(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093266
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】アンモニア燃料船
(51)【国際特許分類】
B63B 11/04 20060101AFI20230627BHJP
B63H 21/30 20060101ALI20230627BHJP
B63B 29/00 20060101ALI20230627BHJP
B63J 2/02 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B63B11/04 B
B63H21/30 Z
B63B29/00 A
B63J2/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208792
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】520357718
【氏名又は名称】日本シップヤード株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593172223
【氏名又は名称】今治造船株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502116922
【氏名又は名称】ジャパンマリンユナイテッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】上野 周作
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 敬明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恵介
(72)【発明者】
【氏名】富岡 浩二
(57)【要約】
【課題】人の移動が多い領域の臭気を低減することができるアンモニア燃料船を提供することを目的とする。
【解決手段】アンモニア燃料船1は、船員の作業区画や生活空間を提供する居住区7と、アンモニア燃料エンジン4を設置する機関室8と、備えている。階段室72と廊下74との間にはエアロックスペース13が設置される。また、エレベータトランク12と室内フロア81との間にはエアロックスペース14が設置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを燃料として使用するエンジンを備えたアンモニア燃料船において、
前記エンジンを設置する機関室の出入口に設置されたエアロックスペースを備える、
ことを特徴とするアンモニア燃料船。
【請求項2】
前記エアロックスペースは、前記機関室の出入口と階段室の出入口との間に設置されている、請求項1に記載のアンモニア燃料船。
【請求項3】
前記エアロックスペースは、前記機関室の出入口とエレベータトランクの出入口との間に設置されている、請求項1に記載のアンモニア燃料船。
【請求項4】
前記エアロックスペースは、前記機関室の出入口と階段室及びエレベータトランクの出入口との間に設置されている、請求項1に記載のアンモニア燃料船。
【請求項5】
前記エアロックスペースは、前記機関室の出入口と機関制御室の出入口との間に設置されている、請求項1に記載のアンモニア燃料船。
【請求項6】
前記機関制御室は、階段室及びエレベータトランクの出入口を有する、請求項5に記載のアンモニア燃料船。
【請求項7】
前記エアロックスペースは、エレベータトランク、階段室、機関制御室又は工作室により構成されている、請求項1に記載のアンモニア燃料船。
【請求項8】
前記エアロックスペースは、階段室により構成されている、請求項1に記載のアンモニア燃料船。
【請求項9】
前記エアロックスペースは、内部の圧力を前記機関室の圧力よりも高く保持するための加圧手段又は内部の空気を入れ替えるための換気手段を有する、請求項1に記載のアンモニア燃料船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア燃料船に関し、特に、アンモニアを燃料として使用するエンジンを備えたアンモニア燃料船に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保全の観点から環境を汚染する物質や廃棄物の排出を低減するゼロエミッションが提言されている。国際海運の分野においても、燃焼時に二酸化炭素(CO2)が発生しない燃料としてアンモニアが注目されており、アンモニア燃料船の開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンモニア燃料船では、アンモニアの沸点が大気圧下において-33℃の低温であることから、低温又は高圧により液化アンモニアとして船上に貯蔵することが検討されている。液化アンモニアが大気中に漏洩した場合、気化したアンモニアガスが拡散することとなる。アンモニアガスは強い毒性を有することから、液化アンモニアを漏洩させないこと及び漏洩した際に人体や環境への影響を最小化させることが重要な課題となっている。
