で、CPU11は、予め定められた構成とされた初期情報入力画面を表示するように表示部15を制御し、ステップ102で、CPU11は、所定情報が入力されるまで待機する。
【0050】
図7には、本実施形態に係る初期情報入力画面の一例が示されている。
図7に示すように、本実施形態に係る初期情報入力画面では、各情報の入力を促すメッセージと共に、建造物IDを入力するための入力領域15A、及び母点移動の許容範囲とピッチを入力するための入力領域15Bが表示される。また、本実施形態に係る初期情報入力画面では、建造物全体の要求条件を入力するための入力領域15C、及び各領域の母点の位置及び要求条件を入力するための入力領域15Dが表示される。本初期情報入力画面で入力する建造物IDは、本設計支援処理で処理の対象とする建造物(以下、「対象建造物」という。)に割り振られた建造物IDであり、建造物関連情報データベース13Bにおける建造物IDに相当する情報である。
【0051】
ところで、本実施形態に係る設計支援処理では、ボロノイ分割を用いて決定された領域の形状及び位置の調整を、各領域の母点の位置を移動させることで行う。上記母点移動の許容範囲とピッチは、この際の母点の位置の移動の許容範囲と、当該許容範囲内の移動間隔を示す情報である。
図7に示す例では、X方向、Y方向、Z方向の3方向に対して、共通の許容範囲(
図7に示す例では、±5mの範囲)、かつ、共通のピッチ(
図7に示す例では、0.5m)が入力された場合について例示している。但し、この形態に限らず、X方向、Y方向、Z方向の3方向に対して、各々異なる許容範囲やピッチを設定してもよいことは言うまでもない。
【0052】
また、初期情報入力画面で入力する建造物全体の要求条件は、対象建造物全体に対して要求される条件を示す情報であり、建造物関連情報データベース13Bにおける建造物全体の要求条件に相当する情報である。本実施形態に係る設計支援処理では、一例として
図7に示すように、建造物全体の要求条件として、対象建造物全体の延床面積等が入力される。
【0053】
更に、初期情報入力画面で入力する各領域の母点の位置、及び要求条件は、対象建造物への設置を想定している領域毎の母点の位置、及び要求条件を示す情報であり、建造物関連情報データベース13Bにおける母点位置及び各領域の要求条件に相当する情報である。本実施形態に係る設計支援処理では、上述したように、制約条件(上述した建造物全体の要求条件及び各領域の要求条件)に合致し、かつ、母点の位置を用いたボロノイ分割により得られる空間から、対象建造物におけるフレームの形状の候補を導出する。上記母点の位置は、このボロノイ分割を行う際に用いられる、対応する領域の母点の位置を示す情報である。また、上記要求条件は、各領域の形状及び位置の調整の際に用いられる情報である。
【0054】
なお、本実施形態では、各領域の形状及び位置の調整を、上記ライノセラス(登録商標)に設けられている機能であるグラスホッパー(Grasshopper)(登録商標)を用いて行っているが、これに限らない。例えば、ダイナモ(Dynamo)(登録商標)等の他のソフトウェアを、上記調整を行うためのソフトウェアとして適用する形態としてもよい。
【0055】
一例として
図7に示す初期情報入力画面が表示部15に表示されると、ユーザは、上記建造物ID、母点移動の許容範囲とピッチ、建造物全体の要求条件、及び各領域の母点の位置及び要求条件の各情報を、対応する入力領域に入力した後、終了ボタン15Eを指定する。これに応じて、ステップ102が肯定判定となって、ステップ104に移行する。なお、以下では、錯綜を回避するために、建造物全体の要求条件として対象建造物の延床面積のみを適用し、各領域の要求条件として、収容する中空膨張体の容積の種類、ボロノイ面の傾斜角度の許容範囲、及び収容する中空膨張体の物性を示す値(ここでは、弾性率)の許容範囲のみを適用した場合について説明する。
【0056】
ステップ104で、CPU11は、初期情報入力画面において入力された建造物IDに対応する外形情報を建造物関連情報データベース13Bから読み出す。ステップ106で、CPU11は、読み出した外形情報と、初期情報入力画面において入力された建造物全体の要求条件及び各領域の要求条件と、各領域の母点の位置と、を用いて、対象建造物に対して3次元方向に対するボロノイ分割を行うことにより、各領域の形状及び位置の候補を決定する。
【0057】
この各領域の形状及び位置の候補の決定の際に、CPU11は、入力された各領域の母点の位置を、入力された母点移動の許容範囲について、入力されたピッチで移動させて、各母点の位置毎にボロノイ分割を行う。例えば、一例として
図7に示すように、X方向、Y方向、Z方向共に母点移動の許容範囲が±5mでピッチが0.5mである場合、各方向について21箇所の母点が設定されるため、合計9261(=21×21×21)通りのボロノイ分割の結果が得られる。
【0058】
また、この際、CPU11は、各領域に収容される中空膨張体の容積の種類に関しては、入力された複数種類の容積の中空膨張体を、適用数が均等となるように適用する。また、この際、CPU11は、各領域に適用される傾斜角度に関しては、入力された傾斜角度の許容範囲における最小値及び最大値を、適用数が均等となるように適用する。更に、この際、CPU11は、各領域に収容される中空膨張体の物性を示す値に関しては、入力された弾性率の許容範囲における中央値を適用する。但し、各領域の要求条件として適用する値は、これらの値に限るものではなく、各領域の要求条件として入力された値に含まれる、他の値を適用する形態としてもよいことは言うまでもない。
