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  • 特開-ストラットマウント 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093142
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】ストラットマウント
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/54 20060101AFI20230627BHJP
   B60G 11/16 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
F16F9/54
B60G11/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208582
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】橋本 岳宗
【テーマコード(参考)】
3D301
3J069
【Fターム(参考)】
3D301AA72
3D301CA09
3D301DA08
3D301DA33
3D301DB17
3J069AA50
3J069CC34
3J069DD39
(57)【要約】
【課題】車体側部材の厚み寸法を抑制できるストラットマウントを提供すること。
【解決手段】車体BDに連結される車体側部材10と、ピストンロッドPRの先端が連結されるロッド側部材20と、車体側部材10及びロッド側部材20の間に介在される弾性部材30と、を備え、下筒部14の内径D1よりも車体BDにおける貫通孔OPの内径d1が大きくされるので、バウンドバンパーBB1からの入力が車体側部材10に作用される場合に、そのバウンドバンパーBB1からの入力と車体BDからの反力とが重なる領域S1を形成し、その領域S1の分、入力と反力とを相殺できる。その結果、車体側部材10にせん断応力が発生することを抑制できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体とショックアブソーバーのピストンロッドとの間に介在されるストラットマウントにおいて、
前記車体に連結される車体側部材と、
前記ピストンロッドの先端が連結されるロッド側部材と、
前記車体側部材および前記ロッド側部材の間に介在される弾性部材と、を備え、
前記車体側部材の下面における前記ショックアブソーバーのバウンドバンパーが当接可能な領域の外径が、前記車体側部材の上面における前記車体が連結される領域の内径よりも大きくされることを特徴とするストラットマウント。
【請求項2】
前記車体側部材は、
前記ロッド側部材を取り囲む筒状に形成される上筒部と、
前記上筒部の下端側から径方向内側へ張り出して形成される底部と、
前記上筒部の下端側から径方向外側に張り出して形成され上面に前記車体が連結される腕部と、
前記腕部の下面から突出され前記上筒部と略同心の筒状に形成される下筒部とを備え、
前記上筒部の外径よりも前記下筒部の内径が大きくされることを特徴とする請求項1記載のストラットマウント。
【請求項3】
前記車体側部材は、前記底部の下面と前記腕部の前記下筒部よりも径方向内側の下面とが面一の平坦面に形成されることを特徴とする請求項2記載のストラットマウント。
【請求項4】
前記車体側部材の前記腕部は、上面と下面とが略平行な板状に形成されることを特徴とする請求項3記載のストラットマウント。
【請求項5】
前記ショックアブソーバーの前記ピストンロッドが挿通される貫通孔が貫通形成され、前記車体側部材の下面に連結されるリング部材を備え、
前記リング部材の上面の外径が、前記車体側部材の上面における前記車体が連結される領域の内径よりも大きくされることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のストラットマウント。
【請求項6】
前記リング部材は、上面の外径が下面の外径よりも大きくされることを特徴とする請求項5記載のストラットマウント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストラットマウントに関し、特に、車体側部材にせん断応力が発生することを抑制できるストラットマウントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体とショックアブソーバーのピストンロッドとの間に介在されるストラットマウントが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-102506号(例えば、図3など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のストラットマウントでは、走行中に受ける荷重により車体側部材にせん断応力が発生しやすいという問題点があった。
