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特開2023-93133経路決定システム、経路決定方法およびシステムプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093133
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】経路決定システム、経路決定方法およびシステムプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/41 20100101AFI20230627BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20230627BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20230627BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20230627BHJP
   G01C 21/20 20060101ALI20230627BHJP
   G01C 21/28 20060101ALI20230627BHJP
   G01S 19/43 20100101ALI20230627BHJP
【FI】
G01S19/41
G05D1/00 A
G05D1/02 Z
G05D1/10
G01C21/20
G01C21/28
G01S19/43
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208569
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】淺沼 邦光
(72)【発明者】
【氏名】島田 晃稔
(72)【発明者】
【氏名】安良岡 優
【テーマコード(参考)】
2F129
5H301
5J062
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129AA11
2F129AA14
2F129BB02
2F129BB33
2F129BB66
2F129EE52
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF32
2F129HH12
2F129HH35
5H301AA01
5H301AA04
5H301AA06
5H301AA10
5H301BB01
5H301BB02
5H301BB03
5H301BB10
5H301CC03
5H301CC04
5H301CC06
5H301CC07
5H301DD07
5H301DD15
5H301EE01
5H301GG07
5H301KK03
5H301KK08
5H301KK18
5H301KK19
5J062AA01
5J062AA03
5J062AA04
5J062BB01
5J062BB02
5J062BB03
5J062CC07
5J062DD23
5J062EE04
5J062HH01
(57)【要約】
【課題】移動体を対象とした経路設定におけるユーザビリティを向上させること。
【解決手段】本願に係る経路決定システムは、移動体の経路の基準となる端末装置と、決定装置とを含む。端末装置は、人工衛星から受信されたデータに基づき生成された補正情報を取得する取得部と、取得部により取得された補正情報に基づいて、端末装置の位置情報を算出する算出部とを有する。決定装置は、算出部により算出された位置情報に基づいて、移動体の移動経路を決定する決定部を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の経路の基準となる端末装置と、決定装置とを含む経路決定システムであって、
前記端末装置は、
人工衛星から受信されたデータに基づき生成された補正情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された補正情報に基づいて、前記端末装置の位置情報を算出する算出部と
を有し、
前記決定装置は、
前記算出部により算出された位置情報に基づいて、前記移動体の移動経路を決定する決定部
を有する
ことを特徴とする経路決定システム。
【請求項2】
前記取得部は、前記補正情報として、複数の前記人工衛星から受信されたデータに基づき、前記人工衛星ごとに生成された補正情報を取得し、
前記算出部は、前記人工衛星ごとに生成された補正情報に基づいて、前記端末装置の位置情報を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の経路決定システム。
【請求項3】
前記端末装置は、
前記人工衛星のうち、前記端末装置の位置から検出可能な人工衛星に対応する補正情報を、前記人工衛星ごとに生成された補正情報の中から選択する選択部をさらに有し、
前記算出部は、前記選択部により選択された補正情報に基づいて、前記端末装置の位置情報を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の経路決定システム。
【請求項4】
前記算出部は、前記選択部により選択された補正情報を用いたPPP(Precise Point Positioning)測位演算により、前記端末装置の位置情報を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の経路決定システム。
【請求項5】
前記取得部は、前記人工衛星から受信されたデータとして、基準局を介さず受信されたデータと、基準局を介して受信されたデータとに基づき生成された補正情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の経路決定システム。
【請求項6】
前記取得部は、前記補正情報として、前記基準局を介さず受信されたデータと、前記基準局を介して受信されたデータとに基づき、所定のエリアごとに生成された補正情報を取得し、
前記算出部は、前記所定のエリアごとに生成された前記補正情報に基づいて、前記端末装置の位置情報を算出する
ことを特徴とする請求項5に記載の経路決定システム。
【請求項7】
前記端末装置は、
前記所定のエリアのうち、前記端末装置の位置に対応する補正情報を、前記所定のエリアごとに生成された補正情報の中から選択する選択部をさらに有し、
前記算出部は、前記選択部により選択された補正情報に基づいて、前記端末装置の位置情報を算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の経路決定システム。
【請求項8】
前記算出部は、前記選択部により選択された補正情報を用いたPPP(Precise Point Positioning)-RTK(Real Time Kinematic)測位演算により、前記端末装置の位置情報を算出する
ことを特徴とする請求項7に記載の経路決定システム。
【請求項9】
所定の演算装置をさらに含み、
前記取得部は、前記補正情報として、前記所定の演算装置により生成された補正情報を取得する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載の経路決定システム。
【請求項10】
前記取得部は、前記補正情報として、人工衛星を経由して前記演算装置から送信された補正情報を取得する
ことを特徴とする請求項9に記載の経路決定システム。
【請求項11】
前記決定装置は、
前記移動経路を定義付ける定義情報を利用者から受け付ける受付部をさらに有し、
前記決定部は、前記算出部により算出された位置情報と、前記受付部により受け付けられた定義情報とに基づいて、前記移動体の移動経路を決定する
請求項1~10のいずれか1つに記載の経路決定システム。
【請求項12】
前記受付部は、前記定義情報として、前記端末装置を基準とする移動態様を所定の条件を用いて定義付ける定義情報を利用者から受け付け、
前記決定部は、前記定義情報に基づいて、前記算出部により算出された位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、前記定義情報を満たす位置を含む経路を、前記移動体の移動経路として決定する
ことを特徴とする請求項11に記載の経路決定システム。
【請求項13】
前記受付部は、前記端末装置のうち所定の端末装置を利用対象として、前記所定の端末装置の位置を基準とする目標地点であって、前記移動体を到達させる目標地点までの移動態様が前記所定の条件を用いて定義された定義情報を受け付け、
前記決定部は、前記目標地点までの移動態様が定義された定義情報が受け付けられた場合に、前記算出部により算出された位置情報のうち、前記所定の端末装置の位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、前記定義情報を満たす位置を含む経路を、前記所定の端末装置から前記目標地点までの前記移動体の移動経路として決定する
請求項12に記載の経路決定システム。
【請求項14】
前記決定部は、前記端末装置のうち所定の1つの端末装置を利用対象として、前記所定の1つの端末装置の位置を基準とする目標地点であって、前記移動体を到達させる目標地点までの移動態様が前記所定の条件を用いて定義された定義情報が受け付けられた場合には、前記算出部により算出された位置情報のうち、前記所定の1つの前記端末装置の位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、前記定義情報を満たす位置を含む経路を、前記目標地点までの前記移動体の移動経路として決定する
請求項13に記載の経路決定システム。
【請求項15】
前記決定部は、利用対象の前記端末装置の位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、前記定義情報を満たす位置を前記目標地点の位置として算出し、算出した位置を目標に移動させる軌道を前記移動体の移動経路として決定する
請求項13または14に記載の経路決定システム。
【請求項16】
前記決定部は、前記端末装置のうち所定の2つの端末装置を利用対象とし、一方の端末装置の位置を基準とする開始地点であって前記移動体に対して到達すべき目標に向けての移動を開始させる開始地点から、他方の端末装置の位置を基準とする到達地点であって前記移動体を到達させる到達地点までの移動態様が前記所定の条件を用いて定義された定義情報が受け付けられた場合には、前記算出部により算出された位置情報のうち、各端末装置の位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、前記定義情報を満たす位置を含む経路を、前記開始地点から前記到達地点までの前記移動体の移動経路として決定する
請求項13~15のいずれか1つに記載の経路決定システム。
【請求項17】
前記受付部は、前記端末装置のうち所定の端末装置を利用対象とし、前記所定の端末装置の位置を基準とする頂点地点が前記所定の条件を用いて定義された定義情報を受け、
前記決定部は、前記頂点地点が定義された定義情報が受けられた場合には、前記算出部により算出された位置情報のうち、前記所定の端末装置の位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、前記定義情報を満たす位置を頂点地点とする平面領域を生成することにより、生成した平面領域と前記所定の条件が示す移動態様とに基づいて、前記移動体の移動経路を決定する
請求項13~16のいずれか1つに記載の経路決定システム。
【請求項18】
前記決定部は、前記所定の端末装置の位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、前記定義情報を満たす位置を前記頂点地点として算出し、算出した頂点地点を頂点とする平面領域を生成する
請求項17に記載の経路決定システム。
【請求項19】
前記決定部は、前記定義情報に応じて、前記平面領域に沿うようにして前記平面領域内を移動させるような軌跡を前記移動体の移動経路として決定する
請求項17または18に記載の経路決定システム。
【請求項20】
前記受付部は、前記端末装置のうち、少なくとも所定の2つの端末装置を利用対象とした状態で、前記所定の2つの端末装置の位置を基準とする頂点地点が前記所定の条件を用いて定義された定義情報を受け、
前記決定部は、前記頂点地点が定義された定義情報が受けられた場合には、前記算出部により算出された位置情報のうち、前記所定の2つの端末装置の位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、前記定義情報を満たす位置を頂点地点とする平面領域が1つの側面となる立体領域を生成することにより、生成した立体領域と前記所定の条件が示す移動態様とに基づいて、前記移動体の移動経路を決定する
請求項13~19のいずれか1つに記載の経路決定システム。
【請求項21】
前記決定部は、前記所定の2つの端末装置の位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、前記定義情報を満たす位置を前記頂点地点として算出し、算出した頂点地点を頂点とする平面領域を1つの側面とする立体領域を生成する
請求項20に記載の経路決定システム。
【請求項22】
前記決定部は、前記定義情報に応じて、前記立体領域を構成する平面領域のうち、所定の平面領域に沿うようにして当該平面領域内を移動させるような軌跡を前記移動体の移動経路として決定する、
請求項20または21に記載の経路決定システム。
【請求項23】
前記決定部は、前記定義情報に応じて、前記立体領域の内部から出ないよう当該内部を移動させるような軌跡を前記移動体の移動経路として決定する、
請求項20~22のいずれか1つに記載の経路決定システム。
【請求項24】
前記決定部は、前記定義情報に応じて、前記立体領域の内部に進入しないよう前記立体領域の外部を移動させるような軌跡を前記移動体の移動経路として決定する、
請求項20~23のいずれか1つに記載の経路決定システム。
【請求項25】
移動体の経路の基準となる端末装置と、決定装置とを含む経路決定システムが実行する経路決定方法であって、
前記端末装置が、
人工衛星から受信されたデータに基づき生成された補正情報を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された補正情報に基づいて、前記端末装置の位置情報を算出する算出工程と
を含み、
前記決定装置が、
前記算出工程により算出された位置情報に基づいて、前記移動体の移動経路を決定する決定工程
を含む
ことを特徴とする経路決定方法。
【請求項26】
移動体の経路の基準となる端末装置が実行する端末プログラムと、決定装置が実行する経路決定プログラムとを含むシステムプログラムであって、
前記端末装置に、
人工衛星から受信されたデータに基づき生成された補正情報を取得する取得手順と、
前記取得手順により取得された補正情報に基づいて、前記端末装置の位置情報を算出する算出手順と
を実行させ、
前記決定装置に、
前記算出手順により算出された位置情報に基づいて、前記移動体の移動経路を決定する決定手順
を実行させる
ことを特徴とするシステムプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路決定システム、経路決定方法およびシステムプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高精度な測位のニーズが増えてきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、RTK(Real Time Kinematic:リアルタイムキネマティック)で取得された位置情報に基づいて、利用者の条件に合致した経路を探索し、探索した経路について移動体(自動車)を自動走行させるといった、所謂、自動車のナビゲーション支援技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-190975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動体を対象とした経路設定におけるユーザビリティの向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る決定装置は、移動体の経路の基準となる端末装置と通信する決定装置であって、前記端末装置は、人工衛星から受信されたデータに基づき生成された補正情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された補正情報に基づいて、前記端末装置の位置情報を算出する算出部とを有し、前記決定装置は、前記算出部により算出された位置情報に基づいて、前記移動体の移動経路を決定する決定部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、例えば、移動体を対象とした経路設定におけるユーザビリティを向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る経路決定システムの一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る経路決定処理の全体像を示す図(1)である。
図3図3は、実施形態に係る経路決定処理の全体像を示す図(2)である。
図4図4は、実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る演算装置の構成例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る決定装置の構成例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る移動体装置の構成例を示す図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(1)である。
図9図9は、第1の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(2)である。
図10図10は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(1)である。
図11図11は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(2)である。
図12図12は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(3)である。
図13図13は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(4)である。
図14図14は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(5)である。
図15図15は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(6)である。
図16図16は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(7)である。
図17図17は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(8)である。
図18図18は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(9)である。
図19図19は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(10)である。
図20図20は、決定装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る経路決定システム、経路決定方法およびシステムプログラムを実施するための一形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について適宜図面を参照しつつ説明する。なお、この実施形態により本願に係る経路決定システム、経路決定方法およびシステムプログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。また、以下の説明において、計算等により位置情報を取得することを「測位」と称する場合がある。
【0010】
(各実施形態共通の概要)
〔1.はじめに〕
例えば、ドローン、建設機械、農業機械、自動車、船舶、航空等の各種移動体において、その位置情報を活用したソリューションやサービス提供が期待される分野は多い。ドローンを例に挙げると、単なる空撮用だけではなく、屋根や壁、太陽光パネル、送電線等の点検といった産業用途や民間用途へと利用の領域が拡大されてきている。また、ドローンは、警察・消防での災害支援や捜索救援活動に利用されてきている。
【0011】
これまでは、移動体の位置測位には、GNSS(あるいはGPS)測位が活用されることが主流であった。しかしながら、GNSS(Global Navigation Satellite System)によって得られた位置情報は、実際の位置情報と比較して数メートル単位で誤差が生じる場合がある。この場合、位置情報の誤差によって様々なリスクが高まる可能性がある。
【0012】
海洋を航行する船舶を例に挙げると、位置情報の誤差によっては、適切な航海を実現できないし、接岸する際の運行制御に狂いが生じてしまう等といった問題がある。また、自動運転車を例に挙げると、位置情報の誤差によっては、定められた移動経路から外れてしまい事故の危険性が高まる等の問題がある。また、ドローンを例に挙げると、位置情報の誤差によっては、壁や送電線への衝突による物品損傷や、住民への危険性が高まる等の問題がある。
【0013】
そこで、より高精度な位置測位を実現可能な新たな位置測位技術としてRTK(Real Time Kinematic:リアルタイムキネマティック)方式の活用が広がってきている。RTK方式では、地上に固定された基地局が受信した衛星データに基づき補正情報がリアルタイムに生成され、測位を行うデバイスは、この生成された補正情報をもとに自身の位置情報を算出する。また、RTK方式は、誤差がわずか数cmというメリットを有し、高精度な測位が求められる分野(例えば、測量、土木、農業、建築等)に有効とされている。
【0014】
一方で、RTK方式では、多くの基準局を設置する必要があるため運用にかかるコストが大きい等といったデメリットがある。
【0015】
ここで、RTK方式が有するデメリットをカバーする測位技術として、PPP(Precise Point Positioning:高精度単独測位)方式がある。PPP方式では、基準局が不要であり、また、インターネット通信が不可能な場所でも利用できるというメリットがある。また、RTK方式は、カバー範囲が比較的狭いことに対し、PPP方式は、衛星が受信できる条件のみで広域をカバー可能であるため、船舶、海洋、航空、気象等の分野に有効とされている。一方で、PPP方式は、RTK方式と比較して誤差が大きいというデメリットがある。
【0016】
このようにRTK方式と、PPP方式とは、一長一短であり、活用する分野に応じて使い分ける必要がある。しかしながら、前述したとおり、RTK方式は高精度だが高コストであるし、PPP方式はRTK方式に比べて精度面で不安があることから、単純に使い分けることは困難である。
【0017】
そこで、PPP方式と、RTK方式の考え方を組み合わせた測位技術として、PPP-RTK方式が注目されている。PPP-RTK方式では、例えば、測位を行うデバイスは、移動体の移動に応じて、補正情報をサーバから随時取得し、取得した補正情報を用いて誤差修正を行う。このように、PPP-RTK方式では、サーバからデバイスといった片方向通信が行われるため、インターネット通信による通信量を削減できるというメリットがある。また、PPP-RTK方式では、必要となる基準局の台数がRTK方式と比較して非常に少なくて済むため、コストの削減のメリットがある。
【0018】
また、このようなことからPPP-RTK方式は、衛星通信以外の通信が不安定な海洋地域を航行する船舶、衛星通信以外の通信が不安定な過疎地等を走行する自動車、衛星通信以外の通信が不安定な離島間を飛行する飛行体(例えば、ドローン)等といった多岐にわたる移動体に適用可能というメリットもある。
【0019】
上記の点から、本実施形態では、RTK方式が有するデメリットを解消できるPPP方式、および、PPP-RTK方式に着目し、これらの位置測位技術を適用した決定装置、経路決定システム、経路決定方法およびシステムプログラムについて提案する。なお、以下で説明する通り、実施形態に係る決定装置、経路決定システム、経路決定方法およびシステムプログラムは、従来のPPP方式と、従来のRTK方式とを単純に組み合わせたものではないことを予め断っておく。
【0020】
