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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093166
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】低温液化ガスタンク
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
F17C3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208629
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】江上 武史
(72)【発明者】
【氏名】児玉 直哉
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 啓央
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴裕
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB04
3E172AB11
3E172AB15
3E172BA06
3E172BB03
3E172BB12
3E172BB17
3E172BC07
3E172BD05
3E172CA02
3E172CA10
3E172DA03
3E172DA05
3E172DA15
3E172DA17
3E172DA20
(57)【要約】
【課題】連通管を有する多重殻構造を備えた低温液化ガスタンクにおいて、メンテナンス作業を容易とする。
【解決手段】三重殻タンク1は、タンク本体1T、連通管50、一対の開閉機構及びフィルタ6を含む。タンク本体1Tは、低温液化ガスを貯留する内槽4と、内槽4を取り囲む中間槽3と、中間槽3を取り囲む外槽2と、内槽4と中間槽3との間に形成された断熱空間である第1槽間11とを含む。連通管50は、内槽4の内部空間と第1槽間11とを連通させる管体であって、タンク本体1Tの外部に露出する露出経路53を含んで配管されている。一対の開閉機構は、露出経路53において連通管50に縁切り区間54となる間隔を置いて配設され、それぞれ前記連通管50内の流路を開閉する機能を備えた第1バルブV1及び第2バルブV2からなる。フィルタ6は、縁切り区間54の内部に配置され、連通管50内のパーライト粉PAを捕捉する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温液化ガスを貯留する第1槽と、前記第1槽を取り囲む第2槽と、前記第1槽と前記第2槽との間に形成された断熱空間と、を含むタンク本体と、
前記第1槽の内部空間と前記断熱空間とを連通させる管体であって、前記タンク本体の外部に露出する露出経路を含んで配管される連通管と、
前記露出経路において前記連通管に縁切り区間となる間隔を置いて配設され、それぞれ前記連通管内の流路を開閉する機能を備える一対の開閉機構と、
前記連通管の前記縁切り区間に配置され、気体中の粉体を捕捉することが可能な粉体捕捉部と、
を備える低温液化ガスタンク。
【請求項2】
請求項1に記載の低温液化ガスタンクにおいて、
前記粉体捕捉部が、前記縁切り区間の内部に配置されたフィルタである、低温液化ガスタンク。
【請求項3】
請求項1に記載の低温液化ガスタンクにおいて、
前記粉体捕捉部が、気体中の粉体を重力で沈降させる重力沈降室である、低温液化ガスタンク。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の低温液化ガスタンクにおいて、
前記一対の開閉機構が前記流路を閉としている状態において、前記連通管の前記縁切り区間にパージ用ガスを流通させるパージ経路をさらに備える、低温液化ガスタンク。
【請求項5】
請求項2に記載の低温液化ガスタンクにおいて、
前記フィルタを収容するフィルタ収容管と、当該フィルタ収容管の端部に形成されたフランジ構造部とを備えるフィルタ管体を備え、
前記縁切り区間のフランジ接続部に前記フィルタ管体の前記フランジ構造部が接続されている、低温液化ガスタンク。
【請求項6】
請求項2又は5に記載の低温液化ガスタンクにおいて、
前記連通管における前記フィルタの上流側の流路の圧力を検出する第1圧力計と、下流側の流路の圧力を検出する第2圧力計とをさらに備える、低温液化ガスタンク。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の低温液化ガスタンクにおいて、
前記連通管の配管構造が、前記縁切り区間は単管構造であり、前記一対の開閉機構よりもタンク本体側の区間に真空二重管構造の領域を含む、低温液化ガスタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、低温液化ガスを貯留する多重殻構造を備えた平底タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
