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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093206
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】振盪装置、振盪方法および前処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20230627BHJP
   G01N 1/38 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
G01N35/02 D
G01N1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208690
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】塚原 美緒
(72)【発明者】
【氏名】芝吹 直伸
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
【Fターム(参考)】
2G052AA24
2G052AB22
2G052DA02
2G052DA12
2G052FB02
2G052FB08
2G052GA24
2G058BA08
2G058CA02
2G058CB08
2G058CB15
2G058FA03
2G058GA14
(57)【要約】
【課題】 コスト、消費エネルギーおよびスペースの増大を抑制しつつ、振盪機に自動的かつ安定的に容器を保持させることが可能な振盪装置、振盪方法および前処理装置を提供する。
【解決手段】 振盪装置100は、容器50に収容される試料に対して振盪を行う振盪装置100であって、前処理として容器50に対して振盪動作を行う振盪機10と、振盪機10に容器50を搬送する搬送機20とを備え、振盪機10は、容器50を保持する保持状態と容器50の保持を解除する解除状態とに切り替え可能に構成される第1の保持部14と、第1の保持部14を振盪する振盪駆動部12とを含み、搬送機20は、振盪機10の第1の保持部14を保持状態と解除状態とに切り替える切替部25を含んでもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容される試料に対して振盪を行う振盪装置であって、
前記容器に対して振盪動作を行う振盪機と、
前記振盪機に前記容器を搬送する搬送機とを備え、
前記振盪機は、
前記容器を保持する保持状態と前記容器の保持を解除する解除状態とに切り替え可能に構成される第1の保持部と、
前記第1の保持部を振盪する振盪駆動部とを含み、
前記搬送機は、前記振盪機の前記第1の保持部を前記保持状態と前記解除状態とに切り替える切替部を含む、振盪装置。
【請求項2】
前記切替部は、第1の方向に移動することにより前記第1の保持部を前記保持状態に切り替え、第2の方向に移動することにより前記第1の保持部を前記解除状態に切り替える、請求項1記載の振盪装置。
【請求項3】
前記搬送機は、
移動可能に構成された本体部と、
前記本体部に設けられ、前記容器を保持するように構成される第2の保持部とをさらに含み、
前記第2の保持部は、前記本体部の移動により前記容器を前記第1の保持部に搬送するように構成され、
前記切替部は、前記第1の保持部への前記容器の搬送後、前記第1の方向への前記本体部の移動により前記第1の方向に移動し、前記振盪駆動部による前記第1の保持部の振盪後、前記第2の方向への前記本体部の移動により前記第2の方向に移動するように構成された、請求項2記載の振盪装置。
【請求項4】
前記第1の保持部は、
前記容器の第1の端部を支持する支持部材と、
前記容器の第2の端部を押圧する押圧状態と前記容器の前記第2の端部から離間する離間状態とに移行可能に構成された押圧部材とを含み、
前記切替部は、前記第1の方向への移動により前記押圧部材を前記押圧状態に移行させることにより前記第1の保持部を前記保持状態に切り替え、前記第2の方向への移動により前記押圧部材を前記離間状態に移行させることにより前記第1の保持部を前記解除状態に切り替える、請求項3記載の振盪装置。
【請求項5】
前記第1の保持部は、
前記押圧部材を前記押圧状態と前記離間状態とに切り替え可能に構成された第1の係合部材をさらに含み、
前記切替部は、前記第1の係合部材に係合可能な第2の係合部材を含み、
前記第2の係合部材は、前記第1の方向への移動により前記第1の係合部材に係合するとともに前記第1の係合部材により前記押圧部材を前記押圧状態に移行させ、前記第2の方向への移動により前記第1の係合部材に係合するとともに前記第1の係合部材により前記押圧部材を前記離間状態に移行させる、請求項4記載の振盪装置。
【請求項6】
前記第2の係合部材は、
前記第1の方向への移動により前記第1の係合部材に係合するとともに前記第1の係合部材により前記押圧部材を前記押圧状態に移行させる保持用係合部材と、
前記第2の方向への移動により前記第1の係合部材に係合するとともに前記第1の係合部材により前記押圧部材を前記離間状態に移行させる解除用係合部材とを含む、請求項5記載の振盪装置。
【請求項7】
前記容器は、前記第1の端部として底面を有し、前記第2の端部として上面を有し、
前記支持部材は、前記容器の前記底面を支持するように配置され、
前記押圧部材は、前記容器の前記上面を押圧可能に配置され、
前記第1の方向は、上方向および下方向のうち一方であり、前記第2の方向は、前記上方向および前記下方向のうち他方である、請求項4~6のいずれか一項に記載の振盪装置。
【請求項8】
前記搬送機は、前記振盪機の前記第1の保持部が前記保持状態にあることを検出する第1の検出器をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の振盪装置。
【請求項9】
前記搬送機は、前記第1の保持部が前記解除状態にあることを検出する第2の検出器をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の振盪装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の振盪装置と、
前記容器に収容された試料に前処理を行う前処理部とを備える、前処理装置。