具体的には、実施形態に係る決定装置は、移動体の経路の基準となる端末装置と通信する決定装置である。そして、端末装置は、衛星から受信されたデータに基づき生成された補正情報を取得し、取得した補正情報に基づいて、自装置の位置情報を算出する。一方、決定装置は、端末装置が算出した位置情報に基づいて、移動体の移動経路を決定する。
【0021】
また、以下では、実施形態に係る経路決定処理を第1の実施形態と、第2の実施形態とに分けて説明する。第1の実施形態では、決定装置、経路決定システム、経路決定方法およびシステムプログラムが適用されるシーンとして、船舶を対象とする経路決定処理、自動運転車を対象とする経路決定処理について特にフォーカスして説明する。一方、第2の実施形態では、ドローンを対象とする経路決定処理について説明する。
【0022】
〔2.経路決定システムについて〕
実施形態に係る経路決定処理を説明するに先立って、まずは、実施形態に係る経路決定システムについて説明する。図1は、実施形態に係る経路決定システムの一例を示す図である。図1には、実施形態に係る経路決定システムの一例として、経路決定システム1が示される。
【0023】
図1の例では、経路決定システム1には、端末装置10-xと、基準局30と、移動体60と、演算装置100と、決定装置200とが含まれてよい。端末装置10-xと、基準局30と、移動体60と、演算装置100と、決定装置200とは、ネットワークNを介して有線または無線により通信可能に接続されてよい。
【0024】
端末装置10-xは、移動体の経路の基準となる任意の場所に設置され得るポータブルな情報処理端末であってよい。端末装置10-xは、移動体の経路の基準となる任意の場所に固定して設置されるステイショナリな情報処理端末であってもよい。また、端末装置10-xは、移動体自体にも搭載されてもよい。
【0025】
また、端末装置10-xは、利用者が所有するものであってよい。具体的には、端末装置10-xは、使用権限を与えられた利用者が使用するものであってもよい。また、端末装置10-xは、目的用途に対応する任意の場所に設置されてよい。例えば、利用者は、建造物(例えば、ビル)において、所定フロアの外壁を点検したい場合、このフロアの外壁に沿って移動体60(例えば、ドローン)を飛行させたいと考える。この場合、利用者は、この壁に対応するビルの地上両端それぞれに端末装置10-xを設置することができる。なお、係る例では、ビルの地上両端は、移動経路の基準となる任意の場所の一例であり、端末装置10-xを設置する場所はこれに限定されない。また、設置方法については様々なバリエーションがありその詳細については後述する。
【0026】
また、端末装置10-xは、衛星信号を受信してよい。具体的には、端末装置10-xは、GNSS信号を受信してよい。また、端末装置10-xは、PPP測位を行うための測位モジュールとアンテナを搭載してよい。また、端末装置10-xは、PPP-RTK測位を行うための測位モジュールとアンテナを搭載してもよい。また、これらのことから端末装置10-xは、例えば、測位モジュールとして、GNSS受信機を含むGNSSモジュールを搭載してよい。また、端末装置10-xは、演算装置100や決定装置200と通信するための通信モジュールを搭載してよい。
【0027】
また、端末装置10-xは、補正情報に基づいて測位を行ってよい。具体的には、端末装置10-xは、演算装置100から配信された補正情報を受信し、受信した補正情報に基づいて、衛星信号により取得した自装置の位置情報を補正してよい。
【0028】
具体的には、端末装置10-xは、補正情報を用いてPPP計算により自装置の位置情報を補正してよい。すなわち、端末装置10-xは、補正情報を用いたPPP計算により補正済位置情報を取得してよい。また、端末装置10-xは、PPP計算を実行可能なプログラム(例えば、実施形態に係るシステムプログラム)を搭載してよい。PPP計算は、従来周知の手法により実行されてよい。
【0029】
また、端末装置10-xは、補正情報を用いてPPP-RTK計算により自装置の位置情報を補正してよい。すなわち、端末装置10-xは、補正情報を用いたPPP-RTK計算により補正済位置情報を取得してよい。また、端末装置10-xは、PPP-RTK計算を実行可能なプログラム(実施形態に係るシステムプログラム)を搭載してよい。PPP-RTK計算は、従来周知の手法により実行されてよい。
【0030】
以下、端末装置10-xを区別する場合には、「x」に任意の数値を代入して端末装置10-1、端末装置10-2・・・といったように表記する。また、端末装置10-xとの表記について、単に、端末装置10と表記する場合がある。
【0031】
基準局30は、PPP-RTK計算における基準局として機能してよい。すなわち、基準局30は、その位置を示す座標が既知であってよい。また、基準局30が複数ある場合、複数の基準局30それぞれの座標は、既知であってよい。以下では、基準局30におけるこのような既知の座標を既知座標と表記する場合がある。
【0032】
また、基準局30は、衛星信号を受信する受信機能を有してよい。具体的には、基準局30は、GNSS信号を受信可能なGNSS信号受信機能として、例えばアンテナやGNSSモジュール等を有してよい。すなわち、基準局30は、GNSS信号を受信してよい。また、基準局30は、既知座標の情報とGNSS信号に基づく情報を演算装置100に送信してよい。GNSS信号に基づく情報には、GNSS信号を受信した衛星を示す情報、搬送波に関する情報などが含まれてよい。具体的には、基準局30は、例えば、RTCM(Radio Technical Commission For Maritime Services)の規格に基づいて各種情報を演算装置100に送信してよい。
【0033】
また、基準局30は、任意の事業者等によって任意の地点に適宜設置されればよい。また、基準局30は、例えば、経路決定システム1を管理する事業者によって設置されてもよい。また、基準局30は、GNSS以外の衛星から信号受信してもよい。例えば、基準局30は、RNSS(Regional Navigation Satellite System)等のその他任意の衛星から信号を受信してもよい。
【0034】
移動体60は、利用者によって利用用途に応じて使い分けられる移動手段であってよい。また、移動体60は、自体の測位を行う測位モジュールを搭載してよい。移動体60は、例えば、測位モジュールを含む装置として端末装置10-xを搭載してよい。すなわち、移動体60は、補正情報を用いたPPP計算により自体の位置を示す補正済位置情報を取得してよい。また、移動体60は、補正情報を用いたPPP-RTK計算により自体の位置を示す補正済位置情報を取得してよい。なお、上述した通り、PPP計算やPPP-RTK計算は、従来周知の手法により実行されてよい。
【0035】
また、移動体60と端末装置10-xとは、別々の装置であってもよい。すなわち、利用者は、例えば、移動体60に対して、端末装置10-xを後付けすることで、後付けした端末装置10-xに対して移動体60の測位を行わせてもよい。また、移動体60と端末装置10-xとは一体の装置であってもよい。
【0036】
また、移動体60の種別は、限定されない。例えば、PPP測位で取得された位置情報をもとに移動体60の移動経路が決定される場合には、移動体60は、PPP測位に適した移動体として例えば船舶等であることが好ましい。また、例えば、PPP-RTK測位で取得された位置情報をもとに移動体60の移動経路が決定される場合には、移動体60は、PPP-RTK測位に適した移動体として例えば自動車等であることが好ましい。
【0037】
また、PPP測位で取得された位置情報をもとに移動体60の移動経路が決定される場合、PPP-RTK測位で取得された位置情報をもとに移動体60の移動経路が決定される場合のいずれであっても、移動体60は、例えば、ドローンのような飛行体であってもよい。
【0038】
また、移動体60は、自体を自動制御することができる移動体装置を搭載してよい。例えば、移動体装置は、決定装置200から取得した経路情報に基づいて移動体60を自動制御するための装置である。移動体装置は、例えば、決定装置200により決定された移動経路に沿って移動するよう移動体60を自動制御することができる。なお、移動体装置を移動体60そのものと見做してもよい。すなわち、移動体60に搭載される移動体装置は、移動体装置60と言い換えてもよい。
【0039】
演算装置100は、補正情報を生成するための各種演算を行うサーバ装置であってよい。まず、PPP測位で取得された位置情報をもとに移動体60の移動経路が決定される場合を例に挙げる。この場合、演算装置100は、複数の衛星から受信したデータを使用して、衛星ごとに、端末装置10-xによる測位の誤差を補正するための補正情報を生成する。
【0040】
具体的には、演算装置100は、衛星から受信したGNSS信号に基づき当該衛星に対応する補正情報を生成することによって、複数の衛星それぞれについて補正情報を生成する。例えば、演算装置100は、衛星軌道誤差およびクロック誤差等を用いて、この衛星軌道誤差およびクロック誤差等に基づいて、衛星ごとに補正情報を生成してよい。また、演算装置100は、衛星ごとに生成した補正情報を束ねたリストである補正情報リストを1つの補正情報として、端末装置10-xにブロードキャストしてよい。
【0041】
次に、PPP-RTK測位で取得された位置情報をもとに移動体60の移動経路が決定される場合を例に挙げる。この場合、演算装置100は、複数の衛星から受信したデータを使用して、エリアごとに、端末装置10-xによる測位の誤差を補正するための補正情報を生成する。
【0042】
具体的には、演算装置100は、衛星から直接受信したGNSS信号と、基準局30を介して間接的に衛星から受信したGNSS信号とに基づいて、エリアに対応する補正情報を生成するという処理を、全てのエリアについて行う。この結果、演算装置100は、エリアごとの補正情報を得る。
【0043】
例えば、演算装置100は、衛星から受信したGNSS信号に基づき推定された情報(例えば、衛星軌道誤差、衛星クロック誤差、電離層遅延誤差、対流圏遅延誤差、衛星信号バイアス等)と、処理対象のエリアに対応する基準局30が受信したGNSS信号とを用いて、この処理対象のエリアに対応する補正情報を生成する。また、演算装置100は、この際、処理対象のエリアに対応する基準局30の既知座標の情報も組み合わせることで、この処理対象のエリアに対応する補正情報を生成する。また、演算装置100は、全てのエリアについてこの処理を行うことで、全てのエリアに対応する補正情報を得る。
【0044】
また、演算装置100は、エリアごとに生成した補正情報を束ねたリストである補正情報リストを1つの補正情報として、端末装置10-xにブロードキャストしてよい。
【0045】
また、演算装置100には、衛星から送信されたGNSS信号を受信し、受信したGNSS信号に基づく測位(例えば、PPP測位、PPP-RTK測位)を実現するGNSSモジュールが搭載されてよい。また、係るGNSSモジュールは、アンテナが一体化されたアンテナ一体型であってよい。一方で、GNSSモジュールは、必ずしもアンテナ一体型である必要はなく、この場合には、演算装置100は、GNSSモジュールとは個別にアンテナを有する。また、ここでいうアンテナは、例えば、レーダードームやパラボラアンテナに相当する高性能なものであってよい。上記の通り、基準局30もアンテナを有するが、演算装置100が有するアンテナと、基準局が有するアンテナとは、同一の性能であってもよいし、異なる性能であってもよい。
【0046】
また、PPP測位、PPP-RTK測位のいずれであっても、演算装置100は、生成した補正情報を端末装置10-xに送信する。なお、補正情報に含まれる情報は、上記の例に限定されない。補正情報は、端末装置10-xによる測位計算に必要な情報を任意に含んでよい。
【0047】
ここで、補正情報を用いた測位の一例について説明する。例えば、端末装置10-xは、衛星信号に基づく測位により、自装置の大まかな位置情報(概略位置情報)を算出する。そして、端末装置10-xは、演算装置100から取得した補正情報により概略位置情報を補正することで、より正確な位置情報を算出する。これにより、端末装置10-xは、より正確な位置情報として、補正済位置情報を取得する。
【0048】
決定装置200は、実施形態に係る経路決定処理を行うサーバ装置であってよい。決定装置200は、実施形態に係る経路決定処理により、移動体60の移動経路を決定してよい。また、決定装置200は、端末装置10-xが算出した補正済位置情報を端末装置10-xから取得してよい。そして、決定装置200は、取得した補正済位置情報に基づいて、移動体60の移動経路を決定してよい。なお、経路決定処理は、決定装置200において実施形態に係るシステムプログラムが実行されることにより実現されてよい。
【0049】
〔3.経路決定処理の全体例〕
ここからは、図2および図3を用いて、実施形態に係る経路決定処理の全体的な流れの一例について説明する。図2には、PPP測位で取得された位置情報をもとに移動体60の移動経路が決定される場面が示される。また、図3には、PPP-RTK測位で取得された位置情報をもとに移動体60の移動経路が決定される場面が示される。また、図2および図3において、共通する手順(ステップ)には、同一の記号が付されている。また、図2および図3の例では、経路決定処理において、衛星信号としてGNSS信号を利用するものとして説明する。
【0050】
〔3-1.経路決定処理の全体例(1)〕
まず、図2を用いて、実施形態に係る経路決定処理の全体的な流れを説明する。図2は、実施形態に係る経路決定処理の全体像を示す図(1)である。図2の例では、移動体60を船舶とし、船舶の移動を自動制御するための移動経路が決定される例が示される。また、このように船舶の移動を自動制御したい場合、端末装置10-xは、利用者の目的に応じて、任意の場所に設置されてよい。
【0051】
例えば、図2の例では、利用者U1は、現在、海上に停止している移動体60を、現在地(開始目標)から、特定の海岸上に存在する目的地(到達目標)へと移動させ、そこに移動体60を接岸させたいとする。係る場合、利用者U1は、図2に示すように、例えば、2つの端末装置10-xを用いてよい。具体的には、利用者U1は、一方の端末装置10-1(端末装置10-xの一例)を到達目標に相当する目的地に設置し、他方の端末装置10-2(端末装置10-xの一例)を開始目標に相当する現在地(すなわち、移動体60そのもの)に設置してよい。
【0052】
なお、図2の例において、利用者U1は、岸へと移動体60がやってくるのを待機している人物であってもよいし、移動体60に実際に乗船している人物(例えば、操縦者)であってもよい。
【0053】
また、図2では、端末装置10-1、端末装置10-2のうち、端末装置10-1側に着目して経路決定処理の全体像を説明するが、端末装置10-2についても同様の処理が行われてよい。また、図2に対応する処理のより具体的な一例については、後に図8で説明する。
【0054】
まず、図2の例では、衛星SAxは、GNSS信号を発信している。この場合、演算装置100は、衛星SAxによって発信されたGNSS信号を受信する(ステップS21)。図2では、1つの衛星SAxが示されているが、演算装置100は、複数の衛星SAxによって発信されたGNSS信号を受信してよい。
【0055】
また、演算装置100は、GNSS信号を受信すると、受信したGNSS信号に基づく情報(すなわち衛星データ)を用いた計算アルゴリズムにより、PPP測位のための補正情報を生成する(ステップS22)。例えば、演算装置100は、衛星SAxから受信したGNSS信号に基づき当該衛星SAxに対応する補正情報を生成することによって、複数の衛星SAxそれぞれについて補正情報を生成する。例えば、演算装置100は、GNSS信号を発信した衛星SAxごとに、当該衛星SAxから受信した衛星データに基づく計算アルゴリズムにより、各衛星SAxに対応する補正情報を生成する。
【0056】
ここで、衛星データには、GNSS信号を発信した衛星を示す情報、搬送波情報等の各種情報が含まれてよく、演算装置100は、この衛星データに基づく計算アルゴリズムにより、PPP測位のための補正情報を衛星SAxごとに生成する。例えば、演算装置100は、衛星軌道誤差およびクロック誤差を用いて、この衛星軌道誤差およびクロック誤差等に基づいて、衛星SAxごとに補正情報を生成してよい。
【0057】
また、演算装置100は、生成した補正情報を衛星SAxに配信する(ステップS23)。例えば、演算装置100は、衛星SAxごとに得られた補正情報を束ねることで補正情報のリストを生成し、生成した補正情報のリストが端末装置10-1にブロードキャストされるよう、これを衛星SAxに配信する。例えば、演算装置100は、複数の衛星SAxのうち、端末装置10-1の上空に存在する衛星SAxに対して補正情報のリストを配信してよい。
【0058】
補正情報のリストを受信した衛星SAxは、この補正情報のリストを端末装置10-1に配信、すなわちブロードキャストする(ステップS24)。なお、図2には、衛星SAxを介して、演算装置100から端末装置10-1へと補正情報が配信される例が示されるが、衛星SAxを介することなく演算装置100から端末装置10-1へと直で補正情報のリストが配信されてもよい。
【0059】
ここで、例えば、端末装置10-1は、設置後起動されると、GNSS信号に基づくGNSS測位により、自装置の位置(設置された位置)を示す位置情報を算出してよい。係る位置情報は、実際の自装置の位置に対して周囲数メートル単位の範囲の位置を示し得る大まかな位置情報(概略位置情報)であってよい。また、端末装置10-1は、算出した概略位置情報を演算装置100に送信してよい。例えば、端末装置10-1は、定期的に概略位置情報を算出することで、起動された後の初回だけでなく、複数回にわたって概略位置情報を演算装置100に送信してよい。一方で、端末装置10-1は、例えば、設置後、初回に起動されたときにのみこの概略位置情報を演算装置100に送信してよい。
【0060】
図2の例では、端末装置10-1は、概略位置情報を算出している状態で、衛星SAxを経由して演算装置100から配信されてきた補正情報を受信し続けてよい。すなわち、端末装置10-1は、衛星SAxの衛星データに基づき生成された補正情報を取得し続ける。
【0061】
端末装置10-1は、補正情報を取得すると、取得した補正情報に基づいて、位置情報を補正するための計算を実行する(ステップS25)。例えば、端末装置10-1は、衛星SAxのうち、自装置の上空における所定範囲内を移動中の衛星SAxを処理対象の衛星SAxとして検出する。例えば、端末装置10-1は、上空所定範囲内を移動中の衛星SAxからは信号を受信することができるため、信号を受信できたか否かに基づいて、処理対象の衛星SAxを検出してよい。また、端末装置10-1は、取得した補正情報、すなわち衛星SAxごとに生成された補正情報のうち、処理対象の衛星SAxに対応する補正情報を補正情報のリストの中から選択する。そして、端末装置10-1は、選択した補正情報を用いたPPP計算により概略位置情報を補正することで、補正済位置情報を算出してよい。ここで算出される位置情報は、概略位置情報と比較してより高精度な位置情報である。
【0062】
続いて、端末装置10-1は、補正済位置情報を決定装置200に送信する(ステップS26)。この場合、決定装置200は、端末装置10-1から補正済位置情報を取得する。
【0063】
また、図2では、不図示であるが、決定装置200は、取得した補正済位置情報を記憶部220に格納してよい。例えば、決定装置200は、端末装置10-1を識別する識別情報と、端末装置10-1によるPPP計算で得られた補正済位置情報とを対応付けて記憶部220に格納してよい。
【0064】
また、上述したように、端末装置10-1は、概略位置情報を算出してよく、演算装置100側からの片方向通信により補正情報が端末装置10-1へと送信され続けてよい。このような場合、端末装置10-1は、補正情報を受信し続けることに応じて、ステップS25を繰り返してよい。また、決定装置200の記憶部220には、ステップS25が繰り返される度に得られる補正済位置情報が蓄積されてよい。
【0065】
また、決定装置200は、移動体60の移動経路を定義付ける定義情報を取得してよい。また、決定装置200は、定義情報を受け付けたか否かを判定してよい。定義情報は、例えば、移動体60の移動をスタートさせる目標地点(開始目標)を示す情報、および、移動体60を到達させる目標地点(到達目標)を示す情報を含んでよい。
【0066】
例えば、定義情報は、端末装置10-1を起点として、方向、距離、高度、角度等を示す情報を含んでよい。すなわち、定義情報は、例えば、端末装置10-1を起点とする方向、距離、高度、角度等の情報により、開始目標および到達目標を定義してよい。他の例として、例えば、定義情報は、端末装置10-2を起点として、方向、距離、高度、角度等を示す情報を含んでよい。すなわち、定義情報は、例えば、端末装置10-2を起点とする方向、距離、高度、角度等の情報により、開始目標および到達目標を定義してよい。
【0067】
決定装置200は、例えば、定義情報を入力可能な利用者装置Tを介して定義情報を取得してよい。図2の例によれば、利用者U1は、利用者装置Tを用いて、定義情報を入力している(ステップS41)。なお、利用者装置Tには、移動体60に関する各種制御設定を行うためのアプリケーション(以下、「アプリAP」とする)が導入されていてよい。係る場合、決定装置200は、アプリAPを介して、利用者U1が入力した定義情報を取得することができる。
【0068】
決定装置200は、定義情報を取得すると、この定義情報と、ステップS26で取得した補正済位置情報とに基づいて、移動体60の移動経路を決定する経路決定処理を実行する(ステップS42)。例えば、決定装置200は、経路決定処理において、定義情報と補正済位置情報とに基づいて、定義情報を満たすような目標地点を算出してよい。例えば、決定装置200は、定義情報と補正済位置情報とに基づいて、移動体60移動を開始させるスタート目標地点(開始目標)と、移動体60を到達させる到達目標地点(到達目標)とを算出してよい。
【0069】
より具体的には、決定装置200は、補正済位置情報を基準とする相対的な位置を算出してよい。例えば、決定装置200は、定義情報を満たす相対的な位置を目標地点(開始目標および到達目標)の位置として算出してよい。そして、決定装置200は、算出した位置を目標として、移動体60が移動する軌道を算出し、この軌道を移動体60の移動経路として決定してよい。すなわち、決定装置200は、補正済位置情報と定義情報とに基づいて、開始目標および到達目標の位置を算出し、移動体60が開始目標から到達目標に移動するための軌道を移動経路として決定してよい。なお、移動経路には、例えば、移動体60が、現在位置から開始目標に到達するための軌道も含まれてよい。また、移動経路には、例えば、移動体60が、到達目標から離脱するための軌道も含まれてよい。
【0070】
また、決定装置200は、蓄積されている補正済位置情報のうち最新の補正済位置情報に基づいて開始目標の位置を算出してよい。例えば、決定装置200は、最新の補正済位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、定義情報を満たす位置を開始目標の位置として算出してよい。また、決定装置200は、蓄積されている補正済位置情報のうち最新の補正済位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、定義情報を満たす位置を到達目標の位置として算出してよい。そして、決定装置200は、移動体60が開始目標から到達目標に向かって移動するための軌道を移動体60の移動経路として決定してよい。
【0071】
次に、決定装置200は、ステップS42で決定した移動経路を示す情報(経路情報)を移動体60に送信することで、経路情報が示す移動経路で移動するよう指示する(ステップS43)。
【0072】
移動体60は、経路情報に基づいて移動してよい。例えば、移動体60は、決定装置200から経路情報を取得した場合に、移動を自動制御して、経路情報に基づく開始目標に向かって移動を開始してよい。また、移動体60は、開始目標に到達した場合に、移動を自動制御して、経路情報が示す経路に従って到達目標に向かって移動してよい。
【0073】
上記の通り、移動体60は、測位モジュールとして、端末装置10-2を搭載し、自体の位置を示す補正済位置情報を随時取得してよい。この場合、移動体60は、最新の補正済位置情報によって示される現在位置と、取得した経路情報によって示される軌道とを比較しながら移動してよい。具体的には、移動体60は、現在位置と軌道の位置とを比較して、軌道に沿って移動するように現在位置を調整しながら移動してよい。移動体60は、例えば、軌道の位置からズレないように調整しつつ到達目標に向かって移動してよい。なお、移動体60は、補正済位置情報を継続的に取得してもよい。
【0074】
〔3-2.経路決定処理の全体例(2)〕