液化水素や液化天然ガスなどの低温の液化ガスを貯留するタンクとして、多重殻構造を備えた平底タンクが知られている。例えば二重殻タンクでは、低温液化ガスを貯留する内槽と、断熱空間を介して前記内槽を取り囲む外槽とを含む。特許文献1には、内槽の気相部空間と前記断熱空間とを連通させる連通管を設け、両空間を同じ圧力に保つようにした多重殻タンクが開示されている。一般に、断熱空間にはパーライトのような粉体断熱材が充填される。特許文献1のタンクでは、内槽方向へ向かう粉体断熱材をトラップするフィルタを前記連通管内に装備させ、粉体断熱材の混入による液化ガスの純度低下を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6909634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記連通管内にフィルタ等の粉体捕捉部を装備させた場合、当該粉体捕捉部にトラップした粉体断熱材が過剰に滞留することがある。このため、前記粉体捕捉部の清掃や交換等のメンテナンス作業を行うことが可能な構造を、前記連通管に具備させる必要がある。当該構造は、前記メンテナンス作業を困難化させない構造であることが望ましい。
【0005】
本開示の目的は、連通管を有する多重殻構造を備えた低温液化ガスタンクにおいて、メンテナンス作業を容易に行い得るタンク構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面に係る低温液化ガスタンクは、低温液化ガスを貯留する第1槽と、前記第1槽を取り囲む第2槽と、前記第1槽と前記第2槽との間に形成された断熱空間と、を含むタンク本体と、前記第1槽の内部空間と前記断熱空間とを連通させる管体であって、前記タンク本体の外部に露出する露出経路を含んで配管される連通管と、前記露出経路において前記連通管に縁切り区間となる間隔を置いて配設され、それぞれ前記連通管内の流路を開閉する機能を備える一対の開閉機構と、前記連通管の前記縁切り区間に配置され、気体中の粉体を捕捉することが可能な粉体捕捉部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、連通管を有する多重殻構造を備えた低温液化ガスタンクにおいて、メンテナンス作業を容易に行い得るタンク構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の低温液化ガスタンクの一例である三重殻タンクの構造を示す縦断面図である。
図2図2は、上記三重殻タンクが備える連通管構造部の詳細を示す模式図である。
図3図3は、フィルタの一例と、該フィルタの連通管への取り付け例を示す断面図である。
図4図4は、フィルタの一例と、該フィルタの連通管への取り付け例を示す断面図である。
図5図5(A)~(C)は、重力沈降室の各種実施例を示す模式図である。
図6図6は、連通管の縁切り区間へのパージ用ガスの流通、及びフィルタの目詰まり検出の例を示す図である。
図7図7は、変形例1に係る三重殻タンクを示す断面図である。
図8図8は、変形例2に係る三重殻タンクを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本開示に係る低温液化ガスタンクの実施形態を詳細に説明する。本開示の低温液化ガスタンクは、低温の液化ガスを貯留するタンクであって、地上据え置き式の多重殻構造を備えた平底タンクである。貯留される液化ガスは、例えば液化水素、液体ヘリウム、液体窒素、液化天然ガス又は液化石油ガスなどである。
【0010】
[低温液化ガスタンクの全体構造]
まず、本開示に係る低温液化ガスタンクの全体構造を説明する。ここでは、低温液化ガスタンクとして、液体水素LHを貯留する三重殻タンク1を例示する。図1は、三重殻タンク1の縦断面図である。三重殻タンク1は、タンク基礎10と、このタンク基礎10の上に組み立てられた多重殻構造のタンク本体1Tと、タンク本体1Tに付設された連通管構造部5とを備える。タンク本体1Tは、タンク基礎10の上に立設された外槽2と、外槽2に内包された中間槽3と、中間槽3に内包された内槽4とを含む。外槽2、中間槽3及び内槽4は、いずれも上面視で円形の形状を有し、同心円状に配置されている。
【0011】
タンク基礎10は、三重殻タンク1の基礎部分を構成するコンクリート層である。タンク基礎10は、外槽2の外径よりも大きいサイズを有している。外槽2は、炭素鋼等の金属で構成された密閉体であり、外槽底板21、外槽側板22及び外槽屋根23を含む。外槽底板21は、タンク基礎10の直上に敷設され、円板型の形状を有している。外槽側板22は、外槽底板21の周縁から立設され、円筒状の形状を有している。外槽屋根23は、円筒状の外槽側板22の上面開口を塞ぐように当該外槽側板22の上端に取り付けられ、ドーム型の形状を有している。
【0012】
中間槽3は、SUS等の金属で構成された密閉体であり、外槽2の内部に配置されている。中間槽3は、中間槽底板31、中間槽側板32及び中間槽屋根33を含む。中間槽底板31は、外槽底板21よりも径の小さい円板型の形状を有している。中間槽側板32は、中間槽底板31の周縁から立設され、円筒状の形状を有している。中間槽屋根33は、中間槽側板32の上端に取り付けられ、ドーム型の形状を有している。
【0013】
