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  • 特開-波力発電装置 図1
  • 特開-波力発電装置 図2
  • 特開-波力発電装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093179
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】波力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/14 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
F03B13/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208651
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】稲村 一彦
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA02
3H074BB09
3H074BB15
3H074CC03
(57)【要約】
【課題】大規模な設置工事を必要としない波力発電装置を提供する。
【解決手段】中空部を有する浮体2と、中空部に収容される発電システム3と、を有し、発電システム3が、水に浮かんだ浮体2に対する相対的な昇降動作を可能に浮体2に保持される質量体4と、質量体4の昇降動作によって発電可能な発電機6と、を有する、波力発電装置1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を有する浮体と、前記中空部に収容される発電システムと、を有し、
前記発電システムが、水に浮かんだ前記浮体に対する相対的な昇降動作を可能に前記浮体に保持される質量体と、前記質量体の前記昇降動作によって発電可能な発電機と、を有する、波力発電装置。
【請求項2】
前記発電システムが、前記質量体の前記昇降動作としての振動を可能にする付勢力を前記質量体に加える付勢部材を有する、請求項1に記載の波力発電装置。
【請求項3】
前記発電システムが、前記質量体の前記昇降動作を回転動作に変換する変換機構を有し、
前記発電機が前記変換機構の前記回転動作によって発電可能である、請求項1又は2に記載の波力発電装置。
【請求項4】
前記変換機構が前記質量体を貫通する、請求項3に記載の波力発電装置。
【請求項5】
前記変換機構が、前記質量体の前記昇降動作を1方向の前記回転動作に変換するワンウェイクラッチを有する、請求項3又は4に記載の波力発電装置。
【請求項6】
前記発電システムが、前記変換機構の前記回転動作に連動するはずみ車を有する、請求項3~5の何れか1項に記載の波力発電装置。
【請求項7】
前記変換機構がボールねじ機構を有する、請求項3~6の何れか1項に記載の波力発電装置。
【請求項8】
上下方向に細長く、下側に偏った重心を有する、請求項1~7の何れか1項に記載の波力発電装置。
【請求項9】
前記浮体の上端部と下端部の両方又は一方が流線形状をなす、請求項1~8の何れか1項に記載の波力発電装置。
【請求項10】
前記浮体が、上下方向に沿って延びるフィンを有する、請求項1~9の何れか1項に記載の波力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は波力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1~3に記載されるように、波の力を利用して発電する波力発電装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-29087号公報
【特許文献2】特開2018-3680号公報
【特許文献3】特開2013-181433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献に記載される波力発電装置はいずれも、海岸又は海底への大規模な設置工事を必要とする。
【0005】
