(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009317
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、プログラム、および方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/80 20180101AFI20230113BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20230113BHJP
G06Q 10/00 20230101ALI20230113BHJP
G06Q 30/0241 20230101ALI20230113BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
G16H50/80
G08B23/00 520A
G08B23/00 510D
G06Q10/00
G06Q30/02 380
F24F7/007 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112462
(22)【出願日】2021-07-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・2021年6月29日 ピクシーダストテクノロジーズ株式会社が、公開者のウェブサイトに、CO2センサー、ディスプレイ、及びスタンドを用いたシステム、並びに、ディスプレイの画面例を公開した。 ・2021年6月29日 ピクシーダストテクノロジーズ株式会社が、販促用資料に、CO2センサー、ディスプレイ、及びスタンドを用いたシステム、並びに、ディスプレイの画面例を公開した。 ・2021年6月29日 ピクシーダストテクノロジーズ株式会社が、CO2センサー、ディスプレイ、及びスタンドを用いたシステムの販売を開始した。
(71)【出願人】
【識別番号】517182918
【氏名又は名称】ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西村 想
(72)【発明者】
【氏名】向江 友佑
(72)【発明者】
【氏名】上坂 和摩
【テーマコード(参考)】
3L056
5C087
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
3L056BG02
5C087AA02
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA25
5C087AA32
5C087AA44
5C087DD03
5C087DD49
5C087EE18
5C087EE20
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
5L049AA20
5L099AA03
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素濃度のモニタリングに関するデバイスの設置の自由度を向上する。
【解決手段】本開示の一態様は、対象空間内に設置された二酸化炭素センサによって測定された二酸化炭素濃度の測定結果を取得する手段と、二酸化炭素濃度の測定結果を参照し、対象空間におけるウイルスまたは細菌の感染リスクに関する第1指標を計算する手段と、第1指標に応じたコンテンツを二酸化炭素センサとは独立して設置可能な出力デバイスを介して提示する手段とを具備する、情報処理装置である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間内に設置された二酸化炭素センサによって測定された二酸化炭素濃度の測定結果を取得する手段と、
前記二酸化炭素濃度の測定結果を参照し、前記対象空間におけるウイルスまたは細菌の感染リスクに関する第1指標を計算する手段と、
前記第1指標に応じたコンテンツを前記二酸化炭素センサとは独立して設置可能な出力デバイスを介して提示する手段と
を具備する、情報処理装置。
【請求項2】
前記提示する手段は、前記第1指標に応じたコンテンツを表示デバイスに表示させ、
前記表示デバイスは、前記対象空間外に設置される、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記提示する手段は、前記第1指標に応じたコンテンツを表示デバイスに表示させ、
前記表示デバイスは、前記表示デバイスによる表示内容を前記対象空間外の所定の位置において人間が視認可能となるように前記対象空間内に設置される、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記計算する手段は、第1集計期間に亘る前記測定結果の移動平均である第1平均値を計算し、当該第1平均値を参照して前記第1指標を計算する、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記計算する手段は、前記第1集計期間よりも長い第2集計期間に亘る前記測定結果の移動平均である第2平均値を計算し、当該第2平均値をさらに参照して前記第1指標を計算する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記計算する手段は、前記第1集計期間に亘る測定結果のうち濃度閾値を超過した測定結果を参照することなく前記第1平均値を計算する、
請求項4または請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提示する手段は、前記第1指標に対応する前記感染リスクがリスク閾値未満である場合に、所定のコンテンツを表示デバイスに表示させ、
前記提示する手段は、前記第1指標に対応する前記感染リスクが前記リスク閾値以上である場合に、前記所定のコンテンツを前記表示デバイスに表示させず、かつ前記第1指標に応じたコンテンツを提示する、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記所定のコンテンツは、広告情報、店舗情報、メニュー情報、またはイベント情報の少なくとも1つに関する画像を含む、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記提示する手段は、前記第1指標に対応する前記感染リスクが前記リスク閾値未満である場合に、前記所定のコンテンツに前記第1指標に応じたコンテンツを重畳して前記表示デバイスに表示させる、
請求項7または請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記提示する手段は、前記第1指標に対応する前記感染リスクが前記リスク閾値未満である場合に、前記第1指標に応じたコンテンツと前記所定のコンテンツとを時分割で前記表示デバイスに表示させる、
請求項7または請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記提示する手段は、前記第1指標に対応する前記感染リスクがリスク閾値以上である場合に、所定の警告音をスピーカに出力させる、