外槽底板21と中間槽底板31との間には、第1レベルコンクリート層24、第1リング部25及び外側底部保冷層26が介在されている。第1レベルコンクリート層24は、外槽底板21の上に施工された平面出しのコンクリート層である。第1リング部25は、第1レベルコンクリート層24の周縁付近の上にリング状に配置された、強度の高いコンクリート層である。第1リング部25において中間槽側板32の荷重を直接受ける箇所には、強化コンクリート層251が配置されている。外側底部保冷層26は、第1レベルコンクリート層24の上であって、第1リング部25の内側に配置された、断熱性を有する層である。第1リング部25は、例えばパーライトコンクリートブロックのような、断熱コンクリートブロックの配列体により形成できる。外側底部保冷層26は、例えば泡ガラスのような、断熱性の無機ブロック材の配列体により形成できる。外側底部保冷層26の上に、例えば軽量気泡コンクリートの板材を敷設しても良い。
【0014】
内槽4(第1槽)は、実際に低温液化ガスを貯留する槽である。内槽4は、SUS等の金属で構成された密閉体であって、中間槽3(第2槽)によって取り囲まれている。内槽4は、内槽底板41、内槽側板42及び内槽屋根43を含む。内槽底板41は、中間槽底板31よりも径の小さい円板型の形状を有している。内槽側板42は、内槽底板41の周縁から立設され、円筒状の形状を有している。内槽屋根43は、内槽側板42の上端に取り付けられ、ドーム型の形状を有している。内槽4の内部には液体水素LHが貯留されている。なお、内槽4の上層部は、液体水素LHから気化した水素ガスが溜まった気相部LAとなっている。
【0015】
中間槽底板31と内槽底板41との間には、第2レベルコンクリート層34、第2リング部35及び内側底部保冷層36が介在されている。第2レベルコンクリート層34は、中間槽底板31の上に施工されている。第2リング部35は、第2レベルコンクリート層34の周縁付近の上にリング状に配置された、強度の高いコンクリート層である。第2リング部35において内槽側板42の荷重を直接受ける箇所には、強化コンクリート層351が配置されている。内側底部保冷層36は、第2レベルコンクリート層34の上であって、第2リング部35の内側に配置された、断熱性を有する層である。例えば、第2リング部35はパーライトコンクリートブロック、内側底部保冷層36は泡ガラスブロック等で形成できる。内側底部保冷層36の上に、例えば軽量気泡コンクリートの板材を敷設しても良い。
【0016】
内槽4と中間槽3との間、並びに中間槽3と外槽2との間には、各々所定幅の間隙が形成されている。内槽4と中間槽3との間隙である第1槽間11、及び、中間槽3と外槽2との間隙である第2槽間12は、断熱空間として活用される。第1槽間11及び第2槽間12には、保冷性を高めるために粉体断熱材が充填されている。前記粉体断熱材としては、例えば粒状パーライトを用いることができる。なお、側板22、32、42における、貯留される液体水素LHの側周囲を取り囲むことになる領域には、前記粒状パーライトに加えてグラスウール等の断熱材を充填しても良い。
【0017】
さらに、第1槽間11及び第2槽間12には、空気や湿気の侵入防止のため、所定のガスが充填される。本実施形態では、第1槽間11には水素ガスが充填され、第2槽間12には、水素ガスよりも沸点の高い不活性ガス、例えば窒素ガスが充填される。本実施形態では、第1槽間11には、内槽4に貯留されている液化ガスの気化ガスが充填される。すなわち、内槽4の上部空間には液体水素LHから気化した水素ガスにて形成される気相部LAが存在しており、この気相部LAの水素ガスが第1槽間11に導入される。
【0018】
連通管構造部5は、上記のような水素ガスの導入を可能とするために、タンク本体1Tの上部に配設されている。連通管構造部5は、内槽4の内部空間と断熱空間である第1槽間11とを連通させ、2つの空間を同じ圧力とする。例えば、第1槽間11に窒素ガスを充填した場合、内槽4に貯留された液体水素LHに冷却されて当該窒素ガスは液化又は固化することがある。しかし、第1槽間11に水素ガスを充填すれば、液化又は固化の問題は解消される。また、連通管構造部5を介して内槽4に存在する水素ガスを活用するので、水素ガスの供給系統を別途配置せずに済む利点がある。
【0019】
連通管構造部5は、大略的に、連通管50と、一対の開閉機構である第1バルブV1及び第2バルブV2と、粉体捕捉部としてのフィルタ6とを含む。連通管50は、内槽4の内部空間と第1槽間11とを連通させる管体であって、タンク本体1Tの外部に露出する露出経路53を含んで配管される。本実施形態では、露出経路53は外槽屋根23の上に突出するように露出している。第1バルブV1及び第2バルブV2は、露出経路53において連通管50に縁切り区間54となる間隔を置いて配設され、それぞれ連通管50内の流路を開閉する機能を備える。フィルタ6は、連通管50の縁切り区間54の内部に配置され、気体中の粉体を捕捉することが可能なフィルタである。本実施形態では、捕捉対象の粉体は、第1槽間11に充填されている粒状パーライトの飛散粉である。以下、連通管構造部5の構造を詳細に説明する。
【0020】
[連通管構造部の詳細]