【請求項11】
容器に収容された試料に対して振盪を行う振盪方法であって、
前記容器を搬送機により振盪機に搬送するステップと、
前記搬送された前記容器を前記振盪機の保持部に保持させるステップと、
前記容器を保持する前記保持部に対して振盪動作を行うステップと、
振盪動作後に、前記保持部による前記容器の保持を解除するステップとを含み、
前記保持させるステップは、前記搬送機により、前記容器を保持する保持状態に前記保持部を切り替えることを含み、
前記解除するステップは、前記搬送機により、前記容器の保持を解除する解除状態に前記保持部を切り替えることを含む、振盪方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振盪装置、振盪方法および前処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分析装置において試料の分析が行われる前に、試料の前処理が行われる。例えば、特許文献1には、分析が行われる試料について前処理を行う前処理システムが記載されている。特許文献1に記載された前処理システムでは、ラックに収容された複数の試料瓶が複数の前処理ユニット間でベルトコンベアにより搬送される。複数の前処理ユニットの1つは、前処理の1つとして試料瓶を振盪(しんとう)する振とう部を含む。以下、試料瓶を振盪する装置を振盪機と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-131335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された前処理システムでは、複数の前処理ユニット間で試料瓶を収容するラックがベルトコンベアにより搬送される。それにより、試料瓶の搬送の自動化が実現されている。
【0005】
しかしながら、振盪機を含む前処理装置では、一般的に、搬送機等により振盪機に搬送された試料瓶等の容器を作業者が振盪機に対して手動で固定する作業が必要となる。前処理の自動化のためには、振盪機に容器を自動的に固定する作業の自動化が望まれる。
【0006】
一方、容器を自動的に固定するための構成を振盪機に設ける場合、専用のアクチュエータ等が必要になる。この場合、振盪機の質量が増加するため、振盪を行うために設けられるモータに対する負荷が増大する。したがって、振盪機に大容量のモータを設けることが必要となる。それにより、振盪機の部品コストが増大するとともに消費エネルギーが増大する。また、アクチュエータに接続されるケーブルについて、振盪機の振盪動作による曲げ伸ばしに耐え得る高耐久性の設計を行う必要がある。それにより、設計コストが増大する。さらに、振盪機に対して容器を自動的に固定するための固定装置を別途設ける場合、前処理装置内に固定装置を取り付けるためのフレーム等も必要となる。それにより、前処理装置内に固定装置を配置するためのスペースが別途必要になる。また、容器を振盪機に自動的に固定させる動作の安定性も要求される。
【0007】
本発明の目的は、コスト、消費エネルギーおよびスペースの増大を抑制しつつ、振盪機に自動的にかつ安定的に容器を保持させることが可能な振盪装置、振盪方法および前処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る振盪装置は、容器に収容される試料に対して振盪を行う振盪装置であって、振盪装置は、容器に対して振盪動作を行う振盪機と、振盪機に容器を搬送する搬送機とを備え、振盪機は、容器を保持する保持状態と容器の保持を解除する解除状態とに切り替え可能に構成される第1の保持部と、第1の保持部を振盪する振盪駆動部とを含み、搬送機は、振盪機の第1の保持部を保持状態と解除状態とに切り替える切替部を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コスト、消費エネルギーおよびスペースの増大を抑制しつつ、振盪機に自動的にかつ安定的に容器を保持させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施の形態に係る振盪装置の構成を示す模式的斜視図である。
図2図1の振盪装置の模式的側面図である。
図3】振盪装置における搬送動作および振盪動作の一例を説明するための模式的側面図である。
図4】振盪装置における搬送動作および振盪動作の一例を説明するための模式的側面図である。
図5】振盪装置における搬送動作および振盪動作の一例を説明するための模式的側面図である。
図6】振盪装置における搬送動作および振盪動作の一例を説明するための模式的側面図である。
図7】振盪装置における搬送動作および振盪動作の一例を説明するための模式的側面図である。
図8】振盪装置における搬送動作および振盪動作の一例を説明するための模式的側面図である。
図9】振盪装置における搬送動作および振盪動作の一例を説明するための模式的側面図である。
図10】振盪装置における搬送動作および振盪動作の一例を説明するための模式的側面図である。
図11】振盪装置における搬送動作および振盪動作の一例を説明するための模式的側面図である。
図12図1の振盪装置を含む分析システムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態に係る振盪装置、振盪方法および前処理装置について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(1)振盪装置の構成
図1は、一実施の形態に係る振盪装置の構成を示す模式的斜視図である。図1において、矢印で示すように、水平面内で互いに直交する方向をX方向およびY方向と呼び、鉛直方向をZ方向と呼ぶ。以降の図についても同様である。
【0013】
図1に示すように、振盪装置100は、振盪機10および搬送機20を含む。以下、Y方向において、矢印が示す方向を前方Fと呼び、矢印と逆の方向を後方Rと呼ぶ。
【0014】
振盪機10は、ベース11、振盪駆動部12、連結部材13および保持部14を含む。ベース11上に振盪駆動部12が設けられる。振盪駆動部12には、連結部材13により保持部14が連結される。本実施の形態では、連結部材13は、Y方向に延びるように設けられる。振盪駆動部12は、例えば電動モータ(図示せず。)を含み、X方向に延びる軸AX1を中心に一定の周期で揺動する。それにより、Y-Z平面において保持部14が振盪される。以下、振盪駆動部12により保持部14を振盪する動作を振盪動作と呼ぶ。
