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特開2023-93249プログラム、情報処理装置及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093249
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/18 20120101AFI20230627BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208773
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】522002515
【氏名又は名称】高実 基寛
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】高実 基寛
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC16
(57)【要約】
【課題】コンテンツの構成要素が利用された場合の報酬支払を最適化することを支援する技術を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、プログラムが提供される。このプログラムは、コンピュータに、第1管理ステップと、第2管理ステップと、登録ステップと、支払ステップとを実行させる。第1管理ステップでは、第1コンテンツの第1構成要素に係る取引情報を管理する。第1コンテンツは、複数の第1構成要素から構成されるコンテンツである。第2管理ステップでは、NFTが発行された第2コンテンツに係る取引情報をブロックチェーンに登録する。第2コンテンツは、複数の構成要素から構成されるコンテンツであり、第1構成要素と、第1構成要素とは異なる第2構成要素とを含む。支払ステップでは、第2コンテンツに係る権利が取引された場合、第2コンテンツに含まれる第1構成要素に係る権利者に対して、分配金を支払う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムであって、
コンピュータに、第1管理ステップと、第2管理ステップと、登録ステップと、支払ステップとを実行させ、
前記第1管理ステップでは、第1コンテンツの第1構成要素に係る取引情報を管理し、
前記第1コンテンツは、複数の第1構成要素から構成されるコンテンツであり、
前記第2管理ステップでは、NFTが発行された第2コンテンツに係る取引情報をブロックチェーンに登録し、
前記第2コンテンツは、複数の構成要素から構成されるコンテンツであり、前記第1構成要素と、前記第1構成要素とは異なる第2構成要素とを含み、
前記支払ステップでは、前記第2コンテンツに係る権利が取引された場合、前記第2コンテンツに含まれる第1構成要素に係る権利者に対して、分配金を支払う、
プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記コンテンツが音楽コンテンツである場合、前記第1コンテンツ及び前記第2コンテンツは、楽器音と、歌唱音声と、効果音と、ジャケット画像とのうち少なくとも1つを第1構成要素として含む、
プログラム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプログラムにおいて、
前記コンテンツが動画コンテンツである場合、前記第1コンテンツ及び前記第2コンテンツは、撮影動画と、BGMと、テロップと、効果音と、サムネイルとのうち少なくとも1つを第1構成要素として含む、
プログラム。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載のプログラムにおいて、
前記支払ステップでは、前記第2コンテンツに複数の第1構成要素が含まれる場合、前記第2コンテンツの取引に係る分配金額を、各第1構成要素の権利者に対して、予め設定された分配比率に基づき分配する、
プログラム。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1つに記載のプログラムにおいて、
前記第2管理ステップでは、前記第1コンテンツの第1構成要素に係る取引情報をブロックチェーンに登録する、
プログラム。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1つに記載のプログラムにおいて、
前記第2コンテンツは、第3構成要素をさらに含み、
前記第3構成要素は、前第1構成要素に基づき創作された二次的創作物である、
プログラム。
【請求項7】
情報処理装置であって、
請求項1~請求項6の何れか1つに記載のプログラムにおける各ステップを実行するように構成される、
情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