そこで本開示の目的は、大規模な設置工事を必要としない波力発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態において、波力発電装置は、中空部を有する浮体と、前記中空部に収容される発電システムと、を有し、前記発電システムが、水に浮かんだ前記浮体に対する相対的な昇降動作を可能に前記浮体に保持される質量体と、前記質量体の前記昇降動作によって発電可能な発電機と、を有する、波力発電装置である。このような構成によれば、波が生じる海や湖などに波力発電装置を浮かべることにより、波の力で浮体に対する質量体の相対的な昇降動作を生じさせて発電することが可能となる。したがって、大規模な設置工事を必要としない波力発電装置を実現できる。
【0007】
一実施形態において、波力発電装置は、前記発電システムが、前記質量体の前記昇降動作としての振動を可能にする付勢力を前記質量体に加える付勢部材を有する、波力発電装置である。このような構成によれば、浮体に対する質量体の相対的な昇降動作を効率的に生じさせ易くすることができる。
【0008】
一実施形態において、波力発電装置は、前記発電システムが、前記質量体の前記昇降動作を回転動作に変換する変換機構を有し、前記発電機が前記変換機構の前記回転動作によって発電可能である、波力発電装置である。このような構成によれば、回転式の発電機による簡便な発電を可能にすることができる。
【0009】
一実施形態において、波力発電装置は、前記変換機構が前記質量体を貫通する、波力発電装置である。このような構成によれば、波力発電装置を小型化し易くすることができる。
【0010】
一実施形態において、波力発電装置は、前記変換機構が、前記質量体の前記昇降動作を1方向の前記回転動作に変換するワンウェイクラッチを有する、波力発電装置である。このような構成によれば、浮体に対する質量体の相対的な昇降動作が繰り返される間、回転動作を止めずに発電することができるので、発電効率を高め易くすることができる。
【0011】
一実施形態において、波力発電装置は、前記発電システムが、前記変換機構の前記回転動作に連動するはずみ車を有する、波力発電装置である。このような構成によれば、発電機の回転を安定させ易くすることができる。
【0012】
一実施形態において、波力発電装置は、前記変換機構がボールねじ機構を有する、波力発電装置である。このような構成によれば、波力発電装置を小型化し易くすることができる。
【0013】
一実施形態において、波力発電装置は、上下方向に細長く、下側に偏った重心を有する、波力発電装置である。このような構成によれば、安定した姿勢で効率的に発電し易くすることができる。
【0014】
一実施形態において、波力発電装置は、前記浮体の上端部と下端部の両方又は一方が流線形状をなす、波力発電装置である。このような構成によれば、浮体を波の力で上下方向に振動し易くして発電効率を高め易くすることができる。
【0015】
一実施形態において、波力発電装置は、前記浮体が、上下方向に沿って延びるフィンを有する、波力発電装置である。このような構成によれば、上下方向に延びる中心軸線を中心とする浮体の回転を抑制して発電効率を高め易くすることができる。
【0016】
一実施形態において、波力発電装置は、前記付勢部材が、上下方向に前記付勢力を生じるばねで構成される、波力発電装置である。このような構成によれば、波力発電装置を小型化し易くすることができる。
【0017】
一実施形態において、波力発電装置は、前記質量体が前記ボールねじ機構のボールナットを有し、前記発電システムが、前記浮体に一体に保持され前記質量体よりも下側で前記ボールねじ機構のボールねじ軸を回転可能に支持する下側支持部と、前記浮体に一体に保持され前記質量体よりも上側で前記ボールねじ軸を回転可能に支持する上側支持部と、を有する、波力発電装置である。このような構成によれば、波力発電装置を小型化し易くすることができる。
【0018】
一実施形態において、波力発電装置は、前記発電システムが、前記下側支持部と前記上側支持部とを連ねるように上下方向に延びる案内軸と、前記質量体を貫通し前記案内軸に案内される被案内穴と、を有する、波力発電装置である。このような構成によれば、波力発電装置を小型化し易くすることができる。
【0019】
一実施形態において、波力発電装置は、前記発電システムが、前記上側支持部に一体に保持され前記上側支持部よりも上側に前記発電機の固定子を一体に保持する固定子保持部を有する、波力発電装置である。このような構成によれば、波力発電装置を小型化し易くすることができる。