図2は、三重殻タンク1が備える連通管構造部5の詳細構造例を示す模式図である。ここでは連通管構造部5が、図1に示している連通管50、第1バルブV1及び第2バルブV2、フィルタ6に加え、パージ経路55、第1圧力計P1及び第2圧力計P2、重力沈降室7を備える例を示している。既述の通り、内槽4と中間槽3との間の第1槽間11には、パーライト粉PAと水素ガスGHとが充填されている。また、中間槽3と外槽2との間の第2槽間12には、窒素ガスGNが充填されている。
【0021】
連通管50は、一端が内槽4の気相部LAに開口し、他端が第1槽間11に開口する管路である。外気温や気圧の変化によって断熱空間である第1槽間11内の水素ガスが体積膨張した際には、その水素ガスの一部が連通管50を通って内槽4の気相部LAへ入り込む。他方、第1槽間11内の水素ガスが体積減少した際、若しくは内槽4の水素ガスが体積膨張した際には、気相部LAの水素ガスの一部が連通管50を通って第1槽間11内へ入り込む。このように、連通管50には、第1槽間11内の水素ガスの体積変動によって、水素ガスの双方向の流動が生じる。
【0022】
連通管50は、上記の露出経路53の縁切り区間54に加え、鉛直方向に延びる第1引出管51及び第2引出管52を含む。第1引出管51は、第1バルブV1と内槽4との間を繋ぐ管路、第2引出管52は、第2バルブV2と第1槽間11とを繋ぐ管路である。第1引出管51及び第2引出管52は、保冷性を高めるために真空二重管構造を有している。すなわち、第1引出管51は、内管511と、この内管511を覆う外管512とを備え、内管511と外管512との間が真空層とされている。第2引出管52も同様であり、内管521及び外管522を備えている。
【0023】
第1引出管51の下端513は、内槽屋根43を貫通し、内槽4内の気相部LAに臨んでいる。第1引出管51の上端514は、外槽屋根23を貫通して上方に突出している。上端514は第1バルブV1の一方のポートに接続されている。なお、第1引出管51の上下方向中間部は、中間槽屋根33を貫通している。
【0024】
外槽2、中間槽3及び内槽4は金属製であるため、温度によって容積が膨張又は収縮する。とりわけ、内槽4は極低温の液体水素LHと直接接触するため、液化ガスの注入前後の伸縮の度合いが大きい。この伸縮の影響が第1引出管51に及ばないよう、内槽屋根43の貫通部に設けられた固定部515においてのみ、第1引出管51はタンク本体1Tに対して固定的に取り付けられている。第1引出管51の中間槽屋根33及び外槽屋根23の貫通部には、それぞれ上下方向に伸縮する蛇腹管からなる第1伸縮管516及び第2伸縮管517が取り付けられている。このため、内槽4が外槽2及び中間槽3とは異なる度合いで伸縮しても、その伸縮差は第1伸縮管516及び第2伸縮管517の伸縮動作で吸収され、第1引出管51に応力が加わることはない。
【0025】
第2引出管52の下端523は、中間槽屋根33を貫通し、第1槽間11に臨んでいる。第2引出管52の上端524は、外槽屋根23を貫通して上方に突出している。上端524は第2バルブV2の一方のポートに接続されている。第2引出管52は、中間槽屋根33の貫通部に設けられた固定部525においてのみ、タンク本体1Tに対して固定的に取り付けられている。第2引出管52の外槽屋根23の貫通部には、蛇腹管からなる第3伸縮管526が取り付けられている。
【0026】
第1バルブV1及び第2バルブV2は開閉バルブであって、連通管50の露出経路53に、タンク本体1Tの内部空間とは遮断された管路となる縁切り区間54を形成するために配置されている。縁切り区間54の管路の一端は、第1引出管51の上端514が接続されている第1バルブV1の他方のポートに接続され、他端は、第2引出管52の上端524が接続されている第2バルブV2の他方のポートに接続されている。第1バルブV1が「閉」とされることで、縁切り区間54の管路は内槽4の内部空間とは遮断された状態となる。また、第2バルブV2が「閉」とされることで、縁切り区間54の管路は第1槽間11とは遮断された状態となる。第1バルブV1及び第2バルブV2は、通常時は「開」とされ、メンテナンス作業時などに「閉」とされる。
【0027】
フィルタ6は、断熱空間である第1槽間11に収容されたパーライト粉PAが、連通管50を通して内槽4へ進入することを抑制乃至は禁止するために、連通管50の縁切り区間54の内部に配置されている。配置位置は、重力沈降室7と第1バルブV1との間である。上述の通り、第1槽間11内の水素ガスが体積膨張すると、第1槽間11から内槽4へ向かう水素ガスの流動が連通管50内に生じる。この流動に乗って、第1槽間11内で浮遊するパーライト粉PAが連通管50を通って内槽4へ入り込むことがある。内槽4に貯留されている液体水素LHにパーライト粉PAが混入すると、当該液体水素LHの純度を低下させてしまう。この不具合を抑制するため、フィルタ6が縁切り区間54に装備されている。後記で具体例を詳述するが、例えばフィルタ6として、ストレーナのようなメッシュフィルタ、ガラスウールやフィルタクロスのような繊維フィルタ等を用いることができる。また、第1バルブV1及び第2バルブV2を「閉」とすることで、作業者は容易にフィルタ6の清掃や交換等のメンテナンス作業を行うことができる。
【0028】