【0005】
また、アンモニアは強い臭気を有することから、人体や環境への影響を最小化させた場合であっても人が存在し得る領域に微少の臭気が漂う可能性が考えられる。したがって、居住区や機関制御室等、人の移動が多い領域の臭気対策が求められる。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、人の移動が多い領域の臭気を低減することができるアンモニア燃料船を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、アンモニアを燃料として使用するエンジンを備えたアンモニア燃料船において、前記エンジンを設置する機関室の出入口に設置されたエアロックスペースを備える、ことを特徴とするアンモニア燃料船が提供される。
【0008】
前記エアロックスペースは、前記機関室の出入口と階段室の出入口との間に設置されていてもよい。
【0009】
前記エアロックスペースは、前記機関室の出入口とエレベータトランクの出入口との間に設置されていてもよい。
【0010】
前記エアロックスペースは、前記機関室の出入口と階段室及びエレベータトランクの出入口との間に設置されていてもよい。
【0011】
前記エアロックスペースは、前記機関室の出入口と機関制御室の出入口との間に設置されていてもよい。また、前記機関制御室は、階段室及びエレベータトランクの出入口を有していてもよい。
【0012】
前記エアロックスペースは、エレベータトランクにより構成されていてもよいし、階段室により構成されていてもよいし、機関制御室により構成されていてもよいし、工作室により構成されていてもよい。
【0013】
前記エアロックスペースは、内部の圧力を前記機関室の圧力よりも高く保持するための加圧手段を有していてもよいし、内部の空気を入れ替えるための換気手段を有していてもよい。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明に係るアンモニア燃料船によれば、アンモニアを燃料として使用するエンジンを設置する機関室の出入口にエアロックスペースを設置したことにより、機関室内で臭気が発生した場合であっても人の移動が多い領域の臭気を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】第一実施形態に係るアンモニア燃料船を示す説明図であり、(A)は居住区及び機関室を示す側面図、(B)は居住区の一階の平面図、(C)は機関室の室内フロアの平面図、である。
【
図3】第二実施形態に係るアンモニア燃料船を示す説明図であり、(A)は居住区及び機関室を示す側面図、(B)は居住区の一階の平面図、(C)は機関室の室内フロアの平面図、である。
【
図4】第三実施形態に係るアンモニア燃料船を示す説明図であり、(A)は居住区及び機関室を示す側面図、(B)は居住区の一階の平面図、(C)は機関室の室内フロアの平面図、である。
【
図5】第四実施形態に係るアンモニア燃料船を示す説明図であり、(A)は居住区及び機関室を示す側面図、(B)は居住区の一階の平面図、(C)は機関室の室内フロアの平面図、である。
【
図6】第五実施形態に係るアンモニア燃料船を示す説明図であり、(A)は居住区及び機関室を示す側面図、(B)は居住区の一階の平面図、(C)は機関室の室内フロアの平面図、である。
【
図7】第六実施形態に係るアンモニア燃料船を示す説明図であり、(A)は居住区及び機関室を示す側面図、(B)は居住区の一階の平面図、(C)は機関室の室内フロアの平面図、である。
【
図8】第七実施形態に係るアンモニア燃料船を示す説明図であり、(A)は居住区及び機関室を示す側面図、(B)は居住区の一階の平面図、(C)は機関室の室内フロアの平面図、である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について
図1~
図8(C)を用いて説明する。ここで、
図1は、アンモニア燃料船の概略構成図である。
【0017】
アンモニア燃料船1は、例えば、
図1に示したように、燃料であるアンモニアを貯留するアンモニア燃料タンク2と、アンモニア燃料タンク2から発生した気化ガスを再液化する再液化装置3と、アンモニアを燃料として使用するアンモニア燃料エンジン4と、アンモニア燃料タンク2からアンモニア燃料エンジン4にアンモニアを供給する燃料供給機器5と、アンモニア燃料タンク2にアンモニアを供給するバンカーステーション6と、を備えている。
【0018】
また、アンモニア燃料船1は、船員の作業区画や生活空間を提供する居住区7と、アンモニア燃料エンジン4を設置する機関室8と、備えている。居住区7は、例えば、上甲板9上に配置される。また、機関室8は、例えば、居住区7の下方に配置される。
【0019】
なお、