【0015】
保持部14は、支持部材15、トグルレバー16および押圧部材17を含む。支持部材15は、底板151、側板152、上板153、固定板154および取付板155により構成される。底板151は水平に配置される。側板152は、底板151の一辺からX-Z平面上で垂直かつ上方に延びる。上板153は、側板152の上辺から水平かつ後方に延びる。固定板154は、上板153の後端の辺からX-Z平面上で垂直かつ上方に延びる。取付板155は、固定板154の背面に取り付けられる。底板151の上面が支持面15aである。
【0016】
支持部材15の支持面15aには、容器50が支持される。容器50は、例えばラック51および一または複数の試料瓶52により構成される。本例では、ラック51内に複数の試料瓶52が収容される。各試料瓶52には試料が収容される。なお、ラック51に収容されない単体の試料瓶52を振盪する場合には、試料瓶52が容器50に相当する。ラック51の互いに反対の側面には、Z方向に延びる凹部53が形成される。
【0017】
トグルレバー16は、X方向に延びる軸AX2を中心に回転可能に保持部14の取付板155に取り付けられる。トグルレバー16の先端部には、X方向に延びる棒状部材16aが取り付けられる。棒状部材16aのX方向における両端には、棒状部材16aを中心に回転可能な回転部材16b,16cが取り付けられる。X方向における回転部材16b,16cの間隔は、後述する一対の保持用係合部材26間の間隔および一対の解除用係合部材28間の間隔に相当する。
【0018】
押圧部材17は、支持部材15の支持面15aに対向するように、上板153の下方に配置される。押圧部材17と支持部材15の支持面15aとの間には、容器50が搬入される。この場合、容器50のラック51の下面が支持面15aに接触する。押圧部材17は、トグルレバー16に連動して上下動するように構成される。例えば、トグルレバー16が軸AX2を中心に押し下げられた場合、押圧部材17は、支持面15aに近づくように下方に移動し、複数の試料瓶52の上面を押圧する。この場合、複数の試料瓶52の上面が押圧部材17の下面に接触する。それにより、支持部材15の支持面15aと押圧部材17との間で容器50が強固に保持される。以下、容器50が保持される状態を保持状態と呼び、容器50の保持が解除される状態を解除状態と呼ぶ。保持状態で、保持部14に保持された容器50に対して振盪駆動部12により振盪動作が行われる。
【0019】
また、トグルレバー16が押し下げられている状態から軸AX2を中心に引き上げられた場合、押圧部材17は、支持面15aから遠ざかるように上方に移動する。この場合、押圧部材17の下面が複数の試料瓶52の上面から離間する。それにより、保持部14が解除状態となる。解除状態で、容器50を保持部14から搬出することができる。また、解除状態で、容器50を保持部14に搬入することができる。
【0020】
以下、押圧部材17が複数の試料瓶52の上面を押圧する状態を押圧状態と呼ぶ。また、押圧部材17が複数の試料瓶52から離間する状態を離間状態と呼ぶ。本実施の形態では、押圧部材17が押圧状態になることにより保持部14が保持状態になる。また、押圧部材17が離間状態になることにより保持部14が解除状態になる。
【0021】
搬送機20は、一対の本体部材21、一対の保持部材22、切替部25を含む。一対の本体部材21は、Z方向に延びるように形成され、駆動機構D(後述する図2図11参照)によりX方向、Y方向およびZ方向に移動可能に支持される。この構成により、搬送機20は、3次元的に移動可能になる。
【0022】
一対の保持部材22は、一対の本体部材21から下方に延びるように、一対の保持部材22に取り付けられる。一対の保持部材22には、それぞれ対向するように一対の凸部22aが設けられる。一対の保持部材22は、本体部材21に設けられたモータまたはエアシリンダ等の駆動装置により互いに近づく方向および互いに遠ざかる方向に移動可能に構成される。以下、一対の保持部材22が互いに遠ざかった状態を開状態と呼び、一対の保持部材22が互いに近づいた状態を閉状態と呼ぶ。
【0023】
保持部材22が開状態である場合、一対の凸部22a間の間隔は、容器50の凹部53を有する一対の側面間の間隔より大きい。保持部材22の凸部22aが容器50の凹部53に位置するように搬送機20が移動し、保持部材22が閉状態になる。それにより、一対の保持部材22の凸部22aが容器50の一対の凹部53と係合する。さらに、一対の本体部材21が上昇することにより、一対の保持部材22により容器50が保持される。この状態で、搬送機20が移動することにより容器50が搬送される。以下、搬送機20が容器50を搬送する動作を搬送動作と呼ぶ。
【0024】
切替部25は、一対の保持用係合部材26、支持部材27,29および一対の解除用係合部材28を含む。一対の保持用係合部材26は、Y方向に延びるように配置される。各保持用係合部材26の先端部は、下方に屈曲している。後述するように、一対の保持用係合部材26は、X方向の軸の周りで回転可能に支持部材27に取り付けられる。
【0025】
一対の解除用係合部材28は、一対の保持用係合部材26の下方でY方向に延びるように配置される。各解除用係合部材28の先端部は、僅かに下方に屈曲している。後述するように、一対の解除用係合部材28は、X方向の軸の周りで回転可能に支持部材29に取り付けられる。
【0026】
図2は、図1の振盪装置100の模式的側面図である。図2においては、切替部25の構成の理解を容易に説明するために、切替部25の構成が簡略化されて示される。図2における本体部材21の位置を待機位置と呼ぶ。図2に示すように、一対の本体部材21の上端は、駆動機構Dに取り付けられる。
【0027】
振盪装置100は、制御部30をさらに含む。本実施の形態では、制御部30は、例えば、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)および記憶装置等により構成される。制御部30に含まれるROMまたは記憶装置に搬送動作および振盪動作を行うための搬送プログラムおよび振盪プログラムが記憶される。制御部30は、ROMまたは記憶装置に記憶される搬送プログラムおよび振盪プログラム等のコンピュータプログラムをRAM上で実行することにより実現される。制御部30の一部または全てが電子回路等のハードウェアにより構成されてもよい。