パージ経路55は、連通管50の縁切り区間54にパージ用ガスを流通させる経路を作るために配置されている。パージ経路55は、パージ上流管55A及びパージ下流管55Bを含む。パージ上流管55Aは、第1バルブV1の近傍において縁切り区間54に接続され、当該パージ上流管55Aを開閉する第3バルブV3が組み付けられている。パージ下流管55Bは、第2バルブV2の近傍において縁切り区間54に接続され、当該パージ下流管55Bを開閉する第4バルブV4が組み付けられている。
【0029】
パージ経路55の主な用途は、フィルタ6の目詰まり除去である。パージ経路55にパージガスを流し、その流動によりフィルタ6に詰まったパーライト粉PAを取り除く。パージ経路55を使用するに際しては、第1バルブV1及び第2バルブV2が「閉」とされ、縁切り区間54がタンク本体1Tから切り離された状態とされる。この状態で、第3バルブV3及び第4バルブV4が「開」とされ、パージ上流管55Aへパージガスが供給される。前記パージガスは縁切り区間54を流れ、パージ下流管55Bから排出される。前記パージガスとしては、水素ガスを用いることができる。なお、液体水素よりも沸点が低いガス、例えばヘリウムガスや窒素ガス等を用いることもできる。
【0030】
例えば、フィルタ6の清掃や交換等のメンテナンス作業を実行する際にも、パージ経路55は使用される。第1バルブV1及び第2バルブV2を「閉」とされると、タンク本体1Tの外側に露出している縁切り区間54はタンク本体1Tからフリーの状態となり、様々な作業が行える状態となる。三重殻タンク1の運用中は、縁切り区間54には水素ガスが残存している。この残存水素ガスを、メンテナンス作業の前に、パージ経路55を用いたパージガスの流通により排出させることができる。この場合、残存水素ガスを安全に大気放散できるよう、第4バルブV4の出口側が水素ガスのベントラインに接続される。
【0031】
第1圧力計P1及び第2圧力計P2は、それぞれ連通管50の縁切り区間54の流路の圧力を検出する。パーライト粉PAが充填されている第1槽間11から内槽4に向かう流動方向Fに基づくと、第1圧力計P1はフィルタ6の上流側の流路の圧力を検出し、第2圧力計P2はフィルタ6の下流側の流路の圧力を検出する。
【0032】
第1圧力計P1及び第2圧力計P2を配置することで、流動方向Fにおけるフィルタ6の上流側及び下流側の双方の圧力を知見できる。フィルタ6に目詰まりが生じている場合、例えば前記パージガスを縁切り区間54に流すと、フィルタ6の上流側と下流側とで圧力差が生じる。前記目詰まりの程度が高いほど、前記圧力差は大きくなる傾向が現れる。従って、第1圧力計P1及び第2圧力計P2の圧力検出結果に基づいて、フィルタ6の目詰まり状態を評価できる。
【0033】
重力沈降室7は、気体中の粉体を重力で沈降させる機能を果たす。重力沈降室7は、縁切り区間54におけるフィルタ6と第1槽間11側の端部である第2バルブV2との間に配置され、断面積が縁切り区間54の通常管路部分の断面積よりも大きい空間を含む。重力沈降室7の底部711は、前記通常管路部分よりも下方に位置している。
【0034】
パーライト粉PAは、連通管50内を流動方向Fに沿って浮遊流動する。重力沈降室7は、浮遊するパーライト粉PAを捕捉するため、当該パーライト粉PAを自重によって沈降させる空間を提供する。流動方向Fに沿って流れるパーライト粉PAが重力沈降室7に至ると、断面積が前記通常管路部分よりも大きいことに伴い、その流速が低下する。これにより、パーライト粉PAは、重力沈降室7の底部711に向けて沈降し易くなる。但し、当該パーライト粉PAを重力沈降室7で捕捉しきれない場合がある。しかし、重力沈降室7の下流側にはフィルタ6が配置されている。従って、重力沈降室7を通過したパーライト粉PAは、フィルタ6によって捕捉される。すなわち、捕捉精度は低いものの多量のパーライト粉PAを捕捉及び貯留可能な重力沈降室7を流動方向Fの上流側に配置し、その下流側に捕捉精度の高いフィルタ6を配置することで、効果的なパーライト粉PAの捕捉を達成している。
【0035】
連通管50の配管構造は、縁切り区間54は単管構造の領域であり、第1バルブV1及び第2バルブV2よりもタンク本体1T側の区間は真空二重管構造を含む領域である。既述の通り、第1引出管51は内管511と外管512とからなる二重管であり、第2引出管52も内管521と外管522とからなる二重管である。一方、縁切り区間54は二重管構造とはされず、単管である。これにより、縁切り区間54が、フィルタ6や重力沈降室7などを、フランジ構造体を備えたパーツとして着脱させ易い配管部分となっている。
【0036】
連通管50の全長を真空二重管構造とすれば、保冷面では優位である。しかし、第1バルブV1及び第2バルブV2を組み入れたり、パーツ化されたフィルタ6や重力沈降室7を着脱させたりする構成を採用し難くなる。本実施形態では、連通管50の縁切り区間54および露出経路53の一部が単管構造とされるので、上記の問題を解消できる。なお、縁切り区間54を含む前記単管構造の部分には配管保冷材を多層に設置する等して、保冷性を高めておくことが望ましい。
【0037】
[連通管構造部の各部の具体例]
続いて、連通管構造部5の各部、すなわちフィルタ6、重力沈降室7の具体例、フィルタ6の目詰まり検出の具体例について説明する。