【0005】
この問題点について、図3を参照して説明する。図3は、従来のストラットマウント1000の縦断面図である。図3に示すように、ストラットマウント1000は、車体BDに連結される車体側部材1010と、ピストンロッドPRの先端が連結されるロッド側部材1020と、車体側部材1010及びロッド側部材1020の間に介在される弾性部材1030とを備える。
【0006】
車両の走行中、ストラットマウント1000には、ショックアブソーバーのバウンドバンパー(図示せず)からの入力(矢印B)が車体側部材1010の下面に作用され、その入力に対する車体BDからの反力(矢印A)が車体側部材1010の上面に作用される。
【0007】
この場合、バウンドバンパーからの入力(矢印B)はピストンロッドPRを中心とする車体側部材1010の中央部分に作用される一方、車体BDからの反力(矢印A)は車体側部材1010の外縁部分に作用される。
【0008】
そのため、バウンドバンパーからの入力(矢印B)が作用する領域と車体BDからの反力(矢印A)が作用する領域との間の部分(図3において、網掛けのハッチングを付した部分、以下「中間領域1010a」と称す)にせん断応力が発生するという問題点があった。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、車体側部材にせん断応力が発生することを抑制できるストラットマウントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために本発明のストラットマウントは、車体とショックアブソーバーのピストンロッドとの間に介在されるものであり、前記車体に連結される車体側部材と、前記ピストンロッドの先端が連結されるロッド側部材と、前記車体側部材および前記ロッド側部材の間に介在される弾性部材と、を備え、前記車体側部材の下面における前記ショックアブソーバーのバウンドバンパーが当接可能な領域の外径が、前記車体側部材の上面における前記車体が連結される領域の内径よりも大きくされる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のストラットマウントによれば、車体に連結される車体側部材と、ピストンロッドの先端が連結されるロッド側部材と、車体側部材およびロッド側部材の間に介在される弾性部材と、を備え、車体側部材の下面におけるショックアブソーバーのバウンドバンパーが当接可能な領域の外径が、車体側部材の上面における車体が連結される領域の内径よりも大きくされるので、バウンドバンパーからの入力が車体側部材に作用される場合に、そのバウンドバンパーからの入力と車体からの反力とが重なる領域を形成し、その重なる領域の分、入力と反力とを相殺できる。その結果、車体側部材にせん断応力が発生することを抑制できる。
【0012】
請求項2のストラットマウントによれば、請求項1記載のストラットマウントの奏する効果に加え、車体側部材は、ロッド側部材を取り囲む筒状に形成される上筒部と、上筒部の下端側から径方向内側へ張り出して形成される底部と、上筒部の下端側から径方向外側に張り出して形成され上面に車体が連結される腕部と、腕部の下面から突出され上筒部と略同心の筒状に形成される下筒部とを備え、上筒部の外径よりも下筒部の内径が大きくされるので、バウンドバンパーからの入力と車体からの反力とが重なる領域を車体側部材の腕部に形成できる。よって、その重なる領域の分、入力と反力とを相殺して、車体側部材にせん断応力が発生することを抑制できる。
【0013】
請求項3記載のストラットマウントによれば、請求項2記載のストラットマウントの奏する効果に加え、車体側部材は、底部の下面と腕部の少なくとも下筒部よりも径方向内側の下面とが面一の平坦面に形成されるので、バウンドバンパーからの入力を底部と腕部との両者に分散させることができる。よって、例えば、バウンドバンパーからの入力が腕部の下面に主に作用する構成と比較して、車体側部材にせん断応力が発生することを抑制できる。
【0014】
また、腕部の少なくとも下筒部よりも径方向内側の下面が平坦面として形成されることで、腕部の少なくとも下筒部よりも径方向内側の下面に段差を有する構成と比較して、バウンドバンパーからの入力と車体からの反力とが重なる領域を確保しやすくできる。
【0015】
請求項4記載のストラットマウントによれば、請求項3記載のストラットマウントの奏する効果に加え、車体側部材の腕部は、上面と下面とが略平行な板状に形成されるので、例えば、上面と下面とが非平行とされる構成と比較して、バウンドバンパーからの入力と車体からの反力との相殺を効率的に行うことができる。