【0028】
制御部30は、駆動機構Dおよび振盪機10を制御する。駆動機構Dは、一対の本体部材21を移動させる。そこで、一対の保持部材22により保持された容器が搬送されることにより、搬送動作が行われる。振盪機10は、X方向に延びる軸AX1を中心に一定の周期で保持部14を揺動させる。それにより、振盪動作が行われる。
【0029】
切替部25は、上記の構成に加えて、ばねSP1,SP2、第1の検出器d1および第2の検出器d2をさらに含む。一対の保持用係合部材26は、X方向に延びる軸AX3を中心に回転可能に保持される。支持部材27は、本体部材21に水平に取り付けられる。各保持用係合部材26の後端部は、上方に屈曲している。各保持用係合部材26の後端部は、前方Fかつ上方に傾斜するばねSP1により支持部材27に連結される。それにより、一対の保持用係合部材26は、定常状態で水平に維持される。
【0030】
第1の検出器d1は、例えば透過型の光電センサでありX方向において互いに対向する出射部および受光部を含む。出射部および受光部は、定常状態で一対の保持用係合部材26の後端部を挟むように設けられる。出射部は例えばレーザ光を出射し、受光部は出射部により出射されたレーザ光を受光する。それにより、出射部から出射されたレーザ光が一対の保持用係合部材26により遮蔽される。
【0031】
一対の保持用係合部材26が軸AX3を中心に傾斜すると、第1の検出器d1の出射部から出射されたレーザ光が受光部に入射する。第1の検出器d1の受光部からの出力信号に基づいて一対の保持用係合部材26の状態を検出することができる。
【0032】
一対の解除用係合部材28は、X方向に延びる軸AX4を中心に回転可能に保持される。支持部材29は、本体部材21に水平に取り付けられる。各解除用係合部材28の後端部は、上方に屈曲している。各解除用係合部材28の後端部は、後方Rかつ上方に傾斜するばねSP2により支持部材29に連結される。それにより、一対の解除用係合部材28は、定常状態で水平に維持される。
【0033】
第2の検出器d2は、例えば透過型の光電センサであり、X方向において互いに対向する出射部および受光部を含む。出射部および受光部は、定常状態で一対の解除用係合部材28の後端部を挟むように設けられる。出射部は例えばレーザ光を出射し、受光部は出射部により出射されたレーザ光を受光する。それにより、出射部から出射されたレーザ光が一対の解除用係合部材28により、遮蔽される。一対の解除用係合部材28が軸AX4を中心に傾斜すると、第2の検出器d2の出射部から出射されたレーザ光が受光部により入射する。第2の検出器d2の受光部からの出力信号に基づいて一対の解除用係合部材28の状態を検出することができる。
【0034】
(2)振盪装置100の動作
図3図11は、振盪装置100における搬送動作および振盪動作の一例を説明するための模式的側面図である。
【0035】
まず、図3に示すように、搬送機20の一対の本体部材21が待機位置(図2参照)から容器50の上方の位置に移動する。また、保持部材22の凸部22aが容器50の凹部53に位置するように搬送機20の一対の本体部材21が移動する。この状態で、一対の保持部材22が互いに近付くように内方に移動することにより、一対の保持部材22が閉状態になる。それにより、容器50が搬送機20の一対の保持部材22により保持される。この状態で、搬送機20により搬送動作が開始される。
【0036】
搬送動作においては、図4に示すように、搬送機20により容器50が搬送され、保持部14に搬入される。それにより、容器50が支持部材15の支持面15aに載置される。振盪機10の保持部14は、解除状態にあるので、押圧部材17は、離間状態にある。その後、一対の保持部材22が互いに遠ざかるように移動することにより、一対の保持部材22が開状態になる。それにより、搬送動作が完了する。このとき、第1の検出器d1の出射部から出射されたレーザ光は、一対の保持用係合部材26の後端部により遮蔽されている。それにより、レーザ光は、第1の検出器d1の受光部により受光されない。
【0037】
搬送動作が完了すると、図5に示すように、搬送機20の一対の保持用係合部材26が振盪機10のトグルレバー16の上方に位置するように、一対の本体部材21が後方Rに移動する。この状態で、一対の本体部材21の下降が開始される。
【0038】
一対の本体部材21が下降すると、一対の保持用係合部材26の先端部がトグルレバー16の回転部材16b,16cに係合する。ここで、回転部材16b,16cが棒状部材16aに対して回転するので、一対の保持用係合部材26とトグルレバー16の回転部材16b,16cとの係合により発生する摩擦力が軽減される。この場合、搬送機20の一対の本体部材21がZ方向にのみ移動することによりトグルレバー16の押し下げを行うことが可能になる。
【0039】
この状態で、一対の本体部材21がさらに下降すると、図6に示すように、一対の保持用係合部材26によりトグルレバー16の回転部材16b,16cが押し下げられる。この状態では、ばねSP1は伸びている。また、トグルレバー16に連動して押圧部材17が下方に移動する。それにより、押圧部材17の下面により容器50の上面が押圧され、保持部14が保持状態になる。
【0040】
保持状態では、一対の保持用係合部材26が定常状態に比べて予め定められた角度だけ軸AX3を中心に回転する。それにより、第1の検出器d1の出射部から出射されたレーザ光は、一対の保持用係合部材26の後端部により遮蔽されずに受光部により受光される。したがって、第1の検出器d1の出力信号に基づいて、トグルレバー16が適正に押し下げられたか否かを検出することができる。この場合、例えば制御部30は、振盪機10の保持部14により容器50が適正に保持されたか否かを検出することができる。保持部14の保持状態は維持される。
【0041】
その後、図7に示すように、搬送機20は後方に移動し、待機位置に戻る。それにより、搬送機20の一対の保持用係合部材26は、振盪機10のトグルレバー16から離間する。そのため、ばねSP1が縮むことにより一対の保持用係合部材26が定常状態に戻る。次に、振盪駆動部12により保持部14により保持された容器50に対して振盪動作が行われる。この場合、振盪駆動部12が一定角度範囲で往復回転することにより連結部材13に連結された保持部14がY-Z面内で振盪される。
