(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093130
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】衝突軽減機構、レンズ鏡筒および撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/02 20210101AFI20230627BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20230627BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20230627BHJP
【FI】
G03B17/02
G02B7/04 E
G02B7/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208565
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】島根 淳
【テーマコード(参考)】
2H044
2H100
【Fターム(参考)】
2H044BE02
2H044BE10
2H044DA01
2H044DA02
2H044DB02
2H100EE02
(57)【要約】
【課題】衝突音の低減を図る衝突軽減機構、レンズ鏡筒および撮像装置を提供する。
【解決手段】固定枠(31A)に固定され、スリーブ(33)を有するガイド軸(32A)と、移動可能な可動部(34)と、ガイド軸を押圧する力を生じさせるブレーキコマ(36A)とを備え、可動部(34)がブレーキコマ(36A)に当接したときに、ブレーキコマ(36A)またはスリーブ(33)は、ガイド軸(32A)を押圧する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部によって一端が固定され、第一の方向に延在するガイド軸と、
前記ガイド軸が挿通されるスリーブを有し、前記スリーブによって前記第一の方向に移動可能な可動部と、
前記第一の方向に交差する第二の方向に前記ガイド軸を押圧する力を生じさせるブレーキコマと、を備え、
前記ブレーキコマまたは前記スリーブは、前記可動部が前記ガイド軸の前記一端に移動して、前記可動部または前記固定部が前記ブレーキコマに当接したときに、前記第二の方向に前記ガイド軸に向けて進出して、前記ガイド軸を押圧する押圧部を含む、衝突軽減機構。
【請求項2】
前記可動部は、前記スリーブおよび前記ブレーキコマを含み、
前記ブレーキコマは、前記スリーブに配置されて前記第一の方向に移動可能である、請求項1に記載の衝突軽減機構。
【請求項3】
前記ブレーキコマは、前記ガイド軸が挿通されるガイド孔を有し、前記ブレーキコマの前記ガイド孔を有する一部が前記スリーブの内部に配置される、請求項2に記載の衝突軽減機構。
【請求項4】
前記ブレーキコマおよび前記スリーブの少なくとも一方は、前記第一の方向に対して傾斜する形状に形成され、前記ガイド軸の前記一端に移動した前記スリーブが前記ブレーキコマに当接する当接部をさらに有し、
前記ブレーキコマは、前記スリーブ内において前記一端に向けて付勢されて配置され、
前記固定部は、前記ガイド軸の前記一端に前記スリーブが到達したときに前記ブレーキコマに当接するブレーキガイドをさらに有し、
前記スリーブは、前記ガイド軸の前記一端に移動して前記ブレーキコマに前記当接部で当接したときに、前記当接部によって前記第二の方向に案内されて前記ガイド軸に向けて進出して、前記スリーブの内周面の部分を前記押圧部として前記ガイド軸を押圧する、請求項3に記載の衝突軽減機構。
【請求項5】
前記固定部は、前記ガイド軸の前記一端に前記スリーブが到達したときに前記ブレーキコマに当接するブレーキガイドをさらに有し、
前記ブレーキコマおよび前記ブレーキガイドの少なくとも一方は、前記一端ほど前記第二の方向において前記ガイド軸に漸次接近する形状に形成され、前記ガイド軸の前記一端に前記スリーブが到達したときに、前記ブレーキガイドが前記ブレーキコマに当接する当接部をさらに有し、
前記ブレーキコマは、前記スリーブ内における前記第一の方向の一端において前記第二の方向に付勢されて、前記ガイド軸に対して非接触の位置に配置されており、
前記ブレーキコマは、前記スリーブとともに前記一端に移動して前記当接部で前記ブレーキガイドに前記ブレーキコマが当接して前記第二の方向に案内されたときに、前記ガイド軸に向けて進出して、前記ブレーキコマの前記ガイド孔の内周面の部分を前記押圧部として前記ガイド軸を押圧する、
請求項3に記載の衝突軽減機構。
【請求項6】
前記ブレーキコマおよび前記スリーブの少なくとも一方は、前記一端ほど前記第二の方向において前記ガイド軸に漸次接近する形状に形成され、前記ガイド軸の前記一端に前記スリーブが到達したときに、前記スリーブが前記ブレーキコマに当接する当接部をさらに有し、
前記ブレーキコマは、前記第二の方向において前記ガイド軸に向けて付勢されて前記固定部に配置されており、
前記スリーブは、前記一端に移動して前記当接部で前記ブレーキコマに当接して前記第二の方向に案内されたときに、前記スリーブの内周面の部分が前記押圧部として前記ガイド軸に向けて進出して前記ガイド軸を押圧する、
請求項1に記載の衝突軽減機構。
【請求項7】
前記ブレーキコマは、前記第一の方向における前記スリーブ内の一端において起立するように付勢されて配置されており、
前記ブレーキコマの前記ガイド孔は、前記ガイド軸の他端側に前記ブレーキコマが傾倒可能な形状に形成されており、
前記固定部は、前記ガイド軸の前記一端に前記スリーブが到達したときに前記ブレーキコマに当接するブレーキガイドをさらに有し、