次に、図3を用いて、実施形態に係る経路決定処理の全体的な流れを説明する。図3は、実施形態に係る経路決定処理の全体像を示す図(2)である。図3の例では、移動体60を自動運転車とし、自動運転車の移動を自動制御するための移動経路が決定される例が示される。また、このように自動運転車の移動を自動制御したい場合、端末装置10-xは、利用者の目的に応じて、任意の場所に設置されてよい。
【0075】
例えば、図3の例では、利用者U1は、現在、所定の路線に停止している移動体60を、現在地(開始目標)から、特定の道路上に存在する目的地(到達目標)へと移動させたいとする。係る場合、利用者U1は、図3に示すように、例えば、2つの端末装置10-xを用いてよい。具体的には、利用者U1は、一方の端末装置10-1(端末装置10-xの一例)を到達目標に相当する目的地に設置し、他方の端末装置10-2(端末装置10-xの一例)を開始目標に相当する現在地(すなわち、移動体60そのもの)に設置してよい。
【0076】
なお、図3の例において、利用者U1は、目的地へと移動体60がやってくるのを待機している人物であってもよいし、移動体60に実際に乗車している人物(例えば、運転者)であってもよい。
【0077】
また、図3の例でも、端末装置10-1、端末装置10-2のうち、端末装置10-1側に着目して経路決定処理の全体像を説明するが、端末装置10-2についても同様の処理が行われてよい。また、図3に対応する処理のより具体的な一例については、後に図9で説明する。
【0078】
ここで、図2には、PPP測位による測位結果を用いて移動経路が決定される例が示されていたが、図3には、PPP-RTK測位による測位結果を用いて移動経路が決定される例が示される。このようなことから、図3に示す経路決定システム1には、図2示す経路決定システムと比較して、基準局30がさらに含まれる。基準局30は、自身の位置が既知の座標(既知座標)である。また、このように基準局30が含まれることにより、図2の例に対して一部で異なる処理が行われる。
【0079】
図3の例によると、図2と同様に衛星SAxは、GNSS信号を発信している。この場合、演算装置100は、衛星SAxによって発信されたGNSS信号を受信するが(ステップS31)、このステップS31において2通りのルート(ステップS31-1、および、ステップS31-2)でGNSS信号を受信してよい。例えば、演算装置100は、図3に示すように、1つのルートでは、衛星SAxから直接GNSS信号を受信する(ステップS31-1)。
【0080】
なお、図3では、1つの衛星SAxが示されているが、演算装置100は、ステップS31-1において、複数の衛星SAxによって発信されたGNSS信号を受信してよい。
【0081】
また、演算装置100は、他のルートでは、基準局30を介して、GNSS信号を受信する(ステップS31-2)。ステップS31-2では、基準局30が、衛星SAxからGNSS信号を受信する(ステップS31-2a)。例えば、基準局30は、常時、GNSS信号を受信していてよく、受信したこのGNSS信号を演算装置100に送信する(ステップS31-2b)。この結果、演算装置100は、基準局30を介して、GNSS信号を受信する。
【0082】
なお、図3では、1つの衛星SAxが示されているが、基準局30は、ステップS31-2aにおいて、複数の衛星SAxによって発信されたGNSS信号を受信してよい。また、図3では、1つの基準局30が示されているが、実際には、基準局30は、複数存在してよい。このように、基準局30が複数存在する場合、各基準局30は、ステップS31-2aにおいて、その位置関係から、1つの衛星SAxによって発信されたGNSS信号を受信するものもあれば、複数の衛星SAxによって発信されたGNSS信号を受信するものもある。
【0083】
また、基準局30が複数存在する場合、各基準局30は、ステップS31-2bにおいて、自装置が受信したGNSS信号を演算装置100に送信する。また、上記の通り、各基準局30は、計測された正確な座標を既知座標としてもつため、ステップS31-2bでは、各基準局30は、自装置の既知座標の情報も演算装置100に送信してよい。
【0084】
また、基準局30は、演算装置100からの配信要求に応じて、GNSS信号に基づく情報を演算装置100に送信してよい。
【0085】
なお、演算装置100、および、基準局30ともにGNSS信号を受信するためのアンテナを有するが、双方でアンテナの性能が異なる場合がある。例えば、演算装置100が有するアンテナはレーダードームや巨大なパラボラアンテナであり、基準局30が有するアンテナはGNSSモジュールであってよい。係る場合、各アンテナが受信する情報は、双方で異なる。したがって、演算装置100が、ステップS31-1のルートで衛星SAxから取得するGNSS信号と、ステップS31-2のルートで基準局30から取得するGNSS信号とでは、含まれる情報が異なる場合がある。このように、2通りのルートでGNSS信号を取得することで、演算装置100は、より高精度な補正情報を生成することができるようになる。
【0086】
図3の説明に戻り、演算装置100は、ステップS31-1のルートにより衛星SAxから取得したGNSS信号と、ステップS31-2のルートにより基準局30から取得したGNSS信号とに基づく情報(すなわち衛星データ)を用いた計算アルゴリズムにより、PPP-RTK測位のための補正情報を生成する(ステップS32)。例えば、演算装置100は、ステップS31-1において複数の衛星SAxから取得したGNSS信号と、ステップS32-2aからステップS32-2bにかけて複数の基準局30から取得したGNSS信号とに基づいて、所定のエリアごとに各エリアに対応する補正情報を生成する。
【0087】
例えば、演算装置100は、複数の衛星SAxから取得したGNSS信号と、複数の基準局30から取得したGNSS信号とに基づいて、所定のエリアごとに補正情報を生成してよい。
【0088】
ここで、所定のエリアとは、任意の手法に基づくブロック分けによって予め定められた複数のエリアそれぞれを指し示すものであってよい。一方で、所定のエリアとは、衛星軌道誤差、衛星クロック誤差、電離層遅延誤差、対流圏遅延誤差、衛星信号バイアス等の誤差に関する情報に基づき設定された複数のエリアそれぞれを指し示すものであってもよい。また、ここでいう所定のエリアとは、地表面に対する平面的なエリアであってもよいし、この平面的なエリアに対し高さの概念を有する空間的なエリアであってもよい。このようなエリアを、以下では「実施形態に係るエリア」と表記する場合がある。
【0089】
実施形態に係るエリアそれぞれには、必ずしも基準局30が所在している必要はないし、基準局30が所在している場合その数は限定されない。すなわち、実施形態に係るエリアの中には、基準局30が所在しないエリア、基準局30が1台だけ所在するエリア、基準局30が複数台所在するエリアが存在してよい。
【0090】
また、演算装置100は、実施形態に係るエリアにおける基準局30の所在状況に応じた計算アルゴリズムを用いて、実施形態に係るエリアごとに補正情報を生成することができる。
【0091】
このような計算アルゴリズムによれば、演算装置100は、例えば、基準局30が所在しないエリアについては、このエリアに隣接あるいは近接するエリアに所在する基準局30に対応する情報を用いて、このエリアの補正情報を生成することができる。
【0092】
また、このような計算アルゴリズムによれば、演算装置100は、例えば、基準局30が所在するエリアについては、所在するこの基準局30に対応する情報のみを用いて、このエリアの補正情報を生成することができる。一方で、演算装置100は、例えば、基準局30が所在するエリアについては、所在するこの基準局30に対応する情報に加えて、このエリアに隣接あるいは近接するエリアに所在する基準局30に対応する情報も用いて、このエリアの補正情報を生成してもよい。
【0093】
ここからは、演算装置100によって補正情報が生成される処理の一例について説明する。演算装置100は、例えば、上記のような計算アルゴリズムに従って、実施形態に係るエリアごとに当該エリアに対応する補正情報を生成する。
【0094】
例えば、演算装置100は、実施形態に係るエリアごとに、当該エリアに対応する複数の衛星SAxから受信したGNSS信号と、当該エリアに対応する複数の基準局30が受信したGNSS信号とに基づいて、当該エリアに対応する補正情報を生成する。例えば、演算装置100は、複数の衛星SAxから受信したGNSS信号に基づく情報(衛星データ)と、複数の基準局30が受信したGNSS信号に基づく情報(衛星データ)とに基づいて、実施形態に係るエリアに対応する補正情報を生成する。
【0095】
ここで、エリアに対応する複数の基準局30とは、実施形態に係るエリアでの基準局30の所在状況、および、このエリアに隣接あるいは近接するエリアでの基準局30の所在状況に応じて特定される基準局30であってよい。
【0096】
なお、演算装置100は、実施形態に係るエリアに対応する複数の衛星SAxから取得した衛星データと、実施形態に係るエリアに対応する複数の基準局30から取得した衛星データとを用いた計算アルゴリズムにより、PPP-RTK測位のための補正情報を実施形態に係るエリアごとに生成してよい。
【0097】
ここで。例えば、実施形態に係るエリアとして、エリアAR1、AR2、AR3、AR4という4つのエリアが設定されている場合を例に挙げると、演算装置100は、これら4つのエリアそれぞれについて補正情報を生成する。
【0098】
また、演算装置100は、生成した補正情報を衛星SAxに配信する(ステップS33)。例えば、演算装置100は、実施形態に係るエリアごとに得られた補正情報を束ねることで補正情報のリストを生成し、生成した補正情報のリストが端末装置10-1にブロードキャストされるよう、これを衛星SAxに配信する。例えば、演算装置100は、複数の衛星SAxのうち、端末装置10-1の上空に存在する衛星SAxに対して補正情報のリストを配信してよい。
【0099】
補正情報のリストを受信した衛星SAxは、この補正情報のリストを端末装置10-1に配信、すなわちブロードキャストする(ステップS34)。なお、図3には、衛星SAxを介して、演算装置100から端末装置10-1へと補正情報が配信される例が示されるが、衛星SAxを介することなく演算装置100から端末装置10-1へと直で補正情報のリストが配信されてもよい。
【0100】
端末装置10-1は、補正情報を取得すると、取得した補正情報に基づいて、位置情報を補正するための計算を実行する(ステップS35)。例えば、端末装置10-1は、GNSS信号に基づくGNSS測位により、自装置の位置(設置された位置)を示す位置情報を算出してよい。係る位置情報は、実際の自装置の位置に対して周囲数メートル単位の範囲の位置を示し得る大まかな位置情報(概略位置情報)であってよい。
【0101】
そして、端末装置10-1は、実施形態に係るエリアのうち、算出した概略位置情報が示す位置に対応するエリアについて生成されている補正情報を補正情報のリストの中から選択する。そして、端末装置10-1は、選択し補正情報を用いたPPP-RTK計算により概略位置情報を補正することで、補正済位置情報を算出してよい。ここで算出される位置情報は、概略位置情報と比較してより高精度な位置情報である。
【0102】
続いて、端末装置10-1は、補正済位置情報を決定装置200に送信する(ステップS36)。この場合、決定装置200は、端末装置10-1から補正済位置情報を取得する。引き続き決定装置200が行うステップS41~S43については、図2と同様であるため説明を簡略化する。
【0103】
図3の例においても、利用者U1は、利用者装置Tを用いて、定義情報を決定装置200に入力している(ステップS41)。
【0104】
決定装置200は、定義情報を取得すると、この定義情報と、ステップS36で取得した補正済位置情報とに基づいて、移動体60の移動経路を決定する経路決定処理を実行する(ステップS42)。例えば、決定装置200は、経路決定処理において、定義情報と補正済位置情報とに基づいて、定義情報を満たすような目標地点を算出してよい。例えば、決定装置200は、定義情報と補正済位置情報とに基づいて、移動体60移動を開始させるスタート目標地点(開始目標)と、移動体60を到達させる到達目標地点(到達目標)とを算出してよい。
【0105】
より具体的には、決定装置200は、補正済位置情報を基準とする相対的な位置を算出してよい。例えば、決定装置200は、定義情報を満たす相対的な位置を目標地点(開始目標および到達目標)の位置として算出してよい。そして、決定装置200は、算出した位置を目標として、移動体60が移動する軌道を算出し、この軌道を移動体60の移動経路として決定してよい。すなわち、決定装置200は、補正済位置情報と定義情報とに基づいて、開始目標および到達目標の位置を算出し、移動体60が開始目標から到達目標に移動するための軌道を移動経路として決定してよい。
【0106】
次に、決定装置200は、ステップS42で決定した移動経路を示す情報(経路情報)を移動体60に送信することで、経路情報が示す移動経路で移動するよう指示する(ステップS43)。
【0107】
移動体60は、経路情報に基づいて移動してよい。例えば、移動体60は、決定装置200から経路情報を取得した場合に、移動を自動制御して、経路情報に基づく開始目標に向かって移動を開始してよい。また、移動体60は、開始目標に到達した場合に、移動を自動制御して、経路情報が示す経路に従って到達目標に向かって移動してよい。
【0108】
さて、これまで、図2および図3を用いて、PPP方式(あるいは、PPP-RTK方式)を活用した経路決定処理について説明した。また、図2および図3で説明したように、実施形態に係る経路決定処理では、PPP方式(あるいは、PPP-RTK方式)に対応した計算を行うことが可能な専用の端末装置10が用いられる。
【0109】
この結果、利用者は、例えば、移動経路の基準となる任意の場所に端末装置10-xを設置することで移動体60に正確な位置情報を与えることができる。例えば、利用者は、端末装置10-xを起点として目標地点等を定義付けることで、移動体60に正確な位置情報を与えることができる。すなわち、決定装置200は、端末装置10-xが取得した補正済位置情報に基づいて最適な移動経路を決定することができる。
【0110】
このようなことから、実施形態に係る経路決定処理によれば、利用者は、簡便に正確な目標地点を設定することができる。また、利用者は、ポータブルな端末装置10-xを用いることで自由度の高い経路設定を行うことができるようになる。したがって、実施形態に係る経路決定処理によれば、経路設定におけるユーザビリティを向上させることができるようになる。
【0111】
また、図2および図3で説明したように、実施形態に係る経路決定処理において、PPP方式が採用される場合には、演算装置100側で衛星SAxごとに補正情報が生成され、生成された補正情報が端末装置10-xに送信される。この結果、端末装置10-xは、演算装置100から取得した衛星SAxごとの補正情報(補正情報のリスト)の中から、自装置に対応する衛星SAx(自装置の上空に信在する衛星SAx)について生成されている補正情報を選択し、選択した補正情報を用いたPPP計算により概略位置を補正する。
【0112】
一方、PPP-RTK方式が採用される場合には、演算装置100側で実施形態に係るエリアごとに補正情報が生成され、生成された補正情報が端末装置10-xに送信される。この結果、端末装置10-xは、演算装置100から取得したエリアごとの補正情報(補正情報のリスト)の中から、自装置が存在するエリアについて生成されている補正情報を選択し、選択した補正情報を用いたPPP-RTK計算により概略位置を補正する。
【0113】
このように、演算装置100側で補正情報の生成、および、端末装置10-xへの補正情報の送信が行われ、端末装置10-x側で補正計算に必要な補正情報が選択されるという構成では、演算装置100は、インターネット通信を介した端末装置10-xからのアクセス(例えば、概略地情報の送信)を必要とせずに、衛星通信を活用して動的に補正情報を生成し、また、衛星通信を介してこの補正情報を端末装置10-xに送信することができるようになる。また、この結果、端末装置10-xもインターネット通信を必要とせずに補正情報の取得および補正計算を行うことができるようになる。
【0114】
したがって、これまでに説明してきた実施形態に係るPPP方式、および、実施形態に係るPPP-RTK方式によれば、インターネット通信が不安定な海洋、あるいは、過疎地において高精度な位置測位を実現することができるようになるため、海洋を航行する船舶や、過疎地を走行する自動運転車を、位置情報を用いて制御する場面等において特に大きなアドバンテージを有することができる。
【0115】
〔4.定義情報のバリエーションについて〕
端末装置10を活用した定義情報は、端末装置10が利用される利用シーンや、利用者の目的に応じて、自由に設定され得る。
【0116】
また、定義情報は、移動体60が移動可能な空間において、移動体60を移動させる仮想的な領域を規定する情報を含んでよい。仮想的な領域は、立体形状でも平面形状であってもよく、特に限定されない。すなわち、定義情報は、移動体60を移動させる仮想的な平面領域および空間領域を定義してもよい。
【0117】
また、定義情報は、例えば、多角形の領域を規定する場合は、領域の各頂点となる地点(頂点地点)を示す情報を含んでよい。また、定義情報は、例えば、円形または球形の領域を規定する場合、領域の中心となる地点(中心地点)を示す情報と半径の大きさを示す情報を含んでよい。また、定義情報は、例えば、多角形の領域と円形または球形とを組み合わせた領域を規定する場合、これらの形状を規定するための情報を適宜組み合わせた情報を含んでもよい。また、定義情報は、例えば、端末装置10-xの位置を示す情報、端末装置10-xを起点とする高度を示す情報、および端末装置10-xの高度を示す情報等を含んでもよい。
【0118】
〔5.各装置の構成〕
次に、図4図7を用いて、実施形態に係る経路決定システム1に含まれる各装置の構成について説明する。
【0119】
〔5-1.端末装置の構成〕
図4は、実施形態に係る端末装置10の構成例を示す図である。端末装置10は、通信部11と、GNSSモジュールMと、記憶部12と、制御部13とを有してよい。
【0120】
(通信部11及びGNSSモジュールMについて)
通信部11は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現されてよい。通信部11は、ネットワークNと有線または無線で接続されてよい。通信部11は、例えば、ネットワークNを介して演算装置100および決定装置200との間で情報を送受信してよい。GNSSモジュールMは、GNSS信号を受信することができる。すなわち、GNSSモジュールMは、GNSS信号を受信するための任意の部品により構成されてよい。
【0121】
(記憶部12について)
記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現されてよい。記憶部12は、例えば、概略位置算出部13bにより算出された概略位置情報、演算装置100から受信した補正情報、係る補正情報を用いたPPP計算あるいはRTK計算による補正済位置情報を記憶してよい。
【0122】
(制御部13について)
制御部13は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等によって、端末装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現されてよい。また、制御部13は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてよい。
【0123】
制御部13は、受信部13aと、概略位置算出部13bと、取得部13cと、選択部13dと、補正部13eと、送信部13fとを有してよい。なお、制御部13の内部構成は、図4に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部13が有する各処理部の接続関係は、図4に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0124】
(受信部13aについて)
受信部13aは、GNSS受信機とアンテナに対応し、GNSS信号を受信してよい。また、受信部13aは、受信したGNSS信号を概略位置算出部13bに出力してよい。
【0125】
(概略位置算出部13bについて)
概略位置算出部13bは、受信部13aにより受信されたGNSS信号に基づくGNSS測位により、自装置の位置(設置された位置)を示す位置情報を算出してよい。すなわち、概略位置算出部13bは、GNSS信号に基づくGNSS測位により、概略位置情報を算出してよい。例えば、概略位置算出部13bは、起動されたことを検知した場合に、概略位置情報を算出してよい。概略位置算出部13bは、算出した概略位置情報を記憶部12に格納してよい。また、概略位置算出部13bは、概略位置情報を演算装置100に送信してよい。
【0126】
(取得部13cについて)
取得部13cは、衛星から受信された衛星データに基づき生成された補正情報を取得する。
【0127】
例えば、取得部13cは、人工衛星から受信されたデータとして、人工衛星から受信されたデータに基づき、演算装置100側で生成された補正情報を取得する。
【0128】
ここで、PPP方式が採用される場合、図2で説明したように、演算装置100は、人工衛星から受信されたデータを用いて、PPP測位のための補正情報を、人工衛星ごとに生成してよい。よって、係る場合、取得部13cは、人工衛星ごとに生成されたPPP測位のための補正情報を演算装置100から取得してよい。
【0129】
また、演算装置100は、人工衛星ごとに生成したPPP測位のための補正情報(例えば、補正情報のリスト)を端末装置10に送信するが、この際、端末装置10に対して補正情報を直接送信してもよいし、人工衛星を経由させて補正情報を端末装置10に送信してもよい。このようなことから、取得部13cは、演算装置100から直で送信されてきた補正情報を取得する場合もあれば、人工衛星を経由して演算装置100から送信されてきた補正情報を取得する場合もある。
【0130】
一方、PPP-RTK方式が採用される場合、図3で説明したように、演算装置100は、人工衛星から受信されたデータとして、基準局30を介さず受信されたデータと、基準局30を介して受信されたデータとに基づき、PPP-RTK測位のための補正情報を、所定のエリア(すなわち、実施形態に係るエリア)ごとに生成してよい。よって、係る場合、取得部13cは、所定のエリアごとに生成されたPPP-RTK測位のための補正情報を演算装置100から取得してよい。
【0131】
また、演算装置100は、所定のエリアごとに生成したPPP-RTK測位のための補正情報(例えば、補正情報のリスト)を端末装置10に送信するが、この際、端末装置10に対して補正情報を直接送信してもよいし、人工衛星を経由させて補正情報を端末装置10に送信してもよい。このようなことから、取得部13cは、PPP-RTK方式が採用される場合においても、演算装置100から直で送信されてきた補正情報を取得する場合もあれば、人工衛星を経由して演算装置100から送信されてきた補正情報を取得する場合もある。
【0132】
(選択部13dについて)
例えば、PPP方式が採用される場合において、人工衛星ごとに生成された補正情報が取得部13cによって取得されたとする。係る場合、選択部13dは、端末装置10の位置から検出可能な人工衛星を検出し、検出した人工衛星に対応する補正情報を、人工衛星ごとに生成された補正情報の中から選択してよい。
【0133】
一例を示すと、選択部13dは、端末装置10の上空における所定範囲内を移動中の人工衛星を処理対象の人工衛星として検出してよく、この処理対象の人工衛星に対応する補正情報を、人工衛星ごとに生成された補正情報の中から選択してよい。
【0134】
一方、PPP-RTK方式が採用される場合において、所定のエリアごとに生成された補正情報が取得部13cによって取得されたとする。係る場合、選択部13dは、所定のエリアのうち、端末装置10の概略位置情報が示す位置を含むエリアを検出し、検出したエリアに対応する補正情報を、所定のエリアごとに生成された補正情報の中から選択してよい。
【0135】
なお、選択部13dが行うものとして説明した上記の処理は、例えば、以下の補正部13eによって行われてもよい。この場合、端末装置10は、選択部13dを有さなくてもよい。
【0136】
(補正部13eについて)
補正部13eは、取得部13cが取得した補正情報に基づいて、端末装置10の位置情報を算出する。
【0137】
例えば、PPP方式が採用される場合において、人工衛星ごとに生成された補正情報が取得部13cによって取得され、また、取得された補正情報の中から処理対象の人工衛星に対応する補正情報が選択部13dによって選択されたとする。係る場合、補正部13eは、人工衛星ごとに生成された補正情報のうち、上記選択された補正情報に基づいて、端末装置10の位置情報を算出する。