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記提示する手段は、前記第1指標に対応する前記感染リスクがリスク閾値以上である場合に、所定の警告色をディスプレイに表示させる、
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記第1指標に対応する前記感染リスクがリスク閾値以上である場合に、前記対象空間におけるエアフローを変更可能な設備を当該感染リスクが減少するようにフィードバック制御する手段をさらに具備する、
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記計算する手段は、前記二酸化炭素濃度の測定結果を参照し、前記対象空間における人の数に関する第2指標を計算し、
前記提示する手段は、前記第1指標および前記第2指標に応じたコンテンツを提示する、
請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項15】
対象空間内に設置された二酸化炭素センサによって測定された二酸化炭素濃度の測定結果を取得する手段と、
前記二酸化炭素濃度の測定結果を参照し、前記対象空間におけるウイルスまたは細菌の感染リスクに関する第1指標を計算する手段と、
前記第1指標に対応する前記感染リスクがリスク閾値以上である場合に、所定の警告色を、前記二酸化炭素センサとは独立して設置可能な表示デバイスに表示させる手段と
を具備する、情報処理装置。
【請求項16】
コンピュータに、請求項1~請求項15の何れかに記載の各手段を実現させるためのプログラム。
【請求項17】
対象空間に設置された二酸化炭素センサと、
前記二酸化炭素センサとは独立して設置可能な出力デバイスと、
前記二酸化炭素センサおよび前記出力デバイスに接続可能な情報処理装置とを具備し、
前記情報処理装置は、
前記二酸化炭素センサによって測定された二酸化炭素濃度の測定結果を取得する手段と、
前記二酸化炭素濃度の測定結果を参照し、前記対象空間におけるウイルスまたは細菌の感染リスクに関する第1指標を計算する手段と、
前記第1指標に応じたコンテンツを、前記出力デバイスを介して提示する手段とを備える、
情報処理システム。
【請求項18】
コンピュータが、
対象空間内に設置された二酸化炭素センサによって測定された二酸化炭素濃度の測定結果を取得することと、
前記二酸化炭素濃度の測定結果を参照し、前記対象空間におけるウイルスまたは細菌の感染リスクに関する第1指標を計算することと、
前記第1指標に応じたコンテンツを前記二酸化炭素センサとは独立して設置可能な出力デバイスを介して提示することと
を具備する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、プログラム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食店などの店舗内への二酸化炭素濃度モニタの設置が進んでいる。
特許文献1には、二酸化炭素濃度センサを備え、二酸化炭素濃度の測定値が予め定められた値を超えている場合に、発光部の発光色を変化させて在室者に換気を促す二酸化炭素濃度モニタについて記載されている。この二酸化炭素濃度モニタは、二酸化炭素濃度の測定結果を表示する表示部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の二酸化炭素濃度モニタは、発光部の発光色の変化により、在室者に換気を促せる可能性がある。
【0005】
しかしながら、この二酸化炭素濃度モニタは、測定に適した場所に設置される必要がある。他方、この二酸化炭素濃度モニタは、換気を行う者が当該二酸化炭素濃度モニタの発光色の変化、または表示部を視認できるように設置されることが好ましい。つまり、この二酸化炭素濃度モニタは、設置条件に制約がある。また、この二酸化炭素濃度モニタの発光色の変化、または表示部における表示内容を見ただけでは、室内におけるウイルスまたは細菌の感染リスクを把握することは困難である。
【0006】
本発明の目的は、空間内における細菌またはウイルスの感染リスクの把握を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、対象空間内に設置された二酸化炭素センサによって測定された二酸化炭素濃度の測定結果を取得する手段と、
前記二酸化炭素濃度の測定結果を参照し、前記対象空間におけるウイルスまたは細菌の感染リスクに関する第1指標を計算する手段と、
前記第1指標に応じたコンテンツを前記二酸化炭素センサとは独立して設置可能な出力デバイスを介して提示する手段と
を具備する、情報処理装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態のクライアント装置の設置例を示す図である。
【
図5】本実施形態のセンシングログデータベースのデータ構造を示す図である。
【
図6】本実施形態の感染リスクログデータベースのデータ構造を示す図である。
【
図7】本実施形態の情報処理の全体フローを示す図である。
【
図8】本実施形態の指標の計算処理のフローチャートである。
【
図9】本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【
図10】本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【
図11】変形例1の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図12】変形例1のサーバの構成を示すブロック図である。
【
図14】変形例1の契約者データベースのデータ構造を示す図である。
【
図15】変形例1の情報処理の全体フローを示す図である。
【
図16】変形例1の指標の計算処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
(1)情報処理システムの構成
情報処理システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、情報処理システム1は、クライアント装置10と、二酸化炭素センサ20とを備える。
クライアント装置10及び二酸化炭素センサ20は、通信ケーブル、または無線(例えば、Bluetooth(登録商標)、またはWiFi)チャネルを介して接続され、電気信号の形式で情報をやり取りする。
【0012】
クライアント装置10は、二酸化炭素センサ20からセンシング情報を受信する。二酸化炭素センサ20は、当該二酸化炭素センサ20による二酸化炭素濃度の測定結果に関する情報である。クライアント装置10は、情報処理装置の一例である。クライアント装置10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。
【0013】
二酸化炭素センサ20は、対象空間内の任意の測定地点に設置される。二酸化炭素センサ20は、周囲の二酸化炭素濃度を繰り返し測定し、測定結果に関するセンシング情報を生成する。二酸化炭素センサ20は、センシング情報をクライアント装置10へ送信する。
