(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009325
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】飛沫感染防止装置
(51)【国際特許分類】
F24F 8/125 20210101AFI20230113BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20230113BHJP
F24F 9/00 20060101ALI20230113BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20230113BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20230113BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20230113BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
F24F8/125
F24F7/06 A
F24F9/00 A
F24F8/108 210
F24F8/80 238
F24F8/80 216
F24F8/80 110
F24F7/003
A61L9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112475
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】312015886
【氏名又は名称】株式会社オプトジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】安田 享
【テーマコード(参考)】
3L058
4C180
【Fターム(参考)】
3L058BC07
3L058BD01
3L058BE08
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA16
4C180BB15
4C180CB03
4C180FF07
4C180GG17
4C180HH05
4C180LL11
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で効果的に飛沫感染を防止可能な飛沫感染防止装置を提供する。
【解決手段】
飛沫感染防止装置1は、上下端部に開口部11a,11bを有する筒状をなし、抗菌及び/又は抗ウイルス成分を含む液体を保持する保持部11と、人から発せられる飛沫を含む空気を保持部11の下端部の開口部11bから保持部11内に取り込み、取り込んだ空気を保持部11の上端部の開口部11aに向けて供給する送風機13とを備える。保持部11は、前記液体を吸収して保持する吸収部材で構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下端部に開口部を有する筒状をなし、抗菌及び/又は抗ウイルス成分を含む液体を保持する保持部と、
人から発せられる飛沫を含む空気を前記保持部の前記下端部の前記開口部から前記保持部内に取り込み、取り込んだ空気を前記保持部の前記上端部の前記開口部に向けて供給する送風機と
を備え、
前記保持部は、前記液体を吸収して保持する吸収部材で構成され、
前記取り込んだ空気は、前記吸収部材に保持された液体に触れて、前記上端部の前記開口部に向けて供給される、
飛沫感染防止装置。
【請求項2】
前記吸収部材は、通気性を有し、
前記吸収部材内を流通する空気は、前記吸収部材に保持された液体に触れて、外方へ排出される、
請求項1に記載の飛沫感染防止装置。
【請求項3】
前記吸収部材は、前記液体を吸収して吸い上げる、
請求項1又は2に記載の飛沫感染防止装置。
【請求項4】
前記保持部の周囲にエアカーテンを形成するエアカーテン形成部
をさらに備える、
請求項1乃至3の何れかに記載の飛沫感染防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス等の飛沫感染を防止するための飛沫感染防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、対面で会話する人から発せられる飛沫を垂直気流のエアカーテンにより遮断する飛沫感染防止装置であって、エアカーテン形成に用いる気体を吸排気するための送風機と、その送風機により装置内部に取り込まれ、装置外部へ送風される気体に、除菌作用のあるオゾンを付与するオゾン発生器又は紫外線を付与する紫外線発生器とを備えるものが開示されている。この飛沫感染防止装置によれば、除菌効果が得られるため、飛沫感染をより一層防止することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来の飛沫感染防止装置の場合、オゾン発生器又は紫外線発生器が必要になるため、相当程度の電力を消費するなどの問題がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、上述した課題を解決することができる飛沫感染防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の飛沫感染防止装置は、上下端部に開口部を有する筒状をなし、抗菌及び/又は抗ウイルス成分を含む液体を保持する保持部と、人から発せられる飛沫を含む空気を前記保持部の前記下端部の前記開口部から前記保持部内に取り込み、取り込んだ空気を前記保持部の前記上端部の前記開口部に向けて供給する送風機とを備え、前記保持部は、前記液体を吸収して保持する吸収部材で構成され、前記取り込んだ空気は、前記吸収部材に保持された液体に触れて、前記上端部の前記開口部に向けて供給される。
【0007】
上記態様において、前記吸収部材は、通気性を有し、前記吸収部材内を流通する空気は、前記吸収部材に保持された液体に触れて、外方へ排出されてもよい。
【0008】
また、上記態様において、前記吸収部材は、前記液体を吸収して吸い上げてもよい。
【0009】