【0138】
例えば、補正部13eは、選択された補正情報を用いたPPP測位演算により、端末装置10の位置情報を算出する。より具体的には、補正部13eは、選択された補正情報と、概略位置算出部13bが算出した概略位置情報とに基づいて、概略位置情報補正する補正計算としてPPP測位演算を行うことで、補正済位置情報を算出する。
【0139】
一方、PPP-RTK方式が採用される場合において、所定のエリアごとに生成された補正情報が取得部13cによって取得され、また、取得された補正情報の中から端末装置10の概略位置情報が示す位置に対応する補正情報が選択部13dによって選択されたとする。係る場合、補正部13eは、所定のエリアごとに生成された補正情報のうち、上記選択された補正情報に基づいて、端末装置10の位置情報を算出する。
【0140】
例えば、補正部13eは、選択された補正情報を用いたPPP-RTK測位演算により、端末装置10の位置情報を算出する。より具体的には、補正部13eは、選択された補正情報と、概略位置算出部13bが算出した概略位置情報とに基づいて、概略位置情報補正する補正計算としてPPP-RTK測位演算を行うことで、補正済位置情報を算出する。
【0141】
なお、補正部13eは、係る補正計算により得られた補正後の位置情報である補正済位置情報を記憶部12に格納してよい。また、補正部13eは、算出部に対応する処理部であってよい。
【0142】
(送信部13fについて)
送信部13fは、補正部13eにより算出された位置情報(補正済位置情報)を送信してよい。例えば、送信部13fは、補正済位置情報を直接決定装置200に送信してもよい。
【0143】
一方、送信部13fは、補正済位置情報を演算装置100に送信してもよい。係る場合、演算装置100が、この補正済位置情報を決定装置200に送信する。すなわち、送信部13fは、演算装置100を介して、補正済位置情報を決定装置200に送信してもよい。
【0144】
〔5-2.演算装置の構成〕
図5は、実施形態に係る演算装置100の構成例を示す図である。演算装置100は、通信部110と、GNSSモジュール111と、記憶部120と、制御部130とを有してよい。
【0145】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC等によって実現されてよい。そして、通信部110は、ネットワークNと有線または無線で接続されてよい。通信部110は、例えば、ネットワークNを介して端末装置10、基準局30、決定装置200との間で情報を送受信してよい。
【0146】
(GNSSモジュール111について)
GNSSモジュール111は、人口衛星から送信されたGNSS信号を受信する。GNSSモジュール111は、GNSS信号を受信するための任意の部品により構成されてよい。
【0147】
また、GNSSモジュール111は、アンテナが一体化されたアンテナ一体型であってよい。一方で、GNSSモジュール111は、必ずしもアンテナ一体型である必要はなく、この場合には、演算装置100は、GNSSモジュール111とは個別にアンテナを有してよい。また、ここでいうアンテナは、例えば、レーダードームやパラボラアンテナに相当する高性能なものであってよい。
【0148】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現されてよい。記憶部120は、例えば、生成部132により生成された補正情報を記憶してよい。
【0149】
(制御部130について)
制御部130は、CPU、GPU、MPU等によって、演算装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現されてよい。また、制御部130は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてよい。
【0150】
制御部130は、受信部131と、生成部132と、送信部133とを有してよい。なお、制御部130の内部構成は、図5に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、図5に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0151】
(受信部131について)
受信部131は、GNSSモジュール111を介してGNSS信号を受信してよい。
【0152】
例えば、受信部131は、PPP方式が採用される場合には、図2で説明したように、人工衛星が発信したGNSS信号を受信してよい。例えば、受信部131は、複数の人工衛星により発信されたGNSS信号を受信してよい。
【0153】
一方、受信部131は、PPP-RTK方式が採用される場合には、図3で説明したように、人工衛星が発信したGNSS信号を基準局30を介して受信してよい。例えば、受信部131は、複数の人工衛星により発信されたGNSS信号を基準局30を介して受信してよい。すなわち、受信部131は、人工衛星が発信したGNSS信号が基準局30によって受信されることで、基準局30から送信されたGNSS信号を受信してよい。
【0154】
なお、受信部131は、例えば、端末装置10に基づいて、各地に設置される基準局30のうち、処理対象の基準局30を選定してよい。例えば、受信部131は、端末装置10の概略位置情報が示す位置に対応するエリアに存在する基準局30を処理対象の基準局30として選定してよい。そして、受信部131は、選定した基準局30に対して、GNSS信号の配信を要求する配信要求を送信してよく、配信要求に応じて基準局30から送信されたGNSS信号を受信してよい。
【0155】
(生成部132について)
生成部132は、受信部131により受信されたGNSS信号に基づく情報、すなわち衛星データに基づいて、補正情報を生成する。
【0156】
例えば、生成部132は、PPP方式が採用される場合には、人工衛星から受信されたGNSS信号に基づいて、衛星データを取得する。例えば、生成部132は、複数の人工衛星により発信されたGNSS信号が受信されることに応じて、人工衛星ごとに衛星データを取得する。ここで、生成部132は、人工衛星から受信されたGNSS信号のみから衛星データを取得してよい。
【0157】
そして、生成部132は、取得した衛星データに基づく計算アルゴリズムにより、PPP測位のための補正情報を生成する。具体的には、生成部132は、人口衛星から受信されたGNSS信号に基づき取得した衛星データを用いた計算アルゴリズムにより、当該人口衛星に対応する補正情報を生成することによって、複数の人工衛星それぞれについて補正情報を生成する。
【0158】
一方、生成部132は、PPP-RTK方式が採用される場合には、基準局30を介すことなく受信されたGNSS信号に基づき衛星データを取得するだけでなく、基準局30を介して受信された人工衛星からのGNSS信号からも衛星データを取得してよい。より具体的には、生成部132は、複数の人工衛星により発信されたGNSS信号が受信されることに応じて、人工衛星ごとに衛星データを取得するとともに、複数の人工衛星により発信されたGNSS信号が基準局30を介して受信されることに応じて、この基準局30に対応する衛星データを取得してよい。
【0159】
例えば、各地に複数の基準局30が所在する場合には、基準局30ごとに、GNSS信号が受信される受信先の人工衛星が異なる場合がある。つまり、全ての基準局30が、共通する人工衛星からのGNSS信号を受信するとは限らない。したがって、生成部132は、例えば、基準局30ごとに、当該基準局30を介して受信されたGNSS信号に基づいて、当該基準局30に対応する衛星データを取得してよい。
【0160】
そして、生成部132は、人工衛星ごとに取得した衛星データと、基準局30ごとに取得した衛星データとを用いた計算アルゴリズムにより、PPP-RTK測位のための補正情報を生成する。例えば、生成部132は、係る計算アルゴリズムに従って、人工衛星ごとに取得した衛星データと、基準局30ごとに取得した衛星データとに基づいて、実施形態に係るエリアごとに補正情報を生成する。
【0161】
なお、実施形態に係るエリア(所定のエリア)は、任意の手法によって予め設定されたエリアであってもよいし、衛星軌道誤差、衛星クロック誤差、電離層遅延誤差、対流圏遅延誤差、衛星信号バイアス等に基づき、生成部132により予め生成されたエリアであってもよい。
【0162】
なお、生成部132は、生成した補正情報を記憶部120に格納してよい。
【0163】
(送信部133について)
送信部133は、生成部132により生成された補正情報を端末装置10に送信する。例えば、送信部133は、端末装置10に対して直接補正情報を送信してもよいし、人口衛星を介して端末装置10に補正情報を送信してもよい。
【0164】
例えば、送信部133は、PPP方式が採用される場合には、人工衛星ごとに生成された補正情報を束ねることで補正情報のリストを生成し、生成した補正情報のリストが端末装置10にブロードキャストされるよう、これを人工衛星衛に送信してよい。
【0165】
一方、送信部133は、PPP-RTK方式が採用される場合には、実施形態に係るエリアごとに生成された補正情報を束ねることで補正情報のリストを生成し、生成した補正情報のリストが端末装置10にブロードキャストされるよう、これを人工衛星衛に送信してよい。
【0166】
補正情報のリストを受信した人工衛星は、PPP方式、PPP-RTK方式のいずれの場合であっても、受信した補正情報のリストを端末装置10に送信する。
【0167】
さて、ここまで説明してきた例によれば、演算装置100側で補正情報(人工衛星ごとの補正情報、あるいは、エリアごとの補正情報)の生成、および、端末装置10-xへの補正情報の送信が行われ、端末装置10側で補正計算に必要な補正情報が選択される。しかしながら、実施形態に係る経路決定処理において、必ずしも係る構成が採用されなくともよい。
【0168】
例えば、補正計算に必要な補正情報の選択も演算装置100側で行われてよく、係る場合、演算装置100は、選択した補正情報を端末装置10に送信してよい。この点について、より具体的に説明する。
【0169】
例えば、演算装置100は、端末装置10の概略位置算出部13bによって算出された概略位置情報を取得する概略位置情報取得部134をさらに有してよい。なお、この場合、端末装置10は、算出した概略位置情報を演算装置に送信してよい。また、演算装置100は、端末装置10の選択部13dに相当する処理部として選択部135をさらに有してよい。
【0170】
ここで、選択部135は、PPP方式が採用される場合には、概略位置情報取得部134により取得された概略位置情報に基づいて、概略位置情報を送信した端末装置10の位置から検出可能な人工衛星を判断し、判断した人工衛星に対応する補正情報を、人工衛星ごとに生成された補正情報の中から選択してよい。
【0171】
また、選択部135は、PPP-RTK方式が採用される場合には、所定のエリアのうち、概略位置情報を送信した端末装置10の概略位置情報が示す位置を含むエリアを検出し、検出したエリアに対応する補正情報を、所定のエリアごとに生成された補正情報の中から選択してよい。
【0172】
そして、送信部133は、選択部135により選択された補正情報を端末装置10に送信する。
【0173】
なお、補正計算に必要な補正情報を演算装置100側で選択するという構成を状況に応じて採用することができるよう、例えば、概略位置情報取得部134および選択部135は、演算装置100に組合せ可能なモジュールとして構成されてよい。
【0174】
〔5-3.決定装置の構成〕
図6は、実施形態に係る決定装置200の構成例を示す図である。決定装置200は、通信部210と、記憶部220と、制御部230とを有してよい。
【0175】
(通信部210について)
通信部210は、例えば、NIC等によって実現されてよい。そして、通信部210は、ネットワークNと有線または無線で接続されてよい。通信部210は、例えば、ネットワークNを介して、端末装置10、演算装置100との間での情報の送受信を行ってよい。
【0176】
(記憶部220について)
記憶部220は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現されてよい。記憶部220は、例えば、補正済位置情報取得部231により取得された補正済位置情報や、決定部233により決定された移動経路を示す経路情報を記憶してよい。
【0177】
(制御部230について)
制御部230は、CPU、GPU、MPU等によって、決定装置200内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(例えば、実施形態に係る経路決定プログラム)がRAMを作業領域として実行されることにより実現されてよい。また、制御部230は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてよい。
【0178】
制御部230は、補正済位置情報取得部231と、受付部232と、決定部233と、指示部234と、出力部235とを有してよい。なお、制御部230の内部構成は、図6に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部230が有する各処理部の接続関係は、図6に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0179】
(補正済位置情報取得部231について)
補正済位置情報取得部231は、移動体の経路の基準となる任意の場所に設置された端末装置10の位置情報を取得してよい。補正済位置情報取得部231は、補正部13eによる補正計算で算出された位置情報である補正済位置情報を取得してよい。また、補正済位置情報取得部231は、送信部13fにより送信された補正済位置情報を取得してよい。
【0180】
(受付部232について)
受付部232は、移動経路を定義付ける定義情報を利用者から受け付けてよい。例えば、受付部232は、アプリAPを介して定義情報を受け付けてよい。図2図3も同様)は、受付部232が、利用者U1から定義情報を受け付けている場合を例示している。
【0181】
例えば、受付部232は、端末装置10-xのうち、所定の端末装置10-xを利用対象とした状態で、移動体60を到達させる目標地点(例えば、開始目標や到達目標)が定義された定義情報を受け付けてよい。例えば、受付部232は、アプリAP上において、直線形の移動経路を設定するための「直線モード」が選択されている場合に、移動体60を到達させる少なくとも2点の目標地点(例えば、開始目標や到達目標)が定義された定義情報を受けてよい。すなわち、利用者は、目標地点を結ぶ直線を移動体60に移動させてよい。
【0182】
また、受付部232は、端末装置10-xのうち、所定の端末装置10-xを利用対象とした状態で、移動体60が移動可能な空間において、移動体60を移動させる平面領域を定義する定義情報を受け付けてよい。例えば、受付部232は、平面領域の各頂点となる頂点地点が定義された定義情報を受け付けてよい。例えば、受付部232は、アプリAP上において、平面領域を生成するためのモードである「平面モード」が選択されている場合に、平面領域の各頂点となる頂点地点が定義された定義情報を受け付けてよい。すなわち、利用者は、平面領域において移動体60を移動させてよい。
【0183】
また、受付部232は、端末装置10-xのうち、所定の端末装置10-xを利用対象とした状態で、空間上における立体領域の各頂点となる頂点地点が定義された定義情報を受け付けてよい。例えば、受付部232は、アプリAP上において、立体領域を生成するためのモードである「立体モード」が選択されている場合に、立体領域の各頂点となる頂点地点が定義された定義情報を受け付けてよい。すなわち、利用者は、立体領域において移動体60を移動させてよい。
【0184】
なお、上記の例において、アプリAPに定義情報を入力するモードとして、「直線モード」、「平面モード」、および「立体モード」を分けて説明したが、アプリAPのモードはこれらに限定されない。例えば、アプリAPは、一つのモードで直線形の移動経路、平面領域、および立体領域の定義情報を入力可能であってよい。すなわち、受付部232は、少なくとも2点の目標地点の定義、平面領域の各頂点の定義、および立体領域の各頂点の定義を任意に含む定義情報を受け付けてよい。つまり、利用者は、移動体60が移動可能な空間において、移動体60を任意に移動させるための定義情報をアプリAPに入力してよい。例えば、利用者は、移動体60を、ある目標地点からある目標地点まで直線移動させ、ある空間を立体的に移動させ、ある平面において水平移動させるなど、移動体60の動きに応じた定義情報を適宜アプリAPに入力してよい。
【0185】
(決定部233について)
決定部233は、補正部13eにより算出された位置情報に基づいて、移動体の移動経路を決定する。すなわち、決定部233は、補正済位置情報取得部231により取得された位置情報に基づいて、移動体の移動経路を決定してよい。具体的には、決定部233は、補正済位置情報取得部231により取得された補正済位置情報と、受付部232により受け付けられた定義情報とに基づいて、移動体60の移動経路を決定してよい。
【0186】
例えば、決定部233は、受付部232により目標地点が定義された定義情報が受け付けられた場合には、利用対象となっている端末装置10-xに対応する補正済位置情報と、定義情報とに基づいて、移動体の移動経路を決定してよい。
【0187】
例えば、1つの端末装置10-xを利用対象とした状態で、目標地点が定義された定義情報が受け付けられた場合について説明する。この場合、決定部233は、1つの端末装置10-xに対応する補正済位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、定義情報を満たす位置を目標地点の位置として算出してよい。決定部233は、例えば、算出した位置を目標地点として移動体60に移動させる軌道を移動経路として決定してよい。この詳細については、後に図10を用いて説明する。
【0188】
また、2つの端末装置10-xを利用対象とした状態で、目標地点として一方の端末装置に対応する開始地点、および、他方の端末装置に対応する到達地点とが定義された定義情報が受け付けられた場合について説明する。この場合、決定部233は、これらの端末装置に対応する補正済位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、定義情報を満たす位置を目標地点の位置として算出してよい。決定部233は、例えば、算出した位置のうち開始地点に対応する位置から、到達地点に対応する位置へと向けて移動体60を移動させる軌道を移動経路として決定してよい。この詳細については、後に図11を用いて説明する。
【0189】
また、平面領域の各頂点となる頂点地点が定義された定義情報が受け付けられた場合について説明する。この場合、決定部233は、例えば、このとき利用対象となっている端末装置10-xに対応する補正済位置情報に基づいて、定義情報を満たすような平面領域を生成してよい。決定部233は、例えば、生成した平面領域に基づいて、移動体60の移動経路を決定してよい。例えば、決定部233は、利用対象となっている端末装置10-xに対応する補正済位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、定義情報を満たす位置を頂点地点として算出してよい。決定部233は、算出した頂点地点を頂点とする平面領域を生成してよい。また、決定部233は、定義情報に応じて、生成した平面領域を移動体60に移動させる軌跡を移動経路として決定してよい。この詳細については、後に図13を用いて説明する。
【0190】
また、立体領域の各頂点となる頂点地点が定義された定義情報が受けられた場合について説明する。この場合、決定部233は、このとき利用対象となっている少なくとも2つの端末装置10-xに対応する補正済位置情報に基づいて、定義情報を満たすような立体領域を生成することにより、生成した立体領域に基づいて、移動体60の移動経路を決定してよい。例えば、決定部233は、利用対象となっている2つの端末装置10-xに対応する補正済位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、定義情報を満たす位置を頂点地点として算出してよい。決定部233は、例えば、算出した頂点地点を頂点とする立体領域を生成してよい。また、決定部233は、定義情報に応じて、生成した立体領域を構成する平面領域のうち、所定の平面領域を移動体60に移動させる軌跡を移動経路として決定してよい。また、決定部233は、定義情報に応じて、立体領域の内部から出ないよう移動体60に当該内部を移動させる軌跡を移動経路として決定してよい。また、決定部233は、定義情報に応じて、立体領域の内部に進入しないよう立体領域の外部を移動体60に移動させる軌跡を移動経路として決定してよい。この詳細については、後に図14図19を用いて説明する。
【0191】
また、決定部233は、決定した移動経路を示す経路情報を記憶部220に格納してよい。
【0192】
(指示部234について)
指示部234は、決定部233により決定された移動経路で移動するよう処理対象の移動体60に指示してよい。すなわち、指示部234は、例えば、決定部233により決定された移動経路を示す経路情報を移動体60に送信してよい。
【0193】
(出力部235について)
出力部235は、処理対象の移動体60が、決定部233により決定された経路を移動しているか否かに基づいて、移動体60の利用者に所定の情報を出力してよい。例えば、出力部235は、処理対象の移動体60が決定部233により決定された移動経路からずれて移動していると判定された場合には、移動体60が当該移動経路からずれた旨の情報を出力してよい。
【0194】
〔5-4.移動体装置の構成〕
図7は、実施形態に係る移動体装置60の構成例を示す図である。移動体装置60は、端末装置10と、通信部61と、駆動機構62と、制御部63とを有してよい。なお、図7では不図示であるが、移動体装置60は、所定の撮像手段をさらに有してよい。
【0195】
(端末装置10について)
移動体60は、図4で説明した端末装置10を測位モジュールとして搭載してよい。
【0196】
(通信部61について)
通信部61は、例えば、NIC等によって実現されてよい。そして、通信部61は、ネットワークNと有線または無線で接続されてよい。通信部61は、例えば、ネットワークNを介して、利用者によって利用されるスマートフォン等の利用者装置Tや、決定装置200との間での情報の送受信を行ってよい。通信部61は、端末装置10の通信部11に代えて、演算装置100や決定装置200との間で情報の送受信を行ってもよい。
【0197】
(駆動機構62について)
駆動機構62は、移動体60を動作させるための制御機構であってよい。例えば、駆動機構62には、モータ、エンジン、プロペラ、コントローラ等で構成されてよい。
【0198】
(制御部63について)
制御部63は、CPU、GPU、MPU等によって、移動体装置60内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現されてよい。また、制御部63は、例えば、ASICやFPGA)等の集積回路により実現されてよい。
【0199】
制御部63は、補正済位置情報取得部63aと、経路情報取得部63bと、移動制御部63cとを有してよい。なお、制御部63の内部構成は、図7に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部63が有する各処理部の接続関係は、図7に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0200】
(補正済位置情報取得部63aについて)
補正済位置情報取得部63aは、端末装置10の補正部13eによるPPP計算(あるいは、PPP-RTK計算)で得られた補正済位置情報を取得してよい。
【0201】
(経路情報取得部63bについて)
経路情報取得部63bは、決定装置200の指示部234により送信された経路情報を取得してよい。
【0202】
(移動制御部63cについて)
移動制御部63cは、移動体60の移動を制御することができる。例えば、移動制御部63cは、経路情報取得部63bにより取得された経路情報に基づいて、移動体60の移動を制御してよい。例えば、移動制御部63cは、補正済位置情報取得部63aにより取得された補正済位置情報と、経路情報取得部63bにより取得された経路情報とに基づいて、移動体60の移動を制御してよい。例えば、移動制御部65cは、最新の補正済位置情報によって示される現在位置と、取得した経路情報によって示される軌道の位置とを比較しながら、軌道の位置からズレないよう調整しつつ目標地点へと向かって移動するよう移動体60の移動を制御してよい。
