(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093146
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20230627BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20230627BHJP
F25B 27/00 20060101ALI20230627BHJP
F25B 13/00 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
F24F5/00 L
F25B27/00 B
F25B13/00 311
F25B1/00 321B
F25B1/00 361J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208587
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 尚輝
(72)【発明者】
【氏名】松井 大
(72)【発明者】
【氏名】河野 文紀
(72)【発明者】
【氏名】増田 哲也
【テーマコード(参考)】
3L092
【Fターム(参考)】
3L092AA02
3L092BA03
3L092BA16
3L092BA28
3L092CA04
3L092DA01
3L092FA24
3L092FA31
(57)【要約】
【課題】本開示は、求められる負荷が中程度の時、一部のエンジン冷却水をバイパスさせることで、求められる負荷にかかわらず、高効率な運転が可能なハイブリッド式の空気調和装置を提供する。
【解決手段】空気調和装置は、ガスエンジンにより駆動する第1圧縮機と電動モータにより駆動する第2圧縮機とを並列に接続し、前記第2圧縮機の吸入配管と液冷媒配管とを接続する排熱回収バイパス管の中途部に設けられた排熱回収熱交換器と、前記ガスエンジン、前記排熱回収熱交換器、ポンプを順に、環状に配管接続し、配管内に冷却水を流通させ、前記ガスエンジンを冷却する冷却水回路と、前記排熱回収熱交換器の冷却水の流出側と流入側とを接続する冷却水バイパス管と、前記冷却水バイパス管に設けられた冷却水流量調整弁と、を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスエンジンにより駆動する第1圧縮機と電動モータにより駆動する第2圧縮機とを並列に接続し、圧縮機、室外熱交換器、室外冷媒流量調整弁、室内熱交換器を順に、環状に接続し、配管内に冷媒を流通させ、前記室内熱交換器にて室内空間の空気と熱交換し、室内の空調を行う空気調和装置において、
前記第2圧縮機の吸入配管と液冷媒配管とを接続する排熱回収バイパス管の中途部に設けられた排熱回収熱交換器と、
前記ガスエンジン、前記排熱回収熱交換器、ポンプを順に、環状に配管接続し、配管内に冷却水を流通させ、前記ガスエンジンを冷却する冷却水回路と、
前記排熱回収熱交換器の冷却水の流出側と流入側とを接続する冷却水バイパス管と、
前記冷却水バイパス管に設けられた冷却水流量調整弁と、を備えた
空気調和装置。
【請求項2】
暖房部分負荷運転時に、前記冷却水流量調整弁を開放し、ガスエンジンを冷却した後の冷却水を前記排熱回収熱交換器に流すとともに、冷却水の一部を前記冷却水バイパス管に流す、
請求項1に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスエンジンにより駆動する圧縮機(以下、エンジン駆動圧縮機)と電動モータにより駆動する圧縮機(以下、電動圧縮機)を並列に接続して空調を行うハイブリッド式空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、求められる負荷の大きさに関わらず高効率な運転が可能な空気調和装置を開示する。