図1に示したアンモニア燃料船1の構成は単なる一例であり、図示した構成・配置に限定されるものではない。また、アンモニア燃料船1は、ディーゼルエンジン、電動モータ等の他の推進機器を併用したハイブリッド船であってもよい。また、アンモニア燃料船1は、複数の燃料を切り替えて使用する多元燃料エンジンを採用したものであってもよい。
【0020】
ここで、
図2は、本発明の第一実施形態に係るアンモニア燃料船を示す説明図であり、(A)は居住区及び機関室を示す側面図、(B)は居住区一階の平面図、(C)は機関室の室内フロアの平面図、である。
【0021】
図2(A)に示したように、例えば、居住区7は、上甲板9上に設置された複数階建ての建造物である。上甲板9の上方に居住区7の一階71が配置され、上甲板9の下方に機関室8の室内フロア81が配置される。居住区7と機関室8との間の移動には、一般に、階段10又はエレベータ11を使用する。
【0022】
図2(B)及び
図2(C)に示したように、居住区7の一階71には居住区7から機関室8の室内フロア81に下りる階段10が設置される。なお、図示しないが、居住区7内の各階を移動する階段には、図示した階段10とは別の場所に設置される。
【0023】
また、
図2(B)に示したように、居住区7の一階71には、階段10を格納する階段室72、機関制御室73、廊下74、エレベータ11を収容するエレベータトランク12等の区画が配置される。なお、図示した区画は単なる一例であり、一階71に配置される区画は図示したものに限定されるものではない。
【0024】
機関制御室73は、アンモニア燃料エンジン4の運転状況を表示する機器や運転を制御する機器を収容する区画である。廊下74は、一階71に配置された区画に移動するための通路である。階段室72は、階段10を設置する区画である。また、階段室72と廊下74との間にはエアロックスペース13が設置される。
【0025】
階段室72にはエアロックスペース13に移動するための開閉扉72aが配置されており、エアロックスペース13には廊下74に移動するための開閉扉13aが配置されている。エアロックスペース13は、機関室8の出入口を構成する階段10と居住区7との連通を遮断するための区画である。
【0026】
エアロックスペース13を通過するときに、二つの開閉扉72a,13aを一つずつ開放し同時に開放しないことにより、階段10を使用して居住区7と機関室8との間を移動する際における空間の連通を遮断することができる。
【0027】
また、機関室8にはエレベータ11を使用して移動することもできる。エレベータ11を昇降させる空間を形成するエレベータトランク12は、機関室8の室内フロア81から居住区7の各階を連通するように配置される。また、
図2(C)に示したように、エレベータトランク12と室内フロア81との間にはエアロックスペース14が設置される。
【0028】
エレベータトランク12にはエアロックスペース14に移動するための開閉扉12aが配置されており、エアロックスペース14には室内フロア81に移動するための開閉扉14aが配置されている。エアロックスペース14は、機関室8の出入口を構成するエレベータ11と居住区7との連通を遮断するための区画である。なお、エレベータトランク12の開閉扉12aは引き戸式であるが、説明の便宜上、開き戸式の図を示してある。
【0029】
本実施形態によれば、エアロックスペース14を通過するときに、二つの開閉扉12a,14aを一つずつ開放し同時に開放しないことにより、エレベータ11を使用して居住区7と機関室8との間を移動する際における空間の連通を遮断することができる。
【0030】
図2(A)~
図2(C)に示した第一実施形態では、機関室8の出入口が階段10とエレベータ11の二箇所に存在していることから、それぞれの出入口にエアロックスペース13,14を設置している。
【0031】
なお、図示しないが、エアロックスペース13,14の圧力を機関室8の圧力よりも高く保持するための加圧手段、エアロックスペース13,14内の空気を入れ替えるための換気手段、エアロックスペース13,14内のアンモニア濃度を計測する濃度計等の設備を設置してもよい。
【0032】
ここで、
図3は、第二実施形態に係るアンモニア燃料船を示す説明図であり、(A)は居住区及び機関室を示す側面図、(B)は居住区の一階の平面図、(C)は機関室の室内フロアの平面図、である。各図において、第一実施形態と同じ構成部品については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0033】
図3(A)~
図3(C)に示した第二実施形態は、エレベータトランク12をエアロックスペースとして構成したものである。エレベータトランク12は、内部の圧力を機関室8の圧力よりも高く保持するための加圧手段12bを備えていてもよい。
【0034】
