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特開2023-93135アクチュエータ、エンコーダおよびエンコーダの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093135
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】アクチュエータ、エンコーダおよびエンコーダの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
G01D5/245 110J
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208571
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】山岸 建
(72)【発明者】
【氏名】村上 靖明
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077CC02
2F077NN02
2F077NN05
2F077NN24
2F077NN28
2F077PP12
2F077PP19
2F077VV33
(57)【要約】
【課題】モータの移動位置と実際に測定されるエンコーダの検出結果とを一致させることができるエンコーダを使用したアクチュエータ等を提供する。
【解決手段】モータと、エンコーダミラー344aを備えるエンコーダとを備えるアクチュエータである。エンコーダミラー344aは、モータに連動して移動する。そして、エンコーダミラー344aは、モータの移動位置を求めるために、移動方向に複数のスケールSkがマーキングされている。スケールSkは、モータを動作させたときに、モータの予め定められた移動位置を、スケールをマーキングする位置とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータに連動して移動し、当該モータの移動位置を求めるために、移動方向に複数のスケールがマーキングされたエンコーダスケールを有するエンコーダと、
を備え、
前記エンコーダスケールは、前記モータを動作させたときに、当該モータの予め定められた移動位置に対応する箇所を、前記スケールをマーキングする位置としたアクチュエータ。
【請求項2】
前記モータは、回転電動モータであり、
前記エンコーダスケールは、前記回転電動モータに連動して回転し、前記回転電動モータの予め定められた機械角に対応して、回転方向に前記スケールがマーキングされた請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記回転電動モータは、ブラシレスモータであり、
前記エンコーダスケールは、前記ブラシレスモータを動作させるコイルに予め定められた通電モードで通電したときに当該エンコーダスケールが回転した箇所にマーキングされた第1のスケールを含む請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1のスケールに加え、さらに第2のスケールがマーキングされた請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第2のスケールは、一対の前記第1のスケールの間にマーキングされたものである請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第1のスケールは、前記ブラシレスモータの機械角を定める原点にマーキングされ、
前記第2のスケールは、原点となる前記第1のスケール以外のスケールである請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
減速前の前記回転電動モータに付属するエンコーダである減速前エンコーダにより定まる当該回転電動モータの回転位置に対応して、減速後の前記エンコーダスケールが回転した位置に対し前記スケールがマーキングされた請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記モータは、リニアモータであり、
前記リニアモータの移動子の位置に対応して、前記スケールがマーキングされた請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
モータに連動して移動し、当該モータの移動位置を求めるために、移動方向に複数のスケールがマーキングされたエンコーダスケールを備え、
前記エンコーダスケールは、前記モータを動作させたときに、当該モータの予め定められた移動位置に対応する箇所を、前記スケールをマーキングする位置としたエンコーダ。
【請求項10】
モータに連動して移動し、当該モータの移動位置を求めるために、移動方向に複数のスケールがマーキングされたエンコーダスケールを備えるエンコーダの製造方法であり、
前記モータを動作させたときに、当該モータの予め定められた移動位置に対応して、前記スケールをマーキングするマーキング工程を含むエンコーダの製造方法。
【請求項11】
前記モータは、ブラシレスモータであり、
前記マーキング工程は、前記ブラシレスモータを動作させるコイルに予め定められた通電モードで通電したときに前記エンコーダスケールが回転した箇所に第1のスケールをマーキングする第1のマーキング工程を含む請求項10に記載のエンコーダの製造方法。
【請求項12】
前記第1のマーキング工程は、1つの前記通電モードについて、複数回通電して前記第1のスケールをマーキングする箇所の位置決めを行う請求項11に記載のエンコーダの製造方法。
【請求項13】
前記第1のマーキング工程は、1つの前記通電モードについて、前記モータを正転および逆転の双方で通電して前記第1のスケールをマーキングする箇所の位置決めを行う請求項11に記載のエンコーダの製造方法。
【請求項14】
前記第1のマーキング工程でマーキングされた前記第1のスケールに加え、さらに第2のスケールをマーキングする第2のマーキング工程をさらに含む請求項11に記載のエンコーダの製造方法。
【請求項15】
前記第2のスケールは、前記第1のマーキング工程でマーキングされた一対の前記第1のスケールの間にマーキングされる請求項14に記載のエンコーダの製造方法。
【請求項16】
前記第1のマーキング工程は、前記ブラシレスモータの機械角を定める原点となる前記第1のスケールをマーキングし、
前記第2のマーキング工程は、原点となる前記第1のスケール以外のマーキングである前記第2のスケールをマーキングする請求項14に記載のエンコーダの製造方法。
【請求項17】
前記エンコーダスケールを備える前記モータを、当該エンコーダスケールの水平方向および回転方向に移動させることが可能なテーブル上に載置する載置工程を含み、
前記第2のマーキング工程は、前記テーブルを前記第1のスケールの位置に応じ移動することで、前記エンコーダスケールを水平方向および回転方向に移動し、前記第2のスケールをマーキングする請求項14に記載のエンコーダの製造方法。
【請求項18】
前記第1のマーキング工程および前記第2のマーキング工程の少なくとも一方は、前記ブラシレスモータに付属するホールセンサを併用して前記スケールをマーキングする箇所の位置決めを行う請求項14に記載のエンコーダの製造方法。
【請求項19】
前記第1のマーキング工程および前記第2のマーキング工程の少なくとも一方は、バックスラッシュが生じないように前記エンコーダスケールの回転機構に負荷をかける請求項14に記載のエンコーダの製造方法。
【請求項20】
前記モータは、回転電動モータであり、
減速前の前記回転電動モータに付属するエンコーダである減速前エンコーダにより、当該回転電動モータの回転位置の制御を行い、
前記マーキング工程は、前記回転電動モータの回転位置に対応して、減速後の前記エンコーダスケールが回転した位置に対し前記スケールをマーキングする請求項10に記載のエンコーダの製造方法。
【請求項21】
前記モータは、リニアモータであり、