【0038】
<フィルタ>
図3は、フィルタ6の一例と、該フィルタ6の連通管50の縁切り区間54への取り付け例を示す断面図である。ここでは、フィルタ6がストレーナからなり、縁切り区間54に具備された第1フランジ接続部56に着脱可能に取り付けられている例を示す。図2では、このストレーナのフィルタ6を簡略的に示している。
【0039】
ストレーナのフィルタ6は、円錐台の形状を有するメッシュ部6Mと、前記円錐台の長径端部においてメッシュ部6Mに一体化されたフランジ取り付け部61とを有する。メッシュ部6Mは、例えば線径=0.1mmのワイヤを用いた100メッシュのメッシュ体を用いることができる。メッシュ部6Mの長径端部の内径は、縁切り区間54の管路の内径と略等しい。フランジ取り付け部61は、前記長径端部から径方向外側に延びる円環平板である。
【0040】
第1フランジ接続部56は、上フランジ部561及び下フランジ部562とで構成されている。フィルタ6のフランジ取り付け部61は、上下一対のガスケット563を介して、上フランジ部561と下フランジ部562との間に挟み込まれている。微細なパーライト粉PAの捕捉性を高めるために、メッシュ部6Mの周囲にフィルタクロスを巻回しても良い。或いは、メッシュの荒い筒状の基材に、前記フィルタクロスを一層又は多層に巻回してなる複合体を、フィルタ6として用いるようにしても良い。前記フィルタクロスとしては、例えばアラミド繊維によって形成されたフェルトを用いることができる。
【0041】
図4は、他の例に係るフィルタ6Aと、該フィルタ6Aの縁切り区間54への取り付け例を示す断面図である。図4では、フィルタ6Aが装填されたフィルタ管体60が、縁切り区間54に備えられた第1フランジ接続部56に組み入れられる例を示している。フィルタ6Aは、例えばガラスウールのような、微細繊維の集合体からなる綿状体からなる通気性フィルタである。
【0042】
フィルタ管体60は、フィルタ収容管62及びフランジ構造部63を含む。フィルタ収容管62は、綿状体のフィルタ6Aを収容する筒状の管体である。フィルタ収容管62は、連通管50の管軸方向に所定の長さを有し、縁切り区間54において連通管50の一部を構成している。フランジ構造部63は、フィルタ収容管62の両端部に形成され、第1フランジ接続部56とフランジ接続が可能な部分である。フランジ構造部63には、前記フランジ接続のためのボルト孔631が穿孔されている。
【0043】
綿状体のフィルタ6Aは、管軸方向に所定の長さを持つフィルタ収容管62の略全長に亘って充填されている。フィルタ収容管62は連通管50の一部を構成する管路であるので、フィルタ6Aは、連通管50の縁切り区間54の内部に、管軸方向に沿って所定の厚さで充填されていることになる。このように、綿状体のフィルタ6Aを管路内に充填する構造とすれば、メッシュ状のフィルタに比較して、フィルタ内の通気経路が複雑化する。このため、微小なパーライト粉PAでも捕捉し易くなり、パーライト粉PAの捕捉率を高めることができる。
【0044】
フィルタ管体60は、綿状体のフィルタ6Aをフィルタ収容管62内に収めるために、金網632及びガラスクロス64を備えている。金網632は、上下一対のフランジ構造部63の開口部分に各々取り付けられた、目の粗い金網である。ガラスクロス64は、金網632に隣接してフランジ構造部63の内側に配置された、通気性を有するクロスである。フィルタ6Aは、連通管50の内部において落下したりフィルタ収容管62からはみ出したりしないよう、ガラスクロス64を介して上下の金網632で支持されている。
【0045】
第1フランジ接続部56は、図3の例とは異なり、管軸方向に所定の長さを持つフィルタ管体60を割り入れるため、上フランジ部561と下フランジ部562との間が離間している。フィルタ管体60の上下のフランジ構造部63が、それぞれ上フランジ部561、下フランジ部562に接続される。図4の実施形態によれば、フィルタ管体60をフィルタ6A内蔵のパーツとして取り扱える。このため、第1フランジ接続部56とフランジ構造部63との接続及びその解除により、パーツ交換の要領でフィルタ交換作業を完結できる。
【0046】
<重力沈降室>
フィルタ6と同様に、重力沈降室7もフランジ構造を備えたパーツとし、連通管50の縁切り区間54に着脱が容易な態様とすることが望ましい。図5(A)~(C)は、各種の実施例に係る重力沈降室7A、7B、7Cを示す模式図である。
【0047】
図5(A)に示す重力沈降室7Aは、筐体71Aと、この筐体71Aの両端に配置されたフランジ構造部72と、筐体71Aとフランジ構造部72とを繋ぐ繋ぎ管73とを備える。筐体71Aは、円筒形状を備え、パーライト粉PAを重力沈降させる空間を区画している。筐体71Aは、管軸方向に所定の長さ、すなわち前記重力沈降に好適な長さを有する。また、筐体71Aの内径は、縁切り区間54における連通管50の内径よりも大きく設定され、例えば1.5倍~5倍程度に設定される。繋ぎ管73は、筐体71Aの径方向中心ではなく、外周縁側に偏心した位置において、筐体71の入口側側面及び出口側側面に取り付けられている。筐体71Aの底部711と繋ぎ管73の取り付け位置とは、筐体71Aの径方向中心を挟んで対向している。