【0014】
(1-1)クライアント装置の構成
クライアント装置の構成について説明する。
図2は、本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
【0015】
図2に示すように、クライアント装置10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14と、ディスプレイ15とを備える。
【0016】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0017】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ)のプログラム
【0018】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0019】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、クライアント装置10の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ12は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Array)
【0020】
入出力インタフェース13は、クライアント装置10に接続される入力デバイスから信号(例えば、ユーザの指示、またはセンシング信号)を取得し、かつ、クライアント装置10に接続される出力デバイス(外付け型の出力デバイス)に信号(例えば、画像信号、オーディオ信号、または制御信号)を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、スピーカである。
【0021】
通信インタフェース14は、クライアント装置10と外部装置(例えば、二酸化炭素センサ20)との間の通信を制御するように構成される。通信インタフェース14は、例えばBluetoothモジュールを含むことができる。
【0022】
ディスプレイ15(「内蔵型の出力デバイス」の一例)は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ21は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。ディスプレイ15は、表示デバイスの一例である。
【0023】
ディスプレイ15を含む出力デバイス(ただし、後述するコンテンツの提示に用いられる出力デバイス)および二酸化炭素センサ20は独立して設置可能である。ここで、出力デバイスおよび二酸化炭素センサ20が独立に設置可能であるとは、センシング情報の送受信、およびクライアント装置10による出力デバイスの制御に支障のない範囲で、出力デバイスおよび二酸化炭素センサ20の位置関係を自由に変更できることを意味する。
【0024】
(2)実施形態の概要
本実施形態の概要について説明する。
図3は、本実施形態のクライアント装置の設置例を示す図である。
図4は、本実施形態の概要の説明図である。
【0025】
図3に示すように、ディスプレイ15を内蔵したクライアント装置10は、例えば店舗のドアDR1付近に設置される。つまり、店舗の付近を通りがかった人物は、ドアDR1を開けて店舗に入る前に、ディスプレイ15による表示内容を視認することができる。
【0026】
図4に示すように、店舗(以下、「対象空間SP1」という)には、店舗スタッフSS1、および客CS1~CS3が存在する。二酸化炭素センサ20は、対象空間SP1内に設置される。二酸化炭素センサ20は、周囲の二酸化炭素濃度を測定し、測定結果に関するセンシング情報をクライアント装置10へ送信する。
【0027】
対象空間SP1内の二酸化炭素濃度は、対象空間SP1内に存在する人間(つまり、店舗スタッフSS1、および客CS1~CS3)の呼吸、および対象空間SP1の内外の空気の出入りの影響により変動する。
【0028】
クライアント装置10は、二酸化炭素濃度の測定結果を参照し、対象空間SP1内の環境に関する指標(例えば、対象空間SP1におけるウイルスまたは細菌の感染リスクに関する指標)を計算する。クライアント装置10は、指標に応じたコンテンツを、ディスプレイ15を介して提示する。
【0029】
これにより、ビジターVS1は、対象空間SP1内の環境を、当該対象空間SP1に入る前に認識できる。つまり、ビジターVS1は、対象空間SP1内の環境を考慮して、当該対象空間SP1に入るか否かを判断することができる。
【0030】
(3)データベース
本実施形態のデータベースについて説明する。以下のデータベースは、記憶装置11に記憶される。
【0031】
(3-1)センシングログデータベース
本実施形態のセンシングログデータベースについて説明する。
図5は、本実施形態のセンシングログデータベースのデータ構造を示す図である。
【0032】
センシングログデータベースには、センシングログ情報が格納される。センシングログ情報は、二酸化炭素センサ20による測定結果のログに関する情報である。
【0033】
図5に示すように、センシングログデータベースは、「タイムスタンプ」フィールドと、「二酸化炭素濃度」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
【0034】
「タイムスタンプ」フィールドには、タイムスタンプ情報が格納される。タイムスタンプ情報は、二酸化炭素濃度の測定日時に関する情報である。タイムスタンプ情報は、二酸化炭素センサ20からクライアント装置10へ送信されるセンシング情報に含められてもよいし、クライアント装置10がセンシング情報の受信に応じて生成してもよい。
【0035】
「二酸化炭素濃度」フィールドには、二酸化炭素濃度情報が格納される。二酸化炭素濃度情報は、二酸化炭素の測定結果に関する情報である。二酸化炭素濃度情報は、二酸化炭素センサ20からクライアント装置10へ送信されるセンシング情報に含められる。
【0036】
(3-2)感染リスクログデータベース
本実施形態の感染リスクログデータベースについて説明する。
図6は、本実施形態の感染リスクログデータベースのデータ構造を示す図である。
【0037】
感染リスクログデータベースには、感染リスクログ情報が格納される。感染リスクログ情報は、後述する感染リスクスコア(「第1指標」の一例)のログに関する情報である。
【0038】
図6に示すように、感染リスクログデータベースは、「タイムスタンプ」フィールドと、「感染リスクスコア」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
【0039】
「タイムスタンプ」フィールドには、タイムスタンプ情報が格納される。タイムスタンプ情報は、感染リスクスコアの評価日時に関する情報である。クライアント装置10は、感染リスクスコアの計算日時、または感染リスクスコアを計算するために参照された二酸化炭素濃度情報に関連付けられるタイムスタンプ情報に応じて、感染リスクスコアに関連付けられるタイムスタンプ情報を生成してもよい。
【0040】