前記リニアモータの移動子の位置に対応して、前記スケールをマーキングする請求項10に記載のエンコーダの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ、エンコーダ、エンコーダの製造方法に関する。より詳しくは、モータの移動位置を求めるために使用するエンコーダを使用したアクチュエータ、このエンコーダ、およびこのエンコーダの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットのアーム等を動作させるために、アクチュエータを使用することがある。このアクチュエータには、例えば、回転電動モータが内蔵されており、回転電動モータの機械角を制御することで、アームの位置を制御する。このとき、回転電動モータの移動位置を検出するために、エンコーダを用いることがある。エンコーダは、回転電動モータの場合、例えば、円盤状のエンコーダミラーの周方向にスケールがマーキングされている。そして、このスケールを読み取ることで、回転電動モータの移動位置として機械角を検出する。
【0003】
特許文献1には、回転体の回転軸に取り付けるロータリースケールの製造方法が開示されている。このロータリースケールの製造方法は、第1の工程と、第2の工程と、第3の工程とを有する。第1の工程は、スケール基材に、スケールパターンを形成するとともにマークを形成する。マークは、スケールパターンの中心軸と同軸となるように回転軸の中心軸を位置合わせした場合の回転軸の外形形状を示す。第2の工程は、マークを含み第1の幅を有するスケール基材の第1領域を切断する。第3の工程は、第2の幅を有する第2領域を切断する。第2の幅は、第1領域を切断した後に残るマークを含み第1領域よりもスケール基材の周方向の長さが短く第1の幅よりも小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-138759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、機械誤差などの要因により、モータの移動位置に対し実際に測定されるエンコーダの検出結果にずれが生じる場合がある。かかる場合、モータの移動位置の検出精度が低下する。
本発明は、モータの移動位置に対するエンコーダの検出結果にずれが生じにくいエンコーダを使用したアクチュエータ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアクチュエータは、モータと、エンコーダスケールを有するエンコーダとを備える。エンコーダスケールは、モータに連動して移動する。そして、エンコーダスケールは、モータの移動位置を求めるために、移動方向に複数のスケールがマーキングされている。スケールは、モータを動作させたときに、モータの予め定められた移動位置を、スケールをマーキングする位置とする。
【0007】
ここで、モータは、回転電動モータとすることができる。この場合、エンコーダスケールは、回転電動モータに連動して回転する。そして、エンコーダスケールは、回転電動モータの予め定められた機械角に対応して、回転方向にスケールがマーキングされている。
また、回転電動モータは、ブラシレスモータとすることができる。この場合、ブラシレスモータを動作させるコイルに予め定められた通電モードで通電する。そして、このときにエンコーダスケールが回転した箇所にマーキングされる。
さらに、第1のスケールに加え、さらに第2のスケールがマーキングされるようにすることができる。
またさらに、第2のスケールは、一対の第1のスケールの間にマーキングされたものとすることができる。
そして、第1のスケールは、ブラシレスモータの機械角を定める原点にマーキングすることができる。この場合、第2のスケールは、原点となる第1のスケール以外のスケールである。
また、減速後のエンコーダスケールが回転した位置に対しスケールがマーキングされるようにすることができる。この場合、減速前エンコーダにより定まる回転電動モータの回転位置に対応して、マーキングされる。減速前エンコーダは、減速前の回転電動モータに付属するエンコーダである。
さらに、モータは、リニアモータとすることができる。この場合、リニアモータの移動子の位置に対応して、スケールがマーキングされる。
【0008】
本発明のエンコーダは、エンコーダスケールを備える。エンコーダスケールは、モータに連動して移動する。そして、エンコーダスケールは、モータの移動位置を求めるために、移動方向に複数のスケールがマーキングされている。スケールは、モータを動作させたときに、モータの予め定められた移動位置を、スケールをマーキングする位置としている。
また、本発明のエンコーダの製造方法は、エンコーダスケールを備えるエンコーダの製造方法である。エンコーダは、モータに連動して移動し、モータの移動位置を求める。エンコーダは、移動方向に複数のスケールがマーキングされたエンコーダスケールを備える。エンコーダの製造方法は、マーキング工程を含む。マーキング工程は、モータを動作させたときに、モータの予め定められた移動位置に対応して、スケールをマーキングする。
【0009】
ここで、モータは、ブラシレスモータとすることができる。この場合、マーキング工程は、第1のマーキング工程を含む。第1のマーキング工程は、ブラシレスモータを動作させるコイルに予め定められた通電モードで通電する。そして、このときにエンコーダスケールが回転した箇所に第1のスケールをマーキングする。
また、第1のマーキング工程は、1つの通電モードについて、複数回通電するようにしてもよい。これにより、第1のスケールをマーキングする箇所の位置決めを行う。
さらに、第1のマーキング工程は、1つの通電モードについて、モータを正転および逆転の双方で通電するようにしてもよい。これにより、マーキングする箇所の位置決めを行う。
またさらに、第2のマーキング工程をさらに含むようにすることができる。第2のマーキング工程は、第1のマーキング工程でマーキングされた第1のスケールに加え、さらに第2のスケールをマーキングする。
そして、第2のスケールは、一対の第1のスケールの間にマーキングされるようにしてもよい。一対の第1のスケールは、第1のマーキング工程でマーキングされる。
また、第1のマーキング工程は、ブラシレスモータの機械角を定める原点となる第1のスケールをマーキングするようにしてもよい。この場合、第2のマーキング工程は、原点となる第1のスケール以外のマーキングである第2のスケールをマーキングする。
さらに、エンコーダスケールを備えるモータを、テーブル上に載置する載置工程を含むようにしてもよい。テーブルは、エンコーダスケールの水平方向および回転方向に移動させることが可能である。そして、第2のマーキング工程は、テーブルを第1のスケールの位置に応じ移動する。これにより、エンコーダスケールを水平方向および回転方向に移動し、第2のスケールをマーキングする。
またさらに、ホールセンサを併用してスケールをマーキングする箇所の位置決めを行うようにしてもよい。これは、第1のマーキング工程および第2のマーキング工程の少なくとも一方に適用される。ホールセンサは、ブラシレスモータに付属する。
そして、バックスラッシュが生じないようにエンコーダスケールの回転機構に負荷をかけるようにしてもよい。これは、第1のマーキング工程および第2のマーキング工程の少なくとも一方に適用される。
また、モータは、回転電動モータとすることができる。このとき減速前エンコーダにより、回転電動モータの回転位置の制御を行う。減速前エンコーダは、減速前の回転電動モータに付属するエンコーダである。この場合、マーキング工程は、スケールをマーキングする。スケールは、回転電動モータの回転位置に対応して、減速後のエンコーダスケールが回転した位置にマーキングする。
さらに、モータは、リニアモータとすることができる。この場合、リニアモータの移動子の位置に対応して、スケールをマーキングする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、減速前と減速後のエンコーダの間に中心軸の位置ずれが生じる場合でも、角度誤差が生じにくいエンコーダ等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態が適用されるロボットシステムの全体構成の一例を示す図である。
図2】(a)は、アクチュエータの斜視図である。(b)は、(a)に示したアクチュエータの断面図である。
図3】(a)は、モータの構成について示した図である。(b)は、複数のコイルCoの結線の例について示した図である。
図4】(a)~(b)は、エンコーダミラーについて示した図である。
図5】アクチュエータを制御するときの制御部の機能構成例について示したブロック図である。
図6】第1の実施形態におけるスケールのマーキング方法について示したフローチャートである。