【0203】
(第1の実施形態)
〔1.経路決定処理について〕
これまで、第1の実施形態および第2の実施形態の双方の共通する点について、図1図7を用いて説明してきた。ここからは、各実施形態の一例についてより具体的に説明する。まずは、第1の実施形態の具体的な一例について、図8および図9を用いて説明する。上述したように、第1の実施形態では、実施形態に係る経路決定処理が適用されるシーンとして、船舶を対象とする経路決定処理、自動運転車を対象とする経路決定処理について特にフォーカスして説明する。
【0204】
〔1-1.経路決定処理(1)〕
船舶の分野にはPPP方式が適していることから、図8では、PPP測位による測位結果を活用して船舶の移動経路を決定する経路決定処理の一例について説明する。具体的には、図8では、PPP測位による測位結果を活用して船舶の移動経路を決定する経路決定処理手順の一例を説明する。図8は、第1の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(1)である。
【0205】
また、図8は、図2で説明した経路決定処理をより詳細に説明するものである。すなわち、図8の例では、利用者U1は、現在、海洋エリアの所定の位置に停止している移動体60(例えば、タンカー)を、現在地から海岸LA5に存在する目的地へと移動させ、この目的地に移動体60を接岸させたいとする。係る場合、利用者U1は、図8に示すように、2つの端末装置10-xのうち、一方の端末装置10-1を海岸LA5に存在する目的地に設置し、他方の端末装置10-2を移動体60自体に設置してよい。
【0206】
また、図8の例によれば、海洋エリア上空には衛星SAxが存在する。具体的には、図8には、演算装置100が電波を受信可能な衛星SAxとして、衛星SA1、衛星SA2、衛星SA3および衛星SA4(衛星SA1~SA4)が、海洋エリアの上空に存在する例が示される。すなわち、衛星SAxは、演算装置100が電波を受信可能な衛星であれば、必ずしも海洋エリアの上空に存在していなくともよい。
【0207】
このような状態で、演算装置100は、以下の手順に従って補正情報を生成し、生成した補正情報を端末装置10-1および端末装置10-2に送信することができる。
【0208】
ここで、衛星SA1~SA4それぞれは、GNSS信号を発信している。よって、演算装置100の受信部131は、衛星SA1~SA4それぞれによって発信されたGNSS信号を受信する(ステップS81)。
【0209】
また、演算装置100の生成部132は、受信部131によりGNSS信号が受信されると、受信されたGNSS信号に基づく情報である衛星データを衛星SAxごとに取得する(ステップS82)。図8の例では、生成部132が、衛星SA1から受信されたGNSS信号に基づき、衛星SA1に対応する衛星データとして衛星データDA11を取得し、衛星SA2から受信されたGNSS信号に基づき、衛星SA2に対応する衛星データとして衛星データDA12を取得したものとする。また、図8の例では、生成部132が、衛星SA3から受信されたGNSS信号に基づき、衛星SA3に対応する衛星データとして衛星データDA13を取得し、衛星SA4から受信されたGNSS信号に基づき、衛星SA4に対応する衛星データとして衛星データDA14を取得したものとする。
【0210】
次に、生成部132は、ステップS82で取得した衛星データを用いた計算アルゴリズムにより、PPP測位のための補正情報を衛星SA1~SA4それぞれについて生成する(ステップS83)。
【0211】
具体的には、生成部132は、衛星データDA11に基づく計算アルゴリズムにより、衛星SA1に対応する補正情報を生成する。図8には、生成部132が、衛星SA1に対応する補正情報として、補正情報C1を生成した例が示される。また、生成部132は、衛星データDA12に基づく計算アルゴリズムにより、衛星SA2に対応する補正情報を生成する。図8には、生成部132が、衛星SA2に対応する補正情報として、補正情報C2を生成した例が示される。
【0212】
また、生成部132は、衛星データDA13に基づく計算アルゴリズムにより、衛星SA3に対応する補正情報を生成する。図8には、生成部132が、衛星SA3に対応する補正情報として、補正情報C3を生成した例が示される。同様にして、生成部132は、衛星データDA14に基づく計算アルゴリズムにより、衛星SA4に対応する補正情報を生成する。図8には、生成部132が、衛星SA4に対応する補正情報として、補正情報C4を生成した例が示される。
【0213】
次に、演算装置100の送信部133は、生成部132により生成された補正情報を端末装置10-1、端末装置10-2それぞれに送信する(ステップS84)。例えば、送信部133は、衛星SAx経由で、補正情報を端末装置10-1、端末装置10-2それぞれに送信してよい。例えば、送信部133は、生成部132により生成された補正情報が端末装置10-1、端末装置10-2それぞれにブロードキャストされるよう、補正情報を衛星SAxに配信してよい。
【0214】
より具体的には、送信部133は、衛星SA1~SA4それぞれについて生成された補正情報を束ねることで補正情報のリストを生成し、生成した補正情報のリストが端末装置10-1、端末装置10-2それぞれにブロードキャストされるよう、これを衛星SAxに送信してよい。図8には、送信部133が、補正情報のリストとして補正情報リストL1を生成し、生成した補正情報リストL1を衛星SAx経由で端末装置10-1、端末装置10-2それぞれに送信している例が示される。
【0215】
なお、補正情報のリストを生成する処理は、送信部133ではなく、例えば、生成部132によって行われてもよい。
【0216】
続いて、端末装置10-1、端末装置10-2それぞれの選択部13dは、取得部13cにより補正情報リストL1が取得されると、自装置の上空における所定範囲内を移動中の衛星SAx(すなわち、自装置から検出可能な衛星SAx)を処理対象の衛星SAxとして検出することで、検出した衛星SAxに対応する補正情報を補正情報リストL1の中から選択する(ステップS85)。
【0217】
そして、補正部13eは、選択部13dにより選択された補正情報に基づいて、位置情報を補正するための計算を実行する(ステップS86)。例えば、補正部13eは、補正情報を用いたPPP計算により概略位置情報を補正することで、補正済位置情報を算出してよい。なお、ここで算出される位置情報は、概略位置情報と比較してより高精度な位置情報である。
【0218】
ここで、ステップS85からS86にかけて、端末装置10-1の選択部13dは、処理対象の衛星SAxとして衛星SA4を検出したとすると、補正情報リストL1に含まれる4つの補正情報のうち、衛星SA4に対応する補正情報を選択することができる。また、ステップS85からS86にかけて、端末装置10-2の選択部13dは、処理対象の衛星SAxとして衛星SA3を検出したとすると、補正情報リストL1に含まれる4つの補正情報のうち、衛星SA3に対応する補正情報を選択することができる。
【0219】
続いて、端末装置10-1、端末装置10-2それぞれの送信部13fは、補正部13eにより算出された補正済位置情報を決定装置200に送信する(ステップS87)。この場合、決定装置200の補正済位置情報取得部231が、端末装置10-1、端末装置10-2のそれぞれから補正済位置情報を取得する。
【0220】
なお、図8では、端末装置10-1によって行われる処理と、端末装置10-2によって行われる処理との間で同一のステップ番号が付されており、双方が同一のタイミングで処理を行う例が示される。しかしながら、端末装置10-1、端末装置10-2のそれぞれは、起動されるタイミングが異なることが想定されるため、各タイミングに応じて図8に示す処理を個別に行ってよいものである。
【0221】
ここまでの処理により、決定装置200は、端末装置10-1、端末装置10-2それぞれの正確な位置情報であって、PPP方式で得られた位置情報を把握できるようなる。このように、決定装置200が、端末装置10-1、端末装置10-2それぞれの正確な位置情報を取得済みの場合には、利用者U1は、移動体60をどのような経路で移動させるかその移動態様が定義された定義情報を決定装置200に入力することができる。
【0222】
図8の例では、利用者U1は、端末装置10-1および10-2を利用対象とした状態で、これら端末装置を起点とした移動経路を定義付ける定義情報を決定装置200に対して入力している。図8の例では、一例として、利用者U1は、端末装置10-2を基準として目標地点を定義することができる。例えば、利用者U1は、[「端末装置10-2が現在位置する地点(移動体60の現在地点)」(開始目標地点M81)、目標地点M81から「北10km(N81に対応)の地点」(中継目標地点M82)、および、目標地点M82から「端末装置10-1が現在位置する地点(海岸LA5上の地点)」(到達目標地点M83)]といったように、方向および距離を用いて移動経路上の目標地点(開始目標から到達目標までを結ぶ各目標地点)を定義する定義情報を決定装置200に入力している。また、係る場合、決定装置200の受付部232が、この定義情報を受け付ける(ステップS88)。
【0223】
決定装置200の決定部233は、受付部232により定義情報が受け付けられると、この定義情報と、端末装置10-1または端末装置10-2の補正済位置情報とに基づいて、移動体60の移動経路を決定するための経路決定処理を実行する(ステップS89)。例えば、決定部233は、補正済位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、定義情報を満たす位置を含む経路を移動体60の移動経路として決定してよい。
【0224】
例えば、決定部233は、端末装置10-2に対応する補正済位置情報が示す位置を基準(基準座標m81)とする相対的な位置であって、[端末装置10-2に対する「北10kmの地点」]を満たす位置を目標地点M82の位置として算出してよい。例えば、決定部233は、基準座標m81と、北「10km」とに基づき相対座標m82を算出することで、相対座標m82を目標地点M82の位置と定めてよい。
【0225】
また、決定部233は、目標地点M81から目標地点M82へとベクトルを向けた直線軌道と、目標地点M82から目標地点M83へとベクトルを向けた直線軌道と組み合わせた直線状の軌道K8を移動経路として決定してよい。そして、指示部234は、軌道K8を示す経路情報を移動体60にインプットすることで、目標地点82経由で目標地点M11(開始目標)から目標地点M83(到達目標)へと直線移動するよう指示してよい。
【0226】
ここで、他の例として、利用者U1は、端末装置10-1を基準として目標地点を定義してもよい。例えば、利用者U1は、[「端末装置10-1が現在位置する地点(海岸LA5上の地点)」(到達目標地点M83)、目標地点M83から「西20km(N83に対応)の地点」(中継目標地点M82)、および、目標地点M82から「端末装置10-2が現在位置する地点(移動体60の現在地点)」(開始目標地点M81)といったように、方向および距離を用いて移動経路上の目標地点を定義する定義情報を決定装置200に入力してもよい。
【0227】
係る場合、決定部233は、端末装置10-1に対応する補正済位置情報が示す位置を基準(基準座標m83)とする相対的な位置であって、[端末装置10-1に対する「西20kmの地点」]を満たす位置を目標地点M82の位置として算出してよい。例えば、決定部233は、基準座標m83と、西「20km」とに基づき相対座標m82を算出することで、相対座標m82を目標地点M82の位置と定めてよい。
【0228】
また、決定部233は、目標地点M81から目標地点M82へとベクトルを向けた直線軌道と、目標地点M82から目標地点M83へとベクトルを向けた直線軌道と組み合わせた直線状の軌道K8を移動経路として決定してよい。そして、指示部234は、軌道K8を示す経路情報を移動体60にインプットすることで、目標地点82経由で目標地点M81(開始目標)から目標地点M83(到達目標)へと直線移動するよう指示してよい。
【0229】
〔1-2.経路決定処理(2)〕
次に、自動運転車の分野にはPPP-RTK方式が適していることから、図9では、PPP-RTK測位による測位結果を活用して自動運転車の移動経路を決定する経路決定処理の一例について説明する。具体的には、図9では、PPP-RTK測位による測位結果を活用して自動運転車の移動経路を決定する経路決定処理手順の一例を説明する。図9は、第1の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(2)である。
【0230】
また、図9は、図3で説明した経路決定処理をより詳細に説明するものである。すなわち、図9の例では、利用者U1は、現在、道路上に停止している移動体60(例えば、オンデマンド自動車)を、現在地から道路上の目的地へと移動させたいとする。係る場合、利用者U1は、図9に示すように、2つの端末装置10-xのうち、一方の端末装置10-1を道路上に存在する目的地に設置し、他方の端末装置10-2を移動体60自体に設置してよい。
【0231】
また、図3では、実施形態に係るエリアについて説明したが、図9の例では、実施形態に係るエリアとして、エリアAR1、AR2、AR3、AR4(エリアAR1~AR4)という4つの設定されている場面を例に挙げて経路決定処理を説明する。なお、エリアAR~AR4それぞれは、必ずしも形状やサイズが同一である必要はなく、状況に応じて形状やサイズは異なってよい。例えば、図3で説明したように、実施形態に係るエリアは、誤差に関する情報に基づき設定される場合があるため、誤差の状況に応じてエリア間で形状やサイズが異なってよい。
【0232】
なお、演算装置100は、実施形態に係るエリアが設定されたことに応じて、設定されたエリアに関する情報を有してよい。図9の例では、演算装置100は、例えば、エリアAR1~AR4それぞれの位置を示す位置情報を有してよい。
【0233】
また、図3で説明したように、実施形態に係るエリアそれぞれには、必ずしも基準局30が所在している必要はないし、基準局30が所在している場合その数は限定されない。すなわち、実施形態に係るエリアの中には、基準局30が所在しないエリア、基準局30が1台だけ所在するエリア、基準局30が複数台所在するエリアが存在してよい。係る例に基づき、図9には、エリアAR1においては基準局30-1が設置され、エリアAR2においては基準局30-2が設置され、エリアAR4において基準局30-4が設置されている例が示される。一方、図9の例によれば、エリアAR3には、基準局30が設置されていない。
【0234】
また、図9の例によれば、エリアの上空には衛星SAxが存在する。具体的には、図9には、演算装置100が電波を受信可能な衛星SAxとして、衛星SA1、衛星SA2、衛星SA3および衛星SA4(衛星SA1~SA4)が、エリアAR1~AR4の上空に存在する例が示される。すなわち、衛星SAxは、演算装置100が電波を受信可能な衛星であれば、必ずしもエリアAR1~AR4の上空に存在していなくともよい。
【0235】
このような状態で、演算装置100は、以下の手順に従って補正情報を生成し、生成した補正情報を端末装置10-1および端末装置10-2に送信することができる。
【0236】
ここで、衛星SA1~SA4それぞれは、GNSS信号を発信している。この場合、演算装置100の受信部131は、衛星SAxによって発信されたGNSS信号を受信するが(ステップS91)、このステップS91において2通りのルート(ステップS91-1、および、ステップS91-2)でGNSS信号を受信してよい。例えば、受信部131は、図9に示すように、1つのルートでは、衛星SAxからGNSS信号を受信する(ステップS91-1)。図9の例では、受信部131は、衛星SA1~SA4それぞれによって発信されたGNSS信号を受信する。
【0237】
また、受信部131は、他のルートでは、基準局30を介して、GNSS信号を受信する(ステップS91-2)。ステップS91-2では、基準局30が、衛星SAxからGNSS信号を受信する(ステップS31-2a)。この点について、図9には、エリアAR1に所在する基準局30-1が、衛星SA1によって発信されたGNSS信号を受信し、エリアAR2に所在する基準局30-2が、衛星SA2およびSA3によって発信されたGNSS信号を受信し、エリアAR4に所在する基準局30-4が、衛星SA4によって発信されたGNSS信号を受信している例が示される。
【0238】
また、基準局30は、常時、GNSS信号を受信していてよく、受信したこのGNSS信号を演算装置100に送信する(ステップS91-2b)。図9の例によれば、基準局30-1は、衛星SA1から受信したGNSS信号を演算装置100に送信し、基準局30-2は、衛星SAおよびSA3から受信したGNSS信号を演算装置100に送信し、基準局30-4は、衛星SA4から受信したGNSS信号を演算装置100に送信している例が示される。この結果、受信部131は、基準局30を介して、GNSS信号を受信する。
【0239】
なお、基準局30は、ステップS91-2bにおいて、自装置の既知座標を示す情報もGNSS信号とともに演算装置100に送信してよい。具体的には、基準局30-1は、自装置の既知座標の情報を演算装置100に送信し、基準局30-2は、自装置の既知座標の情報を演算装置100に送信する。また、基準局30-3は、自装置の既知座標の情報を演算装置100に送信し、基準局30-4は、自装置の既知座標の情報を演算装置100に送信する。
【0240】
また、生成部132は、受信部131によりGNSS信号が受信されると、受信されたGNSS信号に基づく情報を取得する(ステップS92)。
【0241】
例えば、生成部132は、GNSS信号に基づく情報として、ステップS91-1において各衛星SAxから直で受信されたGNSS信号に基づく衛星データを、衛星SAxごとに取得してよい。
【0242】
図9の例では、生成部132が、衛星SA1から直で受信されたGNSS信号に基づき、衛星SA1に対応する衛星データとして衛星データDA11を取得し、衛星SA2から直で受信されたGNSS信号に基づき、衛星SA2に対応する衛星データとして衛星データDA12を取得したものとする。また、図9の例では、生成部132が、衛星SA3から直で受信されたGNSS信号に基づき、衛星SA3に対応する衛星データとして衛星データDA13を取得し、衛星SA4から直で受信されたGNSS信号に基づき、衛星SA4に対応する衛星データとして衛星データDA14を取得したものとする。
【0243】
一方、生成部132は、GNSS信号に基づく情報として、ステップS91-2において各エリアに所在する基準局30それぞれを介して受信されたGNSS信号に基づく基準局データを、基準局30ごとに取得してよい。例えば、生成部132は、基準局データとして、ステップS91-2において各エリアに所在する基準局30それぞれを介して受信されたGNSS信号に基づく衛星データと、GNSS信号とともに送信された既知座標の情報とを取得してよい。
【0244】
この点について、図9の例では、生成部132は、エリアAR1に所在する基準局30-1を介して受信されたGNSS信号に基づき、基準局30-1に対応する衛星データと、基準局30-1の既知座標を示す情報とを含む基準局データを取得する。この点について、図9の例では、生成部132が、基準局データDA21を取得したものとすると、基準局データDA21には、基準局30-1に対応する衛星データと、基準局30-1の既知座標を示す情報とが含まれてよい。
【0245】
また、図9の例では、生成部132は、エリアAR2に所在する基準局30-2を介して受信されたGNSS信号に基づき、基準局30-2に対応する衛星データと、基準局30-2の既知座標を示す情報とを含む基準局データを取得する。この点について、図9の例では、生成部132が、基準局データDA22(DA22-1、DA22-2)を取得したものとする。係る場合、基準局データDA22-1には、基準局30-2を介して受信されたGNSS信号のうち、衛星SA2のGNSS信号に基づく衛星データと、基準局30-2の既知座標を示す情報とが含まれてよい。一方、基準局データDA22-2には、基準局30-2を介して受信されたGNSS信号のうち、衛星SA3のGNSS信号に基づく衛星データと、基準局30-2の既知座標を示す情報とが含まれてよい。
【0246】
また、図9の例では、生成部132は、エリアAR4に所在する基準局30-4を介して受信されたGNSS信号に基づき、基準局30-4に対応する衛星データと、基準局30-4の既知座標を示す情報とを含む基準局データ取得する。この点について、図9の例では、生成部132が、基準局データDA24を取得したものとすると、基準局データDA24には、基準局30-4に対応する衛星データと、基準局30-4の既知座標を示す情報とが含まれてよい。
【0247】
次に、生成部132は、ステップS92で取得した衛星データおよび基地局データを用いた計算アルゴリズムにより、PPP-RTK測位のための補正情報を、実施形態に係るエリアであるエリアAR1~AR4それぞれについて生成する(ステップS93)。例えば、生成部132は、ステップステップS92で取得した衛星データと、ステップS92で取得した基準局データとに基づいて、エリアAR1~AR4それぞれについて補正情報を生成してよい。
【0248】
例えば、生成部132は、実施形態に係るエリアにおける基準局30の所在状況に応じた計算アルゴリズムを用いて、実施形態に係るエリアごとに補正情報を生成してよい。係る計算アルゴリズムによれば、生成部132は、以下の手法でエリアごとに補正情報を生成してよい。
【0249】
例えば、生成部132は、基準局30-1が所在するエリアAR1については、衛星SAxごとに取得した衛星データ(すなわち、衛星データDA11~DA14)と、基準局30-1について取得した基準局データDA21とに基づいて、エリアAR1に対応する補正情報を生成してよい。ここで、図9の例によれば、エリアAR1に隣接するエリアAR2には基準局30-2が所在し、エリアAR1に隣接するもう一方のエリアAR4には基準局30-4が所在している。したがって、生成部132は、基準局30-2について取得した基準局データDA22(DA22-1、DA22-2)、および、基準局30-4について取得した基準局データDA24をさらに用いて、エリアAR1に対応する補正情報を生成してもよい。図9には、生成部132が、エリアAR1に対応する補正情報として、補正情報K1を生成した例が示される。
【0250】
また、生成部132は、基準局30-2が所在するエリアAR2については、衛星SAxごとに取得した衛星データDA11~DA14と、基準局30-2について取得した基準局データDA22(DA22-1、DA22-2)とに基づいて、エリアAR2に対応する補正情報を生成してよい。ここで、図9の例によれば、エリアAR2に隣接するエリアAR1には基準局30-1が所在している。したがって、生成部132は、基準局30-1について取得した基準局データDA21をさらに用いて、エリアAR2に対応する補正情報を生成してもよい。また、生成部132は、エリアAR2に近接するエリアAR4には基準局30-4が所在していることから、基準局30-4について取得した基準局データDA24もさらに用いて、エリアAR2に対応する補正情報を生成してもよい。図9には、生成部132が、エリアAR2に対応する補正情報として、補正情報K2を生成した例が示される。
【0251】
また、エリアAR3には基準局30が所在していないが、エリアAR3に隣接するエリアAR2には基準局30-2が所在し、エリアAR3に隣接するもう一方のエリアAR4には基準局30-4が所在している。このようなことから、生成部132は、基準局30が所在していないエリアAR3について補正情報を生成する場合には、衛星SAxごとに取得した衛星データDA11~DA14と、基準局30-2について取得した基準局データDA22(または、基準局30-4について取得した基準局データDA24)のうちの少なくともいずれか一方のデータとに基づいて、エリアAR3に対応する補正情報を生成してよい。また、生成部132は、エリアAR3に近接するエリアAR1には基準局30-1が所在していることから、基準局30-1について取得した基準局データDA21もさらに用いて、エリアAR3に対応する補正情報を生成してもよい。図9には、生成部132が、エリアAR3に対応する補正情報として、補正情報K3を生成した例が示される。
【0252】