加圧手段12bは、例えば、エレベータトランク12の上部に設置された通風装置である。かかる構成により、室内フロア81におけるエレベータ11前のエアロックスペースを省略することができ、限られた船内空間の利用効率を向上することができる。なお、加圧手段12bの代わりに、エレベータトランク12内の空気を入れ替えるための換気手段を設置してもよい。
【0035】
ここで、
図4は、第三実施形態に係るアンモニア燃料船を示す説明図であり、(A)は居住区及び機関室を示す側面図、(B)は居住区の一階の平面図、(C)は機関室の室内フロアの平面図、である。各図において、第一実施形態と同じ構成部品については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0036】
図4(A)~
図4(C)に示した第三実施形態は、エレベータ11の対面に階段10が設置されており、エレベータトランク12と階段室72との間にエアロックスペース15が配置されている。
【0037】
なお、階段10は、室内フロア81から居住区7の上層階まで連続していてもよいし、室内フロア81から一階71の部分と一階71から上層階の部分とに分断されていてもよい。また、
図4(B)及び
図4(C)では、説明の便宜上、階段10の図を省略してある。
【0038】
階段室72にはエアロックスペース15に移動するための開閉扉72aが配置されており、エレベータトランク12にはエアロックスペース15に移動するための開閉扉12aが配置されており、エアロックスペース15には室内フロア81に移動するための開閉扉15aが配置されている。
【0039】
本実施形態は、階段10及びエレベータ11の配置を変更することにより、機関室8の出入口を構成する階段10及びエレベータ11前の領域に共有のエアロックスペース15を設置したものである。かかる構成により機関室8のエアロックスペースの個数を削減することができ、限られた船内空間の利用効率を向上することができる。
【0040】
なお、図示しないが、エアロックスペース15の圧力を機関室8の圧力よりも高く保持するための加圧手段、エアロックスペース13,14内の空気を入れ替えるための換気手段、エアロックスペース13,14内のアンモニア濃度を計測する濃度計等の設備を設置してもよい。
【0041】
本実施形態によれば、エアロックスペース15を通過するときに、三つの開閉扉72a,12a,15aを一つずつ開放し同時に開放しないことにより、階段10又はエレベータ11を使用して居住区7と機関室8との間を移動する際における空間の連通を遮断することができる。
【0042】
ここで、
図5は、第四実施形態に係るアンモニア燃料船を示す説明図であり、(A)は居住区及び機関室を示す側面図、(B)は居住区の一階の平面図、(C)は機関室の室内フロアの平面図、である。各図において、第一実施形態と同じ構成部品については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0043】
図5(A)~
図5(C)に示した第四実施形態は、エレベータ11の対面に階段10が設置されており、室内フロア81の階段室72がエレベータトランク12まで拡張するように構成されている。
【0044】
なお、図示しないが、居住区7の各階を移動する階段は階段室72外の別の場所に配置される。また、
図5(B)及び
図5(C)では、説明の便宜上、階段10の図を省略してある。
【0045】
本実施形態は、階段10及びエレベータ11の配置を変更することにより、機関室8の出入口を構成する階段10及びエレベータ11前の領域に階段室72を拡張してエアロックスペースとして利用するようにしたものである。かかる構成により機関室8のエアロックに必要な区画の個数を削減することができる。
【0046】
階段室72には室内フロア81に移動するための開閉扉72aが配置されており、エレベータトランク12には階段室72(エアロックスペース)に移動するための開閉扉12aが配置されている。また、居住区7の一階71には階段室72に移動するための開閉扉72bが配置されている。
【0047】
本実施形態によれば、エアロックスペース15を通過するときに、三つの開閉扉72a,72b,12aを一つずつ開放し同時に開放しないことにより、階段10又はエレベータ11を使用して居住区7と機関室8との間を移動する際における空間の連通を遮断することができる。
【0048】
ここで、
図6は、第五実施形態に係るアンモニア燃料船を示す説明図であり、(A)は居住区及び機関室を示す側面図、(B)は居住区の一階の平面図、(C)は機関室の室内フロアの平面図、である。各図において、第三実施形態と同じ構成部品については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0049】
図6(A)~
図6(C)に示した第五実施形態は、上述した第三実施形態と同様に、エレベータ11の対面に階段10が設置されており、エレベータトランク12と階段室72との間にエアロックスペースを構成する工作室16が配置されている。工作室16は、機関室8内に設置された機器・設備の整備等に必要な作業を行う区画である。