図7】(a)は、図6のステップ102の通電モードについて示した図である。(b)は、モータに発生する磁束の向きについて示した図である。(c)は、エンコーダミラーにマーキングされる第1のスケールを示した図である。
図8】(a)~(f)は、極対数と第1のスケールをマーキングする範囲との関係を示した図である。
図9】(a)~(k)は、図6のステップ105~ステップ106の具体的な動作例について示した図である。
図10】(a)~(b)は、第1の実施形態でマーキングする第1のスケールと第2のスケールとの関係を示した図である。
図11】第1の実施形態でモータやテーブルを制御する制御部の機能構成を示したブロック図である。
図12】第2の実施形態におけるスケールのマーキング方法について示したフローチャートである。
図13】(a)~(g)は、図12のステップ202~ステップ205の具体的な動作例について示した図である。
図14】第3の実施形態におけるスケールのマーキング方法について示したフローチャートである。
図15】(a)~(f)は、図14のステップ302~ステップ303の具体的な動作例について示した図である。
図16】(a)は、2相ブラシレスモータの通電モードについて示した図である。(b)は、このときマーキングされる第1のスケールを示した図である。
図17】(a)~(b)は、従来のエンコーダの検出結果について示した図である。
図18】(a)は、減速機により減速前のエンコーダと減速後のエンコーダとの中心軸の位置ずれについて示した概念図である。(b)は、中心軸の位置ずれが生じた場合に、減速前のエンコーダと減速後のエンコーダとの間で生じる角度誤差を示した図である。
図19】(a)は、リニアモータについて示した図である。(b)は、スケールを順次マーキングする様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定するものではない。また、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。さらに、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
【0013】
<ロボットシステム1の全体構成の説明>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用されるロボットシステム1の全体構成の一例を示す図である。
図示するロボットシステム1は、撮影装置10と、画像処理装置20と、ロボット30とを備える。また、ロボットシステム1を構成するものではないが、ここでは部品Bが複数個箱に入っている様子を併せて図示している。
【0014】
撮影装置10は、部品Bの画像を撮影する。撮影装置10は、例えば、複数の部品Bがバラ積みになった箱の中を上方から撮影し、撮影画像を作成する。
画像処理装置20は、撮影装置10が撮影した撮影画像を基に、部品Bの位置および姿勢を求める。
ロボット30は、部品Bの把持を行う。ロボット30は、実際に部品Bの把持を行うハンド31と、ハンド31の位置決めを行うアーム32とを備える。また、ロボット30は、ハンド31およびアーム32の動作を制御するロボット制御部33を備える。さらに、ロボット30は、ロボット制御部33の制御により回転動作を行うアクチュエータ34とを備える。
【0015】
以上説明したロボットシステム1は、次のように動作する。
まず撮影装置10が部品Bの撮影画像を撮影する。この撮影画像は、画像処理装置20が取得する。そして、画像処理装置20が、この撮影画像を基に、部品Bの位置および姿勢を求める。さらに、画像処理装置20が求めた部品Bの位置および姿勢は、ロボット30のロボット制御部33に送られる。ロボット制御部33は、部品Bの位置および姿勢に基づき、ハンド31とアーム32とを制御し、部品Bの把持を行う。ロボット30は、図示するアクチュエータ34において、両矢印方向に回転可能である。そして、アクチュエータ34を回転させることで、ハンド31とアーム32を部品Bを把持する位置に移動させることができる。部品Bが把持された後は、例えば、ロボット30が、この部品Bを予め定められた位置に並べる。また、例えば、ロボット30が、製品の組み立てを行うために、部品Bの組み付けを行う。
【0016】
なお、ロボット30は、部品Bを、把持したり組み付けを行うことが目的であったが、これに限られるものではない。例えば、ロボット30を溶接を行う溶接ロボットとしてもよい。また、例えば、ロボット30を搬送を行う搬送ロボットや塗装を行う塗装ロボットとしてもよい。また、ロボットシステム1は、撮影装置10や画像処理装置20を備えなくてもよい。この場合、ロボット30は、決められた動作を、予め定められたシーケンスにより繰り返す。また、ロボットシステム1は、撮影装置10や画像処理装置20を、ロボット内部に備えていてもよい。例えば、ロボットシステム1は、撮影装置10や画像処理装置20を、アーム32の先端(ハンド31の位置)などに備えていてもよい。
さらに、ロボット30は、予め定められた場所に固定される固定式のみならず、移動することができる移動式としてもよい。
【0017】
<アクチュエータ34の説明>
図2(a)は、アクチュエータ34の斜視図である。また、図2(b)は、図2(a)に示したアクチュエータ34の断面図である。
図2(a)~(b)に示すように、アクチュエータ34は、モータ341と、減速機342と、回転軸343と、エンコーダ344とを備える。
【0018】
図3(a)は、モータ341の構成について示した図である。
モータ341は、回転電動モータであり、さらに具体的には、ブラシレスモータである。モータ341は、回転子341aと、固定子341bとを備えている。
図示するように、回転子341aは、固定子341bの内側に収容される。即ち、図示するモータ341は、いわゆるインナーロータ型のブラシレスモータである。回転子341aは、固定子341bに電力を供給することで回転する。回転子341aは、回転軸と、回転軸に装着されたメインマグネットとを備える。メインマグネットとしては、2極に着磁された円筒状の磁石を例示することができる。
固定子341bは、回転子341aの周囲に配され、全体として円筒形状となる複数のコイルCoから構成される。そして、これらのコイルCoの端部が決められた組合せで接続されている。
【0019】
図3(b)は、複数のコイルCoの結線の例について示した図である。
ここでは、コイルCoとして、6つのコイルCo1~Co6を結線する場合を示している。コイルCo1~Co6は、図3(b)に示すように、接続する。即ち、コイルCo3とコイルCo6とを直列に接続する。また、コイルCo5とコイルCo2とを直列に接続する。さらに、コイルCo1とコイルCo4とを、直列に接続する。そして、コイルCo3とコイルCo6とから構成される相をV相とする。さらに、コイルCo5とコイルCo2とから構成される相をU相とする。またさらに、コイルCo1とコイルCo4とから構成される相をW相とする。この場合、コイルCo6の一端がV相端子、コイルCo2の一端が、U相端子、コイルCo4の一端が、W相端子となる。そして、コイルCo1、コイルCo3、コイルCo5の一端は、互いに接続され、中性点(中性点端子)Nとなる。これにより、コイルCo1~Co6は、三相スター結線コイルとなる。また、この結線は、スター結線と呼ばれる。この結線により、モータ341は、3相ブラシレスモータとして動作する。
なおここでは、スター結線について説明したが、これに限られるものではなく、デルタ結線であってもよい。
【0020】
減速機342は、モータ341の回転子341aから出力される動力の回転数を減じる装置である。減速機342は、ギヤ(歯車)等から構成される。回転数は、減速機342により、予め定められた減速比にて減速される。
回転軸343は、減速機342から出力される動力により回転する。そしてこれにより、図1で示したロボット30のアーム32を動作させる。
【0021】
エンコーダ344は、モータ341の移動位置を求めるための装置である。この場合、モータ341は回転を行うため、移動位置は回転位置となる。即ち、このエンコーダ344は、モータ341の回転の移動量(回転量)や角度(機械角)を検出することができるロータリーエンコーダである。エンコーダ344は、エンコーダミラー344aと、エンコーダセンサ344bとを備える。
【0022】
図4(a)~(b)は、エンコーダミラー344aについて示した図である。
このうち図4(a)は、エンコーダミラー344aの全体図である。また、図4(b)は、エンコーダミラー344aの一部を拡大した拡大図である。