この空気調和装置は、室内熱交換器、室外熱交換器、膨張弁、及び、四方弁を、冷媒配管を介して接続するとともに、エンジン駆動圧縮機と電動圧縮機を並列に接続する空気調和装置において、電動圧縮機の吸入配管と液冷媒配管を接続するバイパス配管と、バイパス配管に設けられた開閉弁、及び、排熱回収熱交換器と、電動圧縮機の吸入配管のバイパス配管との接続部より上流側に設けられた開閉弁を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、求められる負荷が中程度の時、一部のエンジン冷却水をバイパスさせることで、求められる負荷にかかわらず、高効率な運転が可能なハイブリッド式の空気調和装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における空気調和装置は、ガスエンジンにより駆動する第1圧縮機と電動モータにより駆動する第2圧縮機とを並列に接続し、圧縮機、室外熱交換器、室外冷媒流量調整弁、室内熱交換器を順に、環状に接続し、配管内に冷媒を流通させ、前記室内熱交換器にて室内空間の空気と熱交換し、室内の空調を行う空気調和装置において、前記第2圧縮機の吸入配管と液冷媒配管とを接続する排熱回収バイパス管の中途部に設けられた排熱回収熱交換器と、前記ガスエンジン、前記排熱回収熱交換器、ポンプを順に、環状に配管接続し、配管内に冷却水を流通させ、前記ガスエンジンを冷却する冷却水回路と、前記排熱回収熱交換器の冷却水の流出側と流入側とを接続する冷却水バイパス管と、前記冷却水バイパス管に設けられた冷却水流量調整弁と、を備えた。
【発明の効果】
【0006】
本開示における空気調和装置では、空調負荷が中程度まで減少し、ガスエンジンの排熱量が減少する際、ガスエンジンの冷却水流量調整弁の制御により、一部の冷却水を第二バイパス管に流入させることで、排熱回収熱交換器を流出した冷却水は、バイパスした冷却水と合流し、加熱されるため、ガスエンジン出入口の温度勾配が抑制される。さらに、排熱回収熱交換器に流入する冷却水量が減少するため、冷媒の熱交換器出入口の温度勾配が小さくなることにより、冷媒の熱交換器出口温度が低下する。
そのため、ガスエンジンの損傷を防止しながら、排熱回収熱交換器に流入する冷却水量を減少させることができるため、熱交換量を減少させながら、冷媒吸入過熱度を所定以下の温度に維持することができる。結果、中程度の空調負荷においても圧縮動力が減少し、サイクル効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施の形態1における空気調和装置の冷媒流路及び冷却水流路を示す図
【
図2】本開示の実施の形態1における室外ユニットの側面図
【
図3】本開示の実施の形態1における室外ユニットの正面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
一般に、空調負荷が中程度まで減少する場合、ガスエンジンの排熱量が減少するため、排熱回収熱交換器における冷媒と冷却水との熱交換量を減少させながら、冷却水のガスエンジン出口温度が目標温度になるよう制御される。この場合に、熱交換量を減少させる手法として、冷却水量を減少させる手法と、冷媒量を減少させる手法が考えられるが、冷却水量を減少させた場合、冷却水の熱交換器出口温度が低下する。
【0009】
従来の構成では、冷却水回路において、排熱回収熱交換器の出口からガスエンジン入口までの間に、冷却水温度を上昇させる手段が設けられていないため、ガスエンジン出入口の温度勾配が大きくなることとなり、ひずみが発生し、ガスエンジンが損傷するおそれがある。
そのため、冷却水量を維持しながら、冷媒量を減少させた場合、冷媒は冷却水に対し、比熱が小さいことから、所定の熱量変化に対し、流量変化を相対的に大きくする必要があり、熱交換量の減少量に対し、冷媒の減少量が相対的に大きくなるため、冷媒の排熱回収熱交換器出入の温度勾配は大きくなる。つまり、冷媒の排熱回収熱交換器出口温度が上昇する。これにより、過熱度の大きい冷媒が、電動圧縮機に吸入されることとなる。
【0010】