前記ブレーキコマは、前記スリーブとともに前記一端に移動して当接部で前記ブレーキガイドに当接して前記他端側に傾いたときに、前記ガイド軸に向けて進出して前記ブレーキコマの前記ガイド孔の内周面の部分を前記押圧部として前記ガイド軸を押圧する、
請求項3に記載の衝突軽減機構。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の衝突軽減機構を有するレンズ鏡筒。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の衝突軽減機構を有する撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突軽減機構、レンズ鏡筒および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラおよびミラーレス一眼カメラ等の撮像装置において、ボイスコイルモータを用いて光軸方向へレンズ群が可動となるような機構が設けられている。このような機構において、電源オフの状態ではボイスコイルモータに自己保持力は発生しない。このため、電源オフ状態でレンズ鏡筒を揺らした場合、レンズ群の自重によって可動群が光軸方向に移動し、可動範囲内に設けられたストッパーと衝突し、衝突音が発生する。また、ストッパーと衝突したことによって衝撃力が発生するため、最悪の場合レンズ鏡筒が破損する可能性がある(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-243877号公報
【特許文献2】特開2010-44166号公報
【特許文献3】特開2010-169844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来技術では、小型化を保ちつつ衝突音の低減を図るための検討の余地が残されている。たとえば、特許文献1、2に記載の技術では、弾性部材が変形することで衝突力を低減して、衝突音の発生を回避する構成を採用している。このような構成においては、弾性部材の厚みや大きさを調整する必要があり、弾性部材を配置するスペースが必要となる。また、特許文献3に記載の技術では、ボイスコイルモータのマグネットの吸着力を利用した摩擦力を抵抗として衝突音を低減しているが、吸着力による摩擦力の適切な調整が困難である。
【0005】
本発明の課題は、小型化を保ったまま衝突音の低減を図ることができる衝突軽減機構、レンズ鏡筒および撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る衝突軽減機構は、固定部によって一端が固定され、第一の方向に延在するガイド軸と、前記ガイド軸が挿通されるスリーブを有し、前記スリーブによって前記第一の方向に移動可能な可動部と、前記第一の方向に交差する第二の方向に前記ガイド軸を押圧する力を生じさせるブレーキコマと、を備え、前記ブレーキコマまたは前記スリーブは、前記可動部が前記ガイド軸の前記一端に移動して、前記可動部または前記固定部が前記ブレーキコマに当接したときに、前記第二の方向に前記ガイド軸に向けて進出して、前記ガイド軸を押圧する押圧部を含む。
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るレンズ鏡筒は、上記衝突軽減機構を有する。
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る撮像装置は、上記衝突軽減機構を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、小型で衝突音の低減を図ることができる衝突軽減機構、レンズ鏡筒および撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る衝突軽減機構の基本構成を示す斜視図である。
【
図2】一実施形態に係るレンズ鏡筒および撮像装置の一例を模式的に示す図である。
【
図3】実施形態1の基本構成を示す一部分解斜視図である。
【
図4】実施形態1のガイド軸およびスリーブの断面図である。
【
図5】実施形態1のガイド軸およびスリーブの他の断面図である。
【
図6】実施形態1のガイド軸およびスリーブの一部拡大図である。
【
図7】実施形態2の基本構成を示す一部分解斜視図である。
【
図8】実施形態2のガイド軸およびスリーブの断面図である。
【
図9】実施形態2のガイド軸およびスリーブを示す斜視図である。
【
図10】実施形態2のガイド軸およびスリーブの一部拡大図である。
【
図11】実施形態3の基本構成を示す一部分解斜視図である。
【
図12】実施形態3のガイド軸およびスリーブの断面図である。
【
図13】実施形態3のブレーキコマ、バネおよび支持部を示す斜視図である。
【
図14】実施形態3のガイド軸、スリーブおよびブレーキコマの一部拡大図である。
【
図15】実施形態4の基本構成を示す一部分解斜視図である。
【
図16】実施形態4のガイド軸およびスリーブの断面図である。
【
図17】実施形態4のガイド軸およびスリーブを示す斜視図である。
【
図18】実施形態4のガイド軸およびスリーブの一部拡大図である。
【
図19】実施形態4のブレーキコマの回転した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔発明の基本構成〕
〔衝突軽減機構〕
以下、本発明の各実施形態に共通する基本構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る衝突軽減機構10の基本構成を示す斜視図である。本発明の実施形態は、固定枠11A、11Bによって一端が固定されるガイド軸12A、12Bとスリーブ13を有する可動部14と、ガイド軸12A、12Bを押圧するブレーキコマとを備える。可動部14は、図示しないボイスコイルモータによってガイド軸12A、12Bに沿った第一の方向15に対して移動可能になっている。即ち、ガイド軸12A、12Bは第一の方向15に延在している。ブレーキコマは、第一の方向15と交差する第二の方向にガイド軸を押圧する力を生じさせる。