エンコーダミラー344aは、エンコーダスケールの一例である。エンコーダミラー344aは、図4(a)に示すように、円環状をなす。そして、エンコーダミラー344aは、モータ341に連動して回転する。また、エンコーダミラー344aには、図4(b)に示すように、複数のスケールSkがマーキングされている。スケールSkは、エンコーダミラー344aの移動方向に沿って設けられる。この場合、エンコーダミラー344aは、モータ341の回転に連動して回転する。そのため、スケールSkは、エンコーダミラー344aの回転方向(周方向)に設けられる。
スケールSkは、例えば、エンコーダミラー344aに印刷されている。また、スケールSkは、例えば、レーザマーキングやエッチングにより作成することもできる。この場合、エンコーダ344は、光学的にスケールSkを読み取る光学式となる。ただし、エンコーダ344は、光学式に限られるものではなく、マグネット式にすることもできる。この場合、スケールSkは、着磁することにより作成する。
【0023】
エンコーダセンサ344bは、エンコーダミラー344aのスケールSkを読み取り、スケールSkをカウントする。エンコーダセンサ344bは、エンコーダミラー344aに対し光を照射する発光部を有する。発光部は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等からなる。また、エンコーダセンサ344bは、エンコーダミラー344aから反射した反射光を受光する受光部を有する。受光部は、フォトセンサ等からなる。反射光は、スケールSkが施されていない箇所と施された箇所とで明暗が生じる。そして、エンコーダセンサ344bは、反射光の明暗を検知し、電気信号とする。さらに、図示しないエンコーダセンサ基板が、この電気信号を基にスケールSkをカウントする。モータ341の起動後、エンコーダセンサ基板は、まずエンコーダミラー344aの原点位置を検出する。そして、エンコーダセンサ基板は、原点の位置を0として、スケールSkをカウントする。これにより、モータ341の機械角を求めることができるとともに、絶対位置や相対位置の検出も行うことができる。よって、指定した位置にモータ341を回転させる制御が可能になり、アクチュエータ34の制御ができる。
【0024】
なお、エンコーダセンサ344bが、一定の時間間隔毎にカウント数を検出することで、速度を検出することもできる。さらに、位相が1/4ずれた関係にある2通りのスケールSkをマーキングし、これを読み取ることで、回転方向を判断することができる。
本実施の形態では、モータ341の機械角を減速機342による減速前と減速後の2通りで検出する。即ち、エンコーダ344は、減速機342による減速前と減速後で、2つ備えられる。減速前と減速後の2つのエンコーダ344を用いる場合、エンコーダ344を2つとも絶対位置を用いるような使用方法とすることができる。また、減速後のエンコーダ344を位置検出に使用し、減速前のエンコーダ344を速度検出に用いるといった使用方法でもよい。その場合、減速前のエンコーダ344に関しては、前述した、起動直後の原点の位置検出を省略して用いることができる。
【0025】
また、アクチュエータ34は、ホールセンサをさらに備えることもできる。ホールセンサは、磁気センサである。磁気センサは、例えば、磁界の作用により電気的特性(抵抗)が変化するホール素子を有するホールICである。ホールセンサを設けることで、モータ341の機械角の検出精度がさらに向上する。
【0026】
<アクチュエータ34の制御機構>
図5は、アクチュエータ34を制御するときのロボット制御部33およびアクチュエータ34の機能構成例について示したブロック図である。
ロボット制御部33は、ハンド31の先端が所定の位置になるように、アクチュエータ34を制御するアクチュエータ制御部346に指令をする。なおここでは、アクチュエータ34が3個である場合を示している。ロボット制御部33は、ハンド31の先端が所定の位置になるために、それぞれのアクチュエータ34の回転位置(機械角)を求める。そして、それぞれのアクチュエータ34のアクチュエータ制御部346に、求めた回転位置(機械角)になるように、指令をする。
アクチュエータ制御部346は、それぞれのアクチュエータ34に設けられ、アクチュエータ34を制御する。この場合、モータ341を指令された回転位置になるように、制御する。この際、上述したエンコーダ344を利用する。つまり、エンコーダ344のエンコーダセンサ344bにより検出された電気信号により、エンコーダセンサ基板345がスケールSkのカウント数を求める。そして、エンコーダセンサ基板345は、カウント数をアクチュエータ制御部346に送る。アクチュエータ制御部346は、このカウント数を基に、モータ341の回転位置を求め、制御する。
【0027】
<スケールSkのマーキング方法>
次に、スケールSkをマーキングする方法について説明する。ここでは、スケールSkをマーキングする方法について、第1の実施形態~第4の実施形態により説明する。
【0028】
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、第1のマーキング工程により、複数のスケールSk(第1のスケールSk1)をマーキングする。このとき、図3(b)で説明したスター結線の通電状態を予め定められた通電モードにした状態で、マーキングを行う。そして、第2のマーキング工程により、これらの第1のスケールSk1の間にさらにスケールSk(第2のスケールSk2)をマーキングする。第1の実施形態は、減速機342の減速前および減速後に使用されるエンコーダ344の何れにも適用が可能である。ただし、以後の説明では、減速前に使用されるエンコーダ344にスケールSkをマーキングする場合について説明する。
【0029】
図6は、第1の実施形態におけるスケールSkのマーキング方法について示したフローチャートである。
【0030】
まず、モータ341を、テーブル上に載置する(ステップ101:載置工程)。なお、モータ341には、エンコーダミラー344aが予め備えられている。即ち、モータ341には、既にエンコーダミラー344aが取り付けられている。そして、この状態で、モータ341を、テーブル上に載置する。このテーブルは、モータ341を、エンコーダミラー344aの水平方向および回転方向に移動させることが可能である。
次に、スター結線の通電状態を予め定められた通電モードに設定する(ステップ102)。
そして、第1のスケールSk1をマーキングする(ステップ103)。
【0031】
図7(a)は、図6のステップ102の通電モードについて示した図である。また、図7(b)は、このときモータ341に発生する磁束の向きについて示している。ここでは、通電モードや磁束の向きが、(1)~(6)の6通りあることを示している。さらに、図7(c)は、このときエンコーダミラー344aにマーキングされる第1のスケールSk1を示している。
【0032】
(1)の場合、図7(a)に示すように、V相端子から中性点Nを経由してU相端子に向け通電を行う。その結果、図7(b)で示した向きに、合成磁束が向く。そして、この合成磁束の変化に応じてモータ341の回転子341aが回転する。さらにこれに連動して、エンコーダミラー344aが回転する。そして、図7(c)に示すように、エンコーダミラー344aが回転した位置にスケールSk1をマーキングする。
【0033】
(2)の場合、図7(a)に示すように、V相端子から中性点Nを経由してW相端子に向け通電を行う。その結果、図7(b)に示した向きに、合成磁束が向く。そして、この合成磁束の変化に応じてモータ341の回転子341aが回転する。またこれに連動して、エンコーダミラー344aが回転する。そして、図7(c)に示すように、エンコーダミラー344aが回転した位置にスケールSk1をマーキングする。
【0034】
以後、(3)の場合、U相端子から中性点Nを経由してW相端子に向け通電を行う。また、(4)では、U相端子から中性点Nを経由してV相端子に向け通電を行う。さらに、(5)では、W相端子から中性点Nを経由してV相端子に向け通電を行う。そして、(6)ではW相端子から中性点Nを経由してU相端子に向け通電を行う。
【0035】