すなわち、熱交換量を減少させながら、冷媒吸入過熱度を所定の温度以下に維持することができないという課題がある。その結果、中程度の空調負荷においては、圧縮動力の増加により、サイクル効率が低下してしまうという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、求められる負荷が中程度の時、一部のエンジン冷却水をバイパスさせることで、求められる負荷にかかわらず、高効率な運転が可能なハイブリッド式の空気調和装置を提供する。
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0012】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図3を用いて、実施の形態1について説明する。
[1-1.構成]
[1-1-1.冷媒流路]
図1において、空気調和装置1は、室外ユニット100と、室内ユニット200とで構成され、室内ユニット200は室外ユニット100から延びるユニット配管2に接続されている。
室外ユニット100は、ガスエンジン101により駆動されるエンジン駆動圧縮機(第1圧縮機)102と、電動圧縮機(第2圧縮機)103と、エンジン駆動圧縮機102及び電動圧縮機103の吐出冷媒に含まれる冷凍機油を分離するオイルセパレータ104と、冷房と暖房の冷凍サイクルを切り替える四方弁105と、冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器106と、冷媒の流量、及び、圧力を調整する室外冷媒流量調整弁107と、を備え、これらを冷媒配管を介して接続し、冷媒流路3の一部を構成している。
【0013】
エンジン駆動圧縮機102は、ガスエンジン101とベルトなどの動力伝達手段により連結され、電動圧縮機103と並列に配管接続されている。
エンジン駆動圧縮機102は、電動圧縮機103より、大容量の圧縮機が採用されている。
アキュムレータ108は、エンジン駆動圧縮機102の吸入配管と電動圧縮機103の吸入配管との分岐部より上流側に設けられ、エンジン駆動圧縮機102、及び、電動圧縮機103にガス冷媒を供給する。
液冷媒配管109は、室外熱交換器106と、室内熱交換器201とを接続する。
【0014】
室外ファン110は、室外熱交換器106近傍に設けられ、室外熱交換器106に外気を導入することで、冷媒と外気との熱交換を促進する。
排熱回収バイパス管111は、一端を電動圧縮機103の吸入配管に接続し、他端を液冷媒配管109に接続し、冷媒流れ方向上流側から順に、冷媒の流量、及び、圧力を調整する排熱回収冷媒流量調整弁112と、冷媒と後述する冷却水とを熱交換させる排熱回収熱交換器113と、を備え、暖房運転時、冷媒は冷却水から吸熱できるよう構成されている。
逆止弁114は、電動圧縮機103の吸入配管における排熱回収バイパス管111との接続部より上流側に設けられ、排熱回収バイパス管を流出した冷媒が、エンジン駆動圧縮機102の吸入配管に流入することを阻止する。
【0015】
室内ユニット200は、冷媒と空調対象となる空間の空気とを熱交換させる室内熱交換器201と、冷媒の流量、及び、圧力を調整する室内冷媒流量調整弁202と、を備え、これらを冷媒配管を介して接続し、室外ユニット100とともに冷媒流路3の一部を構成している。
室内ファン203は、室内熱交換器201近傍に設けられ、室内熱交換器201に空調対象となる空間の空気を導入することで、冷媒と空調対象となる空間の空気との熱交換を促進する。
室内ユニット200は、一台のみ設置されているが、室外ユニット100に対し、複数台並列に設置されても良い。
【0016】
[1-1-2.冷却水流路]
室外ユニット100において、冷却水流路4は、冷却水流路4に冷却水を循環させる冷却水ポンプ115と、冷却水が不足した場合に冷却水を補填するために、冷却水の余剰分を一時的に貯留するリザーバタンク116と、冷却水と外気とを熱交換させるラジエータ117と、冷却水と冷媒とを熱交換させる排熱回収熱交換器113と、及び、冷却水の流路を、冷房運転時はラジエータ117側に、暖房運転時は排熱回収熱交換器113側、あるいは、双方に切り替える三方弁118と、を備え、循環する冷却水により、ガスエンジン101を冷却する。