「感染リスクスコア」フィールドには、感染リスクスコアが格納される。感染リスクスコアは、対象空間におけるウイルスまたは細菌の感染リスクの評価結果に関する情報である。感染リスク須戸は、例えば所定の数値範囲(例えば、0~100)内の数値として表現される。
【0041】
(4)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。
図7は、本実施形態の情報処理の全体フローを示す図である。
図8は、本実施形態の指標の計算処理のフローチャートである。
図9は、本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
図10は、本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【0042】
情報処理は、以下の開始条件のいずれかの成立に応じて開始する。
・他の処理によって当該情報処理が呼び出された。
・ユーザが情報処理を呼び出すための操作を行った。
・クライアント装置10が所定の状態(例えば、電源投入、または外部装置から所定の信号を受信)になった。
・所定の日時が到来した。
・所定のイベント(例えば、クライアント装置10の起動、または当該情報処理の前回の実行)から所定の時間が経過した。
【0043】
図7に示すように、クライアント装置10は、測定結果の取得(S110)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、二酸化炭素センサ20から通信ケーブル、または無線チャネルを介してセンシング情報を受信する。センシング情報は、二酸化炭素センサ20による二酸化炭素濃度の測定結果を含む。クライアント装置10は、取得したセンシング情報を参照し、センシングログデータベース(
図5)に新規レコードを追加する。
新規レコードの各フィールドには、以下の情報が格納される。
・「タイムスタンプ」フィールド:ステップS110の実行日時に関する情報、またはセンシング情報によって特定可能な日時に関する情報
・「二酸化炭素濃度」フィールド:センシング情報によって特定可能な、二酸化炭素濃度の測定結果に関する情報
【0044】
ステップS110の後に、クライアント装置10は、指標の計算(S111)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS110において取得した測定結果を参照し、1以上の指標を計算する。指標は、二酸化炭素センサ20が設置された対象空間内の環境に関する。一例として、指標は、感染リスクスコアである。
【0045】
感染リスクスコアに関して、クライアント装置10は、指標の計算(S111)を
図8に示すように実行し得る。
まず、クライアント装置10は、測定結果の抽出(S1110)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS110において更新されたセンシングログデータベース(
図5)から、所定の抽出条件を満たすタイムスタンプ情報に関連付けられた二酸化炭素濃度情報(つまり、二酸化炭素濃度の測定結果)を抽出する。抽出条件は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・ステップS111の実行時点から直近の所定期間内のタイムスタンプ情報であること
・タイムスタンプ情報を新しい順にソートした場合に所定の順位以上のタイムスタンプ情報であること
【0046】
ステップS1110の後に、クライアント装置10は、異常値の除外(S1111)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS1110において抽出した測定結果のうち、所定の濃度閾値を超える測定結果を除外する。ステップS1110において抽出した測定結果のうちステップS1111において除外されなかった測定結果を、利用可能測定結果という。一例として、濃度閾値は、後述する基準値よりも大きく定められる。
【0047】
ステップS1111の後に、クライアント装置10は、移動平均の計算(S1112)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、1以上の集計期間について、ステップS1111において得られた利用可能測定結果の移動平均を計算する。
移動平均の計算(S1112)の第1例では、クライアント装置10は、所定の集計期間(「第1集計期間」の一例)に亘る利用可能測定結果の移動平均(「第1平均値」の一例)を計算する。
移動平均の計算(S1112)の第2例では、クライアント装置10は、第1集計期間に亘る利用可能測定結果の移動平均である第1平均値を計算する。さらに、クライアント装置10は、第1集計期間とは異なる第2集計期間に亘る利用可能測定結果の移動平均である第2平均値を計算する。ここで、第2集計期間は、例えば第1集計期間よりも長い。
【0048】
ステップS1112の後に、クライアント装置10は、感染リスクスコアの計算(S1113)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS1112において計算した移動平均を参照して感染リスクスコアを計算する。クライアント装置10は、計算した感染リスクスコアを参照し、感染リスクログデータベース(
図6)に新規レコードを追加する。新規レコードの各フィールドには、以下の情報が格納される。
・「タイムスタンプ」フィールド:ステップS1113の実行日時に関する情報、またはステップS1110において抽出された二酸化炭素濃度情報に関連付けられるタイムスタンプ情報によって特定可能な日時に関する情報
・「感染リスクスコア」フィールド:ステップS1113において計算した感染リスクスコア
【0049】
感染リスクスコアの計算(S1113)の第1例では、クライアント装置10は、移動平均を所定の数値範囲(例えば、0~100)の感染リスクスコアに変換する。移動平均と感染リスクスコアとの関係は、線形であってもよいし、非線形であってもよい。移動平均の増加に対して、感染リスクスコアは減少しないように定められ得る。
【0050】
感染リスクスコアの計算(S1113)の第2例では、クライアント装置10は、第1集計期間に亘る利用可能測定結果の移動平均である第1平均値を参照して、感染リスクスコアが複数の数値範囲のいずれに属するかを判定する。クライアント装置10は、第1集計期間よりも長い第2集計期間に亘る利用可能測定結果の移動平均である第2平均値を参照して、感染リスクスコアを当該感染リスクスコアが属すると判定された数値範囲内で決定する。
具体的には、第1数値範囲は最小値(例えば0)以上中間値(例えば50または51)未満であって、第2数値範囲は中間値以上最大値(例えば100)以下であるとする。クライアント装置10は、第1平均値が基準値未満である場合に感染リスクスコアは第1数値範囲に属すると判定し、第1平均値が基準値以上である場合に感染リスクスコアは第2数値範囲に属すると判定する。続いて、クライアント装置10は、第2平均値を、感染リスクスコアが属すると判定された数値範囲内の値に変換する。第2平均値と感染リスクスコアとの関係は、線形であってもよいし、非線形であってもよい。第2平均値の増加に対して、感染リスクスコアは減少しないように定められ得る。