【0059】
図8には、各ボロノイ分割によって得られた結果別の、各要求条件に対する合致の度合いを示すグラフの一例が示されている。なお、
図8では、各領域に収容される中空膨張体の容積に関する合致の度合いを「容積合致度数」と表記し、各領域のボロノイ面の傾斜角度に関する合致の度合いを「傾斜角度合致度数」と表記している。また、
図8では、建造物全体の延床面積に関する合致の度合いを「延床面積合致度数」と表記し、各領域に収容される中空膨張体の物性を示す値に関する合致の度合いを「物性合致度数」と表記している。
【0060】
ステップ108で、CPU11は、以上の処理によって得られた、複数のボロノイ分割の結果を用いて、予め定められた構成とされた1次候補提示画面を表示するように表示部15を制御し、ステップ110で、CPU11は、所定情報が入力されるまで待機する。
【0061】
図9には、本実施形態に係る1次候補提示画面の一例が示されている。
図9に示すように、本実施形態に係る1次候補提示画面では、要求条件の絞り込みを促すメッセージと共に、
図8を参照して説明した各要求条件の合致の度合いを示すグラフが表示される。
【0062】
一例として
図9に示す1次候補提示画面が表示部15に表示されると、ユーザは、より要求条件に合致するボロノイ分割のみに絞り込むべく、少なくとも1つの要求条件に対して合致度数の範囲を狭くする指定を行った後、終了ボタン15Eを指定する。これに応じて、ステップ110が肯定判定となって、ステップ112に移行する。
図9に示す例では、点線で囲まれた範囲が絞り込まれた部分を模式的に示しており、容積合致度数、傾斜角度合致度数、及び延床面積合致度数の3種類の合致度数については小さい側の1割程度の度数に絞り込み、物性合致度数については大きい側の7割程度の度数に絞り込んでいる。
【0063】
ステップ112で、CPU11は、以上の処理によって絞り込まれたボロノイ分割の結果により示される各領域の形状及び位置が反映された対象建造物のフレームを示す画像を表示する、予め定められた構成とされた2次候補提示画面を表示するように表示部15を制御し、ステップ114で、CPU11は、所定情報が入力されるまで待機する。
【0064】
図10には、本実施形態に係る2次候補提示画面の一例が示されている。
図10に示すように、本実施形態に係る2次候補提示画面では、最終案の選択を促すメッセージと共に、絞り込まれたボロノイ分割の結果が反映された対象建造物のフレーム80を示す3次元画像が表示される。なお、
図10では、錯綜を回避するために、対象建造物の1つのフレーム80の3次元画像のみが表示されているが、実際には、絞り込まれた複数の3次元画像が選択可能に表示される。
【0065】
一例として
図10に示す2次候補提示画面が表示部15に表示されると、ユーザは、その時点で最適と考えられる対象建造物の3次元画像を選択した後、終了ボタン15Eを指定する。これに応じて、ステップ114が肯定判定となって、ステップ116に移行する。
【0066】
ステップ116で、CPU11は、2次候補提示画面においてユーザに選択された3次元画像に対応する各種情報(本実施形態では、母点位置、建造物全体の要求条件、各領域の要求条件、及び設計結果の各情報)を建造物関連情報データベース13Bの対応する領域に記憶(登録)し、その後に本設計支援処理を終了する。
【0067】
次に、
図11~
図12を参照して、本実施形態に係る設計支援装置10を用いて設計されたフレームへの中空膨張体の設置方法の一例について説明する。
図11は、本実施形態に係る中空膨張体60の適用形態の一例を示す模式図である。また、
図12は、本実施形態に係る建造物90の一例を示す斜視図である。なお、ここでは、建造物として、博覧会や展示会等で用いられるパビリオンを適用した場合について説明する。
【0068】
図11に示すように、この形態では、人70による遠隔操作により、ドローン72を用いて、膨張していない中空膨張体60を、フレーム80における所望の領域内に移動させ、当該中空膨張体60を予め定められた初期状態となるように膨張させる。なお、図示は省略するが、ドローン72にはコンプレッサが接続されており、当該コンプレッサを用いて中空膨張体60に対する空気の流入及び流出を行うことで、中空膨張体60の膨張及び収縮を遠隔操作で行うことができる。
【0069】
そして、この形態では、人70による遠隔操作により、予め定められた環境条件等に応じて中空膨張体60の膨張状態を変化させる。この操作により、パビリオンの空間及びファサードを有機的に変化させ続けることができ、一例として
図12に示すように、意匠的な観点においても、建造物90を個性的、かつ、優位なものとして構築することができる。なお、上記環境条件としては、気温、風速、天候等の自然環境の条件や、騒音、換気状態、人口密度等の人為的な環境を適用することができる。
【0070】
このように、この形態では、人による遠隔操作によって中空膨張体の膨張及び収縮を行っているが、これに限るものではない。例えば、上述した環境条件を検出するセンサを設け、当該センサによって得られた計測値を用いて、自動的に中空膨張体の膨張及び収縮を行う形態としてもよい。
【0071】
次に、
図13~
図15を参照して、本実施形態に係る設計支援装置10による空間の多様性及び施工の優位性について説明する。
図13は、本実施形態に係る設計支援装置10を用いた設計における優劣の説明に供する図であり、空間の多様性が低く、施工の優位性が高い場合のボロノイ分割の状況の一例を示す概略図である。また、