【0010】
本発明の実施形態では、ブレーキコマは可動部のスリーブ内に設けられ、または、固定枠に設けられる。本発明の実施形態のブレーキコマまたは前記スリーブ13は、可動部14がガイド軸12A、12Bの一端に移動して、可動部14または固定枠11A、11Bがブレーキコマに当接したときに、第二の方向にガイド軸12A、12Bに向けて進出する。この進出によって、ガイド軸12A、12Bを押圧する力が発生し、押圧部においてガイド軸12A、12Bを押圧する。
【0011】
〔レンズ鏡筒および撮像装置〕
図2は、本発明の一実施形態に係るレンズ鏡筒および撮像装置の一例を模式的に示す図である。
図2に示されるように、撮像装置20は、本体21および本体21に着脱可能な鏡筒22を有している。この鏡筒22は、衝突軽減機構を含んでいる。したがって、撮像装置20も衝突軽減機構を含んでいることになる。
【0012】
鏡筒22は、光学系23を有している。本体21は、撮像素子としてのカバーガラス24およびCCDセンサ25を有している。CCDセンサ25は、本体21中における、本体21に装着された鏡筒22内の光学系23の光軸が中心軸となる位置に配置されている。本体21は、カバーガラス24に代えて、赤外線カットフィルターなどの実質的な屈折力を有さない光学素子を有していてもよい。
【0013】
本実施形態に係る撮像装置は、撮像素子により取得した撮像画像データを電気的に加工して、撮像画像の形状を変化させる画像処理部、ならびに、当該画像処理部において撮像画像データを、例えば画像の要部を拡大する(ズーム)加工をするために用いる画像補正データおよび画像補正プログラムなどを保持する画像補正データ保持部、などを有することがより好ましい。
【0014】
〔実施形態1〕
〔実施形態1の構成〕
以下、本発明の実施形態1について説明する。
図3は実施形態1の基本構成を示す一部分解斜視図である。実施形態1において、可動部34は光軸方向である第一の方向35へ移動するため、ガイド軸32Aは可動部34のスリーブ33内にあるブレーキコマ36Aのガイド孔に嵌合されている。即ち、ブレーキコマは、ガイド軸が挿通されるガイド孔を有し、スリーブの内部に配置される。
【0015】
このスリーブ33内には、ブレーキコマ36A、36Bとバネ37とが配置されている。即ち、可動部がスリーブとブレーキコマを含んでいる。また、ブレーキコマはスリーブに配置されて、第一の方向に移動可能である。
図3においては各構成をわかりやすくするため、切り欠きを有する形状のスリーブ33からブレーキコマ36A、36Bおよびバネ37が外側に引き出されて記載されている。なお、バネ37はブレーキコマ36A、36Bをスリーブ33の両側に押しつける方向に付勢している。即ち、ブレーキコマは、スリーブ内において一端に向けて付勢されて配置されている。
【0016】
図4は実施形態1のガイド軸32Aおよびそのガイド軸32Aと嵌合するスリーブ33の第一の方向における断面を示す断面図である。
図3においては省略したが、ガイド軸32Aは、固定枠31A、31Bによって両端が固定されている。固定枠31A、31Bにはそれぞれブレーキガイド38A、38Bが設けられている。即ち、固定部は、ガイド軸の一端にスリーブが到達したときにブレーキコマに当接するブレーキガイドを有している。
図4において、可動部34はガイド軸32Aの一端側(固定枠31A側)に移動した状態を示している。この状態においては、ブレーキガイド38Aとブレーキコマ36Aのリブ部36A2とが当接部39において当接している。即ち、ブレーキコマは、第一の方向に対して傾斜する形状に形成され、ガイド軸の一端に移動したスリーブがブレーキコマに当接する当接部を有する。
【0017】
ブレーキコマ36Aは、ガイド軸32Aより若干径が大きい穴が開いている。また、ブレーキコマ36Aは、スリーブ33の傾斜面33Cと接触する傾斜面36Cが設けられている。スリーブ33の両側(以下、接眼側及び対物側ともいう)に向けて、バネ37はブレーキコマ36A、36Bと接触し、常にブレーキコマ36A、36Bをスリーブの中央から接眼側及び対物側へ付勢をかけるようになっている。このようにバネ37によってブレーキコマ36A、36Bはスリーブ33の両側に向けて付勢されているため、通常時はスリーブ33の傾斜面33Cおよびガイド軸32Aに触れない状態になっている。
【0018】
実施形態1の衝突軽減機構は、スリーブ33を含む可動部34、ガイド軸32A、ブレーキコマ36A、36B、バネ37およびブレーキガイド38A、38Bを含む固定枠31A、31Bから構成されるため、省スペースでコンパクトに構成される。また、可動部34を第一の方向(以下、光軸方向ともいう)35へ移動するためのガイド軸32Aが、可動部34の可動範囲を挟むように固定枠31A、31Bが配置されている。可動部34にはガイド軸32Aと嵌合するスリーブ33が設けられている。スリーブ33がガイド軸32Aにそって移動することによって、可動部34は第一の方向35へ移動できる。可動部34の移動は、固定枠31A、31Bに設けられたブレーキガイド38A、38Bにより、その移動量を所定の範囲内に制限されている。
【0019】
図5は実施形態1のガイド軸32Aおよびそのガイド軸32Aと嵌合するスリーブ33の第一の方向と交差する第二の方向における断面(ガイド軸32Aを輪切りにした状態)を示す断面図である。ブレーキコマ36Aはスリーブ33内においてガイド軸32Aを嵌合している。即ち、ブレーキコマ36Aはスリーブ33内においてガイド軸32Aを包み込む形に配置されている。また、ブレーキコマ36Aはリブ部36A2がスリーブから突出した形状になっている。