【0048】
縁切り区間54には、重力沈降室7Aを着脱可能に取り付けるための第2フランジ接続部57が備えられている。第2フランジ接続部57は、入口フランジ部571と出口フランジ部572とから構成されている。入口フランジ部571と出口フランジ部572との間は、重力沈降室7Aの割り入れが可能なように離間している。重力沈降室7Aの入口側及び出口側のフランジ構造部72が、それぞれ入口フランジ部571、出口フランジ部572に接続される。重力沈降室7Aは、筐体71Aの底部711が最下点となるように、第2フランジ接続部57に対して取り付けられる。これは、図2に基づき説明したパーライト粉PAの重力沈降を生じ易くするためである。
【0049】
図5(B)は、他の例に係る重力沈降室7Bを示している。図5(A)の重力沈降室7Aと相違する点は、重力沈降室7Bが直方体形状の筐体71Bを備えている点である。筐体71Bは、管軸方向及び管軸方向と直交する方向に所定の長さを有する直方体からなる。繋ぎ管73は、筐体71Bの上部付近の両側面にそれぞれ取り付けられている。重力沈降室7Bは、筐体71Bの底部712が最下点となるように、第2フランジ接続部57に対して取り付けられる。
【0050】
図5(C)は、図5(A)の重力沈降室7Aの変形例に係る重力沈降室7Cを示している。重力沈降室7Aと相違する点は、筐体71Aに、当該重力沈降室Cの内部を視認可能とする窓部713が備えられている点である。窓部713は、筐体71Aの底部711の近傍に設けられた開口部と、この開口部を塞ぐように取り付けられたガラスやアクリル板などの透明プレートとからなる。図5(C)の重力沈降室7Cによれば、作業者は、窓部713を通して筐体71Aの内部におけるパーライト粉PAの滞留状況を視認し、メンテナンス作業の必要時期を判断することができる。
【0051】
<フィルタの目詰まり検出方法>
図6は、フィルタ6の目詰まり検出手順を説明するための図である。目詰まり検出に際しては、縁切り区間54がタンク本体1Tの循環系から切り離される。すなわち、第1バルブV1及び第2バルブV2が「閉」とされる。また、第3バルブV3及び第4バルブV4が「開」とされ、パージ経路55が開かれる。パージ上流管55AにはパージガスGの供給源が接続され、パージ下流管55Bはベントラインへ接続される。パージガスGの供給が開始されると、パージガスGが、パージ上流管55Aから連通管50の縁切り区間54並びにフィルタ6を通して、パージ下流管55Bに向かう方向に流れる。
【0052】
パージガスGの流通を開始させた後、第1圧力計P1及び第2圧力計P2により、パーライト粉PAの流動方向Fにおいて、フィルタ6の上流側の流路の圧力Pf及び下流側の圧力Pbが検出される。そして、圧力Pfと圧力Pbとの差分ΔPが評価される。ΔPが所定の閾値以下であれば、フィルタ6の通気性は良好ということになる。つまり、フィルタ6に大きな目詰まりは生じていないと評価できる。この場合、パージガスGの流通を停止させ、フィルタ6を交換することなくメンテナンス作業を終了する。
【0053】
一方、ΔPが所定の閾値以上であれば、フィルタ6の目詰まり除去のため、パージガスGの流通が継続される。このパージガスGの流動により、フィルタ6に詰まったパーライト粉PAを取り除ける場合がある。一定時間、パージガスGの流通を行わせた後、圧力Pfと圧力Pbとが検出され、両者の差分ΔPが評価される。ΔPが所定の閾値以下であれば、フィルタ6を交換することなくメンテナンス作業を終了する。一方、ΔPが所定の閾値以上であれば、フィルタ6の交換作業を行う。
【0054】
[変形実施形態]
以上、本開示に係る低温液化ガスタンクの実施形態を説明したが、本開示は上掲の実施形態に何ら限定されない。例えば、上述の低温液化ガスタンクについて、次のような変形実施形態を取ることができる。
【0055】
(1)上記実施形態では、図1に示したように、三重殻タンク1に一つの連通管構造部5を配設する例を示した。これに代えて、図7に示すように、三重殻タンク1に複数の連通管構造部5A、5Bを配設しても良い。一つの連通管構造部5しか具備されていない場合、フィルタ6の交換等を行う際に第1バルブV1及び第2バルブV2が閉止されるため、内槽4と第1槽間11とは遮断された状態となる。この場合、内槽4の圧力が上昇することも想定される。これに対し、複数の連通管構造部5A、5Bを具備させておけば、例えば一方の連通管構造部5Aが閉止されても、他方の連通管構造部5Bにて内槽4と第1槽間11との圧力を同等に維持することができる。
【0056】
(2)上記実施形態では、低温液化ガスタンクとして、外槽2、中間槽3及び内槽4を備える三重殻タンク1を例示した。低温液化ガスタンクは、多重殻構造を備えた平底タンクであれば良い。図8は、二重殻タンク100に、本開示に係る連通管構造部5を適用した例を示す。二重殻タンク100は、外槽20と内槽30とからなり、両者の槽間120には保冷のためパーライト粉が充填されている。外槽20は、外槽底板210、外槽側板220及び外槽屋根230を有し、内槽30は、内槽底板310、内槽側板320及び内槽屋根330を有している。連通管構造部5の連通管50は、内槽30の気相部LAと槽間120とを連通させている。連通管50の外槽屋根230から露出している部分には、第1バルブV1及び第2バルブV2と、フィルタ6とが装備されている。