また、生成部132は、基準局30-4が所在するエリアAR4については、衛星SAxごとに取得した衛星データDA11~DA14と、基準局30-4について取得した基準局データDA24とに基づいて、エリアAR4に対応する補正情報を生成してよい。ここで、図9の例によれば、エリアAR4に隣接するエリアAR1には基準局30-1が所在している。したがって、生成部132は、基準局30-1について取得した基準局データDA21をさらに用いて、エリアAR4に対応する補正情報を生成してもよい。また、生成部132は、エリアAR4に近接するエリアAR2には基準局30-2が所在していることから、基準局30-2について取得した基準局データDA22もさらに用いて、エリアAR4に対応する補正情報を生成してもよい。図9には、生成部132が、エリアAR4に対応する補正情報として、補正情報K4を生成した例が示される。
【0253】
次に、送信部133は、生成部132により生成された補正情報を端末装置10-1、端末装置10-2それぞれに送信する(ステップS94)。例えば、送信部133は、衛星SAx経由で、補正情報を端末装置10-1、端末装置10-2それぞれに送信してよい。例えば、送信部133は、生成部132により生成された補正情報が端末装置10-1、端末装置10-2それぞれにブロードキャストされるよう、補正情報を衛星SAxに配信してよい。
【0254】
より具体的には、送信部133は、エリアAR1~AR4それぞれについて生成された補正情報を束ねることで補正情報のリストを生成し、生成した補正情報のリストが端末装置10-1、端末装置10-2それぞれにブロードキャストされるよう、これを衛星SAxに送信してよい。図9には、送信部133が、補正情報のリストとして補正情報リストL2を生成し、生成した補正情報リストL2を衛星SAx経由で端末装置10-1、端末装置10-2それぞれに送信している例が示される。
【0255】
なお、補正情報のリストを生成する処理は、送信部133ではなく、例えば、生成部132によって行われてもよい。
【0256】
続いて、端末装置10-1、端末装置10-2それぞれの選択部13dは、取得部13cにより補正情報リストL2が取得されると、実施形態に係るエリアのうち、自装置の概略位置情報が示す位置に対応するエリアについて生成されている補正情報を補正情報のリストの中から選択する(ステップS95)。図9の例では、端末装置10-1の選択部13dは、自装置の概略位置情報が示す位置がエリアAR1に含まれると判定し、補正情報リストL2に含まれる4つの補正情報のうち、エリアAR1に対応する補正情報を選択してよい。また、図9の例では、端末装置10-2の選択部13dも、自装置の概略位置情報が示す位置がエリアAR1に含まれると判定し、補正情報リストL2に含まれる4つの補正情報のうち、エリアAR1に対応する補正情報を選択してよい。
【0257】
そして、補正部13eは、選択部13dにより選択された補正情報に基づいて、位置情報を補正するための計算を実行する(ステップS96)。例えば、補正部13eは、補正情報を用いたPPP-RTK計算により概略位置情報を補正することで、補正済位置情報を算出してよい。なお、ここで算出される位置情報は、概略位置情報と比較してより高精度な位置情報である。
【0258】
続いて、端末装置10-1、端末装置10-2それぞれの送信部13fは、補正部13eにより算出された補正済位置情報を決定装置200に送信する(ステップS97)。この場合、決定装置200の補正済位置情報取得部231が、端末装置10-1、端末装置10-2のそれぞれから補正済位置情報を取得する。
【0259】
なお、図9でも、端末装置10-1によって行われる処理と、端末装置10-2によって行われる処理との間で同一のステップ番号が付されており、双方が同一のタイミングで処理を行う例が示される。しかしながら、端末装置10-1、端末装置10-2のそれぞれは、起動されるタイミングが異なることが想定されるため、各タイミングに応じて図9に示す処理を個別に行ってよいものである。
【0260】
ここまでの処理により、決定装置200は、端末装置10-1、端末装置10-2それぞれの正確な位置情報であって、PPP-RTK方式で得られた位置情報を把握できるようなる。このように、決定装置200が、端末装置10-1、端末装置10-2それぞれの正確な位置情報を取得済みの場合には、利用者U1は、移動体60をどのような経路で移動させるかその移動態様が定義された定義情報を決定装置200に入力することができる。
【0261】
図9の例では、利用者U1は、端末装置10-1および10-2を利用対象とした状態で、これら端末装置を起点とした移動経路を定義付ける定義情報を決定装置200に対して入力している。図9の例では、一例として、利用者U1は、端末装置10-2を基準として目標地点を定義することができる。例えば、利用者U1は、[「端末装置10-2が現在位置する地点(移動体60の現在地点)」(開始目標地点M91)、目標地点M91から「東20km(N91に対応)の地点」(中継目標地点M92)、および、目標地点M92から「端末装置10-1が現在位置する地点」(到達目標地点M93)]といったように、方向および距離を用いて移動経路上の目標地点(開始目標から到達目標までを結ぶ各目標地点)を定義する定義情報を決定装置200に入力している。また、係る場合、決定装置200の受付部232が、この定義情報を受け付ける(S98)。
【0262】
決定装置200の決定部233は、受付部232により定義情報が受け付けられると、この定義情報と、端末装置10-1または端末装置10-2の補正済位置情報とに基づいて、移動体60の移動経路を決定するための経路決定処理を実行する(ステップS99)。例えば、決定部233は、補正済位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、定義情報を満たす位置を含む経路を移動体60の移動経路として決定してよい。
【0263】
例えば、決定部233は、端末装置10-2に対応する補正済位置情報が示す位置を基準(基準座標m91)とする相対的な位置であって、[端末装置10-2に対する「東20kmの地点」]を満たす位置を目標地点M92の位置として算出してよい。例えば、決定部233は、基準座標m91と、東「20km」とに基づき相対座標m92を算出することで、相対座標m92を目標地点M92の位置と定めてよい。
【0264】
また、決定部233は、目標地点M91から目標地点M92へとベクトルを向けた直線軌道と、目標地点M92から目標地点M93へとベクトルを向けた直線軌道と組み合わせた直線状の軌道K9を移動経路として決定してよい。そして、指示部234は、軌道K9を示す経路情報を移動体60にインプットすることで、目標地点92経由で目標地点M91(開始目標)から目標地点M93(到達目標)へと直線移動するよう指示してよい。
【0265】
ここで、他の例として、利用者U1は、端末装置10-1を基準として目標地点を定義してもよい。例えば、利用者U1は、[「端末装置10-1が現在位置する地点」(到達目標地点M93)、目標地点M93から「南10km(N93に対応)の地点」(中継目標地点M92)、および、目標地点M92から「端末装置10-2が現在位置する地点(移動体60の現在地点)」(開始目標地点M91)といったように、方向および距離を用いて移動経路上の目標地点を定義する定義情報を決定装置200に入力してもよい。
【0266】
係る場合、決定部233は、端末装置10-1に対応する補正済位置情報が示す位置を基準(基準座標m93)とする相対的な位置であって、[端末装置10-1に対する「南10kmの地点」]を満たす位置を目標地点M92の位置として算出してよい。例えば、決定部233は、基準座標m93と、南「10km」とに基づき相対座標m92を算出することで、相対座標m92を目標地点M92の位置と定めてよい。
【0267】
また、決定部233は、目標地点M91から目標地点M92へとベクトルを向けた直線軌道と、目標地点M92から目標地点M93へとベクトルを向けた直線軌道と組み合わせた直線状の軌道K8を移動経路として決定してよい。そして、指示部234は、軌道K9を示す経路情報を移動体60にインプットすることで、目標地点92経由で目標地点M91(開始目標)から目標地点M93(到達目標)へと直線移動するよう指示してよい。
【0268】
(第2の実施形態)
〔1.経路決定処理について〕
ここからは、第2の実施形態の具体的な一例について、図10図19を用いて説明する。上述したように、第2の実施形態では、実施形態に係る経路決定処理が適用されるシーンとして、ドローンを対象とする経路決定処理にフォーカスして説明する。なお、ドローンの分野では、PPP方式、PPP-RTK方式のいずれが採用されてもよいが、狭い範囲で高精度かつ安定した測位を実現可能なPPP-RTK方式の方が主な利用用途(例えば、点検、測量、農業、建築等)に適しているといえる。
【0269】
このようなことから、図10図19の例では、PPP-RTK測位により得られた補正済位置情報が用いられるものとして説明する。具体的には、決定装置200は、これまで説明してきた処理によって、端末装置10-xの補正済位置情報であってPPP-RTK測位により得られた補正済位置情報を取得しているものとして説明する。また、図10図19の例では、端末装置10-xの利用方法(設置方法、設置態様)、および、利用方法に応じた定義の仕方のバリエーションごとに、経路決定処理の一例を示す。
【0270】
また、図10図19は、ドローンを対象とした例を説明する説明図であるため、「移動体60」を「飛行体60」、「移動経路」を「飛行経路」と言い換えている。
【0271】
なお、以下の例で示す設置方法のバリエーションや定義情報は一例に過ぎず、利用者は、目的に応じて様々な設置や入力を行うことができる。また、第2の実施形態に係る経路決定処理は、以下の例に限定されるものではない。なお、図10図19では、方向、距離、高度を示す値について、符号「N71」~「N141」を用いて示しているが、状況や用途に合わせて任意の値を適用してよい。すなわち、実施形態に係る経路決定処理は、定義情報の内容に応じて任意の値を適用してよい。また、以下の説明では、符号「N71」~「N141」が示す方向、距離、高度について、便宜上、例えば、「真上上空10m」のように具体的な方向、距離、高度を示して説明するが、利用者が定義する定義情報はこれに限定されるものではない。すなわち、利用者は、任意の方向、距離、高度を用いて目標地点を定義してよい。
【0272】
〔1-1.経路決定処理(1)〕
図10は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(1)である。図10では、1台の端末装置10-1を目的位置に設置することでこれを利用対象とした場合が例示されている。すなわち、利用者U1は、1台の端末装置10-1を目的位置に設置することでこれを利用対象とした状態で、端末装置10-1を起点とした直線状の飛行経路を定義付ける定義情報を決定装置200に対して入力してよい。
【0273】
利用者U1は、例えば、端末装置10-1を始点として、方向、距離、高度を用いて飛行経路上の目標地点を定義する定義情報を決定装置200に入力してよい。具体的には、利用者U1は、例えば、[端末装置10-1から「真上上空10m(N71に対応)の地点」(目標地点M11)、目標地点M11から「東3m(N72に対応)の地点」(目標地点M12)、および目標地点M12から「北5m(N73に対応)の地点」(目標地点M13)]といったように、方向、距離、高度を用いて飛行経路上の目標地点を定義する定義情報を決定装置200に入力してよい。決定装置200の受付部232は、この定義情報を受け付けてよい。
【0274】
なお、利用者U1は、例えば、特定の領域を上空から特定の軌道で撮影したい、あるいは、特定の領域に対して上空から特定の軌道で農薬散布したい、等といった目的を有する場合に、このような定義情報入力することが想定される。
【0275】
図10の例では、決定部233は、例えば、端末装置10-1に対応する補正済位置情報が示す位置を基準(基準座標P10-1)とする相対的な位置であって、[端末装置10-1に対する「真上上空10mの地点」]を満たす位置を目標地点M11の位置として算出してよい。例えば、決定部233は、基準座標P10-1「x1,y1,z1」と、高さ「10m」とに基づき相対座標m11を算出することで、相対座標m11を目標地点M11の位置と定めてよい。
【0276】
また、決定部233は、例えば、端末装置10-1に対応する補正済位置情報が示す位置を基準(基準座標P10-1)とする相対的な位置であって、[端末装置10-1に対する「真上上空10mの地点」、さらに「東3mの地点」]を満たす位置を目標地点M12の位置として算出してよい。例えば、決定部233は、基準座標P10-1「x1,y1,z1」と、高さ「10m」、「東3m」とに基づき相対座標m12を算出することで、相対座標m11を目標地点M12の位置と定めてよい。
【0277】
また、決定部233は、例えば、端末装置10-1に対応する補正済位置情報が示す位置を基準(基準座標P10-1)とする相対的な位置であって、[端末装置10-1に対する「真上上空10mの地点」、さらに「東3mの地点」、さらに「北5mの地点」]を満たす位置を目標地点M13の位置として算出してよい。例えば、決定部233は、基準座標P10-1「x1,y1,z1」と、高さ「10m」、「東3m」、「北5m」とに基づき相対座標m13を算出することで、相対座標m13を目標地点M13の位置と定めてよい。
【0278】
また、決定部233は、例えば、目標地点M11から目標地点M12へとベクトルを向けた直線軌道と、目標地点M12から目標地点M13へとベクトルを向けた直線軌道と組み合わせた直線状の軌道K1を飛行経路として決定してよい。そして、指示部234は、軌道K1を示す経路情報を飛行体60にインプットすることで、目標地点M12経由で目標地点M11(開始目標)から目標地点M13(到達目標)へと直線飛行するよう指示してよい。
【0279】
なお、利用者U1は、端末装置10-1が設置された位置(基準座標P10-1)を開始目標と定義付け、目標地点M12を到達目標と定義付けることで、端末装置10-1が設置された位置から目標地点M12へと直線状に角度をつけて飛行させるような飛行経路を設定することもできる。また、利用者U1は、端末装置10-1が設置された位置(基準座標P10-1)に対する方向、距離、角度を定義付けることで、端末装置10-1が設置された位置から例えば目標地点M12へと直線状に角度をつけて飛行させるような飛行経路を設定することもできる。
【0280】
また、利用者U1は、中心地点と半径とを定義付けることで、円状の飛行経路を設定することもできる。図10の例を用いると、利用者U1は、目標地点M11を円の中心と定義し、目標地点M11および目標地点M12間の距離を半径と定義することで、円状の飛行経路を設定することができる。また、利用者U1は、例えば、目標地点M13を開始目標と定義し、また、目標地点M13に対する方向と高度を定義することで、一旦、目標地点M13へと飛行させ、そこから特定の方向と高度を維持した状態で直線移動させるような飛行経路を設定することもできる。
【0281】
ここで、利用者U1は、端末装置10-xが設置されている地点から飛行体60を離陸させてよい。すなわち、飛行体60は、例えば、端末装置10-1が設置された位置から離陸して目標地点M11へと飛行してよい。そして、飛行体60は、目標地点M11から目標地点M13へと到達するように飛行してよい。
【0282】
また、利用者U1は、端末装置10-xが設置された位置から所定距離離れた位置から飛行体60を離陸させてもよい。この場合、受付部232は、例えば、離陸地点を定義する定義情報を受け付けてよい。例えば、受付部232は、「端末装置10-1から100m離れた位置を離陸地点とする」といったように端末装置10-1を起点とする要素を用いて定義づけられた定義情報を受け付けてよい。すなわち、飛行体60は、離陸地点から離陸して目標地点M11へと飛行してよい。そして、飛行体60は、目標地点M11から目標地点M13へ到達するように飛行してよい。なお、目標地点M13に到達した後、飛行体60は、離陸地点に帰還して着陸してよい。
【0283】
なお、飛行体60は、目標地点M13に到達した後、任意の地点に着陸してよい。飛行体60は、例えば、離陸した地点に着陸してよい。飛行体60は、例えば、端末装置10-1が設置された位置に着陸してよい。飛行体60は、例えば、飛行体60を格納する専用のステーションに着陸してよい。飛行体60は、例えば、利用者が指定した任意の地点に着陸してよい。
【0284】
なお、決定部233は、利用対象の端末装置10-xに対応する補正済位置情報に基づいて、飛行経路に向けて飛行体60を離陸させる離陸地点を決定してよい。
【0285】
例えば、決定部233は、端末装置10-xに対応する補正済位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、離陸地点が定義された定義情報を満たす位置を離陸地点の位置として算出してよい。また、指示部234は、算出した位置から飛行経路に向けて離陸するよう指示してよい。この場合、飛行体60は、例えば、現在位置から一旦離陸地点へと向かって飛行し離陸地点に着陸してよい。その後、飛行体60は、飛行経路に含まれる目標地点(例えば、開始目標)に向かって離陸してよい。
【0286】
〔1-2.経路決定処理(2)〕
図11は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(2)である。図11では、利用者U1が、建造物BDの所定フロアに対応する壁面を点検したい、といった目的に応じて、係る壁面に対応する建造物BDの地上一端に端末装置10-1を設置し、もう一端に端末装置10-2を設置している場合が例示されている。例えば、利用者U1は、建造物BDの地上一端から3m(N81に対応)離れた地点に端末装置10-1を設置し、建造物BDの地上もう一端から3m(N82に対応)離れた地点に端末装置10-2を設置してよい。すなわち、利用者U1は、例えば、端末装置10-1および10-2を利用対象とした状態で、これら端末装置を起点とした直線状の飛行経路を定義付ける定義情報を決定装置200に対して入力してよい。
【0287】
具体的には、利用者U1は、例えば、[端末装置10-1に対する「上空10m(N83に対応)の地点」(目標地点M21)、から、端末装置10-2に対する「上空10m(N84に対応)の地点」(目標地点M23)まで飛行させる]といったように、方向、高度を用いて飛行経路上の目標地点を定義する定義情報を決定装置200に入力してよい。係る場合、決定装置200の受付部232は、この定義情報を受け付けてよい。
【0288】
係る場合、決定部233は、2台の端末装置10-xそれぞれに対応する補正済位置情報を基準(基準座標)とする相対的な位置であって、定義情報を満たす位置を目標地点の位置として算出してよい。具体的には、決定部233は、例えば、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」と、高さ「10m」とに基づき相対座標m21を算出してよい。そして、決定部233は、算出した相対座標m21を目標地点M21の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」と、高さ「10m」とに基づき相対座標m22を算出してよい。そして、決定部233は、算出した相対座標m22を目標地点M22の位置と定めてよい。
【0289】
また、決定部233は、目標地点M21から目標地点M22へとベクトルを向けた直線軌道状の軌道K2を飛行経路として決定してよい。そして、指示部234は、軌道K2を示す経路情報を飛行体60にインプットすることで、目標地点M21(開始目標)から目標地点M22(到達目標)へと直線飛行するよう飛行体60に指示してよい。
【0290】
〔1-3.経路決定処理(3)〕
図11では、2台の端末装置10-xそれぞれの上空地点間を結ぶ線分が飛行経路として設定されるよう定義情報が入力された例を示した。しかし、利用者U1は、2台の端末装置10-xそれぞれの上空地点間を結ぶ線分に対して、さらに所定距離延長させるような飛行経路が設定されるよう定義情報を入力することができる。図12は、このような定義情報の一例と、係る定義情報に基づく経路決定処理の一例とを図11に対応する変形例として示す。図12は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(3)である。
【0291】
利用者U1は、例えば、さらに所定距離延長させるような飛行経路を設定させるための定義情報として、[端末装置10-2に対する「上空10mの地点」(目標地点M22)から、さらに「5m(N91に対応)の地点」(目標地点M23)まで延長]といった定義情報を決定装置200に入力してよい。この場合、決定装置200の受付部232は、この定義情報を受け付けてよい。
【0292】
係る場合、決定部233は、目標地点M21からM22へと向かうベクトル(方向)と、基準座標P10-2「x4,y4,z4」に基づいて位置情報を算出してよい。決定部233は、例えば、目標地点M21の位置を示す位置情報と、延長距離「5m」とに基づいて、相対座標m23を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標m23を目標地点M23の位置と定めてよい。
【0293】
また、決定部233は、目標地点M21から目標地点M23へとベクトルを向けた直線状の軌道K21を飛行経路として決定してよい。そして、指示部234は、軌道K21を示す経路情報を飛行体60にインプットしてよい。すなわち、指示部234は、目標地点M22経由で目標地点M21(開始目標)から目標地点M23(到達目標)へと直線飛行するよう飛行体60に指示してよい。
【0294】
〔1-4.経路決定処理(4)〕
図13は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(4)である。図13の例では、利用者U1が、例えば建造物BDの2Fから5Fに対応する壁面をまんべんなく点検したい、といった目的に応じて、係る壁面に対応する建造物BDの地上一端に端末装置10-1を設置し、もう一端に端末装置10-2を設置している場合が、例示されている。例えば、利用者U1は、建造物BDの地上一端から3m(N101に対応)離れた地点に端末装置10-1を設置し、建造物BDの地上もう一端から3m(N102に対応)離れた地点に端末装置10-2を設置してよい。すなわち、利用者U1は、例えば、端末装置10-1および10-2を利用対象とした状態でこれら端末装置を起点とし、平面領域の各頂点となる頂点地点を定義付ける定義情報を決定装置200に対して入力してよい。
【0295】
具体的には、利用者U1は、例えば、[端末装置10-1の位置に対する「上空5m(N103に対応)の地点」を1つの頂点(頂点地点T11)とし、端末装置10-1に対する「上空15m(N104に対応)の地点」を1つの頂点(頂点地点T12)とする]という定義情報1を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、[端末装置10-2の位置に対する「上空5m(N105に対応)の地点」を1つの頂点(頂点地点T21)とし、端末装置10-2に対する「上空15m(N106に対応)の地点」を1つの頂点(頂点地点T21)とする]という定義情報2を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、[定義情報1および2で定めた4つの頂点地点を結んで平面領域とする]という定義情報3を決定装置200に入力してよい。決定装置200の受付部232は、この一連の定義情報を受け付けてよい。
【0296】
係る場合、決定部233は、2台の端末装置10-xそれぞれに対応する補正済位置情報を基準(基準座標)とする相対的な位置であって、定義情報1~3を満たす位置を頂点地点の位置として算出してよい。
【0297】
具体的には、決定部233は、例えば、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」と、高さ「5m」とに基づき相対座標t11を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t11を頂点地点T11の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」と、高さ「15m」とに基づき相対座標t12を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t12を頂点地点T12の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」と、高さ「5m」とに基づき相対座標t21を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t21を頂点地点T21の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」と、高さ「15m」とに基づき相対座標t22を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t22を頂点地点T22の位置と定めてよい。