【0016】
請求項5記載のストラットマウントによれば、ショックアブソーバーのピストンロッドが挿通される貫通孔が貫通形成され、車体側部材の下面に連結されるリング部材を備え、バウンドバンパーからの入力を、リング部材を介して、車体側部材に作用させることができる。
【0017】
この場合、リング部材の上面の外径が、車体側部材の上面における車体が連結される領域の内径よりも大きくされるので、請求項1から4のいずれかに記載のストラットマウントの奏する効果に加え、バウンドバンパーの上面の外径が、車体側部材の上面における車体が連結される領域の内径よりも小さい場合であっても、バウンドバンパーからの入力と車体からの反力とが重なる領域を形成できる。よって、その重なる領域の分、入力と反力とを相殺して、車体側部材にせん断応力が発生することを抑制できる。
【0018】
請求項6記載のストラットマウントによれば、請求項5記載のストラットマウントの奏する効果に加え、リング部材は、上面の外径が下面の外径よりも大きくされるので、バウンドバンパーからの入力を、リング部材によって、車体からの反力と重なる領域まで効率的に拡大できる。また、リング部材を軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は、本発明の第1実施形態におけるストラットマウントの上面図であり、(b)は、図1(a)のIb-Ib線におけるストラットマウントの縦断面図である。
図2】(a)は、第2実施形態におけるストラットマウントの縦断面図であり、(b)は、第3実施形態におけるストラットマウントの縦断面図である。
図3】従来のストラットマウントの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1(a)は、本発明の第1実施形態におけるストラットマウント1の上面図であり、図1(b)は、図1(a)のIb-Ib線におけるストラットマウント1の縦断面図である。なお、図1(b)では、車体BDへの取り付け状態が図示される。
【0021】
図1に示すように、ストラットマウント1は、車体BDとショックアブソーバーのピストンロッドPRとの間に介在される。詳細には、ストラットマウント1は、車体BDに連結される車体側部材10と、ピストンロッドPRの先端が連結されるロッド側部材20と、車体側部材10及びロッド側部材20の間に介在される弾性部材30とを備える。
【0022】
なお、車体側部材10及びロッド側部材20は金属材料から形成され、弾性部材30はゴム状弾性体から形成される。本実施形態では、車体側部材10がアルミニウム合金鋳物から形成され、ロッド側部材20は鉄鋼材料から形成される。
【0023】
車体側部材10は、ロッド側部材20を取り囲む筒状(軸Oを中心とする略円筒状)に形成される上筒部11と、その上筒部11の下端側から径方向内側へ張り出して形成される底部12と、上筒部11の下端側から径方向外側に張り出して形成され上面に車体BDが連結される腕部13と、腕部13の下面から突出され上筒部11と略同心の筒状(軸Oを中心とする略円筒状)に形成される下筒部14とを備える。
【0024】
上筒部11の上端には、円板形状の上蓋部材40が配設され、この上蓋部材40と底部12との間に弾性部材30が軸O方向に圧縮された状態で配設される。上蓋部材40の中央には、円形の貫通孔が貫通形成され、この貫通孔には、ピストンロッドPRの先端に締結されるナットN1が挿通される。
【0025】
なお、上蓋部材40が配設される前の状態では、上筒部11の上端から屈曲片が全周に亘って突出されており、その屈曲片を径方向内側に屈曲させることで、上蓋部材40が上筒部11の上端にかしめ固定される。
【0026】
底部12の中央には、円形の貫通孔が貫通形成され、この貫通孔には、ピストンロッドPRが挿通される。なお、本実施形態では、底部12の厚み寸法(軸O方向寸法)は、腕部13の厚み寸法よりも大きくされる。
【0027】
腕部13は、上面視略三角形状に形成されると共に、厚み寸法(軸O方向寸法)が略一定の平板形状とされる。腕部13には、周方向等間隔となる複数箇所(本実施形態では3箇所)に締結孔13aが貫通形成され、それら各締結孔13aに挿通されたボルトB2の先端にナットN2が締結されることで、腕部13の上面に車体BDが連結(締結固定)される。
【0028】
本実施形態では、腕部13の上面は、軸Oに直交する平坦面とされる。車体BDには、円形の貫通孔OPが貫通形成され、その貫通孔OPの内径の寸法はd1(以下「内径d1」と称す)とされる。なお、腕部13の上面には、貫通孔OPの寸法公差を考慮して、車体BDの下面と当接可能な平坦面が内径d1よりも広い範囲(軸O側)に確保される。また、腕部13の上面と上筒部11の外周面とは断面円弧形状により滑らかに接続される。