【0042】
振盪動作が終了すると、図8に示すように、搬送機20の一対の解除用係合部材28が振盪機10のトグルレバー16の下方に位置するように、本体部材21が前方Fおよび下方に移動する。このとき、第2の検出器d2の出射部から出射されたレーザ光は、一対の解除用係合部材28の後端部により遮蔽されている。それにより、レーザ光は、受光部により受光されない。この状態で、一対の本体部材21の上昇が開始される。
【0043】
本体部材21が上昇すると、一対の解除用係合部材28がトグルレバー16の回転部材16b,16cに係合する。この状態で、一対の本体部材21がさらに上昇すると、図9に示すように、一対の解除用係合部材28によりトグルレバー16の回転部材16b,16cが押し上げられる。この状態では、ばねSP2は伸びている。また、トグルレバー16に連動して押圧部材17が上方に移動する。それにより、押圧部材17が離間状態になり、保持部14が解除状態になる。
【0044】
解除状態では、一対の解除用係合部材28が定常状態に比べて予め定められた角度だけ軸AX4を中心に回転する。それにより、第2の検出器d2の出射部から出射されたレーザ光は、一対の解除用係合部材28により遮蔽されずに受光部により受光される。したがって、第2の検出器d2の出力信号に基づいて、トグルレバー16が適正に押し上げられたか否かを検出することができる。この場合、例えば制御部30は、振盪機10の保持部14による容器50の保持が適正に解除されたか否かを検出することができる。保持部14の解除状態は維持される。
【0045】
その後、図10に示すように、搬送機20の一対の本体部材21が容器50の上方に移動する。このとき、搬送機20の一対の解除用係合部材28は、振盪機10のトグルレバー16から離間する。そのため、ばねSP2が縮むことにより一対の解除用係合部材28が定常状態に戻る。
【0046】
また、一対の保持部材22の凸部22aが容器50の凹部53に位置する。この状態で、一対の保持部材22が閉状態になる。それにより、容器50が搬送機20の一対の保持部材22により保持される。この状態で、図11に示すように、搬送機20により搬送動作が行われる。
【0047】
(3)分析システム
図12は、図1の振盪装置100を含む分析システム500の一例を示すブロック図である。図9に示すように、分析システム500は、前処理ユニット200および分析装置300を含む。前処理ユニット200は、図1の振盪装置100に加えて、キャップ着脱装置DT、試料収容部110、添加部120、分離部140、注入部150および廃棄部160を含む。本実施の形態において、キャップ着脱装置DT、試料収容部110、添加部120、分離部140、注入部150および廃棄部160が前処理部の例である。キャップ着脱装置DTは、容器50のラック51に収容された試料瓶52に対してキャップの取り付けおよび取り外しを行う。キャップ着脱装置DTは、試料収容部110、添加部120および注入部150の各々に設けられる。
【0048】
試料収容部110には、複数の試料瓶52を収容する容器50が導入される。試料収容部110は、導入された容器50の各試料瓶52からキャップを取り外した後、各試料瓶52に分析対象の試料を収容し、各試料瓶52にキャップを取り付ける。分析対象の試料は、例えば食品を含む。その後、搬送機20は、上述した搬送動作により、容器50を振盪機10に搬入するとともに、振盪機10から搬出された容器50を添加部120に搬入する。
【0049】
添加部120は、試料収容部110から搬入された容器50の各試料瓶52からキャップを取り外した後、各試料瓶52に所定の溶媒または内部標準試薬等を添加し、各試料瓶52にキャップを取り付ける。その後、搬送機20は、上述した搬送動作により、容器50を振盪機10に搬入するとともに、振盪機10から搬出された容器50を分離部140に搬入する。
【0050】
振盪機10は、試料収容部110から搬入された容器50を上述した振盪動作により振盪し、複数の試料瓶52の内容物を撹拌する。その後、搬送機20は、容器50を試料収容部110に搬入する。また、振盪機10は、添加部120から搬入された容器50を上述した振盪動作により振盪し、複数の試料瓶52の内容物を撹拌する。その後、搬送機20は、容器50を添加部120に搬入する。分離部140は、添加部120から搬入された容器50の各試料瓶52に遠心力を加えることにより試料瓶52の内容物を成分ごとに分離する。その後、分離部140は、容器50を注入部150に搬入する。
【0051】
注入部150には、分析用の複数のバイアル211を保持するバイアルラック210が導入される。注入部150は、分離部140から搬入された容器50の各試料瓶52からキャップを取り外した後、各試料瓶52から内容物の一部を抽出し、抽出された内容物をバイアルラック210の各バイアル211に注入する。これにより、前処理後の試料を含む内容物が各バイアル211に収容される。
【0052】
その後、注入部150は、容器50の各試料瓶52にキャップを取り付け、容器50を廃棄部160に搬出する。また、注入部150は、バイアルラック210を分析装置300に搬出する。廃棄部160は、注入部150から搬入された容器50の各試料瓶52の内容物を廃棄する。
【0053】
分析装置300は、前処理ユニット200から搬入されたバイアルラック210の各バイアル211の内容物について所定の分析を行う。分析は、例えば試料である食品中の残留農薬の定量を含む。分析装置300は、例えば液体クロマトグラフィ質量分析装置(LC/MS)であってもよいし、ガスクロマトグラフィ質量分析装置(GC/MS)であってもよいし、他の分析装置であってもよい。
【0054】
(4)実施の形態の効果