請求項1~請求項6の何れか1つに記載のプログラムにおける各ステップを備える、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、コンテンツに係る原盤権等の権利は、レコード会社等の管理事業者により管理され、第三者がコンテンツを利用したい場合、管理事業者と契約を結んで利用料を支払うなどの手順を踏む必要がある。特許文献1には、二次創作物を追跡するシステム及び方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2020-522083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、各々役割を持った複数人によってコンテンツの各構成が創作されるケースが近年増加しつつあるところ、報酬はコンテンツの構成要素を単位とせず、コンテンツそのものに対して支払われるのが現状である。また、コンテンツそのものではなく、コンテンツを構成する一部のみを利用した二次的創作物を創作して収益を得たいという需要がある。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、コンテンツの構成要素が利用された場合の報酬支払を最適化することを支援する技術を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、プログラムが提供される。このプログラムは、コンピュータに、第1管理ステップと、第2管理ステップと、登録ステップと、支払ステップとを実行させる。第1管理ステップでは、第1コンテンツの第1構成要素に係る取引情報を管理する。第1コンテンツは、複数の第1構成要素から構成されるコンテンツである。第2管理ステップでは、NFTが発行された第2コンテンツに係る取引情報をブロックチェーンに登録する。第2コンテンツは、複数の構成要素から構成されるコンテンツであり、第1構成要素と、第1構成要素とは異なる第2構成要素とを含む。支払ステップでは、第2コンテンツに係る権利が取引された場合、第2コンテンツに含まれる第1構成要素に係る権利者に対して、分配金を支払う。
【0007】
本開示によれば、コンテンツの構成要素が利用された場合の報酬支払を最適化することを支援する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】情報処理システム1の全体構成を示す図である。
図2】プラットフォームサーバ10のハードウェア構成を示す図である。
図3】出品者端末20のハードウェア構成を示す図である。
図4】プラットフォームサーバ10の機能を示す機能ブロック図である。
図5】第1コンテンツ61に係る取引処理の流れの一例を示すアクティビティ図である。
図6】第1構成要素611の一例を示すイメージ図である。
図7】NFTが発行されたコンテンツ6の取引の流れを示すイメージ図である。
図8】第2コンテンツ62の取引処理の一例を示すアクティビティ図である。
図9】第2コンテンツ62の一例を示すイメージ図である。
図10】購入者端末50に表示される販売画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0または1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、または量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、およびメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.ハードウェア構成
本節では、本実施形態に係る情報処理システム1のハードウェア構成について説明する。図1は、情報処理システム1の全体構成を示す図である。
【0014】
情報処理システム1は、通信回線2と、BCシステム3(BC=Blockchain:ブロックチェーン)と、プラットフォームサーバ10と、出品者端末20と、権利者端末30と、二次創作者端末40と、購入者端末50とを備える。通信回線2は、インターネット等を含み、自回線に接続する装置同士のデータのやり取りを仲介する。BCシステム3は、ブロックチェーンの仕組みを用いて様々な情報を分散させて管理する。
【0015】
BCシステム3は、P2Pネットワーク(P2P=Peer to Peer)によって互いに接続された複数のノード装置を備える。BCシステム3は、コンテンツ6の取引情報を一定容量のブロックに区切り、それらのブロックを順番に並べて繋げたブロックチェーンを生成する。BCシステム3は、各ブロックに直前のブロックのハッシュ値を持たせ、生成したブロックチェーンを複数のノード装置のそれぞれに分散させて記憶させる。トランザクションのブロックチェーンへの記録は、P2Pネットワークに接続された複数のノード装置(「マイナー」と称する)によって実行される。
【0016】
プラットフォームサーバ10は、コンテンツ6の取引装置として機能するサーバである。プラットフォームサーバ10は、プラットフォーム上でコンテンツ6の出品者および購入者による取引を実現する機能を有する。プラットフォームとは、例えば、イーサリアム(登録商標)である。プラットフォームサーバ10は、本実施形態における各ステップを実行させるための機能を備えたプログラムが埋め込まれている。特に、プラットフォームサーバ10は、取引されたコンテンツ6の取引情報をBCシステム3に登録して管理する。
【0017】