その結果、それぞれ図7(b)で示した向きに、合成磁束が向く。そして、これに応じてモータ341の回転子341aが回転する。さらにこれに連動して、エンコーダミラー344aが回転する。そして、図7(c)に示すように、エンコーダミラー344aが回転した位置にスケールSk1をマーキングする。これは、予め定められた通電モードで通電することで、モータ341を予め定められた電気角にする。そして、エンコーダミラー344aが回転した箇所に第1のスケールSk1をマーキングする、と言うこともできる。さらに、予め定められた通電モードで通電することで、モータ341を予め定められた機械角とする。そして、エンコーダミラー344aが回転した箇所に第1のスケールSk1をマーキングする、と言うこともできる。
【0036】
上記(1)~(6)の通電モードで順に通電を行うと、電気角が1回転する。また、(6)で示したように、電気角が1回転すると、エンコーダミラー344aは、第1のスケールSk1の6個分回転する。これは、電気角360°(1回転)の移動量と考えることができる。上記(1)~(6)は、モータが1回転(機械角360°)するまで繰り返す。繰り返しの回数は、モータ341の極対数(=電気角/機械角)で決まる。極対数が4である場合には、上記(1)~(6)を4回繰り返すことで、回転子341aが1回転する。図7(c)の場合は、極対数が4の場合であり、電気角360°(1回転)の移動量が、回転子341aの1/4回転分となる。これは、機械角が90°回転したと言うこともできる。そして、上記(1)~(6)を4回繰り返すことで、回転子341aが1回転(機械角360°)する。そしてこれに伴い、エンコーダミラー344aも1回転し、第1のスケールSk1のマーキングが終了する。
【0037】
図8(a)~(f)は、極対数と第1のスケールSk1をマーキングする範囲との関係を示した図である。
このうち、図8(a)~(b)は、極体数が3の場合について示している。図8(b)に示すモータ341は、回転子341aが、固定子341bの内側に収容される。即ち、モータ341は、インナーロータ型のブラシレスモータである。そして、回転子341aには、メインマグネットとして、NSの組が3となるように磁石が配される。この場合、極体数は、3である。そして、電気角360°(1回転)に対し、回転子341aの回転子341aが1/3回転する。これは、機械角が120°回転したと言うこともできる。つまり、電気角を3回転させることで、回転子341aが1回転(機械角360°)する。これは、モータ341が1回転したと言うこともできる。そしてこれに伴い、エンコーダミラー344aも1回転する。
【0038】
また、図8(c)~(d)は、極体数が4の場合について示している。これは、図7に示した場合と同様である。図8(d)に示すモータ341は、回転子341aが、固定子341bの外周側に配される。即ち、モータ341は、アウターロータ型のブラシレスモータである。そして、回転子341aには、メインマグネットとして、NSの組が4となるように磁石が配される。この場合、極体数は、4である。そして、上述したように、電気角360°(1回転)に対し、回転子341aの回転子341aが1/4回転する。これは、機械角が90°回転したと言うこともできる。つまり、電気角を4回転させることで、回転子341aが1回転(機械角360°)する。これは、モータ341が1回転したと言うこともできる。そしてこれに伴い、エンコーダミラー344aも1回転する。
【0039】
さらに、図8(e)~(f)は、極体数が7の場合について示している。図8(d)に示すモータ341は、回転子341aが、固定子341bの外周側に配される。即ち、モータ341は、アウターロータ型のブラシレスモータである。そして、回転子341aには、メインマグネットとして、NSの組が7となるように磁石が配される。この場合、極体数は、7である。そして、電気角360°(1回転)に対し、回転子341aの回転子341aが1/7回転する。これは、機械角が360°/7回転したと言うこともできる。つまり、電気角を7回転させることで、回転子341aが1回転(機械角360°)する。これは、モータ341が1回転したと言うこともできる。そしてこれに伴い、エンコーダミラー344aも1回転する。
【0040】
図6に戻り、モータ341が1回転したか否かを判断する(ステップ104)。即ち、(1)~(6)の通電モードを極対数と同じ回数分行ったか否かを判断する。
その結果、モータ341が1回転していない場合(ステップ104でNo)、ステップ102に戻る。
対して、モータ341が1回転した場合(ステップ104でYes)、ステップ105に移行する。ステップ102~ステップ104は、第1のスケールSk1をマーキングする第1のマーキング工程であると捉えることができる。第1のマーキング工程では、モータ341を動作させるコイルCoに予め定められた通電モードで通電する。そして、このときエンコーダミラー344aが回転した箇所に、第1のスケールSk1をマーキングする。
【0041】
第1のマーキング工程は、1つの通電モードについて、複数回通電してもよい。即ち、例えば、(1)の場合、V相端子から中性点Nを経由してU相端子に向け通電を行うことを複数回繰り返す。そして、第1のスケールSk1をマーキングする箇所の位置決めを行う。これにより、位置決めの精度がより向上する。
また、第1のマーキング工程は、1つの通電モードについて、モータ341を正転および逆転の双方で通電してもよい。そして、第1のスケールSk1をマーキングする箇所の位置決めを行う。これにより、位置決めの精度がより向上する。
【0042】
ステップ105では、テーブルを第1のスケールSk1の位置に応じ移動することで、モータ341を水平方向および回転方向に移動する(ステップ105)。つまり、テーブルを移動することで、エンコーダミラー344aを、既にマーキングした第1のスケールSk1の位置に併せ、所定の位置に移動する。
そして、第2のスケールSk2をマーキングする(ステップ106)。
【0043】
さらに、モータ341が1回転したか否かを判断する(ステップ107)。
その結果、モータ341が1回転していない場合(ステップ107でNo)、ステップ105に戻る。
対して、モータ341が1回転した場合(ステップ107でYes)、一連の処理を終了する。
【0044】
図9(a)~(k)は、図6のステップ105~ステップ106の具体的な動作例について示した図である。なお、図9(a)~(k)では、第2のスケールSk2のマーキングの様子がわかりやすいように、第1のスケールSk1を省いた図としている。
図9(a)は、ステップ105を行う前のエンコーダミラー344aの状態を示している。図示するように、モータ341は、テーブル100上に載置されている。モータ341には、エンコーダミラー344aが予め備えられる。このテーブル100は、エンコーダミラー344aの水平方向であるx方向およびy方向に移動可能である。また、テーブル100は、中心軸Cを中心にθ方向に回転可能である。このとき、減速前のエンコーダに使用されるエンコーダミラー344aにマーキングする場合は、減速機342は入らない。対して、減速後のエンコーダに使用されるエンコーダミラー344aにマーキングする場合は、減速機342がモータ341とテーブル100の間に入る。また、テーブル100に回転機構を設け、中心軸Cを中心に回転させるようにしてもよい。この場合、適切なカップリング機構を用いて、x方向およびy方向の位置ずれを吸収することが好ましい。
【0045】
次に、図9(b)で示すように、テーブル100上に載置したエンコーダミラー344aをカメラ110で撮影する。図9(f)は、このとき、カメラ110で撮影されたカメラ画像である。ここでは、カメラ110で撮影した実画像と、この実画像を合わせる対象となるターゲット画像が表示されている。そして、図9(c)で示すように、テーブル100を、x方向、y方向、θ方向に移動させ、実画像をターゲット画像に合わせる。図9(g)は、このとき撮影された画像であり、実画像をターゲット画像に合わせる様子を示している。そして、図9(h)に示すように、実画像がターゲット画像に合い、両者は重なる。図9(b)~(c)、(f)~(h)は、ステップ105に対応する。
【0046】
そして、図9(d)で示すように、プリンタ120を用いて第2のスケールSk2をマーキングする。図9(i)は、このとき撮影された画像であり、第2のスケールSk2がマーキングされた画像が撮影される。
【0047】
また、図9(e)、(j)は、2個目の第2のスケールSk2をマーキングしたことを示す。さらに、図9(k)は、3個目の第2のスケールSk2をマーキングしたことを示す。