【0050】
本実施形態は、機関室8の室内フロア81内に工作室16を配置し、工作室16をエアロックスペースとして兼用したものである。かかる構成により、限られた船内空間の利用効率を向上することができる。
【0051】
階段室72には工作室16に移動するための開閉扉72aが配置されており、エレベータトランク12には工作室16に移動するための開閉扉12aが配置されており、工作室16(エアロックスペース)には機関室8に移動するための開閉扉16aが配置されている。
【0052】
本実施形態によれば、工作室16(エアロックスペース)を通過するときに、三つの開閉扉72a,12a,16aを一つずつ開放し同時に開放しないことにより、階段10又はエレベータ11を使用して居住区7と機関室8との間を移動する際における空間の連通を遮断することができる。
【0053】
ここで、
図7は、第六実施形態に係るアンモニア燃料船を示す説明図であり、(A)は居住区及び機関室を示す側面図、(B)は居住区の一階の平面図、(C)は機関室の室内フロアの平面図、である。各図において、第五実施形態と同じ構成部品については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0054】
図7(A)~
図7(C)に示した第六実施形態は、エレベータ11の対面に階段10が設置されており、エレベータトランク12と階段室72との間に機関制御室17が設置され、機関制御室17と機関室8との間にエアロックスペース18が設置されている。
【0055】
本実施形態は、居住区7の一階に配置されていた機関制御室(
図4等参照)を機関室8の室内フロア81に移動したものである。
【0056】
階段室72には機関制御室17に移動するための開閉扉72aが配置されており、エレベータトランク12には機関制御室17に移動するための開閉扉12aが配置されており、機関制御室17にはエアロックスペース18に移動するための開閉扉17aが配置されており、エアロックスペース18には機関室8に移動するための開閉扉18aが配置されている。
【0057】
機関制御室17は人の出入りが多いことから、階段10及びエレベータ11による移動時には開閉扉72a,12aの開閉タイミングの制御を行わないようにするために、機関制御室17と機関室8との間にエアロックスペース18を設置している。なお、図示しないが、必要に応じて、エアロックスペース18を省略して機関制御室17をエアロックスペースとして利用するようにしてもよい。
【0058】
ここで、
図8は、第七実施形態に係るアンモニア燃料船を示す説明図であり、(A)は居住区及び機関室を示す側面図、(B)は居住区の一階の平面図、(C)は機関室の室内フロアの平面図、である。各図において、第六実施形態と同じ構成部品については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0059】
図8(A)~
図8(C)に示した第七実施形態は、上述した第六実施形態と同様に、機関室8の室内フロア81に機関制御室17が設置されており、機関制御室17と機関室8との間にエアロックスペースを構成する工作室19が配置されている。
【0060】
本実施形態は、
図7(C)に示したエアロックスペース18の面積を拡張して工作室19を兼用したものである。かかる構成により、限られた船内空間の利用効率を向上することができる。
【0061】
階段室72には機関制御室17に移動するための開閉扉72aが配置されており、エレベータトランク12には機関制御室17に移動するための開閉扉12aが配置されており、機関制御室17には工作室19に移動するための開閉扉18aが配置されており、工作室19には機関室8に移動するための開閉扉19aが配置されている。
【0062】
上述した第一実施形態~第七実施形態に係るアンモニア燃料船1によれば、アンモニア燃料エンジン4を設置する機関室8の出入口にエアロックスペースを設置したことにより、機関室8内で臭気が発生した場合であっても人の移動が多い領域の臭気を低減することができる。
【0063】
本発明は上述した実施形態に限定されず、各実施形態を組み合わせてもよい、複数のエアロックスペースを直列に設置するようにしてもよい等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0064】
1 アンモニア燃料船
2 アンモニア燃料タンク
3 再液化装置
4 アンモニア燃料エンジン
5 燃料供給機器
6 バンカーステーション
7 居住区
8 機関室
9 上甲板
10 階段
11 エレベータ
12 エレベータトランク
12a,13a,14a,15a,16a,17a,18a,19a 開閉扉
12b 加圧手段
13,14,15,18 エアロックスペース
16 工作室
17 機関制御室
19 工作室
71 一階
72 階段室
72a,72b 開閉扉
73 機関制御室
74 廊下
81 室内フロア