【0020】
〔実施形態1の動作〕
図6は実施形態1のガイド軸32Aおよびスリーブ33の断面を示した
図4の一部拡大図である。以下、
図6を用いて実施形態1の動作について説明する。
図4においても説明したように、可動部34はガイド軸32Aの固定枠31A側に移動した状態である。具体的には、固定枠31Aに設けられたブレーキガイド38Aと、スリーブ33から突出したブレーキコマ36Aのリブ部36A2とが、当接部39にて当接している。
【0021】
上述したように、電源がオフの状態では図示しないボイスコイルモータには、自己保持力が発生しない。したがってレンズ鏡筒を揺らした場合、可動部34はその自重によって第一の方向の接眼側もしくは対物側へ移動する。
図6に示したように可動部34が移動してブレーキガイド38Aとブレーキコマ36Aのリブ部36A2とが当接したとき、慣性力によってさらに可動部34に矢印40で示す力が働き、固定枠31A側へさらに移動する力が働く。可動部34のスリーブ33にも矢印40で示す力が働くため、ブレーキコマ36Aの傾斜面36Cとスリーブ33の傾斜面33Cが接触し、さらにブレーキコマ36Aがスリーブ33の傾斜面33Cに沿って、スリーブ33の中心方向へ移動する。
【0022】
このとき、ブレーキコマ36Aのガイド軸32Aに面した部分は矢印41で示すように第二の方向であるガイド軸32Aの中心部分に向かって圧接される。可動部34はさらに固定枠31A側に力を働かせるため、固定されたブレーキコマ36Aの傾斜面33Cの影響でスリーブ33に矢印42および43で示す力が生じる。これにより、矢印43で示した部分においては、スリーブ33がガイド軸32Aの中心部分に向かって圧接される。
【0023】
このように、矢印43で示した部分が押圧部としてスリーブ33とガイド軸32Aの間に摩擦力が発生する。これにより、スリーブは、ガイド軸の一端に移動してブレーキコマに当接部で当接したときに、当接部によって前記第二の方向に案内されて前記ガイド軸に向けて進出して、スリーブの内周面の部分を押圧部としてガイド軸を押圧する。
【0024】
可動部34が持っていた第一の方向の運動エネルギーが、ガイド軸32Aの中心部分に向かう第二の方向の力に変換され、スリーブ33とガイド軸32Aとの間で摩擦力が発生する。この摩擦力は、可動部34が第一の方向へ移動することへの抵抗になるため、可動部34がブレーキコマ36Aを介して固定枠31Aのブレーキガイド38Aと衝突する力を低減することができ、衝突音が低減される。スリーブ33とガイド軸32Aとの間に発生する摩擦力は、ブレーキガイド38Aに可動部34が衝突しようとする力が大きければ大きいほど発生する摩擦力も大きくなるので、衝突力の大きさによらず安定して、衝突音の低減が行われる。
【0025】
また、スリーブ33内に設けられたブレーキコマ36Aによって、スリーブ33とガイド軸32Aとの間に摩擦力を発生させている。このため、省スペース、小ストロークで第一の方向の運動エネルギーを第二の方向への力に変えて、衝突音を低減することができる。
【0026】
〔実施形態2〕
〔実施形態2の構成〕
以下、本発明の実施形態2について説明する。
図7は実施形態2の基本構成を示す一部分解斜視図である。実施形態2において、スリーブ73を有する可動部74およびガイド軸72Aは実施形態1のスリーブ33、可動部34およびガイド軸32Aと同じであるため、その説明は省略する。実施形態2のスリーブ73内には、ブレーキコマ76A、76Bが配置され、その外側には板バネ77が設けられている。可動部74は光軸方向である第一の方向へ移動するため、ガイド軸72Aは可動部74のスリーブ73内にあるブレーキコマ76Aのガイド孔に嵌合されている。
【0027】
即ち、ブレーキコマは、ガイド軸が挿通されるガイド孔を有し、スリーブの内部に配置される。また、このスリーブ73内には、ブレーキコマ76A、76Bが配置されている。即ち、可動部がスリーブとブレーキコマを含んでいる。また、ブレーキコマはスリーブに配置されて、第一の方向に移動可能である。
図7においては各構成をわかりやすくするため、切り欠きを有する形状のスリーブ73から、ブレーキコマ76A、76Bおよび板バネ77が外側に引き出されて記載されている。なお、板バネ77はブレーキコマ76A、76Bのリブ部76A2、76B2がガイド軸72A側に押しつけられる方向に対して逆側に付勢している。
【0028】
図8は実施形態2のガイド軸72Aおよびそのガイド軸72Aと嵌合するスリーブ73のガイド孔の第一の方向における断面を示す断面図である。固定枠71A、71Bにはそれぞれブレーキガイド78A、78Bが設けられている。
図8において、可動部74はガイド軸72Aの固定枠71A側に移動した状態を示している。この状態においては、ブレーキガイド78Aとブレーキコマ76Aのリブ部76A2とが当接部79において当接している。即ち、固定部は、ガイド軸の一端にスリーブが到達したときにブレーキコマに当接するブレーキガイドを有している。
【0029】
ブレーキコマ76Aは、ガイド軸72Aより若干径が大きい穴が開いている。また、ブレーキコマ76Aは傾斜面76Cを有し、ブレーキガイド78Aの傾斜面78Cと当接している。板バネ77はブレーキコマ76A、76Bと接触し、常にブレーキコマ76A、76Bをガイド軸72A側に押しつけられる方向に対して逆側に付勢している。即ち、ブレーキコマは、スリーブ内における第一の方向の一端において第二の方向に付勢されて、ガイド軸に対して非接触の位置に配置されている。
【0030】