【0029】
腕部13の下面は、少なくとも下筒部14よりも径方向内側(軸O側)の下面が、底部12の下面と面一とされ、下筒部14よりも径方向内側において、腕部13の上面と略平行な平坦面が形成される。
【0030】
下筒部14の内周面には、凹部が形成され、その凹部にショックアブソーバーのバウンドバンパーBB1の突部が嵌合されることで、下筒部14にバウンドバンパーBB1が保持される。即ち、バウンドバンパーBB1の上面が、底部12の下面および腕部13の下面に当接可能とされる。
【0031】
下筒部14の内径の寸法は、最小値がD1とされ(以下「内径D1」と称す)、この内径D1は、上筒部11の外径よりも大きくされ、且つ、車体BDの貫通孔OPの内径d1よりも大きくされる(d1<D1)。
【0032】
ロッド側部材20は、円形の貫通孔が貫通形成される筒状の筒部分と、その筒部分から径方向外方へ張り出して形成される張出部分とを備え、筒部分の貫通孔に挿通されたピストンロッドPRの先端にナットN1が締結されることで、ピストンロッドPRの先端に連結(締結固定)される。ロッド側部材20には、その張出部分に全周に亘って弾性部材30が加硫接着される。
【0033】
ストラットマウント1によれば、車体側部材10の下面におけるショックアブソーバーのバウンドバンパーBB1が当接可能な領域の外径が、車体側部材10の上面における車体BDが連結される領域の内径よりも大きくされる。詳細には、下筒部14の最小の内径D1が、車体BDの貫通孔OPの内径d1よりも大きくされる(d1<D1)。
【0034】
これにより、車両の走行に伴い、バウンドバンパーBB1からの入力が車体側部材10に作用される場合に、そのバウンドバンパーBB1からの入力と車体BDからの反力とが重なる領域(図1に符号「S1」で示す領域、以下「領域S1」と称す)を形成し、その領域S1の分、入力と反力とを相殺できる。その結果、車体側部材10(腕部13)にせん断応力が発生することを抑制できる。
【0035】
車体側部材10は、底部12の下面と腕部13の少なくとも下筒部14よりも径方向内側の下面とが面一の平坦面に形成されるので、バウンドバンパーBB1からの入力を底部12と腕部13との両者に分散させることができる。よって、例えば、底部12の下面が腕部13の下面よりも上方に位置し、両者の間に段差が形成されることで、バウンドバンパーBB1からの入力が腕部13の下面に主に作用する構成と比較して、腕部13に必要とされる強度を低くできる。その結果、車体側部材10(腕部13)の厚み寸法を抑制できる。
【0036】
また、腕部13の少なくとも下筒部14よりも径方向内側の下面の全体が平坦面として形成されることで、バウンドバンパーBB1の上面が当接可能な領域を確保できる。よって、例えば、腕部13の少なくとも下筒部14よりも径方向内側の下面に段差を有する構成(下面の一部が残りの部分よりも上方に位置し、その残りの部分にバウンドバンパーBB1の上面が主に当接される構成)と比較して、バウンドバンパーBB1からの入力と車体BDからの反力とが重なる領域S1を確保しやすくできる。
【0037】
腕部13は、上面と下面とが略平行な板状に形成されるので、例えば、上面と下面とが非平行とされる構成と比較して、バウンドバンパーBB1からの入力と車体BDからの反力との相殺を効率的に行うことができる。
【0038】
なお、本実施形態では、上述したように、底部12の厚み寸法(軸O方向寸法)が腕部13の厚み寸法(軸O方向寸法)よりも大きくされ、腕部13の上面と上筒部11の外周面とは断面円弧形状により滑らかに接続される。よって、底部12の強度を利用して、腕部13の根元部分(上筒部11側となる部分)の強度を確保できる。
【0039】
次いで、第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、バウンドバンパーBB1が車体側部材10の下筒部14に保持される場合を説明したが、第2実施形態におけるバウンドバンパーBB2は、ショックアブソーバーのピストンロッドPRに外嵌固定される。即ち、第2実施形態におけるバウンドバンパーBB2の上面の外径は、第1実施形態におけるバウンドバンパーBB1の上面の外径よりも小さくされる。なお、本実施形態では、バウンドバンパーBB2の上面の外径は、車体BDの貫通孔OPの内径d1よりも小さくされる。
【0040】
図2(a)は、第2実施形態におけるストラットマウント201の縦断面図であり、図1(b)に対応する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0041】