【0051】
ステップS111の後に、クライアント装置10は、コンテンツの提示(S112)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS111において計算した指標に応じたコンテンツを、出力デバイスを介して提示する。例えば、コンテンツは、画像、音、その他の感覚刺激、またはそれらの組み合わせである。
【0052】
一例として、クライアント装置10は、感染リスクスコアが第1スコアである場合に画面P10a(
図9)をディスプレイ15に表示させる。クライアント装置10は、感染リスクスコアが第1スコアよりも高い第2スコアである場合に画面P10b(
図10)をディスプレイ15に表示させる。
クライアント装置10は、感染リスクスコアに対応する感染リスクが所定のリスク閾値以上である場合(一例として、感染リスクスコアが第2スコアである場合)に、所定の警告音をスピーカに出力させてもよい。
クライアント装置10は、感染リスクスコアに対応する感染リスクが所定のリスク閾値以上である場合(一例として、感染リスクスコアが第2スコアである場合)に、所定の警告色をディスプレイ15の少なくとも一部に表示(例えば、背景を赤色で表示)させてもよい。
【0053】
画面P10aは、表示オブジェクトA100a~A103aを含む。
表示オブジェクトA100aは、メッセージを表示するオブジェクトである。クライアント装置10は、感染リスクスコアに応じて、メッセージの形態を変更できる。メッセージの形態は、例えば、本文、色、サイズ、アニメーション、またはそれらの組み合わせであってよい。メッセージ本文は、例えば、現時点における対象空間における換気の必要性を示すテキストである。
表示オブジェクト101aは、感染リスクスコアを視覚的に表現するグラフを表示するオブジェクトである。クライアント装置10は、感染リスクスコアに応じて、グラフの形態を変更できる。グラフの形態は、例えば、グラフパーツの形状、色、サイズ、アニメーション、またはそれらの組み合わせであってよい。
表示オブジェクト102aは、二酸化炭素濃度の測定結果の時系列遷移を表現するグラフを表示するオブジェクトである。
表示オブジェクト103aは、二酸化炭素濃度の最新の測定結果を表示するオブジェクトであるう。
【0054】
画面P10bは、表示オブジェクトA100b~A103bを含む。表示オブジェクトA100b~A103bの役割は、表示オブジェクトA100a~A103aと同様であるが、表示内容において相違する。
【0055】
情報処理は、以下の終了条件のいずれかの成立に応じて終了する。
・ユーザが情報処理を終了するための操作を行った。
・クライアント装置10が所定の状態になった。
・所定の日時が到来した。
・所定のイベント(例えば、所定のステップの実行、または当該情報処理の実行開始)から所定の時間が経過した。
【0056】
(5)小括
以上説明したように、本実施形態のクライアント装置10は、対象空間内に設置された二酸化炭素センサ20によって測定された二酸化炭素濃度の測定結果を参照し、当該対象空間におけるウイルスまたは細菌の感染リスクに関する指標を計算する。クライアント装置10は、指標に応じたコンテンツを二酸化炭素センサ20とは独立して設置可能な出力デバイスを介して提示する。これにより、測定に適した場所に二酸化炭素センサ20を設置し、かつコンテンツのターゲットとなる人物が当該コンテンツを認知しやすい場所に出力デバイスを設置することが可能となる。つまり、本実施形態によれば、コンテンツのターゲットとなる人物に対象空間における感染リスクを容易に把握させることができる。
【0057】
クライアント装置10は、第1集計期間に亘る測定結果の移動平均である第1平均値を計算し、当該第1平均値を参照して指標を計算してもよい。これにより、二酸化炭素濃度の測定結果が瞬間的に上昇した場合であっても第1集計期間に亘る二酸化炭素濃度の傾向から感染リスクを妥当に評価することができる。
【0058】
クライアント装置10は、第1集計期間よりも長い第2集計期間に亘る測定結果の移動平均である第2平均値を計算し、当該第2平均値をさらに参照して指標を計算してもよい。これにより、相対的に短期の二酸化炭素濃度の傾向(第1平均値)と、相対的に長期の二酸化炭素濃度の傾向(第2平均値)とから感染リスクをより妥当に評価することができる。
【0059】
クライアント装置10は、測定結果のうち濃度閾値を超過した測定結果を除外し、残りの利用可能測定結果を参照して第1平均値または第2平均値を計算してもよい。これにより、例えば二酸化炭素センサ20に呼気をかけるいたずらによって生じた異常な測定結果が、移動平均の信頼性を低下させる事態を防止することができる。
【0060】
クライアント装置10は、感染リスクスコアに対応する感染リスクが所定のリスク閾値以上である場合に、所定の警告音をスピーカに出力させてもよい。これにより、コンテンツのターゲットとなる人物に、対象空間における感染リスクを聴覚的に認識させることができる。
【0061】
クライアント装置10は、感染リスクスコアに対応する感染リスクが所定のリスク閾値以上である場合に、所定の警告色をディスプレイ15に表示させてもよい。これにより、コンテンツのターゲットとなる人物に、対象空間における感染リスクを視覚的に認識させることができる。
【0062】
出力デバイスは、表示デバイス(例えば、ディスプレイ15)であってよい。表示デバイスは、対象空間外に設置されてもよい。これにより、対象空間外に居る人物(例えばビジター)にコンテンツを見せて、対象空間内の環境を認識させることができる。
【0063】
表示デバイスは、当該表示デバイスによる表示内容を対象空間外の所定の位置において人間が視認可能となるように対象空間内に設置されてもよい。これにより、対象空間外に居る人物(例えばビジター)にコンテンツを見せて、対象空間内の環境を認識させることができる。
【0064】
(6)変形例
本実施形態の変形例について説明する。
【0065】
(6-1)変形例1
変形例1について説明する。変形例1は、複数の対象空間における感染スコアをサーバ30によって集中的に計算する例である。
【0066】
(6-1-1)情報処理システムの構成
情報処理システムの構成について説明する。
図11は、変形例1の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0067】
図11に示すように、情報処理システム2は、クライアント装置10-1,10-2と、二酸化炭素センサ20-1,20-2と、サーバ30とを備える。
クライアント装置10-1,10-2及びサーバ30は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して接続される。
【0068】
クライアント装置10-1,10-2は、サーバ30にリクエストを送信する。
【0069】
サーバ30は、クライアント装置10から送信されたリクエストに応じたレスポンスをクライアント装置10に提供する情報処理装置の一例である。サーバ30は、例えば、ウェブサーバである。