冷却水バイパス管119は、一端を排熱回収熱交換器113の冷却水流入部に接続し、他端を排熱回収熱交換器113の冷却水流出部に接続し、冷却水の一部を冷媒と熱交換させずに排熱回収熱交換器113をバイパスさせる。
冷却水流量調整弁120は、冷却水バイパス管119に設けられ、冷却水バイパス管119に流入する冷却水量を調整する。
【0017】
[1-1-3.室外ユニットの構成]
図2は、本開示の実施の形態1における室外ユニットの側面図である。
図3は、本開示の実施の形態1における室外ユニットの正面図である。
図2および
図3に示すように、室外ユニット100下側には、エンジン駆動圧縮機102と、ガスエンジン101と、電動圧縮機103と、アキュムレータ108と、図示しないオイルセパレータ104と、四方弁105と、室外冷媒流量調整弁107と、排熱回収熱交換器113、等を配置した機械室121が設けられ、室外ユニット100上側には、室外熱交換器106と、室外ファン110と、リザーバタンク116等を配置した熱交換器室122が設けられる。
【0018】
[1-2.動作]
以上のように構成された空気調和装置1について、その動作を以下説明する。
[1-2-1.冷媒側の動作]
[1-2-1-1.冷房運転時の動作]
室外冷媒流量調整弁107は、開放される。
排熱回収冷媒流量調整弁112、及び、冷却水流量調整弁120は、閉鎖される。
三方弁118は、冷却水がラジエータ117側に流れる流路に切り替えられる。
エンジン駆動圧縮機102、及び、電動圧縮機103で圧縮された高温高圧(例えば、80℃、3MPaG)のガス冷媒は、合流し、オイルセパレータ104に流入する。オイルセパレータ104にて、冷凍機油が分離された純度の高いガス冷媒は、四方弁105を通過し、室外熱交換器106に流入し、外気と熱交換して放熱しながら凝縮する。そして、室外熱交換器106を流出した液冷媒は、液冷媒配管109、及び、室外冷媒流量調整弁107を通過し、室内ユニット200に供給される。
【0019】
室内ユニット200に流入した液冷媒は、室内冷媒流量調整弁202にて、減圧され、気液二相状態となって、室内熱交換器201に流入する。気液二相冷媒は、室内熱交換器201にて、空調対象となる空間の空気と熱交換して吸熱しながら蒸発し、低温低圧(例えば、16℃、0.9MPaG)のガス冷媒となって室内ユニット200から流出する。
室内ユニット200から流出したガス冷媒は、再度室外ユニット100に流入し、四方弁105、及び、アキュムレータ108を通過し、エンジン駆動圧縮機102、及び、電動圧縮機103に戻り、上記過程を繰り返す。
また、オイルセパレータ104で分離された冷凍機油は、図示しないオイル戻し管を通過し、エンジン駆動圧縮機102、及び、電動圧縮機103の吸入配管に流入し、エンジン駆動圧縮機102、及び、電動圧縮機103に戻り、上記過程を繰り返す。
【0020】
[1-2-1-2.暖房定格運転時の動作]
室内冷媒流量調整弁202は、開放される。
三方弁118は、排熱回収熱交換器113側に流れる流路に切り替えられる。
エンジン駆動圧縮機102、及び、電動圧縮機103で圧縮された高温高圧(例えば、63℃、2.2MPaG)のガス冷媒は、合流し、オイルセパレータ104に流入する。オイルセパレータ104にて、冷凍機油が分離された純度の高いガス冷媒は、四方弁105を通過し、室内ユニット200に供給される。
室内ユニット200に流入したガス冷媒は、室内熱交換器201にて、空調対象となる空間の空気と熱交換して放熱しながら凝縮し、高圧の液冷媒となって室内冷媒流量調整弁202を通過し、室内ユニット200から流出する。
【0021】
室内ユニット200から流出した液冷媒は、再度室外ユニット100に流入する。室外ユニット100に流入した液冷媒は、一部が排熱回収バイパス管を通過し、排熱回収冷媒流量調整弁にて減圧され、気液二相状態となって、排熱回収熱交換器に流入する。残りの液冷媒は、室外流量調整弁107にて減圧され、気液二相状態となって、室外熱交換器106にて、室外熱交換器106に流入する。
【0022】
