(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093177
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】表示制御装置及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
G08G1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208649
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩口 拓真
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181EE13
5H181FF04
5H181FF33
(57)【要約】
【課題】車両の駆動源に水が侵入して、車両が故障する可能性を低減した表示制御装置及び表示制御方法を提供する。
【解決手段】表示制御部100は、自車両1の位置での水深を算出する水深算出部131と、自車両1が走行可能な限界の水位を示す限界水位情報を記憶するメモリ120と、3D車両画像210に、限界水位情報が示す限界の水位を示す限界水位線231と、水深算出部が算出した水深に対応する水位線233と、重畳した表示画像を生成する画像生成部135と、画像生成部135が生成した表示画像を表示部70に表示する表示制御部137と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置での水深を算出する水深算出部と、
前記車両が走行可能な限界の水位を示す限界水位情報を記憶する記憶部と、
前記車両の画像に、前記限界水位情報が示す前記限界の水位と、前記水深算出部が算出した前記水深と、重畳した表示画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部が生成した前記表示画像を表示部に表示する表示制御部と、
を備える、ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記水深算出部は、前記車両の周囲の水深を算出し、
前記水深算出部が算出した前記車両の周囲の水深と、前記限界水位情報とに基づき、前記車両が走行不可能な領域を検出する領域検出部を備え、
前記画像生成部は、前記領域検出部が検出した前記領域を重畳した前記表示画像を生成し、
前記表示制御部は、前記画像生成部が生成した前記表示画像を前記表示部に表示する、ことを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記画像生成部は、前記車両の位置での水位が、前記限界水位情報が示す前記限界の水位以上である場合、前記水深算出部が算出した前記車両の周囲の水深に基づき、水位が前記限界の水位より低くなる方向を示す前記表示画像を生成し、
前記表示制御部は、前記画像生成部が生成した前記表示画像を前記表示部に表示する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の表示制御装置。
【請求項4】
車両の位置での水深を算出するステップと、
前記車両の画像に、前記車両が走行可能な限界の水位を示す限界水位情報に基づく前記限界の水位と、算出した前記水深と、を重畳した表示画像を生成するステップと、
生成した前記表示画像を表示部に表示するステップと、
を有する、ことを特徴とする表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、経路の高低情報の入力を受け付け可能な入力部と、進行方向の水面を検出可能なセンサ部と、車両が所定の経路に沿って自律的な走行を行っている間に、入力部が入力を受けた所定の経路の高低情報とセンサ部が検出した水面とを基に、所定の経路に沿った進行方向において所定値以上の水深を推定し、冠水の可能性を警告する出力部と、を備える車両を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両が悪路を走行する場合には、車両の故障を未然に防止するため、運転者に提供する情報の改善が求められている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、車両の駆動源への水の侵入による車両の故障の可能性を低減した表示制御装置及び表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の表示制御装置は、車両の位置での水深を算出する水深算出部と、前記車両が走行可能な限界の水位を示す限界水位情報を記憶する記憶部と、前記車両の画像に、前記限界水位情報が示す前記限界の水位と、前記水深算出部が算出した前記水深と、重畳した表示画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部が生成した前記表示画像を表示部に表示する表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の駆動源に水が侵入し、車両が故障する可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】センサが取り付けられる自車両の位置を示す図である。