また、上記態様において、前記保持部の周囲にエアカーテンを形成するエアカーテン形成部をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成で効果的に飛沫感染を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1の飛沫感染防止装置の構成を示す正面図。
【
図2】実施の形態1の飛沫感染防止装置の構成を示す平面図。
【
図4】実施の形態1の飛沫感染防止装置の構成を示す機能ブロック図。
【
図6】実施の形態2の飛沫感染防止装置の構成を示す正面図。
【
図7】実施の形態2の飛沫感染防止装置の構成を示す平面図。
【
図8】実施の形態2の飛沫感染防止装置の構成を示す機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0013】
なお、以下の説明において「上下方向」とは、飛沫感染防止装置が使用可能な状態で床等に設置された場合の上下方向をいい、一般に鉛直方向に沿う方向である。
【0014】
(実施の形態1)
実施の形態1の飛沫感染防止装置は、複数人が会話をする状況などにおいて飛沫感染を防止するためのものであり、抗菌及び/又は抗ウイルス成分を含む液体(以下、適宜「機能液」という)を用いる。以下、その構成及び動作について説明する。
【0015】
[飛沫感染防止装置の構成]
図1及び
図2はそれぞれ、実施の形態1の飛沫感染防止装置の構成を示す正面図及び平面図である。
図1に示すように、飛沫感染防止装置1は、機能液を保持する保持部11と、保持部11を載置する台部12とを備えている。
【0016】
保持部11は、上下方向の略中央部から上下端部のそれぞれに向かって断面積が小さくなる中空円筒状をなしており、その内部には空気が流通する空間が設けられる。なお、保持部11はこの形状に限定されるわけではなく、内部に空間を有する筒状であれば他の形状であってもよい。例えば、上方向に向かうにしたがって断面積が大きくなる中空円筒状などであってもよい。
【0017】
保持部11は、機能液を吸収して保持する吸収部材で構成される。本実施の形態では、この吸収部材は通気性シートである。通気性シートとしては、和紙、合成紙、織布、及び不織布などを用いることができる。
【0018】
保持部11の上端には開口部11aが設けられている。後述のとおり、保持部11内の空間を通流する空気は、開口部11aから保持部11の外方へ排出される。また、保持部11の側面下端部には、複数の円形状の貫通孔11bが円周方向に沿って設けられている。貫通孔11bは、保持部11の外方から保持部11内に空気を取り込むためのものである。
【0019】
なお、貫通孔11bは円形状に限定されるわけではなく、矩形状などの他の形状であってもよい。また、一部の貫通孔11bが他の貫通孔11bと異なる形状であってもよい。さらに、貫通孔11bの数は1つであってもよい。
【0020】
また、本実施の形態の場合、貫通孔11bが保持部11の側面下端部に設けられているが、これに限定されるわけではない。例えば、保持部11の下端が開口されており、その開口部が保持部11の外方と連通されている構成であってもよい。この場合でも、その開口部を介して保持部11内に空気を取り込むことが可能である。
【0021】
図3は、台部12の構成を示す平面図である。台部12は、保持部11を載置する台であって、合成樹脂材などで構成される。
図1乃至
図3に示すとおり、本実施の形態の場合、台部12が直方体状をなしているが、この形状に限定されるわけではない。
【0022】
台部12の正面には、飛沫感染防止装置1の起動/停止を指示するためのボタンで構成される操作部12aが設けられている。使用者は、操作部12aを操作することにより、飛沫感染防止装置1の起動/停止を実行する。
【0023】
図2及び
図3に示すとおり、台部12の内部には、送風機13が埋設されている。送風機13は、送風ファン13a及びその送風ファン13aを回転させるための駆動部(図示せず)を備えている。送風機13の送風ファン13aが回転することにより、貫通孔11bを介して保持部11の外方から保持部11内に空気が取り込まれ、その取り込まれた空気が、保持部11内の空間を上昇し、保持部11の開口部11aから外方へ排出される。
【0024】
図4は、本実施の形態の飛沫感染防止装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すとおり、飛沫感染防止装置1は、制御部2を備えている。制御部2は、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、及びROM(Read Only Memory)23を含むマイクロコンピュータで構成されている。
【0025】
制御部2は、操作部12a及び送風機13と接続されている。制御部2は、操作部12aによる入力に応じて、送風機13の動作を制御する。これにより、送風機13の送風ファン13aの回転が開始され、または停止される。
【0026】
[飛沫感染防止装置の動作]
次に、上述したように構成された飛沫感染防止装置1の動作について説明する。
飛沫感染防止装置1が使用される場合、飛沫感染防止装置1の保持部11には、機能液が付与される。具体的には、スプレーにより保持部11に対して機能液が噴霧されるなどして、機能液の付与が実施される。その結果、保持部11を構成する吸収部材に機能液が吸収されて保持される。
【0027】
なお、機能液としては、抗菌及び/又は抗ウイルス成分を含む公知の液体を用いることができる。例えば、本出願人が製造する抗菌・消臭剤である「ナノガードガンマ」を機能液として用いることができる。なお、「ナノガードガンマ」は、抗菌及び抗ウイルス成分を含んでいる。
【0028】
飛沫感染防止装置1は、複数人で会話が行われる場合などのように、ウイルス又は細菌などの病原体を含む飛沫が各人から発せられる状況において使用される。その場合、会話に参加する複数人の間に飛沫感染防止装置1が設置される。例えば、複数人がテーブルを挟んで向き合って座っているような場合では、そのテーブル上に飛沫感染防止装置1が設置される。この場合、各人は飛沫感染防止装置1を挟んで他の人と会話することになる。複数人が対面ではなく隣り合っているような場合においても、それらの人の間に飛沫感染防止装置1が設置されることにより、各人は飛沫感染防止装置1を挟んで他の人と会話することになる。