【0020】
一実施形態において、波力発電装置は、前記固定子保持部が、前記上側支持部よりも上側で前記固定子を固定軸を介して一体に支持する固定部と、前記固定部と前記上側支持部とを連ねる連結軸と、を有する、波力発電装置である。このような構成によれば、波力発電装置を小型化し易くすることができる。
【0021】
一実施形態において、波力発電装置は、前記ボールねじ軸が前記ワンウェイクラッチを介して前記発電機の回転子に連なる、波力発電装置である。このような構成によれば、波力発電装置を小型化し易くすることができる。
【0022】
一実施形態において、波力発電装置は、前記ボールねじ軸が前記ワンウェイクラッチを介して前記はずみ車に連なる、波力発電装置である。このような構成によれば、波力発電装置を小型化し易くすることができる。
【0023】
一実施形態において、波力発電装置は、前記質量体が、本体部と、前記質量体の質量を調節するために前記本体部に着脱可能に設けられる質量調節部と、を有する、波力発電装置である。このような構成によれば、質量体の質量を調節して質量体の固有振動数を浮体の固有振動数に近づけて発電性能を高め易くすることができる。
【0024】
一実施形態において、波力発電装置は、前記発電システムが前記浮体内に下側に寄せて配置される、波力発電装置である。このような構成によれば、安定した姿勢で効率的に発電し易くすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、大規模な設置工事を必要としない波力発電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態に係る波力発電装置の外観図である。
図2図1に示す波力発電装置の発電システムの外観図である。
図3】第2実施形態に係る波力発電装置の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を詳細に例示説明する。
【0028】
図1図2に示すように、第1実施形態に係る波力発電装置1は、中空部を有する浮体2と、中空部に収容される発電システム3と、を有する。
【0029】
本実施形態では、浮体2は上下方向に細長い中空柱形状をなし、発電システム3は浮体2内に下側に寄せて配置される。したがって、波力発電装置1は上下方向に細長く、下側に偏った重心を有する。なお、波力発電装置1は上下方向に細長い構成に限らず、また、下側に偏った重心を有する構成に限らない。例えば、波力発電装置1は、係留部材などを介した外部からの牽引力などによって向きが制限されるように構成してもよい。
【0030】
なお、本願において上下方向は、波力発電装置1を水に浮かべた状態における鉛直上下方向を意味する。また、本実施形態において、波力発電装置1の上下方向に延びる中心軸線Oの周方向を単に周方向ともいい、中心軸線Oの径方向を単に径方向ともいう。
【0031】
浮体2は、中心軸線Oを中心とする円筒状の周壁2aと、周壁2aの下端部を閉塞する底蓋2bと、周壁2aの上端部を閉塞する上蓋2cと、を有する。なお、周壁2aは円筒状に限らず、例えば楕円筒状、角筒状など、円筒状以外の筒状をなす構成としてもよい。底蓋2bと上蓋2cはそれぞれ周壁2aにボルト、ナットなどの固定具によって着脱可能に取り付けられる。なお、底蓋2bと上蓋2cを周壁2aに取り付ける方法はこれに限らず、例えば、底蓋2bと上蓋2cをそれぞれ溶接によって周壁2aに取り付ける構成としてもよい。
【0032】
発電システム3は、波が生じる海や湖などで水に浮かんだ浮体2に対する相対的な昇降動作を可能に浮体2に保持される質量体4と、質量体4の昇降動作としての振動を可能にする付勢力を質量体4に加える付勢部材5と、質量体4の昇降動作によって発電可能な発電機6と、を有する。
【0033】
より具体的には、発電システム3は、質量体4の昇降動作を回転動作に変換する変換機構7を有し、発電機6が変換機構7の回転動作によって発電可能である。変換機構7はボールねじ機構8を有する。ボールねじ機構8は、中心軸線Oを中心とし質量体4を貫通するボールねじ軸8aと、ボールねじ軸8aに螺合するボールナット8bと、を有する。
【0034】