【
図5】表示制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。
図1は、車載装置3の構成を示すブロック図である。以下では、車載装置3を搭載した車両を自車両1という。
【0010】
車載装置3は、無線通信部10、カメラユニット20、LiDAR30、ソナーユニット40、冠水センサ50、IMU60、表示部70、操作部80及び表示制御部100を備える。無線通信部10、カメラユニット20、LiDAR30、ソナーユニット40、冠水センサ50、IMU60、表示部70、操作部80及び表示制御部100は、通信バス5により接続される。
LiDARは、Light Detection And Rangingを省略した表記である。また、IMUは、Inertial Measurement Unitを省略した表記である。
【0011】
無線通信部10は、セルラー通信用のアンテナ及び通信回路を備える。無線通信部10は、セルラー通信により、不図示の無線基地局との無線接続を確立し、無線基地局を介して不図示のネットワークに接続する。
【0012】
カメラユニット20は、単眼カメラを含む構成であってもよく、複眼カメラを含む構成であってもよい。カメラユニット20は、例えば、自車両1の前方、後方、左サイド、右サイドにそれぞれ設置され、自車両1の前方範囲、後方範囲、左側方範囲及び右側方範囲を撮影する。カメラユニット20は、自車両1の周囲を撮影した撮像画像をセンサデータとして表示制御装置100に出力する。
【0013】
LiDAR30は、検出光を射出し、射出した検出光の反射光を受光することで路面や水面、障害物等の対象物までの距離を測定する。LiDAR30が射出する検出光には、近赤外レーザー光や、緑色レーザー光が含まれる。近赤外レーザー光は、路面や水面までの距離の計測に使用される。また、緑色レーザー光は、水中に侵入し、水面下の水底までの距離の計測に使用される。LiDAR30は、対象物までの距離を示すセンサデータを表示制御部100に出力する。
【0014】
ソナーユニット40は、超音波を射出し、射出した超音波が反射した反射波を検出することで路面や水面、障害物等の対象物までの距離を測定する。ソナーユニット40は、対象物との距離を示すセンサデータを表示制御部100に出力する。
【0015】
図2は、LiDAR30及びソナーユニット40の自車両1での設置位置を示す図である。
図2に示すようにLiDAR30及びソナーユニット40は、例えば、自車両1のフロントバンパーの下端や、車体底面に設置される。
LiDAR30及びソナーユニット40は、フロントバンパーの下端や、車体底面に設置され、自車両1の前方に向けて検出光や超音波を射出する。
【0016】
冠水センサ50は、自車両1の外部に設置される。冠水センサ50は、自車両1の予め決められた設定高さに設置され、少なくとも路面から冠水センサ50の設定高さまで冠水していることを検知する。冠水センサ50は、冠水を検知すると、冠水を検知したことを通知するセンサデータを表示制御部100に出力する。
また、自車両1に複数の冠水センサ50を設置してもよい。例えば、複数の冠水センサ50を、自車両1の異なる設置高さに設置してもよい。
【0017】
IMU60は、直交する3軸方向の角速度及び加速度を計測する慣性計測装置である。IMU60は、測定した自車両1のヨー角、ロール角及びピッチ角を示すセンサデータを表示制御部100に出力する。
【0018】
表示部70は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示パネル71を備え、表示制御部100から入力される表示画像を表示パネル71に表示する。ELは、Electro Luminescenceを省略した表記である。
【0019】
操作部80は、ハードウェアのボタンやスイッチを備え、自車両1の乗員の操作を受け付ける。本実施形態の操作部80は、水位表示の開始を指示する開始スイッチと、水位表示の終了を指示する終了スイッチとを少なくとも備える。
【0020】
表示制御装置100は、入出力インターフェイス110、メモリ120及びプロセッサ130を備えるコンピュータである。以下、入出力インターフェイス110をI/O11と略記する。
【0021】
I/O110は、通信バス5に接続され、通信バス5に接続した無線通信部10、カメラユニット20、LiDAR30、ソナーユニット40、冠水センサ50、IMU60、表示部70及び操作部80との間で相互にデータ通信を行う。
【0022】
メモリ120は、記憶部に相当し、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。メモリ120は、プロセッサ130が実行するコンピュータプログラムや、プロセッサ130がコンピュータプログラムの実行時に処理されるデータや処理結果のデータを記憶する。また、メモリ120は、カメラユニット20、LiDAR30、ソナーユニット40、冠水センサ50、IMU60が出力したセンサデータを記憶する。
【0023】