【0029】
上記のようにして設置された飛沫感染防止装置1に対して、操作部12aにより起動が指示された場合、制御部2は、送風機13を作動させる。これにより、送風機13の送風ファン13aが回転する。その回転に伴って、飛沫感染防止装置1の周囲の空気、すなわち会話に参加する複数人が存在する領域内の空気が、飛沫感染防止装置1を介して循環される。
【0030】
図5は、空気の流れを説明するための図である。
図5では、空気の流れが破線矢印で示されている。保持部11の下端部に形成された貫通孔11bを介して、保持部11の外方の空気が保持部11内に流入する。このようにして、保持部11内に空気が取り込まれる。取り込まれた空気は、保持部11内の空間を上昇する。このとき、保持部11に吸収されて保持された機能液に空気が触れる。これにより、抗菌及び/又は抗ウイルス性能を空気に付与することができる。そのため、保持部11内に取り込まれた空気に飛沫が含まれている場合でも、その飛沫による感染を防止することができる。
【0031】
上記のようにして保持部11内の空間を上昇した空気は、保持部11上端の開口部11aから外方へ排出される。これにより、飛沫感染防止装置1が設置されている環境の清浄化が図られる。
【0032】
なお、保持部11の側面は通気性シートで構成されているため、その側面内を空気が流通する。保持部11の外方から当該側面内を流通して保持部11内に取り込まれた空気は、保持部11上端の開口部11aを介して外方へ排出される。また、保持部11の内部空間から当該側面内を流通して保持部11外へ排出される空気も存在する。これらの空気も、保持部11に保持された機能液に触れることになるため、抗菌及び/又は抗ウイルス性能の付与が達成される。その結果、飛沫感染が防止されることになる。この場合、保持部11がフィルタとして機能していると捉えることが可能である。
【0033】
本実施の形態では、従来の飛沫感染防止装置と異なり、送風機13のみの駆動で足りるため、省電力化を図ることができる。また、小型化を実現できるため、卓上用などに適したサイズとすることも可能である。
【0034】
(実施の形態2)
実施の形態2の飛沫感染防止装置は、実施の形態1の飛沫感染防止装置にエアカーテンを形成する機能を付加したものである。なお、実施の形態1の場合と同様の構成については適宜説明を省略する。
【0035】
図6及び
図7はそれぞれ、実施の形態2の飛沫感染防止装置の構成を示す正面図及び平面図である。また、
図8は、本実施の形態の飛沫感染防止装置100は、実施の形態1の飛沫感染防止装置1と同様の保持部11を備えている。台部12は、実施の形態1の場合と同様の送風機13(本実施の形態では第1送風機13と称する)を備える一方で、実施の形態1の場合と異なり、空気を噴出するための複数の噴出孔14と、噴出孔14に対して空気を供給する第2送風機15とを備える。第2送風機15は、台部12内に埋設されている。なお、第1送風機13及び第2送風機15が1つの送風機で構成されていてもよい。
【0036】
噴出孔14は、平面視で保持部11の周囲を囲むように円周方向に沿って配設されている。各噴出孔14からは、保持部11の斜め上方外側に向かって空気が噴出される。このようにして噴出孔14から噴出された空気によって、保持部11の周囲にエアカーテンが形成される。
【0037】
図8に示すとおり、制御部2は、第2送風機15とも接続されている。制御部2は、操作部12aによる入力に応じて、第1送風機13とともに、第2送風機15の動作を制御する。これにより、第1送風機13及び第2送風機15の動作の開始/停止が行われる。第2送風機15が作動すると、噴出孔14から空気が噴出される。
【0038】
図9は、空気の流れを説明するための図である。
図9においては、
図5の場合と同様に保持部11を介して循環する空気の流れが破線矢印で示されるとともに、噴出孔14から噴出される空気で形成されるエアカーテンが二点鎖線矢印で示されている。上述したように、噴出孔14からは、保持部11の斜め上方外側に向かって空気が噴出される。その結果、エアカーテン101が保持部11の周囲に形成される。
【0039】
エアカーテン101により、各人の飛沫が他の人に到達することを防止できるため、飛沫感染の防止を図ることができる。また、エアカーテン101により、保持部11の内部から外方へ排出される空気(保持部11内を上昇して開口部11aから排出される空気、及び保持部11の側面の内外を流通する空気を含む)、すなわち抗菌及び/又は抗ウイルス性能が付与された空気の流れを制御することができる。そのため、飛沫感染防止装置1が設置されている環境の清浄化を効率的に実現することができる。
【0040】
(その他の実施の形態)
上記の各実施の形態では、機能液が噴霧されることによって保持部11に機能液が与えられているが、これに限定されるわけではなく、種々の手法で付与することが可能である。例えば、
図10に示すように、台座12において、送風機13の外側に機能液を貯留する貯留部16を設け、その貯留部16と保持部11とを連結することにより、保持部11が、毛細管現象により、貯留部16内の機能液を吸収して吸い上げるように構成されてもよい。この場合でも、上記の各実施の形態と同様、保持部11に機能液を付与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の飛沫感染防止装置は、ウイルス感染を防ぐための飛沫感染防止装置などとして有用である。
【符号の説明】
【0042】
1,100 飛沫感染防止装置
11 保持部
11a 開口部
11b 貫通孔
12 台部
12a 操作部
13 送風機(第1送風機)
13a 送風ファン
14 噴出孔
15 第2送風機
16 貯留部
2 制御部
21 CPU
22 RAM
23 ROM