【0298】
また、決定部233は、定めた4つの頂点地点T11、T12、T21、T22を結んで平面領域AR11を生成してよい。例えば、決定部233は、平面領域AR11に沿うようにして、平面領域AR11内を移動するような軌跡を飛行経路として決定してよい。また、指示部234は、決定された飛行経路を示す経路情報を飛行体60にインプットすることで、平面領域AR11内をまんべんなく移動するよう飛行体60に指示してよい。なお、飛行体60が飛行経路を撮影しながら飛行する場合、決定部233は、撮影画像のラップ率を用いて飛行経路を決定してもよい。例えば、決定部233は、進行方向に対するラップ率、隣接に対するラップ率を算出し、撮影する画像が算出したラップ率となるような飛行経路を決定してよい。
【0299】
〔1-5.経路決定処理(5)〕
図14は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(5)である。図14の例では、利用者U1が、建造物BDを囲むような立体領域に対する所定の態様で飛行体60を飛行させたい、といった目的に応じて、建造物BDの地上一端に端末装置10-1を設置し、もう一端に端末装置10-2を設置している場合が例示されている。例えば、利用者U1は、建造物BDの地上一端から3m離れた地点に端末装置10-1を設置し、建造物BDの地上もう一端から3m離れた地点に端末装置10-2を設置してよい。すなわち、利用者U1は、例えば、端末装置10-1および10-2を利用対象とした状態でこれら端末装置を起点とし、立体領域の各頂点となる頂点地点を定義付ける定義情報を決定装置200に対して入力してよい。
【0300】
具体的には、利用者U1は、例えば、[端末装置10-1の位置を1つの頂点(頂点地点T31)とし、端末装置10-1に対する「奥行10m(N111に対応)の地点」を1つの頂点(頂点地点T34)とする]という定義情報1を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[端末装置10-2の位置を1つの頂点(頂点地点T32)とし、端末装置10-2に対する「奥行10m(N112に対応)の地点」を1つの頂点(頂点地点T33)とする]という定義情報2を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[頂点地点T31~T34を結んだ面を底面とする高さ「30m」(N113に対応)の立体領域]という定義情報3を決定装置200に入力してよい。決定装置200の受付部232は、この一連の定義情報を受け付けてよい。
【0301】
係る場合、決定部233は、2台の端末装置10-xそれぞれに対応する補正済位置情報を基準(基準座標)として、定義情報1~3を満たす位置を頂点地点の位置として算出してよい。
【0302】
具体的には、決定部233は、例えば、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」を頂点地点T31の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」と、奥行「10m」とに基づき相対座標t34を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t34を頂点地点T34の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」を頂点地点T32の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」と、奥行「10m」とに基づき相対座標t33を算出することで、相対座標t33を頂点地点T33の位置と定めてよい。
【0303】
また、決定部233は、2台の端末装置10-xそれぞれに対応する補正済位置情報を基準(基準座標)とする相対的な位置であって、定義情報3を満たす位置を頂点地点の位置として算出してよい。例えば、決定部233は、頂点地点T31~T34を結んだ面を底面とした場合の高さ「30m」に対応する残り4つの頂点地点(頂点地点T35~T38)を算出してよい。
【0304】
例えば、決定部233は、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」と、奥行「10m」と、高さ「30m」とに基づき相対座標t35およびt38を算出してよい。また、決定部233は、相対座標t35を頂点地点T35の位置と定め、相対座標t38を頂点地点T38の位置と定めてよい。また、例えば、決定部233は、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」と、奥行「10m」と、高さ「30m」とに基づき相対座標t36およびt37を算出してよい。そして、決定部233は、例えば、相対座標t36を頂点地点T36の位置と定め、相対座標t37を頂点地点T37の位置と定めてよい。
【0305】
また、決定部233は、定めた8つの頂点地点T31~T38を結んで立体領域AR12を生成してよい。
【0306】
また、決定部233は、立体領域AR12に基づいて、飛行経路を決定してよい。決定部233は、例えば、立体領域AR12を構成する平面領域のうち、所定の平面領域(例えば、頂点地点T31、T32、T35、T36を結んだ平面領域)に沿うようにして、係る所定の平面領域内を飛行体が移動する軌跡を飛行経路として決定してよい。また、例えば、決定部233は、飛行体60が立体領域AR12の内部に進入しないよう立体領域AR12の外部を飛行体60が移動する軌跡を飛行経路として決定してよい。また、例えば、決定部233は、飛行体が立体領域AR12の内部から出ないよう立体領域AR12の内部を飛行体が移動する軌跡を飛行経路として決定してよい。
【0307】
なお、図14の例では、決定部233が、利用者U1による定義情報に基づいて、所謂、直方体の立体領域を空間上に生成している。しかし、利用者U1は、目的に応じて、任意の形状の立体領域を定義情報によって定義してよい。すなわち、利用者U1は、例えば、どれだけの数の端末装置10-xをどのような位置関係で設置するか、どのような高さを定義するか等に応じて様々な形状の立体領域を決定部233に生成させることができる。つまり、決定部233は、定義情報に基づいて、任意の形状の立体領域を生成してよい。例えば、図14の例では、高さによっては、決定部233は、立方体の立体領域を空間上に生成することができる。また、例えば、決定部233は、頂点地点T31、T32、T33(頂点地点T34でもよい)という3つの頂点地点と高さとを用いて、計6つの頂点地点が定義付けられた場合には、三角柱の立体領域を空間上に生成することができる。
【0308】
〔1-6.経路決定処理(6)〕
図15は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(6)である。図15では、利用者U1が、建造物BDを囲むような立体領域に対する所定の態様で飛行体60を飛行させたい、といった目的に応じて、建造物BDの地上3端それぞれに端末装置10-1、端末装置10-2、端末装置10-3を設置している場合が例示されている。図15の例は、図14の例と比較して、端末装置10-3がさらに建造物BDに対する地上もう一端に設置されている点が異なる。すなわち、利用者U1は、例えば、端末装置10-1~10-3を利用対象とした状態でこれら端末装置を起点とし、立体領域の各頂点となる頂点地点を定義付ける定義情報を決定装置200に対して入力してよい。
【0309】
具体的には、利用者U1は、例えば、[端末装置10-1の位置を1つの頂点(頂点地点T31)とする]という定義情報1を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[端末装置10-2の位置を1つの頂点(頂点地点T32)とする]という定義情報2を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[端末装置10-3の位置を1つの頂点(頂点地点T33)とする]という定義情報3を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[定義情報1~3に基づく対角線上の位置をさらに1つの頂点(頂点地点T34)とする]という定義情報4を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[頂点地点T31~T34を結んだ面を底面とする高さ「30m」(N121に対応)の立体領域]という定義情報5を決定装置200に入力してよい。
【0310】
係る場合、決定部233は、地上3台の端末装置10-xそれぞれに対応する補正済位置情報を基準(基準座標)として、定義情報1~5を満たす位置を頂点地点の位置として算出してよい。
【0311】
具体的には、決定部233は、例えば、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」を頂点地点T31の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」を頂点地点T32の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-3に対応する基準座標P10-3「x5,y5,z5」を頂点地点T33の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、これら3つの基準座標に基づき相対座標t34を算出することで、相対座標t34を頂点地点T34の位置と定めてよい。
【0312】
また、決定部233は、地上3台の端末装置10-xそれぞれに対応する補正済位置情報を基準(基準座標)とする相対的な位置であって、定義情報5を満たす位置を頂点地点の位置として算出してよい。例えば、決定部233は、頂点地点T31~T34を結んだ面を底面とした場合の高さ「30m」に対応する残り4つの頂点地点(頂点地点T35~T38)を算出してよい。
【0313】
例えば、決定部233は、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」と、高さ「30m」とに基づき相対座標t35を算出することで、相対座標t35を頂点地点T35の位置と定めてよい。また、例えば、決定部233は、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」と、高さ「30m」とに基づき相対座標t36を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t36を頂点地点T36の位置と定めてよい。また、例えば、決定部233は、端末装置10-3に対応する基準座標P10-1「x5,y5,z5」と、高さ「30m」とに基づき相対座標t37を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t37を頂点地点T37の位置と定めてよい。また、例えば、決定部233は、相対座標t35~t37の関係性に基づき残りの相対座標t38を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t38を頂点地点T38の位置と定めてよい。
【0314】
また、決定部233は、定めた8つの頂点地点T31~T38を結んで立体領域AR12を生成してよい。また、決定部233は、利用者U1の定義情報に応じて、飛行体の飛行経路を決定してよい。なお、飛行経路は、経路決定処理(5)で説明した軌跡と同様の軌跡であってよい。また、指示部234は、決定された飛行経路を示す経路情報を飛行体60にインプットしてよい。
【0315】
〔1-7.経路決定処理(7)〕
図16は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(7)である。図16では、利用者U1が、建造物BDを囲むような立体領域に対する所定の態様で飛行体60を飛行させたい、といった目的に応じて、建造物BDの地上2端それぞれに端末装置10-1および端末装置10-2を設置し、また、建造物BDの屋上に端末装置10-3を設置している場合が例示されている。図16の例は、図15の例と比較して、建造物BDに対して端末装置10-3が設置される地点が異なる。具体的には、図15の例では、頂点地点の一つを規定するように建造物BDの地上一端に端末装置10-3が設置されたことに対し、図16の例では、高度を規定するように建造物BDの屋上に設置されている。すなわち、利用者U1は、例えば、端末装置10-1~10-3を利用対象とした状態でこれら端末装置を起点とし、立体領域の各頂点となる頂点地点を定義付ける定義情報を決定装置200に対して入力してよい。
【0316】
具体的には、利用者U1は、例えば、[端末装置10-1の位置を1つの頂点(頂点地点T31)とし、端末装置10-1に対する「奥行10m(N131に対応)の地点」を1つの頂点(頂点地点T34)とする]という定義情報1を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[端末装置10-2の位置を1つの頂点(頂点地点T32)とし、端末装置10-2に対する「奥行10m(N132に対応)の地点」を1つの頂点(頂点地点T33)とする]という定義情報2を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[頂点地点T31~T34を結んだ面を底面とし、端末装置10-3の位置を高さとする立体領域]という定義情報3を決定装置200に入力してよい。
【0317】
係る場合、決定部233は、地上2台の端末装置10-xに対応する補正済位置情報を基準(基準座標)として、定義情報1~3を満たす位置を頂点地点の位置として算出してよい。
【0318】
具体的には、決定部233は、例えば、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」を頂点地点T31の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」と、奥行「10m」とに基づき相対座標t34を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t34を頂点地点T34の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」を頂点地点T32の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」と、奥行「10m」とに基づき相対座標t33を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t33を頂点地点T33の位置と定めてよい。
【0319】
また、決定部233は、端末装置10-xそれぞれに対応する補正済位置情報が示す位置の座標(基準座標)を基準とする相対的な位置であって、定義情報3を満たす位置を頂点地点の位置として算出してよい。例えば、決定部233は、頂点地点T31~T34を結んだ面に対し、端末装置10-3に対応する基準座標P10-3「x6,y6,z6」で示される高さを適用することにより、残り4つの頂点地点(頂点地点T35~T38)を算出してよい。
【0320】
例えば、決定部233は、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」と、奥行「10m」と、基準座標P10-3とに基づき相対座標t35およびt38を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t35を頂点地点T35の位置と定め、相対座標t38を頂点地点T38の位置と定めてよい。また、例えば、決定部233は、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」と、奥行「10m」と、基準座標P10-3とに基づき相対座標t36およびt37を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t36を頂点地点T36の位置と定め、相対座標t37を頂点地点T37の位置と定めてよい。
【0321】
また、決定部233は、定めた8つの頂点地点T31~T38を結んで立体領域AR12を生成してよい。また、決定部233は、利用者U1の定義情報に応じて、飛行経路を決定してよい。なお、飛行経路は、経路決定処理(5)で説明した軌跡と同様の軌跡であってよい。また、指示部234は、決定された飛行経路を示す経路情報を飛行体60にインプットしてよい。
【0322】
〔1-8.経路決定処理(8)〕
図17は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(8)である。図17では、利用者U1が、建造物BDを囲むような立体領域に対する所定の態様で飛行体60を飛行させたい、といった目的に応じて、建造物BDの地上4端それぞれに端末装置10-1、端末装置10-2、端末装置10-3、端末装置10-4を設置している場合が例示されている。図17の例では、図15と比較して、さらに端末装置10-xが1つ追加されている(計4つ)。また、図17の例では、図15と比較して、追加された1つの端末装置10-xが建造物BDの残り1端にさらに設置されている。具体的には、図17の例では、追加された端末装置10-4が建造物BDの残り1端に設置されている。すなわち、利用者U1は、例えば、端末装置10-1~10-4を利用対象とした状態でこれら端末装置を起点とし、立体領域の各頂点となる頂点地点を定義付ける定義情報を決定装置200に対して入力してよい。
【0323】
具体的には、利用者U1は、例えば、[端末装置10-1の位置を1つの頂点(頂点地点T31)とする]という定義情報1を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[端末装置10-2の位置を1つの頂点(頂点地点T32)とする]という定義情報2を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[端末装置10-3の位置を1つの頂点(頂点地点T33)とする]という定義情報3を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[端末装置10-4の位置を1つの頂点(頂点地点T34)とする]という定義情報4を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[頂点地点T31~T34を結んだ面を底面とする高さ「30m」(N141に対応)の立体領域]という定義情報5を決定装置200に入力してよい。
【0324】
係る場合、決定部233は、地上4台の端末装置10-xそれぞれに対応する補正済位置情報を基準(基準座標)として、定義情報1~5を満たす位置を頂点地点の位置として算出してよい。
【0325】
具体的には、決定部233は、例えば、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」を頂点地点T31の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」を頂点地点T32の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-3に対応する基準座標P10-3「x5,y5,z5」を頂点地点T33の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-4に対応する基準座標P10-3「x7,y7,z7」を頂点地点T34の位置と定めてよい。
【0326】
また、決定部233は、4台の端末装置10-xそれぞれに対応する補正済位置情報を基準(基準座標)とする相対的な位置であって、定義情報5を満たす位置を頂点地点の位置として算出してよい。例えば、決定部233は、頂点地点T31~T34を結んだ面を底面とした場合の高さ「30m」に対応する残り4つの頂点地点(頂点地点T35~T38)を算出してよい。
【0327】
例えば、決定部233は、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」と、高さ「30m」とに基づき相対座標t35を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t35を頂点地点T35の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」と、高さ「30m」とに基づき相対座標t36を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t36を頂点地点T36の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-3に対応する基準座標P10-1「x5,y5,z5」と、高さ「30m」とに基づき相対座標t37を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t37を頂点地点T37の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-4に対応する基準座標P10-4「x7,y7,z7」と、高さ「30m」とに基づき相対座標t38を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t38を頂点地点T38の位置と定めてよい。
【0328】
また、決定部233は、定めた8つの頂点地点T31~T38を結んで立体領域AR12を生成してよい。また、決定部233は、利用者U1の定義情報に応じて、飛行経路を決定してよい。なお、飛行経路は、経路決定処理(5)で説明した軌跡と同様の軌跡であってよい。また、指示部234は、決定した飛行経路を示す経路情報を飛行体60にインプットしてよい。
【0329】
〔1-9.経路決定処理(9)〕
図18は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(9)である。図18では、利用者U1が、建造物BDを囲むような立体領域に対する所定の態様で飛行体60を飛行させたい、といった目的に応じて、建造物BDの地上3端それぞれに端末装置10-1、端末装置10-2、端末装置10-3を設置し、また、建造物BDの屋上に端末装置10-4を設置している場合が例示されている。図18の例は、図15の例と比較して、さらに端末装置10-xが1つ追加されている(計4つ)。また、図18の例は、図15の例と比較して、追加された1つの端末装置10-xが建造物BDの屋上にさらに設置されている。具体的には、図18の例では、追加された端末装置10-4が建造物BDの屋上に設置されている。すなわち、利用者U1は、例えば、端末装置10-1~10-4を利用対象とした状態でこれら端末装置を起点とし、立体領域の各頂点となる頂点地点を定義付ける定義情報を決定装置200に対して入力してよい。
【0330】
具体的には、利用者U1は、例えば、[端末装置10-1の位置を1つの頂点(頂点地点T31)とする]という定義情報1を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[端末装置10-2の位置を1つの頂点(頂点地点T32)とする]という定義情報2を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[端末装置10-3の位置を1つの頂点(頂点地点T33)とする]という定義情報3を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[定義情報1~3に基づく対角線上の位置をさらに1つの頂点(頂点地点T34)とする]という定義情報4を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[頂点地点T31~T34を結んだ面を底面とし、端末装置10-4の位置を高さとする立体領域]という定義情報5を決定装置200に入力してよい。
【0331】
係る場合、決定部233は、地上3台の端末装置10-xそれぞれに対応する補正済位置情報を基準(基準座標)として、定義情報1~5を満たす位置を頂点地点の位置として算出してよい。
【0332】
具体的には、決定部233は、例えば、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」を頂点地点T31の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」を頂点地点T32の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-3に対応する基準座標P10-3「x5,y5,z5」を頂点地点T33の位置と定めてよい。また、決定部233は、これら3つの基準座標に基づき相対座標t34を算出してよい。決定部233は、例えば、相対座標t34を頂点地点T34の位置と定めてよい。