【0070】
(6-1-1-1)サーバの構成
サーバの構成について説明する。
図12は、変形例1のサーバの構成を示すブロック図である。
【0071】
図12に示すように、サーバ30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。
【0072】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージの組合せである。
【0073】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0074】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ
【0075】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、サーバ30の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ32は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0076】
入出力インタフェース33は、サーバ30に接続される入力デバイスからユーザの指示を取得し、かつ、サーバ30に接続される出力デバイス(外付け型の出力デバイス)に情報を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0077】
通信インタフェース34は、サーバ30と外部装置(例えば、クライアント装置10)との間の通信を制御するように構成される。
【0078】
(6-1-2)変形例1の概要
変形例1の概要について説明する。
図13は、変形例1の概要の説明図である。
【0079】
図13に示すように、ディスプレイ15-1を内蔵したクライアント装置10-1は、例えば第1店舗(以下、「対象空間SP1」という)のドアDR1付近に設置される。つまり、対象空間SP1の付近を通りがかった人物(以下、「ビジターVS1」という)は、ドアDR1を開けて店舗に入る前に、ディスプレイ15-1による表示内容を視認することができる。
同様に、ディスプレイ15-2を内蔵したクライアント装置10-2は、例えば第2店舗(以下、「対象空間SP2」という)のドアDR2付近に設置される。つまり、対象空間SP2の付近を通りがかった人物(以下、「ビジターVS2」という)は、ドアDR2を開けて店舗に入る前に、ディスプレイ15-2による表示内容を視認することができる。
【0080】
二酸化炭素センサ20-1は、対象空間SP1内に設置される。二酸化炭素センサ20-1は、周囲の二酸化炭素濃度を測定し、測定結果に関するセンシング情報をクライアント装置10-1へ送信する。
クライアント装置10-1は、二酸化炭素濃度の測定結果を含むリクエストをサーバ30へ送信する。サーバ30は、リクエストに含まれる測定結果を参照し、対象空間SP1内の環境に関する指標(例えば、対象空間SP1におけるウイルスまたは細菌の感染リスクに関する指標)を計算する。サーバ30は、指標を含むレスポンスをクライアント装置10-1へ送信する。クライアント装置10-1は、指標に応じたコンテンツを、ディスプレイ15-1を介して提示する。
これにより、ビジターVS1は、対象空間SP1内の環境を、当該対象空間SP1に入る前に認識できる。つまり、ビジターVS1は、対象空間SP1内の環境を考慮して、当該対象空間SP1に入るか否かを判断することができる。
【0081】
同様に、二酸化炭素センサ20-2は、対象空間SP2内に設置される。二酸化炭素センサ20-2は、周囲の二酸化炭素濃度を測定し、測定結果に関するセンシング情報をクライアント装置10-2へ送信する。
クライアント装置10-2は、二酸化炭素濃度の測定結果を含むリクエストをサーバ30へ送信する。サーバ30は、リクエストに含まれる測定結果を参照し、対象空間SP2内の環境に関する指標(例えば、対象空間SP2におけるウイルスまたは細菌の感染リスクに関する指標)を計算する。サーバ30は、指標を含むレスポンスをクライアント装置10-2へ送信する。クライアント装置10-2は、指標に応じたコンテンツを、ディスプレイ15-2を介して提示する。
これにより、ビジターVS2は、対象空間SP2内の環境を、当該対象空間SP2に入る前に認識できる。つまり、ビジターVS2は、対象空間SP2内の環境を考慮して、当該対象空間SP2に入るか否かを判断することができる。
【0082】
(6-1-3)データベース
変形例1のデータベースについて説明する。
図5~
図6のデータベースに加えて、以下のデータベースは、記憶装置31に記憶される。
【0083】
(6-1-3-1)契約者データベース
変形例1の契約者データベースについて説明する。
図14は、変形例1の契約者データベースのデータ構造を示す図である。
【0084】
契約者データベースには、契約者情報が格納される。契約者情報は、契約者に関する情報である。契約者は、情報処理システム2の運営者と当該システムの利用に関して契約を締結している者(自然人または法人)である。
【0085】
図14に示すように、契約者データベースは、「契約ID」フィールドと、「契約者名」フィールドと、「店舗」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
【0086】
「契約ID」フィールドには、契約IDが格納される。契約IDは、情報処理システム2の運営者と契約者との間で締結されている契約を識別する情報である。
【0087】
「契約者名」フィールドには、契約者名情報が格納される。契約者名情報は、契約者の名称(例えば、商号、屋号、または氏名)
【0088】
「店舗」フィールドには、店舗情報が格納される。店舗情報は、契約により二酸化炭素モニタリングが行われる店舗に関する情報である。店舗情報は、例えば、店舗ID、および店舗名を含むことができる。
店舗IDは、店舗を識別する情報である。
店舗名は、店舗の名称に関する情報である。
【0089】
(6-1-3-2)センシングログデータベース
変形例1のセンシングログデータベースについて説明する。
【0090】
変形例1のセンシングログデータベースは、
図5のセンシングログデータベースと同様に構成可能である。ただし、変形例1のセンシングログデータベースでは、タイムスタンプ情報および二酸化炭素濃度情報は、空間IDにさらに関連付けられ得る。
【0091】
空間IDは、二酸化炭素濃度情報の元となる測定を行った二酸化炭素センサ20が設置された空間(例えば、店舗、フロア、または区画)を識別する情報である。
【0092】
(6-1-3-3)感染リスクログデータベース
変形例1の感染リスクログデータベースについて説明する。
【0093】
変形例1の感染リスクログデータベースは、
図6の感染リスクログデータベースと同様に構成可能である。ただし、変形例1の感染リスクログデータベースでは、タイムスタンプ情報および感染リスクスコアは、空間IDにさらに関連付けられ得る。
【0094】