排熱回収熱交換器113に流入した気液二相冷媒は、冷却水から吸熱しながら蒸発し、中温中圧(例えば、20℃、1MPaG)、過熱度10K程度のガス冷媒となって、電動圧縮機103に戻るとともに、室外熱交換器106に流入した気液二相冷媒は、外気と熱交換しながら蒸発し、低温低圧(例えば、2℃、0.6MPaG)のガス冷媒となって、四方弁105、及び、アキュムレータ108を通過し、エンジン駆動圧縮機102に戻り、上記過程を繰り返す。
また、オイルセパレータ104で分離された冷凍機油は、図示しないオイル戻し管を通過し、エンジン駆動圧縮機102、及び、電動圧縮機103の吸入配管に流入し、エンジン駆動圧縮機102、及び、電動圧縮機103に戻り、上記過程を繰り返す。
【0023】
[1-2-1-3.暖房部分負荷運転時の動作]
室内冷媒流量調整弁202は、開放される。
三方弁118は、排熱回収熱交換器113側に流れる流路に切り替えられる。
エンジン駆動圧縮機102、及び、電動圧縮機103で圧縮された高温高圧(例えば、40℃、1.6MPaG)のガス冷媒は、合流し、オイルセパレータ104に流入する。オイルセパレータ104にて、冷凍機油が分離された純度の高いガス冷媒は、四方弁105を通過し、室内ユニット200に供給される。
室内ユニット200に流入したガス冷媒は、室内熱交換器201にて、空調対象となる空間の空気と熱交換して放熱しながら凝縮し、高圧の液冷媒となって室内冷媒流量調整弁202を通過し、室内ユニット200から流出する。
【0024】
室内ユニット200から流出した液冷媒は、再度室外ユニット100に流入する。室外ユニット100に流入した液冷媒は、一部が排熱回収バイパス管を通過し、排熱回収冷媒流量調整弁にて減圧され、気液二相状態となって、排熱回収熱交換器に流入する。残りの液冷媒は、室外流量調整弁107にて減圧され、気液二相状態となって、室外熱交換器106にて、室外熱交換器106に流入する。
【0025】
排熱回収熱交換器113に流入した気液二相冷媒は、冷却水から吸熱しながら蒸発し、中温中圧(例えば、20℃、1MPaG)、過熱度10K程度のガス冷媒となって、電動圧縮機103に戻るとともに、室外熱交換器106に流入した気液二相冷媒は、外気と熱交換しながら蒸発し、低温低圧(例えば、7℃、0.7MPaG)のガス冷媒となって、四方弁105、及び、アキュムレータ108を通過し、エンジン駆動圧縮機102に戻り、上記過程を繰り返す。
また、オイルセパレータ104で分離された冷凍機油は、図示しないオイル戻し管を通過し、エンジン駆動圧縮機102、及び、電動圧縮機103の吸入配管に流入し、エンジン駆動圧縮機102、及び、電動圧縮機103に戻り、上記過程を繰り返す。
【0026】
[1-2-2.冷却水側の動作]
[1-2-2-1.冷房運転時の動作]
三方弁118は、冷却水をラジエータ117側に流れる流路に切り替えられる。
冷却水ポンプ115で押し出された冷却水は、排気ガス熱交換器123に流入し、ガスエンジン101の排気ガスを冷却する。排気ガス熱交換器123にて冷却された排気ガスは、排気ガスマフラ124から外気に放出される。排気ガス熱交換器123から流出した冷却水は、ガスエンジン101に流入し、ガスエンジン101を冷却する。ガスエンジン101を冷却した冷却水は、三方弁を通過し、ラジエータ117に流入する。ラジエータ117に流入した冷却水は、外気と熱交換して放熱し、再度冷却水ポンプに戻り、上記過程を繰り返す。
【0027】
[1-2-2-2.暖房定格運転時の動作]
三方弁118は、冷却水を排熱回収熱交換器113側に流れる流路に切り替えられる。
冷却水ポンプ115で押し出された冷却水は、排気ガス熱交換器123に流入し、ガスエンジン101の排気ガスを冷却する。排気ガス熱交換器123にて冷却された排気ガスは、排気ガスマフラ124から外気に放出される。排気ガス熱交換器123から流出した冷却水は、ガスエンジン101に流入し、ガスエンジン101を冷却する。ガスエンジン101を冷却した冷却水(例えば、60℃)は、三方弁118を通過し、排熱回収熱交換器113に流入する。排熱回収熱交換器113に流入した冷却水は、冷媒と熱交換して放熱し(例えば、50℃)、再度冷却水ポンプに戻り、上記過程を繰り返す。
【0028】