出品者端末20は、第1コンテンツ61または第2コンテンツ62を出品する出品者が操作する端末である。権利者端末30は、第1コンテンツ61に含まれる第1構成要素611に係る権利者が操作する端末である。二次創作者端末40は、第2コンテンツ62の創作者が操作する端末である。購入者端末50は、出品された第2コンテンツ62の購入者または購入検討者が操作する端末である。出品者端末20、権利者端末30、二次創作者端末40及び購入者端末50は、スマートフォン、タブレット端末、コンピュータ、その他電気通信回線を通じてプラットフォームサーバ10にアクセス可能なものであれば、その形態は問わない。
【0018】
図2は、プラットフォームサーバ10のハードウェア構成を示す図である。プラットフォームサーバ10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、バス14とを備える。バス14は、プラットフォームサーバ10が備える各部を電気的に接続する。
【0019】
(制御部11)
制御部11は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部11は、記憶部12に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、情報処理システム1に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部11は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部11を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0020】
(記憶部12)
記憶部12は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部11によって実行される情報処理システム1に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部12は、制御部11によって実行される情報処理システム1に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0021】
(通信部13)
通信部13は、プラットフォームサーバ10から種々の電気信号を外部の構成要素に送信可能に構成される。また、通信部13は、外部の構成要素からプラットフォームサーバ10への種々の電気信号を受信可能に構成される。さらに好ましくは、通信部13がネットワーク通信機能を有し、これにより通信回線2を介して、プラットフォームサーバ10と外部機器との間で種々の情報を通信可能に実施してもよい。
【0022】
図3は、出品者端末20のハードウェア構成を示す図である。出品者端末20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、表示部25と、バス26とを備える。バス26は、出品者端末20が備える各部を電気的に接続する。制御部21、記憶部22および通信部23は、性能および細かな仕様等は異なっていてもよいが、図2で述べた制御部11、記憶部12および通信部13と同様のハードウェアである。
【0023】
表示部25は、出品者端末20の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。表示部25は、出品者が操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。このような表示部25は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイおよびプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、出品者端末20の種類に応じて使い分けて実施されることが好ましい。ここでは、表示部25は、出品者端末20の筐体に含まれるものとして説明する。
【0024】
入力部24は、出品者端末20の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部24は、表示部と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、出品者は、タップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部24が、出品者によってなされた操作入力を受け付ける。当該入力が、命令信号として、通信バスを介して制御部に転送され、制御部が、必要に応じて、所定の制御や演算を実行し得る。
【0025】
なお、権利者端末30、二次創作者端末40及び購入者端末50は、性能および細かな仕様等は異なっていてもよいが、出品者端末20と略同様のハードウェア構成を備える。
【0026】
2.機能構成
本節では、本実施形態の機能構成について説明する。図4は、プラットフォームサーバ10の機能を示す機能ブロック図である。前述の通り、ソフトウェア(記憶部12に記憶されている)による情報処理がハードウェア(制御部11)によって具体的に実現されることで、制御部11に含まれる各機能部として実行されうる。
【0027】
具体的には、プラットフォームサーバ10(制御部11)は、各機能部として受付部111と、管理部112と、決定部113と、支払部114と、表示制御部115とを備える。
【0028】