図2(a)に示すように、ストラットマウント201は、金属材料から形成されるリング部材250を備え、リング部材250は、その上面が車体側部材10の底部12及び腕部13の下面に接着により連結される。なお、本実施形態では、リング部材250は、アルミニウム合金鋳物から形成される。
【0042】
リング部材250は、円形の貫通孔が中央に貫通形成される円板状の部材であり、その貫通孔にはピストンロッドPRが挿通される。リング部材250の上面および下面は、互いに平行な平坦面とされる。
【0043】
リング部材250の上面の外径の寸法はD2とされ(以下「外径D2」と称す)、この外径D2は、上筒部11の外径よりも大きくされ、且つ、車体BDの貫通孔OPの内径d1よりも大きくされる(d1<D2)。よって、バウンドバンパーBB2からの入力を、リング部材250を介して、車体側部材10(底部12及び腕部13)に作用させることができる。
【0044】
これにより、バウンドバンパーBB2の上面の外径が、車体BDの貫通孔OPの内径d1(車体側部材10の上面における車体BDが連結される領域の内径)よりも小さい場合であっても、バウンドバンパーBB2からの入力と車体BDからの反力とが重なる領域S2を形成できる。よって、その領域S2の分、入力と反力とを相殺して、車体側部材10(腕部13)にせん断応力が発生することを抑制できる。
【0045】
第2実施形態におけるストラットマウント201は、第1実施形態におけるストラットマウント1にリング部材250を配設(連結)した構成であるので、第1実施形態におけるストラットマウント1を流用できる。よって、例えば、ショックアブソーバーの仕様が変更(バウンドバンパーBB1がバウンドバンパーBB2に変更)された場合に、その変更に合わせて、ストラットマウント1とは異なる新たなストラットマウントを設計することを不要とできる。
【0046】
リング部材250の上面の外径D2は、下面の外径よりも大きくされる。よって、バウンドバンパーBB2からの入力を、リング部材250によって、車体BDからの反力と重なる領域まで効率的に拡大できる。また、側面が面取りされる分、リング部材250を軽量化できる。
【0047】
次いで、第3実施形態について説明する。図2(b)は、第3実施形態におけるストラットマウント301の縦断面図であり、図1(b)に対応する。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0048】
図2(b)に示すように、ストラットマウント301は、第1実施形態におけるストラットマウント1に対し、下筒部14が省略される点を除き、他は同一の構成とされる。リング部材350は、第2実施形態におけるリング部材250に対し、突出部351が追加される点を除き、他は同一の構成とされる。
【0049】
リング部材350には、その上面から突出部351が全周に亘って突出されており、その突出部351が底部12の中央の貫通孔に圧入されることで、リング部材350が車体側部材10(底部12)の下面に圧入固定される。これにより、接着の場合と比較して、リング部材350の脱落を抑制できる。なお、突出部351は周方向に断続的に形成されていても良い。
【0050】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0051】
上記実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。同様に、各構成の配設数は任意である。
【0052】
上記各実施形態では、車体側部材10及びリング部材250,350を鋳造により形成する場合を説明したが、削り出しにより形成しても良い。また、例えば、PPAやPPSなどの樹脂材料からリング部材250,350を形成しても良い。
【0053】
上記第2又は第3実施形態では、リング部材250,350を接着または圧入により車体側部材10に連結(配設)する構造を説明したが、別の構造を採用しても良い。
【0054】
例えば、底部12の貫通孔の内周面にめねじを、リング部材350の突出部351の外周面におねじを、それぞれ螺刻し、それらを螺合する構造でも良い。或いは、例えば、腕部13の下面から屈曲片を全周に亘って(又は周方向に断続的に)突出させ、径方向内側に屈曲させた屈曲片をリング部材250,350の傾斜面に当接させる構造(即ち、上筒部11の上端から突出する屈曲片により上蓋部材40をかしめ固定する構造と実質同一の構造)でも良い。
【符号の説明】
【0055】
1,201,301 ストラットマウント
10 車体側部材
11 上筒部
12 底部
13 腕部
14 下筒部
D1 下筒部の内径
20 ロッド側部材
30 弾性部材
250,350 リング部材
D2 リング部材の上面の外径
BD 車体
d1 車体の貫通孔の内径
PR ピストンロッド
BB1,BB2 バウンドバンパー

図1
図2
図3