図14は、本実施形態に係る設計支援装置10を用いた設計における優劣の説明に供する図であり、空間の多様性が高く、施工の優位性が低い場合のボロノイ分割の状況の一例を示す概略図である。更に、
図15は、本実施形態に係る設計支援装置10を用いた設計における優劣の説明に供する図であり、空間の多様性及び施工の優位性が両立する場合のボロノイ分割の状況の一例を示す概略図である。
【0072】
一例として
図13に示すように、中空膨張体の容積の種類として1種類のみを適用した場合、各ボロノイ領域の容積も1種類のみとなるため、施工の優位性は高くなるが、空間の多様性は低くなる。
【0073】
一方、一例として
図14に示すように、中空膨張体の容積の種類を比較的多く(
図14に示す例では、5種類)した場合、各ボロノイ領域の種類も比較的多くなるため、空間の多様性は高くなるものの、施工の優位性は低くなる。
【0074】
これに対し、一例として
図15に示すように、中空膨張体の容積の種類数を中間的な数(
図15に示す例では、3種類)とした場合、各ボロノイ領域の種類も中間的な数となるため、空間の多様性と施工の優位性との両立を図ることができる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係る設計支援装置によれば、形状及び容積の少なくとも一方が異なる、互いに連続する複数の空間を区画するフレームであり、かつ、当該複数の空間の少なくとも一部の内部に当該空間を占有するように膨張した中空膨張体が収容されるフレームの設計を支援するにあたり、上記膨張した中空膨張体の容積に関する制約条件を取得し、取得した制約条件に合致するフレームの形状の候補を導出し、導出したフレームの形状の候補を視認可能に表示部に表示する制御を行う。従って、この設計支援装置を用いて設計されたフレームでは、中空膨張体の収容の有無や、中空膨張体の膨張の程度によって外観や内観を容易に変更することができる。また、この設計支援装置を用いて設計されたフレームは、中空膨張体の容積に関する制約条件によって制約されているため、当該制約条件による制約を受けていない場合に比較して、施工が容易なものとなる。この結果、この設計支援装置によれば、空間の多様性と施工の優位性とを両立することができる。
【0076】
また、本実施形態に係る設計支援装置によれば、上記複数の空間の母点の位置を示す位置情報を更に取得し、上記制約条件に合致し、かつ、上記母点の位置を用いたボロノイ分割により得られる空間から、フレームの形状の候補を導出している。従って、簡易、かつ、美しいフレームの設計を支援することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る設計支援装置によれば、上記制約条件として、フレームの傾斜角度の許容範囲、及び中空膨張体の物性に関する情報の少なくとも一方を更に取得している。従って、取得した制約条件に応じた効果的なフレームの設計を支援することができる。
【0078】
更に、本実施形態に係る建造物によれば、上記設計支援装置を用いて設計されたフレームを含む。従って、当該設計支援装置と同様に、空間の多様性と施工の優位性とを両立することができる。
【0079】
なお、上記実施形態では、対象建造物の外形についてはユーザが入力する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、対象建造物の外形についてもボロノイ分割の手法を用いて決定する形態としてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、領域を分割する手法としてボロノイ分割を適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ドロネー(Delaunay)図による分割を、領域を分割する手法として適用する形態としてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、許容範囲内において母点を移動させることによって、ボロノイ分割の結果の候補を複数決定する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、入力された母点の位置のみを用いて、ボロノイ分割の結果を1つのみ決定する形態としてもよい。
【0082】
また、上記実施形態において、例えば、取得部11A、導出部11B、及び表示制御部11Cの各処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0083】
処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0084】
処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0085】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【符号の説明】
【0086】
10 設計支援装置
11 CPU
11A 取得部
11B 導出部
11C 表示制御部
12 メモリ
13 記憶部
13A 設計支援プログラム
13B 建造物関連情報データベース
14 入力部
15 表示部
15A~15D 入力領域
15E 終了ボタン
16 媒体読み書き装置
17 記録媒体
18 通信I/F部
60 中空膨張体
70 人
72 ドローン
80 フレーム
90 建造物