空間IDは、感染リスクスコアを計算するために参照された二酸化炭素濃度情報の元となる測定を行った二酸化炭素センサ20が設置された空間(例えば、店舗、フロア、または区画)を識別する情報である。
【0095】
(6-1-4)情報処理
変形例1の情報処理について説明する。
図15は、変形例1の情報処理の全体フローを示す図である。
図16は、変形例1の指標の計算処理のフローチャートである。
【0096】
変形例1の情報処理は、本実施形態の情報処理と同様の開始条件のいずれかの成立に応じて開始する。
【0097】
図15に示すように、クライアント装置10は、
図7と同様に、測定結果の取得(S110)を実行する。ただし、変形例1では、センシングログデータベースが記憶装置31に保存されるので、クライアント装置10は、センシングログデータベースに対する新規レコードの追加を省略する。
【0098】
ステップS110の後に、クライアント装置10は、リクエスト(S121)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、リクエストを生成する。クライアント装置10は、リクエストをサーバ30へ送信する。リクエストは、以下の情報を含むことができる。
・ステップS110において取得したセンシング情報に含まれる二酸化炭素濃度情報(つまり、二酸化炭素の測定結果)
・ステップS110において取得したセンシング情報に含まれるタイムスタンプ情報(つまり、二酸化炭素の測定日時)
・クライアント装置10、もしくは二酸化炭素センサ20、または二酸化炭素センサ20の設置場所の少なくとも1つを特定可能な情報(例えば、空間ID、または契約IDと店舗IDとの組み合わせ)
【0099】
ステップS121の後に、サーバ30は、指標の計算(S130)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS121において送信されたリクエストを受信する。サーバ30は、リクエストに含まれる測定結果を参照し、1以上の指標を計算する。サーバ30は、リクエストに含まれる測定結果およびタイムスタンプ情報を参照し、記憶装置31に保存されているセンシングログデータベースに新規レコードを追加してもよい。新規レコードの各フィールドには、以下の情報が格納される。
・「タイムスタンプ」フィールド:ステップS130の実行日時に関する情報、またはリクエストによって特定可能な日時に関する情報
・「二酸化炭素濃度」フィールド:リクエストによって特定可能な、二酸化炭素濃度の測定結果に関する情報
【0100】
指標は、二酸化炭素センサ20が設置された対象空間内の環境に関する。一例として、指標は、対象空間におけるウイルスまたは細菌の感染リスクスコア(「第1指標」の一例)である。
【0101】
感染リスクスコアに関して、サーバ30は、指標の計算(S130)を
図16に示すように実行し得る。
まず、サーバ30は、測定結果の抽出(S1300)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS121において送信されたリクエストに含まれる測定結果を用いて更新されたセンシングログデータベースから、所定の抽出条件を満たすタイムスタンプ情報に関連付けられた二酸化炭素濃度情報を抽出する。つまり、サーバ30は、ステップS1110と類似の処理を行う。
【0102】
ステップS1300の後に、サーバ30は、異常値の除外(S1301)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS1300において抽出した測定結果のうち、所定の濃度閾値を超える測定結果を除外する。つまり、サーバ30は、ステップS1111と類似の処理を行う。
【0103】
ステップS1301の後に、サーバ30は、移動平均の計算(S1302)を実行する。
具体的には、サーバ30は、1以上の集計期間について、ステップS1301において得られた利用可能測定結果の移動平均を計算する。つまり、サーバ30は、ステップS1112と類似の処理を行う。
【0104】
ステップS1302の後に、サーバ30は、感染リスクスコアの計算(S1303)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS1302において計算した移動平均を参照して感染リスクスコアを計算する。サーバ30は、計算した感染リスクスコアを参照し、感染リスクログデータベースに新規レコードを追加する。つまり、サーバ30は、ステップS1113と類似の処理を行う。新規レコードの各フィールドには、以下の情報が格納される。
・「タイムスタンプ」フィールド:ステップS1303の実行日時に関する情報、またはステップS1300において抽出された二酸化炭素濃度情報に関連付けられるタイムスタンプ情報によって特定可能な日時に関する情報
・「感染リスクスコア」フィールド:ステップS13033において計算した感染リスクスコア
【0105】
ステップS130の後に、サーバ30は、レスポンス(S131)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS121におけるリクエストに対するレスポンスを生成する。サーバ30は、レスポンスをクライアント装置10へ送信する。レスポンスは、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・ステップS130において計算した指標を特定可能な情報(指標そのものを含み得る)
・ステップS130において計算した指標に応じたコンテンツを特定可能な情報(コンテンツそのものを含み得る)
【0106】
ステップS131の後に、クライアント装置10は、コンテンツの提示(S122)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS131において送信されたレスポンスを受信する。クライアント装置10は、レスポンスを参照して、ステップS130において計算された指標に応じたコンテンツを取得する。コンテンツの取得は、当該コンテンツの生成を含む。クライアント装置10は、取得したコンテンツを、出力デバイスを介して提示する。一例として、クライアント装置10は、画面P10a(
図9)、または画面P10b(
図10)をディスプレイ15に表示させる。また、クライアント装置10は、所定の音をスピーカに出力させる。
【0107】
変形例1の情報処理は、本実施形態の情報処理と同様の終了条件のいずれかの成立に応じて終了する。
【0108】
(6-1-5)小括
以上説明したように、変形例1のサーバ30は、対象空間内に設置された二酸化炭素センサ20によって測定された二酸化炭素濃度の測定結果を参照し、当該対象空間内の環境におけるウイルスまたは細菌の感染リスクに関する指標を計算する。クライアント装置10は、指標に応じたコンテンツを二酸化炭素センサ20とは独立して設置可能な出力デバイスを介して提示する。これにより、測定に適した場所に二酸化炭素センサ20を設置し、かつコンテンツのターゲットとなる人物が当該コンテンツを認知しやすい場所に出力デバイスを設置することが可能となる。つまり、変形例1によれば、コンテンツのターゲットとなる人物に対象空間における感染リスクを容易に把握させることができる。