実施形態2の衝突軽減機構は、スリーブ73を含む可動部74、ガイド軸72A、ブレーキコマ76A、76B、板バネ77およびブレーキガイド78A、78Bを含む固定枠71A、71Bから構成されるため、省スペースでコンパクトに構成される。また、可動部74は実施形態1と同様にその移動量が所定の範囲内に制限されている。
【0031】
図9は実施形態2のガイド軸72Aおよびそのガイド軸72Aと嵌合するスリーブ73を示す斜視図である。図示されていないが、ブレーキコマ76Aはスリーブ73内においてガイド軸72Aを嵌合している。即ち、ブレーキコマ76Aはスリーブ73内においてガイド軸72Aを包み込む形に配置されている。また、ブレーキコマ76Aはリブ部76A2がスリーブから突出した形状になっている。リブ部76A2には傾斜面76Cが設けられている。
【0032】
〔実施形態2の動作〕
図10は実施形態2のガイド軸72Aおよびスリーブ73の断面を示した
図8の一部拡大図である。以下、
図10を用いて実施形態2の動作について説明する。
図8においても説明したように、可動部74はガイド軸72Aの固定枠71A側に移動した状態である。具体的には、固定枠71Aに設けられたブレーキガイド78Aの傾斜面78Cと、スリーブ73から突出したブレーキコマ76Aのリブ部76A2の傾斜面76Cとが、当接部79にて当接している。このリブ部76A2の傾斜面76Cは、第二の方向においてガイド軸に漸次接近する形状に形成されている。即ち、ブレーキコマは、一端ほど第二の方向においてガイド軸に漸次接近する形状に形成され、ガイド軸の一端にスリーブが到達したときに、ブレーキガイドがブレーキコマに当接する当接部を有している。
【0033】
電源がオフの状態でレンズ鏡筒を揺らした場合、可動部74はその自重によって第一の方向の接眼側もしくは対物側へ移動する。
図10に示したように可動部74が移動してブレーキガイド78Aとブレーキコマ76Aのリブ部76A2とが当接したとき、慣性力によってさらに可動部74に矢印80で示す力が働き、固定枠81A側へさらに力が働く。可動部74から矢印80で示す力がブレーキコマ76Aにも働くため、ブレーキコマ76Aの傾斜面76Cはブレーキガイド78Aの傾斜面78Cに沿ってガイド軸72側に押し込まれる。
【0034】
このため、ブレーキコマ76Aには矢印81で示されるガイド軸72の中心部に向かう第二の方向へ力が働く。これにより、矢印81で示した部分が押圧部としてスリーブ73とガイド軸72Aの間に摩擦力が発生する。即ち、ブレーキコマは、スリーブとともに一端に移動して当接部でブレーキガイドにブレーキコマが当接して第二の方向に案内されたときに、ガイド軸に向けて進出して、ブレーキコマのガイド孔の内周面の部分を押圧部としてガイド軸を押圧する。
【0035】
可動部74が持っていた第一の方向の運動エネルギーが、ガイド軸72Aの中心部分に向かう第二の方向の力に変換され、スリーブ73とガイド軸72Aとの間で摩擦力が発生する点は実施形態1と同様である。したがって、可動部74がブレーキコマ76Aを介して固定枠71Aのブレーキガイド78Aと衝突する力を低減することができ、衝突音が低減される。また、実施形態1と同様に衝突力の大きさによらず安定して、衝突音の低減が行われる。さらに、省スペース、小ストロークで第一の方向の運動エネルギーを第二の方向への力に変えて、衝突音を低減することができる。
【0036】
〔実施形態3〕
〔実施形態3の構成〕
以下、本発明の実施形態3について説明する。
図11は実施形態3の基本構成を示す一部分解斜視図である。実施形態3において、スリーブ113を有する可動部114およびガイド軸112Aは実施形態1のスリーブ33、可動部34およびガイド軸32Aと同じであるため、その説明は省略する。
【0037】
実施形態3のスリーブ113のガイド孔には、ブレーキコマ等は設けられていない。また実施形態3においては、固定枠111A、111Bにはそれぞれブレーキコマ116A、116Bが設けられている。ブレーキコマ116A、116Bおよびバネ117A、117Bは、固定枠111A、111Bに設けられた支持部118A、118Bによって支持されている。
【0038】
図12は実施形態3のガイド軸112Aおよびそのガイド軸112Aと嵌合するスリーブ113の第一の方向における断面を示す断面図である。固定枠111A、111Bにおける可動部114の可動領域側には、それぞれブレーキコマ116A、116Bおよびバネ117A、117Bを支持するための支持部118A、118Bが設けられている。スリーブ113の接眼側および対物側の外側には傾斜面113C1、113C2が設けられている。この傾斜面113C1、113C2はスリーブ113の外側ほど第二の方向において前記ガイド軸に漸次接近する形状に形成されている。
【0039】
ブレーキコマ116A、116Bの可動部114と当接する部分には、傾斜面116C1、116C2がそれぞれ設けられている。また、ブレーキコマ116A、116Bは、バネ117A、117Bによってガイド軸112A側に付勢されている。即ち、ブレーキコマは、第二の方向においてガイド軸に向けて付勢されて固定部に配置されている。
【0040】
図12において、可動部114はガイド軸112Aの固定枠111A側に移動した状態を示している。この状態においては、ブレーキコマ116Aの傾斜面116C1とスリーブ113の接眼側の傾斜面113C1とが当接部として当接している。即ち、ブレーキコマおよびスリーブは、一端ほど第二の方向においてガイド軸に漸次接近する形状に形成され、ガイド軸の一端にスリーブが到達したときに、スリーブがブレーキコマに当接する当接部を有している。
【0041】