受付部111は、受付ステップを実行可能に構成される。受付ステップにおいて、受付部111は、通信部13又は記憶部12を介して情報を取得し、これを作業メモリに読出可能に構成される。特に、受付部111は、各端末(出品者端末20、権利者端末30、二次創作者端末40、購入者端末50等)からネットワーク及び通信部13を介して種々の情報を取得するように構成される。本実施形態では、通信部13を介して送受信された種々の情報は、記憶部12に記憶されるものとして説明する。
【0029】
管理部112は、第1管理ステップ及び第2管理ステップを実行可能に構成される。第1管理ステップにおいて、管理部112は、種々のコンテンツ6の構成要素に係る取引情報を管理する。第2管理ステップにおいて、管理部112は、種々の情報をBCシステム3に送信することで、送信した情報をブロックチェーンに登録させる。なお、ブロックチェーンに登録する情報は、同一のトークンに記述されてもよいし、それぞれ異なるトークンに記述するものであってもよい。
【0030】
決定部113は、決定ステップを実行可能に構成される。決定ステップにおいて、決定部113は、コンテンツ6の取引が実行された場合、コンテンツ6の権利者、出品者等に対して支払う料金を決定する。なお、コンテンツ6の取引に際し、所定のプラットフォーム利用手数料が差し引かれた金額が、出品者、権利者、二次創作者等に対して支払われるものとする。
【0031】
支払部114は、支払ステップを実行可能に構成される。支払ステップにおいて、支払部114は、コンテンツ6の取引が実行された場合、料金の支払対象者に紐付けられた端末のアカウントに対して、料金の支払処理を実行する。なお、支払部114は、予め受け付けた契約条件(分配比率)に基づき、スマートコントラクトを用いて、支払を実行することが好ましい。
【0032】
表示制御部115は、表示制御ステップを実行可能に構成される。表示制御ステップにおいて、表示制御部115は、記憶部12に記憶された種々の情報又はこれらを含む画面等を、各端末で視認可能な態様で表示させる。具体的には、表示制御部115は、画面、画像、アイコン、メッセージ等の視覚情報を、各端末の表示部に表示させるように制御する。表示制御部115は、視覚情報を各端末に表示させるためのレンダリング情報だけを生成してもよい。
【0033】
3.情報処理の詳細
第3節では、取引の流れを示すイメージ図及びアクティビティ図を参照しながら、本実施形態における各ステップを実行させる機能を備えたプログラムに基づいて実行される情報処理方法について説明する。下記に示す通り、情報処理方法は、情報処理システム1における各ステップを備える。
【0034】
3.1 第1コンテンツ61の取引処理
図5は、第1コンテンツ61に係る取引処理の流れの一例を示すアクティビティ図である。なお、以下の処理の順番は適宜入れ替えることができ、複数の処理が同時に実行されてもよいし、その全ての処理を実行しなくてもよい。以下、第1コンテンツ61の権利者が出品者として、第1コンテンツ61及び第1コンテンツ61と紐付けられた第1構成要素611を出品する場合を例に説明する。
【0035】
まず、権利者端末30は、第1コンテンツ61の権利者の操作に基づき、通信回線2および通信部13を介して、プラットフォームサーバ10に出品指示を送信する(A101)。このとき、出品指示には、第1コンテンツ61及び第1コンテンツ61と紐付けて管理される第1構成要素611のデータ、販売条件、各第1構成要素611の権利者情報(例えば、アカウント情報)等が含まれる。次いで、受付部111は、通信回線2および通信部13を介して、権利者端末30から出品指示を受け付ける(A102)。
【0036】
ここで、第1コンテンツ61は、複数の第1構成要素611から構成されるコンテンツ6である。特に、コンテンツ6が音楽コンテンツ6である場合、第1コンテンツ61及び第2コンテンツ62(各々を区別しない場合「コンテンツ6」と言う)は、楽器音と、歌唱音声と、効果音と、ジャケット画像とのうち少なくとも1つを第1構成要素611として含む。図6は、第1構成要素611の一例を示すイメージ図である。図6の例によれば、第1コンテンツ61が音楽コンテンツ6である場合、ボーカル音声(第1構成要素611a)や、ギター音源(第1構成要素611b)、ベース音源(第1構成要素611c)、ドラム音源(第1構成要素611d)、ピアノ音源(第1構成要素611e)などが組み合わされることによって、第1コンテンツ61が構成される。
【0037】
また、コンテンツ6が動画コンテンツ6である場合、コンテンツ6は、撮影動画と、BGMと、テロップと、効果音と、サムネイルとのうち少なくとも1つを第1構成要素611として含む。すなわち、A101において、権利者端末30は、第1コンテンツ61の権利者の操作に基づき、完成した作品である第1コンテンツ61だけでなく、第1コンテンツ61を構成する各第1構成要素611に係るデータと、各第1構成要素611について権利を有する者の情報とを、プラットフォームサーバ10に送信する。なお、第1構成要素611について権利を有する者とは、コンテンツ6の制作にあたって第1構成要素611を演奏、録音、編集等して完成させた者や、自身の肖像やイラスト等の画像を提供することによって、第1構成要素611を完成させた者をいう。本実施形態において、これらの者は、著作権、原盤権を含む著作隣接権、肖像権等の権利を有する権利者であるものとする。また、撮影動画は、静止画である場合を含み、第1構成要素611には、動画コンテンツ6を構成する各画像データを含む。
【0038】
表示制御部115は、コンテンツ6及び第1構成要素611の販売画面を二次創作者端末40に表示させる(A103)。二次創作者端末40は、第1構成要素611の利用検討者(二次創作者)の操作指示に基づき、利用申込みを実行し、利用料を支払うための支払情報をプラットフォームサーバ10に送信する(A104)。なお、支払情報は、プラットフォームサーバ10により指定された外部のサーバに送信されてもよい。受付部111は、二次創作者端末40から利用申込み及び支払情報を受け付ける(A105)。そして、支払部114は、取引対象となった第1構成要素611の権利者によって操作される権利者端末30に、代金の支払を実行する等の取引処理を行う(A106)。かかる取引における情報(取引情報)は、管理部112によって管理される。換言すると、管理部112は、第1コンテンツ61の第1構成要素611に係る取引情報を管理する。また、管理部112は、第1構成要素611の取引が完了し、第1構成要素611の利用契約を結んだものとして、二次創作者端末40及び契約対象となる第1構成要素611とを紐付けて管理する。
【0039】
なお、第1構成要素611が取引対象となる場合、第1構成要素611の権利者のみに支払う場合を例に説明したが、支払部114は、第1構成要素611の権利者及び第1構成要素611を含む第1コンテンツ61の権利者双方に対して、二次創作者から支払われた料金を分配して支払ってもよい。
【0040】
3.2 第2コンテンツ62の取引処理
図7は、NFTが発行されたコンテンツ6の取引の流れを示すイメージ図である。図8は、第2コンテンツ62の取引処理の一例を示すアクティビティ図である。なお、以下の処理の順番は適宜入れ替えることができ、複数の処理が同時に実行されてもよいし、その全ての処理を実行しなくてもよい。
【0041】
以下、第1構成要素611b、第1構成要素611c、第1構成要素611d及び第1構成要素611eの利用契約を結び、これらのデータを利用して第2コンテンツ62を創作した二次創作者が、出品者として第2コンテンツ62を出品する場合を例に説明する。まず、出品者端末20(二次創作者端末40)は、出品者の操作に基づき、通信回線2および通信部13を介して、プラットフォームサーバ10に出品指示を送信する(A201)。
【0042】
出品指示には、第2コンテンツ62のデータ及び販売条件、第2コンテンツ62の名称、第2コンテンツ62の説明文、出品者の出品者情報(例えば、アカウント情報)等が含まれる。また、出品指示には、第2コンテンツ62に含まれる第1構成要素611を特定可能な情報が含まれる。第1構成要素611の特定方法は特に限定されないが、例えば、出品者端末20の出品指示画面に、過去に利用契約を結んだ第1構成要素611が一覧として表示される場合、二次創作者が、第2コンテンツ62の制作に利用した第1構成要素611を選択可能である。この場合、出品者端末20は、その選択結果をプラットフォームサーバ10に送信する。
【0043】
ここで、第2コンテンツ62は、第1コンテンツ61に含まれる第1構成要素611を利用して創作された二次的創作物である。具体的には例えば、第2コンテンツ62は、複数の構成要素から構成されるコンテンツ6であり、第1構成要素611と、二次創作者によって新たに創作された第2構成要素621とを含む。図9は、第2コンテンツ62の一例を示すイメージ図である。図9の例によれば、第2コンテンツ62は、二次創作者によって新たに創作されたボーカル音声(第2構成要素621a)に加え、第1構成要素611b、第1構成要素611c及び第1構成要素611dを含む。また、第2コンテンツ62は、第1構成要素611に基づき創作された二次的創作物である第3構成要素622をさらに含んでもよい。図9における第2コンテンツ62は、予め利用契約を結んだピアノ音源(第1構成要素611e)に基づき創作した第3構成要素622eを含む。
【0044】
ここで、販売条件とは、例えば、第2コンテンツ62の販売価格、販売開始日、販売期間、販売方式等を含む。販売価格は、ビットコイン、イーサリアム等の仮想通貨によって示されることが好ましい。販売方式とは、例えば、固定価格方式、オークション方式等である。なお、販売条件には、第2コンテンツ62の販売に利用するブロックチェーンの種類が含まれてもよい。この場合、出品者は、第2コンテンツ62の販売に利用するブロックチェーンの例として、イーサリアム、ポリゴン等を選択可能である。
【0045】
また、出品者端末20は、通信回線2および通信部13を介して、第2コンテンツ62及び第2構成要素621の権利者情報、第2コンテンツ62が取引された場合に、各権利者及び出品者に対して分配する分配比率等をプラットフォームサーバ10に送信する。権利者情報は、例えば、権利者の氏名、ID、ウォレットアドレス等を含む。
【0046】
続いて、受付部111は、通信回線2および通信部13を介して、出品者端末20から第2コンテンツ62の出品指示を受け付ける(A202)。このとき、管理部112は、出品者端末20から受け付けた第1構成要素611に関する情報に基づき、第1構成要素611の権利者を特定する。また、管理部112は、第2コンテンツ62と、第2コンテンツ62に含まれる各構成要素(第1構成要素611、第2構成要素621、第3構成要素622等)の権利者情報とを紐付けて管理する。