上記実施の形態の振盪装置100によれば、搬送機20により振盪機10の保持部14の第1の保持状態と解除状態とが切り替えられる。この場合、振盪機10の保持部14の状態を切り替えるための専用のアクチュエータを振盪機10に設ける必要がなく、搬送機20の動作により、振盪機10の保持部14の保持状態と解除状態とが切り替えられる。それにより、保持部14の質量が増大しない。そのため、振盪駆動部12への負荷が増大しないので、大容量の振盪駆動部12を設ける必要がない。したがって、振盪駆動部12のコストの増大が抑制されるとともに消費エネルギーの増大が抑制される。また、振盪機10に専用のアクチュエータが設けられないので、専用のアクチュエータに接続されるケーブルについて、振盪機10の振盪動作による曲げ伸ばしに耐え得る高耐久性の設計を行う必要がない。それにより、設計コストの増大が抑制される。さらに、保持部14の状態を切り替えるための構成が振盪機10および搬送機20とは別個に設けられずに、切替部25が搬送機20に設けられるので、切替部25を取り付けるためのフレーム等の構成が不要である。それにより、振盪装置100のスペースの増大が抑制される。また、専用のアクチュエータが設けられずに、搬送機20の移動により振盪機10の保持部14の状態が切り替えられるので、搬送機20による振盪機10に対して容器50の搬送が完了した後に、安定的かつ比較的速やかに保持部14の状態を切り替えることが可能になる。
【0055】
これらの結果、コスト、消費エネルギーおよびスペースの増大を抑制しつつ振盪機10に自動的に容器50を保持させることが可能になる。したがって、本実施の形態に係る振盪装置100によれば、コストダウン、省エネルギー化、省スペース化および高安定性化が可能となる。
【0056】
さらに、保持用係合部材26と保持部14のトグルレバー16との係合により押圧部材17が押圧状態になるとともに、保持部14が保持状態になる。また、解除用係合部材28と保持部14のトグルレバー16との係合により押圧部材17が離間状態になるとともに、保持部14が解除状態になる。この場合、保持用係合部材26および解除用係合部材28が別個に設けられることにより、振盪機10の動作の複雑化が抑制される。
【0057】
また、搬送機20の本体部材21の上下動により保持14の保持状態および解除状態を切り替えることが可能になる。したがって、搬送機20の本体部材21に対する簡単な制御で保持部14による容器50の保持と容器50の保持の解除とを切り替えることが可能になる。
【0058】
また、保持部14により容器50が適正に保持されたか否かを第1の検出器により検出することができる。それにより、保持部14による保持が不適正な状態で、振盪機10の振盪動作が行われることが防止される。
【0059】
さらに、保持部14による容器50の保持が適正に解除されたか否かを第2の検出器により検出することができる。それにより、保持部14により容器50が保持された状態で、搬送機20による容器50の搬送動作が開始されることが防止される。
【0060】
上記実施の形態の前処理ユニット200においては、振盪装置100に含まれる振盪機10のコスト、消費エネルギーおよびスペースの増大を抑制しつつ振盪機10に自動的かつ安定的に容器50を保持させることが可能になる。それにより、分析装置による分析のための前処理の自動化が促進される。その結果、分析システム500のスループットを向上させることができるとともに、省人化を行うことができる。
【0061】
(5)他の実施の形態
(5-1)上記実施の形態においては、本体部材21の上下動により、保持部14の保持状態および解除状態の切り替えが行われるが、本発明はこれに限定されない。例えば、保持部14の保持状態および解除状態の切り替えが、本体部材21の水平方向(X-Y平面)の移動により行われてもよい。この場合、本体部材21の水平方向の移動により一対の保持用係合部材26および一対の解除用係合部材28と回転部材16b,16cとが係合するようにトグルレバー16の構成が変形されてもよい。
【0062】
(5-2)上記実施の形態では、切替部25は、第2の係合部材として一対の保持用係合部材26および一対の解除用係合部材28を含むが、第2の係合部材として1つの保持用係合部材26および一つの解除用係合部材28を含んでもよい。
【0063】
(5-3)上記実施の形態においては、切替部25は、第2の係合部材として一対の保持用係合部材26および一対の解除用係合部材28を含み、一対の保持用係合部材26によりトグルレバー16が押し下げられ、一対の解除用係合部材28によりトグルレバー16が押し上げられるが、本発明はこれに限定されない。例えば、切替部25は、第2の係合部材として単一の係合部材を含んでもよい。この場合、単一の係合部材と回転部材16b,16cとの係合によりトグルレバー16の押し上げおよび押し下げが行われてもよい。
【0064】
(5-4)上記実施の形態では、押圧部材17が支持部材15の支持面15aに近づくことおよび支持面15aから遠ざかることにより、保持部14が保持状態と解除状態とに切り替えられるが、本発明はこれに限定されない。例えば、保持部14が互いに対向する一対の押圧部材を含み、一対の押圧部材が互いに近づくことおよび遠ざかることにより保持部14が保持状態と解除状態とに切り替えられてもよい。
【0065】
(5-5)上記実施の形態では、切替部25が一対の本体部材21とともに一体的に上下動することにより保持部14が保持状態および解除状態に切り替えられるが、本発明はこれに限定されない。例えば、切替部25が一対の本体部材21とは独立に移動することにより、保持部14が保持状態および解除状態とに切り替えられてもよい。
【0066】
(5-6)上記実施の形態では、切替部25が下方に移動することにより保持部14が保持状態になり、切替部25が上方に移動することにより保持部14が解除状態になるが、本発明はこれに限定されない。例えば、切替部25が上方に移動することにより保持部14が保持状態になり、切替部25が下方に移動することにより保持部14が解除状態になるようにトグルレバー16が構成されてもよい。また、振盪機10に保持用トグルレバーおよび解除用トグルレバーが別個に設けられ、搬送機20の切替部25が選択的に保持用トグルレバーおよび解除用トグルレバーをそれぞれ同じ方向に回転させることにより保持部14が保持状態および解除状態に切り替えられてもよい。この場合、第1の方向および第2の方向は同じ方向である。
【0067】