図9(d)~(e)、(i)~(k)は、ステップ106に対応する。
【0048】
図10(a)~(b)は、第1の実施形態でマーキングする第1のスケールSk1と第2のスケールSk2との関係を示した図である。
第1の実施形態では、第2のスケールSk2は、第1のマーキング工程でマーキングされた一対の第1のスケールSk1の間にマーキングされる。図10(a)では、一対の第1のスケールSk1の間に1つの第2のスケールSk2をマーキングした場合を示している。この場合、第2のスケールSk2は、一対の第1のスケールSk1の中間の箇所にマーキングされる。また、一対の第1のスケールSk1の間に複数の第2のスケールSk2をマーキングしてもよい。図10(b)では、一対の第1のスケールSk1の間に2つの第2のスケールSk2をマーキングした場合を示している。この場合、第2のスケールSk2は、一対の第1のスケールSk1の間を3等分した箇所にマーキングされる。即ち、第2のスケールSk2を一対の第1のスケールSk1の間にN個設ける場合は、N+1等分した角度位置を求める。そして、この角度位置に、第2のスケールSk2をそれぞれマーキングする。
【0049】
さらに、一対の第1のスケールSk1の間に第2のスケールSk2をマーキングする工程を複数回行ってもよい。例えば、一対の第1のスケールSk1の中間の箇所に第2のスケールSk2をマーキングする。次に、第1のスケールSk1と第2のスケールSk2との中間の箇所にさらに第2のスケールSk2をマーキングする。これにより、一対の第1のスケールSk1の間が4等分され、第2のスケールSk2が3個マーキングされる。この方法によれば、スケールSkを徐々に高分解能化することができる。
なお、上述した例では、カメラ110により第1のスケールSk1を検出する。そして検出した第1のスケールSk1の位置を基に第2のスケールSk2をマーキングした。ただし、第1のスケールSk1ではなく、これに準ずるマーカなどを検出してもよい。
【0050】
また、ステップ105~ステップ106は、第1のマーキング工程でマーキングされた第1のスケールSk1に加え、さらに第2のスケールSk2をマーキングする第2のマーキング工程であると捉えることができる。
さらに、第1のマーキング工程および第2のマーキング工程は、スケールSkをマーキングするマーキング工程であると捉えることができる。このマーキング工程では、モータ341を動作させたときに、モータ341の予め定められた移動位置に対応してマーキングする。
【0051】
モータ341には、エンコーダミラー344aが予め備えられている。そして、この状態で、モータ341を、テーブル100上に載置する。さらに、ステップ102~ステップ103で、モータ341を回転させる。モータ341は、上述したように、予め定められた通電モードにすることで回転する。そしてこれに応じて回転したエンコーダミラー344aに第1のスケールSk1をマーキングする。また、ステップ105~ステップ106では、エンコーダミラー344aの画像を元にテーブル100にて位置合わせを行う。そして、第1のスケールSk1の間に第2のスケールSk2をマーキングする。
【0052】
なお、上述した例では、テーブル100を用いて第2のマーキング工程を行ったが、テーブル100を必ずしも用いる必要はない。例えば、減速後のエンコーダミラー344aに対してマーキングを行う場合、減速前のエンコーダミラー344aを用いたモータ制御を行う。また、テーブル以外の高精度に位置調整できるような機構を用いてもよい。この機構としては、例えば、高精度モータを用いて位置調整を行う機構が挙げられる。
また、例えば、カメラ110を用いず、治具により機械的にテーブル100の位置決めをする方法でもよい。また、ステップ107では、モータ341が1回転したか否かを判断していたが、所定の分解能に達したか否かにより判断してもよい。
【0053】
図11は、第1の実施形態でモータ341やテーブル100を制御する制御装置150の機能構成を示したブロック図である。
制御装置150は、状態制御部151と、位置制御部152と、位置情報取得部153と、テーブル制御部154と、モータ制御部155と、マーキング制御部156とを備える。
状態制御部151は、アクチュエータ情報などのConfiguration情報を基に、工程の管理を行う。工程は、例えば、上記第1のマーキング工程、載置工程、第2のマーキング工程である。また、状態制御部151は、位置制御部152に対して、次に移動する位置を指定する。さらに、状態制御部151は、マーキング制御部156に対して、スケールSkのマーキングを指示する。
位置制御部152は、状態制御部151からの要求に対して、モータ341やテーブル100の位置制御を行う。位置制御部152は、第1のマーキング工程で、モータ制御部155に対して、通電モードを指定する。位置制御部152は、第2のマーキング工程で、必要に応じ位置情報取得部153からの現在の位置を取得する。そして、位置制御部152は、この位置の情報に基づき、モータ341の制御やテーブル100の位置を制御する。
【0054】
位置情報取得部153は、状態制御部151の要求に応じて、位置情報を取得するカメラ110等のデバイスを制御する。そして、位置情報取得部153は、テーブル100上のエンコーダミラー344aの位置を取得する。
テーブル制御部154は、状態制御部151の要求に応じて、テーブル100の制御を行う。なお、テーブル100にテーブル100の位置等を検出するセンサ等を設け、そのセンサによる情報も活用してもよい。このセンサとしては、測距センサ、カラーセンサ、レーザセンサなどが挙げられる。
モータ制御部155は、状態制御部151からの要求に応じて、モータ341の制御を行う。
マーキング制御部156は、状態制御部151からの要求に応じて、プリンタ120を制御し、スケールSkのマーキングを行う。
【0055】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、第1のマーキング工程により、エンコーダミラー344aの原点位置に対してスケールSkをマーキングする。そして、他のスケールSkは、第2のマーキング工程によりマーキングする。第2の実施形態は、減速機342の減速前および減速前に使用されるエンコーダ344の何れにも適用が可能である。
【0056】
図12は、第2の実施形態におけるスケールSkのマーキング方法について示したフローチャートである。
まず、モータ341を、テーブル100上に載置する(ステップ201)。ステップ201は、図6のステップ101と同様であり、載置工程である。第1の実施形態の場合と同様に、モータ341には、エンコーダミラー344aが予め備えられる。
次に、スター結線の通電状態を予め定められた通電モードに設定する。そして、この位置が、エンコーダミラー344aの原点位置となる(ステップ202)。
そして、第1のスケールSk1をマーキングする(ステップ203)。即ち、エンコーダミラー344aの原点位置に対してスケールSk1をマーキングする。またこの場合、第1のマーキング工程は、モータ341の機械角を定める原点となる第1のスケールSk1をマーキングする、と言うこともできる。
【0057】
ステップ204~ステップ206は、図6のステップ105~ステップ107と同様であり、第2のマーキング工程である。
だだし、第2のマーキング工程では、予めマーキングされた第1のスケールSk1の間に第2のスケールSk2をマーキングするのではない。この場合、テーブル100を、原点にマーキングされた第1のスケールSk1を基に、中心軸Cを中心にθ方向に順次回転させる。そして、第2のスケールSk2をマーキングしていく。即ち、第2のスケールSk2は、一定の間隔でマーキングされる。また、第2のスケールSk2は、一定の角度毎にマーキングされる、と言ってもよい。
【0058】
図13(a)~(g)は、図12のステップ202~ステップ205の具体的な動作例について示した図である。
図13(a)は、図12のステップ202の通電モードおよびこのときマーキングされる第1のスケールSk1を示している。
通電モードとして、W相端子から中性点Nを経由してU相端子に向け通電を行う。そしてこのとき、モータ341が回転した位置にスケールSk1をマーキングする。図13(a)は、図12のステップ202~ステップ203に対応する。