【0057】
(3)上記実施形態では、連通管50の縁切り区間54に、粉体捕捉部として、フィルタ6だけでなく重力沈降室7を配置し、されに第1圧力計P1及び第2圧力計P2を設置する例を示した。重力沈降室7及び圧力計P1、P2のいずれか一方又は双方の設置を省いても良い。また、フィルタ6を縁切り区間54の複数箇所に配置する多連フィルタ構造を採用しても良い。他の変形例として、フィルタ6を省き、重力沈降室7だけを縁切り区間54に配置する態様としても良い。
【0058】
[本開示のまとめ]
以上説明した具体的実施形態には、以下の構成を有する開示が含まれている。
【0059】
本開示に係る低温液化ガスタンクは、低温液化ガスを貯留する第1槽と、前記第1槽を取り囲む第2槽と、前記第1槽と前記第2槽との間に形成された断熱空間と、を含むタンク本体と、前記第1槽の内部空間と前記断熱空間とを連通させる管体であって、前記タンク本体の外部に露出する露出経路を含んで配管される連通管と、前記露出経路において前記連通管に縁切り区間となる間隔を置いて配設され、それぞれ前記連通管内の流路を開閉する機能を備える一対の開閉機構と、前記連通管の前記縁切り区間に配置され、気体中の粉体を捕捉することが可能な粉体捕捉部と、を備える。
【0060】
この低温液化ガスタンクによれば、連通管は、タンク本体の外部に露出した露出経路を含んで配管され、その露出経路には一対の開閉機構により縁切りされる縁切り区間を備える。この縁切り区間に、粉体捕捉部が配置される。このため、一対の開閉機構を閉じて第1槽の内部空間及び断熱空間と前記縁切り区間とを遮断した状態とすれば、タンク本体の外部において、粉体捕捉部の清掃や交換等のメンテナンス作業を実行することが可能となる。従って、前記メンテナンス作業を容易化することができる。
【0061】
上記の低温液化ガスタンクにおいて、前記粉体捕捉部は、前記縁切り区間の内部に配置されたフィルタ、或いは、気体中の粉体を重力で沈降させる重力沈降室とすることができる。
【0062】
この低温液化ガスタンクによれば、断熱空間から第1槽内へ向かう粉体を、前記フィルタ、或いは、前記重力沈降室において捕捉できる。従って、前記粉体の第1槽への進入を抑止することができる。
【0063】
上記の低温液化ガスタンクにおいて、前記一対の開閉機構が前記流路を閉としている状態において、前記連通管の前記縁切り区間にパージ用ガスを流通させるパージ経路をさらに備えることが望ましい。
【0064】
この低温液化ガスタンクによれば、メンテナンス作業前に、パージ用ガスによって縁切り区間に残存するガスを排出できる利点もある。また、粉体捕捉部としてフィルタを用いた場合おいて、捕捉した粉体でフィルタに目詰まり生じているとき、前記パージ用ガスの流動により、前記目詰まりを解消することが可能となる。
【0065】
上記の低温液化ガスタンクにおいて、前記フィルタを収容するフィルタ収容管と、当該フィルタ収容管の端部に形成されたフランジ構造部とを備えるフィルタ管体を備え、前記第1フランジ接続部に前記フィルタ管体の前記フランジ構造部が接続されていることが望ましい。
【0066】
この低温液化ガスタンクによれば、フィルタ管体をフィルタ内蔵のパーツとして取り扱える。このため、第1フランジ接続部とフランジ構造部との接合及びその解除により、パーツ交換の要領でフィルタ交換作業を完結できる。
【0067】
上記の低温液化ガスタンクにおいて、前記連通管における前記フィルタの上流側の流路の圧力を検出する第1圧力計と、下流側の流路の圧力を検出する第2圧力計とをさらに備えることが望ましい。
【0068】
この低温液化ガスタンクによれば、連通管内においてある方向に気体の流動が生じる場合において、フィルタの上流側及び下流側の双方の圧力を知見できる。そして、両者の圧力差に基づいて、フィルタの目詰まり状態を評価することが可能となる。
【0069】
上記の低温液化ガスタンクにおいて、前記連通管の配管構造が、前記縁切り区間は単管構造であり、前記一対の開閉機構よりもタンク本体側の区間に真空二重管構造の領域を含むことが望ましい。
【0070】
連通管の全長を真空二重管構造とすれば、保冷面では優位であるが、縁切り区間に例えばフィルタをフランジ構造体として着脱させる構成を採用し難くなる。上記の低温液化ガスタンクによれば、連通管の縁切り区間は単管構造とされるので、パーツの着脱を容易に行える前記縁切り区間とすることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 三重殻タンク(低温液化ガスタンク)
1T タンク本体
11 第1槽間(断熱空間)
2 外槽
3 中間槽(第2槽)
4 内槽(第1槽)
5 連通管構造部
50 連通管
53 露出経路
54 縁切り区間
55 パージ経路
6 フィルタ
7 重力沈降室
71A、71B 筐体
PA パーライト粉(粉体/粉体断熱材)
V1 第1バルブ(一対の開閉機構)
V2 第2バルブ(一対の開閉機構)
P1 第1圧力計
P2 第2圧力計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8