質量体4は、ボールナット8bを有する本体部4aと、質量体4の質量を調節するために本体部4aに着脱可能に設けられる質量調節部4bと、を有する。本体部4aは中心軸線Oを中心とする円盤状をなし、中央部に質量体4を貫通するボールナット8bのねじ穴4cを有し、径方向におけるねじ穴4cと外周縁との間の部分に、周方向に並べて設けられ、それぞれ質量体4を貫通する複数(本実施形態では4つ)の被案内穴4dを有する。質量調節部4bは、それぞれ本体部4aの外周縁部に着脱可能に取り付けられる複数の円弧状質量片4eを有する。円弧状質量片4eは中心軸線Oを中心とする円弧状をなし上下方向に垂直な板状をなす。円弧状質量片4eは図2に示す状態では本体部4aの上側に4つ、下側に4つ配置されている。質量体4は例えば金属製である。
【0035】
発電システム3は、浮体2に一体に保持され質量体4よりも下側でボールねじ軸8aを回転可能に支持する下側支持部9と、浮体2に一体に保持され質量体4よりも上側でボールねじ軸8aを回転可能に支持する上側支持部10と、周方向に並べて設けられ、それぞれ下側支持部9と上側支持部10とを連ねるように上下方向に延びる複数(本実施形態では4つ)の案内軸11と、を有する。案内軸11は被案内穴4dに対応させて設けられ、被案内穴4dを上下方向に摺動させて案内することができる。なお、案内軸11の数は被案内穴4dの数と合わせて適宜設定でき、例えば、案内軸11と被案内穴4dを1つずつ設ける構成としてもよい。案内軸11と被案内穴4dを設けない構成とし、例えば、質量体4の外周面を浮体2の内周面で案内する構成としてもよい。
【0036】
付勢部材5は、周方向に並べて設けられ、それぞれ上下方向に付勢力を生じる複数(本実施形態では4つ)のばね5aで構成される。ばね5aの数は適宜設定でき、例えば1つとしてもよい。ばね5aは、本実施形態では上下方向に伸縮可能な引っ張りばねで構成され、ばね5aの上端部は上側支持部10に取り付けられ、ばね5aの下端部は質量体4の本体部4aに取り付けられる。ばね5aは、上下方向に伸縮可能な圧縮ばねで構成してもよい。この場合、例えば、ばね5aの下端部が下側支持部9に取り付けられ、ばね5aの上端部が質量体4の本体部4aに取り付けられる。なお、付勢部材5は引っ張りばねと圧縮ばねの組み合わせで構成してもよい。付勢部材5は、例えば、上下方向に付勢力を生じる磁石など、ばね5a以外の部材で構成してもよい。
【0037】
発電機6は回転式であり、固定子と、固定子に対して相対的に中心軸線Oを中心に回転可能な回転子6aを有する。発電システム3は、上側支持部10に一体に保持され上側支持部10よりも上側に固定子を一体に保持する固定子保持部12を有する。固定子保持部12は、上側支持部10よりも上側で固定子を固定軸12aを介して一体に支持する固定部12bと、周方向に並べて設けられ、それぞれ固定部12bの外周縁部と上側支持部10の外周縁部とを連ねるように上下方向に延びる複数(本実施形態では4つ)の連結軸12cと、を有する。連結軸12cの数は適宜設定でき、例えば1つとしてもよい。連結軸12cを設けずに、例えば、固定部12bを浮体2に直接、一体に取り付ける構成としてもよい。
【0038】
本実施形態では変換機構7は、質量体4の昇降動作を1方向の回転動作に変換するワンウェイクラッチ13を有する。より具体的には、ボールねじ軸8aがワンウェイクラッチ13を介して発電機6のアウター型の回転子6aに連なる。なお、発電機6は、回転子6aが固定子よりも径方向外側に配置されるアウター型の回転子6aを有する構成に限らず、回転子6aが固定子よりも径方向内側に配置されるインナー型の回転子6aを有する構成としてもよい。
【0039】
本実施形態では発電システム3は、変換機構7の回転動作に連動するはずみ車14を有する。より具体的には、ボールねじ軸8aがワンウェイクラッチ13を介してはずみ車14に連なる。また、はずみ車14は回転子6aよりも上側に配置される。なお、はずみ車14を回転子6aよりも下側且つワンウェイクラッチ13よりも上側に配置する構成としてもよい。はずみ車14は例えば回転子6aに着脱可能に配置される。
【0040】