【0109】
(7)その他の変形例
記憶装置11は、ネットワークNWを介して、クライアント装置10と接続されてもよい。記憶装置31は、ネットワークNWを介して、サーバ30と接続されてもよい。
【0110】
前述の種々のパラメータ(例えば、集計期間、基準値、濃度閾値、またはリスク閾値)は、固定であってもよいし、可変であってもよい。固定パラメータの値は、対象空間の間で共通であってもよいし、異なっていてもよい。可変のパラメータの値は、例えば、対象空間の管理者、または情報処理システム1もしくは2の運営者の指示に応じて変更されてもよい。或いは、可変のパラメータは、対象空間の属性(例えば、店舗の業種、対象空間の換気能力、または顧客の滞在時間もしくは行動、など)に応じてアルゴリズムにより変更されてもよい。
【0111】
ディスプレイ15は、入出力インタフェース13、または通信インタフェース14を介してプロセッサ12に接続されてもよい。この場合に、ディスプレイ15は、クライアント装置10および二酸化炭素センサ20と独立して設置可能である。具体的には、ディスプレイ15は、二酸化炭素センサ20が設置された対象空間の外に設置されてもよい。或いは、ディスプレイ15は、当該ディスプレイ15による表示内容を対象空間外の所定の位置において人間が視認可能となるように当該対象空間内に設置されてもよい。
【0112】
上記の情報処理の各ステップは、クライアント装置10及びサーバ30の何れでも実行可能である。
【0113】
上記説明では、クライアント装置10と二酸化炭素センサ20とが1対1関係にある例を説明した。しかしながら、クライアント装置10は、複数の二酸化炭素センサ20による測定結果に基づく指標に応じたコンテンツを提示してもよい。或いは、複数のクライアント装置10が、共通の1以上の二酸化炭素センサ20による測定結果に基づく指標に応じたコンテンツを提示してもよい。
【0114】
変形例1では、クライアント装置10が二酸化炭素センサ20とサーバ30との間を仲介する例を示した。しかしながら、二酸化炭素センサ20は、例えばWiFiチャネルを利用して、クライアント装置10を介することなくサーバ30へ測定結果を送信してもよい。この場合に、サーバ30は、二酸化炭素センサ20から受信した測定結果に基づいて指標を計算し、当該指標、または当該指標に応じたコンテンツを特定可能な情報をクライアント装置10へ送信してもよい。
【0115】
上記説明では、ウイルスまたは細菌の感染リスクに関する指標に応じたコンテンツ(以下、「指標依存コンテンツ」という)を提示する例を示した。クライアント装置10は、指標に応じたコンテンツとは異なる所定のコンテンツ(以下、「指標独立コンテンツ」という)を提示することもできる。
一例として、クライアント装置10、またはサーバ30は、指標に対応する感染リスクがリスク閾値未満である場合に、少なくとも指標独立コンテンツをディスプレイ15に表示させる。他方、クライアント装置10、またはサーバ30は、指標に対応する感染リスクがリスク閾値以上である場合に、指標独立コンテンツをディスプレイ15に表示させず、かつ指標依存コンテンツを提示する。これにより、感染リスクの低い状況下では提示するコンテンツの自由度を向上させる一方で、感染リスクの高い状況下では指標依存コンテンツを提示して周囲の人物に注意を促すことができる。
【0116】
指標独立コンテンツは、広告情報、店舗情報、メニュー情報、またはイベント情報の少なくとも1つに関する画像を含んでもよい。これにより、感染リスクの低い状況下では、指標独立コンテンツの提示を通じて、ディスプレイ15の設置者が広告収入を獲得したり、店舗(対象空間)の情報を周囲の人物に伝えて入店を促したりすることができる。
【0117】
クライアント装置10、またはサーバ30は、第1指標に対応する感染リスクがリスク閾値未満である場合に、指標独立コンテンツに指標依存コンテンツを重畳してディスプレイ15に表示させてもよい。これにより、感染リスクの低い状況下であっても、指標独立コンテンツに重畳された指標依存コンテンツを通じて、周囲の人物は対象空間における感染リスクを把握できる。
【0118】
クライアント装置10、またはサーバ30は、第1指標に対応する感染リスクがリスク閾値未満である場合に、指標依存コンテンツと指標独立コンテンツとを時分割で前記表示デバイスに表示させてもよい。これにより、感染リスクの低い状況下であっても、指標独立コンテンツと時分割表示される指標依存コンテンツを通じて、周囲の人物は対象空間における感染リスクを把握できる。
【0119】
なお、指標に対応する感染リスクがリスク閾値以上である場合に、指標独立コンテンツをディスプレイ15に表示させない代わりに、指標に対応する感染リスクがリスク閾値未満である場合に比べて、指標独立コンテンツの表示面積を小さくするか、指標独立コンテンツの表示頻度を低下させてもよい。
【0120】
上記説明では、ウイルスまたは細菌の感染リスクに関する指標に応じたコンテンツを提示する例を示した。クライアント装置10、またはサーバ30は、指標に対応する感染リスクがリスク閾値以上である場合に、対象空間におけるエアフローを変更可能な設備を当該感染リスクが減少するようにフィードバック制御してもよい。対象空間におけるエアフローを変更可能な設備は、例えば以下の少なくとも1つを含むことができる。
・空調装置
・電動窓
・電動ドア
・ファン
これにより、対象空間内の人物(例えば店舗スタッフ)の手を煩わせることなく、対象空間内のエアフローを適正化し、感染リスクを低下させることができる。例えば、ビジター向けにディスプレイ15を設置すると店舗スタッフは当該ディスプレイ15の表示内容を見づらくなるおそれがあるが、店舗スタッフによるコンテンツの見落としが発生したとしても、対象空間内の換気を適切に実施することができる。
かかるフィードバック制御は、コンテンツの提示に追加して行われてもよいし、コンテンツの提示の代わりに行われてもよい。
【0121】
上記説明では、ウイルスまたは細菌の感染リスクに関する第1指標に応じたコンテンツを提示する例を示した。クライアント装置10、またはサーバ30は、二酸化炭素濃度の測定結果を参照し、対象空間における人の数に関する第2指標を計算し、クライアント装置10、またはサーバ30は、第1指標および前記第2指標に応じたコンテンツを提示してもよい。これにより、コンテンツのターゲットとなる人物に、対象空間における感染リスクに加えて当該対象空間における混雑度を認識させることができる。
【0122】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0123】
1 :情報処理システム
2 :情報処理システム
10 :クライアント装置
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
15 :ディスプレイ
20 :二酸化炭素センサ
21 :ディスプレイ
30 :サーバ
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース