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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093221
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/04 20060101AFI20230627BHJP
   F24C 15/02 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
F24C15/04 C
F24C15/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208714
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞嶋 政人
(57)【要約】
【課題】扉内部に配設された冷却対象物や扉自体の温度上昇を好適に抑制できる加熱調理器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のオーブンレンジは、内部に調理室を備える本体と、本体の開口を開閉する扉4と、を備え、扉4の内部には、冷却対象物(プリント回路板50、無線通信装置55、取付板)を冷却するための第1の冷却風が流動する第1の流路47と第2の冷却風が流動する第2の流路48が形成され、扉4の内部に、第1の流路47と第2の流路48が合流する合流部56を形成することにより、扉4内部に配設された冷却対象物(プリント回路板50、無線通信装置55、取付板)や扉4自体の温度上昇を抑制する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に調理室を備える本体と、
前記本体の開口を開閉する扉と、を備え、
前記扉の内部には、冷却対象物を冷却するための第1の冷却風が流動する第1の流路と第2の冷却風が流動する第2の流路が形成され、
前記扉の内部には、前記第1の流路と前記第2の流路が合流する合流部が形成されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記第1の流路が前記第2の流路よりも長く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記扉には、前記第1の冷却風と、前記第2の冷却風を前記扉外部へ排気する排気口を有し、
前記合流部が前記排気口近傍に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記排気口が前記扉の下部に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記合流部に向かって、前記第1の冷却風の風向と前記第2の冷却風の風向を制御する規制壁部を有することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記合流部につながる前記第2の流路の開口面積が、前記合流部につながる前記第1の流路の開口面積よりも小さいことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体の開口を開閉する扉内に気体が流動する流路を備える加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本体の開口を開閉する扉に表示部や操作部が設けられ、その表示部や操作部を構成する電気部品が扉内に配設されている加熱調理器が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の加熱調理器では、扉内に2つの流路(第1の流路(47)と第2の流路(48))を形成し、各流路内に送風ファン(第1の送風ファン(49)と第2の送風ファン(54))を設けている。そして、この送風ファン(49)、(54)により流路(47)、(48)内に空気を流動させ、扉内に配設された部品や扉自体の温度上昇を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-167701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された加熱調理器は、第2の流路(48)と比較して第1の流路(47)が長いため、第1の送風ファン(49)が送風する空気による扉内部に配設された部品や扉自体の冷却効果について改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、扉内部に配設された冷却対象物や扉自体の温度上昇を好適に抑制することができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱調理器は、内部に調理室を備える本体と、前記本体の開口を開閉する扉と、を備え、前記扉の内部には、冷却対象物を冷却するための第1の冷却風が流動する第1の流路と第2の冷却風が流動する第2の流路が形成され、前記扉の内部には、前記第1の流路と前記第2の流路が合流する合流部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の加熱調理器によれば、扉内部に配設された冷却対象物や扉自体の温度上昇を好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1のオーブンレンジの上側斜視図である。
図2】同上、扉を開けた状態のオーブンレンジの正面図である。
図3】同上、扉の下側斜視図である。
図4】同上、扉の平面図である。
図5】同上、扉の内部を正面側から示す図である。
図6】実施形態2の扉の内部を正面側から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明における好ましい加熱調理器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0010】
図1図5は本発明の実施形態1を示している。図1は、本実施形態における加熱調理器としてのオーブンレンジ1を示している。オーブンレンジ1は、矩形箱状であって前面が開口した本体2と、本体2の前面の開口3を開閉する扉4を有して構成されている。
【0011】
本実施形態のオーブンレンジ1は、調理室5内に供給した熱風により被調理物Sを加熱するオーブン加熱による調理機能と、ヒータの熱により被調理物Sを加熱するグリル加熱による調理機能と、マイクロ波を被調理物Sに照射して被調理物Sを加熱調理するレンジ加熱による調理機能と、過熱水蒸気により被加熱物Sを加熱するスチーム加熱による調理機能と、を備えている。
【0012】
図2に示すように、本体2の内部には、被調理物Sを収容して加熱調理する調理室5が設けられている。調理室5の天井壁6には、グリル加熱を行うための上ヒータ7が配設されている。また、調理室5の底壁8の下方には、調理室5内に電波であるマイクロ波を供給するために、マグネトロンなどを備えるマイクロ波発生装置(図示せず)が設けられている。マイクロ波が被調理物Sに照射されることでレンジ加熱を行うことができる。また、調理室5の左側壁9には、蒸気供給装置(図示せず)に連通する蒸気噴出孔10が設けられている。この蒸気噴出孔10から調理室5内に噴出された蒸気によりスチーム加熱を行うことができる。また、調理室5の奥壁11には調理室5内に熱風を供給する複数の供給孔12が設けられており、奥壁11の後側には、空気を加熱するための熱風ヒータや、熱風ヒータにより加熱した空気を調理室5内に送り込んで循環させる熱風ファンを備える熱風ユニット(図示せず)が配設されている。
【0013】
図1に示すように、本体2の下部には、本体2の前面より着脱が可能な給水カセット13と水受け14が各々配設されている。給水カセット13は、蒸気供給装置から発生する蒸気の供給源として、液体の水を収容する有底状の容器である。水受け14は、本体2からの食品カスや水滴、蒸気の水などを受ける有底状の容器である。給水カセット13と水受け14は、手前に引き出すことで取り外すことができ、奥に押し込むことで取り付けることができるようになっている。
【0014】
扉4は、下部が本体2と回動自在に連結されており、本体2の開口3を上下に開閉可能となっている。扉4は、調理室5内が視認可能な矩形状の窓部21と、窓部21を取り囲む枠部22を有している。窓部21は、扉4の略中央に配置されている。枠部22は、板状の正面部22Aと、板状の背面部22B(図4参照)と、板状の外周面部22Cと、窓部21と当接している内周面部22D(図5参照)を有している。また、枠部22は、窓部21の上方に位置する上辺部23と、窓部21の下方に位置する下辺部24と、窓部21の左方に位置する左辺部25と、窓部21の右方に位置する右辺部26を有する。枠部22の左上角部27は、上辺部23と左辺部25が重複する部分であり、上辺部23の一部であると共に左辺部25の一部でもある。同様に、枠部22の左下角部28は、下辺部24の一部であると共に左辺部25の一部でもあり、枠部22の右上角部29は、上辺部23の一部であると共に右辺部26の一部でもあり、枠部22の右下角部30は、下辺部24の一部であると共に右辺部26の一部でもある。
【0015】
図1図3および図4に示すように、枠部22の正面部22Aのうち、上辺部23の正面部23Aには、縦開きの扉4を開閉するときにユーザが手をかける開閉操作用のハンドル31が設けられている。ハンドル31は、水平方向に延設された把持部32と、把持部32の左右両端に設けられ、扉4に固定された固定部33A,33Bを有して構成されている。
【0016】
枠部22の正面部22Aのうち、右辺部26の正面部26Aには、表示、報知および操作のための操作パネル34が設けられている。操作パネル34は、調理の設定内容や進行状況を表示する表示手段35と、加熱調理に関する各種の操作入力を可能にする操作手段36が配設されている。表示手段35は、画面上をタッチ操作可能にする静電式のタッチパネル37を備えている。
【0017】
図3に示すように、扉4の下部である枠部22の底面部38には、複数の貫通孔からなる吸気口としての第1の吸気口41と、複数の貫通孔からなる排気口42と、複数の貫通孔からなる吸気口としての第2の吸気口43が形成されている。右側から、第1の吸気口41、第2の吸気口43、排気口42の順に並んでいる。第1の吸気口41と第2の吸気口43から外部の空気が枠部22の内部に取り込まれ、排気口42から枠部22の内部の空気が外部に排出される。本実施例では、第1の吸気口41、排気口42、第2の吸気口43は、それぞれ4つの貫通孔、4つの貫通孔、5つの貫通孔から構成されているが、吸排気を確実に行うことができれば、貫通孔の数や形状、位置は、所望の数、形状、位置とすることができる。
【0018】
第1の吸気口41、排気口42、第2の吸気口43は、取り付けた状態の給水カセット13の前面13Aと水受け14の前面14Aよりも前方に位置している。そのため、給水カセット13と水受け14を本体2に取り付けた状態で、第1の吸気口41、排気口42、第2の吸気口43が給水カセット13と水受け14によって閉塞されることはなく、吸排気が給水カセット13と水受け14によって阻害されないようになっている。
【0019】
図5に示すように、枠部22の内部は、正面部22Aと、背面部22Bと、外周面部22Cと、内周面部22Dに囲まれた範囲である。また、枠部22の内部は、仕切壁45により仕切られており、流路である第1の流路47と第2の流路48の2つの空間が形成されている。仕切壁45は、下辺部24の内部24Bに配設されている。仕切壁45の右側から右辺部26、上辺部23、左辺部25を通って排気口42に到達する空間(経路)が第1の流路47であり、仕切壁45の左側から下辺部24を通って排気口42に到達する空間(経路)が第2の流路48である。第1の吸気口41と排気口42は、第1の流路47と外部とを連通し、第2の吸気口43と排気口42は、第2の流路48と外部とを連通する。
【0020】
図5に示すように、第1の流路47内であって、第1の吸気口41の近傍には、送風装置としての第1の送風ファン49が配設されている。この第1の送風ファン49を駆動させることで、第1の吸気口41から外気が取り込まれ、空気が第1の流路47内を左回り(反時計回り)に流動し、排気口42から排出される。以下、第1の流路47内を流動する空気を白抜き矢印Y1で示し、第1の冷却風という。
【0021】
右辺部26の内部26Bの上側部分(操作パネル34の後方部分)には、表示手段35や操作手段36などの制御を行う制御手段としてのプリント回路板(PCB)50が配設されている。このプリント回路板50は、冷却対象物であり、第1の流路47内に配設されており、第1の冷却風に接触することで冷却され、温度上昇が抑制される。また、第1の流路47内を第1の冷却風が流動することにより、扉4の右辺部26自体が冷却され、右辺部26の正面部26Aの温度上昇も抑制される。
【0022】
上辺部23の内部23Bに形成された第1の流路47内には、ハンドル31の固定部33A,33Bがネジなどの固定部材51によって取り付けられる図示しない取付板が配設されている。冷却対象物である取付板は、第1の第1の冷却風と接触することで冷却され、温度上昇が抑制される。これにより、ハンドル31に高温の熱が伝導し難くなり、ハンドル31の温度上昇が抑制される。取付板は、上辺部23の内部23Bと左辺部25の内部25Bに延設されており、取付板が第1の第1の冷却風と接触することで、上辺部23と左辺部25自体が冷却され、上辺部23の正面部23Aと、左辺部25の正面部25Aの温度上昇が抑制される。
【0023】
図5に示すように、第1の流路47内であって、排気口42の近傍には、第1の流路47の長さを長くするための経路延長部としてのリブ53が設けられている。リブ53は、枠部22の正面部22Aと背面部22Bに接続されている。第1の吸気口41から取り込まれた第1の冷却風は、第1の流路47内を流動する過程で、扉4やプリント回路板50から吸熱すると共に、調理室5側に配設された枠部22の背面部22Bなど、接触する物から吸熱するため、排気口42の近傍に到達したときには、空気の温度が上昇している。そのため、リブ53を設け、第1の流路47の長さを長くすることで、排気口42の近傍では、空気が枠部22に接触する時間を長くし、第1の冷却風の熱を枠部22に伝達して放熱し、第1の冷却風の温度を一定程度低下させた後に排気口42から排出している。
【0024】
本実施形態のリブ53は、直線状の板部材により形成されているが、第1の流路47の長さを長くするものであれば、他の形状としてもよい。また、リブ53を配置する位置や、設ける数を適宜変更してもよい。
【0025】
本実施形態では、右辺部26の内部26Bに冷却対象物であるプリント回路板50が配設されているため、枠部22の底面部38のうち、右辺部26側に第1の吸気口41を設け、枠部22の内部に取り込まれた温度の低い空気により、プリント回路板50を効率的に冷却できるようにしているが、例えば、プリント回路板50が左辺部25の内部25Bに配設されている場合には、第1の吸気口41を底面部38のうち、左辺部25側に設け、底面部38の右辺部26側に排気口42を設け、空気を第1の流路47内で右回り(時計回り)に流動させてもよい。
【0026】
第2の流路48内であって、第2の吸気口43の近傍には、送風装置としての第2の送風ファン54が配設されている。この第2の送風ファン54を駆動させることで、第2の吸気口43から外気が取り込まれ、空気が第2の流路48内を流動し、排気口42から排出される。以下、第2の流路48内を流動する空気を白抜き矢印Y2で示し、第2の冷却風という。仕切壁45は、第1の送風ファン49と第2の送風ファン54の間に配設されている。
【0027】
第2の流路48内には、オーブンレンジ1を他の通信機器(図示せず)と無線通信可能とする無線通信装置55が配設されている。第2の吸気口43から取り込まれた第2の冷却風は、第2の流路48内を流動する過程で冷却対象物である無線通信装置55に接触し、無線通信装置55から吸熱し、第1の冷却風と排気口42の近傍に形成された合流部56で合流し、排気口42から外部に排出される。本実施例では、第2の冷却風により、無線通信装置55を冷却すると共に、下辺部24自体が冷却され、下辺部24の正面部24Aの温度上昇が抑制される。また、下辺部24の一部は、第1の冷却風によっても冷却される。
【0028】
本実施形態では、第1の吸気口41と第2の吸気口43が排気口42から離れた位置に設けられていることにより、排気口42から排出された温度が上昇した空気を第1の吸気口41と第2の吸気口43から枠部22の内部に取り込み難い構造となっている。
【0029】
本実施形態では、窓部21は枠部22と接続されているため、第1の冷却風と第2の冷却風により枠部22の内周面部22Dの温度が下げられることにより、窓部21から枠部22に熱が伝導することで、窓部21の温度上昇が抑制されるようになっている。
【0030】
第1の流路47と第2の流路48は、排気口42の手前(近傍)で合流している。この合流部56は、空気の流れを規制する規制壁部57によって形成されている。規制壁部57は、枠部22の正面部22Aと、枠部22の背面部22Bと、下辺部24の内上面部24Cに接続されている。規制壁部57は、第1の流路47と第2の流路48を部分的に仕切るものである。そのため、規制壁部57があることで、第1の冷却風が第2の流路48内に流入することを防止している。
【0031】
規制壁部57は、内上面部24Cから合流部56側(排気口42側)に向かって低くなるように傾斜した右傾斜板部58と、右傾斜板部58の下端部分から合流部56方向に水平に延設された下板部59と、内上面部24Cから下方に垂直に延設された垂直板部60と、垂直板部60の下端部分と下板部59に接続され合流部56側に向かって低くなるように傾斜した左傾斜板部61と、を有する。
【0032】
第2の流路48は、規制壁部57により下流側に向かって狭くなっている。第1の送風ファン49から吹き出された第1の冷却風は、第2の送風ファン54から吹き出された第2の冷却風よりも流動距離が長いため、合流部56に到達時の流速は、第2の冷却風の合流部56に到達時の流速よりも遅い。また、下辺部24の内下面部24Dと下板部59との最短距離D2が、リブ53と規制壁部57との最短距離D1よりも短く形成されている。そのため、合流部56で合流する第2の冷却風の流速は、第1の冷却風の流速よりもさらに速くなる。そして、第2の冷却風の圧力が第1の冷却風の圧力よりも小さくなることで、第1の冷却風と第2の冷却風が合流しながら第1の冷却風が加速され、合流部56から一体となって排気口42まで流動する。図5に示す黒塗り矢印Y3は、第1の冷却風と第2の冷却風の合流風を示している。
【0033】
第1の冷却風は、垂直板部60に沿って下方に流動した後、左傾斜板部61に沿って排気口42方向に誘導される。左傾斜板部61が合流部56側に傾斜していることにより、第1の冷却風と第2の冷却風が直角に衝突して合流することを防止し、円滑に合流できるようになっている。
【0034】
本実施形態の第2の流路48の合流部56につながる開口部K2の面積は、第1の流路47の合流部56につながる開口部K1の面積よりも小さく形成されており、合流部56で合流する第2の冷却風の流速が第1の冷却風の流速よりもさらに速くなるようになっている。なお、第1の流路47の合流部56につながる開口部K1の面積と第2の流路48の合流部56につながる開口部K2の面積や、最短距離D1と最短距離D2の長さは、第2の冷却風の流速が第1の冷却風の流速よりもさらに速くなるように適宜変更可能である。
【0035】
第1の冷却風は、第2の冷却風と比較して流動距離が長く受熱量が多いことから、合流部56に到達時の温度が、第2の冷却風の合流部56の到達時の温度よりも高い。しかしながら、第1の冷却風の熱は、リブ53により放熱されると共に、第2の冷却風と合流することにより、より温度の低い第2の冷却風に伝達される。そのため、排気口42から排出される合流風の温度は所定温度以下となる。
【0036】
以上のように、本実施形態のオーブンレンジ1は、内部に調理室5を備える本体2と、本体2の開口3を開閉する扉4と、を備え、扉4の内部には、冷却対象物(プリント回路板50、無線通信装置55、取付板)を冷却するための第1の冷却風が流動する第1の流路47と第2の冷却風が流動する第2の流路48が形成され、扉4の内部には、第1の流路47と第2の流路48が合流する合流部56が形成されていることにより、速度の遅い第1の冷却風を速度の速い第2の冷却風と合流させることで、第1の冷却風を加速させることができる。また、温度の高い第1の冷却風を温度の低い第2の冷却風と合流させることで、第1の冷却風の温度を下げることができる。
【0037】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、第1の流路47が第2の流路48よりも長く形成されていることにより、第1の冷却風の受熱量が第2の冷却風の受熱量よりも多くなるが、合流部56で第1の冷却風と第2の冷却風が合流することで、第1の冷却風の熱が第2の冷却風に伝達し、所定温度以下の合流風となり排気口42から排出される。そのため、排気口42から高温の熱風が吹き出されることを防止できる。
【0038】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、扉4には、第1の冷却風と、第2の冷却風を扉4外部へ排気する排気口42を有し、合流部56が排気口42近傍に形成されていることにより、排気口42から排出される前に温度の高い第1の冷却風と温度の低い第2の冷却風を合流させ、所定温度以下の合流風として排気口42から排出することができる。
【0039】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、排気口42が扉4の下部に形成されていることにより、ユーザが触れ難い部分から合流風を排出することができる。
【0040】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、合流部56に向かって、第1の冷却風の風向と第2の冷却風の風向を制御する規制壁部57を有することにより、第1の冷却風と第2の冷却風を円滑に合流させることができる。
【0041】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、合流部56につながる第2の流路48の開口面積が、合流部56につながる第1の流路47の開口面積よりも小さいことにより、合流部56での第2の冷却風の風速を第1の冷却風の風速よりも速くした状態で第1の冷却風と第2の冷却風が合流することで、合流部56の第1の冷却風を加速させ、ひいては第1の流路47内を流動する第1の冷却風を加速させ、第1の冷却風による冷却効率を上げることができる。
【0042】
以下、本発明の実施形態2について説明する。なお、前述した実施形態1と共通する箇所には共通する符号を付し、共通する部分の説明は重複するため極力省略する。
【0043】
図6は、実施形態2を示している。本実施形態は、実施形態1の規制壁部と異なる形状の規制壁部66を形成したものである。本実施形態の規制壁部66は、枠部22の正面部22Aと、枠部22の背面部22Bと、下辺部24の内上面部24Cに接続されている。規制壁部66は、無線通信装置55の上方に配設される上板部67と、上板部67の合流部56側(排気口42側)の端部に接続し、合流部56側に向かって下側に傾斜した右傾斜板部68と、内上面部24Cから下方に垂直に延設された垂直板部69と、垂直板部69の下端部分と右傾斜板部68に接続され合流部56側に水平に延設された下板部70と、を有する。垂直板部69と下板部70との接続部分は湾曲している。下板部70の先端部70Aは、リブ53の先端部53Aの下方まで延設されている。規制壁部66は、第1の流路47と第2の流路48を部分的に仕切るものである。そのため、規制壁部66があることで、第1の冷却風が第2の流路48内に流入することを防止している。
【0044】
上板部67は、水平方向に延設されており、下辺部24の内部24Bに形成され第2の流路48の上下方向の幅を狭め、第2の送風ファン54から供給される空気を効率良く無線通信装置55に接触させるためのものである。上板部67の第2の送風ファン54側(上流側)の端部である風上側端部71は、内上面部24Cには接続していない。上板部67は、第2の送風ファン54の上端部72よりも僅かに上方に位置しており、第2の送風ファン54から吹き出された空気は上板部67の下方を流動し易くなっている。なお、上板部67と内上面部24Cとの間には空間Pが形成されており、風上側端部71が内上面部24Cに接続していないことから、この空間Pにも第2の送風ファン54から吹き出された空気が流入し得るが、図6に示すとおり、空間Pは垂直板部69により閉じられており、空間P内に流入する空気は上板部67の下方を流動する空気の量と比較して極めて少ない。
【0045】
第1の流路47は、リブ53と規制壁部66により下流側に向かって狭くなっている。また、第2の流路48は、内下面部24Dと規制壁部66により下流側に向かって狭くなっている。そして、内下面部24Dと下板部70との最短距離D3は、リブ53と規制壁部66との最短距離D4と略同一に形成されている。また、第2の流路48の合流部56につながる開口部の面積と、第1の流路47の合流部56につながる開口部の面積は略同一に形成されている。しかしながら、第1の冷却風は、第2の冷却風よりも流動距離が長いため、合流部56に到達時の流速は、第2の冷却風の合流部56に到達時の流速よりも遅い。そのため、第2の冷却風の圧力が第1の冷却風の圧力よりも小さくなることで、第1の冷却風と第2の冷却風が合流しながら第1の冷却風が加速され、合流部56から一体となって排気口42まで流動する。図6に示す黒塗り矢印Y3は、第1の冷却風と第2の冷却風の合流風を示している。
【0046】
第1の冷却風は、垂直板部69に沿って下方に流動した後、下板部70に沿って合流部56方向に誘導される。下板部70が水平に延設されていることにより、第1の冷却風と第2の冷却風は、平行に流動しながら円滑に合流するようになっている。
【0047】
以上のように、本実施形態のオーブンレンジ1は、合流部56に向かって、第1の冷却風の風向と第2の冷却風の風向を制御する規制壁部66を有することにより、第1の冷却風と第2の冷却風を円滑に合流させることができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、冷却対象物は、プリント回路板50や無線通信装置55以外のものであってもよい。また、冷却対象物は、第1の流路47と第2の流路48の内部に配設される必要はなく、第1の流路47や第2の流路48に接するように配設するなど、第1の流路47と第2の流路48の内部を流動する気体により吸熱可能な位置に配設されていればよい。
【符号の説明】
【0049】
1 オーブンレンジ(加熱調理器)
2 本体
3 開口
4 扉
5 調理室
42 排気口
47 第1の流路
48 第2の流路
50 プリント回路板(冷却対象物)
55 無線通信装置(冷却対象物)
56 合流部
57 規制壁部
66 規制壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6