【0047】
続いて、管理部112は、第2コンテンツ62に、トークンID、第2コンテンツ62の保管場所やメタデータへの参照先等を示すトークンURI(Uniform Resource Identifier)、出品者端末20から送信された権利情報等を紐付けてBCシステム3におけるブロックチェーンに記録させることで、第2コンテンツ62のNFTを発行する(A203)。このとき、管理部112は、第2コンテンツ62及び第2構成要素621の権利者情報をブロックチェーンに登録してもよい。なお、プラットフォームサーバ10(記憶部12)は、第2コンテンツ62のデータを記憶し保管する。また、プラットフォームサーバ10(記憶部12)は、第2コンテンツ62の名称、第2コンテンツ62の説明文等を第2コンテンツ62のメタデータとして、記憶し保管するものとする。ただし、これに限らず、管理部112は、第2コンテンツ62のデータ及び画像のメタデータを、ブロックチェーンに記録させてもよい。
【0048】
図10は、購入者端末50に表示される販売画面の一例を示す図である。図10に示されるように、表示制御部115は、第2コンテンツ62に係る権利の販売画面を購入者端末50に表示させる(A204)。ここで、所有権は、購入者端末50は、購入検討者の操作指示に基づき購入申込みを実行し、購入者情報(購入者のウォレットアドレス等)をプラットフォームサーバ10に送信する(A205)。そして、受付部111は、購入者端末50から購入申込み及び購入者情報を受け付ける(A206)。
【0049】
第2コンテンツ62の取引実行の際、決定部113は、予め設定された分配比率に基づき、取引金額のうち、第1構成要素611、第2構成要素621及び第3構成要素622における各権利者に支払う分配金の金額を決定する(A207)。分配比率とは、具体的には例えば、0.1,1,1.5,2,2.5,3,3.5,4,4.5,5,5.5,6,6.5,7,7.5,8,8.5,9,9.5,10,20,30,40,50%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0050】
例えば、仮想通貨で示される取引金額を円換算した金額が1万円であって、報酬割合が10%であるとする。このとき、決定部113は、分配額を1000円に決定するととともに、この分配額を、所定の分配比率に基づき分割して、各支払対象者に支払う金額を決定する。このように、決定部113は、第2コンテンツ62に複数の構成要素が含まれる場合、予め設定された分配比率に基づいて各構成要素の権利者に対して支払う分配金額を決定する。また、決定部113は、取引金額から、所定のプラットフォーム利用手数料と、権利者に対して支払う分配額とを差し引いた金額を、出品者に対して支払う金額に決定する。
【0051】
そして、支払部114は、第2コンテンツ62に係る権利が取引された場合、第2コンテンツ62に含まれる第1構成要素611に係る権利者に対して、分配金を支払う。具体的には、支払部114は、決定された金額の仮想通貨を、購入者端末50のウォレットアドレスから、出品者端末20のウォレットアドレスに送付する(A208及びA109)。また、支払部114は、決定された分配金を、権利者端末30のウォレットアドレスに送付する(A210)。このように、支払部114は、第2コンテンツ62に複数の第1構成要素611が含まれる場合、第2コンテンツ62の取引に係る分配金額を、各第1構成要素611の権利者に対して、予め設定された分配比率に基づき分配する。
【0052】
そして、表示制御部115は、購入者端末50に売買完了を通知する。なお、上記の例では、出品者と、購入者とが第2コンテンツ62に係る権利を売買する場合を例に挙げたが、その後、購入者が第2コンテンツ62に係る権利を転売する場合においても、支払部114は、第1構成要素611及び第2構成要素621の各権利者に対して分配金を支払うことが好ましい。
【0053】
そして、管理部112は、取引情報を生成し、BCシステム3を構成するマイナーに、ブロックに対して生成した取引情報を記録させる(A211)。このように、管理部112は、NFTが発行された第2コンテンツ62に係る取引情報をブロックチェーンに登録する。
【0054】
以上をまとめると、本実施形態に係るコンピュータに、第1管理ステップと、第2管理ステップと、登録ステップと、支払ステップとを実行させる。第1管理ステップでは、第1コンテンツ61の第1構成要素611に係る取引情報を管理する。第1コンテンツ61は、複数の第1構成要素611から構成されるコンテンツ6である。第2管理ステップでは、NFTが発行された第2コンテンツ62に係る取引情報をブロックチェーンに登録する。第2コンテンツ62は、複数の構成要素から構成されるコンテンツ6であり、第1構成要素611と、第1構成要素611とは異なる第2構成要素621とを含む。支払ステップでは、第2コンテンツ62に係る権利が取引された場合、第2コンテンツ62に含まれる第1構成要素611に係る権利者に対して、分配金を支払う。
【0055】