[1-2-2-3.暖房部分負荷運転時の動作]
三方弁118は、冷却水を排熱回収熱交換器113側に流れる流路に切り替えられる。
冷却水流量調整弁120は、開放される。
冷却水ポンプ115で押し出された冷却水は、排気ガス熱交換器123に流入し、ガスエンジン101の排気ガスを冷却する。排気ガス熱交換器123にて冷却された排気ガスは、排気ガスマフラ124から外気に放出される。排気ガス熱交換器123から流出した冷却水は、ガスエンジン101に流入し、ガスエンジン101を冷却する。ガスエンジン101を冷却した冷却水(例えば、60℃)は、三方弁118を通過し、一部は排熱回収熱交換器113に流入し、残りの冷却水は冷却水バイパス管119に流入する。
排熱回収熱交換器113に流入した冷却水は、冷媒と熱交換して放熱し(例えば、50℃)、冷却水バイパス管119から流出した冷却水(例えば、60℃)と合流し、加熱された(例えば、55℃)後に、再度冷却水ポンプに戻り、上記過程を繰り返す。
【0029】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、空気調和装置1は、ガスエンジン101により駆動するエンジン駆動圧縮機102と、電動モータにより駆動する電動圧縮機103とを並列に接続し、電動圧縮機103の吸入配管と液冷媒配管109とを接続する排熱回収バイパス管111の中途部に設けられた排熱回収熱交換器113と、ガスエンジン101、排熱回収熱交換器113、ポンプ115を順に、環状に配管接続し、配管内に冷却水を流通させ、ガスエンジン101を冷却する冷却水回路と、排熱回収熱交換器113の冷却水の流出側と流入側とを接続する冷却水バイパス管119と、冷却水バイパス管119に設けられた冷却水流量調整弁120と、を備えた。
そして、暖房部分負荷運転時に、冷却水流量調整弁120を開放し、ガスエンジン101を冷却した後の冷却水を排熱回収熱交換器113に流すとともに、冷却水の一部を冷却水バイパス管119に流す。
【0030】
これにより、空調負荷が中程度まで減少し、排熱量が減少する際、冷却水流量調整弁120の制御により、一部の冷却水を冷却水バイパス管119に流入させることで、排熱回収熱交換器113を流出した冷却水は、バイパスした冷却水と合流し、加熱されるため、ガスエンジン101出入口の温度勾配が大きくなることが抑制される。
さらに、排熱回収熱交換器113に流入する冷却水量が減少するため、冷媒の排熱回収熱交換器113出入口の温度勾配が小さくなることにより、冷媒の排熱回収熱交換器113出口温度が低下する。そのため、ガスエンジン101の損傷を防止しながら、排熱回収熱交換器113に流入する冷却水量を減少させることができるため、熱交換量を減少させながら、冷媒吸入過熱度を所定以下の温度に維持することができる。結果、中程度の空調負荷においても圧縮動力が減少し、サイクル効率が向上する。
【0031】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本開示は、部分負荷運転時、圧縮機の吸入冷媒過熱度を所定温度以下に維持することができない空気調和装置に適用可能である。具体的には、ハイブリッド式の空気調和装置に本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 空気調和装置
2 ユニット配管
100 室外ユニット
101 ガスエンジン
102 エンジン駆動圧縮機
103 電動圧縮機
104 オイルセパレータ
105 四方弁
106 室外熱交換器
107 室外冷媒流量調整弁
108 アキュムレータ
109 液冷媒配管
110 室外ファン
111 排熱回収バイパス管
112 排熱回収冷媒流量調整弁
113 排熱回収熱交換器
114 逆止弁
115 冷却水ポンプ
116 リザーバタンク
117 ラジエータ
118 三方弁
119 冷却水バイパス管
120 冷却水流量調整弁
121 機械室
122 熱交換器室
123 排気ガス熱交換器
124 排気ガスマフラ
200 室内ユニット
201 室内熱交換器
202 室内冷媒流量調整弁
203 室内ファン