さらにメモリ120は、車両諸元データ121、学習データ123及び画像データ125を記憶する。車両諸元データ121には、自車両1が走行可能な限界の水位を示す限界水位情報が含まれる。自車両1の周囲の水位が、限界水位情報が示す水位以上になると、エンジンやモーター等の駆動源に水が侵入し、駆動源が故障する可能性がある。
学習データ123は、カメラユニット20の撮影した撮影画像から自車両1の周囲の水深を推定するときに使用する。画像データ125は、車両の画像であって、2次元の画像データと、3次元の画像データとが含まれる。
【0024】
プロセッサ130は、CPUやMPUにより構成される。CPUは、Central Processing Unitを省略した表記であり、MPUは、Microprocessor Unitを省略した表記である。
【0025】
表示制御装置100は、機能的構成として、水深算出部131、領域検出部133、画像生成部135及び表示制御部137を備える。これらの機能ブロックは、プロセッサ130が、コンピュータプログラムを実行して演算を行うことで実現される機能である。
【0026】
水深算出部131は、LiDAR30や、ソナーユニット40のセンサデータをメモリ120から取得し、取得したセンサデータに基づき、自車両1の位置と、自車両1の周囲との水位を算出する。以下、自車両1の位置を含む自車両1の周囲を、簡単に「自車両1の周囲」と表記する。
水深算出部131は、LiDAR30が射出した近赤外光により検出される距離と、同じくLiDAR30が射出した緑色レーザー光により検出される距離との差に基づき、自車両1の周囲の水位を算出する。
【0027】
近赤外光は、水面で反射する。このため、LiDAR30の設置位置から水面までの距離を測定できる。また、緑色レーザー光は、水面で反射せずに水中に侵入し、水底で反射する。このため、LiDAR30の設置位置から水底までの距離を測定できる。水深算出部131は、算出した近赤外光により測定される距離と、緑色レーザー光により測定される距離との差を算出し、算出した差に基づいて水深を算出する。水深算出部131は、算出した水深を示す水深情報を領域検出部133及び画像生成部135に出力する。
また、水深算出部131は、近赤外光により測定される距離と、緑色レーザー光により測定される距離とに差がない場合、自車両1の周囲に水が存在しないと判定する。この場合、水深算出部131は、0mを示す水深情報を領域検出部133及び画像生成部135に出力してもよいし、水深情報を出力しない構成であってもよい。
【0028】
また、水深算出部131は、LiDAR30が射出する近赤外光により測定される距離に代えて、ソナーユニット40により検出される距離を使用してもよい。ソナーユニット40は、ソナーユニット40が水面よりも上に位置している場合、ソナーユニット40の設置位置から、水面までの距離を測定することができる。また、ソナーユニット40が水中にある場合、ソナーユニット40の設置位置から水底までの距離を測定することができる。
【0029】
また、水深算出部131は、冠水センサ50から入力されるセンサデータに基づいて、自車両1の周囲の水位を判定、又は算出してもよい。冠水センサ50は、冠水センサ50の設置高さまで水が到達したことを検出してセンサ信号を出力する。水深算出部131は、冠水センサ50からセンサ信号が入力されることで、自車両1の周囲の水位を判定することができる。
【0030】
また、自車両1に、第1冠水センサ50と、第2冠水センサ50とを設置し、第1冠水センサ50の設置高さが、第2冠水センサ50の設置高さよりも低いと仮定する。この場合、水深算出部131は、第1冠水センサ50からセンサ信号が入力されてから、第2冠水センサ50からセンサ信号が入力されるまでの経過時間と、第1冠水センサ50と第2冠水センサ50の設置高さの差とに基づき、水深が増加する速度を算出し、算出した速度に基づいて水深を算出してもよい。
【0031】
また、冠水センサ50は、限界水位情報が示す自車両1の限界水位の位置に設置することで、自車両1の周囲の水位が限界水位まで到達したことを精度よく検出することができる。
【0032】
さらに、水深算出部131は、カメラユニット20の撮影画像と、学習データ123とに基づいて水深を算出してもよい。例えば、水深算出部131は、学習データ123に基づき、撮影画像に撮影された河川や水溜まりの水深を推定する。
学習データ123は、コンピュータが学習データセットを機械学習することで生成する。学習データセットには、カメラユニット20の撮影画像と、この撮影画像に撮影された水面の光の反射率や揺らぎと、撮影画像に撮影された河川や水溜りの水深とを含むデータである。
【0033】
コンピュータが行う機械学習の手法は、学習データセットを用いた教師あり学習であれば特に限定されない。教師あり学習で用いられるモデル又はアルゴリズムとしては、回帰分析、決定木、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク、アンサンブル学習、ランダムフォレスト等が挙げられる。また、事前にクラス分類を行ってから、各クラスに対して教師あり学習を行ってもよい。その際のクラス分類は教師あり、教師なしのどちらでもよい。
【0034】