また、別の態様によれば、本実施形態の情報処理装置が実行する情報処理方法は、プログラムにおける各ステップを備える。第1管理ステップでは、第1コンテンツ61の第1構成要素611に係る取引情報を管理する。第1コンテンツ61は、複数の第1構成要素611から構成されるコンテンツ6である。第2管理ステップでは、NFTが発行された第2コンテンツ62に係る取引情報をブロックチェーンに登録する。第2コンテンツ62は、複数の構成要素から構成されるコンテンツ6であり、第1構成要素611と、第1構成要素611とは異なる第2構成要素621とを含む。支払ステップでは、第2コンテンツ62に係る権利が取引された場合、第2コンテンツ62に含まれる第1構成要素611に係る権利者に対して、分配金を支払う。
【0056】
また、別の態様によれば、本実施形態に係る情報処理装置は、プログラムにおける各ステップを備える。第1管理ステップでは、第1コンテンツ61の第1構成要素611に係る取引情報を管理する。第1コンテンツ61は、複数の第1構成要素611から構成されるコンテンツ6である。第2管理ステップでは、NFTが発行された第2コンテンツ62に係る取引情報をブロックチェーンに登録する。第2コンテンツ62は、複数の構成要素から構成されるコンテンツ6であり、第1構成要素611と、第1構成要素611とは異なる第2構成要素621とを含む。支払ステップでは、第2コンテンツ62に係る権利が取引された場合、第2コンテンツ62に含まれる第1構成要素611に係る権利者に対して、分配金を支払う。
【0057】
[その他]
前述の実施形態に係る情報処理システム1に関して、以下のような態様を採用してもよい。
【0058】
本実施形態では、受付部111、管理部112、決定部113、支払部114および表示制御部115を、プラットフォームサーバ10の制御部11によって実現される機能部として説明しているが、この少なくとも一部を、BCシステム3を構成する各ノード装置の制御部によって実現される機能部として実施してもよい。
【0059】
前述の実施形態において、第1コンテンツ61及び第1構成要素611は、NFTが発行されない場合を例に説明したが、第2コンテンツ62における取引の場合と同様に、ブロックチェーンを利用して取引が実行されても良い。すなわち、管理部112は、第1コンテンツ61の第1構成要素611に係る取引情報をブロックチェーンに登録してもよい。
【0060】
二次創作者が出品者端末20を操作して第2コンテンツ62を出品する場合を例に説明したが、二次創作者とは異なる第三者が出品者端末20を操作して第2コンテンツ62を出品してもよい。この場合、出品者端末20は、第2コンテンツ62の権利者を特定可能な情報をプラットフォームサーバ10に送信する。
【0061】
本実施形態では、第1コンテンツ61及び第1構成要素611の権利者情報がルックアップテーブル等のデータベースであるものとし、それに含まれる詳細な項目を説明したが、あくまでも一例でありこの限りではない。
【0062】
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記プログラムにおいて、前記コンテンツが音楽コンテンツである場合、前記第1コンテンツ及び前記第2コンテンツは、楽器音と、歌唱音声と、効果音と、ジャケット画像とのうち少なくとも1つを第1構成要素として含む、プログラム。
前記プログラムにおいて、前記コンテンツが動画コンテンツである場合、前記第1コンテンツ及び前記第2コンテンツは、撮影動画と、BGMと、テロップと、効果音と、サムネイルとのうち少なくとも1つを第1構成要素として含む、プログラム。
前記プログラムにおいて、前記支払ステップでは、前記第2コンテンツに複数の第1構成要素が含まれる場合、前記第2コンテンツの取引に係る分配金額を、各第1構成要素の権利者に対して、予め設定された分配比率に基づき分配する、プログラム。
前記プログラムにおいて、前記第2管理ステップでは、前記第1コンテンツの第1構成要素に係る取引情報をブロックチェーンに登録する、プログラム。
前記プログラムにおいて、前記第2コンテンツは、第3構成要素をさらに含み、前記第3構成要素は、前第1構成要素に基づき創作された二次的創作物である、プログラム。
情報処理装置であって、前記プログラムにおける各ステップを実行するように構成される、情報処理装置。
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、前記プログラムにおける各ステップを備える、情報処理方法。
もちろん、この限りではない。
【0063】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0064】
1 :情報処理システム
10 :プラットフォームサーバ
11 :制御部
111 :受付部
112 :管理部
113 :決定部
114 :支払部
115 :表示制御部
12 :記憶部
13 :通信部
14 :バス
2 :通信回線
20 :出品者端末
21 :制御部
22 :記憶部
23 :通信部
24 :入力部
25 :表示部
26 :バス
3 :BCシステム
30 :権利者端末
6 :コンテンツ
61 :第1コンテンツ
611 :第1構成要素
62 :第2コンテンツ
621 :第2構成要素
622 :第3構成要素
40 :二次創作者端末
50 :購入者端末
図1
図2
図3
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図8
図9
図10