そして、図13(b)で示すように、テーブル100上に載置したモータ341に備えられるエンコーダミラー344aをカメラ110で撮影する。さらに、図13(e)で示すように、実画像をターゲット画像に合わせる。そして、図13(e)で示すように、プリンタ120を用いて第2のスケールSk2をマーキングする。
次に、図13(c)、(f)で示すように、テーブル100を回転させ、2つ目の第2のスケールSk2をマーキングする。さらに、図13(d)、(g)で示すように、テーブル100を回転させ、3つ目の第2のスケールSk2をマーキングする。そして、これを以後繰り返す。図13(b)~(g)は、図12のステップ204~ステップ205に対応する。これにより、第2のマーキング工程は、原点となる第1のスケールSk1以外のマーキングである第2のスケールSk2をマーキングする。
【0059】
[第3の実施形態]
第1の実施形態~第2の実施形態では、減速機342の減速前および減速後に使用されるエンコーダ344の何れにも適用が可能である。一方、第3の実施形態では、減速後に使用されるエンコーダ344に適用される。第3の実施形態では、スケールSkを全て第2のマーキング工程によりマーキングする。
図14は、第3の実施形態におけるスケールSkのマーキング方法について示したフローチャートである。
ステップ301は、図12のステップ201と同様であり、載置工程である。ステップ302~ステップ303は、図12のステップ204~ステップ205と同様であり、第2のマーキング工程である。
この第2のマーキング工程では、モータ341を予め定められた回転量ずつ回転させる。そしてこれに応じ、減速機342を介してエンコーダミラー344aが中心軸Cを中心にθ方向に順次回転していく。そして、この回転した位置で、第2のスケールSk2をマーキングする。モータ341の回転量は、減速機342による減速前のモータ341の機械角を検出するエンコーダを使用することで検出できる。減速前のエンコーダ344より、減速後のエンコーダ344の分解能を高くする場合には、次のようにする。即ち、減速前のエンコーダ344を用いたモータ341の制御により、第1のスケールSk1をマーキングする。そしてその後に、第1の実施形態のように、テーブル100とカメラ110を用いて、第1のスケールSk1間に第2のスケールSk2をマーキングする。
【0060】
図15(a)~(f)は、図14のステップ302~ステップ303の具体的な動作例について示した図である。
まず、図15(a)で示すように、テーブル100上に載置したエンコーダミラー344aをカメラ110で撮影する。次に、図15(d)で示すように、実画像をターゲット画像に合わせる。そして、図15(d)で示すように、プリンタ120を用いて第2のスケールSk2をマーキングする。
次に、図15(b)、(e)で示すように、モータ341またはテーブル100を回転させ、2つ目の第2のスケールSk2をマーキングする。さらに、図15(c)、(f)で示すように、テーブル100を回転させ、3つ目の第2のスケールSk2をマーキングする。そして、これを繰り返す。図15(a)~(f)は、図14のステップ302~ステップ303に対応する。
【0061】
また、ステップ304では、モータ341が、減速機342の減速比分回転したか否かを判断する(ステップ304)。即ち、エンコーダミラー344aが1回転したが否かを判断する。
その結果、モータ341が減速比分回転していない場合(ステップ304でNo)、ステップ302に戻る。
対して、モータ341が減速比分回転した場合(ステップ304でYes)、一連の処理を終了する。
【0062】
第3の実施形態では、第1のマーキング工程を行わない。第3の実施形態では、減速前のモータ341に付属するエンコーダである減速前エンコーダにより、モータ341の回転位置の制御を行う。そして、第2のマーキング工程は、モータ341の回転位置に対応して、減速後のエンコーダミラー344aが回転した位置に対し第2のスケールSk2をマーキングする。
【0063】
[第4の実施形態]
上述した例では、モータ341は、3相ブラシレスモータであった。対して、第4の実施形態では、モータ341として2相ブラシレスモータを使用する。第4の実施形態のスケールSkのマーキング方法は、図6と同様である。第4の実施形態は、減速機342の減速前および減速後に使用されるエンコーダ344の何れにも適用が可能である。ただし、以後の説明では、減速前に使用されるエンコーダ344にスケールSkをマーキングする場合について説明する。
【0064】
図16(a)は、2相ブラシレスモータの通電モードについて示した図である。また、図16(b)は、このときマーキングされる第1のスケールSk1を示している。
(1)の場合、図16(a)に示すように、磁束の向きにモータ341の回転子341aに装着されたメインマグネットが向く。即ち、図中上方にN極が向く。またこれに連動して、エンコーダミラー344aが回転する。そして、図16(b)で示すように、回転した位置に第1のスケールSk1をマーキングする。
【0065】
(2)の場合、図16(a)に示すように、磁束の向きにモータ341の回転子341aに装着されたメインマグネットが向く。即ち、回転子341aが1/4回転し、図中右方にN極が向く。またこれに連動して、エンコーダミラー344aが回転する。そして、図16(b)で示すように、回転した位置に第1のスケールSk1をマーキングする。
【0066】
(3)の場合、図16(a)に示すように、磁束の向きにモータ341の回転子341aに装着されたメインマグネットが向く。即ち、回転子341aが1/4回転し、図中下方にN極が向く。またこれに連動して、エンコーダミラー344aが回転する。そして、図16(b)で示すように、回転した位置に第1のスケールSk1をマーキングする。
【0067】
(4)の場合、図16(a)に示すように、磁束の向きにモータ341の回転子341aに装着されたメインマグネットが向く。即ち、回転子341aが1/4回転し、図中左方にN極が向く。またこれに連動して、エンコーダミラー344aが回転する。そして、図16(b)で示すように、回転した位置に第1のスケールSk1をマーキングする。
上記(1)~(4)の通電モードで順に通電を行うと、モータ341の回転子341aが1回転する。
これにより第1のスケールSk1をマーキングした後、第1の実施形態と同様に、第1のスケールSk1の間に第2のスケールSk2をマーキングする。
【0068】
以上説明した図6図12図14のスケールSkのマーキング方法は、エンコーダミラー344aの製造方法であると捉えることができる。また、このスケールSkのマーキング方法は、マーキング工程を含むエンコーダ344の製造方法であると捉えることもできる。
【0069】
以上詳述したスケールSkのマーキング方法によれば、エンコーダミラー344aは、モータ341を動作させたときに、モータ341の予め定められた移動位置に対応する箇所を、スケールSkをマーキングする位置としている。上述したモータ341は、回転電動モータである。よって、モータ341の予め定められた機械角に対応して、回転方向にスケールSkがマーキングされている、と言うことができる。つまり、スケールSkがマーキングされていないエンコーダミラー344aに対し、モータ341の回転に合わせ、スケールSkをマーキングする。これにより、モータ341の回転位置(機械角)と実際に測定されるエンコーダ344との検出結果(カウント数)とを一致させることができる。
【0070】
図17(a)~(b)は、従来のエンコーダの検出結果について示した図である。
図17(a)で、横軸は、時間を表し、縦軸は、スケールSkのカウント数を表す。また、図17(b)は、図17(a)のXVIIBで示す部分の拡大図である。図中実線は、従来のエンコーダによる検出結果を示す。また、点線は、本来検出されるべき理論的な検出結果である。この場合、モータ341は、一定の速度で回転しており、本来は、点線のように時間とカウント数との関係は、直線になるべきである。しかしながら、機械誤差などの要因により、実際には、実線で示すように、直線とはならない。このような場合、電気角および機械角と検出結果(カウント数)との整合性が取れない。例えば、モータの機械角が0°から90°になったときと、90°から180°になったときとのカウント数は一致しない。
このような現象が生じる要因としては、例えば、固定子341bのコイルCoの巻きむらがある。さらに、この要因としては、例えば、機械誤差が挙げられる。機械誤差としては、減速機342により減速前のエンコーダ(減速前エンコーダ)と減速後のエンコーダとの中心軸の位置ずれが例示される。