なお、水深算出部131は、LiDAR30やソナーユニット40のセンサデータにより水深の算出ができなかった場合に、撮影画像に基づいて推定した水深を、領域検出部133や画像生成部135に出力してもよい。
【0035】
領域検出部133には、水深算出部131が算出した自車両1の周囲の水深情報が入力される。また、領域検出部133は、メモリ120から車両諸元データとして、限界水位情報と、IMU60のセンサデータとを取得する。
領域検出部133は、水深算出部131が算出した自車両1の周囲の水深情報と、限界水位情報とに基づき、水深が限界水位以上の領域を検出する。以下、この領域を侵入禁止領域250という。領域検出部133は、検出した侵入禁止領域250の位置及び範囲を示す情報である領域情報を画像生成部135に出力する。
【0036】
画像生成部135には、領域検出部133から侵入禁止領域250の領域情報が入力される。また、画像生成部135は、メモリ120からLiDAR30のセンサデータと、車両の2次元及び3次元の画像データ123を取得する。画像生成部135は、取得したLiDAR30のセンサデータに基づき、路面の形状を示す点群データを生成する。点群データは、自車両1の周囲に存在する路面や障害物を点の集合で表したデータであり、集合に含まれる各点は、LiDAR30が測定した測定点である。
【0037】
次に、画像生成部135は、点群データに含まれる点群に基づきポリゴンデータを生成する。ポリゴンデータは、路面や障害物等の3次元形状を微小な三角形や四角形等のポリゴンを要素として表現したものであり、各ポリゴンの頂点には、点群データに含まれる点が位置する。
【0038】
図3は、画像生成部135が生成する表示画像の一例を示す図である。
次に、画像生成部135は、生成したポリゴンデータをメモリ120に展開し、ポリゴンデータを展開したメモリ120の領域に画像データ125に基づく車両画像を重畳する。ポリゴンデータを展開するメモリ120の領域を、以下では描画領域200という。例えば、画像生成部135は、自車両1の位置に対応する描画領域200の位置に、車両画像を重畳する。ここで展開した車両画像は、3次元の画像である。3次元の車両画像を、3D車両画像210と表記する。また、画像生成部135は、描画領域200に二次元の車両画像を展開する。二次元の車両画像を、2D車両画像220と表記する。画像生成部135は、2D車両画像220を、例えば、描画領域200の4隅のいずれかに展開する。
図3には、描画領域200に向かって右端の位置に、2D車両画像220を展開した例を示す。
【0039】
次に、画像生成部135は、描画領域200に展開した3D車両画像210及び2D車両画像220の傾きを、IMU60が測定した自車両1のヨー角、ロール角及びピッチ角に基づいて補正する。すなわち、画像生成部135は、描画領域200に展開した3D車両画像210及び2D車両画像220の傾きを、自車両1のヨー角、ロール角及びピッチ角に対応した角度となるように傾ける。画像生成部135は、3D車両画像210の傾きを、自車両1のヨー角、ロール角及びピッチ角に基づいて補正し、2D車両画像310の傾きを、自車両1のロール角に基づいて補正する。
【0040】
次に、画像生成部135は、描画領域200に展開した3D車両画像210及び2D車両画像220に、限界水位を示す線と、自車両1の位置での水位を示す線とを重畳する。限界水位を示す線を限界水位線231と表記し、自車両1の位置での水位を示す線を水位線233と表記する。画像生成部135は、限界水位情報が示す自車両1の限界水位に対応する3D車両画像210及び2D車両画像220の位置に、限界水位線231を重畳する。また、画像生成部135は、水深算出部131が算出した水深情報から自車両1の位置の水位を取得し、取得した水位に対応する3D車両画像210及び2D車両画像220の位置に、水位線233を重畳する。
【0041】
次に、画像生成部135は、領域検出部133から侵入禁止領域250の領域情報が入力されている場合、領域情報に対応する描画領域200の範囲の表示色を、他の領域の表示色とは異なる色で表示する。例えば、画像生成部135は、侵入禁止領域250に対応する描画領域200の範囲を赤色で表示する。
【0042】
図4は、画像生成部135が生成する表示画像200の一例を示す図である。
次に、画像生成部135は、自車両1の位置の水位が限界水位以上であるか否かを判定する。画像生成部135は、水深算出部131が算出した水深情報から自車両1の位置の水位を取得し、取得した自車両1の位置の水位を、限界水位情報が示す限界水位と比較する。
画像生成部135は、自車両1の位置の水位が、限界水位以上である場合、3D車両画像210の表示色を変更する。つまり、画像生成部135は、自車両1の位置の水位が限界水位以上である場合の3D車両画像210の表示色を、自車両1の位置の水位が限界水位より低い場合の3D車両画像210の表示色とは異なる色に変更する。例えば、画像生成部135は、自車両1の位置の水位が、限界水位以上である場合、注意喚起を示す赤色で3D車両画像210を表示する。
【0043】
さらに、画像生成部135は、自車両1の位置での水位が、限界水位情報が示す限界水位以上である場合、水深算出部131が算出した自車両1の周囲の水深に基づき、水位が限界水位より低くなる方向を示す表示画像を生成する。例えば、画像生成部135は、水位が限界水位より低くなる方向を示す矢印画像270を表示画像に表示する。