実施形態3の衝突軽減機構は、スリーブ113を含む可動部114、ガイド軸112A、ブレーキコマ116A、116Bおよびバネ117A、117Bを含む支持部118A、118Bから構成されるため、省スペースでコンパクトに構成される。また、可動部114は実施形態1と同様にその移動量が所定の範囲内に制限されている。
【0042】
図13は実施形態3の固定枠111Aに設けられたブレーキコマ116A、バネ117Aおよびこれらを支持する支持部118Aを示す斜視図である。ブレーキコマ116Aには図示されていないガイド軸112A側(
図13における右下側)に傾斜面116C1が設けられている。この傾斜面116C1は、固定枠111A側ほど前記第二の方向において前記ガイド軸に漸次接近する形状に形成されている。ブレーキコマ116Aはバネ117Aによってガイド軸112A側に付勢されており、所定の領域以上ガイド軸112A側に近づかないように図示しない停止機構により制御されている。
【0043】
〔実施形態3の動作〕
図14は実施形態3のガイド軸112A、スリーブ113およびブレーキコマ116Aの断面を示した
図12の一部拡大図である。以下、
図14を用いて実施形態3の動作について説明する。
図12においても説明したように、可動部114はガイド軸112Aの固定枠111A側に移動した状態である。具体的には、固定枠111Aに設けられたブレーキコマ116Aの傾斜面116C1と、スリーブ113に設けられた傾斜面113C1とが当接している。
【0044】
電源がオフの状態でレンズ鏡筒を揺らした場合、可動部114はその自重によって第一の方向の接眼側もしくは対物側へ移動する。
図14に示したように可動部114が移動してブレーキコマ116Aの傾斜面116C1と、スリーブ113に設けられた傾斜面113C1とが当接したとき、さらに慣性力によって可動部114に矢印120で示す力が働き、固定枠111A側へさらに力が生じる。この可動部114の矢印120で示す力がブレーキコマ116Aにも働くため、ブレーキコマ116Aは傾斜面116C1に沿ってガイド軸112A側と反対側に押し込まれる。
【0045】
このため、ブレーキコマ116Aには矢印121で示される力が働く。一方、スリーブ113においては、ブレーキコマ116Aに働く矢印121とは逆のガイド軸112Aの中心部分に向かう力が矢印122で示す力が発生する。これにより、矢印122で示した部分が押圧部としてスリーブ113とガイド軸112Aの間に摩擦力が発生する。即ち、スリーブは、一端に移動して当接部でブレーキコマに当接して第二の方向に案内されたときに、スリーブの内周面の部分が押圧部としてガイド軸に向けて進出してガイド軸を押圧する。
【0046】
可動部114が持っていた第一の方向の運動エネルギーが、ガイド軸112Aの中心部分に向かう第二の方向の力に変換され、スリーブ113とガイド軸112Aとの間で摩擦力が発生する点は実施形態1と同様である。したがって、可動部114のスリーブ113がブレーキコマ116Aと衝突する力を低減することができ、衝突音が低減される。また実施形態1と同様に、衝突力の大きさによらず安定して、衝突音の低減が行われる。さらに、省スペース、小ストロークで第一の方向の運動エネルギーを第二の方向への力に変えて、衝突音を低減することができる。
【0047】
〔実施形態4〕
〔実施形態4の構成〕
以下、本発明の実施形態4について説明する。
図15は実施形態4の基本構成を示す一部分解斜視図である。実施形態4において、スリーブ153を有する可動部154およびガイド軸152Aは実施形態1のスリーブ33、可動部34およびガイド軸32Aと同じであるため、その説明は省略する。可動部154は光軸方向である第一の方向へ移動するため、ガイド軸152Aは可動部154のスリーブ153内にあるブレーキコマ156Aのガイド孔に嵌合されている。即ち、ブレーキコマは、ガイド軸が挿通されるガイド孔を有し、スリーブの内部に配置される。
【0048】
実施形態4のスリーブ153のガイド孔内には、ブレーキコマ156A、156Bが配置されている。即ち、可動部がスリーブとブレーキコマを含んでいる。また、ブレーキコマはスリーブに配置されて、第一の方向に移動可能である。
また、ブレーキコマ156A、156Bのそれぞれのスリーブ153の外側において、コイルバネ157A、157Bが設けられる。
【0049】
図15においては各構成をわかりやすくするため、切り欠きを有する形状のスリーブ153から、ブレーキコマ156A、156Bおよびコイルバネ157A、157Bが外側に引き出されて記載されている。
【0050】
図16は実施形態4のガイド軸152Aおよびそのガイド軸152Aと嵌合するスリーブ153の第一の方向における断面を示す断面図である。固定枠151A、151Bにはそれぞれブレーキガイド158A、158Bが設けられている。
図16において、可動部154はガイド軸152Aの固定枠151A側に移動した状態を示している。この状態においては、ブレーキガイド158Aとブレーキコマ156Aのリブ部156A2とが当接している。即ち、固定部は、ガイド軸の一端にスリーブが到達したときにブレーキコマに当接するブレーキガイドを有している。
【0051】
ブレーキコマ156A、156Bは、ガイド軸152Aより若干径が大きい穴が開いている。また、ブレーキコマ156Aはガイド軸152Aを嵌合するガイド孔を有し、ガイド軸152Aとの間に間隙を形成する傾斜面156C1、156C2を有し、ブレーキコマ156Bも同様に傾斜面156C3、156C4を有している。この間隙によってブレーキコマ156A、156Bが傾倒可能な形状となっている。即ち、ブレーキコマのガイド孔は、ガイド軸の他端側にブレーキコマが傾倒可能な形状に形成されている。
【0052】