(5-7)上記実施の形態では、第1の検出器d1および第2の検出器d2により一対の保持用係合部材26および一対の解除用係合部材28の状態を検出することにより保持部14が保持状態にあるか解除状態にあるかが検出されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1および第2の検出器が押圧部材17の位置を検出するように搬送機20に設けられてもよい。この場合、押圧部材17の検出された位置に基づいて保持部14の保持状態および解除状態が検出される。また、第1および第2の検出器がトグルレバー16の状態を検出するように搬送機20に設けられてもよい。この場合、トグルレバー16の検出された状態に基づいて保持部14の保持状態および解除状態が検出される。
【0068】
(5-8)上記実施の形態では、容器50がラック51および一または複数の試料瓶52により構成されるが、本発明はこれに限定されない。ラック51を用いることなく試料瓶52が搬送される場合には、試料瓶52が容器50に相当する。
【0069】
(5-9)上記実施の形態では、ラック51の下面が容器50の第1の端部に相当し、試料瓶52の上面が容器50の第2の端部に相当し、するが、本発明はこれに限定されない。例えば、ラック51の上端が一または複数の試料瓶52の上面よりも高い場合には、ラック51の下面が容器50の第1の端部に相当し、ラック51の上端が容器50の第2の端部に相当する。
【0070】
(6)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施形態では、容器50または試料瓶52が容器の例であり、本体部材21が本体部の例であり、本体部材21が本体部の例であり、保持部14が第1の保持部の例である。また、保持部材22が第2の保持部の例であり、トグルレバー16が第1の係合部材の例であり、保持用係合部材26および解除用係合部材28が第2の係合部材の例であり、前処理ユニット200が前処理装置の例である。
【0071】
(7)態様
上述した複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0072】
(第1項) 一態様に係る振盪装置は、
容器に収容される試料に対して振盪を行う振盪装置であって、
容器に対して振盪動作を行う振盪機と、
振盪機に容器を搬送する搬送機とを備え、
振盪機は、
容器を保持する保持状態と容器の保持を解除する解除状態とに切り替え可能に構成される第1の保持部と、
第1の保持部を振盪する振盪駆動部とを含み、
搬送機は、振盪機の第1の保持部を保持状態と解除状態とに切り替える切替部を含んでもよい。
【0073】
一態様に係る振盪装置においては、試料を収容する容器が搬送機により振盪機の第1の保持部に搬入される。次に、振盪機の第1の保持部が搬送機により保持状態に切り替えられる。それにより、容器が第1の保持部により保持される。この状態で、容器に対して振盪機により振盪が行われる。また、振盪機の第1の保持部が搬送機により解除状態に切り替えられる。振盪された容器は、搬送機により搬出される。
【0074】
この構成によれば、振盪機の第1の保持部の第1の保持状態と解除状態とを切り替える切替部が容器を搬送するための搬送機に設けられる。この場合、容器を搬送するための搬送機を第1の保持部の第1の保持状態と解除状態とに切り替えるために使用することができる。それにより、振盪機の振盪駆動部の質量が増大しない。そのため、振盪駆動部に対する負荷が増大しないので、大容量の振盪駆動部を設ける必要がない。したがって、振盪駆動部のコストの増大が抑制されるとともに消費エネルギーの増大が抑制される。また、振盪機に切替部が設けられないので、切替部に関して振盪機の振盪に耐えられる高耐久性の設計を行う必要がない。それにより、設計コストの増大が抑制される。さらに、切替部が搬送機に設けられるので、切替部を別途設けるためのスペースが不要である。それにより、振盪装置のスペースの増大が抑制される。また、搬送機に設けられた切替部により振盪機の保持部の状態が切り替えられるので、搬送機により振盪機に対して容器の搬送が完了した後に、安定的かつ比較的速やかに保持部の状態を切り替えることが可能となる。
【0075】
これらの結果、コスト、消費エネルギーおよびスペースの増大を抑制しつつ振盪機に自動的かつ安定的に容器を保持させることが可能になる。
【0076】
(第2項) 第1項に記載の振盪装置において、
切替部は、第1の方向に移動することにより第1の保持部を保持状態に切り替え、第2の方向に移動することにより第1の保持部を解除状態に切り替えてもよい。
【0077】
第2項に記載の振盪装置によれば、搬送機の切替部の移動により、第1の保持部の保持状態および解除状態が切り替えられる。したがって、搬送機の簡単な動作で第1の保持部による容器の保持と容器の保持の解除とを切り替えることが可能になる。
【0078】
(第3項) 第2項に記載の振盪装置において、
搬送機は、
移動可能に構成された本体部と、
本体部に設けられ、容器を保持するように構成される第2の保持部とをさらに含み、
第2の保持部は、本体部の移動により容器を第1の保持部に搬送するように構成され、
切替部は、第1の保持部への容器の搬送後、第1の方向への本体部の移動により第1の方向に移動し、振盪駆動部による第1の保持部の振盪後、第2の方向への本体部の移動により第2の方向に移動するように構成されてもよい。
【0079】
第3項に記載の振盪装置によれば、第1の保持部の保持状態および解除状態を切り替えるために、容器を搬送するための搬送機の本体部の移動が用いられる。それにより、振盪機および搬送機の他に第1の保持部の状態を切り替えるための追加の構成を設けることなく第1の保持部による容器の保持と容器の保持の解除とを切り替えることが可能になる。
【0080】
(第4項) 第3項に記載の振盪装置において、
第1の保持部は、
容器の第1の端部を支持する支持部材と、
容器の第2の端部を押圧する押圧状態と容器の第2の端部から離間する離間状態とに移行可能に構成された押圧部材とを含み、
切替部は、第1の方向への移動により押圧部材を押圧状態に移行させることにより第1の保持部を保持状態に切り替え、第2の方向への移動により押圧部材を離間状態に移行させることにより第1の保持部を解除状態に切り替えてもよい。
【0081】
第4項に記載の振盪装置によれば、容器に対する押圧部材の押圧状態および離間状態の移行により、第1の保持部の保持状態および解除状態の切り替えが可能になる。それにより、構成部材の増加を抑制しつつ簡単な構成で第1の保持部による容器の保持と容器の保持の解除とを切り替えることが可能になる。
【0082】
(第5項) 第4項に記載の振盪装置において、