波によって浮体2が上昇すると、質量体4は慣性力によって留まろうとするのでボールねじ軸8aが周方向の一方側に回転し、発電機6の回転子6aも周方向の一方側に回転する。次に浮体2が下降する時は、ボールねじ軸8aが周方向の他方側に回転するが、ボールねじ軸8aと回転子6aの間にはワンウェイクラッチ13があるので、回転子6aは慣性力によって周方向の一方側に回転し続ける。このとき、はずみ車14の慣性力によって回転子6aを周方向の一方側に安定して回転し続けさせることができる。なお、ワンウェイクラッチ13が無いと回転子6aは正転と逆転を繰り返すので、その度に回転が止まり非効率となる。
【0041】
浮体2は波により、波の振動数に関わらず、固有振動数で昇降する。一方、ばね5aで吊るされた質量体4も固有振動数で昇降するので、両方の固有振動数が近いほど、発電機6の出力(発電量)は大きくなる。さらに、それが波の振動数と一致すると出力は最大になる。したがって、これを考慮して、質量体4の質量と付勢部材5による付勢力を設定することが好ましい。
【0042】
波力発電装置1は、例えば、直径を230mm、高さを860mm、重さを27kgとし、波がない状態で、下端から4分の3位までが水中に沈み、上端から4分の1位までが水面から突き出て浮かぶように形成できる。またこの場合、例えば、ボールねじ軸8aの外径を15mm、リードを20mmに設定でき、それぞれのばね5aのばね定数を0.147N/mmに設定でき、質量体4の質量を8.6kgに設定できる。仮に周期1秒で、1回の昇降動作で10回転すると、回転数は600rpmとなり、この時、発電機6の出力は例えば30Wとなる。
【0043】
本実施形態の波力発電装置1は、波が生じる海や湖などで水に浮かべることで発電することができる。したがって、例えば、浮体2の上部に照明装置を設けて海苔などの養殖に利用したり、センサーや通信機などの機器を搭載して海洋環境などの観測に利用したりすることができる。
【0044】
図3に示す第2実施形態に係る波力発電装置1は、浮体2の上端部と下端部の両方が流線形状をなし、浮体2が、周方向に並べて設けられそれぞれ上下方向に沿って延びる複数のフィン2dを有する点で、第1実施形態と異なり、その他の点では第1実施形態と同様の構成を有する。より具体的には、底蓋2bが下方に向けて先細となる流線形状をなし、上蓋2cが上方に向けて先細となる流線形状をなし、上下方向と径方向に延在する平板状をなすフィン2dが、周壁2aの外周面に固定具を介して一体に取り付けられる。なお、フィン2dは、固定具に限らず例えば溶接によって周壁2aに一体に取り付ける構成としてもよい。
【0045】
本実施形態によれば、浮体2の流線形状の端部により昇降の抵抗を減らし、また、フィン2dにより周方向の回転を抑えることができるので、発電効率を高め易くすることができる。なお、浮体2の上端部と下端部の両方が流線形状をなす構成に限らず、浮体2の上端部と下端部の一方が流線形状をなす構成としてもよい。フィン2dの数は適宜設定でき、例えば1つとしてもよい。
【0046】
本開示は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0047】
したがって、前述した実施形態に係る波力発電装置1は、中空部を有する浮体2と、中空部に収容される発電システム3と、を有し、発電システム3が、水に浮かんだ浮体2に対する相対的な昇降動作を可能に浮体2に保持される質量体4と、質量体4の昇降動作によって発電可能な発電機6と、を有する、波力発電装置1である限り、種々変更可能である。
【0048】
例えば、発電システム3は、発電機6の回転子6aがボールねじ軸8aと同軸に配置される構成に限らず、例えば、回転子6aがボールねじ軸8aと並列に配置され、これらが歯車を介して回転を伝達可能に連結する構成としてもよい。質量体4がボールねじ軸8aと同軸に配置される構成に限らず、例えば、質量体4がボールねじ軸8aと並列に配置される構成としてもよい。変換機構7はワンウェイクラッチ13を有する構成に限らない。発電システム3は、はずみ車14を有する構成に限らない。質量体4の昇降動作を回転動作に変換する変換機構7はボールねじ機構8を有する構成に限らず、例えば、ラック・ピニオン機構を有する構成としてもよい。発電機6は回転式に限らない。質量体4は質量調節部4bを有する構成に限らない。
【0049】
なお、前述した実施形態に係る波力発電装置1は、発電システム3が、質量体4の昇降動作としての振動を可能にする付勢力を質量体4に加える付勢部材5を有する、波力発電装置1であることが好ましい。