【0333】
また、決定部233は、端末装置10-xそれぞれに対応する補正済位置情報を基準(基準座標)とする相対的な位置であって、定義情報5を満たす位置を頂点地点の位置として算出してよい。例えば、決定部233は、頂点地点T31~T34を結んだ面に対し、端末装置10-4に対応する基準座標P10-4「x6,y6,z6」で示される高さを適用することにより、残り4つの頂点地点(頂点地点T35~T38)を算出してよい。
【0334】
例えば、決定部233は、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」と、基準座標P10-4とに基づき相対座標t35を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t35を頂点地点T35の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」と、基準座標P10-4とに基づき相対座標t36を算出してよい。そして、決定部233は、例えば、相対座標t36を頂点地点T36の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-3に対応する基準座標P10-3「x5,y5,z5」と、基準座標P10-4とに基づき相対座標t37を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t37を頂点地点T37の位置と定めてよい。また、決定部233は、相対座標t35~t37の関係性に基づき残りの相対座標t38を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t38を頂点地点T38の位置と定めてよい。
【0335】
また、決定部233は、定めた8つの頂点地点T31~T38を結んで立体領域AR12を生成してよい。また、決定部233は、利用者U1の定義情報に応じて、飛行経路を決定してよい。なお、飛行経路は、経路決定処理(5)で説明した軌跡と同様の軌跡であってよい。また、指示部234は、決定した飛行経路を示す経路情報を飛行体60にインプットしてよい。
【0336】
〔1-10.経路決定処理(10)〕
図19は、第2の実施形態に係る経路決定処理の一例を示す図(10)である。図19では、利用者U1が、建造物BDを囲むような立体領域に対する所定の態様で飛行体60を飛行させたい、といった目的に応じて、建造物BDの地上4端それぞれに端末装置10-1、端末装置10-2、端末装置10-3、端末装置10-4を設置し、また、建造物BDの屋上に端末装置10-5を設置している場合が例示されている。図19の例は、図17の例と比較して、さらに端末装置10-xが1つ追加されている(計5つ)。また、図19の例では、図17の例と比較して、追加された1つの端末装置10-xが建造物BDの屋上にさらに設置されている。具体的には、図19の例では、追加された端末装置10-5が建造物BDの屋上に設置されている。すなわち、利用者U1は、例えば、端末装置10-1~10-5を利用対象とした状態でこれら端末装置を起点とし、立体領域の各頂点となる頂点地点を定義付ける定義情報を決定装置200に対して入力してよい。
【0337】
具体的には、利用者U1は、例えば、[端末装置10-1の位置を1つの頂点(頂点地点T31)とする]という定義情報1を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[端末装置10-2の位置を1つの頂点(頂点地点T32)とする]という定義情報2を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[端末装置10-3の位置を1つの頂点(頂点地点T33)とする]という定義情報3を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[端末装置10-4の位置を1つの頂点(頂点地点T34)とする]という定義情報4を決定装置200に入力してよい。また、利用者U1は、例えば、[頂点地点T31~T34を結んだ面を底面とし、端末装置10-5の位置を高さとする立体領域]という定義情報5を決定装置200に入力してよい。
【0338】
係る場合、決定部233は、地上4台の端末装置10-xそれぞれに対応する補正済位置情報を基準(基準座標)として、定義情報1~5を満たす位置を頂点地点の位置として算出してよい。
【0339】
具体的には、決定部233は、例えば、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」を頂点地点T31の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」を頂点地点T32の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-3に対応する基準座標P10-3「x5,y5,z5」を頂点地点T33の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-4に対応する基準座標P10-4「x7,y7,z7」を頂点地点T34の位置と定めてよい。
【0340】
また、決定部233は、端末装置10-xそれぞれに対応する補正済位置情報が示す位置の座標(基準座標)を基準とする相対的な位置であって、定義情報5を満たす位置を頂点地点の位置として算出してよい。例えば、決定部233は、頂点地点T31~T34を結んだ面に対し、端末装置10-5に対応する基準座標P10-5「x6,y6,z6」で示される高さを適用することにより、残り4つの頂点地点(頂点地点T35~T38)を算出してよい。
【0341】
例えば、決定部233は、端末装置10-1に対応する基準座標P10-1「x3,y3,z3」と、基準座標P10-5とに基づき相対座標t35を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t35を頂点地点T35の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-2に対応する基準座標P10-2「x4,y4,z4」と、基準座標P10-5とに基づき相対座標t36を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t36を頂点地点T36の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-3に対応する基準座標P10-3「x5,y5,z5」と、基準座標P10-5とに基づき相対座標t37を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t37を頂点地点T37の位置と定めてよい。また、決定部233は、例えば、端末装置10-4に対応する基準座標P10-4「x7,y7,z7」と、基準座標P10-5とに基づき相対座標t38を算出してよい。そして、決定部233は、相対座標t38を頂点地点T38の位置と定めてよい。
【0342】
また、決定部233は、定めた8つの頂点地点T31~T38を結んで立体領域AR12を生成してよい。また、決定部233は、利用者U1の定義情報に応じて、飛行経路を決定してよい。なお、飛行経路は、経路決定処理(5)で説明した軌跡と同様の軌跡であってよい。また、指示部234は、決定した飛行経路を示す経路情報を飛行体60にインプットしてよい。
【0343】
(その他の実施形態)
端末装置10-xは、上記実施形態で示した経路決定処理が組み合わされることで、上記例以外にも様々な分野への活用が期待される。以下では、端末装置10-xにおけるユースケースの一例を示す。
【0344】
例えば、所定のオブジェクトに対して端末装置10-xが設置されたうえで、目的に合わせた定義情報入力されたとする。係る場合、決定装置200は、オブジェクトとの距離を所定距離保った状態で、オブジェクトに追従するような飛行経路で飛行するよう飛行体60を制御してもよい。これによれば一実施形態に係る決定装置200は、例えば、車両、鉄道、ドローン等のように移動しているオブジェクトを対象として、オブジェクトとの距離を一定に保ちつつ、撮影画像を取得することができる。また、例えば、オブジェクトに対する点検目的で撮影が行われる場合、決定装置200は、距離が一定に保たれた撮影画像を取得することで、点検の精度を高めることができる。
【0345】
また、決定装置200は、端末装置10-xから得られた位置情報(補正済位置情報)の履歴に基づいて、最適な飛行経路を決定してもよい。例えば、端末装置10-xが車両に搭載された場合、決定装置200は、端末装置10-xから得られた位置情報の履歴に基づいて、係る車両がどのような軌跡で移動したかを示す移動軌跡を検出してよい。この場合、より多くの車両に端末装置10-xが搭載されれば、決定装置200は、移動軌跡の統計を検出することができる。すなわち、一実施形態に係る決定装置200は、車道を検出してよい。この場合、決定装置200は、検出した移動軌跡(車道)上空において、移動軌跡からずらした軌跡を飛行経路として決定してもよい。具体的には、決定装置200は、移動軌跡の上空において、移動軌跡に沿う軌跡を飛行経路として決定してよい。これによれば、一実施形態に係る決定装置200は、車両や車道に向けて飛行体60が落下が落下してしまうリスクを軽減しすることができる。また、一実施形態に係る決定装置200は、交通状況を撮影可能な飛行経路を決定することができる。
【0346】
また、決定装置200は、端末装置10-xから得られた位置情報(補正済位置情報)の履歴に基づいて、線路の点検に最適な飛行経路を決定してもよい。この場合、端末装置10-xが鉄道に搭載されるため、一実施形態に係る決定装置200は、線路に応じた比較的高精度な座標を検出することができる。すなわち、一実施形態に係る決定装置200は、線路に応じた座標によって示される軌跡を飛行経路して決定することで、飛行体60を線路点検に活用させることができる。
【0347】
(ハードウェア構成)
また、上記実施形態に係る経路決定システム1に含まれる端末装置10-x、移動体装置60、演算装置100および決定装置200は、例えば図20に示すような構成のコンピュータ1000によって実現されてよい。以下、決定装置200を例に挙げて説明する。図20は、決定装置200の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、およびメディアインターフェイス(I/F)1700を有してよい。
【0348】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行ってよい。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納してよい。
【0349】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、および、係るプログラムによって使用されるデータ等を格納してよい。通信インターフェイス1500は、通信網50を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送信してよい。通信インターフェイス1500は、CPU1100が生成したデータを、通信網50を介して他の機器へ送信してよい。
【0350】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、および、キーボードやマウス等の入力装置を制御してよい。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得してよい。また、CPU1100は、生成したデータを、入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力してよい。
【0351】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供してよい。CPU1100は、係るプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行してよい。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等であってよい。
【0352】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る決定装置200として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部230の機能を実現してよい。また、HDD1400には、記憶部120内のデータが格納されてよい。CPU1100は、これらのプログラムを、記録媒体1800から読み取って実行してよい。CPU1100は、他の装置から、通信網50を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0353】
(その他)
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0354】
例えば、上記実施形態において複数の端末装置10-xが含まれる場合、複数の端末装置10-xはそれぞれ異なる装置であってよい。すなわち、自端末の機能を実現することができれば、複数の端末装置10-xはそれぞれ同一の装置でなくともよい。例えば、端末装置10-xが設置され、あるいは搭載される場面に応じて、装置の形状や有する機能は異なっていてよい。
【0355】
以上、本願の実施形態をいくつかの図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0356】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、決定部は、決定手段や決定回路などに読み替えることができる。
【符号の説明】
【0357】
1 経路決定システム
10 端末装置
13a 受信部
13b 概略位置算出部
13c 取得部
13d 選択部
13e 補正部
13f 送信部
30 基準局
60 移動体装置(移動体)
63a 補正済位置情報取得部
63b 経路情報取得部
63c 移動制御部
100 演算装置
131 受信部
132 生成部
133 送信部
200 決定装置
231 補正済位置情報取得部
232 受付部
233 決定部
234 指示部
235 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2023-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算装置と、移動体の経路の基準となる端末装置と、決定装置とを含む経路決定システムであって、
前記演算装置は、
複数の人工衛星により発信されたデータを受信する受信部と、
前記データに基づいて、前記複数の人工衛星ごとに、前記端末装置の概略的な位置情報を補正する補正情報を生成する生成部と、
前記複数の人工衛星ごとに生成された前記補正情報を、前記複数の人工衛星のいずれかを経由して、前記端末装置に送信する送信部と
を有し、
前記端末装置は、
前記複数の人工衛星ごとに生成された前記補正情報を取得する取得部と、
前記複数の人工衛星のうち、自装置の位置から検出可能な人工衛星に対応する補正情報を、前記複数の人工衛星ごとに生成された前記補正情報の中から選択する選択部と、
前記選択部により選択された補正情報に基づいて、自装置の位置情報を算出する算出部と
を有し、
前記決定装置は、
前記算出部により算出された位置情報に基づいて、前記移動体の移動経路を決定する決定部
を有する
ことを特徴とする経路決定システム。
【請求項2】
前記算出部は、前記選択部により選択された補正情報を用いたPPP(Precise Point Positioning)測位演算により、前記端末装置の位置情報を算出する
ことを特徴とする請求項に記載の経路決定システム。
【請求項3】
演算装置と、基準局と、移動体の経路の基準となる端末装置と、決定装置とを含む経路決定システムであって、
前記演算装置は、
複数の人工衛星により発信されたデータを受信する受信部と、
前記データのうち、前記基準局を介さず受信されたデータと、前記基準局を介して受信されたデータであって前記基準局の座標の情報を含むデータとに基づいて、前記基準局を含む所定の範囲に含まれるエリアごとに、前記端末装置の概略的な位置情報を補正する補正情報を生成する生成部と、
前記エリアごとに生成された前記補正情報を、前記複数の人工衛星のいずれかを経由して、前記端末装置に送信する送信部と
を有し、
前記端末装置は、
前記エリアごとに生成された前記補正情報を取得する取得部と、
前記エリアのうち、自装置の位置に対応するエリアについて生成された補正情報を、前記エリアごとに生成された前記補正情報の中から選択する選択部と、
前記選択部により選択された補正情報に基づいて、自装置の位置情報を算出する算出部と
を有し、
前記決定装置は、
前記算出部により算出された位置情報に基づいて、前記移動体の移動経路を決定する決定部
を有する
ことを特徴とする経路決定システム。
【請求項4】
前記算出部は、前記選択部により選択された補正情報を用いたPPP(Precise Point Positioning)-RTK(Real Time Kinematic)測位演算により、前記端末装置の位置情報を算出する
ことを特徴とする請求項に記載の経路決定システム。
【請求項5】
前記決定装置は、
前記移動経路を定義付ける定義情報を利用者から受け付ける受付部をさらに有し、
前記決定部は、前記算出部により算出された位置情報と、前記受付部により受け付けられた定義情報とに基づいて、前記移動体の移動経路を決定する
請求項1~のいずれか1つに記載の経路決定システム。
【請求項6】
前記受付部は、前記定義情報として、前記端末装置を基準とする移動態様を所定の条件を用いて定義付ける定義情報を利用者から受け付け、
前記決定部は、前記定義情報に基づいて、前記算出部により算出された位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、前記定義情報を満たす位置を含む経路を、前記移動体の移動経路として決定する
ことを特徴とする請求項に記載の経路決定システム。
【請求項7】
前記受付部は、前記端末装置のうち所定の端末装置を利用対象として、前記所定の端末装置の位置を基準とする目標地点であって、前記移動体を到達させる目標地点までの移動態様が前記所定の条件を用いて定義された定義情報を受け付け、
前記決定部は、前記目標地点までの移動態様が定義された定義情報が受け付けられた場合に、前記算出部により算出された位置情報のうち、前記所定の端末装置の位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、前記定義情報を満たす位置を含む経路を、前記所定の端末装置から前記目標地点までの前記移動体の移動経路として決定する
請求項に記載の経路決定システム。
【請求項8】
前記決定部は、前記端末装置のうち所定の1つの端末装置を利用対象として、前記所定の1つの端末装置の位置を基準とする目標地点であって、前記移動体を到達させる目標地点までの移動態様が前記所定の条件を用いて定義された定義情報が受け付けられた場合には、前記算出部により算出された位置情報のうち、前記所定の1つの前記端末装置の位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、前記定義情報を満たす位置を含む経路を、前記目標地点までの前記移動体の移動経路として決定する
請求項に記載の経路決定システム。
【請求項9】
前記決定部は、前記端末装置のうち所定の2つの端末装置を利用対象とし、一方の端末装置の位置を基準とする開始地点であって前記移動体に対して到達すべき目標に向けての移動を開始させる開始地点から、他方の端末装置の位置を基準とする到達地点であって前記移動体を到達させる到達地点までの移動態様が前記所定の条件を用いて定義された定義情報が受け付けられた場合には、前記算出部により算出された位置情報のうち、各端末装置の位置情報が示す位置を基準とする相対的な位置であって、前記定義情報を満たす位置を含む経路を、前記開始地点から前記到達地点までの前記移動体の移動経路として決定する
請求項7または8に記載の経路決定システム。
【請求項10】
演算装置と、移動体の経路の基準となる端末装置と、決定装置とを含む経路決定システムが実行する経路決定方法であって、
前記演算装置が、
複数の人工衛星により発信されたデータを受信する受信工程と、
前記データに基づいて、前記複数の人工衛星ごとに、前記端末装置の概略的な位置情報を補正する補正情報を生成する生成工程と、
前記複数の人工衛星ごとに生成された前記補正情報を、前記複数の人工衛星のいずれかを経由して、前記端末装置に送信する送信工程と
を含み、
前記端末装置が、
前記複数の人工衛星ごとに生成された前記補正情報を取得する取得工程と、
前記複数の人工衛星のうち、自装置の位置から検出可能な人工衛星に対応する補正情報を、前記複数の人工衛星ごとに生成された前記補正情報の中から選択する選択工程と、
前記選択工程により選択された補正情報に基づいて、自装置の位置情報を算出する算出工程と
を含み、
前記決定装置が、
前記算出工程により算出された位置情報に基づいて、前記移動体の移動経路を決定する決定工程
を含む
ことを特徴とする経路決定方法。
【請求項11】
演算装置と、基準局と、移動体の経路の基準となる端末装置と、決定装置とを含む経路決定システムが実行する経路決定方法であって、
前記演算装置が、
複数の人工衛星により発信されたデータを受信する受信工程と、
前記データのうち、前記基準局を介さず受信されたデータと、前記基準局を介して受信されたデータであって前記基準局の座標の情報を含むデータとに基づいて、前記基準局を含む所定の範囲に含まれるエリアごとに、前記端末装置の概略的な位置情報を補正する補正情報を生成する生成工程と、
前記エリアごとに生成された前記補正情報を、前記複数の人工衛星のいずれかを経由して、前記端末装置に送信する送信工程と
を含み、
前記端末装置が、
前記エリアごとに生成された前記補正情報を取得する取得工程と、
前記エリアのうち、自装置の位置に対応するエリアについて生成された補正情報を、前記エリアごとに生成された前記補正情報の中から選択する選択工程と、
前記選択工程により選択された補正情報に基づいて、自装置の位置情報を算出する算出工程と
を含み、
前記決定装置は、
前記算出工程により算出された位置情報に基づいて、前記移動体の移動経路を決定する決定工程
を含む
ことを特徴とする経路決定方法。
【請求項12】
演算装置が実行する演算プログラムと、移動体の経路の基準となる端末装置が実行する端末プログラムと、決定装置が実行する経路決定プログラムとを含むシステムプログラムであって、
前記演算装置に、
複数の人工衛星により発信されたデータを受信する受信手順と、
前記データに基づいて、前記複数の人工衛星ごとに、前記端末装置の概略的な位置情報を補正する補正情報を生成する生成手順と、
前記複数の人工衛星ごとに生成された前記補正情報を、前記複数の人工衛星のいずれかを経由して、前記端末装置に送信する送信手順と
を実行させ、
前記端末装置に、
前記複数の人工衛星ごとに生成された前記補正情報を取得する取得手順と、
前記複数の人工衛星のうち、自装置の位置から検出可能な人工衛星に対応する補正情報を、前記複数の人工衛星ごとに生成された前記補正情報の中から選択する選択手順と、
前記選択手順により選択された補正情報に基づいて、自装置の位置情報を算出する算出手順と
を実行させ、
前記決定装置に、
前記算出手順により算出された位置情報に基づいて、前記移動体の移動経路を決定する決定手順
を実行させる
ことを特徴とするシステムプログラム。
【請求項13】
演算装置が実行する演算プログラムと、移動体の経路の基準となる端末装置が実行する端末プログラムと、決定装置が実行する経路決定プログラムとを含むシステムプログラムであって、
前記演算装置に、
複数の人工衛星により発信されたデータを受信する受信手順と、
前記データのうち、基準局を介さず受信されたデータと、前記基準局を介して受信されたデータであって前記基準局の座標の情報を含むデータとに基づいて、前記基準局を含む所定の範囲に含まれるエリアごとに、前記端末装置の概略的な位置情報を補正する補正情報を生成する生成手順と、
前記エリアごとに生成された前記補正情報を、前記複数の人工衛星のいずれかを経由して、前記端末装置に送信する送信手順と
を実行させ、
前記端末装置に、
前記エリアごとに生成された前記補正情報を取得する取得手順と、
前記エリアのうち、自装置の位置に対応するエリアについて生成された補正情報を、前記エリアごとに生成された前記補正情報の中から選択する選択手順と、
前記選択手順により選択された補正情報に基づいて、自装置の位置情報を算出する算出手順と
を実行させ、
前記決定装置に、
前記算出手順により算出された位置情報に基づいて、前記移動体の移動経路を決定する決定手順
を実行させる
ことを特徴とするシステムプログラム。