第1の保持部は、
押圧部材を押圧状態と離間状態とに切り替え可能に構成された第1の係合部材をさらに含み、
切替部は、第1の係合部材に係合可能な第2の係合部材を含み、
第2の係合部材は、第1の方向への移動により第1の係合部材に係合するとともに第1の係合部材により押圧部材を押圧状態に移行させ、第2の方向への移動により第1の係合部材に係合するとともに第1の係合部材により押圧部材を離間状態に移行させてもよい。
【0083】
第5項に記載の振盪装置によれば、切替部の第2の係合部材と第1の方向へ移動する第1の保持部の第1の係合部材との係合により第1の保持部が保持状態になる。また、切替部の第2の係合部材と第2の方向へ移動する第1の保持部の第1の係合部材との係合により第1の保持部が解除状態になる。それにより、本体部と切替部とが係合しやすくなり、簡単な構成および動作で第1の保持部による容器の保持と容器の保持の解除とを切り替えることが可能になる。
【0084】
(第6項) 第5項に記載の振盪装置において、
第2の係合部材は、
第1の方向への移動により第1の係合部材に係合するとともに第1の係合部材により押圧部材を押圧状態に移行させる保持用係合部材と、
第2の方向への移動により第1の係合部材に係合するとともに第1の係合部材により押圧部材を離間状態に移行させる解除用係合部材とを含んでもよい。
【0085】
第6項に記載の振盪装置によれば、保持用係合部材と第1の保持部の第1の係合部材との係合により押圧部材が押圧状態になるとともに、第1の保持部が保持状態になる。また、解除用係合部材と第1の保持部の第1の係合部材との係合により押圧部材が離間状態になるとともに、第1の保持部が解除状態になる。この場合、第2の係合部材として保持用係合部材および解除用係合部材が別個に設けられることにより、切替部が第1の方向に移動して保持状態になる場合と切替部が第2の方向に移動して解除状態になる場合のように切替部の動作が異なる場合に、搬送機の動作を複雑化することが抑制される。
【0086】
(第7項) 第4項~第6項のいずれか一項に記載の振盪装置において、
容器は、第1の端部として底面を有し、第2の端部として上面を有し、
支持部材は、容器の底面を支持するように配置され、
押圧部材は、容器の上面を押圧可能に配置され、
第1の方向は、上方向および下方向のうち一方であり、第2の方向は、上方向および下方向のうち他方であってもよい。
【0087】
第7項に記載の振盪装置によれば、搬送機の本体部の上下動により第1の保持部の保持状態および解除状態を切り替えることが可能になる。したがって、搬送機の本体部に対する簡単な制御で第1の保持部による容器の保持と容器の保持の解除とを切り替えることが可能になる。
【0088】
(第8項) 第1項~第7項のいずれか一項に記載の振盪装置において、
搬送機は、振盪機の第1の保持部が保持状態にあることを検出する第1の検出器をさらに含んでもよい。
【0089】
第8項に記載の振盪装置によれば、第1の保持部により容器が適正に保持されたか否かを検出することができる。それにより、第1の保持部による保持が不適正な状態で、振盪機の振盪動作が行われることが防止される。
【0090】
(第9項) 第1項~第8項のいずれか一項に記載の振盪装置において、
搬送機は、第1の保持部が解除状態にあることを検出する第2の検出器をさらに含んでもよい。
【0091】
第9項に記載の振盪装置によれば、第1の保持部による容器の保持が適正に解除されたか否かを検出することができる。それにより、第1の保持部により容器が保持された状態で、搬送機による容器の搬送動作が開始されることが防止される。
【0092】
(第10項) 他の態様に係る前処理装置は、
第1項~第9項のいずれか一項に記載の振盪装置と、
容器に収容された試料に前処理を行う前処理部とを備えてもよい。
【0093】
第10項に記載の前処理装置においては、前処理装置に含まれる振盪機のコスト、消費エネルギーおよびスペースの増大を抑制しつつ振盪機に自動的に容器を保持させることが可能になる。それにより、分析装置のための前処理の自動化が促進される。その結果、前処理装置のスループットを向上させることができるとともに、省人化を行うことができる。
【0094】
(第11項) 他の態様に係る振盪方法は、
容器に収容された試料に対して振盪を行う振盪方法であって、
容器を搬送機により振盪機に搬送するステップと、
搬送された容器を振盪機の保持部に保持させるステップと、
容器を保持する保持部に対して振盪動作を行うステップと、
振盪動作後に、保持部による容器の保持を解除するステップとを含み、
保持させるステップは、搬送機により、容器を保持する保持状態に保持部を切り替えることを含み、
解除するステップは、搬送機により、容器の保持を解除する解除状態に保持部を切り替えることを含んでもよい。
【0095】
第11項に記載の振盪方法においては、搬送機により振盪機の保持部の保持状態と解除状態とが切り替えられる。この場合、振盪機の保持部の状態を切り替えるための構成を振盪機に設ける必要がない。また、搬送機の動作により、振盪機の保持部の保持状態と解除状態とが切り替えられる。これらの結果、コスト、消費エネルギーおよびスペースの増大を抑制しつつ振盪機に自動的かつ安定的に容器を保持させることが可能になる。
【符号の説明】
【0096】
10…振盪機,11…ベース,12…振盪駆動部,13…連結部材,14…保持部,15…支持部材,15a…支持面,16…トグルレバー,16a…棒状部材,16b,16c…回転部材,17…押圧部材,20…搬送機,21…本体部材,22…保持部材,22a…凸部,25…切替部,26…保持用係合部材,27…支持部材,28…解除用係合部材,29…支持部材,30…制御部,50…容器,51…ラック,52…試料瓶,53…凹部,100…振盪装置,110…試料収容部,120…添加部,140…分離部,150…注入部,151…底板,152…側板,153…上板,154…固定板,155…取付板,160…廃棄部,200…前処理ユニット,210…バイアルラック,211…バイアル,300…分析装置,500…分析システム,AX1~AX4…軸,D …駆動機構,DT…キャップ着脱装置,SP1,SP2…ばね,d1…第1の検出器,d2…第2の検出器
図1
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