【0050】
前述した実施形態に係る波力発電装置1は、発電システム3が、質量体4の昇降動作を回転動作に変換する変換機構7を有し、発電機6が変換機構7の回転動作によって発電可能である、波力発電装置1であることが好ましい。
【0051】
前述した実施形態に係る波力発電装置1は、変換機構7が質量体4を貫通する、波力発電装置1であることが好ましい。
【0052】
また、前述した実施形態に係る波力発電装置1は、変換機構7が、質量体4の昇降動作を1方向の回転動作に変換するワンウェイクラッチ13を有する、波力発電装置1であることが好ましい。
【0053】
前述した実施形態に係る波力発電装置1は、発電システム3が、変換機構7の回転動作に連動するはずみ車14を有する、波力発電装置1であることが好ましい。
【0054】
前述した実施形態に係る波力発電装置1は、変換機構7がボールねじ機構8を有する、波力発電装置1であることが好ましい。
【0055】
前述した実施形態に係る波力発電装置1は、上下方向に細長く、下側に偏った重心を有する、波力発電装置1であることが好ましい。
【0056】
前述した実施形態に係る波力発電装置1は、浮体2の上端部と下端部の両方又は一方が流線形状をなす、波力発電装置1であることが好ましい。
【0057】
また、前述した実施形態に係る波力発電装置1は、浮体2が、上下方向に沿って延びるフィン2dを有する、波力発電装置1であることが好ましい。
【0058】
前述した実施形態に係る波力発電装置1は、付勢部材5が、上下方向に付勢力を生じるばね5aで構成される、波力発電装置1であることが好ましい。
【0059】
前述した実施形態に係る波力発電装置1は、質量体4がボールねじ機構8のボールナット8bを有し、発電システム3が、浮体2に一体に保持され質量体4よりも下側でボールねじ機構8のボールねじ軸8aを回転可能に支持する下側支持部9と、浮体2に一体に保持され質量体4よりも上側でボールねじ軸8aを回転可能に支持する上側支持部10と、を有する、波力発電装置1であることが好ましい。
【0060】
前述した実施形態に係る波力発電装置1は、発電システム3が、下側支持部9と上側支持部10とを連ねるように上下方向に延びる案内軸11と、質量体4を貫通し案内軸11に案内される被案内穴4dと、を有する、波力発電装置1であることが好ましい。
【0061】
前述した実施形態に係る波力発電装置1は、発電システム3が、上側支持部10に一体に保持され上側支持部10よりも上側に発電機6の固定子を一体に保持する固定子保持部12を有する、波力発電装置1であることが好ましい。
【0062】
前述した実施形態に係る波力発電装置1は、固定子保持部12が、上側支持部10よりも上側で固定子を固定軸12aを介して一体に支持する固定部12bと、固定部12bと上側支持部10とを連ねる連結軸12cと、を有する、波力発電装置1であることが好ましい。
【0063】
前述した実施形態に係る波力発電装置1は、ボールねじ軸8aがワンウェイクラッチ13を介して発電機6の回転子6aに連なる、波力発電装置1であることが好ましい。
【0064】
前述した実施形態に係る波力発電装置1は、ボールねじ軸8aがワンウェイクラッチ13を介してはずみ車14に連なる、波力発電装置1であることが好ましい。
【0065】
前述した実施形態に係る波力発電装置1は、質量体4が、本体部4aと、質量体4の質量を調節するために本体部4aに着脱可能に設けられる質量調節部4bと、を有する、波力発電装置1であることが好ましい。
【0066】
前述した実施形態に係る波力発電装置1は、発電システム3が浮体2内に下側に寄せて配置される、波力発電装置1であることが好ましい。
【符号の説明】
【0067】
1 波力発電装置
2 浮体
2a 周壁
2b 底蓋
2c 上蓋
2d フィン
3 発電システム
4 質量体
4a 本体部
4b 質量調節部
4c ねじ穴
4d 被案内穴
4e 円弧状質量片
5 付勢部材
5a ばね
6 発電機
6a 回転子
7 変換機構
8 ボールねじ機構
8a ボールねじ軸
8b ボールナット
9 下側支持部
10 上側支持部
11 案内軸
12 固定子保持部
12a 固定軸
12b 固定部
12c 連結軸
13 ワンウェイクラッチ
14 はずみ車
O 中心軸線
図1
図2
図3