【0071】
図18(a)は、減速機342により減速前のエンコーダと減速後のエンコーダとの中心軸の位置ずれについて示した概念図である。
図18(b)は、中心軸の位置ずれが生じた場合に、減速前のエンコーダと減速後のエンコーダとの間で生じる角度誤差を示した図である。ここで、横軸は、スケールSkのカウント数を表し、縦軸は、角度誤差を表す。つまり、減速前のエンコーダが示す機械角と、減速後のエンコーダが示す機械角との間で、示す角度が異なり、図示するような差が生じる。これは、エンコーダミラー344aにスケールSkをマーキングした後に、アクチュエータ34に組み込む従来の組立て方式では、修正が困難である。即ち、キャリブレーションを行っても、この角度誤差を修正することは困難である。
【0072】
一方、本実施の形態では、上述した機械誤差などが生じても、モータ341の回転位置(機械角)と実際に測定されるエンコーダ344の検出結果(カウント数)とを一致させることができる。よって、減速前のエンコーダ(減速前エンコーダ)344と減速後のエンコーダ344との中心軸の位置ずれがあっても、影響を受けにくい。
その結果、モータ341の機械角の検出精度が向上する。そして、組立て後に行うキャリブレーションの工程が省略できる。また、機械角の検出精度が高いので、低分解能のエンコーダであっても、モータ341の高精度な制御が可能になる。また、このエンコーダ344を用いたアクチュエータ34の高精度な制御が可能である。特に、このエンコーダ344をロボット30の根元に近いアクチュエータ34に使用する場合、有効である。即ち、ロボット30の根元に近いアクチュエータ34は、ハンド31の先端の位置決め精度への影響が大きいので、より有効となる。
【0073】
また、第1の実施形態および第4の実施形態では、スケールSkは、2つの工程に分けて行う。即ち、第1のマーキング工程により第1のスケールSk1をマーキングする。そしてその後、第2のマーキング工程により第2のスケールSk2をマーキングする。
この場合、モータ341を動作させるコイルCoに予め定められた通電モードで通電する。そして、第1のスケールSk1は、エンコーダミラー344aが回転した箇所にマーキングされる。そして、エンコーダミラー344aには、第1のスケールSk1に加え、さらに第2のスケールSk2がマーキングされる。第2のスケールSk2は、一対の第1のスケールSk1の間にマーキングされたものである。モータ341の回転位置(機械角)は、通電モードを選択することで制御することができる。また、上述した通電モードでは、モータ341の磁束が安定し、その回転位置も安定している。そのため、第1のスケールSk1のマーキングの位置精度が高くなる。そして、第2のスケールSk2は、第1のスケールSk1の間にマーキングする。第2のスケールSk2をマーキングすることで、分解能が高いエンコーダとなる。そして、第2のスケールSk2をマーキングするのに、例えば、上述したテーブル100を使用する。テーブル100には、カメラ110が設けられる。そして、カメラ110により、撮影した画像を用いることで高精度な位置合わせが可能である。これにより、第2のスケールSk2のマーキングの位置精度が高くなる。
また、2つの工程に分けてマーキングすると、レーザマーキングを用いる場合に、エンコーダミラー344aの熱変形を抑制できる。
【0074】
そして、第2の実施形態では、第1のマーキング工程により原点位置に第1のスケールSk1をマーキングする。そして、他のスケールSkは、第2のマーキング工程により第2のスケールSk2としてマーキングする。
この場合、第1のスケールSk1は、モータ341の機械角を定める原点にマーキングされる。そして、第2のスケールSk2は、原点となる第1のスケールSk1以外のスケールである。第2の実施形態によれば、モータ341自身を用いて、原点を定め、第1のスケールSk1をマーキングする。そのため、原点位置の精度を高めることができる。これにより、低分解能のエンコーダ344を用いた場合でも、モータ341の高度な制御が可能になる。
【0075】
さらに、第3の実施形態では、減速機342で減速後のエンコーダのスケールSkのマーキングを行う。第3の実施形態では、減速後のエンコーダミラー344aに対しスケールSkがマーキングされる。この回転位置は、減速前エンコーダにより定まるモータ341の回転位置に対応する。
この場合、減速前エンコーダと減速後のエンコーダとの中心軸の位置ずれがあっても、影響を受けにくい。その結果、モータ341の機械角の検出精度が向上する。
【0076】
なお、モータ341が上述したホールセンサを備える場合がある。この場合、ホールセンサを併用してスケールSkをマーキングする箇所の位置決めを行うようにしてもよい。これにより、スケールSkをマーキングする箇所の位置精度が向上する。また、ホールセンサに限らず、他のセンサを用いて位置決めを行うようにしてもよい。
また、アクチュエータ34が、バックスラッシュを有する場合がある。この場合、バックスラッシュが生じないようにエンコーダミラー344aの回転機構に負荷をかけるようにしてもよい。
さらに、上記通電モードにより通電する際に、ベクトル制御を用いてもよい。ベクトル制御を行う場合、モータ341の機械角の情報が必要となる。本実施の形態では、上述したエンコーダ344を使用することで、機械角の情報の精度が向上する。その結果、ベクトル制御の精度も向上し、ベクトル制御の利点がより発揮される。ベクトル制御の利点としては、エネルギー消費量が小さく、きめ細かな制御が可能なことが挙げられる。また、ベクトル制御の利点としては、モータ341の回転を低速から高速まで効率よく制御できることが挙げられる。
【0077】
また、上述した例では、エンコーダスケールとしてエンコーダミラー344aについて説明した。ただし、これは光学式の場合であり、マグネット式の場合、「ミラー」である必要はない。
さらに、上述した例では、ロボット30に備えられるアクチュエータ34を例に採り説明したが、これに限られるものではない。例えば、着用型筋力補助装置に備えられるアクチュエータに適用してもよい。
【0078】
またさらに、上述した例では、回転電動モータとして、ブラシレスモータを例に採り説明したが、ステッピングモータであってもよい。
またさらに、上述した例では、回転電動モータを例に採り説明したが、これに限られるものではない。例えば、モータは、リニアモータであってもよい。
【0079】
図19(a)は、リニアモータについて示した図である。
図示するリニアモータ200は、移動子210と、永久磁石列220と、エンコーダミラー230とを備える。
移動子210は、電磁石アレイ210aを備え、図中右方向に移動を行う。
永久磁石列220は、N極とS極が交互に配列するように、並べられた永久磁石である。
リニアモータ200では、移動子210に備えられた電磁石アレイ210aの極性をその位置に応じて順次切り換える。そして、電磁石アレイ210aと永久磁石列220との吸引力および反発力を利用することで、移動子210が、永久磁石列220上を移動する。
エンコーダミラー230は、リニアモータ200の移動子210の位置に対応して、スケールSkをマーキングする。スケールSkをマーキングする場所は、例えば、移動子210が安定する位置である。
【0080】
図19(b)は、スケールSkを順次マーキングする様子を示した図である。
図19(b)で示すように、マーキングする箇所を変更しながら、例えば、レーザマーカRmにより、スケールSkを順次マーキングする。エンコーダミラー230は、リニアモータ200の移動子210の位置に対応して、スケールSkがマーキングされる。
【符号の説明】
【0081】
1…ロボットシステム、10…撮影装置、20…画像処理装置、30…ロボット、31…ハンド、32…アーム、33…ロボット制御部、34…アクチュエータ、100…テーブル、110…カメラ、120…プリンタ、200…リニアモータ、210…移動子、220…永久磁石列、230、344a…エンコーダミラー、341…モータ、341a…回転子、341b…固定子、342…減速機、343…回転軸、344…エンコーダ、Sk…スケール、Sk1…第1のスケール、Sk2…第2のスケール
図1
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図6
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