また、画像生成部135は、自車両1が前進している場合、前進方向とは逆方向である後退を示す矢印画像270を描画領域200に展開に表示し、自車両1が後退している場合、後退方向とは逆方向である前進を示す矢印画像270を描画領域200に展開してもよい。
【0044】
表示制御部137は、描画領域200に展開した表示画像を読み出し、読み出した表示画像を表示部70に出力する。表示部70は、入力された表示画像を表示パネル71に表示する。
【0045】
図5は、表示制御部100の動作を示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートを参照しながら表示制御装置100の動作を説明する。
まず、表示制御部100は、操作部80の開始スイッチが押下されたか否かを判定する(ステップS1)。表示制御部100は、開始スイッチが押下されていない場合(ステップS1/NO)、開始スイッチが押下されるまで処理の開始を待機する。
【0046】
表示制御部100は、開始スイッチが押下されると(ステップS1/YES)、メモリ120からセンサデータを取得する(ステップS2)。ここで取得するセンサデータには、カメラユニット20の撮影画像や、LiDAR30、ソナーユニット40、IMU60のセンサデータが含まれる。
【0047】
次に、表示制御部100は、取得したLiDAR30や、ソナーユニット40のセンサデータに基づいて自車両1の周囲の水位を算出する(ステップS3)。
例えば、表示制御部100は、LiDAR30が射出した近赤外光により検出される距離と、同じくLiDAR30が射出した緑色レーザー光により検出される距離との差に基づき、自車両1の周囲の水位を算出する。また、表示制御部100は、ソナーユニット40のセンサデータに基づいて水面までの距離を算出してもよい。
また、表示制御部100は、カメラユニット20の撮影画像と、学習データ123とに基づいて水深を推定してもよい。表示制御部100は、学習データ123に基づき、撮影画像に撮影された水溜まりの水深を推定する。
【0048】
次に、表示制御部100は、自車両1の周囲状況を示す表示画像200を生成する(ステップS4)。
表示制御部100は、取得したLiDAR30のセンサデータから自車両1の周囲の路面状況を示す表示画像を生成する(ステップS4)。表示制御部100は、LiDAR30のセンサデータから点群データを生成し、生成した点群データに基づいてポリゴンデータを生成する。表示制御部100は、ポリゴンデータを描画領域200に展開して表示画像200を生成する。
【0049】
次に、表示制御部100は、メモリ120から取得した画像データ125に基づき、描画領域200の表示画像に、3D車両画像210及び2D車両画像2230を重畳する(ステップS5)。
【0050】
次に、表示制御部100は、ステップS2で取得したIMU60のセンサデータに基づき3D車両画像210及び2D車両画像220の傾きを、IMU60が測定した自車両1のヨー角、ロール角及びピッチ角に基づいて補正する(ステップS6)。
表示制御部100は、描画領域200に展開した3D車両画像210の傾きを、自車両1のヨー角、ロール角及びピッチ角に基づいて傾きを補正し、2D車両画像220の傾きを、自車両1のロール角に基づいて補正する。
【0051】
次に、表示制御部100は、描画領域200に展開した3D車両画像210及び2D車両画像220に、限界水位線231及び水位線233を重畳する(ステップS7)。
【0052】
次に、表示制御部100は、自車両1の位置での水位が限界水位以上であるか否かを判定する(ステップS8)。表示制御部100は、ステップS3で算出した水深と、車両諸元データ121に含まれる限界水位とを比較して、自車両1の位置での水位が限界水位以上であるか否かを判定する。表示制御部100は、自車両1の位置での水位が限界水位以上であると判定すると(ステップS8/YES)、3D車両画像210の表示色を変更する(ステップS9)。表示制御部100は、3D車両画像210の表示色を、自車両1の位置での水位が限界水位より低い場合に表示する3D車両画像210の表示色とは異なる色で表示する。
【0053】
表示制御部100は、3D車両画像210の表示色を変更すると、又は、自車両1の位置での水位が限界水位よりも低いと判定した場合(ステップS8/NO)、描画領域200に展開した表示画像を読み出し、読み出した表示画像を表示部70に出力する。表示部70は、入力された表示画像を表示パネル71に表示する(ステップS10)。
【0054】
次に、表示制御部100は、操作部80の終了スイッチが押下されたか否かを判定する(ステップS11)。表示制御部100は、終了スイッチが押下されていない場合(ステップS11/NO)、ステップS2の処理に戻る。また、表示制御部100は、終了スイッチが押下された場合(ステップS11/YES)、この処理フローを終了する。
【0055】
以上説明したように本実施形態の表示制御装置100は、水深算出部131、メモリ120、画像生成部135及び表示制御部137を備える。
水深算出部131は、自車両1の位置での水深を算出する。