コイルバネ157A、157Bはブレーキコマ156A、156Bのリブ部156A2、156B2をそれぞれ固定枠151A、151B側に押す方向に付勢しており、ブレーキコマ156A、156Bは起立している。即ち、ブレーキコマは、第一の方向におけるスリーブ内の一端において起立するように付勢されて配置されている。
【0053】
実施形態4の衝突軽減機構は、スリーブ153を含む可動部154、ガイド軸152A、ブレーキコマ156A、156B、コイルバネ157A、157Bおよびブレーキガイド158A、158Bを含む固定枠151A、151Bから構成される。このため、省スペースでコンパクトに構成される。また、可動部154は実施形態1と同様にその移動量が所定の範囲内に制限されている。
【0054】
図17は実施形態4のガイド軸152Aおよびそのガイド軸152Aと嵌合するスリーブ153を示す斜視図である。図示されていないが、ブレーキコマ156Aはスリーブ153内においてガイド軸152Aを嵌合している。また、ブレーキコマ156Aはリブ部156A2がスリーブ153から突出した形状になっている。コイルバネ157Aはスリーブ153の外部に設けられており、リブ部156A2を図示しない固定枠151A側(
図17における右下側)に押す方向に付勢している。
【0055】
〔実施形態4の動作〕
図18は実施形態4のガイド軸152Aおよびスリーブ153の断面を示した
図16の一部拡大図である。以下、
図18を用いて実施形態4の動作について説明する。
図16においても説明したように、可動部154はガイド軸152Aの固定枠151A側に移動した状態である。具体的には、固定枠151Aに設けられたブレーキガイド158Aと、スリーブ153から突出したブレーキコマ156Aのリブ部156A2とが当接している。
【0056】
電源がオフの状態でレンズ鏡筒を揺らした場合、可動部154はその自重によって第一の方向の接眼側もしくは対物側へ移動する。
図18に示したように可動部154が移動してブレーキガイド158Aとブレーキコマ156Aのリブ部156A2とが当接したとき、慣性力によってさらに可動部154に矢印160で示す力が働き、固定枠151A側へさらに力が生じる。
【0057】
図19は実施形態4のブレーキコマ156Aの回転した状態を示した図である。
図18で示した状態からさらに矢印160で示す力がスリーブ153からブレーキコマ156Aに働いた場合について、
図19を用いて説明する。ブレーキコマ156Aのリブ部156A2はブレーキガイド158Aとの当接部における当接によって、リブ部156A2の先端部が固定される。また、スリーブ153から矢印160で示す力がリブ部156A2のガイド軸152A近辺に働く。このような力の働きにより、矢印161で示されるように、ブレーキガイド158Aに押し込まれる形でガイド軸152Aの中心部に向かってブレーキコマ156Aが回転する力が働く。
【0058】
図19に示すように、ブレーキコマ156Aが若干回転して、間隙を形成していた傾斜面156C1、156C2はガイド軸152Aに当接する。さらにブレーキコマ156Aからは矢印162、163で示すガイド軸152Aの中心部に向かう力が押圧部で働き、ガイド軸152Aとブレーキコマ156Aとの間で摩擦力が発生する。即ち、ブレーキコマは、スリーブとともに一端に移動して当接部でブレーキガイドに当接して他端側に傾いたときに、ガイド軸に向けて進出してブレーキコマのガイド孔の内周面の部分を押圧部として前記ガイド軸を押圧する。
【0059】
このように、可動部154が持っていた第一の方向の運動エネルギーが、ガイド軸152Aの中心部分に向かう第二の方向の力に変換され、ブレーキコマ156Aとガイド軸152Aとの間で摩擦力が発生する。したがって、可動部154がブレーキコマ156Aを介して固定枠151Aのブレーキガイド158Aと衝突する力を低減することができ、衝突音が低減される。また、衝突力の大きさによらず安定して、衝突音の低減が行われる。さらに、省スペース、小ストロークで第一の方向の運動エネルギーを第二の方向への力に変えて、衝突音を低減することができる。
【0060】
このような構成によれば、従来に比べて部品点数が少なく廃棄物処理の削減に効果がある。これにより、持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「つくる責任つかう責任」の達成に貢献できる。
【0061】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る衝突軽減機構(10)は、固定部(11A、11B)によって一端が固定され、第一の方向に延在するガイド軸(12A、12B)と、前記ガイド軸が挿通されるスリーブ(13)を有し、前記スリーブによって前記第一の方向に移動可能な可動部(14)と、前記第一の方向に交差する第二の方向に前記ガイド軸を押圧する力を生じさせるブレーキコマ(36A、36B)と、を備え、前記ブレーキコマまたは前記スリーブは、前記可動部が前記ガイド軸の前記一端に移動して、前記可動部または前記固定部が前記ブレーキコマに当接したときに、前記第二の方向に前記ガイド軸に向けて進出して、前記ガイド軸を押圧する押圧部を含む。
【0062】
本発明の態様1によれば、可動部が持っていた第一の方向の運動エネルギーが、ガイド軸の中心部分に向かう第二の方向の力に変換され、可動部が固定部のブレーキガイドと衝突する力を低減することができ、衝突音が低減される。
【0063】
本発明の態様2に係る衝突軽減機構は、上記態様1において、前記可動部は、前記スリーブおよび前記ブレーキコマを含み、前記ブレーキコマは、前記スリーブに配置されて前記第一の方向に移動可能である。
【0064】
本発明の態様2に係る衝突軽減機構は、スリーブとガイド軸との間で発生する摩擦力が可動部の第一の方向への移動に対する抵抗になるため、可動部がブレーキコマを介して固定部のブレーキガイドと衝突する力を低減することができ、衝突音が低減される。
【0065】
本発明の態様3に係る衝突軽減機構は、上記態様2において、前記ブレーキコマは、前記ガイド軸が挿通されるガイド孔を有し、前記スリーブの内部に配置される。
【0066】
本発明の態様3によれば、スリーブ内に設けられたブレーキコマによって、スリーブとガイド軸との間に摩擦力を発生させている。このため、省スペース、小ストロークで第一の方向の運動エネルギーを第二の方向への力に変えて、衝突音を低減することができる。
【0067】
本発明の態様4に係る衝突軽減機構は、上記態様3において、前記ブレーキコマおよび前記スリーブの少なくとも一方は、前記第一の方向に対して傾斜する形状に形成され、前記ガイド軸の前記一端に移動した前記スリーブが前記ブレーキコマに当接する当接部(39)をさらに有し、前記ブレーキコマは、前記スリーブ内において前記一端に向けて付勢されて配置され、前記固定部は、前記ガイド軸の前記一端に前記スリーブが到達したときに前記ブレーキコマに当接するブレーキガイド(38A、38B)をさらに有し、前記スリーブは、前記ガイド軸の前記一端に移動して前記ブレーキコマに前記当接部で当接したときに、前記当接部によって前記第二の方向に案内されて前記ガイド軸に向けて進出して、前記スリーブの内周面の部分を前記押圧部として前記ガイド軸を押圧する。
【0068】
本発明の態様4によれば、スリーブとガイド軸との間に発生する摩擦力は、ブレーキガイドに可動部が衝突しようとする力が大きければ大きいほど発生する摩擦力も大きくなるので、衝突力の大きさによらず安定して、衝突音の低減が行われる。
【0069】
本発明の態様5に係る衝突軽減機構は、上記態様3において、前記固定部は、前記ガイド軸の前記一端に前記スリーブが到達したときに前記ブレーキコマに当接するブレーキガイドをさらに有し、前記ブレーキコマおよび前記ブレーキガイドの少なくとも一方は、前記一端ほど前記第二の方向において前記ガイド軸に漸次接近する形状に形成され、前記ガイド軸の前記一端に前記スリーブが到達したときに、前記ブレーキガイドが前記ブレーキコマに当接する当接部をさらに有し、前記ブレーキコマは、前記スリーブ内における前記第一の方向の一端において前記第二の方向に付勢されて、前記ガイド軸に対して非接触の位置に配置されており、前記ブレーキコマは、前記スリーブとともに前記一端に移動して前記当接部で前記ブレーキガイドに前記ブレーキコマが当接して前記第二の方向に案内されたときに、前記ガイド軸に向けて進出して、前記ブレーキコマの前記ガイド孔の内周面の部分を前記押圧部として前記ガイド軸を押圧する。
【0070】
本発明の態様5によれば、可動部がブレーキコマを介して固定部のブレーキガイドと衝突する力を低減することができ、衝突音が低減される。また、衝突力の大きさによらず安定して、衝突音の低減が行われる。
【0071】
本発明の態様6に係る衝突軽減機構は、上記態様1において、前記ブレーキコマおよび前記スリーブの少なくとも一方は、前記一端ほど前記第二の方向において前記ガイド軸に漸次接近する形状に形成され、前記ガイド軸の前記一端に前記スリーブが到達したときに、前記スリーブが前記ブレーキコマに当接する当接部をさらに有し、前記ブレーキコマは、前記第二の方向において前記ガイド軸に向けて付勢されて前記固定部に配置されており、前記スリーブは、前記一端に移動して前記当接部で前記ブレーキコマに当接して前記第二の方向に案内されたときに、前記スリーブの内周面の部分が前記押圧部として前記ガイド軸に向けて進出して前記ガイド軸を押圧する。
【0072】
本発明の態様6によれば、スリーブを含む可動部、ガイド軸、ブレーキコマおよびバネを含む支持部から構成されるため、省スペースでコンパクトに構成される。また、可動部の移動量が所定の範囲内に制限されている。
【0073】
本発明の態様7に係る衝突軽減機構は、上記態様3において、前記ブレーキコマは、前記第一の方向における前記スリーブ内の一端において起立するように付勢されて配置されており、前記ブレーキコマの前記ガイド孔は、前記ガイド軸の他端側に前記ブレーキコマが傾倒可能な形状に形成されており、前記固定部は、前記ガイド軸の前記一端に前記スリーブが到達したときに前記ブレーキコマに当接するブレーキガイドをさらに有し、前記ブレーキコマは、前記スリーブとともに前記一端に移動して前記当接部で前記ブレーキガイドに当接して前記他端側に傾いたときに、前記ガイド軸に向けて進出して前記ブレーキコマの前記ガイド孔の内周面の部分を前記押圧部として前記ガイド軸を押圧する。
【0074】
本発明の態様7によれば、スリーブを含む可動部、ガイド軸、ブレーキコマ、コイルバネおよびブレーキガイドを含む固定部から構成される。このため、省スペースでコンパクトに構成される。
【0075】
本発明の態様8に係るレンズ鏡筒は、上記態様1~7のいずれかの衝突軽減機構を有する。
【0076】
本発明の態様9に係る撮像装置は、上記態様1~7のいずれかの衝突軽減機構を有する。
【0077】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0078】
10 衝突軽減機構
20 撮像装置
21 本体
22 鏡筒
11A、11B、31A、31B、71A、71B、111A、111B、151A 固定枠
12A、12B、32A、32B、72A、72B、112A、112B、152A ガイド軸
13、33、73、113、153 スリーブ
14、34、74、114、154 可動部
36A、36B、76A、76B、116A、116B、156A、156B ブレーキコマ
37、117A、117B バネ
77 板バネ
157A、157B コイルバネ
38A、38B、78A、78B、158A、158B ブレーキガイド