メモリ120は、自車両1が走行可能な限界の水位を示す限界水位情報を含む車両諸元データ121を記憶する。
画像生成部135は、3D車両画像210に、限界水位情報に対応した限界の水位を示す限界水位線231と、水深算出部131が算出した水深を示す水位線231と、を重畳した表示画像を生成する。
表示制御部137は、画像生成部135が生成した表示画像を表示部70に表示する。
【0056】
この構成によれば、3D車両画像210に、限界水位情報に対応した限界の水位を示す限界水位線231と、水深算出部131が算出した水深を示す水位線231と、が重畳表示される。このため、運転者は、表示画像を視認しながら自車両1を運転することで、自車両1の駆動源への水の侵入を低減し、自車両1の故障を低減することができる。
【0057】
水深算出部131は、自車両1の周囲の水深を算出する。
表示制御部100は、水深算出部131が算出した自車両1の周囲の水深と、限界水位情報とに基づき、自車両1が走行不可能な侵入禁止領域250を検出する領域検出部133を備える。
画像生成部135は、領域検出部133が検出した侵入禁止領域250を重畳した表示画像を生成する。
表示制御部137は、画像生成部135が生成した表示画像を表示部70に表示する。
【0058】
この構成によれば、自車両1が走行不可能な侵入禁止領域250を表示部70に表示することができる。
このため、運転者は、侵入禁止領域250を回避するように自車両1を運転することで、自車両1の駆動源への水の侵入を低減し、自車両1の故障を低減することができる。
【0059】
画像生成部135は、自車両1の位置での水位が、限界水位情報が示す限界の水位以上である場合、水深算出部131が算出した自車両1の周囲の水深に基づき、水位が限界の水位より低くなる方向を示す表示画像を生成する。
表示制御部137は、画像生成部135が生成した表示画像を表示部70に表示する。
【0060】
この構成によれば、自車両1の位置での水位が、限界水位情報が示す限界の水位以上である場合に、水位が限界の水位より低くなる方向を示す表示画像が表示されるので、この表示に従って自車両1を運転することで、自車両1の駆動源への水の侵入を低減し、車両が故障する可能性を低減することができる。
【0061】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、上述したフローチャートの説明では、表示制御部100は、操作部80の開始スイッチが押下された場合に処理を開始したが、他のトリガーに基づいて処理を開始してもよい。他のトリガーとして、カメラユニット20の撮影画像から水を検出した場合や、LiDAR30やソナーユニット40のセンサデータに基づき、自車両1の周囲に水を検出した場合等が挙げられる。
【0062】
また、
図3及び
図4に表示した3D車両画像210は、3D画像である必要はなく、2次元の車両の画像であってもよい。また、2D車両画像220は、表示画像に表示しない構成であってもよい。
【0063】
また、プロセッサ130が実行する処理を、ネットワークに接続したサーバ装置が実行するようにしてもよい。
表示制御装置100は、無線通信部10によりネットワークに接続し、ステップS2で取得したセンサデータをサーバ装置に送信する。そして、表示制御装置100は、サーバ装置が生成した表示画像を無線通信部10により受信し、受信した表示画像を表示部70に表示する。
【0064】
また、
図1に示す表示制御装置100の構成を示すブロック図は、本願発明を理解容易にするために、構成要素を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、構成要素は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0065】
また、表示制御方法をコンピュータを用いて実現する場合、このコンピュータが実行するプログラムを記録媒体、又はこのプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。記録媒体には、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD(Hard Disk Drive)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、上記記録媒体は、表示制御装置100が備えるROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。
【0066】
また、
図5に示すフローチャートの処理単位は、表示制御装置100の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。表示制御装置100の処理は、処理内容に応じてさらに多くの処理単位に分割してもよい。また、表示制御装置100の処理は、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 自車両
70 表示部
100 表示制御部
120 メモリ
131 水深算出部
135 画像生成部
137 表示制御部
210 3D車両画像
231 限界水位線
233 水位線